JP2023140827A - 作業機械の制御方法、作業機械の制御プログラム及び作業機械 - Google Patents

作業機械の制御方法、作業機械の制御プログラム及び作業機械 Download PDF

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Abstract

【課題】特に機体を旋回させるための操作性が向上しやすい作業機械の制御方法、作業機械の制御プログラム及び作業機械を提供する。【解決手段】左右方向に並ぶ一対のクローラ111を含む走行部11を備える作業機械の制御方法は、操作装置8から操作信号を取得することと、第1モードと第2モードとの少なくとも一方を適用して操作信号に従って走行部11を制御することと、を有する。操作装置8は、作業機械の機体を前進及び後進させるための第1操作部81と、機体を左旋回及び右旋回させるための第2操作部82と、を有する。第1モードは、第1操作部81が操作されていない場合に第2操作部82の操作を無効にするモードである。第2モードは、第2操作部82の同一操作に対する機体の平面視における回転方向を機体の前進時と後進時とで同一にするモードである。【選択図】図5

Description

本発明は、作業を実行する作業機械の制御方法、作業機械の制御プログラム及び作業機械に関する。
関連技術として、左右方向に並ぶ一対のクローラを含む走行部(クローラ走行部)と、機体(左車体及び右車体)と、エンジンと、作業部(薬剤噴射部)と、を備える作業機械(農作業用車両)が知られている(例えば、特許文献1参照)。関連技術に係る作業機械では、走行部の一対のクローラは、散布対象物である植物を左右方向で挟むようにして走行する。機体における左車体は、主として左側のクローラに支持されている。機体における右車体は、主として右側のクローラに支持されている。エンジンは、左車体側に配置されている。
関連技術に係る作業機械では、作業部は、左車体と右車体とのそれぞれに設けられている。各作業部は、右側及び左側の両方に薬剤を散布する。これにより、関連技術に係る作業機械は、左右一対のクローラ間を通過する植物と、作業機械の左側に位置する植物と、作業機械の右側に位置する植物とに対して、同時に薬剤を散布できる。この作業機械は、現在位置と自律走行経路とに基づいて自律走行を行いながら植物に薬剤を散布することが可能である。この作業機械では、左右のクローラの駆動速度を異ならせることで、機体を旋回させることができ、また、左右のクローラの駆動方向を異ならせることで、機体の位置を変えずに旋回(超信地旋回)させることができる。
特開2020-152285号公報
上記関連技術においては、例えば、作業機械が収容される倉庫等から自律走行の開始位置まで、オペレータの操作(遠隔操作等)により作業機械を移動させるような状況が考えられる。このような状況において、例えば、オペレータの熟練度によっては、特に機体を旋回させる動作に関して、オペレータの意図する通りに機体の向きを調整することが難しい場合がある。
本発明の目的は、特に機体を旋回させるための操作性が向上しやすい作業機械の制御方法、作業機械の制御プログラム及び作業機械を提供することにある。
本発明の一の局面に係る作業機械の制御方法は、左右方向に並ぶ一対のクローラを含む走行部を備える作業機械の制御方法である。前記制御方法は、操作装置から操作信号を取得することと、第1モードと第2モードとの少なくとも一方を適用して前記操作信号に従って前記走行部を制御することと、を有する。前記操作装置は、前記作業機械の機体を前進及び後進させるための第1操作部と、前記機体を左旋回及び右旋回させるための第2操作部と、を有する。前記第1モードは、前記第1操作部が操作されていない場合に前記第2操作部の操作を無効にするモードである。前記第2モードは、前記第2操作部の同一操作に対する前記機体の平面視における回転方向を前記機体の前進時と後進時とで同一にするモードである。
本発明の一の局面に係る作業機械の制御プログラムは、前記作業機械の制御方法を、1以上のプロセッサに実行させるための作業機械の制御プログラムである。
本発明の一の局面に係る作業機械は、機体と、走行部と、取得処理部と、走行処理部と、を備える。前記走行部は、左右方向に並ぶ一対のクローラを含む。前記取得処理部は、前記機体を前進及び後進させるための第1操作部と、前記機体を左旋回及び右旋回させるための第2操作部と、を有する操作装置から操作信号を取得する。前記走行処理部は、第1モードと第2モードとの少なくとも一方を適用して前記操作信号に従って前記走行部を制御する。前記第1モードは、前記第1操作部が操作されていない場合に前記第2操作部の操作を無効にするモードである。前記第2モードは、前記第2操作部の同一操作に対する前記機体の平面視における回転方向を前記機体の前進時と後進時とで同一にするモードである。
本発明によれば、特に機体を旋回させるための操作性が向上しやすい作業機械の制御方法、作業機械の制御プログラム及び作業機械を提供することができる。
図1は、実施形態1に係る散布機を左前方側から見た外観図である。 図2は、実施形態1に係る散布機を背面側から見た背面の外観図である。 図3は、実施形態1に係る散布機が使用される作物列の一例を示す図である。 図4は、実施形態1に係る散布機を用いた自動走行システムの全体構成を示す模式図である。 図5は、実施形態1に係る散布機の主要な構成を示す概略ブロック図である。 図6は、実施形態1に係る散布機を左側から見た左側面の外観図である。 図7は、実施形態1に係る散布機を右側から見た右側面の外観図である。 図8は、実施形態1に係る散布機を上方から見た上面の外観図である。 図9は、実施形態1に係る散布機を背面側から見た背面の外観図である。 図10は、実施形態1に係る散布機を斜め後方から見た状態を示す概略図である。 図11は、図7の領域Z1の拡大図であって、吹出内には操作装置の外観図を示している。 図12は、実施形態1に係る散布機の前進時の緩旋回動作を説明する概略図である。 図13は、実施形態1に係る散布機の後進時の緩旋回動作を説明する概略図である。 図14は、実施形態1に係る散布機の信地旋回動作を説明する概略図である。 図15は、実施形態1に係る散布機の超信地旋回動作を説明する概略図である。 図16は、実施形態1に係る制御方法のうち、特に手動走行モードに関する処理の一例を示すフローチャートである。 図17は、実施形態1に係る散布機の補正処理部で用いられる補正カーブの一例を示す説明図である。 図18は、実施形態1に係る制御方法のうち、第1モードを適用したときの走行部の制御に係る処理の一例を示すフローチャートである。 図19は、第2モードを適用したときの走行部の制御に係る処理の一例を示すフローチャートである。
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する趣旨ではない。
(実施形態1)
[1]全体構成
まず、本実施形態に係る散布機1の全体構成について、図1~図4を参照して説明する。本実施形態では、散布機1は、圃場F1で育成されている作物V1(図2参照)に対して、例えば、薬液、水又は肥料等の散布物を散布する散布作業を行う。この散布機1は、圃場F1等の作業対象領域内で各種の作業を行う「作業機械」の一例である。
つまり、散布機1は、作業として、例えば薬液、水又は肥料等の散布物を散布する散布作業を実行可能な作業機械である。本開示でいう「作業機械」には、散布機の他、例えば、トラクタ、田植機、噴霧機、播種機、移植機及びコンバイン等の作業車両が含まれる。つまり、作業機械は作業車両を含む。さらに、本開示でいう「作業機械」は農業機械(農機)に限らず、例えば、建設機械(建機)等であってもよい。
また、本開示でいう「圃場」は、作業機械である散布機1が移動しながら、例えば散布作業等の各種の作業を行う作業対象領域の一例であって、農産物を育成する果樹園、牧草地、田んぼ及び畑等を含む。この場合、圃場F1で育成される作物V1は農産物である。さらに、植木畑で植木を育成している場合には植木畑が圃場F1となり、林業のように森林にて木材となる樹木を育成する場合には森林が圃場F1となる。この場合、圃場F1で育成される作物V1は植木又は樹木等である。ただし、作業機械が作業を行う作業対象領域は、圃場F1に限らず、圃場F1以外であってもよい。例えば、作業機械が建設機械であれば、建設機械が作業を行う現場が、作業対象領域となる。
本実施形態では一例として、散布機1は、葡萄園又は林檎園等の果樹園である圃場F1を移動しつつ、圃場F1で育成されている作物V1に対して薬液を散布する車両であることとする。この場合、薬液は散布物の一例である。また、作物V1は、散布物(薬液)が散布される散布対象物の一例であって、例えば葡萄の果樹である。散布対象物である作物V1は、作業機械としての散布機1による作業の対象となる作業対象物の一例でもある。ここでいう散布物としての「薬液」は、農業の効率化又は農作物の保存等に使用される農薬であって、除草剤、殺菌剤、防黴剤、殺虫剤、除草剤、殺鼠剤、作物V1の生長促進剤及び発芽抑制剤等を含む。
作物V1は、圃場F1において所定の間隔で複数列に配置されている。具体的には、図3に示すように、複数の作物V1は、平面視における縦方向A1に直線状に並べて植えられている。縦方向A1に直線状に並ぶ複数の作物V1は、作物列Vr1を構成する。図3には、それぞれ縦方向A1に並ぶ6つの作物V1を含む3つの作物列Vr1を例示している。各作物列Vr1は幅方向A2に所定ピッチW1で配置されている。これにより、隣り合う作物列Vr1間には、作物列Vr1間の間隔に相当する幅W2(<W1)を有し、縦方向A1に沿って延びる作業通路が形成される。散布機1は、この作業通路を通って縦方向A1に移動(走行)しつつ、作物V1に対して散布物(薬液)の散布を行う。
詳しくは後述するが、圃場F1を走行する散布機1は、門型の形状を有する機体10を備えている。つまり、機体10は、左右方向D2に並べて配置される第1ブロック10L及び第2ブロック10Rと、第1ブロック10L及び第2ブロック10Rの上端部同士を連結する連結部10Cと、を有している。これにより、機体10は、第1ブロック10L、第2ブロック10R及び連結部10Cにて、空間Sp1の左方、右方及び上方の三方を囲む門型の形状を構成する。つまり、機体10の内側には、前後方向D3に開放された空間Sp1が形成される。
さらに、散布機1は、左右方向D2に並ぶ一対のクローラ111L,111Rを含む走行部11を備えている。一対のクローラ111L,111Rは、それぞれ第1ブロック10L及び第2ブロック10Rの下部に設けられており、空間Sp1に対して左右方向D2の両側に位置する。
散布機1は、図2に示すように、門型に形成された機体10にて1つの作物列Vr1を跨いだ姿勢で走行しつつ、この作物列Vr1の作物V1、及びこの作物列Vr1に隣接する作物列Vr1の作物V1に対して散布物(薬液)を散布することが可能である。言い換えれば、散布機1は、門型に形成された機体10の内側の空間Sp1に、散布対象物(作業対象物)である作物V1を通過させるようにして走行可能である。つまり、図2に例示すように、左右方向D2に並ぶ3つの作物列Vr11,Vr12,Vr13がある場合、散布機1は、これら3つの作物列Vr11,Vr12,Vr13のうちの任意の作物列Vr1を機体10で跨いで走行可能である。
ここで、機体10が中央の作物列Vr12を跨ぐとすれば、第1ブロック10Lが左端の作物列Vr11と作物列Vr12との間の作業通路を走行し、第2ブロック10Rが右端の作物列Vr13と作物列Vr12との間の作業通路を走行する。そして、散布機1は、作物列Vr11の作物V11、作物列Vr12の作物V12、及び作物列Vr13の作物V13に対して、同時に散布物(薬液)を散布可能である。このように、本実施形態に係る散布機1は、走行中において、3列分の散布対象物(作物V1)に対して同時に散布物(薬液)を散布可能であるので、1列ずつ散布する構成に比べて、散布作業の効率がよい。
さらに、本実施形態では一例として、散布機1は、人(オペレータ)の操作(遠隔操作を含む)によらず、自動運転により動作する無人機である。そのため、散布機1は、図4に示すように、操作端末201、サーバ202、基地局203及び衛星204等と共に、自動走行システム200を構成する。言い換えれば、自動走行システム200は、散布機1と、操作端末201と、サーバ202と、基地局203と、衛星204とを含んでいる。ただし、操作端末201、サーバ202、基地局203及び衛星204のうちの少なくとも一つは、自動走行システム200の構成要素に含まれなくてもよく、例えば、自動走行システム200は衛星204を含まなくてもよい。
