JP2023143402A - エンドトキシン汚染物の処理方法及び処理液剤 - Google Patents

エンドトキシン汚染物の処理方法及び処理液剤 Download PDF

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Abstract

【課題】エンドトキシンによって汚染された汚染物を損傷させることなく、エンドトキシン汚染物を処理して、当該物の作用効果を維持しつつ、当該物からのエンドトキシンの流出を低減させることを目的の1つとする。【解決手段】エンドトキシンに汚染された汚染物を、還元性を有する化合物を用いて処理するエンドトキシン汚染物の処理方法。【選択図】 なし

Description

本発明は、エンドトキシン汚染物の処理方法及び処理液剤に関し、特にエンドトキシンによって汚染された、充填剤を充填したカラムの処理方法及び処理液剤に関し、より詳しくは、エンドトキシンによって汚染された抗体精製用リガンド修飾充填剤を充填したカラムの処理方法及び処理液剤に関する。
エンドトキシンは 内毒素とも呼ばれ、グラム陰性菌の外膜の構成成分であり「リポポリサッカライド(LPS)」とも呼ばれる。エンドトキシンは、代表的な発熱物質であり、ng(10-9g)という微量でも血中に入ることで、発熱、血圧低下、白血球増加(減少)、血小板数減少などの様々な生体反応を引き起こす。
そのため、抗体精製において、精製後の抗体に一定基準値以上のエンドトキシンが含まれると、その抗体を注射剤、点滴液等の抗体医薬品に使用することが出来なくなり、又、これらの抗体医薬品の実験動物への投与実験等にも適用することが出来なくなる。そこで、精製された抗体を用いる抗体医薬品の製造においては、抗体精製の工程において一定基準値以上のエンドトキシンは抗体溶液から除去されている。そのため、抗体精製の工程で使用されるカラムがエンドトキシンで汚染されている場合、抗体精製の前にカラムからエンドトキシンを除去するためのカラム洗浄を行う必要があった。
抗体精製用カラムは、支持体にアフィニティリガンド(Protein A、Protein G、Protein L等)を結合させた充填剤が充填されており、試料中の抗体を精製、回収することが可能なカラムである。支持体にはシリカモノリス、ポリマーモノリス、アガロースゲル、シリカゲル、ポリマー樹脂等が用いられ、カラム形状はスピンカラムタイプやカートリッジカラムタイプ、ウェルプレートタイプ等がある。
そして、従来、カラムに充填される等して使用される、被処理液中のエンドトキシンを除去するためのエンドトキシン吸着剤において、その使用前及び使用後における吸着剤からエンドトキシンを除去するための洗浄は、強アルカリ、或いは強アルカリと有機溶媒、例えば水酸化ナトリウムとエタノールの混合溶液を用いて行っていた(特許文献1、特許文献2)。
又、エンドトキシン吸着剤をカラムに充填して、カラムにエンドトキシンで汚染された被処理液を通液する等して、被処理液中のエンドトキシンを除去することが提案されていた(特許文献1、特許文献2)。
エンドトキシンに汚染された抗体精製カラムに関しても、上記エンドトキシン吸着剤の洗浄方法と同様に、強アルカリ、或いは強アルカリと有機溶媒、例えば水酸化ナトリウムとエタノールの混合溶液を用いて洗浄し、エンドトキシンの除去を行っていた。
特開平3-109940号公報 WO2018/139415
しかし、強アルカリと有機溶媒を用いる方法は、短時間、少量の溶液での洗浄ではエンドトキシンを除去する効果が低く、長時間、多量の溶液で処理をしなければならなかった。又、充填剤の支持体がシリカを用いて構成されている場合には水酸化ナトリウム等のアルカリを使用すると支持体が溶解してしまう懸念があり、更に、エタノール等の有機溶媒を使用することにより支持体に結合したアフィニティリガンドが変性を起こす懸念があった。
又、エンドトキシンに汚染された抗体精製カラムを用いて抗体精製した後に、エンドトキシン吸着剤を充填したカラムを用いて被処理液中のエンドトキシンを除去することも可能であるが、エンドトキシン吸着カラムのエンドトキシン保持容量が少ない場合はエンドトキシンが吸着せずに流出する可能性があるので、カラムのエンドトキシン保持容量を留意しなければならない点や回収したい成分の非特異吸着等による収率の低下が問題となっていた。
そこで、本発明はエンドトキシンによって汚染された汚染物を損傷させることなく、エンドトキシン汚染物を処理して、当該物の作用効果を維持しつつ、当該物からのエンドトキシンの流出を低減させることを目的の1つとする。又、本発明は充填剤の支持体がシリカを原料とした場合でも支持体を溶解させることなく、充填剤やカラムからのエンドトキシンの流出を低減させることを目的の1つとする。又、本発明は充填剤の支持体に結合したアフィニティリガンドの変性を起こすことなく、充填剤やカラムからのエンドトキシンの流出を低減させることを目的の1つとする。又、本発明は強アルカリと有機溶媒を用いる洗浄方法に比べて、効率的に、即ち処理時間及び処理回数を少なくして、充填剤やカラムからのエンドトキシンの流出を低減させることを目的の1つとする。又、本発明は強アルカリと有機溶媒を用いる洗浄方法に比べて、処理液の量を少量で充填剤やカラムからのエンドトキシンの流出を低減させることを目的の1つとする。
