JP2023142465A - ゴム組成物、ゴム組成物の製造方法、及びタイヤ - Google Patents

ゴム組成物、ゴム組成物の製造方法、及びタイヤ Download PDF

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大祐 早田
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Abstract

【課題】破壊特性及び耐オゾン性に優れるゴム組成物を提供すること。【解決手段】重量平均分子量が300,000以上650,000以下である水添共重合体と、天然ゴムと、シリカと、メルカプト基を有するシランカップリング剤と、を含み、上記水添共重合体が、芳香族ビニル単位及び共役ジエン単位を有し、上記共役ジエン単位が、1,2-ビニル結合を有する共役ジエン単位を、該共役ジエン単位の総量に対して25mol%以上含み、上記共役ジエン単位における水素添加された共役ジエン単位の割合が40mol%以上90mol%以下であり、上記水添共重合体の含有量が、ゴム成分の総量に対して20質量%以上であり、上記天然ゴムの含有量がゴム成分の総量に対して30質量%以上である、ゴム組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、ゴム組成物、ゴム組成物の製造方法、及びタイヤに関する。
近年、環境負荷への観点から、自動車用タイヤには高い水準の省燃費性能や機械強度が求められている。タイヤの省燃費性能は自動車の燃費に直結するため環境負荷の指標にもなり、また、タイヤの機械強度はタイヤの消費サイクルに直結するため環境負荷に大きく影響する。
上記要求に応えるため、タイヤ用ゴム材料として、近年では、ゴム状重合体に水素を添加した水素添加ゴム状重合体が挙げられる。
例えば、特許文献1~4には、機械強度や圧縮永久歪みを高める目的で、エチレン連鎖構造を有し、分子間架橋等が可能な不飽和基を導入したゴム状重合体を含有するゴム組成物が提案されている。
国際公開第2017/150645号公報 国際公開第2019/151126号公報 国際公開第2019/151127号公報 国際公開第2019/078083号公報
タイヤ用に用いられるゴム組成物は、近年、環境問題の観点から製品ライフサイクルを伸ばすことを目的に、耐オゾン性や破壊特性等の機械的強度が強く求められている。タイヤ用ゴム組成物の主原料として天然ゴムを使用することで、優れた機械的強度を得られることは古くから知られており、また、天然ゴムに任意のSBRやハイシスBRをブレンドすることで、省燃費性能などの諸物性の調整が可能である。
しかしながら、天然ゴムと、SBRやハイシスBRとのブレンドでは、十分な耐オゾン性が得られないという問題があった。このような課題を解決するために、耐オゾン性に優れた水素添加SBR等を天然ゴムにブレンドする方法が検討されている。
しかしながら、天然ゴムと水素添加SBRのブレンド物においては、構成単位に二重結合を多く含む天然ゴムが優先的に架橋して補強されるため、二重結合の少ない水素添加SBRが架橋して補強されにくく、配合物の機械的強度である破壊特性が十分でないという問題がある。また、そのブレンド比率によっては、天然ゴムに水素添加SBRを配合しても十分な耐オゾン性が得られないという問題が明らかとなってきた。
本発明者らは、上述した従来技術の課題を解決するために、鋭意研究検討した結果、メルカプト基を有するシランカップリング剤を含み、かつ、天然ゴムと、適度に水素添加した所定の部分水添SBRとを特定のブレンド比率にすることにより、破壊特性及び耐オゾン性に優れるゴム組成物を得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち本発明は以下の通りである。
[1]
重量平均分子量が300,000以上650,000以下である水添共重合体と、天然ゴムと、シリカと、メルカプト基を有するシランカップリング剤と、を含み、
前記水添共重合体が、芳香族ビニル単位及び共役ジエン単位を有し、
前記共役ジエン単位が、1,2-ビニル結合を有する共役ジエン単位を、該共役ジエン単位の総量に対して25mol%以上含み、
前記共役ジエン単位における水素添加された共役ジエン単位の割合が40mol%以上90mol%以下であり、
前記水添共重合体の含有量が、ゴム成分の総量に対して20質量%以上であり、
前記天然ゴムの含有量がゴム成分の総量に対して30質量%以上である、
ゴム組成物。
[2]
前記水添共重合体は、分子量分布が1.20~1.75である、
[1]に記載のゴム組成物。
[3]
前記水添共重合体の窒素含有量が15ppm以上170ppm以下である、
[1]又は[2]に記載のゴム組成物。
[4]
温度160℃、剪断速度12.16s-1における前記水添共重合体と前記天然ゴムの溶融粘度差の絶対値が10,000(Pa・s)以下である、
[1]~[3]のいずれかに記載のゴム組成物。
[5]
前記シランカップリング剤の含有量が、前記シリカ100質量部に対して1~10質量部である、
[1]~[4]のいずれかに記載のゴム組成物。
[6]
水添共重合体と、天然ゴムと、シリカと、及びメルカプト基を有するシランカップリング剤とを含むゴム組成物を混練りする第1混練工程と、
該混錬工程で得られた混練物と加硫剤とを混練りする第2混練工程を有する、
ゴム組成物の製造方法。
[7]
[1]~[5]のいずれかのゴム組成物を用いてなる、
タイヤ。
本発明によれば、破壊特性及び耐オゾン性に優れるゴム組成物を提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明するが、以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲内で適宜に変形して実施することができる。
1.ゴム組成物
本実施形態のゴム組成物は、重量平均分子量が300,000以上650,000以下である水添共重合体と、天然ゴムと、シリカと、メルカプト基を有するシランカップリング剤と、を含み、上記水添共重合体が、芳香族ビニル単位及び共役ジエン単位を有し、上記共役ジエン単位が、該共役ジエン単位の総量に対して、1,2-ビニル結合を有する共役ジエン単位を25mol%以上含み、上記共役ジエン単位における水素添加された共役ジエン単位の割合が40mol%以上90mol%以下であり、上記水添共重合体の含有量が、ゴム成分の総量に対して20質量%以上であり、上記天然ゴムの含有量がゴム成分の総量に対して30質量%以上である、ゴム組成物である。また、本実施形態のゴム組成物は、必要に応じてその他の成分を含んでいてもよい。以下、各成分について詳説する。
ここで、芳香族ビニル単位とは、芳香族ビニル化合物に基づく構成単位を意味し、同様に、共役ジエン単位とは、共役ジエン化合物に基づく構成単位を意味する。
1.1.水添共重合体
本実施形態における水添共重合体は、重量平均分子量が300,000以上650,000以下であり、後述する芳香族ビニル単位及び共役ジエン単位を有する。ここで、水添共重合体とは、共重合体の一部の構成単位が水素添加により還元されている共重合体を意味する。
以下、水添共重合体の各構成単位及び重合平均分子量等について詳説する。
(芳香族ビニル単位)
芳香族ビニル単位を構成する芳香族ビニル化合物としては、以下に限定されないが、例えば、スチレン、p-メチルスチレン、α-メチルスチレン、ビニルエチルベンゼン、ビニルキシレン、ビニルナフタレン、及びジフェニルエチレンが挙げられる。これらの中でも、工業的入手の容易さの観点から、スチレンが好ましい。これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
(共役ジエン単位)
共役ジエン単位を構成する共役ジエン化合物としては、以下に限定されないが、例えば、1,3-ブタジエン、イソプレン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、1,3-ペンタジエン、3-メチル-1,3-ペンタジエン、1,3-ヘキサジエン、及び1,3-ヘプタジエンが挙げられる。これらの中でも、工業的入手の容易さの観点から、1,3-ブタジエン、及びイソプレンが好ましく、1,3-ブタジエンがより好ましい。これらは1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
(1,2-ビニル結合を有する共役ジエン単位)
共役ジエン単位における1,2-ビニル結合を有する共役ジエン単位の含有量は、共役ジエン単位の総量に対して25mol%以上であり、35mol%以上55mol%以下であることが好ましく、45mol%以上55mol%以下であることがさらに好ましい。ここで、本明細書中、水添共重合体における「1,2-ビニル結合を有する共役ジエン単位」とは、水素添加により1,2-ビニル結合が還元された共役ジエン単位をも含む。つまり、水素添加後には一部の1,2-ビニル結合が還元され、いわゆる「ビニル結合」ではなくエチル基になるが、水素添加前に1,2-ビニル結合を形成していたと想定される構造を表すものとする。
1,2-ビニル結合を有する共役ジエン単位の含有量を調整する方法としては、特に限定されないが、例えば、後述する重合工程において極性化合物の添加量を調整すること等により、共役ジエン単位における1,2-ビニル結合を有する共役ジエン単位の量を調整することができる。
(水添共重合体の水素添加率)
本実施形態の水添共重合体は水素添加された共役ジエン単位を含み、共役ジエン単位における水素添加された共役ジエン単位の割合(以下、水素添加率又は水添率、ともいう。)は、40%以上90%以下であり、50%以上85%以下がより好ましく、60%以上80%以下がさらに好ましい。
本実施形態の水添共重合体は、共役ジエン単位の水素添加率が40%以上であることにより、加硫物としたときに耐オゾン性の点で優れたものとなる傾向にある。共役ジエン化合物としてブタジエンを使用した重合では1,2-ビニル結合と1,4-結合が形成されるが、1,2-ビニル結合の方が反応性が高いので、水添反応も早く起こり、優先的に進行し易い。そのため、水添重合体の水添率を40%以上にすることで、未反応の二重結合のまま残存する1,2-ビニル結合が少なくなりやすい傾向にある。すなわち、反応性が高いためオゾンと反応しやすい、つまりオゾン劣化しやすい1,2-ビニル結合の量が少なくなるために、水添共重合体の耐オゾン性を担保することができる。一方で、共役ジエン単位の水素添加率が90%以下であることにより、天然ゴム等の他種ゴムとブレンドしたときの共架橋性が改善するため、良好な架橋ネットワークを形成し、加硫物としたときの破壊特性や省燃費性能の点で優れる傾向にある。
