JP2023146941A - グリース組成物 - Google Patents

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由樹 尾上
Yuki Onoe
正章 近藤
Masaaki Kondo
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Abstract

【課題】耐水性に優れたグリース組成物を提供する。【解決手段】基油と、増ちょう剤と、金属清浄剤と、を含有し、金属清浄剤が、下記式(1)で表される脂肪酸亜鉛及びカルシウムスルホネートを含む、グリース組成物。式(1)中、R1及びR2は、それぞれ独立に、炭素数8~18の脂肪族炭化水素基を表す。JPEG2023146941000008.jpg1485【選択図】なし

Description

本開示は、グリース組成物に関する。
自動車、トラック、自転車などの乗り物等は、あらゆる環境下で使用され、例えば、雨水に曝されることがある。このような水に接触する環境下で、乗り物等が使用され続けると、耐水性のないグリース組成物が軸受に使用されている場合、軸受からグリース組成物が漏れ出る場合がある。
一般的に、車両のホイールベアリングに使われるグリース組成物は、リチウム石けん若しくはリチウム複合石けんグリースであるが、このようなグリースは、ブレーキ又はベアリングからの摩擦熱を受け、運転中は常に高温に曝されている。また、グリース組成物は、ベアリングが回転する際に生じる激しい攪拌によりせん断を受けるが、せん断安定性が十分でないと軟化してしまう場合がある。極端な場合には、長期の使用によりグリース漏れにつながる場合もある。
よって、このような水又は熱に曝される状況下で使用されているグリース組成物等の潤滑油の分野においては、耐水性又は耐熱性の一層の向上が望まれており、基油や添加剤の配合技術による改良が試みられている(例えば、特許文献1及び2参照)。
特開2009-46625号公報 特開2001-247888号公報
本開示は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、本開示の一実施形態は、耐水性に優れたグリース組成物を提供することを課題とする。
本発明者は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、グリース組成物において、特定の構造を有する有機酸亜鉛及びカルシウムスルホネートを金属清浄剤として含むことで、耐水性の向上を図ることができることを見出した。すなわち、上記課題を解決するための手段には、以下の実施態様が含まれる。
<1> 基油と、増ちょう剤と、金属清浄剤と、を含有し、前記金属清浄剤が、下記式(1)で表される脂肪酸亜鉛及びカルシウムスルホネートを含む、グリース組成物。
式(1)中、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数8~18の脂肪族炭化水素基を表す。
<2> 増ちょう剤が、リチウム石けんを含む、<1>に記載のグリース組成物。
<3> 式(1)で表される有機酸亜鉛が、R及びRの少なくとも一方がイソステアリル基を表す脂肪酸亜鉛を含む、<1>又は<2>に記載のグリース組成物。
<4> 式(1)で表される有機酸亜鉛が、R及びRの少なくとも一方が2-エチルヘキシル基を表す脂肪酸亜鉛を含む、<1>~<3>のいずれか1つに記載のグリース組成物。
<5> 式(1)で表される有機酸亜鉛が、R及びRの少なくとも一方がネオデシル基を表す脂肪酸亜鉛を含む、<1>~<4>のいずれか1つに記載のグリース組成物。
<6> 式(1)で表される有機酸亜鉛及びカルシウムスルホネートの合計含有量が、グリース組成物の全質量に対して、0.5質量%~3.0質量%である、<1>~<5>のいずれか1項に記載のグリース組成物。
<7> カルシウムスルホネートの含有量が、グリース組成物の全質量に対して,0.05質量%~0.40質量%である、<1>~<6>のいずれか1つに記載のグリース組成物。
本開示の一実施形態によれば耐水性に優れたグリース組成物が提供される。
以下、本開示に係るグリース組成物の具体的な実施形態について詳細に説明する。但し、本開示に係るグリース組成物は、以下の実施形態に何ら限定されるものではなく、本開示の目的の範囲内において、適宜変更を加えて実施することができる。