散布機1、操作端末201及びサーバ202は、相互に通信可能である。本開示でいう「通信可能」とは、有線通信又は無線通信(電波又は光を媒体とする通信)の適宜の通信方式により、直接的、又は通信網(ネットワーク)若しくは中継器等を介して間接的に、情報を授受できることを意味する。例えば、散布機1及び操作端末201は、インターネット、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、公衆電話回線、携帯電話回線網、パケット回線網又は無線LAN等を介して通信可能である。また、散布機1及び操作端末201のそれぞれと、サーバ202ともまた、インターネット等を介して通信可能である。
衛星204は、GNSS(Global Navigation Satellite System)等の衛星測位システムを構成する測位衛星であり、GNSS信号(衛星信号)を送信する。基地局203は、衛星測位システムを構成する基準点(基準局)である。基地局203は、散布機1の現在位置等を算出するための補正情報を散布機1に送信する。
本実施形態に係る散布機1は、機体10の現在位置(緯度、経度及び高度等)、及び現在方位等を検出する測位装置2を備えている。測位装置2は、衛星204から送信されるGNSS信号を用いて、機体10の現在位置及び現在方位等を特定(算出)する測位処理を実行する。測位装置2は、例えば、2台の受信機(基地局203及びアンテナ21)が受信する測位情報(GNSS信号等)と、基地局203で生成される補正情報と、に基づいて測位を行うRTK(Real Time Kinematic)測位等の比較的高精度な測位方式を採用する。
操作端末201は、例えば、タブレット端末又はスマートフォン等の情報処理装置である。操作端末201は、各種の情報を表示する液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイのような表示部と、操作を受け付けるタッチパネル、マウス又はキーボードのような操作部と、を備える。オペレータは、表示部に表示される操作画面において、操作部を操作して各種情報を登録する操作を行うことが可能である。また、オペレータは、操作部を操作して散布機1に対する作業開始指示、走行停止指示などを行うことが可能である。
サーバ202は、サーバ装置等の情報処理装置である。サーバ202は、散布機1を自動走行させる目標経路等の情報を、散布機1に送信する。
そして、散布機1は、予め設定された目標経路に沿って自動走行(自律走行)することが可能である。例えば、散布機1は、作業開始位置から作業終了位置まで、複数の作業経路及び移動経路を含む目標経路に沿って自動走行する。複数の作業経路は、それぞれ散布機1が作業対象物(散布対象物)である作物V1に対して作業(散布作業)を行う直線状の経路であり、移動経路は、散布機1が散布作業を行わないで作物列Vr1間を移動する経路であって旋回経路及び直進経路を含み得る。
また、散布機1は、所定の列順序で自動走行を行う。図2の例であれば、散布機1は、作物列Vr11を跨いで走行し、次に作物列Vr12を跨いで走行し、次に作物列Vr13を跨いで走行する。このように、散布機1は、予め設定された作物列Vr1の順番に応じて自動走行を行う。散布機1は、作物列Vr1の配列順に1列ごとに走行してもよいし、複数列おきに走行してもよい。
また、本実施形態では、説明の便宜上、図1に示すように、散布機1が使用可能な状態での鉛直方向を上下方向D1と定義する。さらに、平面視において散布機1の中心点から見た方向を基準として、左右方向D2及び前後方向D3を定義する。つまり、散布機1の前進時における散布機1の進行方向が前後方向D3の前方となり、散布機1の後退時における散布機1の進行方向が前後方向D3の後方となる。ただし、これらの方向は、散布機1の使用方向(使用時の方向)を限定する趣旨ではない。
また、本開示でいう「平行」とは、一平面上の二直線であればどこまで延長しても交わらない場合、つまり二者間の角度が厳密に0度(又は180度)である場合に加えて、二者間の角度が0度に対して数度(例えば10度未満)程度の誤差範囲に収まる関係にあることをいう。同様に、本開示でいう「直交」とは、二者間の角度が厳密に90度で交わる場合に加えて、二者間の角度が90度に対して数度(例えば10度未満)程度の誤差範囲に収まる関係にあることをいう。
[2]散布機の詳細
次に、散布機1の構成について、図1、図2、図5~図11を参照してより詳細に説明する。図1は、散布機1を左前方側から見た外観図であり、図2は、散布機1を背面側(後方)から見た背面の外観図である。図5は、散布機1の主要な構成を示す概略ブロック図である。図6は、散布機1を左側から見た左側面の外観図であり、図7は、散布機1を右側から見た右側面の外観図であり、図8は、散布機1を上方から見た上面の外観図である。図9は、散布機1を背面側(後方)から見た背面の外観図である。図10は、散布機1を斜め後方から見た状態を示す概略図であって、吹出内には一部拡大図を示している。図11は、図7の領域Z1の拡大図であって、吹出内には操作装置8の外観図を示している。
散布機1は、機体10と、走行部11と、支持フレーム3と、散布装置4と、を備えている。本実施形態では、図5に示すように、散布機1は、測位装置2、制御装置7、気流発生部5、ユーザインタフェース61、障害物検出装置62、動力源63、タンク64(図7参照)及び表示器65等を更に備えている。また、散布機1は、通信端末、燃料タンク及びバッテリ等を更に備える。本実施形態では、機体10及び支持フレーム3等の散布機1の構造体は、基本的に金属製であって、必要な強度及び対候性等に応じて材質が選択される。ただし、散布機1の構造体は金属製に限らず、例えば、樹脂又は木材等が適宜用いられてもよい。
機体10は、散布機1の本体であって、測位装置2及び支持フレーム3等の散布機1の殆どの構成要素が支持される。機体10は、フレーム101(図2参照)と、カバー102と、を有している。フレーム101は、機体10の骨格を構成する部材であって、例えば動力源63及びタンク64等の重量物を支持する。カバー102は、機体10の外郭を構成する部材であって、フレーム101及びフレーム101に搭載された部材の少なくとも一部を覆うようにフレーム101に取り付けられている。機体10の後面(背面)及び右側面の一部では、フレーム101がカバー102に覆われておらずフレーム101が露出する。カバー102は、複数の部分に分割されており、これら複数の部分がフレーム101から個別に取外可能に構成されている。そのため、カバー102は、例えば、動力源63等の一部の装置(部材)に対応する部分のみ取り外すことが可能であって、これにより動力源63等の一部の装置(部材)を露出させることができる。
機体10は、上述したように、左右方向D2に並べて配置される第1ブロック10L及び第2ブロック10Rを有している。第1ブロック10Lと第2ブロック10Rとは、左右方向D2において、一定値以上の間隔をあけた状態で互いに対向する。本実施形態では一例として、第1ブロック10Lが左側に位置し、第2ブロック10Rが右側に位置している。そのため、機体10の左側部分は第1ブロック10Lによって構成され、機体10の右側部分は第2ブロック10Rによって構成される。さらに、機体10は、第1ブロック10Lと第2ブロック10Rとを連結する連結部10Cを有している。正面視において(前方から見て)、連結部10Cは左右方向D2に沿って長さを有しており、第1ブロック10L及び第2ブロック10Rはそれぞれ上下方向D1に沿って長さを有している。
ここで、連結部10Cは、第1ブロック10Lと第2ブロック10Rとの上端部同士を連結しているので、言い換えれば、第1ブロック10L及び第2ブロック10Rは、それぞれ連結部10Cの(左右方向D2の)両端部から下方に突出する。これにより、機体10は、第1ブロック10L、第2ブロック10R及び連結部10Cにて、前後方向D3の両側に加えて下方に開放された門型の形状を構成する。そして、機体10の内側には、第1ブロック10L、第2ブロック10R及び連結部10Cにて三方が囲まれ、かつ前後方向D3に開放された空間Sp1が形成される。
要するに、機体10は、図2に示すように、第1ブロック10Lと第2ブロック10Rとの間に、散布装置4(作業部)による作業(散布作業)の対象となる作物V1(作業対象物)を通過させる空間Sp1を形成する。具体的に、散布対象物である作物V1の標準的な大きさを基準に、それ以上の高さ及び幅の空間Sp1を形成するように、機体10の各部の寸法が設定される。そのため、標準的な大きさの作物V1であれば、機体10は、作物V1を跨いだ状態で、作物V1が機体10に接触しないように所定値以上の間隔を空けた状態で、空間Sp1にて作物V1の通過を許容することができる。空間Sp1を作物V1が通過中にあっては、第1ブロック10Lは作物V1の左方に位置し、第2ブロック10Rは作物V1の右方に位置し、連結部10Cは作物V1の上方に位置する。
より詳細には、本実施形態では、機体10は、左右方向D2において略対称に構成されている。第1ブロック10L及び第2ブロック10Rは、側面視において略同サイズかつ同形状の矩形状に形成されている。第1ブロック10L及び第2ブロック10Rは、それぞれ上下方向D1、左右方向D2及び前後方向D3のうちで左右方向D2の寸法が最小となる、左右方向D2に扁平な形状を有している。また、第1ブロック10L及び第2ブロック10Rは、それぞれ上下方向D1において中央部より上方の部分が、上端側ほど左右方向D2の寸法が小さくなるテーパ状に形成されている。連結部10Cは、平面視において、左右方向D2よりも前後方向D3の寸法が大きくなるような矩形状に形成されている。連結部10Cは、上下方向D1、左右方向D2及び前後方向D3のうちで上下方向D1の寸法が最小となる、上下方向D1に扁平な形状を有している。
このように、機体10は、大まかには、第1ブロック10L、第2ブロック10R及び連結部10Cの3つの部分(ブロック)に分けることができる。そして、第1ブロック10L、第2ブロック10R及び連結部10Cの各々が、フレーム101及びカバー102を有している。言い換えれば、第1ブロック10L及び第2ブロック10Rの各々が、フレーム101及びカバー102を有している。さらに、測位装置2及び支持フレーム3等の散布機1の殆どの構成要素は、第1ブロック10L、第2ブロック10R及び連結部10Cに分散して設けられている。
走行部11は、散布機1を走行させる走行装置(車体)であって、機体10の下部に設けられている。走行部11により、機体10は地面を走行(旋回を含む)することで、圃場F1内を左右方向D2及び前後方向D3に移動可能となる。このような走行部11が機体10に設けられていることで、散布機1は、圃場F1内を移動しながら、作業(散布作業)を行うことが可能である。
走行部11は、左右方向D2に並ぶ一対のクローラ(履帯)111L,111Rを含んでいる。一対のクローラ111L,111Rは左右方向D2に一定の間隔を空けて配置されており、これら一対のクローラ111L,111R間には、散布対象物である作物V1を通過させるための空間Sp1が形成される。つまり、空間Sp1の左方に位置する左側のクローラ111Lと、空間Sp1の右方に位置する右側のクローラ111Rとは、空間Sp1を挟んで互いに対向する。左側のクローラ111Lと右側のクローラ111Rとを特に区別しない場合、各クローラ111L,111Rを単に「クローラ111」とも呼ぶ。また、走行部11は、クローラ111を駆動するモータ112を備えている。つまり、走行部11は、モータ112にて無端帯状のクローラ111を駆動することにより、散布機1を走行させるクローラ式(無限軌道式)の走行装置である。
ここで、モータ112は、一対のクローラ111L,111Rに対応して少なくとも2個設けられている。左側のクローラ111Lを駆動する左側のモータ112と、右側のクローラ111Rを駆動する右側のモータ112とは、個別にクローラ111を駆動可能である。本実施形態では一例として、モータ112は、油圧モータ(油圧アクチュエータ)であって、油圧ポンプからの作動油が供給されることで、クローラ111を駆動する。この構成によれば、圃場F1の路面状況が荒れているような場合でも、機体10は比較的安定して走行することが可能である。
