JP2023147254A - 口内炎発症抑制組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】口内炎の発症を抑制するための口内炎発症抑制組成物を提供すること。【解決手段】有効成分として、(A)グリチルリチン酸及び(B)トラネキサム酸のうちの少なくとも1種を0.001~0.31w/v%含有する口内炎発症抑制組成物とする。【選択図】なし

Description

本発明は、口内炎の発症を軽減する口内炎発症抑制組成物に関する。
口内炎は、口腔粘膜に生じる炎症の総称であり、原因によってカタル性口内炎、アフタ性口内炎、薬剤性口内炎、放射線性口内炎などに分類される。カタル性口内炎は、義歯や矯正器具の接触、不正咬合などの物理的な刺激により発症する口内炎である。アフタ性口内炎は、主に心理的なストレスにより発症する口内炎であるが、その発症のメカニズムは不明である。薬剤性口内炎は、抗がん剤等が誘発する口内炎であり、強い痛みを伴い、広範囲に広がる重度の難治性口内炎である。放射線性口内炎は、主に口腔がん、咽頭がんなどの治療に用いる放射線によって発症する口内炎である。
口内炎の主要な病態の一つとして強い接触痛が挙げられ、摂食・嚥下時や発語時、ブラッシング時などに困難を伴うことが大きな問題となっている。
従来、発症した口内炎に対して、組織修復剤や抗炎症剤を含んだ口腔用製剤が用いられ、軟膏や貼付剤、スプレー剤等を口内炎に直接作用させることや、内服薬により体内から口内炎にアプローチすることが行われている。例えば、特許文献1には、アラントイン又はその誘導体と、ビタミンB又はその誘導体とを含有する口腔用組成物が提案されている。特許文献1の口腔用組成物は、口腔内の創傷治癒作用を奏し、口内炎治療に有効であることが示されている。
特開2007-8831号公報
このように、これまでは口内炎に対しては発症後の対症療法が行われているが、口内炎の発症そのものを抑制したいという要望がある。
そこで、本発明は、口内炎の発症を抑制するための口内炎発症抑制組成物を提供することを課題とする。
本発明者は鋭意検討を重ねた結果、グリチルリチン酸及びトラネキサム酸のうちの少なくとも1種を所定量含有する組成物を継続的に口腔内に適用すると、優れた口内炎発症抑制効果が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は以下の(1)~(3)によって達成される。
(1)有効成分として、(A)グリチルリチン酸及び(B)トラネキサム酸のうちの少なくとも1種を0.001~0.31w/v%含有する口内炎発症抑制組成物。
(2)有効成分として、(A)グリチルリチン酸及び(B)トラネキサム酸を合計で0.001~0.31w/v%含有する、前記(1)に記載の口内炎発症抑制組成物。
(3)さらに、(C)第四級アンモニウム塩を0.005~0.1w/v%含有する、前記(1)又は(2)に記載の口内炎発症抑制組成物。
本発明によれば、本発明の口内炎発症抑制組成物を継続的に口腔内に適用することで口内炎の発症リスクを低減できる。また、簡便且つ安全に使用できる口内炎発症抑制組成物を提供できる。本発明の口内炎発症抑制組成物は、特にうがい薬(含嗽剤)や洗口液、スプレーとして使用するのに適している。
以下、本発明の実施形態について更に詳しく説明する。
本発明の口内炎発症抑制組成物は、有効成分として、(A)グリチルリチン酸(以下、(A)成分ともいう。)、及び(B)トラネキサム酸(以下、(B)成分ともいう。)の少なくとも1種を0.001~0.31w/v%の範囲で含有する。
<(A)グリチルリチン酸>
グリチルリチン酸は、口腔用組成物において抗炎症効果を有することが知られている成分である。本発明者により、グリチルリチン酸を口内炎発症前の口腔内に適用することにより、口内炎の発症を抑制できるという意外な知見が得られた。
グリチルリチン酸は、そのままの形態で用いられてもよく、塩の形態で用いられてもよい。グリチルリチン酸の塩としては、例えば、カリウム塩、ナトリウム塩、アンモニウム塩等が挙げられ、具体的に、グリチルリチン酸モノカリウム、グリチルリチン酸ジカリウム、グリチルリチン酸モノナトリウム、グリチルリチン酸ジナトリウム、グリチルリチン酸モノアンモニウム、グリチルリチン酸ジアンモニウム等が挙げられる。
また、グリチルリチン酸は、甘草属の植物抽出物に含まれることが知られており、グリチルリチン酸を含む植物抽出物の形態で配合されてもよい。
