JP2023148410A - 分注装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】放射能濃度を精度良く測定し、放射性薬剤を精度良く分注可能な分注装置を提供する。【解決手段】分注装置1は、放射性薬剤R1を収容可能なマザーバイアル3と、放射性薬剤R2を収容可能でありマザーバイアル3よりも小さい参照バイアル11と、マザーバイアル3から参照バイアル11へ放射性薬剤R1を移動させる送液部15と、参照バイアル11内の放射性薬剤R2の放射線量を測定する放射線検出器23と、を備える。【選択図】図1
Description
本発明は、分注装置に関するものである。
従来、このような分野の技術として、下記特許文献1に記載の分注装置が知られている。この分注装置は、PET用の放射性薬剤の原液を収容する原液容器と、希釈液を収容する希釈液容器と、三方活栓及びシリンジポンプ等を有する液体搬送系と、合成容器と、を備えている。この分注装置では、液体搬送系によって原液容器の原液が合成容器に移動されるとともに希釈液容器の希釈液が上記合成容器に投入され、合成容器内に放射性薬剤が調製される。また、原液容器の近傍に放射線検出器が配置されており、当該放射線検出器の測定値に基づいて原液の放射能濃度が認識される。
この種の分注装置においては、原液容器内の原液の量に放射能濃度の測定の精度が左右される場合がある。例えば原液容器内の原液が多いときに原液が放射線検出器の視野からはみ出すなどすると、原液の放射能濃度が正確に測定できない可能性があり、その結果、分注される放射性薬剤の放射能量の精度が低下するおそれがある。例えば、多量の放射性薬剤を取扱う際に大きい原液容器が使用される場合などにおいては、この問題が発生し易い。この問題に鑑み、本発明は、放射能濃度を精度良く測定し、放射性薬剤を精度良く分注可能な分注装置を提供することを目的とする。
本発明の分注装置は、放射性薬剤を収容可能な第1容器と、放射性薬剤を収容可能であり第1容器よりも小さい第2容器と、第1容器から第2容器へ放射性薬剤を移動させる移動手段と、第2容器内の放射性薬剤の放射線量を測定する放射線検出器と、を備える。
本発明の分注装置は、第1容器から第2容器に放射性薬剤を移動させるように移動手段を制御する制御部を更に備える、こととしてもよい。
本発明の分注装置は、第1容器と第2容器との間に配置された放射線遮蔽シールドを更に備える、こととしてもよい。
本発明の分注装置は、第2容器とは別に設けられ、第1容器から分注される放射性薬剤が送られる分注ポートを更に備える、こととしてもよい。
移動手段は、放射性薬剤を第1容器から第2容器に送出する経路を、放射性薬剤を第1容器から分注ポートに送出する経路とは別に有している、こととしてもよい。
本発明の分注装置は、分注ポートに送られた前記放射性薬剤の放射線量を測定する他の放射線検出器を更に備える、こととしてもよい。
本発明の分注装置は、分注ポートに分注すべき放射性薬剤に関する情報を示す分注情報の入力を受け付けるとともに、分注情報と放射線検出器の測定値とに基づいて算出される量で第1容器の放射性薬剤を分注ポートに送るように移動手段を制御する分注制御部を更に備える、こととしてもよい。
本発明の分注装置は、放射性薬剤を収容可能な第1容器と、第1容器から分注される放射性薬剤が送られる分注ポートと、第1容器よりも小さい容器であり、分注ポートに分注される放射性薬剤とは別に第1容器から取り分けられた放射性薬剤が収容される第2容器と、第2容器内の放射性薬剤の放射線量を測定する放射線検出器と、を備える。
本発明の分注装置は、分注ポートに分注すべき放射性薬剤に関する情報を示す分注情報の入力を受け付けるとともに、分注情報と放射線検出器の測定値とに基づいて算出される量で第1容器の放射性薬剤を分注ポートに送る、こととしてもよい。
本発明によれば、放射能濃度を精度良く測定し、放射性薬剤を精度良く分注可能な分注装置を提供することができる。
〔第1実施形態〕
以下、図面を参照しながら本発明に係る分注装置の第1実施形態について詳細に説明する。図1に示される分注装置1は、マザーバイアル3(第1容器)に収容された放射性薬剤R1を分注バイアル5に分注するものである。放射性薬剤R1の例としては、例えば、放射性核種で標識された18F-FDG(フルオロデオキシグルコース)、13N-アンモニア、11C-メチオニン等が挙げられる。
