JP2023141690A - 保護膜形成用フィルム、保護膜形成用複合シート、保護膜付き半導体チップ及び半導体装置 - Google Patents

保護膜形成用フィルム、保護膜形成用複合シート、保護膜付き半導体チップ及び半導体装置 Download PDF

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Abstract

【課題】難燃性に優れる保護膜を形成でき、硬化前の柔軟性に優れる保護膜形成用フィルム、該保護膜形成用フィルムを用いた保護膜形成用複合シート、保護膜付き半導体チップ及び半導体装置を提供する。
【解決手段】(A)熱可塑性樹脂と、(B)エポキシ樹脂と、(C)無機充填材と、(D)リン酸化合物誘導体と、を含有する樹脂組成物を用いて形成された保護膜形成用フィルムであって、前記樹脂組成物中におけるリン原子の含有量が、前記樹脂組成物の固形分(100質量%)に対して、0.3質量%以上であり、前記樹脂組成物中における前記(D)リン酸化合物誘導体の含有量が、前記樹脂組成物の固形分(100質量%)に対して、5.5質量%以下である、保護膜形成用フィルム、該保護膜形成用フィルムを用いた保護膜形成用複合シート、保護膜付き半導体チップ及び半導体装置である。
【選択図】図1

Description

本発明は、保護膜形成用フィルム、保護膜形成用複合シート、保護膜付き半導体チップ及び半導体装置に関する。
近年、回路面を基板側に向けた状態で半導体チップを基板上に実装する、いわゆるフェースダウン(face down)方式と呼ばれる実装法を適用した半導体装置の製造が行われている。
フェースダウン方式においては、半導体チップの回路面に形成されたバンプ等の電極を基板と接合するため、半導体チップの回路面とは反対側の裏面が剥き出しの状態にならないように、半導体チップの裏面に保護膜が形成されることがある。
保護膜は、半導体チップの製造過程及び半導体チップの実装後に、外部衝撃等から半導体チップを保護する役割を担う。また、保護膜は、レーザー印字による半導体チップの識別、装飾等に利用可能である。さらに、保護膜は、回路の誤動作を防止する遮光層としても機能し得る。
保護膜は、例えば、保護膜形成用フィルムを用いて形成される。保護膜形成用フィルムとしては、機械強度、耐熱性等の観点から、熱硬化性又はエネルギー線硬化性を有する樹脂組成物からなる硬化性のフィルムが使用されている。硬化性の保護膜形成用フィルムは、半導体ウエハ、半導体チップ等の保護対象物に貼付された後、硬化されることによって、その硬化物からなる保護膜が形成されている。
例えば、特許文献1には、硬化後の鉛筆硬度が5H以上である硬化性保護膜形成層を有することを特徴とするチップ保護用フィルムが開示されている。
特開2009-147277号公報
保護膜形成用フィルムは、通常、保護対象物に貼付される前に、保護対象物と同じ形状に打ち抜かれた後、表面を保護する剥離フィルムが剥離除去され、その後、保護対象物の保護対象面に貼付される。これらの各工程で印加される機械的な力によって、保護膜形成用フィルムが破れることが無いよう、硬化前の保護膜形成用フィルムには柔軟性が要求される。
ところで、近年、安全性向上の観点から、電子部品に対する難燃性の要求レベルが高まっている。プラスチック製品の難燃性を向上させるための難燃剤としては、従来からハロゲン系難燃剤が使用されてきたが、ハロゲン系難燃剤は焼却時に有毒な物質を排出する疑いが持たれ、使用を控える動きが進んでいる。
しかしながら、本発明者等の検討によると、ハロゲン系難燃剤の代替難燃剤を用いて保護膜形成用フィルムの難燃化を図ると、保護膜形成用フィルムに必要とされる、硬化前の柔軟性が不十分になる問題が発生することが確認された。そのため、保護膜形成用フィルムにおいて、硬化前の柔軟性と形成される保護膜の難燃性とを両立させることは困難であった。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであって、難燃性に優れる保護膜を形成でき、硬化前の柔軟性に優れる保護膜形成用フィルム、該保護膜形成用フィルムを用いた保護膜形成用複合シート、保護膜付き半導体チップ及び半導体装置を提供することを目的とする。
本発明者等は、熱可塑性樹脂と、エポキシ樹脂と、無機充填材と、リン酸化合物誘導体と、を含有する樹脂組成物を用いることによって、上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、下記[1]~[12]に関する。
[1](A)熱可塑性樹脂と、(B)エポキシ樹脂と、(C)無機充填材と、(D)リン酸化合物誘導体と、
を含有する樹脂組成物を用いて形成された保護膜形成用フィルムであって、
前記樹脂組成物中におけるリン原子の含有量が、前記樹脂組成物の固形分(100質量%)に対して、0.3質量%以上であり、
前記樹脂組成物中における前記(D)リン酸化合物誘導体の含有量が、前記樹脂組成物の固形分(100質量%)に対して、5.5質量%以下である、保護膜形成用フィルム。
[2]前記(D)リン酸化合物誘導体が、ホスフィン酸金属塩である、上記[1]に記載の保護膜形成用フィルム。
[3]前記ホスフィン酸金属塩が、下記一般式(D-1)で表される、上記[2]に記載の保護膜形成用フィルム。

(式中、R及びRは、各々独立に、置換若しくは無置換の脂肪族炭化水素基、又は置換若しくは無置換の芳香族炭化水素基を示す。Mは、n価の金属原子を示す。nは、1~4の整数を示す。)
[4]前記(A)熱可塑性樹脂が、アクリル系樹脂である、上記[1]~[3]のいずれかに記載の保護膜形成用フィルム。
[5]前記樹脂組成物中における(C)無機充填材の含有量が、前記樹脂組成物の固形分(100質量%)に対して、50質量%以上である、上記[1]~[4]のいずれかに記載の保護膜形成用フィルム。
[6]前記樹脂組成物が、さらに、(E)硬化促進剤を含有する、上記[1]~[5]のいずれかに記載の保護膜形成用フィルム。
[7]前記樹脂組成物が、さらに、(F)着色剤を含有する、上記[1]~[6]のいずれかに記載の保護膜形成用フィルム。
[8]半導体ウエハの裏面に貼付され、保護膜付き半導体チップの製造に用いられる、上記[1]~[7]のいずれかに記載の保護膜形成用フィルム。
[9]上記[1]~[8]のいずれかに記載の保護膜形成用フィルムが、2枚の剥離シートに挟持された構成を有する、保護膜形成用複合シート。
[10]基材と、粘着剤層と、上記[1]~[8]のいずれかに記載の保護膜形成用フィルムと、をこの順で有する、保護膜形成用複合シート。
[11]上記[1]~[8]のいずれかに記載の保護膜形成用フィルムの硬化物である保護膜を有する、保護膜付き半導体チップ。
[12]上記[11]に記載の保護膜付き半導体チップを有する、半導体装置。
本発明によると、難燃性に優れる保護膜を形成でき、硬化前の柔軟性に優れる保護膜形成用フィルム、該保護膜形成用フィルムを用いた保護膜形成用複合シート、保護膜付き半導体チップ及び半導体装置を提供することができる。
本発明の第一態様の保護膜形成用複合シートの構成の一例を示す模式的断面図である。 本発明の第二態様の保護膜形成用複合シートの構成の一例を示す模式的断面図である。 本発明の第二態様の保護膜形成用複合シートの構成の別の例を示す模式的断面図である。
本明細書において、数平均分子量(Mn)及び質量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法で測定される標準ポリスチレン換算の値であり、具体的には実施例に記載の方法に基づいて測定した値である。
本明細書において、好ましい数値範囲(例えば、含有量等の範囲)について、段階的に記載された下限値及び上限値は、それぞれ独立して組み合わせることができる。例えば、「好ましくは10~90、より好ましくは30~60」という記載から、「好ましい下限値(10)」と「より好ましい上限値(60)」とを組み合わせて、「10~60」とすることもできる。
本明細書において、「エネルギー線」とは、電磁波又は荷電粒子線の中でエネルギー量子を有するものを意味する。エネルギー線の例としては、紫外線、放射線、電子線等が挙げられる。紫外線は、無電極ランプ、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ、ブラックライト、LEDランプ等を用いて照射できる。電子線は、電子線加速器等によって発生させたものを照射できる。
また、本明細書において、「エネルギー線硬化性」とは、エネルギー線を照射することによって硬化する性質を意味し、「非エネルギー線硬化性」とは、エネルギー線を照射しても硬化しない性質を意味し、熱硬化性及び非硬化性を包含する。「熱硬化性」とは、加熱することによって硬化する性質を意味し、「非硬化性」とは、加熱又はエネルギー線の照射等によって硬化しない性質を意味する。
本明細書において、例えば、「(メタ)アクリル酸」とは、「アクリル酸」と「メタクリル酸」の双方を示し、他の類似用語も同様である。
本明細書において、半導体ウエハ及び半導体チップの「回路面」とは回路が形成されている面を指し、半導体ウエハ及び半導体チップの「裏面」とは回路面とは反対側の面を指す。
本明細書において、ある対象物の「厚さ」とは、当該対象物全体の厚さを意味し、例えば、当該対象物が複数層からなる場合、当該対象物を構成するすべての層の合計の厚さを意味する。ここでの「対象物」とは、後述する保護膜形成用フィルム、剥離フィルム、基材、粘着剤層等を意味する。
本明細書における厚さは、実施例に記載の方法に基づいて測定した値である。
本明細書において、「固形分」とは、対象となる組成物に含まれる成分のうち、水、有機溶媒等の希釈溶媒を除いた成分を指す。
本明細書に記載されている作用機序は推測であって、本発明の効果を奏する機序を限定するものではない。
[保護膜形成用フィルム]
