JP2023142740A - ステータコア、回転電機、およびステータの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】駆動時における振動および騒音を抑制しつつ、ステータの部品点数および製造工数が増大することを抑制できる、ステータコア、および回転電機を提供する。【解決手段】回転電機10は、環状のコアバック部32と、コアバック部に沿って配置される複数のティース部33と、を備える。ティース部は、径方向一方側に延びるティース本体部34と、ティース本体部の先端と繋がりティース本体部より周方向の両側に突出するアンブレラ部35と、を有する。ティース部は、径方向一方側を向く第1合わせ面36aを有する第1部分36と、径方向他方側を向く第2合わせ面37aを有し、第2合わせ面において第1合わせ面と接触する第2部分37と、第1合わせ面および第2合わせ面の周方向両側に位置し、第1部分および第2部分と繋がる連結部分38と、によって構成される。【選択図】図3
Description
本発明は、ステータコア、回転電機、およびステータの製造方法に関する。
ロータおよびステータを有する回転電機においては、駆動時の低振動化および低騒音化が要求されている。そのため、例えば、特許文献1には、ロータとステータとの間に働く電磁加振力への寄与度が高いエアギャップ近傍の形状を変更する技術として、ステータコアの歯部(ティース部)先端の両脇に歯部先端部(アンブレラ部)を形成するモータが記載されている。
上記のようなモータにおいて、ティース部の先端に周方向両側に延びるアンブレラ部を形成する場合、ティース部にコイルを装着する作業が煩雑となるため、ステータの製造工数が増大することが課題となる。また、係る課題を解消するために、ティース部にコイルを装着した後に、ティース部とは別個の部材をティース部の先端に溶接等によって固定してアンブレラ部を形成する場合、ティース部にコイルを装着する作業の簡素化は図ることができるものの、ステータの部品点数および製造工数が増大する虞がある。
本発明の一つの態様は、上記事情に鑑みて、駆動時における振動および騒音を抑制しつつ、ステータの部品点数および製造工数が増大することを抑制できる、ステータコア、および回転電機を提供することを目的の一つとする。また、本発明の一つの態様は、駆動時における振動および騒音を抑制しつつ、ステータの部品点数および製造工数が増大することを抑制できるステータの製造方法を提供することを目的の一つとする。
本発明のステータコアの一つの態様は、中心軸を中心とする環状のコアバック部と、前記コアバック部の径方向一方側を向く面に沿って配置される複数のティース部と、を備える。前記ティース部は、前記コアバック部から径方向一方側に延びるティース本体部と、前記ティース本体部の先端と繋がり、前記ティース本体部よりも周方向の両側に突出するアンブレラ部と、を有する。前記ティース部は、径方向一方側を向く第1合わせ面を有する第1部分と、径方向他方側を向く第2合わせ面を有し、前記第2合わせ面において前記第1合わせ面と接触する第2部分と、前記第1合わせ面および前記第2合わせ面の周方向両側に位置し、前記第1部分および前記第2部分と繋がる連結部分と、によって構成される。前記第1合わせ面と前記第2合わせ面との界面は、前記ティース本体部と前記アンブレラ部との境界、又は前記アンブレラ部の内部に位置する。前記第1合わせ面と前記第2合わせ面のうち一方は、径方向に窪む凹部を有する。前記第1合わせ面と前記第2合わせ面のうち他方は、前記凹部に嵌め合わされる凸部を有する。
本発明の回転電機の一つの態様は、前記中心軸を中心として回転可能なロータと、前記ロータの径方向他方側に配置されるステータと、を備える。前記ステータは、上記のステータコアと、前記ティース本体部に装着されるコイルと、を有する。
本発明のステータの製造方法の一つの態様は、中心軸を中心とする環状のコアバック部、および前記コアバック部から径方向一方側に延びる複数のティース部を有するステータコアと、前記ティース部に装着される空芯コイルと、を有するステータの製造方法であって、前記空芯コイルを、前記ティース部に装着する第1ステップと、前記ティース部の先端を塑性変形させて前記ティース部の先端にアンブレラ部を成形する第2ステップと、を有する。
本発明の一つの態様によれば、駆動時における振動および騒音を抑制しつつ、ステータの部品点数および製造工数が増大することを抑制できる、ステータコア、および回転電機を提供できる。また、本発明の一つの態様によれば、駆動時における振動および騒音を抑制しつつ、ステータの部品点数および製造工数が増大することを抑制できるステータの製造方法を提供できる。
以下の説明において図には、適宜、Z軸を示す。Z軸は、以下に説明する実施形態のロータの中心軸Jが延びる方向を示している。各図に示す中心軸Jは、仮想軸線である。以下の説明においては、中心軸Jが延びる方向、つまりZ軸と平行な方向を「軸方向」と呼ぶ。中心軸Jを中心とする径方向を単に「径方向」と呼ぶ。中心軸Jを中心とする周方向を単に「周方向」と呼ぶ。軸方向のうちZ軸の矢印が向く側(+Z側)を「上側」と呼ぶ。軸方向のうちZ軸の矢印が向く側と逆側(-Z側)を「下側」と呼ぶ。径方向のうち中心軸Jを向く側を「径方向内側」または「径方向一方側」と呼ぶ。径方向のうち中心軸Jを向く側と反対側を「径方向外側」または「径方向他方側」と呼ぶ。なお、上側および下側は、単に各部の相対位置関係を説明するための名称であり、実際の配置関係等は、これらの名称で示される配置関係等以外の配置関係等であってもよい。
周方向は、各図において矢印θで示される。周方向のうち矢印θが向く側を「周方向一方側」と呼ぶ。周方向のうち矢印θが向く側と反対側を「周方向他方側」と呼ぶ。周方向一方側は、上側(+Z側)から見て、中心軸J回りに時計回りに進む側(+θ側)である。周方向他方側は、上側から見て、中心軸J回りに反時計回りに進む側(-θ側)である。
<第1実施形態>
図1に示す本実施形態の回転電機10は、車両に搭載される機器等に取り付けられるモータである。回転電機10が取り付けられる機器は、自動変速機であってもよいし、車両の車軸を駆動する駆動装置であってもよい。回転電機10は、ハウジング11と、ロータ20と、ステータ30と、第1軸受15と、第2軸受16と、を備える。
図1に示す本実施形態の回転電機10は、車両に搭載される機器等に取り付けられるモータである。回転電機10が取り付けられる機器は、自動変速機であってもよいし、車両の車軸を駆動する駆動装置であってもよい。回転電機10は、ハウジング11と、ロータ20と、ステータ30と、第1軸受15と、第2軸受16と、を備える。
図1に示すように、ハウジング11は、ロータ20、ステータ30、第1軸受15、および第2軸受16を内部に収容している。ハウジング11は、筒状部12と、上カバー部13と、第1軸受保持部14と、を有している。筒状部12は、中心軸Jを中心として、軸方向に延びる円筒状である。筒状部12は、側壁部12aと、下壁部12bと、第2軸受保持部12cと、を有している。
