JP2023137938A - 波長変換部材および光源装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】波長変換された光の発光スポット径を狭小化できると共に、波長変換された光の強度を向上させることができ、なおかつ白色光の色むらを抑制できる波長変換部材を提供することを目的とする。【解決手段】励起光の波長を変換する波長変換層を有する波長変換部材であって、波長変換層の外面のうち、少なくとも励起光入射部の周囲および光取出し部の周囲が、励起光および波長変換された光を反射する反射層で覆われており、励起光入射部に対応する波長変換層の外面は制御層で覆われており、制御層は、入射した励起光を透過させ、波長変換層の内部で反射した励起光を再反射する波長変換部材。【選択図】図1

Description

本発明は波長変換部材および光源装置に関する。
波長変換部材の一種としての蛍光体はLEDやレーザーを用いた照明またはプロジェクター用色調変換材料などとして幅広く用いられている。
従来用いられてきた粉末蛍光体や不透明セラミックスなどの不透明蛍光体は光が散乱し易いことから色むらが生じにくく、演色性が良好というメリットがある一方で、粒界で遮熱されることによって温度消光が生じ、蛍光輝度が低下するという問題がある。
これに対して、たとえば、特許文献1には、光の散乱の原因となるポアや粒界などの不純物がほとんど存在しない透明セラミックス蛍光体が開示されている。透明セラミックス蛍光体は構造が緻密であることから、粉末蛍光体や不透明セラミックス蛍光体などの不透明蛍光体よりも放熱性および耐熱性が優れている。このため、レーザーなどの高エネルギー密度の励起光源を使用した際も安定した光量を得ることができる。一方、蛍光体内部における蛍光の全反射により蛍光が蛍光体の内部に閉じ込められる「内面導波」といった問題は、不透明蛍光体よりも透明セラミックス蛍光体に顕著に現れる。
内面導波が発生すると蛍光の発光スポット径(光束の断面)が大きくなる。発光スポット径が大きくなると、発生した蛍光を集光するために大きな光学部材が必要になり、装置が大型化するなどの不都合が生じるおそれがある。
さらに近年では、蛍光の強度を向上させることや、蛍光と励起光とが混合して発せられる白色光の色むらを抑制することが求められている(特許文献2)。
特許第6371201号 特開2018-70431号公報
本発明は、波長変換された光の発光スポット径を狭小化できると共に、波長変換された光の強度を向上させることができ、なおかつ白色光の色むらを抑制できる波長変換部材を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明に係る波長変換部材は、
励起光の波長を変換する波長変換層を有する波長変換部材であって、
前記波長変換層の外面のうち、少なくとも励起光入射部の周囲および光取出し部の周囲が、前記励起光および波長変換された光を反射する反射層で覆われており、
前記励起光入射部に対応する前記波長変換層の外面は制御層で覆われており、
前記制御層は、入射した励起光を透過させ、前記波長変換層の内部で反射した励起光を再反射する。
本発明者は、波長変換部材が上記の構成であることにより、波長変換された光(以下、「蛍光」とも称する)の発光スポット径(光束の断面)を狭小化できると共に、波長変換された光の強度を向上させることができ、なおかつ白色光の色むらを抑制できることを見出した。本発明では励起光入射部の周囲が、励起光および波長変換された光を反射する反射層で覆われている。このため、波長変換層の内部で内面導波した光が外部へ漏れ出すことを低減することができ、波長変換された光の発光スポット径を狭小化することができる。
本発明に係る波長変換部材によれば、波長変換された光の発光スポット径を狭小化できることから、装置の小型化や光利用効率の改善を可能にするため、プロジェクター光源やスポットライト、投光器、ヘッドライト用光源などの用途に好ましく用いることができる。
なお、従来の波長変換部材では、内面導波により、発光スポット径の外側にて蛍光体表面から、蛍光成分のみが漏れ出ることにより、投影光(白色)の辺縁部が黄色くなる色むらが生じるイエローリングという現象が発生するという問題もある。しかし、本発明に係る波長変換部材では、励起光入射部に対応する波長変換層(以下では、「蛍光体層」とも称する)の外面(表面)は制御層を有する。これにより、制御層に照射された励起光の一部は励起光入射部付近で効率よく散乱される。この散乱された励起光が、励起光入射部付近において波長変換されて同位置から等方的に放射された蛍光と効率よく混合されることで、イエローリングなどの色むらが少ない白色光を得ることができる。