ここで、上述した水素添加率は、共役ジエン単位に対する水素の添加量によって制御することができ、水素添加率は、特に限定されないが、例えば、1H-NMRで測定することができる。
また、水添反応の温度は特に限定されないが、好ましくは60~105℃であり、より好ましくは70~100℃である。
(水添共重合体の重量平均分子量)
本実施形態の水添共重合体は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により求められる重量平均分子量(Mw)が、300,000以上650,000以下であり、好ましくは350,000以上600,000以下であり、より好ましくは400,000以上550,000以下である。水添共重合体が配合されるタイヤ部材の種類や配合される他のゴム種によって多少は重量平均分子量の好ましい範囲が変動し得る。水添共重合体のMwが300,000以上であることにより、本実施形態の水添共重合体の加硫物は高い破壊強度を有する傾向にある。また、水添共重合体のMwが650,000以下であることにより、水添共重合体の生産性が高い傾向があり、得られるゴム組成物が良好な加工性を有する傾向にある。
水添共重合体の重量平均分子量は、GPCによって測定されたポリスチレン換算の分子量から計算でき、後述する実施例に記載する方法により測定することができる。水添共重合体の重量平均分子量は、重合工程における単量体添加量、重合時間、重合温度等の重合条件を調整することにより、上記数値範囲に制御できる。
(水添共重合体の分子量分布)
本実施形態の水添共重合体の分子量分布は、1.20以上1.75以下であることが好ましく、1.25以上1.75以下であることがより好ましく、1.30以上1.75以下であることがさらに好ましい。これにより、本実施形態の水添共重合体の加硫物は良好な加工性を有する傾向にある。
水添共重合体の分子量分布は、カップリング剤の種類や重合工程における重合温度等の重合条件を調整することにより、上記数値範囲に制御できる。
(水添共重合体の変性)
本実施形態の水添共重合体は、タイヤにした時の省燃費性能の観点から、スズ原子、窒素原子、又はケイ素原子を含有することが好ましく、窒素原子とケイ素原子の両方を含有することがより好ましい。
本実施形態では、窒素原子を有し、重合活性末端及び/又は重合開始剤と反応する化合物を変性剤と称し、水添共重合体に変性剤を付加することを変性と称する。また、カップリング剤を用いる場合であって、カップリング剤が窒素原子を含有する場合、カップリングにより成長中の分子鎖の分子量を増大及び/又は重合体の分子鎖を分岐させつつ、変性することができる。
(窒素含有量)
本実施形態の水添共重合体は、微量窒素分析で測定される窒素含有量が15ppm以上170ppm以下であることが好ましい。また、水添共重合体の窒素含有量は省燃費性能の観点から17ppm以上であることがより好ましく、19ppm以上であることがさらに好ましく、21ppm以上であることがよりさらに好ましい。一方で、水添共重合体の窒素含有量は、加工性の観点から150ppm以下であることが好ましく、130ppm以下がより好ましく、110ppm以下がさらに好ましい。
窒素含有量は微量窒素分析等の方法により測定することができ、より具体的には、後述する実施例に記載の方法で測定することができる。同じ重合体を用いて比較する場合、水添共重合体の構成単位のうち変性剤が付加した構成単位の割合(以下、変性率、ともいう。)が高いほど窒素含有量は高くなる傾向にあるが、窒素含有量は変性剤の種類や分子量にも依存するため、変性率と必ずしも相関しない。
変性率は水添重合体をタイヤに利用した場合の省燃費性能に影響し易く、一方で、窒素含有量は破壊強度に影響し易い傾向にある。変性率と窒素含有量を別々に制御する方法としては、特に限定されないが、例えば、変性率を維持したまま窒素含有量を高くする場合、窒素含有量の高い変性剤を添加する方法が有効である。この窒素含有量の高い変性剤を用いることにより、タイヤ用のゴム組成物として混練りする際にシランカップリング剤のシラニゼーションを促進するため、破壊強度の高いタイヤを得ることができる傾向にある。
(水添共重合体の溶融粘度)
本実施形態の水添共重合体と天然ゴムの温度160℃、剪断速度12.16s-1条件下における溶融粘度差の絶対値は、10,000(Pa・s)以下であることが好ましく、9,000(Pa・s)以下であることがより好ましく、8,000(Pa・s)以下であることがさらに好ましい。水添共重合体と天然ゴムの組成比が同じ組成物間で比較すると、上記条件下における水添共重合体と天然ゴムの溶融粘度差が10,000(Pa・s)以下である場合に耐オゾン性が良好である傾向にあることが確認できる。
上記条件下における溶融粘度差の絶対値が9,000(Pa・s)以下の場合等においては、本実施形態の水添共重合体の加硫物はさらに良好な耐オゾン性を示しやすい傾向にある。水添共重合体と天然ゴムをブレンドした加硫物とした場合、二重結合の多い天然ゴム相がオゾン劣化しやすく、二重結合の少ない水添共重合体相はオゾン劣化しにくい傾向にあるところ、本実施形態の水添共重合体と天然ゴムが上記条件下における溶融粘度差の絶対値が上記範囲にあると、水添共重合体の含有量が比較的少ない場合においても、混練り中に水添共重合体を微分散させることができるため、加硫物にしたときに、天然ゴム相のオゾン劣化によるクラックの成長を抑制させると考えられる。これにより、ゴム組成物としての配合自由度が高くなる。
水添共重合体の溶融粘度は、一般的に、水添率が高いほど高くなる傾向にあり、水添率が低いほど低くなる傾向にある。また、水添共重合体の分子量が大きいほど溶融粘度は高くなり、分子量が小さいほど溶融粘度は低くなる傾向にある。天然ゴムは、その種類によって溶融粘度が異なるため、水添共重合体の分子量や水添率を、ブレンドする天然ゴムとの溶融粘度が近くなるように、設定するのは好ましい態様である。したがって、ブレンドする天然ゴムとの溶融粘度差が小さくなるように、水添率や分子量を調整するとよい。例えば、水添率を90%に設定する場合には、同分子量であれば分岐を増やす、同分岐数であれば分子量を下げることで上記数値範囲に制御できる。水添率を40%に設定する場合には、同分子量であれば分岐を減らす、同分岐数であれば分子量を上げることで上記数値範囲に制御できる。それにより、上記溶融粘度差を調整することができる。
(変性剤)
本実施形態の水添共重合体は、変性剤で変性されているのが好ましい。変性剤としては、特に限定されるものではなく、例えば、従来公知の変性剤を用いることができる。
また、本実施形態の水添共重合体の加硫物は、省燃費性能の観点から、窒素原子とケイ素原子の両方を有している化合物が好ましく、窒素基含有アルコキシシラン化合物であることがより好ましい。
そのような窒素基含有アルコキシシラン化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、2,2-ジメトキシ-1-(3-トリメトキシシリルプロピル)-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジエトキシ-1-(3-トリエトキシシリルプロピル)-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジメトキシ-1-(4-トリメトキシシリルブチル)-1-アザ-2-シラシクロヘキサン、2,2-ジメトキシ-1-(5-トリメトキシシリルペンチル)-1-アザ-2-シラシクロヘプタン、2,2-ジメトキシ-1-(3-ジメトキシメチルシリルプロピル)-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2,2-ジエトキシ-1-(3-ジエトキシエチルシリルプロピル)-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2-メトキシ,2-メチル-1-(3-トリメトキシシリルプロピル)-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2-エトキシ,2-エチル-1-(3-トリエトキシシリルプロピル)-1-アザ-2-シラシクロペンタン、2-メトキシ,2-メチル-1-(3-ジメトキシメチルシリルプロピル)-1-アザ-2-シラシクロペンタン、及び2-エトキシ,2-エチル-1-(3-ジエトキシエチルシリルプロピル)-1-アザ-2-シラシクロペンタン、トリス(3-トリメトキシシリルプロピル)アミン、トリス(3-メチルジメトキシシリルプロピル)アミン、トリス(3-トリエトキシシリルプロピル)アミン、トリス(3-メチルジエトキシシリルプロピル)アミン、トリス(トリメトキシシリルメチル)アミン、トリス(2-トリメトキシシリルエチル)アミン、及びトリス(4-トリメトキシシリルブチル)アミン、テトラキス[3-(2,2-ジメトキシ-1-アザ-2-シラシクロペンタン)プロピル]-1,3-プロパンジアミン、テトラキス(3-トリメトキシシリルプロピル)-1,3-プロパンジアミン、テトラキス(3-トリメトキシシリルプロピル)-1,3-ビスアミノメチルシクロヘキサン、及びN1-(3-(ビス(3-(トリメトキシシリル)プロピル)アミノ)プロピル)-N1-メチル-N3-(3-(メチル(3-(トリメトキシシリル)プロピル)アミノ)プロピル)-N3-(3-(トリメトキシシリル)プロピル)-1,3-プロパンジアミン、3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロピルトリエトキシシランが挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併せて用いてもよい。
(水添共重合体の軟化剤)
本実施形態の水添共重合体は、必要に応じて、ゴム用軟化剤を含有してもよい。ゴム用軟化剤の含有量は水添共重合体の総量に対して30質量%以下であることが好ましい。本実施形態の水添共重合体において、タイヤ製造時に無機充填剤等を配合したときの加工性を改善する観点から、ゴム用軟化剤の添加量は1~30質量%であることが好ましい。水添共重合体の分子量が高い場合、例えば重量平均分子量が100万を超える場合などは、ゴム用軟化剤の添加量を15~30質量%とすることが好ましく、一方充填剤を配合したゴム組成物とする場合の配合の自由度を広げる観点からはゴム用軟化剤の添加量は、1~15質量%であることが好ましい。本実施形態の水添共重合体を用いたゴム組成物中のゴム用軟化剤の含有量は、タイヤにした時の経年劣化を抑制する観点から、20質量%以下がより好ましく、10質量%以下がさらに好ましく、5質量%以下がさらにより好ましい。
ゴム用軟化剤としては、特に限定されないが、例えば、伸展油、低分子のゴム状重合体、樹脂等が挙げられるが、加工性や生産性や経済性の観点から、伸展油が好ましい。また、タイヤ用のゴム組成物の耐摩耗性の観点から架橋に寄与することができる低分子のゴム状重合体が好ましい。