側壁部12aは、中心軸Jを中心として軸方向に延びる円筒状である。側壁部12aは、ロータ20、ステータ30、第1軸受15、および第2軸受16を径方向に囲んでいる。側壁部12aの上側の端部には、上側に開口する開口12dが設けられている。
下壁部12bは、中心軸Jを中心とする円環板状である。下壁部12bの板面は、軸方向を向いている。下壁部12bの径方向外側の端部は、側壁部12aの下側の端部と繋がっている。下壁部12bには、下壁部12bを軸方向に貫通する下壁孔12eが設けられている。下壁孔12eは、中心軸を中心とする円形状の孔である。
第2軸受保持部12cは、下壁部12bから上側に突出する。第2軸受保持部12cは、中心軸Jを中心とする円筒状である。第2軸受保持部12cの内周面には、第2軸受16が保持されている。
上カバー部13は、中心軸Jを中心とする円板状である。上カバー部13の板面は、軸方向を向いている。上カバー部13は、筒状部12の上側の端部に固定されている。上カバー部13は、開口12dを上側から塞いでいる。
第1軸受保持部14は、側壁部12aの内周面のうち、ロータ20およびステータ30よりも上側の部分に固定されている。第1軸受保持部14は、中心軸Jを中心とする略円環状である。第1軸受保持部14の内周面には、第1軸受15が保持されている。
ロータ20は、中心軸Jを中心として回転可能である。図1に示すように、ロータ20は、ロータコア21と、磁石22と、シャフト23と、を有している。ロータコア21は、中心軸Jを中心して軸方向に延びる円筒状である。ロータコア21は、シャフト23を径方向に囲んでいる。ロータコア21の内部には、磁石22が固定されている。図示は省略するが、本実施形態において、磁石22は、周方向に沿って複数設けられている。
図1に示すように、シャフト23は、中心軸Jを中心として軸方向に延びる円柱状である。シャフト23は、ロータコア21の内周面に固定されている。シャフト23の上側の部分は、ロータコア21よりも上側に延び、第1軸受15に支持されている。シャフト23の下側の部分は、ロータコア21よりも下側に延び、下壁孔12eを介して、ハウジング11の外部に突出している。シャフト23の下側の部分は、第2軸受16に支持されている。シャフト23は、第1軸受15および第2軸受16によって、中心軸Jを中心として回転可能に支持されている。これにより、ロータ20は、中心軸Jを中心として回転可能である。
第1軸受15は、シャフト23のうちロータコア21よりも上側の部分を回転可能に支持している。第2軸受16は、シャフト23のうちロータコア21よりも下側の部分を回転可能に支持している。本実施形態において、第1軸受15および第2軸受16は、ボールベアリングである。第1軸受15および第2軸受16は、ボールベアリング以外の転がり軸受であってもよいし、滑り軸受であってもよい。
図1に示すように、ステータ30は、ロータ20の径方向外側、すなわち径方向他方側に配置されている。ステータ30は、ロータ20と径方向に隙間を介して対向している。ステータ30は、側壁部12aの内周面に固定されている。ステータ30は、ステータコア31と、インシュレータ41と、複数のコイル42と、を有する。複数のコイル42には、図示しない制御装置から電流が供給され、磁石22との電磁力によってロータ20に回転トルクが発生する。
図1に示すように、ステータコア31は、ロータ20を径方向に囲んでいる。本実施形態において、ステータコア31は、図示しない複数の板部材が軸方向に積層されて構成されている。板部材は、磁性体によって構成される。板部材を構成する磁性体は、特に限定されない。本実施形態において、板部材は、電磁鋼板である。本実施形態においてステータコア31を構成する板部材は、円環状である。すなわち、ステータコア31は、分割コアではなく周方向に連続する部材によって構成される。図2に示すように、ステータコア31は、コアバック部32と、複数のティース部33と、を備えている。
コアバック部32は、中心軸Jを中心とする環状である。コアバック部32の外周面は、側壁部12aの内周面に固定されている。これにより、ステータ30は、ハウジング11に固定される。
ティース部33は、コアバック部32から径方向内側、すなわち径方向一方側に向けて延びている。図1に示すように、ティース部33の径方向内側の端部は、ロータ20と径方向に隙間をあけて対向している。図2に示すように、ティース部33は、コアバック部32の径方向内側を向く面、すなわち径方向一方側を向く面に沿って等間隔をあけて複数配置されている。本実施形態において、ティース部33は、8個設けられている。各ティース部33は、それぞれ、ティース本体部34と、アンブレラ部35と、を有している。
ティース本体部34は、コアバック部32から、径方向内側、すなわち径方向一方側に延びている。軸方向に見て、ティース本体部34は、略長方形状である。互いに周方向に隣り合うティース本体部34同士は、ティース本体部間隔Wtをあけて配置されている。互いに周方向に隣り合うティース本体部34同士の間の空間は、スロットSである。本実施形態において、スロットSは、8個設けられている。各スロットSには、それぞれ、コイル42が配置されている。
図2に示すように、アンブレラ部35は、ティース本体部34の先端、すなわち径方向内側の端部と繋がっている。アンブレラ部35は、ティース本体部34よりも周方向の両側に突出している。軸方向に見て、アンブレラ部35の径方向内側を向く面は、中心軸Jを中心とする円弧状である。アンブレラ部35は、アンブレラ本体部35aと、第1アンブレラ部35bと、第2アンブレラ部35cと、を有している。
アンブレラ本体部35aは、アンブレラ部35のうち、ティース本体部34と径方向に繋がる部分である。アンブレラ本体部35aは、ティース本体部34の径方向内側に位置している。第1アンブレラ部35bは、アンブレラ本体部35aから、周方向一方側(+θ側)に突出している。第2アンブレラ部35cは、アンブレラ本体部35aから、周方向他方側(-θ側)に突出している。1つのティース部33の第1アンブレラ部35bと、該ティース部33の周方向一方側に隣り合うティース部33の第2アンブレラ部35cとは、周方向にアンブレラ間隔Waをあけて配置されている。アンブレラ間隔Waの寸法は、ティース本体部間隔Wtの寸法よりも小さい。また、アンブレラ間隔Waは、コイル42を構成する電線の線径より小さくてもよい。
図3に示すように、ティース部33は、第1部分36と、第2部分37と、連結部分38と、によって構成されている。つまり、ティース本体部34およびアンブレラ部35は、第1部分36と、第2部分37と、連結部分38と、によって構成されている。
第1部分36は、コアバック部32から、径方向内側、すなわち径方向一方側に延びている。軸方向に見て、第1部分36は、略長方形状である。本実施形態において、第1部分36は、ティース本体部34を構成している。第1部分36は、第1合わせ面36aを有している。第1合わせ面36aは、第1部分36の外側面のうち、径方向内側、すなわち径方向一方側を向く面である。第1合わせ面36aには、径方向外側に窪む凹部36bが設けられている。すなわち、第1合わせ面36aは、径方向に窪む凹部36bを有している。