(A)成分は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらの中でも、水溶性を高め、製剤化を容易にしたり、口腔粘膜への親和性を高められる観点から、グリチルリチン酸塩を用いるのが好ましく、グリチルリチン酸のカリウム塩及びアンモニウム塩がより好ましく、グリチルリチン酸ジカリウム、グリチルリチン酸モノアンモニウムがさらに好ましい。
<(B)トラネキサム酸>
トラネキサム酸はアミノ酸の一種であり、別名トランス-4-アミノメチルシクロヘキサン-1-カルボン酸と呼ばれ、抗プラスミン効果による止血作用、抗炎症作用等があることが知られている。(A)成分と同様に、本発明者により、トラネキサム酸を口内炎発症前の口腔内に適用することにより、口内炎の発症を抑制できるという意外な知見が得られた。
トラネキサム酸は、そのままの形態で用いられてもよく、塩の形態で用いられてもよい。トラネキサム酸の塩としては、例えば、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩;カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属塩;アルミニウム、鉄、亜鉛等の金属塩;リジン、アルギニン、ヒスチジン、オルニチン等の塩基性アミノ酸塩;アンモニウム、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ステアリルアミン等の有機アミン塩等が挙げられる。また、トラネキサム酸は、トラネキサム酸誘導体又はその塩として用いられてもよく、具体的には、トラネキサム酸セチルエステル等のエステル誘導体;トラネキサム酸メチルアミド等のアミド誘導体が挙げられる。
グリチルリチン酸((A)成分)及びトラネキサム酸((B)成分)が口内炎の発症を抑制できる具体的なメカニズムは明らかではないが、(A)成分及び(B)成分により口腔粘膜における炎症による血管透過性の亢進によって起こる炎症性浮腫を抑制する、口腔粘膜への炎症細胞浸潤を抑制する、および/または、口内炎の発症要因に対する口腔粘膜の保護機能が高まるものと推測され、これらの作用により口内炎の発症そのものが抑制されると推測される。なお、(A)成分及び(B)成分はいずれも炎症部位に対して作用するものであるが、本発明により、これらの成分は発症した口内炎に対する治療とは異なるメカニズムによって、口内炎を発症していない健常な口腔粘膜に対して作用することが明らかとなった。
口内炎発症抑制組成物中、(A)成分及び(B)成分のうちの少なくとも1種は0.001~0.31w/v%の範囲で含有される。ここで、(A)成分及び(B)成分の含有量は、それぞれグリチルリチン酸、トラネキサム酸の含有量を意味し、(A)成分がグリチルリチン酸を含む植物抽出物の形態で配合される場合やグリチルリチン酸塩の形態で用いられる場合は、(A)成分はグリチルリチン酸に換算したときの量で、(B)成分がトラネキサム酸塩やトラネキサム酸誘導体又はその塩の形態で用いられる場合は、(B)成分はトラネキサム酸に換算したときの量で前記範囲となるように含まれる。上記換算は、例えば、グリチルリチン酸を含む植物抽出物やグリチルリチン酸塩、トラネキサム酸塩やトラネキサム酸誘導体又はその塩を、液体クロマトグラフや高速液体クロマトグラフを用いて液体クロマトグラフィー法の常法により分析し、グリチルリチン酸、トラネキサム酸の含有量を確認すること等により行うことができる。口内炎発症抑制組成物中に含有される(A)成分及び(B)成分のうちの少なくとも1種の含有量が0.001w/v%以上であると本発明の効果が発現し、0.31w/v%以下であると本発明の口内炎発症抑制組成物を含む製剤において、製剤として優れた使用感が得られ、かつ製剤安定性も高まる。(A)成分及び(B)成分のうちの少なくとも1種の含有量は、0.003w/v%以上であるのが好ましく、0.005w/v%以上がより好ましく、また、0.30w/v%以下であるのが好ましく、0.25w/v%以下がより好ましく、0.20w/v%以下がさらに好ましい。