ゴム用軟化剤を本実施形態のゴム状重合体に添加する方法としては、以下のものに限定されないが、ゴム用軟化剤をゴム状重合体溶液に加え、混合して、ゴム用軟化剤含有の重合体溶液としたものを脱溶媒する方法が好ましい。
その中でも、好ましい軟化剤としては、以下に限定されないが、例えば、アロマ油、ナフテン油、パラフィン油等が挙げられる。これらの中でも、環境安全上の観点、並びにオイルブリード防止及びウェットグリップ特性の観点から、IP346法による多環芳香族(PCA)成分が3質量%以下であるアロマ代替油が好ましい。
アロマ代替油としては、特に限定されないが、例えば、Kautschuk Gummi Kunststoffe 52(12)799(1999)に示されるTDAE(Treated Distillate Aromatic Extracts)、MES(Mild Extraction Solvate)等の他、RAE(Residual Aromatic Extracts)が挙げられる。
(その他の添加剤)
本実施形態のゴム状重合体は、必要に応じて、酸化防止剤等の種々のその他の添加剤を含有してもよい。
〔水添共重合体の製造方法〕
本実施形態の水添共重合体の製造方法は、共役ジエン単量体と芳香族ビニル単量体を共重合する重合工程と、得られた共重合体に対して水素添加率が40%以上90%以下になるように水素添加する水素添加工程と、を有する。また、必要に応じて、分岐化工程、カップリング工程、脱溶媒工程、及びその他の工程を有していてもよい。以下、各工程等について詳説する。
本実施形態の水添共重合体の製造方法においては、分子構造の制御が容易な観点から、重合工程は、アニオン重合を実施することが好ましい。また、水素添加工程において、共役ジエン単量体及び芳香族ビニル単量体を共重合した共重合体に対して、該共重合体中の共役ジエン単位が有する二重結合の一部又は大部分を水素化(水素添加)する。
本実施形態の水添共重合体の製造方法としては、特に限定されないが、例えば、国際公開第96/05250号公報、特開2000-053706号公報、国際公開第2003/085010号公報、国際公開第2019/151126号公報、国際公開第2019/151127号公報、国際公開第2002/002663号公報、国際公開第2015/006179号公報に記載されているように、種々の添加剤や条件のもとに、アニオン重合で共役ジエン単量体と芳香族ビニル単量体等を共重合した後に水素添加する方法が挙げられる。
本実施形態の水添共重合体の製造方法における重合に用いる芳香族ビニル単量体、エチレン、α-オレフィン、共役ジエン単量体、及びその他の単量体は、上記各種文献に記載されたものと同じものを用いることができる。
上記の重合工程や水添工程は、各々、バッチ式あるいは連続式のいずれで行ってもよい。
(重合工程)
重合工程においては、重合開始剤を用いて、共役ジエン化合物、芳香族ビニル化合物、及び必要に応じてその他の単量体を重合する。
重合工程で用いる重合開始剤としては、特に限定されないが、例えば、有機モノリチウム化合物が挙げられる。有機モノリチウム化合物としては、以下のものに限定されないが、例えば、低分子化合物、又は可溶化したオリゴマーの有機モノリチウム化合物が挙げられる。また、有機モノリチウム化合物としては、特に限定されないが、例えば、その有機基とそのリチウムの結合様式において、例えば、炭素-リチウム結合を有する化合物、窒素-リチウム結合を有する化合物、及び錫-リチウム結合を有する化合物が挙げられる。
重合開始剤としての有機モノリチウム化合物の使用量は、目標とする水添共重合体の構造、及び水添共重合体の分子量によって決めることが好ましい。重合開始剤の使用量に対する、共役ジエン化合物等の単量体の使用量が重合度に関係する。すなわち、数平均分子量及び/又は重量平均分子量に影響を与える傾向にある。したがって、水添共重合体の分子量を増大させるためには、重合開始剤の使用量を減らす方向に調整するとよく、水添共重合体の分子量を低下させるためには、重合開始剤の使用量を増やす方向に調整するとよい。
有機モノリチウム化合物としては、重合体へ窒素原子を導入する一つの手法として用いられるという観点から、特に限定されないが、例えば、置換アミノ基を有するアルキルリチウム化合物、又はジアルキルアミノリチウムが好ましい。この場合、重合開始末端にアミノ基からなる窒素原子を有する重合体が得られる。置換アミノ基とは、活性水素を有しない、又は、活性水素を保護した構造の、アミノ基である。
活性水素を有しないアミノ基を有するアルキルリチウム化合物としては、以下のものに限定されないが、例えば、3-ジメチルアミノプロピルリチウム、3-ジエチルアミノプロピルリチウム、4-(メチルプロピルアミノ)ブチルリチウム、及び4-ヘキサメチレンイミノブチルリチウムが挙げられる。
活性水素を保護した構造のアミノ基を有するアルキルリチウム化合物としては、以下のものに限定されないが、例えば、3-ビストリメチルシリルアミノプロピルリチウム、及び4-トリメチルシリルメチルアミノブチルリチウムが挙げられる。
ジアルキルアミノリチウムとしては、以下のものに限定されないが、例えば、リチウムジメチルアミド、リチウムジエチルアミド、リチウムジプロピルアミド、リチウムジブチルアミド、リチウムジ-n-ヘキシルアミド、リチウムジへプチルアミド、リチウムジイソプロピルアミド、リチウムジオクチルアミド、リチウム-ジ-2-エチルへキシルアミド、リチウムジデシルアミド、リチウムエチルプロピルアミド、リチウムエチルブチルアミド、リチウムエチルベンジルアミド、リチウムメチルフェネチルアミド、リチウムヘキサメチレンイミド、リチウムピロリジド、リチウムピペリジド、リチウムヘプタメチレンイミド、リチウムモルホリド、1-リチオアザシクロオクタン、6-リチオ-1,3,3-トリメチル-6-アザビシクロ[3.2.1]オクタン、及び1-リチオ-1,2,3,6-テトラヒドロピリジンが挙げられる。
これらの置換アミノ基を有する有機モノリチウム化合物は、重合可能な単量体、例えば、1,3-ブタジエン、イソプレン、スチレン等の単量体を少量反応させて、可溶化したオリゴマーの有機モノリチウム化合物として用いることもできる。
有機モノリチウム化合物としては、工業的入手の容易さ及び重合反応のコントロールの容易さの観点から、好ましくは、アルキルリチウム化合物である。この場合、重合開始末端にアルキル基を有する、共重合体が得られる。
前記アルキルリチウム化合物としては、以下のものに限定されないが、例えば、n-ブチルリチウム、sec-ブチルリチウム、tert-ブチルリチウム、n-ヘキシルリチウム、ベンジルリチウム、フェニルリチウム、及びスチルベンリチウムが挙げられる。アルキルリチウム化合物としては、工業的入手の容易さ及び重合反応のコントロールの容易さの観点から、n-ブチルリチウム、及びsec-ブチルリチウムが好ましい。
これらの有機モノリチウム化合物は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。また、他の有機金属化合物と併用してもよい。
そのような他の有機金属化合物としては、特に限定されないが、例えば、アルカリ土類金属化合物、他のアルカリ金属化合物、その他有機金属化合物が挙げられる。
そのようなアルカリ土類金属化合物としては、以下のものに限定されないが、例えば、有機マグネシウム化合物、有機カルシウム化合物、及び有機ストロンチウム化合物が挙げられる。また、アルカリ土類金属のアルコキサイド、スルフォネート、カーボネート、及びアミドの化合物も挙げられる。
有機マグネシウム化合物としては、特に限定されないが、例えば、ジブチルマグネシウム、及びエチルブチルマグネシウムが挙げられる。その他有機金属化合物としては、例えば、有機アルミニウム化合物が挙げられる。
重合工程において、重合反応様式としては、以下のものに限定されないが、例えば、回分式(「バッチ式」ともいう。)、連続式等の重合反応様式が挙げられる。
連続式においては、1個又は2個以上の連結された反応器を用いることができる。連続式の反応器は、例えば、撹拌機付きの槽型、管型のものが用いられる。連続式においては、好ましくは、連続的に単量体、不活性溶媒、及び重合開始剤が反応器にフィードされ、前記反応器内で重合体を含む重合体溶液が得られ、連続的に重合体溶液が排出される。
回分式の反応器は、例えば、攪拌機付の槽型の反応器が用いられる。回分式においては、好ましくは、単量体、不活性溶媒、及び重合開始剤がフィードされ、必要により単量体が重合中に連続的又は断続的に追加され、当該反応器内で重合体を含む重合体溶液が得られ、重合終了後に重合体溶液が排出される。
本実施形態の水添共重合体の製造方法において、高い割合で活性末端を有する重合体を得るには、重合体を連続的に排出し、短時間で次の反応に供することが可能な、連続式が好ましい。
また、本実施形態の水添共重合体の重合工程は、不活性溶媒中で重合することが好ましい。不活性溶媒としては、特に限定されないが、例えば、飽和炭化水素、芳香族炭化水素等の炭化水素系溶媒が挙げられる。具体的な炭化水素系溶媒としては、以下のものに限定されないが、例えば、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン、メチルシクロヘキサン等の脂環族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素及びそれらの混合物からなる炭化水素が挙げられる。
重合工程を実施する前に、不純物であるアレン類、及びアセチレン類を有機金属化合物で処理することで、高濃度の活性末端を有する重合体が得られる傾向にあり、また、変性工程を経て高い変性率の変性共重合体が得られる傾向にあるため好ましい。
重合工程においては、極性化合物(極性物質)を添加してもよい。これにより芳香族ビニル化合物を共役ジエン化合物とランダムに共重合させることができ、共役ジエン部のミクロ構造を制御するためのビニル化剤としても用いることができる傾向にある。また、重合反応の促進等にも効果がある傾向にある。
極性化合物としては、以下のものに限定されないが、例えば、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジメトキシベンゼン、2,2-ビス(2-オキソラニル)プロパン等のエーテル類;テトラメチルエチレンジアミン、ジピペリジノエタン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、キヌクリジン等の第3級アミン化合物;カリウム-tert-アミラート、カリウム-tert-ブチラート、ナトリウム-tert-ブチラート、ナトリウムアミラート等のアルカリ金属アルコキシド化合物;トリフェニルホスフィン等のホスフィン化合物等を用いることができる。これらの極性化合物は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