以上のような課題を解決するための手段としての本発明は、エンドトキシンに汚染された汚染物を、還元性を有する化合物を用いて処理することを特徴とするエンドトキシン汚染物の処理方法である。
又、上記エンドトキシン汚染物の処理方法において、前記還元性を有する化合物は、その構造中にチオール基を有する有機化合物、有機ホスフィンから選択される1種以上であることを特徴とするエンドトキシン汚染物の処理方法である。
又、上記エンドトキシン汚染物の処理方法において、前記還元性を有する化合物は、その構造中にチオール基を有する水溶性の有機化合物、水溶性の有機ホスフィンから選択される1種以上であることを特徴とするエンドトキシン汚染物の処理方法である。
又、上記エンドトキシン汚染物の処理方法において、前記還元性を有する化合物は、2‐メルカプトエタノール、ジチオトレイトール、、ジチオエリスリトール、チオグリセロール、システイン、トリス(2‐カルボキシエチル)ホスフィンから選択される1種以上であることを特徴とするエンドトキシン汚染物の処理方法である。
又、上記エンドトキシン汚染物の処理方法において、前記エンドトキシンに汚染された汚染物を、前記還元性を有する化合物を溶媒に溶解した処理液と接触させて処理することを特徴とするエンドトキシン汚染物の処理方法である。
又、上記エンドトキシン汚染物の処理方法において、前記溶媒は緩衝液であることを特徴とするエンドトキシン汚染物の処理方法である。
又、上記エンドトキシン汚染物の処理方法において、前記汚染物は、支持体に抗体精製用アフィニティリガンドが修飾された、カラムに充填される充填剤であることを特徴とするエンドトキシン汚染物の処理方法である。
又、上記エンドトキシン汚染物の処理方法において、前記汚染物は、支持体に抗体精製用アフィニティリガンドが修飾された充填剤が充填されたカラムであることを特徴とするエンドトキシン汚染物の処理方法である。
又、エンドトキシンに汚染された汚染物を処理するための処理液剤であって、還元性を有する化合物を含有することを特徴とするエンドトキシン汚染物処理用の処理液剤である。
又、上記エンドトキシン汚染物処理用の処理液剤において、前記還元性を有する化合物は、その構造中にチオール基を有する有機化合物、有機ホスフィンから選択される1種以上であることを特徴とするエンドトキシン汚染物処理用の処理液剤である。
又、上記エンドトキシン汚染物処理用の処理液剤において、前記還元性を有する化合物は、その構造中にチオール基を有する水溶性の有機化合物、水溶性の有機ホスフィンから選択される1種以上であることを特徴とするエンドトキシン汚染物処理用の処理液剤である。
又、上記エンドトキシン汚染物処理用の処理液剤において、前記還元性を有する化合物は、2‐メルカプトエタノール、ジチオトレイトール、ジチオエリスリトール、チオグリセロール、システイン、トリス(2‐カルボキシエチル)ホスフィンから選択される1種以上であることを特徴とするエンドトキシン汚染物処理用の処理液剤である。
又、上記エンドトキシン汚染物処理用の処理液剤において、前記還元性を有する化合物が溶媒に溶解されていることを特徴とするエンドトキシン汚染物処理用の処理液剤である。
又、上記エンドトキシン汚染物処理用の処理液剤において、前記溶媒は緩衝液であることを特徴とするエンドトキシン汚染物処理用の処理液剤である。
以上のような本発明によれば、2‐メルカプトエタノール等の還元性を有する化合物を用いることで、エンドトキシンによって汚染された汚染物を損傷させることなく、エンドトキシン汚染物を処理して、当該物の作用効果を維持しつつ、当該物からのエンドトキシンの流出を低減させることが可能となった。又、充填剤の支持体がシリカを原料とした場合でも、支持体を溶解させることなく充填剤やカラムからのエンドトキシンの流出を低減させることが可能となった。又、本発明によれば、支持体に結合したアフィニティリガンドの変性を起こすことなく充填剤やカラムからのエンドトキシンの流出を低減させることが可能となった。又、本発明によれば、強アルカリと有機溶媒を用いる洗浄方法に比べて、処理時間及び処理回数を少なくしても、充填剤やカラムからのエンドトキシンの流出を低減させることが可能となった。又、本発明によれば、強アルカリと有機溶媒を用いる洗浄方法に比べて、処理液の量を少量で充填剤やカラムからのエンドトキシンの流出を低減させることが可能となった。
本発明は、エンドトキシンに汚染された汚染物を、還元性を有する化合物を用いて処理するエンドトキシン汚染物の処理方法である。尚、日本薬局方において、エンドトキシン規格値=K/Mと規定され、Kは発熱を誘起するといわれる体重1kgあたりのエンドトキシン量(EU/kg)、Mは体重1kgあたり1時間以内に投与可能な最大量である。そして、K(EU/kg)は、投与経路による区分により静脈内5.0、静脈内(放射性)2.5、脊髄腔内0.2と規定されている。
