JP2023139726A - 燃料電池システム - Google Patents

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【課題】燃料電池システム内で二酸化炭素を濃縮し循環させ、共電解スタック内で二酸化炭素を一酸化炭素と水素に変換して、燃料として使用、および資源化することで、系外における二酸化炭素回収を抑制する。【解決手段】原燃料と水蒸気を反応させ水素を含む改質ガスを生成する改質器3と、空気と改質ガスとの電気化学反応によって電気エネルギを発生させる燃料電池スタック1と、二酸化炭素と水蒸気から生成した酸素をアノード2aから排出し、水素と一酸化炭素とをカソード2cから排出する共電解スタック2を備え、燃料電池スタック1のアノード排ガスを共電解スタック2で生成した酸素で燃焼して改質反応に熱を与える燃焼器5と、燃焼器5の燃焼排ガスの少なくとも一部を共電解スタック2に循環する循環流路を備える。【選択図】図1

Description

本願は、燃料電池システムに関するものである。
固体酸化物形燃料電池(SOFC(solid-oxide fuel cell))システムは、エネルギ変換効率が高く環境負荷が少ないことから、民生用、産業用のオンサイト発電装置として盛んに開発が進められている。
燃料電池スタックは、炭化水素系の原料を改質した水素を含む改質ガスと酸化剤を、電解質を介して隔てた状態で電気化学反応を生じさせることで発電する。このとき、アノードから排出される残余の改質ガス(アノード排ガス)には、二酸化炭素の他に水素および一酸化炭素、メタン等、原料として再利用できる成分が含まれている。そこで、アノード排ガスを燃焼器で燃焼し改質器の反応熱に利用する、あるいはアノード排ガスの一部を原料供給側に循環することで、アノード排ガスが有するエネルギを有効利用する。
一方で、アノード排ガスを燃焼した後の排ガス中には二酸化炭素が含まれ、この二酸化炭素はそのまま大気に排出され環境への負荷となるが、このような発電システムにおいて二酸化炭素の排出は、炭化水素系の原料を利用する限りにおいて宿命的なものであった。 固体酸化物形燃料電池システムは、他の発電システムと比較してエネルギ変換効率が高く、その分炭化水素系原料の消費量が少なく二酸化炭素発生量が抑えられるが、それでも一定量の二酸化炭素は排出される。排ガス中の二酸化炭素を大気放出せず回収できることが望ましいが、燃焼の支燃ガスに空気を利用することが一般的であるため、燃焼排ガス中には窒素が多く含まれる。このため、排ガス中の二酸化炭素の濃度が下がることが、排ガス中の二酸化炭素の回収および利用を困難にしている。
温室効果ガス排出抑制の動きを背景に、炭化水素系原料を用いた燃料電池システムにおいて、アノード排ガスおよび燃焼排ガスから二酸化炭素を回収するシステムが考案されている。
燃料電池システムに水電解装置を導入し、水電解装置から得られた酸素をアノードオフガス燃焼に利用することで、排ガスの二酸化炭素を90%程度に濃縮する方法が開示されている(例えば、特許文献1)。また、燃料電池システムに酸素透過膜を設置し、改質器の燃焼室に酸素透過膜を経た酸素を導入し、アノード排ガスを酸素で燃焼することにより、排ガス中の二酸化炭素濃度を高めて二酸化炭素の回収を容易にする方法が開示されている(例えば、特許文献2)。
特開2013―196890号公報 特開2012―164423号公報
特許文献1、2に開示されたシステムは、いずれも投入される炭化水素系の燃料に含まれる炭素分に相当する二酸化炭素が系外に排出される問題がある。
本願は、上記のような課題を解決するための技術を開示するものであり、共電解スタックを併設することで、系内で効果的に二酸化炭素を濃縮し循環させ、また、共電解スタック内で二酸化炭素を一酸化炭素と水素に変換して、燃料として使用、および資源化することで、系外における二酸化炭素回収を抑制することを目的とする。
本願に開示される燃料電池システムは、炭化水素を含む原燃料と水蒸気を反応させた改質反応により水素を含む改質ガスを生成する改質器と、空気と改質ガスとの電気化学反応によって電気エネルギを発生させる燃料電池スタックと、二酸化炭素と水蒸気から生成した酸素をアノードから排出し、水素と一酸化炭素とをカソードから排出する共電解スタックとを備え、燃料電池スタックのアノード排ガスを共電解スタックで生成した酸素で燃焼して改質反応に熱を与える燃焼器と、燃焼器の燃焼排ガスの少なくとも一部を共電解スタックに循環する循環流路を備えるものである。
本願に開示される燃料電池システムによれば、系内で効果的に二酸化炭素を濃縮し、循環させ、また、共電解スタック内で二酸化炭素を一酸化炭素と水素に変換して、燃料として使用および資源化することで、系外における二酸化炭素回収を抑制できる。
実施の形態1による燃料電池システムのシステム構成図である。 実施の形態2による燃料電池システムのシステム構成図である。 実施の形態3による燃料電池システムのシステム構成図である。 実施の形態4による燃料電池システムのシステム構成図である。 実施の形態4による燃料電池システムのシステム構成図である。 実施の形態5による燃料電池システムのシステム構成図である。 実施の形態6による燃料電池システムのシステム構成図である。 実施の形態7による燃料電池システムのシステム構成図である。
実施の形態1.