本実施形態の保護膜形成用フィルムは、
(A)熱可塑性樹脂と、(B)エポキシ樹脂と、(C)無機充填材と、(D)リン酸化合物誘導体と、を含有する樹脂組成物を用いて形成された保護膜形成用フィルムであって、
前記樹脂組成物中におけるリン原子の含有量が、前記樹脂組成物の固形分(100質量%)に対して、0.3質量%以上であり、
前記樹脂組成物中における前記(D)リン酸化合物誘導体の含有量が、前記樹脂組成物の固形分(100質量%)に対して、5.5質量%以下である、保護膜形成用フィルムである。
本実施形態の保護膜形成用フィルムは、少なくとも熱硬化性を有する。ここで、本明細書において、「保護膜形成用フィルム」とは硬化前のものを意味し、「保護膜」とは、保護膜形成用フィルムを硬化させた後のものを意味する。
本実施形態の保護膜形成用フィルムは、半導体ウエハ、半導体チップ等の保護対象物に貼付され、その後、熱硬化されることによって、保護対象物を外部衝撃等から保護する保護膜になる。特に、本実施形態の保護膜形成用フィルムは、半導体ウエハの裏面に貼付され、保護膜付き半導体チップを製造するのに有用である。
本実施形態の保護膜形成用フィルムから形成される保護膜は、難燃性に優れるものであるため、本実施形態の保護膜形成用フィルムから形成される保護膜を設けた保護対象物は安全性に優れる。
また、本実施形態の保護膜形成用フィルムは、硬化前の柔軟性に優れるものであるため、保護対象物と同形状に打ち抜く加工を施す際における破れの発生等が抑制されたものである。
本実施形態の保護膜形成用フィルムは、1層のみからなるものであってもよく、2層以上の複数層からなるものであってもよい。本実施形態の保護膜形成用フィルムが複数層からなる場合、複数層を構成する各層は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
なお、以下の説明において、本実施形態の保護膜形成用フィルムの形成に用いられる樹脂組成物を「保護膜形成用樹脂組成物」と称する場合がある。
〔保護膜形成用樹脂組成物〕
保護膜形成用樹脂組成物は、(A)熱可塑性樹脂と、(B)エポキシ樹脂と、(C)無機充填材と、(D)リン酸化合物誘導体と、を含有する樹脂組成物である。
<リン原子含有量>
本実施形態において、保護膜形成用樹脂組成物中におけるリン原子の含有量は、保護膜形成用樹脂組成物の固形分(100質量%)に対して、0.3質量%以上である。
保護膜形成用樹脂組成物中におけるリン原子の含有量が上記範囲であることによって、本実施形態の保護膜形成用フィルムから形成される保護膜は、難燃性に優れるものになる。
保護膜形成用樹脂組成物中におけるリン原子の含有量は、保護膜の難燃性及び保護膜形成用フィルムの硬化前の柔軟性の観点から、好ましくは0.4~1.5質量%、より好ましくは0.5~1.3質量%、さらに好ましくは0.55~1.0質量%である。
以下、保護膜形成用樹脂組成物が含有する各成分について詳細に説明する。
<(A)熱可塑性樹脂>
保護膜形成用樹脂組成物が(A)熱可塑性樹脂を含有することによって、本実施形態の保護膜形成用フィルムは硬化前の柔軟性、保護対象物への接着性に優れるものになる。
(A)熱可塑性樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(A)熱可塑性樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、フェノキシ樹脂、シリコーン樹脂、飽和ポリエステル樹脂、ポリブテン樹脂、ポリブタジエン樹脂、ポリスチレン樹脂等が挙げられる。これらの中でも、アクリル樹脂が好ましい。
アクリル樹脂の原料モノマーは、(メタ)アクリル酸エステルを含有することが好ましい。
アクリル樹脂の原料モノマーは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(メタ)アクリル酸エステルとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ウンデシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、テトラデシル(メタ)アクリレート、ペンタデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ヘプタデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート等のシクロアルキル(メタ)アクリレート;ベンジル(メタ)アクリレート等のアラルキル(メタ)アクリレート;ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート等のシクロアルケニル(メタ)アクリレート;ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート等のシクロアルケニルオキシアルキル(メタ)アクリレート;イミド(メタ)アクリレート;グリシジル(メタ)アクリレート等のグリシジル基含有(メタ)アクリレート;ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシ基含有(メタ)アクリレート;N-メチルアミノエチル(メタ)アクリレート等の置換アミノ基含有(メタ)アクリレート;等が挙げられる。
これらの中でも、アクリル樹脂の原料モノマーは、アルキル(メタ)アクリレートを含有することが好ましい。
アルキル(メタ)アクリレートのアルキルエステルを構成するアルキル基の炭素数は、特に限定されないが、好ましくは1~18、より好ましくは1~10、さらに好ましくは1~4である。
アルキル(メタ)アクリレートのアルキルエステルを構成するアルキル基は、遊離原子価を有する炭素位置によって、n-、sec-、tert-又はiso-の形態を取り得る場合は、いずれの形態であってもよい。
アクリル樹脂の原料モノマー中におけるアルキル(メタ)アクリレートの含有量は、特に限定されないが、アクリル樹脂の原料モノマー(100質量%)に対して、好ましくは50~97質量%、より好ましくは60~93質量%、さらに好ましくは70~90質量%である。
アクリル樹脂の原料モノマーは、アルキル(メタ)アクリレートと共に、ヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートを含有することが好ましい。
アクリル樹脂の原料モノマーがヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートを含有する場合、アクリル樹脂の原料モノマー中におけるヒドロキシ基含有(メタ)アクリレートの含有量は、特に限定されないが、アクリル樹脂の原料モノマー(100質量%)に対して、好ましくは2~50質量%、より好ましくは6~40質量%、さらに好ましくは10~30質量%である。
アクリル樹脂の原料モノマーは、(メタ)アクリル酸エステル以外のモノマーを含有していてもよく、含有していなくてもよい。
(メタ)アクリル酸エステル以外のモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、酢酸ビニル、アクリロニトリル、アクリロイルモルフォリン、スチレン、アクリルアミド、N-メチロールアクリルアミド等が挙げられる。
(A)熱可塑性樹脂の質量平均分子量(Mw)は、特に限定されないが、好ましくは10,000~2,000,000、より好ましくは100,000~1,500,000、さらに好ましくは150,000~1,000,000である。
(A)熱可塑性樹脂の質量平均分子量(Mw)が上記下限値以上であると、保護膜形成用フィルムの形状安定性がより良好になる傾向にある。また、(A)熱可塑性樹脂の質量平均分子量(Mw)が上記上限値以下であると、保護対象物の凹凸面に保護膜形成用フィルムが追従し易くなり、保護対象物と保護膜形成用フィルムとの間でボイド等の発生がより抑制される傾向にある。
(A)熱可塑性樹脂のガラス転移温度(Tg)(以下、単に「Tg」ともいう)は、特に限定されないが、好ましくは-60~70℃、より好ましくは-30~50℃、さらに好ましくは-10~20℃である。
(A)熱可塑性樹脂のTgが上記下限値以上であると、保護膜形成用フィルムの凝集力がより良好になる傾向にある。また、(A)熱可塑性樹脂のTgが上記上限値以下であると、保護膜形成用フィルムの柔軟性及び接着性が向上する傾向にある。
例えば、アクリル樹脂のTgは、以下に示すFoxの式を用いて計算から求めることができる。
1/Tg=(W1/Tg1)+(W2/Tg2)+…+(Wm/Tgm)
(式中、Tgはアクリル樹脂のガラス転移温度であり、Tg1,Tg2,…Tgmはアクリル樹脂の原料となる各単量体のホモポリマーのガラス転移温度であり、W1、W2、…Wmは各単量体の質量分率である。ただし、W1+W2+…+Wm=1である。)
上記Foxの式における各単量体のホモポリマーのガラス転移温度は、高分子データ・ハンドブック、粘着ハンドブック又は、ポリマーハンドブック記載の値を用いることができる。例えば、メチルアクリレートホモポリマーのTgは10℃、2-ヒドロキシエチルアクリレートホモポリマーのTgは-15℃、2-エチルヘキシルアクリレートのTgは-70℃、2-エチルヘキシルメタクリレートのTgは-10℃である。
また、Tgは、JIS K 7121(2012)に準拠して求めることもできる。
(A)熱可塑性樹脂は、官能基を有していてもよい。当該官能基としては、例えば、ビニル基、(メタ)アクリロイル基、アミノ基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、イソシアネート基等が挙げられる。
