JP2023140729A - 医療デバイス - Google Patents

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Abstract

【課題】病変部に対し励起光の適切な照射状態を維持できる医療デバイスを提供する。【解決手段】腫瘍に集積した光感受性物質に対して励起光を照射し腫瘍細胞を破壊する医療デバイス10であって、先端部および基端部を備える長尺なシャフト部30と、シャフト部30の先端部に配置され、光感受性物質の励起光を出射する光出射面24を備えた光出射部22と、シャフト部30の基端部に連結された筐体40と、光出射部22の姿勢を変更させる姿勢調節部11と、を有する。【選択図】図1

Description

本発明は、病変部に光を照射する治療に用いられる医療デバイスに関する。
がんの局所治療として、腫瘍細胞選択性を有する光反応物質を用いて行う光線力学的療法や光免疫療法が知られている(例えば、特許文献1を参照)。なかでも、光感受性物質(親水性フタロシアニン)を用いた治療法は、腫瘍に集積した光感受性物質に対して励起光(例えば、近赤外線)を照射することで、正常細胞などの非標的細胞を破壊せずに、標的細胞を特異的に破壊することができ、副作用を軽減しながら高い治療効果が得られることを期待されている。(特許文献2を参照)
特開2000-7693号公報 特開2020-138940号公報
治療において光を病変部に照射する際、光の照射状態が治療範囲や治療効果に密接に関係するため、治療を確実に行うためには適切な光の照射状態を維持することが必要となる。しかしながら、実際の治療においては空間的制約や体勢による制約、光照射方法による照射範囲の制約等によって、励起光を適切な状態で照射した状態を一定時間維持することが困難な場合が想定される。このため、適切な光照射状態を維持することのできる手技やデバイスが求められている。
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、病変部に対し励起光の適切な照射状態を維持できる医療デバイスを提供することを目的とする。
上記目的を達成する本発明に係る医療デバイスは、腫瘍に集積した光感受性物質に対して励起光を照射し腫瘍細胞を破壊する医療デバイスであって、先端部および基端部を備える長尺なシャフト部と、前記シャフト部の先端部に配置され、前記光感受性物質の励起光を出射する光出射面を備えた光出射部と、前記シャフト部の基端部に連結された筐体と、前記光出射部の姿勢を変更させる姿勢調節部と、を有する。
上記のように構成した医療デバイスは、姿勢調節部を操作することでシャフト部の先端部に配置された光出射面の姿勢を変更できるため、光出射面を生体に適切に接触させることができ、病変部に対する励起光の照射状態を安定的に維持できる。
前記光出射部は、前記光出射面を備えた光透過部と、前記光透過部を支持する支持部と、を有し、前記支持部は、前記光透過部側からの光を散乱、拡散または反射させてもよい。これにより、光出射部は、励起光を光出射面から効率よく出射させることができる。
前記姿勢調節部は、前記光出射部を回転させる回転操作部を有してもよい。これにより、回転操作部を操作することで光出射部を回転させて光出射面の姿勢を変更させて、光出射面を生体に適切に接触させることができる。
前記姿勢調節部は、前記シャフト部を湾曲させる湾曲操作部を有してもよい。これにより、湾曲操作部を操作することでシャフト部を湾曲させて光出射面の姿勢を変更させて、光出射面を生体に適切に接触させることができる。
前記姿勢調節部は、前記シャフト部を軸心に沿って前記光出射部を移動させる進退移動操作部を有してもよい。これにより、進退移動操作部を操作することで光出射部を移動させて光出射面の姿勢を変更させて、光出射面を生体に適切に接触させることができる。
前記医療デバイスは、前記シャフト部の先端部に配置されて相対的に近接・離間可能な2つの挟持部を有し、前記姿勢調節部は、前記2つの挟持部を近接・離間させる挟持操作部を有し、前記光出射面は、前記2つの挟持部の対向する面の少なくとも一方に配置されてもよい。これにより、励起光を照射する光出射面で病変部を挟み込み、光出射面を病変部に固定して、励起光を病変部へ確実に照射できる。
前記挟持部の一方に前記光出射面が配置され、前記挟持部の他方に光の強度を検出可能な光検出部が配置されてもよい。これにより、一方の挟持部から励起光を病変部へ確実に照射しつつ、励起光を受けた光感受性物質が発する蛍光を他方の挟持部に配置された光検出部により検出して、腫瘍細胞の破壊の進行状態を認識できる。