本発明の処理対象であるエンドトキシンに汚染された汚染物、即ちエンドトキシンが付着している汚染物は特に限定されず、カラムの充填剤、充填剤の支持体、支持体に修飾又は結合された物質、カラム自体、充填剤が充填されたカラムが含まれる。
本発明の処理を行う対象の充填剤の支持体としては、特に限定されず、シリカを原料とした一体型のシリカモノリス、アガロースゲル、粉粒状のシリカゲル、ポリマーモノリス、ポリマー樹脂等で構成した支持体に対して行うことが出来る。本発明の処理によれば、シリカを原料とする支持体が溶解することはない。
本発明の処理を行う対象の充填剤は特に限定されないが、Protein A、Protein G、Protein L等の抗体精製用アフィニティリガンドを修飾した支持体で構成した充填剤に対して行うことが出来る。アフィニティリガンドを修飾した充填剤を充填することで試料中の抗体を精製、回収することが可能なカラムを構成することが出来、本発明の処理によれば、支持体に結合したアフィニティリガンドが変性を起こすことがないので、このようなカラムに対して本発明の処理をすることで、精製された抗体含有溶液へのエンドトキシンの混入を防止することが可能となっている。
又、本発明の処理を行う対象のカラムとしては、特に限定されず、スピンカラムタイプやカートリッジカラムタイプ、ウェルプレートタイプ、分析カラムや分取カラム等に対して行うことが出来る。
本発明の処理に用いるのは還元性を有する化合物である。還元性を有する化合物としては、特に限定されないが、その構造中にチオール基を有する有機化合物、有機ホスフィンから選択される1種以上を用いることが出来る。
その構造中にチオール基を有する有機化合物としては、特に限定されないが、2‐メルカプトエタノール、ジチオトレイトール、ジチオエリスリトール、チオグリセロール、システイン、システアミン、3-メルカプト-1-プロパノール、1-メルカプト-2-プロパノール、チオグリコール酸、チオ乳酸、チオグリコール酸グリセリル、ブチロラクトンチオール、エタンチオール、プロパンチオール、ブタンチオール、ペンタンチオール、ヘキサンチオール、シクロヘキサンチオール等が挙げられる。
又、有機ホスフィンとしては、特に限定されないが、トリス(2‐カルボキシエチル)ホスフィン、トリス(ヒドロキシメチル)ホスフィン、トリス(2-ヒドロキシエチル)ホスフィン、トリス(3‐ヒドロキシプロピル)ホスフィン、トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリオクチルホスフィン、トリフェニルホスフィン、トリトリルホスフィン、トリメトキシフェニルホスフィン、ジフェニルシクロへキシルホスフィン、トリシクロへキシルホスフィン、ジフェニルホスフィノスチレン等が挙げられる。
又、還元性を有する化合物は、その構造中にチオール基を有する水溶性の有機化合物、水溶性の有機ホスフィンから選択される1種以上であることが好ましい。エンドトキシンで汚染されたアフィニティリガンドが修飾されている支持体を処理する場合には、タンパク質の変性を起こしにくい水溶液を用いて汚染物の処理を行うことが望ましいからである。
その構造中にチオール基を有する水溶性の有機化合物としては、特に限定されないが、2‐メルカプトエタノール、ジチオトレイトール、ジチオエリスリトール、チオグリセロール、システイン、システアミン、3-メルカプト-1-プロパノール、1-メルカプト-2-プロパノール、チオグリコール酸、チオ乳酸、チオグリコール酸グリセリル、ブチロラクトンチオール、エタンチオール等が挙げられる。
又、水溶性の有機ホスフィンとしては、特に限定されないが、トリス(2‐カルボキシエチル)ホスフィン、トリス(ヒドロキシメチル)ホスフィン、トリス(2-ヒドロキシエチル)ホスフィン、トリス(3‐ヒドロキシプロピル)ホスフィン等が挙げられる。
更に、本発明の処理に用いる還元性を有する化合物としては、2‐メルカプトエタノール、ジチオトレイトール、ジチオエリスリトール、チオグリセロール、システイン、トリス(2‐カルボキシエチル)ホスフィンから選択される1種以上を用いることがより好ましい。その構造中にチオール基を有する水溶性の有機化合物又は水溶性の有機ホスフィンの中でも、生化学実験によく用いられ、安価で入手し易いからである。
還元性を有する化合物は溶媒に混合、溶解又は溶媒で希釈して溶液にして用いる。溶媒としては緩衝液を用いることが出来る。緩衝液としては、特に限定されないが、リン酸ナトリウム緩衝液、リン酸カリウム緩衝液、トリス塩酸緩衝液、MES、MOPS、HEPES等のグッド緩衝液、ホウ酸緩衝液等を用いることが出来る。又、溶媒としては緩衝液とNaCl等の塩を混合した溶液(pH5~9)、例えば50mMリン酸ナトリウム緩衝液‐1M NaCl(pH7)を用いることが出来る。このようにして調製された還元性を有する化合物を含有する溶液はエンドトキシンに汚染された汚染物を処理するための処理液剤として用いることが出来る。