ここで、クローラ111及びモータ112は、第1ブロック10L及び第2ブロック10Rのそれぞれの下部に設けられている。つまり、第1ブロック10Lは、左側のクローラ111L及び当該クローラ111Lを駆動するモータ112を有し、第2ブロック10Rは、右側のクローラ111R及び当該クローラ111Rを駆動するモータ112を有している。本実施形態では、一対のクローラ111L,111R及び一対のモータ112は、左右方向D2において略対称に構成されている。このように、一対の走行部11が空間Sp1の分だけ左右方向D2に離れて配置されていることで、散布機1は、左右方向D2のいずれかが低くなるような横傾斜の斜面等を含む様々な圃場F1の路面状況において、比較的安定した姿勢で走行することが可能である。
ここで、一対のクローラ111L,111Rは、静油圧式無段変速装置による独立変速が可能な状態で動力源63からの動力により駆動される。そのため、機体10は、一対のクローラ111L,111Rが前進方向に等速駆動されることにより前進方向に直進する前進状態になり、一対のクローラ111L,111Rが後進方向に等速駆動されることにより後進方向に直進する後進状態になる。また、機体10は、一対のクローラ111L,111Rが前進方向に不等速駆動されることにより前進しながら旋回する前進旋回状態になり、一対のクローラ111L,111Rが後進方向に不等速駆動されることで後進しながら旋回する後進旋回状態になる。また、機体10は、一対のクローラ111L,111Rのいずれか一方が駆動停止された状態で他方が駆動されることによりピボット旋回(信地旋回)状態になり、一対のクローラ111L,111Rが前進方向と後進方向とに等速駆動されることでスピン旋回(超信地旋回)状態になる。また、機体10は、一対のクローラ111L,111Rが駆動停止されることで走行停止状態になる。走行部11による機体10の旋回動作について詳しくは「[3]旋回動作詳細」の欄で説明する。
また、第1ブロック10Lには、動力源63等が搭載され、第2ブロック10Rには、タンク64等が搭載される。このように、機体10の第1ブロック10L及び第2ブロック10Rに、散布機1の構成部品が振り分けて配置されることにより、散布機1は、左右方向D2のバランスの均衡化及び低重心化が図られている。その結果、散布機1は、圃場F1の斜面等を安定して走行することができる。
測位装置2は、上述したように、機体10の現在位置及び現在方位等を検出する装置である。測位装置2は、少なくともアンテナ21を有している。アンテナ21は、衛星204から送信されるGNSS信号等を受信する。つまり、アンテナ21は、機体10の位置を特定するための位置特定用アンテナを含む。ここで、アンテナ21は、衛星204からの信号(GNSS信号)を受信しやすくなるように、機体10の上面(天面)上に配置されている。言い換えれば、アンテナ21は、機体10のうち最も高い位置よりも更に高い位置に配置されている。さらに、測位装置2は、機体10の姿勢を検出する姿勢検出部等を含んでいる。
本実施形態では、測位装置2は、第1アンテナであるアンテナ21とは別に、第2アンテナであるアンテナ22を更に有している。測位装置2は、これら2つのアンテナ21,22のそれぞれでGNSS信号等を受信する。ここで、アンテナ22(第2アンテナ)は、アンテナ21(第1アンテナ)に対して前後方向D3に並ぶように配置される。これにより、測位装置2は、アンテナ21,22のそれぞれで信号(GNSS信号等)の送受信が可能である。特に、アンテナ21,22が位置特定用アンテナである場合には、機体10の前部と後部とのそれぞれにおいて、現在位置を特定できるので、機体10の向き(現在方位)も含めて特定することが可能となる。
支持フレーム3は、機体10の前後方向D3の一端部に取り付けられ、後述する散布装置4の散布ノズル41を支持する部材である。本実施形態では、支持フレーム3は、機体10の後端部に取り付けられている。支持フレーム3は、機体10と同様に、門型の形状を有し、背面視において(後方から見て)、機体10と重なる位置に配置されている。つまり、支持フレーム3は、左右方向D2に並べて配置される縦フレーム3L(第1縦フレーム)及び縦フレーム3R(第2縦フレーム)と、縦フレーム3L及び縦フレーム3Rの上端部同士を連結する横フレーム3Cと、を有している。これにより、支持フレーム3は、縦フレーム3L、縦フレーム3R及び横フレーム3Cにて、空間Sp1の左方、右方及び上方の三方を囲む門型の形状を構成する。
具体的に、支持フレーム3は、左右方向D2に並べて配置される縦フレーム3L及び縦フレーム3Rを有している。縦フレーム3Lと縦フレーム3Rとは、左右方向D2において、一定値以上の間隔をあけた状態で互いに対向する。本実施形態では一例として、縦フレーム3Lが左側に位置し、縦フレーム3Rが右側に位置している。そのため、縦フレーム3Lは機体10の第1ブロック10Lの後方に位置し、縦フレーム3Rは機体10の第2ブロック10Rの後方に位置する。そして、背面視において(後方から見て)、横フレーム3Cは左右方向D2に沿って長さを有しており、縦フレーム3L及び縦フレーム3Rはそれぞれ上下方向D1に沿って長さを有している。
ここで、横フレーム3Cは、縦フレーム3Lと縦フレーム3Rとの上端部同士を連結しているので、言い換えれば、縦フレーム3L及び縦フレーム3Rは、それぞれ横フレーム3Cの(左右方向D2の)両端部から下方に突出する。このように、支持フレーム3は、左右方向D2に沿って長さを有する横フレーム3Cと、それぞれ上下方向D1に沿って長さを有し、横フレーム3Cの両端部から下方に突出する一対の縦フレーム3L,3Rを含んでいる。これにより、支持フレーム3は、縦フレーム3L、縦フレーム3R及び横フレーム3Cにて、前後方向D3の両側に加えて下方に開放された門型の形状を構成する。そして、支持フレーム3の内側には、縦フレーム3L、縦フレーム3R及び横フレーム3Cにて三方が囲まれ、かつ前後方向D3に開放された空間Sp1が形成される。
要するに、支持フレーム3は、図2に示すように、一対の縦フレーム3L,3Rの間に散布装置4(作業部)による作業(散布作業)の対象となる作物V1(作業対象物、散布対象物)を通過させる空間Sp1を形成する。具体的に、散布対象物である作物V1の標準的な大きさを基準に、それ以上の高さ及び幅の空間Sp1を形成するように、支持フレーム3の各部の寸法が設定される。そのため、標準的な大きさの作物V1であれば、支持フレーム3は、作物V1を跨いだ状態で、作物V1が支持フレーム3に接触しないように所定値以上の間隔を空けた状態で、空間Sp1にて作物V1の通過を許容することができる。空間Sp1を作物V1が通過中にあっては、縦フレーム3Lは作物V1の左方に位置し、縦フレーム3Rは作物V1の右方に位置し、横フレーム3Cは作物V1の上方に位置する。
より詳細には、本実施形態では、支持フレーム3は、左右方向D2において略対称に構成されている。縦フレーム3L及び縦フレーム3Rは、断面が円形状となる円筒状を有している。本実施形態では一例として、縦フレーム3L及び縦フレーム3Rは、それぞれ円筒状の部材が2本ずつ並設されて構成されている。横フレーム3Cは、断面が矩形状となる角筒状を有している。ここで、縦フレーム3L及び縦フレーム3Rは、それぞれ横フレーム3Cに対して、連結金具、筋交金具又は溶接等の適宜の固定手段によって強固に固定されている。そのため、縦フレーム3L及び縦フレーム3Rは、それぞれ横フレーム3Cに対して直交した状態を維持する。言い換えれば、背面視において、縦フレーム3Lと横フレーム3Cとの間の角部、及び縦フレーム3Rと横フレーム3Cとの間の角部は、それぞれ直角となる。
また、本実施形態では、支持フレーム3は、一対の縦フレーム3L,3Rと横フレーム3Cとの相対的な位置関係を維持した状態で、回転軸Ax1を中心として回転可能に機体10に支持されている。回転軸Ax1は、横フレーム3Cに設けられた支点部31を通り前後方向D3に沿った軸である。つまり、作業部(散布ノズル41)を支持する支持フレーム3は、前後方向D3に沿った回転軸Ax1を中心として回転可能に機体10に支持されている。ここで、本開示でいう「回転軸」は、回転体の回転運動の中心となる仮想的な軸(直線)を意味する。つまり、回転軸Ax1は、実体を伴わない仮想軸である。ただし、回転軸Ax1は、例えば軸ピンのように実体を伴う部材であってもよい。
散布装置4は、散布ノズル41等を有している。散布装置4は、タンク64に貯留されている散布物としての薬液を、散布対象物である作物V1に散布する散布作業を実行する。散布ノズル41は、支持フレーム3に支持されており、散布物の散布を行う部位である。本実施形態では一例として、散布ノズル41は、実際に散布物(薬液)の出口となる吐出口(散布部)である。散布装置4は、散布ノズル41を複数(本実施形態では一例として12個)有している。
散布装置4は、散布ノズル41に加えて、散布管42、ポンプ43(図7参照)、バルブ44(図7参照)及び散布用配管等を有している。散布ノズル41は、作業(散布作業)を実行する作業部の一例であり、支持フレーム3に支持される。支持フレーム3は機体10に支持されるので、散布ノズル41(作業部)は機体10に間接的に支持されることになる。本実施形態では、散布ノズル41は、散布管42に取り付けられている。散布管42は、散布用配管により、バルブ44を介してポンプ43に接続されている。ポンプ43は、タンク64に貯留されている散布物(薬液)を散布管42に圧送する。バルブ44は、電磁バルブ等の電子制御式のバルブユニットであって、散布物を散布する際の圧力(噴霧圧)及び散布パターン等を変更する。これにより、タンク64内の薬液は、ポンプ43にてバルブ44及び散布管42を介して散布ノズル41へと供給され、散布ノズル41から散布される。ここで、散布ノズル41からは霧状の薬液が吐出(噴霧)される。
より詳細には、図9及び図10に示すように、散布管42は、上下方向D1に長さを有する配管であって、支持フレーム3の縦フレーム3L及び縦フレーム3Rの各々に対して2本ずつ取り付けられている。つまり、本実施形態では、散布装置4は計4本の散布管42を有している。縦フレーム3L及び縦フレーム3Rの各々に取り付けられる2本(一対)の散布管42は、左右方向D2に並べて配置されている。各散布管42は、その上端部から注入される散布物としての薬液を、菅内を通して下方に流しつつ、3つの散布ノズル41から吐出させる。各散布管42には、散布ノズル41が3つずつ取り付けられており、これにより散布装置4は計12個の散布ノズル41を有している。
各散布ノズル41は、対応する散布管42に、上下方向D1に位置変更可能に取り付けられている。これにより、各散布ノズル41は、隣り合う散布ノズル41との間隔及び散布管42に対する高さ位置を散布対象物(作物V1)に応じて変更することができる。また、各散布ノズル41は、機体10に対する上下方向D1及び左右方向D2の位置、並びに向き(角度)を散布対象物に応じて変更可能に取り付けられている。ただし、散布装置4において、各散布管42に設けられる散布ノズル41の個数等は、散布対象物(作物V1)の種類、又は各散布管42の長さ等に応じて適宜変更が可能である。
気流発生部5は、散布ノズル41から吐出される散布物(薬液)を搬送する気流を発生する。気流発生部5は、散布ノズル41と共に支持フレーム3に支持されている。すなわち、本実施形態に係る散布機1は、気流発生部5で発生する気流を利用して散布物(薬液)を散布する、エアアシスト方式の散布機である。これにより、散布機1は、散布ノズル41から比較的離れた位置にある散布対象物(作物V1)に対しても、効率的に散布物(薬液)を散布することが可能である。
気流発生部5は、ダクト51と、送風機52と、を有している。ダクト51は、上下方向D1に沿って空気を流す流路を形成する。送風機52は、ダクト51に空気を流す。気流発生部5は、ダクト51に形成された吹出孔511(図10参照)から吹き出す空気が気流を形成する。要するに、気流発生部5は、送風機52がダクト51に送り込む空気をダクト51内の流路を通して吹出孔511から吹き出すことにより、吹出孔511から外方へと流れる空気の流れ(気流)を発生する。この構成によれば、比較的広範囲にわたって安定した気流を発生させることができる。さらに、気流発生部5は、送風機52の制御によって気流の風量を調節可能である。そして、気流発生部5は、風量を調節することで散布物の搬送距離を調節することができ、風量が大きいほど散布物を遠方まで搬送することが可能である。したがって、本実施形態に係る散布機1では、散布装置4による散布物の散布範囲を調節することができる。
より詳細には、ダクト51は、上下方向D1に長さを有する配管であって、支持フレーム3の縦フレーム3L及び縦フレーム3Rの各々に対して1本ずつ取り付けられている。つまり、本実施形態では、気流発生部5は計2本のダクト51を有している。各ダクト51には、ダクト51の左側面及び左側面の各々に、上下方向D1に沿って一列に並ぶように複数の吹出孔511が形成されている。さらに、各ダクト51の後方側には、散布装置4の2本の散布管42が固定されている。
