JP2023142473A - 磁気マーカ - Google Patents

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Michiharu Yamamoto
知彦 長尾
Tomohiko Nagao
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Abstract

【課題】路面の穴であるポットホールが発生するなど、舗装が傷んだ際にも磁気マーカの磁気的な機能をある程度、維持できる可能性を有する磁気マーカを提供すること。【解決手段】車線に沿う自動操舵や車線逸脱警報など、車両の運転支援に利用するために路面に埋設される磁気マーカ1は、直径1mmの粒状の複数の磁石10の集合体であって、複数の磁石10のうちの隣り合う磁石10は、発泡樹脂を連結材料として互いに連結されている。【選択図】図3

Description

本発明は、車両の運転を支援するために道路に配設される磁気マーカに関する。
従来、道路に配設された磁気マーカを利用する車両用の磁気マーカシステムが知られている(例えば、特許文献1参照。)。このような磁気マーカシステムは、磁気センサが取り付けられた車両を対象としている。車線に沿って配設された磁気マーカを車両が検出することにより、自動操舵制御や車線逸脱警報等、各種の運転支援が実現される。
特開2019-214844号公報
しかしながら、道路の舗装の劣化が生じたときに磁気マーカが道路から脱落し、磁気マーカの機能が一気に失われるおそれがある。
本発明は、前記従来の問題点に鑑みてなされたものであり、舗装が傷んだ際にも磁気マーカの機能を維持できる可能性を有する磁気マーカを提供しようとするものである。
本発明は、車両の運転支援に利用するために路面に埋設される磁気マーカであって、
該磁気マーカは、複数の磁石の集合体であって、当該複数の磁石が柱状をなすように連結されたものである磁気マーカにある。
本発明の磁気マーカは、柱状をなすように複数の磁石が連結されている集合体である。この磁気マーカは、磁石間の連結が損なわれることにより、複数に分割されて相互に分離し易くなっている。例えば、舗装された路面では、路面のひび割れの進行に応じて、ポットホールと呼ばれる穴が生じることがある。例えば、磁気マーカ近くのポットホールが次第に拡大し、その内周面に磁気マーカが露出するに至ったようなとき、上記のごとく一部を分離できれば、磁気マーカの全体が直ちに道路から脱落するおそれを少なくできる。磁気マーカの一部でも道路側に残れば、磁気マーカが備える磁気的な機能を一部、維持できる。
このように本発明の磁気マーカは、舗装された路面に損傷が生じた場合であっても、磁気的な性能をある程度、維持できる可能性を有するという優れた特性を有する。
実施例1における、道路に配設された磁気マーカを示す説明図。 実施例1における、道路の舗装構造を示す断面図。 実施例1における、磁気マーカの内部構造の説明図。 実施例2における、磁気マーカの内部構造の説明図。 実施例2における、粒状の磁石の断面図。 実施例2における、ガイド部材の説明図。 実施例3における、磁気マーカの内部構造の説明図。 実施例4における、磁気マーカを示す斜視図。 実施例4における、磁気マーカの断面構造の説明図。 実施例4における、他の磁石シートの説明図。 実施例4における、磁石シートの他の接合方法の説明図。 実施例5における、磁気マーカの斜視図。 実施例5における、他の磁気マーカの斜視図。 実施例6における、磁気マーカの斜視図。 実施例7における、磁気マーカの斜視図。 実施例7における、他の磁気マーカの斜視図。 実施例8における、マーカ棒の説明図。 実施例8における、マーカ棒から磁気マーカを切り出す様子の説明図。 実施例8における、マーカ棒の先端を収容孔に差し入れた状態の説明図。 実施例8における、マーカ棒の先端の磁気マーカを分離する手順その1の説明図。 実施例8における、マーカ棒の先端の磁気マーカを分離する手順その2の説明図。 実施例8における、マーカ棒の先端の磁気マーカを切り離して収容孔に配置する手順の説明図。 実施例9における、無線タグを備える磁気マーカの斜視図。 実施例9における、2次アンテナの展開形状の正面図。
(実施例1)
本例は、車両に取り付けられた磁気センサ(図示略)で検出できるように道路3に配設される磁気マーカ1の例である。この磁気マーカ1によれば、運転者による車両の運転操作の支援、あるいは運転者の操作に依らない自動運転を実現するための車両側の制御を実現できる。この内容について、図1~図3を参照して説明する。
