JP2023145198A - 積層体、光学部材、及び光学装置 - Google Patents

積層体、光学部材、及び光学装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 本発明は、粘着力または接着力と、空隙層の空隙への粘着剤または接着剤の浸透しにくさとを両立した積層体の提供を目的とする。【解決手段】 本発明の積層体は、空隙層と、粘接着層とを含み、粘接着層が、空隙層の片面または両面に直接積層されており、粘接着層が、(メタ)アクリル系ポリマー及びオリゴマー型のシランカップリング剤を含む粘接着剤により形成され、オリゴマー型のシランカップリング剤の含有量が、(メタ)アクリル系ポリマー100質量部に対して1質量部以下であることを特徴とする。【選択図】 図1

Description

本発明は、積層体、光学部材、及び光学装置に関する。
光学デバイスにおいては、例えば、全反射層として、低屈折率である空気層が利用されている。具体的には、例えば、液晶デバイスにおける各光学フィルム部材(例えば、導光板と反射板)は、空気層を介して積層される。しかしながら、各部材間が空気層により隔てられていると、特に部材が大型である場合等は、部材のたわみ等の問題が起こるおそれがある。また、デバイスの薄型化のトレンドにより、各部材の一体化が望まれている。このため、各部材を、空気層を介さずに粘接着剤で一体化させることが行われている(例えば特許文献1)。しかし、全反射の役割を果たす空気層が無くなると、光漏れなど光学特性が低下してしまうおそれがある。
そこで、空気層に代えて低屈折率層を用いることが提案されている。例えば、特許文献2では、導光板と反射板との間に導光板よりも低屈折率である層を挿入した構造が記載されている。低屈折率層としては、例えば、屈折率をなるべく空気に近い低屈折率とするために、空隙を有する空隙層が用いられる。
さらに、空隙層をデバイス中に導入するために、粘接着層との一体構成も提案されている(特許文献3)。
特開2012-156082号公報 特開平10-62626号公報 特開2014-46518号公報
空隙層は、例えば、粘接着層を介して他の層と積層させて用いる。しかしながら、空隙層と粘接着層とを積層させると、前記空隙層の空隙内部に、前記粘接着層を構成する粘着剤または接着剤が浸透して前記空隙が埋まり、それにより空隙層の空隙率が低下して屈折率が上昇してしまうおそれがある。そして、前記空隙層の空隙率が高いほど、前記粘着剤または接着剤が浸透しやすくなる。また、高温の環境下では、前記粘着剤または接着剤の分子運動(弾性率低下)により、前記粘着剤または接着剤が前記空隙に浸透しやすくなる。高湿度の環境下では、前記粘着剤または接着剤の吸水により、前記粘着剤または接着剤が前記空隙に浸透しやすくなる。
前記空隙への前記粘着剤または接着剤の浸透を抑制または防止するためには、前記粘着剤または接着剤として、なるべく弾性率が高い(硬い)ものを用いればよい。しかし、前記粘着剤または接着剤の弾性率が高い(硬い)と、粘着力または接着力が低下するおそれがある。逆に、前記粘着剤または接着剤の弾性率が低い(柔らかい)と、高い粘着力または接着力が得られやすいが、前記粘着剤または接着剤が前記空隙に浸透しやすくなるおそれがある。
そこで、本発明は、粘着力または接着力と、空隙層の空隙への粘着剤または接着剤の浸透しにくさとを両立した、積層体、光学部材、及び光学装置の提供を目的とする。
前記目的を達成するために、本発明の積層体は、
空隙層と、粘接着層とを含み、
前記粘接着層が、前記空隙層の片面または両面に直接積層されており、
前記粘接着層が、(メタ)アクリル系ポリマー及びオリゴマー型のシランカップリング剤を含む粘接着剤により形成され、
前記オリゴマー型のシランカップリング剤の含有量が、前記(メタ)アクリル系ポリマー100質量部に対して1質量部以下であることを特徴とする。
本発明の光学部材は、前記本発明の積層体を含むことを特徴とする。
本発明の光学装置は、前記本発明の光学部材を含むことを特徴とする。
本発明によれば、粘着力または接着力と、空隙層の空隙への粘着剤または接着剤の浸透しにくさとを両立した、積層体、光学部材、及び光学装置を提供することができる。
図1(a)及び(b)は、本発明の積層体の構成を例示する断面図である。 図2(a)及び(b)は、本発明の積層体の構成における別の例を示す断面図である。 図3(a)及び(b)は、本発明の積層体の構成におけるさらに別の例を示す断面図である。
つぎに、本発明について、例を挙げてさらに具体的に説明する。ただし、本発明は、以下の説明により、なんら限定されない。
本発明の積層体は、例えば、前記オリゴマー型のシランカップリング剤が、エポキシ基を含有してもよい。
本発明の積層体は、例えば、前記(メタ)アクリル系ポリマーの重量平均分子量(Mw)が150万~400万であってもよい。
本発明の積層体は、例えば、前記オリゴマー型のシランカップリング剤の重量平均分子量(Mw)が300以上であってもよい。
本発明の積層体は、例えば、前記粘接着層が、前記(メタ)アクリル系ポリマー及び架橋剤を含む粘接着剤により形成され、前記粘接着剤は、ゲル分率が85%を超えていてもよい。
本発明の積層体は、例えば、前記(メタ)アクリル系ポリマーが、モノマー単位として窒素含有モノマーを1~30質量%含有していてもよい。なお、本発明において、特に断らない限り、「質量%」と「重量%」とは互いに読み替えてもよく、「質量部」と「重量部」とは互いに読み替えてもよい。
本発明の積層体は、例えば、温度65℃かつ相対湿度95%で1000時間保持する加熱耐久性試験前後で、前記空隙層の屈折率の増加量が、下記数式(1)を満たし、かつ、加熱耐久試験前の初期屈折率が、下記数式(2)を満たしていてもよい。

n-n≦0.015 (1)
<1.23 (2)

前記数式(1)において、nは、前記加熱耐久試験後の前記空隙層の屈折率である。
前記数式(2)において、nは、前記加熱耐久試験前の前記空隙層の屈折率である。
本発明の積層体は、例えば、前記空隙層と前記粘接着層との間に中間層が存在し、前記中間層は、前記空隙層と前記粘接着層との合一によって形成された層であってもよい。
本発明の積層体は、例えば、前記中間層の厚みが10~100nmであってもよい。
本発明において、「粘接着層」は、粘着剤及び接着剤の少なくとも一方により形成された層をいう。本発明において、「粘接着層」は、特に断らない限り、粘着剤により形成された「粘着剤層」であってもよく、接着剤により形成された「接着剤層」であってもよく、粘着剤及び接着剤の両方を含む層であってもよい。また、本発明において、粘着剤と接着剤とをまとめて「粘接着剤」という場合がある。一般的に、粘着力又は接着力が比較的弱い剤(例えば、被接着物の再剥離が可能な剤)を「粘着剤」と呼び、粘着力又は接着力が比較的強い剤(例えば、被接着物の再剥離が不可能であるか、又はきわめて困難な剤)を「接着剤」と呼んで区別する場合がある。本発明において、粘着剤と接着剤とに明確な区別は無い。また、本発明において、「粘着力」と「接着力」とに明確な区別はない。
また、本発明において、「上に」又は「面上に」は、上に、又は面上に直接接触した状態でもよいし、他の層等を介した状態でもよい。
本発明の積層体は、例えば、前記(メタ)アクリル系ポリマーが、モノマー成分として、複素環含有アクリルモノマー(複素環含有アクリレート)3~20質量%、(メタ)アクリル酸0.5~5質量%、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート0.05~2質量%、およびアルキル(メタ)アクリレート83~96.45質量%を重合させて得られる重量平均分子量が200万~350万の(メタ)アクリル系ポリマーであってもよい。
本発明の積層体は、例えば、前記粘接着層において、前記窒素含有モノマーが、反応性二重結合を1分子中に1つ又は2つ有するモノマーであってもよい。前記反応性二重結合を1分子中に1つ又は2つ有するモノマーは、例えば、複素環含有アクリルモノマー(複素環含有アクリレート)であってもよい。
本発明の積層体において、前記粘接着層を形成する前記粘接着剤のゲル分率は、例えば85質量%以上であってもよく、前述のとおり85質量%を超えていてもよく、例えば、90質量%以上、91質量%以上、又は93質量%以上であってもよく、例えば、100質量%以下、99質量%以下、又は98質量%以下であってもよい。
本発明の積層体において、前記空隙層の前記加熱耐久試験前の初期屈折率(以下、「初期屈折率」という場合もある。)は、前述のとおり、例えば1.23未満であってもよく、例えば、1.22以下、1.22未満、1.21以下、又は1.21未満であってもよい。前記
本発明の積層体において、温度65℃かつ相対湿度95%で1000時間保持する加熱耐久性試験前後における前記空隙層の屈折率の増加量は、前述のとおり、例えば0.015以下であってもよく、例えば、0.015未満、0.01以下、又は0.01未満であってもよい。前記屈折率の増加量の下限値は、特に限定されないが、例えば、0以上であってもよく、又は0を超える数値であってもよい。
本発明の積層体は、例えば、前記空隙層の空隙率が35体積%以上であってもよい。
本発明の積層体において、例えば、前記空隙層は、微細孔粒子同士が化学的に結合している多孔体であってもよい。
本発明の積層体において、前記粘接着層は、例えば、(メタ)アクリル系ポリマーを含む粘接着剤塗工液を準備する粘接着剤塗工液準備工程と、前記粘接着剤塗工液を基材に塗布する粘接着剤塗工液塗布工程と、前記粘接着剤塗工液が塗布された前記基材を加熱乾燥する加熱乾燥工程と、を含む方法によって形成される層であってもよい。本発明の積層体は、例えば、このように、特定の組成を有する粘接着剤塗工液から粘接着層を形成し、空隙層と一体化させてもよい。これにより、例えば、特に長期での加熱耐久性試験下でも、粘接着層の空隙層への著しい浸透を抑制することができる。前記粘接着剤塗工液は、例えば、さらに架橋剤を含んでいてもよいし、後述するように、その他の成分を含んでいてもよい。
前記本発明の積層体において、粘着力または接着力と、空隙への粘着剤または接着剤の浸透しにくさとを両立できる理由(メカニズム)は、例えば、以下のように考えられる。例えば、特定の粘着剤を用いて粘接着層を形成することで、粘着力または接着力と、空隙への粘着剤または接着剤の浸透しにくさとを両立できる。より具体的には、例えば、前述のような特定の(メタ)アクリル系ポリマー及び必要に応じて架橋剤を用いて粘接着層を形成することで、前記空隙層の一部と前記粘接着層の一部との合一により中間層が形成される。そして、前述のような特定の(メタ)アクリル系ポリマーを用いたことにより、前記加熱耐久性試験のような条件下でも、前記中間層が過度に広がることがない。かつ、前記中間層がストッパーとなり、前記空隙層の空隙が粘着剤によって埋まることによる空隙率の減少を抑制できる。加熱下で粘着剤の分子運動が大きくなっても、粘着剤の弾性率が高いと粘着剤と高空隙層から形成される中間層が強固で緻密なストッパーとなりやすく粘着剤の高空隙層への浸透が抑制される。ただし、これらのメカニズムは、単なる例示であり、本発明をなんら限定しない。
また、粘接着剤塗工液は、例えば、反応性二重結合を1分子中に1つ又は2つ有するモノマーを含むことで、加熱によって、例えば、イソシアネート系架橋剤やエポキシ系架橋剤等の架橋剤と架橋反応することが可能である。その架橋反応時に、反応性二重結合を1分子中に1つ又は2つ有するモノマーと、水素引き抜き開始剤である有機過酸化物とが共存していることで、粘接着剤塗工液中に含まれる分子量が1万以下の半高分子ポリマー成分も高密度に架橋し、粘接着剤塗工液から空隙層への成分浸透をさらに高いレベルで抑制可能となると考えられる。すなわち、分子量が1万以下の半高分子ポリマー成分は、分子サイズが小さいために空隙層の空隙中に浸透しやすいが、架橋反応により分子サイズが大きくなることで、空隙層の空隙中への浸透が抑制されると考えられる。さらに、前記架橋反応時に反応性二重結合を1分子中に1つ又は2つ有するモノマーが共存していることで、(メタ)アクリル系ポリマー主鎖とのグラフト反応およびグラフト鎖を起点とした高密度な架橋が可能となり、ゾル成分になりうる半高分子ポリマーの存在量自体が減少すると推測される。ただし、これらのメカニズムも例示であり、本発明をなんら限定しない。