実施の形態1は、原燃料と水蒸気を反応させて水素を含む改質ガスを生成する改質器と、空気と改質ガスとの電気化学反応によって電気エネルギを発生させる燃料電池スタックと、二酸化炭素と水蒸気から生成した酸素をアノードから排出し、水素と一酸化炭素とをカソードから排出する共電解スタックとを備え、燃料電池スタックのアノード排ガスを共電解スタックで生成した酸素で燃焼して改質反応に熱を与える燃焼器と、燃焼器の燃焼排ガスの少なくとも一部を共電解スタックに循環する循環流路を備える燃料電池システムに関するものである。
以下、実施の形態1に係る燃料電池システムについて、燃料電池システムのシステム構成図であり、フロー図である図1に基づいて説明する。
なお、燃料電池として高温型燃料電池である固体酸化物形燃料電池を使用することを想定している。
まず、実施の形態1の燃料電池システム100の主要構成を図1に基づいて説明する。
実施の形態1の燃料電池システム100は、主要構成機器として、固体酸化物形燃料電池スタック1、共電解スタック2、および改質器3を備える。
固体酸化物形燃料電池スタック1は、改質ガスと酸化剤を電気化学反応させて発電する。共電解スタック2は二酸化炭素と水蒸気を受け入れて酸素および水素と一酸化炭素を生成する。改質器3は、原燃料を改質する。
なお、「固体酸化物形燃料電池」は、各実施の形態の説明および図面において、「SOFC」と記載している。
ここで、図面をわかりやすくするために、簡略化した構成機器の名称を説明する。
図1において、SOFCスタック1のアノード1aを「SA」、カソード1cを「SC」と記載している。共電解スタック2のアノード2aを「CA」、カソード2cを「CC」と記載している。改質器3の改質器3の触媒層4を「CL」、燃焼器5を「BR」、カソード排ガス加熱層6を「CH」と記載している。また、混合器10を「MX」と、ガス合成装置16を「GSE」と記載している。
次に実施の形態1の燃料電池システム100の全体構成、および主要構成機器の構成、機能を図1に基づいて説明する。なお、説明はわかりやすいように燃料の流れに従って説明する。すなわち、主要構成機器の構成、機能説明を改質器3→SOFCスタック1→共電解スタック2の順で説明する。その後、全体的な処理および機能を説明する。
改質器3は、改質触媒を充填した触媒層4において、水蒸気を添加した原燃料を受入れて、原燃料中の炭化水素を分解する改質反応が行われ、水素および一酸化炭素を含む改質ガスが生成される。例えば、メタンを原料としたときの代表的な改質反応を式(1)および式(2)に示す。
CH+HO ⇔ CO+3H (1)
CO+HO ⇔ CO+H (2)
改質反応は吸熱反応であるため、改質器3にはSOFCスタック1のアノード1aから排出されるのアノード排ガスを燃料とする燃焼器5が設けられ、燃焼によって触媒層4に必要な熱が与えられる。また改質器3には、カソード排ガス加熱層6が設けられており、触媒層4はSOFCスタック1のカソード1cから排出される高温のカソード排ガスによっても加熱される。
燃焼器5の機能は、触媒層4に熱を与えることであり、必ずしも触媒層4と構造が一体である必要はない。例えば、燃焼器5は、バーナ部(図示せず)を別置とし、燃焼ガスが触媒層4を加熱する構造であってもよい。
SOFCスタック1は、アノード(負極)1a、カソード(正極)1c、および両極が挟む電解質(図示せず)で構成される。SOFCスタック1では、改質器3で生成された改質ガス中の水素、および一酸化炭素などの燃料成分と空気中の酸素が電気化学的に反応することで発電が行われる。空気は、空気ブロワ14から供給される。
SOFCスタック1は、例えば600℃~700℃で動作し、アノード1aからは高温のアノード排ガスが、カソード1cからは高温のカソード排ガスが排出され、その熱が後流側で利用される。
SOFCスタック1の代表的な反応式を式(3)、式(4)に示す。
アノード H+O2- → HO+2e (3)
カソード 1/2O+2e → O2- (4)
共電解スタック2は、通常の水電解とは異なり、水蒸気と二酸化炭素の電解を行って、酸素および水素と一酸化炭素を取り出すものである。
共電解スタック2の基本構造はSOFCと同じであるが、SOFCと逆の反応を行わせるものである。すなわち、共電解スタック2のカソード2cに二酸化炭素と水蒸気を供給し、電極間に電流を流すことにより、カソード2cより水素と一酸化炭素が取り出される。また。電解反応により、共電解スタック2のアノード2aからは酸素が取り出される。 共電解スタック2の基本の電解反応式を式(5)~式(7)に示す。
カソード CO+2e → CO+O2- (5)
O+2e → H+O2- (6)
アノード 2O2- → O+4e (7)
次に、燃料電池システム100の構成図であり、フロー図である図1に基づいて、燃料電池システム100の全体構成、機能を説明する。
都市ガス等の炭化水素系の原燃料は、原燃料供給ライン21を経て燃料電池システム100に投入され、混合器10で水蒸気およびリサイクルガスと混合した後、原燃料ガスライン22を経由して改質器3の触媒層4に導入される。改質器3の触媒層4では、燃焼器5およびカソード排ガス加熱層6から熱を与えられて、水素および一酸化炭素を含む改質ガスが生成される。
改質ガスは改質ガスライン25を経由して、SOFCスタック1のアノード1aに導かれ、ここで電気化学反応が行われて水素および一酸化炭素の一部が消費される。
一方、SOFCスタック1のカソード1cには、空気ブロワ14からの空気が供給され、ここで電気化学反応により空気中の酸素が一部消費される。カソード1cから排出されたカソード排ガスは、カソード排ガスライン66を経由して、改質器3のカソード排ガス加熱層6に導かれ、ここで触媒層4を加熱した後、排気ライン67を経由して熱交換器17で供給空気との熱交換を行った後大気に排出される。
SOFCスタック1のアノード1aから排出されたアノード排ガスは、アノード排ガスライン26を経由し、さらに水蒸気発生器11を経由して、一部がバーナ燃焼ライン28を経由して燃焼器5へ導かれる。その残りがリサイクルライン27を経由して混合器10へ導かれる。