本例の磁気マーカ1(図1)は、埋設型の磁気マーカであり、路面3Sに設けられた深さ30mmの収容孔30に収容された状態で配設(埋設)される。磁気マーカ1は、直径30mm、高さ20mmの柱状を呈する。収容孔の深さ30mmに対して、磁気マーカ1の高さが20mmであるので、収容孔30に配置された磁気マーカ1の上面は、路面から10mmほど奥まった位置となる。収容孔30には、磁気マーカ1を収容した後、アスファルトや樹脂材料等の高分子材料が充填される。これにより、磁気マーカ1の上面側には、アスファルトや樹脂材料等によりなる蓋31が形成される。
アスファルト等で舗装された道路3の断面構造(図2)は、大まかに、土を押し固めた路床3C、砕石やクラッシャランなどの粒状材料による路盤3B、加熱アスファルト混合物よりなる表層3A、という三層構造を呈する。加熱アスファルト混合物は、粗骨材331、細骨材332、フィラーおよびアスファルトが加熱状態で混合されたアスファルト混合物である。表層3Aの層厚は、例えば10cm程度である。
表層3Aの粗骨材331は、例えば、粒径2.5~5mmの砕石である。細骨材332は、例えば、2.36mmのふるいを通過し、0.075mmのふるいに留まる骨材である。細骨材332は、例えば、0.075~2.36mmの粒径の砂である。図示を省略するフィラーは、0.075mmのふるいを通過する鉱物質粉末である。フィラーは、例えば、石灰岩を粉末にした石粉である。
道路3の舗装は、経年に応じて、ポットホールなどの傷みが不可避である。ポットホールは、加熱アスファルト混合物からなる表層3Aの一部が路面3Sから剥離して起こる穴である。ポットホールは、例えば、表層3Aをなす加熱アスファルト混合物中の粗骨材331同士の連結構造が損なわれて生じる。
磁気マーカ1(図3)は、直径1mm程度の粒状の磁石10(以下、単に磁石10という。)が成形材料中に分散配置された略円柱状の成形品である。つまり、この磁気マーカ1は、複数の粒状の磁石10の集合体であって、成形材料を連結材料として、複数の磁石10が全体として柱状をなすように連結されたものである。上記のごとく、磁気マーカ1の外寸は、直径30mm、高さ20mmである。磁気マーカ1は、成形後に着磁され、これにより、各磁石10の磁極の向きが一定をなしている。なお、図3は、柱状の磁気マーカ1の中心軸を含む断面を示す斜視図である。
磁石10は、磁性材料である酸化鉄の磁粉を、基材をなす高分子材料中に分散させた等方性フェライトプラスチックマグネットである。高分子材料は、例えばナイロン12である。高分子材料としては、ナイロン12のほか、例えば、ゴム、PPS(Poly Phenylene Sulfide)、ナイロン66等を採用することも良い。
この磁石10は、最大エネルギー積(BHmax)=12kJ/立方mという磁気的な特性を備えている。永久磁石である等方性フェライトプラスチックマグネットは、磁性材料が酸化鉄であるため腐食に強い。それ故、この磁石10を含む磁気マーカ1は、腐食による磁力低下のおそれが少なく、路面3Sに設けた収容孔30に直接、収容可能である。
磁気マーカ1をなす成形材料は、樹脂材料の一例であるポリスチレンである。磁気マーカ1は、例えば、ポリスチレンと炭化水素系の発泡剤からなる原料ビーズを1次発泡させた材料中に粒状の磁石10を混合し、図示しない金型に充填して柱状に成形することで作製できる。本例の磁気マーカ1では、多孔性の発泡体の一例をなす発泡スチロール(発泡プラスチック、発泡樹脂)により、粒状の磁石10の間隙をなす磁石間領域100が形成されている。つまり、磁気マーカ1では、発泡スチロールを連結材料として、隣り合う粒状の磁石10が連結された状態にある。連結材料としての発泡スチロールは、等方性フェライトプラスチックマグネットである磁石10よりも低脆性である。磁気マーカ1に対して過大な外力が作用したとき、連結材料である発泡スチロールが破断し、これにより、磁気マーカ1が複数の小片に分離し分解し得る。
本例の磁気マーカ1は、表面の磁束密度が45mT(ミリテスラ)であって、高さ250mmに到達する磁束密度が8μT程度という磁気的な特性を有する。なお、高さ250mmは、車両における磁気センサの取付高さの想定範囲のうちの上限に当たる高さの一例である。
本例の磁気マーカ1は、磁石間領域100が、発泡スチロールによって形成された多孔性の領域である点に技術的特徴のひとつを有する。発泡スチロールは、舗装材料よりも破壊強度が低く、比較的容易に破断し得る。このように本例の磁気マーカ1は、粒状の磁石10の間隙の領域100をなす発泡スチロールの破断により、小片に分離し易いという特徴を有する。
