JP2023146603A - ハブユニット軸受の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】外側列の円すいころにグリースを確実に給脂できる、転動体として円すいころを使用した、第三世代のハブユニット軸受の製造方法を提供する。【解決手段】第三世代のハブユニット軸受の製造方法であって、外側列の前記保持器に外側列の前記円すいころを保持した外側列のころ組立体と、前記外輪と、前記外側密封部材と、前記ハブ輪とが組み合わされた中間組立体を得る工程と、互いに嵌合する外筒と内筒とを備えるとともに、前記内筒の外周面に軸方向に対して斜めに形成され、且つ、前記保持器のポケットと同数の複数のグリース溝を有する給脂治具を用いて、前記外筒の円筒状の内周面と、前記内筒の前記複数のグリース溝の終端部とで形成される複数の給脂孔から前記外側列のころ組立体に向けて、周方向、かつ、軸方向に対して斜めにグリースを吐出する工程と、を備える。【選択図】図2

Description

本発明は、自動車の車輪を懸架装置に対して回転自在に支持する為に使用されるハブユニット軸受の製造方法に関する。
小型トラック、大型乗用車等、比較的重量が嵩む自動車のハブユニット軸受では、従来、転動体として円すいころを複列で備えるものが使用されている。
円すいころ軸受は、円すいころの頭部端面の焼き付きを防止するため、大鍔面にグリースを付着させる必要がある。一方、軌道面や大鍔面と円すいころとの接触状態を確認するための音響検査にあっては、グリースは検査の障害となり、音響検査後にグリースを封入する必要があるが、円すいころ間の距離が短く、内部空間が少ないため、大鍔面まで到達するようにグリースを封入することは困難である。
例えば、特許文献1に記載の複列円すいころ軸受のグリース封入方法では、円すいころ、保持器、内輪が一体となった内輪ユニットと、外輪と、が分離可能となっており、外輪軌道面にグリースが塗布された外輪と、内輪ユニットとを組み合わせる構成であるので、音響検査後のグリースの封入が可能である。
また、ハブユニット軸受としては、近年、部品点数を減らし、コストの低減を図ることなどを目的として、片側の内輪軌道をハブ輪の外周面に直接形成した、いわゆる第三世代と呼ばれるハブユニット軸受が使用されている。
円すいころを転動体とした、第三世代のハブユニット軸受では、シールリングを外さないと、円すいころと保持器を外すことができず、また、ハブ輪の抜き差しは、シールリングのリップが反転する等の損傷を与える虞がある。このため、図5に示すように、外輪2aの外輪軌道6cとハブ輪7aの内輪軌道10cとの間に配置された外側列の円すいころ4cには、一般に、給脂治具100を用いてインボード側からグリースが封入される。給脂治具100には、複数の給脂孔101が軸方向に沿って、周方向に所定の間隔で形成されている。
特開2002-188629号公報 特開2005-024019号公報 特開2003-113841号公報
ところで、図5に示す給脂時において、円すいころ4cの尾部が平面形状であるため、また、保持器12cの小径円環部により、円すいころ4cの尾部と給脂治具100を密着させることができないため、円すいころ4c間の空間と給脂治具100の給脂孔101が同位相でないと、グリースを大鍔面14c1まで給脂することができない。また、前述のように、円すいころ4c間の空間は少なく、円すいころ4c間の空間と給脂孔101の位相合わせは容易ではない。位相合わせができないと、グリースは円すいころ4c間の空間に入らず、給脂治具100に付着する。また、円すいころ4cが配置される空間が、軸方向外側に外側密封部材15aを備える有底状の空間であることも給脂治具100に対するグリース付着を助長する。その結果、グリース封入量を保証できず、潤滑不良の原因となる。この現象は、ハブ輪7aのアウトボード側の内輪軌道に小鍔部があると、小鍔部と保持器12cの小径円環部との間の径方向の隙間がさらに小さくなり、より著しくなる。
本発明は、上述の様な事情に鑑み、その目的は、外側列の円すいころにグリースを確実に給脂できる、転動体として円すいころを使用した、第三世代のハブユニット軸受の製造方法を提供することにある。
本発明の上記目的は、以下の構成によって達成される。