(A)熱可塑性樹脂が官能基を有する場合、該官能基は、例えば、後述する(H)架橋剤を介して他の化合物と結合してもよいし、(H)架橋剤を介さずに他の化合物と直接結合していてもよい。(A)熱可塑性樹脂が官能基によって(H)架橋剤を介して又は直接他の化合物と結合することによって、保護膜の信頼性がより良好になる傾向にある。
官能基を有する(A)熱可塑性樹脂としては、官能基を有するアクリル樹脂が好ましく、官能基としてヒドロキシ基を有するアクリル樹脂がより好ましい。
保護膜形成用樹脂組成物中における(A)熱可塑性樹脂の含有量は、特に限定されないが、保護膜形成用樹脂組成物の固形分(100質量%)に対して、好ましくは5~80質量%、より好ましくは7~50質量%、さらに好ましくは10~30質量%である。
(A)熱可塑性樹脂の含有量が上記下限値以上であると、保護膜形成用フィルムの硬化前の柔軟性及び保護対象物への接着性がより良好になる傾向にある。また、(A)熱可塑性樹脂の含有量が上記上限値以下であると、保護膜の難燃性、機械強度及び耐熱性がより良好になる傾向にある。
<(B)エポキシ樹脂>
保護膜形成用樹脂組成物が(B)エポキシ樹脂を含有することによって、本実施形態の保護膜形成用フィルムは熱硬化性を有するものになり、機械強度、耐熱性等に優れる保護膜を形成できるものになる。
(B)エポキシ樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(B)エポキシ樹脂としては、1分子中にエポキシ基を2個以上有するエポキシ樹脂が好ましい。
(B)エポキシ樹脂としては、公知のものが挙げられ、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂及びその水添物;フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂;フェノールアラルキル型エポキシ樹脂等のアラルキル型エポキシ樹脂;ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂;ビフェニル型エポキシ樹脂;ナフタレン型エポキシ樹脂;等が挙げられる。
これらの中でも、保護膜形成用フィルムの取り扱い性、耐熱性等の観点から、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂が好ましい。
(B)エポキシ樹脂の数平均分子量(Mn)は、特に限定されないが、保護膜形成用フィルムの硬化性、並びに保護膜の機械強度及び耐熱性の観点から、好ましくは200~30,000、より好ましくは250~10,000、さらに好ましくは300~3,000である。
(B)エポキシ樹脂のエポキシ当量は、特に限定されないが、保護膜形成用フィルムの硬化性、並びに保護膜の機械強度及び耐熱性の観点から、好ましくは100~1,500g/eq、より好ましくは130~1,200g/eq、さらに好ましくは160~1,000g/eqである。
なお、本明細書において、「エポキシ当量」とは、1グラム当量のエポキシ基を含むエポキシ樹脂のグラム数(g/eq)を意味し、JIS K 7236:2001に従って測定することができる。
保護膜形成用樹脂組成物中における(B)エポキシ樹脂の含有量は、特に限定されないが、保護膜形成用樹脂組成物の固形分(100質量%)に対して、好ましくは2~60質量%、より好ましくは4~40質量%、さらに好ましくは7~20質量%である。
(B)エポキシ樹脂の含有量が上記下限値以上であると、保護膜形成用フィルムの硬化性、並びに保護膜の機械強度及び耐熱性がより良好になる傾向にある。また、(B)エポキシ樹脂の含有量が上記上限値以下であると、保護膜形成用フィルムの硬化前の柔軟性がより良好になる傾向にある。
<(C)無機充填材>
保護膜形成用樹脂組成物が(C)無機充填材を含有することによって、本実施形態の保護膜形成用フィルムは形状維持性に優れるものになり、また、本実施形態の保護膜形成用フィルムから形成される保護膜は、難燃性、低熱膨張性、低吸湿性等に優れるものになる。
(C)無機充填材は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(C)無機充填材としては、例えば、シリカ、タルク、炭酸カルシウム、チタンホワイト、ベンガラ、炭化ケイ素等が挙げられる。これらの中でも、シリカ、アルミナが好ましく、シリカがより好ましい。
(C)無機充填材の形状は特に限定されず、例えば、球状、破砕状、繊維状等であってもよいが、球状であることが好ましい。
(C)無機充填材は、表面処理剤等によって表面改質を施したものであってもよい。表面処理剤としては、後述する(I)カップリング剤を使用することができる。
(C)無機充填材の平均粒子径(D50)は、特に限定されないが、好ましくは0.1~10μm、より好ましくは0.2~5μm、さらに好ましくは0.3~1μmである。
(C)無機充填材の平均粒子径(D50)は、マルチサイザー・スリー機(ベックマン・コールター社製)等を用いて、コールターカウンター法による粒度分布の測定を行うことによって求められる。
保護膜形成用樹脂組成物中における(C)無機充填材の含有量は、特に限定されないが、保護膜形成用樹脂組成物の固形分(100質量%)に対して、好ましくは50質量%以上、より好ましくは53質量%以上、さらに好ましくは55質量%以上であり、また、好ましくは90質量%以下、より好ましくは85質量%以下、さらに好ましくは80質量%以下である。
(C)無機充填材の含有量が上記下限値以上であると、保護膜形成用フィルムの形状維持性、保護膜の難燃性、低熱膨張性及び低吸湿性がより良好になる傾向にある。また、(C)無機充填材の含有量が上記上限値以下であると、保護膜形成用フィルムの硬化前の柔軟性がより良好になる傾向にある。
<(D)リン酸化合物誘導体>
保護膜形成用樹脂組成物が(D)リン酸化合物誘導体を含有することによって、本実施形態の保護膜形成用フィルムから形成される保護膜は難燃性に優れるものになる。
なお、本実施形態において、「リン酸化合物」とは、少なくともリン原子に結合する水酸基を有する化合物を意味し、有機又は無機のリン酸化合物が挙げられる。
リン酸化合物としては、例えば、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、ホスホン酸、ホスフィン酸等が挙げられる。
なお、本明細書中、「ホスホン酸」という用語には、HPOで表される無機ホスホン酸の他、リン原子に結合する1個の水素原子が有機基によって置換された有機ホスホン酸も含まれる。
同様に、本明細書中、「次亜リン酸」及び「ホスフィン酸」という用語には、HPOで表される無機次亜リン酸及び無機ホスフィン酸の他、リン原子に結合する1個又は2個の水素原子が有機基によって置換された有機次亜リン酸及び有機ホスフィン酸も含まれる。
(D)リン酸化合物誘導体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(D)リン酸化合物誘導体としては、例えば、上記リン酸化合物の金属塩、エステル化合物等が挙げられる。具体的には、例えば、ホスフィン酸金属塩、ホスフィン酸エステル化合物、ホスホン酸金属塩、ホスホン酸ジエステル化合物、リン酸金属塩、リン酸エステル化合物等が挙げられる。これらの中でも、ホスフィン酸金属塩、リン酸エステル化合物が好ましく、ホスフィン酸金属塩がより好ましい。
ホスフィン酸金属塩としては、下記一般式(D-1)で表される化合物が好ましい。

(式中、R及びRは、各々独立に、置換若しくは無置換の脂肪族炭化水素基、又は置換若しくは無置換の芳香族炭化水素基を示す。Mは、n価の金属原子を示す。nは、1~4の整数を示す。)
上記一般式(D-1)中のR及びRが示す置換若しくは無置換の脂肪族炭化水素基としては、例えば、置換若しくは無置換のアルキル基、置換若しくは無置換のアルケニル基、置換若しくは無置換のアルキニル基等が挙げられる。これらの脂肪族炭化水素基は、直鎖状又は分岐鎖状のいずれであってもよい。
及びRで示される置換若しくは無置換の脂肪族炭化水素基の炭素数は、特に限定されないが、好ましくは1~10、より好ましくは1~5、さらに好ましくは1~3である。なお、脂肪族炭化水素基が置換基を有する場合、当該炭素数には、置換基の炭素数を含めないものとする。
上記一般式(D-1)中における全ての脂肪族炭化水素基の炭素数の合計は、特に限定されないが、好ましくは1~30、より好ましくは3~20、さらに好ましくは6~15である。なお、脂肪族炭化水素基が置換基を有する場合、当該炭素数には、置換基の炭素数を含めないものとする。
脂肪族炭化水素基が有していてもよい置換基としては、例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アルコキシ基、シアノ基、芳香族炭化水素基等が挙げられる。置換基としての芳香族炭化水素基は、後述するR又はRが示す芳香族炭化水素基と同じものが挙げられる。
置換若しくは無置換の脂肪族炭化水素基としては、置換若しくは無置換のアルキル基が好ましく、置換若しくは無置換のエチル基がより好ましく、無置換のエチル基がさらに好ましい。
置換若しくは無置換の芳香族炭化水素基としては、例えば、置換若しくは無置換のフェニル基、置換若しくは無置換のナフチル基等が挙げられる。
置換若しくは無置換の芳香族炭化水素基の炭素数は、特に限定されないが、好ましくは6~12、より好ましくは6~8である。なお、芳香族炭化水素基が置換基を有する場合、当該炭素数には、置換基の炭素数を含めないものとする。
芳香族炭化水素基が有していてもよい置換基としては、例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アルコキシ基、シアノ基、脂肪族炭化水素基等が挙げられる。置換基としての脂肪族炭化水素基は、上述したR又はRが示す脂肪族炭化水素基と同じものが挙げられる。