仮に、磁気マーカ1が路面3Sに転がり出たときに一体のままであると、ポットホール等の拡大に応じて磁気マーカ1が一体的に道路から脱落してしまい、磁気マーカ1の磁気的な機能が一気に失われることになる。複数の小片に分離可能な構造を備える本例の磁気マーカ1であれば、ポットホール等の拡大に応じて一部を分離でき、残りの一部が道路側に残存できる可能性がある。そのため、磁気マーカ1は、その磁気的な機能をある程度、維持できる可能性が高い。
なお、本例では、直径1mmの粒状の磁石10が分散配置された磁気マーカ1を例示している。粒状の磁石10の大きさは、0.2mm以上3.0mm以下とすると良い。粒状の磁石10として、直径1mmの球体状の磁石を例示したが、直方体形状や立方体形状の粒状であっても良いし、例えば金平糖のように複数の突起を有する粒状であっても良い。粒状の磁石10の大きさは様々であっても良い。さらに、磁石10は、粉状であっても良く、不定形の小片状であっても良い。
成形材料は、本例のポリスチレンに代えて、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリウレタンなどの樹脂材料を採用することも良い。本例の磁気マーカ1と同様、これらの樹脂材料よりなる発泡樹脂(発泡体)中に、磁石10が分散配置されていれば良い。例えば、粒状の磁石10が予め充填された金型内に、ポリウレタン原液を流し込み、発泡させることも良い。これにより、発泡体の一例をなすポリウレタンフォーム中に磁石10が分散する磁気マーカを得ることができる。なお、発泡体をなす樹脂材料として、分解性の材料を採用することも良い。
粒状の磁石10は、本例の等方性フェライトプラスチックマグネットに代えて、フェライトラバーマグネットや、焼結磁石であっても良い。
なお、本例では、断面円形状の柱状の磁気マーカを例示している。断面形状は、円形状に限定されない。三角形状、四角形状、五角形状等の断面形状を有する柱状の磁気マーカであっても良い。
(実施例2)
本例は、実施例1の磁気マーカ1に基づき、粒状の磁石10が集合する態様を変更した例である。この内容について、図4~図6を参照して説明する。
本例の磁気マーカ1は、実施例1と同様、直径1mmの粒状の磁石10の集合体である(図4)。この磁気マーカ1では、粒状の磁石10同士が外接する箇所で相互に接着され、全体として柱状の外形状が実現されている。なお、図4中の破線が、略円柱状の外形状を示している。
磁石10を相互に接合する接着材料として、本例では、高分子材料であるアスファルトを採用している。磁気マーカ1における接着材料は、隣り合う磁石10の間隙に所在し、隣り合う磁石10を連結する連結材料の一例となっている。接着材料としてのアスファルトは、球体状をなす粒状の磁石10の外周面を覆うように配置されている一方、隣接する粒状の磁石10の間隙には満たされていない。これにより、隣接して隣り合う粒状の磁石10の間隙に、孔108を含む磁石間領域100が形成されている。
ここで、本例の磁気マーカ1の作製方法の一例を示す。アスファルトよりなるコーティング層107を外周面に設けた直径1mmの略球状の磁石10(図5)を、直径30mm、深さ20mmの空間を有する図示しない型内に充填した後、加熱してアスファルトを軟化させる。型内の磁石10は、相互に外接する箇所において軟化アスファルトにより接着されて接合され、これにより直径30mm、高さ20mmの柱状をなすように連結される。
本例の磁気マーカ1では、略球状の磁石10が相互に外接する一方、隣り合う磁石10の間に隙間が生じて孔108が形成されている。この磁気マーカ1では、隣り合う磁石10が互いに接触して接着されている面積が少ない。そのため、磁気マーカ1は破断し易く、小片に分離し易くなっている。
アスファルトは、路面の舗装材料でもある。路面の舗装では、隣接する骨材の間隙がアスファルトによって満たされている。一方、本例の磁気マーカ1は、骨材に代わる粒状の磁石10の間隙にアスファルトが満たされておらず孔108が形成された状態にある。それ故、磁気マーカ1は、アスファルトよりなる舗装よりも低脆性であり、破壊強度が低くなっている。
磁石10として、基材をなすアスファルト中に磁粉を分散させた粒状の磁石を採用しても良い。この場合には、磁石10を加熱することで、磁石10の外周を軟化させることができ、これにより隣り合う磁石10同士を接着できる。
有底筒状のガイド部材111(図6)を用意し、ガイド部材111の内部に、粒状の磁石10を充填し、その後、加熱することも良い。加熱により磁石10が相互に接着された後、ガイド部材111を取り外しても良いし、そのまま、磁気マーカ1の一部としても良い。
