JP2023143187A - 積層体及び積層体の製造方法 - Google Patents

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剛 大谷
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Abstract

【課題】タンパク質が付着しにくく、タンパク質と接触する物品の製造に好適な積層体を提供する。【解決手段】少なくとも一方の最表面に、樹脂組成物(X)からなる層を有する積層体であって、前記樹脂組成物(X)は、特定の式で表される単量体単位を含む(メタ)アクリル系重合体(A)を、樹脂組成物の合計100質量部に対して1質量部以上99質量部以下の割合で含む、積層体。【選択図】 なし

Description

本発明は、積層体及び積層体の製造方法に関する。
近年、医療器具、生化学分析やタンパクの分離精製の分野では、各種ポリマー材料(ポリスチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリメチルメタクリレート、ナイロン)、ガラス、又はステンレス等の金属が、各種反応容器、遠心管、チューブ、シリンジ、ピペット、フィルター、分離用カラム等の種々の部品、容器等に使用されているが、いずれの材料においてもタンパク質の付着がおきるために、検出感度の低下や再現性の低下、精製不良を引き起こす原因となっている。
また、カテーテル、カニューレ、ステント、血しょう分離用膜、人工心肺等の人工臓器等は、循環血液や体内の代謝物質との接触があり、タンパク質の付着や、血しょうタンパク付着によって引き起こされる血栓等の形成を抑制する生体適合性が必要とされている。
特許文献1には、ポリメトキシエチルアクリレート(PMEA)が、抗血栓性、タンパク質付着抑制といった生体適合性を有することが記載されている。
特許文献2には、ポリメチルメタクリレート(PMMA)とPMEAのブロック/グラフト共重合体を含有する成形材料が、低たんぱく吸着性を示すことが記載されている。
特許文献1:特開2004-161954号公報
特許文献2:WO2020-066685号公報
しかし、特許文献1に記載されているPMEAはガラス転移温度が約-50℃と非常に低い。このため、常温で高粘調液体であるPMEAを成形材料への添加剤としてそのまま使用することは、取り扱い性の点で難しい。さらに、PMEAを添加剤として含む成形材料を用いて製造した成形体では、成形体からのPMEAのブリードアウトや脱落などの懸念も考えられる。また、塗料とした場合は塗膜の充分な強度、及び硬度が得られ難く、実用性の確保が難しい。
また特許文献2に記載されている共重合体では、他の樹脂と共重合体とのアロイを成形材料として用いることで、表面に低タンパク吸着性能を有する成形体を得ることができる。一方で、共重合体を用いることによって透明性や強度等が課題となる懸念があった。
本発明は、タンパク質が付着しにくく、タンパク質と接触する物品の製造に好適な積層体を提供する。
本発明は、以下の態様を有する。
[1] 少なくとも一方の最表面に、樹脂組成物(X)からなる層を有する積層体であって、前記樹脂組成物(X)は、下記一般式(1)で表される単量体単位(a1)を含む(メタ)アクリル系重合体(A)を、樹脂組成物の合計100質量部に対して1質量部以上99質量部以下の割合で含むことを特徴とする、積層体。
(式中、R3は水素原子またはメチル基を表し、R4は炭素数1~4のアルキレン基を表し、R5は炭素数1~6の炭化水素基を表し、mは1~100,000,000の自然数であり、pは1~10の自然数である。)
[2] 前記、樹脂組成物(X)からなる層の膜厚が0.001μm以上、1000μm以下である、[1]に記載の積層体。
[3] 前記単量体単位(a1)が、メトキシメチル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシプロピル(メタ)アクリレート、メトキシブチル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレートからなる群から選ばれる少なくとも一種の単量体に由来する単量体単位である、[1]又は[2]に記載の積層体。
[4] 前記樹脂組成物(X)が、前記(メタ)アクリル系重合体(A)以外の樹脂(B)を含み、前記樹脂(B)は熱可塑性樹脂である、[1]~[3]のいずれか一項に記載の積層体。
[5] 前記樹脂(B)は、ポリ塩化ビニル、アクリル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリアミド、不飽和ポリエステル、飽和ポリエステル、ポリカーボネート、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエーテルエーテルケトン及びポリフッ化ビニリデンからなる群から選ばれる少なくとも一種の樹脂である、[4]に記載の積層体。
[6] 前記(メタ)アクリル系重合体(A)が、重合体(A1)と、前記重合体(A1)と異なる重合体(A2)を含むブロック共重合体及びグラフト共重合体の少なくともいずれかの構造を有する、[1]~[5]のいずれか一項に記載の積層体。
[7] 前記(メタ)アクリル系重合体(A)が下記式(2)で表されるマクロモノマー(d’)に由来する単位を含む、[1]~[6]のいずれか一項に記載の積層体。
・・・ (2)
(式(2)中、R0 ~Rnは、それぞれ独立に、水素原子、非置換の若しくは置換基を有するアルキル基、非置換の若しくは置換基を有する脂環式基、非置換の若しくは置換基を有するアリール基、非置換の若しくは置換基を有するヘテロアリール基、又は非置換の若しくは置換基を有する非芳香族の複素環式基を表し、複数のR0 ~Rnはそれぞれ同じでも異なってもよく、X1~Xnは水素原子またはメチル基を表し、複数のX1~Xnはそれぞれ同じでも異なってもよく、Zは末端基であり、nは2~10,000の自然数である。)
[8] シート、フイルム、チューブ、バッグ、カプセルからなる群から選ばれる形状である[1]~[7]のいずれか一項に記載の積層体。
[9] 前記積層体の製造方法が、多層押出成形法、熱プレス成形法、ラミネート法からなる群から選ばれる少なくとも一種である、[1]~[8]のいずれか一項に記載の積層体の製造方法。
本発明の積層体は、タンパク質吸着抑制効果及び透明性を有し、タンパク質と接触する物品の製造に好適である。本発明の積層体の製造方法によれば、透明性や強度に優れ、タンパク質付着抑制効果を有する積層体が得られる。
以下の用語の定義は、本明細書及び特許請求の範囲にわたって適用される。
「(メタ)アクリル系単量体」は、(メタ)アクリロイル基を有する単量体を意味する。
「(メタ)アクリロイル基」は、アクリロイル基及びメタクリロイル基の総称である。
「(メタ)アクリレート」は、アクリレート及びメタクリレートの総称である。
「(メタ)アクリル酸」は、アクリル酸とメタクリル酸の総称である。
数値範囲を示す「~」は、その前後に記載された数値を下限値および上限値として含むことを意味する。
以下、本発明の実施の形態について説明する。以下の実施の形態は、本発明を説明するための単なる例示であって、本発明をこの実施の形態にのみ限定することは意図されない。本発明は、その趣旨を逸脱しない限り、様々な態様で実施することが可能である。
本発明の積層体は、少なくとも一方の最表面に樹脂組成物(X)からなる層を有する。本発明の樹脂組成物(X)は、(メタ)アクリル系重合体(A)を必須の成分として含み、さらに樹脂(B) を含むことが好ましい。また、本発明の(メタ)アクリル系重合体(A)は、単量体単位(a1)を必須の成分に含む。この(メタ)アクリル系重合体(A)は、重合体(A1)と重合体(A2)を併せ持つことが好ましい。また、(メタ)アクリル系重合体(A)は、(メタ)アクリル系ブロック共重合体、及び/又は(メタ)アクリル系グラフト共重合体の少なくともいずれかの構造を有することが好ましい。(メタ)アクリル系ブロック共重合体、及び/又は(メタ)アクリル系グラフト共重合体を、(メタ)アクリル系ブロック・グラフト共重合体や、(メタ)アクリル系ブロック/グラフト共重合体と記載する場合がある。
<(メタ)アクリル系重合体(A)>
本発明の積層体は、最表面に、樹脂組成物(X)からなる層を有し、樹脂組成物(X)は、(メタ)アクリル系重合体(A)を含む。(メタ)アクリル系重合体(A)は重合体(A1)と重合体(A2)を含む重合体であり、ブロック共重合体及びグラフト共重合体の少なくともいずれかの構造を有することが好ましい。(メタ)アクリル系重合体(A)において重合体(A1)は、主にタンパク質吸着抑制の効果を有する。(メタ)アクリル系重合体(A)において重合体(A2)は、樹脂(B)や隣接する層の基材への混和性や相容性を付与する効果と、(メタ)アクリル系重合体(A)を固体として取扱い可能にする効果を有する。
本発明の(メタ)アクリル系重合体が有する構造であるブロック及び/又はグラフト構造は、ジブロック、トリブロック、マルチブロック、グラフト、環状、星形、櫛形、樹状、ラダー状などのいずれの構造でもよく、これらの構造を複数組み合わせた構造となっていても良い。これらの構造の中でも、成形体表面へのタンパク質付着抑制能の付与が見込まれることと、製造が比較的容易であることから、ジブロック、トリブロック、グラフトのいずれか1種の構造を少なくとも含むことが好ましい。(メタ)アクリル系重合体(A)は前記樹脂組成物(X)の合計100質量部に対して、(メタ)アクリル系重合体(A)を1質量部以上の割合で含む。(メタ)アクリル系重合体(A)を5質量部以上の割合で含むことが好ましく、10質量部以上の割合で含むことがより好ましい。また、(メタ)アクリル系重合体(A)を99質量部以下の割合で含む。(メタ)アクリル系重合体(A)を90質量部以下の割合で含むことが好ましく、80質量部以下の割合で含むことがより好ましい。(メタ)アクリル系重合体(A)を1質量部以上の割合で含むことで、本発明の積層体を用いた物品にタンパク質付着抑制能を付与することができる。(メタ)アクリル系重合体(A)を99質量部以下の割合で含むことで、本発明の積層体を用いた成形体の機械物性低下を抑制できる。