上記一般式(D-1)中のMが示す金属としては、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム、チタン、亜鉛等が挙げられる。これらの中でも、アルミニウムが好ましい。
上記一般式(D-1)中のnは、1~4の整数であり、好ましくは2~4の整数、より好ましくは3である。
リン酸エステル化合物としては、例えば、トリエチルホスフェート等の脂肪族リン酸エステル化合物;トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、キシリルジフェニルホスフェート等の芳香族リン酸エステル化合物;レゾルシノールビス(ジフェニル)ホスフェート、レゾルシノールビス(ジクレジル)ホスフェート、レゾルシノールビス(ジ-2,6-キシレニル)ホスフェート、ビスフェノールAビス(ジフェニル)ホスフェート、ビスフェノールAビス(ジクレジル)ホスフェート、ビスフェノールAビス(ジ-2,6-キシレニル)ホスフェート、p-ビフェノールビス(ジフェニル)ホスフェート、p-ビフェノールビス(ジクレジル)ホスフェート、p-ビフェノールビス(ジ-2,6-キシレニル)ホスフェート等の芳香族縮合リン酸エステル化合物;等が挙げられる。
(D)リン酸化合物誘導体は、23℃において、固体あってもよく、液体であってもよいが、取り扱い性の観点から、固体であることが好ましい。
固体の(D)リン酸化合物誘導体の形状は、粒子状であることが好ましい。
(D)リン酸化合物誘導体が粒子状である場合、(D)リン酸化合物誘導体の平均粒子径(D50)は、特に限定されないが、好ましくは20μm以下、より好ましくは10μm以下、さらに好ましくは5μm以下である。
(D)リン酸化合物誘導体の平均粒子径(D50)は、マルチサイザー・スリー機(ベックマン・コールター社製)等を用いて、コールターカウンター法による粒度分布の測定を行うことによって求められる。
(D)リン酸化合物誘導体中における、リン原子の含有量は、特に限定されないが、保護膜の難燃性をより向上させるという観点から、(D)リン酸化合物誘導体(100質量%)に対して、好ましくは5~40質量%、より好ましくは10~30質量%、さらに好ましくは20~25質量%である。
本実施形態において、保護膜形成用樹脂組成物中における(D)リン酸化合物誘導体の含有量は、保護膜形成用樹脂組成物の固形分(100質量%)に対して、5.5質量%以下である。
(D)リン酸化合物誘導体の含有量が上記上限値以下であることによって、保護膜形成用フィルムの硬化前の柔軟性に優れると共に、硬化阻害の発生が抑制され、良好な硬化性が得られ易い傾向にある。
保護膜形成用樹脂組成物中における(D)リン酸化合物誘導体の含有量は、保護膜形成用フィルムの硬化前の柔軟性及び保護膜の難燃性の観点から、保護膜形成用樹脂組成物の固形分(100質量%)に対して、好ましくは0.5~5.3質量%、より好ましくは1~4質量%、さらに好ましくは2~3質量%である。
<(E)硬化促進剤>
保護膜形成用樹脂組成物は、(E)硬化促進剤を含有していてもよい。
保護膜形成用樹脂組成物が(E)硬化促進剤を含有することによって、本実施形態の保護膜形成用フィルムは、硬化性がより良好になる傾向にある。
(E)硬化促進剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(E)硬化促進剤としては、例えば、トリエチレンジアミン、ベンジルジメチルアミン、トリエタノールアミン、ジメチルアミノエタノール、トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等の第3級アミン;2-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、2-フェニル-4-メチルイミダゾール、2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール、2-フェニル-4-メチル-5-ヒドロキシメチルイミダゾール等のイミダゾール類;トリブチルホスフィン、ジフェニルホスフィン、トリフェニルホスフィン等の有機ホスフィン類;テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、トリフェニルホスフィンテトラフェニルボレート等のテトラフェニルボロン塩;等が挙げられる。これらの中でも、イミダゾール類が好ましく、2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾールがより好ましい。
保護膜形成用樹脂組成物が(E)硬化促進剤を含有する場合、保護膜形成用樹脂組成物中における(E)硬化促進剤の含有量は、特に限定されないが、(B)エポキシ樹脂100質量部に対して、好ましくは0.01~10質量部、より好ましくは0.1~5質量部、さらに好ましくは1~3質量部である。
(E)硬化促進剤の含有量が上記下限値以上であると、保護膜形成用フィルムの硬化性がより良好になる傾向にある。また、(E)硬化促進剤の含有量が上記上限値以下であると、硬化物の均質性がより良好になる傾向にある。
<(F)着色剤>
保護膜形成用樹脂組成物は、(F)着色剤を含有していてもよい。
保護膜形成用樹脂組成物が(F)着色剤を含有することによって、本実施形態の保護膜形成用フィルムから形成される保護膜に、レーザー印字性、遮光性、意匠性等を付与することができる。
(F)着色剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(F)着色剤としては、公知のものが挙げられ、例えば、無機系顔料、有機系顔料、有機系染料等が挙げられる。
無機系顔料としては、例えば、カーボンブラック、コバルト系色素、鉄系色素、クロム系色素、チタン系色素、バナジウム系色素、ジルコニウム系色素、モリブデン系色素、ルテニウム系色素、白金系色素、ITO(インジウムスズオキサイド)系色素、ATO(アンチモンスズオキサイド)系色素等が挙げられる。
有機系顔料及び有機系染料としては、例えば、アミニウム系色素、シアニン系色素、メロシアニン系色素、クロコニウム系色素、スクアリウム系色素、アズレニウム系色素、ポリメチン系色素、ナフトキノン系色素、ピリリウム系色素、フタロシアニン系色素、ナフタロシアニン系色素、ナフトラクタム系色素、アゾ系色素、縮合アゾ系色素、インジゴ系色素、ペリノン系色素、ペリレン系色素、ジオキサジン系色素、キナクリドン系色素、イソインドリノン系色素、キノフタロン系色素、ピロール系色素、チオインジゴ系色素、金属錯体系色素(金属錯塩染料)、ジチオール金属錯体系色素、インドールフェノール系色素、トリアリルメタン系色素、アントラキノン系色素、ナフトール系色素、アゾメチン系色素、ベンズイミダゾロン系色素、ピランスロン系色素、スレン系色素等が挙げられる。
保護膜形成用樹脂組成物が(F)着色剤を含有する場合、保護膜形成用樹脂組成物中における(F)着色剤の含有量は、特に限定されないが、適度な着色効果を得るという観点から、保護膜形成用樹脂組成物の固形分(100質量%)に対して、好ましくは0.01~10質量%、より好ましくは0.05~7.5質量%、さらに好ましくは0.1~5質量%、特に好ましくは1~3質量%である。
<(G)エポキシ樹脂硬化剤>
保護膜形成用樹脂組成物は、(G)エポキシ樹脂硬化剤を含有していてもよい。
保護膜形成用樹脂組成物が(G)エポキシ樹脂硬化剤を含有することによって、本実施形態の保護膜形成用フィルムは、硬化性がより良好になる傾向にある。
(G)エポキシ樹脂硬化剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(G)エポキシ樹脂硬化剤としては、例えば、エポキシ基と反応し得る官能基を1分子中に2個以上有する化合物が挙げられる。
エポキシ基と反応し得る官能基としては、例えば、フェノール性水酸基、アルコール性水酸基、アミノ基、カルボキシ基、酸基が無水物化された基等が挙げられる。これらの中でも、フェノール性水酸基、アミノ基、酸基が無水物化された基が好ましく、フェノール性水酸基、アミノ基がより好ましい。
フェノール性水酸基を有する(G)エポキシ樹脂硬化剤としては、例えば、ビフェノール、ノボラック型フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン型フェノール樹脂、アラルキル型フェノール樹脂等のフェノール系硬化剤が挙げられる。
アミノ基を有する(G)エポキシ樹脂硬化剤としては、例えば、ジシアンジアミド等のアミン系硬化剤が挙げられる。
(G)エポキシ樹脂硬化剤のうち、例えば、ビフェノール、ジシアンジアミド等の非樹脂成分の分子量は、特に限定されないが、好ましくは60~500、より好ましくは70~200、さらに好ましくは80~120である。
保護膜形成用樹脂組成物が(G)エポキシ樹脂硬化剤を含有する場合、保護膜形成用樹脂組成物中における(G)エポキシ樹脂硬化剤の含有量は、特に限定されないが、保護膜形成用フィルムの硬化性をより良好にするという観点から、(B)エポキシ樹脂100質量部に対して、好ましくは0.1~200質量部、より好ましくは0.5~100質量部、さらに好ましくは0.7~50質量部、特に好ましくは1~10質量部である。
<(H)架橋剤>
(A)熱可塑性樹脂が官能基を有する場合、保護膜形成用樹脂組成物は、(H)架橋剤を含有していてもよい。(H)架橋剤によって官能基を有する(A)熱可塑性樹脂を架橋させることによって、保護膜形成用フィルムの初期接着力及び凝集力を調整することができる。
(H)架橋剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(H)架橋剤としては、例えば、有機多価イソシアネート化合物、有機多価イミン化合物、金属キレート系架橋剤(金属キレート構造を有する架橋剤)、アジリジン系架橋剤(アジリジニル基を有する架橋剤)等が挙げられる。