ここで、ダクト51、これに取り付けられる2本の散布管42、及びこれら2本の散布管42に取り付けられる計6つの散布ノズル41は、左右方向D2において対称に配置されている。そして、2本の散布管42のうち、左側の散布管42に設けられた3つの散布ノズル41は、左前方に向けて散布物(薬液)を吐出し、右側の散布管42に設けられた3つの散布ノズル41は、右前方に向けて散布物(薬液)を吐出する。そのため、左側の散布ノズル41から吐出される霧状の散布物は、ダクト51から左方に吹き出す気流に乗って左方へ搬送され、右側の散布ノズル41から吐出される霧状の散布物は、ダクト51から右方に吹き出す気流に乗って右方へ搬送される。
よって、複数(12個)の散布ノズル41のうち、最左端の散布管42に設けられた3つの散布ノズル41は、機体10の左外方に位置する作物V1に向けて薬液を左向きに散布する。複数の散布ノズル41のうち、最左端の散布管42に隣接する左内側の散布管42に設けられた3つの散布ノズル41は、機体10の内側の空間Sp1に位置する作物V1に向けて薬液を右向きに散布する。複数の散布ノズル41のうち、最右端の散布管42に設けられた3つの散布ノズル41は、機体10の右外方に位置する作物V1に向けて薬液を右向きに散布する。複数の散布ノズル41のうち、最右端の散布管42に隣接する右内側の散布管42に設けられた3つの散布ノズル41は、機体10の内側の空間Sp1に位置する作物V1に向けて薬液を左向きに散布する。
上記の構成により、散布装置4においては、支持フレーム3の縦フレーム3Lに設けられた2本の散布管42及び6つの散布ノズル41が左側の散布ユニットとして機能する。また、支持フレーム3の縦フレーム3Rに設けられた2本の散布管42及び6つの散布ノズル41が右側の散布ユニットとして機能する。そして、左右一対の散布ユニットは、機体10の後方において、左右方向D2への散布が可能な状態で、両者間に作物V1の通過を許容する間隔(空間Sp1)を空けて配置されている。
また、散布装置4は、複数(12個)の散布ノズル41が複数系統に分けれており、系統ごとに制御可能に構成されている。本実施形態では一例として、4本の散布管42のうち左右方向D2における内側の2本の散布管42に設けられた6つの散布ノズル41が第1系統、最左端の散布管42に設けられた3つの散布ノズル41が第2系統、最右端の散布管42に設けられた3つの散布ノズル41が第3系統に分類される。そのため、散布装置4による散布パターンには、全ての散布ノズル41から散布物(薬液)を散布する全散布パターンと、散布方向が限定された限定散布パターンとが含まれる。限定散布パターンには、第1系統の6つの散布ノズル41のみ散布を行う第1散布パターンと、第2系統の3つの散布ノズル41のみ散布を行う第2散布パターンと、第3系統の3つの散布ノズル41のみ散布を行う第3散布パターンと、が含まれる。さらに、限定散布パターンには、第1系統及び第2系統の9つの散布ノズル41のみ散布を行う第4散布パターンと、第1系統及び第3系統の9つの散布ノズル41のみ散布を行う第5散布パターンと、第2系統及び第3系統の6つの散布ノズル41のみ散布を行う第6散布パターンと、が含まれる。
散布装置4は、制御装置7によって制御され、上述した複数の散布パターン(全散布パターン及び6つの限定散布パターンの計6パターン)が適宜切り替えられる。少なくとも、散布装置4のバルブ44は、複数の散布ノズル41の系統ごとに設けられており、本実施形態では、3系統(第1系統、第2系統及び第3系統)に対応するべく3つのバルブ44が設けられている。これら複数(ここでは3つ)のバルブ44は、制御装置7によって個別に制御され散布パターンを変更する。また、散布装置4は、系統ごとに散布物を散布する際の圧力(噴霧圧)を変更することでも、散布物の散布範囲を変更可能である。さらに、本実施形態では、気流発生部5の風量を調節することでも散布物の散布範囲を調節できるので、散布対象物(作物V1)又は散布物(薬液)に応じて、より多様な散布範囲を実現可能である。
ところで、本実施形態では、上述したように支持フレーム3は、機体10に対して相対的に固定されるのではなく、回転軸Ax1を中心に回転可能に構成されている。支持フレーム3が回転することにより、支持フレーム3に支持されている複数の散布ノズル41についても回転軸Ax1を中心に回転することになる。
また、本実施形態に係る散布機1は、支持フレーム3を能動的に回転させるアクチュエータ等を備えていない。そのため、支持フレーム3は、支持フレーム3に対して外力が作用して初めて回転することになる。例えば、機体10が横傾斜の斜面を走行する際には、支持フレーム3の自重、つまり支持フレーム3に作用する重力によって、支持フレーム3が回転する。ここで、支持フレーム3、及び支持フレーム3に支持される部材(散布ノズル41、散布管42及び気流発生部5等)が、左右方向D2に対称となる重量バランスであれば、機体10が水平に保たれている限りは支持フレーム3が中立位置に維持されることになる。
以上説明したような回転可能な支持フレーム3によれば、例えば、機体10が横傾斜の斜面を走行中には、支持フレーム3が回転することによって、散布ノズル41による散布物(薬液)の散布量のムラ(散布ムラ)の発生が生じにくい。要するに、支持フレーム3が機体10に固定的に支持されているとすれば、横傾斜の斜面を走行する際、機体10が傾くことがある。そして、この場合、地面(圃場F1)から鉛直方向にまっすぐ延びる作物V1(散布対象物)においては、その上部と下部とで散布ノズル41からの距離が異なり、散布物の散布量にムラが生じる可能性がある。これに対して、本実施形態に係る散布機1では、支持フレーム3が回転することで、支持フレーム3、及び支持フレーム3に支持されている散布ノズル41等については、水平面を走行する際と同じ姿勢を維持することができる。そのため、地面(圃場F1)から鉛直方向にまっすぐ延びる作物V1(散布対象物)においても、その上部と下部とで散布ノズル41からの距離がばらつきにくくなり、散布物の散布量のムラの発生を抑制しやすい。
ユーザインタフェース61は、ユーザに対する情報の出力と操作の受け付けとの少なくとも一方を行う装置である。ここでは、ユーザインタフェース61は、図7に示すように、各種の情報を表示する液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイのような表示部611と、操作を受け付けるタッチパネル、つまみ又は押釦スイッチのような操作部612と、を有する。ユーザの一例であるオペレータは、表示部611に表示される操作画面に従って、操作部612を操作して各種設定を行うことが可能である。具体的に、オペレータは、ユーザインタフェース61の操作部612を操作して、散布装置4の動作条件等の設定を行う。散布装置4の動作条件の一例としては、散布ノズル41から散布物を散布する際の圧力(噴射圧)及び流量等がある。
障害物検出装置62は、第1センサ621と、第2センサ622と、第3センサ623と、第4センサ624と、を備えている。第1センサ621~第4センサ624は、いずれも機体10の前方に向けて配置されている。第1センサ621は機体10の上面の左前端部、第2センサ622は機体10の上面の右前端部、第3センサ623は第1ブロック10Lの前面、第4センサ624は第2ブロック10Rの前面に、それぞれ配置される。また、障害物検出装置62は、第5センサ625(図6参照)と、第6センサ626(図7参照)と、を更に備えている。第5センサ625及び第6センサ626は、いずれも機体10の後方に向けて配置されている。第5センサ625は縦フレーム3L、第6センサ626は縦フレーム3Rに取り付けられている。
第1センサ621~第6センサ626の各々は、例えば、イメージセンサ(カメラ)、ソナーセンサ、レーダ又はLiDAR(Light Detection and Ranging)等のセンサを含み、機体10の周辺状況を検知する。本実施形態では一例として、第1センサ621~第6センサ626の各々は、光又は音が測距点に到達して戻るまでの往復時間に基づいて測距点までの距離を測定するTOF(Time Of Flight)方式により、測定範囲の各測距点(測定対象物)までの距離を測定する3次元センサである。機体10の周辺状況には、例えば、機体10の進行方向の前方に存在する物体(障害物等)の有無、及び物体の位置(距離及び方位)等が含まれる。
また、障害物検出装置62は、前方接触センサ627と、後方接触センサ628と、を更に備えている。前方接触センサ627は、機体10の前方側に左右一対配置され、後方接触センサ628は、機体10の後方側に左右一対配置されている。前方接触センサ627及び後方接触センサ628の各々は、障害物が接触した場合に障害物を検出する。各センサは、障害物を検出した場合に検出信号を制御装置7に送信する。
動力源63は、少なくとも走行部11に動力を供給する駆動源である。動力源63は、例えばディーゼルエンジン等のエンジンを有する。動力源63は、油圧ポンプを駆動し、走行部11のモータ112等に油圧ポンプから作動油を供給させることで、走行部11等を駆動する。
タンク64は、薬液等の散布物を貯留する。タンク64に貯留されている散布物は、散布装置4に供給され、散布装置4の散布ノズル41から散布される。タンク64には、外部から散布物である薬液を補充可能である。タンク64の容量は、一例として200L程度である。
表示器65は、機体10の上面に配置されている。表示器65は、一例として上下方向D1に長さを有する円柱状に形成されている。表示器65は、散布機1の動作状態(走行状態及び散布作業の実行状態等)に応じて点灯状態が変化する。これにより、散布機1の周囲からでも散布機1の動作状態が視認可能となる。
制御装置7は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等の1以上のプロセッサと、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等の1以上のメモリとを有するコンピュータシステムを主構成とし、種々の処理(情報処理)を実行する。本実施形態では、制御装置7は、散布機1全体の制御を行う統合コントローラであって、例えば、電子制御ユニット(ECU:Electronic Control Unit)からなる。ただし、制御装置7は、統合コントローラと別に設けられていてもよいし、1つのプロセッサ、又は複数のプロセッサを主構成としてもよい。
制御装置7は、図5に示すように、取得処理部71と、走行処理部72と、切替処理部73と、補正処理部74と、散布処理部75と、自動走行処理部76と、を備えている。本実施形態では一例として、制御装置7は1以上のプロセッサを有するコンピュータシステムを主構成とするので、1以上のプロセッサが制御プログラムを実行することにより、これら複数の機能部(取得処理部71等)が実現される。制御装置7に含まれる、これら複数の機能部は、複数の筐体に分散して設けられていてもよいし、1つの筐体に設けられていてもよい。
制御装置7は、機体10の各部に設けられたデバイスと通信可能に構成されている。つまり、制御装置7には、少なくとも走行部11、測位装置2、散布装置4、気流発生部5、ユーザインタフェース61、障害物検出装置62、動力源63及び表示器65等が接続されている。これにより、制御装置7は、走行部11及び散布装置4等を制御したり、測位装置2及び障害物検出装置62等から電気信号を取得したりすることが可能である。制御装置7は、各種の情報(データ)の授受を、各デバイスと直接的に行ってもよいし、中継器等を介して間接的に行ってもよい。
制御装置7は、上記機能部に加えて、エンジン制御部、及び静油圧式無段変速装置に関する制御を行うHST(Hydro-Static Transmission)制御部等を更に含んでいる。エンジン制御部はエンジン(動力源63)に関する制御を行う。HST制御部は静油圧式無段変速装置に関する制御を行う。
取得処理部71は、各デバイスから電気信号(データを含む)を取得する取得処理を実行する。本実施形態では、取得処理部71は、少なくとも後述する操作装置8から操作信号を取得する。つまり、第1操作部81及び第2操作部82を有する操作装置8がオペレータ(ユーザ)の操作に応じた操作信号を出力すると、取得処理部71は、当該操作信号を取得する。これにより、制御装置7は、例えば、第1操作部81及び第2操作部82の各々の操作の有無及び操作量を表す操作信号を、取得処理部71にて取得することが可能である。さらに、取得処理部71は、クローラ111の駆動速度等の情報(データ)を、走行部11から取得する。