(1) 内周面に複列の外輪軌道を有する外輪と、
軸方向外側から軸方向内側に向かって、車輪を取り付けるための回転フランジ、複列の内輪軌道の一方、及び小径段部を少なくとも有するハブ輪と、前記小径段部に嵌合固定され、外周面に複列の内輪軌道の他方を有する内輪と、を備えるハブと、
前記複列の外輪軌道と前記複列の内輪軌道との間に転動自在に複列で設けられた複数の円すいころと、
前記複数の円すいころを転動自在に保持する複数のポケットを有する保持器と、
前記外輪の内周面と前記ハブの外周面との間に存在する空間を軸方向両側で密封する外側密封部材及び内側密封部材と、
を備えるハブユニット軸受の製造方法であって、
外側列の前記保持器に外側列の前記円すいころを保持した外側列のころ組立体と、前記外輪と、前記外側密封部材と、前記ハブ輪とが組み合わされた中間組立体を得る工程と、
互いに嵌合する外筒と内筒とを備えるとともに、前記内筒の外周面に軸方向に対して斜めに形成され、且つ、前記保持器のポケットと同数の複数のグリース溝を有する給脂治具を用いて、前記外筒の円筒状の内周面と、前記内筒の前記複数のグリース溝の終端部とで形成される複数の給脂孔から前記外側列のころ組立体に向けて、周方向、かつ、軸方向に対して斜めにグリースを吐出する工程と、
を備える、
ハブユニット軸受の製造方法。
本発明の転動体として円すいころを使用した、第三世代のハブユニット軸受の製造方法によれば、外側列の円すいころにグリースを確実に給脂できる。
本発明の一実施形態に係るハブユニット軸受の製造方法が適用されるハブユニット軸受の断面図である。 図1のハブユニット軸受のアウトボード側の円すいころにグリースを封入する工程を説明するための断面図である。 図2の給脂治具と異なる他の給脂治具を用いて、アウトボード側の円すいころにグリースを封入する工程を説明するための断面図である。 本発明の変形例に係るグリースを封入する工程を説明するための断面図である。 本発明の他の変形例に係るグリースを封入する工程を説明するための断面図である。 従来のハブユニット軸受のグリースを封入する工程を説明するための断面図である。
[第1実施形態]
まず、本発明のハブユニット軸受の製造方法が適用される第三世代のハブユニット軸受について、図1を用いて説明する。
本実施形態の組立対象となるハブユニット軸受1aは、転動体として円すいころを使用した、いわゆる第三世代と呼ばれるハブユニット軸受であり、大型SUV車や商用車などの自動車の車輪を回転自在に支持するために使用するものである。
ハブユニット軸受1aは、使用状態で回転しない外輪2aと、使用状態で車輪及びディスク、ドラムなどの制動用回転体とともに回転するハブ3aと、複列の円すいころ4c、4dと、2個の保持器12c、12dと、外側密封部材15aと、内側密封部材16aと
を備えている。
なお、ハブユニット軸受1aに関して、軸方向外側であるアウトボード側は、車両に組み付けた状態で車両の幅方向外側となる図1の左側であり、軸方向内側であるインボード側は、車両に組み付けた状態で車両の幅方向中央側となる図1の右側である。
外輪2aは、S53Cなどの中炭素鋼製で、略円筒形状を有している。外輪2aの外周面の軸方向中間部には、懸架装置のナックルに結合される静止フランジ5aを有している。外輪2aの内周面には、複列の外輪軌道6c、6dを有している。複列の外輪軌道6c、6dは、それぞれ円すい面形状を有しており、傾斜方向が互いに逆向きである。軸方向外側に位置する外側列の外輪軌道6cは、軸方向外側に向かうほど内径が大きくなり、軸方向内側に位置する内側列の外輪軌道6dは、軸方向内側に向かうほど内径が大きくなる。
ハブ3aは、外輪2aの内径側に外輪2aと同軸に配置されており、S53Cなどの中炭素鋼製のハブ輪7aと、SUJ2などの高炭素クロム鋼製の内輪8aとを組み合わせて構成されている。ハブ3aの外周面には、複列の内輪軌道10c、10dを有している。複列の内輪軌道10c、10dは、それぞれ円すい面形状を有しており、傾斜方向が互いに逆向きである。軸方向外側に位置する外側列の内輪軌道10cは、軸方向外側に向かうほど外径が大きくなり、軸方向内側に位置する内側列の内輪軌道10dは、軸方向内側に向かうほど外径が大きくなる。