本発明の積層体における粘接着層を形成するための粘接着剤塗工液において、前記窒素含有モノマーは、グラフト反応において主鎖同士を効率よく架橋させるために官能基数(1分子中の反応性二重結合の数)が小さいことが好ましく、例えば、前述のとおり、反応性二重結合の数が1分子中に1つ又は2つであることが好ましい。
なお、(メタ)アクリル系ポリマーの製造時に、反応性二重結合を1つ又は2つ有するモノマーを混合しても、前述のような半高分子ポリマー(分子量が小さく空隙層の空隙中に浸透しやすい)の量を低減することが困難である。しかし、本発明によれば、(メタ)アクリル系ポリマーに後から反応性二重結合を1つ又は2つ有するモノマーを混合した粘接着剤塗工液を用い、それを架橋反応させることで、例えば、前述のようなグラフト反応が起こり、半高分子ポリマーの量を低減させることができる。
本発明において、「(メタ)アクリル」は、アクリルおよびメタクリルの少なくとも一方を意味する。例えば、「(メタ)アクリル酸」は、アクリル酸およびメタクリル酸の少なくとも一方を意味する。「(メタ)アクリル酸エステル」は、アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステルの少なくとも一方を意味する。「(メタ)アクリル酸メチル」は、アクリル酸メチルおよびメタクリル酸メチルの少なくとも一方を意味する。
本発明において、「(メタ)アクリル系ポリマー」は、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、アクリロイル基を有するモノマー、およびメタクリロイル基を有するモノマーからなる群から選択される少なくとも一つを含む成分を重合させて得られる構造を有するポリマーをいう。前記成分は、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、アクリロイル基を有するモノマー、およびメタクリロイル基を有するモノマーからなる群から選択される少なくとも一つ以外の物質を適宜含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。
本発明において、「アクリル系モノマー」は、例えば、アクリル酸、アクリル酸エステル、およびアクリロイル基を有するモノマーからなる群から選択される少なくとも一つを含むモノマーをいう。
本発明において、「イソシアネート系架橋剤」は、例えば、分子中にイソシアネート基(イソシアナト基)を有する架橋剤をいう。本発明において、イソシアネート系架橋剤1分子中のイソシアネート基(イソシアナト基)の数は、特に限定されないが、2以上が好ましく、例えば、2でも3でも4でもよく、上限値は特に限定されないが、例えば10以下である。
本発明において、「エポキシ系架橋剤」は、例えば、分子中にエポキシ基を有する架橋剤をいう。本発明において、エポキシ系架橋剤1分子中のエポキシ基の数は、特に限定されないが、2以上が好ましく、例えば、2でも3でも4でもよく、上限値は特に限定されないが、例えば10以下である。
[1.積層体、光学部材および光学装置]
本発明の積層体は、前述のとおり、空隙層と、粘接着層とを含み、前記粘接着層が、前記空隙層の片面または両面に直接積層されている。本発明において、前記粘接着層が前記空隙層に「直接積層され」は、例えば、前記粘接着層が前記空隙層に直接接触していてもよいし、前記粘接着層が、前記中間層を介して前記空隙層に積層されていてもよい。
図1(a)の断面図に、本発明の積層体における構成の一例を示す。図示のとおり、この積層体10は、空隙層11の片面に粘接着層12が直接積層されている。また、図1(b)の断面図に、本発明の積層体における構成の別の一例を示す。図示のとおり、この積層体10aは、空隙層11の両面に粘接着層12が直接積層されている。
また、本発明の積層体は、前述のとおり、前記空隙層と前記粘接着層との間に中間層が存在し、前記中間層は、前記空隙層と前記粘接着層との合一によって形成された層であってもよい。図2に、そのような本発明の積層体の例を示す。図2(a)の積層体10bは、図示のとおり、空隙層11の片面に粘接着層12が直接積層されている。この積層体10bは、空隙層11と粘接着層12との間に中間層13が存在していること以外は、図1(a)の積層体10と同じである。中間層13は、空隙層11と粘接着層12との合一によって形成された層である。図2(b)の積層体10cは、図示のとおり、空隙層11の両面に粘接着層12が直接積層されている。この積層体10cは、空隙層11とそれぞれの粘接着層12との間に中間層13が存在していること以外は、図1(b)の積層体10aと同じである。中間層13は、図2(a)と同様に、空隙層11と粘接着層12との合一によって形成された層である。
また、本発明の積層体は、前記空隙層、前記粘接着層、及び前記中間層以外の他の構成要素を含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。前記他の構成要素も特に限定されないが、例えば、基材等であってもよい。前記基材も特に限定されないが、例えば、後述するように、フィルム(例えば樹脂フィルム)、ガラス板等であってもよい。図3に、そのような本発明の積層体の例を示す。図3(a)の積層体10dは、図示のとおり、空隙層11における粘接着層12と反対側の面上に、及び、粘接着層12における空隙層11と反対側の面上に、それぞれ基材14が直接接触して設けられていること以外は図2(a)の積層体10bと同じである。図3(b)の積層体10eは、図示のとおり、両側の粘接着層12における空隙層11と反対側の面上に、それぞれ基材14が直接接触して設けられていること以外は図3(b)の積層体10cと同じである。図3(a)及び図3(b)では積層体の両側に基材14が設けられている。しかし、本発明はこれに限定されず、例えば、いずれか一方の側のみに基材14が設けられていてもよい。また、図3(a)及び図3(b)では、基材14が空隙層11又は粘接着層12に直接接触するように設けられている。しかし、本発明はこれに限定されず、例えば、基材14と空隙層11又は粘接着層12との間に他の構成要素が存在していてもよい。前記他の構成要素も特に限定されないが、例えば、光学機能層でもよい。前記光学機能層も特に限定されず、例えば、一般的な光学フィルムに用いられる光学機能層でもよく、例えば、マイクロレンズフィルム、プリズムフィルム、拡散フィルム、偏光反射フィルム、偏光フィルム、位相差フィルム、高屈折率層等であってもよい。
本発明の積層体は、例えば、前記粘接着層および前記空隙層の積層体、または、前記粘接着層、前記中間層および前記空隙層の積層体の光透過率が、80%以上であってもよい。また、例えば、前記積層体のヘイズが3%以下であってもよい。前記光透過率は、例えば、82%以上、84%以上、86%以上、または88%以上であってもよく、上限は、特に限定されないが、理想的には100%であり、例えば、95%以下、92%以下、91%以下、または90%以下であってもよい。前記積層体のヘイズの測定は、例えば、後述する空隙層のヘイズの測定と同様の方法で行うことができる。また、前記光透過率は、波長550nmの光の透過率であり、例えば、以下の測定方法により測定することができる。
(光透過率の測定方法)
分光光度計U-4100(株式会社日立製作所の商品名)を用いて、前記積層体を、測定対象のサンプルとする。そして、空気の全光線透過率を100%とした際の前記サンプルの全光線透過率(光透過率)を測定する。前記全光線透過率(光透過率)の値は、波長550nmでの測定値をその値とする。
本発明の積層体は、例えば、前記粘接着層の粘着力または接着力が、例えば、0.7N/25mm以上、0.8N/25mm以上、1.0N/25mm以上、または1.5N/25mm以上であってもよく、50N/25mm以下、30N/25mm以下、10N/25mm以下、5N/25mm以下、または3N/25mm以下であってもよい。該積層体をその他の層と貼り合わせをした際の取扱い時の剥がれのリスクという観点からは、前記粘接着層の粘着力または接着力が低すぎないことが好ましい。また、貼り直しの際のリワークという観点からは、前記粘接着層の粘着力または接着力が高すぎないことが好ましい。前記粘接着層の粘着力または接着力は、例えば、以下のようにして測定することができる。
(粘着力または接着力の測定方法)
本発明の積層フィルム(樹脂フィルム基材上に、本発明の積層体が形成されたもの)を、50mm×140mmの短冊状にサンプリングを行い、前記サンプルをステンレス板に両面テープで固定する。PETフィルム(T100:三菱樹脂フィルム社製)にアクリル粘着層(厚み20μm)を貼合し、25mm×100mmにカットした粘着テープ片を、前記本発明の積層フィルムにおける、樹脂フィルムと反対側に貼合し、前記PETフィルムとのラミネートを行う。次に、前記サンプルを、オートグラフ引っ張り試験機(島津製作所社製:AG-Xplus)にチャック間距離が100mmになるようにチャッキングした後に、0.3m/minの引張速度で引っ張り試験を行う。50mmピール試験を行った平均試験力を、粘着ピール強度、すなわち粘着力とする。また、接着力も同一の測定方法で測定できる。本発明において、「粘着力」と「接着力」とに明確な区別はない。
本発明の積層体は、例えば、フィルム等の基材上に形成されていてもよい。前記フィルムは、例えば、樹脂フィルムであってもよい。なお、一般に、比較的厚みが小さいものを「フィルム」と呼び、比較的厚みが大きいものを「シート」と呼んで区別する場合があるが、本発明では、「フィルム」と「シート」とに特に区別はないものとする。
前記基材は、特に制限されず、例えば、熱可塑性樹脂製の基材、ガラス製の基材、シリコンに代表される無機基板、熱硬化性樹脂等で成形されたプラスチック、半導体等の素子、カーボンナノチューブに代表される炭素繊維系材料等が好ましく使用できるが、これらに限定されない。前記基材の形態は、例えば、フィルム、プレート等があげられる。前記熱可塑性樹脂は、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、アクリル、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)、シクロオレフィンポリマー(COP)、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等があげられる。
本発明の光学部材は、特に限定されないが、例えば、前記本発明の積層体を含む光学フィルムでもよい。
本発明の光学装置(光学デバイス)は、特に限定されないが、例えば、画像表示装置でも照明装置でもよい。画像表示装置としては、例えば、液晶ディスプレイ、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ、マイクロLED(Light Emitting Diode)ディスプレイ等があげられる。照明装置としては、例えば、有機EL照明等があげられる。
[2.空隙層]
以下、本発明の積層体における前記空隙層(以下、「本発明の空隙層」という場合がある。)について、例を挙げて説明する。ただし、本発明の空隙層は、これに限定されない。
本発明の空隙層は、例えば、空隙率が35体積%以上であり、かつ、ピーク細孔径が50nm以下であってもよい。ただし、これは例示であって、本発明の空隙層は、これに限定されない。
前記空隙率は、例えば、35体積%以上、38体積%以上、または40体積%以上であってもよく、90体積%以下、80体積%以下、または75体積%以下であってもよい。前記本発明の空隙層は、例えば、空隙率が60体積%以上の高空隙層であっても良い。
前記空隙率は、例えば、下記の測定方法により測定することができる。
(空隙率の測定方法)
空隙率の測定対象となる層が単一層で空隙を含んでいるだけならば、層の構成物質と空気との割合(体積比)は、定法(例えば重量および体積を測定して密度を算出する)により算出することが可能であるため、これにより、空隙率(体積%)を算出できる。また、屈折率と空隙率は相関関係があるため、例えば、層としての屈折率の値から空隙率を算出することもできる。具体的には、例えば、エリプソメーターで測定した屈折率の値から、Lorentz‐Lorenz’s formula(ローレンツ-ローレンツの式)より空隙率を算出する。
本発明の空隙層は、例えば、後述するように、ゲル粉砕物(微細孔粒子)の化学結合により製造することができる。この場合、空隙層の空隙は、便宜上、下記(1)~(3)の3種類に分けることができる。

(1)原料ゲル自体(粒子内)が有する空隙
(2)ゲル粉砕物単位が有する空隙
(3)ゲル粉砕物の堆積により生じる粉砕物間の空隙