<重合体(A1)>
前記(メタ)アクリル系重合体(A)は、下記一般式(1)で表される単量体単位(a1)を必須の成分として含む。前記重合体(A1)は、単量体単位として、前記単量体単位(a1)を含むことが好ましく、必要に応じて単量体単位(a2)を含む。
(式中、R3は水素原子またはメチル基を表し、R4は炭素数1~4のアルキレン基を表し、R5は炭素数1~6の炭化水素基を表し、mは1~100,000,000の自然数であり、pは1~10の自然数である。)
単量体単位(a1)は、単量体(a’1)由来の単量体単位である。
単量体(a’1)としては、アルコキシアルキル(メタ)アクリレート、アルコキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレートが挙げられる。アルコキシアルキル(メタ)アクリレート、アルコキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレートとしては、以下のものが例示できる。
メトキシメチルアクリレート、メトキシエチルアクリレート、メトキシプロピルアクリレート、メトキシブチルアクリレート、エトキシメチルアクリレート、エトキシエチルアクリレート、エトキシプロピルアクリレート、エトキシブチルアクリレート、プロポキシメチルアクリレート、プロポキシエチルアクリレート、プロポキシプロピルアクリレート、プロポキシブチルアクリレート、ブトキシメチルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、ブトキシプロピルアクリレート、ブトキシブチルアクリレート、メトキシメチルメタクリレート、メトキシエチルメタクリレート、メトキシプロピルメタクリレート、メトキシブチルメタクリレート、エトキシメチルメタクリレート、エトキシエチルメタクリレート、エトキシプロピルメタクリレート、エトキシブチルメタクリレート、プロポキシメチルメタクリレート、プロポキシエチルメタクリレート、プロポキシプロピルメタクリレート、プロポキシブチルメタクリレート、ブトキシメチルメタクリレート、ブトキシエチルメタクリレート、ブトキシプロピルメタクリレート、ブトキシブチルメタクリレート、「ブレンマーPME-100」(日油(株)製メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(エチレングリコールの連鎖が2であるもの)、商品名)、「ブレンマーPME-200」(日油(株)製メトキシポリエチレングリコールメタクリレート(エチレングリコールの連鎖が4であるもの)、商品名)などが挙げられる。
中でも、タンパク質付着抑制の観点から、メトキシメチル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシプロピル(メタ)アクリレート、メトキシブチル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレートが好ましく、メトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシプロピル(メタ)アタクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレートがさらに好ましく、メトキシエチル(メタ)アクリレートが特に好ましい。
単量体単位(a1)を含む重合体(A1)がタンパク質付着抑制能を有する理由は次のように考えられる。高分子表面に水和する水として、高分子と弱く相互作用する自由水、高分子と中間的な相互作用する中間水、高分子と強く相互作用する不凍水があることが知られている。高分子表面に中間水が存在すると、タンパク質が高分子表面に付着しにくくなり、その結果、タンパク質付着抑制能が付与されると考えられる。高分子表面に中間水を存在させるには、前記式(1)で表される単量体単位(a1)を含むことが有効であると考えられ、その中で、特にメトキシエチルアクリレート、メトキシエチルメタクリレートに基づく単量体単位が有効であると考えられる。
重合体(A1)における、単量体単位(a1)の繰り返し数mは1~1,000,000の自然数であることが好ましい。タンパク質付着抑制の観点からmは2~100,000がより好ましく、5~50,000がさらに好ましい。また、mが1以上であれば、タンパク質付着抑制効果がより優れ、1,000,000以下であれば、成形性がより優れる。
単量体単位(a2)は、単量体(a’2)由来の単量体単位である。単量体(a’2)は、単量体(a’1)と共重合性を有するものであれば、特に制限なく公知の単量体を選択可能である。単量体(a’2)としては、例えば、種々のラジカル重合性の単量体を挙げることができる。
前記単量体単位(a1)は、重合体(A1)の合計100質量部に対して40質量部以上含むことが好ましく、70質量%以上がより好ましく、90質量%以上がさらに好ましく、99%以上が特に好ましく、100質量%であっても良い。前記単量体単位(a1)の含有量が40質量%以上であれば、タンパク質付着抑制効果が付与される。
重合体(A1)が含むことができる前記単量体単位(a1)以外の成分は、前記単量体(a’1)との共重合性を有していれば、特に制限なく種々の単量体単位を選択して用いることができる。
<重合体(A2)>
(メタ)アクリル系重合体(A)において重合体(A2)は、樹脂(B)や隣接する層の基材への混和性や相容性を付与する効果と、(メタ)アクリル系重合体(A)を固体として取扱い可能にする効果がある。
重合体(A2)としては、PMMA等の(メタ)アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル等のハロゲン化ビニル樹脂、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリウレタン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、不飽和ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等の飽和ポリエステル、ポリビニルエーテル、ポリカーボネート、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエーテルエーテルケトン及びポリフッ化ビニリデン等が例示できる。 重合体(A2)としては熱可塑性樹脂が好ましい。
重合体(A2)は、単独でのガラス転移点(Tg)が50℃以上であることが好ましく、65℃以上がより好ましく、80℃以上がさらに好ましく、95℃以上が特に好ましい。Tgが50℃以上であれば、得られる共重合体の固体としての取り扱い性が良好になる。また、重合体(A2)は、単独でのガラス転移点(Tg)が、150℃以下が好ましく、130℃以下がより好ましく、110℃以下がさらに好ましい。Tgが150℃以下であれば、(メタ)アクリル系重合体(A)と樹脂(B)や隣接する層の基材との混和性が良好となる。
Tgは、ポリマーハンドブック〔Polymer HandBook,J.Brandrup,Interscience,1989〕に記載されているホモポリマーのガラス転移温度及び質量分率からFoxの計算式によって算出される値を意味する。なお、Foxの計算式とは以下の式である。
1/(273+Tg)=Σ(Wi/(273+Tgi))
式中、Wiは単量体iの質量分率、Tgiは単量体iのホモポリマーのガラス転移温度(℃)を示す。
前記「ポリマーハンドブック」にホモポリマーのガラス転移温度が記載されていない単量体を用いた場合のTgは、示差走査熱量計(DSC)で実測した値を用いる。
重合体(A2)は、単量体単位(a3)を有する。単量体単位(a3)は、単量体(a’3)由来の単量体単位である。 単量体(a’3)は、単量体(a’1)、(a’2)と共重合性を有するものであれば、特に制限なく公知の単量体を選択可能である。単量体(a’3)としては、例えば、エチレン、プロピレン、ブチレンなどのα-オレフィン類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル類、ブチルビニルエーテル、セチルビニルエーテルなどのビニルエーテル類;アクリル酸、メタクリル酸などの不飽和カルボン酸類、アクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸フェニルなどのアクリル酸またはメタクリル酸のエステル類、スチレン、α-メチルスチレンなどの芳香族ビニル類、塩化ビニリデン、フッ化ビニルなどのハロゲン化ビニル類、N-フェニルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミドなどのN-置換マレイミド類などを挙げることができる。また、ポリアミド、ポリウレタン、ポリエステル、ポリカーボネートなどの重縮合系ポリマー、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂等の分子中に、反応性二重結合基を有するものであってもよく、後述するマクロモノマーとしても使用できる。これらは単独、または、2種以上の組み合わせで用いることができる。