走行処理部72は、取得処理部71にて取得された操作信号に従って走行部11を制御する走行制御処理を実行する。本実施形態では、走行処理部72は、第1モードと第2モードとの少なくとも一方を適用して、走行部11を制御する。第1モードは、第1操作部81が操作されていない場合に第2操作部82の操作を無効にする動作モードである。第2モードは、第2操作部82の同一操作に対する機体10の平面視における回転方向を機体10の前進時と後進時とで同一にする動作モードである。つまり、制御装置7は、走行処理部72にて走行部11を制御することにより、オペレータによる操作装置8の操作に応じて走行部11を制御すること、つまり走行部11の手動運転が可能となる。そして、走行処理部72は、いずれの動作モードを適用するかによって、操作信号に対する走行部11の制御内容が変化する。
切替処理部73は、走行処理部72の動作モードを切り替えるモード切替処理を実行する。具体的には、切替処理部73は第1モードと第2モードとの各々について適用するか否かを切り替えることにより、走行処理部72の動作モードを切り替える。ここで、走行処理部72は、第1モードと第2モードとの少なくとも一方を適用可能であればよく、第1モードのみを適用して第2モードは適用しなくてもよいし、第2モードのみを適用して第1モードは適用しなくてもよい。さらに、走行処理部72は、第1モード及び第2モードの両方を適用してもよいし、第1モード及び第2モードの両方を適用しなくてもよい。また、走行処理部72は、第1モード及び第2モード以外の動作モード(第3モード等)を適用可能であってもよい。
本実施形態では一例として、切替処理部73は、第1モードと第2モードとの少なくとも一方について、適用するか否かをユーザ(オペレータ)の操作によって切り替える。つまり、第1モードを適用するか否か第2モードを適用するか否かがそれぞれ、例えば、ユーザインタフェース61に対するオペレータの操作により、手動で切り替えられる。また、本実施形態では、切替処理部73は、第1モードと第2モードとの少なくとも一方について、適用するか否かを機体10の走行速度によって切り替える。つまり、第1モードを適用するか否か第2モードを適用するか否かがそれぞれ、例えば、クローラ111の駆動速度によって表される機体10の走行速度により、自動的に切り替えられる。
補正処理部74は、走行処理部72による走行部11の制御量を補正する補正処理を実行する。具体的に、補正処理部74は、取得処理部71にて取得された操作信号に対して、クローラ111の駆動速度が非線形に変化するように走行部11の制御量を補正する。本実施形態では、補正処理部74は、第1操作部81と第2操作部82との少なくとも一方について、操作量が大きいときほど、操作量の変化量に対する走行部11の制御量の変化量が大きくなるように、操作量に対応する制御量の補正を行う。これにより、例えば、操作装置8の操作量が小さい領域では、操作装置8の操作量に対するクローラ111の駆動速度の変化量は小さくなり、走行部11の走行速度の微調整が容易になる。
散布処理部75は、散布装置4及び気流発生部5等の作業(散布作業)に関する散布制御処理を行う。具体的に、散布処理部75は、散布機1が作業開始位置において自動走行を開始すると、予め定められた目標経路に含まれる制御情報に基づいて散布パターンを切り替える切替信号を散布装置4に出力する。散布装置4は、切替信号を受信すると所定の散布パターンで散布作業を実行する。
自動走行処理部76は、測位装置2から取得する測位情報などに基づいて機体10を圃場F1の目標経路に沿って自動走行させる。具体的に、自動走行処理部76は、測位装置2により測位される機体10の位置及び方位を含む測位情報に基づいて、目標経路に沿って走行部11を自動走行させる。例えば、測位情報がRTK測位可能な状態になって、操作端末201の操作画面においてオペレータがスタートボタンを押下(自動走行開始指示)すると、操作端末201は自動走行開始指示(作業開始指示)を散布機1に出力する。自動走行処理部76は、操作端末201から自動走行開始指示を取得すると、測位装置2により測位される機体10の測位情報に基づいて散布機1の自動走行を開始させる。これにより、散布機1は、目標経路に沿って自動走行を開始し、散布装置4による散布作業を開始する。
通信端末は、散布機1を有線又は無線で通信網に接続し、通信網を介して操作端末201、サーバ202等の外部機器との間で所定の通信プロトコルに従ったデータ通信を実行するための通信インタフェースである。測位装置2、制御装置7及び通信装置等の電子機器は、バッテリに接続されており、動力源63の停止中も動作可能である。
ところで、本実施形態に係る散布機1は、図5に示すように、操作装置8と通信可能であって、操作装置8がオペレータの操作に応じて出力する操作信号を制御装置7(取得処理部71)にて取得する。散布機1(の制御装置7)は、散布機1を手動制御するための操作装置8と共に制御システム100を構成する。言い換えれば、制御システム100は、散布機1(の制御装置7)と、操作装置8と、を備えている。
本実施形態では、操作装置8は、十分な長さを有するケーブルにて散布機1の制御装置7に接続されており、散布機1と有線通信する。そのため、オペレータは、散布機1の機体10に搭乗することなく、例えば、機体10の周囲に立った状態で、操作装置8にて散布機1を手動操作することが可能である。ここで、操作装置8は、電波又は光を利用した無線通信により散布機1と通信してもよく、この場合であっても、オペレータは、機体10の外部から、操作装置8にて散布機1を手動操作することが可能である。要するに、操作装置8は機体10の外部において操作可能である。そのため、例えば、運搬車に対する散布機1の積み下ろし等に際し、オペレータは、機体10の外部の安全な場所で散布機1を手動操作することができる。
また、本実施形態では、図11に示すように、機体10には操作装置8を収納可能な収納部80が設けられている。そして、制御装置7の自動走行処理部76は、収納部80に操作装置8が収納されている場合に限り、散布機1(作業機械)の自動走行を開始させる。すなわち、散布機1の自動走行時のように、操作装置8を使用しないときには、機体10の収納部80に操作装置8を収納しておくことが可能であり、操作装置8の紛失防止等につながる。そして、収納部80に操作装置8が収納されていない状態では、散布機1は自動走行を開始しないので、オペレータに対しては、操作装置8を使用しないときには、機体10の収納部80に操作装置8を収納することを癖づけることが可能である。
具体的に、収納部80は、ユーザインタフェース61等と同じく第2ブロック10R側に設けられている。ユーザインタフェース61は、作業(散布作業)に関する調節のための操作を受け付ける操作部612と、操作に関連する情報を表示する表示部611と、を含んでいる。例えば液晶ディスプレイからなる表示部611は、第2ブロック10Rの外側面(右側面)における前端寄りの位置に配置され、表示部611の下方には、操作部612としてのつまみ又は押釦スイッチ等が配置されている。そして、収納部80は、第2ブロック10Rの外側面(右側面)における操作部612の更に下方に配置されている。収納部80は、操作装置8を収納するのに十分な大きさの凹部からなる。
収納部80の内部には、接触式又は非接触式のセンサ(スイッチを含む)が設けられており、収納部80に操作装置8が収納されているか否かは当該センサにて検知される。当該センサの検知結果は、制御装置7(の取得処理部71)にて取得される。自動走行処理部76は、当該センサの検知結果が、収納部80に操作装置8が収納されていることを示す場合に限って、操作端末201から自動走行開始指示を取得すると散布機1の自動走行を開始させる。つまり、自動走行処理部76は、当該センサの検知結果が、収納部80に操作装置8が収納されていないことを示す場合には、たとえ操作端末201から自動走行開始指示を取得しても散布機1の自動走行を開始させない。
操作装置8は、図11の吹出内に示すように、第1操作部81と、第2操作部82と、第3操作部83と、表示部84と、を有している。第1操作部81、第2操作部82及び第3操作部83はそれぞれ、レバースイッチ、スライドスイッチ、ジョイスティック、シーソスイッチ又は押釦スイッチ等の様々な種類のメカニカルスイッチからなる。操作装置8は、その内部に回路基板を有しており、オペレータから第1操作部81、第2操作部82又は第3操作部83に対する操作を受け付けると、当該操作に応じた操作信号(電気信号)を出力する。例えば、オペレータが第1操作部81を上方へ操作すると、操作装置8は、第1操作部81が上方へ操作されたことを表す操作信号を出力する。
第1操作部81、第2操作部82及び第3操作部83には、それぞれ以下の操作が割り当てられている。オペレータから見て縦方向(上下方向)に操作可能なレバースイッチからなる第1操作部81には、機体10を前進及び後進させるための操作が割り当てられている。オペレータから見て横方向(左右方向)に操作可能なレバースイッチからなる第2操作部82には、機体10を左旋回及び右旋回させるための操作が割り当てられている。押釦スイッチからなる第3操作部83には、走行部11を手動走行させる手動走行モードを有効化するための操作が割り当てられている。表示部84は、例えばLEDであって手動走行モードが有効である場合に点灯する。
本実施形態では、第1操作部81及び第2操作部82はいずれもレバータイプ(スティックタイプ)の操作具であるので、例えば、第1操作部81は、「中立位置」と「前進位置」との間、又は「中立位置」と「後進位置」との間で移動させる操作を受付可能である。同様に、第2操作部82は、「中立位置」と「右旋回位置」との間、又は「中立位置」と「左旋回位置」との間で移動させる操作を受付可能である。ここで、「中立位置」はニュートラルポジションであって、第1操作部81及び第2操作部82にオペレータが触れていない状態では、第1操作部81及び第2操作部82はいずれも「中立位置」に復帰する。第1操作部81の「前進位置」はオペレータから見て上方側の可動限界位置、「後進位置」はオペレータから見て下方側の可動限界位置である。第2操作部82の「右旋回位置」はオペレータから見て右方側の可動限界位置、「左旋回位置」はオペレータから見て左方側の可動限界位置である。そのため、操作装置8は、例えば、オペレータより「中立位置」から「前進位置」側(つまり上方側)へ第1操作部81の移動を伴う操作を受け付けると、その操作量(第1操作部81の移動量)に応じた操作信号を出力する。
[3]旋回動作詳細
次に、本実施形態に係る散布機1(作業機械)の旋回動作について、図12~図15を参照して詳しく説明する。図12~図15では、平面視における機体10の外形を模式的に示し、かつ現在の機体10を実線、移動(旋回)後の機体10を想像線(二点鎖線)で示している。また、図12~図15において、太線破線矢印は機体10が移動する方向を示し、吹出内には一対のクローラ111L,111Rの各々の駆動状態を示す。
本実施形態に係る散布機1(作業機械)では、上述したように、走行部11が左右方向D2に並ぶ一対のクローラ111L,111Rを含むことで、複数の態様にて旋回を行うことが可能である。ここでいう「旋回」は、平面視において、機体10の向き(姿勢)が変化するように機体10が回転運動をすることを意味する。特に、機体10の向きに着目した際に、機体10の正面が左方を向くような回転、つまり反時計回りに機体10が回転する旋回を「左旋回」と呼び、機体10の正面が右方を向くような回転、つまり時計回りに機体10が回転する旋回を「右旋回」と呼ぶ。
旋回の態様としては、「緩旋回」、「信地旋回」及び「超信地旋回」がある。そして、各旋回態様に「左旋回」と「右旋回」とがあるため、散布機1は、例えば、「緩旋回」での「左旋回」、「緩旋回」での「右旋回」、又は「信地旋回」での「右旋回」のように、計6通りの旋回を実行することが可能である。
「緩旋回」は、一対のクローラ111L,111Rを同じ向きに回転させつつ、その回転速度に差をつけることで、機体10が前進又は後進(後退)しながら弧を描いて進路を変える動作であって、上述した前進旋回状態及び後進旋回状態を含む。つまり、緩旋回によれば、図12に示すように、平面視において、機体10の外部に設定された軸P1を中心に機体10が回転し、機体10の向き(姿勢)が変化する。図12の上段には、緩旋回のうち、一対のクローラ111L,111Rを前進方向に駆動しつつ、左側のクローラ111Lの駆動速度を右側のクローラ111Rの駆動速度よりも低速とすることで、機体10が前進しながら反時計回りに回転する「左旋回」を例示する。図12の下段には、緩旋回のうち、一対のクローラ111L,111Rを前進方向に駆動しつつ、右側のクローラ111Rの駆動速度を左側のクローラ111Lの駆動速度よりも低速とすることで、機体10が前進しながら時計回りに回転する「右旋回」を例示する。
