JP2023142474A - 磁気マーカ - Google Patents

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Abstract

【課題】舗装が傷んだ際にも磁気マーカの機能を維持できる可能性が高い磁気マーカを提供すること。【解決手段】車両の運転支援に利用するために道路3に配設される磁気マーカ1は、外部から作用する力に応じた応力の均一性が損なわれて応力が集中する箇所が生じる形状を呈する柱状の磁石であって、応力の集中により破断して複数の小片に分離し易く、舗装の損傷が磁気マーカ1の周囲で発生した際には、一部の小片を分離することで、残りの一部の小片が道路側に残存して磁気的な性能が維持される可能性がある。【選択図】図1

Description

本発明は、車両の運転を支援するために道路に配設される磁気マーカに関する。
従来、道路に配設された磁気マーカを利用する車両用の磁気マーカ検出システムが知られている(例えば、特許文献1参照。)。このような磁気マーカ検出システムは、磁気センサが取り付けられた車両を対象としている。車線に沿って配設された磁気マーカを車両が検出することにより、自動操舵制御や車線逸脱警報等、各種の運転支援が実現される。
特開2019-214844号公報
しかしながら、道路の舗装の劣化が生じたときに磁気マーカが道路から脱落し、磁気マーカの機能が一気に失われるおそれがある。
本発明は、前記従来の問題点に鑑みてなされたものであり、舗装が傷んだ際にも磁気マーカの機能を維持できる可能性が高い磁気マーカを提供しようとするものである。
本発明は、車両の運転支援に利用するために道路に配設される磁気マーカであって、
該磁気マーカは、外部から作用する力に応じた応力の均一性が損なわれて応力が集中する箇所が生じる形状を有する柱状の磁石である磁気マーカにある。
本発明の磁気マーカは、応力が集中する箇所が生じるように構成されている。この磁気マーカは、外部から力が作用したときの応力が均一である磁気マーカと比べて、応力集中により破断し易くなっている。本発明の磁気マーカは、例えば道路からの脱落の際には、磁気マーカが破断して複数の小片に分離し易く、直ちに全体が道路から脱落するおそれが少なくなっている。本発明の磁気マーカは、道路から脱落するような状況が発生したときでも、磁気的な性能をある程度、維持できる可能性が高いという優れた特性を有する。
実施例1における、道路に配設された磁気マーカを示す説明図。 実施例1における、第1の磁気マーカを示す斜視図。 実施例1における、第1の磁気マーカの断面図(図2中のA-A線矢視図)。 実施例1における、他の第1の磁石シートを構成する磁石シートを示す説明図。 実施例1における、第2の磁気マーカの斜視図。 実施例1における、第2の磁気マーカの断面図(図5中のB-B線矢視図。) 実施例1における、他の第2の磁気マーカを示す説明図。 実施例1における、第3の磁気マーカを示す斜視図。 実施例1における、他の第3の磁気マーカを示す斜視図。 実施例2における、マーカ棒の説明図。 実施例2における、マーカ棒から磁気マーカを切り出す様子の説明図。 実施例2における、マーカ棒の先端を収容孔に差し入れた状態の説明図。 実施例2における、マーカ棒の先端の磁気マーカを分離する手順その1の説明図。 実施例2における、マーカ棒の先端の磁気マーカを分離する手順その2の説明図。 実施例2における、マーカ棒の先端の磁気マーカを切り離して収容孔に配置する手順の説明図。
(実施例1)
本例は、車両に取り付けられた磁気センサ(図示略)で検出できるように道路3に配設され、運転者による車両の運転操作の支援、あるいは運転者の操作に依らない自動運転を実現するための車両側の制御を実現するための磁気マーカ1の例である。この内容について、図1~図9を参照して説明する。
