JP2023143231A - 不織布およびその製造方法 - Google Patents

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克仁 岩井
Katsuhito Iwai
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Abstract

【課題】縞を構成する各領域の境界の少なくとも一方の側にて、線状の領域が形成されて領域間の境界がより明確にされた、新規な意匠を有する不織布を提供する。【解決手段】第1領域と第2領域と第3領域とを少なくとも含む不織布であって、第1領域、第2領域および第3領域は、縞状に存在し、平面視にて、第3領域は、第1領域と第2領域との境界に形成されており、平面視にて、各領域が連続して延びる方向をY方向、Y方向と直交する方向をX方向としたときに、第3領域には、Y方向に線状に配置された複数の開口部が少なくとも形成され、平面視にて、第3領域は、X方向において、9mm以下の寸法を有し、平面視にて、第1ないし第3領域は、X方向において、第1領域、第3領域、第2領域の順に繰り返し形成されており、第1領域、第2領域および第3領域は互いに異なる模様を有している、不織布。【選択図】なし

Description

本開示は、少なくとも2つの領域が繰り返し規則的に形成されて縞状の模様を形成するとともに、その2つの領域の間で幅狭の線状に形成されて当該2つの領域の境界をより明確にする領域が形成された、新規な意匠を有する不織布およびその製造方法に関する。
縞状(「ストライプ状」ともいう)の模様が形成された不織布は、例えば特許文献1および2にて提案されている。ストライプ模様を有する不織布は、二つ以上の模様の異なる領域が交互または規則的に形成されてなり、各領域の模様は当該領域に形成された開口部の寸法および/または開口部の配置によって決定される。ストライプ模様を有する不織布は、意匠性を高めて不織布の付加価値を向上させることができることから、様々なストライプ模様が提案されている。また、ストライプ模様の不織布は、各領域の模様を調節することにより、例えばワイパーとして用いたときの拭き取り性を向上させることができる。
特開2000-45161号公報 特開2009-287158号公報
本開示は、縞を構成する各領域の境界の少なくとも一方の側にて、線状の領域が形成されて領域間の境界がより明確にされた、新規な意匠を有する不織布を提供する。
本開示は、第1の要旨において、
第1領域と第2領域と第3領域とを少なくとも含む不織布であって、
前記第1領域、前記第2領域および前記第3領域は、縞状に存在し、
平面視にて、前記第3領域は、第1領域と第2領域との境界に形成されており、
平面視にて、各領域が連続して延びる方向をY方向、Y方向と直交する方向をX方向としたときに、前記第3領域には、Y方向に線状に一列に配置された複数の開口部および凹部のいずれか又は両方が少なくとも形成され、
平面視にて、前記第3領域は、X方向において、9mm以下の寸法を有し、
平面視にて、前記第1ないし第3領域は、X方向において、第1領域、第3領域、第2領域の順に繰り返し形成されており、
前記第1領域、前記第2領域および前記第3領域は互いに異なる模様を有している、
不織布を提供する。
本開示は、第2の要旨において、
繊維ウェブを作製すること、
前記繊維ウェブを支持体に載置して、前記繊維ウェブに高圧流体流による交絡処理を施すこと
を含む不織布の製造方法であって、
前記支持体が、少なくとも二種類の織組織Aおよび織組織Bを有し、その進行方向に沿って前記織組織Aおよび前記織組織Bが規則的に繰り返し形成されているものであり、
前記支持体において、
前記織組織Aを構成する緯糸aと、前記織組織Bを構成する緯糸bの直径が異なっていて、前記織組織Aと前記織組織Bとの境界にて、前記緯糸aと前記緯糸bとが隣り合っており、
前記織組織Aの表面が、前記織組織Bの表面よりも、0.1mm以上3.0mm以下高い位置にある、
不織布の製造方法を提供する。
本開示の不織布は、第1領域と第2領域とが交互に配置された縞状模様の不織布において、これらの領域の境界のいずれか一方の側に、これらの領域とは異なる模様の幅狭線状の第3領域が形成されて、第1領域と第2領域の境界をより明確にしている。この不織布は新規な意匠性を有し、例えば、外観が重視される用途(例えば、化粧品、吸収性物品の表面材)に適している。さらに、例えば、本開示の不織布を人体や物品の汚れを拭き取るワイパーとして用いた場合には、各領域の模様を選択することで汚れをより良好に拭き取ることができる。
本実施形態の不織布の製造に用いる支持体の一例の組織図である。 本実施形態の不織布の製造に用いる支持体の一例の組織図である。 図1の支持体を用いて製造した不織布の一例に相当する実施例1で製造した不織布の表面を示す写真である。 図2の支持体を用いて製造した不織布の一例に相当する実施例2で製造した不織布の表面を示す写真である。 本実施形態の不織布の製造に用いる支持体の一例の組織図である。 図5の支持体を用いて製造した不織布の一例に相当する実施例3で製造した不織布の表面を示す写真である。 第1領域が斜線模様である場合に斜線模様の斜線とY方向とがなす鋭角aを示す平面図である。 第1領域が斜線模様であり、斜線に開口部が形成されている場合に、隣り合う開口部の中心間の距離Daを示す平面図である。 第2領域が低密度領域が千鳥状に配列された模様である場合に隣り合う低密度領域の中心間の距離Dbを示す平面図である。 実施例4で製造した不織布の表面を示す写真である。 実施例5で製造した不織布の表面を示す写真である。 実施例6で製造した不織布の表面を示す写真である。 (a)は実施例7で製造した不織布の表面を示す写真であり、(b)は実施例7で製造した不織布の第3領域付近を示す拡大写真である。 実施例1で製造した不織布を示す写真であり、(a)は不織布の表面を示し、(b)は不織布の裏面を示し、(c)は(a)のA-B-C-Dの拡大写真であり、(d)は(a)のE-F-G-Hの拡大写真であり、(e)は不織布表面を斜めから撮影した写真であり、(f)は不織布を折り曲げて斜めから撮影した写真である。 本実施形態の不織布の製造に用いる支持体の一例において、織組織Aの表面と織組織Bの表面の高さの差を求める方法を示す側断面写真である。 本実施形態の不織布の製造に用いる支持体の一例において、織組織Aの表面と織組織Bの表面の高さの差を求める方法を示す側断面写真である。 本実施形態の不織布の製造に用いる支持体の一例において、織組織Aの表面と織組織Bの表面の高さの差を求める方法を示す側断面写真である。
(本実施形態に至った経緯)
上記特許文献1および2で開示された不織布においては、縞状模様を構成する列ないしは模様部が、不織布のMD方向(縦方向)に延び、CD方向(横方向)に沿って二以上の異なる模様の領域が規則的に配置されている(以下、このような縞状模様を便宜的に「縦ストライプ」と呼ぶ)。縦ストライプは、例えば、水流交絡法で不織布を製造する場合には、水流の噴射条件をCD方向において規則的に変化させることで形成される。例えば、水流を噴射するノズルにおいて、ストライプのいずれか一つの列に相当する領域のオリフィスを塞ぐことで縦ストライプを形成できる。あるいは、開口部が等間隔に配置されたプレートをノズルと繊維ウェブとの間に配置させ、開口部を通過した水流が当たる箇所と、プレートにより水流がさえぎられて水流が当たらなかった箇所とを形成することで、縦ストライプを形成できる。あるいはまた、水流交絡処理の際に繊維ウェブを搬送する支持体において、進行方向と直交する方向で支持体の構成(例えば、支持体の織組織)を規則的に変化させることによっても縦ストライプを形成できる。
本発明者は、従来の不織布では得られなかったストライプ模様を得るために種々検討した。その結果、水流交絡の際に特定の支持体を用いることで、ノズルの全オリフィスから一様に繊維ウェブに水流を噴射しても、ストライプ模様を形成でき、かつ列間の境界を明瞭にする幅狭の線状に形成された模様(例えば、縫目(ステッチ)状、切り取り線状などの模様)を有する領域が形成されることを見出し、独特な意匠の不織布を得た。以下、本実施形態の不織布を製造する方法を先に説明し、それから本実施形態の不織布の構成を説明する。
(実施形態1:不織布の製造方法)
本実施形態の不織布の製造方法は、
繊維ウェブを作製すること、
前記繊維ウェブを支持体に載置して、前記繊維ウェブに高圧流体流による交絡処理を施すこと
を含む不織布の製造方法であって、
前記支持体が、少なくとも二種類の織組織Aおよび織組織Bを有し、その進行方向に沿って前記織組織Aおよび前記織組織Bが規則的に繰り返し形成されているものであり、
前記支持体において、
前記織組織Aを構成する緯糸aと、前記織組織Bを構成する緯糸bの直径が異なっていて、前記織組織Aと前記織組織Bとの境界にて、前記緯糸aと前記緯糸bとが隣り合っており、
前記織組織Aの表面が、前記織組織Bの表面よりも、0.1mm以上3.0mm以下高い位置にある、
不織布の製造方法である。
この製造方法は、高圧流体流を繊維ウェブに噴射することにより、繊維同士を交絡させて繊維を一体化させる方法に相当する。高圧流体は、例えば、圧縮空気等の高圧気体、および高圧水等の高圧液体である。不織布の製造においては、高圧流体として高圧水を用いた水流交絡処理を用いることが多く、本実施形態においても、実施の容易性等の点から、水流交絡処理が好ましく用いられる。以下においては、高圧流体流として高圧水流(以下においては、単に「水流」とも呼ぶ)を用いた場合の製造方法を説明する。
本実施形態では、支持体として、経糸と緯糸を織成してなる支持体であり、少なくとも二種類の織組織Aおよび織組織Bを含み、織組織Aおよび織組織Bが、緯糸が延びる方向(一般には不織布製造中に支持体が進行する方向と直交する方向、以下「CD方向」とも呼ぶ)に沿って延びる帯状部であり、経糸が延びる方向(一般には、不織布製造中に支持体が進行する方向、以下「MD方向」とも呼ぶ)に沿って、織組織Aおよび織組織Bが規則的に繰り返し形成されている(以下、便宜的に「縞状模様形成支持体」と呼ぶ)を用いる。縞状模様形成支持体は、において、織組織Aおよび織組織Bは、支持体のCD方向の幅全体にわたって延びているか、製造される不織布のCD方向の幅全体にわたって延びている。この支持体上で繊維ウェブに水流を噴射することで、各織組織によって決定される模様(無模様を含む)を有する領域が、繊維の再配列により形成される。
縞状模様形成支持体においては、例えば、織組織Aと織組織Bとが、経糸の延びる方向(MD方向)に沿ってA-B-A-B・・・の順に配置されている。よって、この支持体の織組織AおよびBによって不織布に形成される領域をそれぞれ第1領域および第2領域とすると、不織布においては、MD方向に沿って第1領域-第2領域-第1領域-第2領域・・・の順に二つの領域が形成され、MD方向と直交するCD方向に沿って第1領域および第2領域が延びる横縞模様(すなわち、横ストライプ)が形成される。更に、織組織Cを加えMD方向に沿ってA-B-C-A-B-C・・・の順に配置することも可能である。織組織としては、平織、綾織、朱子織、杉綾織などが挙げられ、例えば、織組織Aを2/2綾織とし、織組織Bを平織とし、織組織Cを3/1綾織としてよい。3以上の織組織を組み込んだ支持体によれば、得られる不織布において、表面性が異なる多数の領域で横縞模様を形成できる。また、例示した織組織は、不規則な組織、例えば崩し綾のような織組織であってよい。不規則な組織とすることにより、経糸が緯糸の上を通過して浮いている部分が分散され、この浮いた経糸に起因して形成される開口部または凹部が分散されることとなり、独特の意匠を不織布に付与し得る
本実施形態で用いる支持体においては、織組織Aを構成する緯糸aと、織組織Bを構成する緯糸bの直径が異なっていて、織組織Aと織組織Bとの境界にて、緯糸aと緯糸bとが隣り合っており、織組織Aの表面が、織組織Bの表面よりも、0.1mm以上3.0mm以下高い位置、特に0.5mm以上2.5mm以下高い位置、より特には0.8mm以上2.0mm以下高い位置にある。この構成を有する支持体によって、第1領域と第2領域の境界に幅の狭い第3領域を形成することができる。
織組織Aの表面と織組織Bの表面の高さの差は、支持体をMD方向の側面または側断面を観察し、織組織Aの最も高い位置(通常は、織組織Aおよび織組織B間の境界において経糸が浮いている箇所)と、織組織Bの最も高い位置)との差とする。側断面を観察するために支持体を切断する場合、切断箇所によっては、側断面には織組織の最も高い位置が表れにくいことがある。この場合、撮影された側断面よりも奥側で最も高い位置となっている箇所を求めるか、支持体を異なる数か所で切断して異なる切断面を観察して、各組織の最も高い位置間の距離を求める。但し、側断面の奥側に組織の表面が斜視的に撮影されているときは、奥側に位置する経糸および緯糸は表面の高さを求めるにあたり無視するものとする。支持体の織組織によっては、緯糸が最も高い位置となることもあり、経糸が最も高い位置となることもある。
支持体の側断面から織組織Aの表面と織組織Bの表面の高さの差を求める方法を図15~図17に示す。図15は後述する図1に示す織組織の支持体に相当する。図15においては、織組織Bの表面にて最も高い位置を通過し、支持体を載置した台の表面と平行な線LB、および織組織Aの表面にて最も高い位置(符号a1で示す緯糸の表面の最も高い位置)を通過し、支持体を載置した台の表面と平行な線LAが引かれている。LA-LB間の距離(支持体を載置した台の表面に垂直な方向における間隔)が織組織Aの表面と織組織Bの表面の高さの差に相当する。