さらに、反射層および制御層により、励起光および波長変換された光の漏れを防ぐことができるため、励起光が十分に変換できるまで励起光を波長変換層の内部に留めることができる。これにより、波長変換効率を高めることができることから、発光強度(蛍光強度)が向上し、輝度が向上する。
さらに、本発明によれば、反射層の熱伝導率が高いため温度消光を抑制することができることから、これによっても輝度が向上する。
さらに、反射層により励起光の漏れを防止できることから、波長変換部材の外側に配置した構造体に対する励起光による劣化を抑制できる。
さらに、制御層により、波長変換層の励起光入射部(光取出し部)からの反射励起光の出射を低減でき、安全性の高い照明にすることができる。
好ましくは、前記波長変換層の外面のうち、前記励起光入射部および前記光取出し部以外の部分が前記反射層で覆われている。
このように構成することで、上述した反射層および制御層に関連する機能がさらに向上する。
好ましくは、前記波長変換層は、1以上の前記励起光よりも波長が長い第1蛍光の発光領域と、前記第1蛍光よりもさらに波長が長い第2蛍光の発光領域と、を有する。
これにより、波長変換部材の演色性を向上させることができる。なお、「演色性」とは、照明で物体を照らすときに、自然光が当たったときの色をどの程度再現しているかを示す指標である。第1蛍光の発光領域では、たとえば励起光が黄色に近い蛍光に変換され易く、第2蛍光の発光領域では、たとえば励起光が赤色に近い蛍光に変換され易い。そのため、本発明の一観点では、演色性が向上すると考えられる。
好ましくは、前記第1蛍光の発光領域は、賦活元素の低濃度領域であり、
前記第2蛍光の発光領域は、前記低濃度領域よりも賦活元素の濃度の高い高濃度領域である。
賦活元素の低濃度領域において励起光が黄色に近い蛍光に変換され易く、賦活元素の高濃度領域において励起光が赤色に近い蛍光に変換され易い。このため、本発明の一観点では波長変換部材の演色性を向上させることができる。
好ましくは、前記低濃度領域における前記賦活元素の濃度と、前記高濃度領域における前記賦活元素の濃度とは、連続的に変化している。
これにより、波長変換部材の演色性がより良好になる。
好ましくは、前記波長変換層は元素αと、前記賦活元素である元素βと、を有し、
前記元素αはYおよびLuからなる群から選ばれる少なくとも1つを含み、
前記元素βはCe、Pr、Sm、Eu、Tb、Dy、TmおよびYbからなる群から選ばれる少なくとも1つを含む。
波長変換層の主成分の組成が上記の範囲であることにより、蛍光特性を有する波長変換層を得易くなる。
前記元素αおよび前記元素βの合計含有量に対する前記元素βの含有量の割合を元素β割合とし、
前記低濃度領域における元素β割合をLβ(at%)とし、
前記高濃度領域における元素β割合をHβ(at%)としたとき、
好ましくは、前記Lβは0.2≦Lβ≦1.8の関係を満たし、
好ましくは、前記Hβは3.0≦Hβ≦6.0の関係を満たす。
好ましくは、前記反射層の厚みは1μm以上である。
好ましくは、前記制御層は0.05μm以上0.5μm以下である。
好ましくは、前記制御層は誘電体膜である。
好ましくは、前記波長変換層は540nmのピーク波長を有する光に対する透過率が70%以上である。
前記波長変換部材は前記励起光入射部と前記光取出し部とを前記波長変換層の同一面に有してもよい。
すなわち、本発明に係る波長変換部材は反射型であってもよい。これにより、励起光入射部を有する面に対向する面側を放熱に有効利用できるため高輝度を得易いというメリットがある。
前記波長変換部材は、前記波長変換層の互いに向かい合う一対の面において、一方の面に前記励起光入射部を有し、他方の面に前記光取出し部を有してもよい。
すなわち、本発明に係る波長変換部材は透過型であってもよい。
本発明に係る光源装置は、上記の波長変換部材と、青色発光素子と、を有し、
前記青色発光素子は、青色発光ダイオードおよび青色半導体レーザーから選ばれる少なくともいずれか一方である。