アノード排ガスを原燃料ガスライン22に戻して、燃料のリサイクルを行う方法は、SOFCスタックの燃料の消費率を高めて発電効率を向上させる目的があり、燃料電池システムでは良く知られた技術である。
アノード排ガスの成分は、一例として、水素12%、一酸化炭素3%、二酸化炭素25%、水蒸気60%である。
アノード排ガスライン26の途中に設けた水蒸気発生器11は、アノード排ガスの熱を利用して改質反応に必要な水蒸気を発生させる目的で設置され、同時にアノード排ガスの温度を下げる機能を合わせ持つ。
アノード排ガスの温度を下げる目的は、アノード排ガス中の水分を凝縮し、系内で水回収を行うことと、アノード排ガスを下流側に循環しやすくするためである。水回収のために、水蒸気発生器11の下流側にアノード排ガス凝縮器15が合わせて設置される。水蒸気発生器11を含むこのシステム構成、機能は、一般的なもので公知であるため説明は省略する。
水蒸気発生器11では、純水装置(図示せず)からの純水が給水ライン60から導かれる。水蒸気発生器11でアノード排ガスから熱を与えられて発生した水蒸気は、水蒸気ライン61を経由して混合器10に導かれる。
混合器10はミキサーおよびエジェクター等が想定され、原燃料とリサイクルガスを混合する。混合器10にミキサーを用いる場合は、リサイクルライン27に昇圧ブロワ(図示せず)を設けることが一般的である。原燃料と水蒸気とが混合した原燃料ガスは、リサイクルガスと混合し、改質器3の触媒層4に導かれ、ここで改質反応が行われて水素および一酸化炭素が生成される。
バーナ燃焼ライン28を経由して燃焼器5に導かれたアノード排ガスは、共電解スタック2の電解で得られた酸素を支燃ガスとして燃焼され、触媒層4に熱が与えられる。アノード2a出口の酸素供給ライン41から排出される酸素が、酸素供給ライン41を経由して支燃ガスとして燃焼器5に送られ、燃焼に利用される。
このように燃焼器5では、酸素燃焼が行われるため、窒素を含まない、ほぼ二酸化炭素と水蒸気のみで構成される燃焼排ガスが排出される。二酸化炭素と水蒸気で構成される燃焼排ガスは、燃焼排ガスライン31を経由し、途中、熱交換器12で原燃料ガスと熱交換される。燃焼排ガスは、熱交換した後、燃焼排ガス凝縮器13で水蒸気の大半が取り除かれ、濃縮された二酸化炭素が濃縮二酸化炭素排出ライン33を経由して系外に排出される。
ここで、燃焼排ガス凝縮器13に入る前の燃焼排ガスの一部は、燃焼排ガスライン31から分岐して、二酸化炭素還流ライン32を経由して、共電解スタック2のカソード2cに導かれる。ここで燃焼排ガスに含まれる二酸化炭素と水蒸気が共電解の反応に利用され、アノード2aからは酸素が、カソード2cからは水素と一酸化炭素が取り出される。
なお、二酸化炭素還流ライン32が循環流路である。
共電解スタック2のアノード2aで得られた酸素は燃焼に利用する一方、カソード2cで得られた水素と一酸化炭素は、水素一酸化炭素供給ライン51を経由してガス合成装置16に供給される。ガス合成装置16では既存技術であるメタネーションおよびフィッシャー・トロプシュ(FT(Fischer-Tropsch))反応を利用したガス合成のプロセスによって、汎用的な燃料資源に変換することが可能である。
メタネーションは、水素と一酸化炭素から、改質反応と逆の反応によりメタンCH4を生成するプロセスで、反応式を式(8)に示す。
CO+3H → CH+HO (8)
一方で、共電解スタック2に利用された残りの二酸化炭素は、燃焼排ガス凝縮器13を通り、濃縮二酸化炭素排出ライン33を経由して、濃縮二酸化炭素として系外に排出され回収される。濃縮二酸化炭素は、施設栽培、建設資材、溶接などに利用される他、濃度が高いため、容易に液化することができ、また、PSA(pressure swing adsorption)を用いて高純度化できる。このため、将来的には食品、冷媒、医療、地中固定化を含めて広く活用されることが期待される。
実施の形態1では、燃料電池システム100の中で、燃焼排ガスの二酸化炭素と水蒸気を循環させて、濃縮二酸化炭素を取り出すことができる構成とした。さらに、共電解スタック2で生成した水素と一酸化炭素はガス合成装置16において、メタネーション等によって燃料化することができる。また、システムに投入された原燃料の炭素成分は、一部が利用しやすい濃縮二酸化炭素として回収され、残りがメタンなどの燃料資源として回収される。このため、燃料電池システム100は、二酸化炭素が大気に放出されることがないカーボンゼロのオンサイト発電を目指すことが可能となる。
なお、SOFCスタック1のアノード1aからの排出ガスであるアノード排ガスの燃焼に必要な酸素量は、アノード排ガスの量に応じて決まる。さらに共電解スタック2において、この酸素量を発生するために必要な二酸化炭素と水蒸気の量が決まり、その一部が二酸化炭素還流ライン32を経由した燃焼排ガスで供給される。必要酸素量に応じた最小限の容量の共電解スタック2を導入すればよく、この場合、排出される濃縮二酸化炭素と、メタン生成量の関係は必要に応じて柔軟に決めることができる。
例えば、改質器3の燃焼器5を出た燃焼排ガスの成分は、二酸化炭素50%、水蒸気50%である。この内、共電解に必要な二酸化炭素と水蒸気の量は、一例ではそれぞれ燃焼排ガスに含まれる二酸化炭素の量の16%と水蒸気72%程度である。したがって、燃焼排ガスの16%程度を還流して二酸化炭素を共電解スタック2の原料に利用し、残りを濃縮二酸化炭素として回収する。
この場合、燃料電池システム100に投入された原燃料の炭素に起因する二酸化炭素は16%がメタン生成に利用され、84%が濃縮二酸化炭素として回収される。原料として不足する水蒸気は、水蒸気ライン61から分岐した共電解水蒸気ライン62を経由して補給される。この場合、水蒸気の給水源は、アノード排ガス凝縮器15および燃焼排ガス凝縮器13からの凝縮水を利用することで、系内回収される。
共電解スタック2の容量に応じて、濃縮二酸化炭素とメタン生成量の比を変えることが可能である。例えば、燃焼排ガス中の二酸化炭素の全量を利用できる共電解スタック2の容量を選択すれば、濃縮二酸化炭素の量をほとんど0に抑え、その分メタン生成量を増やすことができる。この場合、アノード2aで生成される酸素量が、アノード排ガスの燃焼に必要な量を超えるので、その分の酸素は酸素放出ライン42を利用して系外に放出すればよい。