本開示において「~」を用いて示された数値範囲は、「~」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を意味する。
本開示中に段階的に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本明細書中に記載されている数値範囲において、ある数値範囲で記載された上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本開示において、2以上の好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。
本開示において、「質量%」と「重量%」とは同義である。
本開示において、各成分の量は、各成分に該当する物質が複数種存在する場合には、特に断らない限り、複数種の物質の合計量を意味する。
本開示において、「JIS」は、日本産業規格(Japanese Industrial Standards)の略称として用いる。
[グリース組成物]
本開示に係るグリース組成物は、基油と、増ちょう剤と、金属清浄剤と、を含有し、金属清浄剤が、下記式(1)で表される脂肪酸亜鉛及びカルシウムスルホネートを含む。
式(1)中、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数8~18の脂肪族炭化水素基を表す。
以下、式(1)で表される脂肪酸亜鉛及びカルシウムスルホネートを「特定金属清浄剤」とも総称し、式(1)で表される有機酸亜鉛を「特定脂肪酸亜鉛」とも称する。
本開示に係るグリース組成物は、基油と、増ちょう剤と、特定金属清浄剤と、を含有するグリース組成物であり、金属清浄剤として特定脂肪酸亜鉛及びカルシウムスルホネートを選択的に含有することで、耐水性に優れる。この理由は明らかではないが、以下のように推察される。
グリース組成物に混入した水は、リチウム石けん等の増ちょう剤とミセルを形成するように作用する。その結果、グリース組成物中の増ちょう剤繊維構造が崩れ、ちょう度軟化を引き起こす。グリース組成物におけるちょう度軟化は、例えば、ベアリングからのグリース漏れの原因となりうる。これに対し、本開示に係るグリース組成物は、基油と、増ちょう剤と、金属清浄剤と、を含有し、金属清浄剤は、式(1)で表される脂肪酸亜鉛(特定脂肪酸亜鉛)及びカルシウムスルホネートを含む。特定脂肪酸亜鉛は、グリース組成物に混入した水を細かく分散させ、ミセルを形成することができ、増ちょう剤よりも優先的にミセルを形成することで、水の混入による増ちょう剤繊維構造の破壊を抑制していると推察される。さらに、金属清浄剤がカルシウムスルホネートを含むことで、水と特定脂肪酸亜鉛とのミセルはより強固に形成され、ちょう度軟化がより効果的に抑制されることから、優れた耐水性が発揮されるものと推察される。
<基油>
本開示に係るグリース組成物は、基油を含む。
基油としては、特に限定されず、例えば、鉱油、合成油、又はこれらの混合油であってもよい。基油は、1種を単独で使用してもよく、又は2種以上を組み合わせてもよい。ある態様において、基油は鉱油であることが好ましい。
鉱油としては、例えば、原油の潤滑油留分を溶剤精製、水素化精製、水素化分解精製、水素化脱蝋などの精製法を適宜組合せて精製したものが挙げられる。また、鉱油としては、水素化精製油、触媒異性化油などに溶剤脱蝋又は水素化脱蝋などの処理を施して高度に精製されたパラフィン系鉱油等が挙げられる。
合成油としては、アルキルジフェニルエーテル等のエーテル系合成油;ジエステル、ポリオールエステル、コンプレックス型ポリオールエステル等のエステル系合成油;ポリアルファオレフィン等の合成炭化水素油;アルキルナフタレン系合成油などが挙げられる。
基油の40℃における動粘度の値は、10mm/s~500mm/sが好ましく、30mm/s~300mm/sがより好ましく、50mm/s~300mm/sが更に好ましい。基油の動粘度の値が、10mm/s~500mm/sであれば、特にホイールベアリングに使用するグリース組成物として好適となる。
本開示において、基油の40℃における動粘度とは、JIS K 2283:2000「動粘度試験方法」により測定される値を示す。
基油の含有量は、特に制限はなく、グリース組成物の全質量に対して、77質量%~97質量%の範囲で適宜調整することができる。
<増ちょう剤>