単量体(a’3)としては、共重合性や重合体(A2)のガラス転移点(Tg)の点で、(メタ)アクリル酸エステルが好ましく、炭化水素基含有(メタ)アクリル酸エステルがより好ましく、(メタ)アクリル酸メチルがさらに好ましく、メチルメタクリレートが特に好ましい。
また、重合体(A2)に、樹脂(B)との相容性を付与する点でも、単量体(a’3)として(メタ)アクリル酸エステルが好ましく、炭化水素基含有(メタ)アクリル酸エステルがより好ましく、(メタ)アクリル酸メチルがさらに好ましく、メチルメタクリレートが特に好ましい。
重合体(A2)の原料である単量体(a’3)としてメチルメタクリレートを用いる場合、単量体(a’3)の合計100質量部に対してメチルメタクリレートの含有量は50質量部以上が好ましく、80質量部以上がより好ましく、90質量部以上がさらに好ましい。メチルメタクリレートを50質量%以上含むことで、重合体(A2)のガラス転移点(Tg)を好ましい範囲に調整しやすくなり、(メタ)アクリル系重合体(A)と樹脂(B)との混和性や相容性が良好となる。
<マクロモノマー(d’)>
本発明の(メタ)アクリル系重合体(A)は、マクロモノマー由来の構成単位(d)を有してもよい。マクロモノマーとは、重合可能な官能基を有する高分子を意味する。マクロモノマー由来の構成単位(d)は、マクロモノマー(d’)を原料として使用することで、特定の重合体からなる構成成分を(メタ)アクリル系重合体(A)に導入することができる。マクロモノマー由来の構成単位(d)は、重合体(A1)、重合体(A2)のいずれに含まれていても良い。マクロモノマー(d’)を重合体(A1)の原料として用いる場合は、マクロモノマー(d’)が有する重合性官能基は、重合体(A2)の原料である単量体(a’3)と共重合性を有することが好ましい。逆に、マクロモノマー(d’)を重合体(A2)の原料として用いる場合は、マクロモノマー(d’)が有する重合性官能基は、重合体(A1)の原料である単量体(a’1)または単量体(a’2)と共重合性を有することが好ましい。
マクロモノマー(d’)を構成する単量体単位は、重合体(A1)、重合体(A2)を構成する単量体単位である、単量体単位(a1)、単量体単位(a2)、単量体単位(a3)から適宜選択することができる。マクロモノマー(d’)の原料は、単量体(a’1)、単量体(a’2)、単量体(a’3)から適宜選択することができる。
マクロモノマー(d’)を重合体(A2)の原料として用いると、マクロモノマー(d’)を固体として取扱いことができるため、好ましい。マクロモノマー(d’)を重合体(A2)の原料とし、重合体(A1)の原料である単量体単位と共重合することで、効率よく(メタ)アクリル系重合体(A)を製造することができる。
マクロモノマー(d’)に含まれるラジカル重合性基としては、エチレン性不飽和結合を有する基が好ましい。エチレン性不飽和結合を有する基としては、例えば、CH2=C(COOR6)-CH2-、(メタ)アクリロイル基、2-(ヒドロキシメチル)アクリロイル基、ビニル基等が挙げられる。
ここで、Rは水素原子、非置換の若しくは置換基を有するアルキル基、非置換の若しくは置換基を有する脂環式基、非置換の若しくは置換基を有するアリール基、非置換の若しくは置換基を有するヘテロアリール基、又は非置換の若しくは置換基を有する非芳香族の複素環式基を表す。
としての、非置換のアルキル基、非置換の脂環式基、非置換のアリール基、非置換のヘテロアリール基、非置換の非芳香族の複素環式基、および各基の置換基の具体例は、前記式(1)中のRとしてのCOOR35のR35と同じものが挙げられる。
としては、非置換の若しくは置換基を有するアルキル基、又は非置換の若しくは置換基を有する脂環式基が好ましく、非置換のアルキル基、又は非置換の若しくは置換基としてアルキル基を有する脂環式基がより好ましい。
は、水素原子、非置換の若しくは置換基を有するアルキル基、非置換の若しくは置換基を有する脂環式基、非置換の若しくは置換基を有するアリール基、非置換の若しくは置換基を有するヘテロアリール基、又は非置換の若しくは置換基を有する非芳香族の複素環式基の中でも、入手のし易さから、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、t-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、イソボルニル基及びアダマンチル基が好ましく、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、t-ブチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、イソボルニル基及びアダマンチル基が好ましい。
マクロモノマー(d’)は、ラジカル重合性基を有する単量体単位を有することが好ましく、前記単量体単位の数は2以上であることが好ましい。
マクロモノマー(d’)は、単量体単位(a3)を2以上有していることが好ましい。マクロモノマー(d’)は、下記式(2)の構造を有するものがより好ましい。
・・・(2)
式(2)中、R ~Rは、それぞれ独立に、水素原子、非置換の若しくは置換基を有するアルキル基、非置換の若しくは置換基を有する脂環式基、非置換の若しくは置換基を有するアリール基、非置換の若しくは置換基を有するヘテロアリール基、又は非置換の若しくは置換基を有する非芳香族の複素環式基を表し、複数のR ~Rはそれぞれ同じでも異なってもよく、X~Xは水素原子またはメチル基を表し、複数のX~Xはそれぞれ同じでも異なってもよく、Zは末端基であり、nは2~10,000の自然数である。
Zとしては、例えば、公知のラジカル重合で得られるポリマーの末端基と同様に、水素原子、ラジカル重合開始剤に由来する基、ラジカル重合性基等が挙げられる。
nは2~10,000であり、成形性の観点からは2~1,000が好ましく、5~1,000がより好ましく、10~500がさらに好ましく、20~500が特に好ましい。
Zは、マクロモノマー(d’)の末端基である。Zとしては、例えば、公知のラジカル重合で得られるポリマーの末端基と同様に、水素原子、ラジカル重合開始剤に由来する基、ラジカル重合性基等が挙げられる。
式(2)中のR ~Rは、前記エチレン性不飽和結合を有する基であるCH2=C(COOR)-CH2-のRと同じである。
共重合体中のR6は、疎水性保持の観点から、アルキル基、脂環式基、アリール基、ヘテロアリール基又は非芳香族の複素環式基であることが好ましく、アルキル基又は脂環式基であることがより好ましく、アルキル基であることが特に好ましい。
マクロモノマー(d’)の数平均分子量(Mn)は、200~100,000であることが好ましく、500~100,000がより好ましく、1000~50,000がさらに好ましく、2,000~50,000が特に好ましい。
マクロモノマー(d’)の数平均分子量が200以上、100,000以下であれば、成形性がより優れる。
マクロモノマー(d’)の数平均分子量は、ゲルろ過クロマトグラフィー(GPC)により、ポリメチルメタクリレートを基準樹脂とした相対分子量として算出される。
マクロモノマー(d’)を構成する全構成単位の合計100質量%に対する構成単量体単位(b2)の割合は、40質量%以上が好ましく、50質量%以上がより好ましく、100質量%がさらに好ましい。
<マクロモノマー(d’)の製造方法>
マクロモノマー(d’)は、公知の方法で製造できる。マクロモノマーの製造方法としては、例えば、コバルト連鎖移動剤を用いて製造する方法(米国特許4680352号明細書)、α-ブロモメチルスチレン等のα置換不飽和化合物を連鎖移動剤として用いる方法(国際公開88/04304号)、重合性基を化学的に結合させる方法(特開昭60-133007号公報、米国特許5147952号明細書、特開平06-298921号公報)及び熱分解による方法(特開平11-240854号公報)等が挙げられる。
これらの中で、マクロモノマー(d’)の製造方法としては、製造工程数が少なく、連鎖移動定数が高い触媒を使用する点で、コバルト連鎖移動剤を用いて製造する方法が好ましい。
コバルト連鎖移動剤を用いてマクロモノマー(d’)を製造する方法としては、例えば、塊状重合法、溶液重合法及び、懸濁重合法、乳化重合法等の水系分散重合法が挙げられる。これらの中で、マクロモノマー(d’)の回収工程の簡略化の点から水系分散重合法が好ましい。
本発明において使用されるコバルト連鎖移動剤としては、式(3)に示されるコバルト連鎖移動剤が使用でき、例えば、日本国特許第3587530号公報、特開平6-23209号公報、特開平7-35411号公報、米国特許第45269945号明細書、同第4694054号明細書、同第4834326号明細書、同第4886861号明細書、同第5324879号明細書、国際公開第95/17435号、特表平9-510499号公報等に記載されているものを使用することができる。
・・・(3)
[式中、R1~R4は、それぞれ独立して、アルキル基、シクロアルキル基又はアリール基;Xは、それぞれ独立して、F原子、Cl原子、Br原子、OH基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アルキル基又はアリール基である。]
コバルト連鎖移動剤としては、具体的には、ビス(ボロンジフルオロジメチルジオキシイミノシクロヘキサン)コバルト(II)、ビス(ボロンジフルオロジメチルグリオキシメイト)コバルト(II)、ビス(ボロンジフルオロジフェニルグリオキシメイト)コバルト(II)、ビシナルイミノヒドロキシイミノ化合物のコバルト(II)錯体、テトラアザテトラアルキルシクロテトラデカテトラエンのコバルト(II)錯体、N,N’-ビス(サリチリデン)エチレンジアミノコバルト(II)錯体、ジアルキルジアザジオキソジアルキルドデカジエンのコバルト(II)錯体、コバルト(II)ポルフィリン錯体などがあげられる。中でも、水性媒体中に安定に存在し、連鎖移動効果が高いビス(ボロンジフルオロジフェニルグリオキシメイト)コバルト(II)(R1~R4:フェニル基、X:F原子)が好ましい。これらは一種以上を適宜選択して使用することができる。