前記挟持操作部は、前記2つの挟持部の相対的な位置を、解除可能に係合可能な係合部を有してもよい。これにより、術者は、2つの挟持部の位置を仮止めした状態を、自身の力で維持する必要がないため、操作性が向上する。
前記挟持操作部は、前記2つの挟持部の相対的な位置を固定可能なロック部を有してもよい。これにより、術者は、2つの挟持部の位置をロック部によって固定できるため、光出射面を生体に当接させた状態を容易に維持することができる。
第1実施形態に係る医療デバイスを示す斜視図である。 医療デバイスの光出射部付近の斜視図である。 医療デバイスの光出射部付近の平面図である。 医療デバイスの光出射部付近を示す図であり、(A)は図3のA-A線に沿う縦断面図、(B)は図3のB-B線に沿う横断面図である。 医療デバイスの光出射部の変形例を示す横断面図であり、(A)は第1変形例、(B)は第2変形例、(C)は第3変形例、(D)は第4変形例を示す。 医療デバイスの光出射部の変形例を示す縦断面図であり、(A)は第5変形例、(B)は第6変形例、(C)は第7変形例、(D)は第8変形例、(E)は第9変形例を示す。 医療デバイスの光出射部の変形例を示す平面図であり、(A)は第10変形例、(B)は第11変形例を示す。 医療デバイスの第12変形例を示す横断面図であり、(A)は自然状態の光出射部、(B)は管状部に収容された光出射部を示す。 光出射面から励起光を病変部へ照射している状態を示す縦断面図である。 第2実施形態に係る医療デバイスを示す斜視図である。 挟持部付近の平面図であり、(A)は2つの挟持部を離間させた状態、(B)は2つの挟持部を近接させた状態を示す。 移動機構の一例を示す図であり、(A)は2つの挟持部を離間させた状態、(B)は2つの挟持部を近接させた状態を示す。 筐体近辺の平面図である。 医療デバイスの変形例の挟持部近辺を示す平面図であり、(A)は第13変形例、(B)は第14変形例を示す。 医療デバイスの変形例の挟持部近辺を示す平面図であり、(A)は第15変形例、(B)は第16変形例、(C)は第17変形例を示す。 光出射面から励起光を病変部へ照射している状態を示す平面図である。
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を説明する。なお、図面の寸法は、説明の都合上、誇張されて実際の寸法とは異なる場合がある。また、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。本明細書において、デバイスの生体に接触する側を「先端側」、操作する側を「基端側」と称することとする。
<第1実施形態>
第1実施形態に係る医療デバイス10は、腫瘍の治療に使用される。腫瘍の種類は特に限定されないが、例えば、子宮体がんや卵巣がん等の婦人科がんに適用することができる。本医療デバイス10は、標的細胞の腫瘍に集積した光感受性物質に、光感受性物質の励起光である近赤外線を照射して、標的細胞を破壊する光免疫療法に用いられる。標的細胞は、がん細胞や、前がん病変の細胞等の腫瘍細胞である。この治療方法では、腫瘍細胞の表面にある特有の抗原のみに特異的に結合する抗体と、その抗体に結合された光感受性物質とを、薬剤として使用する。抗体は、特に限定されないが、例えば、パニツムバブ、トラスツズマブ、HuJ591、ペルツズマブ、ラパチニブ、パルボシクリブ、オラパリブ等である。光感受性物質は、例えば、約700nmの波長の近赤外線に反応する物質(IR700)である親水性フタロシアニンであるが、これに限定されない。IR700は、約660~740nmの波長の近赤外線を受けると、水溶性を担保している官能基のリガンドが切れ、水溶性から疎水性へ構造変化を生じる。この構造変化によって膜たんぱく質が引き抜かれ、細胞膜に穴が開いて細胞内に水が入り込むことで、腫瘍細胞を破裂させて破壊することができる。また、IR700は、近赤外線を受けて励起され、励起波長と異なる波長の蛍光を発する。例えば、IR700は、689nmの波長の近赤外線を受けて励起されると、704nmの波長の蛍光を発する。IR700は、光反応により蛍光を発しつつ構造変化し、腫瘍細胞を破壊して薬剤としての役割を果たすと、蛍光を発しなくなる。