有機多価イソシアネート化合物としては、例えば、芳香族多価イソシアネート化合物、脂肪族多価イソシアネート化合物及び脂環族多価イソシアネート化合物(以下、これら化合物をまとめて「芳香族多価イソシアネート化合物等」と略記することがある);上記芳香族多価イソシアネート化合物等の三量体、イソシアヌレート体及びアダクト体;上記芳香族多価イソシアネート化合物等とポリオール化合物とを反応させて得られる末端イソシアネートウレタンプレポリマー等が挙げられる。
なお、上記「アダクト体」とは、上記の芳香族多価イソシアネート化合物等と、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールプロパン、ヒマシ油等の低分子活性水素含有化合物との反応物を意味する。その具体例としては、後述するトリメチロールプロパンのトリレンジイソシアネート付加物等が挙げられる。
有機多価イソシアネート化合物としては、例えば、2,4-トリレンジイソシアネート;2,6-トリレンジイソシアネート;1,3-キシリレンジイソシアネート;1,4-キシリレンジイソシアネート;ジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート;ジフェニルメタン-2,4’-ジイソシアネート;3-メチルジフェニルメタンジイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート;イソホロンジイソシアネート;ジシクロヘキシルメタン-4,4’-ジイソシアネート;ジシクロヘキシルメタン-2,4’-ジイソシアネート;トリメチロールプロパン等のポリオールのすべて又は一部の水酸基に、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート及びキシリレンジイソシアネートからなる群から選択される1種以上が付加した化合物;リジンジイソシアネート等が挙げられる。
有機多価イミン化合物としては、例えば、N,N’-ジフェニルメタン-4,4’-ビス(1-アジリジンカルボキシアミド)、トリメチロールプロパン-トリ-β-アジリジニルプロピオネート、テトラメチロールメタン-トリ-β-アジリジニルプロピオネート、N,N’-トルエン-2,4-ビス(1-アジリジンカルボキシアミド)トリエチレンメラミン等が挙げられる。
以上の選択肢の中でも、(H)架橋剤としては、有機多価イソシアネート化合物が好ましく、トリメチロールプロパン等のポリオールのすべて又は一部の水酸基に、トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート及びキシリレンジイソシアネートからなる群から選択される1種以上が付加した化合物がより好ましく、トリメチロールプロパンのトリレンジイソシアネート付加物がさらに好ましい。
(H)架橋剤として有機多価イソシアネート化合物を用いる場合、(A)熱可塑性樹脂は、ヒドロキシ基を有することが好ましい。(H)架橋剤がイソシアネート基を有し、(A)熱可塑性樹脂がヒドロキシ基を有する場合、(H)架橋剤と(A)熱可塑性樹脂との反応によって、保護膜形成用フィルムに架橋構造を簡便に導入することができる。
保護膜形成用樹脂組成物が(H)架橋剤を含有する場合、保護膜形成用樹脂組成物中における(H)架橋剤の含有量は、特に限定されないが、保護膜形成用フィルムの初期接着力及び凝集力をより良好にするという観点から、官能基を有する(A)熱可塑性樹脂100質量部に対して、好ましくは0.01~20質量部、より好ましくは0.1~10質量部、さらに好ましくは0.5~5質量部である。
<(I)カップリング剤>
保護膜形成用樹脂組成物は、(I)カップリング剤を含有していてもよい。
保護膜形成用樹脂組成物が(I)カップリング剤を含有することによって、(C)無機充填材の分散性が向上すると共に、保護膜の接着性、耐水性等が向上する傾向にある。
(I)カップリング剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(I)カップリング剤としては、例えば、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤等が挙げられる。これらの中でも、シランカップリング剤が好ましい。
(I)カップリング剤としては、例えば、官能基を有する(A)熱可塑性樹脂、(B)エポキシ樹脂等と、反応し得る官能基を有するものが好ましい。当該官能基としては、例えば、グリシジル基、アミノ基、メルカプト基、ビニル基、(メタ)アクリロイル基、ヒドロキシ基、カルボキシ基、イミダゾール基等が挙げられる。これらの中でも、グリシジル基を有するものが好ましい。
(I)カップリング剤としては、例えば、3-グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシジルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン、3-グリシジルオキシプロピルメチルジエトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-(2-アミノエチルアミノ)プロピルトリメトキシシラン、3-(2-アミノエチルアミノ)プロピルメチルジエトキシシラン、3-アニリノプロピルトリメトキシシラン、3-ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、ビス(3-トリエトキシシリルプロピル)テトラスルファン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、イミダゾールシラン、これらの1種又は2種以上の部分加水分解縮合物等が挙げられる。これらの中でも、3-グリシジルオキシプロピルトリメトキシシランが好ましい。
保護膜形成用樹脂組成物が(I)カップリング剤を含有する場合、保護膜形成用樹脂組成物中における(I)カップリング剤の含有量は、特に限定されないが、(A)熱可塑性樹脂及び(B)エポキシ樹脂の総量100質量部に対して、好ましくは0.001~10質量部、より好ましくは0.005~1質量部、さらに好ましくは0.01~0.1質量部である。
(I)カップリング剤の含有量が上記下限値以上であると、(C)無機充填材の分散性、保護膜の接着性、耐水性等がより良好になる傾向にある。また、(I)カップリング剤の含有量が上記上限値以下であると、アウトガスの発生がより抑制される傾向にある。
<溶媒>
保護膜形成用樹脂組成物は、フィルムの形成を容易にするという観点から、溶媒を含有していてもよい。
溶媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン等の炭化水素;メタノール、エタノール、2-プロパノール、2-メチルプロパン-1-オール、1-ブタノール等のアルコール;酢酸エチル等のエステル;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン;テトラヒドロフラン等のエーテル;ジメチルホルムアミド、N-メチルピロリドン等のアミド(アミド結合を有する化合物)等が挙げられる。これらの中でも、トルエン、酢酸エチル、メチルエチルケトンが好ましい。
<その他の成分>
保護膜形成用樹脂組成物は、上記各成分以外のその他の成分を含有していてもよく、含有していなくてもよい。
その他の成分としては、例えば、上記各成分以外の樹脂成分、可塑剤、帯電防止剤、酸化防止剤、ゲッタリング剤、(D)成分以外の難燃剤等が挙げられる。
その他の成分は、各々について、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
保護膜形成用樹脂組成物中におけるその他の成分の含有量は、特に限定されず、目的に応じて適宜選択すればよい。
<保護膜形成用樹脂組成物の製造方法>
保護膜形成用樹脂組成物は、これを構成するための各成分を配合することによって製造することができる。
各成分を配合する際における添加順序は特に限定されず、2種以上の成分を同時に添加してもよいし、逐次的に添加してもよい。
溶媒を用いる場合には、溶媒以外のいずれかの成分は、溶媒で希釈して用いてもよいし、溶媒で希釈せずに他の成分と混合してもよい。
各成分を混合する方法は特に限定されず、例えば、撹拌子、撹拌翼等を回転させて混合する方法;ミキサーを用いて混合する方法;超音波を加えて混合する方法;等の公知の方法から適宜選択すればよい。
各成分を添加及び混合する際における温度及び時間は特に限定されず、使用する成分に応じて適宜調整すればよい。
〔保護膜形成用フィルムの厚さ及び形状〕
本実施形態の保護膜形成用フィルムの厚さは、特に限定されないが、好ましくは1~100μm、より好ましくは3~75μm、さらに好ましくは5~50μmである。
保護膜形成用フィルムの厚さが上記下限値以上であると、保護膜の保護機能がより良好になる傾向にある。また、保護膜形成用フィルムの厚さが上記上限値以下であると、経済性に優れると共に、保護膜の割断等の加工が容易になる傾向にある。
本実施形態の保護膜形成用フィルムの形状は、特に限定されないが、円形の半導体ウエハに貼付するという観点からは、平面視で円形であってもよい。保護膜形成用フィルムの形状が平面視で円形である場合、その直径は、例えば、200mm(8インチウエハ用)、300mm(12インチウエハ用)等である。
〔保護膜形成用フィルムの破断伸度〕
本実施形態の保護膜形成用フィルムの引張速度1,000mm/分における破断伸度は、特に限定されないが、好ましくは50%以上、より好ましくは100%以上、さらに好ましくは130%以上、特に好ましくは160%以上である。
破断伸度が上記範囲であると、本実施形態の保護膜形成用フィルムは、保護対象物に貼付されるまでに施される加工において、破れ等が生じ難いものになる傾向にある。