前記(2)の空隙は、ゲル粉砕物(微細孔粒子)のサイズ、大きさ等にかかわらず、前記ゲルを粉砕することにより生成された各粒子群を一つの塊(ブロック)とみなした際に、各ブロック内に形成されうる前記(1)とは別に粉砕時に形成される空隙である。また、前記(3)の空隙は、粉砕(例えば、メディアレス粉砕等)において、ゲル粉砕物(微細孔粒子)のサイズ、大きさ等が不ぞろいとなるために生じる空隙である。本発明の空隙層は、例えば、前記(1)~(3)の空隙を有することで、適切な空隙率およびピーク細孔径を有する。
また、前記ピーク細孔径は、例えば、5nm以上、10nm以上、または20nm以上であってもよく、50nm以下、40nm以下、または30nm以下であってもよい。空隙層において、空隙率が高い状態でピーク細孔径が大きすぎると、光が散乱して不透明になる。また、本発明において、空隙層のピーク細孔径の下限値は特に限定されないが、ピーク細孔径が小さすぎると、空隙率を高くしにくくなるため、ピーク細孔径が小さすぎないことが好ましい。本発明において、ピーク細孔径は、例えば、下記の方法により測定することができる。
(ピーク細孔径の測定方法)
細孔分布/比表面積測定装置(BELLSORP MINI/マイクロトラックベル社の商品名)を用いて、窒素吸着によるBJHプロットおよびBETプロット、等温吸着線を算出した結果から、ピーク細孔径を算出する。
また、本発明の空隙層の厚みは、特に限定されないが、例えば、100nm以上、200nm以上、または300nm以上であってもよく、10000nm以下、5000nm以下、または2000nm以下であってもよい。
本発明の空隙層は、例えば、後述するように、多孔体ゲルの粉砕物を使用することで、前記多孔体ゲルの三次元構造が破壊され、前記多孔体ゲルとは異なる新たな三次元構造が形成されている。このように、本発明の空隙層は、前記多孔体ゲルから形成される層では得られない新たな孔構造(新たな空隙構造)が形成された層となったことで、空隙率が高いナノスケールの空隙層を形成することができる。また、本発明の空隙層は、例えば、前記空隙層がシリコーン多孔体である場合、例えば、ケイ素化合物ゲルのシロキサン結合官能基数を調整しつつ、前記粉砕物同士を化学的に結合する。ここで、「シリコーン多孔体」はシロキサン結合を含む高分子多孔体のことであり、例えば、シルセスキオキサンを構成単位として含む多孔体を含む。また、前記空隙層の前駆体として新たな三次元構造が形成された後に、結合工程で化学結合(例えば、架橋)されるため、本発明の空隙層は、例えば、前記空隙層が機能性多孔体である場合、空隙を有する構造であるが、十分な強度と可撓性とを維持できる。したがって、本発明によれば、容易且つ簡便に、空隙層を、様々な対象物に付与することができる。
本発明の空隙層は、例えば、後述するように、多孔体ゲルの粉砕物を含み、前記粉砕物同士が化学的に結合している。本発明の空隙層において、前記粉砕物同士の化学的な結合(化学結合)の形態は、特に制限されず、前記化学結合の具体例は、例えば、架橋結合等が挙げられる。なお、前記粉砕物同士を化学的に結合させる方法は、例えば、前述した空隙層の製造方法において、詳細に説明したとおりである。
前記架橋結合は、例えば、シロキサン結合である。シロキサン結合は、例えば、以下に示す、T2の結合、T3の結合、T4の結合が例示できる。本発明のシリコーン多孔体がシロキサン結合を有する場合、例えば、いずれか一種の結合を有してもよいし、いずれか二種の結合を有してもよいし、三種全ての結合を有してもよい。前記シロキサン結合のうち、T2およびT3の比率が多いほど、可撓性に富み、ゲル本来の特性を期待できるが、膜強度が脆弱になる。一方で、前記シロキサン結合のうちT4比率が多いと、膜強度が発現しやすいが、空隙サイズが小さくなり、可撓性が脆くなる。このため、例えば、用途に応じて、T2、T3、T4比率を変えることが好ましい。
Figure 2023145198000002
本発明の空隙層が前記シロキサン結合を有する場合、T2、T3およびT4の割合は、例えば、T2を「1」として相対的に表した場合、T2:T3:T4=1:[1~100]:[0~50]、1:[1~80]:[1~40]、1:[5~60]:[1~30]である。
また、本発明の空隙層は、例えば、含まれるケイ素原子がシロキサン結合していることが好ましい。具体例として、前記シリコーン多孔体に含まれる全ケイ素原子のうち、未結合のケイ素原子(つまり、残留シラノール)の割合は、例えば、50%未満、30%以下、15%以下、である。
本発明の空隙層は、例えば、孔構造を有している。本発明において、孔の空隙サイズは、空隙(孔)の長軸の直径および短軸の直径のうち、前記長軸の直径を指すものとする。空孔サイズは、例えば、5nm~50nmである。前記空隙サイズは、その下限が、例えば、5nm以上、10nm以上、20nm以上であり、その上限が、例えば、50nm以下、40nm以下、30nm以下であり、その範囲が、例えば、5nm~50nm、10nm~40nmである。空隙サイズは、空隙構造を用いる用途に応じて好ましい空隙サイズが決まるため、例えば、目的に応じて、所望の空隙サイズに調整する必要がある。空隙サイズは、例えば、以下の方法により評価できる。
(空隙層の断面SEM観察)
本発明において、空隙層の形態は、SEM(走査型電子顕微鏡)を用いて観察および解析できる。具体的には、例えば、前記空隙層を、冷却下でFIB加工(加速電圧:30kV)し、得られた断面サンプルについてFIB-SEM(FEI社製:商品名Helios NanoLab600、加速電圧:1kV)により、観察倍率100,000倍にて断面電子像を得ることができる。
(空隙サイズの評価)
本発明において、前記空隙サイズは、BET試験法により定量化できる。具体的には、細孔分布/比表面積測定装置(BELLSORP MINI/マイクロトラックベル社の商品名)のキャピラリに、サンプル(本発明の空隙層)を0.1g投入した後、室温で24時間、減圧乾燥を行って、空隙構造内の気体を脱気する。そして、前記サンプルに窒素ガスを吸着させることで、BETプロットおよびBJHプロット、吸着等温線を描き、細孔分布を求める。これによって、空隙サイズが評価できる。
本発明の空隙層は、例えば、前述のように孔構造(多孔質構造)を有していてもよく、例えば、前記孔構造が連続した連泡構造体であってもよい。前記連泡構造体とは、例えば、前記空隙層において、三次元的に、孔構造が連なっていることを意味し、前記孔構造の内部空隙が連続している状態ともいえる。多孔質体が連泡構造を有する場合、これにより、バルク中に占める空隙率を高めることが可能であるが、中空シリカのような独泡粒子を使用する場合は、連泡構造を形成できない。これに対して、本発明の空隙層は、ゾル粒子(ゾルを形成する多孔体ゲルの粉砕物)が三次元の樹状構造を有するために、塗工膜(前記多孔体ゲルの粉砕物を含むゾルの塗工膜)中で、前記樹状粒子が沈降・堆積することで、容易に連泡構造を形成することが可能である。また、本発明の空隙層は、より好ましくは、連泡構造が複数の細孔分布を有するモノリス構造を形成することが好ましい。前記モノリス構造は、例えば、ナノサイズの微細な空隙が存在する構造と、同ナノ空隙が集合した連泡構造として存在する階層構造を指すものとする。前記モノリス構造を形成する場合、例えば、微細な空隙で膜強度を付与しつつ、粗大な連泡空隙で高空隙率を付与し、膜強度と高空隙率とを両立することができる。それらのモノリス構造を形成するには、例えば、まず、前記粉砕物に粉砕する前段階の前記多孔体ゲルにおいて、生成する空隙構造の細孔分布を制御することが重要である。また、例えば、前記多孔体ゲルを粉砕する際、前記粉砕物の粒度分布を、所望のサイズに制御することで、前記モノリス構造を形成させることができる。
本発明の空隙層において、透明性を示すヘイズは、特に制限されず、その下限が、例えば、0.1%以上、0.2%以上、0.3%以上であり、その上限が、例えば、10%以下、5%以下、3%以下であり、その範囲が、例えば、0.1~10%、0.2~5%、0.3~3%である。
前記ヘイズは、例えば、以下のような方法により測定できる。
(ヘイズの評価)
空隙層(本発明の空隙層)を50mm×50mmのサイズにカットし、ヘイズメーター(村上色彩技術研究所社製:HM-150)にセットしてヘイズを測定する。ヘイズ値については、以下の式より算出を行う。
ヘイズ(%)=[拡散透過率(%)/全光線透過率(%)]×100(%)
前記屈折率は、一般に、真空中の光の波面の伝達速度と、媒質内の伝播速度との比を、その媒質の屈折率という。本発明の空隙層の屈折率は、特に制限されず、その上限が、例えば、1.3以下、1.3未満、1.25以下、1.2以下、1.15以下であり、その下限が、例えば、1.05以上、1.06以上、1.07以上であり、その範囲が、例えば、1.05以上1.3以下、1.05以上1.3未満、1.05以上1.25以下、1.06以上1.2未満、1.07以上1.15以下である。
本発明において、前記屈折率は、特に断らない限り、波長550nmにおいて測定した屈折率をいう。また、屈折率の測定方法は、特に限定されず、例えば、下記の方法により測定できる。
(屈折率の評価)
空隙層上に粘着剤を貼り合わせた積層体サンプルを調整する。前記サンプルの基材面側に、プリズムカプラ(メリトリコン社製)のプリズムを密着させ、レーザーを用いて全反射臨界角を測定する。その臨界角の値から屈折率を算出する。
本発明の空隙層の厚みは、特に制限されず、その下限が、例えば、0.05μm以上、0.1μm以上であり、その上限が、例えば、1000μm以下、100μm以下であり、その範囲が、例えば、0.05~1000μm、0.1~100μmである。
本発明の空隙層の形態は、特に制限されず、例えば、フィルム形状でもよいし、ブロック形状等でもよい。
本発明の空隙層の製造方法は、特に制限されないが、例えば、国際公開第2019/065999号、国際公開第2019/065803号に記載された方法で製造することができる。当該公報の記載は、本明細書に参考として援用される。
[3.粘接着剤塗工液]
本発明の積層体において、前記粘接着層は、例えば、前述のとおり、粘接着剤塗工液を用いて形成することができる。本発明において、「粘着剤」と「接着剤」とは、後述するように、必ずしも明確に区別できるものではない。本発明において、「粘接着剤」という場合は、特に断らない限り、「粘着剤」と「接着剤」との両方を含む。前記粘接着剤塗工液は、例えば、前記(メタ)アクリル系ポリマーを含む粘接着剤塗工液であってもよく、また、例えば、前記オリゴマー型のシランカップリング剤を含む粘接着剤塗工液であってもよく、また、例えば、さらに、架橋剤(例えばイソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤)を含む粘接着剤塗工液であってもよく、また、例えば、さらに、反応性二重結合を1分子中に1つ又は2つ有するモノマーと、有機過酸化物とを含んでいてもよい。前記粘接着剤塗工液は、特に限定されないが、例えば、以下に例示するとおりである。
前記粘接着剤塗工液は、例えば、前記(メタ)アクリル系ポリマーが、例えば、モノマー成分として、複素環含有アクリルモノマー3~20質量%、重合性の官能基を有し、かつ(メタ)アクリル酸0.5~5質量%、およびヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート0.05~2質量%、および、アルキル(メタ)アクリレート83~96.45質量%を含有してなる(メタ)アクリル系ポリマーであり、この(メタ)アクリル系ポリマーをベースポリマーとして用いてもよい。
複素環含有アクリルモノマーとしては、例えば、重合性の官能基を有し、かつ複素環を有するものを特に制限なく用いることができる。重合性官能基は、(メタ)アクリロイル基、ビニルエーテル基等があげられる。これらのなかで、(メタ)アクリロイル基が好適である。複素環としては、モルホリン環、ピペリジン環、ピロリジン環、ピペラジン環等があげられる。複素環含有アクリルモノマーとしては、例えば、N-アクリロイルモルホリン、N-アクリロイルピペリジン、N-メタクリロイルピペリジン、N-アクリロイルピロリジン等があげられる。これらのなかでも、N-アクリロイルモルホリンが好適である。なお、複素環含有アクリルモノマーは、粘着剤層(粘接着層)を薄型化した場合の耐熱性、耐湿性のいずれの耐久性を向上させることができる。なお、以下において、N-アクリロイルモルホリンを「ACMO」ということがある。