本実施形態の医療デバイス10は、腫瘍細胞に対し開腹で、または腹腔鏡下でアプローチする治療に適合するように構成される。図1に示すように、本実施形態に係る医療デバイス10は、光感受性物質の励起光を照射する光照射部20と、術者が手で操作する筐体40と、筐体40から先端へ向かって延びるシャフト部30と、筐体40から先端へ向かって延びてシャフト部30を覆う管状部50とを有している。医療デバイス10は、光照射部20の姿勢を調節する姿勢調節部11を有している。管状部50の基端側には、姿勢調節部11を構成する回転操作部51が設けられ、シャフト部30を、軸心を中心として回転操作することができる。
光照射部20は、図2~4に示すように、長尺な照射用光導波路21と、照射用光導波路21の先端側に配置された光出射部22とを有している。照射用光導波路21は、光を伝播する長尺な線材である。照射用光導波路21は、例えば1本の光ファイバにより形成される。なお、照射用光導波路21は、複数本の光ファイバにより形成されてもよい。照射用光導波路21は、シャフト部30の内部に配置されており、照射用光導波路21の基端部は、光を出力する光出力装置(図示しない)に接続可能である。照射用光導波路21は、光出力装置から光感受性物質の励起光である近赤外線を受け、近赤外線を光出射部22へ伝播することができる。なお、照射用光導波路21は、光ファイバ以外の光導波路により形成されてもよい。
光出射部22は、発光部23と、発光部23からの光を受けて平面発光する光出射面24を備えた光透過部25と、光出射面24を外部へ露出させるように光透過部25を支持する支持部26とを有している。
発光部23は、光ファイバの切断された断端に接続されて、光ファイバから受ける光を拡散させる円柱状のディフューザーである。発光部23は、光ファイバの表面や内部を加工することで、照射用光導波路21を形成する光ファイバと一体に形成されていてもよい。また、発光部23は、光ファイバの切断された断端であってもよい。発光部23は、光ファイバの切断された断端に配置されるミラーおよび/またはレンズによって形成されてもよい。発光部23は、電力により光を発するLED等であってもよい。発光部23は、図5(A)に示すように、複数(例えば3本)設けられてもよい。
支持部26は、図2~4に示すように、光透過部25を収容するカップ状に形成され、シャフト部30の先端部が連結されている。支持部26は、回転操作部51の回転によってシャフト部30とともに回転可能である。支持部26は、発光部23および光透過部25を収容し、光透過部25の光出射面24を外部へ露出させている。支持部26の形状は、支持する光透過部25の光出射面24を外部へ露出させて生体へ当接可能であれば特に限定されない。支持部26の内面は、発光部23が出射した光を拡散(散乱)できるように、散乱(拡散)コーティングが施されてもよい。散乱(拡散)コーティングでは、支持部26の内面を光拡散材料または光散乱材料によってコートする。光拡散材料または光散乱材料は、例えばTiO微粒子やPS微粒子である。なお、拡散(散乱)コーティングでは、支持部26の内面自体に、微小な凹凸形状を形成してもよい。また、支持部26の内面は、発光部23が出射した励起光を鏡面反射させる反射コーティングが施されてもよく、または支持部26の内面の構造自体が反射体であってもよい。支持部26の内面は、発光部23が出射した励起光を光出射面24へ効率的かつ均一に反射できるように、光出射面24へ向かって凹状となる曲面形状であることが好ましい。例えば、支持部26の内面は、図4(A)に示すように、シャフト部30の軸心と直交する断面において曲面形状である。なお、支持部26の内面は、図5(B)に示すように、シャフト部30の軸心と直交する断面において曲面形状ではなく隅部を有する形状であり、光透過部25の断面が四角形であってもよい。または、図6(A)に示すように、支持部26の内面は、シャフト部30の軸心と平行な断面において曲面形状であってもよい。または、支持部26の内面は、シャフト部30の軸心と直交する断面およびシャフト部30の軸心と平行な断面の両方において、光出射面24へ向かって凹状となる曲面形状であってもよい。支持部26の材料は、ある程度の強度を有することが好ましく、例えばステンレス鋼等の金属、ABS樹脂等の樹脂等を好適に適用できる。
