JP2023142077A - 酸化珪素膜用研磨液組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】一態様において、酸化珪素膜の表面凹凸における凸部の研磨速度向上と凹部の研磨速度抑制とを両立できる酸化珪素膜用研磨液組成物を提供する。【解決手段】本開示は、一態様において、酸化セリウム粒子(成分A)と、含窒素複素芳香環の少なくとも1つの水素原子がヒドロキシル基で置換された窒素含有複素芳香族化合物(成分B)と、下記式(I)又は式(II)で表される化合物(成分C)と、水系媒体と、を含有する、酸化珪素膜用研磨液組成物に関する。JPEG2023142077000006.jpg37170【選択図】なし

Description

本開示は、酸化珪素膜用研磨液組成物、これを用いた半導体基板の製造方法及び研磨方法に関する。
ケミカルメカニカルポリッシング(CMP)技術とは、加工しようとする被研磨基板の表面と研磨パッドとを接触させた状態で研磨液をこれらの接触部位に供給しつつ被研磨基板及び研磨パッドを相対的に移動させることにより、被研磨基板の表面凹凸部分を化学的に反応させると共に機械的に除去して平坦化させる技術である。
現在では、半導体素子の製造工程における、層間絶縁膜の平坦化、シャロートレンチ素子分離構造の形成、プラグ及び埋め込み金属配線の形成等を行う際には、このCMP技術が必須の技術となっている。近年、半導体素子の多層化、高精細化が飛躍的に進み、半導体素子の歩留まり及びスループット(収量)の更なる向上が要求されるようになってきている。それに伴い、CMP工程に関しても、研磨傷フリーで且つより高速な研磨が望まれるようになってきている。
例えば、特許文献1では、セリア等の研磨材と、自己停止剤(例えば、安息香酸)と、水性キャリアとを含む、pHが約3~5のCMP用研磨液が提案されている。
特許文献2では、酸化セリウム等の研磨材と、除去速度加速剤(例えば、安息香酸)と、溶媒(例えば、水)とを含み、pHが5超であるCMP組成物が提案されている。
特許文献3では、酸化セリウム等の砥粒と、4-ピロン系化合物と、芳香環又はピリジン環と酸性官能基とを有する有機酸(例えば、安息香酸)及びアミノ基を有する有機酸から選ばれる少なくとも1種の化合物と、水とを含有するCMP用研磨液が提案されている。
特許文献4では、酸化セリウム粒子と、特定の還元電位を有する化合物と、水系媒体とを含有する、酸化珪素膜用研磨液組成物が提案されている。
特表2020-517117号公報 特開2020―26532号公報 特開2017-45822号公報 特開2020-80399号公報
近年の半導体分野においては高集積化が進んでおり、配線の複雑化や微細化が求められている。そのため、CMPでは、砥粒の粒径を小さくすることで欠陥の低減を図っているが、この場合、研磨速度が低下する問題があり、酸化珪素膜の研磨速度の向上が要求されている。
特に、3次元NAND型フラッシュメモリの層間絶縁膜のCMPによる平坦化工程においては、被研磨基板上に階段状にスタックされたフィルムのアレイ部とその周辺部とで酸化珪素膜の表面凹凸の段差が大きいため、CMPによる平坦化に時間がかかるという問題がある。例えば、参考文献International Conference on Planarization/CMP technology(ICPT), p106 (2016)には、図2に示されるようにCMP前にエキストラエッチング(extra-etching process)を行うことによって、凸部を微細化し、CMP効率を向上し、研磨時間を短縮する方法が提案されている。一方、記録容量の増大に伴い、アレイ部の厚みはさらに向上し、表面凹凸の段差がさらに大きくなる。したがって、このような微細な凸部を高速に除去することがより一層求められるようになってきている。また、凹部の研磨抑制も求められる。
そこで、本開示は、酸化珪素膜の表面凹凸における凸部の研磨速度向上と凹部の研磨速度抑制とを両立できる酸化珪素膜用研磨液組成物、これを用いた半導体基板の製造方法及び研磨方法等を提供する。
本開示は、一態様において、酸化セリウム粒子(成分A)と、含窒素複素芳香環の少なくとも1つの水素原子がヒドロキシル基で置換された窒素含有複素芳香族化合物(成分B)と、下記式(I)又は式(II)で表される化合物(成分C)と、水系媒体と、を含有する、酸化珪素膜用研磨液組成物に関する。
前記式(I)中、R1は、炭素数1以上6以下の脂肪族炭化水素基を示し、R2は、水素原子又は炭素数1以上6以下の脂肪族炭化水素基を示し、M1は、水素原子、アルカリ金属、有機カチオン又はアンモニウム(NH4 +)を示す。
前記式(II)中、R3及びR4は、同一又は異なって、水素原子、炭化水素基、メトキシ基、又はエトキシ基を示し、nは、0又は1を示し、mは、0又は1を示し、M2は、水素原子、アルカリ金属、有機カチオン又はアンモニウム(NH4 +)を示す。
本開示は、一態様において、本開示の酸化珪素膜用研磨液組成物を用いて被研磨膜を研磨する工程を含む、半導体基板の製造方法に関する。