そのような極性化合物の使用量は、特に限定されず、例えば、目的等に応じて選択することができるが、重合開始剤1モルに対して、0.01モル以上10モル以下であることが好ましい。0.01モル以上10モル以下の範囲内で極性化合物を添加することにより、共役ジエン化合物中の1,2-ビニル結合量が増え、反対に、1,4-結合量が低下する傾向にある。
このような極性化合物(ビニル化剤)は重合体中の共役ジエン部分のミクロ構造の調節剤として、所望の1,2-ビニル結合量に応じて、適量用いることができる。多くの極性化合物は、同時に共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物との共重合において有効なランダム化効果を有し、芳香族ビニル化合物の分布の調整やスチレンブロック量の調整剤として用いることができる傾向にある。
共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物とをランダム化する方法としては、例えば、特開昭59-140211号公報に記載されているように、スチレンの全量と1,3-ブタジエンの一部とで共重合反応を開始させ、共重合反応の途中で残りの1,3-ブタジエンを断続的に添加する方法が挙げられる。
重合工程における重合温度は、リビングアニオン重合が進行する温度であることが好ましく、生産性の観点から、0℃以上であることがより好ましく、120℃以下であることがさらに好ましい。このような範囲にあることで、重合終了後の活性末端に対する変性剤の反応量を充分に確保することができる傾向にある。よりさらに好ましくは50℃以上100℃以下である。
(分岐化工程)
本実施形態の水添共重合体の製造方法においては、水添共重合体の分岐度を調整する分岐化工程を有してもよい。水添重合体の分岐度を増加させる方法として、アルコキシシリル基及び/又はハロシリル基を含むビニル系単量体に由来する化合物を分岐化剤として用いる方法が挙げられる。分岐化剤を重合工程中に添加し、その後、単量体を添加して重合を継続することにより、分岐点により分岐した高分子鎖を伸長させることができる。そして、その後に、変性剤やカップリング剤等を添加し、変性工程を実施してもよい。
(カップリング工程)
本実施形態の水添共重合体の製造方法は、以下のカップリング工程を有していてもよい。カップリング工程は、重合工程、及び必要に応じて所定の分岐化剤を用いた分岐化工程を経て得られた重合体の活性末端に対し、上述したカップリング剤や、窒素原子含有基を有する変性剤によりカップリング反応をさせる工程である。
(失活剤、中和剤)
本実施形態の水添共重合体の製造方法においては、カップリング工程の後、重合体溶液に対して、必要に応じて、失活剤、中和剤等を添加してもよい。失活剤としては、以下のものに限定されないが、例えば、水;メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール等が挙げられる。中和剤としては、以下のものに限定されないが、例えば、ステアリン酸、オレイン酸、バーサチック酸(炭素数9~11個で、10個を中心とする、分岐の多いカルボン酸混合物)等のカルボン酸;無機酸の水溶液、炭酸ガスが挙げられる。
(水素添加工程)
本実施形態の水添共重合体の製造方法においては、水素添加率を40%以上90%以下になるように水素添加する工程を有する。水素添加率は、特に限定されないが、例えば、水素添加時の水素量を調整することによって制御することができ、水素添加速度は、特に限定されないが、例えば、水素フィード量、圧力、及び温度等によって制御することができる。得られた水添共重合体の水素添加率は、特に限定されないが、例えば、プロトン核磁気共鳴(1H-NMR)法により測定できる。
(ゴム用安定剤の添加)
本実施形態の水添共重合体の製造方法においては、重合後のゲル生成を防止する観点、及び加工時の安定性を向上させる観点から、ゴム用安定剤を添加することが好ましい。ゴム用安定剤としては、以下のものに限定されず、公知のものを用いることができるが、例えば、2,6-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシトルエン(以下「BHT」とも記す。)、n-オクタデシル-3-(4’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-tert-ブチルフェノール)プロピネート、2-メチル-4,6-ビス[(オクチルチオ)メチル]フェノール等の酸化防止剤が挙げられる。
(脱溶媒工程)
本実施形態の水添共重合体の製造方法において得られた重合体を、重合体溶液から取得する方法としては、公知の方法を用いることができる。その方法として、特に限定されないが、例えば、スチームストリッピング等で溶媒を分離した後、重合体を濾別し、さらにそれを脱水及び乾燥して重合体を取得する方法、フラッシングタンクで濃縮し、さらにベント押出し機等で脱揮する方法、ドラムドライヤー等で直接脱揮する方法が挙げられる。
(水添共重合体の含有量)
水添共重合体の含有量は、ゴム成分の総量に対して20質量%以上であり、20質量%以上70質量%以下が好ましく、30質量%以上60質量%以下がより好ましく、40質量%以上50質量%以下がさらに好ましい。本実施形態の水添共重合体の含有量は、省燃費性能、破壊特性及び耐オゾン性の観点から、20質量%以上が好ましい。また、本実施形態の水添共重合体の含有量は、加工性及び耐オゾン性の観点から、70質量%以下が好ましい。
ここで、ゴム成分とは、ゴム組成物におけるゴム弾性を有する成分を意味する。本実施形態のゴム成分は、上述した水添共重合体及び天然ゴムを含み、また、必要に応じてその他の成分を含んでいてもよい。
ゴム組成物における水添共重合体の含有量の調整方法としては、特に限定されないが、例えば、ゴム組成物に対する水添共重合体の配合量を変えることにより調整することができる。
タイヤ用配合物で添加するワックスは、加硫物の表面へブルームすることにより、加硫物表面で均一なワックスの薄膜を形成し、オゾンを物理的に遮断することで耐オゾン性を担保している。しかし、ワックスと水添共重合体は分子構造が類似しているため相溶性が高く、水添共重合体の含有量が多くなるとワックスの加硫物表面へのブルームが抑制され、均一なワックス皮膜を形成できず、耐オゾン性が悪化する傾向にあることからも、水添共重合体の含有量は上記範囲であることが好ましい。
1.2.天然ゴム
本実施形態におけるゴム組成物は、天然ゴムを含み、該天然ゴムの含有量は、ゴム成分の総量に対して30質量%以上であり、40質量%以上80質量%以下が好ましく、50質量%以上70質量%以下がより好ましい。特に、天然ゴムの含有量が30質量%以上であることにより、混練り時の加工性を良好にし、物性のバランスを改善することができる傾向にある。また、天然ゴムの含有量が80質量%以下であることにより、耐オゾン性に優れる傾向にある。
ゴム組成物における天然ゴムの含有量の調整方法としては、特に限定されないが、例えば、ゴム組成物に対する天然ゴムの配合量を変えることにより調整することができる。
上記ゴム成分以外に使用できるその他のゴムとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、特に限定されないが、例えば、スチレン-ブタジエンゴム(乳化重合タイヤや溶液重合タイプ)、天然ゴム、ポリイソプレン、ブタジエンゴム(ハイシスポリブタジエン、ローシスポリブタジエン、シンジオタクチック1,2-ポリブタジエン、アクリロニトリル-ブタジエンゴム(NBR)、クロロプレンゴム、エチレン-プロピレンゴム(EPM)等のエチレン-α-オレフィン共重合体ゴム、エチレン-プロピレン-ジエンゴム(EPDM)、ブチルゴム、多硫化ゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴム等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を混合して用いてもよい。混合は、重合後にドライの重合体を混合しても、重合中に溶液状態で混合してもよい。
1.3.シリカ
本実施形態のゴム組成物は、シリカを含む。シリカの含有量は、本実施形態の水添共重合体を含むゴム成分100質量部に対し、40質量部以上100質量部以下が好ましい。本実施形態のゴム組成物をタイヤに使用したときのグリップ性能や操縦安定性向上の観点から、40質量部以上が好ましく、50質量部以上がより好ましく、60質量部以上がさらに好ましい。また、タイヤにしたときの省燃費性能が向上する観点から、100質量部以下が好ましく、90質量部以下がより好ましく、80質量部以下がさらに好ましい。そのようなシリカとしては特に限定されないが、例えば、公知のものを用いることができる。
シリカの含有量を調整する方法としては、特に限定されないが、例えば、ゴム組成物に対するシリカの配合量を変えることにより調整することができる。
その中でもSiO2又はSi3Alを構成単位として含む固体粒子状のシリカが好ましく、さらには、SiO2又はSi3Alを構成単位の主成分とすることがより好ましい。ここで、主成分とは、シリカ中に50質量%以上含むことを意味し、その中でも好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上含むことが好ましい。また、シリカは固体粒子状のシリカが好ましい。
そのようなシリカとしては、以下に限定されないが、例えば、シリカ、クレイ、タルク、マイカ、珪藻土、ウォラストナイト、モンモリロナイト、ゼオライト、ガラス繊維等の無機繊維状物質が挙げられる。
シリカの市販品として、特に限定されないが、例えば、エボニック デグサ社製の商品名「Ultrasil 7000GR」が挙げられる。
また、表面を疎水化したシリカ系無機充填剤、シリカ系無機充填剤とシリカ系以外の無機充填剤との混合物も挙げられる。これらの中でも、強度及び耐摩耗性の観点から、シリカ及びガラス繊維が好ましく、シリカがより好ましい。そのようなシリカとしては、特に限定されないが、例えば、乾式シリカ、湿式シリカ、合成ケイ酸塩シリカ等が挙げられる。これらの中でも、破壊特性の改良効果及びウェットスキッド抵抗性のバランスに優れる観点から、湿式シリカがさらに好ましい。
本実施形態のゴム組成物において、実用上良好な耐摩耗性や破壊特性を得る観点から、シリカ系無機充填剤のBET吸着法で求められる窒素吸着比表面積は、100m2/g以上300m2/g以下であることが好ましく、170m2/g以上250m2/g以下であることがより好ましい。