また、複素環含有アクリルモノマーは、粘着剤層(粘接着層)の光学フィルムへの粘着力を向上できる点で好ましい。特に、ノルボルネン系樹脂等の環状ポリオレフィンに対する粘着力を向上させる点で好ましく、光学フィルムとして、環状ポリオレフィンを用いている場合に、好適である。
複素環含有アクリルモノマーは、例えば、(メタ)アクリル系ポリマーを形成するモノマー成分の全量に対して3~20質量%の割合で用いられる。複素環含有アクリルモノマーの割合は、例えば、4~19質量%または6~18質量%であってもよい。複素環含有アクリルモノマーの割合は、粘着剤層(粘接着層)を薄型化した場合の耐熱性、耐湿性の観点から、前記範囲よりも少なくないことが好ましい。また、複素環含有アクリルモノマーの割合は、薄型化した場合の耐湿性の観点から、前記範囲よりも多くないことが好ましい。また、複素環含有アクリルモノマーの割合は、粘着剤層(粘接着層)の貼り合せ性を向上させる観点から、複素環含有アクリルモノマーの割合が前記範囲よりも多くないことが好ましい。また、複素環含有アクリルモノマーの割合は、粘着力の観点から、前記範囲よりも多くないことが好ましい。
(メタ)アクリル酸としては、特にアクリル酸が好ましい。
(メタ)アクリル酸は、例えば、(メタ)アクリル系ポリマーを形成するモノマー成分の全量に対して、0.5~5質量%の割合で用いられる。(メタ)アクリル酸の割合は、例えば、1~4.5質量%または1.5~4質量%であってもよい。(メタ)アクリル酸の割合は、粘着剤層(粘接着層)を薄型化した場合の耐熱性の観点から、前記範囲よりも少なくないことが好ましい。また、(メタ)アクリル酸の割合は、薄型化した場合の耐熱性、耐湿性の観点から、前記範囲よりも多くないことが好ましい。また、(メタ)アクリル酸の割合は、粘着力の観点から、前記範囲よりも多くないことが好ましい。
ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、重合性の官能基を有し、かつヒドロキシル基を有するものを特に制限なく用いることができる。ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6-ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8-ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、10-ヒドロキシデシル(メタ)アクリレート、12-ヒドロキシラウリル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートが好適である。
ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートは、例えば、(メタ)アクリル系ポリマーを形成するモノマー成分の全量に対して、0.05~2質量%の割合で用いられる。ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの割合は、例えば、0.075~1.5質量%または0.1~1質量%であってもよい。ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの割合は、粘着剤層(粘接着層)を薄型化した場合の耐熱性の観点から、前記範囲よりも少なくないことが好ましい。また、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの割合は、薄型化した場合の耐熱性、耐湿性の観点から、前記範囲よりも多くないことが好ましい。また、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの割合は、粘着力の観点から、前記範囲よりも多くないことが好ましい。
アルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、アルキル(メタ)アクリレートのアルキル基の平均炭素数が1~12程度であってもよい。なお、(メタ)アクリレートはアクリレートおよび/またはメタクリレートをいい、本発明の(メタ)とは同様の意味である。アルキル(メタ)アクリレートの具体例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート等を例示でき、これらは単独または組み合わせて使用できる。これらの中でもアルキル基の炭素数1~9のアルキル(メタ)アクリレートが好ましい。
アルキル(メタ)アクリレートは、例えば、(メタ)アクリル系ポリマーを形成するモノマー成分の全量に対して、83~96.45質量%の割合で用いられる。アルキル(メタ)アクリレートは、通常、前記複素環含有アクリルモノマー、(メタ)アクリル酸およびヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの以外の残部である。
前記(メタ)アクリル系ポリマーを形成するモノマー成分としては、例えば、前記モノマーの他に、本発明の目的を損なわない範囲で、前記以外の任意モノマーを、モノマー全量の10%以下の範囲で用いることができる。
前記任意モノマーとしては、例えば、無水マレイン酸、無水イタコン酸などの酸無水物基含有モノマー;アクリル酸のカプロラクトン付加物;スチレンスルホン酸やアリルスルホン酸、2-(メタ)アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシナフタレンスルホン酸などのスルホン酸基含有モノマー;2-ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェートなどの燐酸基含有モノマーなどがあげられる。窒素含有ビニルモノマーがあげられる。例えば、マレイミド、N-シクロへキシルマレイミド、N-フェニルマレイミド;(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、N-ヘキシル(メタ)アクリルアミド、N-メチル(メタ)アクリルアミド、N-ブチル(メタ)アクリルアミド、N-ブチル(メタ)アクリルアミドやN-メチロール(メタ)アクリルアミド、N-メチロールプロパン(メタ)アクリルアミドなどの(N-置換)アミド系モノマー;(メタ)アクリル酸アミノエチル、(メタ)アクリル酸アミノプロピル、(メタ)アクリル酸N,N-ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸t-ブチルアミノエチル、3-(3-ピリニジル)プロピル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸アルキルアミノアルキル系モノマー;(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチルなどの(メタ)アクリル酸アルコキシアルキル系モノマー;N-(メタ)アクリロイルオキシメチレンスクシンイミドやN-(メタ)アクリロイル-6-オキシヘキサメチレンスクシンイミド、N-(メタ)アクリロイル-8-オキシオクタメチレンスクシンイミドなどのスクシンイミド系モノマーなどがあげられる。
さらに、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、N-ビニルピロリドン、メチルビニルピロリドン、ビニルピリジン、ビニルピペリドン、ビニルピリミジン、ビニルピペラジン、ビニルピラジン、ビニルピロール、ビニルイミダゾール、ビニルオキサゾール、ビニルモルホリン、N-ビニルカルボン酸アミド類、スチレン、α-メチルスチレン、N-ビニルカプロラクタムなどのビニル系モノマー;アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのシアノアクリレート系モノマー;(メタ)アクリル酸グリシジルなどのエポキシ基含有アクリル系モノマー;(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸ポリプロピレングリコール、(メタ)アクリル酸メトキシエチレングリコール、(メタ)アクリル酸メトキシポリプロピレングリコールなどのグリコール系アクリルエステルモノマー;(メタ)アクリル酸テトラヒドロフルフリル、フッ素(メタ)アクリレート、シリコーン(メタ)アクリレートや2-メトキシエチルアクリレートなどのアクリル酸エステル系モノマーなども使用することができる。
さらに、上記以外の共重合可能なモノマーとして、ケイ素原子を含有するシラン系モノマーなどがあげられる。シラン系モノマーとしては、例えば、3-アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、4-ビニルブチルトリメトキシシラン、4-ビニルブチルトリエトキシシラン、8-ビニルオクチルトリメトキシシラン、8-ビニルオクチルトリエトキシシラン、10-メタクリロイルオキシデシルトリメトキシシラン、10-アクリロイルオキシデシルトリメトキシシラン、10-メタクリロイルオキシデシルトリエトキシシラン、10-アクリロイルオキシデシルトリエトキシシランなどがあげられる。
本発明の積層体における前記粘接着層で用いる(メタ)アクリル系ポリマーは、前述のとおり、重量平均分子量(Mw)が、例えば150万~400万であってもよい。前記重量平均分子量は、例えば、重量平均分子量が180万~380万であってもよく、例えば、200万~350万または220万~330万であってもよい。前記重量平均分子量は、粘着剤層(粘接着層)を薄型化した場合の耐熱性、耐湿性の観点から、前記範囲よりも小さくないことが好ましい。また、前記重量平均分子量は、薄型化した場合の前記耐久性、および、貼り合せ性、粘着力の観点から、前記範囲よりも大きくないことが好ましい。なお、本発明において、重量平均分子量は、例えば、GPC(ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー)により測定し、ポリスチレン換算により算出された値をいう。
このような(メタ)アクリル系ポリマーの製造方法は、特に限定されず、例えば、溶液重合、塊状重合、乳化重合、各種ラジカル重合などの公知の製造方法を適宜選択できる。また、得られる(メタ)アクリル系ポリマーは、ランダム共重合体、ブロック共重合体、グラフト共重合体などいずれでもよい。
なお、溶液重合においては、重合溶媒として、例えば、酢酸エチル、トルエンなどが用いられる。具体的な溶液重合例としては、反応は窒素などの不活性ガス気流下で、重合開始剤を加え、例えば、50~70℃程度で、1~30時間程度の反応条件で行われる。
ラジカル重合に用いられる重合開始剤、連鎖移動剤、乳化剤などは特に限定されず適宜選択して使用することができる。なお、(メタ)アクリル系ポリマーの重量平均分子量は、重合開始剤、連鎖移動剤の使用量、反応条件により制御可能であり、これらの種類に応じて適宜その使用量が調整される。
重合開始剤としては、例えば、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス(2-アミジノプロパン)ジヒドロクロライド、2,2’-アゾビス[2-(5-メチル-2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]ジヒドロクロライド、2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン)二硫酸塩、2,2’-アゾビス(N,N’-ジメチレンイソブチルアミジン)、2,2’-アゾビス[N-(2-カルボキシエチル)-2-メチルプロピオンアミジン]ハイドレート(和光純薬社製、VA-057)などのアゾ系開始剤、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩、ジ(2-エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ(4-t-ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ-sec-ブチルパーオキシジカーボネート、t-ブチルパーオキシネオデカノエート、t-ヘキシルパーオキシピバレート、t-ブチルパーオキシピバレート、ジラウロイルパーオキシド、ジ-n-オクタノイルパーオキシド、1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、ジ(4-メチルベンゾイル)パーオキシド、ジベンゾイルパーオキシド、t-ブチルパーオキシイソブチレート、1,1-ジ(t-ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、t-ブチルハイドロパーオキシド、過酸化水素などの過酸化物系開始剤、過硫酸塩と亜硫酸水素ナトリウムの組み合わせ、過酸化物とアスコルビン酸ナトリウムの組み合わせなどの過酸化物と還元剤とを組み合わせたレドックス系開始剤などをあげることができるが、これらに限定されるものではない。