ハブ輪7aは、内輪8aを外嵌保持する軸部材であり、軸方向外側から順に、パイロット部23と、回転フランジ9aと、大鍔部14cと、外側列の内輪軌道10cと、嵌合軸部11aとを有している。
パイロット部23は、車輪及び制動用回転体を外嵌するためのもので、ハブ輪7aの軸方向外側部の径方向中間部から軸方向外側に突出するように設けられており、略円筒形状を有している。回転フランジ9aは、車輪及び制動用回転体を取り付けるためのもので、ハブ輪7aの軸方向外側部に、径方向外方に突出するように設けられており、略円輪形状を有している。大鍔部14cは、外側列の円すいころ4cの軸方向位置を規制するとともに、外側列の円すいころ4cに作用するアキシャル荷重を支承するためのもので、外側列の内輪軌道10cの軸方向外側に隣接して設けられている。大鍔部14cの軸方向内側面は、径方向外側に向かうほど軸方向内側に向かう方向に傾斜しており、外側列の円すいころ4cの大径側端部と接触対向している。外側列の内輪軌道10cは、ハブ輪7aの外周面の軸方向中間部に形成されている。嵌合軸部11aは、ハブ輪7aの軸方向内側部に設けられており、内輪8aが締り嵌めで外嵌されている。嵌合軸部11aの外周面とハブ輪7aの外周面のうち外側列の内輪軌道10cの軸方向内側に隣接する部分とは、段差面24を介してつながっている。また、嵌合軸部11aの軸方向内端部には、径方向外方に折れ曲がったかしめ部25が形成されている。
なお、一般的な単列円すいころ軸受は、外輪と、内輪と複数の円すいころと保持器の組立体が分離する。また、保持器には、円すいころを内輪軌道面側に抑え込む様にポケットが設けられた保持器が使用されている。さらに、内輪には、内輪軌道面小径側に隣接して小鍔部が設けられている。小鍔部の外径寸法を、保持器のポケットに挿入された円すいころの最大内接円径より大きくすることで、内輪と複数の円すいころと保持器の組立体の分解を防いでいる。
一方、本実施形態のハブユニット軸受1aには、円すいころ4cがポケット22a内に保持され、複数の円すいころ4cと保持器12cの組立体17cを形成することができる保持器12cが使用されている。後述のように、ハブユニット軸受1aの製造工程では、ハブ輪7a(単列円すいころ軸受の内輪に相当)と複数の円すいころ4cと保持器12cの組立体が形成されることがないので、ハブ輪7aには、外側列の内輪軌道10cの軸方向内側に小鍔部が設けられていない。
なお、ハブ輪7aの軸方向内端部にかしめ部25を形成する構造に代えて、ハブ輪7aの軸方向内端部にナットを螺着する構造を採用することもできる。また、本実施形態のハブユニット軸受1aは従動輪用であるため、ハブ輪7aは中実状に構成されているが、本発明は、駆動輪用のハブユニット軸受にも適用可能である。駆動輪用のハブユニット軸受に適用する場合には、ハブ輪7aの径方向中央部に、駆動軸部材であるスプライン軸を係合させるためのスプライン孔を軸方向に貫通するように形成する。
内輪8aは、円環形状を有しており、ハブ輪7aの軸方向内側部に設けられた嵌合軸部11aに締り嵌めで外嵌されている。また、内輪8aの軸方向外端面は、段差面24に突
き当てられており、内輪8aの軸方向内端面は、かしめ部25により抑え付けられている。内輪8aは、外周面の軸方向中間部に、内側列の内輪軌道10dを有している。また、内輪8aは、内輪軌道10dの軸方向内側に隣接する軸方向内側部に、径方向外方に突出した大鍔部14dを有している。大鍔部14dは、内側列の円すいころ4dが軸方向に脱落するのを防止するとともに、内側列の円すいころ4dに作用するアキシャル荷重を支承する。本実施例では、内輪8aにも、内側列の内輪軌道10dの軸方向外側に小鍔部が設けられていないが、内輪と複数の円すいころと保持器の組立体の分解を防ぐため、内輪8aに小鍔部を設けることもできる。
円すいころ4c、4dは、SUJ2などの高炭素クロム鋼製で、それぞれ円すい形状を有している。円すいころ4c、4dは、複列に配置されており、軸方向外側に位置する外側列の円すいころ4cは、外側列の外輪軌道6cと外側列の内輪軌道10cとの間に配置され、軸方向内側に位置する内側列の円すいころ4dは、内側列の外輪軌道6dと内側列の内輪軌道10dとの間に配置されている。外側列の円すいころ4cと内側列の円すいころ4dとには、背面組み合わせ型の接触角とともに予圧が付与されている。