本例では、磁石10同士を接着させるための接着材料としてアスファルトを例示している。接着材料は、アスファルトに限定されない。ゴム、PPS(Poly Phenylene Sulfide)、ナイロン66、ナイロン12等を採用することも良い。
なお、その他の構成及び作用効果については実施例1と同様である。
(実施例3)
本例は、実施例1の磁気マーカに基づき、成形材料を変更した例である。この内容について、図7を参照して説明する。
本例は、磁気マーカ1の成形材料として、経時変化によって分解する分解性の材料を採用した例である。この磁気マーカ1では、磁石10の間隙をなす磁石間領域100が分解性の材料によって満たされている。磁石間領域100は、分解性の材料が経時変化により分解して孔や亀裂が形成され得る領域となっている。当然に、磁石間領域100の成形材料が分解して孔や亀裂が生じれば、磁気マーカ1自体の破壊強度が低下する。
経時変化によって分解する分解性の材料としては、例えば、熱、光、水のうちの少なくともいずれかの作用により分解する高分子材料や、自然界において微生物の関与により低分子化合物に分解される生分解性材料、などがある。
さらに、磁気マーカ1の成形材料として、当初は強度が高い一方、経時変化等により、強度が次第に低下する接着材料や粘着材料等を採用することも良い。ここで、接着材料は、使用前は液体で、経時変化により個体となる狭義の接着材料である。粘着材料は、液体と固体の両方の性質を有し、半固形で粘性を持つ粘着材料である。広義の接着材料の概念に、狭義の接着材料および粘着材料が含まれると考えることもできる。
接着材料あるいは粘着材料としては、例えば、接合直後には比較的強度が高い一方、経時変化により、接合強度が次第に低下する接着材料等を採用することも良い。また、例えば、何らかの解体因子を有し、解体因子を活性化させる解体操作により接合力が低下したり剥離する特性を有する解体性接着材料あるいは解体性粘着材料を採用することも良い。磁石間領域100の接着材料等の接合力等が低下すれば、隣り合う磁石10間の結合が弱くなり亀裂等が生じ易くなる。
例えば、粘着界面でのガス発生という解体因子を備えており、紫外線照射という解体操作により接合力を喪失する粘着材料であっても良い。この粘着材料は、例えば、半導体プロセスにおいてダイシングテープと呼ばれる紫外線剥離テープの粘着材料として利用される。例えば、吸水性樹脂の膨張という解体因子を備え、水浸漬といった解体操作により接合力が低下する吸水性樹脂混入接着材料であっても良い。例えば、マイクロカプセルの膨張という解体因子を備え、加熱によって接合力が低下する熱膨張性マイクロカプセル混入粘着材料であっても良い。例えば、軟化・溶融という解体因子を備えており、加熱という解体操作によって接合力が低下する熱硬化・熱可塑性接着材料であっても良い。例えば、粘着材料の脆性化という解体因子を備えており、加熱、紫外性照射によって脆性化し接合力が低下する粘着材料であっても良い。例えば、加水分解という解体因子を備えており、水分の供給という解体操作により接合力が低下する加水分解性の接着材料あるいは粘着材料であっても良い。接着材料の吸湿及び軟化・溶融という解体因子を備えており、温水浸漬によって接合力が低下する吸湿剥離接着材料であっても良い。例えば、軟化・溶融という解体因子を備えており、電磁誘導加熱によって接合力が低下する電磁誘導・熱可塑性接着材料であっても良い。例えば、力学的破壊という解体因子を備えており、垂直負荷を作用するという解体操作により接合力が低下する易剥離接着材料であっても良い。例えば、力学的破壊という解体因子を備えており、せん断負荷の作用という解体操作により接合力が低下する粘着材料であっても良い。
また、例えば、生分解性の材料を、磁気マーカの成形材料として採用することも良い。さらに、生分解性の接着材料あるいは粘着材料を採用することも良い。自然界の中で分解する生分解性の接着材料等を利用すれば、磁気マーカ1の埋設後に接合力を次第に低下させることができる。さらに、生分解性の接着材料等であれば、磁気マーカ1の廃棄が容易になり、磁気マーカ1の廃棄に要するコストを低減できる。
なお、その他の構成及び作用効果については実施例1と同様である。
(実施例4)
本例は、実施例1の磁気マーカに基づき、磁気マーカ1を構成する磁石の形状を変更した例である。磁気マーカ1の外形状や敷設態様については、実施例1と共通である。この内容について、図8~図11を参照して説明する。
本例の磁気マーカ1は、図8及び図9に示す磁気マーカである。図8は、磁気マーカ1の外観を示す斜視図である。図9は、柱状の中心軸を含む断面の構造を示す断面図である。同図の断面は、図8中のA-A線の断面である。