前記重合開始剤は、単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。前記重合開始剤の全体としての含有量は、モノマー100質量部に対して、例えば、0.005~1質量部程度または0.02~0.5質量部程度であってもよい。
なお、重合開始剤として、例えば、2,2’-アゾビスイソブチロニトリルを用いて、前記重量平均分子量の(メタ)アクリル系ポリマーを製造するには、重合開始剤の使用量は、モノマー成分の全量100質量部に対して、例えば、0.06~0.2質量部程度または0.08~0.175質量部程度であってもよい。
連鎖移動剤としては、例えば、ラウリルメルカプタン、グリシジルメルカプタン、メルカプト酢酸、2-メルカプトエタノール、チオグリコール酸、チオグルコール酸2-エチルヘキシル、2,3-ジメルカプト-1-プロパノールなどがあげられる。連鎖移動剤は、単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。前記連鎖移動剤の、全体としての含有量はモノマー成分の全量100質量部に対して、例えば、0.1質量部程度以下である。
また、乳化重合する場合に用いる乳化剤としては、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸アンモニウム、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸ナトリウムなどのアニオン系乳化剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンブロックポリマーなどのノニオン系乳化剤などがあげられる。これらの乳化剤は、単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
さらに、反応性乳化剤として、プロペニル基、アリルエーテル基などのラジカル重合性官能基が導入された乳化剤として、具体的には、例えば、アクアロンHS-10、HS-20、KH-10、BC-05、BC-10、BC-20(以上、いずれも第一工業製薬社製)、アデカリアソープSE10N(旭電化工社製)などがある。反応性乳化剤は、重合後にポリマー鎖に取り込まれるため、耐水性がよくなり好ましい。乳化剤の使用量は、モノマー成分の全量100質量部に対して、0.3~5質量部、重合安定性や機械的安定性から0.5~1質量部がより好ましい。
前記粘接着剤塗工液中における前記(メタ)アクリル系ポリマーの含有率は、特に限定されないが、例えば、前記粘接着剤塗工液の全質量に対し、例えば、3質量%以上、または5質量%以上であってもよく、例えば、30質量%以下、20質量%以下、または10質量%以下であってもよい。
また、前記粘接着剤塗工液は、例えば、反応性二重結合を1分子中に1つ又は2つ有するモノマーを含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。前記反応性二重結合を1分子中に1つ又は2つ有するモノマーとしては、特に限定されないが、グラフト反応の反応速度の観点から、アクリル系モノマー、ビニル系モノマー、メタクリル系モノマー、アリル系モノマーが好ましく、アクリル系モノマーがより好ましい。前記アクリル系モノマーは、特に限定されないが、例えば、前記アクリル系ポリマーのモノマー成分として例示したモノマーと同様でもよい。前記反応性二重結合を1分子中に1つ又は2つ有するモノマーにおいて、側鎖の構造は特に限定されないが、複素環含有モノマーが、適正な範囲での高弾性率化と半高分子ポリマー量の低減を同時に達成できる点から好ましい。
前記粘接着剤塗工液が、前記反応性二重結合を1分子中に1つ又は2つ有するモノマーを含む場合、その含有率は、特に限定されないが、前記粘接着剤塗工液中において、例えば、前記(メタ)アクリル系ポリマーの全質量に対し、例えば、0.1質量%以上、0.5質量%以上、または1質量%以上であってもよく、例えば、30質量%以下、20質量%以下、または10質量%以下であってもよい。
前記オリゴマー型のシランカップリング剤の重量平均分子量(Mw)は、前述のとおり300以上であってもよい。本発明の積層体は、前記粘接着剤塗工液にオリゴマー型のシランカップリング剤を含むことで、前記粘接着剤塗工液から形成される粘接着層の耐久性を向上することができ、特に、加湿環境下での耐久性に優れ、長期間放置後であっても高い耐久性を維持することができるものである。ここで、本発明において、前記粘接着剤塗工液は、例えば、粘着剤(粘着剤組成物)であってもよい。前記粘接着層は、例えば、粘着剤(粘着剤組成物)から形成された粘着剤層であってもよい。また、ここで、オリゴマー型とは、モノマーの2量体(重合度2)以上100量体(重合度)未満程度の重合体を指すものであり、オリゴマー型シランカップリング剤の重量平均分子量としては、300~30000程度が好ましい。なお、本発明において、前記オリゴマー型のシランカップリング剤の重合度は、特に限定されない。
前記オリゴマー型のシランカップリング剤は、例えば、分子内に2個以上のアルコキシシリル基を有するシランカップリング剤であってもよい。具体的には、例えば、信越化学工業(株)製のX-41-1053、X-41-1059A、X-41-1056等が挙げられる。これらのカップリング剤は、揮発しにくく、アルコキシシリル基を複数有することから耐久性向上に効果的であり好ましい。
前記オリゴマー型のシランカップリング剤のアルコキシシリル基の数は、特に限定されるものではないが、分子内に2個以上であることが好ましい。また、前記オリゴマー型のシランカップリング剤のアルコキシ基の量は、シランカップリング剤中、例えば、10~60質量%であることが好ましく、20~50質量%であることがより好ましく、20~40質量%であることがさらに好ましい。アルコキシ基の種類は限定されないが、例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ等の炭素数1~6のアルコキシ基を挙げることができる。これらの中でも、メトキシ、エトキシが好ましく、メトキシがより好ましい。また、一分子中、メトキシとエトキシの両方を含むことも好ましい。
前記オリゴマー型のシランカップリング剤は、前述のとおり、エポキシ基を含有してもよい。前記オリゴマー型のシランカップリング剤のエポキシ当量は、例えば、1000g/mol以下であることが好ましく、500g/mol以下であることがより好ましく、300g/mol以下であることがより好ましい。また、前記エポキシ当量の下限値は特に限定されるものではないが、例えば、200g/mol以上であることが好ましい。
前記オリゴマー型のシランカップリング剤は、エポキシ基を含有することが好ましいが、酸無水物基を含有しても良い。酸無水物基を含有するオリゴマー型のシランカップリング剤を使用することで、シランカップリング剤を使用しない場合と比べ、前記加熱耐久試験後の屈折率の変化量を低減し、さらに、前記加熱耐久試験後の粘着層と低屈折率層との接着力を向上させることができる。
前記オリゴマー型のシランカップリング剤は、単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよい。全体としての前記オリゴマー型のシランカップリング剤の含有量は、前記(メタ)アクリル系ポリマー100質量部に対し、前述のとおり、1質量部以下であるが、例えば、0.2質量部以下が好ましい。含有量を前述の範囲にすることで、前記初期屈折率の上昇を抑制し、さらに、前記加熱耐久試験後の屈折率の変化量を低減することができる。
また、本発明で用いる前記粘接着剤塗工液(例えば粘着剤組成物)には、前記オリゴマー型のシランカップリング剤以外のシランカップリング剤も添加することができる。その他のカップリング剤としては、例えば、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3-トリエトキシシリル-N-(1,3-ジメチルブチリデン)プロピルアミン、N-フェニル-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノ基含有シランカップリング剤、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン等の(メタ)アクリル基含有シランカップリング剤、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等のイソシアネート基含有シランカップリング剤等を挙げることができる。
前記オリゴマー型のシランカップリング剤以外のシランカップリング剤は、本発明の効果を損なわない範囲で添加することができ、その添加量は特に限定されるものではない。
また、前記粘接着剤塗工液は、例えば、前述のとおり、架橋剤を含んでいてもよい。前記架橋剤は、特に限定されないが、例えば、イソシアネート系架橋剤やエポキシ系架橋剤が挙げられる。前記イソシアネート系架橋剤としては、特に限定されないが、例えば、トリレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネートなどの芳香族イソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどの脂環族イソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートなどの脂肪族イソシアネートなどがあげられる。前記エポキシ系架橋剤としては、特に限定されないが、例えば、ビスフェノールA・エピクロルヒドリン型のエポキシ樹脂、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエリスリトール、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、1,3′-ビス(N,N-ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N′,N′-テトラグリシジル-m-キシレンジアミンなどが挙げられる。
前記イソシアネート系架橋剤としては、より具体的には、例えば、ブチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートなどの低級脂肪族ポリイソシアネート類、シクロペンチレンジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートなどの脂環族イソシアネート類、2,4-トリレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネート類、トリメチロールプロパン/トリレンジイソシアネート3量体付加物(日本ポリウレタン工業社製、商品名コロネートL)、トリメチロールプロパン/ヘキサメチレンジイソシアネート3量体付加物(日本ポリウレタン工業社製、商品名コロネートHL)、ヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート体(日本ポリウレタン工業社製、商品名コロネートHX)などのイソシアネート付加物、ポリエーテルポリイソシアネート、ポリエステルポリイソシアネート、ならびにこれらと各種のポリオールとの付加物、イソシアヌレート結合、ビューレット結合、アロファネート結合などで多官能化したポリイソシアネートなどを挙げることができる。
前記エポキシ系架橋剤としては、より具体的には、例えば、三菱ガス化学社製「テトラッドC」、三菱ガス化学社製「テトラッドX」、Synasia社製「S-610」などを挙げることができる。
前記架橋剤(例えばイソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤)は単独で使用してもよく、また2種以上を混合して使用してもよいが、全体としての含有量は、前記(メタ)アクリル系ポリマー100質量部に対し、前記系架橋剤を、例えば、0.02~2質量部、0.04~1.5質量部、または0.05~1質量部含有していてもよい。前記イソシアネート系架橋剤の含有量は、凝集力の観点から0.02質量部以上が好ましく、一方、架橋形成の過多による接着力低下を抑制または防止する観点からは、2質量部以下が好ましい。前記エポキシ系架橋剤の含有量は、空隙残存率の観点から0.01質量部以上が好ましく、一方、剥がれ耐久性の観点からは0.5質量部以下が好ましい。