保持器12c、12dは、かご形保持器と呼ばれるもので、合成樹脂製で、全体が部分円すい筒状に構成されている。保持器12c、12dのうち、軸方向外側に位置する外側列の保持器12cは、外側列の円すいころ4cを転動自在に保持しており、軸方向内側に位置する内側列の保持器12dは、内側列の円すいころ4dを転動自在に保持している。
保持器12c、12dを構成する合成樹脂としては、例えば、ポリアミド46、ポリアミド66などのポリアミド系樹脂、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリアミドイミド(PAI)、熱可塑性ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルニトリル(PEN)などを使用することができる。また、これらの樹脂に、10~50wt%の繊維状充填材(例えば、ガラス繊維や炭素繊維など)を適宜添加することにより、剛性及び寸法精度を向上させることもできる。
本実施形態では、外側列の保持器12cと内側列の保持器12dとの両方を、円すいころ4c、4dが、保持器12c、12dのポケット22aから抜け落ちるのを防止する構造を有する、脱落防止保持器(ころ脱落防止保持器)としている。外側列の保持器12cと内側列の保持器12dとは、互いに同一部品であり、ハブユニット軸受1aに対する組み付け方向のみが異なる。このため、以下、外側列の保持器12cのみを対象に詳しく説明する。
保持器12cは、円環状の小径円環部19aと、小径円環部19aよりも大径で円環状の大径円環部20aと、円周方向に関して等間隔に配され、小径円環部19aと大径円環部20aとを軸方向に連結した複数本の柱部21aとを備えている。そして、円周方向に隣り合う柱部21a同士の間部分を、ポケット22aとしている。外側列の保持器12cでは、小径円環部19aを軸方向内側に配置し、小径円環部19aよりも大きな外径を有する大径円環部20aを軸方向外側に配置している。なお、内側列の保持器12dでは、小径円環部19aを軸方向外側に配置し、大径円環部20aを軸方向内側に配置している。
柱部21aは、小径円環部19aから離れるほど径方向外側に向かう方向に傾斜しており、径方向寸法が軸方向全長にわたり大きくなっている。柱部21aの小径側端部は、径方向全幅にわたり小径円環部19aに連結されているが、柱部21aの大径側端部は、径方向外側部のみが大径円環部20aに連結されている。このため、柱部21aの大径側部は、大径円環部20aよりも径方向内方に突出している。柱部21aの径方向外側面は、外側列の外輪軌道6cに対して略平行に配置されるとともに近接対向している。また、柱部21aの径方向内側面は、外側列の内輪軌道10cに対して略平行に配置されるとともに近接対向している。このため、ポケット22aの径方向内側の開口部は、円すいころ4
cの長手方向の少なくとも中間位置において、円すいころ4cの自転軸よりも内径側に位置している。一方、ポケット22aの径方向外側の開口部は、円すいころ4cの長手方向の全域において、円すいころ4cの自転軸よりも外径側に位置している。
さらに、柱部21aは、その円周方向側面の断面形状を凹形状とし、円すいころ4cを円周方向両側から抱え込むように保持することで、円すいころ4cがポケット22aから径方向内側に脱落することを防止している。
外側密封部材15aは、外輪2aの軸方向外側部の内周面に内嵌固定されている。外側密封部材15aは、全体が円環状に構成されており、金属板製の芯金29と、芯金29に対して結合固定された弾性材製のシール材30とを備えている。芯金29は、外輪2aの軸方向外側部の内周面に圧入されている。シール材30は、径方向内側部に複数本(図示の例では3本)のシールリップ31a~31cを有しており、径方向外側部に補助リップ32を有している。複数本のシールリップ31a~31cは、それぞれの先端部を、ハブ輪7aの外周面のうち、回転フランジ9aの軸方向内側面と大鍔部14cの外周面との間に位置する部分に、全周にわたり摺接させている。補助リップ32は、回転フランジ9aの軸方向内側面の径方向内側部に対し、微小隙間を介して近接対向させている。これにより、外輪2aの内周面とハブ3aの外周面との間に存在する空間13aに封入したグリースが、空間13aの軸方向外側開口から漏れ出すことを防止するとともに、外部からの泥水や塵埃が空間13aに侵入することを防止している。