また必要に応じて、比較的に比表面積が小さい(例えば、比表面積が200m2/g未満のシリカ系無機充填剤)と、比較的に比表面積の大きい(例えば、200m2/g以上のシリカ系無機充填剤)と、を組み合わせて用いることができる。これにより、良好な耐摩耗性及び破壊特性と、低ヒステリシスロス性とを高度にバランスよく両立させることができる傾向にある。
1.4.シランカップリング剤
本実施形態のゴム組成物は、メルカプト基(―SH)を有するシランカップリング剤を含む。本実施形態の水添共重合体とともに、シリカ、メルカプト基(―SH)を有するシランカップリング剤を配合することにより、補強性が改善し、省燃費性能と破壊特性のバランスに優れるゴム組成物が得られる傾向にある。
水添共重合体と天然ゴム等の他種ゴムをブレンドする場合に、メルカプト基(―SH)を有しないシランカップリング剤を使用すると、二重結合の多い天然ゴムから優先的に反応し補強されることで、水添共重合体が十分に補強されず、架橋の偏在が生じることにより、破壊特性が悪化する傾向にある。一方、水添共重合体と天然ゴム等の他種ゴムをブレンドする場合に、メルカプト基(―SH)を有するシランカップリング剤を使用すると、その反応性の高さから、水添共重合体も十分に補強され、良好な架橋ネットワークを形成することで、破壊特性が改善できる傾向にある。
メルカプト基(―SH)を有するシランカップリング剤としては、特に限定されないが、例えば、エボニックデグッサ社製のSi363、Momentive社製のNXT-Z30、NXT-Z45、NXT-Z60などを使用することができる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本実施形態のゴム組成物は、メルカプト基(―SH)を有しないシランカップリング剤を含んでもよい。メルカプト基(―SH)を有しないシランカップリング剤としては、特に限定されないが、例えば、エボニックデグッサ社製のSi266、Si69、Si75、Momentive社製のNXTなどを使用することができる。
本実施形態のゴム組成物中のシランカップリング剤の含有量は、シリカ100質量部に対して、1質量部以上10質量部以下であることが好ましい。シランカップリング剤の含有量は省燃費性能の観点から2質量部以上であることがより好ましく、3質量部以上であることがさらに好ましく、4質量部以上であることがよりさらに好ましい。シランカップリング剤の含有量は製造コストの観点から9質量部以下であることが好ましく、8質量部以下がより好ましく、7質量部以下がさらに好ましい。シランカップリング剤の含有量が1質量部以上であることにより、省燃費性能に優れる傾向にあり、シランカップリング剤の含有量が10質量部以下であることにより、加工性に優れる傾向にある。
メルカプト基を有するシランカップリング剤の含有量を調整する方法としては、特に限定されないが、例えば、ゴム組成物に対する上記シランカップリング剤の配合量を変えることにより調整することができる。
1.5.カーボンブラック
本実施形態のゴム組成物は、本実施形態の水添共重合体を含むゴム成分100質量部に対してカーボンブラックを1質量部以上100質量部以下含有することが好ましい。
カーボンブラックとしては、特に限定されず、例えば、SRF、FEF、HAF、ISAF、SAF等の各クラスのカーボンブラック等が挙げられる。これらの中でも、押出成形性の観点、及び転がり抵抗特性の観点から、窒素吸着比表面積が50m2/g以上であり、ジブチルフタレート(DBP)吸油量が80mL/100g以上であるカーボンブラックが好ましい。カーボンブラックの配合量は、耐摩耗性が向上する観点から、1質量部以上が好ましく、3質量部以上がより好ましく、5質量部以上がさらに好ましい。また省燃費性が向上する観点から、100質量部以下が好ましく、50質量部以下がより好ましく、20質量部以下がさらに好ましい。
1.6.軟化剤
本実施形態のゴム組成物は、本実施形態の水添共重合体を含むゴム成分100質量部に対して軟化剤を1質量部以上60質量部以下含有することが好ましい。軟化剤としては、特に限定されず、例えば、伸展油、低分子のゴム状重合体、樹脂等が挙げられるが、加工性や生産性や経済性の観点から、伸展油が好ましい。また、タイヤ用のゴム組成物の耐摩耗性の観点から架橋に寄与することができる低分子のゴム状重合体が好ましい。
そのような好ましい伸展油としては、以下に限定されないが、例えば、アロマ油、ナフテン油、パラフィン油等が挙げられる。これらの中でも、環境安全上の観点、並びにオイルブリード防止及びウェットグリップ特性の観点から、IP346法による多環芳香族(PCA)成分が3質量%以下であるアロマ代替油が好ましい。アロマ代替油としては、特に限定されないが、例えば、Kautschuk Gummi Kunststoffe 52(12)799(1999)に示されるTDAE(Treated Distillate Aromatic Extracts)、MES(Mild Extraction Solvate)等の他、RAE(Residual Aromatic Extracts)が挙げられる。
本実施形態のゴム組成物において、軟化剤の配合量は、加工性の観点から、1質量部以上が好ましく、5質量部以上がより好ましく、10質量部以上がさらに好ましい。また耐摩耗性の観点から、60質量部以下が好ましく、50質量部以下がより好ましく、40質量部以下がさらに好ましい。
1.7.加硫助剤
本実施形態のゴム組成物は、加硫助剤を含んでいてもよく、そのような加硫助剤としては、特に限定されないが、例えば、ステアリン酸及び酸化亜鉛等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併せて用いてもよい。
1.8.架橋剤
本実施形態のゴム組成物は、架橋剤を含有し、前記架橋剤を、本実施形態の水添共重合体を含むゴム成分100質量部に対して、0.1質量部以上20質量部以下含有するものであることが好ましい形態である。前記架橋剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、硫黄系架橋剤(加硫剤)、有機過酸化物系架橋剤、無機架橋剤、ポリアミン架橋剤、樹脂架橋剤、硫黄化合物系架橋剤、オキシムーニトロソアミン系架橋剤等が挙げられ、これらを併用してもよい。なお、タイヤ用ゴム組成物としては、これらの中でも硫黄系架橋剤(加硫剤)がより好ましい。硫黄系架橋剤の中でも、特に硫黄がさらに好ましい。
本実施形態のゴム組成物中の架橋剤の含有量は、ゴム成分100質量部に対して、0.1質量部以上20質量部以下であることが好ましい。高い引張強度や高い架橋速度の観点から、0.1質量部以上が好ましく、0.5質量部以上がより好ましく、1.5質量部以上がさらに好ましい。一方、架橋ムラの抑制や高い引張強度の観点から、20質量部以下が好ましく、5質量部以下がより好ましく、3質量部以下がさらに好ましい。
1.9.加硫促進剤
本実施形態のゴム組成物においては、加硫剤、さらにはそれに加えて加硫促進剤を併用することもできる。加硫促進剤としては、特に限定されないが、例えば、グアニジン系、アルデヒドーアミン系、アルデヒドーアンモニア系、チアゾール系、スルフェンアミド系、チオ尿素系、チウラム系、ジチオカルバメート系、ザンテート系等の化合物が挙げられる。
1.10.その他の成分
また、本実施形態のゴム組成物は、上述した以外の、その他の軟化剤及び充填剤、耐熱安定剤、帯電防止剤、耐候安定剤、老化防止剤、着色剤、滑剤等の各種添加剤を含んでいてもよい。その他の軟化剤としては、特に限定されないが、例えば、公知の軟化剤を用いることができる。その他の充填剤としては、特に限定されないが、例えば、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸アルミニウム、硫酸バリウムが挙げられる。上記の耐熱安定剤、帯電防止剤、耐候安定剤、老化防止剤、着色剤、潤滑剤としては、特に限定されないが、例えば、それぞれ公知の材料を用いることができる。
(加硫物)
本実施形態のゴム組成物は、加硫物として好適に用いられる。ここで、加硫物とは、水添共重合体や天然ゴム等のゴム成分を、シリカやカーボンブラック等の無機充填剤、本実施形態の水添共重合体や天然ゴム以外のゴム成分、メルカプト基を有するシランカップリング剤、メルカプト基を有しないシランカップリング剤、ゴム用軟化剤、ワックス、加硫剤、加硫促進剤、加硫助剤と混合して、ゴム組成物とした後に、加熱して加硫することにより得ることができるものを意味する。
本実施形態のゴム組成物に含まれるゴム成分の種類や含有比率を同定する手法は特に限定されないが、例えば、13C-核磁気共鳴分析(13C-NMR)を用いることで同定することができる。例えば、既報の公知文献(JSR TECHNICAL REVIEW No.126/2019)には、固体13C-NMRを用いることで、ゴム組成物中に含まれるスチレンユニット、1,2-ビニル結合量、1,4-トランス結合量、1,4-シス結合量、やイソプレンユニットの比率を定量的に算出することができる旨が記載されており、同記載を参照して上記同定を行うことが可能である。
2.ゴム組成物の製造方法
本実施形態のゴム組成物の製造方法において、ゴム成分、架橋剤、シリカ、カーボンブラック、メルカプト基を有するシランカップリング剤、軟化剤、その他の充填剤等の添加剤を混練りする方法については、以下のものに限定されないが、例えば、オープンロール、バンバリーミキサー、ニーダー、単軸スクリュー押出機、2軸スクリュー押出機、多軸スクリュー押出機等の一般的な混和機を用いた溶融混練方法を用いることができ、各成分を溶解混合後、溶剤を加熱除去する方法が挙げられる。これらのうち、ロール、バンバリーミキサー、ニーダー、押出機による溶融混練法が生産性、良混練性の点から好ましい。
また、ゴム成分とその他の充填剤、上記シランカップリング剤、及び添加剤とを一度に混練する方法、複数の回数に分けて混合する方法のいずれも適用可能であるが、ゴム成分とシリカ、上記シランカップリング剤、及び添加剤を混練りする第1混練工程と、前記第1混練工程で得られた混練物と架硫剤を混練りする第2混練工程を有する方法が好ましい。
ゴム成分、シリカ、上記シランカップリング剤、及び添加剤を混練りする第1混練工程での混練りの到達温度は、省燃費性能の観点から、140℃以上が好ましく、150℃以上がより好ましく、155℃以上がさらに好ましい。水添共重合体とメルカプト基を有するシランカップリング剤とを混練する場合、好ましい温度に短時間で到達し易い傾向を本発明者は見出した。混練温度の上昇し易さは、生産効率の向上に繋がり、また、両者間の反応の進行を確認する指標ともなる。