以上、本実施の形態1の構成によれば、大気に二酸化炭素を放出することなく、濃縮二酸化炭素およびメタンの形で二酸化炭素を回収および資源化できる高効率な発電システムを構築できる。
また、電解効率の高い高温型の共電解スタック2を利用しているため、従来の水電解による方法に比べて少ない電力で効率良く二酸化炭素を濃縮し、メタン生成の原料を生成することが可能であるため、二酸化炭素の回収コストを抑えることができる。
また、高温型のSOFCスタック1と共電解スタック2は、いずれも動作温度が600℃~700℃と高く、温度的な親和性が高いため、プロセス温度の整合を図ることが容易である。SOFCスタック1と共電解スタック2を共通の断熱ボックスを用いて同じ温度環境に配置するなど、比較的簡素な構成および配置でシステムを構築できる。
共電解スタック2の原料となる水蒸気は、系内で回収することが可能であり、水電解を利用した従来技術のように水を供給するための特別な純水装置を必要としない。
なお、図1で説明した実施の形態1では、プロセスに必要な水蒸気を得るために、水蒸気発生器11およびアノード排ガス凝縮器15を設置した。しかし、元々SOFCスタック1のアノード1aから排出されたアノード排ガスには、電気化学反応で生成した水蒸気が含まれるため、水蒸気発生器11およびアノード排ガス凝縮器15の両方、またはいずれかを省くことも可能である。この場合、アノード排ガスが凝縮せずにリサイクルされるため、改質反応に必要な水蒸気の全量をアノード排ガスに含まれる水蒸気量で供給することができる。
また、実施の形態1の図1に示すシステム構成、およびフローは1例を示すものである。例えば、熱交換器の配置はこれに限るものではない。燃焼排ガスライン31の熱交換器12は、原燃料ガスライン22の原燃料ガスと熱交換する代わりに、空気供給ライン65のカソード供給空気と熱交換させてもよく、系内の熱回収の組み合わせは複数存在する。
実施の形態1において、電解効率の高い共電解スタック2を使用する例を挙げているが、効率は共電解スタックに及ばないが、PEM(polymer electrolyte membrane)型電解スタックを用いることもできる。
また、燃料電池システム100の原燃料に、食品廃棄物、畜産廃棄物、下水等の有機物由来のバイオガスを利用することが可能で、この場合でも図1の構成で同じ機能が実現できる。この場合、バイオガスを利用すること自体でカーボンゼロの発電システムとなるが、さらに回収二酸化炭素を地中化および建設資材化などで固定化できれば、カーボンネガティブとなり、非常に社会性の高いシステムを構築できる。
上記説明したように、実施の形態1の燃料電池システムは、原燃料と水蒸気を反応させて水素を含む改質ガスを生成する改質器と、空気と改質ガスとの電気化学反応によって電気エネルギを発生させる燃料電池スタックと、二酸化炭素と水蒸気から生成した酸素をアノードから排出し、水素と一酸化炭素とをカソードから排出する共電解スタックとを備え、燃料電池スタックのアノード排ガスを共電解スタックで生成した酸素で燃焼して改質反応に熱を与える燃焼器と、燃焼器の燃焼排ガスの少なくとも一部を共電解スタックに循環する循環流路を備えるものである。このため、実施の形態1の燃料電池システムは、系内で効果的に二酸化炭素を濃縮し、循環させ、また、共電解スタック内で二酸化炭素を一酸化炭素と水素に変換して、燃料として使用および資源化することで、系外における二酸化炭素回収を抑制できる。
実施の形態2.
実施の形態2の燃料電池システムは、燃焼排ガスの一部を、共電解スタックのアノードにキャリアガスとして導き、アノードの酸化環境を改善する構成にしたものである。
以下、実施の形態2の燃料電池システムについて、燃料電池システムのシステム構成図であり、フロー図である図2に基づいて、実施の形態1との差異を中心に説明する。
実施の形態2のシステム構成図において、実施の形態1と同一あるいは相当部分は、同一の符号を付している。
なお、実施の形態1と区別するために。燃料電池システム200としている。
共電解スタックのアノード(酸素極)は、純酸素の環境下で材料の腐食が問題になることがあり、このため酸素濃度を下げるために、キャリアガスを流すことが望ましい。一方で空気をキャリアガスに利用する事例が見られるが、空気を用いる場合、空気に含まれる窒素の影響で、燃焼排ガスの二酸化炭素の濃度が低下する。
また、酸素でアノード排ガスを燃焼させた場合、理論混合燃焼となるために、燃焼温度が上がり、燃焼器5を過熱してしまう恐れがある。ボイラーおよびガスタービン燃焼器のような通常の燃焼器は、燃焼温度を下げるために理論混合比よりも過剰の空気で燃焼させることが一般的である。しかし、本燃料電池システムの場合は、燃焼により二酸化炭素を濃縮することを目的としているため、過剰に酸素を供給すれば、燃焼排ガスに酸素が含まれて、排ガス中の二酸化炭素の濃度を下げてしまう。
この問題を解決するために、実施の形態2の燃料電池システム200では、燃焼排ガス凝縮器13を通過した後の燃焼排ガスの一部を、濃縮二酸化炭素還流ライン40を経由して共電解スタック2のアノード2aにキャリアガスとして導き、アノード2aの酸化環境を抑えるようにした。
燃焼排ガス凝縮器13を通過した後の燃焼排ガス、即ち、水分を除去し濃縮された二酸化炭素をキャリアガスとして使用することで、燃焼器5の燃焼温度を下げ、過熱を防止する効果が高くなる。また、実施の形態2においては、キャリアガスは二酸化炭素そのものであるため、濃縮された二酸化炭素が希釈されることはない。
なお、濃縮二酸化炭素還流ライン40が第二循環流路である。
以上説明したように、実施の形態2の燃料電池システムは、燃焼排ガスの一部を、共電解スタックのアノードにキャリアガスとして導き、アノードの酸化環境を改善する構成にしたものである。
したがって、実施の形態2の燃料電池システムは、系内で効果的に二酸化炭素を濃縮し、循環させ、また、共電解スタック内で二酸化炭素を一酸化炭素と水素に変換して、燃料として使用および資源化することで、系外における二酸化炭素回収を抑制できる。さらに、共電解スタックのアノードの酸化環境を改善することができる。
実施の形態3.