図16は後述する図2に示す織組織の支持体に相当し、図17は後述する図5に示す織組織の支持体に相当する。図15と同様、これらの図において、LBは織組織Bの表面の最も高い位置を通過し、支持体を載置した台の表面と平行な線であり、LAは織組織Aの表面の最も高い位置(最も高い位置にある経糸の表面)を通過し、支持体を載置した台の表面と平行な線である。図16においては、側断面の奥側に織組織Bの表面が斜視的に表れているが、これはLBを求めるにあたり無視している。
上記構成の支持体においては、二つの組織の境界において段差が形成されており、ならびに/または他の部分よりも広い緯糸間の隙間が形成される傾向にある。この段差または隙間部分にて、繊維ウェブが、織組織AおよびB上の繊維ウェブとは異なる条件で水流の作用受け、および/または水流交絡処理中の吸気(サクション)の影響を受ける。その結果、第1および第2領域のいずれとも模様の異なる第3領域が、幅狭の領域として形成される。
また、織組織Aと織組織Bの境界においては、緯糸の直径が変化すること、および織組織が変化すること等の理由により、経糸の浮きの状態が、織組織Aおよび織組織Bにおける経糸の浮き部とは異なる部分(「ナックル」と呼ぶ)が形成され、このナックルにより得られる不織布の第3領域に開口部を形成すると考えられる。また、境界においては、緯糸が例えば蛇行するなどして、他の部分と異なる状態となることがあり、このことも第3領域が形成される要因となり、ならびに/または第3領域における模様を決定すると考えられる。
本実施形態において、縞状模様形成支持体は、織組織Aとしての綾織部と織組織Bとしての平織部が進行方向に沿って交互に形成されたものであってよい。そのような支持体においては、緯糸aの直径が、緯糸bの直径よりも大きくてよい。以下、そのような縞状模様形成支持体の例を、織組織を示しながら説明する。
織組織Aである綾織部は、例えば、緯糸の浮き数が2以上であり、経糸の浮き数が1である、ヨコ綾織組織であってよい。図1は、1/7のヨコ綾織部である織組織Aと、平織部である織組織Bとが形成された支持体の組織図であり、図2は、1/3のヨコ崩し綾織部である織組織Aと、平織部である織組織Bとが形成された支持体の組織図である。組織図において、着色した部分は緯糸の上に浮いている経糸である。なお、図1および図2、ならびに後述する図5は、織組織Aおよび織組織Bの繰り返しを模式的に示し、図面に示された各組織を構成する経糸および緯糸の数等は例示的なものである。また、これらの図面に示された支持体で製造される不織布の例を図3、図4および図6に示しているが、これらの不織布の製造で実際に使用した支持体において各領域の経糸および緯糸の数等は、図示したものとは異なることがある。
図1の支持体において、二つの組織の境界においては、経糸の浮き部分によりナックルaが形成されている。図1において、ナックルaは、経糸が緯糸aおよびbの上で浮いている。他の部分において、経糸は1本の緯糸の上に浮いており、ナックルaは他の部分とは異なる状態の経糸の浮きにより形成されていることがわかる。
この支持体を用いて製造される不織布は、図3に示すような模様を有し、綾織部(織組織A)により付与された斜線模様を有する第1領域と、平織部(織組織B)より形成された、開口部ないしは凹部が千鳥状に配置された第2領域を有する。また、第3領域として、開口部が比較的明瞭に形成されたステッチ状の領域が、第1領域→第3領域→第2領域の順となるように規則的に形成されている。不織布の構成は実施の形態2にて詳述する。
図3の不織布においては、一つの第2領域から見て、図の下方の側の第1領域との境界にのみ第3領域が形成されている。第3領域は、支持体を進行させながら水流を繊維ウェブに噴射する際に、支持体の低い位置(織組織B)にある繊維ウェブから、高い位置(織組織A)にある繊維ウェブに向かって、水流が順次噴射されて形成される部分である。進行するにつれて、低い位置から高い位置に跨って延びる繊維ウェブは、水流をしっかりと受け止めて水流の作用を受けやすく、段差におけるナックル等を不織布に反映させやすいと考えられる。一方、高い位置(織組織A)にある繊維ウェブから、低い位置(織組織B)にある繊維ウェブの順に水流が噴射される、もう一方の段差では、高い位置から低い位置に跨って延びる繊維ウェブの上を水流の一部が「流れ落ちて」、繊維ウェブにしっかりと受け止められず、交絡の度合いが弱くなると考えられる。その結果、開口部および/または凹部が形成されにくく、明瞭な模様を有する第3領域が形成されず、図3のような不織布が得られると考えられる。
図2の支持体においては、ナックルaは1本の緯糸の上で浮いている経糸である。ナックルaは、経糸が太い緯糸aの上を通過する部分であるが、ナックルaの進行方向の前後にて経糸は細い緯糸bの上を通過している。そのため、ナックルaの近辺では緯糸の配置(特に緯糸間の間隔)が、他の組織における緯糸の配置と異なり、そのためにナックルaが第3領域において特徴的な開口部および/または凹部を形成すると考えられる。
この支持体を用いて製造される不織布は、図4に示すような模様を有し、綾織部(織組織A)により付与された開口部が規則的に配置された第1領域と、平織部(織組織B)より形成された、開口部ないしは凹部が千鳥状に配置された第2領域を有する。また、第3領域として、開口部が明瞭に形成されたステッチ状の領域が、図の上から下に向かって第1領域→第3領域→第2領域の順となるように規則的に形成されている。不織布の構成は実施の形態2にて詳述する。図4に示す不織布の第1領域においては、織組織Aにおいて経糸が浮いている部分に対応する位置に比較的明瞭な開口部が形成される。これは、織組織Aが1/3ヨコ崩し綾組織であり、経糸の浮き部における湾曲が、例えば図1の支持体の織組織Aにおけるそれよりも強くて、浮き部がより隆起していること、および経糸の浮いている部分の斜め隣りに同じく経糸が浮いている部分が存在して、これらが合わせて大きな凸部を形成しているとみなせることによると考えられる。また、図2の支持体の織組織Aにおいては、浮いている経糸により連続した斜めの線が形成されないため、得られた不織布の第1領域には斜線模様が形成されにくい。
図4に示す不織布もまた、第1領域→第3領域→第2領域が繰り返し形成された構成を有し、一つの第2領域から見て、図の下方の側の第1領域との境界にのみ第3領域が形成されている。このように第3領域が形成されている理由は、上記図3を参照して説明した理由と同じであると考えられる。
縞状模様形成支持体の織組織Aは、経糸の浮き数が1であるものに限定されず、経糸の浮き数が2以上である綾織部であってよい。経糸の浮き数の上限は、例えば16であってよく、特に10であってよい。このとき、緯糸の浮き数は、例えば2以上16以下であってよく、特に2以上10以下であってよい。例えば、支持体は、図5の組織図に示すように、2/2の綾織部である織組織Aと、平織部である織組織Bとが形成されたものであってよい。
経糸の浮き数が2以上である綾織部は、平織部との境界において特徴的なナックルを形成する。図5に示すように、綾織部の平織部の一方の境界には、前記緯糸aおよび前記緯糸bを含む、連続する3以上の緯糸の上で浮いているナックルN1が形成されている。このナックルN1は縦方向に長いため、縦長の開口部を第1領域と第2領域との境界に形成する傾向にある。
また、図5に示す支持体においては、ナックルN1が形成されている側の境界とは反対側の境界において、経糸が緯糸aおよび緯糸bを含む連続する2以上の緯糸の上で浮いているナックルN2が形成されており、ナックルN2の一方の側に隣り合って、経糸が連続する2以上の緯糸の上で浮いているナックルN3が形成されている。ナックルN2およびN3は近接して形成されているため、得られる不織布においては、近接した二つの開口部または二つの開口部がつながって一つのより大きな開口部が形成された領域が、第1領域と第2領域との間で形成される。
図5の支持体のように、織組織において、経糸の浮き数(経糸が連続してその上に位置する緯糸の数)と緯糸の浮き数(緯糸が連続してその上に位置する経糸の数)が同じであると、両方の主表面にて経糸および緯糸の浮き数が同じとなる。そのような支持体は、繊維ウェブを載置する面を主表面のいずれとしても、略同じ模様の不織布の製造を可能とする。但し、綾織組織の部分では、経糸が形成する斜めの線の向きが二つの主表面の間で鏡像対象となり、得られる不織布において形成される斜線の向きが反対となる。
図5に示す支持体を用いて製造した不織布の例を図6に示す。図6の不織布は、ナックルN1が形成された境界が先に水流に噴射されるように、すなわち図5において、組織図の右側に示した矢印を進行方向として、水流交絡処理を実施して作製した不織布である。 図6の不織布において、第1領域は、開口部が形成された斜線と開口部が形成されていない斜線とが交互に配置された斜線模様を有する。開口部は、図5の綾織部において、経糸が浮いている部分に対応し、綾織部にて二本の緯糸の上で浮いている経糸が隣り合っているため、比較的明瞭な開口部が不織布に形成されている。
図6の不織布は、ナックルN1を含む境界部に対応して形成された第3領域と、ナックルN2およびN3を含む境界部に対応して形成された第4領域とを有し、4つの領域は第1領域→第3領域→第2領域→第4領域の順に繰り返し形成されている。第3および第4領域はいずれも、第1領域と第2領域と異なる模様を有し、第1領域と第2領域との境界を強調している。ナックルN1は、3本の緯糸の上で浮いていて長いために、第3領域の開口部を第1領域に形成された開口部より大きくし、また、第1領域の開口部で形成される斜線の向きが第3領域にて変更された外観を与えている。ナックルN2は、織組織AおよびBの境界にて、織組織Aを構成する緯糸および織組織Bを構成する緯糸の上を通過しているために、その織組織B側にて経糸がより低い位置に達してから、織組織Bの緯糸の下を通過する。そのことが第4領域の模様を他の領域とは異なるものにしていると考えられる。さらに、織組織Aおよび織組織Bの境界では、緯糸の間隔が織組織Aおよび織組織Bにおけるそれよりも広くなる傾向にあり、そのことも第3領域および第4領域の模様を他の領域とは異なるものにしていると考えられる。
図6の不織布では、第2領域から見て、図の上方および下方それぞれの側の境界に、第1領域および第2領域とは異なる模様を有する領域が形成されている。ナックルN2およびN3では経糸が2本の緯糸の上で浮いているため、比較的大きいものである。そのため、高い位置から低い位置に跨る繊維ウェブに水流が順次作用する場合でも、ナックルの影響を受けやすく、図1および2の支持体(進行方向の後側の織組織の境界のナックルでは経糸の浮き数が1)と比較して、より鮮明な模様が形成されたと考えられる。
図示した縞状模様形成支持体は一例であり、織組織AおよびBはそれぞれ図示した織組織以外のものであってよい。また、各織組織のMD方向の幅、緯糸aおよびbの直径、ならびに経糸の直径も、所望の縞状模様、ならびに所望の第1領域および第2領域の模様が得られるように適宜選択される。
縞状模様形成支持体において、織組織AおよびBのMD方向の寸法が、得られる不織布における第1および第2領域のMD方向の寸法(すなわち、第1および第2領域が延びる方向をY方向、これと直交する方向をX方向としたときに、X方向の寸法)を決定する。本実施形態において、織組織AのMD方向の寸法は、2mm以上200mm以下であってよく、特に3mm以上100mm以下、より特には5mm以上50mm以下、さらに特には7mm以上30mm以下、さらにより特には10mm以上25mm以下であってよい。同様に、織組織BのMD方向の寸法は、2mm以上200mm以下であってよく、特に3mm以上100mm以下、より特には5mm以上50mm以下、さらに特には7mm以上30mm以下、さらにより特には10mm以上25mm以下であってよい。織組織AのMD方向の寸法は、織組織BのMD方向の寸法と同じであってよく、異なっていてよい。また、一つの支持体において、MD方向の寸法の異なる織組織Aが複数存在していてよく、ならびに/あるいはMD方向の寸法の異なる織組織Bが複数存在していてよい。
縞状模様形成支持体を構成する経糸および緯糸は、例えば、直径0.3mm以上1.2mm以下のフィラメントであってよい。緯糸の直径は、例えば0.5mm以上1.2mm以下、特に0.9mm以上1.0mm以下、より特には0.65mm以上0.95mm以下であってよい。緯糸aと緯糸bは、その直径が互いに異なるものであってよい。その場合、緯糸aと緯糸bの直径の差は、例えば0.1mm以上0.8mm以下、特に0.2mm以上0.7mm以下、より特には0.3mm以上0.6mm以下であってよい。緯糸aと緯糸bの直径の差が大きいほど、形成される不織布において第3領域および第4領域における模様をより鮮明なものとし得る傾向にあるが、大きすぎると織組織Aと織組織Bとの境界付近にて、織組織Bと繊維ウェブが接触せず(隙間が大きく)、却って明瞭な模様を形成できない場合がある。なお、支持体を構成する経糸は、織組織AおよびBにおいて共通し、その太さは織組織AおよびBにおいて同じである。