図1は本発明の一実施形態に係る光源装置の概略断面図である。 図2は図1に示すII部の拡大図である。 図3は図2に示す蛍光体層の濃度変化を示すグラフである。 図4は本発明の一実施形態に係る蛍光体層を製造するための単結晶製造装置の概略断面図である。 図5は従来例を示す概略図である。 図6は図5のVI部の拡大図である。 図7は本発明の他の実施形態に係る光源装置の概略断面図である。 図8は本発明の他の実施形態に係る波長変換部材の概略断面図である。 図9は図8に示す蛍光体層の濃度変化を示すグラフである。 図10は本発明の他の実施形態に係る波長変換部材の概略断面図である。 図11は図10に示す蛍光体層の濃度変化を示すグラフである。 図12は本発明の他の実施形態に係る波長変換部材の概略断面図である。 図13は図12に示す蛍光体層の濃度変化を示すグラフである。 図14は発光スポット径の半値幅および蛍光強度を測定するため の装置の概略図である。 図15は本発明の実施例に係る蛍光の発光スポット写真である。 図16は本発明の実施例に係る発光スポット径の半値幅を得るた めのグラフである。 図17はν’およびu’を測定するための装置の概略図である。
第1実施形態
光源装置
図1に示すように、本実施形態に係る光源装置2は、波長変換部材3と、青色発光素子6と、を有する。
青色発光素子
図1に示すように青色発光素子6は、蛍光体層4の蛍光成分を励起するための励起光である青色光LBを発する。青色発光素子6の青色光LBは通常ピーク波長が425nm~500nmである。蛍光体層4の励起光入射部40から内部に入射した青色光LBの一部は蛍光体層4に吸収されて波長変換され、光取出し部41から蛍光(波長変換された光)を発する。
光取出し部41から波長変換部材3の外側に向かって出射された蛍光と青色光LBとが混合して白色光LWを発する。
青色発光素子6としては、蛍光と混合することにより白色光LWを発し、なおかつ蛍光体層4により蛍光に波長変換されることができる青色光LBを発することができれば特に限定されないが、たとえば青色発光ダイオード(青色LED)または青色半導体レーザー(青色LD)が挙げられる。
波長変換部材
図1に示すように、波長変換部材3は、蛍光体層4(波長変換層4)の青色発光素子6側の入射面42に励起光入射部40を有する。
蛍光体層4の反射面46とは蛍光体層4の青色発光素子6側とは反対側の面であり、入射面42と互いに向き合う面である。すなわち、入射面42と反射面46とが、実質的に平行である。なお、「実質的に平行」とは、多少平行ではない部分を有していてもよいという趣旨である。
本実施形態に係る光源装置2は反射型であるため、波長変換部材3は励起光入射部40と光取出し部41とを蛍光体層4の同一面(入射面42)に有する。すなわち、入射面42は出射面でもあり、励起光入射部40は光取出し部41でもある。反射型の光源装置2では反射面46側を放熱に有効利用できるため高輝度を得易いというメリットがある。
また、入射面42のうち励起光入射部40以外の部分と、反射面46の全面と、反射面46および入射面42に対して実質的に垂直な側面48の全面と、は反射層8で覆われている。ここで、「実質的に垂直」とは必ずしも完全に垂直である必要は無く、多少傾いている部分があってもよいという趣旨である。
言い換えると、蛍光体層4の外面(表面)のうち、励起光入射部40(光取出し部41)以外の部分が反射層8で覆われている。
励起光入射部40に対応する蛍光体層4の外面(表面)は制御層10で覆われている。
励起光入射部40の位置および広さは反射層8の開口部80の位置および広さに一致する。同様に、光取出し部41の位置および広さは反射層8の開口部80の位置および広さに一致する。
開口部80の位置および広さは青色光LBの入射角度とスポット径(光束の断面)に合わせて調整することができる。
開口部80の位置および広さと青色光LBが蛍光体層4の表面を照射する位置および広さは概ね一致するが、開口部80の広さは、青色光LBが蛍光体層4の表面を照射する広さより広いことが好ましい。青色光LBのスポット径が0.03mm~0.4mm程度である場合には、開口部80の直径Dは1mm以下であることが好ましく、下限は特に限定されない。なお、開口部80が楕円形状である場合には短径が1mm以下であることが好ましく、下限は特に限定されない。
青色光LBの光速の断面形状は特に限定されず、円形、楕円形または多角形でもよい。また、開口部80の形状も特に限定されず、円形、楕円形または多角形でもよい。
励起光入射部40に対する青色光LBの角度θは特に限定されないが、たとえば20°~45°であり、好ましくは30°~35°である。なお、角度θとは入射面42に平行な角度を0°としたときの角度である。
蛍光体層
本実施形態に係る蛍光体層4の形状は特に限定されず、たとえば平板状、円板状または直方体の柱状などである。
蛍光体層4のサイズは特に限定されず、たとえば幅方向(X0)は1mm~10mm、奥行方法は1mm~10mm、厚み方向(Y0)は0.03mm~1mmである。