実施の形態3の燃料電池システムは、実施の形態2の燃料電池システムに酸素供給ラインの酸素濃度を調整する機能を追加したものである。
以下、実施の形態3の燃料電池システムについて、燃料電池システムのシステム構成図であり、フロー図である図3に基づいて、実施の形態1、2との差異を中心に説明する。
実施の形態3のシステム構成図において、実施の形態1、2と同一あるいは相当部分は、同一の符号を付している。
なお、実施の形態1、2と区別するために、燃料電池システム300としている。
実施の形態2で説明したように、実施の形態2の燃料電池システム200では、共電解スタック2のアノード2aの酸化環境を改善するために、濃縮二酸化炭素還流ライン40を設置し、アノード燃焼排ガスの一部を、アノード2aにキャリアガスとして導いた。
実施の形態3の燃料電池システム300では、濃縮二酸化炭素還流ライン40から分岐して、共電解スタック2のアノード2a出口から燃焼器5に通じる酸素供給ライン41に設置された濃縮二酸化炭素合流部46に合流させた第二濃縮二酸化炭素還流ライン45を設けている。
この第二濃縮二酸化炭素還流ライン45は、酸素供給ライン41の酸素濃度を調整する機能を有し、この調整機能の追加により濃縮二酸化炭素還流ライン40のみでは調節が難しい燃焼状態および温度の調節を補助することができる。
以上説明したように、実施の形態3の燃料電池システムは、実施の形態2の燃料電池システムに酸素供給ラインの酸素濃度を調整する機能を追加したものである。
したがって、実施の形態3の燃料電池システムは、系内で効果的に二酸化炭素を濃縮し、循環させ、また、共電解スタック内で二酸化炭素を一酸化炭素と水素に変換して、燃料として使用および資源化することで、系外における二酸化炭素回収を抑制できる。また、燃焼器の燃焼温度を最適化することができる。
実施の形態4.
実施の形態4の燃料電池システムは、共電解スタックのカソードで生成した水素と一酸化炭素を燃料電池システムの燃料として利用する構成としたものである。
以下、実施の形態4の燃料電池システムについて、燃料電池システムのシステム構成図であり、フロー図である図4および図5に基づいて、実施の形態1との差異を中心に説明する。
実施の形態4のシステム構成図において、実施の形態1と同一あるいは相当部分は、同一の符号を付している。
なお、実施の形態1と区別するために、燃料電池システム401、402としている。
実施の形態4の燃料電池システム401、402において、酸素燃焼により、燃焼排ガス中の二酸化炭素が濃縮され、一部が共電解スタック2の原料として供給され、残りが濃縮二酸化炭素として排出され回収されるのは、実施の形態1の燃料電池システム100と同じである。
実施の形態4では、共電解スタック2のカソード2cで生成した水素と一酸化炭素を燃料電池システム401、402の燃料として利用する。
実施の形態1の燃料電池システム100では、共電解スタック2のカソード2cで生成された水素と一酸化炭素を水素一酸化炭素供給ライン51経由ガス合成装置16に排出していた。実施の形態4では、この水素と一酸化炭素を燃料電池システムの燃料として利用する。
まず、実施の形態4の燃料電池システムの第1の構成である燃料電池システム401を図4に基づいて説明する。
図4において、共電解スタック2のカソード2cで生成した水素と一酸化炭素は、第二水素一酸化炭素供給ライン52を経由して、原燃料ガスライン22に原燃料合流部47で合流し、改質器3を通過後SOFCスタック1の燃料として供給される。水素も一酸化炭素も、改質ガスと同様にSOFCスタック1の電気化学反応の原料になるため、その分、発電出力の増加することができる。
この場合、燃焼排ガス中の二酸化炭素の濃縮が目的であるため、共電解スタック2は、アノード排ガスの酸素燃焼を可能とするだけの容量を選定すればよい。
1例を示せば、SOFCスタック1の出力10kWに対して、共電解スタック2は1.7kW程度の電力が必要である。一方、共電解スタック2から得られた水素と一酸化炭素によるSOFCスタック1の出力増加は1.0kW程度である。差し引きでシステムとしての出力は0.7kWほどマイナスとなる。この数値は、二酸化炭素削減の電力原単位として、約220kWh/t―CO2に相当する。このように、比較的低電力で二酸化炭素の回収が可能であり、共電解スタック2の導入意義は大きい。
共電解スタック2のカソード2cで生成した水素と一酸化炭素は、原燃料ガスライン22に戻すことで、発電出力を増加させると共に、改質器3を通すことで改質ガスの組成が一定になる効果がある。但し、原燃料ガスライン22に戻す量に応じた十分な水蒸気を供給する必要があり、水蒸気量が足りない場合には改質触媒に損傷を与える恐れがあるため注意が必要である。
次に、実施の形態4の燃料電池システムの第2の構成である燃料電池システム402を図5に基づいて説明する。
図5において、共電解スタック2のカソード2cで生成した水素と一酸化炭素は、第三水素一酸化炭素供給ライン53を経由して改質ガスライン25に合流し、SOFCスタック1に燃料として供給される。SOFCスタック1は水素のだけではなく一酸化炭素も、改質ガスと同様にSOFCスタック1の電気化学反応の原料になるため、その分、発電出力の増加することができる。しかしこの場合、SOFCスタック1に供給されるガスは共電解スタック2から排出された水素、一酸化炭素が改質ガスに追加されるため組成の変動がSOFCスタック1に影響を与える可能性がある。
このため、図4の燃料電池システム401および図5の燃料電池システム402を組み合せた構成とし、SOFCスタック1の負荷に応じて原燃料ガスライン22及び改質ガスライン25の各々へ流れる水素、一酸化炭素のガス量を調整することが望ましい。
実施の形態4の機能、動作は、ガス合成装置によるメタン生成を除いて、実施の形態1と同じであるため、その説明は省略する。
以上説明したように、実施の形態4の燃料電池システムは、共電解スタックのカソードで生成した水素と一酸化炭素を燃料電池システムの燃料として利用する構成としたものである。
したがって、実施の形態4の燃料電池システムは、系内で効果的に二酸化炭素を濃縮し、循環させ、また、共電解スタック内で二酸化炭素を一酸化炭素と水素に変換して、燃料として使用することで、系外における二酸化炭素回収を抑制できる。さらに、SOFCスタックの発電出力の増加することができる。
実施の形態5.