光透過部25は、光を透過できる透明な、または半透明の材料により形成される。光透過部25は、支持部26の内部に収容される。光透過部25は、図2~4に示すように、発光部23を収容する収容孔27が形成されている。光透過部25は、内部に液体が流入・流出して拡張・収縮するバルーンではなく、拡張・収縮のために材料の流入出のない構造で形成され、固体により形成される。光透過部25は、支持部26の開口に対応する面に、光出射面24を有している。収容孔27は、発光部23が挿入されており、発光部23から光を受けて、光出射面24から光を照射できる。収容孔27と発光部23の間の隙間は、光透過部25の屈折率と一致する、または近い屈折率の材料(例えば、ゲル等)で満たされることが好ましい。これにより、発光部23から出射された光が光透過部25へ入射できずに反射されることを抑制できる。光透過部25の材料は、透明または半透明な材料であり、例えばアクリル、ポリカーボネート、PET、ポリスチレン等の樹脂や、シリコーン、TPU、TPE、PVC等のエラストマー、ガラス等を好適に適用できる。光透過部25を形成する材料は、硬質でも軟質でもよいが、軟質の材料を用いることで、生体表面を傷付けるリスクを軽減できる。
光透過部25は、上述した透明または半透明の材料に、光を拡散または散乱させる光拡散材料または光散乱材料が混入されてもよい。光拡散材料または光散乱材料は、例えばTiO微粒子やPS微粒子である。光拡散材料または光散乱材料は、気泡であってもよい。または、光透過部25は、支持部26との接触面や光出射面24に、光を拡散または散乱させる微小な凹凸形状が形成されてもよい。
光透過部25の光出射面24は、面発光する平面である。光出射面24は、シャフト部30の軸心と略垂直な方向へ励起光を出射する。光出射面24は、病変部に密着して励起光を病変部へ直接的に出射する。光出射面24の面積は、例えば200mm~800mmである。一例として、光出射面24の、シャフト部30の軸心に沿う長さは20mm~40mmであり、シャフト部30の軸心と垂直な方向の幅は10mm~20mmである。
なお、光出射面24の少なくとも一部は、平面でなくてもよい。例えば、図5(C)に示す変形例のように、光出射面24は、シャフト部30の軸心と垂直な方向の中央部に、シャフト部30の軸心に沿って延びる溝状の凹部28が形成されてもよい。または、図6(B)に示す変形例のように、光出射面24は、シャフト部30の軸心に沿う方向の中央部に、シャフト部30の軸心と垂直な方向へ延びる溝状の凹部28が形成されてもよい。光出射面24が凹部28を有すれば、隆起した病変部に対しての位置決めが容易であり、かつ光透過面が隆起した病変部に密着しやすくなり、効率よく励起光を病変部へ照射できる。また、光出射面24の中央部が、全体的に凹形状となっていてもよい。
また、図5(D)に示す変形例のように、光出射面24が凸状であってもよい。これにより、光出射面24を、隆起した病変部の裾部の窪んだ部位に対して位置決めすることが容易であり、効率よく励起光を病変部へ照射できる。
また、凸状の光出射面24を有する光透過部25が柔軟であってもよい。これにより、光出射面24は、隆起した病変部に押し付けられることで、病変部の形状に合わせて変形できる。これにより、光出射面24が隆起した病変部に密着しやすくなり、効率よく励起光を病変部へ照射できる。
また、支持部26および光透過部25の両方が柔軟であってもよい。例えば、支持部26は高反射率を有する柔軟な白色シリコーン樹脂とし、光透過部25を柔軟な透明シリコーン樹脂とすることができる。
また、光透過部25は、図6(C)に示す変形例のように、収容孔27が形成されず、照射用光導波路21の断端である発光部23から光を入射されてもよい。照射用光導波路21の断端には、図6(D)に示す変形例のように、拡散を補助するためのレンズ29が設けられてもよい。これらのような収容孔が設けられない形態の場合、光透過部25または支持部26の内面は、上述した光を拡散または散乱させる構造を備えることが好ましい。
また、光透過部25は、図6(E)に示す変形例のように、収容孔27がシャフト部30の軸心に沿って光透過部25の略中央部まで形成されてもよい。発光部23は、光透過部25の略中央部で支持部26の内面側を向く断端、または断端に接続されたレンズ29である。これにより、発光部23から出射された光は、光透過部25の中央部で支持部26の内面へ照射され、内面で反射および拡散(散乱)されて、光出射面24から均一に出射される。光透過部25が光散乱材料や光拡散材料を含んでいる場合には、光出射面24から出射される光がさらに均一化される。
また、光出射面24およびその周囲の支持部26は、図7(A)に示す変形例のように、四角形でなくてもよく、例えば円形や楕円形であってもよい。