還元性を有する化合物を溶解又は希釈した溶液である処理液の還元性を有する化合物の濃度は0.1%以上とする。尚、処理液の濃度の%は、還元性を有する化合物が液体の場合はv/v、固体の場合にはw/vの%である。0.1%未満ではエンドトキシンの処理効果が低く、処理後にカラム等から回収される溶液のエンドトキシン濃度を充分に低減させることが出来ないからである。又、好ましくは0.1~5%である。5%より濃度が高いと、エンドトキシンの処理効果は高くエンドトキシンの流出を低減させることが出来るが、還元性を有する化合物が、処理後にカラム等から回収される溶液中に残存してしまう可能性がある為、実用的ではないからである。
処理方法としては、エンドトキシンに汚染された汚染物を所定時間、還元性を有する化合物を溶解又は希釈した処理液と接触させた後に、処理液を除去する方法を採用することが出来る。又、汚染物がカラムや充填剤の場合、充填剤をカラムに充填した状態で、カラムに処理液を通液させて充填剤とカラムを同時に処理してもよく、充填剤のみ或いはカラムのみを処理することとしてもよい。処理液を通液や除去する方法は特に限定されないが、遠心分離機を用いた遠心処理やポンプを用いた吸引又は加圧等により処理液を通液や除去することも可能である。
次に本発明の処理方法について、シリカモノリスを充填したスピンカラムに対して処理を行う例で説明する。還元性を有する化合物を0.1~0.5%になるように50mMリン酸ナトリウム緩衝液‐1M NaCl(pH7)に溶解して処理液を調製する。還元性を有する化合物が液体の場合はv/v、固体の場合にはw/vで準備する。そして、スピンカラムの上部キャップ及び下部キャップを取り外し、回収用チューブに装着し、遠心処理して、カラム内に含まれる保存液を除去する。そして、回収用チューブ内の溶液を除いた後に、スピンカラムに還元性を有する化合物を含有する処理液を入れ、遠心処理を行う。スピンカラムに還元性を有する化合物を含有する処理液を入れて遠心処理を行う工程は1回でもよいが、回毎にカラムを処理した回収用チューブ内の使用済み処理液を除いた後に、2回以上行うこととしてもよい。
尚、試料中のエンドトキシン量を測定可能な試験として、公知のライセート試薬やリムルス試薬を用いるLAL試験のゲル化法、比色法、比濁法等を用いることが出来る。例えばゲル化法では、試薬が入った反応チューブへ試料溶液を入れ、所定温度で所定時間静置した後、反応チューブを傾け転倒し、試料溶液のゲル化の状態を目視し、試料溶液が固化した場合(反応チューブを180°転倒したときにゲルが崩れない場合)には、試料溶液中のエンドトキシン量が所定量以上であり、試料溶液が固化していない場合(反応チューブを180°転倒したときにゲルが落ちる又はゲルが形成されていない場合)には、試料溶液中のエンドトキシン量が所定量未満であることを示す試験である。
スピンカラムタイプの抗体精製用シリカモノリスカラム MonoSpin (登録商標)(ジーエルサイエンス社製)の充填剤シリカモノリスにエンドトキシンで汚染されたアフィニティリガンド(ProteinA)を修飾して結合させて、カラムを作製した。そして、カラムのエンドトキシンの残存状況を以下のように確認した。尚、カラム容量は500μLである。
スピンカラムの上部キャップ及び下部キャップを取り外し、回収用チューブを装着し、2,300×gで30秒遠心処理して、カラム内に含まれる保存液を除去した。そして、除去した保存液が入った回収用チューブを取り外し、新しい回収用チューブを装着し、100mMグリシン塩酸緩衝液(pH3)をカラムへ180μL添加し、2,300×gで30秒遠心処理回収し、回収液に1Mトリス塩酸緩衝液(pH8.5)を20μL添加した。この溶液200μLの内の100μLに対して100mMグリシン塩酸緩衝液(pH3)と1Mトリス塩酸緩衝液(pH8.5)が9:1になるように混合した溶液260μLを添加して試験液とした。尚、以下の実施例及び比較例において、カラムに溶液を添加した場合は、すべて遠心分離機で2,300×gで30秒遠心処理をすることにより溶液を回収した。
この試験液360μLの内の200μLに対してエンドトキシン量を測定可能なLAL試験を実施した。LAL試験は、ライセート試薬を用いたゲル化法LAL試薬パイロテルシングルテスト(0.25EU/mL)(生化学工業株式会社製)を用いてゲル化法で行った。LAL試薬が入った反応チューブへ200μLの試験液を入れ、37℃で1時間静置した後、試験液のゲル化の状態を目視した。再現性を確認するために2個のカラム(表1中「カラム1」及び「カラム2」と表す。)に同一の試験を1回ずつ行った。結果を表1に示す。
尚、試験液が固化した場合(反応チューブを180°転倒したときにゲルが崩れない場合)には、溶液中のエンドトキシン量としては0.25EU/mL以上である。以下、反応チューブを180°転倒したときにゲルが崩れない場合を固化有り(エンドトキシン濃度≧0.25EU/mL)、反応チューブを180°転倒したときにゲルが落ちる又はゲルが形成されない場合を固化無し(エンドトキシン濃度<0.25EU/mL)と記載する。