以下、図面を参照しながら本発明に係る分注装置の第1実施形態について詳細に説明する。図1に示される分注装置1は、マザーバイアル3(第1容器)に収容された放射性薬剤R1を分注バイアル5に分注するものである。放射性薬剤R1の例としては、例えば、放射性核種で標識された18F-FDG(フルオロデオキシグルコース)、13N-アンモニア、11C-メチオニン等が挙げられる。
分注装置1は、上記マザーバイアル3と、分注ポート7と、希釈溶液パック9と、参照バイアル11(第2容器)と、廃液ビン13と、を備えている。更に分注装置1は、これらの各部同士の間で放射性薬剤R1や希釈液を移動させるための送液部15(移動手段)を備えている。送液部15は、上記各部を互いに接続するための各ラインL1~L6と、上記各部同士の間に流体の移動経路を形成するための三方活栓V1~V5と、各ラインを通じて放射性薬剤R1や希釈液を吸入・吐出するシリンジ17と、を備えている。ラインL1~L6は、流体を搬送するチューブで構成される。また、送液部15外から送液部15内に取り込まれる空気を滅菌するための通気用滅菌フィルタAが、マザーバイアル3と、三方活栓V2の1つのポートと、に1つずつ設置されている。
ラインL1は、分注装置1とは別機の放射性薬剤合成装置91とマザーバイアル3とを接続している。ラインL2は、マザーバイアル3と三方活栓V1の1つのポートとを接続している。ラインL3は、希釈溶液パック9と三方活栓V3の1つのポートとを接続している。ラインL4は、参照バイアル11と三方活栓V4の1つのポートとを接続している。ラインL5は、分注ポート7と三方活栓V5の1つのポートとを接続している。ラインL6は、廃液ビン13と三方活栓V5の他の1つのポートとを接続している。
三方活栓V1の3つのポートはそれぞれラインL2、シリンジ17、及び三方活栓V2に接続されている。三方活栓V2の3つのポートはそれぞれ三方活栓V1、通気用滅菌フィルタA、及び三方活栓V3に接続されている。三方活栓V3の3つのポートはそれぞれ三方活栓V2、ラインL3、及び三方活栓V4に接続されている。三方活栓V4の3つのポートはそれぞれ三方活栓V3、ラインL4、及び三方活栓V5に接続されている。三方活栓V5の3つのポートはそれぞれ三方活栓V4、ラインL5、及びラインL6に接続されている。
マザーバイアル3には前述の通り放射性薬剤R1が収容される。この放射性薬剤R1は外部の放射性薬剤合成装置91で生成され、予め滅菌された状態で、ラインL1を通じてマザーバイアル3に供給される。分注ポート7には前述の分注バイアル5が取付けられる。希釈溶液パック9には、放射性薬剤R1を希釈するための希釈液が収容される。希釈液は例えば生理食塩水である。参照バイアル11はマザーバイアル3に比較して容量が小さい容器である。参照バイアル11には、マザーバイアル3の放射性薬剤R1から取り分けられた参照用の放射性薬剤R2が収容される。廃液ビン13は、分注ミスが発生した場合の廃液や洗浄液を回収するための容器である。
更に分注装置1は、電子天秤19と、放射線遮蔽容器21と、放射線検出器23と、を備えている。電子天秤19は上面に載置されたマザーバイアル3の重量を測定する。放射線遮蔽容器21の内部には参照バイアル11が収容される。放射線検出器23は参照バイアル11に収容される放射性薬剤R2の放射線を検出し放射線量を測定する。参照バイアル11は放射線遮蔽容器21に取り囲まれており、放射線検出器23は放射線遮蔽容器21の側壁に挿通されて参照バイアル11に対面している。この構成により、参照バイアル11以外(例えばマザーバイアル3の放射性薬剤R1や送液部15)からのノイズとしての放射線が放射線遮蔽容器21で遮蔽されるので、放射線検出器23は放射性薬剤R2の放射線量を精度よく測定することができる。