内側密封部材16aは、いわゆるカバー部材であり、外輪2aの軸方向内側部に内嵌固定されている。内側密封部材16aは、金属板製で、全体が有底円筒形状を有している。内側密封部材16aは、円筒状の固定筒部33と、固定筒部33の軸方向内端部から径方向内側に向けて伸長した円板状の底板部34とを有している。内側密封部材16aは、固定筒部33を外輪2aの軸方向内側部の内周面に圧入することで、外輪2aの軸方向内側開口を塞いでいる。これにより、空間13aに封入したグリースが、外輪2aの軸方向内側開口を通じて外部に漏れ出すことを防止するとともに、外部からの泥水や塵埃が空間13aに侵入することを防止している。なお、内側密封部材16aとしては、本実施形態のようなカバー部材に代えて、外輪2aと内輪8aとの間に装着する組み合わせシールリングを使用することもできる。
以上のような本実施形態のハブユニット軸受1aは、次の第1工程から第7工程を経て組み立てられる。
先ず第1工程では、外側列の円すいころ4cを、外側列の保持器12cを構成するポケット22aの内側に径方向内側及び径方向外側への脱落を不能に保持して、外側列のころ組立体17cを得る。つまり、ころ組立体17cを構成した状態では、円すいころ4cは、保持器12cに対して分離することなく保持される。
続く第2工程では、第1工程で得られた外側列のころ組立体17cを、外輪2aの外側列の外輪軌道6cに対して組み付ける。この際、外側列のころ組立体17cと外輪2aとを同軸に配置するとともに、外輪2aに対する外側列のころ組立体17cの軸方向位置を規制し、外側列のころ組立体17cを正規の組み付け位置に配置する。具体的には、外側列のころ組立体17cを、ハブユニット軸受1aの組立完成状態における軸方向位置に配置し、円すいころ4cの転動面を外輪軌道6cに当接させる。この状態では、外輪2aに対して、外側列のころ組立体17cが分離可能に組み合わされる。
続く第3工程では、外輪2aの軸方向外側部に外側密封部材15aを装着する。具体的には、外側密封部材15aを構成する芯金29を、外輪2aの軸方向外側部の内周面に圧入する。
続く第4工程では、ハブ輪7aを、外輪2aの内径側に軸方向外側から挿入する。そして、外側列の円すいころ4cの転動面を外側列の内輪軌道10cに当接させる。また、外側密封部材15aを構成する複数のシールリップ31a~31cを、ハブ輪7aの外周面に対し全周にわたり接触させるとともに、補助リップ32を、回転フランジ9aの軸方向内側面の径方向内側部に対し近接対向させる。これにより、外輪2aと外側列のころ組立体17cと外側密封部材15aとハブ輪7aとが組み合わされた、中間組立体35(図2参照)を得、この時点で外側列の音響検査を実施する。
続く第5工程では、中間組立体35を構成する外輪2aとハブ輪7aとの間に、内側列の円すいころ4dと内側列の保持器12dと小鍔部28を有する内輪8aとを組み合わせて成る内輪組立体18aを組み込むか、又は、内側列の円すいころ4dと内側列の保持器12dとを組み合わせて成る内側列のころ組立体17dを組み込んだ後、小鍔部を有しない内輪8aを組み込む。何れの場合にも、内輪8aをハブ輪7aの嵌合軸部11aに締り嵌めにより嵌合固定する。
続く第6工程では、例えば揺動鍛造加工を施すことで、嵌合軸部11aの軸方向内側部にかしめ部25を形成する。これにより、内輪8aの軸方向内端面をかしめ部25により抑え付け、この時点で内側列の音響検査を実施する。
第7工程では、外輪2aの軸方向内端部の内周面に、内側密封部材16aを装着する。これにより、外輪2aの軸方向内側開口を塞ぐ。
ハブユニット軸受1aは、上述した第1工程から第7工程を経て組み立てられるが、外側列の円すいころ4cは、第4工程と第5工程との間で、また、内側列の円すいころ4dは、第6工程の後で、グリース封入工程が実施される。特に本実施形態では、以下、外側列の円すいころ4cに対するグリース封入について、図2を参照して説明する。