Figure 2023143402000001
+:固化有り(エンドトキシン濃度≧0.25EU/mL)
-:固化無し(エンドトキシン濃度<0.25EU/mL)
表1に示すように、試験液では固化が認められた為、即ち試験液のエンドトキシン量が0.25EU/mL以上であった為、又、カラムからの回収液を4倍希釈してLAL試験を行った為、カラムからの最初の回収液はエンドトキシン濃度が1EU/mL以上であることが分かった。
上記のように作製し、エンドトキシンで汚染されたカラムに対し、還元性を有する化合物である、2‐メルカプトエタノール、ジチオトレイトール、チオグリセロール、システイン、トリス(2‐カルボキシエチル)ホスフィンを用いて以下の処理を行い、カラムからのエンドトキシンの流出の確認を行った。再現性を確認するために夫々の化合物毎に4回同じ試験(表2中「試験1」~「試験4」と表す。)を行った。具体的には、還元性を有する5種の化合物を用いて、夫々4個のカラムに1回ずつ処理を行い、カラムからのエンドトキシンの流出の確認を行った。
上記の還元性を有する化合物を0.2%になるように50mMリン酸ナトリウム緩衝液‐1M NaCl(pH7)に溶解して処理液を調製した。処理液の濃度の%は、還元性を有する化合物が液体の場合はv/v、固体の場合にはw/vの%である。カラム容量が500μLのスピンカラムの上部キャップ及び下部キャップを取り外し、回収用チューブに装着、2,300×gで30秒遠心処理を行い、カラム内に含まれる保存液を回収した。回収用チューブ内の保存液を除いた後に、上記の還元性を有する化合物を含有する処理液500μLをカラムに入れ、2,300×gで30秒遠心処理を行った。この還元性を有する化合物を含有する処理液での処理を1回行った。
そして、新しい回収用チューブを装着し、100mMグリシン塩酸緩衝液(pH3)をカラムへ180μL添加し、遠心処理で回収し、回収液に1Mトリス塩酸緩衝液(pH8.5)を20μL添加した。この溶液200μLの内の100μLに対して、100mMグリシン塩酸緩衝液(pH3)と1Mトリス塩酸緩衝液(pH8.5)が9:1になるように混合した溶液260μLを添加した。この混合溶液360μLの内の200μLに対して、ライセート試薬を用いたゲル化法LAL試薬パイロテルシングルテスト(0.25EU/mL)(生化学工業株式会社製)を用いてLAL試験を実施した。LAL試薬が入った反応チューブへ200μLの混合溶液を入れ、37℃で1時間反応チューブを加温した。反応チューブ内の固化の状態にてエンドトキシンの量を確認した。結果を表2に示す。
Figure 2023143402000002
+:固化有り(エンドトキシン濃度≧0.25EU/mL)
-:固化無し(エンドトキシン濃度<0.25EU/mL)
表2に示すように、還元性を有する化合物である、2‐メルカプトエタノール、ジチオトレイトール、チオグリセロール、システイン、トリス(2‐カルボキシエチル)ホスフィンを用いてカラムの処理を行った後にカラムに添加して回収した溶液を4倍希釈した溶液は固化が認められなかった為、還元性を有する化合物を用いてカラムを処理後、カラムへ添加し回収した溶液のエンドトキシン濃度は1EU/mL未満であることが分かった。又、還元性を有する化合物を用いてエンドトキシン汚染物を処理することにより、エンドトキシン汚染物からエンドトキシンの流出を低減させることが出来ること、少なくともエンドトキシン濃度を1EU/mL未満に低減させることが可能であることが分かった。又、使用したカラムのカラム容量は500μLであり、還元性を有する化合物を含有する処理液500μLでの処理で効果があったことから、カラム容量と同容量の処理液での処理によりカラムからのエンドトキシンの流出を低減させることが可能であることが分かった。
(比較例1)
エンドトキシン汚染物からのエンドトキシンの流出の低減が還元性を有する化合物の作用であることを確認するために、比較例1として、実施例1で用いた還元性を有する化合物を含有する処理液に替えて、実施例1で還元性を有する化合物を溶解した緩衝液であるリン酸ナトリウム緩衝液‐1M NaCl(pH7)のみを用いて、それ以外の条件は上記の実施例1と同じ方法で処理を行い、実施例1と同じ条件でLAL試験を実施してエンドトキシンの流出の確認を行った。リン酸ナトリウム緩衝液‐1M NaClのリン酸ナトリウム緩衝液の濃度を10mM、50mM、100mM、1Mとして4個のカラムを用いて夫々1回ずつ試験を行った。結果を表3に示す。
Figure 2023143402000003
+:固化有り(エンドトキシン濃度≧0.25EU/mL)
-:固化無し(エンドトキシン濃度<0.25EU/mL)