実施の形態5の燃料電池システムは、改質器の燃焼器に触媒燃焼を採用したものである。
以下、実施の形態5の燃料電池システムについて、燃料電池システムのシステム構成図であり、フロー図である図6に基づいて、実施の形態1との差異を中心に説明する。
実施の形態5のシステム構成図において、実施の形態1と同一あるいは相当部分は、同一の符号を付している。
なお、実施の形態1と区別するために、燃料電池システム500としている。
実施の形態2において、酸素燃焼により燃焼器が加熱する恐れがあることを説明した。実施の形態5では、燃焼器として、従来のバーナ燃焼ではなく、触媒燃焼を採用することで、酸素燃焼による過熱を防ぐようにした。触媒燃焼はアルミナおよび活性炭を担体に用いた白金系の触媒が利用され、バーナ燃焼とは異なり比較的穏やかな安定した燃焼が可能である。
燃焼器5に触媒燃焼を採用した実施例を図6に示す。
実施の形態5の燃料電池システム500と実施の形態1の燃料電池システム100の差異は燃焼器5の燃焼方式にある。燃料電池システム500では、燃焼器5において、共電解スタック2のアノード2aから排出された燃焼用酸素がガスの流れに従い、燃焼触媒に対し1次、2次、3次と分散して導入されるように構成される。これによって、アノード排ガスの燃焼が分散して行われるようになり、過熱部のない安定した燃焼を実現することができる。
実施の形態5では、共電解スタック2のアノード2aからの燃焼用酸素を3箇所に分散する事例を示したが、分散の数は任意であり、燃焼温度の状況によって決められる。
また、燃焼器へのアノード排ガスの分散投入を行っても良く、同様の効果が見込める。
このように、実施の形態5では、燃焼器5に触媒燃焼を採用したため、共電解スタック2と組み合わせた酸素燃焼を行っても、燃焼器5の過熱の恐れはなく、燃料電池システムの信頼性を向上させることができる。また、燃焼器5の過熱の恐れはないため、共電解スタック2のアノード2aへのキャリアガス導入を減少させるか、不要にすることができる。
実施の形態5の機能、動作は、燃焼器の触媒燃焼以外は実施の形態1と同じであるため、その説明は省略する。
以上説明したように、実施の形態5の燃料電池システムは、改質器の燃焼器に触媒燃焼を採用したものである。
したがって、実施の形態5の燃料電池システムは、系内で効果的に二酸化炭素を濃縮し、循環させ、また、共電解スタック内で二酸化炭素を一酸化炭素と水素に変換して、燃料として使用および資源化することで、系外における二酸化炭素回収を抑制できる。さらに、燃焼器の過熱の恐れをなくし、システムの信頼性を向上させることができる。
実施の形態6.
実施の形態6は、燃料電池システムの機能、動作に必要な制御装置、調整弁、および流量測定器を追加して、具合的な制御の方法を説明するものである。
以下、実施の形態6の燃料電池システムについて、燃料電池システムのシステム構成図であり、フロー図である図7に基づいて、実施の形態1との差異を中心に説明する。
実施の形態6のシステム構成図において、実施の形態1と同一あるいは相当部分は、同一の符号を付している。
なお、実施の形態1と区別するために、燃料電池システム600としている。
また、図7において、図面をわかりやすくするために、制御装置を「CTR」、電源コントローラを「PS」と簡略化している。
燃料電池システム600は、制御装置70を備え、原燃料ガスライン22に原燃料流量測定器71、またはバーナ燃焼ライン28にアノード排ガス流量測定器72を備える。さらに、燃焼排ガスを還流させる二酸化炭素還流ライン32に濃縮二酸化炭素流量調節弁81、水蒸気を供給する共電解水蒸気ライン62に水蒸気流量調節弁82、および酸素放出ライン42に酸素放出量調整弁83を備える。また、共電解スタック2を制御する電源コントローラ90を備える。
制御装置70は各流量測定器、調節弁の間を信号線で連携し、共電解スタック2の電源コントローラ90とも連携する。
燃料電池システム600において、二酸化炭素濃縮機能を果たすのに重要なポイントは、改質器3の燃焼器5に対して、アノード排ガスの燃焼に必要な理論混合比の酸素を供給することである。酸素量が不足すると、アノード排ガスの未燃成分が排出されて、燃焼排ガス中の二酸化炭素濃度を下げることになる。また、酸素量が過剰になると、余剰の酸素が排出されて、同様に二酸化炭素の濃度を下げることになる。つまり、アノード排ガスの量に応じて、改質器3の燃焼器5に対し適切に酸素を供給することが重要である。
また、共電解スタック2のアノード2aから排出される酸素量は、共電解スタック2の入力(消費電力)で決まり、それに応じてカソード2cに必要な二酸化炭素の量および水蒸気の量が決まるため、アノード排ガスの量に応じた共電解スタック2の電力、供給ガスの一元的な制御が必要となる。
以下、図7に基づいて、燃料電池システム600の具体的な制御の方法を説明する。
燃料電池システム600は、負荷制御装置(図示せず)からSOFCスタック1に出力指令が出され、所定の負荷で運転され、このとき負荷に応じて原燃料の制御が行われる。
まず、燃料ガスの量を原燃料流量測定器71で検出する場合を説明する。
SOFCスタック1の負荷に応じて供給される原燃料ガスの量が原燃料流量測定器71で検出される。制御装置70によって、バーナ燃焼ライン28を経て燃焼器5に投入されるアノード排ガスの量が算出される。原燃料ガスの量とアノード排ガスの量および組成の関係は、SOFCスタック1の負荷、その運転条件、改質器3の運転条件などのパラメータにより一義的に決められる。この算出方法は既存技術の範囲であるため、その説明を省略する。
次に、燃料ガスの量をアノード排ガス流量測定器72で検出する場合を説明する。
燃焼器5に投入されるアノード排ガスの流量をバーナ燃焼ライン28に設けたアノード排ガス流量測定器72により直接計測してもよい。理論酸素量を求めるために、アノード排ガスの流量だけでなく組成も必要であるが、いずれにしてもSOFCスタック1および改質器3の運転条件に基づく演算で求められる。
制御装置70は、改質器3の燃焼器5に供給されるアノード排ガスの量、組成の情報から、理論酸素量、つまり必要な酸素量を求める。さらに制御装置70は、共電解スタック2の性能特性から、電力値、二酸化炭素の量、水蒸気の量を算出し、電源コントローラ90、濃縮二酸化炭素流量調節弁81、および水蒸気流量調節弁82を制御することで共電解スタック2の動作を制御する。
また、酸素量の過剰が予想される場合は、制御装置70は酸素放出ライン42の酸素放出量調整弁83を制御することで、余剰酸素の放出制御を行う。
なお、濃縮二酸化炭素流量調節弁81が第一流量調節弁、水蒸気流量調節弁82が第二流量調節弁、酸素放出量調整弁83が第三流量調節弁である。
実施の形態6では、制御装置70がSOFCスタック1および改質器3の運転状況を把握して、共電解スタック2を適切に制御する。このため、SOFCスタック1の運転を優先しつつ、SOFCスタック1の負荷状況に応じて、常に濃縮二酸化炭素を得ることが可能である。
また、運転状況に応じて共電解スタック2のカソード2cから得られた水素と一酸化炭素は、メタネーションの原料に利用するか、実施の形態4で説明したように、原燃料ガスライン22か改質ガスライン25に供給し、SOFCスタック1の発電出力の増加に利用することができる。SOFCスタック1の発電出力の増加に利用する場合は、改質ガスの増量、SOFCスタック1の発電出力増加を考慮して、アノード排ガスの量を算出することになる。
以上説明したように、実施の形態6の燃料電池システムは、機能、動作に必要な制御装置、調整弁、および流量測定器を追加して、具合的な制御の方法を説明したものである。 したがって、実施の形態6の燃料電池システムは、系内で効果的に二酸化炭素を濃縮し、循環させ、また、共電解スタック内で二酸化炭素を一酸化炭素と水素に変換して、燃料として使用および資源化することで、系外における二酸化炭素回収を抑制できる。
実施の形態7.