本実施形態では、蛍光体層4は元素αと、賦活元素である元素βと、を有する。蛍光体層4の組成は、たとえばα3Al512:βまたはα3(Al,Ga)512:βで表される。
元素αはYおよびLuからなる群から選ばれる少なくとも1つを含み、好ましくはYを含む。元素αが少なくともYを含むことにより、発光特性をより向上させることができる。
元素βはCe、Pr、Sm、Eu、Tb、Dy、TmおよびYbからなる群から選ばれる少なくとも1つである。これにより、発光特性を付与することができる。上記の観点から、元素βは好ましくはCeおよび/またはEuであり、より好ましくはCeである。
元素αおよび元素βの合計含有量に対する前記元素βの含有量の割合を元素β割合とする。また、蛍光体層4全体における元素β割合をAβ(at%)とする。本実施形態では、Aβは0.5<Aβ<2.5の関係を満たすことが好ましく、1.0≦Aβ≦2.0の関係を満たすことがより好ましい。Aβが適度に高いことにより発光効率が向上し、輝度がより向上する他、一方、Aβが適度に低いことにより温度消光を抑制することができ、輝度がより向上する。
なお、蛍光体層4の各成分濃度は、レーザアブレーションICP質量分析(LA-ICP-MS)、電子線マイクロアナライザ(EPMA)、エネルギー分散型分光器(EDX)等で測定できる。
図2は図1のII部の拡大断面図である。図2に示すように、本実施形態に係る蛍光体層4は1以上の「第1蛍光の発光領域44a」と、1以上の「第2蛍光の発光領域44b」と、を有する。
第1蛍光のピーク波長は、青色光LBのピーク波長よりも長く、第2蛍光のピーク波長よりも短い。
具体的には、青色光LBからの変換後の第1蛍光のピーク波長は、好ましくは500nm超585nm未満であり、より好ましくは550nm以上580nm以下である。
また、青色光LBからの変換後の第2蛍光のピーク波長は、好ましくは585nm以上730nm以下であり、より好ましくは600nm以上650nm以下である。
すなわち、第1蛍光の発光領域44aでは、たとえば青色光LBが黄色に近い蛍光に変換され易く、第2蛍光の発光領域44bでは、たとえば青色光LBが赤色に近い蛍光に変換され易い。
本実施形態では、第1蛍光の発光領域44aは元素βの低濃度領域44aであり、第2蛍光の発光領域44bは、低濃度領域44a(第1蛍光の発光領域44a)よりも元素βの濃度の高い高濃度領域44bであってもよい。
図3のx軸は図2に示す本実施形態に係る蛍光体層4のP1を始点としてP4を終点とする線分MLに沿う長さを示し、y軸は元素β割合を示す。P1は励起光入射部40の任意の点でありP4はP1から蛍光体層4の入射面42に垂直な方向に沿う直線上の反射面46における点である。言い換えると、P4はP1から蛍光体層4の厚み方向(Y0方向)に沿う直線上の反射面46における点である。
P1からはP2までは高濃度領域44bの区間を示し、P2からP3までは傾斜濃度領域44cの区間を示し、P3からP4までは低濃度領域44aの区間を示す。
図2および図3に示すように、本実施形態に係る蛍光体層4は高濃度領域44bと低濃度領域44aとの間に高濃度領域44bの濃度から低濃度領域44aの濃度に濃度が連続的に変化している傾斜濃度領域44cを有してもよい。
なお、図3では傾斜濃度領域44cの濃度変化は一次関数的な直線的変化であるが、濃度の変化の連続性の態様はこれに限らず、曲線的変化であってもよい。
蛍光体層4の厚み(Y0)に対する傾斜濃度領域44cの最大厚み(Yc)の比(Yc比)(%)(100×Yc/Y0)は10%~90%であることが好ましい。Yc比が上記の範囲を下回る場合は、後述する第2実施形態のような濃度の異なる蛍光体を貼り合わせたときと演色性が同程度となる。Yc比が上記の範囲内である場合は、Yc比が上記の範囲を下回る場合に比べて演色性がより向上する。
また、Yc比が上記の範囲内である場合は、Yc比が上記の範囲を上回る場合に比べて、高濃度領域44bを十分に確保できることから、演色性がより向上する。
なお、傾斜濃度領域44cの最大厚み(Yc)は、下記の通り測定することができる。まず、Lβの上限である1.8at%の領域を確認して、低濃度領域44aの傾斜濃度領域44c側の境界部を決定する。また、Hβの下限である3.0at%の領域を確認して、高濃度領域44bの傾斜濃度領域44c側の境界部を決定する。そして、低濃度領域44aの傾斜濃度領域44c側の境界部から高濃度領域44bの傾斜濃度領域44c側の境界部までの距離のうち最大の距離を傾斜濃度領域44cの最大厚み(Yc)とすることができる。