表3に示すように、リン酸ナトリウム緩衝液‐1M NaCl(pH7)を用いて処理を行った後にカラムへ添加して回収した溶液を4倍希釈した溶液では、処理に用いたリン酸ナトリウム緩衝液の全ての濃度で固化が認められ、エンドトキシン濃度が1EU/mL以上であることが分かった。この結果より、リン酸ナトリウム緩衝液‐1M NaClにはエンドトキシン汚染物からエンドトキシンの流出を低減する作用は無いことが明らかとなり、更に、実施例1の結果と合わせると、還元性を有する化合物である、2‐メルカプトエタノール、ジチオトレイトール、チオグリセロール、システイン、トリス(2‐カルボキシエチル)ホスフィンの作用、効果によりエンドトキシン汚染物からのエンドトキシンの流出の低減が達成されることが明らかとなった。
(比較例2)
比較例2として、従来使用されている水酸化ナトリウムとエタノールの混合溶液(100mM水酸化ナトリウム-50%エタノール水溶液)を用いてカラムの処理を行った。1個のカラムを用いて1~5回処理を行った。それ以外の条件は上記の実施例1と同じ方法で処理を行い、実施例1と同じ条件でLAL試験を行った。結果を表4に示す。
Figure 2023143402000004
+:固化有り(エンドトキシン濃度≧0.25EU/mL)
-:固化無し(エンドトキシン濃度<0.25EU/mL)
表4に示すように、100mM水酸化ナトリウム-50%エタノール水溶液を用いてカラムを処理した場合は、処理回数が1~4回では、処理を行った後にカラムへ添加して回収した溶液を4倍希釈した溶液に固化が認められた為、カラムへ添加して回収した溶液のエンドトキシン濃度が1EU/mL以上であることが分かり、処理回数が5回では、処理を行った後にカラムへ添加して回収した溶液を4倍希釈した溶液に固化が認められなかった為、エンドトキシン濃度が1EU/mL未満であることが分かった。
実施例1において、5種の、還元性を有する化合物を含有する処理液を用いて夫々処理を行い「固化無し」を確認した5個のカラム夫々に対して、水洗浄を行い、カラムの蓋を閉めた状態で7日間の保存後に再度カラムのキャップを開け、保存液である水を遠心処理により除去、カラムに対して100mMグリシン塩酸緩衝液(pH3)を180μL添加し、遠心処理で回収し、回収液に1Mトリス塩酸緩衝液(pH8.5)を20μL添加した。この200μLの内の溶液100μLに対して100mMグリシン塩酸緩衝液(pH3)と1Mトリス塩酸緩衝液(pH8.5)が9:1になるように混合した溶液260μLを添加した。この混合液360μLの内の200μLに対して実施例1と同じ条件でLAL試験を実施した。結果を表5に示す。
Figure 2023143402000005
+:固化有り(エンドトキシン濃度≧0.25EU/mL)
-:固化無し(エンドトキシン濃度<0.25EU/mL)
表5に示すように、カラムへ添加して回収した溶液を4倍希釈した溶液で固化が認められなかった為、カラムへ添加して回収した溶液のエンドトキシン濃度は1EU/mL未満であることが分かった。この結果より、上記の5種の還元性を有する化合物による処理により、処理後にエンドトキシン汚染物に水を含ませて7日間保存した場合においても、エンドトキシン汚染物からのエンドトキシンの流出を低減させることが出来ることが明らかとなった。
(比較例3)
比較例3として、比較例2と同じ処理方法にて水酸化ナトリウムとエタノールの混合溶液での洗浄を10回行い、「固化無し」を確認したカラムに対して、水洗浄を行い、カラムの蓋を閉めた状態で2日間の保存後に再度カラムのキャップを開け、保存液である水を遠心処理により除去、カラムに対して100mMグリシン塩酸緩衝液(pH3)を180μL添加し、遠心処理で回収し、回収液に1Mトリス塩酸緩衝液(pH8.5)を20μL添加した。この溶液200μLの内の100μLに対して100mMグリシン塩酸緩衝液(pH3)と1Mトリス塩酸緩衝液(pH8.5)が9:1になるように混合した溶液260μLを添加した。この混合液360μLの内の200μLに対して実施例1と同じ条件でLAL試験を実施した結果、この混合液に固化が認められたため、即ち、カラムへ添加して回収した溶液を4倍希釈した溶液に固化が認められたため、カラムへ添加して回収した溶液のエンドトキシン濃度が1EU/mL以上であることが分かった。この結果より、水酸化ナトリウムとエタノールの混合溶液(100mM水酸化ナトリウム-50%エタノール水溶液)では、エンドトキシン汚染物からのエンドトキシンの流出を低減させることが出来ないことが分かった。
実施例1及び実施例2の結果から、本発明はカラム容量と同容量の処理液での処理によりエンドトキシン汚染物からのエンドトキシンの流出を低減させることが可能であることが分かった。一方、比較例3の結果から、カラム容量の10倍容量の、水酸化ナトリウムとエタノールの混合溶液での処理により、一時的にエンドトキシン汚染物からのエンドトキシンの流出を低減させることは出来るが、その後再び起こるエンドトキシンの流出を低減することは出来ず、処理が不十分であることが分かった。