本例の磁気マーカ1は、埋設型の磁気マーカであり、路面3Sに設けられた深さ30mmの収容孔30に収容された状態で配設(埋設)される。磁気マーカ1は、直径30mm、高さ20mmの柱状を呈する。収容孔の深さ30mmに対して、磁気マーカ1の高さが20mmであるので、収容孔30に配置された磁気マーカ1の上面は、路面から10mmほど奥まった位置となる。収容孔30には、磁気マーカ1を収容した後、アスファルトや樹脂材料等の高分子材料が充填される。これにより、磁気マーカ1の上面側には、アスファルトや樹脂材料等によりなる蓋31が形成される。
アスファルト等で舗装された道路3の断面構造は、図示は省略するが、大まかに、土を押し固めた路床、砕石やクラッシャランなどの粒状材料による路盤、加熱アスファルト混合物よりなる表層、という三層構造を呈する。加熱アスファルト混合物は、粗骨材331、細骨材332、フィラーおよびアスファルトが加熱状態で混合されたアスファルト混合物である。表層の層厚は、例えば10cm程度である。
粗骨材331は、例えば、粒径2.5~5mmの砕石である。細骨材332は、例えば、2.36mmのふるいを通過し、0.075mmのふるいに留まる骨材である。細骨材332は、例えば、0.075~2.36mmの粒径の砂である。図示を省略するフィラーは、0.075mmふるいを通過する鉱物質粉末である。フィラーは、例えば、石灰岩を粉末にした石粉である。
道路の舗装は、経年に応じて、ポットホールなどの傷みが不可避である。ポットホールは、加熱アスファルト混合物からなる表層の一部が路面から剥離して起こる穴である。ポットホールは、例えば、表層をなす加熱アスファルト混合物中の粗骨材331同士の連結構造が損なわれて生じる。
磁気マーカ1(図1)は、直径30mm、高さ20mmの柱状の永久磁石である。磁気マーカ1をなす磁石は、磁性材料である酸化鉄の磁粉を基材である高分子材料中に分散させた等方性フェライトプラスチックマグネットである。この磁石は、最大エネルギー積(BHmax)=12kJ/立方mという磁気的な特性を備えている。なお、磁石をなす高分子材料としては、例えば、アスファルト、ゴム、PPS(Poly Phenylene Sulfide)、ナイロン66、ナイロン12等を例示できる。
等方性フェライトプラスチックマグネットは、磁性材料が酸化鉄であるため腐食に強く、金属製のケース等に収容する必要がない。それ故、本例の磁気マーカ1は、磁石そのものであっても良い。必要に応じて磁石の外周面に適宜、コーティング層を設けても良い。磁気マーカ1は、路面3Sに設けた収容孔30に直接、収容可能である。
磁気マーカ1は、表面の磁束密度が45mT(ミリテスラ)であって、高さ250mmに到達する磁束密度が8μT程度の磁石である。なお、高さ250mmは、車両における磁気センサの取付高さの想定範囲のうちの上限に当たる高さの一例である。
本例の磁気マーカ1は、外部から作用する力に応じた応力の均一性が損なわれて応力が集中する箇所が生じる形状を有する柱状の永久磁石である点に特徴を有する。この磁気マーカ1は、応力集中が生じるため、外部から力が作用したときの応力が均一性高く生じる磁気マーカと比べて破断し易く、複数の小片に分離し易くなっている。
一般に、物体における応力集中は、断面積が急変する箇所で生じる傾向にある。外部から力が作用したときに応力が集中すれば、物体の構成材料の材料的な強度を超える過大な応力が発生し易くなる。当然ながら、断面積が急変する箇所がなく、外部から力が作用したときに均一性高く応力が発生し、応力の最大値が抑制される物体と比べて、応力が集中する箇所を有する物体は破断が生じ易い。
仮に、磁気マーカが路面3Sに転がり出たときに一体のままであると、ポットホール等の発生に応じて磁気マーカ1が一体的に道路から脱落すれば、磁気マーカ1の磁気的な機能が一気に失われることになる。複数の小片に分離可能な構造を備える本例の磁気マーカ1であれば、ポットホール等の拡大に応じて一部を分離でき、残りの一部が道路側に残存できる可能性がある。そのため、磁気マーカ1は、その磁気的な機能をある程度、維持できる可能性が高い。