また、放射線検出器23が放射線検出可能な視野(以下単に「視野」という)が、参照バイアル11内の放射性薬剤R2の全体をカバーするように設定されている。このような設定を実現するために、参照バイアル11の容量一杯の放射性薬剤R2が収容された場合にも、放射線検出器23の視野が参照バイアル11内の放射性薬剤R2の全体をカバーするように、十分に小さい容器が参照バイアル11として採用されてもよい。また、上記の設定を実現するために、放射線検出器23の視野が参照バイアル11全体をカバーするようにしてもよい。また、上記の設定を実現するために、マザーバイアル3から参照バイアル11に取り分けられる放射性薬剤R2の液量の設定が、十分に小さいものとされてもよい。
更に分注装置1は、シリンジ17のピストンを上下させる電動アクチュエータ27と、三方活栓V1~V5をそれぞれ個別に操作可能な電動アクチュエータ29と、を備えている。また、分注装置1は、当該分注装置1全体の動作を統合的に制御する制御部25を備えている。制御部25は、電動アクチュエータ27,29に電気信号を送信してこれらの動作を制御し、シリンジ17による流体の吸入・吐出及び各三方活栓V1~V5の回転位置を制御することで、マザーバイアル3、分注バイアル5、…、廃液ビン13の各部間における流体の移動を制御することができる。また、制御部25及び電動アクチュエータ27によってシリンジ17のピストンの上下動のストロークが正確に制御されるので、シリンジ17による流体の吸入量・吐出量を正確に制御することができる。また、制御部25は、電子天秤19及び放射線検出器23からの電気信号を受信してこれらの測定値を認識する。制御部25は、情報処理端末31と、情報処理端末31から送受信される電気信号の中継を行なうPLC33と、を有している。情報処理端末31としては、例えばパーソナルコンピュータ又はタブレット型端末等が採用され得る。
上述した分注装置1の構成要素のうち、制御部25以外の要素は放射線を遮蔽する筐体51内に設けられている。この分注装置1においては、マザーバイアル3から分注された放射性薬剤R1の一部及び希釈溶液パック9の希釈液が分注ポート7を通じて分注バイアル5に注入され、放射性薬剤R3として分注バイアル5で一時的に保管される。その後、筐体51の扉を開けるなどして分注装置1から分注バイアル5が取出され、この放射性薬剤R3が患者への投与等に使用される。なお、分注ポート7には、分注バイアル5に代えてシリンジが取付けられてもよい。すなわちこの場合、患者への投与等に使用される放射性薬剤R3が上記シリンジに分注される。また、分注ポート7には、分注バイアル5に代えて注射針が取付けられてもよい。すなわちこの場合、筐体51外に引き出され患者に刺入された上記注射針を通じて、分注された放射性薬剤R3が患者に直接投与される。この場合、分注装置1は、マザーバイアル3の放射性薬剤を分注して患者に投与する放射性薬剤投与装置として機能する。
続いて、分注装置1による放射性薬剤の分注作業について説明する。分注作業における送液部15内での流体の移動は、制御部25の制御下で電動アクチュエータ29が動作し三方活栓V1~V5の回転位置が制御され流体の移動経路が適切に形成されるとともに、制御部25の制御下で電動アクチュエータ27が動作しシリンジ17が流体を吸入・吐出することにより実現される。従って、以下では、各動作における三方活栓V1~V5等の詳細な操作や回転位置の説明を省略する。また、実際には、正確な量の流体を移動させるために、放射性薬剤R1や希釈液を予め移動経路内に満たしておくなどの準備動作も適宜実行されるが、このような準備操作についても説明を省略する。
分注装置1による放射性薬剤の分注作業では、図2に示されるように、次に説明する放射性薬剤導入処理、参照用薬剤準備処理、分注情報入力処理、分注量演算処理、及び放射性薬剤調製処理が実行される。
(放射性薬剤導入処理:S201)
分注装置1の分注作業では、まず、放射性薬剤合成装置91からの放射性薬剤R1がマザーバイアル3に供給される。このとき制御部25は、電子天秤19の測定値の増加分に基づいてマザーバイアル3に収容された放射性薬剤R1の液量を認識する。
分注装置1の分注作業では、まず、放射性薬剤合成装置91からの放射性薬剤R1がマザーバイアル3に供給される。このとき制御部25は、電子天秤19の測定値の増加分に基づいてマザーバイアル3に収容された放射性薬剤R1の液量を認識する。
(参照用薬剤準備処理:S203)