本開示に係るグリース組成物は、増ちょう剤を含有する。増ちょう剤としては、グリース組成物に適用できる増ちょう剤であれば制限されず、グリース組成物に所望される物性、グリース組成物の使用環境などを考慮して、適宜決定することができる。増ちょう剤としては、例えば、リチウム石けん、リチウム複合石けん、カルシウム石けん、カルシウム複合石けん、アルミニウム複合石けん、ジウレア化合物、ナトリウムテレフタラメート等が挙げられる。
これらの中でも、増ちょう剤としては、リチウム石けん及びリチウム複合石けんからなる群から選択される少なくとも1種の化合物を含有することが好ましく、リチウム石けんがより好ましい。
リチウム石けんは、高級脂肪酸のリチウム塩である。リチウム複合石けんは、高級脂肪酸のリチウム塩とジカルボン酸のリチウム塩とを組み合わせた複合石けんである。
リチウム石けんとしては、耐熱性の観点から、炭素数12~24のモノカルボン酸のリチウム塩であることが好ましい。
リチウム複合石けんとしては、耐熱性の観点から、炭素数12~24のモノカルボン酸のリチウム塩と、炭素数2~12のジカルボン酸のリチウム塩と、を組み合わせた複合体(コンプレックス)であることが好ましい。
好適なモノカルボン酸としては、ステアリン酸、12-ヒドロキシステアリン酸等が挙げられる。また、好適なジカルボン酸としては、コハク酸、マロン酸、アジピン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、セバシン酸等が挙げられる。
増ちょう剤としては、入手性及び取り扱い性の点から、リチウム石けんがより好ましい。
本開示に係るグリース組成物は、増ちょう剤を1種のみ含有してもよく、2種以上を含有してもよい。
増ちょう剤の含有量は、目的とする混和ちょう度に合わせて適宜調整でき、グリース組成物の全質量に対して、5質量%~20質量%が好ましく、5質量%~15質量%がより好ましい。
<金属清浄剤>
本開示に係るグリース組成物は、金属清浄剤を含有し、金属清浄剤は、下記式(1)で表される脂肪酸亜鉛及びカルシウムスルホネート(即ち、特定金属清浄剤)を含む。

式(1)中、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数8~18の脂肪族炭化水素基を表す。
(式(1)で表される有機酸亜鉛)
特定金属清浄剤を構成する化合物の一つは、式(1)で表される脂肪酸亜鉛(特定脂肪酸亜鉛)である。
又はRで表される炭素数8~18脂肪族炭化水素基は、炭素数8~18の飽和若しくは不飽和の脂肪族炭化水素基であり、直鎖、分岐鎖及び環状のいずれの脂肪族炭化水素基であってもよい。R又はRで表される炭素数8~18の脂肪族炭化水素基は、炭素数8~18の分岐鎖脂肪族炭化水素基であることが好ましい。分岐鎖脂肪族炭化水素基は、飽和基であっても不飽和基であってもよいが、飽和基であることが好ましい。
又はRで表される炭素数8~18の脂肪族炭化水素基としては、炭素数8~18の飽和分岐鎖脂肪族炭化水素基が好ましく、例えば、イソステアリル基、2-エチルヘキシル基、及びネオデシル基が挙げられる。
特定脂肪酸亜鉛の好適な態様一つは、R及びRの少なくとも一方がイソステアリル基を表す脂肪酸亜鉛(以下、特定脂肪酸亜鉛Aとも称する。)である。R及びRの少なくとも一方がイソステアリル基である場合、R及びRの一方のみがイソステアリル基であってもよく、R及びRの両方がイソステアリル基であってもよい。
特定脂肪酸亜鉛の別の好適な態様の一つは、R及びRの少なくとも一方が2-エチルヘキシル基を表す脂肪酸亜鉛(以下、特定脂肪酸亜鉛Bとも称する。)である。R及びRの少なくとも一方が2-エチルヘキシル基である場合、R及びRの一方のみが2-エチルヘキシル基あってもよく、R及びRの両方が2-エチルヘキシル基であってもよい。特定脂肪酸亜鉛Bは、特定脂肪酸亜鉛Aに該当する脂肪酸亜鉛(すなわち、R及びRにおいて、一方がイソステアリル基であり、他方が2-エチルヘキシル基である脂肪酸亜鉛)であってもよい。特定脂肪酸亜鉛Bは、特定脂肪酸亜鉛Aとは構造の異なる脂肪酸亜鉛(すなわち、R及びRにおいて、一方が2-エチルヘキシル基あり、他方がイソステアリル基以外の分岐鎖脂肪族炭化水素基である脂肪酸亜鉛)であってもよい。
特定脂肪酸亜鉛の別の好適な態様の一つは、R及びRの少なくとも一方がネオデシル基を表す脂肪酸亜鉛(以下、特定脂肪酸亜鉛Cとも称する。)である。R及びRの少なくとも一方がネオデシル基である場合、R及びRの一方のみがネオデシル基あってもよく、R及びRの両方がネオデシル基であってもよい。