コバルト連鎖移動剤の使用量は、マクロモノマー(d’)を得るためのモノマー100質量部に対し5ppmから350ppmが好ましい。コバルト連鎖移動剤の使用量が5ppm以上であれば分子量の低下が十分となりやすく、350ppm以下であると得られるマクロモノマー(d’)が着色しにくい。
マクロモノマー(d’)を溶液重合法で得る際に使用される溶剤としては、例えば、トルエン等の炭化水素;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル;ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素;アセトン等のケトン;メタノール等のアルコール;アセトニトリル等のニトリル;酢酸エチル等のビニルエステル;エチレンカーボネート等のカーボネート;及び超臨界二酸化炭素が挙げられる。これらは、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
<(メタ)アクリル系重合体(A)の組成と分子量>
(メタ)アクリル系重合体(A)中に存在する単量体単位の合計100質量部に対して、単量体単位(a1)は10質量%以上が好ましく、20質量%がより好ましく、30質量%以上がさらに好ましく40質量%以上が特に好ましい。また、90質量%以下が好ましく、80質量%以下がより好ましく、70質量%以下がさらに好ましく、60質量%以下が特に好ましい。単量体単位(a1)の割合が10質量%を超えるとタンパク質付着抑制効果に優れ、90質量%以下であると成形性に優れる。
(メタ)アクリル系重合体(A)中に存在する単量体単位の合計100質量部に対して、単量体単位(a3)は10質量%以上が好ましく、20質量%がより好ましく、30質量%以上がさらに好ましく、40質量%が特に好ましい。また、90質量%以下が好ましく、80質量%以下がより好ましく、70質量%以下がさらに好ましく60質量%以下が特に好ましい。単量体単位(b3)の割合が10質量%を超えると成形性に優れ、90質量%以下であるとタンパク質付着抑制効果に優れる。
(メタ)アクリル系重合体(A)が単量体単位(a2)を含む場合、全構成単位の総質量に対して、単量体単位(a2)の総質量は0~33質量%が好ましく、0~25質量%がより好ましく、0.5~20質量%がさらに好ましく、0質量%でも良い。
単量体単位(a2)の含有量が0質量%以上、33質量%以下であると重合体(A1)と重合体(A2)の機能が損なわれない。
(メタ)アクリル系重合体(A)の重量平均分子量は75,000以上が好ましく、75,000以上1,000,000以下がより好ましく、80,000以上500,000以下がさらに好ましい。重量平均分子量が75,000以上、1,000,000以下であると成形性に優れる。
共重合体の重量平均分子量は、ゲルろ過クロマトグラフィー(GPC)により、ポリメチルメタクリレートを基準樹脂とした相対分子量として算出される。
<(メタ)アクリル系重合体(A)の製造方法>
本発明の(メタ)アクリル系重合体(A)の製造方法は、リビング重合法やマクロモノマーを使用する方法が挙げられる。リビング重合法としては、リビングラジカル重合法や、リビングアニオン重合法などが挙げられる。リビングラジカル重合法としては、例えば、可逆付加開裂連鎖移動重合(RAFT)、原子移動ラジカル重合(ATRP)、ニトロキシド媒介重合(NMP)及び有機テルルを成長末端とするリビングラジカル重合(TERP)などが挙げられる。マクロモノマーを使用する方法は、比較的容易に(メタ)アクリル系重合体(A)が製造できる点で優位であり、リビング重合法で必要となる触媒や助剤の残渣除去や末端処理工程が不要という利点があるため好ましい。
<マクロモノマーを用いた(メタ)アクリル系重合体(A)の製造方法>
前記マクロモノマー(d’)を使用して(メタ)アクリル系重合体(A)を製造する方法としては、マクロモノマー(d’)を重合体(A1)、重合体(A2)のいずれの原料として用いても良い。ここでは、例として、マクロモノマー(d’)を重合体(A2)の原料として使用する方法について説明する。
例えば、単量体(a’1)と、重合体(A2)の原料であるマクロモノマー(d’)を含む単量体混合物を塊状重合、懸濁重合、溶液重合する方法がある。
単量体混合物100質量部に対して、0.001~5質量部の非金属連鎖移動剤を含む重合性組成物を懸濁重合する方法が好ましい。
重合性組成物は分散剤を含むことが好ましい。
懸濁重合することにより、成形性に優れ、加工しやすい共重合体が得られる。溶液重合することにより、分子量分布の狭い共重合体が得られる。例えば懸濁重合により得られた懸濁液から、ビーズ状の共重合体を回収して成形体の製造に用いてもよく、前記ビーズ状の共重合体をペレット状に成形したものを成形体の製造に用いてもよい。例えば溶液重合により得られたポリマー溶液を貧溶媒に滴下し再沈殿する、あるいは脱気押出等の方法で溶剤等を除去することで粉末状の共重合体を回収して成形体の製造に用いても良く、前記粉末状の共重合体をペレット状に成形したものを成形体の製造に用いてもよい。
共重合体の好ましい懸濁重合の製造方法として、例えば、以下の方法(A)、方法(B)および方法(C)が挙げられる。
方法(A)は、マクロモノマー(d’)をマクロモノマー(d’)以外の単量体に溶解して単量体混合物を調製した後、前記単量体混合物にラジカル重合開始剤と、必要に応じて非金属連鎖移動剤を添加して重合性組成物を調製する。その後、重合性組成物を、必要に応じて分散剤を添加した水溶液中に分散させて重合性組成物のシラップ分散液を調製する、得られた重合性組成物のシラップ分散液を懸濁重合する方法である。
また方法(B)は、まず水中に、マクロモノマー(d’)と、必要に応じて添加された分散剤が分散した水性懸濁液に、マクロモノマー(d’)以外の単量体を添加して、単量体混合物のシラップ分散液を調製する。この単量体混合物のシラップ分散液に、ラジカル重合開始剤と、必要に応じて非金属連鎖移動剤添加して、重合性組成物のシラップ分散液を調製する。その後、重合性組成物のシラップ分散液を懸濁重合する方法である。
方法(C)は、マクロモノマー(d’)をマクロモノマー(d’)以外の単量体に溶解して単量体混合物を調製した後、前記単量体混合物にラジカル重合開始剤と、必要に応じて非金属連鎖移動剤を添加して重合性組成物を調製する。その後、重合性組成物を、水中に分散させて重合性組成物のシラップ分散液を調製する。重合する直前に分散剤を添加した後、重合性組成物のシラップ分散液を懸濁重合する方法である。
ここで「水性懸濁液」とは、モノマーやシラップが水中に分散した状態のことを意味する。
上記の方法(A)では、マクロモノマーの粒子を単量体に完全に溶解させたシラップを作製することで、均一な組成を有する粒子が得られやすい。このため、方法(A)で得られる共重合体は、成形体の機械強度が優れる。
方法(B)は、マクロモノマー(d’)の回収工程を省くことができるため製造工程を短縮することができる。すなわち、方法(B)において、前記水性懸濁液として、懸濁重合法でマクロモノマー(d’)を合成して得られる懸濁液を用い、この懸濁液に単量体(を追加して共重合することができるため、マクロモノマー(d’)を回収する工程を省略できる。懸濁重合法によりマクロモノマー(d’)を合成する方法は公知の方法を用いることができる。
これに対して、方法(A)では、懸濁重合法により合成したマクロモノマー(d’)を粒子として回収して用いる。
方法(C)は、系内のモノマー分散状態を安定にすることができるため、方法(A)より均一な組成を有する粒子が得られやすい。
上記の方法(A)、方法(B)、又は方法(C)のいずれの方法においても、マクロモノマー(d’)をマクロモノマー(d’)以外の単量体に溶解させる際には加温することが好ましい。
マクロモノマー(d’)をマクロモノマー(d’)以外の単量体に溶解させる際の加熱温度は30~90℃が好ましい。加熱温度が30℃以上で、マクロモノマー(d’)のマクロモノマー(d’)以外の単量体への溶解性を良好とすることができる傾向にあり、加熱温度が90℃以下で、単量体混合物の揮発を抑制できる傾向にある。加熱温度の下限は、35℃以上がより好ましい。また、加熱温度の上限は、75℃以下がより好ましい。すなわち、マクロモノマー(d’)をマクロモノマー(d’)以外の単量体に溶解させる場合は、単量体混合物を、30~90℃に加熱することが好ましく、35~75℃に加熱することがより好ましい。
マクロモノマー(d’)を含む単量体混合物を重合する際にラジカル重合開始剤を使用する場合、ラジカル重合開始剤の添加時期としてはマクロモノマー(d’)をマクロモノマー(d’)以外の単量体に溶解した後に添加することが好ましい。すなわち、マクロモノマー(d’)をマクロモノマー(d’)以外の単量体に溶解させて、単量体混合物を調製した後、前記単量体混合物にラジカル重合開始剤を添加することが好ましい。
ラジカル重合開始剤を添加する際の単量体混合物の温度は0℃以上、使用するラジカル重合開始剤の10時間半減期温度から15℃を減じた温度以下であることが好ましい。ラジカル重合開始剤を添加する際の温度が0℃以上でラジカル重合開始剤のマクロモノマー(d’)以外の単量体への溶解性が良好となる傾向にある。また、ラジカル重合開始剤を添加する際の温度が、ラジカル重合開始剤の10時間半減期温度から15℃を減じた温度以下であれば安定に重合を行うことができる傾向にある。
ラジカル重合開始剤としては、例えば、有機過酸化物及びアゾ化合物が挙げられる。