経糸および緯糸の直径は糸(例えばフィラメント)の横断面(長さ方向に垂直に切断して得られる断面)において、断面の任意の二点を結ぶ線分のうち最も長い線分の長さとする。横断面形状が楕円形、多角形、または星形等であるものについても、直径はこの方法で求められる。ただし、後述するとおり、断面が扁平形状(角が丸くなっている矩形を含む)であるフィラメントについては、当該断面に外接する矩形の短辺および長辺の寸法によって、その太さを表す指標とする。
縞状模様形成支持体を構成する経糸および緯糸は、その断面が扁平形状を有し、当該断面に外接する矩形が0.2mm以上0.8mm以下の短辺および0.3mm以上1.2mm以下の長辺を有するモノフィラメントであってよい。外接矩形の短辺は特に0.4mm以上0.6mm以下、長辺は特に0.7mm以上0.9mm以下であってよい。ここで、「扁平形状」とは、矩形(長方形)、長楕円、および角の丸い矩形等のような一方向の寸法が大きいものであって、上記の方法で求めた直径のみによってはその寸法および形状を概念することが難しいものをいう。断面が完全な矩形である場合には当該矩形の短辺および長辺が上記範囲の寸法を有することとなる。外接矩形の長辺の寸法と短辺の寸法の比(長辺/短辺比)は、例えば、1.2以上、特に1.3以上3以下、より特には1.4以上2以下であってよい。
本実施形態において、支持体を構成する経糸は扁平形状のものであることが好ましい。扁平形状の経糸を用いると、断面が円形の経糸を用いる場合と比較して、経糸と繊維ウェブとの接触面積が大きくなり、ナックルを含む経糸が浮いている部分により形成される開口部及び/又は凹部の面積がより大きくなる傾向にある。
縞状模様形成支持体を構成する経糸および緯糸は、ポリエステル、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリエーテルエーテルケトン、およびポリフェニレンサルファイド等から選択される、1または複数の材料で形成されていてよい。
また、経糸および緯糸はモノフィラメント以外の形態のものであってよく、例えばマルチフィラメントまたはスパンヤーンの形態のものであってよい。マルチフィラメント等の場合、糸の太さを表す指標として直径に代えて繊度を用い、繊度が互いに異なる緯糸aおよび緯糸bを用いてよい。
縞状模様形成支持体を構成する経糸は、織組織AおよびBにおいて共通し、その太さは織組織AおよびBにおいて同じである。支持体は、太さの異なる二種以上の経糸で構成されてよく、例えば、より太い経糸とより細い経糸が交互に配置するようにしてよい。太さの異なる経糸を用いることにより模様をより明瞭なものとし得る。太さの異なる二種以上の経糸を用いる場合、直径が最大である経糸と直径が最小である経糸の直径の差は、例えば0.1mm以上0.5mm以下、特に0.15mm以上0.45mm以下、より特には0.2mm以上0.4mm以下であってよい。
模様形成支持体の織密度は、経糸については例えば6本/inch以上123本/inch以下、特に10本/inch以上80本/inch以下、より特には20本/inch以上40本/inch以下であってよい。緯糸の織密度は、例えば6本/inch以上123本/inch以下、特に8本/inch以上60本/inch以下、より特には10本/inch以上20本/inch以下であってよい。織密度が高いほど、ナックルを含む経糸が浮いている部分によって不織布により鮮明な模様を付与しやすくなるが、織密度が高すぎるとナックルを含む経糸が浮いている部分の平滑度が上がり、却って模様の明瞭さが低下することがある。
織組織Aが綾織部である場合、モノフィラメントの直径、経糸密度および緯糸密度に加えて、綾織部において、経糸が緯糸の上に浮く数、および/または緯糸の下に沈む数によっても、第1領域における斜線模様の形態が変化する。綾織組織は、経糸が緯糸の上に浮く場所が隣り合うもの、または隣り合わないもののいずれかで構成されており、経糸が浮いている部分を直線でつないだ時、すべての浮いている部分を含んだ状態で斜めに延びる直線を描ける場合、図3および図6に示すような斜線模様の第1領域が得られる。当該直線を描けない場合、図4のような開口部または凹部の配置の規則性が低い模様を有する第1領域が得られる。
織組織Bが平織部である場合、組織を構成するモノフィラメントの直径によって、第2領域に形成される開口部の寸法が変化し、モノフィラメントの直径が大きいほど、開口部または凹部の面積が大きくなる傾向にある。また、平織部の緯糸密度および経糸密度によって、開口部間、開口部-凹部間、または凹部間の間隔が変化し、緯糸密度および/または経糸密度が大きくなるほど、前記間隔は狭くなる傾向にある。
縞状模様形成支持体において、織組織AおよびBはともに平織部であってよい。その場合、二つの織組織は、緯糸の直径を変える、および/または緯糸の密度を変えることで、互いに異なるものとすることができる。また、織組織AおよびBはともに綾織部であってよい。その場合、二つの織組織は、経糸が緯糸の上に浮く本数を変える、緯糸の下に沈む数を変える、緯糸の直径を変える等から選択される一つの方法を用いて、互いに異なるものとすることができる。
織組織Bが目の細かい平織部(例えば80メッシュ以上100メッシュ以下)であると、当該組織に対応して無模様の第2領域が形成される。この場合、織組織Aは模様の形成が可能な組織、例えば綾織部であってよく、あるいは直径の大きなフィラメントからなる平織部であってよい。
本実施形態において、繊維ウェブはその構成繊維を全体的に均一に交絡させる処理(全体交絡処理)に付してから、二つのセクション間で異なる水流交絡処理条件となるような水流交絡処理に付してよい。全体交絡処理は、繊維ウェブの全体にわたって、同じ処理条件にて実施してよい。また、全体交絡処理は、交絡処理後の繊維ウェブが模様を有しない、すなわち無模様となるように実施してよい。全体交絡処理により、あらかじめ繊維同士をある程度交絡させておくことで、その後の交絡処理において、各領域においてより鮮明な模様を付することがより容易となる。
全体交絡処理は、支持体に繊維ウェブを載せて、柱状水流を噴射することにより実施する。例えば、支持体は、80メッシュ以上、100メッシュ以下の平織の支持体であることが好ましい。このような支持体によれば、繊維ウェブに模様を形成することなく、且つ良好な地合いとなるように、繊維ウェブの繊維を交絡させることが可能となる。
繊維ウェブは、公知の方法で作製することができる。繊維ウェブの形態は、例えば、パラレルウェブ、クロスウェブ、セミランダムウェブおよびランダムウェブ等のカードウェブ、およびエアレイウェブ、および湿式抄紙ウェブ等から選択されるいずれであってもよい。本実施形態では、厚みを得やすく、凹凸を付けやすい点からカードウェブが好ましく用いられる。
全体交絡処理は、孔径0.05mm以上、0.5mm以下のオリフィスが0.3mm以上、1.5mm以下の間隔で設けられたノズルから、水圧1MPa以上、15MPa以下の水流を、繊維ウェブの表裏面にそれぞれ1~5回ずつ噴射することにより実施してよい。水圧は、好ましくは、1MPa以上、10MPa以下であり、より好ましくは、1MPa以上、7MPa以下である。
縞状模様形成支持体に繊維ウェブを載せて実施する交絡処理(以下、「縞状模様形成交絡処理」)は、孔径0.05mm以上、0.5mm以下のオリフィスが0.3mm以上、1.5mm以下の間隔で設けられたノズルから、水圧1MPa以上、15MPa以下の水流を、繊維ウェブの表裏面にそれぞれ1~5回ずつ噴射することにより実施してよい。水圧は、好ましくは、1MPa以上、10MPa以下であり、より好ましくは、1MPa以上、7MPa以下である。本実施形態において、全体交絡処理が実施されず、縞状模様形成交絡処理のみが実施される場合には、所望の交絡状態が達成されるように、全体交絡処理が実施される場合よりも高い水圧を設定してよい。
縞状模様形成交絡処理を実施した後、繊維ウェブを乾燥処理に付することにより、後述する実施形態2の不織布を得ることができる。実施形態2の不織布は既に図3、4および6を参照して説明したものに相当し、その構成の詳細は後述する。
繊維ウェブが接着性繊維を含む場合、乾燥処理と同時に、または乾燥処理の後に、接着処理を実施して、得られる不織布において繊維同士が接着された構成が得られるようにしてよい。接着処理は、熱接着処理であってよく、あるいは、電子線照射による接着、または超音波溶着であってよい。熱処理によれば、接着性繊維(例えば、複合繊維の低融点成分)が熱処理の際、加熱によって溶融または軟化して、繊維ウェブを構成する繊維同士を接着することができる。熱処理によれば、乾燥処理を同時に実施できる。
熱処理は、例えば、熱風を吹き付ける熱風加工処理、熱ロール加工(熱エンボスロール加工)、または赤外線を使用した熱処理である。熱風加工処理は、所定の温度の熱風を繊維ウェブに吹き付ける装置、例えば、熱風貫通式熱処理機、または熱風吹き付け式熱処理機を用いて実施してよい。
熱処理温度(例えば、熱風の温度)は、接着性繊維を構成する成分であって、接着成分として機能させる成分が軟化または溶融する温度としてよい。例えば、熱処理温度は、当該成分の融点以上の温度としてよい。例えば、接着性繊維がポリエチレンを成分として含み、ポリエチレンを接着成分とする場合には、熱処理温度を130℃~150℃としてよい。
(実施形態2:不織布)
実施形態2として説明する不織布は、第1領域と第2領域と第3領域とを少なくとも含む不織布であって、
前記第1領域、前記第2領域および前記第3領域は、縞状に存在し、
平面視にて、前記第3領域は、第1領域と第2領域との境界に形成されており、
平面視にて、各領域が連続して延びる方向をY方向、Y方向と直交する方向をX方向としたときに、前記第3領域には、Y方向に線状に一列に配置された複数の開口部および凹部のいずれか又は両方が少なくとも形成され、
平面視にて、前記第3領域は、X方向において、9mm以下の寸法を有し、
平面視にて、前記第1ないし第3領域は、X方向において、第1領域、第3領域、第2領域の順に繰り返し形成されており、
前記第1領域、前記第2領域および前記第3領域は互いに異なる模様を有している、
不織布。
である。
[第1ないし第3領域、および第4領域]
本実施形態の不織布に含まれる第1領域、第2領域および第3領域は、縞状に存在し、かつ互いに異なる模様を有する。ここで「模様」には、「無模様」も含まれる。「無模様」とは、意匠性を感じさせないものであって、例えば、ウェブ形成時に不可抗力的に生じる地合いムラや、水流交絡処理の際に不可抗力的に生じるノズル筋等を有することはあっても、意図的な模様の付与がなされていないことをいう。より具体的には、凸部、凹部、または開口部等であって、その一番長い寸法(ノズル筋のように一方向に連続的に延びている場合、当該方向の寸法を除く)が0.1mm以下である場合には、そのような凸部、凹部、または開口部等は模様を形成するものとはみなさない。
「縞状に存在する」とは、これらの領域が、一定の方向に延びる線条部として一定の規則性を有して繰り返し存在することをいう。本実施形態においては、これらの領域は、第1領域、第3領域、第2領域の順に形成されている。なお、一の方向に沿った第1→第3→第2の繰り返しは、逆の方向においては第1→第2→第3の繰り返しとなる。
第1領域および第2領域の模様は、これらの領域が互いに異なる模様を有する限りにおいて、その形態は特に限定されない。例えば、第1領域が無模様であり、第2領域が模様を有するものであってよい。
模様は、例えば、繊維密度のより低い領域(「低密度領域」)と繊維密度のより高い領域(「高密度領域」)とが規則的に配置されることによって形成されたものであってよい。この場合、低密度領域は、規則的な模様、例えば、ドット模様、杉綾模様、市松模様、格子模様、千鳥模様、斜線(綾織)模様、朱子織模様、波柄模様、及びジグザグ模様からなる群から選ばれる少なくとも一つの模様であってよい。
低密度領域は、高密度領域よりも厚さが小さくて、高密度領域から窪んでいる凹部であってよく、あるいは繊維が存在しない開口部であってよい。一つ領域においては、低密度領域として凹部と開口部が混在していてもよい。特に、開口部を形成する場合、製造条件によっては、すべての低密度領域を開口部とすることができず、一部の低密度領域が凹部として存在することがある。そのような形態も、本実施形態においては許容される。
本実施形態においては、第1領域の模様は斜線模様であることが好ましい。斜線模様は、斜め方向に延びる低密度領域と高密度領域とが交互に配置された模様であり、「斜め方向」は本実施形態においては不織布のMD方向およびCD方向とは平行ではない方向を指す。斜線模様を有する領域は、例えば不織布をワイパーとして用いたときに拭き取り性を向上させる傾向にある。
第1領域が斜線模様を有する場合、斜線模様の斜線と第1領域が延びる方向とがなす鋭角a(図7参照)は10度以上80度以下であってよく、特に15度以上75度以下、より特には20度以上70度以下であってよい。鋭角aが小さすぎる場合、斜線の方向が第1領域の延びる方向(Y方向)に近づき、鋭角aが大きすぎる場合、斜線の方向が第1領域の延びる方向と直交する方向(X方向)に近づき、斜線模様として認識されにくくなることがある。また、鋭角aが小さすぎる場合、または大きすぎる場合のいずれにおいても、不織布をワイパーとして用いる場合に、拭き取り性などの向上効果が得られにくくなる。