続いて、シリンジ17が、ラインL2及び三方活栓V1を通じてマザーバイアル3から放射性薬剤R1を吸入し、その後三方活栓V1~V4及びラインL4を通じて、予め規定された量の放射性薬剤R1を参照バイアル11に注入する。ここでは、シリンジ17が三方活栓V2上の通気用滅菌フィルタAを通じて空気を吸入し、この空気を参照バイアル11に向けて吐出することで、シリンジ17と参照バイアル11との間に残った放射性薬剤R1も参照バイアル11に押込む、といった処理が行われてもよい。このようにして、参照バイアル11には、予め規定された正確な液量q2の放射性薬剤R2が収容される。その後、制御部25は、放射線検出器23の測定値に基づいて参照バイアル11内の放射性薬剤R2の放射能濃度を認識する。
続いて、シリンジ17が、ラインL2及び三方活栓V1を通じてマザーバイアル3から放射性薬剤R1を吸入し、その後三方活栓V1~V4及びラインL4を通じて、予め規定された量の放射性薬剤R1を参照バイアル11に注入する。ここでは、シリンジ17が三方活栓V2上の通気用滅菌フィルタAを通じて空気を吸入し、この空気を参照バイアル11に向けて吐出することで、シリンジ17と参照バイアル11との間に残った放射性薬剤R1も参照バイアル11に押込む、といった処理が行われてもよい。このようにして、参照バイアル11には、予め規定された正確な液量q2の放射性薬剤R2が収容される。その後、制御部25は、放射線検出器23の測定値に基づいて参照バイアル11内の放射性薬剤R2の放射能濃度を認識する。
(分注情報入力処理:S205)
分注装置1のユーザは、分注ポート7に分注バイアル5を取付け、当該分注バイアル5に分注されるべき放射性薬剤R3に関する分注情報を制御部25に入力する。具体的には、例えば、情報処理端末31の入力デバイス(例えばキーボード、マウス、タッチパネル等)によって分注情報が入力される。上記分注情報には、放射性薬剤R3に要求される放射能量a3と液量q3とが含まれている。
分注装置1のユーザは、分注ポート7に分注バイアル5を取付け、当該分注バイアル5に分注されるべき放射性薬剤R3に関する分注情報を制御部25に入力する。具体的には、例えば、情報処理端末31の入力デバイス(例えばキーボード、マウス、タッチパネル等)によって分注情報が入力される。上記分注情報には、放射性薬剤R3に要求される放射能量a3と液量q3とが含まれている。
(放射能濃度取得処理:S207)
制御部25は、放射線検出器23の測定値を取得し、当該測定値に基づいて参照バイアル11内の放射性薬剤R2の放射能濃度を認識する。具体的には、放射線検出器23で測定される放射線量に基づく放射能量と、放射性薬剤R2の液量q2と、に基づく演算によって放射性薬剤R2の放射能濃度c2が算出される。なお、放射性薬剤R2の液量q2は、前述の参照用薬剤準備処理によって正確に測り取られたものであるので、既知である。ここで、放射性薬剤R2は放射性薬剤R1から取り分けられたものであるので、放射性薬剤R2の放射能濃度c2は、放射性薬剤R1の放射能濃度c1に等しい。従って、ここで得られた放射能濃度c2は、マザーバイアル3中の放射性薬剤R1の放射能濃度c1を意味するものである。
制御部25は、放射線検出器23の測定値を取得し、当該測定値に基づいて参照バイアル11内の放射性薬剤R2の放射能濃度を認識する。具体的には、放射線検出器23で測定される放射線量に基づく放射能量と、放射性薬剤R2の液量q2と、に基づく演算によって放射性薬剤R2の放射能濃度c2が算出される。なお、放射性薬剤R2の液量q2は、前述の参照用薬剤準備処理によって正確に測り取られたものであるので、既知である。ここで、放射性薬剤R2は放射性薬剤R1から取り分けられたものであるので、放射性薬剤R2の放射能濃度c2は、放射性薬剤R1の放射能濃度c1に等しい。従って、ここで得られた放射能濃度c2は、マザーバイアル3中の放射性薬剤R1の放射能濃度c1を意味するものである。
(分注量演算処理:S209)
制御部25は、得られた上記の放射能濃度c2と、上記分注情報に含まれる放射能量a3及び液量q3と、に基づいて、放射性薬剤R3の要求放射能量a3と要求液量q3とを満足するために放射性薬剤R1から測り取るべき液量q1と、これを希釈するための希釈液の液量q4と、を算出する。具体的には、下の関係式(1)、(2)に基づいて液量q1,q4が算出される。