実施例1でエンドトキシンの流出の低減効果が見られた、2‐メルカプトエタノール、ジチオトレイトール、チオグリセロール、システイン、トリス(2‐カルボキシエチル)ホスフィンを含有する処理液の還元性を有する化合物の濃度を変化させ、エンドトキシン汚染物からのエンドトキシンの流出の低減効果を得るために必要な、還元性を有する化合物の濃度を確認した。還元性を有する化合物の濃度を0.01~5%で変化させて、他の条件は実施例1と同条件で試験を行った。具体的には、25個のカラムを用いて、5種類の還元性を有する化合物夫々について5種類の濃度でそれぞれ1回ずつ処理を行った。結果を表6に示す。
Figure 2023143402000006
+:固化有り(エンドトキシン濃度≧0.25EU/mL)
-:固化無し(エンドトキシン濃度<0.25EU/mL)
表6に示すように、処理液の還元性を有する化合物の濃度が0.1~5%において、カラムからのエンドトキシンの流出の低減の効果を有することが確認された。処理を行った後にカラムへ添加して回収した溶液を4倍希釈した溶液は固化が認められなかった為、処理後にカラムへ添加して回収した溶液のエンドトキシン濃度は1EU/mL未満であることが確認され、この結果より、上記の還元性を有する化合物の上記濃度による処理はエンドトキシン汚染物からのエンドトキシンの流出を低減させることが出来ることが明らかとなった。又、処理液の還元性を有する化合物の濃度は5%より濃度が高いと、還元性を有する化合物がカラムの充填剤に残り、そのカラムで精製した抗体中に混入してしまう可能性がある為、実用的には処理液の還元性を有する化合物の濃度は0.1~5%が好ましい。
(比較例4)
比較例4として、実施例1でエンドトキシンの流出を低減させる効果を有することが確認された還元性を有する化合物と構造が似ている化合物を用いてカラムの処理を行い、処理後のカラムからのエンドトキシンの流出を確認した。還元性を有する化合物と構造が似ている化合物を含有する処理液として、還元性を有する化合物に替えてクエン酸ナトリウム緩衝液又はグリシンHCl溶液(pH2~3)を用い、50mMリン酸ナトリウム緩衝液‐1M NaCl(pH7)に溶解して処理液を調製した。処理液のクエン酸ナトリウム緩衝液(pH3)又はグリシンHCl溶液(pH2~3)の濃度をそれぞれ10mM~100mMで変化させ、具体的には、4個のカラムを用いて、2種類の還元性を有する化合物と構造が似ている化合物について、それぞれ2種類の濃度で1回ずつ処理を行った。それ以外の条件は上記の実施例1と同じ方法で行い、実施例1と同じ条件でLAL試験を実施した。結果を表7に示す。
Figure 2023143402000007
+:固化有り(エンドトキシン濃度≧0.25EU/mL)
-:固化無し(エンドトキシン濃度<0.25EU/mL)
表7に示すように、クエン酸ナトリウム緩衝液(pH3)又はグリシンHCl溶液(pH2~3)を含有する処理液で処理を行った後にカラムへ添加して回収した溶液を4倍希釈した溶液は固化が認められた為、カラムへ添加して回収した溶液はエンドトキシン濃度が1EU/mL以上であることが分かった。上記結果より、クエン酸ナトリウム緩衝液(pH3)とグリシンHCl溶液(pH2~3)には、エンドトキシン汚染物からのエンドトキシンの流出を低減させる効果は無いことが分かった。
(比較例5)
比較例5として、実施例1でエンドトキシンの流出を低減させる効果を有することが確認された還元性を有する化合物と構造が似ている化合物を用いてカラムの処理を行い、カラムからのエンドトキシンの流出の確認を行った。還元性を有する化合物と構造が似ている化合物としてエチレングリコール又はグリセロールを用いた。還元性を有する化合物に替えてエチレングリコール又はグリセロールそれぞれ1%を100mMリン酸ナトリウム緩衝液‐1M NaCl(pH7)に加えた溶液をそれぞれ調製し、処理液として使用した。それ以外の条件は上記の実施例1と同じ方法で行い、実施例1と同じ条件でLAL試験を実施した。具体的には、2個のカラムを用いて、2種類の還元性を有する化合物と構造が似ている化合物について、それぞれ1種類の濃度で1回ずつ処理を行った。結果を表8に示す。
Figure 2023143402000008
+:固化有り(エンドトキシン濃度≧0.25EU/mL)
-:固化無し(エンドトキシン濃度<0.25EU/mL)
表8に示すように、エチレングリコール又はグリセロールを含有する処理液で処理を行った後にカラムへ添加して回収した溶液を4倍希釈した溶液は固化が認められた為、カラムへ添加して回収した溶液のエンドトキシン濃度が1EU/mL以上であることが分かった。この結果より、エチレングリコールとグリセロールには、エンドトキシン汚染物からのエンドトキシンの流出を低減させる効果は無いことが分かった。