軸方向に見て、凹部36bは、半円状である。また、ティース部33の周方向の中心と中心軸Jとを繋ぐ中心線Lは、凹部36bの周方向の中心を通る。つまり、本実施形態において、凹部36bは、周方向におけるティース部33の中心に位置している。
図3に示すように、第2部分37は、第1部分36の径方向内側の端部と接続されている。第2部分37は、第1部分36よりも周方向の両側に突出している。本実施形態において、第2部分37は、アンブレラ部35を構成している。第2部分37は、第2合わせ面37aを有している。第2合わせ面37aは、第2部分37の外側面のうち、径方向外側、すなわち径方向他方側を向く面である。第2合わせ面37aは、第1合わせ面36aと接触している。本実施形態において、第1合わせ面36aと第2合わせ面37aとの界面は、ティース本体部34とアンブレラ部35との境界に位置している。第2合わせ面37aは、径方向外側に突出する凸部37bを有している。
軸方向に見て、凸部37bは、半円状である。中心線Lは、凸部37bの周方向の中心を通る。つまり、本実施形態において、凸部37bは、周方向におけるティース部33の中心に位置している。凸部37bは、凹部36bに嵌め合わされている。よって、本実施形態によれば、凹部36bと凸部37bとが嵌め合わされて、第1部分36と第2部分37との互いの位置を決めることができる。そのため、第1部分36と第2部分37との間に隙間が形成され難く、第1合わせ面36aと第2合わせ面37aとの接触面積を広く確保できる。したがって、第1合わせ面36aと第2合わせ面37aとの界面において、ステータコア31の透磁率が低下することを抑制できる。そのため、回転電機10の回転トルクが低下することを抑制できる。
また、本実施形態によれば、凹部36bおよび凸部37bは、軸方向に見て、半円状である。よって、ステータコア31を構成する上述の板部材に、プレス加工によって容易に凹部36bおよび凸部37bを設けることができる。そのため、ステータコア31の製造工数および製造コストが増大することを抑制できる。
さらに、本実施形態によれば、上述のように、凹部36bおよび凸部37bは、周方向におけるティース部33の中心に位置している。凹部36bと凸部37bとは、周方向におけるティース部33の中心で嵌め合わされている。そのため、アンブレラ部35を成形する工程において、アンブレラ部35の形状を、中心線Lを対称軸として線対称な形状に容易に成形できる。また、第1アンブレラ部35bと第2アンブレラ部35cとの周方向の寸法を同じ寸法に容易にできる。したがって、ロータ20が周方向一方側(+θ側)に回転する場合、および周方向他方側(-θ側)に回転する場合においても、モータトルク効率の低下を抑制しつつ、コギングトルクを好適に抑制できる。
なお、凹部36bと凸部37bとが嵌め合わされるならば、凹部36bおよび凸部37bの形状は円形状に限定されず、矩形状および三角状等の他の形状であってもよい。また、第1合わせ面36aが径方向内側に突出する凸部を有し、第2合わせ面37aが径方向内側に窪む凹部を有していてもよい。すなわち、第1合わせ面36aと第2合わせ面37aのうち一方が、径方向に窪む凹部を有し、第1合わせ面36aと第2合わせ面37aのうち他方が、凹部に嵌め合わせられる凸部を有していれば良い。
図3に示すように、連結部分38は、第1部分36および第2部分37と繋がる。連結部分38は、第1合わせ面36aおよび第2合わせ面37aの周方向両側に位置している。本実施形態において、連結部分38は、2個設けられている。各連結部分38は、それぞれ、ティース本体部34の周方向を向く面と、アンブレラ部35の径方向外側、すなわち径方向他方側を向く面との角部に配置される。そのため、本実施形態によれば、連結部分38が、インシュレータ41およびコイル42と干渉することを抑制できる。また、連結部分38が、ロータ20と干渉することを抑制できる。
インシュレータ41は、ステータコア31とコイル42とを絶縁する。本実施形態において、インシュレータ41は、樹脂製である。インシュレータ41は、絶縁性を有する。図2に示すように、インシュレータ41は、各ティース部33のそれぞれに装着されている。本実施形態において、インシュレータ41は、8個設けられている。インシュレータ41は、箱状部41aと、周壁部41bと、を有している。
図1に示すように、箱状部41aは、径方向内側および径方向外側に開口する箱状である。径方向に見て、箱状部41aは、略長方形状である。箱状部41aの上側の部分は、ティース本体部34の上側に位置し、箱状部41aの下側の部分は、ティース本体部34の下側に位置している。図3に示すように、箱状部41aの周方向一方側(+θ側)の部分は、ティース本体部34の周方向一方側に位置し、箱状部41aの周方向他方側(-θ側)の部分は、ティース本体部34の周方向他方側に位置している。これらにより、箱状部41aは、ティース本体部34を囲み、ティース本体部34とコイル42とを絶縁している。
図3に示すように、周壁部41bは、箱状部41aの径方向外側の端部から、周方向両側に延びる板状である。軸方向に見て、周壁部41bは中心軸Jを中心とする円弧状である。周壁部41bの板面は、径方向を向いている。周壁部41bの径方向外側を向く面は、コアバック部32の内周面と接触している。径方向において、周壁部41bは、コアバック部32とコイル42との間に配置されている。これにより、周壁部41bは、コアバック部32とコイル42とを絶縁している。なお、ステータコア31とコイル42とを絶縁できるならば、インシュレータ41は設けられなくてもよく、例えば、ステータコア31に絶縁塗料等を塗布して絶縁層を設けて、ステータコア31とコイル42とを絶縁してもよい。なお、本実施形態のステータ30では、第1アンブレラ部35b、および第2アンブレラ部35cの径方向外側を向く面とコイル42との間にインシュレータ41が配置されない。このため、コイル42は、アンブレラ部35側への移動を制限するなどして、コイル42とアンブレラ部35との隙間を十分に確保することが好ましい。また、コイル42とアンブレラ部35との間に、別のインシュレータを配置してもよい。
図1および図2に示すように、コイル42は、インシュレータ41の箱状部41aを介して、ステータコア31のティース本体部34に装着されている。本実施形態において、コイル42は、8個設けられている。各コイル42は、それぞれ、図示しない制御装置と電気的に接続され、制御装置を介して、図示しない外部電源から電流が供給される。本実施形態において、コイル42は、導電性の電線が環状に巻かれた空芯コイルである。各コイル42の内部には、ティース本体部34および箱状部41aが径方向に通されている。なお、以下の説明では、コイル42を空芯コイル42と呼ぶ場合がある。
次に、本実施形態の回転電機10の製造方法について説明する。より詳細には、ティース部33にコイル42を装着し、アンブレラ部35を成形するステータ製造工程Psについて説明する。図4に示すように、本実施形態のステータ製造工程Psは、コイルをティース部33に装着する第1ステップS01と、ティース部33の先端にアンブレラ部35を成形する第2ステップS02と、を有する。