なお、(A)成分は口内炎発症抑制組成物中に、グリチルリチン酸に換算したときの量として0.001~0.31w/v%の範囲で含有するのが好ましい。(A)成分の含有量がグリチルリチン酸換算量で0.001w/v%以上であると、本発明の所望の効果が得られ、0.31w/v%以下であると本発明の口内炎発症抑制組成物を含む製剤において、製剤として優れた使用感が得られ、かつ製剤安定性も高まる。(A)成分の含有量は、グリチルリチン酸換算量で0.003w/v%以上であることがより好ましく、0.005w/v%以上がさらに好ましく、また、0.30w/v%以下であるのがより好ましく、0.25w/v%以下がさらに好ましく、0.20w/v%以下が特に好ましい。
(B)成分は口内炎発症抑制組成物中に、トラネキサム酸に換算したときの量として0.001~0.31w/v%の範囲で含有するのが好ましい。(B)成分の含有量が0.001w/v%以上であると、本発明の所望の効果が得られ、0.31w/v%以下であると口内炎発症抑制組成物の香味や使用感を損なうことがない。(B)成分の含有量は、0.003w/v%以上であるのがより好ましく、0.005w/v%以上がさらに好ましく、また、0.30w/v%以下であるのがより好ましく、0.25w/v%以下がさらに好ましく、0.20w/v%以下が特に好ましい。
本発明において、口内炎発症抑制組成物には(A)成分と(B)成分を共に含むのが好ましい。(A)成分と(B)成分を併用することにより、口腔粘膜への炎症細胞の浸潤と炎症性浮腫の発症を相乗的に抑制することで、より効果的に口内炎の発症が抑制される。
(A)成分と(B)成分を併用する場合、(A)成分と(B)成分は合計で0.001~0.31w/v%含有するのが好ましい。(A)成分と(B)成分の合計の含有量は、0.003w/v%以上であるのがより好ましく、0.005w/v%以上がさらに好ましく、また、0.30w/v%以下がより好ましく、0.25w/v%以下がさらに好ましく、0.20w/v%以下が特に好ましい。
<(C)第四級アンモニウム塩>
本発明の口内炎発症抑制組成物には、(C)第四級アンモニウム塩(以下、(C)成分という。)を含有するのが好ましい。
第四級アンモニウム塩は、口腔用組成物において殺菌効果を有することが知られている成分である。本発明の口内炎発症抑制組成物に第四級アンモニウム塩を含有すると、(A)成分及び/又は(B)成分との相乗効果により、効果的に口内炎の発症抑制効果が得られる。
第四級アンモニウム塩としては、例えば、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化デカリニウム、塩化アルキルジメチルアンモニウム、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化メチルベンゼトニウム、塩化ラウロイルコラミノホルミルメチルピリジニウム等が挙げられる。(C)成分は、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
これらの中でも、口内炎の発症抑制効果を高く得られる観点から、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンゼトニウムが好ましく、塩化セチルピリジニウムがより好ましい。
第四級アンモニウム塩は、口内炎発症抑制組成物中に、0.005~0.1w/v%の範囲で含有するのが好ましい。第四級アンモニウム塩の含有量が0.005w/v%以上であると、(A)成分及び/又は(B)成分との相乗効果により、効果的に口内炎の発症抑制効果が得られる。また、0.1w/v%以下であると、高い使用感を維持できる。第四級アンモニウム塩の含有量は、0.01w/v%以上であるのがより好ましく、0.02w/v%以上がさらに好ましく、また、0.08w/v%以下であるのがより好ましく、0.07w/v%以下がさらに好ましい。
なお、口内炎発症抑制組成物中の(C)第四級アンモニウム塩の含有量は、液体クロマトグラフや高速液体クロマトグラフを用いて液体クロマトグラフィー法の常法により測定できる。
口内炎発症抑制組成物中、(B)成分に対する(A)成分の含有量比A/Bは、0.003~300の範囲であるのが好ましい。含有量比A/Bが前記範囲であると本発明の効果を発揮できる。含有量比A/Bは、0.005以上であるのがより好ましく、0.01以上がさらに好ましく、200以下であるのがより好ましく、100以下がさらに好ましい。
また、口内炎発症抑制組成物中、(C)成分に対する(A)成分の含有量比A/Cは、0.01~60の範囲であるのが好ましい。含有量比A/Cが前記範囲であると本発明の効果を発揮できる。含有量比A/Cは、0.03以上であるのがより好ましく、0.05以上がさらに好ましく、50以下であるのがより好ましく、30以下がさらに好ましい。