実施の形態7は、濃縮二酸化炭素貯蔵装置を設置して、濃縮二酸化炭素を貯蔵し、メタネーションのデマンドに応じて共電解スタックの出力をコントロールできるようにしたものである。
以下、実施の形態7の燃料電池システムについて、燃料電池システムのシステム構成図であり、フロー図である図8に基づいて、実施の形態1、6との差異を中心に説明する。
実施の形態7のシステム構成図において、実施の形態1、6と同一あるいは相当部分は、同一の符号を付している。
なお、実施の形態1、6と区別するために、燃料電池システム700としている。
また、図8において、図面をわかりやすくするために、濃縮二酸化炭素貯蔵装置を「CST」と簡略化している。
実施の形態7では、濃縮二酸化炭素貯蔵装置91を設置して、そこに燃焼排ガスライン31から分岐した濃縮二酸化炭素を貯蔵し、メタネーションのデマンドに応じて共電解スタック2の出力をコントロールできるようにした。つまり燃料電池システム700は、SOFCスタック1の負荷とメタネーションの負荷をそれぞれ独立に制御できるようにしたものである。
燃料電池システム700は、実施の形態6で説明した制御装置70、各流量調節弁、流量測定器に加えて、さらに濃縮二酸化炭素貯蔵装置91の制御に必要な機器を備える。
共電解スタック2のカソード2cに二酸化炭素を導入する二酸化炭素還流ライン32上に濃縮二酸化炭素貯蔵装置91、圧縮機92を備える。さらに、二酸化炭素還流ライン32上に第一濃縮二酸化炭素量調節弁84、第二濃縮二酸化炭素量調節弁85、濃縮二酸化炭素排出ライン33上に濃縮二酸化炭素排出量調節弁86を備える。また、SOFCスタック1の負荷を測定するSOFC負荷測定器73を備える。また、電源コントローラ90を共電解スタック2の負荷測定器として使用する。
制御装置70はSOFC負荷測定器、電源コントローラ90、および各調節弁の間を信号線で連携する。
次に燃料電池システム700の濃縮二酸化炭素貯蔵装置91の制御動作を中心に説明する。
濃縮二酸化炭素貯蔵装置91は、メタネーションのデマンドに応じられるように、排出される濃縮二酸化炭素を貯蔵する。SOFCスタック1は、電力負荷のデマンドに応じて発電を行うが、実施の形態1では、その結果メタネーション用のガス(水素と一酸化炭素)が運転状況に応じて生成されるため、メタン製造がデマンドに合わないことが予想される。 このために、実施の形態7では発電とメタン製造の両者の負荷調整を行うことを目的に濃縮二酸化炭素貯蔵装置91を設置した。
濃縮二酸化炭素は、燃焼排ガスライン31から分岐した後、圧縮機92で昇圧されて濃縮二酸化炭素貯蔵装置91に導かれ、ここで一旦二酸化炭素が貯蔵される。SOFC負荷測定器73で計測されたSOFCスタック1の負荷、および共電解スタック2の電源コントローラ90の出力に基づいて、二酸化炭素の貯蔵量が決められる。制御装置70は、第一濃縮二酸化炭素量調節弁84と濃縮二酸化炭素排出量調節弁86を調整することで濃縮二酸化炭素貯蔵装置91への二酸化炭素の充填量を調整する。
例えば、濃縮二酸化炭素排出量調節弁86を全閉、第一濃縮二酸化炭素量調節弁84を全開にすれば、排出される濃縮二酸化炭素の全量が濃縮二酸化炭素貯蔵装置91に充填される。濃縮二酸化炭素貯蔵装置91の充填が規定値以上になれば、濃縮二酸化炭素排出量調節弁86を開放して、系外で濃縮二酸化炭素を回収する。
一方、共電解スタック2のデマンド、つまりメタン製造のデマンドに応じて、二酸化炭素と水蒸気の消費量が決まる。これに対して、制御装置70は、第二濃縮二酸化炭素量調節弁85で制御するか、または水蒸気流量調節弁82で追加水蒸気量を制御する。
濃縮二酸化炭素貯蔵装置91に貯蔵される二酸化炭素の量は、SOFCスタック1の発電とメタン製造の時間的な差を考慮して決められ、それに応じて共電解スタック2の容量も決められる。また、メタン製造を優先して共電解スタック2の運用を行う場合、生成酸素は燃焼に必要な量を上回るため、制御装置70は、酸素放出量調整弁83を制御することで、その超過分の酸素は酸素放出ライン42を経由して、大気に放出される。
なお、第一濃縮二酸化炭素量調節弁84が第四流量調節弁、第二濃縮二酸化炭素量調節弁85が第五流量調節弁である。また、SOFC負荷測定器73が第一負荷検出器、電源コントローラ90が第二負荷検出器である。
以上、実施の形態7では、濃縮二酸化炭素を共電解スタック2に還流するラインに、濃縮二酸化炭素貯蔵装置91を設置したため、SOFCスタック1の負荷と共電解スタック2の負荷、つまりメタネーションの負荷をそれぞれ独立に制御することが可能である。それぞれのニーズに応じて運用できるため、需要家が燃料電池システムの選択肢を広げることができる。
以上説明したように、実施の形態7の燃料電池システムは、濃縮二酸化炭素貯蔵装置を設置して、濃縮二酸化炭素を貯蔵し、メタネーションのデマンドに応じて共電解スタックの出力をコントロールできるようにしたものである。したがって、実施の形態7の燃料電池システムは、系内で効果的に二酸化炭素を濃縮し、循環させ、また、共電解スタック内で二酸化炭素を一酸化炭素と水素に変換して、燃料として使用および資源化することで、系外における二酸化炭素回収を抑制できる。さらに、SOFCスタック1の負荷とメタネーションの負荷をそれぞれ独立に制御できる。
なお、実施の形態1から実施の形態7においては、いずれも燃料電池スタックとして固体酸化物形燃料電池を使用して説明したが、溶融炭酸塩形燃料電池(MCFC(molten carbonate fuel cell))などの高温型燃料電池スタックも利用可能である。
本願は、様々な例示的な実施の形態及び実施例が記載されているが、1つ、または複数の実施の形態に記載された様々な特徴、態様、及び機能は特定の実施の形態の適用に限られるものではなく、単独で、または様々な組合せで実施の形態に適用可能である。