本例の磁気マーカ1(図8)は、直径30mmの円板状の磁石シート(磁石片の一例。)11が、接着材料あるいは粘着材料を利用して積層された柱状の磁気マーカである。つまり、本例の磁気マーカ1は、円板状の永久磁石である磁石シート11の集合体である。この磁気マーカ1は、実施例1の磁気マーカと同様、直径30mm、高さ20mmの柱状の外形状を呈する永久磁石である。磁石シート11は、磁性材料である酸化鉄の磁粉を基材である高分子材料中に分散させた等方性フェライトラバーマグネットを、シート状に形成したものである。なお、この磁気マーカ1の磁気的な性能は、実施例1の磁気マーカとほぼ同様である。なお、等方性フェライトプラスチックマグネットよりなる磁石シートを積層することも良い。
磁気マーカ1(図8及び図9)では、隣り合う磁石シート11間の隙間に、接着材料あるいは粘着材料等による接合層12が形成されている。接着材料あるいは粘着材料として、例えば、時間が経過しても硬化しない接着材料あるいは粘着材料を採用すれば、接合層12を介して隣り合う小片が分離し易くなる。あるいは硬化する一方、接合層12の破断が生じやすい接着材料等を採用することも良い。接合層12が破断すれば、隣り合う磁石シート11の間で亀裂が生じて破断し、磁気マーカ1が複数の小片に分離し易くなる。接着材料あるいは粘着材料としては、実施例2や実施例3で例示した材料を採用できる。
磁気マーカ1の収容孔(図1中の符号30。)に磁気マーカ1を収容した後、アスファルト等や樹脂材料等の高分子材料を収容孔30に充填すれば、その高分子材料によって磁気マーカ1の形状が保持され得る。そのため、経時的に接合層12の接合力が失われても、収容孔30に磁気マーカ1が留まる限り、磁気マーカ1が複数の小片に分離することなく、一体の状態が保持され得る。
なお、図8の磁気マーカ1を構成する磁石シート11の表面に、図10のごとく、凹状の溝112を格子状に設けることも良い。この磁石シート11は、凹状の溝112が切れ目となって細分化され易くなっている。この磁石シート11を積層した磁気マーカは、接合層12に加えて、各磁石シート片の溝112が切れ目となり、複数の小片に分離し易くなる。また、図8の磁石シート片を積層するに当たっては、凹状の溝112以外の表面にのみ、あるいは凹状の溝112のみ、に接着材料等を塗布することも良い。この場合には、隣り合う磁石シート11間の接合面積を抑制でき、接合強度を低下させることができる。
図11のごとく、磁石シート11の表面のうち、同図中、ドットハッチで示すX字状の領域113のみに接着材料等を塗布することも良い。この場合には、隣り合う磁石シート片間の接合面積を抑制することで、磁気マーカ1が複数の小片に分離し易くなる。
さらに、接着材料等を省略することも良い。隣り合う磁石シート11の間に生じる磁気的な吸着力によって磁気マーカ1の積層状態が保持され得る。磁気マーカ1を構成する磁石シート11は、片面がN極であり片面がS極である。隣り合う磁石シート11は、N極の表面とS極の表面とが対面する状態で積層される。そのため、隣り合う磁石シート11は、互いに磁気的に吸着される。永久磁石である各磁石シート11の磁力により、複数の磁石シート11が磁気的に相互に連結している集合体が、磁気マーカであっても良い。
なお、その他の構成及び作用効果については実施例1と同様である。
(実施例5)
本例の磁気マーカ1は、実施例4に基づき、磁石シート(磁石片の一例。)11の積層状態を保持するためのガイド部材を採用した磁気マーカである。この内容について、図12及び図13を参照して説明する。
図12の磁気マーカ1は、実施例4の磁気マーカと同様の磁石シート11の積層状態が、軸方向(所定の方向の一例。)に延在する円筒状のガイド部材115によって保持されたものである。ガイド部材115は、例えば、シート状の紙、アルミ箔などの金属箔、あるいは樹脂フィルムなどを円筒状に巻いたものである。ガイド部材115は、高強度のものよりも、ある程度、破れ易いものが好ましい。ガイド部材115が破れる等、破断することで、磁気マーカ1が複数の小片に分離し易くなる。なお、磁気マーカ1において隣り合う2片の磁石シート11は、接合力の弱い接着材料等を利用して相互に接合されていても良く、磁石シート11の磁力のみによって互いに吸着していても良い。
円筒状のガイド部材115は、磁石シート11が積層された柱状体の外周面に形成されたモールド層であっても良い。モールド層は、例えば、アスファルトや樹脂材料などの高分子材料よりなる層である。樹脂材料としては、例えば、ゴム、PPS(Poly Phenylene Sulfide)、ナイロン66、ナイロン12等を例示できる。なお、磁石シート11は、図9に例示するものであっても良い。ガイド部材115は、水や湿気等の水分や熱の作用により溶ける等、その形状が失われるものであっても良い。