また、光透過部25は、図7(B)に示す変形例のように、収容孔27が湾曲して形成されてもよい。発光部23は、収容孔27の内部で湾曲した円柱状のディフューザーである。これにより、光透過部25の広い範囲に発光部23を配置して、光出射面24からの励起光を均一に出射できる。
また、図8(A)に示す変形例のように、医療デバイス10は、平板状の支持部26と、支持部26と重なるように配置される平板状の光透過部25とを有してもよい。支持部26は、曲がり易くする溝状の曲げ誘導部26Aが、支持部26の光透過部25と接触する面の反対側の面の略中央部に、シャフト部30の軸心に沿って形成されている。そして、支持部26および光透過部25の接触面には、弾性的に変形可能な形状保持部26Bが挟まれて配置されている。形状保持部26Bは、例えばNi-Ti合金等の形状記憶合金である。形状保持部26Bは、支持部26および光透過部25の接触面の外周近傍を囲むように配置されることが好ましい。支持部26および光透過部25は、図8(B)に示すように、溝状の曲げ誘導部26Aに沿って折り曲げられて、細長い形状に変形可能である。支持部26および光透過部25は、細長い形状に変形して管状部50の内部に収容された状態で病変部の近傍まで搬送された後に、管状部50から放出されて、元の形状に復元できる。このとき、弾性的に変形していた形状保持部26Bが弾性的に元の形状に戻ることで、支持部26および光透過部25は、元の形状に復元しやすい。なお、曲げ誘導部26Aや形状保持部26Bは、設けられなくてもよい。
筐体40は、図1に示すように、術者が把持する把持部52が設けられる筐体本体55と、術者がシャフト部30の管状部50からの突出状態を操作する進退移動操作部53と、術者が光出射部22からの励起光の出射を操作する照射操作部54と、を有している。
進退移動操作部53は、筐体本体55に対して回転可能に連結されている。進退移動操作部53は、筐体本体55の内部で、シャフト部30の基端部に連結されている。なお、シャフト部30は、軸心を中心とする回転を阻害されないように、回転可能に進退移動操作部53に対して連結される。術者が把持部52を把持した状態で進退移動操作部53を移動させると、シャフト部30は、その軸心に沿って進退移動が可能である。したがって、術者は、進退移動操作部53の操作により、シャフト部30を管状部50の先端から出没させることができる。また、シャフト部30は、回転操作部51から回転力を受けて回転可能である。
術者が照射操作部54を操作することで、光出射部22には、筐体40内の光出力部(図示しない)から励起光が照射用光導波路21へ出力される。なお、光出力部は筐体40外に配置されてもよい。
管状部50から突出したシャフト部30は、一方向に湾曲した形状を有している。これにより、回転操作部51を操作してシャフト部30を軸心を中心として回転させることで、光出射部22を様々な方向に向けることができる。シャフト部30は変形可能な材料で形成されており、管状部50に収納された際には、直線状の形状となることができる。そして、進退移動操作部53を操作してシャフト部30の湾曲部位を管状部50から突出させることで、シャフト部30を湾曲させることができる。
光出射部22を回転させる回転操作部51、光出射部22を進退移動させる進退移動操作部53、および、シャフト部30を湾曲させる進退移動操作部53(湾曲操作部)は、光出射部22の姿勢を調節する姿勢調節部11を構成している。
本実施形態の医療デバイス10は、面発光する光出射面24を生体に当接させて励起光を照射するので、隆起病変または浸潤病変への適用に適している。
次に、第1実施形態に係る医療デバイス10を用いた治療方法を説明する。
始めに、光感受性物質を、体内に投与する。光感受性物質を体内に投与する方法は、光感受性物質を腫瘍細胞まで到達させることができるのであれば特に限定されないが、例えば血管内投与であり、本実施形態では静脈内投与である。静脈内投与から約12~36時間経過後に、本実施形態の医療デバイス10による光照射の処置を行う。
本実施形態において術者は、前述のように、開腹で、または腹腔鏡下で病変部にアプローチする。術者は、内視鏡下で病変部にアプローチする。術者は、医療デバイス10の光出射面24を有する先端部を収納した管状部50を生体内に挿入し、先端部が病変部近傍に到達したら、進退移動操作部53を操作して、シャフト部30、支持部26および光出射部22を管状部50から突出させる。そして、術者は、回転操作部51を操作することで支持部26の向きを変えながら、図9に示すように、支持部26に支持された光透過部25の光出射面24を、病変部Lの周辺に当接させる。これにより、光出射面24は、病変部Lに対向するように配置される。光出射面24を生体に密着させた状態を維持することで、病変部Lと光出射面24との距離を一定に維持することができる。この状態で、術者は、光出力装置および/または筐体40の照射操作部54を操作し、光出射部22へ励起光を供給する。これにより、光出射部22の光出射面24から病変部Lに励起光を照射することができる。