中間組立体35、即ち、外側列の保持器12cに外側列の円すいころ4cを保持した外側列のころ組立体17cと、外輪2aと、外側密封部材15aと、ハブ輪7aとが組み合わされたものに対して、給脂治具40を用いてグリース封入が行われる。
給脂治具40は、内周面が円筒状の外筒41と、外周面に軸方向に対して斜めに形成され、保持器12cのポケット22aと同数の複数のグリース溝42を有し、外筒41に内嵌する内筒43と、を備える。グリース溝42は軸方向に対して30°~45°傾斜して形成されている。これにより、給脂治具40は、外筒41の内周面と内筒43の外周面との間で、軸方向に対して斜めに形成され、且つ、保持器12cのポケット22aと同数の複数の給脂孔44を有する。
複数の給脂孔44の少なくとも外径側は、径方向において、保持器12cの小径環部19aの外周面と、外輪2aの軸方向中央部の内周面との間のすきまに対向する位置に形成されている。また、複数の給脂孔44の入口側は、図5の給脂治具100と同様に、軸の中心部分から広がったフランジ状の共通の流路に接続されるように形成されている。
給脂治具40は、中間組立体35の外輪2の内周面とハブ輪7aの外周面との間に軸方向内側から挿入し、給脂治具40の軸方向外側端面を保持器12cの小径円環部19aに近接配置する。
なお、ハブ輪7aには、小鍔部がないので、図3に示すように、保持器12cの小径環部19aの内周面と、ハブ輪7aの内輪軌道10cより軸方向内側の外周面との間のすきまに対向する位置に複数の給脂孔44を設けることもできる。
そして、外筒41の内周面と、内筒43の複数のグリース溝42との間に形成される複数の給脂孔44から外側列のころ組立体17cに向けてグリースを吐出する。これにより、グリースが給脂孔44の周方向、かつ、軸線に対して斜めに噴射される。
また、給脂孔44が円すいころ4cの尾部と軸方向に重畳している、即ち、軸方向で対向している場合、外側列のころ組立体17cを回転させる推力が発生する。一方、給脂孔44と円すいころ4cの尾部が軸方向に重畳していない場合、外側列のころ組立体17cを回転させる推力は発生しない(或いは、弱い)。
そのため、給脂孔44と円すいころ4cの尾部が軸方向に重畳している場合は、外側列のころ組立体17cが回転し、互いに軸方向に重畳しない位置まで移動する。これにより、円すいころ4c間の空間に入らず、給脂治具40に付着するグリースを減らし、グリース封入量を保証し、潤滑不良を防止することができる。
なお、給脂時(グリースを吐出する工程)においては、外輪2を少しだけ持ち上げてハブ輪7aに対して軸方向に相対移動させ、ころ組立体17cに掛かる荷重(外輪2の自重)を減少させ、外側列のころ組立体17cを回転しやすくするとよりよい。
また、本実施形態の変形例として、図4Aに示すように、給脂時、持ち上げ治具50によって外輪2をさらに持ち上げ、外側列の円すいころ4cと外輪軌道6cとの間に隙間g1が形成されている状態で行われてもよい。或いは、図4Bに示すように、給脂時、外輪2をさらに持ち上げ、外側密封部材15aの芯金29が外側列のころ組立体17cを持ち上げ、外側列の円すいころ4cと外輪軌道6c及び内輪軌道6cとの両者の間に隙間g1、g2が形成されている状態で行われてもよい。
これにより、給脂孔44からのグリースを隙間g1,g2を介して、大鍔部14cの大鍔面に封入することができる。
本発明は、上述した実施形態に限定されるものでなく、適宜、変形及び改良が可能である。
例えば、上記実施形態では、給脂孔44は、外筒41の内周面と、内筒43の複数のグリース溝42との間に形成されるが、本発明はこれに限らず、例えば、外筒41の内周面に形成された軸方向に対して斜めに形成され、保持器12cのポケットと同数の複数のグリース溝42と、内筒43の円筒状の外周面との間に形成されてもよい。
以上の通り、本明細書には次の事項が開示されている。
(1) 内周面に複列の外輪軌道を有する外輪と、
軸方向外側から軸方向内側に向かって、車輪を取り付けるための回転フランジ、複列の内輪軌道の一方、及び小径段部を少なくとも有するハブ輪と、前記小径段部に嵌合固定され、外周面に複列の内輪軌道の他方を有する内輪と、を備えるハブと、
前記複列の外輪軌道と前記複列の内輪軌道との間に転動自在に複列で設けられた複数の円すいころと、