このように本例の磁気マーカ1は、周囲に磁気を作用するという磁気マーカの機能が一気に失われるおそれが低減された優れた特性の磁気マーカである。本実施例では、このような特性を備える磁気マーカ1を複数種類、例示する。
(第1の磁気マーカ)
第1の磁気マーカ1は、図2及び図3に示す磁気マーカである。図2は、磁気マーカ1の外観を示す斜視図である。図3は、柱状の中心軸を含む断面の構造を示す断面図である。同図の断面は、図2中のA-A線の断面である。第1の磁気マーカ1は、永久磁石である等方性フェライトプラスチックマグネットを柱状に成形した中間加工品(図示略)を作製した後、その外周面にスリット加工を施したものである。
このスリット加工では、例えばレーザー加工によって、柱状の軸方向に直交する円環状のスリット101が複数、一定の間隔を空けて設けられる。溝の一例をなすスリット101の幅は、例えば0.1~0.2mmという微細なものである。円環状のスリット101の内径は例えば5mmである。この磁気マーカ1では、スリット101の存在により、軸方向に直交する断面積が軸方向において急変する箇所が生じ、この箇所が応力が集中する箇所になっている。
磁気マーカ1は、図3のごとく、円環状のスリット101により区画された磁石シートが複数、積層されたような構造を有している。この磁気マーカ1では、スリット101によって応力が集中する箇所が生じており、スリット101が契機となって亀裂が生じやすい。磁気マーカ1は、スリット101で生じた亀裂、すなわち隙間の拡大により破断し、複数の小片に分離し易くなっている。この磁気マーカ1は、スリット101の存在により破断し易くなっており、前記中間加工品との比較において、複数の小片に分離するために要する力が小さくなっている。
なお、スリット101(図3)の内部に、軟磁性材料の粉末等を充填することも良い。軟磁性材料としては、例えば、鉄、けい素鉄、パーマロイ等を例示できる。充填する軟磁性材料の態様は、磁気マーカ1をなす磁石よりも強度が低く、破断し易い態様であると良い。軟磁性材料に代えて、樹脂材料などの高分子材料を充填しても良い。軟磁性材料は、透磁率が高いため、スリット101を設けたことによる磁気的性能の低下を抑制できる。なお、本例のごとく、0.1~0.2mm程度の隙間であれば、磁気的性能の低下は大きな問題とはならない。隙間がより大きくなり、磁気的性能の低下が大きくなったような場合、スリット101に充填された軟磁性材料の有効性が顕著になる。
スリット101が設けられた外周面に、樹脂材料によるコーティングを施すことも良い。
磁気マーカ1の外周面において開口するスリット101の開口部を覆わないことも良い。この場合には、スリット101内に浸入した水分等の氷結により、スリット101を契機とした破断を促進できる。磁気マーカ1が予め破断していれば、ポットホールの拡大に応じて直ちに一部を分離できる。さらに、発泡樹脂等の多孔性の材料をスリット101に充填することも良い。この場合には、毛細管現象によってスリット101内に水分を吸い上げることで、水分の浸入を促進できる。
なお、例えば、円板状をなすと共に、外周部よりも内周部が厚い図4の磁石シート11を、軸方向に積層して相互に接合することで、図2及び図3と同様の磁気マーカ1を得ることも良い。あるいは、図示は省略するが、一定の厚さの円板と小径の円板とを交互に積層して接合すれば、図2及び図3の磁気マーカと同じ形状の磁気マーカを得ることができる。