q1=a3/c2 …(1)
q4=q3-q1 …(2)
制御部25は、得られた上記の放射能濃度c2と、上記分注情報に含まれる放射能量a3及び液量q3と、に基づいて、放射性薬剤R3の要求放射能量a3と要求液量q3とを満足するために放射性薬剤R1から測り取るべき液量q1と、これを希釈するための希釈液の液量q4と、を算出する。具体的には、下の関係式(1)、(2)に基づいて液量q1,q4が算出される。
q1=a3/c2 …(1)
q4=q3-q1 …(2)
(放射性薬剤調製処理:S211)
続いて、制御部25の制御下で、シリンジ17が、マザーバイアル3から放射性薬剤R1を吸入し、その後放射性薬剤R1を分注ポート7に送出して、上記のように算出された液量q1の放射性薬剤R1が正確に分注バイアル5に注入される。ここでは、シリンジ17が三方活栓V2上の通気用滅菌フィルタAを通じて空気を吸入し、この空気を分注バイアル5に向けて吐出することで、シリンジ17と分注バイアル5との間に残った放射性薬剤R1も分注バイアル5に押込む、といった処理が行われてもよい。更に、制御部25の制御下で、シリンジ17が希釈溶液パック9から希釈液を吸入し当該希釈液を分注ポート7に送出して、上記のように算出された液量q4の希釈液が正確に分注バイアル5に注入される。ここでは、シリンジ17が三方活栓V2上の通気用滅菌フィルタAを通じて空気を吸入し、この空気を分注バイアル5に向けて吐出することで、シリンジ17と分注バイアル5との間に残った希釈液も分注バイアル5に押込む、といった処理が行われてもよい。これにより、分注バイアル5内に測り取られた放射性薬剤R1が希釈液で希釈され、放射性薬剤R3が分注バイアル5内に調製される。
続いて、制御部25の制御下で、シリンジ17が、マザーバイアル3から放射性薬剤R1を吸入し、その後放射性薬剤R1を分注ポート7に送出して、上記のように算出された液量q1の放射性薬剤R1が正確に分注バイアル5に注入される。ここでは、シリンジ17が三方活栓V2上の通気用滅菌フィルタAを通じて空気を吸入し、この空気を分注バイアル5に向けて吐出することで、シリンジ17と分注バイアル5との間に残った放射性薬剤R1も分注バイアル5に押込む、といった処理が行われてもよい。更に、制御部25の制御下で、シリンジ17が希釈溶液パック9から希釈液を吸入し当該希釈液を分注ポート7に送出して、上記のように算出された液量q4の希釈液が正確に分注バイアル5に注入される。ここでは、シリンジ17が三方活栓V2上の通気用滅菌フィルタAを通じて空気を吸入し、この空気を分注バイアル5に向けて吐出することで、シリンジ17と分注バイアル5との間に残った希釈液も分注バイアル5に押込む、といった処理が行われてもよい。これにより、分注バイアル5内に測り取られた放射性薬剤R1が希釈液で希釈され、放射性薬剤R3が分注バイアル5内に調製される。
以上により、分注情報に従った放射能量a3、液量q3の放射性薬剤R3が分注バイアル5に分注される。同一の分注情報(同一の要求放射能量a3及び要求液量q3)に基づいて複数の分注バイアル5への分注を行なう場合には、上記の放射能濃度取得処理S207、分注量演算処理S209、及び放射性薬剤調製処理S211が繰り返される(処理S213)。分注情報を変更して分注が行なわれる場合には、上記の分注情報入力処理S205から再び開始して、放射能濃度取得処理S207、分注量演算処理S209、及び放射性薬剤調製処理S211が実行される(処理S215)。
続いて、この分注装置1による作用効果について説明する。要求に応じた放射能量a3、液量q3の放射性薬剤R3を分注するためには、前述の通り、放射性薬剤R1の放射能濃度c1の情報が必要である。このために、放射性薬剤R1が収容されたマザーバイアル3に放射線検出器を向けて放射性薬剤R1の放射線量を直接測定することも考えられるが、この測定手法には次のような問題がある。