有機過酸化物の具体例としては、2,4-ジクロロベンゾイルパーオキサイド、t-ブチルパーオキシピバレート、o-メチルベンゾイルパーオキサイド、ビス-3,5,5-トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、シクロヘキサノンパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、t-ブチルハイドロパーオキサイド及びジ-t-ブチルパーオキサイドが挙げられる。
アゾ化合物の具体例としては、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチル-4-メトキシバレロニトリル)、及びジメチル2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオネート)、などが挙げられる。
上記のラジカル重合開始剤の中で、入手しやすさの点で、ベンゾイルパーオキサイド、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチル-4-メトキシバレロニトリル)、及びジメチル2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオネート)、が好ましい。
ラジカル重合開始剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
ラジカル重合開始剤の添加量は、重合発熱制御の点で、マクロモノマー(d’)及びマクロモノマー(d’)以外の単量体の合計量100質量部に対して0.0001質量部以上10質量部以下が好ましく、0.0005質量部以上5質量部以下がより好ましい。
前述の方法(A)、または方法(B)において、重合性組成物を懸濁重合する際の重合温度としては、特に制限はなく、一般的には50~120℃であることが好ましく、70~100℃がより好ましい。
また、重合時間は、1~6時間が好ましく、1.5~4時間がより好ましい。
また、撹拌条件としては、100~800rpmが好ましく、150~600rpmがより好ましい。
懸濁重合に用いる分散剤としては、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸のアルカリ金属塩、(メタ)アクリル酸のアルカリ金属塩と(メタ)アクリル酸エステルの共重合体、(メタ)アクリル酸スルホアルキルのアルカリ金属塩と(メタ)アクリル酸エステルの共重合体、ポリスチレンスルホン酸のアルカリ金属塩、スチレンスルホン酸のアルカリ金属塩と(メタ)アクリル酸エステルの共重合体、(メタ)アクリル酸のアルカリ金属塩と(メタ)アクリル酸スルホアルキルのアルカリ金属塩とスチレンスルホン酸のアルカリ金属塩と(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体、(メタ)アクリル酸のアルカリ金属塩と(メタ)アクリル酸スルホアルキルのアルカリ金属塩と(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体、(メタ)アクリル酸のアルカリ金属塩とスチレンスルホン酸のアルカリ金属塩と(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体及び(メタ)アクリル酸スルホアルキルのアルカリ金属塩とスチレンスルホン酸のアルカリ金属塩と(メタ)アクリル酸エステルとの共重合体;ケン化度70~100%のポリビニルアルコ-ル;メチルセルロ-ス;澱粉;並びにヒドロキシアパタイトが挙げられる。これらは、1種類のみを用いても良く、複数を組み合わせて用いても良い。これらの中で、懸濁重合時の分散安定性が良好な(メタ)アクリル酸スルホアルキルのアルカリ金属塩と(メタ)アクリル酸エステルの共重合体が好ましい。
水性懸濁液の総質量に対して、0.005~5質量%が好ましく、0.01~1質量%がより好ましい。水性懸濁液中の分散剤の含有量が0.005質量%以上であれば、懸濁重合液の分散安定性が良好であり、得られる重合体の洗浄性、脱水性、乾燥性及び流動性が良好となる傾向にある。また、分散剤の含有量が5質量%以下の場合に、重合時の泡立ちが少なく、重合安定性が良好となる傾向にある。
水性懸濁液の分散安定性向上を目的として、炭酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、硫酸マンガン等の電解質を水性懸濁液中に添加してもよい。この場合、これら添加剤の割合としては、前記方法(A)の場合、水性懸濁液の総質量に対して、0.01~0.5質量%であることが好ましい。また、前記方法(B)の場合、水性懸濁液中の電解質の好ましい割合は、0.01~10質量%が好ましい。
単量体混合物と後述する非金属連鎖移動剤を含有する重合性組成物を重合して共重合体を得ることが好ましい。
<非金属連鎖移動剤>
非金属連鎖移動剤は、重合体を得る際に単量体混合物に添加されるものであり、特に懸濁重合法で重合体を得る際に添加することが好ましい。
重合体の製造時に、連鎖移動剤として、非金属連鎖移動剤を用いることにより、重合体中に含まれる未反応のマクロモノマーを低減できる。
非金属連鎖移動剤としては、例えば、t-ドデシルメルカプタン、n-オクチルメルカプタン等の含硫黄連鎖移動剤、α-メチルスチレンダイマー、四塩化炭素及びテルペノイドが挙げられるが、手に入れやすさや高い連鎖移動能を有する観点から含硫黄連鎖移動剤が好ましい。
非金属連鎖移動剤の含有量は単量体混合物100質量部に対して0.01~0.5質量部が好ましい。
非金属連鎖移動剤の含有量が0.01質量部以上であると、添加効果が充分に得られ、0.5質量部以下であると硬化後の機械的強度に優れる。
前記非金属連鎖移動剤の含有量は0.03~0.3質量部がより好ましく、0.05~0.2質量部が特に好ましい。
<樹脂(B)>
本発明の積層体は、最表面に、樹脂組成物(X)からなる層を有し、樹脂組成物(X)は、(メタ)アクリル系重合体(A)を含み、さらに樹脂(B)を含むことが好ましい。樹脂(B)としては、(メタ)アクリル系重合体重合体(A)や隣接する層の基材への混和性や相容性を付与する効果を有していれば、特に制限がなく、例えば、PMMA等の(メタ)アクリル樹脂、ポリ塩化ビニル等のハロゲン化ビニル樹脂、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリウレタン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、不飽和ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等の飽和ポリエステル、ポリビニルエーテル、ポリカーボネート、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエーテルエーテルケトン及びポリフッ化ビニリデン等が例示できる。これらは単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
例えば、樹脂(B)としてポリ塩化ビニル系樹脂を用いる場合、塩化ビニル系重合体(B1)と可塑剤(B2)、安定剤(B3)を必須の成分として含む。
<塩化ビニル系重合体(B1)>
前記塩化ビニル系重合体(B1)は塩化ビニル単量体単位を含む重合体である。塩化ビニル系重合体(B1)としては、特に制限されるものではなく、例えば塩化ビニルの単独重合体、後塩素化塩化ビニル重合体、部分架橋塩化ビニル重合体、あるいは塩化ビニルと共重合し得る他のビニル化合物を含有してなる塩化ビニルとの共重合体等が挙げられる。これらの塩化ビニル単量体単位を含む重合体は、1種類のみを用いても良く、複数を組み合わせて用いても良い。
前記の塩化ビニル系重合体(B1)は、平均塩素含有量が56~75質量%である塩化ビニル重合体、及び塩化ビニル重合体と弾性体及び/又はエラストマーを共重合した塩化ビニル系共重合体から選択される少なくとも1種の樹脂が好ましい。さらに、これらの塩化ビニル系重合体(B1)は単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
塩化ビニルと共重合し得る他のビニル化合物との共重合体では、塩化ビニル以外の構成単位の含有量が多くなると機械的特性が低下するため、塩化ビニル系重合体(B1)に占める塩化ビニルの割合が70質量%以上であることが好ましい。
塩化ビニルと共重合可能な単量体としては、分子中に反応性二重結合を有するものであればよい。例えば、エチレン、プロピレン、ブチレンなどのα-オレフィン類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルなどのビニルエステル類、ブチルビニルエーテル、セチルビニルエーテルなどのビニルエーテル類;アクリル酸、メタクリル酸などの不飽和カルボン酸類、アクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸フェニルなどのアクリル酸またはメタクリル酸のエステル類、スチレン、α-メチルスチレンなどの芳香族ビニル類、塩化ビニリデン、フッ化ビニルなどのハロゲン化ビニル類、N-フェニルマレイミド、N-シクロヘキシルマレイミドなどのN-置換マレイミド類などを挙げることができ、これらは単独、または、2種以上の組み合わせで用いることができる。
塩化ビニル系重合体(B1)の平均重合度は、300~5,000の範囲にあることが好ましく、500~3,000のものがより好ましい。平均重合度を300以上とすることで、成形体の機械物性が良好となる。また、平均重合度を5,000以下とすることで、加工性が良好となる。