また、図12では、機体10が前進しながら旋回する前進旋回を示しているが、緩旋回のうち、機体10が後進しながら旋回する後進旋回についても同様に、「左旋回」と「右旋回」とが存在する。つまり、図13の上段に例示するように、一対のクローラ111L,111Rを後進方向に駆動しつつ、左側のクローラ111Lの駆動速度を右側のクローラ111Rの駆動速度よりも低速とすることで、機体10が後進しながら時計回りに回転する「右旋回」が実行される。同様に、図13の下段に例示するように、一対のクローラ111L,111Rを後進方向に駆動しつつ、右側のクローラ111Rの駆動速度を左側のクローラ111Lの駆動速度よりも低速とすることで、機体10が後進しながら反時計回りに回転する「左旋回」が実行される。ここで、後進旋回の「右旋回」(図13の上段)では、機体10は左後方に移動するが、機体10自体は、機体10の正面が右方を向くような回転、つまり時計回りに回転しているため、「右旋回」となる。同様に、後進旋回の「左旋回」(図13の下段)では、機体10は右後方に移動するが、機体10自体は、機体10の正面が左方を向くような回転、つまり反時計回りに回転しているため、「左旋回」となる。
「信地旋回」は、片側のクローラ111を停止させて反対側のクローラ111のみを回転させ、停止側のクローラ111を軸(pivot)として旋回する動作(ピボットターン)である。つまり、信地旋回によれば、図14に示すように、平面視において、停止している側のクローラ111(図14では左側のクローラ111L)の中央付近に設定された軸P2を中心に機体10が回転し、機体10の向き(姿勢)が変化する。図14の上段には、信地旋回のうち、左側のクローラ111Lを駆動停止し右側のクローラ111Rを前進方向に駆動することで、機体10が左旋回(反時計回りに回転)する状態を例示する。図14の下段には、信地旋回のうち、右側のクローラ111Rを駆動停止し左側のクローラ111Lを前進方向に駆動することで、機体10が右旋回(時計回りに回転)する状態を例示する。
また、図14では、駆動側のクローラ111を前進方向に駆動しているが、これに限らず、駆動側のクローラ111を後進方向に駆動しても、「信地旋回」は実現可能である。例えば、左側のクローラ111Lを駆動停止し右側のクローラ111Rを後進方向に駆動することで、機体10が右旋回(時計回りに回転)する「信地旋回」が実行される。同様に、右側のクローラ111Rを駆動停止し左側のクローラ111Lを後進方向に駆動することで、機体10が左旋回(反時計回りに回転)する「信地旋回」が実行される。
「超信地旋回」は、一対のクローラ111L,111Rを互いに逆向きに等速回転させることにより、機体10の中心を軸としてその場で旋回(その場旋回)する動作(スピンターン)である。つまり、超信地旋回によれば、図15に示すように、平面視において、一対のクローラ111L,111Rの中央付近に設定された軸P3を中心に機体10が回転し、機体10の向き(姿勢)が変化する。図15の上段には、超信地旋回のうち、左側のクローラ111Lを後進方向に駆動し右側のクローラ111Rを前進方向に駆動することで、機体10が左旋回(反時計回りに回転)する状態を例示する。図15の下段には、超信地旋回のうち、右側のクローラ111Rを後進方向に駆動し左側のクローラ111Lを前進方向に駆動することで、機体10が右旋回(時計回りに回転)する状態を例示する。
[4]作業機械の制御方法
以下、図16~図19を参照しつつ、主として制御装置7によって実行される作業機械(散布機1)の制御方法(以下、単に「制御方法」という)の一例について説明する。図16は、制御方法のうち、特に手動走行モードに関する処理の一例を示すフローチャートである。図17は、補正処理部74で用いられる補正カーブの一例を示す説明図である。図18は、制御方法のうち、第1モードを適用したときの走行部11の制御に係る処理の一例を示すフローチャートである。図19は、制御方法のうち、第2モードを適用したときの走行部11の制御に係る処理の一例を示すフローチャートである。ただし、図16、図18及び図19に示すフローチャートは一例に過ぎず、処理が適宜追加又は省略されてもよいし、処理の順番が適宜入れ替わってもよい。
本実施形態に係る制御方法は、コンピュータシステムを主構成とする制御装置7にて実行されるので、言い換えれば、作業機械(散布機1)の制御プログラム(以下、単に「制御プログラム」という)にて具現化される。つまり、本実施形態に係る制御プログラムは、制御方法に係る各処理を1以上のプロセッサに実行させるためのコンピュータプログラムである。このような制御プログラムは、例えば、制御装置7及び操作装置8によって協働して実行されてもよい。
ここで、制御装置7は、手動走行モードを有効にする特定の手動走行モード開始操作が行われた場合に、手動走行モードを有効にして手動走行モードに係る下記の各種処理を実行する。手動走行モード開始操作は、例えば、散布機1のエンジン(動力源63)を始動するキースイッチがオンの状態で、操作装置8の第3操作部83を一定時間(一例として1秒)継続して押す長押し操作等である。一方、制御装置7は、予め設定された特定の手動走行モード終了操作が行われた場合に、手動走行モードを無効にして手動走行モードに係る下記の各種処理を終了する。手動走行モード終了操作は、例えば、操作装置8の第3操作部83を押す操作等である。
また、以下では、散布機1に自動走行を開始させる前に、オペレータが手動操作により散布機1を走行させる「手動走行モード」にて、散布機1を動作させる状況を想定する。例えば、オペレータは、散布機1を保管庫(納屋等)から運搬車を利用して圃場F1まで運搬し、圃場F1における自動走行の開始位置(作業開始位置)まで散布機1を手動走行させた上で、散布機1に自動走行を開始させる場合がある。このような場合、散布機1を保管庫から出して運搬車へ積み込む際、及び散布機1を運搬車から降ろして開始位置に移動させる際に、オペレータは散布機1を手動走行モードにて手動走行させる。ただし、このような場合に限らず、例えば、圃場F1外の薬液供給エリアにおいて薬液供給車から薬液を散布機1(のタンク64)に供給する場合等においても、オペレータは散布機1を手動走行モードにて手動走行させる。
[4.1]手動走行モードに関する処理全般
図16に示すように、制御装置7は、手動走行モードが有効にされることをトリガにして(S1:Yes)、ステップS2以降の処理を開始する。ここで、制御装置7は、操作装置8の第3操作部83の長押し操作の有無によって、手動走行モードが有効であるか否かを判定するのであって、第3操作部83の長押し操作がされると、手動走行モードが有効である(S1:Yes)と判断する。第3操作部83の長押し操作されて手動走行モードが有効になると、操作装置8の表示部84が点灯する。一方、制御装置7は、第3操作部83の長押し操作がされていないか、又は手動走行モードが有効である状態で操作装置8の第3操作部83が操作されると、手動走行モードが無効である(S1:No)と判断する。手動走行モードが無効になると、操作装置8の表示部84が消灯する。
このように、本実施形態に係る制御方法は、操作装置8の操作状態に応じて、操作装置8の操作を有効にする有効状態と、操作装置8の操作を無効にする無効状態と、を切り替えることを有する。要するに、手動走行モードが有効であれば(S1:Yes)、操作装置8の操作を有効にする有効状態となり、手動走行モードが無効であれば(S1:No)、操作装置8の操作を無効にする無効状態となる。これにより、オペレータが任意に、操作装置8の操作を有効にする有効状態と、操作装置8の操作を無効にする無効状態と、を切り替えることができる。
ステップS2では、制御装置7の切替処理部73は、第1モードを適用する設定がされているか否かを判定する。本実施形態では、切替処理部73は、少なくとも第1モードについて、適用するか否かをオペレータの操作によって手動で切り替える。具体的には、ユーザインタフェース61に対するオペレータの操作により、第1モードの有効/無効が設定されるのであって、切替処理部73は、第1モードが有効であれば、第1モードを適用する設定がされていると判定し(S2:Yes)、処理をステップS3に移行させる。一方、切替処理部73は、第1モードが無効であれば、第1モードを適用する設定がされていないと判定し(S2:No)、処理をステップS4に移行させる。ステップS3では、制御装置7の切替処理部73は、走行処理部72の動作モードとして第1モードを適用する。
ステップS4では、制御装置7の切替処理部73は、機体10の走行速度が閾値未満か否かを判定する。本実施形態では、切替処理部73は、少なくとも第2モードについて、適用するか否かを走行速度によって自動的に切り替える。具体的には、切替処理部73は、クローラ111の駆動速度が所定速度未満であれば、機体10の走行速度が閾値未満であると判定し(S4:Yes)、処理をステップS5に移行させる。一方、切替処理部73は、クローラ111の駆動速度が所定速度以上であれば、機体10の走行速度が閾値以上であると判定し(S4:No)、処理をステップS6に移行させる。ステップS5では、制御装置7の切替処理部73は、走行処理部72の動作モードとして第2モードを適用する。
ステップS6では、制御装置7の取得処理部71は、操作装置8からの操作信号を取得する。ここで、操作信号には、少なくとも第1操作部81及び第2操作部82の各々についての、操作の有無及び操作量に関する情報が含まれている。つまり、操作装置8に対するオペレータの操作に応じて、操作信号が変化する。
ステップS7では、制御装置7の補正処理部74は、操作信号に含まれる操作量に対する制御量の補正を行う。具体的には、補正処理部74は、図17に例示するような補正カーブに従って、走行部11の制御量を補正する。図17では、横軸が第1操作部81(又は第2操作部82)の操作量を表し、縦軸が走行部11の制御量を表す。つまり、補正処理部74は、操作量に対してクローラ111の駆動速度が非線形に変化するように、制御量の補正を行う。本実施形態では、補正処理部74は、第1操作部81と第2操作部82との両方について、操作量が大きいときほど、操作量の変化量に対する走行部11の制御量の変化量が大きくなるように、操作量に対応する制御量を補正する。
ステップS8では、制御装置7の走行処理部72は、補正後の制御量によって走行部11を制御する。例えば、第2操作部82が操作されていない状態で、第1操作部81が中立位置から前進位置側に操作された場合には、走行処理部72は、一対のクローラ111L,111Rを等速で前進方向に駆動することで、機体10を前進させるように走行部11を制御する。このとき、クローラ111の駆動速度は、第1操作部81の中立位置からの操作量に対応する制御量にて決定される。つまり、操作量が大きいほど制御量も大きくなって、クローラ111の駆動速度は高速になり、機体10の前進方向への走行速度が高速になる。さらに、ステップS7にて、操作量に対応する制御量が補正カーブに従って補正されているため、特に低速域では走行速度の微調整が容易になり、例えば、機体10の微妙な位置合わせ等の操作が容易になる。
ステップS8をもって、制御方法に係る一連の処理が終了する。制御装置7は、上記ステップS1~S8の処理を繰り返し実行する。したがって、手動走行モードが有効である限り(S1:Yes)、操作装置8の操作に応じて走行部11が制御され、散布機1の手動走行が可能となる。
ところで、本実施形態に係る制御方法は、左右方向D2に並ぶ一対のクローラ111L,111Rを含む走行部11を備える作業機械(散布機1)の制御方法である。この制御方法は、操作装置8から操作信号を取得することと、第1モードと第2モードとの少なくとも一方を適用して操作信号に従って走行部11を制御することと、を有する。ここで、操作装置8は、散布機1の機体10を前進及び後進させるための第1操作部81と、機体10を左旋回及び右旋回させるための第2操作部82と、を有する。第1モードは、第1操作部81が操作されていない場合に第2操作部82の操作を無効にする動作モードである。第2モードは、第2操作部82の同一操作に対する機体10の平面視における回転方向を機体10の前進時と後進時とで同一にする動作モードである。第1モードを適用した際の走行部11の制御(S8)について詳しくは、「[4.2]第1モード」の欄で説明する。第2モードを適用した際の走行部11の制御(S8)について詳しくは、「[4.3]第2モード」の欄で説明する。