第1領域が斜線模様を有する場合、開口部または凹部が直線上に配置されてなる斜線S1と、開口部または凹部が形成されていない又は形成されているとしても斜線S1の開口部または凹部よりも小さい開口部または凹部が形成されている斜線S2とが交互に配置されていてよい。斜線S1は、例えば図5を参照して説明した支持体のように、経糸の浮き数が2以上である綾織部を織組織Aとして有する支持体を用いることで形成される。斜線S1に開口部または凹部が形成されている場合、1つの開口部または凹部の面積M1は、例えば0.3mm以上3mm以下であってよく、特に0.5mm以上2.7mm以下、より特には0.7mm以上2.5mm以下であってよい。1つの開口部または凹部の平均直径は、例えば1mm以上5mm以下、特に1.2mm以上4mm以下、より特には1.5mm以上3mm以下であってよい。ここで、開口部または凹部の平均直径は、開口部を形成する輪郭を任意の二点を結ぶ線分のうち、最も大きい長さを指し、平均直径は、一つの領域に形成された5個以上の開口部または凹部の直径の平均で表される。開口部または凹部が楕円形である場合には、長径が開口部の直径となる。
第1領域に形成される開口部または凹部の面積又は平均直径が大きすぎる場合、不織布の強力が低下することがある。また、開口部が形成される場合、開口部の面積又は平均直径が大きすぎると、例えば、不織布をワイパーとして用いる場合には拭き取った汚れが開口部を通じて手や治具に付着することがあり、あるいは拭き取った汚れが開口部から脱離しやすくなることがある。第1領域に形成される開口部または凹部の面積が小さすぎる場合又は平均直径が小さすぎる場合、開口部または凹部が形成されていることを認識できず、意匠効果を得られないことがある。
また、斜線S1において、開口部間、凹部間、または開口部-凹部間の距離は、例えば0.5mm以上4.5mm以下、特に0.7mm以上4.0mm以下、より特には1.0mm以上3.5mm以下であってよい。ここで、開口部間、凹部間、または開口部-凹部間の距離は、隣り合う開口部および凹部のすべての組み合わせにおいて、それらの中心をつなぐ線分のうち最短であるものをいう。斜線に形成された開口部または凹部の場合、開口部間の距離は、図8において符号Daで示される距離となる。
第2領域は、開口部または凹部が規則的に配置されてなる模様であってよい。開口部または凹部が規則的に配置されてなる模様は、例えば、開口部または凹部が千鳥状に配置された模様、開口部または凹部が正方配列された模様等であってよい。開口部または凹部が規則的に配置されてなる模様において、開口部間、凹部間、または開口部-凹部間の距離は例えば1.0mm以上4.0mm以下であってよく、特に1.3mm以上3.0mm以下、より特には1.6mm以上2.5mm以下であってよい。ここで、ここで、開口部間、凹部間、または開口部-凹部間の距離の意味は、第1領域に形成され得る斜線S1に関連して説明したとおりである。したがって例えば、図9に示すように千鳥状に開口部または凹部が形成されている場合、隣り合う開口部または凹部の中心間の最短距離は、符号Dbで示される距離となる。
第2領域が開口部または凹部の規則的配置により形成される模様である場合、1つの開口部または凹部の面積M2は例えば1.0mm以下であってよく、特に0.8mm以下、より特には0.6mm以下であってよい。開口部または凹部の面積の下限は、例えば0.01mmであってよく、特に0.02mm、より特には0.03mmであってよい。開口部または凹部の平均直径は、例えば0.5mm以上4.0mm以下、特に0.6mm以上3.5mm以下、より特には0.7mm以上3mm以下であってよい。開口部または凹部の面積が大きすぎる場合又は平均直径が大きすぎる場合、不織布の強力が低下することがある。また、開口部が形成される場合、開口部の面積または平均直径が大きすぎると、不織布をワイパーとして用いる場合には拭き取った汚れが開口部を通じて手や治具に付着することがあり、あるいは拭き取った汚れが開口部から脱離しやすくなることがある。
第2領域が開口部の規則的配置により形成される模様である場合、開口部が第2領域に占める割合は、例えば1%以上30%以下であってよく、特に3%以上20%以下、より特には5%以上10%以下であってよい。開口部が一つの第2領域に占める割合が小さすぎると、開口部が形成されていることによる意匠性および拭き取り性などの向上効果を得られないことがある。開口部が一つの領域に占める割合が大きすぎると、不織布の強力が低下することがあり、またワイパーとして用いる場合には拭き取った汚れが開口部を通じて手や治具に付着することがあり、あるいは拭き取った汚れが開口部から脱離しやすくなることがある。
第1領域および第2領域のいずれか一方が無模様である場合、他方の領域は斜線模様であっても、開口部の規則的配置により形成される模様であってよい。特に、他方の領域部が斜線模様である場合には、無模様部との間で厚みの差が大きくなり、ワイパーとして用いる場合には掻き取り性が向上する傾向にある。
第3領域は、平面視にて、各領域が連続して延びる方向をY方向、Y方向と直交する方向をX方向としたときに、X方向において、9mm以下の寸法を有し、特に7mm以下、より特には5mm以下の寸法を有する。第3領域のX方向の寸法は、第3領域に形成される開口部または凹部のX方向の寸法に略相当する。実施の形態1で説明したとおり、第3領域は、二つの異なる織組織が繰り返し形成されている支持体の織組織間の境界に対応して形成されるものであるため、幅の狭い領域として形成され、特にX方向の寸法が、開口部または凹部の略一つ分の寸法である線状の領域として形成され得る。
第3領域には、Y方向に線状に配置された複数の開口部および凹部のいずれか一方または両方が少なくとも形成されている。第3領域において、開口部および凹部は混在していてよく、例えば、連続して線状に配置された複数の開口部と、連続して線状に配置された複数の凹部が混在してよい。あるいは、開口部と凹部が混在する場合、これらは規則性を有することなく線状に配置されていてよい。凹部は、例えば繊維が水流交絡処理により再配列されている間に、再配列が不十分で開口部を形成するに至らなかった部分であってよい。あるいはまた、第3領域においては開口部が形成されず、凹部のみ形成され、かつナックルに由来する凹部だけでなく、緯糸が浮いている部分に起因する凹部が形成され、これらの凹部が規則的に配置されて模様を成していてよい。目付がより大きい不織布および積層不織布等、水流による再配列が生じにくい繊維ウェブを用いた不織布においては、第3領域に凹部のみが形成されやすい。
第3領域の開口部および/または凹部の形状、寸法および間隔の少なくとも一つが、他の領域におけるそれらと異なることで、第3領域は第1領域および第2領域とは異なる模様を呈する。それにより、第3領域は、そのX方向の寸法が小さいことと相俟って、縫目(ステッチ状)または切り取り線のような外観を有し、第1および第2領域間の境界をより明瞭にする。第1および第2領域のいずれかが無模様である場合には、第3領域は開口部および凹部のいずれかまたは両方を有する点において、当該無模様の領域とは当然に異なる模様を有する。
第3領域に形成される開口部または凹部の面積(1つの開口部または凹部の面積)M3は、例えば0.3mm以上4.0mm以下であってよく、特に0.4mm以上3.5mm以下、より特には0.5mm以上3.0mm以下であってよい。1つの開口部または凹部の平均直径は、例えば0.5mm以上4.0mm以下、特に0.7mm以上3.5mm以下、より特には1mm以上3mm以下であってよい。第3領域の開口部または凹部の平均直径または面積を大きくするためには、製造時に用いる縞状模様形成支持体の経糸の直径を大きくする必要があるが、直径の大きな経糸を用いた織成は困難となる傾向にあり、開口部また凹部の平均直径を無制限に大きくすることは困難である。第3領域の開口部または凹部の平均直径が小さすぎると、第3領域の模様が第1領域および第2領域の模様と異なるものとして認識されにくくなることがある。
不織布の目付が大きい場合等には、第3領域においては、凹部のみが形成されることがあり、その場合には、不織布製造に用いた模様形成支持体の種類等に応じて、二種類の凹部が形成されることがある。この場合、上記の平均直径または面積は、支持体のナックル(経糸が浮いている部分)に対応して形成される凹部のものとする。支持体のナックル(経糸が浮いている部分)に対応して形成される凹部は、凹部の深さがより深く、また、X方向により長い寸法を有する縦長のものとして不織布に形成されることが多い。
第1領域に形成される開口部または凹部の平均直径をL1、第2領域に形成される開口部または凹部の平均直径をL2、第3領域に形成される開口部または凹部の平均直径をL3とする場合、L3はL1およびL2のいずれよりも大きいものであってよい。L3が最も大きいことで、第3領域が第1領域と第2領域の境界においてより強調され、不織布の意匠効果をより高めることができる。
各領域に形成される開口部または凹部の1つあたりの面積M1、M2およびM3の関係は、不織布製造に用いられる縞状模様形成支持体の織組織により影響される。例えば、図1に示すような支持体を用いて製造される不織布においては、M1≦M2<M3の関係が満たされることがあり、さらにM3/M2≧1.2、より特にはM3/M2≧1.5、さらにより特にはM3/M2≧2.0の関係が満たされることがある。これは、図1に示す支持体のように、織組織Aにおいて緯糸の浮き数と比較して経糸の浮き数が小さく、第1領域において開口部または凹部がより形成されにくいことによる。M3およびM2が上記関係を満たし、または満たさない場合において、第1領域に開口部および/または凹部が形成されているときに、M3およびM1が、M3/M1≧1.2、より特にはM3/M1≧1.3の関係を満たしてよい。
なお、第1領域および/または第2領域に開口部または凹部が形成されておらず、M1および/またはM2が実質的にゼロであることもあり、その場合、M3/M1を求められない。しかしながら、M1および/またはM2がゼロである場合でも、第3領域と第1領域とがより明確に区別されることから、M3/M2≧1.2の関係を満たすものとする。
また、例えば、図2に示す支持体を用いて製造される不織布においては、M2<M1<M3の関係が満たされることがあり、さらにM3/M1≧1.2、より特にはM3/M1≧1.3の関係が満たされることがある。図2に示す支持体においては、織組織Aの緯糸の浮き数が図1の支持体と比較して小さいため、第1領域に開口部が比較的形成されやすい。そのため、第3領域を第1領域と区別するために、M3とM1との関係を規定することが可能となり、M3/M1≧1.2を満たすことで第3領域がより強調される。
第3領域に形成される開口部間、凹部間、または開口部-凹部間の距離は、例えば1mm以上9mm以下、特に2mm以上8mm以下、より特には2.5mm以上7mm以下であってよい。ここで、開口部間、凹部間、または開口部-凹部間の距離は、第1領域に形成され得る斜線S1に関連して説明したとおり、隣り合う開口部同士、隣り合う開口部と凹部、ならびに隣り合う凹部同士のすべての組み合わせにおいて、それらの中心をつなぐ線分のうち最短であるものをいう。第3領域において、開口部と凹部とが混在する場合には、開口部間、凹部間、および開口部-凹部間の距離がすべて上記範囲を満たすことが好ましい。第3領域には、開口部および/または凹部がY方向に線状に一列に配置されているため、開口部間、凹部間、または開口部-凹部間の距離は、一般にY方向の距離となる。
本実施形態の不織布は、第4領域をさらに有してよい。第4領域は、一つの第1領域(または第2領域)から見て、第3領域が形成された側とは反対側の第2領域(または第1領域)との境界に形成される。すなわち、第4領域は、第3領域と同様、二つの異なる織組織が繰り返し形成されている支持体の織組織間の境界に対応して形成される。第4領域を有する不織布は、4つの領域が、第1領域、第3領域、第2領域、第4領域の順に、X方向において繰り返し形成されたものとなる。なお、一の方向に沿った第1→第3→第2→第4の繰り返しは、逆の方向においては第1→第4→第2→第3の繰り返しとなる。
第4領域は、平面視において、X方向において、9mm以下の寸法を有し、特に8mm以下、より特には6mm以下、さらにより特には4mm以下の寸法を有する。第4領域のX方向の寸法は、第4領域に形成される開口部または凹部のX方向の寸法に略相当する。第4領域は、第3領域と同様、二つの異なる織組織が繰り返し形成されている支持体の織組織間の境界に対応して形成されるものであるため、幅の狭い領域として形成され、特にX方向の寸法が、開口部または凹部の略一つ分の寸法である線状の領域として形成され得る。第4領域の寸法は、模様形成支持体の織組織ならびに緯糸aおよび緯糸bの太さ等によって決定される。例えば、図5に示すような支持体を用いる場合には、第4領域は経糸の浮き数が2であるナックルN2およびN3によって形成されるため、経糸の浮き数が3であるナックルN1により形成される第3領域よりも、そのX方向の寸法は小さくなる。
第4領域には、Y方向に線状に配置された複数の開口部および凹部のいずれか一方または両方が少なくとも形成されている。第4領域において、開口部および凹部は混在していてよく、例えば、連続して線状に配置された複数の開口部と、連続して線状に配置された複数の凹部が混在してよい。あるいは、開口部と凹部が混在する場合、これらは規則性を有することなく線状に配置されていてよい。凹部は、例えば繊維が水流交絡処理により再配列されている間に、再配列が不十分で開口部を形成するに至らなかった部分であってよい。あるいはまた、第4領域においては開口部が形成されず、凹部のみ形成され、かつナックルに由来する凹部だけでなく、緯糸が浮いている部分に起因する凹部が形成され、これらの凹部が規則的に配置されて模様を成していてよい。目付がより大きい不織布および積層不織布等、水流による再配列が生じにくい繊維ウェブを用いた不織布においては、第4領域に凹部のみが形成されやすい。