なお、本明細書において「作業者等」とは、各作業を行う作業者および組立装置等を含む。各作業は、作業者のみによって行われてもよいし、組立装置のみによって行われてもよいし、作業者と組立装置とによって行われてもよい。
第1ステップS01では、予め環状に形成された空芯コイル42を、ティース部33に装着する。図5Aに示すように、第1ステップS01において、ティース部33は、第1部分36および第2部分37に加えて、孔部39と、接続部40と、を有している。また、第2部分37は、一対の先端部37cを有している。
孔部39は、ティース部33を軸方向に貫通する孔である。孔部39は、径方向において、第1部分36と、第2部分37との間に位置している。孔部39の内周面のうち、径方向内側、すなわち径方向一方側を向く面が第1合わせ面36aである。第1合わせ面36aは、径方向外側に窪む凹部36bを有している。孔部39の内周面のうち、径方向外側、すなわち径方向他方側を向く面が第2合わせ面37aである。第2合わせ面37aは、径方向外側に突出する凸部37bを有している。つまり、孔部39の内周面には、凹部36bおよび凸部37bが設けられている。中心線Lは、凹部36bの周方向の中心、および凸部37bの周方向の中心を通る。つまり、凹部36bおよび凸部37bは、周方向におけるティース部33の中心に位置している。
接続部40は、第1部分36と第2部分37を径方向に繋いでいる。接続部40は、孔部39の周方向両側に一対設けられている。各接続部40それぞれの径方向外側の端部は、第1部分36の径方向内側の端部と繋がっている。各接続部40それぞれの径方向内側の端部は、第2部分37の径方向外側の端部と繋がっている。ここで、各ティース部33それぞれにおいて、径方向および軸方向の両方と直交する方向を幅方向と呼ぶ。一対の接続部40それぞれの幅方向の寸法は、第1部分36および第2部分37の幅方向の寸法よりも小さい。
図5Aに示すように、一対の先端部37cは、第2部分37のうち、径方向内側に突出する部分である。つまり、ティース部33の先端に、周方向に並び径方向内側、すなわち径方向一方側に突出する一対の先端部37cが設けられている。一対の先端部37cは、中心線Lを対称軸として互いに線対称に配置されている。中心線Lよりも周方向一方側(+θ側)に位置する先端部37cの周方向一方側の端部は、第2部分37の周方向一方側の端部である。中心線Lよりも周方向他方側(-θ側)に位置する先端部37cの周方向他方側の端部は、第2部分37の周方向他方側の端部である。第2部分37の幅方向の寸法は、第1部分36の幅方向の寸法と同じ寸法である。第2部分37の周方向一方側の端部と、第1部分36の周方向一方側の端部とは、中心線Lと平行な直線上に位置している。第2部分37の周方向他方側の端部と、第1部分36の周方向他方側の端部とは、中心線Lと平行な直線上に位置している。そのため、インシュレータ41およびコイル42を、容易にティース部33に通すことができる。
図5Aに示すように、第1ステップS01において、まず、作業者等は、インシュレータ41を、ティース部33の径方向内側から径方向外側に向けて移動させて、箱状部41aの内部にティース部33を通す。図5Bに示すように、周壁部41bの径方向外側を向く面と、コアバック部32の内周面とが接触するまで、インシュレータ41を径方向外側に向けて移動させると、インシュレータ41は、ティース部33に装着される。
次に、作業者等は、コイル42を、ティース部33の径方向内側から径方向外側に向けて移動させて、コイル42の内部にティース部33に通す。このとき、図5Cに示すように、コイル42の内部には、箱状部41aも通される。コイル42の径方向内側の端部が、箱状部41aの径方向内側の端部よりも、径方向外側に位置するまで、コイル42を径方向外側に向けて移動させると、コイル42は、インシュレータ41を介して、ティース部33に装着される。なお、本実施形態の第1ステップS01では、インシュレータ41とコイル42とを、ティース部33に順次装着する場合について説明したが、第1ステップS01は、コイル42をインシュレータ41に予め装着し、次いでインシュレータ41をティース部33に装着する工程であってもよい。
第2ステップS02は、ティース部33の先端にアンブレラ部35を成形する。図5Cに示すように、まず、作業者等は、一対の先端部37cそれぞれに、周方向外側を向く第1外力F1を加えて、一対の先端部37cそれぞれを、周方向におけるティース部33の中心に対して、周方向外側に塑性変形させる。これにより、図3に示すアンブレラ部35が形成される。よって、本実施形態によれば、一対の先端部37cに周方向外側を向く第1外力F1を加えて、一対の先端部37cを周方向の外側に広げて塑性変形させる簡易な工程によって、アンブレラ部35を設けることができる。そのため、ステータ30の製造工数が増大することを抑制できる。
また、本実施形態では、上述のように、各接続部40それぞれの幅方向の寸法は、第1部分36の幅方向の寸法よりも小さい。よって、各接続部40それぞれの剛性を小さくできる。そのため、一対の先端部37cを塑性変形させる第1外力F1を低減できる。よって、第2ステップS02において、一対の先端部37cに第1外力F1を加える組立装置の簡素化を図ることができる。したがって、ステータ30の製造コストおよび製造工数が増大することを抑制できる。
次に、作業者等は、第2部分37に径方向外側を向く第2外力F2を加えて、接続部40を塑性変形させる。これにより、孔部39を径方向に潰すことができ、図3に示すように、第1合わせ面36aと、第2合わせ面37aとを接触させることができる。また、凸部37bは凹部36bに嵌め合わされる。よって、第2ステップS02によって、図3に示すアンブレラ部35が成形され、ティース部33が成形される。そのため、本実施形態では、第2部分37に径方向外側を向く第2外力F2を加えて、孔部39を径方向に潰す簡易な工程によって、アンブレラ部35を形成することができる。したがって、ステータ30の製造工数が増大することを抑制できる。なお、第2ステップS02において、作業者等は、第1外力F1および第2外力F2を同時に、第2部分37に加えてもよい。この場合、先端部37cおよび接続部40を同時に塑性変形させることができるため。第2ステップS02の作業時間を短縮することができる。