図4の磁石シート11を接合するための接着材料あるいは粘着材料として、例えば、時間が経過しても硬化しない接着材料あるいは粘着材料を採用すれば、接合層を介して隣り合う磁石シート11が分離し易くなる。あるいは硬化する一方、接合層の破断が生じやすい接着材料等を採用することも良い。接合層が破断すれば、隣り合う磁石シートの間で亀裂が生じて破断し、磁気マーカ1が複数の小片に分離し易くなる。
なお、接着材料は、使用前は液体で、経時変化により個体となる狭義の接着材料である。粘着材料は、液体と固体の両方の性質を有し、半固形で粘性を持つ粘着材料である。広義の接着材料の概念に、狭義の接着材料および粘着材料が含まれると考えることもできる。
接着材料あるいは粘着材料としては、例えば、接合直後には比較的強度が高い一方、経時変化等により、接合強度が次第に低下する接着材料等を採用することも良い。また、例えば、何らかの解体因子を有し、解体因子を活性化させる解体操作により接合力が低下したり剥離する特性を有する解体性接着材料あるいは解体性粘着材料を採用することも良い。
例えば、粘着界面でのガス発生という解体因子を備えており、紫外線照射という解体操作により接合力を喪失する粘着材料であっても良い。この粘着材料は、例えば、半導体プロセスにおいてダイシングテープと呼ばれる紫外線剥離テープの粘着材料として利用される。例えば、吸水性樹脂の膨張という解体因子を備え、水浸漬といった解体操作により接合力が低下する吸水性樹脂混入接着材料であっても良い。例えば、マイクロカプセルの膨張という解体因子を備え、加熱によって接合力が低下する熱膨張性マイクロカプセル混入粘着材料であっても良い。例えば、軟化・溶融という解体因子を備えており、加熱という解体操作によって接合力が低下する熱硬化・熱可塑性接着材料であっても良い。例えば、粘着材料の脆性化という解体因子を備えており、加熱、紫外性照射によって脆性化し接合力が低下する粘着材料であっても良い。例えば、加水分解という解体因子を備えており、水分の供給という解体操作により接合力が低下する加水分解性の接着材料あるいは粘着材料であっても良い。接着材料の吸湿及び軟化・溶融という解体因子を備えており、温水浸漬によって接合力が低下する吸湿剥離接着材料であっても良い。例えば、軟化・溶融という解体因子を備えており、電磁誘導加熱によって接合力が低下する電磁誘導・熱可塑性接着材料であっても良い。例えば、力学的破壊という解体因子を備えており、垂直負荷を作用するという解体操作により接合力が低下する易剥離接着材料であっても良い。例えば、力学的破壊という解体因子を備えており、せん断負荷の作用という解体操作により接合力が低下する粘着材料であっても良い。
また、例えば、生分解性の接着材料あるいは粘着材料を採用することも良い。自然界の中で分解する生分解性の接着材料等を利用すれば、磁気マーカ1の埋設後に接合力を次第に低下させることができる。さらに、生分解性の接着材料等であれば、磁気マーカ1の廃棄が容易になり、磁気マーカ1の廃棄に要するコストを低減できる。
収容孔30(図1参照。)に磁気マーカ1を収容した後、アスファルト等や樹脂材料等の高分子材料を収容孔30に充填すれば、その高分子材料によって磁気マーカ1の形状が保持され得る。そのため、経時的に接合層の接合力が失われても、収容孔30に磁気マーカ1が留まる限り、磁気マーカ1が複数の小片に分離することなく、一体の状態が保持され得る。
(第2の磁気マーカ)
第2の磁気マーカ1は、図5及び図6に示す磁気マーカである。図5は、磁気マーカ1の外観を示す斜視図である。図6は、磁気マーカ1の軸方向に直交する断面図である。同図の断面は、図5におけるB-B線による輪切りの断面である。この磁気マーカ1では、中心軸と交差する径方向の横孔102(孔の一例。)が複数、穿設されている。この磁気マーカ1は、例えば、等方性フェライトプラスチックマグネットを柱状に成形した中間加工品を作製した後、径方向に貫通する横孔102を多数、設けたものである。