本開示は、一態様において、本開示の研磨液組成物を用いて被研磨膜を研磨する工程を含み、前記被研磨膜は、半導体基板の製造過程で形成される酸化珪素膜である、研磨方法に関する。
本開示によれば、一態様において、酸化珪素膜の表面凹凸における凸部の研磨速度向上と凹部の研磨速度抑制とを両立可能な酸化珪素膜用研磨液組成物を提供できる。
図1は、評価用ウエハを説明するための概略図である。 図2は、3次元NAND型フラッシュメモリの層間絶縁膜のCMP前にエキストラエッチングすることを説明するための概略図である。
本発明者らが鋭意検討した結果、特定の窒素含有複素芳香族化合物(成分B)と特定の化合物(成分C)を併用することで、酸化珪素膜の表面凹凸における凸部の研磨速度向上と凹部の研磨速度抑制とを両立できるという知見に基づく。
すなわち、本開示は、一態様において、酸化セリウム粒子(成分A)と、含窒素複素芳香環の少なくとも1つの水素原子がヒドロキシル基で置換された窒素含有複素芳香族化合物(成分B)と、上記式(I)又は式(II)で表される化合物(成分C)と、水系媒体と、を含有する、酸化珪素膜用研磨液組成物(以下、「本開示の研磨液組成物」ともいう)に関する。
本開示の研磨液組成物によれば、一又は複数の実施形態において、酸化珪素膜の表面凹凸における凸部の研磨速度向上と凹部の研磨速度抑制とを両立できる。
本開示の効果発現メカニズムの詳細について明らかではないが、以下のように推察される。
成分Bはセリア粒子を還元し3価のセリウムが増加することによって研磨速度が向上するが、一方で成分Bは被研磨対象物である酸化珪素膜にも吸着しうる。その結果、成分Bを少量添加した場合はセリア粒子への吸着に伴うセリウムの還元が優位であり、研磨速度の向上効果をもたらすが、成分Bの添加量が増加すると酸化珪素膜にも吸着することで研磨速度が低下する傾向にある。研磨速度の観点から、成分Bの添加量を増やさなくても凹部の研磨速度を抑制できることが好ましい。そのため、成分Bによる被研磨対象物の保護能を成分B以外で強化することが望ましく、本開示では、成分Bとの相互作用性の観点から、成分Cを見出した。成分Cが成分Bと相互作用することで被研磨対象物の保護能を強化し、凹部研磨量を抑制できると考えられる。一方で、成分Cは成分Aに対しても吸着するため、成分Cの添加量を増やすと分散安定性を損なう懸念がある。しかし、成分Cの添加量を増やさなくても併用される成分Bが成分Aを分散安定化することで成分Cによる成分Aへの吸着が抑制されるため、被研磨対象物に吸着している成分Bへの成分Cの吸着が促進され、被研磨対象物の保護能が強化されると考えられる。
但し、本開示はこれらのメカニズムに限定して解釈されなくてもよい。
[被研磨膜]
本開示の研磨液組成物は、一又は複数の実施形態において、酸化珪素膜の研磨に用いられる研磨液組成物(酸化珪素膜用研磨液組成物)であり、酸化珪素膜の研磨を必要とする工程に使用できる。例えば、本開示の研磨液組成物は、一又は複数の実施形態において、半導体基板の素子分離構造を形成する工程で行われる酸化珪素膜の研磨、層間絶縁膜を形成する工程で行われる酸化珪素膜の研磨、埋め込み金属配線を形成する工程で行われる酸化珪素膜の研磨、又は、埋め込みキャパシタを形成する工程で行われる酸化珪素膜の研磨に使用できる。また、本開示の研磨液組成物は、一又は複数の実施形態において、3次元NAND型フラッシュメモリ等の3次元半導体装置の製造に使用できる。
特に、本開示の研磨液組成物は、一又は複数の実施形態において、酸化珪素膜凸部を有する基板の研磨に好適に用いることができる。酸化珪素膜凸部は、一又は複数の実施形態において、基板表面上の酸化珪素膜の凸部であり、例えば、幅10μm~500μm、高さ4μm~10μmの凸部が挙げられる。酸化珪素膜凸部は、一又は複数の実施形態において、3次元NAND型フラッシュメモリの層間絶縁膜のCMP前のエキストラエッチング(extra-etching process)によって形成されうる。酸化珪素膜凸部は、一又は複数の実施形態において、エキストラエッチング後の基板表面上の酸化珪素膜凸部である。酸化珪素膜凸部を有する基板は、一又は複数の実施形態において、3次元NAND型フラッシュメモリの層間絶縁膜のCMP前にエキストラエッチングされた後の基板である。本開示の研磨液組成物は、一又は複数の実施形態において、エキストラエッチング後の基板を研磨するためのものである。
[酸化セリウム粒子(成分A)]
本開示の研磨液組成物は、研磨砥粒として酸化セリウム(以下、「セリア」ともいう)粒子(以下、単に「成分A」ともいう)を含有する。成分Aとしては、正帯電セリア又は負帯電セリアを用いることができる。成分Aの帯電性は、例えば、電気音響法(ESA法:Electorokinetic Sonic Amplitude)により求められる砥粒粒子表面における電位(表面電位)を測定することにより確認できる。表面電位は、例えば、「ゼータプローブ」(協和界面化学社製)を用いて測定でき、具体的には実施例に記載の方法により測定できる。成分Aは、1種類でもよいし、2種以上の組合せであってもよい。砥粒の帯電性は限定されないが、研磨速度向上の観点から、正帯電セリアが好ましい。