励起光を照射すると、腫瘍に集積した光感受性物質に、励起光が到達する。これにより、励起光により励起された光感受性物質に化学変化が生じ、さらに光感受性物質の構造変化が起こることで細胞膜に穴が開く。これにより、励起光を照射された腫瘍細胞が破壊される。
術者は、光照射部20から励起光を照射しつつ、励起光により励起された光感受性物質が発する蛍光を確認することができる。蛍光の確認は、透光性を有する光透過部25および照射用光導波路21を介して行うことができる。すなわち、照射用の光透過部25および照射用光導波路21を、蛍光の検出用として併用し、照射用光導波路21を介して検出された蛍光を、例えば外部の表示装置(図示しない)に表示させることで、蛍光を確認できる。なお、蛍光の確認のために、光の強度を検出できる光検出部が、光透過部25の内部や、支持部26の近傍に配置されてもよい。蛍光の検出の際には、蛍光のみならず励起光も検出することで、励起光の照射状態を確認することもできる。
術者は、表示装置により蛍光が消失したと判断する場合や、所定時間が経過したと判断する場合に、励起光を照射した範囲において腫瘍細胞の破壊が十分に行われたと判断する。他にも腫瘍細胞が存在している場合、術者は、光出射面24を他の病変部L周辺に当接させ、励起光の照射を実施する。
以上のように、本実施形態に係る医療デバイス10は、腫瘍に集積した光感受性物質に対して励起光を照射し腫瘍細胞を破壊する医療デバイス10であって、先端部および基端部を備える長尺なシャフト部30と、シャフト部30の先端部に配置され、光感受性物質の励起光を出射する光出射面24を備えた光出射部22と、シャフト部30の基端部に連結された筐体40と、光出射部22の姿勢を変更させる姿勢調節部11と、を有する。
上記のように構成した医療デバイス10は、姿勢調節部11を操作することでシャフト部30の先端部に配置された光出射面24の姿勢を変更できるため、光出射面24を生体に適切に接触させることができ、病変部Lに対する励起光の照射状態を安定的に維持できる。
光出射部22は、光出射面24を備えた光透過部25と、光透過部25を支持する支持部26と、を有し、支持部26は、光透過部25側からの光を散乱、拡散または反射させる。これにより、光出射部22は、励起光を光出射面24から効率よく出射させることができる。
姿勢調節部11は、光出射部22を回転させる回転操作部51を有する。これにより、回転操作部51を操作することで光出射部22を回転させて光出射面24の姿勢を変更させて、光出射面24を生体に適切に接触させることができる。
姿勢調節部11は、シャフト部30を湾曲させる湾曲操作部(進退移動操作部53)を有する。これにより、湾曲操作部を操作することでシャフト部30を湾曲させて光出射面24の姿勢を変更させて、光出射面24を生体に適切に接触させることができる。
姿勢調節部11は、シャフト部30の軸心に沿って光出射部22を移動させる進退移動操作部53を有する。これにより、進退移動操作部53を操作することで光出射部22を移動させて光出射面24の姿勢を変更させて、光出射面24を生体に適切に接触させることができる。
<第2実施形態>
第2実施形態に係る医療デバイス10は、病変部Lを挟持する2つの挟持部60を有し、この挟持部60の少なくとも一方に光出射部22が設けられる点で、第1実施形態と異なる。
医療デバイス10は、図10~13に示すように、シャフト部30の先端に連結された2つの挟持部60を有し、筐体40に、2つの挟持部60を操作する挟持操作部70を有している。挟持操作部70は、姿勢調節部11の一部を構成する。2つの挟持部60は、略平行であり、相対的に近接・離間可能である。2つの挟持部60は、例えば平行クランク機構(図12を参照)等の移動機構61により、平行な状態を維持しつつ相対的に近接・離間可能である。移動機構61は、筐体40に設けられる挟持操作部70における操作によって進退移動する操作ワイヤ62に連結される。操作ワイヤ62がシャフト部30の軸心に沿って移動することで、移動機構61は、2つの挟持部60を、平行な状態を維持しつつ相対的に近接・離間させることができる。