図3では低濃度領域44aおよび高濃度領域44bは濃度変化をしていないが、多少濃度変化をしていてもよい。
低濃度領域44aにおける元素β割合をLβ(at%)としたとき、Lβは0.2≦Lβ≦1.8の関係を満たすことが好ましく、0.5≦Lβ≦1.8の関係を満たすことがより好ましい。
高濃度領域44bにおける元素β割合をHβ(at%)としたとき、Hβは3.0≦Hβ≦6.0の関係を満たすことが好ましく、3.0≦Hβ≦4.5の関係を満たすことがより好ましい。
蛍光体層4の断面における高濃度領域44bの面積割合をHS(%)としたとき、HSは10≦HS≦30の関係を満たすことが好ましい。HSが上記の範囲内の場合は上記の範囲を下回る場合に比べて演色性が良好になる。HSが上記の範囲内の場合は上記の範囲を上回る場合に比べて輝度が高くなる。
本実施形態に係る蛍光体層4の結晶状態は特に限定されず、単結晶、共晶、多結晶であってもよく、多結晶であれば、透明セラミックスまたは不透明セラミックスであってもよい。ただし、本実施形態によれば、波長変換部材3が反射層8と制御層10とを備えることにより内面導波した青色光LBおよび蛍光の漏れを防ぐことができることから、蛍光体層4が透明である程、内面導波を抑えることによる発光スポット径の狭小化の効果を得易い。このため、本実施形態に係る蛍光体層4は単結晶または透明セラミックスであることが好ましい。なお、透明セラミックスはたとえば固相焼結法により製造されることができる。透明セラミックスの光学透過率特性(吸収スペクトル)は、単結晶と同等である。
また、上記の通り、蛍光体層4の光の透過率が高いほど、本実施形態の効果を得ることができることから、540nmの波長の光の透過率が70%以上であることが好ましく、75%以上であることがより好ましい。また、540nmの波長の光の透過率が高いと、熱伝導率が高くなり、その結果、温度消光の影響を抑制することができる。
蛍光体層4の光の透過率はたとえば、蛍光体層4の成分、組成および構造に寄与する。蛍光体層4の光の透過率に寄与する構造とは、たとえば緻密さに関する構造であり、空隙や粒界などが含まれていない緻密な構造ほど光の透過率が高くなる傾向にある。
反射層
本実施形態に係る波長変換部材3は蛍光体層4の外面(表面)のうち励起光入射部40(光取出し部41)以外の部分が光を反射する反射層8で覆われている。すなわち入射面42のうち励起光入射部40以外の部分と、反射面46の全面と、側面48の全面と、が反射層8で覆われている。
本実施形態に係る反射層8の厚みは特に限定されないが、蛍光の波長よりも反射層8の厚みが厚いことが好ましい。このため反射層8の厚みは1μm以上であることが好ましく、3μm以上であることがより好ましく、20μm~100μmであることがさらに好ましい。
本実施形態に係る反射層8は特に限定されず、金属膜でもよいし、酸化膜でもよい。たとえば反射層8が金属膜であればその成分はチタンおよび/またはアルミニウムであってもよい。また、たとえば反射層8が酸化膜であればその成分はシリコン、チタン、およびアルミニウムからなる群から選ばれる少なくとも1つの酸化物であってもよい。
制御層
本実施形態に係る蛍光体層4は入射面42の励起光入射部40に対応する部分に制御層10を有する。制御層10は、入射する青色光LB(入射励起光)を透過し、蛍光体層4の内部方向から反射した青色光LB(反射励起光)を再反射する。すなわち、本実施形態では制御層10を介して青色光LBを一方通行にする。
青色光LBは制御層10にて散乱するため、散乱した青色光LBと波長変換後の蛍光とにより、白色光LWが合成される。
本実施形態に係る制御層10の厚みは特に限定されないが、制御層10の厚みが入射する青色光LBの波長の25%であるとき最も効果が高く、制御層10での散乱性がより高くなり、色むらがより改善され、蛍光体層4の内部への青色光LBの取込み量が増えるため輝度がより高くなる傾向となる。また、制御層10の厚みが適度に薄いことにより、入射する青色光LBが制御層10を透過し易くなり、制御層10から波長変換部材3の外側方向(蛍光体層4に向かう方向とは反対の方向)への過度な反射を防ぐことができる他、蛍光体層4を透過して反射層8から反射した青色光LBを再反射し易い。上記の観点から、制御層の厚みは、0.05μm以上0.5μm以下であることが好ましく、0.1μm以上0.15μm以下であることがより好ましい。