成分Aの製造方法、形状、及び表面状態については特に限定されなくてもよい。成分Aとしては、例えば、コロイダルセリア、不定形セリア、セリアコートシリカ等が挙げられる。
コロイダルセリアは、例えば、特表2010-505735号公報の実施例1~4に記載の方法で、ビルドアッププロセスにより得ることができる。
不定形セリアとしては、例えば、粉砕セリアが挙げられる。粉砕セリアの一実施形態としては、例えば、炭酸セリウムや硝酸セリウムなどのセリウム化合物を焼成、粉砕して得られる焼成粉砕セリアが挙げられる。粉砕セリアのその他の実施形態としては、例えば、無機酸や有機酸の存在下でセリア粒子を湿式粉砕することにより得られる単結晶粉砕セリアが挙げられる。湿式粉砕時に使用される無機酸としては、例えば硝酸が挙げられ、有機酸としては、例えば、カルボキシル基を有する有機酸が挙げられ、具体的には、ポリアクリル酸アンモニウム等のポリカルボン酸塩、ピコリン酸、グルタミン酸、アスパラギン酸、アミノ安息香酸及びp-ヒドロキシ安息香酸から選ばれる少なくとも一種が挙げられる。例えば、湿式粉砕時にピコリン酸、グルタミン酸、アスパラギン酸、アミノ安息香酸及びp-ヒドロキシ安息香酸から選ばれる少なくとも1種を使用した場合、正帯電セリアを得ることができ、湿式粉砕時にポリアクリル酸アンモニウム等のポリカルボン酸塩を使用した場合、負帯電セリアを得ることができる。湿式粉砕方法としては、例えば、遊星ビーズミル等による湿式粉砕が挙げられる。
セリアコートシリカとしては、例えば、特開2015-63451号公報の実施例1~14もしくは特開2013-119131号公報の実施例1~4に記載の方法で、シリカ粒子表面の少なくとも一部が粒状セリアで被覆された構造を有する複合粒子が挙げられ、該複合粒子は、例えば、シリカ粒子にセリアを沈着させることで得ることができる。
成分Aの形状としては、例えば、略球状、多面体状、ラズベリー状が挙げられる。
成分Aの平均一次粒子径は、研磨速度向上の観点から、5nm以上が好ましく、10nm以上がより好ましく、20nm以上が更に好ましく、30nm以上が更に好ましく、50nm以上が更に好ましく、60nm以上が更に好ましく、70nm以上が更に好ましく、そして、研磨傷発生の抑制の観点から、300nm以下が好ましく、200nm以下がより好ましく、150nm以下が更に好ましく、100nm以下が更に好ましく、85nm以下が更に好ましく、80nm以下が更に好ましい。本開示において成分Aの平均一次粒子径は、BET(窒素吸着)法によって算出されるBET比表面積S(m2/g)を用いて算出される。BET比表面積は、実施例に記載の方法により測定できる。
本開示の研磨液組成物中の成分Aの含有量は、酸化珪素膜の表面凹凸における凸部の研磨速度向上と凹部の研磨速度抑制とを両立する観点から、0.001質量%以上が好ましく、0.01質量%以上がより好ましく、0.05質量%以上が更に好ましく、0.1質量%以上が更に好ましく、0.2質量%以上が更に好ましく、そして、研磨傷発生抑制の観点から、6質量%以下が好ましく、3質量%以下がより好ましく、1質量%以下が更に好ましく、0.5質量%以下が更に好ましく、0.4質量%以下が更に好ましい。より具体的には、本開示の研磨液組成物中の成分Aの含有量は、0.001質量%以上6質量%以下が好ましく、0.01質量%以上3質量%以下がより好ましく、0.05質量%以上1質量%以下が更に好ましく、0.1質量%以上0.5質量%以下が更に好ましく、0.2質量%以上0.4質量%以下が更に好ましい。成分Aが2種以上の組合せである場合、成分Aの含有量はそれらの合計の含有量をいう。
[窒素含有複素芳香族化合物(成分B)]
本開示の研磨液組成物は、含窒素複素芳香環の少なくとも1つの水素原子がヒドロキシル基で置換された窒素含有複素芳香族化合物(以下、単に「成分B」ともいう)を含む。成分Bは、酸化珪素膜の表面凹凸における凸部の研磨速度向上と凹部の研磨速度抑制とを両立する観点から、少なくとも1つの水素原子がヒドロキシル基で置換された含窒素複素芳香環骨格を含むN-オキシド化合物及びその塩から選ばれる少なくとも1種の化合物であることが好ましい。上記の塩としては、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、有機アミン塩、アンモニウム塩等が挙げられる。成分Bは、1種でもよいし、2種以上の組合せでもよい。
本開示において、N-オキシド化合物とは、一又は複数の実施形態において、N-オキシド基(N→O基)を有する化合物を示す。N-オキシド化合物は、N→O基を1又は2以上有することができ、入手容易性の点からは、N→O基の数は1つが好ましい。