塩化ビニル系重合体(B1)の製造方法は特に制限はなく、任意の方法、例えば乳化重合法、懸濁重合法、溶液重合法、塊状重合法などで重合することができる。
ポリ塩化ビニル系樹脂は、可塑剤(B2)を含有する。可塑剤(B2)としては、ポリ塩化ビニル系樹脂との混和性や相容性が良好であれば特に限定されることはなく、公知の可塑剤を使用することができる。このような可塑剤としては、例えば、フタル酸系化合物、トリメリット酸系化合物、シクロヘキサンジカルボン酸エステル系化合物、リン酸系化合物、アジピン酸系化合物、クエン酸系化合物、エーテル系化合物、ポリエステル系化合物から選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、例えばフタル酸ビス(2-エチルヘキシル)フタル酸ジオクチル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジイソデシル等のフタル酸ジアルキル;フタル酸ブチルベンジル等のフタル酸アルキルベンジル;フタル酸アルキルアリール;フタル酸ジベンジル;フタル酸ジアリール;シクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸ジイソノニル等のシクロヘキサンジカルボン酸エステル;トリメリット酸トリス(2-エチルヘキシル)等のトリメリット酸トリアルキル;リン酸トリクレジル等のリン酸トリアリール;リン酸トリアルキル;リン酸アルキルアリール;アジピン酸エステル;アセチルクエン酸トリブチル等のクエン酸エステル;ポリプロピレングリコール等のエーテル系化合物;ポリエステル系化合物を挙げることができる。
これらは、1種類のみを用いても良く、複数を組み合わせて用いても良い。
中でも、フタル酸ビス(2-エチルヘキシル)、トリメリット酸トリス(2-エチルヘキシル)、シクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸ジイソノニルからなる群から1種以上を選択することが好ましい。
ポリ塩化ビニル系樹脂100質量部に対して、可塑剤(B2)の含有量は10~150質量部であり、30~150質量部であることが好ましい。
可塑剤(B2)の添加量を10質量部以上とすることで、塩化ビニル系樹脂分子鎖同士の相互作用の阻害が充分となり、塩化ビニル系樹脂分子鎖間の距離が充分広がることで、柔軟性を付与することができる。
また、150質量部以下とすることで、機械物性・難燃性・電気特性の低下を防ぐことができる。
ポリ塩化ビニル系樹脂は、安定剤(B3)を含有してよい。安定剤とは、ポリ塩化ビニル系樹脂に対して、成形加工時、及び物品として使用時に、熱的、化学的な安定性を付与する助剤のことを指す。安定剤(B3)としては、例えば三塩基性硫酸鉛、二塩基性亜リン酸鉛、塩基性亜硫酸鉛、ケイ酸鉛等の鉛系安定剤、カリウム、マグネシウム、バリウム、亜鉛、カドミウム、鉛等の金属と2-エチルヘキサン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、ヒドロキシステアリン酸、オレイン酸、リシノール酸、リノール酸、ベヘニン酸等の脂肪酸から誘導される金属石けん系安定剤;アルキル基、エステル基、脂肪酸基、マレイン酸基、含硫化物基等を有してなる有機スズ系安定剤;Ba-Zn系、Ca-Zn系、Ba-Ca-Sn系、Ca-Mg-Sn系、Ca-Zn-Sn系、Pb-Sn系、Pb-Ba-Ca系等の複合金属石けん系安定剤;バリウム、亜鉛等の金属基と2-エチルヘキサン酸、イソデカン酸、トリアルキル酢酸等の分岐脂肪酸、オレイン酸、リシノール酸、リノール酸等の不飽和脂肪酸、ナフテン酸等の脂環族酸、石炭酸、安息香酸、サリチル酸、それらの置換誘導体等の芳香族酸といった有機酸の通常二種以上から誘導される金属塩系安定剤;これら安定剤を石油系炭化水素、アルコール、グリセリン誘導体等の有機溶剤に溶解し、さらに亜リン酸エステル、発色防止剤、透明性改良剤、光安定剤、酸化防止剤、ブリードアウト防止剤、滑剤等の安定化助剤を配合してなる金属塩液状安定剤等といった金属系安定剤のほか、エポキシ樹脂、エポキシ化植物油、エポキシ化脂肪酸アルキルエステル等のエポキシ化合物、有機亜リン酸エステル等の非金属系安定剤が挙げられ、これらは1種又は2種以上組み合わせて用いられる。
中でも、前記複合金属石けん系安定剤は、安定剤としての効果に優れるため、使用することが好ましい。複合金属石けん系安定剤としては、有害重金属を含まない観点からCa-Zn系安定剤が好ましい。Ca-Zn系安定剤とは、カルシウムの脂肪酸塩と亜鉛の脂肪酸塩の混合物である。脂肪酸の具体例としては、ベヘニン酸、ステアリン酸、ラウリン酸、オレイン酸、パルミチン酸、リシノール酸、安息香酸等が挙げられ、目的に応じて2種以上組み合わせて使用することも可能である。また、カルシウムと亜鉛の比率は、元素の質量比で1:2~1:3であることが好ましい。亜鉛の比率がカルシウムに対して2より少ないとカルシウム塩特有の赤味が生じる傾向があり、一方、亜鉛の比率がカルシウムに対して3よりも多いと、成形加工中に生成する塩化亜鉛が塩化ビニル系樹脂の分解触媒となり、「亜鉛焼け」と呼ばれる急激な黒化、分解が生じることがある。
中でも、前記エポキシ化合物は、低揮発性を有することから、使用することが好ましい。エポキシ化合物としては、エポキシ化大豆油、エポキシ化亜麻仁油、エポキシ化綿実油、エポキシ化落花生油、エポキシ化紅花油、エポキシ化ブドウ種子油、エポキシ化オリーブ油などのエポキシ化植物油が挙げられる。エポキシ化植物油としては、エポキシ化大豆油が入手しやすさの点で好ましい。
また、複合金属石けん系安定剤とエポキシ化合物の組合せは、熱安定性向上効果に優れることから、併用することが好ましい。
安定剤の添加量については特に制限されないが、ポリ塩化ビニル系樹脂100質量部に対して、1~15質量部が好ましく、さらに好ましくは1~8質量部である。1質量部以上とすることで、加工時の熱分解を抑制することができ、15質量部以下とすることで、成形体の機械物性の低下を防ぐことができる。
さらに、複合金属石けん系安定剤の添加量については、特に制限されないが、ポリ塩化ビニル系樹脂100質量部に対して、1~14質量部が好ましく、さらに好ましくは1~7質量部である。1質量部以上とすることで、加工時の熱分解を抑制することができ、14質量部以下とすることで、成形体の機械物性低下を防ぐことができる。
さらに、エポキシ化合物の添加量については、特に制限されないが、ポリ塩化ビニル系樹脂100質量部に対して、1~14質量部が好ましく、さらに好ましくは1~7質量部である。1質量部以上とすることで、加工時の熱分解を抑制することができ、14質量部以下とすることで、成形体の機械物性低下を防ぐことができる。
ポリ塩化ビニル系樹脂は、必要に応じてその他の成分を含有してよい。その他の成分としては、例えば、離型剤、酸化防止剤、耐衝撃性改良剤、柔軟性付与剤、耐候性改良剤、着色剤、無機顔料、有機顔料、カーボンブラック、フェライト、導電性付与剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収材、滑剤、無機充填剤、強化剤、逆可塑剤、中和剤、架橋剤、難燃剤、防腐剤、防虫剤、芳香剤、ラジカル補足剤、吸音材、コアシェルゴム、等が挙げられる。
滑剤としては、例えば流動パラフィン、天然パラフィン、マイクロワックス、合成パラフィン、低分子量ポリエチレン等の純炭化水素系滑剤、ハロゲン化炭化水素系滑剤、高級脂肪酸、オキシ脂肪酸等の脂肪酸系滑剤、脂肪酸アミド、ビス脂肪酸アミド等の脂肪酸アミド系滑剤、脂肪酸の低級アルコールエステル、グリセリド等の脂肪酸の多価アルコールエステル、脂肪酸のポリグリコールエステル、脂肪酸の脂肪アルコールエステル(エステルワックス)等のエステル系滑剤のほか、金属石けん、脂肪アルコール、多価アルコール、ポリグリコール、ポリグリセロール、脂肪酸と多価アルコールの部分エステル、脂肪酸とポリグリコール、ポリグリセロールの部分エステル、シリコーンオイル等が挙げられ、これらは1種又は2種以上組み合わせて使用することができる。
中でも、前記滑剤は、成形性を向上する効果に優れるため、使用することが好ましい。滑剤としては、入手のしやすさの点で、純炭化水素系滑剤、脂肪酸アミド系滑剤、 シリコーンオイルが好ましい。
滑剤の添加量については特に制限されないが、ポリ塩化ビニル系樹脂100質量部に対して、0.1~15質量部が好ましく、0.1~5質量部がさらに好ましい。0.1質量部以上とすることで、樹脂組成物の成形機への付着を低減することができ、15質量部以下とすることで、加工性の低下を防ぐことができる。
前記ポリ塩化ビニル系樹脂と、必要に応じて配合されるその他の成分とを混合する方法としては、特に制限されるものではなく、一般公知の方法を用いることができ、例えばヘンシェルミキサー、バンバリーミキサー、V型ミキサー、リボンブレンダー等で混合することで得られる。
樹脂(B)の平均重合度は、300~5,000 の範囲にあることが好ましく、500~3,000のものがより好ましい。平均重合度を300以上とすることで、成形体の機械物性が良好となる。また、平均重合度を5,000以下とすることで、加工性が良好となる。
樹脂(B)の製造方法は特に制限はなく、任意の方法、例えば乳化重合法、懸濁重合法、溶液重合法、塊状重合法などで重合することができる。
樹脂(B)は、必要に応じてその他の成分を含有してよい。その他の成分としては、例えば、可塑剤、安定剤、離型剤、酸化防止剤、耐衝撃性改良剤、柔軟性付与剤、耐候性改良剤、着色剤、無機顔料、有機顔料、カーボンブラック、フェライト、導電性付与剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収材、滑剤、無機充填剤、強化剤、逆可塑剤、中和剤、架橋剤、難燃剤、防腐剤、防虫剤、芳香剤、ラジカル補足剤、吸音材、コアシェルゴム、等が挙げられる。