本実施形態に係る制御層10の成分は特に限定されないが、酸化ケイ素、酸化ニオブ、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化チタン、酸化タンタル、フッ化マグネシウムからなる群から選ばれる少なくとも1つである。
本実施形態に係る制御層10は誘電体膜であることが好ましい。
制御層10は単層構造でもよいし、多層構造であってもよい。
蛍光体層の製造方法
本実施形態に係る蛍光体層4となる蛍光体の製造方法は特に限定されないが、たとえばチョクラルスキー法、ブリッジマン法、マイクロ引き下げ法(μ-PD法)またはEFG法などが挙げられる。マイクロ引き下げ法により生成されることにより、従来のチョクラルスキー法などにより生成される蛍光体に比べて、賦活元素が所定の濃度分布を有し易い、具体的には低濃度領域44a、傾斜濃度領域44cおよび高濃度領域44bを有し易い傾向となる。このため、本実施形態に係る蛍光体層4はμ-PD法により生成されることが好ましい。
図4に、本実施形態の蛍光体層4となる蛍光体の製造装置であるμ-PD法による単結晶製造装置22の概略断面図を示す。μ-PD法は、試料を入れた坩堝24を直接または間接的に加熱することにより坩堝24内に対象物質の融液を得て、坩堝24の下方に設置した種結晶34を坩堝24下端の開口部へ接触させ、そこで固液界面を形成しつつ種結晶34を引き下げることにより単結晶を成長させる溶融凝固法である。
溶融凝固法においては、温度の高い所に賦活元素が移動しつつ単結晶が成長していく。生成した単結晶から個々の部分を切り出す際に、各切り出し位置において、賦活元素の所定の濃度分布を有する蛍光体が得られる。特にμ-PD法では、種結晶34の引き下げ方向が、蛍光体層4の厚み方向(Y0方向)に一致する。言い換えると、種結晶34の引き下げ方向が蛍光体層4を透過する青色光LBの光路方向と一致する。
図4に示すように、本実施形態に係る蛍光体層4となる蛍光体を製造するための単結晶製造装置22は、開口部が下向きになるように設置してある坩堝24とその周りを覆う耐火材炉26とを備える。耐火材炉26はさらに石英管28により覆われており、石英管28の厚み方向の中央部付近には、坩堝24の加熱のための誘導加熱コイル30が設置されている。
坩堝24の開口部には種結晶保持治具32により保持された種結晶34が設置されている。また、坩堝4の開口部付近にはアフターヒーター36が設置されている。
なお、図示しないが、単結晶製造装置22には、耐火材炉26の内部を減圧する減圧手段、減圧をモニターする圧力測定手段、耐火材炉26の温度を測定する温度測定手段および耐火材炉26の内部に不活性ガスを供給するガス供給手段が設けられている。
種結晶34は単結晶を棒状に切り出した物を使用する。種結晶34は、賦活元素を含まない単結晶が好ましい。
種結晶保持治具32の素材は特に限定されないが、使用温度である1900℃付近において影響の少ない緻密アルミナ等が好ましい。種結晶保持治具32の形状と大きさも特に限定されないが、耐火材炉26に接触しない程度の径である棒状の形状であることが好ましい。
単結晶の融点が高いため、坩堝24およびアフターヒーター36の材質はIr、Mo等が好ましい。また、坩堝24の材質の酸化による単結晶への異物混入を防止するために、坩堝24の材質としてはIrを用いることがより好ましい。なお、1500℃以下の融点の物質を対象とする場合は坩堝24の材質としてPtを使用することが可能である。また、坩堝24の材質としてPtを使用する場合には、大気中での結晶成長が可能である。1500℃を超える高融点物質を対象とする場合は、坩堝24およびアフターヒーター36の材質として、Ir等を用いるため、結晶成長はAr等の不活性ガス雰囲気下でのみ行われる。
坩堝24の開口部の径は単結晶の融液の粘度が低いことや坩堝24との濡れ性の点から、200μm~400μm程度で平らな形状が好ましい。
耐火材炉26の材質は特に限定されないが、保温性や使用温度、結晶への不純物混入防止の観点からアルミナであることが好ましい。
次に、本実施形態に係る蛍光体層4となる蛍光体(単結晶)の製造方法について具体的に説明する。以下では一例として蛍光体4の組成をY3Al512:Ceとした場合、すなわち元素αをYとして元素βをCeとした場合について説明する。
まず、耐火材炉26内部の坩堝24に単結晶の原料であるY23、Al23およびCeO2を入れ、炉内をN2やArなどの不活性ガスで置換する。
次に、不活性ガスを10cm3/min~100cm3/minで流入させながら誘導加熱コイル(加熱用高周波コイル)30で坩堝24を加熱し、原料を溶融して融液を得る。