本開示において、含窒素複素芳香環骨格に含まれる少なくとも1つの窒素原子がN-オキシドを形成する。成分Bに含まれる含窒素複素芳香環としては、一又は複数の実施形態において、単環又は2環の縮合環が挙げられる。成分Bに含まれる含窒素複素芳香環の窒素原子数としては、一又は複数の実施形態において、1~3個が挙げられ、研磨速度向上の観点から、1又は2個が好ましく、1個がより好ましい。成分Bに含まれる含窒素複素芳香環骨格としては、一又は複数の実施形態において、ピリジンN-オキシド骨格等が挙げられる。本開示において、ピリジンN-オキシド骨格は、ピリジン環に含まれる窒素原子がN-オキシドを形成している構成を示す。
成分Bとしては、一又は複数の実施形態において、酸化珪素膜の表面凹凸における凸部の研磨速度向上と凹部の研磨速度抑制とを両立する観点から、ピリジン環の少なくとも1つの水素原子がヒドロキシ基で置換されたピリジン環を有するN-オキシド化合物又はその塩が好ましい。
成分Bとしては、例えば、2-ヒドロキシピリジンN-オキシド又はその塩等が挙げられる。
本開示の研磨液組成物中の成分Bの含有量は、凸部研磨速度向上と凹部研磨抑制の観点から、好ましくは0.1mM以上、より好ましくは1mM以上、更に好ましくは1.5mM以上であり、そして、凸部研磨速度向上の観点から、好ましくは10mM以下、より好ましくは7.5mM以下、更に好ましくは5mM以下、更に好ましくは3mM以下である。より具体的には、本開示の研磨液組成物中の成分Bの含有量は、好ましくは0.1mM以上10mM以下、より好ましくは1mM以上7.5mM以下、更に好ましくは1.5mM以上5mM以下、更に好ましくは1.5mM以上3mM以下である。成分Bが2種以上の組合せである場合、成分Bの含有量はそれらの合計の含有量をいう。
[式(I)又は式(II)で表される化合物(成分C)]
本開示の研磨液組成物は、下記式(I)又は式(II)で表される化合物(以下、単に「成分C」ともいう)を含む。成分Cは、ヒドロキシル基を有さない化合物である。ただし、前記ヒドロキシル基(-OH)には、カルボキシ基(-COOH)のOHは含まれない。成分Cは、1種であってもよいし、2種以上の組合せであってもよい。
前記式(I)中、R1は、炭素数1以上6以下の脂肪族炭化水素基を示し、R2は、水素原子又は炭素数1以上6以下の脂肪族炭化水素基を示し、M1は、水素原子、アルカリ金属、有機カチオン又はアンモニウム(NH4 +)を示す。
前記式(I)において、R1は、酸化珪素膜の表面凹凸における凸部の研磨速度向上と凹部の研磨速度抑制とを両立する観点から、炭素数1以上4以下のアルキル基が好ましく、水溶性の観点から、炭素数1以上2以下のアルキル基がより好ましい。R2は、同様の観点から、水素原子又は炭素数1以上4以下のアルキル基が好ましく、水素原子がより好ましい。M1は、同様の観点から、水素原子及びアルカリ金属イオンから選ばれる少なくとも1種が好ましく、水素原子がより好ましい。有機カチオンとしては、一又は複数の実施形態において、有機アンモニウムが挙げられ、例えば、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム等のアルキルアンモニウムが挙げられる。
前記式(II)中、R3及びR4は、同一又は異なって、水素原子、炭化水素基、メトキシ基、又はエトキシ基を示し、nは、0又は1を示し、mは、0又は1を示し、M2は、水素原子、アルカリ金属、有機カチオン又はアンモニウム(NH4 +)を示す。
前記式(II)において、R3及びR4はそれぞれ、酸化珪素膜の表面凹凸における凸部の研磨速度向上と凹部の研磨速度抑制とを両立する観点から、水素原子、炭素数1以上4以下の炭化水素基、メトキシ基又はエトキシ基が好ましく、水素原子又はメトキシ基がより好ましく、水素原子が更に好ましい。nは、同様の観点から、0が好ましい。mは、同様の観点から、0が好ましい。M2は、同様の観点から、水素原子、アルカリ金属イオン、又はアンモニウム(NH4 +)が好ましく、水素原子又はアンモニウム(NH4 +)が好ましい。。有機カチオンとしては、一又は複数の実施形態において、有機アンモニウムが挙げられ、例えば、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム等のアルキルアンモニウムが挙げられる。
成分Cとしては、例えば、安息香酸又はその塩、メトキシ酢酸又はその塩、エトキシ酢酸又はその塩、及び、フェノキシ酢酸又はその塩から選ばれる少なくとも1種が挙げられる。これらの中でも、酸化珪素膜の表面凹凸における凸部の研磨速度向上と凹部の研磨速度抑制とを両立する観点から、安息香酸又はその塩が好ましい。
成分CのpKaは、分散安定性および研磨特性の観点から、好ましくは3.5超、より好ましくは3.6以上、更に好ましくは3.7以上であり、そして、同様の観点から、好ましくは4.6未満、より好ましくは4.4以下、更に好ましくは4.2以下である。より具体的には、成分CのpKaは、好ましくは3.5超4.6未満、より好ましくは3.6以上4.4以下、更に好ましくは3.7以上4.2以下である。成分CのpKaは、例えば、実施例に記載の方法により測定できる。