第4領域の開口部および/または凹部の形状、寸法および間隔の少なくとも一つが、第1および第2領域におけるそれらと異なることで、第4領域はこれらの領域とは異なる模様を呈する。それにより、第4領域は、第3領域と同様、そのX方向の寸法が小さいことと相俟って、縫目(ステッチ状)または切り取り線の外観を有し、第1および第2領域間の境界をより明瞭にする。第1および第2領域のいずれかが無模様である場合には、第4領域は開口部および凹部のいずれかまたは両方を有する点において、当該無模様の領域とは当然に異なる模様を有する。第4領域は、第3領域と同じ模様を有してもよく、異なる模様を有してもよい。
第4領域に形成される開口部または凹部の面積(1つの開口部または凹部の面積)は、例えば0.5mm以上3.5mm以下であってよく、特に0.7mm以上3mm以下、より特には1mm以上2.5mm以下であってよい。1つの開口部または凹部の平均直径は、例えば0.5mm以上5mm以下、特に1mm以上4mm以下、より特には2mm以上3mm以下であってよい。第4領域の開口部または凹部の平均直径または面積の範囲として上記を例示している理由は、先に第3領域の開口部または凹部の平均直径および面積に関連して説明したとおりである。
不織布の目付が大きい場合等には、第4領域においては、凹部のみが形成されることがあり、その場合には、不織布製造に用いた模様形成支持体の種類等に応じて、二種類の凹部が形成されることがある。この場合、上記の平均直径または面積は、支持体のナックル(経糸が浮いている部分)に対応して形成される凹部のものとする。支持体のナックル(経糸が浮いている部分)に対応して形成される凹部は、凹部の深さがより深く、また、X方向により長い寸法を有する縦長のものとして不織布に形成されることが多い。
上記のとおり、第1領域ないし第3領域に形成される開口部または凹部の面積をそれぞれM1ないしM3とし、第4領域に形成される開口部または凹部の面積をM4とする場合、M4はM1およびM2のいずれよりも大きいものであってよい。M3とM4の関係は特に限定されず、M3=M4であってよく、あるいはM3>M4、またはM3<M4であってよい。M4がM1およびM2のいずれよりも大きいことで、第4領域が第1領域と第2領域の境界においてより強調され、不織布の意匠効果をより高めることができる。
M1、M2、M3およびM4の関係は、不織布製造に用いられる縞状模様形成支持体の織組織により影響される。例えば、図5に示す支持体を用いて製造される不織布においては、M2<M1<M3、M2<M1<M4の関係が満たされることがあり、さらにM3/M2≧1.2、特にM3/M2≧1.3、および/またはM4/M2≧1.2、特にM4/M2≧1.3の関係が満たされることがある。さらに、M4とM1が、例えばM4/M1≧1.2、特にM4/M1≧1.5、より特にはM4/M1≧2、さらにより特にはM4/M1≧3の関係を満たしていてよい。さらにまた、M3とM1が、例えばM3/M1≧1.2、特にM3/M1≧1.3、より特にはM3/M1≧1.5の関係を満たしてよい。
第4領域に形成される開口部間、凹部間、もしくは開口部-凹部間の距離は、例えば1mm以上8mm以下、特に2mm以上6mm以下、より特には3mm以上4mm以下であってよい。ここで、開口部間、凹部間、もしくは開口部-凹部間の距離の意味は、先に第3領域に関連して説明したとおりである。
上記のとおり、本実施形態の不織布において、第1領域ないし第3領域、および場合によりさらに第4領域は縞状に存在して、一定方向に繰り返されたパターンで存在して模様を形成する。本実施形態の不織布は、各領域が延びる方向(Y方向)と直交する方向(X方向)で、第1領域と第2領域が交互に存在する縞状模様において、第3領域(および場合によりさらに第4領域)が、第1領域と第2領域との境界に位置する幅狭の領域として形成されたものである。したがって、本実施形態の不織布は、第1領域および第2領域を主たる領域とする縞模様を有するものとして特定され得る。各領域が不織布の例えばCD方向と平行に延びる場合、縞状模様はMD方向に現れることとなり、CD方向を「横」、MD方向を「縦」とする場合には、横方向に延びた複数種類の線条部が縦方向に交互に配置された、横縞模様が形成されることとなる。
第1領域は、X方向おいて、例えば2mm以上200mm以下の寸法を有してよく、特に3mm以上100mm以下、より特には5mm以上50mm以下、さらに特には7mm以上30mm以下、さらにより特には10mm以上25mm以下の寸法を有してよい。第2領域もまた、X方向において、例えば2mm以上200mm以下の寸法を有してよく、特に3mm以上100mm以下、より特には5mm以上50mm以下、さらに特には7mm以上30mm以下、さらにより特には10mm以上25mm以下の寸法を有してよい。第1領域のX方向の寸法(以下、便宜的に「幅」という)と、第2領域の幅は同じであってよく、異なっていてよい。また、一つの不織布において、幅の異なる第1領域が複数存在していてよく、ならびに/あるいは幅の異なる第2領域が複数存在していてよい。
第1領域の幅が小さすぎると、縞状模様を形成したことによる意匠効果を十分に得られないことがあり、また、不織布をワイパーとして用いる場合には、拭き取り性能が不十分となることがある。第2領域の幅が小さすぎる場合も同様である。第1領域の幅が大きすぎると、意匠効果をやはり十分に得られないことがあり、また、拭き取り性能が不十分となることがある。第2領域の幅が大きすぎる場合も同様である。
本実施形態の不織布は、Y方向の引張強さS1と、X方向の引張強さS2とが、S1<S2を満たすものであってよい。一般的に、不織布は、MD方向(不織布の製造に伴い、製造される不織布の距離が延びていく方向)においてより大きな引張強さを有し、CD方向(MD方向と直交し、不織布製造時に所与の寸法が与えられている方向)においてより小さな引張強さを有する。したがって、本実施形態において、S1<S2の関係を満たす場合、Y方向は、一般的に、不織布のCD方向である。引張強さS1(N/5cm)と引張強さS2(N/5cm)は、特にS1+10<S2を満たしてよく、より特にはS1+20<S2、さらにより特にはS1+30<S2を満たしてよい。または、引張強さS1(N/5cm)と引張強さS2(N/5cm)との関係は、S1に対するS2の比(S2/S1)で表してよい。この場合、S2/S1の値が、特に2.0以上20以下であってよく、より特には3.0以上15以下であってよく、さらにより特には4.0以上8.0以下であってよい。
[不織布を構成する繊維]
本実施形態の不織布を構成する繊維は特に限定されず、不織布製造において用いられているものを任意に採用してよい。本実施形態の不織布は、例えば、
ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、およびその共重合体などのポリエステル系樹脂、ナイロン6、ナイロン66、およびその共重合体などのポリアミド系樹脂、ポリメチルペンテン、ポリプロピレン、およびポリエチレン(高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレンを含む)などのポリオレフィン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリスチレンおよび環状ポリオレフィンなどのエンジニアリング・プラスチック、ならびにそれらのエラストマーから選択される、1または複数の熱可塑性樹脂からなる合成繊維、
コットン、シルク、ウール、麻、およびパルプなどの天然繊維、ならびに
ビスコース法で得られるレーヨンおよびポリノジック、銅アンモニア法で得られるキュプラ、および溶剤紡糸法で得られるセルロース系繊維(リヨセルおよびテンセル(登録商標)等)等の再生繊維(疎水化剤で表面が処理されたものを含む)、
溶融紡糸法で得られるセルロース系繊維、ならびに
アセテート繊維等の半合成繊維
から選択される、1または複数の繊維で形成されていてよい。
合成繊維は、単一繊維および複合繊維のいずれであってもよい。複合繊維は、例えば、同心または偏心の芯鞘型複合繊維、海島型複合繊維、サイドバイサイド型複合繊維、または分割型複合繊維であってよい。
合成繊維はまた、加熱等により溶融または軟化して接着性を示すものであってよい。例えば、合成繊維は、ポリエチレン等の比較的融点の低い樹脂を一成分として含み、当該低融点樹脂成分が繊維表面の少なくとも一部を占める、単一繊維または複合繊維であってよい。そのような繊維は、例えば、ポリエチレン/ポリプロピレン、ポリエチレン/ポリエチレンテレフタレートの組み合わせからなり、ポリエチレンが鞘成分である芯鞘型複合繊維、あるいはこれらの熱可塑性樹脂の組み合わせからなる分割型複合繊維である。
芯鞘型複合繊維の場合、芯成分と鞘成分との複合比(芯成分:鞘成分)が体積比で80:20~20:80であることが好ましく、70:30~30:70であることがより好ましく、60:40~40:60であることがさらに好ましい。
分割型複合繊維の場合、二つの成分の比(第1:第2)は体積比で、80:20~20:80であることが好ましく、70:30~30:70であることがより好ましく、60:40~40:60であることがさらに好ましい。分割型複合繊維の場合、分割数(即ち、複合繊維におけるセクションの数)は、例えば、4以上、32以下であってよく、特に4以上、20以下であってよく、より特には6以上、10以下であってよい。
繊維同士を接着させることができる合成繊維を用いる場合、当該合成繊維は不織布全体の質量を100質量%としたときに、例えば5質量%以上含まれていてよく、特に10質量%以上、より特には15質量%以上含まれていてよい。接着性の合成繊維の割合の上限は、例えば35質量%、特に30質量%、より特には25質量%である。接着性の合成繊維の割合が少なすぎると、繊維同士を接着させることによる効果(例えば、不織布の機械的強度の向上、毛羽立ちの抑制、付与した模様の維持)を十分に得ることができないことがある。接着性の合成繊維の割合が多すぎると、不織布の質感が硬くなってドレープ性が低下し、ワイパーとして用いる場合には拭き取り性に影響を与えることがある。
本実施形態の不織布は、セルロース系繊維を例えば30質量%以上、特に50質量%以上、より特には80質量%以上含んでよい。ここで、セルロース系繊維としては、綿(コットン)、リネン、ラミー、ジュート、ヘンプ、およびパルプ等の植物に由来する天然繊維;ビスコース法で得られるレーヨンおよびポリノジック、銅アンモニア法で得られるキュプラ、および溶剤紡糸法で得られるセルロース系繊維(レンツィングリヨセル(登録商標)およびテンセル(登録商標)等)等の再生繊維、溶融紡糸法で得られるセルロース系繊維、ならびにアセテート繊維等の半合成繊維が挙げられる。セルロース系繊維は、特に高圧流体流を用いた交絡処理により不織布を製造する場合には、繊維同士が絡み合いやすく、絡み合った状態が交絡処理後も良好に保たれる不織布を与えるので、鮮明な模様が不織布に形成されることを容易にする。また、繊維同士が良好に絡み合うことで、不織布の毛羽立ちが抑制される。
繊維の繊度は特に限定されず、不織布の用途等に応じて選択される。繊維の繊度は、例えば、0.3dtex以上10dtex以下であってよく、特に0.5dtex以上5.0dtex以下であってよく、より特には0.7dtex以上4.0dtex以下であってよく、さらにより特には1.0dtex以上3.0dtex以下、さらにより特には1.3dtex以上2.5dtex以下であってよい。不織布を構成する繊維が、コットン等の天然繊維である場合には、特定の繊度範囲のものを用いることが難しいことがあり、その場合、種々の繊度のものが含まれていてよい。繊維の繊度が小さすぎると、高圧流体流を用いた交絡処理により不織布を製造する場合に、支持体へ繊維が絡まることがあり、あるいは支持体において繊維による詰まりが発生することがある。繊維の繊度が大きすぎると、模様が不鮮明になることがある。
繊維の繊維長も限定されず、不織布の製造条件等に応じて選択される。繊維の繊維長は、例えば、10mm以上100mm以下である。繊維長がこの範囲外であると、例えばカード機を使用して繊維ウェブを作製することが困難となることがある。また、低目付の不織布においては、繊維長が100mmを超えると、不織布を構成する繊維の本数が少なくなるため、不織布の地合が安定しないことがあり、あるいは必要な不織布強力が得られないことがある。また、繊維長が小さすぎると、不織布の強力が低下することがあり、繊維長が大きすぎると、模様が明瞭なものとならないことがある。繊維長は、より好ましくは25mm以上90mm以下であり、さらにより好ましくは32mm以上70mm以下であり、特に好ましくは38mm以上65mm以下である。あるいは、不織布が、エアレイ法または湿式抄紙法で繊維ウェブを作製することを含む方法で製造される場合、繊維長は例えば2mm以上20mm以下としてよい。
[不織布の形態]