特定脂肪酸亜鉛Cは、特定脂肪酸亜鉛Aに該当する脂肪酸亜鉛(すなわち、R及びRにおいて、一方がイソステアリル基であり、他方がネオデシル基である脂肪酸亜鉛)であってもよい。特定脂肪酸亜鉛Cは、特定脂肪酸亜鉛Bに該当する脂肪酸亜鉛(すなわち、R及びRにおいて、一方がネオデシル基であり、他方が2-エチルヘキシル基である脂肪酸亜鉛)であってもよい。特定脂肪酸亜鉛Cは、特定脂肪酸亜鉛A及び特定脂肪酸亜鉛Bとは構造の異なる脂肪酸亜鉛(すなわち、R及びRにおいて、一方が、ネオデシル基あり、他方がイソステアリル基及び2-エチルヘキシル基以外の分岐鎖脂肪族炭化水素基である脂肪酸亜鉛)であってもよい。
特定脂肪酸亜鉛は、特定脂肪酸亜鉛A、特定脂肪酸亜鉛B及び特定脂肪酸亜鉛Cから選択される2種以上を含む態様である場合、イソステアリン酸亜鉛、2-エチルヘキサン酸亜鉛及びネオデカン酸亜鉛から選択される2種以上の混合物に相当する態様であることが好ましい。
特定脂肪酸亜鉛の合計の含有量は、耐水性の観点から、グリース組成物の全質量に対して、0.5質量%~3.0質量%が好ましく、1.0質量%~2.0質量%がより好ましい。
(カルシウムスルホネート)
特定金属清浄剤を構成する化合物の一つは、カルシウムスルホネートである。カルシウムスルホネートとしては、特に限定されず、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸カルシウム塩、アルキルナフタレンスルホン酸カルシウム塩などのアルキル芳香族スルホン酸カルシウム塩が挙げられる。
カルシウムスルホネートの含有量は、耐水性の観点から、グリース組成物の全質量に対して、0.01質量%~0.5質量%が好ましく、0.01質量%~0.4質量%がより好ましく、0.05質量%~0.4質量%が更に好ましい。
特定金属清浄剤(即ち、特定脂肪酸亜鉛及びカルシウムスルホネート)の合計含有量は、耐水性の観点から、好ましくは、グリース組成物の全質量に対して、0.5質量%~3.0質量%であり、より好ましくは、1.0質量%~2.5質量%であり、更に好ましくは、1.2質量%~2.0質量%である。
特定金属清浄剤において、特定脂肪酸亜鉛(X)とカルシウムスルホネート(Y)との含有割合(X:Y)は、耐水性の観点から、質量基準で、4:1~20:1が好ましく、5:1~18:1がより好ましく、6:1~15:1が更に好ましい。
本開示に係るグリース組成物は、本開示の効果が得られる範囲において、特定金属清浄剤以外の金属清浄剤(例えば、カルシウムフェネート、カルシウムサリシレート)を含有してもよいが、耐水性向上の観点からは、特定金属清浄剤のみを金属清浄剤として含有することが好ましい。
<その他の添加剤>
本開示に係るグリース組成物は、必要に応じて、上記した基油、増ちょう剤、及び金属清浄以外に、その他の添加剤を含有してもよい。その他の添加剤としては、酸化防止剤、腐食防止剤、防錆剤、極圧剤等の添加剤を適宜含有することができる。その他の添加剤は、1種単独又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
酸化防止剤としては、2,6-ジ-tert-ブチル-p-クレゾール等のアルキルフェノール類、4,4’-メチレンビス-(2,6-ジ-t-ブチルフェノール)等のビスフェノール類、n-オクタデシル-3-(4’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-t-ブチルフェノール)プロピオネート等のフェノール系化合物、ナフチルアミン類、ジアルキルジフェニルアミン類等の芳香族アミン化合物、チオリン酸亜鉛化合物などが挙げられる。
腐食防止剤としては、ベンゾトリアゾール、ベンゾイミダゾール等が挙げられる。
防錆剤としては、スルホン酸金属塩系化合物、ソルビタン化合物等が挙げられる。
極圧剤としては、硫化オレフィン、硫化油脂、硫化エステル、ポリサルファイド等が挙げられる。
~グリース組成物の性状~
<混和ちょう度>
グリース組成物の混和ちょう度は、好ましくは205~310、より好ましくは220~295である。
混和ちょう度の測定は、JIS K 2220:2013に基づいて測定される値である。
~グリース組成物の耐水性~
本開示に係るグリース組成物の耐水性は、含水ロール安定度試験(ASTM D1831準拠)、及び、水洗耐水度(79℃)(JIS K 2220:2013)に準拠して評価する。