横孔102は、例えばレーザー加工による直径0.5~1.0mm程度の微細な孔である。横孔102は、円柱状の磁気マーカ1の中心軸と交差し、径方向に貫通している。横孔102は、磁気マーカ1の軸方向における2mmおきの9か所の断面(以下、横孔102の形成面という。)に沿っている。両端の形成面は、それぞれ、磁気マーカ1の端面から軸方向に1mm離れて位置している。磁気マーカ1における各形成面では、例えば周方向、16分割の等間隔(角度22.5度の等間隔)で複数の横孔102が穿設されている(図6参照。)。
なお、形成面は、9か所よりも多い箇所であっても良く、少なくても良い。形成面は、不等間隔であっても良い。また、形成面における横孔102の周方向の間隔についても、16分割よりも細かくても良く、粗くても良い。横穴102の周方向の間隔は不等間隔であっても良い。
図5及び図6の磁気マーカ1は、隙間の一例をなす横孔102の形成面において亀裂が生じ易く、複数の小片に分離可能な構造を有する。この磁気マーカ1は、横孔102の形成面を介して磁石シートが積層されたごとき磁気マーカである。この磁気マーカ1では、横孔102の形成面の存在により強度が低下している。磁気マーカ1は、隙間である横孔102の拡大により形成面を介して隣り合う小片が分離する。この磁気マーカ1は、横孔102が設けられた形成面の存在により、上記の中間加工品よりも破断し易く小片に分離し易くなっている。図5及び図6の磁気マーカ1では、軸方向における前記形成面のところで、軸方向に直交する断面積が急激に減少しており、応力が集中する箇所が生じている。
なお、横孔102の内部に、軟磁性材料を充填することも良い。軟磁性材料の態様は、磁気マーカ1をなす磁石よりも強度が低く、破断し易い態様であると良い。軟磁性材料に代えて、樹脂材料などの高分子材料を充填しても良い。
横孔102が開口する外周面に、樹脂材料によるコーティングを設けることも良い。
なお、図7に示すように、横孔102に代えて、軸方向に貫通する縦孔103を設けることも良い。例えば、縦孔103は、磁気マーカ1の中心軸を含む平面に沿って複数、形成されている。磁気マーカ1では、このように縦孔103が沿う平面が、周方向における45度の等間隔で設けられている。磁気マーカ1の端面では、縦孔103の開口が放射状に配置されている。同図の磁気マーカ1では、隙間の一例をなす縦孔103の形成面(上記の平面。)により区画された断面扇形状の柱状領域が形成されている。図7の磁気マーカ1では、周方向における前記縦孔103が形成された平面のところで、中心軸を含む平面の断面積が急激に減少する箇所が生じており、これにより応力が集中する箇所が生じている。
なお、横孔102(図5及び図6)に加えて縦孔103(孔の一例。図7参照。)を設けることも良い。本例では、横孔102及び縦孔103として、貫通孔を例示しているが、貫通していない有底の孔であっても良い。隙間の一例をなす孔を設けた磁気マーカは、孔の存在により強度が低下しており破断し易くなっている。この磁気マーカは、破断によって複数の小片に分離可能な構造を有する。
なお、横孔102及び縦孔103の開口部分の取り扱いについては、前記第1の磁気マーカ1におけるスリット101の場合と同様である。外部に開口したままとしても良い。
(第3の磁気マーカ)
図8の磁気マーカ1は、断面扇形状の柱状の複数の磁石領域13に区分されるよう、径方向のスリット131を設けた磁気マーカである。スリット131は、径方向及び軸方向により規定される平面に沿うように形成され、径方向における磁気マーカ1の中心部1Cを避けて形成されている。それ故、断面扇形状の複数の磁石領域13は、パイナップルの芯のごとき中心部1Cを介して相互に連結されている。
この磁気マーカ1では、断面扇形状の磁石領域13が中心部1Cに接続されているのみであり、周方向において隣り合う磁石領域13はスリット131を介して隣り合っており、相互に接続されていない。すなわち、図8の磁気マーカ1では、スリット131の存在により、中心軸を含む径方向の断面積が周方向において急変する箇所があり、この箇所において応力が集中する。