不織布は、単層構造であっても、積層構造であってもよい。また、不織布は、パラレルウェブ、クロスウェブ、セミランダムウェブおよびランダムウェブ等のカードウェブ、エアレイウェブ、湿式抄紙ウェブ、メルトブローンウェブならびにスパンボンドウェブ等から選択されるウェブから形成されたものであってよい。セルロース系繊維を構成繊維の全部または一部とする場合、カードウェブ、エアレイウェブ、および湿式抄紙ウェブから選択されるウェブを作製してよい。セルロース系繊維を含んでなる、これらの繊維ウェブを用いて、特に高圧流体流を用いた交絡処理により不織布を製造する場合には、繊維同士が絡み合いやすく、絡み合った状態が交絡処理後も良好に保たれる不織布を与える。それにより、鮮明な模様が不織布に形成されることが容易となり、また、繊維同士が良好に絡み合うことで、不織布の毛羽立ちが抑制される。
また、不織布を、エアレイウェブ、湿式抄紙ウェブ、メルトブローンウェブもしくはスパンボンドウェブを含む積層構造とすることで、不織布の機械的強度を向上させることができる。
[不織布の物性]
以下、本実施形態の不織布の物性を例示的に説明する。不織布を構成する繊維、不織布の目付、および不織布の製造条件によって不織布の物性は変化するため、本実施形態の不織布は以下の物性を有するものに限定されないことに留意されたい。
本実施形態の不織布の厚さ(294Pa荷重時)は、例えば、0.50mm以上2.0mm以下であってよく、特に0.55mm以上0.90mm以下、より特には0.60mm以上0.80mm以下であってよい。
本実施形態の不織布の目付は特に限定されず、用途等に応じて適宜選択してよい。例えば、本実施形態の不織布をワイパーとして用いる場合、その目付は30g/m以上80g/m以下であってよく、特に35g/m~75g/mであってよく、より特には40g/m~70g/mであってよい。あるいは、本実施形態の不織布を衛生用品(例えば、吸収性物品の表面材)として用いる場合、その目付は20g/m~70g/mであってよく、特に25g/m~65g/mであってよく、より特には30g/m~60g/mであってよい。使用する繊維の種類および繊維ウェブの構成にもよるが、目付が大きいほど、第3領域および形成される場合には第4領域において開口部が形成されにくく、凹部が形成されやすくなる傾向にある。目付が大きすぎると、片面にのみ模様が形成され、模様による効果が片側にのみ発現することがある。目付が小さすぎると、明瞭な模様が形成されず、やはり模様による効果を発揮できないことがある。
(実施形態3:実施形態2の不織布の用途)
実施形態3として、実施形態2の不織布を用いた製品を説明する。
実施形態2の不織布は、単独で又は他の不織布もしくはシート状物とともに、ワイパーとして用いてよい。実施形態2の不織布は、例えば実施形態1の方法に従い、進行方向に沿って二種類の織組織A、Bが繰り返し形成された支持体を用いて製造した場合、MD方向において繰り返し模様が変化するものとして提供される。不織布は一般にMD方向においてより高い機械的特性(より高い引張強さ、およびより高い伸長時応力)を示すため、この不織布を、汚れを有する対象物に置き、MD方向と平行な方向で往復移動させて対象物を擦ったときには、ヨレが生じにくいことと相俟って、対象物上の汚れを縞状模様によって有効に拭き取ることができる。一般に、不織布を擦る方向がCD方向であるときに、汚れはより拭き取られる傾向にあるため、この不織布によれば、不織布を擦る方向に起因する汚れの拭き取りの差を、模様をまったく有しない不織布等と比較してより小さくできる。
不織布のMD方向およびMD方向の機械的特性は、繊維ウェブにおける繊維の配向の影響を受け、繊維の配向が一方向に限定されない繊維ウェブ(例えばクロスレイウェブ)においては二つの方向の機械的特性の差がより小さくなる。したがって、そのような繊維ウェブを用いる場合には、拭き取りの方向によって、汚れの拭き取りに差が生じることをより緩和できる。
ここで、ワイパーには、対人用のもの、および対物用のものが含まれる。対人用のワイパーには、人体の皮膚から汚れを拭き取るためのワイパーのほか、歯の汚れを拭き取るためのワイパー、および頭皮および髪の汚れを拭き取るためのワイパーも含まれる。
対物用のワイパーは、床、台所、トイレ、浴槽、家具、車両、壁面、網戸および窓ガラス等の拭き掃除に使用するものであってよい。対人用および対物用ワイパーは、例えば、水、または洗浄成分を含む水溶液等を、不織布100質量部に対して、100質量部以上1000質量部以下の含浸量で含浸させた状態で提供されてよい。
あるいは、本実施形態の不織布は、生理用ナプキン、乳幼児用紙おむつ、成人用紙おむつ等の衛生用品に用いてよい。上記のとおり、本実施形態の不織布は特異な吸水特性を有し、本実施形態の不織布においては吸水した液体が拡散しにくい。したがって、本実施形態の不織布は、衛生用品において血液や排泄物の広がりの抑制が求められる部材、特に表面材として用いてよい。あるいは、本実施形態の不織布は、おしぼり、フェイスマスク、衛生マスク、フィルター、パップ剤等に用いてよい。
以下、本実施形態を、実施例により説明する。
実施例および比較例で使用する繊維として以下のものを用意した。
レーヨン(セルロース系繊維):繊度1.7dtex、繊維長40mmのビスコースレーヨン繊維(ダイワボウレーヨン(株)製のコロナCD(商品名))。

PP/PE:ポリプロピレンが芯であり、高密度ポリエチレン(融点:約133℃)が鞘であり、複合比(芯:鞘)が37:63(体積比)、繊度1.7dtex、繊維長51mmの同心芯鞘型複合繊維(大和紡績(株)製のNBF(H)(商品名))。
コットン:平均繊度3dtex、平均繊維長のコットン(商品名:MSD丸三産業(株)製)
実施例及び比較例の不織布の製造において、第2水流交絡処理で使用した支持体を以下に示す。
支持体1:織組織Aが1/7綾織部であり、織組織Bが平織部であり、織組織Aと織組織BとがMD方向に交互に配置された織物を支持体1として準備した。支持体1においては、角の丸い矩形断面を有し、断面に外接する矩形の寸法が長辺0.88mm×短辺0.57mmであるポリエステルモノフィラメントを経糸に配し、緯糸aとして直径0.9mmのポリエステルモノフィラメント、緯糸bとして直径0.45mmのポリエステルモノフィラメントを用いた。支持体1において、経糸の密度は30本/inch、緯糸の密度は25本/inchであり、織組織AのMD方向の寸法は15mm、織組織BのMD方向の寸法は8mmであった。支持体1において、織組織Aの表面は織組織Bの表面よりも1.5mm高い位置にあった。
支持体2:織組織Aが1/3崩し綾織部(崩綾・経4本1組織)であり、織組織Bが平織部であり、織組織Aと織組織BとがMD方向に交互に配置された織物を支持体2として準備した。支持体2においては、角の丸い矩形断面を有し、断面に外接する矩形の寸法が長辺0.88mm×短辺0.57mmであるポリエステルモノフィラメントを経糸に配し、緯糸aとして直径0.8mmのポリエステルモノフィラメント、緯糸bとして直径0.45mmのポリエステルモノフィラメントを用いた。支持体2において、経糸の密度は30本/inch、緯糸の密度は17本/inchであり、織組織AのMD方向の寸法は15mm、織組織BのMD方向の寸法は8mmであった。支持体2において、織組織Aの表面は織組織Bの表面よりも1.0mm高い位置にあった。
支持体3:織組織Aが2/2綾織部であり、織組織Bが平織部であり、織組織Aと織組織BとがMD方向に交互に配置された織物を支持体3として準備した。支持体3においては、角の丸い矩形断面を有し、断面に外接する矩形の寸法が長辺0.88mm×短辺0.57mmであるポリエステルモノフィラメントを経糸に配し、緯糸aとして直径0.9mmのポリエステルモノフィラメント、緯糸bとして直径0.45mmのポリエステルモノフィラメントを用いた。支持体3において、経糸の密度は30本/inch、緯糸の密度は17本/inchであり、織組織AのMD方向の寸法は20mm、織組織BのMD方向の寸法は10mmであった。支持体3において、織組織Aの表面は織組織Bの表面よりも0.8mm高い位置にあった。
支持体4:織組織Aが1/7綾織部であり、織組織Bが平織部であり、織組織Aと織組織BとがMD方向に交互に配置された織物を支持体4として準備した。支持体4においては、角の丸い矩形断面を有し、断面に外接する矩形の寸法が長辺0.88mm×短辺0.57mmであるポリエステルモノフィラメントを経糸に配し、緯糸aとして直径0.9mmのポリエステルモノフィラメント、緯糸bとして直径0.45mmのポリエステルモノフィラメントを用いた。支持体4において、経糸の密度は30本/inch、緯糸の密度は25本/inchであり、織組織AのMD方向の寸法は15mm、織組織BのMD方向の寸法は20mmであった。支持体4において、織組織Aの表面は織組織Bの表面よりも1.6mm高い位置にあった。
支持体5:織組織Aが2/2綾織部であり、織組織Bが平織部であり、織組織Aと織組織BとがMD方向に交互に配置された織物を支持体5として準備した。支持体5においては、角の丸い矩形断面を有し、断面に外接する矩形の寸法が長辺0.88mm×短辺0.57mmであるポリエステルモノフィラメントを経糸に配し、緯糸aとして直径0.9mmのポリエステルモノフィラメント、緯糸bとして直径0.45mmのポリエステルモノフィラメントを用いた。支持体5において、経糸の密度は30本/inch、緯糸の密度は17本/inchであり、織組織AのMD方向の寸法は6mm、織組織BのMD方向の寸法は6mmであった。支持体5において、織組織Aの表面は織組織Bの表面よりも0.6mm高い位置にあった。
支持体6:織組織Aが2/2綾織部であり、織組織Bが平織部であり、織組織Aと織組織BとがMD方向に交互に配置された織物を支持体6として準備した。支持体6においては、角の丸い矩形断面を有し、断面に外接する矩形の寸法が長辺0.88mm×短辺0.57mmであるポリエステルモノフィラメントを経糸に配し、緯糸aとして直径0.9mmのポリエステルモノフィラメント、緯糸bとして直径0.45mmのポリエステルモノフィラメントを用いた。支持体6において、経糸の密度は30本/inch、緯糸の密度は17本/inchであり、織組織AのMD方向の寸法は10mm、織組織BのMD方向の寸法は10mmであった。支持体6において、織組織Aの表面は織組織Bの表面よりも0.45mm高い位置にあった。
各支持体の織組織Aの表面と織組織Bの表面の高さの差は、支持体のMD方向断面を、画像解析処理装置(ハイロックス社製KH-3000)を用いて撮影し、上記において説明した方法で求めた。
(実施例1)
レーヨン80質量%とPP/PE20質量%を混合し、パラレルカード機を使用して、繊維ウェブを製造した。この繊維ウェブの目付は、約40g/mであった。
[第1水流交絡処理(全体交絡処理)]
経糸の線径が0.132mm、緯糸の線径が0.132mm、メッシュ数が90メッシュの平織りネット上に、上述の繊維ウェブを載置した。繊維ウェブを速度4m/minで進行させながら、繊維ウェブの表面に水圧1.0MPaの柱状水流を噴射し、続いて繊維ウェブの裏面に水圧1.5MPaの柱状水流を噴射した。水流の噴射には、孔径0.12mmのオリフィスが0.6mm間隔で設けられているノズルを使用した。繊維ウェブの表面とオリフィスとの距離は15mmであった。
[第2水流交絡処理(縞状模様形成処理)]
第1水流交絡処理に付した後の繊維ウェブを支持体1に載置し、繊維ウェブを速度4m/minで進行させながら、繊維ウェブの裏面に水圧1.5MPaの柱状水流を噴射した。水流の噴射には、第1水流交絡処理で用いたノズルと同じノズルを用いた。第2水流交絡処理により、図3および図14(a)~(f)に示す第1領域ないし第3領域を有する不織布が得られた。より具体的には、各領域はCD方向に沿って延びており(すなわち、CD方向がY方向である)、第1領域として斜線模様部と、第2領域として開口部が千鳥状に配置された模様部とが、MD方向に交互に繰り返し存在していて、縞状模様を形成していた。第1領域のMD方向の寸法は13.7mmであり、第2領域のMD方向の寸法は8mmであった。第1交絡部の斜線とCD方向とがなす鋭角は23.4度であった。第2領域において、開口部1つあたりの面積は0.3mm、開口部の平均直径L2は0.62mm、隣り合う開口部の中心間の距離は1.93mmであり、開口部が第2領域に占める割合は6.6%であった。第3領域はMD方向において1.33mmの寸法を有し、第3領域において、開口部1つあたりの面積は0.73mm、開口部の平均直径L3は1.33mm、隣り合う開口部の中心間の距離は2.77mmであった。
[熱処理]
第2水流交絡処理後の不織布を、熱風貫通式熱処理機を用いて135℃で約5秒間加熱して、乾燥処理を実施すると同時に、PP/PEの鞘成分により繊維同士を熱接着させて実施例1の不織布を得た。
(実施例2)
第2水流交絡処理で支持体2を使用したこと以外は、実施例1の製造で採用した手順と同様の手順で実施例2の不織布を得た。
第2水流交絡処理により、図4に示す第1領域ないし第3領域を有する不織布が得られた。より具体的には、各領域はCD方向に沿って延びており(すなわち、CD方向がY方向である)、第1領域として開口部が不規則に形成された模様部と、第2領域として開口部が千鳥状に配置された模様部とが、MD方向に交互に繰り返し存在していて、縞状模様を形成していた。第1領域のMD方向の寸法は21.1mmであり、第2領域のMD方向の寸法は11mmであった。第1領域において、開口部1つあたりの面積は0.74mm、開口部の平均直径L1は1.26mm、隣り合う開口部の中心間の距離は2.32mmであり、開口部が第1領域に占める割合は11.7%であった。第2領域において、開口部1つあたりの面積は0.26mm、開口部の平均直径L2は0.73mm、隣り合う開口部の中心間の距離は1.58mmであり、開口部が第2領域に占める割合は3.6%であった。第3領域はMD方向において1.26mmの寸法(幅)を有し、第3領域において、開口部1つあたりの面積は1.49mm、開口部の平均直径L3は1.86mm、隣り合う開口部の中心間の距離は3.6mmであった。