ガイド部材115の一例をなすモールド層は、図13のごとく、軸方向に延在するものであれば良く、円筒状を呈することは必須ではない。同図のごとく、円柱状の磁気マーカ1の外周面のうち周方向の複数箇所に、軸方向に延在する短冊状のモールド層116を設けることも良い。このようなモールド層116は、磁石シート11の積層状態を保持するのに有効である。図13のモールド層116に代えて、紙、アルミ箔などの金属箔、樹脂フィルムなどの短冊状のテープを利用することも良い。モールド層あるいはテープは、強度の高いものよりも、破断し易いものが好適である。モールド層116は、水や湿気等の水分や熱の作用により溶ける等、その形状が失われるものであっても良い。
なお、その他の構成及び作用効果については、実施例4と同様である。
(実施例6)
本例は、実施例4に基づき、磁石シート(磁石片の一例。)11の積層状態を保持するための軸状のガイド部材117を採用した磁気マーカの例である。この内容について、図14を参照して説明する。
図14の磁気マーカ1は、中心に小孔が設けられた円板状の磁石シート11が、軸方向(所定の方向の一例。)に延在する棒状のガイド部材117により保持されたものである。磁石シート11は、中心の小孔を除いて実施例4の磁気マーカの磁石シートと同様である。棒状のガイド部材117は、例えば、紙や木材の棒のほか、高分子材料を棒状に固めたものであっても良い。
ガイド部材117としての紙や木材の棒は、細かったり、軸方向の複数箇所に切れ目が設けられているなど、折れ易いものが良い。高分子材料よりなる棒としては、アスファルトが固まった棒であっても良く、ゴム、PPS(Poly Phenylene Sulfide)、ナイロン66、ナイロン12等の樹脂材料よりなる棒であっても良い。折れ易い材料や、太さを選定すると良い。ガイド部材117は、水や湿気等の水分や熱の作用により溶ける等、その形状が失われるものであっても良い。さらに、ガイド部材117は、細長く、磁極が両端に配置された磁石の棒であっても良い。
なお、その他の構成及び作用効果については、実施例4と同様である。
(実施例7)
本例の磁気マーカ1は、断面扇形状の柱状の磁石片13を、他の実施例と同様の円柱状をなすように複数、組み合わせた磁気マーカである。この内容について、図15及び図16を参照して説明する。
図15の磁気マーカ1において、磁石片13同士は、例えば、実施例2や実施例3で例示した接着材料や粘着材料等を利用して接合しても良いし、帯状のベルトやひも等を用いて結束しても良い。あるいは実施例5で例示した筒状のガイド部材を用いても良い。ベルトは、紙、金属箔、樹脂フィルムを環状に巻いたものであっても良く、高分子材料よりなるモールド層であっても良い。ひもは、紙、金属、天然繊維、化学繊維であっても良く、高分子材料を外周面に印刷して形成された紐状のものであっても良い。
例えば、ごく薄い鉄製のベルトやひもであれば、道路に配設された後の酸化等の経年変化により、結束する機能を失わせることができる。ベルトやひもによる結束機能が失われた場合であっても、収容孔30に収容され、外周にアスファルト等が充填された状態であれば、磁気マーカ1の柱状が保持され得る。なお、ベルトやひもやガイド部材等、断面扇形状の柱状の磁石片13を結束する部材は、水や湿気等の水分や熱等の作用により溶ける等、その形状が失われるものであっても良い。
さらに、図16のごとく、図15の磁石片13と同様の形状の柱状体が、軸方向に複数に分割された磁石片131を採用しても良い。この磁石片131は、ピザの一片のような扇形状の薄い磁石シート片(磁石片の一例。)であっても良い。扇形状の薄い磁石シート片を積層することにより断面扇形状の柱状体を形成できる。図16の磁気マーカ1は、この柱状体を組み合わせたものである。
断面扇形状の柱状体を形成するに当たって接着材料等を利用する一方、この柱状体を組み合わせて磁気マーカ1とするに当たっては、ベルトやひもや円筒状のガイド部材で結束することも良く、接着材料等を利用して柱状体同士を接合しても良い。あるいは、柱状体を形成するに当たって、実施例5で例示したモールド層や箔等のガイド部材を利用する一方、柱状体の組合せに当たって、接着材料等を利用して柱状体同士を接合しても良く、ベルトやひもや円筒状のガイド部材で結束することも良い。断面扇形状の柱状体は、ピザの一片のような扇形状の磁石シート片が互いに磁気的に吸着されたものであっても良い。