本開示に係るグリース組成物は、含水ロール安定度試験による混和ちょう度の変化量が、90以下であることが好ましく、85以下であることがより好ましく、80以下であることが更に好ましい。
本開示に係るグリース組成物は、水洗耐水度(79℃)の値(即ち、試料の減失量)が8以下であることが好ましく、7以下であることがより好ましく、6以下であることが更に好ましい。
本開示に係るグリース組成物は、含水ロール安定度試験及び水洗耐水度(79℃)のいずれもが、上記範囲内であることが好ましい。
~グリース組成物の調製方法~
本開示に係るグリース組成物の調製方法は、特に限定されず、従来公知の方法により調製することができる。本開示に係るグリース組成物は、例えば、基油、増ちょう剤、及び、金属清浄剤に加えて、必要に応じて、その他の添加剤を適宜混合することにより、調製することができる。
~グリース組成物の使用対象~
本開示に係るグリース組成物は、軸受(ベアリング)等に適用することができる。本開示に係るグリース組成物は、耐水性に優れることから、例えば、車両のホイールベアリングに好適に適用することができる。
以下、本開示に係るグリース組成物を、実施例により具体的に説明する。なお、本開示に係るグリース組成物は、これらの実施例により何ら限定されるものではない。
グリースの組成物が含有する各成分の詳細は、以下のとおりである。
<基油>
・基油:溶剤精製鉱油(40℃動粘度:175mm/s)
<増ちょう剤>
・増ちょう剤(リチウム石けん):下記の製造手順で、増ちょう剤の原料を基油に混合して、基油中で原料を反応させて増ちょう剤を合成した。
~製造手順(リチウム石けん)~
耐熱容器に基油と増ちょう剤原料として12-ヒドロキシステアリン酸とを加え、攪拌しながら、約90℃まで加熱したのち、水酸化リチウム水溶液を加えて、約60分間けん化反応させた。その後、攪拌しながら200℃に加熱し脂肪酸リチウム塩を溶解させたのち急冷し、リチウム石けんを得た。
<金属清浄剤A(特定脂肪酸亜鉛)>
・特定脂肪酸亜鉛A1(下記により調製した特定脂肪酸亜鉛)
・特定脂肪酸亜鉛A2(下記により調製した特定脂肪酸亜鉛)
・特定脂肪酸亜鉛A3(下記により調製した特定脂肪酸亜鉛)
金属清浄剤Aは、特定脂肪酸亜鉛A1、A2又はA3(特定脂肪酸亜鉛)と鉱油(40℃動粘度:10mm/s)との混合物の形態で用いた。表1に、鉱油中に含有される特定脂肪酸亜鉛A1、A2及びA3の組成を示す。脂肪酸亜鉛A1、A2及びA3として用いた脂肪酸亜鉛は、原料となる脂肪酸と亜鉛塩の前駆体とを一度に反応させて得た脂肪酸亜鉛である。表1中、イソステアリン酸亜鉛、ネオデカン酸亜鉛及び2-エチルヘキサン酸亜鉛の各含有率(質量%)は、混合物中における各脂肪酸亜鉛としての換算量に対応する含有率(質量%)を示す。
特定脂肪酸亜鉛A1、A2及びA3として用いた脂肪酸亜鉛の調製の詳細は、以下に示すとおりである。
-特定脂肪酸亜鉛A1、A2及びA3の調製-
特定脂肪酸亜鉛A1では、鉱油中の含有量が、2-エチルヘキサン酸亜鉛換算で11質量%、ネオデカン酸亜鉛換算で10質量%及び、イソステアリン酸亜鉛換算で16質量%になるように、2-エチルヘキサン酸とネオデカン酸とイソステアリン酸と亜鉛塩の前駆体と一度に反応させて脂肪酸亜鉛を得た。
特定脂肪酸亜鉛A2及びA3は、2-エチルヘキサン酸、ネオデカン酸及びイソステアリン酸の配合割合を、表1に示すイソステアリン酸亜鉛、ネオデカン酸亜鉛及び2-エチルヘキサン酸亜鉛の各含有率になるように変更した以外は、特定脂肪酸亜鉛A1と同様にして調製した。
すなわち、特定脂肪酸亜鉛A1、A2及びA3は、式(1)中のR及びRの両方が2-エチルヘキシル基である脂肪酸亜鉛、R及びRの両方がネオデシル基である脂肪酸亜鉛、R及びRの両方がイソステアリル基である脂肪酸亜鉛、R及びRの一方が2-エチルヘキシル基であり、他方がネオデシル基又はイソステアリル基である脂肪酸亜鉛、並びに、R及びRの一方がネオデシル基であり、他方がイソステアリル基である脂肪酸亜鉛の混合物である。
<金属清浄剤B(カルシウムスルホネート)>
・カルシウムスルホネート(商品名;LUBRIZOL 74W、日本ルーブリゾール株式会社製)
(その他の添加剤)
その他の添加剤は、下記の3成分を含む(合計添加量:1.03質量%)。
・2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール ・・・ 0.5質量%