原料を十分溶融したところで種結晶34を坩堝下部から徐々に近づけ、坩堝24下端の開口部に種結晶34を接触させる。融液が坩堝24下端の開口部から出た所で種結晶34を下降させ、結晶成長を開始させる。
結晶成長速度は固液界面の様子をCCDカメラ、またはサーモカメラで観察しながらマニュアルで温度と共にコントロールする。
誘導加熱コイル30の移動により、温度勾配は10℃/mm~100℃/mmの範囲で選択可能である。また、結晶育成速度(単結晶の成長速度)も0.01mm/min~30mm/minの範囲で選択可能であり、好ましくは0.01mm/min~0.20mm/minである。
なお、結晶育成速度を0.01mm/min~5mm/minの間で速度を徐々に上げるまたは下げることによって傾斜濃度領域44cが形成され易くなり、蛍光体層4における濃度変化を制御し易い。具体的には、結晶育成速度が速い場合には、賦活剤である元素βが拡散し易く偏析が形成されにくい傾向となる。一方、結晶育成速度が遅い場合には元素βの偏析が形成され易い傾向となる。
坩堝24内の融液が出なくなるまで種結晶34を下降させ、坩堝24から種結晶34が離れた後、単結晶にクラックが入らない様に冷却を行う。このように坩堝24とアフターヒーター36以下にかけて急峻な温度勾配とすることで融液の引き出し速度を上げる事が可能となる。
また、本実施形態では、アフターヒーター36により坩堝24以下での温度を制御することにより、賦活元素の所定の濃度分布を有する蛍光体を得ることができる。また、結晶の冷却速度は結晶育成速度に応じて変化する。上記の観点から、坩堝24以下での冷却速度は70℃/時間~300℃/時間であることがより好ましい。
蛍光体層4中の低濃度領域44a、傾斜濃度領域44cおよび高濃度領域44bの分布は、この冷却速度の調整により調整することができる。冷却速度が遅い場合は低濃度領域44aの面積割合が大きくなる傾向となり、冷却速度が速い場合は高濃度領域44bの面積割合が大きくなる傾向となる。
耐火材炉26内部には、上記の結晶成長および冷却の間も、加熱時と同条件で不活性ガスを流入したままにする。炉内雰囲気はN2やAr等の不活性ガスを使用することが好ましい。
得られた蛍光体層4の外面(表面)のうち励起光入射部40以外の部分に反射層8を形成する。すなわち入射面42のうち励起光入射部40以外の部分と、反射面46の全面と、側面48の全面と、に反射層8を形成する。
反射層8の形成方法は特に限定されず、たとえば開口部80に相当する部分をマスキングした上で、真空蒸着法、スパッタリング法、パルスレーザー堆積法(PLD法)、有機金属化学気相成長法(MO-CVD法)、有機金属分解法(MOD法)、ゾル・ゲル法、化学溶液堆積法(CSD法)などにより形成される。
得られた蛍光体層4の励起光入射部40に制御層10を形成する。
制御層10の形成方法は特に限定されず、たとえば真空蒸着法、スパッタリング法、パルスレーザー堆積法(PLD法)、有機金属化学気相成長法(MO-CVD法)、有機金属分解法(MOD法)、ゾル・ゲル法、化学溶液堆積法(CSD法)などが例示される。
上記した製造方法により、本実施形態に係る蛍光体層4を得ることができる。
図5は反射層および制御層を有していない波長変換部材3を含む光源装置2であり、図6は図5のVI部の拡大図である。図6に示すように、青色光LBから変換された蛍光LFはランバーシアン配光により、励起光入射部40を起点として全方向に等方的に放射される。また、図示していないが、波長変換されなかった青色光LBの一部は励起光入射部40で表面散乱を起こし、励起光入射部40を起点として全方向に等方的に放射される。
ランバーシアン配光により蛍光体層4側に放射された蛍光LFは、図6に示すように反射面46と入射面42とで全反射を繰り返す内面導波となり、励起光入射部40から離れた位置にて入射面42(出射面)から蛍光体層4の外側に向かって蛍光LFが出射することがある。
蛍光LFが励起光入射部40から離れた位置から出射することにより、発光スポット径を大きくする原因となったり、イエローリングと呼ばれる色むらの原因となったり、蛍光強度の低下の原因となったりする。
これに対して、本実施形態では、蛍光体層4の外面のうち、励起光入射部40(光取出し部41)以外の部分が光を反射する反射層8で覆われている。これにより、内面導波した蛍光LFが励起光入射部40から離れた位置から蛍光体層4の外側へ漏れ出すことを防ぐことができるため、蛍光LFの発光スポット径を狭小化できる。