前記粘接着剤塗工液において、前記架橋剤は、例えば、イソシアネート系架橋剤又はエポキシ系架橋剤のいずれかのみからなっていてもよいし、さらに、イソシアネート系架橋剤又はエポキシ系架橋剤以外の他の架橋剤を含んでいてもよいし含んでいなくてもよい。前記他の架橋剤としては、有機系架橋剤や多官能性金属キレートがあげられる。有機系架橋剤としては、エポキシ系架橋剤、イミン系架橋剤などがあげられる。有機系架橋剤としてはイソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤が好ましい。多官能性金属キレートは、多価金属が有機化合物と共有結合または配位結合しているものである。多価金属原子としては、Al、Cr、Zr、Co、Cu、Fe、Ni、V、Zn、In、Ca、Mg、Mn、Y、Ce、Sr、Ba、Mo、La、Sn、Ti等があげられる。共有結合または配位結合する有機化合物中の原子としては酸素原子等があげられ、有機化合物としてはアルキルエステル、アルコール化合物、カルボン酸化合物、エーテル化合物、ケトン化合物等があげられる。
また、前記粘接着剤塗工液は、例えば、有機過酸化物を含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。前記有機過酸化物は、特に限定されないが、例えば、ジ(2-エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ(4-t-ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ-sec-ブチルパーオキシジカーボネート、t-ブチルパーオキシネオデカノエート、t-ヘキシルパーオキシピバレート、t-ブチルパーオキシピバレート、ジラウロイルパーオキシド、ジ-n-オクタノイルパーオキシド、1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、ジ(4-メチルベンゾイル)パーオキシド、ジベンゾイルパーオキシド、t-ブチルパーオキシイソブチレート、1,1-ジ(t-ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、t-ブチルハイドロパーオキシド、等が挙げられ、1種類のみ用いても複数種類併用してもよい。
前記粘接着剤塗工液が前記有機過酸化物を含む場合、その含有率は、特に限定されないが、前記粘接着剤塗工液中において、例えば、前記(メタ)アクリル系ポリマーの全質量に対し、例えば、0.02質量%以上、0.1質量%以上、0.5質量%以上、1質量%以上、または2.5質量%以上であってもよく、例えば、20質量%以下、10質量%以下、8質量%以下、または6質量%以下であってもよい。
前記粘接着剤塗工液は、さらに、溶媒等を含んでいてもよい。前記溶媒は、特に限定されないが、例えば、前記(メタ)アクリル系ポリマーの製造における溶液重合で用いた重合溶媒をそのまま用いてもよい。
さらには、前記粘接着剤塗工液には、必要に応じて、粘着付与剤、可塑剤、ガラス繊維、ガラスビーズ、金属粉、その他の無機粉末等からなる充填剤、顔料、着色剤、充填剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、シランカップリング剤等を、また本発明の目的を逸脱しない範囲で各種の添加剤を適宜に使用することもできる。また微粒子を含有して光拡散性を示す粘着剤層(粘接着層)などとしても良い。
前記粘接着剤塗工液を用いて、例えば、後述する方法により、本発明の積層体における前記粘接着層を形成することができる。前記粘接着層は、例えば、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー法による前記粘接着層の分子量測定において、前記粘接着層のゾル分の重量平均分子量が3万~60万であってもよい。また、例えば、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー法による前記粘接着層の分子量測定において、前記粘接着層のゾル分における分子量1万以下の低分子量成分の含有率が20重量%(質量%)以下であってもよい。前記ゾル分の重量平均分子量または前記ゾル分中の分子量が1万以下の低分子量成分の含有量を前記特定範囲とすることで、さらに、前記空隙層の空隙に前記粘着剤が浸透しにくくなる。前記ゾル分の重量平均分子量は、例えば、5万以上でもよく、例えば、55万以下または50万以下でもよく、例えば、5~55万または6~50万でもよい。また、前記ゾル分中の分子量が1万以下の成分の含有量(割合)は、前記ゾル分全量(100質量%)に対し、例えば、前述のとおり20質量%以下であってもよく、例えば、15質量%以下または10質量%以下であってもよい。前記ゾル分中の分子量が1万以下の成分の含有量(割合)の下限値は、特に限定されないが、例えば、0質量%以上または0質量%を超える数値でもよく、例えば、3質量%以上でもよい。前記ゾル分中の分子量が1万以下の成分の含有量(割合)は、例えば、3~15質量%または3~10質量%でもよい。
[4.積層体の製造方法]
本発明の積層体の製造方法は、特に限定されないが、例えば、以下に説明する製造方法により行うことができる。ただし、以下の説明は例示であり、本発明をなんら限定しない。なお、本発明の空隙層は、特に制限されないが、例えば前述のとおりである。また、本発明の空隙層の製造方法も、前述のとおり、特に制限されず、例えば、国際公開第2019/065999号、国際公開第2019/065803号に記載された方法で製造することができる。
本発明の積層体の製造方法は、例えば、前記粘接着層を製造する粘接着層製造工程と、前記粘接着層を前記空隙層に貼り合せる貼合工程と、を含んでいてもよい。前記粘接着層の製造方法は、例えば、前記粘接着剤塗工液を基材に塗布する粘接着剤塗工液塗布工程と、前記粘接着剤塗工液が塗布された前記基材を加熱乾燥する加熱乾燥工程と、を含んでいてもよい。例えば、基材上に前記本発明の粘接着層が積層された粘着テープ等の、前記粘接着層側を、本発明の空隙層上に貼り合せることにより、本発明の空隙層上に前記粘接着層を形成しても良い。この場合、前記粘着テープ等の基材は、そのまま貼り合せたままにしても良いし、前記粘接着層から剥離しても良い。特に、基材を剥離して、基材を有しない(基材レスの)空隙層含有粘接着シートとすることで、厚みを大幅に低減することができ、デバイス等の厚み増加を抑制できる。本発明において、「粘着剤」および「粘着層」は、例えば、被着体の再剥離を前提とした剤または層をいう。本発明において、「接着剤」および「接着層」は、例えば、被着体の再剥離を前提としない剤または層をいう。ただし、本発明において、「粘着剤」と「接着剤」は、必ずしも明確に区別できるものではなく、「粘着層」と「接着層」は、必ずしも明確に区別できるものではない。本発明において、前記粘接着層は、例えば、前述のとおり、前記粘接着剤塗工液を用いて製造することができる。
前記粘接着層製造工程は、例えば、以下のようにして行うことができる。まず、前記粘接着剤塗工液の全成分を混合する混合工程により、前記粘接着剤塗工液を製造する。前記粘接着剤塗工液は、例えば、前述のとおり、前記(メタ)アクリル系ポリマーを含んでいてもよく、また、例えば、さらに架橋剤(例えばイソシアネート系架橋剤、エポキシ系架橋剤)を含んでいてもよい。前記粘接着剤塗工液は、例えば、前記(メタ)アクリル系ポリマーと、反応性二重結合を1分子中に1つ又は2つ有するモノマーと、有機過酸化物とを含んでいてもよい。このとき、前記粘接着剤塗工液が、他の成分を含む場合は、前記他の成分も一緒に混合してもよい。例えば、前記(メタ)アクリル系ポリマー製造時の重合溶媒を除去せずに、そのまま前記粘接着剤塗工液の成分として混合してもよい。また、前記粘接着剤塗工液の製造方法は、前記混合工程以外の他の工程を含んでいてもよいが、含んでいなくてもよく、単に前記混合工程により前記粘接着剤塗工液の全成分を混合するのみでもよい。
つぎに、前記粘接着剤塗工液を基材に塗布する(粘接着剤塗工液塗布工程)。前記基材は、特に制限されず、例えば、フィルム等の基材であってもよい。前記基材は、例えば、熱可塑性樹脂製の基材、ガラス製の基材、シリコンに代表される無機基板、熱硬化性樹脂等で成形されたプラスチック、半導体等の素子、カーボンナノチューブに代表される炭素繊維系材料等が好ましく使用できるが、これらに限定されない。前記基材の形態は、例えば、フィルム、プレート等があげられる。前記熱可塑性樹脂は、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、アクリル、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)、シクロオレフィンポリマー(COP)、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等があげられる。また、前記粘接着剤塗工液塗布工程において、前記粘接着剤塗工液の塗布厚みは、特に限定されないが、例えば、乾燥後の粘接着層の厚みが所定の厚みになるように適宜調整すればよい。乾燥後の粘接着層の厚みも特に限定されないが、例えば、後述のとおりである。
つぎに、前記粘接着剤塗工液が塗布された前記基材を加熱乾燥する(加熱乾燥工程)。この加熱乾燥工程において、加熱乾燥の温度は、特に限定されないが、例えば、50℃以上、80℃以上、100℃以上、または155℃以上であってもよく、例えば、200℃以下、180℃以下、または160℃以下であってもよい。加熱乾燥の時間は、特に限定されないが、例えば、0.5分以上、1分以上、または3分以上であってもよく、例えば、60分以下、30分以下、20分以下、または10分以下であってもよい。この加熱乾燥工程において、例えば、前記(メタ)アクリル系ポリマーと架橋剤との間で、架橋反応及びグラフト重合が起こる。これにより、例えば、前述のとおり、前記粘接着剤塗工液中に存在する半高分子ポリマーの量が減少し、前記粘接着層が前記空隙層の空隙中に浸透しにくくなる。以上のようにして、本発明の積層体に用いる前記粘接着層を製造できる。
つぎに、前記粘接着層を前記空隙層に貼り合せる(貼合工程)。この方法は特に限定されないが、例えば、前述のとおり、基材上に前記本発明の粘接着層が積層された粘着テープ等の、前記粘接着層側を、本発明の空隙層上に貼り合せることにより、本発明の空隙層上に前記粘接着層を形成しても良い。以上のようにして、前記本発明の積層体を製造できる。
前記本発明の積層体の製造方法において、例えば、さらに、前記貼合工程後に前記粘接着層および前記空隙層を加熱する加熱工程を行ってもよい。以下において、この加熱工程を「エージング工程」という場合がある。前記加熱工程(エージング工程)において、加熱温度は、特に限定されないが、例えば、40℃以上、45℃以上、または50℃以上であってもよく、例えば、80℃以下、70℃以下、60℃以下、または55℃以下であってもよい。加熱時間は、特に限定されないが、例えば、1分以上、10分以上、60分以上、または1800分以上であってもよく、例えば、3000分以下、2800分以下、2500分以下、または2000分以下であってもよい。このエージング工程において、例えば、前記空隙層と前記粘接着層との合一によって前記中間層が形成される。そして、例えば前述のとおり、前記中間層がストッパーとなり、前記空隙層の空隙が粘着剤によって埋まることによる空隙率の減少を抑制できる。なお、前記空隙層と前記粘接着層との合一は、前記粘接着層が前記空隙層の空隙に埋まり込んで且つ化学的に結合したものであってもよいし、前記粘接着層が前記空隙層の空隙に埋まり込んだものであってもよい。
前記粘接着層により、前記空隙層を、物理的ダメージ(特に擦傷)から保護することが可能である。また、前記粘接着層は、基材を有しない(基材レスの)空隙層含有粘接着シートとしても前記空隙層が潰れないように、耐圧性に優れたものが好ましいが、特には限定されない。また、前記粘接着層の厚みは、特に制限されないが、例えば、0.1~100μm、5~50μm、10~30μm、または12~25μmである。