また、口内炎発症抑制組成物中、(C)成分に対する(B)成分の含有量比B/Cは、0.01~60の範囲であるのが好ましい。含有量比B/Cが前記範囲であると本発明の効果を発揮できる。含有量比B/Cは、0.03以上であるのがより好ましく、0.05以上がさらに好ましく、50以下であるのがより好ましく、30以下がさらに好ましい。
そしてさらに、本発明の口内炎発症抑制組成物には、(A)成分、(B)成分及び(C)成分を共に含むのが好ましい。これらの3つの成分を含有することにより、より口内炎の発症抑制効果が高まる。
本発明の口内炎発症抑制組成物には、本発明の効果を阻害しない範囲において、口腔用組成物に配合できる成分を任意に配合してもよい。任意成分としては、例えば、溶剤、甘味料、殺菌剤、界面活性剤、抗炎症剤、歯石予防剤、pH調整剤、酵素、イオン源、防腐剤、香料、生薬、色素等が挙げられる。
溶剤としては、例えば、精製水、イオン水等の水;生理食塩水;エタノール等の低級一価アルコール、グリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール等の多価アルコールなどが挙げられる。
甘味料としては、例えば、ステビオサイド、レバウディオサイド、キシリトール、エリスリトール、マルチトール、ソルビトール、サッカリンナトリウム、スクラロース、トレハロース、還元パラチノース、アスパルテーム、アセスルファムカリウム等が挙げられる。
殺菌剤としては、例えば、ヒノキチオール、トリクロサン、イソプロピルメチルフェノール、チモール、塩酸アルキルジアミノエチルグリシン液等が挙げられる。
界面活性剤としては、ノニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤又は両性界面活性剤が挙げられ、具体的には、ノニオン性界面活性剤としては、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸ジエタノールアミド、脂肪酸モノグリセライド、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、アルキルグルコシド、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー等が挙げられ、カチオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルアミン・脂肪酸アミド等が挙げられ、アニオン性界面活性剤としては、硫酸エステル塩、α-オレフィンスルホン酸塩、スルホコハク酸塩、N-アシルアミノ酸塩、アシル化メチルタウリン塩等が挙げられ、両性界面活性剤としては、酢酸ベタイン型両性界面活性剤、イミダゾリン型両性界面活性剤等が挙げられる。
抗炎症剤としては、例えば、アミノカプロン酸、アラントイン及びその誘導体、アスコルビン酸及びその塩、アズレン、アズレンスルホン酸塩、ジヒドロコレステロール、エピジヒドロコレステリン、酢酸トコフェロール、ニコチン酸トコフェロール、塩化リゾチーム等が挙げられる。
歯石予防剤としては、例えば、リン酸塩、ポリリン酸塩、メトキシエチレン無水マレイン酸共重合体、塩化亜鉛、有機酸亜鉛等が挙げられる。
pH調整剤としては、例えば、リン酸一ナトリウム、リン酸二ナトリウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸、グルコノ-δ-ラクトン、グルコン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化ナトリウム及びこれらの水和物等が挙げられる。
酵素としては、例えば、プロテアーゼ、デキストラナーゼ、アミラーゼ、ムタナーゼ、リゾチーム等が挙げられる。
イオン源としては、例えば、フッ化ナトリウム、モノフルオロリン酸塩、フッ化第一スズ等のフッ素イオン源、リン酸カルシウム、グルコン酸カルシウム、ハイドロキシアパタイト等のカルシウムイオン源等が挙げられる。
防腐剤としては、例えば、パラオキシ安息香酸エステル、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸カリウム、フェノキシエタノール等が挙げられる。