本開示の研磨液組成物中の成分Cの含有量は、凹部研磨抑制の観点から、好ましくは0.1mM以上、より好ましくは0.7mM以上、更に好ましくは1.3mM以上であり、そして、凸部研磨速度向上の観点から、好ましくは5mM以下、より好ましくは4.5mM以下、更に好ましくは4mM以下である。より具体的には、本開示の研磨液組成物中の成分Cの含有量は、好ましくは0.1mM以上5mM以下、より好ましくは0.7mM以上4.5mM以下、更に好ましくは1.3mM以上4mM以下である。成分Cが2種以上の組合せである場合、成分Cの含有量はそれらの合計の含有量をいう。
本開示の研磨液組成物中における成分Cの含有量に対する成分Bの含有量のモル比B/Cは、凸部研磨速度向上の観点から、0.2以上が好ましく、0.5以上がより好ましく、0.7以上が更に好ましく、そして、凹部研磨抑制の観点から、4以下が好ましく、3以下がより好ましく、1.5以下が更に好ましい。より具体的には、本開示の研磨液組成物中におけるモル比B/Cは、0.2以上4以下が好ましく、0.5以上3以下がより好ましく、0.7以上1.5以下が更に好ましい。
[水系媒体]
本開示の研磨液組成物に含まれる水系媒体としては、蒸留水、イオン交換水、純水及び超純水等の水、又は、水と溶媒との混合溶媒等が挙げられる。上記溶媒としては、水と混合可能な溶媒(例えば、エタノール等のアルコール)が挙げられる。水系媒体が、水と溶媒との混合溶媒の場合、混合媒体全体に対する水の割合は、本開示の効果が妨げられない範囲であれば特に限定されなくてもよく、経済性の観点から、例えば、95質量%以上が好ましく、98質量%以上がより好ましく、そして、100質量%未満が好ましい。被研磨基板の表面清浄性の観点から、水系媒体としては、水が好ましく、イオン交換水及び超純水がより好ましく、超純水が更に好ましい。
本開示の研磨液組成物中の水系媒体の含有量は、成分A、成分B、成分C及び必要に応じて配合される後述する任意成分を除いた残余とすることができる。
[任意成分]
本開示の研磨液組成物は、pH調整剤、界面活性剤、増粘剤、分散剤、防錆剤、防腐剤、塩基性物質、研磨速度向上剤、窒化珪素膜研磨抑制剤、ポリシリコン膜研磨抑制剤等の任意成分をさらに含有することができる。
本開示の研磨液組成物は、一又は複数の実施形態において、防腐性の観点から、4-ピロン系化合物を実質的に含まないことが好ましく、例えば、本開示の研磨液組成物中の4-ピロン系化合物の含有量は、好ましくは0.1質量%以下、より好ましくは0.01質量%以下、更に好ましくは0質量%である。
[研磨液組成物]
本開示の研磨液組成物は、成分A、成分B、成分C、水系媒体、及び必要に応じて任意成分を公知の方法で配合する工程を含む製造方法によって製造できる。例えば、本開示の研磨液組成物は、成分A及び水系媒体を含む分散液(スラリー)、成分Bと成分Cと水系媒体とを含む溶液と、必要に応じて任意成分を配合してなるものとすることができる。本開示において「配合する」とは、成分A、成分B、成分C及び水系媒体、並びに必要に応じて任意成分を同時に又は順に混合することを含む。混合する順序は特に限定されない。前記配合は、例えば、ホモミキサー、ホモジナイザー、超音波分散機及び湿式ボールミル等の混合器を用いて行うことができる。本開示の研磨液組成物の製造方法における各成分の配合量は、上述した本開示の研磨液組成物における各成分の含有量と同じとすることができる。
本開示の研磨液組成物の実施形態は、全ての成分が予め混合された状態で市場に供給される、いわゆる1液型であってもよいし、使用時に混合される、いわゆる2液型であってもよい。例えば、2液型の研磨液組成物としては、一又は複数の実施形態において、成分Aを含む第1液と、成分B及び成分Cを含む第2液とから構成され、使用時に第1液と第2液とが混合されるものが挙げられる。第1液と第2液との混合は、研磨対象の表面への供給前に行われてもよいし、これらは別々に供給されて被研磨基板の表面上で混合されてもよい。第1液及び第2液はそれぞれ必要に応じて上述した任意成分を含有することができる。
本開示の研磨液組成物のpHは、酸化珪素膜の表面凹凸における凸部の研磨速度向上と凹部の研磨速度抑制とを両立する観点から、好ましくは3.5以上、より好ましくは4以上、更に好ましくは4.5以上であり、そして、同様の観点から、好ましくは7.5以下、より好ましくは6.5以下、更に好ましくは5.5以下である。より具体的には、本開示の研磨液組成物のpHは、好ましくは3.5以上7.5以下、より好ましくは4以上6.5以下、更に好ましくは4.5以上5.5以下である。本開示において、研磨液組成物のpHは、25℃における値であって、pHメータを用いて測定した値である。本開示の研磨液組成物のpHは、具体的には、実施例に記載の方法で測定できる。
本開示において「研磨液組成物中の各成分の含有量」とは、研磨時、すなわち、研磨液組成物の研磨への使用を開始する時点での前記各成分の含有量をいう。
本開示の研磨液組成物中の各成分の含有量は、一又は複数の実施形態において、本開示の研磨液組成物中の各成分の配合量とみなすことができる。