なお、前記の磁気マーカの中心部1Cに相当する磁石棒を用意し、磁石棒に対して磁石領域13をなす磁石片を接合して、図8の磁気マーカ1と同様の磁気マーカを形成することも良い。
スリット131には、軟磁性材料を充填することも良い。軟磁性材料の態様は、磁気マーカ1をなす磁石よりも強度が低く、破断し易い態様であると良い。軟磁性材料に代えて、樹脂材料などの高分子材料を充填しても良い。スリット131が開口する外周面に、樹脂材料によるコーティングを設けることも良い。
さらに、図9のごとく、図8の磁石領域13と同様の形状の領域を複数のスリット132により輪切りし、複数の磁石領域135に分割することも良い。柱状の磁気マーカ1全体では、スリット132が中心部1Cを残して円環状をなしている。ピザの一片のような扇形状をなす磁石領域135は、中心部1Cに連結して保持されている。
以上のように、本例の磁気マーカ1は、外部から作用する力に応じた応力の均一性が損なわれて応力が集中する箇所が生じる形状を有する柱状の永久磁石である。この磁気マーカ1では、施工対象の舗装をなす舗装材料よりも低脆性となるように応力が集中する箇所が設けられている。この磁気マーカ1であれば、舗装が傷んでポットホールが生じたとき、ポットホールの拡がりに応じて応力集中が生じて破断し易く、一部を分離できる可能性がある。それ故、ポットホールが近くで生じた場合であっても、磁気マーカ1の一部が道路側に残存できる可能性が高くなっており、磁気マーカ1の磁気的な機能をある程度、維持できる可能性がある。
また、舗装の表層をなす粗骨材331が、例えば、粒径2.5~5mmである一方、磁気マーカ1の大きさは直径30mm高さ20mmである。仮に磁気マーカが一体的であると、ポットホールが生じたとき、粗骨材331よりも大きなサイズの磁気マーカが路面に転がり出る可能性がある。一方、複数の小片に分離可能な構造を有する本例の磁気マーカ1であれば、一体のままで路面に転がり出るおそれが少ない。この磁気マーカ1は、複数の小片に分離可能であるため、粗骨材331とサイズ的に同等、あるいはサイズ的により小さな小片となって路面に転がり出るのみである。
なお、本例では、断面円形状の柱状の磁気マーカを例示している。断面形状は、円形状に限定されない。三角形状、四角形状、五角形状等の断面形状を有する柱状の磁気マーカであっても良い。
(実施例2)
本例は、複数の小片に分離可能な構造を活用し、複数の磁気マーカを一体的に取り扱い可能とした態様の例である。本例は、実施例1の磁気マーカ1が複数、連結されたマーカ棒1Rに関する。この内容について、図10~図12(d)を用いて説明する。
マーカ棒1R(図10)は、2つの磁気マーカ1を軸方向に連結する連結面100を有し、全体として、複数の磁気マーカ1により構成されている。連結面100における2つの磁気マーカ1の連結強度は、個々の磁気マーカ1を小片に分離するのに要する強度よりも小さく設定されている。
例えば図11に示すごとく、縁から先端が突き出すようにマーカ棒1Rを作業台105に載置し、その先端に直交方向の力を作用すれば、連結面100が切断面となってマーカ棒1Rから磁気マーカ1を切り出しできる。作業台105の縁からの先端の突き出し量を、磁気マーカ1の高さ(全長)を若干超える程度に設定しておけば、磁気マーカ1を1個ずつ効率的に切り出しできる。
マーカ棒1Rを利用し、例えば図12(a)~(d)に示すごとく、収容孔30に磁気マーカ1を1個ずつ収容することも良い。直径38mm深さ30mmの収容孔30に、マーカ棒1Rの先端を例えば13~18mm程度(磁気マーカ1の高さ寸法以下。)、差し入れた状態で(図12(a))、マーカ棒1Rの後端側を回動させれば(図12(b))、1個の磁気マーカ1を容易に分離できる(図12(c))。このようにしてマーカ棒1Rから分離された磁気マーカ1は、自重により収容孔30の底に落下して収容される(図12(d))。