実施例1~実施例3において処理を行い、エンドトキシンの流出の低減効果が見られた全てのスピンカラムに対して、支持体に結合したアフィニティリガンドの性能が落ちていないことを確認する為に、処理前と処理後のカラムに対して、抗体の回収試験を行った。1mg/mL IgG溶液を400μLカラムに添加し、2,300×gで30秒遠心処理を行った後、1M NaClを含む100mMリン酸緩衝液(pH7)500μLをカラムに入れ、2,300×gで30秒遠心処理を行った。カラムに新しい回収用チューブを装着し、100mMグリシン塩酸緩衝液(pH3)を400μLカラムに添加し、2,300×gで30秒遠心処理を行った。カラムから回収した溶液の吸光度(280nm)を確認した所、処理前も処理後も全てのカラムにおいてIgGの回収率が90%以上であった。この結果から、本発明の処理を行った場合も、アフィニティリガンドは劣化しておらず、性能を維持していることが分かった。
以上の結果から、還元性を有する化合物である、2‐メルカプトエタノール、ジチオトレイトール、チオグリセロール、システイン、トリス(2‐カルボキシエチル)ホスフィンを含有する処理液を用いての処理により、エンドトキシン汚染物からのエンドトキシンの流出を低減させる効果が認められた。一方で、緩衝液のみを処理液として用いた処理や、還元性を有する化合物と構造が近い、グリシン、クエン酸、エチレングリコール、グリセロールを含有する処理液を用いての処理では、エンドトキシン汚染物からのエンドトキシンの流出を低減させる効果が得られなかった。従って、還元性を有する化合物を処理液に含有させることで、エンドトキシン汚染物からのエンドトキシンの流出を低減させる効果が得られることが明らかになった。又、還元性を有する化合物を含有させた処理液で処理を行っても、アフィニティリガンドの性能を維持することが出来ることが明らかになった。
尚、上記の実施例はスピンカラムタイプのカラムで行ったが、その他のカラムであるカートリッジカラムタイプやウェルプレートタイプ、分析カラムや分取カラムでも同様の効果が得られる。又、上記の実施例ではシリカモノリスが支持体のカラムを使用したが、支持体がアガロースゲル、シリカゲル、ポリマーモノリス、ポリマー樹脂の場合であっても同様の効果を得ることが出来る。
以上のような本発明によれば、エンドトキシンで汚染された汚染物の処理後はエンドトキシンの流出を低減させることが出来るので、医薬の精製器具の処理や、医療用器具の処理に有用に用いることが出来るので、医薬産業や医療業において有用に用いることが出来る。

Claims (11)

  1. エンドトキシンに汚染された汚染物を、還元性を有する化合物を用いて処理することを特徴とするエンドトキシン汚染物の処理方法。
  2. 前記還元性を有する化合物は、その構造中にチオール基を有する有機化合物、有機ホスフィンから選択される1種以上であることを特徴とする請求項1に記載のエンドトキシン汚染物の処理方法。
  3. 前記還元性を有する化合物は、その構造中にチオール基を有する水溶性の有機化合物、水溶性の有機ホスフィンから選択される1種以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載のエンドトキシン汚染物の処理方法。
  4. 前記還元性を有する化合物は、2‐メルカプトエタノール、ジチオトレイトール、ジチオエリスリトール、チオグリセロール、システイン、トリス(2‐カルボキシエチル)ホスフィンから選択される1種以上であることを特徴とする請求項1から3のうちいずれか1項に記載のエンドトキシン汚染物の処理方法。
  5. 前記エンドトキシンに汚染された汚染物を、前記還元性を有する化合物を溶媒に溶解した処理液と接触させて処理することを特徴とする請求項1から4のうちいずれか1項に記載のエンドトキシン汚染物の処理方法。
  6. 前記汚染物は、支持体に抗体精製用アフィニティリガンドが修飾された、カラムに充填される充填剤であることを特徴とする請求項1から5のうちいずれか1項に記載のエンドトキシン汚染物の処理方法。
  7. 前記汚染物は、支持体に抗体精製用アフィニティリガンドが修飾された充填剤が充填されたカラムであることを特徴とする請求項1から5のうちいずれか1項に記載のエンドトキシン汚染物の処理方法。
  8. エンドトキシンに汚染された汚染物を処理するための処理液剤であって、還元性を有する化合物を含有することを特徴とするエンドトキシン汚染物処理用の処理液剤。
  9. 前記還元性を有する化合物は、その構造中にチオール基を有する有機化合物、有機ホスフィンから選択される1種以上であることを特徴とする請求項8に記載のエンドトキシン汚染物処理用の処理液剤。
  10. 前記還元性を有する化合物は、その構造中にチオール基を有する水溶性の有機化合物、水溶性の有機ホスフィンから選択される1種以上であることを特徴とする請求項8又は9に記載のエンドトキシン汚染物処理用の処理液剤。
  11. 前記還元性を有する化合物は、2‐メルカプトエタノール、ジチオトレイトール、ジチオエリスリトール、チオグリセロール、システイン、トリス(2‐カルボキシエチル)ホスフィンから選択される1種以上であることを特徴とする請求項8から10のうちいずれか1項に記載のエンドトキシン汚染物処理用の処理液剤。
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