本開示の研磨液組成物は、その安定性が損なわれない範囲で濃縮された状態で保存及び供給されてもよい。この場合、製造・輸送コストを低くできる点で好ましい。そしてこの濃縮液は、必要に応じて前述の水系媒体で適宜希釈して研磨工程で使用することができる。希釈割合としては5~100倍が好ましい。
[研磨液キット]
本開示は、一態様において、本開示の研磨液組成物を調製するためのキット(以下、「本開示の研磨液キット」ともいう)に関する。
本開示の研磨液キットとしては、例えば、成分A及び水系媒体を含む砥粒分散液(第1液)と、成分B及び成分Cを含む添加剤水溶液(第2液)と、を相互に混合されない状態で含み、これらが使用時に混合され、必要に応じて水系媒体を用いて希釈される、研磨液キット(2液型研磨液組成物)が挙げられる。前記砥粒分散液(第1液)に含まれる水系媒体は、研磨液組成物の調製に使用する水系媒体の全量でもよいし、一部でもよい。前記添加剤水溶液(第2液)には、研磨液組成物の調製に使用する水系媒体の一部が含まれていてもよい。前記砥粒分散液(第1液)及び前記添加剤水溶液(第2液)にはそれぞれ必要に応じて、上述した任意成分が含まれていてもよい。前記砥粒分散液(第1液)と前記添加剤水溶液(第2液)との混合は、研磨対象の表面への供給前に行われてもよいし、これらは別々に供給されて被研磨基板の表面上で混合されてもよい。本開示の研磨液キットによれば、酸化珪素膜の研磨速度を向上可能な研磨液組成物を得ることができる。
[研磨方法]
本開示は、一態様において、本開示の研磨液組成物を用いて被研磨膜を研磨する工程を含み、前記被研磨膜は、半導体基板の製造過程で形成される酸化珪素膜である、研磨方法(以下、本開示の研磨方法ともいう)に関する。被研磨膜としては、上述した本開示の研磨液組成物における被研磨膜が挙げられる。例えば、本開示の研磨方法における被研磨膜は、一又は複数の実施形態において、エキストラエッチング後の基板表面上の酸化珪素膜凸部である。本開示の研磨方法は、一又は複数の実施形態において、本開示の研磨液組成物を用いて被研磨基板を研磨する工程を含む。被研磨基板としては、一又は複数の実施形態において、エキストラエッチング後の基板、酸化珪素膜凸部を有する基板が挙げられる。本開示の研磨方法を使用することにより、酸化珪素膜の表面凹凸における凸部の研磨速度向上と凹部の研磨速度抑制とを両立可能であるため、品質が向上した半導体基板の生産性を向上できるという効果が奏されうる。本開示の研磨方法における研磨の方法及び条件は、後述する本開示の半導体基板の製造方法と同じようにすることができる。
[半導体基板の製造方法]
本開示は、一態様において、本開示の研磨液組成物を用いて被研磨膜を研磨する工程(研磨工程)を含む、半導体基板の製造方法(以下、「本開示の半導体基板の製造方法」ともいう)に関する。被研磨膜としては、上述した本開示の研磨液組成物における被研磨膜が挙げられる。例えば、本開示の半導体基板の製造方法における被研磨膜としては、一又は複数の実施形態において、エキストラエッチング後の基板表面上の酸化珪素膜凸部が挙げられる。本開示の半導体基板の製造方法は、一又は複数の実施形態において、本開示の研磨液組成物を用いて被研磨基板を研磨する工程を含む。被研磨基板としては、一又は複数の実施形態において、エキストラエッチング後の基板、酸化珪素膜凸部を有する基板等が挙げられる。本開示の半導体基板の製造方法によれば、酸化珪素膜の表面凹凸における凸部の研磨速度向上と凹部の研磨速度抑制とを両立可能であるため、品質が向上した半導体基板を効率よく製造できるという効果が奏されうる。
本開示の半導体基板の製造方法の具体例としては、まず、シリコン基板上に、二酸化シリコン膜、次いで、当該二酸化シリコン層上に窒化珪素(Si34)膜を交互に積層する。その後、ポリシリコンによるチャネル形成、積層膜のトリミング、電荷トラップ層形成、タングステン(W)ゲートを形成し、アレイを形成する。その後、アレイ上に二酸化シリコン層をCVD法(化学気相成長法)等にて積層する。このようにして形成された酸化珪素膜は、アレイ部と周辺部では大きな段差を有する。次いで、CMPにより、アレイ部の酸化珪素膜を、周辺部と同じ高さになるまで研磨する。図2に示されるようにCMP前にエキストラエッチング(extra-etching process)を行うことによって、凸部を微細化し、CMP効率を向上し、研磨時間を短縮する方法が提案されている。
本開示の研磨液組成物は、一又は複数の実施形態において、エキストラエッチング後の酸化珪素膜凸部を有する基板の研磨に好適に用いることができる。酸化珪素膜凸部とは、一又は複数の実施形態において、基板表面上の酸化珪素膜の凸部であり、例えば、幅10μm~500μm、高さ4μm~10μmの凸部が挙げられる。
CMPによる研磨では、被研磨基板の表面と研磨パッドとを接触させた状態で、本開示の研磨液組成物をこれらの接触部位に供給しつつ被研磨基板及び研磨パッドを相対的に移動させることにより、被研磨基板の表面の凹凸部分を平坦化させることができる。