これにより、例えば、散布機1が収容される倉庫等から自動走行の開始位置まで、オペレータの操作(遠隔操作等)により散布機1を移動させる場合等、機体10の向きの微調整が必要な場合において、特に機体10を旋回させるための操作性が向上しやすい。すなわち、オペレータの熟練度又は好みによって、第1モード及び/又は第2モードを適用することで、機体10の旋回動作による機体10の向きの微調整が容易になり、特に機体10を旋回させるための操作性が向上する。
[4.2]第1モード
以下、第1モードを適用した際の走行部11の制御(S8)のうち、特に旋回操作に係る処理について、図18を参照してより詳細に説明する。
第1モードが適用されている場合、制御装置7の走行処理部72は、前進又は後進の操作がされているか否かを判定する(S11)。本実施形態では、走行処理部72は、オペレータ(ユーザ)による第1操作部81の操作状態に基づいて、前進又は後進の操作がされているか否かを判定する。つまり、走行処理部72は、第1操作部81が「中立位置」以外の位置にある等、第1操作部81が操作されている状態にあれば、前進又は後進の操作がされていると判定し(S11:Yes)、処理をステップS12に移行させる。一方、走行処理部72は、第1操作部81が「中立位置」にある等、第1操作部81が操作されていない状態にあれば、前進又は後進の操作がされていないと判定し(S11:No)、処理をステップS13に移行させる。ここで、第1操作部81の可動範囲において「中立位置」を含む所定範囲を不感範囲と仮定し、第1操作部81が不感範囲にある場合(つまり第1操作部81の操作量が小さい場合)、第1操作部81が操作されていない状態にあると判定してもよい。
ステップS12では、制御装置7の走行処理部72は、第2操作部82の操作を有効にする。これにより、走行処理部72は、第2操作部82の操作量に応じて、機体10を左旋回又は右旋回させるように走行部11を制御することが可能となる。
一方、ステップS13では、制御装置7の走行処理部72は、第2操作部82の操作を無効にする。これにより、走行処理部72は、第2操作部82の操作量によらず、機体10を左旋回又は右旋回させるような制御を行わない。走行処理部72は、ステップS13をもって旋回操作に係る一連の処理を終了する。
ステップS14では、制御装置7の走行処理部72は、旋回(左旋回又は右旋回)の操作がされているか否かを判定する。本実施形態では、走行処理部72は、オペレータ(ユーザ)による第2操作部82の操作状態に基づいて、旋回の操作がされているか否かを判定する。つまり、走行処理部72は、第2操作部82が「中立位置」以外の位置にある等、第2操作部82が操作されている状態にあれば、旋回の操作がされていると判定し(S14:Yes)、処理をステップS15に移行させる。一方、走行処理部72は、第2操作部82が「中立位置」にある等、第2操作部82が操作されていない状態にあれば、旋回の操作がされていないと判定し(S14:No)、旋回操作に係る一連の処理を終了する。ここで、第2操作部82の可動範囲において「中立位置」を含む所定範囲を不感範囲と仮定し、第2操作部82が不感範囲にある場合(つまり第2操作部82の操作量が小さい場合)、第2操作部82が操作されていない状態にあると判定してもよい。
ステップS15では、制御装置7の走行処理部72は、前進の操作がされているか否かを判定する。本実施形態では、走行処理部72は、オペレータ(ユーザ)による第1操作部81の操作状態に基づいて、前進の操作がされているか否かを判定する。つまり、走行処理部72は、第1操作部81が「中立位置」から「前進位置」側に操作されている状態にあれば、前進の操作がされていると判定し(S15:Yes)、処理をステップS16に移行させる。一方、走行処理部72は、第1操作部81が「中立位置」にある等、第1操作部81が「前進位置」側に操作されていない状態にあれば、前進の操作がされていないと判定し(S15:No)、処理をステップS18に移行させる。
ステップS16では、制御装置7の走行処理部72は、第2操作部82の操作量が上限値(100%)か否かを判定する。走行処理部72は、第2操作部82が可動範囲における「左旋回位置」側又は「右旋回位置」側の限界にある場合、第2操作部82の操作量が上限値にあると判定し(S16:Yes)、処理をステップS17に移行させる。一方、走行処理部72は、第2操作部82が可動範囲における「左旋回位置」側又は「右旋回位置」側の限界に達していない場合、第2操作部82の操作量が上限値にないと判定し(S16:No)、処理をステップS18に移行させる。
ステップS17では、制御装置7の走行処理部72は、超信地旋回を実施させるように走行部11を制御する。このとき、第2操作部82が「左旋回位置」側に操作されていれば、走行処理部72は、図15の上段に示すように、左側のクローラ111Lを後進方向に駆動し右側のクローラ111Rを前進方向に駆動することで、超信地旋回のうちの左旋回を実施する。一方、第2操作部82が「右旋回位置」側に操作されていれば、走行処理部72は、図15の下段に示すように、右側のクローラ111Rを後進方向に駆動し左側のクローラ111Lを前進方向に駆動することで、超信地旋回のうちの右旋回を実施する。走行処理部72は、ステップS17をもって旋回操作に係る一連の処理を終了する。
ステップS18では、制御装置7の走行処理部72は、緩旋回又は信地旋回を実施させるように走行部11を制御する。このとき、前進操作中であって(S15:Yes)、第2操作部82が「左旋回位置」側に操作されていれば、走行処理部72は、図12の上段に示すように、一対のクローラ111L,111Rを前進方向に駆動しつつ、左側のクローラ111Lの駆動速度を右側のクローラ111Rの駆動速度よりも低速とすることで、緩旋回のうちの左旋回を実施する。一方、前進操作中であって(S15:Yes)、第2操作部82が「右旋回位置」側に操作されていれば、走行処理部72は、図12の下段に示すように、一対のクローラ111L,111Rを前進方向に駆動しつつ、右側のクローラ111Rの駆動速度を左側のクローラ111Lの駆動速度よりも低速とすることで、緩旋回のうちの右旋回を実施する。
また、ステップS18において、後進操作中であって(S15:No)、第2操作部82が「左旋回位置」側に操作されていれば、走行処理部72は、図13の上段に示すように、一対のクローラ111L,111Rを後進方向に駆動しつつ、左側のクローラ111Lの駆動速度を右側のクローラ111Rの駆動速度よりも低速とすることで、緩旋回のうちの右旋回を実施する。一方、後進操作中であって(S15:No)、第2操作部82が「右旋回位置」側に操作されていれば、走行処理部72は、図13の下段に示すように、一対のクローラ111L,111Rを後進方向に駆動しつつ、右側のクローラ111Rの駆動速度を左側のクローラ111Lの駆動速度よりも低速とすることで、緩旋回のうちの左旋回を実施する。
さらに、ステップS18において、第1操作部81が可動範囲における「後進位置」側の限界にあり(後進操作量が上限値にあり)、第2操作部82が「左旋回位置」側に操作されていれば、走行処理部72は、右側のクローラ111Rを駆動停止し左側のクローラ111Lを後進方向に駆動することで、信地旋回のうち左旋回を実施する。一方、第1操作部81が可動範囲における「後進位置」側の限界にあり(後進操作量が上限値にあり)、第2操作部82が「右旋回位置」側に操作されていれば、走行処理部72は、左側のクローラ111Lを駆動停止し右側のクローラ111Rを後進方向に駆動することで、信地旋回のうち右旋回を実施する。走行処理部72は、ステップS18をもって旋回操作に係る一連の処理を終了する。
このように、第1モードにおいては、第1操作部81が操作されていない場合(S11:No)、第2操作部82の操作が無効になる(S13)。したがって、第1モードにおいては、第1操作部81が操作されていない状態では、機体10の旋回動作が実施されないこととなり、急な超信地旋回により、機体10の向き(姿勢)が大きく変化することを回避可能となる。
さらに、第1モードの適用時において、第1操作部81の操作状態が特定条件を満たす場合に第2操作部82の操作量が所定値以上になると、一対のクローラ111L,111Rを互いに逆回転させる超信地旋回を可能にする。本実施形態では一例として、特定条件は、第1操作部81が「前進位置」側に操作されていること、つまり前進操作中であること(S15:Yes)を含む。また、第2操作部82の操作量に対して設定された所定値は100%であって、第2操作部82の操作量が所定値(100%)になると(S16:Yes)、第2操作部82の操作量が所定値以上であると判定されるため、超信地旋回が可能となる。ただし、所定値は100%に限らず、例えば所定値が90%であれば、第2操作部82の操作量が90%以上100%以下の範囲(一例として95%)にあるときに、第2操作部82の操作量が所定値以上であると判定されるため、超信地旋回が可能となる。したがって、特定の状況下では、第1モードの適用時においても、超信地旋回が可能となり、操作性の更なる向上につながる。
ここで、特定条件は、前進操作中であることに限らず、例えば、第1操作部81が前進か後進かによらずに操作されていること、第1操作部81の操作量が所定値以上であること、又は第1操作部81が所定時間以上、継続して操作されていること等を含んでもよい。
[4.3]第2モード
以下、第2モードを適用した際の走行部11の制御(S8)のうち、特に旋回操作に係る処理について、図19を参照してより詳細に説明する。
第2モードが適用されている場合、制御装置7の走行処理部72は、第2操作部82が操作されているか否かを判定する(S21)。本実施形態では、走行処理部72は、オペレータ(ユーザ)による第2操作部82の操作状態に基づいて、第2操作部82の操作がされているか否かを判定する。つまり、走行処理部72は、第2操作部82が「中立位置」以外の位置にある等、第2操作部82が操作されていると判定される状態にあれば(S21:Yes)、処理をステップS22に移行させる。一方、走行処理部72は、第2操作部82が「中立位置」にある等、第2操作部82が操作されていないと判定される状態にあれば(S21:No)、旋回操作に係る一連の処理を終了する。ここで、第2操作部82の可動範囲において「中立位置」を含む所定範囲を不感範囲と仮定し、第2操作部82が不感範囲にある場合(つまり第2操作部82の操作量が小さい場合)、第2操作部82が操作されていない状態にあると判定してもよい。
ステップS22では、制御装置7の走行処理部72は、前進の操作がされているか否かを判定する。本実施形態では、走行処理部72は、オペレータ(ユーザ)による第1操作部81の操作状態に基づいて、前進の操作がされているか否かを判定する。つまり、走行処理部72は、第1操作部81が「中立位置」から「前進位置」側に操作されている状態にあれば、前進の操作がされていると判定し(S22:Yes)、処理をステップS23に移行させる。一方、走行処理部72は、第1操作部81が「中立位置」にある等、第1操作部81が「前進位置」側に操作されていない状態にあれば、前進の操作がされていないと判定し(S22:No)、処理をステップS24に移行させる。
ステップS23では、制御装置7の走行処理部72は、旋回操作と同じ側のクローラ111を減速制御する。例えば、第2操作部82が「左旋回位置」側に操作されていれば、走行処理部72は、図12の上段に示すように、一対のクローラ111L,111Rを前進方向に駆動しつつ、左側のクローラ111Lの駆動速度を右側のクローラ111Rの駆動速度よりも低速とすることで、緩旋回のうちの左旋回を実施する。一方、第2操作部82が「右旋回位置」側に操作されていれば、走行処理部72は、図12の下段に示すように、一対のクローラ111L,111Rを前進方向に駆動しつつ、右側のクローラ111Rの駆動速度を左側のクローラ111Lの駆動速度よりも低速とすることで、緩旋回のうちの右旋回を実施する。
さらに、減速制御の対象となるクローラ111の減速量は、第2操作部82の操作量に応じて決定される。つまり、第2操作部82の操作量が大きくなるほど、減速制御の対象となるクローラ111の減速量は大きくなり、第2操作部82の操作量が上限値(100%)であれば、減速制御の対象となるクローラ111は停止する。そのため、第2操作部82が「左旋回位置」側の限界位置まで操作されていれば、走行処理部72は、図14の下段に示すように、右側のクローラ111Rを駆動停止し左側のクローラ111Lを前進方向に駆動することで、信地旋回のうちの右旋回を実施する。