このようにして得られる本発明の積層体は、例えば、前述のとおり、さらに、他のフィルム(層)と積層して、前記空隙層(多孔質構造)を含む積層構造体としてもよい。この場合、前記積層構造体において、各構成要素は、例えば、前記粘接着層(粘着剤または接着剤)を介して積層させてもよい。
前記各構成要素の積層は、例えば、効率的であることから、長尺フィルムを用いた連続処理(いわゆるRoll to Roll等)により積層を行ってもよく、基材が成形物・素子等の場合はバッチ処理を行ったものを積層してもよい。
以下に、基材(樹脂フィルム)上に前記本発明の積層体を形成する方法について、連続処理工程に関して、図3(a)の積層体10dを例にあげて説明する。なお、以下に説明する製膜方式はあくまで一例であり、これらに限定されない。
なお、前記基材は、前述した樹脂フィルムでもよい。この場合、前記基材上への前記空隙層の形成により、本発明の空隙層が得られる。また、前記基材上で前記空隙層を形成した後、前記空隙層を、本発明の空隙層の説明において前述した樹脂フィルムに積層することによっても、本発明の空隙層が得られる。
図3(a)の積層体10dの製造方法は、例えば、まず、基材14上に空隙層11を形成し、さらに空隙層11上に粘接着層12を形成し、さらに、空隙層11と粘接着層12との合一によって中間層13を形成する。この製造方法は、より具体的には、例えば、基材(樹脂フィルム)14上に、ゲル状化合物の粉砕物のゾル粒子液を塗工して塗工膜を形成する塗工工程(1)、前記ゾル粒子液を乾燥させて、乾燥後の塗工膜を形成する乾燥工程(2)、前記塗工膜に化学処理(例えば、架橋処理)をして、空隙層11を形成する化学処理工程(例えば、架橋工程)(3)、空隙層20上に粘接着層12を貼合する貼合工程(4)、および、空隙層11を粘接着層12と反応させて中間層13を形成する中間層形成工程(5)を含む。前記ゲル状化合物の粉砕物のゾル粒子液を製造する方法は、特に制限されない。前記ゾル粒子液は、具体的には、例えば、国際公開第2019/065999号または国際公開第2019/065803号に記載された方法で製造することができる。また、前記ゾル粒子液は、例えば、後述する本願実施例の「参考例1」に記載の方法で製造することもできる。なお、図示していないが、本発明の積層体の製造方法は、他に、前述のとおり、前記本発明の粘接着層の製造方法により前記粘接着層を製造する粘接着層製造工程と、前記粘接着層を前記空隙層に貼り合せる貼合工程と、を含む。前記本発明の粘接着層の製造方法は、前述のとおり、前記粘接着剤塗工液を基材に塗布する粘接着剤塗工液塗布工程と、前記粘接着剤塗工液が塗布された前記基材を加熱乾燥する加熱乾燥工程と、を含む。前記化学処理工程(架橋工程)(3)は、本発明の積層体における空隙層を形成する「空隙層形成工程」に該当する。また、中間層形成工程(5)は、前述の加熱工程(エージング工程)に該当する。中間層形成工程(5)(以下「エージング工程」という場合がある。)は、例えば、空隙層11の強度を向上させる工程(空隙層11内部で架橋反応を起こさせる架橋反応工程)を兼ねていてもよく、その場合、中間層形成工程(5)の後に、空隙層11が、さらに強度の向上した空隙層11に変化する。ただし、本発明はこれに限定されず、例えば、中間層形成工程(5)の後に空隙層11が変化していなくても良い。また、貼合工程(4)は、前述のとおり、基材上に粘接着層を有する粘着テープの貼合等であっても良い。図1において、前記粘接着剤塗工液が塗布された(前記粘接着層が形成された)前記基材は図示していないが、例えば、粘接着層12から剥離して除去してもよいし、粘接着層12上にそのまま残してもよい。以上の工程(1)~(5)により、図3(a)に示すとおり、樹脂フィルム14上に、空隙層11と、中間層13と、粘接着層12とが、前記順序で積層された積層フィルム(積層体)を製造できる。ただし、中間層形成工程(5)がなく、製造される本発明の積層体が中間層を含まなくてもよい。さらに、本発明の積層体の製造方法は、以上で説明した以外の工程を、適宜含んでいても良いし、含んでいなくても良い。また、例えば、図3(a)の積層フィルム(積層体)10dのように、粘接着層12の上にさらにもう1枚の記載14を貼り合せてもよい。また、図3(a)の積層フィルム(積層体)10dは、粘接着層12を空隙層11の片面のみに設けているが、例えば、図3(b)の積層体10eのように、粘接着層12を空隙層11の両面に設けてもよい。
前記塗工工程(1)において、前記ゾル粒子液の塗工方法は特に限定されず、一般的な塗工方法を採用できる。前記塗工方法としては、例えば、スロットダイ法、リバースグラビアコート法、マイクログラビア法(マイクログラビアコート法)、ディップ法(ディップコート法)、スピンコート法、刷毛塗り法、ロールコート法、フレキソ印刷法、ワイヤーバーコート法、スプレーコート法、エクストルージョンコート法、カーテンコート法、リバースコート法等が挙げられる。これらの中で、生産性、塗膜の平滑性等の観点から、エクストルージョンコート法、カーテンコート法、ロールコート法、マイクログラビアコート法等が好ましい。前記ゾル粒子液の塗工量は、特に限定されず、例えば、空隙層11の厚みが適切になるように、適宜設定可能である。空隙層11の厚みは、特に限定されず、例えば、前述の通りである。
前記乾燥工程(2)において、前記ゾル粒子液を乾燥し(すなわち、前記ゾル粒子液に含まれる分散媒を除去し)、前記乾燥後の塗工膜(空隙層の前駆体)を形成する。乾燥処理の条件は、特に限定されず、前述の通りである。
さらに、前記化学処理工程(3)において、塗工前に添加した前記触媒または前記触媒発生剤(例えば、光活性触媒、光触媒発生剤、熱活性触媒または熱触媒発生剤)を含む前記乾燥後の塗工膜(に対し、光照射または加熱し、前記乾燥後の塗工膜(中の前記粉砕物同士を化学的に結合させて(例えば、架橋させて)、空隙層11を形成する。前記化学処理工程(3)における光照射または加熱条件は、特に限定されず、前述の通りである。
一方、図示していないが、別途、前記粘接着層製造工程により、前記本発明の粘接着層を製造する。前記粘接着層製造工程(前記本発明の粘接着層の製造方法)については、例えば、前述のとおりである。
さらに、貼合工程(4)および中間層形成工程(5)を行なう。中間層形成工程(5)は、前述のとおり、貼合工程(4)後に粘接着層12および空隙層11を加熱する加熱工程である。例えば、前記粘着剤がポリマー(例えば(メタ)アクリル系ポリマー)および架橋剤を含む粘着剤組成物である場合、前記加熱工程によって、前記ポリマーが前記架橋剤により架橋されてもよい。前記加熱工程は、例えば、前記粘着剤を乾燥する工程を兼ねていてもよい。また、例えば、前記加熱工程は、前記中間層形成工程(5)を兼ねていてもよい。前記加熱工程の温度は、特に限定されないが、例えば70~160℃、80~155℃、90~150℃である。前記加熱工程の時間は、特に限定されないが、例えば1~10分、1~7分、または2~5分である。
つぎに、本発明の実施例について説明する。ただし、本発明は、以下の実施例に限定されない。
なお、以下の参考例、実施例および比較例において、各物質の部数(相対的な使用量)は、特に断らない限り、質量部(重量部)である。以下の参考例、実施例および比較例において、粘接着剤としては、後述する粘着剤(粘着剤組成物)を用いた。以下の参考例、実施例および比較例において、「粘着剤層」は、「粘接着層」に該当する。すなわち、以下の参考例、実施例および比較例においては、特に断らない限り、「粘着剤層」と「粘接着層」とは同義である。
また、以下の参考例、実施例および比較例において、(メタ)アクリル系ポリマーの重量平均分子量(Mw)、粘接着層のゲル分率、各層の厚み、及び屈折率は、それぞれ、下記の測定方法により測定した。
<(メタ)アクリル系ポリマーの分子量の測定方法>
ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(GPC)法により測定した分子量重量分布曲線から、(メタ)アクリル系ポリマーの重量平均分子量(Mw)を算出した。
・分析装置:Waters,Alliance
・カラム:東ソー社製、G7000HXL+GMHXL+GMHXL
・カラムサイズ:各7.8mmφ×30cm 計90cm
・カラム温度:40℃
・流量:0.8mL/min
・注入量:100μL
・溶離液:THF(酸添加)
・検出器:示差屈折計(RI)
・標準試料:ポリスチレン
<粘接着層のゲル分率の測定方法>
作製して1分間以内のセパレータフィルムの剥離処理面に形成した光学用粘着剤層から約0.1gを掻きとったものをサンプル1とした。前記サンプル1を0.2μm径を有するテフロン(登録商標)フィルム(商品名「NTF1122」,日東電工株式会社製)に包んだ後、凧糸で縛り、これをサンプル2とした。下記試験に供する前のサンプル2の重量を測定し、これを重量Aとした。なお、前記重量Aは、サンプル1(粘着剤層)と、テフロン(登録商標)フィルムと、凧糸との総重量である。また、前記テフロン(登録商標)フィルムと凧糸との総重量を重量Bとした。次に、前記サンプル2を、酢酸エチルで満たした50ml容器に入れ、23℃にて1週間静置した。その後、容器からサンプル2を取り出し、130℃で2時間、乾燥機中で乾燥して酢酸エチルを除去した後、サンプル2の重量を測定した。前記試験に供した後のサンプル2の重量を測定し、これを重量Cとした。そして、下記式からゲル分率を算出した。
ゲル分率(質量%)=(C-B)/(A-B)×100
<厚みの測定方法>
粘着剤層の厚みは、粘着剤層の5地点の厚みを、ダイヤルゲージを用いて測定し、その平均値とした。中間層の厚みは、SEM画像において粘着剤層と低屈折率層との間に存在している、コントラストが異なる厚み部分を中間層とし、その厚みをSEM画像上の2地点で読み取った値の平均値とした。
<屈折率の測定方法>
前述の屈折率の評価方法により、屈折率を測定した。
なお、以下の各参考例、実施例および比較例における粘接着層においては、塗工した粘着剤の加熱乾燥によって、ポリマー(アクリル系ポリマー)が架橋剤により架橋され、架橋構造が形成されたと推測されるが、架橋構造については確認していない。
[参考例1:空隙層形成用塗工液の製造]
まず、ケイ素化合物のゲル化(下記工程(1))および熟成工程(下記工程(2))を行ない、多孔質構造を有するゲル(シリコーン多孔体)を製造した。さらにその後、下記(3)形態制御工程、(4)溶媒置換工程、および(5)ゲル粉砕工程を行ない、空隙層形成用塗工液(ゲル粉砕物含有液)を得た。なお、本参考例では、下記のとおり、下記(3)形態制御工程を、下記工程(1)とは別の工程として行なった。しかし、本発明は、これに限定されず、例えば、下記(3)形態制御工程を、下記工程(1)中に行なっても良い。
(1)ケイ素化合物のゲル化
DMSO 22kgに、ケイ素化合物の前駆体であるMTMSを9.5kg溶解させた。前記混合液に、0.01mol/Lのシュウ酸水溶液を5kg添加し、室温で120分、撹拌を行うことでMTMSを加水分解して、トリス(ヒドロキシ)メチルシランを生成した。
DMSO 55kgに、28%濃度のアンモニア水3.8kg、および純水2kgを添加した後、さらに、前記加水分解処理した前記混合液を追添し、室温で60分撹拌した。60分撹拌後の液を、長さ30cm×幅30cm×高さ5cmのステンレス容器中に流し込んで室温で静置することにより、トリス(ヒドロキシ)メチルシランのゲル化を行い、ゲル状ケイ素化合物を得た。
(2)熟成工程
前記ゲル化処理を行なって得られた、ゲル状ケイ素化合物を40℃で20時間インキュベートして、熟成処理を行ない、前記直方体形状の塊のゲルを得た。このゲルは、原料中におけるDMSO(沸点130℃以上の高沸点溶媒)の使用量が、原料全体の約83質量%であったことから、沸点130℃以上の高沸点溶媒を50質量%以上含んでいることが明らかであった。また、このゲルは、原料中におけるMTMS(ゲルの構成単位であるモノマー)の使用量が、原料全体の約8質量%であったことから、ゲルの構成単位であるモノマー(MTMS)の加水分解により発生する沸点130℃未満の溶媒(この場合はメタノール)の含有量は、20質量%以下であることが明らかであった。
(3)形態制御工程
前記工程(1)(2)によって前記30cm×30cm×5cmのステンレス容器中で合成されたゲル上に、置換溶媒である水を流し込んだ。つぎに、前記ステンレス容器中でゲルに対して上部から切断用治具の切断刃をゆっくり挿入し、ゲルを1.5cm×2cm×5cmのサイズの直方体に切断した。
(4)溶媒置換工程
つぎに、下記(4-1)~(4-3)のようにして溶媒置換工程を行った。