図3(a)~(d)に示されるように、マザーバイアル3に向けて放射線検出器41を設置した場合を考える。図3(a)及び図3(b)のように、分注装置1による放射性薬剤の分注作業中にはマザーバイアル3内の放射性薬剤R1の液量が変動し得る。すなわち、分注を行なうごとにマザーバイアル3内の放射性薬剤R1の液量は徐々に減少していく。例えば図3(a)の場合のように、放射線検出器41の視野43内に放射性薬剤R1が概ね収っている場合であれば、放射性薬剤R1全体の比較的正確な放射能量が取得される。しかしながら、図3(b)の場合のように、マザーバイアル3内の放射性薬剤R1の液量が多い場合には、放射性薬剤R1が視野43からはみ出すので、放射性薬剤R1全体の放射能量は過小評価される。このように、マザーバイアル3内の放射性薬剤R1の液量に放射能濃度の測定の精度が左右される虞がある。特に、図3(c)及び図3(d)に示されるように、マザーバイアル3の容量が大きい場合にはこの問題が顕著である。
この対策として、図4(a)に示されるように、放射線検出器41を複数設けることも考えられるが、装置のコストアップの要因になるとともに、複数の測定値を統合する演算ソフトウエア等も必要になる。また、図4(b)に示されるように、視野43が大きい大型の放射線検出器45を採用することも考えられるが、装置のコストアップの要因になるとともに、測定精度が液量に左右される傾向が完全に解消される訳ではない。また、図4(c)に示されるように、マザーバイアル3を囲むいわゆる井戸型の放射線検出器47を採用することも考えられるが、装置のコストアップの要因になるとともに、放射性薬剤R1の液量(重量)の測定が困難になる。
これに対して分注装置1は、マザーバイアル3の放射性薬剤R1が取り分けられる参照バイアル11を備えている。参照バイアル11はマザーバイアル3よりも小さい容器であるので、参照バイアル11に取り分けられた放射性薬剤R2は、全体として放射線検出器23の視野内に入り易い。従って、放射線検出器23が放射性薬剤R2全体の放射線量を正しく測定し、その結果、放射性薬剤R2の放射能濃度が精度良く測定され、ひいては、入力された分注情報に従って放射性薬剤R1を精度良く分注バイアル5に分注することができる。また、例えば図3(a)~(d)のようにマザーバイアル3に向けて放射線検出器41を設置する方式に比較して、分注装置1ではマザーバイアル3を大型化しても測定精度に影響はないので、マザーバイアル3の大型化し多量の放射性薬剤を分注する場合にも対応が容易である。
特に、前述したように放射線検出器23の視野が参照バイアル11内の放射性薬剤R2の全体をカバーするように設定されていれば、上記の作用効果を効率的に得ることができる。そして、参照バイアル11はマザーバイアル3よりも小さいものであるので、比較的視野が狭い小型の放射線検出器23を採用しても放射性薬剤R2の全体をカバーすることができる。
また、参照バイアル11に取り分けられる放射性薬剤R2の量は、制御部25の制御下で電動アクチュエータ27が正確に動作することにより、予め規定された液量q2に正確に合わせられる。従って、液量q2の誤差に起因する放射能濃度c2(放射能濃度c1)の測定誤差が抑えられる。
また、参照バイアル11が放射線遮蔽容器21に取り囲まれており、この放射線遮蔽容器21は、マザーバイアル3と参照バイアル11との間に配置された放射線遮蔽シールドとして機能する。この構成により、マザーバイアル3からのノイズとしての放射線が放射線遮蔽容器21で遮蔽されるので、放射線検出器23は放射性薬剤R2の放射線量を精度よく測定することができ、その結果、精度が高い放射能濃度c2(放射能濃度c1)が得られる。
また、送液部15は、放射性薬剤R1をマザーバイアル3から分注ポート7に送出する経路H1と、マザーバイアル3から参照バイアル11に送出する経路H2と、をそれぞれ別々に備えているものである。すなわち、上記経路H1は、マザーバイアル3、ラインL2、三方活栓V1、シリンジ17、三方活栓V1、三方活栓V2、三方活栓V3、三方活栓V4、三方活栓V5、ラインL5、及び分注ポート7を順に辿る経路である。また、上記経路H2は、マザーバイアル3、ラインL2、三方活栓V1、シリンジ17、三方活栓V1、三方活栓V2、三方活栓V3、三方活栓V4、ラインL4、及び参照バイアル11を順に辿る経路である。