本実施形態の保護膜形成用フィルムの引張速度1,000mm/分における破断伸度の上限値は、特に限定されないが、1,500%以下であってもよく、1,000%以下であってもよく、500%以下であってもよい。
保護膜形成用フィルムの引張速度1,000mm/分における破断伸度は、実施例に記載の方法によって測定することができる。
〔保護膜形成用フィルムの使用方法〕
本実施形態の保護膜形成用フィルムは、保護対象物に押圧することによって保護対象物に貼付することができる。押圧する際には、必要に応じて、保護膜形成用フィルムを加熱してもよい。
本実施形態の保護膜形成用フィルムを貼付する保護対象物としては、例えば、半導体ウエハ、半導体チップ等が挙げられる。保護膜形成用フィルムを半導体ウエハに貼付する場合、例えば、保護膜形成用フィルムを半導体ウエハの裏面に貼付及び熱硬化させることによって保護膜付き半導体ウエハを形成し、その後、該保護膜付き半導体ウエハを個片化することによって、裏面に保護膜を有する保護膜付き半導体チップを得ることができる。
半導体ウエハとしては、例えば、シリコンウエハ;ガリウム砒素、炭化ケイ素、サファイア、タンタル酸リチウム、ニオブ酸リチウム、窒化ガリウム、インジウム燐等のウエハ;ガラスウエハ;等が挙げられる。
半導体チップとしては、上記半導体ウエハを個片化したものが挙げられる。
本実施形態の保護膜形成用フィルムを貼付する半導体ウエハ又は半導体チップは、裏面研削後のものであることが好ましい。
裏面研削後の半導体ウエハ又は半導体チップの厚さは、特に限定されないが、好ましくは5~150μm、より好ましくは7~100μm、さらに好ましくは10~45μmである。
保護膜形成用フィルムを保護対象物に貼付した後の硬化条件は特に限定されず、保護膜形成用フィルムの種類に応じて、適宜決定すればよい。例えば、保護膜形成用フィルムを熱硬化させる際の加熱温度は、100~200℃であってもよく、110~180℃であってもよく、120~170℃であってもよい。また、保護膜形成用フィルムを熱硬化させる際の加熱時間は、0.5~5時間であってもよく、0.7~4時間であってもよく、1~3時間であってもよい。
本実施形態の保護膜形成用フィルムを保護対象物に貼付する時期及び熱硬化させる時期は特に限定されず、本実施形態の保護膜形成用フィルムを適用するプロセスに応じて適宜決定すればよい。
例えば、半導体ウエハを裏面研削してから個片化することによって半導体チップを製造するプロセスにおいては、半導体ウエハの裏面研削後から、個片化後の半導体チップを基板に実装するまでのいずれかの時期に、保護膜形成用フィルムを半導体ウエハ又は半導体チップに貼付し、熱硬化させて保護膜を形成すればよい。
但し、半導体ウエハを個片化する際における破損等を抑制するという観点からは、半導体ウエハの裏面研削後、個片化前の時期に、半導体ウエハの裏面に保護膜形成用フィルムを貼付し、熱硬化させることによって、保護膜付き半導体ウエハを形成することが好ましい。
保護膜付き半導体ウエハの個片化方法としては、例えば、ブレードダイシング法、レーザーダイシング法、ステルスダイシング(登録商標)法等の公知の個片化方法を適用することができる。
保護膜付き半導体ウエハを個片化することによって、保護膜付き半導体チップが得られる。
〔保護膜形成用フィルムの製造方法〕
保護膜形成用フィルムは、例えば、保護膜形成用樹脂組成物をフィルム状に製膜することによって製造することができる。具体的には、例えば、保護膜形成用樹脂組成物を、剥離フィルム等の支持シート上に塗工し、必要に応じて乾燥することによって、支持シート上に保護膜形成用フィルムを形成することができる。
[第一態様の保護膜形成用複合シート]
本実施形態の第一態様の保護膜形成用複合シートは、本実施形態の保護膜形成用フィルムが、2枚の剥離フィルムに挟持された構成を有する。
なお、本明細書において「剥離フィルム」とは、剥がれる機能を有するフィルムを意味し、保護対象物に貼付する前の保護膜形成用フィルムを保護するために、保護膜形成用フィルムの表面に貼り付けられるものである。
第一態様の保護膜形成用複合シートが有する保護膜形成用フィルムの好適な態様は上記した通りである。
<第一態様の保護膜形成用複合シートの構成>
図1は、第一態様の保護膜形成用複合シートの一例を模式的に示す断面図である。なお、以下の説明で用いる図は、便宜上、要部となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率等が実際と同じであるとは限らない。
図1に示す保護膜形成用複合シート1は、保護膜形成用フィルム10の一方の表面10a上に第1剥離フィルム111を有し、他方の表面10b上に第2剥離フィルム112を有する。
このような構成を有する保護膜形成用複合シートは、例えば、ロール状として保管するのに好適である。
第1剥離フィルム111及び第2剥離フィルム112は、互いに同じものであってもよいし、異なるものであってもよい。例えば、第1剥離フィルム111及び第2剥離フィルム112は、保護膜形成用フィルム10から剥離させるときに必要な剥離力が互いに異なるものとしてもよい。
<剥離フィルム>
保護膜形成用複合シートに使用できる剥離フィルムとしては、例えば、剥離フィルム用の基材上に剥離剤を塗布したものが挙げられる。
剥離フィルム用の基材としては、例えば、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリブテンフィルム、ポリブタジエンフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、塩化ビニル共重合体フィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエチレンナフタレートフィルム、ポリブチレンテレフタレートフィルム、ポリウレタンフィルム、エチレン酢酸ビニル共重合体フィルム、アイオノマー樹脂フィルム、エチレン・(メタ)アクリル酸共重合体フィルム、エチレン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体フィルム、ポリスチレンフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリイミドフィルム、フッ素樹脂フィルム等の透明フィルム;これらの架橋フィルム;これらを着色したフィルム;不透明フィルム;上質紙、グラシン紙、クラフト紙等の紙類;等が挙げられる。これらは、単層で用いてもよく、2層以上を積層して用いてもよい。
剥離剤としては、例えば、シリコーン系樹脂、オレフィン系樹脂、イソプレン系樹脂、ブタジエン系樹脂等のゴム系エラストマー;長鎖アルキル系樹脂、アルキド系樹脂、フッ素系樹脂;等が挙げられる。剥離剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
剥離フィルムの厚さは、特に限定されないが、好ましくは10~500μm、より好ましくは15~300μm、さらに好ましくは20~100μmである。
剥離フィルムの厚さが上記下限値以上であると、保護膜形成用複合シートの耐変形性がより良好になる傾向にある。また、剥離フィルムの厚さが上記上限値以下であると、適度な柔軟性が得られ、保護膜形成用複合シートの取り扱い性がより良好になる傾向にある。
<第一態様の保護膜形成用複合シートの製造方法>
第一態様の保護膜形成用複合シートは、上記した〔保護膜形成用フィルムの製造方法〕に準拠して製造することができる。具体的には、例えば、保護膜形成用樹脂組成物を塗工する対象を、剥離フィルムの剥離処理面として、剥離フィルム上に保護膜形成用フィルムを形成した後、該保護膜形成用フィルムの露出面に対して、別の剥離フィルムの剥離処理面を貼付することによって、第一態様の保護膜形成用複合シートを製造することができる。
[第二態様の保護膜形成用複合シート]
本実施形態の第二態様の保護膜形成用複合シートは、基材と、粘着剤層と、本実施形態の保護膜形成用フィルムと、をこの順で有する、保護膜形成用複合シートである。
第二態様の保護膜形成用複合シートが有する保護膜形成用フィルムの好適な態様は上記した通りである。
第二態様の保護膜形成用複合シートは、保護膜形成用フィルムに加え、基材及び粘着剤層を有する。そのため、例えば、第二態様の保護膜形成用複合シートの保護膜形成用フィルムを半導体ウエハに貼付及び熱硬化させて保護膜を形成した場合、粘着剤層を介して基材によって支持された保護膜付き半導体ウエハが得られる。粘着剤層を介して基材によって支持された保護膜付き半導体ウエハは、例えば、基材側の表面を固定して個片化することが可能である。すなわち、第二態様の保護膜形成用複合シートは、保護膜形成用フィルムと、基材及び粘着剤層を有するダイシングシートと、が一体化されたものとして使用することができる。
<第二態様の保護膜形成用複合シートの構成>
第二態様の保護膜形成用複合シートは、基材、粘着剤層及び保護膜形成用フィルムのみからなるものであってもよいが、基材、粘着剤層及び保護膜形成用フィルム以外のその他の構成部材を有していてもよい。その他の構成部材としては、例えば、保護膜形成用フィルムの粘着剤層とは反対側の面に積層される剥離フィルム等が挙げられる。
第二態様の保護膜形成用複合シートが有していてもよい剥離フィルムの好適な態様は上記した通りである。
図2及び図3は、第二態様の保護膜形成用複合シートの例を模式的に示す断面図である。
なお、各図において、既に説明済みの図に示すものと同じ構成要素には、その説明済みの図の場合と同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