(実施例3)
第2水流交絡処理で支持体3を使用したこと以外は、実施例1の製造で採用した手順と同様の手順で実施例3の不織布を得た。
第2水流交絡処理により、図6に示す第1領域ないし第4領域を有する不織布が得られた。より具体的には、各領域はCD方向に沿って延びており(すなわち、CD方向がY方向である)、第1領域として斜線模様部と、第2領域として開口部が千鳥状に配置された模様部とが、MD方向に交互に繰り返し存在していて、縞状模様を形成していた。第1領域と第2領域との境界には、第3領域および第4領域が形成されていた。
第1領域においては、開口部が形成された斜線S1と開口部を有しない斜線S2とが繰り返し交互に形成されていた。第1領域のMD方向の寸法は15.9mmであり、第2領域のMD方向の寸法は10mmであった。第1領域において、開口部1つあたりの面積は1.16mm、開口部の平均直径L1は1.69mm、隣り合う開口部の中心間の距離は3.28mmであり、開口部が第1領域に占める割合は18.2%であった。第2領域において、開口部1つあたりの面積は0.31mm、開口部の平均直径L2は0.62mm、隣り合う開口部の中心間の距離は1.62mmであり、開口部が第2領域に占める割合は6.4%であった。第3領域はMD方向において2.25mmの寸法(幅)を有し、第3領域において、開口部1つあたりの面積は2mm、開口部の平均直径L3は2.25mm、隣り合う開口部の中心間の距離は3.86mmであった。第4領域はMD方向において1.97mmの寸法(幅)を有し、第4領域において、開口部1つあたりの面積は1.94mm、開口部の平均直径L4は1.97mm、隣り合う開口部の中心間の距離は4.17mmであった。
(実施例4)
第2水流交絡処理で支持体4を使用したこと以外は、実施例1の製造で採用した手順と同様の手順で実施例4の不織布を得た。
第2水流交絡処理により、図10に示す第1領域ないし第3領域を有する不織布が得られた。より具体的には、各領域はCD方向に沿って延びており(すなわち、CD方向がY方向である)、第1領域として斜線模様部と、第2領域として開口部が千鳥状に配置された模様部とが、MD方向に交互に繰り返し存在していて、縞状模様を形成していた。第1領域のMD方向の寸法は13.7mmであり、第2領域のMD方向の寸法は20mmであった。
第1領域において斜線とCD方向とがなす鋭角は23.4度であった。第2領域において、開口部1つあたりの面積は0.32mm、開口部の平均直径L2は0.30mm、隣り合う開口部の中心間の距離は1.87mmであり、開口部が第2領域に占める割合は3.6%であった。第3領域はMD方向において1.46mmの寸法を有し、第3領域において、開口部1つあたりの面積は0.73mm、開口部の平均直径L3は1.46mm、隣り合う開口部の中心間の距離は3.07mmであった。
(実施例5)
第2水流交絡処理で支持体5を使用したこと以外は、実施例1の製造で採用した手順と同様の手順で実施例5の不織布を得た。
第2水流交絡処理により、図11に示す第1領域ないし第3領域を有する不織布が得られた。より具体的には、各領域はCD方向に沿って延びており(すなわち、CD方向がY方向である)、第1領域として斜線模様部と、第2領域として開口部が千鳥状に配置された模様部とが、MD方向に交互に繰り返し存在していて、縞状模様を形成していた。第1領域と第2領域との境界には、第3領域および第4領域が形成されていた。
第1領域においては、開口部が形成された斜線S1と開口部を有しない斜線S2とが繰り返し交互に形成されていた。第1領域のMD方向の寸法は0.8mmであり、第2領域のMD方向の寸法は6mmであった。
第1領域において、開口部1つあたりの面積は0.94mm、開口部の平均直径L1は1.45mm、隣り合う開口部の中心間の距離は3.36mmであり、開口部が第1領域に占める割合は18.0%であった。第2領域において、開口部1つあたりの面積は0.28mm、開口部の平均直径L2は0.51mm、隣り合う開口部の中心間の距離は1.57mmであり、開口部が第2領域に占める割合は6.8%であった。第3領域はMD方向において2.56mmの寸法(幅)を有し、第3領域において、開口部1つあたりの面積は2.15mm、開口部の平均直径L3は2.02mm、隣り合う開口部の中心間の距離は3.69mmであった。第4領域はMD方向において1.97mmの寸法(幅)を有し、第4領域において、開口部1つあたりの面積は1.92mm、開口部の平均直径L4は1.73mm、隣り合う開口部の中心間の距離は4.12mmであった。
(実施例6)
第2水流交絡処理で支持体6を使用したこと以外は、実施例1の製造で採用した手順と同様の手順で実施例6の不織布を得た。
第2水流交絡処理により、図12に示す第1領域ないし第3領域を有する不織布が得られた。より具体的には、各領域はCD方向に沿って延びており(すなわち、CD方向がY方向である)、第1領域として斜線模様部と、第2領域として開口部が千鳥状に配置された模様部とが、MD方向に交互に繰り返し存在していて、縞状模様を形成していた。第1領域と第2領域との境界には、第3領域および第4領域が形成されていた。
第1領域において、開口部1つあたりの面積は1.47mm、開口部の平均直径L1は1.76mm、隣り合う開口部の中心間の距離は3.34mmであり、開口部が第1領域に占める割合は17.8%であった。第2領域において、開口部1つあたりの面積は0.24mm、開口部の平均直径L2は0.45mm、隣り合う開口部の中心間の距離は1.53mmであり、開口部が第2領域に占める割合は6.8%であった。第3領域はMD方向において2.21mmの寸法(幅)を有し、第3領域において、開口部1つあたりの面積は1.8mm、開口部の平均直径L3は2.2mm、隣り合う開口部の中心間の距離は4.04mmであった。第4領域はMD方向において1.97mmの寸法(幅)を有し、第4領域において、開口部1つあたりの面積は2.22mm、開口部の平均直径L4は2.11mm、隣り合う開口部の中心間の距離は3.86mmであった。
(実施例7)
コットン100質量%からなるパラレルカード機を使用して製造した、目付約17g/mの繊維ウェブを2つ用意し、これらの繊維ウェブの間にパルプからなる目付約26g/mの湿式抄紙繊維ウェブ(商品名:D原紙26.4、ハビックス(株)製)を挟んで、目付約60g/mの積層繊維ウェブを得た。この積層繊維ウェブを用いたこと以外は、実施例1の製造で採用した手順と同様の手順で実施例7の不織布を得た。
第2水流交絡処理により、図13(a)に示す第1領域ないし第3領域を有する不織布が得られた。より具体的には、各領域はCD方向に沿って延びており(すなわち、CD方向がY方向である)、第1領域として斜線模様部と、第2領域として開口部ないしは凹部が千鳥状に配置された模様部とが、MD方向に交互に繰り返し存在していて、縞状模様を形成していた。第1領域のMD方向の寸法は13.8mmであり、第2領域のMD方向の寸法は8mmであった。第1交絡部の斜線とCD方向とがなす鋭角は23.4度であった。第2領域において、開口部ないしは凹部1つあたりの面積は0.39mm、開口部ないしは凹部の平均直径L2は1.0mm、隣り合う開口部の中心間の距離は1.51mmであり、開口部ないしは凹部が第2領域に占める割合は4.3%であった。第3領域はMD方向において2.2mmの寸法を有し、図13(b)に示すように、第3領域において、平均直径が0.1mmを超える開口部はほとんど形成されず、Y方向に延びる凹部と、X方向にやや長い凹部とが繰り返し交互に配置されて、他の領域とは異なる模様を呈していた。第3領域において、Y方向に延びる凹部13aは、支持体の組織Aと組織Bとの境界にて緯糸が浮いている部分に対応し、X方向にやや長い凹部13bは経糸が浮いている部分(ナックル)に対応すると考えられる。
(実施例8)
コットン100質量%からなるパラレルカード機を使用して製造した、目付約17g/mの繊維ウェブを2つ用意し、これらの繊維ウェブの間にパルプからなる目付約26g/mの湿式抄紙繊維ウェブ(商品名:D原紙26.4、ハビックス(株)製)を挟んで、目付約60g/mの積層繊維ウェブを得た。この積層繊維ウェブを用いたこと、および模様形成支持体として支持体2を用いたこと以外は、実施例1の製造で採用した手順と同様の手順で実施例8の不織布を得た。
第2水流交絡処理により、第1領域ないし第3領域を有する不織布が得られた。より具体的には、各領域はCD方向に沿って延びており(すなわち、CD方向がY方向である)、第1領域として開口部が不規則に形成された模様部と、第2領域として開口部が千鳥状に配置された模様部とが、MD方向に交互に繰り返し存在していて、縞状模様を形成していた。第1領域のMD方向の寸法は21.1mmであり、第2領域のMD方向の寸法は11mmであった。第1領域において、開口部1つあたりの面積は1.05mm、開口部の平均へn直径L1は1.78mm、隣り合う開口部の中心間の距離は1.97mmであり、開口部が第1領域に占める割合は16.7%であった。第2領域において、開口部1つあたりの面積は0.56mm、開口部の平均直径L2は1.26mm、隣り合う開口部の中心間の距離は1.67mmであり、開口部が第2領域に占める割合は6.5%であった。第3領域はMD方向において2.35mmの寸法(幅)を有し、第3領域において、開口部1つあたりの面積は1.46mm、開口部の平均直径L3は2.35mm、隣り合う開口部の中心間の距離は3.56mmであった。
(実施例9)
コットン100質量%からなるパラレルカード機を使用して製造した、目付約17g/mの繊維ウェブを2つ用意し、これらの繊維ウェブの間にパルプからなる目付約26g/mの湿式抄紙繊維ウェブ(商品名:D原紙26.4、ハビックス(株)製)を挟んで、目付約60g/mの積層繊維ウェブを得た。この積層繊維ウェブを用いたこと、および模様形成支持体として支持体3を用いたこと以外は、実施例1の製造で採用した手順と同様の手順で実施例9の不織布を得た。
第2水流交絡処理により、第1領域ないし第4領域を有する不織布が得られた。より具体的には、各領域はCD方向に沿って延びており(すなわち、CD方向がY方向である)、第1領域として斜線模様部と、第2領域として開口部が千鳥状に配置された模様部とが、MD方向に交互に繰り返し存在していて、縞状模様を形成していた。第1領域と第2領域との境界には、第3領域および第4領域が形成されていた。
第1領域においては、開口部が形成された斜線S1と開口部を有しない斜線S2とが繰り返し交互に形成されていた。第1領域のMD方向の寸法は15.9mmであり、第2領域のMD方向の寸法は10mmであった。第1領域において、開口部1つあたりの面積は1.48mm、開口部の平均直径L1は3.01mm、隣り合う開口部の中心間の距離は2.26mmであり、開口部が第1領域に占める割合は17%であった。第2領域において、開口部1つあたりの面積は0.33mm、開口部の平均直径L2は0.85mm、隣り合う開口部の中心間の距離は1.56mmであり、開口部が第2領域に占める割合は7%であった。第3領域はMD方向において2.86mmの寸法(幅)を有し、第3領域において、開口部1つあたりの面積は2.58mm、開口部の平均直径L3は2.86mm、隣り合う開口部の中心間の距離は3.38mmであった。第4領域はMD方向において2.71mmの寸法(幅)を有し、第4領域において、開口部1つあたりの面積は2.27mm、開口部の平均直径L4は2.71mm、隣り合う開口部の中心間の距離は3.75mmであった。
(比較例1)
第2水流交絡処理を実施しなかったこと以外は、実施例1の製造で採用した手順と同様の手順で比較例1の不織布を得た。この不織布はその全体にわたって無模様のものであった。
(比較例2)
第2水流交絡処理を以下の手順で実施した以外は、実施例1の製造で採用した手順と同様の手順で不織布を得た。
[水流交絡工程2]
第1水流交絡処理に付した後の繊維ウェブを経糸の線径が0.7mm、緯糸の線径が0.9mm、経糸の密度が41本/inch、緯糸の密度が16本/inch、組織が3/1杉綾の織物である支持体に載せ、繊維ウェブを速度4m/minで進行させながら、繊維ウェブの裏面に水圧1.5MPaの柱状水流を噴射した。水流の噴射には、第1水流交絡処理で用いたノズルと同じノズルであるが、一部のオリフィスを塞いで水流が当該オリフィスから噴射されないようにしたノズルを用いた。具体的には、オリフィスを塞いだ部分P1とオリフィスを塞いでいない部分P2とが、CD方向においてそれぞれ10mm(P1)および20mm(P2)の長さとなり、かつ、P1とP2がCD方向において交互に設けられるように、オリフィスの一部を塞いだ。このノズルを用いたことで、繊維ウェブには、MD方向に沿って延びる斜線模様部と、MD方向に沿って延びる無模様部とが、CD方向に沿って交互に形成された。CD方向における斜線模様部の寸法は20mmであり、CD方向における無模様部の寸法は20mmであった。
上記実施例の開口部または凹部の平均直径および面積、ならびに開口部間および凹部間の距離は以下の方法で測定した。
[開口部の平均直径等]