上記のように経路H1と経路H2とが別であるので、参照バイアル11は、マザーバイアル3から分注ポート7への分注経路外に配置されている。従って、分注バイアル5への分注に起因する参照バイアル11への放射性薬剤等の出入りはなく、分注中における参照バイアル11内の放射性薬剤R2の液量は一定である。よって、放射線検出器23の視野と放射性薬剤R2との位置関係は一定であり、放射性薬剤R2の放射能濃度について安定した測定結果が得られる。
これに比較して例えば、マザーバイアル3よりも小さい容量であるシリンジ17に向けて放射線検出器23を設置し、分注バイアル5への分注途中のシリンジ17内で放射性薬剤R1の放射線量を測定する手法も考えられる。しかしながら、分注途中でシリンジ17に吸入される放射性薬剤R1の量は、入力される分注情報に応じて変動すると考えられるので、放射線検出器23の視野と放射性薬剤R1との位置関係は一定とは言えず、安定した測定結果が得られるとは言えない。
また、この種の放射性薬剤R1としては、分注を繰り返している間に無視出来ない程度の放射能減衰が発生するものもある。これに対して、分注装置1では、1本1本の分注バイアル5への分注ごとに放射能濃度取得処理S207が実行される。従って、1本1本の分注バイアル5への分注ごとに、毎回リアルタイムの放射能濃度c2(放射能濃度c1)が得られ、毎回新たな液量q1,q4が算出される。その結果、1本1本の分注バイアル5に対して放射性薬剤を精度良く分注可能である。また、放射性薬剤R1の放射能の減衰補正計算によりリアルタイムの放射能濃度c2(放射能濃度c1)を取得する手法も考えられるが、この手法に比較して制御部25の演算負担が小さく抑えられる。また、放射線検出器23による測定を実際に行なうことで、減衰補正計算よりも高い精度で放射能濃度c2(放射能濃度c1)が得られる。
〔第2実施形態〕
図5を参照しながら第2実施形態の分注装置101について説明する。分注装置101と分注装置1とで同一又は同等の構成要素には同一の符号を付して重複する説明を省略する。分注装置101は、分注装置1の送液部15に代わる液体移動手段として、アクチュエータ127及びシリンジ117を備えている。
図5を参照しながら第2実施形態の分注装置101について説明する。分注装置101と分注装置1とで同一又は同等の構成要素には同一の符号を付して重複する説明を省略する。分注装置101は、分注装置1の送液部15に代わる液体移動手段として、アクチュエータ127及びシリンジ117を備えている。
シリンジ117の先端には針117aが取付けられている。アクチュエータ127は制御部25の制御下でシリンジ117を筐体51内で3次元的に移動させるとともに、シリンジ117のピストンを上下動させる。このアクチュエータ127の動作により、マザーバイアル3、参照バイアル11、及び分注ポート7に設置された分注バイアル5、の各部に対して、シリンジ117の針117aを刺入し放射性薬剤等の液体を吸入・吐出することで液体を各部間で移動させることができる。送液部15に代えてアクチュエータ127及びシリンジ117で液体を移動させる点以外は、第1実施形態の分注装置1と同様であるので重複する説明を省略する。
本発明は、上述した実施形態を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した様々な形態で実施することができる。また、上述した実施形態に記載されている技術的事項を利用して、実施例の変形例を構成することも可能である。各実施形態等の構成を適宜組み合わせて使用してもよい。
例えば、分注ポート7経由で分注バイアル5に分注された放射性薬剤R3の実際の放射能量を知るために、図1に示されるように、放射性薬剤R3の放射線を検出して放射線量を測定する放射線検出器24が分注バイアル5に対面するように更に設けられてもよい。なお、図1の放射線検出器24は、分注バイアル5ではなく、シリンジ17に対面するように設けられてもよい。この場合、分注バイアル5に送るために一時的に吸入されたシリンジ17内の放射性薬剤の放射線量が放射線検出器24で測定されることで、分注バイアル5に分注される放射性薬剤R3の実際の放射能量が検出される。