図2に示す保護膜形成用複合シート1Aは、基材12上に粘着剤層13を有し、粘着剤層13上に保護膜形成用フィルム10を有している。保護膜形成用複合シート1Aは、さらに保護膜形成用フィルム10の表面10a(上面)と、粘着剤層13の表面13a(上面)とに、剥離フィルム11が積層されている。保護膜形成用複合シート1Aは、剥離フィルム11が取り除かれた状態で、保護膜形成用フィルム10の表面10aのうち、中央側の一部の領域に半導体ウエハ(図示略)の裏面が貼付され、さらに、保護膜形成用フィルム10の周縁部近傍の領域が、リングフレーム等の治具に貼付されて、使用される。
図3に示す保護膜形成用複合シート1Bは、粘着剤層13の表面13aの一部、すなわち、周縁部近傍の領域に治具用接着剤層14が積層され、保護膜形成用フィルム10の表面10a(上面)と、治具用接着剤層14の表面14a(上面)とに、剥離フィルム11が積層されていること以外は、図2に示す保護膜形成用複合シート1Aと同じものである。
治具用接着剤層14は、例えば、接着剤成分を含有する単層構造のものであってもよいし、芯材となるシートの両面に接着剤成分を含有する層が積層された複数層構造のものであってもよい。
保護膜形成用複合シート1Bは、剥離フィルム11が取り除かれた状態で、保護膜形成用フィルム10の表面10aに半導体ウエハ(図示略)の裏面が貼付され、さらに、治具用接着剤層14の表面14aのうち上面が、リングフレーム等の治具に貼付されて、使用される。
本実施形態の第二態様の保護膜形成用複合シートは、図2及び図3に示すものに限定されず、本実施形態における効果を損なわない範囲内において、図2及び図3に示すものの一部の構成が変更又は削除されたもの、これまでに説明したものにさらに他の構成が追加されたものであってもよい。
<基材>
基材の構成材料としては、例えば、各種樹脂が挙げられる。
基材を構成する樹脂としては、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)等のポリエチレン;ポリプロピレン、ポリブテン、ポリブタジエン、ポリメチルペンテン、ノルボルネン樹脂等のポリエチレン以外のポリオレフィン;エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸エステル共重合体、エチレン-ノルボルネン共重合体等のエチレン系共重合体(モノマーとしてエチレンを用いて得られた共重合体);ポリ塩化ビニル、塩化ビニル共重合体等の塩化ビニル系樹脂(モノマーとして塩化ビニルを用いて得られた樹脂);ポリスチレン;ポリシクロオレフィン;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリエチレン-2,6-ナフタレンジカルボキシレート、すべての構成単位が芳香族環式基を有する全芳香族ポリエステル等のポリエステル;2種以上のポリエステルの共重合体;ポリ(メタ)アクリル酸エステル;ポリウレタン;ポリウレタンアクリレート;ポリイミド;ポリアミド;ポリカーボネート;フッ素樹脂;ポリアセタール;変性ポリフェニレンオキシド;ポリフェニレンスルフィド;ポリスルホン;ポリエーテルケトン;これらの樹脂の1種又は2種以上が架橋した架橋樹脂;これらの樹脂の1種又は2種以上を用いたアイオノマー等の変性樹脂等が挙げられる。基材を構成する樹脂は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、耐熱性の観点から、ポリプロピレン、ポリブチレンテレフタレートが好ましい。
基材は、上記した樹脂以外にも、例えば、充填材、着色剤、帯電防止剤、酸化防止剤、有機滑剤、触媒、軟化剤(可塑剤)等の公知の各種添加剤を含有していてもよい。
基材は、粘着剤層等の他の層との密着性を向上させるために、表面処理を施されたものであってもよい。
表面処理の方法としては、例えば、サンドブラスト処理、溶剤処理等による凹凸化処理;コロナ放電処理、電子線照射処理、プラズマ処理、オゾン・紫外線照射処理、火炎処理、クロム酸処理、熱風処理等の酸化処理;プライマー処理;等が挙げられる。これらの中でも、保護膜形成用複合シートをブレードダイシングに適用する場合におけるブレードの摩擦による基材の断片の発生が抑制されるという観点から、電子線照射処理を施されたものが好ましい。
基材は、1層のみからなるものであってもよく、2層以上の複数層からなるものであってもよい。基材が複数層からなる場合、複数層を構成する各層は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
さらに、基材は、例えば、帯電防止コート層、保護膜形成用複合シートを重ね合わせて保存する際に、基材が他のシートに接着すること、基材が吸着テーブルに接着することを防止するための層等を有するものであってもよい。
基材の厚さは、特に限定されないが、好ましくは40~300μm、より好ましくは50~200μm、さらに好ましくは60~150μmである。
基材の厚さが上記範囲であると、保護膜形成用複合シートの可撓性及び貼付性がより良好になる傾向にある。
<粘着剤層>
粘着剤層は、基材と保護膜形成用フィルムとの間に設けられる、粘着性を有する層である。
粘着剤層は、1層のみからなるものであってもよく、2層以上の複数層からなるものであってもよい。粘着剤層が複数層からなる場合、複数層を構成する各層は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
粘着剤層を構成する粘着性樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ゴム系樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ポリビニルエーテル樹脂、ポリカーボネート樹脂、エステル系樹脂等の粘着性樹脂が挙げられる。これらの粘着性樹脂が、2種以上の構成単位を有する共重合体である場合、当該共重合体の形態は、特に限定されず、ブロック共重合体、ランダム共重合体及びグラフト共重合体のいずれであってもよい。
これらの中でも、優れた粘着力を発現させるという観点から、アクリル樹脂が好ましい。
なお、本実施形態において、「粘着性樹脂」とは、粘着性を有する樹脂と、接着性を有する樹脂と、の両方を含む概念であり、例えば、樹脂自体が粘着性を有するものだけでなく、添加剤等の他の成分との併用によって粘着性を示す樹脂;熱、水等のトリガーの存在によって接着性を示す樹脂;等も含む。
粘着剤層の厚さは、特に限定されないが、好ましくは3~30μm、より好ましくは4~20μm、さらに好ましくは5~17μmである。
粘着剤層の厚さが上記下限値以上であると、タック及び粘着力がより良好になる傾向にある。また、粘着剤層の厚さが上記上限値以下であると、保護膜形成用複合シートをブレードダイシングに適用する場合におけるブレードダイシング適性及びピックアップ適性がより良好になる傾向にある。
粘着剤層は、エネルギー線硬化性粘着剤を用いて形成されたものでもよいし、非エネルギー線硬化性粘着剤を用いて形成されたものでもよい。なお、非エネルギー線硬化性粘着剤には、熱硬化性粘着剤及び非硬化性粘着剤が包含される。
<第二態様の保護膜形成用複合シートの製造方法>
第二態様の保護膜形成用複合シートは、保護膜形成用複合シートを構成する各層を、対応する位置関係となるように順次積層することで製造できる。各層は、上記した〔保護膜形成用フィルムの製造方法〕に準拠して形成することができる。
具体的には、例えば、基材に積層された粘着剤層の表面に保護膜形成用樹脂組成物を塗工して、粘着剤層上に保護膜形成用フィルムを形成してもよいし、予め剥離フィルムの剥離処理面上に保護膜形成用フィルムを形成しておき、該保護膜形成用フィルムの露出面を基材に積層された粘着剤層の表面と貼り合わせて、保護膜形成用フィルムを粘着剤層上に積層してもよい。
基材に粘着剤層を積層する場合も同様に、粘着剤層を形成するため組成物を基材の表面に塗工してもよいし、剥離フィルムの剥離処理面上に形成した粘着剤層の露出面を、基材の表面と貼り合わせてから、剥離フィルムを除去してもよい。第二態様の保護膜形成用複合シートが、中間層等の任意の層を有する場合も、上記の方法に準じて必要な位置に当該任意の層を設ければよい。
[保護膜付き半導体チップ]
本実施形態の保護膜付き半導体チップは、本実施形態の保護膜形成用フィルムの硬化物である保護膜を有する、保護膜付き半導体チップである。
本実施形態の保護膜付き半導体チップが有する保護膜の形成に用いられる保護膜形成用フィルム及び該保護膜形成用フィルムから形成される保護膜、並びに半導体チップの好適な態様についての説明は、上記した通りである。
半導体チップの平面視における大きさは、特に限定されないが、好ましくは600mm未満、より好ましくは400mm未満、さらに好ましくは300mm未満である。なお、平面視とは厚さ方向に見ることをいう。
半導体チップの平面視における形状は、方形であってもよく、矩形等の細長形状であってもよい。
本実施形態の保護膜付き半導体チップは、本実施形態の保護膜形成用フィルムの使用方法において説明した方法によって製造することができる。
[半導体装置]
本実施形態の半導体装置は、本実施形態の保護膜付き半導体チップを有する、半導体装置である。
本実施形態の半導体装置としては、例えば、本実施形態の保護膜付き半導体チップを、回路を有する基板にフリップチップ接続してなる半導体パッケージ等が挙げられる。
本発明について、以下の実施例により具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、各実施例における物性値は、以下の方法によって測定した値である。
[質量平均分子量(Mw)]
ゲル浸透クロマトグラフ装置(東ソー株式会社製、製品名「HLC-8020」)を用いて、下記の条件下で測定し、標準ポリスチレン換算にて測定した値を用いた。
(測定条件)
・カラム:「TSK guard column SuperH-H」「TSK gel SuperHM-H」「TSK gel SuperHM-H」「TSK gel SuperH2000」(いずれも東ソー株式会社製)を順次連結したもの