(4-1)
前記「(3)形態制御工程」の後、前記ゲル状ケイ素化合物の8倍の重量の水中に前記ゲル状ケイ素化合物を浸漬させ、水のみ対流するようにゆっくり1h撹拌した。1h後に水を同量の水に交換し、さらに3h撹拌した。さらにその後、再度水を交換し、その後、60℃でゆっくり撹拌しながら3h加熱した。
(4-2)
(4-1)の後、水を、前記ゲル状ケイ素化合物の4倍の重量のイソプロピルアルコールに交換し、同じく60℃で撹拌しながら6h加熱した。
(4-3)
(4-2)の後、イソプロピルアルコールを同じ重量のイソブチルアルコールに交換し、同じく60℃で6h加熱し、前記ゲル状ケイ素化合物中に含まれる溶媒をイソブチルアルコールに置換した。以上のようにして、本発明の空隙層製造用ゲルを製造した。
(5)ゲル粉砕工程
前記(4)溶媒置換工程後の前記ゲル(ゲル状ケイ素化合物)に対して、第1の粉砕段階で連続式乳化分散(太平洋機工社製、マイルダーMDN304型)、第2の粉砕段階で高圧メディアレス粉砕(スギノマシン社製、スターバーストHJP-25005型)の2段階で粉砕を行なった。この粉砕処理は、前記溶媒置換されたゲル状ケイ素化合物を含有したゲル43.4kgに対しイソブチルアルコール26.6kgを追加、秤量した後、第1の粉砕段階は循環粉砕にて20分間、第2の粉砕段階は粉砕圧力100MPaの粉砕を行なった。このようにして、ナノメートルサイズの粒子(前記ゲルの粉砕物)が分散したイソブチルアルコール分散液(ゲル粉砕物含有液)を得た。さらに、前記ゲル粉砕物含有液3kg中にWPBG-266(商品名、Wako製)のメチルイソブチルケトン1.5%濃度溶液を224g添加し、さらにビス(トリメトキシリル)エタン(TCI製)のメチルイソブチルケトン5%濃度溶液を67.2g添加したあと、N,N-ジメチルホルムアミドを31.8g添加・混合し塗工液を得た。
以上のようにして、本参考例(参考例1)の空隙層形成用塗工液(ゲル粉砕物含有液)を製造した。また、空隙層形成用塗工液(ゲル粉砕物含有液)中におけるゲル粉砕物(微細孔粒子)のピーク細孔径を、前述の方法で測定したところ、12nmであった。
[参考例2:粘接着層の形成]
下記(1)~(2)の手順により、本参考例(参考例2)の粘接着層を形成した。
(1)(メタ)アクリル系ポリマーの調整
((メタ)アクリル系ポリマー(A1)の調製)
撹持羽根、温度計、窒素ガス導入管、冷却器を備えた4つ口フラスコに、ブチルアクリレート79.5部、N-アクリロイルモルホリン15部、アクリル酸5部、4-ヒドロキシブチルアクリレート0.5部を含有するモノマー混合物を仕込んだ。さらに、前記モノマー混合物100部に対して、重合開始剤として2,2'-アゾビスイソブチロニトリル0.1部を酢酸エチル70部と共に仕込み、緩やかに撹枠しながら窒素ガスを導入して窒素置換した後、フラスコ内の液温を55℃付近に保って2時間重合反応を行って、重量平均分子量(Mw)340万、Mw/Mn=2.5の(メタ)アクリル系ポリマー(A1) の溶液を調製した。
((メタ)アクリル系ポリマー(A2)の調製)
((メタ)アクリル系ポリマー(A1)の調製)において、仕込みのモノマー組成を、ブチルアクリレート79.5部、N-アクリロイルモルホリン7.5部、アクリル酸5部、4-ヒドロキシブチルアクリレート0.5部、重合反応時間を8時間とし、その他は同様にして、重量平均分子量(Mw)290万、Mw/Mn=4.2の(メタ)アクリル系ポリマー(A2)の溶液を調製した。
(2)(粘着剤組成物の調製)
(メタ)アクリル系ポリマー(A1)の固形分100部に対して、オリゴマー型のシランカップリング剤(信越シリコーン社製の商品名「X-41-1056」)0.2部、イソシアネート架橋剤(日本ポリウレタン工業社製の商品名「コロネートL」、トリメチロールプロパンのトリレンジイソシアネートのアダクト体)0.2部、エポキシ系架橋剤(三菱ガス化学社製の商品名「テトラッドC」)0.1部、ベンゾイルパーオキサイド(日本油脂社製の商品名「ナイパーBMT」)0.2部を配合して、アクリル系粘着剤組成物を調製した。
(3)(粘接着層の形成)
次いで、前記アクリル系粘着剤組成物を、シリコーン系剥離剤で処理されたポリエチレンテレフタレートフィルム(セパレータフィルム:三菱化学ポリエステルフィルム(株)製、MRF38)の片面に、乾燥後の粘着剤層の厚さが10μmになるように塗布し、155℃で1分間乾燥を行い、セパレータフィルムの表面に粘着剤層(粘接着層)を形成した。
[実施例1]
(積層体の製造)
参考例1で作製した高空隙率層形成塗工液を、アクリル基材上に塗工・乾燥し、膜厚約850nmの空隙層(空隙率59体積%)を形成した。つぎに、空隙層面からUV照射(300mJ)を行なった。その後、参考例2で得られた厚み10μmの粘着剤層を前記空隙層面上に貼り合わせし、60℃で20hエージングを行ない、本実施例の積層体を製造した。
[実施例2~4、及び比較例1~3]
以下のようにして、実施例2~4、及び比較例1~3の積層体を製造した。
実施例3、及び比較例3においては、下記表1に示すとおり、参考例2に示す粘着組成物の調整において、(メタ)アクリル系ポリマー(A1)に代えて、(メタ)アクリル系ポリマー(A2)を使用した。
実施例4においては、オリゴマー型のシランカップリング剤「X-41-1056」に代えて、オリゴマー型のシランカップリング剤「X-24-9591F」(信越シリコーン社の商品名)を使用した。比較例1においては、下記表1に示すとおり、参考例2に示す粘着剤組成物の組成から、前記オリゴマー型のシランカップリング剤に代えて、モノマー型のシランカップリング剤(信越シリコーン社製の商品名「KBM-403」)を使用した。比較例2においては、前記オリゴマー型のシランカップリング剤を使用しなかった。
さらに、実施例2~4、及び比較例1~3においては、シランカップリング剤、架橋剤、過酸化物の使用量は、下記表1のとおりとした。このように(メタ)アクリル系ポリマーならびにシランカップリング剤の種類、及び過酸化物ならびに架橋剤の使用量のいずれかを適宜変更したこと以外は、実施例1と同様にして、実施例2~4、及び比較例1~3の積層体の製造で用いたアクリル系粘着剤組成物の溶液を調製した。さらに、前記アクリル系粘着剤組成物の溶液を用いて、実施例1と同様にして粘接着層を作製し、実施例2~4、及び比較例1~3の積層体を製造した。
[加熱耐久性試験]
さらに、前記のようにして製造した本実施例および比較例の積層体を、温度65℃かつ相対湿度95%のオーブンに投入し、1000hの加熱耐久性試験を行なった。前記加熱耐久性試験前後の屈折率から、前記数式(1)より屈折率の変化率を算出した。また、前記加熱耐久性試験後の中間層と被着体の剥がれ(以下、「剥がれ耐久性」という場合もある。)を目視確認した。これらの結果を表1に示す。
表1の、初期の屈折率における評価基準は以下のとおりである。

◎:1.20以下
○:1.20を超え、1.21以下
△:1.21を超え、1.23未満
×:1.23以上
表1の、加熱耐久試験後の屈折率(変化量)における評価基準は以下のとおりである。
◎:0.005以下
○:0.005を超え、0.01以下
△:0.01を超え、0.015以下
×:0.015を超える
なお、下記表1に示す略号等の意味は、下記のとおりである。

イソシアネート:トリメチロールプロパンのトリレンジイソシアネートのアダクト体(東ソー株式会社製の商品名「コロネートL」)
エポキシ:1,3-ビス(N,N-ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン(三菱ガス化学社製の商品名「テトラッドC」)
過酸化物:ベンゾイルパーオキサイド(日本油脂社製の商品名「ナイパーBMT」)
Figure 2023145198000003
前記表1に示したとおり、オリゴマー型のシランカップリング剤を使用し、かつ、シランカップリング剤の添加量が1質量部以下である実施例1~4は、初期屈折率が低く、加熱耐久試験後の屈折率(変化量)も低く、かつ、剥がれ耐久性にも優れていた。すなわち、実施例1~4の積層体は、空隙層の空隙に粘着剤が浸透しにくいために、初期屈折率が低く、加熱耐久性にも優れ、かつ、これらの効果と、粘接着層と低屈折率層との強固な接着を両立できていた。これに対し、モノマー型のシランカップリング剤を使用した場合(比較例1)、オリゴマー型のシランカップリング剤の添加量が1質量部を超える場合(比較例3)、又はシランカップリング剤を使用しなかった場合(比較例2)は、空隙層の空隙に粘着剤が浸透しやすかったために、初期屈折率、加熱耐久性、及び粘接着層と低屈折率層との接着のいずれかが不良となる結果となった。また、オリゴマー型のシランカップリング剤の置換基に酸無水物を有する場合、シランカップリング剤を使用しなかった比較例2と比べて、加熱耐久性、及び粘着層と低屈折率層との接着がともに良好であった。
以上、説明したとおり、本発明によれば、粘着力または接着力と、空隙層の空隙への粘着剤または接着剤の浸透しにくさとを両立した、積層体、光学部材および光学装置を提供することができる。本発明の用途は特に限定されない。例えば、本発明の光学装置は、特に限定されず、画像表示装置、照明装置等が挙げられる。前記画像表示装置としては、例えば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、マイクロLEDディスプレイ等が挙げられる。前記照明装置としては、例えば、有機EL照明等が挙げられる。本発明の積層体によれば、例えば、高温かつ高湿度下でも空隙層の空隙に粘着剤または接着剤が浸透しにくいので、特に、車載用など高耐久条件下での使用に適する。さらに、本発明の積層体の用途は、本発明の光学部材および光学装置に限定されず任意であり、広範な用途に使用可能である。
10、10a、10b、10c、10d、10e 積層体
11 空隙層
12 粘接着層
13 中間層
14 基材

Claims (12)

  1. 空隙層と、粘接着層とを含み、
    前記粘接着層が、前記空隙層の片面または両面に直接積層されており、
    前記粘接着層が、(メタ)アクリル系ポリマー及びオリゴマー型のシランカップリング剤を含む粘接着剤により形成され、
    前記オリゴマー型のシランカップリング剤の含有量が、前記(メタ)アクリル系ポリマー100質量部に対して1質量部以下であることを特徴とする積層体。
  2. 前記オリゴマー型のシランカップリング剤が、エポキシ基を含有することを特徴とする請求項1記載の積層体。
  3. 前記(メタ)アクリル系ポリマーの重量平均分子量(Mw)が150万~400万である請求項1または2記載の積層体。
  4. 前記オリゴマー型のシランカップリング剤の重量平均分子量(Mw)が300以上である請求項1から3のいずれか一項に記載の積層体。
  5. 前記粘接着層が、前記(メタ)アクリル系ポリマー及び架橋剤を含む粘接着剤により形成され、
    前記粘接着剤は、ゲル分率が85%を超える請求項1から4のいずれか一項に記載の積層体。
  6. 前記(メタ)アクリル系ポリマーが、モノマー単位として窒素含有モノマーを1~30質量%含有する請求項1から5のいずれか一項に記載の積層体。
  7. 前記窒素含有モノマーが、複素環含有アクリルモノマーである請求項6記載の積層体。
  8. 温度65℃かつ相対湿度95%で1000時間保持する加熱耐久性試験前後で、前記空隙層の屈折率の増加量が、下記数式(1)を満たし、かつ、加熱耐久試験前の初期屈折率が、下記数式(2)を満たすことを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の積層体。

    n-n≦0.015 (1)
    <1.23 (2)

    前記数式(1)において、nは、前記加熱耐久試験後の前記空隙層の屈折率である。
    前記数式(2)において、nは、前記加熱耐久試験前の前記空隙層の屈折率である。
  9. 前記空隙層と前記粘接着層との間に中間層が存在し、
    前記中間層は、前記空隙層と前記粘接着層との合一によって形成された層である請求項1から8のいずれか一項に記載の積層体。
  10. 前記中間層の厚みが10~100nmである請求項9記載の積層体。
  11. 請求項1から10のいずれか一項に記載の積層体を含むことを特徴とする光学部材。
  12. 請求項11記載の光学部材を含むことを特徴とする光学装置。
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