例えば、前述の参照用薬剤準備処理S203では、電子天秤19で測定されたマザーバイアル3の重量差分に基づいて参照バイアル11に取り分けられる放射性薬剤R2の液量q2が正確に制御されてもよい。また、放射線検出器23に代えて、参照バイアル11を取り囲むいわゆる井戸型の放射線検出器が採用されてもよい。井戸型放射線検出器によれば、参照バイアル11の放射性薬剤R2の放射線量をより正確に測定することができる。また、図4(c)で説明したような、マザーバイアル3に井戸型放射線検出器を設置する方式に比較すれば、参照バイアル11用の井戸型放射線検出器は小型で済むのでコストダウンが図られる。
例えば、第2実施形態の分注装置101においては、アクチュエータ115及びシリンジ117に代えて、液体移動手段として、ピペッティング機構をもつロボットアーム装置が採用されてもよい。また、液体移動手段として、送液ポンプ等が採用されてもよい。この場合、電子天秤19で測定されたマザーバイアル3の重量変化に基づいて放射性薬剤の送液量が制御されてもよい。また、マザーバイアル3の放射性薬剤の液面測定手段を設け、液面高さに基づいて放射性薬剤の送液量が制御されてもよい。上述の実施形態のシリンジ17の大きさについて、特に限定されるものでないが、分注バイアル5に一度に取り分け可能な放射性薬剤R3の液量を増やしつつ、参照バイアル11の放射性薬剤R2の放射線量を正確に測定することができるように、例えば、シリンジ17は参照バイアル11より大きい容量を有していてもよい。
1,101…分注装置、R1,R2,R3…放射性薬剤、3…マザーバイアル(第1容器)、7…分注ポート、11…参照バイアル(第2容器)、15…送液部(移動手段)、21…放射線遮蔽容器(放射線遮蔽シールド)、23…放射線検出器、24…他の放射線検出器、25…制御部(分注制御部)、117…シリンジ(移動手段)、127…アクチュエータ(移動手段)、H1,H2…経路。
Claims (9)
- 放射性薬剤を収容可能な第1容器と、
前記放射性薬剤を収容可能であり前記第1容器よりも小さい第2容器と、
前記第1容器から前記第2容器へ放射性薬剤を移動させる移動手段と、
前記第2容器内の前記放射性薬剤の放射線量を測定する放射線検出器と、を備える分注装置。 - 前記第1容器から前記第2容器に放射性薬剤を移動させるように前記移動手段を制御する制御部を更に備える、請求項1に記載の分注装置。
- 前記第1容器と前記第2容器との間に配置された放射線遮蔽シールドを更に備える、請求項1又は2に記載の分注装置。
- 前記第2容器とは別に設けられ、前記第1容器から分注される前記放射性薬剤が送られる分注ポートを更に備える、請求項1~3の何れか1項に記載の分注装置。
- 前記移動手段は、前記放射性薬剤を前記第1容器から前記第2容器に送出する経路を、前記放射性薬剤を前記第1容器から前記分注ポートに送出する経路とは別に有している、請求項4に記載の分注装置。
- 前記分注ポートに分注すべき前記放射性薬剤に関する情報を示す分注情報の入力を受け付けるとともに、前記分注情報と前記放射線検出器の測定値とに基づいて算出される量で前記第1容器の前記放射性薬剤を前記分注ポートに送るように前記移動手段を制御する分注制御部を更に備える、請求項4又は5に記載の分注装置。
- 前記分注ポートに送られた前記放射性薬剤の放射線量を測定する他の放射線検出器を更に備える請求項4~6の何れか1項に記載の分注装置。
- 放射性薬剤を収容可能な第1容器と、
前記第1容器から分注される前記放射性薬剤が送られる分注ポートと、
前記第1容器よりも小さい容器であり、前記分注ポートに分注される前記放射性薬剤とは別に前記第1容器から取り分けられた前記放射性薬剤が収容される第2容器と、
前記第2容器内の前記放射性薬剤の放射線量を測定する放射線検出器と、を備える分注装置。 - 前記分注ポートに分注すべき前記放射性薬剤に関する情報を示す分注情報の入力を受け付けるとともに、前記分注情報と前記放射線検出器の測定値とに基づいて算出される量で前記第1容器の前記放射性薬剤を前記分注ポートに送る、請求項8に記載の分注装置。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2022056405A JP2023148410A (ja) | 2022-03-30 | 2022-03-30 | 分注装置 |
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