本実施形態によれば、中心軸Jを中心とする環状のコアバック部32と、コアバック部32の径方向一方側を向く面に沿って配置される複数のティース部33と、を備え、ティース部33は、コアバック部32から径方向内側、すなわち径方向一方側に延びるティース本体部34と、ティース本体部34の先端と繋がり、ティース本体部34よりも周方向の両側に突出するアンブレラ部35と、を有する。ティース部33は、径方向内側を向く第1合わせ面36aを有する第1部分36と、径方向外側、すなわち径方向他方側を向く第2合わせ面37aを有し、第2合わせ面37aにおいて第1合わせ面36aと接触する第2部分37と、第1合わせ面36aおよび第2合わせ面37aの周方向両側に位置し、第1部分36および第2部分37と繋がる連結部分38と、によって構成される。第1合わせ面36aと第2合わせ面37aとの界面は、ティース本体部34とアンブレラ部35との境界に位置し、第1合わせ面36aは、径方向に窪む凹部36bを有し、第2合わせ面37aは、凹部36bに嵌め合わされる凸部37bを有する。よって、空芯コイル42をティース本体部34に装着した後に、ティース部33の先端を塑性変形させて、アンブレラ部35を成形するステータコア31を採用できる。そのため、コイル42の内部にティース部33を容易に通すことができる。したがって、ステータ30および回転電機10の製造工数が増大することを抑制できるとともに、安価に製造できる。
また、ティース部33の先端を塑性変形させることによって、アンブレラ部35を成形できるため、コイル42をティース本体部34に装着した後にティース本体部34の先端に別個の部材を溶接等によって固定して、アンブレラ部35を形成する必要が無い。よって、ステータコア31の部品点数および製造工数が増大することを抑制できる。そのため、ステータ30の部品点数および製造工数が増大することを抑制できる。したがって、回転電機10の部品点数および製造工数が増大することを抑制できる。
さらに、ティース部33が、ティース本体部34よりも周方向の両側に突出するアンブレラ部35を有するため、互いに周方向に隣り合うアンブレラ部35同士の間隔であるアンブレラ間隔Waの寸法を、ティース本体部間隔Wtの寸法よりも小さくできる。よって、ロータ20が回転する際に、ロータ20からステータコア31に入り込む磁束密度の変動を緩やかにできるとともに、モータトルク効率を高めることができる。したがって、モータトルク効率の低下を抑制しつつ、コギングトルクを抑制でき、回転電機10の駆動時における振動および騒音を抑制できる。
また、ティース部33の先端を塑性変形させることによって、アンブレラ部35を成形できるため、コイル42をティース本体部34に装着した後にティース本体部34の先端に別個の部材を溶接等によって固定して、アンブレラ部35を形成する必要が無い。よって、ステータコア31の部品点数および製造工数が増大することを抑制できる。そのため、ステータ30の部品点数および製造工数が増大することを抑制できる。したがって、回転電機10の部品点数および製造工数が増大することを抑制できる。
さらに、ティース部33が、ティース本体部34よりも周方向の両側に突出するアンブレラ部35を有するため、互いに周方向に隣り合うアンブレラ部35同士の間隔であるアンブレラ間隔Waの寸法を、ティース本体部間隔Wtの寸法よりも小さくできる。よって、ロータ20が回転する際に、ロータ20からステータコア31に入り込む磁束密度の変動を緩やかにできるとともに、モータトルク効率を高めることができる。したがって、モータトルク効率の低下を抑制しつつ、コギングトルクを抑制でき、回転電機10の駆動時における振動および騒音を抑制できる。
また、本実施形態では、ティース本体部34に空芯コイル42を容易に装着できる。そのため、スロットSにおけるコイル占積率を容易に高めることができる。したがって、回転電機10の大型化を抑制しつつ、回転電機10の回転トルクを高めることができる。
さらに、本実施形態では、インシュレータ41をティース部33に径方向内側から挿入して、インシュレータ41をティース本体部34に装着した後に、アンブレラ部35を成形するステータコア31を採用できる。そのため、インシュレータ41の箱状部41aの内部にティース部33を容易に通すことができる。したがって、ステータ30および回転電機10の製造工数が増大することを抑制できる。
また、ティース部33がティース本体部34よりも周方向の両側に突出するアンブレラ部35を有するため、回転電機10の動作時の振動によって、インシュレータ41が径方向内側に移動することを抑制できる。そのため、インシュレータ41によって、ステータコア31とコイル42とを好適に絶縁できる。
また、ティース部33がティース本体部34よりも周方向の両側に突出するアンブレラ部35を有するため、回転電機10の動作時の振動によって、インシュレータ41が径方向内側に移動することを抑制できる。そのため、インシュレータ41によって、ステータコア31とコイル42とを好適に絶縁できる。
本実施形態によれば、中心軸Jを中心とする環状のコアバック部32、およびコアバック部32から径方向内側、すなわち径方向一方側に延びる複数のティース部33を有するステータコア31と、ティース部33に装着される空芯コイル42と、を有するステータ30の製造方法であって、空芯コイル42を、ティース部33に装着する第1ステップS01と、ティース部33の先端部37cを塑性変形させてティース部33の先端にアンブレラ部35を成形する第2ステップと、を有する。よって、第1ステップS01において、空芯コイル42を容易にティース部33に通すことができ、空芯コイル42を容易にティース部33に装着できる。したがって、ステータ30および回転電機10の製造工数が増大することを抑制できる。
また、第2ステップS02において、先端部37cを塑性変形させることによって、アンブレラ部35を成形できるため、溶接等によってアンブレラ部35を形成する必要が無い。よって、ステータコア31の部品点数および製造工数が増大することを抑制できる。
さらに、ティース部33が、ティース本体部34よりも周方向の両側に突出するアンブレラ部35を有するため、コギングトルクを抑制できる。したがって、回転電機10の駆動時における、振動および騒音を抑制できる。
また、第2ステップS02において、先端部37cを塑性変形させることによって、アンブレラ部35を成形できるため、溶接等によってアンブレラ部35を形成する必要が無い。よって、ステータコア31の部品点数および製造工数が増大することを抑制できる。
さらに、ティース部33が、ティース本体部34よりも周方向の両側に突出するアンブレラ部35を有するため、コギングトルクを抑制できる。したがって、回転電機10の駆動時における、振動および騒音を抑制できる。
また、本実施形態では、第1ステップS01において、インシュレータ41を容易にティース部33に通して、容易にティース部33に装着できる。したがって、ステータ30の製造工数が増大することを抑制できる。よって、回転電機10の製造工数が増大することを抑制できる。
<第2実施形態>
図6は、本実施形態の回転電機210のステータ230の一部を示す断面図である。なお、上述の第1実施形態と同一態様の構成要素については、同一符号を付し、その説明を省略する。図6に示すように、本実施形態のティース部233は、第1部分236と、第2部分237と、連結部分238と、によって構成されている。つまり、ティース本体部34およびアンブレラ部235は、第1部分236と、第2部分237と、連結部分238と、によって構成されている。