不織布を黒色の紙またはシートに貼り付け、その状態でコピー機(富士ゼロックス社製、DocuCentre-VII C4473(商品名))のスキャン機能を用いて、不織布面の画像の取り込みを行った。スキャン条件は、カラーモード:フルカラー、解像度:600dpi、画質:最高画質に設定した。
スキャン画像の画像解析を、画像処理ソフト「Image J」を用いて実施した。スキャン画像において黒く表示された部分を開口部とみなし、その平均直径および面積等を求めた。
[凹部の平均直径等]
不織布に形成された凹部を黒いマジックで塗りつぶして、黒色の紙またはシートに貼り付け、その状態で、上記開口部の平均直径等を測定する方法と同様の方法で、スキャン画像を取り込み、スキャン画像において黒く表示された部分を凹部とみなし、その平均直径および面積等を求めた。なお、不織布に凹部だけでなく開口部が形成されている場合には、開口部を経由して見える黒色部分が凹部と同様に二値化されるため、合わせてその平均直径等を測定することができる。
実施例1ないしの各不織布の拭き取り試験を以下の手順で評価した。評価結果を表1に示す。
<拭き取り試験>
透明色のアクリル板(厚さ3mm、品番:KAC9143-1S、株式会社光製)に疑似汚れとして味噌約1gをアクリル板の略中央の6cm×1.5cmの領域に均一に塗り広げて、アクリル板と味噌を合わせた質量(m1)を予め求めた。また、事前に求めておいたアクリル板の質量(m0)とm1との差から、疑似汚れの質量を求めた。
アクリル板に塗り付けた疑似汚れをサンプルであるMD方向10cmおよびCD方向6cmの不織布(不織布100質量部に対し、蒸留水300質量部を含浸させる)を板状の治具(拭き取り面積6cm×6cm)に取り付け、治具に81Paの圧力を加えながら所定の方向にて速度10mm/秒、移動距離100mmで1回移動させ、拭き取った後のアクリル板の質量(m2)を求め、m1とm2との差を拭き取った疑似汚れの質量とし、当該質量から疑似汚れの拭き取り率(アクリル板に塗り広げた疑似汚れの質量に対する、拭き取った疑似汚れの質量の割合)を求めた。拭き取りは、不織布のMD方向およびCDと平行な方向にそれぞれサンプルを移動させて、拭き取り方向による拭き取り率の差も検討した。測定は各サンプルにつき、3つの試料を用意し、それらの平均値を求めて各サンプルの拭き取り性能を評価した。
実施例1ないし3はいずれも、比較例1と比較してMD方向の拭き取り率が高いものであった。これは、実施例1ないし3の不織布はいずれもMD方向に模様の異なる帯状部が規則的に配置された縞状模様を有し、用いた繊維ウェブがパラレルウェブであって、繊維の主たる配向方向がMD方向であってMD方向で伸びが生じにくいことに起因すると考えられた。すなわち、MD方向に不織布を移動させても、ヨレが生じにくくて、汚れにしっかりと当たり、かつ、第3領域を含む横ストライプ模様が不織布に当たった汚れをその開口部等で保持したものと考えられる。実施例1ないし3の不織布はまた、比較例1の不織布と比較して、拭き取り方向の差に起因する拭き取り率の差が小さいものであった。
比較例2の不織布は、CD方向に模様の異なる帯状部が規則的に配置された縦ストライプ模様を有していた。そのため、CD方向に移動させたときには、高い拭き取り率を示したが、MD方向の拭き取り率とCD方向の拭き取り率の差が大きいものであった。また、CD方向に移動させたときに、ヨレが生じやすかった。
本実施形態には以下の態様のものが含まれる。
(態様1)
第1領域と第2領域と第3領域とを少なくとも含む不織布であって、
前記第1領域、前記第2領域および前記第3領域は、縞状に存在し、
平面視にて、前記第3領域は、前記第1領域と前記第2領域との境界に形成されており、
平面視にて、各領域が連続して延びる方向をY方向、Y方向と直交する方向をX方向としたときに、前記第3領域には、Y方向に線状に一列に配置された複数の開口部および凹部のいずれか又は両方が少なくとも形成され、
平面視にて、前記第3領域は、X方向において、9mm以下の寸法を有し、
平面視にて、前記第1ないし第3領域は、X方向において、第1領域、第3領域、第2領域の順に繰り返し形成されており、
前記第1領域、前記第2領域および前記第3領域は互いに異なる模様を有している、
不織布。
(態様2)
前記第3領域に形成されている開口部または凹部の1つあたりの面積M3が、前記第1領域に形成されている開口部または凹部の1つあたりの面積M1および前記第2領域に形成されている開口部または凹部の1つあたりの面積M2のいずれよりも大きい
態様1の不織布。
(態様3)
M3およびM2が、M3/M2≧1.2の関係を満たす、態様2の不織布。
(態様4)
M3およびM1が、M3/M1≧1.2の関係を満たす、態様2または3の不織布。
(態様5)
第4領域をさらに含み、前記第4領域が、前記第1領域と前記第2領域との境界に形成されており、
前記第4領域には、Y方向に線状に一列に配置された複数の開口部および凹部のいずれか又は両方が少なくとも形成され、
平面視にて、前記第4領域は、X方向において、9mm以下の寸法を有し、
平面視にて、前記第1ないし第4領域は、X方向において、第1領域、第3領域、第2領域、第4領域の順に繰り返し形成されており、
前記第4領域は、前記第1領域および前記第2領域とは異なる模様を有している、
態様1~4のいずれかの不織布。
(態様6)
前記第4領域に形成されている前記開口部または凹部の1つあたりの面積M4が、前記第1領域に形成されている開口部または凹部の1つあたりの面積M1および前記第2領域に形成されている開口部または凹部の1つあたりの面積M2のいずれよりも大きい、
態様5の不織布。
(態様7)
M2、M3およびM4が、M3/M2≧1.2、およびM4/M2≧1.2を満たす、態様6の不織布。
(態様8)
M1、M3およびM4が、M3/M1≧1.2、およびM4/M1≧1.2を満たす、態様6または7の不織布。
(態様9)
前記Y方向における前記不織布の引張強さS1と、前記X方向における前記不織布の引張強さS2とが、S1<S2を満たす、態様1~8のいずれかの不織布。
(態様10)
繊維ウェブを作製すること、
前記繊維ウェブを支持体に載置して、前記繊維ウェブに高圧流体流による交絡処理を施すこと
を含む不織布の製造方法であって、
前記支持体が、少なくとも二種類の織組織Aおよび織組織Bを有し、その進行方向に沿って前記織組織Aおよび前記織組織Bが規則的に繰り返し形成されているものであり、
前記支持体において、
前記織組織Aを構成する緯糸aと、前記織組織Bを構成する緯糸bの直径が異なっていて、前記織組織Aと前記織組織Bとの境界にて、前記緯糸aと前記緯糸bとが隣り合っており、
前記織組織Aの表面が、前記織組織Bの表面よりも、0.1mm以上3.0mm以下高い位置にある、
不織布の製造方法。
(態様11)
前記織組織Aが、緯糸の浮き数が2以上であり、経糸の浮き数が1である、ヨコ綾織組織であり、前記織組織Bが平織組織である、態様10の不織布の製造方法。
(態様12)
前記支持体において、前記支持体を構成する経糸が、前記緯糸aおよび前記緯糸bを含む、連続する3以上の緯糸の上で浮いている部分である、ナックルN1が形成されている、
態様10または11の不織布の製造方法。
(態様13)
前記支持体において、前記織組織Aから見て、前記ナックルN1が形成されている側とは反対の側の前記織組織Bとの境界にて、前記支持体を構成する経糸が、前記緯糸aおよび前記緯糸bを含む連続する2以上の緯糸の上で浮いているナックルN2が形成されており、前記ナックルN2のいずれか一方の側に隣り合って、経糸が連続する2以上の緯糸の上で浮いているナックルN3が形成されている、態様12の不織布の製造方法。
(態様14)
前記織組織Aが、緯糸の浮き数が2以上16以下、経糸の浮き数が2以上16以下である綾織組織であり、前記織組織Bが平織組織であり、前記緯糸aの直径が前記緯糸bの直径よりも大きい、態様13の不織布の製造方法。
本開示の不織布は、新規な縞状模様を有する不織布であり、従来にない意匠性を有するものである。したがって、本開示の不織布は、ワイパー、生理用ナプキン、乳幼児用紙おむつ、成人用紙おむつ等の衛生用品、おしぼり、フェイスマスク、衛生マスク、フィルター、またはパップ剤等として用いるのに適している。本開示の不織布は、縞状模様を構成する各領域が延びる方向を不織布のCD方向と略一致させたものとして提供することができる。その場合、不織布を対象物の表面にて縞状模様の各領域が延びる方向と直交する方向で往復移動させても、ヨレが生じにくく、不織布はワイパーとしての使用に特に適している。

Claims (14)

  1. 第1領域と第2領域と第3領域とを少なくとも含む不織布であって、
    前記第1領域、前記第2領域および前記第3領域は、縞状に存在し、
    平面視にて、前記第3領域は、前記第1領域と前記第2領域との境界に形成されており、
    平面視にて、各領域が連続して延びる方向をY方向、Y方向と直交する方向をX方向としたときに、前記第3領域には、Y方向に線状に一列に配置された複数の開口部および凹部のいずれか又は両方が少なくとも形成され、
    平面視にて、前記第3領域は、X方向において、9mm以下の寸法を有し、
    平面視にて、前記第1ないし第3領域は、X方向において、第1領域、第3領域、第2領域の順に繰り返し形成されており、
    前記第1領域、前記第2領域および前記第3領域は互いに異なる模様を有している、
    不織布。
  2. 前記第3領域に形成されている開口部または凹部の1つあたりの面積M3が、前記第1領域に形成されている開口部または凹部の1つあたりの面積M1および前記第2領域に形成されている開口部または凹部の1つあたりの面積M2のいずれよりも大きい
    請求項1に記載の不織布。
  3. M3およびM2が、M3/M2≧1.2の関係を満たす、請求項2に記載の不織布。
  4. M3およびM1が、M3/M1≧1.2の関係を満たす、請求項2または3に記載の不織布。
  5. 第4領域をさらに含み、前記第4領域が、前記第1領域と前記第2領域との境界に形成されており、
    前記第4領域には、Y方向に線状に一列に配置された複数の開口部および凹部のいずれか又は両方が少なくとも形成され、
    平面視にて、前記第4領域は、X方向において、9mm以下の寸法を有し、
    平面視にて、前記第1ないし第4領域は、X方向において、第1領域、第3領域、第2領域、第4領域の順に繰り返し形成されており、
    前記第4領域は、前記第1領域および前記第2領域とは異なる模様を有している、
    請求項1~4のいずれか1項に記載の不織布。
  6. 前記第4領域に形成されている前記開口部または凹部の1つあたりの面積M4が、前記第1領域に形成されている開口部または凹部の1つあたりの面積M1および前記第2領域に形成されている開口部または凹部の1つあたりの面積M2のいずれよりも大きい、
    請求項5に記載の不織布。
  7. M2、M3およびM4が、M3/M2≧1.2、およびM4/M2≧1.2を満たす、請求項6に記載の不織布。
  8. M1、M3およびM4が、M3/M1≧1.2、およびM4/M1≧1.2を満たす、請求項6または7に記載の不織布。
  9. 前記Y方向における前記不織布の引張強さS1と、前記X方向における前記不織布の引張強さS2とが、S1<S2を満たす、請求項1~8のいずれか1項に記載の不織布。
  10. 繊維ウェブを作製すること、
    前記繊維ウェブを支持体に載置して、前記繊維ウェブに高圧流体流による交絡処理を施すこと
    を含む不織布の製造方法であって、
    前記支持体が、少なくとも二種類の織組織Aおよび織組織Bを有し、その進行方向に沿って前記織組織Aおよび前記織組織Bが規則的に繰り返し形成されているものであり、
    前記支持体において、
    前記織組織Aを構成する緯糸aと、前記織組織Bを構成する緯糸bの直径が異なっていて、前記織組織Aと前記織組織Bとの境界にて、前記緯糸aと前記緯糸bとが隣り合っており、
    前記織組織Aの表面が、前記織組織Bの表面よりも、0.1mm以上3.0mm以下高い位置にある、
    不織布の製造方法。
  11. 前記織組織Aが、緯糸の浮き数が2以上であり、経糸の浮き数が1である、ヨコ綾織組織であり、前記織組織Bが平織組織である、請求項10に記載の不織布の製造方法。
  12. 前記支持体において、前記支持体を構成する経糸が、前記緯糸aおよび前記緯糸bを含む、連続する3以上の緯糸の上で浮いている部分である、ナックルN1が形成されている、
    請求項10または11に記載の不織布の製造方法。
  13. 前記支持体において、前記織組織Aから見て、前記ナックルN1が形成されている側とは反対の側の前記織組織Bとの境界にて、前記支持体を構成する経糸が、前記緯糸aおよび前記緯糸bを含む連続する2以上の緯糸の上で浮いているナックルN2が形成されており、前記ナックルN2のいずれか一方の側に隣り合って、経糸が連続する2以上の緯糸の上で浮いているナックルN3が形成されている、請求項12に記載の不織布の製造方法。
  14. 前記織組織Aが、緯糸の浮き数が2以上16以下、経糸の浮き数が2以上16以下である綾織組織であり、前記織組織Bが平織組織であり、前記緯糸aの直径が前記緯糸bの直径よりも大きい、請求項13に記載の不織布の製造方法。
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