前記研磨工程において、研磨パッドの回転数は、例えば、30~200rpm/分、被研磨基板の回転数は、例えば、30~200rpm/分、研磨パッドを備えた研磨装置に設定される研磨荷重は、例えば、20~500g重/cm2、研磨液組成物の供給速度は、例えば、10~500mL/分以下に設定できる。研磨液組成物が2液型研磨液組成物の場合、第1液及び第2液のそれぞれの供給速度(又は供給量)を調整することで、被研磨膜の研磨速度を調整できる。
前記研磨工程において、被研磨膜(酸化珪素膜)の研磨速度は、生産性向上の観点から、50nm/分以上が好ましく、80nm/分以上がより好ましく、90nm/分以上が更に好ましい。
以下に、実施例により本開示を具体的に説明するが、本開示はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。
1.研磨液組成物の調製
[実施例1~14及び比較例1~12の研磨液組成物の調製]
酸化セリウム粒子(成分A)、表2に示す窒素含有複素芳香族化合物(成分B)、表1に示す化合物(成分C又は非成分C)、及び水を混合して実施例1~14及び比較例1~12の研磨液組成物を得た。研磨液組成物中の各成分の配合量(含有量)(質量%又はmM、有効分)はそれぞれ、表2に示すとおりであり、水の含有量は、成分Aと成分Bと成分C又は非成分Cとを除いた残余である。pH調整はアンモニアもしくは硝酸を用いて実施した。
成分A、成分B、成分C、非成分Cには下記のものを用いた。
(成分A)
焼成粉砕セリア[平均一次粒子径:80nm、BET比表面積:25m2/g、表面電位=80mV]
(成分B)
2-ヒドロキシピリジンN-オキシド(東京化成工業株式会社製)
(成分C)
C1:安息香酸アンモニウム(米山化学工業株式会社製)[式(II)中、R3=H、R4=H、n=0、m=0、M2=NH4 +である。]
C2:メトキシ酢酸(東京化成工業株式会社製)[式(I)中、R1=CH3、R2=H、M1=Hである。]
C3:エトキシ酢酸(東京化成工業株式会社製)[式(I)中、R1=C22、R2=H、M1=Hである。]
C4:フェノキシ酢酸(東京化成工業株式会社製)[式(II)中、R3=H、R4=H、n=1、m=1、M2=Hである。]
C5:安息香酸(東京化成工業株式会社製)[式(II)中、R3=H、R4=H、n=0、m=0、M2=Hである。]
C6:p-アニス酸(4-メトキシ安息香酸、東京化成工業株式会社製)[式(II)中、R3=CH3O、R4=H、n=0、m=0、M2=Hである。]
(非成分C)
C7:酢酸(富士フィルム和光純薬株式会社製)
C8:グリコール酸(東京化成工業株式会社製)
C9:酪酸(東京化成工業株式会社製)
C10:シクロヘキサンカルボン酸(東京化成工業株式会社製)
C11:サリチル酸(東京化成工業株式会社製)
C12:p-ヒドロキシ安息香酸(富士フィルム和光純薬株式会社製)
C13:3,5-ジヒドロキシ安息香酸(富士フィルム和光純薬株式会社製)
C14:アセチルサリチル酸(富士フィルム和光純薬株式会社製)
2.各種パラメータの測定方法
[酸化セリウム粒子(成分A)の平均一次粒子径]
酸化セリウム粒子の平均一次粒子径(nm)は、BET(窒素吸着)法によって算出される比表面積S(m2/g)を用いて下記式で算出される粒径(真球換算)を意味し、下記式により算出される。
下記式中、比表面積Sは、酸化セリウム粒子のスラリー10gを110℃で減圧乾燥して水分を除去したものをメノウ乳鉢で解砕し、得られた粉末を流動式比表面積自動測定装置フローソーブ2300(島津製作所製)を用いて測定することにより求めた。
平均一次粒子径(nm)=820/S
[酸化セリウム(成分A)の表面電位]
酸化セリウム粒子の表面電位(mV)は、表面電位測定装置(協和界面化学社製「ゼータプローブ」)にて測定した。超純水を用い、酸化セリウム濃度0.3%に調整し、表面電位測定装置に投入し、粒子密度7.13g/ml、粒子誘電率7の条件にて表面電位を測定した。測定回数は3回行い、それらの平均値を測定結果とした。
[化合物(成分C又は非成分C)のpKa]
化合物(成分C又は非成分C)のpKaは、電位差自動滴定装置(KEM社製「AT-710M/S」)にて測定した。化合物の水溶性に応じて各濃度(0.01M~1M)に超純水で希釈後、攪拌しながら室温条件で0.01~0.1M水酸化ナトリウム溶液(富士フィルム和光純薬社製)を滴定し、中和滴定曲線からpKaを導出した。
[研磨液組成物のpH]
研磨液組成物の25℃におけるpH値は、pHメータ(東亜電波工業株式会社、HM-30G)を用いて測定した値であり、電極の研磨液組成物への浸漬後1分後の数値である。結果を表2に示した。
3.研磨液組成物(実施例1~14及び比較例1~12)の評価
[評価用サンプル]
評価用サンプルとして、図1に示すウエハ(直径200mm)を使用した。この評価用サンプルは、シリコン基板上に膜厚6μmの酸化珪素膜が形成された後、ドライエッチングによって、図1に示すように、格子状の凹凸部が形成されている。凹部は、縦20mm×横20mm×深さ4μmの大きさである。酸化珪素膜はP-TEOSにより形成されている。この評価用サンプルは、エキストラエッチング後の酸化珪素膜凸部を有する基板のモデル基板である。