そして、挟持部60の一方に、光出射面24を有する光透過部25と、光透過部25を支持する支持部26とが配置される。光出射面24は、2つの挟持部60の対向面側に配置される。光出射面24の大きさは、例えば、シャフト部30の軸心に沿う長さが20mm、シャフト部30の軸心と垂直な方向の長さが10mmである。2つの挟持部60の間の間隔は、例えば0mm~20mmの間で変更可能である。
挟持操作部70は、2つの挟持部60が所定の間隔(例えば5mm)毎に手応えを生じさせたり、仮止まりする構造を有する。例えば、挟持操作部70は、筐体40に対して所定の角度毎に係合できるように、歯車様の複数の係合歯71を備えた係合部72を有し、筐体本体55は、係合部72のいずれかの係合歯71と係合可能な係合爪73を有している。係合爪73は、弾性的に変形可能である。係合歯71が係合爪73を変形させつつ乗り越えることで、挟持操作部70は、手応えを生じさせるとともに、仮止まりすることができる。そして、筐体本体55および操作挟持部60の外面には、相対的な位置を把握できる目盛74が付与される。これにより、術者は、2つの挟持部60の間の間隔を認識できる。また、挟持操作部70は、係合部72のいずれかの係合歯71と係合可能なロック爪75を有するロック部76を有している。ロック爪75は、剛体であり、係合部72に対して係合または離脱できるように、筐体本体55の内部に配置される。ロック部76は、筐体本体55に対して摺動可能であり、一部が筐体本体55の外側へ突出している。術者は、ロック部76を筐体本体55の外側から操作して筐体本体55に対して摺動させることができる。これにより、ロック爪75が係合部72の係合歯71の間に差し込まれて、操作挟持部60が動作不能となり、2つの挟持部60の間の間隔が維持される。このため、光出射面24を生体に当接させた状態を維持することが容易となる。なお、挟持操作部70の手応えを生じさせる構造や、仮止まりする構造は、上述の構造に限定されない。
なお、2つの挟持部60は、平行に近接・離間可能でなくてもよい。例えば、図14(A)に示すように、操作ワイヤ62がシャフト部30の軸心に沿って移動することで、湾曲した2つの挟持部60が傾きつつ開閉するように近接・離間してもよい。
また、2つの挟持部60を平行に近接・離間させる移動機構61は、例えば、図14(B)に示すように、一方の挟持部60のみが移動する機構であってもよい。
また、支持部26および光透過部25は、図15(A)に示す変形例のように、両方の挟持部60に設けられてもよい。これにより、励起光を病変部Lへ効果的に照射できる。
また、図15(B)に示すように、照射用光導波路21は、挟持部60の外側から導出されてもよい。
また、図15(C)に示すように、一方の挟持部60に光出射面24が配置され、他方の挟持部60に光の強度を検出できる光検出部80が配置されてもよい。光検出部80は、病変部Lを通過した励起光および/または励起光により励起された光感受性物質が発する蛍光を検出できる。なお、光検出部80は、光感受性物質が発する蛍光を検出できるのであれば、配置される位置は特に限定されない。
また、2つの挟持部60の少なくとも一方に、挟持力を検出する圧力センサが設けられてもよい。これにより、術者は、挟持力を認識できるため、光出射面24を生体に当接させた状態を維持することが容易となる。
第2実施形態の医療デバイス10による治療方法は、光照射の処置を行う以前のステップにおいて、第1実施形態の医療デバイス10による治療方法と同様である。本実施形態において術者は、開腹で、または腹腔鏡下で病変部Lにアプローチする。術者は、挟持部60を収納した管状体を生体内に挿入し、挟持部60が病変部L近傍に到達したら、挟持部60を管状部50から突出させ、挟持操作部70を操作して2つの挟持部60を離間させた状態とする。次に、術者は、回転操作部51を操作することで光出射面24の向きを変えながら、挟持部60に設けられる光出射面24を病変部Lの周辺に当接させる。続いて、術者は、目盛74を確認しつつ、図16に示すように。挟持操作部70を操作して挟持部60により隆起した病変部Lを挟持する。そして、光出射面24を隆起病変部Lに接触させた適切な状態で、ロック部76を操作して、2つの挟持部60の位置を固定する。これにより、術者は、光出射面24を生体に当接させた状態を維持することができる。この状態で、術者は、筐体40の照射操作部54を操作し、光照射部20へ励起光を供給する。これにより、光出射面24から病変部Lに励起光を照射することができる。その後のステップは、第1実施形態の治療方法と同様である。