・フェノール系酸化防止剤(製品名:Irganox L57、BASF社製)
・・・ 0.5質量%
・腐食防止剤(製品名:チオライトB-1001、千代田ケミカル(株)製)
・・・ 0.03質量%
[実施例1~6、比較例1~10]
表2及び表3の組成欄に示す組成となるように、グリース組成物を構成する各成分を混合して、実施例及び比較例の各グリース組成物を調製した。なお、グリース組成物は、各成分を所定量含有するように調製した後に、ミル処理を行って、グリース組成物中に増ちょう剤を均一に分散させ、最終的な組成物とした。
なお、表中の組成欄において「-」は、当該成分を配合していないことを意味する。
[測定及び評価]
得られた各グリース組成物について、下記の測定及び評価を行った。結果を表2及び表3に併記する。
(1)混和ちょう度
各グリース組成物について、JIS K 2220:2013に基づき、混和ちょう度を測定した。
(2)水洗耐水度(79℃)
各グリース組成物について、JIS K 2220:2013に基づき、水洗耐水度(79℃)を測定した。測定は各グリース組成物について2回実施し、得られた結果(試料の減失量:質量%)の平均値を水洗耐水度とした。判定は下記基準により行った。
-判定基準-
A:試料の減失量が7質量%以下の値である。
B:試料の減失量が7質量%より大きい値である。
(3)含水ロール安定度
各グリース組成物について、ASTM D1831(準拠)に基づき、含水ロール安定度試験を行い、下記の判定基準により評価した。
-試験条件-
試料の含水率は10質量%(グリース組成物45g、水5g)とし、試験温度:80℃、試験時間:2h、ロール回転速度:165rpm(revolutions per minute)とした。試験後のグリース組成物の混和ちょう度を測定した。試験後のグリース組成物の混和ちょう度の値から、上記(1)で測定した試験前の混和ちょう度値を減じて算出した混和ちょう度の差の値を、ちょう度変化量とした。
-判定基準-
A:ちょう度変化量が90以下の値である。
B:ちょう度変化量が90より大きい値である。
耐水性評価については、(2)水洗耐水度(79℃)、及び、(3)含水ロール安定度の両方の判定結果がA判定である場合に、グリース組成物は耐水性により優れると判断した。
表2及び表3に示すように、基油と、増ちょう剤と、特定金属清浄剤(即ち、特定脂肪酸亜鉛及びカルシウムスルホネート)を含有する実施例1~6のグリース組成物は、含水ロール安定度及び水洗耐水度の両方がA判定であり、含水ロール安定度及び水洗耐水度の両方若しくは一方がB判定である比較例1~10との対比において耐水性により優れていた。
以上より、本開示に係るグリース組成物は、耐水性に優れていることが分かる。

Claims (7)

  1. 基油と、増ちょう剤と、金属清浄剤と、を含有し、前記金属清浄剤が、下記式(1)で表される脂肪酸亜鉛及びカルシウムスルホネートを含む、グリース組成物。


    式(1)中、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数8~18の脂肪族炭化水素基を表す。
  2. 前記増ちょう剤が、リチウム石けんを含む、請求項1に記載のグリース組成物。
  3. 前記式(1)で表される有機酸亜鉛が、R及びRの少なくとも一方がイソステアリル基を表す脂肪酸亜鉛を含む、請求項1又は請求項2に記載のグリース組成物。
  4. 式(1)で表される有機酸亜鉛が、R及びRの少なくとも一方が2-エチルヘキシル基を表す脂肪酸亜鉛を含む、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載のグリース組成物。
  5. 式(1)で表される有機酸亜鉛が、R及びRの少なくとも一方がネオデシル基を表す脂肪酸亜鉛を含む、請求項1~請求項4のいずれか1項に記載のグリース組成物。
  6. 前記式(1)で表される有機酸亜鉛及びカルシウムスルホネートの合計含有量が、グリース組成物の全質量に対して、0.5質量%~3.0質量%である、請求項1~請求項5のいずれか1項に記載のグリース組成物。
  7. 前記カルシウムスルホネートの含有量が、グリース組成物の全質量に対して,0.05質量%~0.40質量%である、請求項1~請求項6のいずれか1項に記載のグリース組成物。
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