香料としては、例えば、ペパーミント油、スペアミント油、ハッカ油、ユーカリ油、クローブ油、タイム油、ローズマリー油、レモン油、ジンジャー油、ライム油、カシア油、カルダモン油、ラベンダー油、シナモン油等の天然精油、L-メントール、L-カルボン、カルバクロール、オイゲノール、アネトール、1,8-シネオール、チモール、バニリン、ピネン、3-L-メントキシプロパン-1,2-ジオール、サリチル酸メチル等の香料成分、これらの混合物、天然香料、調合香料、合成香料等が挙げられる。
生薬としては、例えばセイヨウサンザシエキス、ハマメリスエキス、シャクヤクエキス、シラカバエキス、セージエキス、海藻エキス、オウバクエキス、トウキエキス、ニンジンエキス、ウイキョウエキス等が挙げられる。
色素としては、例えば、青色1号、青色2号、青色201号、黄色4号、黄色5号、黄色202(1)号、黄色203号、赤色3号、赤色102号、赤色104号、赤色105号、緑色3号、緑色201号等が挙げられる。
本発明の口内炎発症抑制組成物は、(A)成分及び/又は(B)成分と、所望により(C)成分や他の任意の成分とを、必要により加熱し、各成分を均一に撹拌混合することにより調製できる。
本発明の口内炎発症抑制組成物は、例えば、液状、ジェル状、ペースト状、霧状、固形状等の形状に調製できる。また、口内炎発症抑制組成物の形態としては、例えば、練り歯磨剤及び液体歯磨き等の歯磨き類、洗口液、口中清涼剤、うがい薬(含嗽剤)、口腔内塗布剤、口腔内貼付剤、ネブライザー、トローチ、チューインガム、キャンディー等が挙げられる。中でも、液体歯磨剤、洗口液、スプレー、うがい薬等の液体製剤とすると、有効成分を口腔内に均一に処理できるため好ましい。
なお、本明細書において、「液体」とは、流動性を有しており、20℃における粘度が20mPa・s以下、好ましくは10mPa・s以下であるものをいう。ここで、粘度は、市販の回転式粘度計(例えば、東機産業株式会社製B型粘度計)を使用して測定できる。
本発明の口内炎発症抑制組成物の使用方法としては、常時所望のタイミングで、口腔内に含ませて口腔内を洗浄する、口腔内粘膜に塗布する等が挙げられる。具体的に、洗口液として使用する場合は、本発明の口内炎発症抑制組成物を5~30mL程度口に含み、10~30秒程度口腔内をすすげばよい。
また、本発明の口内炎発症抑制組成物を使用する回数等は特に限定されないが、継続して使用することで口内炎の発症抑制効果を維持しやすくなる。例えば、1日に3回以上、1か月以上継続して使用することが好ましい。
以下、下記試験例により更に説明するが、本発明は下記例に制限されるものではない。なお、下記表中のグリチルリチン酸の換算量は、使用したグリチルリチン酸ジカリウムを高速液体クロマトグラフを用いて分析し、グリチルリチン酸の含有量を確認することにより算出した。
<試験例1:口内炎発症抑制効果の評価>
(実施例1)
表1に示す処方に従い、実施例1の液体検体を調製し、以下の試験を行った。
(比較例1)
表1に示す処方に従い、比較例1の液体検体を調製し、同様に試験を行った。
(対照例1)
生理食塩水を用い、同様に試験を行った。
Figure 2023147254000001
(試験方法)
1)一週間予備飼育したハムスター5頭(Syrian系、雄、5週齢)の右側頬粘膜に、上記の液体検体を1頭に対して1日2回、50μLずつ塗布した。1回目と2回目の塗布は3時間以上の間隔を空けて行った。試験は、6日間連続で行った。
2)5、6日目は、1)の操作に加えて麻酔下で右側頬粘膜に30(w/v)%酢酸水溶液を含浸させたΦ6mmのろ紙を10秒間貼付し、口内炎(炎症性浮腫)を誘発させた。
3)7日目に、ハムスターの右側頬粘膜における炎症性浮腫の有無を目視で確認した。さらに、下記式(1)を用いて各群における口内炎発症抑制率(%)を算出し、5頭の平均値を求め、50%以上の場合に口内炎発症抑制効果があると判定した。
口内炎発症抑制率(%)=(炎症性浮腫を認めなかった個体数/全個体数)×100 ・・・(1)
結果を表2に示す。
Figure 2023147254000002
表2より、実施例1は口内炎の発症抑制効果が顕著に高く、優れた口内炎発症抑制効果があることがわかった。実施例1の処方において(A)成分、(B)成分及び(C)成分を含有していない比較例1は、生理食塩水を用いた対照例1と同程度の結果となり口内炎の発症抑制効果は無かった。
<試験例2:口内炎治療効果の評価>