以上、説明したように、第2実施形態に係る医療デバイス10は、シャフト部30の先端部に配置されて相対的に近接・離間可能な2つの挟持部60を有し、姿勢調節部11は、2つの挟持部60を近接・離間させる挟持操作部70を有し、光出射面24は、2つの挟持部60の対向する面の少なくとも一方に配置される。これにより、励起光を照射する光出射面24で病変部Lを挟み込み、光出射面24を病変部Lに固定して、励起光を病変部Lへ確実に照射できる。
また、挟持部60の一方に光出射面24が配置され、挟持部60の他方に光の強度を検出可能な光検出部80が配置されてもよい。これにより、一方の挟持部60から励起光を病変部Lへ確実に照射しつつ、他方の挟持部60から、励起光を受けた光感受性物質が発する蛍光を光検出部80により検出して、腫瘍細胞の破壊の進行状態を認識できる。
また、挟持操作部70は、2つの挟持部60の相対的な位置を、解除可能に係合可能な係合部72を有する。これにより、術者は、2つの挟持部60の位置を仮止めした状態を、自身の力で維持する必要がないため、操作性が向上する。
また、挟持操作部70は、2つの挟持部60の相対的な位置を固定可能なロック部76を有する。これにより、術者は、2つの挟持部60の位置をロック部76によって固定できるため、光出射面24を生体に当接させた状態を容易に維持することができる。
なお、本発明は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の技術的思想内において当業者により種々変更が可能である。例えば、本明細書に記載された各々の構成は、適宜組み合わせてもよい。
10 医療デバイス
11 姿勢調節部
20 光照射部
21 照射用光導波路
22 光出射部
23 発光部
24 光出射面
25 光透過部
26 支持部
27 収容孔
28 凹部
29 レンズ
30 シャフト部
40 筐体
50 管状部
51 回転操作部
52 把持部
53 進退移動操作部(湾曲操作部)
54 照射操作部
55 筐体本体
60 挟持部
61 移動機構
62 操作ワイヤ
70 挟持操作部
71 係合歯
72 係合部
73 係合爪
74 目盛
75 ロック爪
76 ロック部
80 光検出部

Claims (9)

  1. 腫瘍に集積した光感受性物質に対して励起光を照射し腫瘍細胞を破壊する医療デバイスであって、
    先端部および基端部を備える長尺なシャフト部と、
    前記シャフト部の先端部に配置され、前記光感受性物質の励起光を出射する光出射面を備えた光出射部と、
    前記シャフト部の基端部に連結された筐体と、
    前記光出射部の姿勢を変更させる姿勢調節部と、を有する医療デバイス。
  2. 前記光出射部は、前記光出射面を備えた光透過部と、
    前記光透過部を支持する支持部と、を有し、
    前記支持部は、前記光透過部側からの光を散乱、拡散または反射させる請求項1に記載の医療デバイス。
  3. 前記姿勢調節部は、前記光出射部を回転させる回転操作部を有する請求項1または2に記載の医療デバイス。
  4. 前記姿勢調節部は、前記シャフト部を湾曲させる湾曲操作部を有する請求項1~3のいずれか1項に記載の医療デバイス。
  5. 前記姿勢調節部は、前記シャフト部を軸心に沿って移動させる進退移動操作部を有する請求項1~4のいずれか1項に記載の医療デバイス。
  6. 前記シャフト部の先端部に配置されて相対的に近接・離間可能な2つの挟持部を有し、
    前記姿勢調節部は、前記2つの挟持部を近接・離間させる挟持操作部を有し、
    前記光出射面は、前記2つの挟持部の対向する面の少なくとも一方に配置される請求項1~4のいずれか1項に記載の医療デバイス。
  7. 前記挟持部の一方に前記光出射面が配置され、
    前記挟持部の他方に光の強度を検出可能な光検出部が配置される請求項6に記載の医療デバイス。
  8. 前記挟持操作部は、前記2つの挟持部の相対的な位置を、解除可能に係合可能な係合部を有する請求項6または7に記載の医療デバイス。
  9. 前記挟持操作部は、前記2つの挟持部の相対的な位置を固定可能なロック部を有する請求項6~8のいずれか1項に記載の医療デバイス。
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