前記複数の円すいころを転動自在に保持する複数のポケットを有する保持器と、
前記外輪の内周面と前記ハブの外周面との間に存在する空間を軸方向両側で密封する外側密封部材及び内側密封部材と、
を備えるハブユニット軸受の製造方法であって、
外側列の前記保持器に外側列の前記円すいころを保持した外側列のころ組立体と、前記外輪と、前記外側密封部材と、前記ハブ輪とが組み合わされた中間組立体を得る工程と、
互いに嵌合する外筒と内筒とを備えるとともに、前記内筒の外周面に軸方向に対して斜めに形成され、且つ、前記保持器のポケットと同数の複数のグリース溝を有する給脂治具を用いて、前記外筒の円筒状の内周面と、前記内筒の前記複数のグリース溝の終端部とで形成される複数の給脂孔から前記外側列のころ組立体に向けて、周方向、かつ、軸方向に対して斜めにグリースを吐出する工程と、
を備える、
ハブユニット軸受の製造方法。
この構成によれば、転動体として円すいころを使用した、第三世代のハブユニット軸受において、外側列の円すいころにグリースを確実に給脂できる。
(2) 前記グリースを吐出する工程は、前記ころ組立体に掛かる荷重が減少するように、運転時に前記外側列の円すいころが前記外輪軌道を転動する正規の組み付け位置よりも前記外輪が軸方向に相対移動した状態で行われる、
(1)に記載のハブユニット軸受の製造方法。
この構成によれば、給脂孔からのグリースを大鍔部の大鍔面により確実に封入することができる。
(3) 前記グリースを吐出する工程は、前記外側列の円すいころと前記外輪軌道又は前記内輪軌道との間に隙間が形成されている状態で行われる、
(1)又は(2)に記載のハブユニット軸受の製造方法。
この構成によれば、給脂孔からのグリースを隙間を介して大鍔部の大鍔面により確実に封入することができる。
1a ハブユニット軸受
2a 外輪
3a ハブ
4c,4d 円すいころ
5a 静止フランジ
6c、6d 外輪軌道
7a ハブ輪
8a 内輪
9a 回転フランジ
10c、10d 内輪軌道
12c,12d 保持器
15a 外側密封部材
16a 内側密封部材
40 給脂治具
41 外筒
42 グリース溝
43 内筒
44 給脂孔

Claims (3)

  1. 内周面に複列の外輪軌道を有する外輪と、
    軸方向外側から軸方向内側に向かって、車輪を取り付けるための回転フランジ、複列の内輪軌道の一方、及び小径段部を少なくとも有するハブ輪と、前記小径段部に嵌合固定され、外周面に複列の内輪軌道の他方を有する内輪と、を備えるハブと、
    前記複列の外輪軌道と前記複列の内輪軌道との間に転動自在に複列で設けられた複数の円すいころと、
    前記複数の円すいころを転動自在に保持する複数のポケットを有する保持器と、
    前記外輪の内周面と前記ハブの外周面との間に存在する空間を軸方向両側で密封する外側密封部材及び内側密封部材と、
    を備えるハブユニット軸受の製造方法であって、
    外側列の前記保持器に外側列の前記円すいころを保持した外側列のころ組立体と、前記外輪と、前記外側密封部材と、前記ハブ輪とが組み合わされた中間組立体を得る工程と、
    互いに嵌合する外筒と内筒とを備えるとともに、前記内筒の外周面に軸方向に対して斜めに形成され、且つ、前記保持器のポケットと同数の複数のグリース溝を有する給脂治具を用いて、前記外筒の円筒状の内周面と、前記内筒の前記複数のグリース溝の終端部とで形成される複数の給脂孔から前記外側列のころ組立体に向けて、周方向、かつ、軸方向に対して斜めにグリースを吐出する工程と、
    を備える、
    ハブユニット軸受の製造方法。
  2. 前記グリースを吐出する工程は、前記ころ組立体に掛かる荷重が減少するように、運転時に前記外側列の円すいころが前記外輪軌道を転動する正規の組み付け位置よりも前記外輪が軸方向に相対移動した状態で行われる、
    請求項1に記載のハブユニット軸受の製造方法。
  3. 前記グリースを吐出する工程は、前記外側列の円すいころと前記外輪軌道又は前記内輪軌道との間に隙間が形成されている状態で行われる、
    請求項1又は2に記載のハブユニット軸受の製造方法。
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