従って、例示されていない無数の変形例が、本願に開示される技術の範囲内において想定される。例えば、少なくとも1つの構成要素を変形する場合、追加する場合または省略する場合、さらには、少なくとも1つの構成要素を抽出し、他の実施の形態の構成要素と組合せる場合が含まれるものとする。
1 固体酸化物形燃料電池スタック、1a アノード、1c カソード、
2 共電解スタック、2a アノード、2c カソード、3 改質器、4 触媒層、
5 燃焼器、6 カソード排ガス加熱層、10 混合器、11 水蒸気発生器、
12 熱交換器、13 燃焼排ガス凝縮器、14 空気ブロワ、
15 アノード排ガス凝縮器、16 ガス合成装置、17 熱交換器、
21 原燃料供給ライン、22 原燃料ガスライン、25 改質ガスライン、
26 アノード排ガスライン、27 リサイクルライン、28 バーナ燃焼ライン、
31 燃焼排ガスライン、32 二酸化炭素還流ライン、
33 濃縮二酸化炭素排出ライン、40 濃縮二酸化炭素還流ライン、
41 酸素供給ライン、42 酸素放出ライン、45 第二濃縮二酸化炭素還流ライン、46 濃縮二酸化炭素合流部、47 原燃料合流部、51 水素一酸化炭素供給ライン、52 第二水素一酸化炭素供給ライン、53 第三水素一酸化炭素供給ライン、
60 給水ライン、61 水蒸気ライン、62 共電解水蒸気ライン、
65 空気供給ライン、66 カソード排ガスライン、67 排気ライン、
70 制御装置、71 原燃料流量測定器、72 アノード排ガス流量測定器、
73 SOFC負荷測定器、81 濃縮二酸化炭素流量調節弁、
82 水蒸気流量調節弁、83 酸素放出量調整弁、
84 第一濃縮二酸化炭素量調節弁、85 第二濃縮二酸化炭素量調節弁、
86 濃縮二酸化炭素排出量調節弁、90 電源コントローラ、
91 濃縮二酸化炭素貯蔵装置、92 圧縮機、
100,200,300,401,402,500,600,700 燃料電池システム。

Claims (11)

  1. 炭化水素を含む原燃料と水蒸気を反応させた改質反応により水素を含む改質ガスを生成する改質器と、空気と前記改質ガスとの電気化学反応によって電気エネルギを発生させる燃料電池スタックと、二酸化炭素と水蒸気から生成した酸素をアノードから排出し、水素と一酸化炭素とをカソードから排出する共電解スタックとを備え、
    前記燃料電池スタックのアノード排ガスを前記共電解スタックで生成した酸素で燃焼して前記改質反応に熱を与える燃焼器と、前記燃焼器の燃焼排ガスの少なくとも一部を前記共電解スタックに循環する循環流路を備える燃料電池システム。
  2. 前記循環流路は、前記共電解スタックの前記カソードに循環する請求項1に記載の燃料電池システム。
  3. 前記燃焼排ガスの一部を前記共電解スタックの前記アノードに供給する第二循環流路を備える請求項1または請求項2に記載の燃料電池システム。
  4. 前記第二循環流路の前記燃焼排ガスの一部が前記共電解スタックのアノード出口の流路に合流する請求項3に記載の燃料電池システム。
  5. 前記共電解スタックで生成した前記水素と前記一酸化炭素を燃料資源に変換するガス合成装置を備える請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の燃料電池システム。
  6. 前記共電解スタックで生成した前記水素と前記一酸化炭素とが前記改質器を流通する原燃料に合流する請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の燃料電池システム。
  7. 前記共電解スタックで生成した前記水素と前記一酸化炭素とを、前記燃料電池スタックに燃料として供給する請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の燃料電池システム。
  8. 前記燃焼器は、燃焼触媒を備え、
    前記共電解スタックで生成した前記酸素、および前記燃料電池スタックの前記アノード排ガスのいずれか一方、または両方を前記燃焼触媒に分散供給する請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の燃料電池システム。
  9. 制御装置と、前記循環流路に第一流量調節弁と、前記共電解スタックの前記カソードに水蒸気を供給する水蒸気流路に第二流量調節弁と、前記共電解スタックで生成した酸素を外部に放出する酸素放出流路に第三流量調節弁とを備え、
    原燃料流量を検出する原燃料流量検出器、または前記アノード排ガスの流量を検出するアノード排ガス流量検出器を備え、
    前記原燃料流量検出器からの信号、または前記アノード排ガス流量検出器からの信号に基づき、前記制御装置が前記第一流量調節弁と、前記第二流量調節弁と、第三流量調節弁とを制御する請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の燃料電池システム。
  10. 前記循環流路に、圧縮機と、二酸化炭素貯蔵装置とを備える請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の燃料電池システム。
  11. 前記圧縮機の上流側に第四流量調節弁と、前記二酸化炭素貯蔵装置の下流側に第五流量調節弁と、前記燃料電池スタックの第一負荷検出器と、前記共電解スタックの第二負荷検出器とを備え、
    前記第一負荷検出器からの信号および前記第二負荷検出器から信号に基づいて、前記第四流量調節弁および前記第五流量調節弁を制御して前記二酸化炭素貯蔵装置の貯蔵量を制御する請求項10に記載の燃料電池システム。
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