また、ゴム成分、充填剤、シランカップリング剤及び添加剤を混練りする第1混練工程での混練りの到達温度は、加工性の観点から、170℃以下が好ましく、165℃以下がより好ましく、160℃以下がさらに好ましい。メルカプト基(―SH)を有するシランカップリング剤は反応性が高いため、混練するゴムの構造によっては、混練り中に架橋が進行し、加工性が悪化しやすい場合があるが、水添共重合体の場合、上記シランカップリング剤と反応する二重結合が少ないため、混練り温度を高くしても良好な加工性を示す。
続いて、第2混練工程として、ゴム成分、充填剤、シランカップリング剤及び添加剤を混練する第1混練工程の後、得られた混練物を冷却し、次いで架硫剤を混練するのが好ましい。混練物の温度が好ましくは80℃以下、より好ましくは70℃以下に冷却する。そのような冷却後に加硫剤を混練することで、加硫剤が組成物全体に分散した状態で架橋させることが出来る。加硫剤を含む組成物を好ましくは150℃、より好ましくは160℃程度に加温することで架橋したゴム組成物が得られる。
3.用途
本実施形態のゴム組成物は、好ましくは架橋用ゴム組成物として、タイヤ部材、自動車の内装及び外装品、防振ゴム、ベルト、履物、発泡体、各種工業用品用途等に利用できる。これらの中でも、タイヤ部材に好適に用いられる。
タイヤ部材としては、特に限定されないが、例えば、省燃費タイヤ、オールシーズンタイヤ、高性能タイヤ、スノー用タイヤ、スタッドレスタイヤ等の各種タイヤ:タイヤ用トレッド、カーカス、サイドウォール、ビード部等のタイヤ各部位への利用が可能である。その中でも特に、タイヤ部材としては、加硫物としたときに耐摩耗性能、省燃費性、ウェットスキッド抵抗性及びスノー性能とのバランスに優れているため、省燃費タイヤ用、高性能タイヤ用、スノー用タイヤのタイヤトレッド用として、好適に用いられる。
タイヤを製造する方法としては、従来公知又は慣用されている方法を用いることができる。そのような方法としては、特に限定されないが、例えば、タイヤ成形用ドラム上に未加硫の架橋用ゴム組成物及びコードよりなる群から選択される少なくとも1つのカーカス層、ベルト層、トレッド層等の通常タイヤ製造に用いられる部材を順次貼り重ね、ドラムを抜き去ってグリーンタイヤとする。次いで、このグリーンタイヤを常法に従って加熱加硫することにより、所望のタイヤ(例えば、空気入りタイヤ)を製造することができる。
以下、具体的な実施例及び比較例を挙げて、本実施形態を更に詳しく説明するが、本実施形態は以下の実施例及び比較例により何ら限定されるものではない。また、実施例及び比較例における各種の物性は下記に示す方法により測定した。
まず、後述する製造例等により作製する水添共重合体及びゴム組成物の物性を測定する方法について詳説した後に、各製造例並びに各実施例及び各比較例について詳説する。
(水素添加前の共重合体の、ブタジエン部分のミクロ構造(1,2-ビニル結合量))
水素添加前の共重合体50mgを、10mLの二硫化炭素に溶解して測定サンプルとした。溶液セルを用いて、赤外線吸収スペクトルを600~1000cm-1の範囲で測定して、所定の波数における吸光度によりハンプトンの方法(R.R.Hampton,Analytical Chemistry 21,923(1949)に記載の方法)の計算式に従い、ブタジエン部分のミクロ構造、すなわち、1,2-ビニル結合量(mol%)を求めた(測定装置:日本分光社製のフーリエ変換赤外分光光度計「FT-IR230」)。
(共重合体の重量平均分子量)
ポリスチレン系ゲルを充填剤としたカラムを3本連結したGPC測定装置を使用して、クロマトグラムを測定し、標準ポリスチレンを使用した検量線に基づいて共重合体の重量平均分子量を求めた。溶離液は、5mmol/Lのトリエチルアミン入りTHFを使用した。カラムは、ガードカラム:東ソー社製の商品名「TSKguardcolumn SuperH-H」、カラム:東ソー社製の商品名「TSKgel SuperH5000」、「TSKgel SuperH6000」、「TSKgel SuperH7000」を使用した。オーブン温度40℃、THF流量0.6mL/分の条件で、RI検出器(東ソー社製の商品名「HLC8020」)を用いた。測定用の試料10mgを20mLのTHFに溶解して測定溶液とし、測定溶液20μLをGPC測定装置に注入して測定した。
(共重合体の水添率)
水添反応後の共重合体の反応液に、過剰量のメタノールを添加することで、水素添加前の共重合体及び水添共重合体を沈殿させて回収した。次いで、水添共重合体をアセトンで抽出し、水添共重合体を真空乾燥した。これを、1H-NMR測定のサンプルとして用いて、水添率を測定した。
1H-NMR測定の条件を以下に記す。
<測定条件>
測定機器 :JNM-LA400(JEOL製)
溶媒 :重水素化クロロホルム
測定サンプル :ポリマーを水素添加する前後の抜き取り品
サンプル濃度 :50mg/mL
観測周波数 :400MHz
化学シフト基準:TMS(テトラメチルシラン)
パルスディレイ:2.904秒
スキャン回数 :64回
パルス幅 :45°
測定温度 :26℃
(共重合体のスチレン量(質量%))
共重合体を試料として、試料100mgを、クロロホルムで100mLにメスアップし、溶解して測定サンプルとした。スチレンのフェニル基による紫外線吸収波長(254nm付近)の吸収量により、試料中のスチレン量(質量%)を測定した(測定装置:島津製作所社製の分光光度計「UV-2450」)。
(共重合体の窒素含有量)
共重合体を試料として、微量窒素分析装置(日東精工アナリテック TN-2100H)を用いて、窒素含有量の測定を行った。
〔共重合体の製造〕
(水素添加触媒の調製)
後述する製造例において共重合体を調製する際に用いる水素添加触媒を、下記の製造例αの方法により調製した。
<製造例α>
窒素置換した反応容器に乾燥及び精製したシクロヘキサン1リットルを仕込み、ビス(η5-シクロペンタジエニル)チタニウムジクロリド100ミリモルを添加し、十分に攪拌しながらトリメチルアルミニウム200ミリモルを含むn-ヘキサン溶液を添加して、室温にて約3日間反応させ水素添加触媒(TC-1)を得た。
(共重合体の重合)
<(製造例1)共重合体A1>
内容積43Lで、撹持機及びジャケットを具備する温度制御が可能なオートクレーブを反応器として使用し、予め不純物を除去した、1,3-ブタジエンを3,046g、スチレンを344.0g、シクロヘキサンを25,800g、極性物質として、2,2-ジ(2-テトラヒドロフリル)プロパン3.76gを、反応器へ入れ、反応器内温を42℃に保持した。続けて、重合開始剤として、n-ブチルリチウム2.2gを前記反応器に供給した。重合反応開始後、重合による発熱で反応器内の温度は上昇を始め、温度の上昇が確認されなくなったら追加の1,3-ブタジエン(以下、追添ブタジエン、ともいう。)を909.9g添加した。追添ブタジエンの反応熱による反応器内の温度上昇が終了したら、変性剤である2,2-ジメトキシ-1-(3-(トリメトキシシリル)プロピル)-1,2-アザシロリジン(変性剤1)2.3gを反応器内へ添加し、5分間攪拌した。一部重合溶液を抜き出し、乾燥させることで、水素添加前の共重合体を得た。
その後、水素添加前の共重合体溶液に、前記<製造例α>で調製した水素添加触媒(TC-1)を、水素添加前の共重合体100質量部当たり、Ti基準で60ppm添加し、水素圧0.8MPa、平均温度85℃で水素添加反応を50分間行い、共重合体A1を得た。得られた共重合体A1の水素添加率は70mоl%であった。
得られた共重合体の溶液に、酸化防止剤としてn-オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロオキシフェニル)-プロピオネートを12.6gと、4,6-ビス(オクチルチオメチル)-o-クレゾールを3.0g添加した。得られた共重合体A1の分析値を表1に示す。
<(製造例2)共重合体A2>
内容積43Lで、撹持機及びジャケットを具備する温度制御が可能なオートクレーブを反応器として使用し、予め不純物を除去した、1,3-ブタジエンを3,046g、スチレンを344.0g、シクロヘキサンを25,800g、極性物質として、2,2-ジ(2-テトラヒドロフリル)プロパン8.14gを、反応器へ入れ、反応器内温を42℃に保持した。続けて、重合開始剤として、n-ブチルリチウム4.7gを前記反応器に供給した。重合反応開始後、重合による発熱で反応器内の温度は上昇を始め、温度の上昇が確認されなくなったら追加の1,3-ブタジエンを909.9g添加した。追添ブタジエンの反応熱による反応器内の温度上昇が終了したら、変性剤である2,2-ジメトキシ-1-(3-(トリメトキシシリル)プロピル)-1,2-アザシロリジン5.0gを反応器内へ添加し、5分間攪拌した。一部重合溶液を抜き出し、乾燥させることで、水素添加前の共重合体を得た。
その後、水素添加前の共重合体溶液に、前記<製造例α>で調製した水素添加触媒(TC-1)を、水素添加前の共重合体100質量部当たり、Ti基準で60ppm添加し、水素圧0.8MPa、平均温度85℃で水素添加反応を50分間行い、共重合体A2を得た。得られた共重合体A2の水素添加率は70mоl%であった。
得られた共重合体の溶液に、酸化防止剤としてn-オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロオキシフェニル)-プロピオネートを12.6gと、4,6-ビス(オクチルチオメチル)-o-クレゾールを3.0g添加した。得られた共重合体A2の分析値を表1に示す。
<(製造例3)共重合体A3>
水素添加量以外の製造条件は製造例1と同様にして、共重合体A3を得た。得られた共重合体A3の分析値を表1に示す。
<(製造例4)共重合体A4>
水素添加量以外の製造条件は製造例2と同様にして、共重合体A4を得た。得られた共重合体A4の分析値を表1に示す。
<(製造例5)共重合体A5>
内容積43Lで、撹持機及びジャケットを具備する温度制御が可能なオートクレーブを反応器として使用し、予め不純物を除去した、1,3-ブタジエンを3,013g、スチレンを387.0g、シクロヘキサンを25,800g、極性物質として、2,2-ジ(2-テトラヒドロフリル)プロパン1.64gを、反応器へ入れ、反応器内温を42℃に保持した。続けて、重合開始剤として、n-ブチルリチウム1.0gを前記反応器に供給した。重合反応開始後、重合による発熱で反応器内の温度は上昇を始め、温度の上昇が確認されなくなったら追加の1,3-ブタジエンを900.0g添加した。追添ブタジエンの反応熱による反応器内の温度上昇が終了したら、一部重合溶液を抜き出し、乾燥させることで、水素添加前の共重合体を得た。
その後、水素添加前の共重合体溶液に、前記<製造例α>で調製した水素添加触媒(TC-1)を、水素添加前の共重合体100質量部当たり、Ti基準で60ppm添加し、水素圧0.8MPa、平均温度85℃で水素添加反応を50分間行い、共重合体A5を得た。