試験例1で作製した実施例1、比較例1及び対照例1の液体検体を用いて、以下の試験を行った。
(試験方法)
1)一週間予備飼育したハムスター5頭(Syrian系、雄、5週齢)を麻酔下でコルクボードに固定し、右側頬嚢に10(w/v)%酢酸生理食塩水を30μL皮内注射して、口内炎を誘発させた。
2)麻酔下で創傷部の長径と短径を測定した後、創傷部に液体検体を1頭に対して50μL塗布した。液体検体の塗布は1日1回とし、この操作を6日間連続で行った。
3)下記式(2)を用いて1日ごとの口内炎治癒率(%)を算出し、5頭の平均値を求めた。なお、1日目から6日目までは、検体処理を行っており、7日目は検体処理を行わず、創傷部の面積の測定のみを行った。
口内炎治癒率(%)={(創傷作製時の面積-測定時点での面積)/創傷作製時の面積}×100 ・・・(2)
結果を表3に示す。
Figure 2023147254000003
実施例1は比較例1よりも高いものの口内炎治癒率は49.8%であり、口内炎治癒について両者に格別大きな差は見られなかった。
試験例1及び試験例2より、実施例1は比較例1に対して口内炎の発症抑制効果が顕著に高い一方で、口内炎治癒効果は比較例1よりもやや高い程度であった。このことから、口内炎の発症抑制と口内炎の治療とではメカニズムが異なることが示唆され、実施例1により優れた口内炎の発症抑制効果が得られることがわかった。
<試験例3:口内炎発症抑制効果の評価>
(実施例2~7、比較例2~7)
表4~5に示す処方に従い、実施例2~7、比較例2~7の液体検体を調製し、試験例1と同様の試験を実施した。また、生理食塩水を用いた対照例1も同様に試験した。
なお、試験例3については、2~4頭の供試ハムスターを用いて行い、その平均値を各群の数値とした。
結果を表4~5に合わせて示す。
Figure 2023147254000004
Figure 2023147254000005
表4より、実施例2~4は、優れた口内炎の発症抑制効果を有し、グリチルリチン酸ジカリウムとトラネキサム酸を組み合わせて用いることで、実施例5~7はより高い口内炎の発症抑制効果を示すことがわかった。
一方、表5より、グリチルリチン酸ジカリウムとトラネキサム酸を高濃度で含有する比較例2~3や、口内炎治療の有効成分として知られるアラントインやアズレンスルホン酸ナトリウムを含有する比較例4~7では口内炎の発症抑制効果が得られないことがわかった。
<試験例4:口内炎発症抑制効果の評価>
(実施例8~9、比較例8)
表6に示す処方に従い、実施例8~9、比較例8の液体検体を調製し、以下の試験を行った。また、生理食塩水を用いた対照例1も同様に試験した。
なお、試験例4については4頭の供試ハムスターを用いて行い、その平均値を各群の数値とした。
Figure 2023147254000006
(試験方法)
1)一週間予備飼育したハムスター4頭(Syrian系、雄、5週齢)の右側頬粘膜に、上記の液体検体を1頭に対して1日2回、50μLずつ塗布した。1回目と2回目の塗布は3時間以上の間隔を空けて行った。試験は、6日間連続で行った。
2)5日目および6日目は、1)の操作に加えて麻酔下で右側頬粘膜に30(w/v)%酢酸水溶液を含侵させたΦ6mmのろ紙を10秒間貼付し、炎症性浮腫を誘発した。
3)7日目に、下記評価基準に基づき創傷程度を評価し、4頭の平均値を各群の数値とした。
<評価基準>
点数0:炎症性浮腫を認めない。
点数1:粘膜表面は粗造になっているが炎症性浮腫を認めない。
点数2:炎症性浮腫を認め、その面積が酢酸含浸ろ紙より小さい。
点数3:炎症性浮腫を認め、その面積が酢酸含浸ろ紙より大きい。
結果を表7に示す。
Figure 2023147254000007
表7より、実施例8、9は炎症性浮腫は認められず、優れた口内炎発症抑制効果が得られることがわかった。
<試験例5:カンジダ菌感染モデルにおける口内炎発症抑制効果の評価>
(実施例10~13、比較例9~11)
表8に示す処方に従い、実施例10~13、比較例9~11の液体検体を調製し、以下の試験を行った。また、生理食塩水を用いた対照例1も同様に試験した。
Figure 2023147254000008
(試験方法)
1)10mLのサブロー培地にCandida albicans(カンジダ菌、以下「C.a.」と称す、IFO1385)をおこし、37℃の好気条件下で二晩振盪培養し2.5% FBS含有RPMI培地を滅菌水で3倍希釈した溶液10mLに置換し、37℃の好気条件下で一晩振盪培養した。それを、3000rpmで5分間遠心分離後、滅菌水を用いて1.7×10CFU/mLに調整したC.a.溶液を得た。