<樹脂組成物(X)>
本発明の樹脂組成物(X)は、前記(メタ)アクリル系重合体(A)を必須の成分として含み、さらに樹脂(B)を含むことが好ましい。樹脂組成物(X)中に存在する重合体の合計100質量部に対して、(メタ)アクリル系重合体(A)は1質量%以上が好ましく、5質量%以上がより好ましく、10質量%以上がさらに好ましく、20質量%以上が特に好ましい。また、99質量%以下が好ましく、90質量%以下がより好ましく、80質量%以下がさらに好ましく、70質量%以下が特に好ましい。(メタ)アクリル系重合体(A)の割合が1質量%を超えるとタンパク質付着抑制効果に優れ、99質量%以下であると成形性に優れる。
<積層体>
本発明の積層体は、少なくとも一方の最表面に樹脂組成物(X)からなる層を有する。積層体は2層以上の多層構造を有していれば、その積層する数に特に制限はないが、8層以下が好ましく、6層以下がより好ましい。積層する数が2層以上あればタンパク質付着抑制効果と透明性を両立でき、8層以下であれば薄片化しやすい。
本発明の積層体は、最表面の層以外の層には、特に制限はなく、任意の基材を組み合わせることができる。例えば、ステンレスや鉄などの金属、ガラスや石英などのセラミックス、合成高分子組成物などの有機材料などが挙げられる。これらは、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明の積層体の最表面の樹脂組成物(X)からなる層の厚みは、特に制限はないが、例えば、0.001μm以上が好ましく、0.005μm以上がより好ましく、0.01μm以上がさらに好ましく、10μm以上が特に好ましい。また、1000μm以下が好ましく、800μm以下がより好ましく、600μm以下がさらに好ましく、200μm以下が特に好ましい。積層体の最表面の樹脂組成物(X)からなる層の厚みが0.001μm以上であればタンパク質付着抑制効果に優れ、積層体の最表面の樹脂組成物(X)からなる層の厚みが1000μm以下であれば透明性に優れる。
本発明の積層体全体の厚みは、特に制限はないが、例えば、1μm以上が好ましく、5μm以上がより好ましい。また、1cm以下が好ましく、0.5cm以下がより好ましい。積層体全体の厚みが、1μm以上あれば力学的強度に優れ、1cm以下であれば成形体として使用しやすい。
<積層体の製造方法>
積層体の製造方法としては、特に制限がなく、例えば、異なるフイルムを接着剤等により貼り合わせるラミネート法、プレス機を用いて溶融状態で積層する熱プレス成形法、2台以上の押出機等を用いて、溶融状態で積層する多層押出成形法、多層射出成形法、多層中空成形法、多層回転成形法、溶剤に溶解した材料を流し広げて加熱乾燥する流延法及び溶媒キャスト法等 を挙げられる。多層押出成形としては、手法に特に制限がなく、例えばインフレーション成形やTダイキャスト法が挙げられ、フイルム状、チューブ状の形状に押出ことができる。 その中でも、ラミネート法、熱プレス成形法、多層押出成形法が生産性の観点から好ましい。さらに、積層する際に隣り合う2層の密着性を向上させる目的で、プライマー層、易接着層、粘着剤層、等を追加で設けても良い。
<用途>
後述の実施例に示されるように、本発明の積層体は透明性に優れ、また本積層体はタンパク質付着抑制効果を有するため、タンパク質と接触する成形体(物品)の製造に好適である。特に血しょうタンパク質と接触する成形体(物品)の製造に好適である。
本発明の積層体を含む成形体(物品)は透明性に優れ、本発明の積層体のHaze値としては、日本工業規格(JIS K 7136)「プラスチック-透明材料のHazeの求め方」に準拠して測定した場合に、0%以上50%以下が好ましく、0%以上40%以下がより好ましい。Haze値が50%以下であれば、十分な透明性が得られる。
本発明の積層体を含む成形体(物品)はタンパク質付着抑制機能を有し、下記のタンパク質付着試験において、1cm2当たりのフィブリノーゲン吸着量が1.5μg(マイクログラム)以下を達成できる。該フィブリノーゲン吸着量は1.25μg以下が好ましく、1.10μg以下がより好ましい。
[タンパク質付着試験:μBCA法]
試験対象の成形体(物品)を、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)に溶解させたフィブリノーゲン(FB)溶液1mg/mLに37℃2時間浸漬させる。2時間浸漬後、PBSで成形体(物品)を洗浄した後、ドデシル硫酸ナトリウム水溶液6mLに浸し、5分間超音波洗浄を行う。96ウェルプレートに超音波洗浄後の溶液を150μL入れ、市販のBCAキットのタンパク質定量試薬150μLを超音波洗浄後の溶液を入れた部分に入れ、37℃2時間保持する。2時間保持後、プレートリーダーにて562nmの吸光度を測定し、濃度既知のFB溶液から得られる検量線に当てはめることでFBの吸着量を算出する。
<成形した物品>
物品(成形体)の形状としては、例えば、積層体として得られたシート、フイルムを加工してチューブ、バッグ、カプセルを得てもよいし、直接、成形してチューブ、バッグ、カプセルを得てもよい。
前記物品(成形体)は、タンパク質と接触する物品が好ましく、多層フイルムにおいて、血しょうタンパク質、抗体医薬、バイオ医薬と接触する内層に用いるのが好ましい。
血しょうタンパク質と接触する物品としては、コンタクトレンズ、カニューレ、カテーテル、注射筒、点滴ルート、点滴バック、輸液バッグ、血液バッグ、ステント、内視鏡等の医療用器具;ピペットチップ、シャーレ、セル、マイクロプレート、保存バッグ、プレート、試薬保管容器、チューブ、フラスコ等の生化学用器具、ミキサー、バイオリアクター、ジャーファーメンター等の細胞治療用機器等が挙げられる。
また、血しょうタンパク質以外のタンパク質と接触する物品として、例えば、細胞培養用シャーレ、細胞培養用セル、細胞培養用マイクロプレート、細胞培養用バッグ、細胞培養用プレート、細胞培養用チューブ、細胞培養用フラスコ、バイオ医薬品用シャーレ、バイオ医薬品用セル、バイオ医薬品用マイクロプレート、バイオ医薬品用プレート、バイオ医薬品用チューブ、バイオ医薬品用バッグ、バイオ医薬品用容器、バイオ医薬品用シリンジ、バイオ医薬品用フラスコ、抗体医薬品用シャーレ、抗体医薬品用セル、抗体医薬品用マイクロプレート、抗体医薬品用プレート、抗体医薬品用チューブ、抗体医薬品用バッグ、抗体医薬品用容器、抗体医薬品用シリンジ、抗体医薬品用フラスコ、血液バッグ(全血、血漿、血小板、赤血球)、血液製剤用バイアル、血液製剤用バック等が挙げられる。
以下、本発明を実施例及び比較例によりさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの例によって何ら限定されるものではない。なお、実施例中の部は質量部を表す。
[GPC測定]
Mw及びMnは、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)を使用して求めた。以下に測定条件を示す。
装置:HLC-8220(東ソー社製)
カラム:TSK GUARD COLUMN SUPER H-H(4.6×35mm、東ソー社製)と2本のTSK-GEL SUPER HM-H(6.0×150mm、東ソー社製)を直列に接続
溶離液:テトラヒドロフラン
測定温度:40℃
流速: 0.6mL/分
Mw(質量平均分子量)及びMn(数平均分子量)は、Polymer Laboratories製のポリメチルメタクリレート(Mp(ピーク分子量)=141,500、55,600、11,100及び1,590の4種)を用いて作成した検量線を使用して算出した。分子量分布は、式「分子量分布=(質量平均分子量)/(数平均分子量)」により算出した。
[透明性の評価(全光線透過率、Haze値の測定)]
作製した700μm厚のフイルムを用い、全光線透過率、Haze値の測定を実施した。以下に測定条件を示す。
装置:日本電色工業社製 NDH2000
測定条件:全光線透過率はJIS K7361-1、Haze値(曇価)はJIS K7316に準拠して評価した。
1サンプルにつき、三点ずつ測定して平均値を求めた。また、Haze値に応じて透明性評価を3段階で実施した。
○:0%以上、40%未満
△:40%以上、55%未満
×:55%以上
<製造例1:分散剤(1)の合成>
撹拌機、冷却管及び温度計を備えた反応装置中に、17質量%水酸化カリウム水溶液61.6部、メチルメタクリレート19.1部及び脱イオン水19.3部を仕込んだ。次いで、反応装置内の液を室温にて撹拌し、発熱ピークを確認した後、4時間撹拌した。この後、反応装置中の反応液を室温まで冷却してメタクリル酸カリウム水溶液を得た。
次いで、撹拌機、冷却管及び温度計を備えた重合装置中に、脱イオン水900部、42質量%メタクリル酸2-スルホエチルナトリウム水溶液(三菱ケミカル社製、商品名:アクリエステルSEM-Na)70部、上記のメタクリル酸カリウム水溶液16部及びメチルメタクリレート7部を入れて撹拌し、重合装置内を窒素置換しながら、反応装置内の液を50℃に昇温した。重合装置中に、重合開始剤としてV-50(富士フイルム和光純薬社製、2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩、商品名)0.053部を添加し、反応装置内の液を60℃に昇温した。重合開始剤投入後、15分毎にメチルメタクリレート1.4部を計5回(メチルメタクリレートの合計量7部)、分割添加した。この後、重合装置内の液を撹拌しながら60℃で6時間保持した後、室温に冷却して、透明な水溶液である固形分8質量%の分散剤(1)を得た。
<製造例2:連鎖移動剤(1)の合成>