・カラム温度:40℃
・展開溶媒:テトラヒドロフラン
・流速:1.0mL/min
[各層の厚さ]
株式会社テクロック製の定圧厚さ測定器(型番:「PG-02J」、標準規格:JISK6783、Z1702、Z1709に準拠)を用いて、23℃にて、任意の5箇所において厚さを測定し、測定値の平均値を算出した。
[保護膜形成用フィルムの製造]
実施例1~4、比較例1~4
(樹脂組成物の製造)
表1に示す各成分を、表1に記載の配合組成に従って、メチルエチルケトン、トルエン及び酢酸エチルの混合溶媒に溶解又は分散させた後、23℃で撹拌することによって、固形分濃度62質量%の樹脂組成物を得た。
(保護膜形成用フィルムの作製)
剥離フィルム1(リンテック株式会社製、商品名「SP-PET502150」、厚さ50μmのポリエチレンテレフタレート製フィルムの片面をシリコーン樹脂で剥離処理したもの)の剥離処理面に、上記で得られた樹脂組成物をナイフコーターを用いて塗工し、100℃で2分間乾燥させて、剥離フィルム1上に厚さ25μmの保護膜形成用フィルムを形成した。その後、保護膜形成用フィルムに、剥離フィルム2(リンテック株式会社製、商品名「SP-PET381130」、厚さ38μmのポリエチレンテレフタレート製フィルムの片面をシリコーン樹脂で剥離処理したもの)の剥離処理面を貼り合わせて、2枚の剥離フィルムに挟持された保護膜形成用フィルム(以下、「両面剥離フィルム付き保護膜形成用フィルム」ともいう)を製造した。
[評価方法]
各例で得られた保護膜形成用フィルムを、以下に示す方法によって評価した。
(難燃性の評価方法)
各例で得られた両面剥離フィルム付き保護膜形成用フィルムから剥離フィルム2を除去したものを2枚用意し、表出した保護膜形成用フィルム面同士を70℃に加熱したロールラミネーターで押圧しながら直接積層させ、厚さが約50μmの保護膜形成用フィルムを作製してから、一方の面から剥離フィルム1を除去した。表出した保護膜形成用フィルムが貼付面になるように、シリコンウエハ片(2,000番研磨面を有する厚さ100μmのシリコンウエハを長さ125mm、幅13mmの矩形状に切り出したもの)に貼付した。その後、剥離フィルム1を除去し、空気雰囲気下、180℃で2時間、加熱することによって、シリコンウエハ片に貼付した保護膜形成用フィルムを硬化させて、保護膜を形成した。次いで、シリコンウエハ片と同じ形状になるように保護膜の不要な箇所を切断及び除去し、得られた保護膜付きシリコンウエハ片を難燃性試験用の試験片とした。なお、試験片は、各例において5個ずつ作製した。
得られた試験片を、温度23℃、湿度50%の恒温室の中で48時間調湿し、米国アンダーライターズ・ラボラトリーズ(UL)が定めているUL94試験(機器の部品用プラスチック材料の燃焼試験)のUL94V試験(垂直燃焼試験)に準拠して難燃性試験を行った。また、UL94V試験に含まれる、5個の試験片に対する接炎試験を実施した後には、各試験片の燃え残りの長さを測定し、5個の試験片における燃え残り長さの平均値を算出した。
表1にUL94V試験における等級及び試験片の燃え残り長さの平均値を示す。なお、表1における「NOT」は、UL94V試験におけるV-2の基準を満たすことができなかったことを意味する。
(破断伸度の測定方法)
各例で得られた両面剥離フィルム付き保護膜形成用フィルムから剥離フィルム2を除去したものを1枚用意し、表出した保護膜形成用フィルム面を内側にして半分に折り曲げ、70℃に加熱したロールラミネーターで押圧して、保護膜形成用フィルム同士を直接積層した。次いで、一方の剥離フィルム1を除去し、再度、表出した保護膜形成用フィルム面を内側にして半分に折り曲げ、上記と同じ条件で押圧した。さらに、同様の操作を繰り返して、保護膜形成用フィルムの厚さが約200μmである、両面剥離フィルム付き保護膜形成用フィルムを製造した。該両面剥離フィルム付き保護膜形成用フィルムを、長さ60mm、幅15mmの大きさに裁断し、両面の剥離フィルムを除去したものを破断伸度測定用の試験片とした。
上記で得た試験片に対して、引張試験機(株式会社島津製作所製、商品名「オートグラフAG-IS1kN」)を用いて、23℃、相対湿度50%、引張速度1,000mm/分、チャック間距離10mmの条件で引張試験を行い、破断伸度を測定した。
なお、破断伸度は、以下の式によって算出される。
破断伸度(%)={(L-L)/L}×100
L=破断時の試験片の長さ
=試験前の試験片の長さ
なお、表1に示す各成分の詳細は、以下の通りである。
<(A)熱可塑性樹脂>
メチルアクリレート85質量部及び2-ヒドロキシエチルアクリレート15質量部を共重合してなるアクリル樹脂(質量平均分子量(Mw):37万、ガラス転移温度:6℃)
<(B)エポキシ樹脂>
(B)-1:ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂(DIC株式会社製、商品名「エピクロンHP-7200HH」、エポキシ当量255~260g/eq)
(B)-2:ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱ケミカル株式会社製、商品名「jER1055」、エポキシ当量800~900g/eq)
(B)-3:ビスフェノールA型エポキシ樹脂(三菱ケミカル株式会社製、商品名「jER828」、エポキシ当量184~194g/eq)
<(C)無機充填材>
球状シリカ(株式会社アドマテックス製、商品名「SC2050MA」、平均粒子径(D50)0.5μm)
<(D)リン酸化合物誘導体>
(D)-1:トリスジエチルホスフィン酸アルミニウム塩(クラリアントケミカルズ社製、製品名「EXOLIT OP935」、平均粒子径(D50)2~3μm)
(D)-2:トリスジエチルホスフィン酸アルミニウム塩(クラリアントケミカルズ社製、製品名「EXOLIT OP945」、平均粒子径(D50)2μm以下)
<(E)硬化促進剤>
2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール
<(F)着色剤>
カーボンブラック(三菱ケミカル株式会社製、商品名「MA600」)
<(G)エポキシ樹脂硬化剤>
ジシアンジアミド型潜在性硬化剤(株式会社ADEKA製、商品名「アデカハードナーEH-3636AS」、活性水素当量21g/eq)
<(H)架橋剤>
トリメチロールプロパンのトリレンジイソシアネート付加物
<(I)カップリング剤>
3-グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン
表1から、本実施形態の実施例1~4の保護膜形成用フィルムは硬化前の柔軟性に優れ、保護膜の難燃性にも優れていることが分かる。一方、(D)リン酸化合物誘導体を配合しなかった比較例1の保護膜形成用フィルムから形成した保護膜は難燃性に劣り、(D)リン酸化合物誘導体の含有量が5.5質量%を超える比較例2~4の保護膜形成用フィルムは、硬化前の柔軟性に劣っていた。
1、1A、1B 保護膜形成用複合シート
10 保護膜形成用フィルム
10a、10b 保護膜形成用フィルムの剥離フィルム側の表面
11 剥離フィルム、
111 第1剥離フィルム
112 第2剥離フィルム
12 基材
13 粘着剤層
13a 粘着剤層の保護膜形成用フィルム側の表面
14 治具用接着剤層
14a 治具用接着剤層の剥離フィルム側の表面

Claims (12)

  1. (A)熱可塑性樹脂と、(B)エポキシ樹脂と、(C)無機充填材と、(D)リン酸化合物誘導体と、
    を含有する樹脂組成物を用いて形成された保護膜形成用フィルムであって、
    前記樹脂組成物中におけるリン原子の含有量が、前記樹脂組成物の固形分(100質量%)に対して、0.3質量%以上であり、
    前記樹脂組成物中における前記(D)リン酸化合物誘導体の含有量が、前記樹脂組成物の固形分(100質量%)に対して、5.5質量%以下である、保護膜形成用フィルム。
  2. 前記(D)リン酸化合物誘導体が、ホスフィン酸金属塩である、請求項1に記載の保護膜形成用フィルム。
  3. 前記ホスフィン酸金属塩が、下記一般式(D-1)で表される、請求項2に記載の保護膜形成用フィルム。

    (式中、R及びRは、各々独立に、置換若しくは無置換の脂肪族炭化水素基、又は置換若しくは無置換の芳香族炭化水素基を示す。Mは、n価の金属原子を示す。nは、1~4の整数を示す。)
  4. 前記(A)熱可塑性樹脂が、アクリル系樹脂である、請求項1~3のいずれか1項に記載の保護膜形成用フィルム。
  5. 前記樹脂組成物中における(C)無機充填材の含有量が、前記樹脂組成物の固形分(100質量%)に対して、50質量%以上である、請求項1~4のいずれか1項に記載の保護膜形成用フィルム。
  6. 前記樹脂組成物が、さらに、(E)硬化促進剤を含有する、請求項1~5のいずれか1項に記載の保護膜形成用フィルム。
  7. 前記樹脂組成物が、さらに、(F)着色剤を含有する、請求項1~6のいずれか1項に記載の保護膜形成用フィルム。
  8. 半導体ウエハの裏面に貼付され、保護膜付き半導体チップの製造に用いられる、請求項1~7のいずれか1項に記載の保護膜形成用フィルム。
  9. 請求項1~8のいずれか1項に記載の保護膜形成用フィルムが、2枚の剥離シートに挟持された構成を有する、保護膜形成用複合シート。
  10. 基材と、粘着剤層と、請求項1~8のいずれか1項に記載の保護膜形成用フィルムと、をこの順で有する、保護膜形成用複合シート。
  11. 請求項1~8のいずれか1項に記載の保護膜形成用フィルムの硬化物である保護膜を有する、保護膜付き半導体チップ。
  12. 請求項11に記載の保護膜付き半導体チップを有する、半導体装置。
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