[研磨条件]
研磨装置:片面研磨機[荏原製作所製、FREX-200]
研磨パッド:硬質ウレタンパッド「IC-1000/Suba400」[ニッタ・ハース社製]
定盤回転数:100rpm
ヘッド回転数:107rpm
研磨荷重:280hPa
研磨液供給量:200mL/分
研磨時間:1分
[凸部研磨速度]
実施例1~14及び比較例1~3,5~7,10の各研磨液組成物を用いて、上記研磨条件で評価用サンプルを研磨した。比較例4,8,9,11,12は研磨液の凝集により、試験を実施できなかった。
研磨前後の配線幅500umの凸部の酸化ケイ素膜の膜厚をASET-F5X(KLA製)を用い測定した。凸部研磨速度は下記式により求め、結果を表2に示した。
凸部研磨速度=[研磨前の凸部の酸化ケイ素膜厚(nm)-研磨後の凸部の酸化ケイ素膜厚(nm)]/研磨時間(分)
[凹部研磨速度]
実施例1~14及び比較例1~3,5~7,10の各研磨液組成物を用いて、上記研磨条件で評価用サンプルを研磨した。比較例4,8,9,11,12は研磨液の凝集により、試験を実施できなかった。
研磨前後の20mm角の凹部の酸化ケイ素膜の膜厚の中央部をASET-F5X(KLA製)を用い測定した。凹部研磨速度は下記式により求め、結果を表2に示した。
凹部研磨速度=[研磨前の凹部の酸化ケイ素膜厚(nm)-研磨後の凹部の酸化ケイ素膜厚(nm)]/研磨時間(分)
[研磨速度比(研磨選択性)]
凹部の研磨速度に対する凸部の研磨速度の比を研磨速度比(凸部/凹部)とし、下記式により算出した。研磨速度比(凸部/凹部)の値が大きいほど、研磨選択性が高いことを示す。
研磨速度比=凸部の研磨速度(nm/分)/凹部の研磨速度(nm/分)
以上の結果を表2に示す。
表2に示されるように、実施例1~14の研磨液組成物は、比較例1~3,5~7,10に比べて、酸化珪素膜の表面凹凸における凸部の研磨速度向上と凹部の研磨速度抑制とを両立できていることがわかった。なお、比較例4,8,9,11,12の研磨液組成物は沈降物が生じたため評価できなかった。
本開示に係る研磨液組成物は、高密度化又は高集積化用の半導体装置の製造方法において有用である。

Claims (10)

  1. 酸化セリウム粒子(成分A)と、含窒素複素芳香環の少なくとも1つの水素原子がヒドロキシル基で置換された窒素含有複素芳香族化合物(成分B)と、下記式(I)又は式(II)で表される化合物(成分C)と、水系媒体と、を含有する、酸化珪素膜用研磨液組成物。
    前記式(I)中、R1は、炭素数1以上6以下の脂肪族炭化水素基を示し、R2は、水素原子又は炭素数1以上6以下の脂肪族炭化水素基を示し、M1は、水素原子、アルカリ金属、有機カチオン又はアンモニウム(NH4 +)を示す。
    前記式(II)中、R3及びR4は、同一又は異なって、水素原子、炭化水素基、メトキシ基、又はエトキシ基を示し、nは、0又は1を示し、mは、0又は1を示し、M2は、水素原子、アルカリ金属、有機カチオン又はアンモニウム(NH4 +)を示す。
  2. 成分Bは、ピリジン環の少なくとも1つの水素原子がヒドロキシル基に置換されたピリジン環を有するN-オキシド化合物又はその塩である、請求項1に記載の研磨液組成物。
  3. 成分Bは、2-ヒドロキシピリジンN-オキシド又はその塩である、請求項1又は2に記載の研磨液組成物。
  4. 成分CのpKaは、3.5超4.6未満である、請求項1から3のいずれかに記載の研磨液組成物。
  5. 成分Cは、安息香酸又はその塩、メトキシ酢酸又はその塩、エトキシ酢酸又はその塩、及び、フェノキシ酢酸又はその塩から選ばれる少なくとも1種である、請求項1から4のいずれかに記載の研磨液組成物。
  6. 成分Cの含有量は、0.1mM以上5mM以下である、請求項1から5のいずれかに記載の研磨液組成物。
  7. 成分Cの含有量に対する成分Bの含有量のモル比B/Cが0.2以上4以下である、請求項1から6のいずれかに記載の研磨液組成物。
  8. 研磨液組成物のpHは、3.5以上7.5以下である、請求項1から7のいずれかに記載の研磨液組成物。
  9. 請求項1から8のいずれかに記載の研磨液組成物を用いて被研磨膜を研磨する工程を含む、半導体基板の製造方法。
  10. 請求項1から8のいずれかに記載の研磨液組成物を用いて被研磨膜を研磨する工程を含み、前記被研磨膜は、半導体基板の製造過程で形成される酸化珪素膜である、研磨方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2024034618A1 (ja) * 2022-08-09 2024-02-15 株式会社レゾナック 研磨液、研磨液セット及び研磨方法

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