ステップS24では、制御装置7の走行処理部72は、後進の操作がされているか否かを判定する。本実施形態では、走行処理部72は、オペレータ(ユーザ)による第1操作部81の操作状態に基づいて、後進の操作がされているか否かを判定する。つまり、走行処理部72は、第1操作部81が「中立位置」から「後進位置」側に操作されている状態にあれば、後進の操作がされていると判定し(S24:Yes)、処理をステップS25に移行させる。一方、走行処理部72は、第1操作部81が「中立位置」にある等、第1操作部81が「後進位置」側に操作されていない状態にあれば、後進の操作がされていないと判定し(S24:No)、旋回操作に係る一連の処理を終了する。
ステップS25では、制御装置7の走行処理部72は、旋回操作と反対側のクローラ111を減速制御する。例えば、第2操作部82が「左旋回位置」側に操作されていれば、走行処理部72は、図13の下段に示すように、一対のクローラ111L,111Rを後進方向に駆動しつつ、右側のクローラ111Rの駆動速度を左側のクローラ111Lの駆動速度よりも低速とすることで、緩旋回のうちの左旋回を実施する。一方、第2操作部82が「右旋回位置」側に操作されていれば、走行処理部72は、図13の上段に示すように、一対のクローラ111L,111Rを後進方向に駆動しつつ、左側のクローラ111Lの駆動速度を右側のクローラ111Rの駆動速度よりも低速とすることで、緩旋回のうちの右旋回を実施する。
さらに、減速制御の対象となるクローラ111の減速量は、第2操作部82の操作量に応じて決定される。つまり、第2操作部82の操作量が大きくなるほど、減速制御の対象となるクローラ111の減速量は大きくなり、第2操作部82の操作量が上限値(100%)であれば、減速制御の対象となるクローラ111は停止する。そのため、第2操作部82が「左旋回位置」側の限界位置まで操作されていれば、走行処理部72は、図14の上段に示すように、左側のクローラ111Lを駆動停止し右側のクローラ111Rを前進方向に駆動することで、信地旋回のうちの左旋回を実施する。走行処理部72は、ステップS13をもって旋回操作に係る一連の処理を終了する。
このように、第2モードにおいては、機体10の前進時と後進時とで、第2操作部82の同一操作に対する機体10の平面視における回転方向(左旋回又は右旋回)が同一になる。つまり、第2モードが適用されていなければ、第1モードのステップS18について説明したように、第2操作部82が同じように「左旋回位置」側に操作されていても、前進操作中であれば左旋回を実施するのに対して、後進操作中であれば右旋回を実施する。一方、第2モードが適用されている場合、第2操作部82が同じように「左旋回位置」側に操作されていれば、前進操作中であっても後進操作中であっても左旋回を実施する。したがって、第2モードにおいては、前進と後進とを交互に切り替えながら行う「切り返し」に際して、オペレータは直感的に機体10の旋回操作を行うことができ、意図しない機体10の向き(姿勢)の変化を回避可能となる。
また、第2モードにおいては、第1モードのように、第1操作部81が操作されていない場合であっても、第2操作部82の操作が無効にならない。そのため、第2操作部82が操作されており(S21:Yes)、第1操作部81が操作されていない(S22:NoかつS24:No)の場合、走行処理部72は、超信地旋回を実施する。
[5]変形例
以下、実施形態1の変形例を列挙する。以下に説明する変形例は、適宜組み合わせて適用可能である。
本開示における制御装置7は、コンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、ハードウェアとしての1以上のプロセッサ及び1以上のメモリを主構成とする。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、本開示における制御装置7としての機能が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリに予め記録されてもよく、電気通信回線を通じて提供されてもよく、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。また、制御装置7に含まれる一部又は全部の機能部は電子回路で構成されていてもよい。
また、制御装置7の少なくとも一部の機能が、1つの筐体内に集約されていることは制御装置7に必須の構成ではなく、制御装置7の構成要素は、複数の筐体に分散して設けられていてもよい。反対に、制御装置7において、複数の装置(例えば制御装置7及び操作装置8)に分散されている機能が、1つの筐体内に集約されていてもよい。さらに、制御装置7の少なくとも一部の機能がクラウド(クラウドコンピューティング)等によって実現されてもよい。
散布機1は、葡萄園又は林檎園等の果樹園に限らず、その他の圃場F1、又は圃場F1以外の作業対象領域での作業に用いられてもよい。さらに、散布機1が散布する散布物は薬液に限らず、例えば、水、肥料、消毒液若しくはその他の液体、又は粉体等であってもよい。散布物が散布される散布対象物も同様に、葡萄の果樹に限らず、その他の作物、又は作物以外の物体(無機物を含む)であってもよい。また、散布機1は、自動運転により動作する無人機に限らず、散布機1は、人(オペレータ)の操作(遠隔操作を含む)により動作する構成であってもよく、例えば、オペレータが搭乗可能な乗用タイプ(有人機)であってもよい。この場合でも、散布機1の現在位置を把握するために、散布機1にはアンテナ21等が設けられる。
また、第1モードと第2モードとの各々について適用するか否かが切替可能であることは必須ではない。例えば、第1モードと第2モードとの少なくとも一方は、常時適用されてもよいし、又は常時適用されなくてもよい。この場合、切替処理部73は省略可能である。
また、支持フレーム3は、機体10の前後方向D3の一端部に取り付けられていればよく、機体10の前方に取り付けられていてもよい。この場合、支持フレーム3に支持されている作業部(散布ノズル41)についても、機体10の後方ではなく前方に配置されることになる。
また、散布機1は、前後方向D3に並ぶ一対の散布装置4を備えていてもよい。これにより、散布機1は、前後方向D3に並ぶ一対の散布装置4(作業装置)の各々において、作業(散布作業)を実行することができ、いずれか一方の散布装置4のみで作業を行う場合に比べて、作業効率の向上を図ることができる。また、散布機1は、回転軸Ax1を中心として支持フレーム3を機体10に対して回転させる回転力を発生する回転駆動装置を更に備えていてもよい。
また、機体10は、左右方向D2に並ぶ第1ブロック10L及び第2ブロック10Rを有していればよく、第1ブロック10L及び第2ブロック10Rが左右逆転していてもよい。つまり、動力源63等が設けられた第1ブロック10Lが右側に位置し、ユーザインタフェース61等が設けられた第2ブロック10Rが左側に位置してもよい。
また、走行部11は、クローラ式の走行装置に限らず、例えば、1つ又は複数の車輪を有し、車輪の回転によって走行する構成であってもよい。また、走行部11は、油圧モータによって駆動される構成に限らず、例えば、電動モータによって駆動される構成であってもよい。
また、散布機1は、実施形態1のようにエアアシスト方式の散布機に限らず、例えば、静電散布方式、又はエアアシスト方式と静電散布方式とを組み合わせた方式等であってもよい。静電散布方式の散布機1であれば、気流発生部5は省略可能である。
また、動力源63は、エンジンに限らず、例えば、モータ(電動機)を有していてもよいし、エンジンとモータとを含むハイブリッド式の動力源であってもよい。
また、散布機1は、機体10が門型の形状ではなく、機体10全体が隣接する一対の作物列Vr1の間(作業通路)を走行する態様であってもよい。この場合、散布機1は、作物列Vr1を跨がずに各作業通路を走行する。この場合、散布装置4は、左右方向D2の両方に薬液を散布する散布パターンと、左方のみに薬液を散布する散布パターンと、右方のみに薬液を散布する散布パターンとを切り替えて散布作業を行う。
また、アンテナ21,22は、位置特定用アンテナに限らず、例えば、無線通信用のアンテナであってもよい。さらに、アンテナ21,22は、受信用に限らず、送信用、又は受信及び送信用であってもよい。
また、ユーザインタフェース61は、表示部611に加えて又は代えて、例えば、音声出力等によりユーザに情報を提示する手段を有してもよい。さらに、ユーザインタフェース61の操作部612を用いて調整項目(流量又は圧力等)の少なくとも一つは、制御装置によって自動的に調整されてもよい。この場合、操作部612は適宜省略可能であって、ユーザインタフェース61は、調整結果を表示部611に表示するだけでもよい。
また、実施形態1では、作業機械の一例として散布機1について説明したが、作業機械は散布機1に限らない。例えば、作業機械は摘芯機であってもよく、この場合、摘芯作業を行う摘芯部が作業部の一例となり、支持フレーム3に支持される。
1 散布機(作業機械)
8 操作装置
10 機体
11 走行部
71 取得処理部
72 走行処理部
80 収納部
81 第1操作部
82 第2操作部
111(111L,111R) クローラ
D2 左右方向

Claims (10)

  1. 左右方向に並ぶ一対のクローラを含む走行部を備える作業機械の制御方法であって、
    前記作業機械の機体を前進及び後進させるための第1操作部と、前記機体を左旋回及び右旋回させるための第2操作部と、を有する操作装置から操作信号を取得することと、
    前記第1操作部が操作されていない場合に前記第2操作部の操作を無効にする第1モードと、前記第2操作部の同一操作に対する前記機体の平面視における回転方向を前記機体の前進時と後進時とで同一にする第2モードと、の少なくとも一方を適用して前記操作信号に従って前記走行部を制御することと、を有する、
    作業機械の制御方法。
  2. 前記第1モードの適用時において、前記第1操作部の操作状態が特定条件を満たす場合に前記第2操作部の操作量が所定値以上になると前記一対のクローラを互いに逆回転させる超信地旋回を可能にする、
    請求項1に記載の作業機械の制御方法。
  3. 前記操作装置の操作状態に応じて、前記操作装置の操作を有効にする有効状態と、前記操作装置の操作を無効にする無効状態と、を切り替えること、を更に有する、
    請求項1又は2に記載の作業機械の制御方法。
  4. 前記操作装置は前記機体の外部において操作可能である、
    請求項1~3のいずれか1項に記載の作業機械の制御方法。
  5. 前記機体には前記操作装置を収納可能な収納部が設けられており、前記収納部に前記操作装置が収納されている場合に限り前記作業機械の自動走行を開始させること、を更に有する、
    請求項4に記載の作業機械の制御方法。
  6. 前記第1操作部と前記第2操作部との少なくとも一方について、操作量が大きいときほど、操作量の変化量に対する前記走行部の制御量の変化量が大きくなるように、操作量に対応する制御量の補正を行うこと、を更に有する、
    請求項1~5のいずれか1項に記載の作業機械の制御方法。
  7. 前記第1モードと前記第2モードとの少なくとも一方について、適用するか否かがユーザの操作によって切り替えられる、
    請求項1~6のいずれか1項に記載の作業機械の制御方法。
  8. 前記第1モードと前記第2モードとの少なくとも一方について、適用するか否かが前記機体の走行速度によって切り替えられる、
    請求項1~7のいずれか1項に記載の作業機械の制御方法。
  9. 請求項1~8のいずれか1項に記載の作業機械の制御方法を、
    1以上のプロセッサに実行させるための作業機械の制御プログラム。
  10. 機体と、
    左右方向に並ぶ一対のクローラを含む走行部と、
    前記機体を前進及び後進させるための第1操作部と、前記機体を左旋回及び右旋回させるための第2操作部と、を有する操作装置から操作信号を取得する取得処理部と、
    前記第1操作部が操作されていない場合に前記第2操作部の操作を無効にする第1モードと、前記第2操作部の同一操作に対する前記機体の平面視における回転方向を前記機体の前進時と後進時とで同一にする第2モードと、の少なくとも一方を適用して前記操作信号に従って前記走行部を制御する走行処理部と、を備える、
    作業機械。
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