2)ハムスター3~6頭(Syrian系、雄、4週齢)を麻酔下でコルクボードに固定し、右側頬粘膜にC.a.溶液を100μL塗布した。
3)カンジタ菌を塗布した日を1日目とし、3日目から7日目まで毎日1回ずつ液体検体50μLを麻酔下で右側頬粘膜に塗布し続けた。5日目および6日目は、この操作と並行して30(w/v)%酢酸水溶液を含侵させたΦ6mmのろ紙を10秒間右側頬粘膜に貼付し口内炎を誘発した。
4)8日目に口内炎発症の有無を確認し、下記式(3)により炎症性浮腫予防率(%)を算出した。
炎症性浮腫予防率(%)={(解析個体数-炎症性浮腫発症個体数)/解析個体数}×100 ・・・(3)
5)同様に、下記評価基準に基づき創傷程度を評価し、3~6頭の平均値を各群の数値とした。
<評価基準>
点数0:炎症性浮腫を認めない。
点数1:粘膜表面は粗造になっているが炎症性浮腫を認めない。
点数2:炎症性浮腫を認め、その面積が酢酸含浸ろ紙より小さい。
点数3:炎症性浮腫を認め、その面積が酢酸含浸ろ紙より大きい。
結果を表9に示す。
Figure 2023147254000009
Candida albicans(カンジダ菌)は、代表的な常在菌の一種で、口腔乾燥や栄養欠乏、免疫力の低下などにより、口腔粘膜に感染し異常増殖する場合がある(口腔カンジダ症)。表9より、実施例10~13は炎症性浮腫の発症が抑制され、中でも実施例10においてより優れた効果が得られた。これに対し、塩化セチルピリジニウム単独の比較例10では炎症性浮腫の発症抑制効果は得られず、グリチルリチン酸やトラネキサム酸と組み合わさることで炎症性浮腫の発症抑制効果が発揮されることが確認できた。
<試験例6:抗がん剤投与モデルにおける口内炎発症抑制効果の評価>
(実施例14)
表10に示す処方に従い、実施例14の液体検体を調製し、以下の試験を行った。なお、実施例14は実施例1と同一処方である。
(比較例12)
表10に示す処方に従い、比較例12の液体検体を調製し、以下の試験を行った。
(対照例1)
試験例1で用いた対照例1(生理食塩水)について同様に試験を行った。
(対照例2)
液体検体を処理せずに、同様の試験を行った。
Figure 2023147254000010
(試験方法)
1)麻酔下のハムスター4頭(Syrian系、雄、5週齢)の頬粘膜に、上記の液体検体を1頭に対して50μL塗布する操作を10日間連続で行った。
2)1日目及び2日目に、抗がん剤である5-フルオロウラシル(5FU;60mg/kg)をハムスターの腹腔内に投与し、2日間インターバルを設けた。
3)5日目に、20μLの5(w/v)%酢酸生理食塩水をハムスターの右側頬嚢皮内に注射し、口内炎を誘発させた。
4)6日目から10日目まで創傷部の面積を測定し、4頭の平均値を各群の数値とした。
5)対照例2については、ハムスター4頭(Syrian系、雄、5週齢)に対して上記1)及び2)を行わずに、3)及び4)を行ったときの創傷部の面積の平均値を求めた。
結果を表11に示す。
Figure 2023147254000011
対照例1,2から、抗がん剤である5-フルオロウラシル(5FU)を投与することで、薬剤性口内炎の臨床所見のように、難治性の口内炎ができる(口内炎の創傷部が大きくなり、治癒も遅れて重症化する傾向がみられる)ことがわかった。比較例12は、口内炎を発症させた6日目において対照例1と同等の大きさの口内炎となり、1日ごとにその炎症が抑制できることがわかった。
これに対し、実施例14は、6日目において創傷部の面積が比較例12よりも顕著に小さく、口内炎の発症抑制効果に優れることがわかった。

Claims (3)

  1. 有効成分として、(A)グリチルリチン酸及び(B)トラネキサム酸のうちの少なくとも1種を0.001~0.31w/v%含有する口内炎発症抑制組成物。
  2. 有効成分として、(A)グリチルリチン酸及び(B)トラネキサム酸を合計で0.001~0.31w/v%含有する、請求項1に記載の口内炎発症抑制組成物。
  3. さらに、(C)第四級アンモニウム塩を0.005~0.1w/v%含有する、請求項1又は2に記載の口内炎発症抑制組成物。
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