図6は、本実施形態の回転電機210のステータ230の一部を示す断面図である。なお、上述の第1実施形態と同一態様の構成要素については、同一符号を付し、その説明を省略する。図6に示すように、本実施形態のティース部233は、第1部分236と、第2部分237と、連結部分238と、によって構成されている。つまり、ティース本体部34およびアンブレラ部235は、第1部分236と、第2部分237と、連結部分238と、によって構成されている。
第1部分236は、コアバック部32から径方向内側、すなわち径方向一方側に延びている。本実施形態において、第1部分236は、ティース本体部34、およびアンブレラ部235の径方向外側の部分を構成している。第1部分236は、本体部236c、および第1延伸部236dを有している。本体部236cは、コアバック部32から径方向内側に突出する部分である。軸方向に見て、本体部236cは、略長方形状である。本体部236cは、ティース本体部34を構成する。
第1延伸部236dは、本体部236cの先端に繋がる。第1延伸部236dは、本体部236cよりも周方向の両側に突出する。第1延伸部236dは、アンブレラ部235の径方向外側の部分を構成する。第1合わせ面236aは、第1延伸部236dの外側面のうち、径方向内側を向く面である。つまり、第1部分236は、径方向内側、すなわち径方向一方側を向く第1合わせ面236aを有する。第1合わせ面236aは、径方向に窪む凹部236bを有している。軸方向に見て、凹部236bは、矩形状である。また、中心線Lは、凹部236bの周方向の中心を通る。
図6に示すように、第2部分237は、第1部分236の径方向内側の端部と接続されている。第2部分237は、本体部236cよりも周方向の両側に突出している。第2部分237の周方向一方側(+θ側)の端部の位置は、第1延伸部236dの周方向一方側の端部の位置と同じ位置である。第2部分237の周方向他方側(-θ側)の端部の位置は、第1延伸部236dの周方向他方側の端部の位置と同じ位置である。本実施形態において、第2部分237は、アンブレラ部235の径方向内側の部分を構成している。第2部分237は、第2合わせ面237aを有している。
第2合わせ面237aは、第2部分237の外側面のうち、径方向外側、すなわち径方向他方側を向く面である。第2合わせ面237aは、第1合わせ面236aと接触している。本実施形態において、第1合わせ面236aと第2合わせ面237aとの界面は、アンブレラ部235の内部に位置している。第2合わせ面237aには、径方向外側に突出する凸部237bが設けられている。
軸方向に見て、凸部237bは、矩形状である。よって、本実施形態によれば、凹部236bおよび凸部237bは、軸方向に見て、矩形状である。そのため、ステータコア231を構成する上述の板部材に、プレス加工によって容易に凹部236bおよび凸部237bを設けることができる。よって、ステータコア231の製造工数および製造コストが増大することを抑制できる。
本実施形態において、中心線Lは、凸部237bの周方向の中心を通る。つまり、本実施形態において、凸部237bは、周方向におけるティース部233の中心に位置している。また、凸部237bは、凹部236bに嵌め合わされている。本実施形態によれば、上述のように凹部236bおよび凸部237bは、軸方向に見て、矩形状であるため、凸部237bは凹部236bから外れづらい。そのため、第1合わせ面236aと第2合わせ面237aとの間に隙間が形成され難く、第1合わせ面236aと第2合わせ面237aとの接触面積を広く確保できる。よって、第1合わせ面236aと第2合わせ面237aとの界面において、ステータコア231の透磁率が低下することを抑制できる。
図6に示すように、連結部分238は、第1部分236および第2部分237と繋がる。本実施形態において、連結部分238は、アンブレラ部235の周方向の両側の端部に配置される。本実施形態において、連結部分238は、2個設けられている。連結部分238それぞれは、アンブレラ部235の周方向の両端の部分を構成している。周方向一方側(+θ側)に配置される連結部分238は、第1延伸部236dの周方向一方側の端部と、第2部分237の周方向一方側の端部とを繋いでいる。周方向他方側(-θ側)に配置される連結部分238は、第1延伸部236dの周方向他方側の端部と、第2部分237の周方向他方側の端部とを繋いでいる。本実施形態におけるステータ230のその他の構成は、第1実施形態のステータ30のその他の構成と同様である。
次に、本実施形態の回転電機210における、ステータ製造工程Psについて説明する。図7に示すように、本実施形態のステータ製造工程Psは、コイル42をティース部233に装着する第1ステップS201と、ティース部233の先端にアンブレラ部235を成形する第2ステップS202と、を有する。
第1ステップS201では、予め環状に形成された空芯コイル42を、ティース部233に装着する。図8Aに示すように、第1ステップS201において、ティース部233には、第1部分236および第2部分237に加えて、孔部239が設けられている。また、第1部分236は、本体部236cと、一対の第1延伸部236dと、を有している。第2部分237は、一対の第2延伸部237dを有している。
孔部239は、ティース部233を軸方向に貫通する孔である。一対の第1延伸部236dは、第1部分236のうち、本体部236cの径方向内側の端部から、径方向内側に突出する部分である。一対の第1延伸部236dは、それぞれ、中心線Lを対称軸として互いに線対称に設けられている。一対の第1延伸部236dは、それぞれ、孔部239の径方向外側に設けられている。つまり、ティース部233は、周方向におけるティース部233の中心に対して孔部239の周方向外側に配置される第1延伸部236dが設けられている。
孔部239の内周面のうち、径方向内側、すなわち径方向一方側を向く面が第1面部236a1である。第1面部236a1は、径方向外側に窪む凹部236bを有している。一対の第1延伸部236dそれぞれの周方向内側を向く面は、第2面部236d1である。第2面部236d1は、孔部239の内周面の一部である。第1面部236a1および第2面部236d1は、第1合わせ面236aを構成する。
図8Aに示すように、一対の第2延伸部237dは、第2部分237のうち、径方向外側に突出する部分である。一対の第2延伸部237dは、中心線Lを対称軸として互いに線対称に設けられている。一対の第2延伸部237dは、中心線Lよりも孔部239の径方向内側の部分の周方向両側に一対設けられている。つまり、ティース部233には、周方向におけるティース部233の中心に対して孔部239の周方向外側に配置される第2延伸部237dが設けられている。一対の第2延伸部237dそれぞれの径方向外側の端部は、第1延伸部236dの径方向内側の端部と繋がっている。これにより、一対の第1延伸部236dと一対の第2延伸部237dとは、一対の延伸部240を構成する。一対の延伸部240は、周方向におけるティース部233の中心に対して孔部239の周方向外側に配置される。