得られた共重合体A5の水素添加率は74mоl%であった。得られた共重合体の溶液に、酸化防止剤としてn-オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロオキシフェニル)-プロピオネートを12.6gと、4,6-ビス(オクチルチオメチル)-o-クレゾールを3.0g添加した。得られた共重合体A5の分析値を表1に示す。
<(製造例6)共重合体A6>
内容積43Lで、撹持機及びジャケットを具備する温度制御が可能なオートクレーブを反応器として使用し、予め不純物を除去した、1,3-ブタジエンを3,013g、スチレンを387.0g、シクロヘキサンを25,800g、極性物質として、2,2-ジ(2-テトラヒドロフリル)プロパン4.95gを、反応器へ入れ、反応器内温を42℃に保持した。続けて、重合開始剤として、n-ブチルリチウム2.9gを前記反応器に供給した。重合反応開始後、重合による発熱で反応器内の温度は上昇を始め、温度の上昇が確認されなくなったら追加の1,3-ブタジエンを900.0g添加した。追添ブタジエンの反応熱による反応器内の温度上昇が終了したら、変性剤であるテトラキス(3-トリメトキシシリルプロピル)-1,3-プロパンジアミン(変性剤2)3.2gを反応器内へ添加し、5分間攪拌した。一部重合溶液を抜き出し、乾燥させることで、水素添加前の共重合体を得た。
その後、水素添加前の共重合体溶液に、前記<製造例α>で調製した水素添加触媒(TC-1)を、水素添加前の共重合体100質量部当たり、Ti基準で60ppm添加し、水素圧0.8MPa、平均温度85℃で水素添加反応を50分間行い、共重合体A6を得た。得られた共重合体A6の水素添加率は74mоl%であった。
得られた共重合体の溶液に、酸化防止剤としてn-オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロオキシフェニル)-プロピオネートを12.6gと、4,6-ビス(オクチルチオメチル)-o-クレゾールを3.0g添加した。得られた共重合体A6の分析値を表1に示す。
<(製造例7)共重合体A7>
内容積43Lで、撹持機及びジャケットを具備する温度制御が可能なオートクレーブを反応器として使用し、予め不純物を除去した、1,3-ブタジエンを3,013g、スチレンを387.0g、シクロヘキサンを25,800g、極性物質として、2,2-ジ(2-テトラヒドロフリル)プロパン2.99gを、反応器へ入れ、反応器内温を42℃に保持した。続けて、重合開始剤として、n-ブチルリチウム1.8gを前記反応器に供給した。重合反応開始後、重合による発熱で反応器内の温度は上昇を始め、温度の上昇が確認されなくなったら追加の1,3-ブタジエンを900.0g添加した。追添ブタジエンの反応熱による反応器内の温度上昇が終了したら、変性剤である2,2-ジメトキシ-1-(3-(トリメトキシシリル)プロピル)-1,2-アザシロリジン0.2g、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン2.6g(変性剤3)を反応器内へ添加し、5分間攪拌した。一部重合溶液を抜き出し、乾燥させることで、水素添加前の共重合体を得た。
その後、水素添加前の共重合体溶液に、前記<製造例α>で調製した水素添加触媒(TC-1)を、水素添加前の共重合体100質量部当たり、Ti基準で60ppm添加し、水素圧0.8MPa、平均温度85℃で水素添加反応を50分間行い、共重合体A7を得た。得られた共重合体A7の水素添加率は74mоl%であった。
得られた共重合体の溶液に、酸化防止剤としてn-オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロオキシフェニル)-プロピオネートを12.6gと、4,6-ビス(オクチルチオメチル)-o-クレゾールを3.0g添加した。得られた共重合体A7の分析値を表1に示す。
<(製造例8)共重合体A8>
内容積43Lで、撹持機及びジャケットを具備する温度制御が可能なオートクレーブを反応器として使用し、予め不純物を除去した、1,3-ブタジエンを3,013g、スチレンを387.0g、シクロヘキサンを25,800g、極性物質として、2,2-ジ(2-テトラヒドロフリル)プロパン3.73gを、反応器へ入れ、反応器内温を42℃に保持した。続けて、重合開始剤として、n-ブチルリチウム2.2gを前記反応器に供給した。重合反応開始後、重合による発熱で反応器内の温度は上昇を始め、温度の上昇が確認されなくなったら追加の1,3-ブタジエンを900.0g添加した。追添ブタジエンの反応熱による反応器内の温度上昇が終了したら、変性剤であるテトラメチルシラン(変性剤4)0.7gを反応器内へ添加し、5分間攪拌した。一部重合溶液を抜き出し、乾燥させることで、水素添加前の共重合体を得た。
その後、水素添加前の共重合体溶液に、前記<製造例α>で調製した水素添加触媒(TC-1)を、水素添加前の共重合体100質量部当たり、Ti基準で60ppm添加し、水素圧0.8MPa、平均温度85℃で水素添加反応を50分間行い、共重合体A8を得た。得られた共重合体A8の水素添加率は74mоl%であった。
得られた共重合体の溶液に、酸化防止剤としてn-オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロオキシフェニル)-プロピオネートを12.6gと、4,6-ビス(オクチルチオメチル)-o-クレゾールを3.0g添加した。得られた共重合体A8の分析値を表2に示す。
<(製造例9)共重合体A9>
変性剤の、2,2-ジメトキシ-1-(3-(トリメトキシシリル)プロピル)-1,2-アザシロリジンの添加量を1.8gに変更した点以外は、製造例1と同様にして、共重合体A9を得た。得られた共重合体A9の分析値を表2に示す。
<(製造例10)共重合体A10>
内容積43Lで、撹持機及びジャケットを具備する温度制御が可能なオートクレーブを反応器として使用し、予め不純物を除去した、1,3-ブタジエンを2,881g、スチレンを559.0g、シクロヘキサンを25,800g、極性物質として、2,2-ジ(2-テトラヒドロフリル)プロパン9.77gを、反応器へ入れ、反応器内温を42℃に保持した。続けて、重合開始剤として、n-ブチルリチウム2.8gを前記反応器に供給した。重合反応開始後、重合による発熱で反応器内の温度は上昇を始め、温度の上昇が確認されなくなったら追加の1,3-ブタジエンを860.4g添加した。追添ブタジエンの反応熱による反応器内の温度上昇が終了したら、変性剤である2,2-ジメトキシ-1-(3-(トリメトキシシリル)プロピル)-1,2-アザシロリジン2.9gを反応器内へ添加し、5分間攪拌した。一部重合溶液を抜き出し、乾燥させることで、水素添加前の共重合体を得た。
その後、水素添加前の共重合体溶液に、前記<製造例α>で調製した水素添加触媒(TC-1)を、水素添加前の共重合体100質量部当たり、Ti基準で60ppm添加し、水素圧0.8MPa、平均温度85℃で水素添加反応を50分間行い、共重合体A10を得た。得られた共重合体A10の水素添加率は67mоl%であった。
得られた共重合体の溶液に、酸化防止剤としてn-オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロオキシフェニル)-プロピオネートを12.6gと、4,6-ビス(オクチルチオメチル)-o-クレゾールを3.0g添加した。得られた共重合体A10の分析値を表2に示す。
<(製造例11)共重合体A11>
内容積43Lで、撹持機及びジャケットを具備する温度制御が可能なオートクレーブを反応器として使用し、予め不純物を除去した、1,3-ブタジエンを2,152g、スチレンを1,505g、シクロヘキサンを25,800g、極性物質として、2,2-ジ(2-テトラヒドロフリル)プロパン3.13gを、反応器へ入れ、反応器内温を42℃に保持した。続けて、重合開始剤として、n-ブチルリチウム3.2gを前記反応器に供給した。重合反応開始後、重合による発熱で反応器内の温度は上昇を始め、温度の上昇が確認されなくなったら追加の1,3-ブタジエンを642.9g添加した。追添ブタジエンの反応熱による反応器内の温度上昇が終了したら、変性剤である2,2-ジメトキシ-1-(3-(トリメトキシシリル)プロピル)-1,2-アザシロリジン3.4gを反応器内へ添加し、5分間攪拌した。一部重合溶液を抜き出し、乾燥させることで、水素添加前の共重合体を得た。
その後、水素添加前の共重合体溶液に、前記<製造例α>で調製した水素添加触媒(TC-1)を、水素添加前の共重合体100質量部当たり、Ti基準で60ppm添加し、水素圧0.8MPa、平均温度85℃で水素添加反応を50分間行い、共重合体A11を得た。得られた共重合体A11の水素添加率は64mоl%であった。
得られた共重合体の溶液に、酸化防止剤としてn-オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロオキシフェニル)-プロピオネートを12.6gと、4,6-ビス(オクチルチオメチル)-o-クレゾールを3.0g添加した。得られた共重合体A11の分析値を表2に示す。
<(製造例12)共重合体B1>
内容積43Lで、撹持機及びジャケットを具備する温度制御が可能なオートクレーブを反応器として使用し、予め不純物を除去した、1,3-ブタジエンを3,046g、スチレンを344.0g、シクロヘキサンを25,800g、極性物質として、2,2-ジ(2-テトラヒドロフリル)プロパン3.41gを、反応器へ入れ、反応器内温を42℃に保持した。続けて、重合開始剤として、n-ブチルリチウム2.0gを前記反応器に供給した。重合反応開始後、重合による発熱で反応器内の温度は上昇を始め、温度の上昇が確認されなくなったら追加の1,3-ブタジエンを909.9g添加した。追添ブタジエンの反応熱による反応器内の温度上昇が終了したら、変性剤である2,2-ジメトキシ-1-(3-(トリメトキシシリル)プロピル)-1,2-アザシロリジン2.1gを反応器内へ添加し、5分間攪拌した。一部重合溶液を抜き出し、乾燥させることで、水素添加前の共重合体を得た。
その後、水素添加前の共重合体溶液に、前記<製造例α>で調製した水素添加触媒(TC-1)を、水素添加前の共重合体100質量部当たり、Ti基準で60ppm添加し、水素圧0.8MPa、平均温度85℃で水素添加反応を50分間行い、共重合体B1を得た。得られた共重合体B1の水素添加率は40mоl%であった。
得られた共重合体の溶液に、酸化防止剤としてn-オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロオキシフェニル)-プロピオネートを12.6gと、4,6-ビス(オクチルチオメチル)-o-クレゾールを3.0g添加した。得られた共重合体B1の分析値を表2に示す。