撹拌装置を備えた合成装置中に、窒素雰囲気下で、酢酸コバルト(II)四水和物(富士フイルム和光純薬社製、特級)2.00g(8.03mmol)及びジフェニルグリオキシム(東京化成社製、EPグレード)3.86g(16.1mmol)及び予め窒素バブリングにより脱酸素したジエチルエーテル100mlを入れ、室温で2時間攪拌した。
次いで、三フッ化ホウ素ジエチルエーテル錯体(東京化成社製、EPグレード)20mlを加え、更に6時間攪拌した。得られたものをろ過し、固体をジエチルエーテルで洗浄し、100MPa以下で、20℃において12時間乾燥し、茶褐色固体の連鎖移動剤(1)5.02g(7.93mmol、収率99質量%)を得た。
<製造例3:マクロモノマー(d’-1)の合成>
撹拌機、冷却管及び温度計を備えた重合装置中に、脱イオン水135部、硫酸ナトリウム(Na2SO4)0.1部及び製造例1で製造した分散剤(1)(固形分10質量%)0.26質量部を入れて撹拌して、均一な水溶液とした。次に、メチルメタクリレート95部、メチルアクリレート5部、製造例2で製造した連鎖移動剤(1)0.0010質量部及び重合開始剤としてパーオクタO(日油(株)製、1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキシ2-エチルヘキサノエート、商品名)0.1質量部を加え、水性分散液とした。
次いで、重合装置内を十分に窒素置換し、水性分散液を80℃に昇温してから3時間保持した後に90℃に昇温して2時間保持した。その後、反応液を40℃に冷却して、マクロモノマーの水性懸濁液を得た。この水性懸濁液を濾過布で濾過し、濾過物を脱イオン水で洗浄し、40℃で16時間乾燥して、マクロモノマー(d’-1)を得た。マクロモノマー(d’-1)のMwは36,000、及びMnは15,000であった。
<製造例4:(メタ)アクリル系重合体(A-1)>
撹拌機、冷却管及び温度計を備えた反応装置中に、脱イオン水145部、硫酸ナトリウム0.36部、製造例1で製造した分散剤(1)を1.25部、製造例3で製造したマクロモノマー(d’-1)を40部、メトキシエチルアクリレート(大阪有機化学工業社製)60部、n-オクチルメルカプタン(関東化学社製、商品名)0.2部を仕込み、攪拌しながら55℃に加温し、シラップ分散状態の組成物を得た。組成物を40℃以下に冷却した後、組成物にV601(富士フイルム和光純薬社製、ジメチル2,2’―アゾビス(2-メチルプロピオネート)、商品名)0.12部を溶解させ、シラップ分散状態の重合性組成物を得た。
次いで、シラップ分散液を75℃に昇温し、2時間保持した。その後、85℃に昇温して90分保持した。
懸濁液を40℃以下に冷却した後、濾過し、濾過物を脱イオン水で洗浄し、70℃で12時間乾燥して、(メタ)アクリル系重合体(A-1)を得た。得られた共重合体のMnは56,000、Mwは300,000であった。
<製造例5:ポリ塩化ビニル系樹脂(B-1)>
樹脂(B)として、TK-1300(信越化学工業社製、平均重合度1300、平均塩素含有率57質量%)100部、可塑剤としてDOP(フタル酸ビス(2-エチルヘキシル)、ジェイ・プラス社製)50部、安定剤としてエポキシ化植物油(アデカスタブ O-130P、ADEKA社製)2.0部、安定剤としてCa-Zn系安定剤(アデカスタブ 37、ADEKA社製)3.0部、滑剤(LOXIOL VPN233、エメリーオレオケミカルズジャパン社製)1.0部を、ヘンシェルミキサーに供給して均一に混合し、ポリ塩化ビニル系樹脂(B-1)を得た。
<製造例6:樹脂組成物(X-1)フイルム(X-1-1)>
製造例5で得られたポリ塩化ビニル系樹脂(B-1)90部、製造例4で得られた(メタ)アクリル系共重合体(A-1)10部を混合した樹脂組成物を、Tダイ(幅10cm、ギャップ1.0mm)を装着した25mmΦ単軸押出機(サーモ・プラスティックス工業社製、スクリュー回転数:60rpm)に供給し、樹脂温度170℃で押出・製膜を行った。得られた樹脂組成物(X-1)フイルム(X-1-1)の厚さは、1.0mmであった。
<製造例7:ポリ塩化ビニル系樹脂フイルム(B-1-1)>
製造例5で得られたポリ塩化ビニル系樹脂(A-1)を180℃、5MPaの条件で厚さ500μmのスペーサーを用いてプレス成形し、ポリ塩化ビニル系樹脂フイルム(B-1-1)を得た。
<製造例8:樹脂組成物(X-1)フイルム(X-1-2)>
製造例6で得られた樹脂組成物(X-1)フイルム(X-1-1)フイルムを180℃、5MPaの条件で、厚さ150μmのスペーサーを用いてプレス成形し、樹脂組成物(X-1)フイルム(X-1-2)を得た。
<実施例1>
製造例8で得られた樹脂組成物(X-1)フイルム(X-1-2)、製造例7で得られたポリ塩化ビニル系樹脂フイルム(B-1-1)、製造例6で得られた樹脂組成物(X-1)フイルム(X-1-2)の順に3枚のフイルムを重ね、130℃、5MPaの条件で厚さ700μmのスペーサーを用いてプレス成形した。得られた積層体について、前記タンパク質付着試験(μBCA法)にてフィブリノーゲン(FB)付着試験、Haze測定を行った。試験結果を表1に示す。
<比較例1>
製造例6で得られた樹脂組成物(X-1)フイルム(X-1-1)を180℃、5MPaの条件で厚さ700μmのスペーサーを用いてプレス成形した。得られたフイルムについて、実施例1と同様に実施し、結果を表1に示した。
<比較例2>
スペーサーの厚みが700μmに変更した以外は製造例7と同様に製造し、実施例1と同様に実施した。結果を表1に示した。
表1の結果に示されるように、本発明の積層体を含む実施例1の積層体は、本発明の積層体でない比較例1、比較例2の成形体より、優れた透明性と、優れたタンパク質付着抑制効果を有する。
本発明の積層体は、成形体にタンパク付着抑制機を付与することができる。
本発明の積層体は、タンパク質と接触する物品の製造に好適である。
例えば、メス、ピンセット、コンタクトレンズ、カニューレ、カテーテル、注射筒、注射針、点滴ルート、点滴針、点滴バック、血液バッグ、ガーゼ、ステント、内視鏡等の医療用器具;ピペットチップ、シャーレ、セル、マイクロプレート、保存バッグ、プレート、試薬保管容器、チューブ等、血しょうタンパク質と接触する物品の製造に好適である。

Claims (9)

  1. 少なくとも一方の最表面に、樹脂組成物(X)からなる層を有する積層体であって、前記樹脂組成物(X)は、下記一般式(1)で表される単量体単位(a1)を含む(メタ)アクリル系重合体(A)を、樹脂組成物の合計100質量部に対して1質量部以上99質量部以下の割合で含むことを特徴とする、積層体。
    (式中、R3は水素原子またはメチル基を表し、R4は炭素数1~4のアルキレン基を表し、R5は炭素数1~6の炭化水素基を表し、mは1~100,000,000の自然数であり、pは1~10の自然数である。)
  2. 前記樹脂組成物(X)からなる層の膜厚が0.001μm以上、1000μm以下である、請求項1に記載の積層体。
  3. 前記単量体単位(a1)が、メトキシメチル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシプロピル(メタ)アクリレート、メトキシブチル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレートからなる群から選ばれる少なくとも一種の単量体に由来する単量体単位である、請求項1又は2に記載の積層体。
  4. 前記樹脂組成物(X)が、前記(メタ)アクリル系重合体(A)以外の樹脂(B)を含み、前記樹脂(B)は熱可塑性樹脂である、請求項1~3のいずれか一項に記載の積層体。
  5. 前記樹脂(B)は、ポリ塩化ビニル、アクリル樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリアミド、不飽和ポリエステル、飽和ポリエステル、ポリカーボネート、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエーテルエーテルケトン及びポリフッ化ビニリデンからなる群から選ばれる少なくとも一種の樹脂である、請求項4に記載の積層体。
  6. 前記(メタ)アクリル系重合体(A)が、重合体(A1)と、前記重合体(A1)と異なる重合体(A2)を含むブロック共重合体及びグラフト共重合体の少なくともいずれかの構造を有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の積層体。
  7. 前記(メタ)アクリル系重合体(A)が下記式(2)で表されるマクロモノマー(d’)に由来する単位を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の積層体。
    ・・・(2)
    (式(2)中、R0 ~Rnは、それぞれ独立に、水素原子、非置換の若しくは置換基を有するアルキル基、非置換の若しくは置換基を有する脂環式基、非置換の若しくは置換基を有するアリール基、非置換の若しがくは置換基を有するヘテロアリール基、又は非置換の若しくは置換基を有する非芳香族の複素環式基を表し、複数のR0 ~Rnはそれぞれ同じでも異なってもよく、X1~Xnは水素原子またはメチル基を表し、複数のX1~Xnはそれぞれ同じでも異なってもよく、Zは末端基であり、nは2~10,000の自然数である。)
  8. シート、フイルム、チューブ、バッグ、カプセルからなる群から選ばれる形状である請求項1~7のいずれか一項に記載の積層体。
  9. 前記積層体の製造方法が、多層押出成形法、熱プレス成形法、ラミネート法からなる群から選ばれる少なくとも一種である、請求項1~8のいずれか一項に記載の積層体の製造方法。
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