本実施形態の第1延伸部236dは、径方向内側に向かうに従い幅方向の寸法が小さくなり、最も幅方向の寸法が小さい径方向内側の端部で第2延伸部237dに接続される。一方、第2延伸部237dは、径方向外側に向かうに従い幅方向の寸法が小さくなり、最も幅方向の寸法が小さい径方向外側の端部で第1延伸部236dに接続される。すなわち、延伸部240は、第1延伸部236dと第2延伸部237dとの接続部分において、幅方向の寸法が最も小さくなる。また、本実施形態において、第1延伸部236dと第2延伸部237dは、径方向の寸法が等しい。このため、延伸部240において、幅方向の寸法が最も小さくなる部分は、径方向の中央、つまり延伸部240の長さ方向の中央に位置する。
孔部239の内周面のうち、径方向外側、すなわち径方向他方側を向く面が第3面部237a1である。第3面部237a1は、径方向外側に突出する凸部237bを有している。一対の第2延伸部237dそれぞれの周方向内側を向く面は、第4面部237d1である。第4面部237d1は、孔部239の内周面の一部である。また、第3面部237a1および第4面部237d1は、第2合わせ面237aを構成する。
なお、図8Aに示すように、中心線Lは、凹部236bの周方向の中心、および凸部237bの周方向の中心を通る。つまり、凹部236bおよび凸部237bは、周方向におけるティース部233の中心に位置している。
また、図8Aに示すように、第1ステップS201において、第2部分237の周方向一方側の端部と、第1部分236の周方向一方側の端部とは、中心線Lと平行な直線上に位置している。第2部分237の周方向他方側の端部と、第1部分236の周方向他方側の端部とは、中心線Lと平行な直線上に位置している。したがって、第1実施形態の第1ステップS01と同様に、図8A、図8B、および図8Cに示すように、インシュレータ41および空芯コイル42を容易にティース部233通すことができ、インシュレータ41および空芯コイル42を容易にティース部233に装着できる。第1ステップS201における、インシュレータ41および空芯コイル42を、ティース部233に装着する手順は、第1実施形態の第1ステップS01における、インシュレータ41および空芯コイル42を、ティース部33に装着する手順と同様である。
第2ステップS202は、ティース部233の先端にアンブレラ部235を成形する。図8Cに示すように、作業者等は、第2部分237に径方向外側を向く第2外力F2を加えて、孔部239を径方向に潰して、一対の延伸部240それぞれを、ティース部233の中心に対して周方向外側(D1方向)に塑性変形させてアンブレラ部235を成形する。より詳細には、一対の延伸部240それぞれは、第1延伸部236dと第2延伸部237dの接続部が周方向外側に移動するように塑性変形される。作業者等は、第1延伸部236dおよび第2延伸部237dが周方向に延びる形状となるまで、第2部分237に第2外力F2を加える。これにより、第2面部236d1が向く向きが径方向内側になると、第2面部236d1と第1面部236a1とが周方向に繋がり、図6に示す、第1合わせ面236aが構成される。また、第4面部237d1が向く向きが径方向外側になると、第4面部237d1と第3面部237a1とが周方向に繋がり、図6に示す、第2合わせ面237aが構成される。
上述のように、本実施形態において、延伸部240の径方向の中央には、幅方向の寸法が最も小さくなる部分が設けられる。このため、第2部分237に第2外力F2が加えられると、一対の延伸部240それぞれは、幅方向の寸法が最も小さくなる部分を起点として、周方向の外側に座屈する。すなわち、本実施形態によれば、幅方向の寸法が小さい部分を延伸部240に設けることで、幅方向の寸法が最も小さくなる部分を座屈の起点として、延伸部240の塑性変形を制御することができる。
また、孔部239が径方向に潰されると、図6に示すように、第1合わせ面236aと第2合わせ面237aとが接触する。このとき、凸部237bは凹部236bに嵌め合わされる。よって、第2ステップS202によって、図6に示すアンブレラ部235が成形される。また、図6に示すティース部233が成形される。そのため、本実施形態によれば、第2部分237に径方向外側を向く第2外力F2を加えて、延伸部240を塑性変形させつつ、孔部239を径方向に潰す簡易な工程によって、アンブレラ部235を成形することができる。よって、ステータ230の部品点数および製造工数が増大することを抑制できる。したがって、回転電機210の部品点数および製造工数が増大することを抑制できる。
また、予め導電性の電線が環状に巻かれた空芯コイル42をティース部233に径方向内側から挿入して、ティース本体部34に装着した後に、ティース部233の先端を塑性変形させることによって、アンブレラ部235を成形するステータコア231を採用できる。そのため、コイル42の内部にティース部233を容易に通すことができる。したがって、ステータ230の製造工数が増大することを抑制できる。よって、回転電機210の製造工数が増大することを抑制できる。
さらに、本実施形態では、ティース部233が、ティース本体部34よりも周方向の両側に突出するアンブレラ部235を有するため、コギングトルクを抑制できる。したがって、回転電機210の駆動時における、振動および騒音を抑制できる。
また、予め導電性の電線が環状に巻かれた空芯コイル42をティース部233に径方向内側から挿入して、ティース本体部34に装着した後に、ティース部233の先端を塑性変形させることによって、アンブレラ部235を成形するステータコア231を採用できる。そのため、コイル42の内部にティース部233を容易に通すことができる。したがって、ステータ230の製造工数が増大することを抑制できる。よって、回転電機210の製造工数が増大することを抑制できる。
さらに、本実施形態では、ティース部233が、ティース本体部34よりも周方向の両側に突出するアンブレラ部235を有するため、コギングトルクを抑制できる。したがって、回転電機210の駆動時における、振動および騒音を抑制できる。
本発明は上述の実施形態に限られず、本発明の技術的思想の範囲内において、他の構成および他の方法を採用することもできる。例えば、ステータコアが有するティース部の個数は8個に限定されず、7個以下であってもよく、9個以上であってもよい。また、ステータコアは、ステータコアの径方向外側の端部がロータと対向し、ティース部が径方向外側に向けて突出する、アウターロータ構成の回転電機に用いられるステータコアであってもよい。
本発明が適用される回転電機は、モータに限られず、発電機であってもよい。回転電機の用途は、特に限定されない。回転電機は、車両以外の機器に搭載されてもよい。本発明が適用される駆動装置の用途は、特に限定されない。駆動装置は、例えば、車軸を回転させる用途以外の用途で車両に搭載されてもよいし、車両以外の機器に搭載されてもよい。
以上、本明細書において説明した構成は、相互に矛盾しない範囲内において、適宜組み合わせることができる。
以上、本明細書において説明した構成は、相互に矛盾しない範囲内において、適宜組み合わせることができる。