<(製造例13)共重合体B2>
内容積43Lで、撹持機及びジャケットを具備する温度制御が可能なオートクレーブを反応器として使用し、予め不純物を除去した、1,3-ブタジエンを3,046g、スチレンを344.0g、シクロヘキサンを25,800g、極性物質として、2,2-ジ(2-テトラヒドロフリル)プロパン10.69gを、反応器へ入れ、反応器内温を42℃に保持した。続けて、重合開始剤として、n-ブチルリチウム6.2gを前記反応器に供給した。重合反応開始後、重合による発熱で反応器内の温度は上昇を始め、温度の上昇が確認されなくなったら追加の1,3-ブタジエンを909.9g添加した。追添ブタジエンの反応熱による反応器内の温度上昇が終了したら、変性剤である2,2-ジメトキシ-1-(3-(トリメトキシシリル)プロピル)-1,2-アザシロリジン6.6gを反応器内へ添加し、5分間攪拌した。一部重合溶液を抜き出し、乾燥させることで、水素添加前の共重合体を得た。
その後、水素添加前の共重合体溶液に、前記<製造例α>で調製した水素添加触媒(TC-1)を、水素添加前の共重合体100質量部当たり、Ti基準で60ppm添加し、水素圧0.8MPa、平均温度85℃で水素添加反応を50分間行い、共重合体B2を得た。得られた共重合体B2の水素添加率は70mоl%であった。
得られた共重合体の溶液に、酸化防止剤としてn-オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロオキシフェニル)-プロピオネートを12.6gと、4,6-ビス(オクチルチオメチル)-o-クレゾールを3.0g添加した。得られた共重合体B2の分析値を表2に示す。
<(製造例14)共重合体B3>
内容積43Lで、撹持機及びジャケットを具備する温度制御が可能なオートクレーブを反応器として使用し、予め不純物を除去した、1,3-ブタジエンを3,046g、スチレンを344.0g、シクロヘキサンを25,800g、極性物質として、2,2-ジ(2-テトラヒドロフリル)プロパン3.76gを、反応器へ入れ、反応器内温を42℃に保持した。続けて、重合開始剤として、n-ブチルリチウム2.2gを前記反応器に供給した。重合反応開始後、重合による発熱で反応器内の温度は上昇を始め、温度の上昇が確認されなくなったら追加の1,3-ブタジエンを909.9g添加した。追添ブタジエンの反応熱による反応器内の温度上昇が終了したら、変性剤である2,2-ジメトキシ-1-(3-(トリメトキシシリル)プロピル)-1,2-アザシロリジン2.3gを反応器内へ添加し、5分間攪拌した。この共重合体溶液に、反応停止剤としてメタノールを添加後、一部重合溶液を抜き出し、乾燥させることで、水素添加前の共重合体を得た。
得られた共重合体溶液に、酸化防止剤としてn-オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロオキシフェニル)-プロピオネートを12.6gと、4,6-ビス(オクチルチオメチル)-o-クレゾールを3.0g添加した。得られた共重合体B3の分析値を表2に示す。
(ゴム組成物の調製、物性評価)
表1~表2に示す製造例1~11で得られた共重合体A1~A11、及び製造例12~14で得られた共重合体B1~B3、並びに天然ゴム、ハイシスポリブタジエンを原料ゴム成分として、表3~5に示す配合に従い、それぞれの原料ゴムを含有するゴム組成物を得た。
表3~5において、各配合剤の添加量は、ゴム用軟化剤を含まないゴム成分100質量部に対する質量部数(以下、parts per hundred rubber又は[phr]、ともいう。)で示した。
(配合成分)
表3~5に示す材料としては以下のものを用いた。
・共重合体A1~A11、B1~B3
・天然ゴム(NR):RSS No.3(生産者:UNIMAC RUBBER CO., LTD.(タイ)、供給者:丸紅テクノラバー)
・ハイシスポリブタジエン(ハイシスBR):宇部興産社製のUBEPOL U150
・シリカ:エボニックデグッサ社製の7000GR(N2SA:170m2/g)
・カーボン:三菱化学(株)製のダイアブラックN339(N2SA:96m2/g、DBP吸収量:124mL/100g)
・オイル:JX日鉱日石エネルギー社製のプロセスNC140
・シランカップリング剤1:エボニックデグッサ社製のSi363
・シランカップリング剤2:エボニックデグッサ社製のSi75
・シランカップリング剤3:エボニックデグッサ社製のSi69
・老化防止剤:大内新興化学(株)製のノクラック6C
・ステアリン酸:日油(株)製のビーズステアリン酸「椿」
・酸化亜鉛:ハクスイテック(株)製の酸化亜鉛3種
・ワックス:日本精蝋(株)製のオゾエース0355
・硫黄:鶴見化学工業(株)製の粉末硫黄
・加硫促進剤1:加硫促進剤:大内新興化学工業(株)製のノクセラーCZ
・加硫促進剤2:大内新興化学工業(株)製のノクセラーD
(ゴム組成物の評価)
上記の材料に対してまず、表3~表5に記載する配合に従い、各実施例及び比較例のゴム組成物を調製した。その後、温度制御装置を備える密閉混練機(内容量0.3L)を使用し、第一段の混練として、充填率65%、ローター回転数30~50rpmの条件で、原料ゴム、シリカ、カーボン、シランカップリング剤、軟化剤、亜鉛華及びステアリン酸を混練した。このとき、密閉混合機の温度を制御し、排出温度は135~175℃で各ゴム組成物(配合物)を得た。
次に、第二段の混練として、上記で得た配合物を室温まで冷却後、老化防止剤を加え、シリカの分散を向上させるため再度混練した。この場合も、混合機の温度制御により、配合物の排出温度を135~175℃に調整した。冷却後、第三段の混練として、70℃に設定したオープンロールにて、硫黄、加硫促進剤1、2を加えて混練した。
続けてその後成形し、160℃で、加硫プレスにて加硫し、加硫後のゴム組成物を得た。該加硫後のゴム組成物の省燃費性能、破壊特性、加工性、及び耐オゾン性を後述する評価方法及び評価基準により評価した。なお、加硫時間は後述の方法で測定したそれぞれのサンプルのT90(分)に5分を足した値とした。具体的には、下記の方法により評価した。評価結果を表3~表5に示す。
(評価方法)
<評価1:省燃費性能>
レオメトリックス・サイエンティフィック社製の粘弾性試験機「ARES」を使用し、ねじりモードで粘弾性パラメータを測定した。50℃において周波数10Hz、ひずみ3%で測定したtanδを省燃費性能の指標とし、参照例の省燃費性能を100と数値化し、以下の[評価基準]に従い判断した。
[評価基準]
5:加硫物の省燃費性能の指数が110以上である。
4:加硫物の省燃費性能の指数が105以上110未満である。
3:加硫物の省燃費性能の指数が95以上105未満である。
2:加硫物の省燃費性能の指数が90以上95未満である。
1:加硫物の省燃費性能の指数が90未満である。
<評価2:破壊特性>
JIS K6251の引張試験法に準拠し、引張強度TB(MPa)、破断伸びEB(%)を測定した。TB×EB/2(MPa・%)を算出し、参照例の破壊特性を100と数値化し、以下の[評価基準]に従い判断した。
[評価基準]
5:加硫物の省燃費性能の指数が110以上である。
4:加硫物の省燃費性能の指数が105以上110未満である。
3:加硫物の省燃費性能の指数が95以上105未満である。
2:加硫物の省燃費性能の指数が90以上95未満である。
1:加硫物の省燃費性能の指数が90未満である。
<評価3:加工性>
上記で得た第二段の混練後、かつ、第三段の混練前の配合物を試料として、ムーニー粘度計を使用し、JIS K6300-1に準拠して、130℃、1分間の予熱を行った後に、ローターを毎分2回転で4分間回転させた後の粘度を測定した。参照例を100と数値化し、以下の評価基準に従い判断した。
[評価基準]
5:加硫物の省燃費性能の指数が110以上である。
4:加硫物の省燃費性能の指数が105以上110未満である。
3:加硫物の省燃費性能の指数が95以上105未満である。
2:加硫物の省燃費性能の指数が90以上95未満である。
1:加硫物の省燃費性能の指数が90未満である。
<評価4:耐オゾン性>
JIS K6259の静的オゾン劣化試験法に準拠し、JIS5号ダンベル片を伸長率20%で伸長治具に取り付け、オゾン濃度50pphm、温度40℃で48時間、静的オゾン劣化試験を行った。そして、目視を以て以下の基準により評価した。
[評価基準]
5:亀裂が見られない。
4:1mm未満の亀裂が1個以上10個未満である。
3:1mm未満の亀裂が10個以上20個以下である。
2:1mm以上3mm未満の亀裂が見られる。
1:3mm以上の亀裂が見られる。

Claims (7)

  1. 重量平均分子量が300,000以上650,000以下である水添共重合体と、
    天然ゴムと、
    シリカと、
    メルカプト基を有するシランカップリング剤と、を含み、
    前記水添共重合体が、芳香族ビニル単位及び共役ジエン単位を有し、
    前記共役ジエン単位が、1,2-ビニル結合を有する共役ジエン単位を、該共役ジエン単位の総量に対して25mol%以上含み、
    前記共役ジエン単位における水素添加された共役ジエン単位の割合が40mol%以上90mol%以下であり、
    前記水添共重合体の含有量が、ゴム成分の総量に対して20質量%以上であり、
    前記天然ゴムの含有量がゴム成分の総量に対して30質量%以上である、
    ゴム組成物。
  2. 前記水添共重合体は、分子量分布が1.20~1.75である、
    請求項1に記載のゴム組成物。
  3. 前記水添共重合体の窒素含有量が15ppm以上170ppm以下である、
    請求項1又は請求項2に記載のゴム組成物。
  4. 温度160℃、剪断速度12.16s-1における前記水添共重合体と前記天然ゴムの溶融粘度差の絶対値が10,000(Pa・s)以下である、
    請求項1~3のいずれか一項に記載のゴム組成物。
  5. 前記シランカップリング剤の含有量が、前記シリカ100質量部に対して1~10質量部である、
    請求項1~4のいずれか一項に記載のゴム組成物。
  6. 水添共重合体と、天然ゴムと、シリカと、及びメルカプト基を有するシランカップリング剤とを含むゴム組成物を混練りする第1混練工程と、
    該工程で得られた混練物と加硫剤とを混練りする第2混練工程を有する、
    ゴム組成物の製造方法。
  7. 請求項1~5のいずれか一項に記載のゴム組成物を用いてなる、
    タイヤ。
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