このように、本例の磁気マーカ1は、複数の小片に分離可能な構造を有する磁気マーカである。この磁気マーカ1であれば、舗装が傷んでポットホールが生じたとき、ポットホールの拡がりに応じて一部を分離可能である。それ故、ポットホールが近くで生じた場合であっても、磁気マーカ1の一部が道路側に残存できる可能性が高くなっており、磁気マーカ1の磁気的な機能をある程度、維持できる可能性がある。
また、舗装の表層をなす粗骨材331が、例えば、粒径2.5~5mmである一方、磁気マーカ1の大きさは直径30mm高さ20mmである。仮に磁気マーカが一体的であると、ポットホールが生じたとき、粗骨材331よりも大きなサイズの磁気マーカが路面に転がり出る可能性がある。一方、複数の小片に分離可能な構造を有する本例の磁気マーカ1であれば、一体のままで路面に転がり出るおそれが少ない。この磁気マーカ1は、複数の小片に分離可能であるため、粗骨材331とサイズ的に同等、あるいはサイズ的により小さな小片となって路面に転がり出るのみである。
なお、本例では、断面円形状の柱状の磁気マーカを例示している。断面形状は、円形状に限定されない。三角形状、四角形状、五角形状等の断面形状を有する柱状の磁気マーカであっても良い。
なお、その他の構成及び作用効果については、他の実施例と同様である。
(実施例8)
本例は、複数の小片に分離可能な構造を活用し、複数の磁気マーカを一体的に取り扱い可能とした態様の例である。本例は、実施例1の磁気マーカ1が複数、連結されたマーカ棒1Rに関する。この内容について、図17~図19(d)を用いて説明する。
マーカ棒1R(図17)は、2つの磁気マーカ1を軸方向に連結する連結面100を有し、全体として、複数の磁気マーカ1により構成されている。連結面100における2つの磁気マーカ1の連結強度は、個々の磁気マーカ1を小片に分離するのに要する強度よりもさらに小さく設定されている。
例えば図18に示すごとく、縁から先端が突き出すようにマーカ棒1Rを作業台105に載置し、その先端に直交方向の力を作用すれば、連結面100が切断面となってマーカ棒1Rから磁気マーカ1を切り出しできる。作業台105の縁からの先端の突き出し量を、磁気マーカ1の高さ(全長)を若干超える程度に設定しておけば、磁気マーカ1を1個ずつ効率的に切り出しできる。
マーカ棒1Rを利用し、例えば図19(a)~(d)に示すごとく、収容孔30に磁気マーカ1を1個ずつ収容することも良い。直径38mm深さ30mmの収容孔30に、マーカ棒1Rの先端を例えば13~18mm程度(磁気マーカ1の高さ寸法以下。)、差し入れた状態で(図19(a))、マーカ棒1Rの後端側を回動させれば(図19(b))、1個の磁気マーカ1を容易に分離できる(図19(c))。このようにしてマーカ棒1Rから分離された磁気マーカ1は、自重により収容孔30の底に落下して収容される(図19(d))。
例えば、実施例1や実施例2の磁気マーカ(図3、図4)であれば、棒状体を作製した後、連結面100に沿うように横孔やスリットを穿設することも良い。横孔やスリット等によれば、連結面100の強度を抑制できる。
例えば、実施例4の磁気マーカ(図8)であれば、連結面100における接着材料等の塗布量を、磁気マーカ1において隣り合う磁石シート片11を接合するための接着材料等の塗布量よりも少なくすることも良い。あるいは、連結面100における接着材料等として、より接合力の低い接着材料等を採用することも良い。このように接着材料等の塗布量や種類を選定すれば、連結面100の強度を抑制できる。
例えば、実施例5の磁気マーカ(図12)であれば、マーカ棒1R全体を保持するためのガイド部材を採用する一方、連結面100に当たる箇所において、ガイド部材の破断強度を小さくすると良い。ガイド部材の破断強度を小さくする方法としては、例えば、ガイド部材に切れ目を設ける、ガイド部材の厚さを薄くする、等の様々な方法が考えられる。さらに、隣り合う磁気マーカ1のうちの一方の磁気マーカ1に対応するガイド部材と、他方の磁気マーカ1に対応するガイド部材と、を連結する箇所に、前者のガイド部材と後者のガイド部材とを連結する構造を設け、この構造の強度を小さく設定することも良い。
なお、連結面100の強度を抑制することは、必須の構成ではない。マーカ棒1Rから磁気マーカ1を1個ずつ切り出すための治具等を利用すると良い。治具等を利用すれば、軸方向における破断強度が略一定であるマーカ棒1Rから効率良く磁気マーカ1を切り出しできる。
なお、他の構成及び作用効果については実施例1と同様である。
(実施例9)
本例は、実施例1~実施例8の磁気マーカに基づき、無線タグ18を追加した例である。この内容について、図20及び図21を参照して説明する。