例えば、実施例1中の第2の磁気マーカ1であれば、横孔(図5中の符号102)と同様の横孔を連結面100に穿設すると良い。この磁気マーカ1における横孔が周方向16分割で形成されているのに対して、連結面100では、周方向32分割等、より多い分割数で横孔を形成すると良い。この場合には、磁気マーカ1における横孔の形成面よりも連結面100の強度を小さくできる。
なお、連結面100の強度を抑制することは、必須の構成ではない。マーカ棒1Rから磁気マーカ1を1個ずつ切り出すための治具等を利用すると良い。治具等を利用すれば、軸方向における破断強度が略一定であるマーカ棒1Rから効率良く磁気マーカ1を切り出しできる。
なお、その他の構成及び作用効果については、実施例1と同様である。
以上、実施例のごとく本発明の具体例を詳細に説明したが、これらの具体例は、特許請求の範囲に包含される技術の一例を開示しているにすぎない。言うまでもなく、具体例の構成や数値等によって、特許請求の範囲が限定的に解釈されるべきではない。特許請求の範囲は、公知技術や当業者の知識等を利用して前記具体例を多様に変形、変更あるいは適宜組み合わせた技術を包含している。
1 磁気マーカ
1R マーカ棒
100 連結面
101 スリット(溝、隙間)
102 横孔(孔、隙間)
103 縦孔(孔、隙間)
11 磁石シート
13、135 磁石領域
131、132 スリット
3 道路
3S 路面
30 収容孔
331 粗骨材
332 細骨材

Claims (9)

  1. 車両の運転支援に利用するために道路に配設される磁気マーカであって、
    該磁気マーカは、外部から作用する力に応じた応力の均一性が損なわれて応力が集中する箇所が生じる形状を有する柱状の磁石である磁気マーカ。
  2. 請求項1において、前記応力が集中する箇所は、前記柱状の磁石の外表面にスリット状の溝あるいは孔を穿設することにより設けられる磁気マーカ。
  3. 請求項2において、前記溝あるいは孔は、前記柱状の磁石の軸方向に直交する断面に沿って形成され、前記応力が集中する箇所は、前記溝あるいは孔によって前記軸方向に直交する断面の面積が減少する箇所に形成されている磁気マーカ。
  4. 請求項3において、前記溝は、中心を取り囲む環状をなしており、前記軸方向に沿って複数、並列して設けられている磁気マーカ。
  5. 請求項2~4のいずれか1項において、前記溝あるいは孔は、前記柱状の磁石の軸方向に沿う断面に沿って形成され、前記応力が集中する箇所は、前記溝あるいは孔によって前記軸方向に沿う断面の面積が減少する箇所に形成されている磁気マーカ。
  6. 請求項5において、前記断面は、前記柱状の磁石の中心軸を含む面であって、当該断面が、前記中心軸で交差するように周方向に複数、設けられており、各断面に形成された溝によって前記柱状の磁石が分割されないよう、前記溝が前記中心軸を含む中心部を避けて形成されている磁気マーカ。
  7. 請求項1~6のいずれか1項において、前記応力が集中する箇所は、前記柱状の磁石の外表面に、切り欠き、溝、有底の孔、及び貫通孔、のうちの少なくともいずれかを穿設することにより設けられる磁気マーカ。
  8. 請求項1~7のいずれか1項において、前記磁気マーカは、道路の舗装に埋設されるものであり、施工対象の舗装をなす舗装材料よりも低脆性となるように前記応力が集中する箇所が設けられている磁気マーカ。
  9. 請求項1~8のいずれか1項において、前記柱状の磁石は、高分子材料よりなる基材中に酸化鉄の磁性粉が分散された永久磁石である磁気マーカ。
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