10,210…回転電機、20…ロータ、30,230…ステータ、31,231…ステータコア、32…コアバック部、33,233…ティース部、34…ティース本体部、35,235…アンブレラ部、36,236…第1部分、36a,236a…第1合わせ面、36b,236b…凹部、37,237…第2部分、37a,237a…第2合わせ面、37b,237b…凸部、37c…先端部、38,238…連結部分、39,239…孔部、42…コイル(空芯コイル)、240…延伸部、J…中心軸
Claims (13)
- 中心軸を中心とする環状のコアバック部と、
前記コアバック部の径方向一方側を向く面に沿って配置される複数のティース部と、
を備え、
前記ティース部は、
前記コアバック部から径方向一方側に延びるティース本体部と、
前記ティース本体部の先端と繋がり、前記ティース本体部よりも周方向の両側に突出するアンブレラ部と、
を有し、
前記ティース部は、
径方向一方側を向く第1合わせ面を有する第1部分と、
径方向他方側を向く第2合わせ面を有し、前記第2合わせ面において前記第1合わせ面と接触する第2部分と、
前記第1合わせ面および前記第2合わせ面の周方向両側に位置し、前記第1部分および前記第2部分と繋がる連結部分と、
によって構成され、
前記第1合わせ面と前記第2合わせ面との界面は、前記ティース本体部と前記アンブレラ部との境界、又は前記アンブレラ部の内部に位置し、
前記第1合わせ面と前記第2合わせ面のうち一方は、径方向に窪む凹部を有し、
前記第1合わせ面と前記第2合わせ面のうち他方は、前記凹部に嵌め合わされる凸部を有する、ステータコア。 - 前記第1合わせ面と前記第2合わせ面との界面が、前記ティース部と前記アンブレラ部との境界に位置し、
前記連結部分が、前記ティース本体部の周方向を向く面と前記アンブレラ部の径方向他方側を向く面との角部に配置される、請求項1に記載のステータコア。 - 前記第1合わせ面と前記第2合わせ面との界面は、前記アンブレラ部の内部に位置し、
前記連結部分が、前記アンブレラ部の周方向両側の端部に配置される、請求項1に記載のステータコア。 - 軸方向に見て、前記凹部および前記凸部は、半円状である請求項1から3のいずれか一項に記載のステータコア。
- 軸方向に見て、前記凹部および前記凸部は、矩形状である請求項1から3のいずれか一項に記載のステータコア。
- 前記凹部および前記凸部は、周方向における前記ティース部の中心に位置する、請求項1から5のいずれか一項に記載のステータコア。
- 前記中心軸を中心として回転可能なロータと、
前記ロータの径方向他方側に配置されるステータと、
を備え、
前記ステータは、請求項1から6のいずれか一項に記載のステータコアと、前記ティース本体部に装着されるコイルと、を有する、回転電機。 - 中心軸を中心とする環状のコアバック部、および前記コアバック部から径方向一方側に延びる複数のティース部を有するステータコアと、前記ティース部に装着される空芯コイルと、を有するステータの製造方法であって、
前記空芯コイルを、前記ティース部に装着する第1ステップと、
前記ティース部の先端を塑性変形させて前記ティース部の先端にアンブレラ部を成形する第2ステップと、を有する、ステータの製造方法。 - 前記ティース部の先端に、周方向に並び径方向一方側に突出する一対の先端部が設けられ、
前記第2ステップにおいて、周方向における前記ティース部の中心に対して、一対の前記先端部を周方向外側に塑性変形させて前記アンブレラ部を成形する、請求項8に記載のステータの製造方法。 - 前記ティース部には、前記ティース部を軸方向に貫通する孔部が設けられ、
前記第2ステップにおいて、前記孔部を径方向に潰す、請求項8に記載のステータの製造方法。 - 前記孔部の内周面には、周方向における前記ティース部の中心に位置する凹部および凸部が設けられ、
前記第2ステップにおいて、前記凸部が前記凹部に嵌る、請求項10に記載のステータの製造方法。 - 前記ティース部には、前記ティース部を軸方向に貫通する孔部と、周方向における前記ティース部の中心に対して前記孔部の周方向外側に配置される延伸部が設けられ、
前記第2ステップにおいて、前記孔部を径方向に潰して、前記延伸部を、前記ティース部の中心に対して周方向外側に塑性変形させて前記アンブレラ部を成形する、請求項8に記載のステータの製造方法。 - 前記孔部の内周面には、周方向における前記ティース部の中心に位置する凹部および凸部が設けられ、
前記第2ステップにおいて、前記凸部が前記凹部に嵌る、請求項12に記載のステータの製造方法。
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JP2022049792A JP2023142740A (ja) | 2022-03-25 | 2022-03-25 | ステータコア、回転電機、およびステータの製造方法 |
CN202310302242.5A CN116805816A (zh) | 2022-03-25 | 2023-03-27 | 定子铁芯、旋转电机以及定子的制造方法 |
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JP2022049792A JP2023142740A (ja) | 2022-03-25 | 2022-03-25 | ステータコア、回転電機、およびステータの製造方法 |
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JP2023142740A true JP2023142740A (ja) | 2023-10-05 |
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JP2022049792A Pending JP2023142740A (ja) | 2022-03-25 | 2022-03-25 | ステータコア、回転電機、およびステータの製造方法 |
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JP (1) | JP2023142740A (ja) |
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- 2022-03-25 JP JP2022049792A patent/JP2023142740A/ja active Pending
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2023
- 2023-03-27 CN CN202310302242.5A patent/CN116805816A/zh active Pending
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CN116805816A (zh) | 2023-09-26 |
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