本例の磁気マーカ1(図20)では、実施例1の磁気マーカに基づき、端面に無線タグ18が取り付けられたものである。磁気マーカ1の直径30mmの端面に対して、無線タグ18は、断面形状が約10mm×2mm、長さ約25mmである。
無線タグ18は、ICチップや無線通信用のアンテナ等が、樹脂材料等によるケースに収容された電子部品である。無線タグ18は、無線電波による外部給電により動作し、予め記憶している情報を無線出力する。無線タグ18が出力する情報は、例えば、位置情報や道路種別などの情報である。
本例の磁気マーカ1の外周面及び端面には、無線タグ18が送受信する電波を増幅する2次アンテナ19が設けられている。2次アンテナ19は、導電性を有するインクを磁気マーカ1の外表面に印刷して形成されている。2次アンテナ19は、平面に展開して示す図21のごとく、直角に折れ曲がるかぎ状部194を両端に有している。両端のかぎ状部194は、中間の直線部191に対して逆側に折り曲げられている。直線部191は、無線タグ18の取付面である端面において径方向に延設されて磁気マーカ1の外周面に達し、外周面において軸方向に沿って延設されている。かぎ状部194は、磁気マーカ1の外周面において、周方向に沿うように設けられる。
図20の磁気マーカ1では、2次アンテナ19の直線部191に接する状態で無線タグ18が取り付けられている。無線タグ18が内蔵する通信用のアンテナと、2次アンテナ19と、の電磁気的な結合により、無線タグ18が送受信する電波が増幅される。2次アンテナ19は、導電性を有するインクによるプリントアンテナに代えて、銅箔やアルミ箔等によるアンテナであっても良い。金属箔のアンテナである場合には、十分に薄いものを採用することで、小片に分離可能という磁気マーカ1の特徴を阻害しないものを採用するか、あるいは磁気マーカ1の外周面から容易に剥がれるように構成すると良い。
なお、磁石の集合体である磁気マーカの形状を保持するガイド部材として、2次アンテナ19を利用することも良い。この場合には、磁気マーカ1の外周面において、軸方向の全域に亘って2次アンテナ19の直線部191が形成されるようにすると良い。
なお、その他の構成及び作用効果については、他の実施例と同様である。
以上、実施例のごとく本発明の具体例を詳細に説明したが、これらの具体例は、特許請求の範囲に包含される技術の一例を開示しているにすぎない。言うまでもなく、具体例の構成や数値等によって、特許請求の範囲が限定的に解釈されるべきではない。特許請求の範囲は、公知技術や当業者の知識等を利用して前記具体例を多様に変形、変更あるいは適宜組み合わせた技術を包含している。
1 磁気マーカ
10 磁石
100 磁石間領域
108 孔
111、115、117 ガイド部材
18 無線タグ
180 溝
181 タグガード
19 2次アンテナ
3 道路
3A 表層
3S 路面
30 収容孔
331 粗骨材
332 細骨材

Claims (8)

  1. 車両の運転支援に利用するために路面に埋設される磁気マーカであって、
    該磁気マーカは、複数の磁石の集合体であって、当該複数の磁石が柱状をなすように連結されたものである磁気マーカ。
  2. 請求項1において、前記複数の磁石のうちの隣り合う磁石の間隙に所在する材料は、前記複数の磁石のうちの隣り合う磁石を連結する連結材料であって、当該連結材料が、前記複数の磁石のうちの各磁石よりも低脆性の材料である磁気マーカ。
  3. 請求項2において、前記連結材料は、発泡樹脂である磁気マーカ。
  4. 請求項1~3のいずれか1項において、前記複数の磁石のうちの隣り合う磁石の間隙に所在する材料は、前記複数の磁石のうちの隣り合う磁石を連結する連結材料であって、当該連結材料は、接着材料あるいは粘着材料であって、
    当該接着材料あるいは粘着材料は、所定の解体操作によって解体因子を活性化させることで接合力が低下する解体性接着材料あるいは解体性粘着材料である磁気マーカ。
  5. 請求項1~3のいずれか1項において、前記複数の磁石のうちの隣り合う磁石の間隙に所在する材料は、前記複数の磁石のうちの隣り合う磁石を連結する連結材料であって、当該連結材料は、生分解性材料である磁気マーカ。
  6. 請求項1において、前記複数の磁石は、各磁石の磁力により磁気的に相互に連結されて前記集合体を形成している磁気マーカ。
  7. 請求項1~6のいずれか1項において、所定の方向に延在するガイド部材により、複数の磁石片が柱状をなす状態で保持されている磁気マーカ。
  8. 請求項7において、前記ガイド部材は、柱状をなす磁気マーカの外周面に形成された高分子材料よりなるモールド層である磁気マーカ。
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