また、本実施形態に係る波長変換部材3の蛍光体層4は励起光入射部40に対応する部分に制御層10を有するため蛍光体層4に照射された青色光LBの一部は入射面42の励起光入射部40付近で効率よく散乱される。この散乱された青色光LBが、励起光入射部40付近において波長変換され、同位置から等方的に放射された蛍光と効率よく混合されることで、イエローリングなどの色むらが少ない白色光LWを得ることができる。
さらに、本実施形態によれば、反射層8および制御層10により青色光LBおよび蛍光の漏れを防ぐことができるため、青色光LBが十分に変換できるまで青色光LBを蛍光体層4の内部に留めることができる。これにより、蛍光への変換効率を高めることができることから、蛍光強度が向上し、輝度が向上する。
さらに、本実施形態によれば、反射層8の熱伝導率が高いため温度消光を抑制することができることから、これによっても輝度が向上する。
さらに、入射面42の励起光入射部40以外の部分と、反射面46と、側面48と、からの青色光LBの漏れを防止できることから、蛍光体層4の入射面42の励起光入射部40以外の部分、反射面46または側面48の外側に配置した構造体に対する青色光LBによる劣化を抑制できる。
さらに、制御層10により、励起光入射部40(光取出し部41)から波長変換部材3の外側方向(蛍光体層4と反対方向)に向かう青色光LBの反射を低減できることから、安全性の高い照明にすることができる。
また、本実施形態に係る蛍光体層4は1以上の第1蛍光の発光領域44aと、1以上の第2蛍光の発光領域44bと、を有することが好ましい。
これにより、波長変換部材3の演色性を向上させることができる。「演色性」とは、照明で物体を照らすときに、自然光が当たったときの色をどの程度再現しているかを示す指標である。
自然光は、555nmの波長の発光強度を100%としたとき、400nm~730nmの波長の範囲ではいずれの波長も相対発光強度が50%を超える。これに対して白色蛍光灯は、420nmの波長の発光強度を100%としたとき、特に630nm~730nmの波長の範囲ではいずれの波長も相対発光強度が50%を下回る。630nm~730nmの波長とは、橙色~赤色に視感される波長である。白色蛍光灯では、630nm~730nm付近の高い波長の光の相対発光強度が低いことにより赤色に近い色を再現しにくいことから演色性が乏しいと考えられる。
本実施形態に係る蛍光体層4は、青色光LBからの変換後の蛍光のピーク波長が500nm以上585nm未満である第1蛍光の発光領域44aの他に、青色光LBからの変換後の蛍光のピーク波長が585nm以上730nm以下である第2蛍光の発光領域44bを有する。第1蛍光の発光領域44aでは、たとえば青色光LBが黄色に近い蛍光に変換され易い。第2蛍光の発光領域44bでは、たとえば青色光LBが赤色に近い蛍光に変換され易い。
したがって、本実施形態に係る蛍光体層4では、黄色に近い色に視感される波長の蛍光(第1蛍光)だけでなく、赤色に近い色に視感される波長の蛍光(第2蛍光)を発光することができるため、自然光が当たったときの色の再現性が高い。すなわち、演色性が高い。
また、本実施形態に係る蛍光体層4は第1蛍光の発光領域44aと、第2蛍光の発光領域44bと、を有するため、励起光入射部40から蛍光体層4の内部側に離れた蛍光体層4の内部の深い地点まで青色光LBが入射して、第1蛍光と、第2蛍光とによりバランスよく波長変換されることが好ましい。本実施形態では、励起光入射部40から蛍光体層4の内部方向に離れた蛍光体層4の内部の深い地点まで青色光LBが入射して、反射面46まで達し、さらに多少内面導波が生じたとしても、反射層8および制御層10により青色光LBおよび蛍光の漏れを防ぐことができるため、高い発光効率を維持することができる。
第2実施形態
本実施形態に係る光源装置2は、以下に示す以外は、第1実施形態に係る光源装置2と同様である。
図7に示すように、本実施形態に係る波長変換部材3は、蛍光体層4の入射面42に励起光入射部40を有し、入射面42と互いに向かい合う反射面46に光取出し部41を有する。
すなわち、本実施形態に係る波長変換部材3は透過型である。
本実施形態に係る波長変換部材3では、入射面42側の反射層8に励起光入射開口部80aを有すると共に、反射面46側の反射層8に光取出し開口部80bを有する。
励起光入射部40の位置および広さは反射層8の励起光入射開口部80aの位置および広さに一致する。励起光入射開口部80aの位置および広さは青色光LBのスポット径に合わせて調整することができる。開口部80の位置および広さと青色光LBが蛍光体層4の表面を照射する位置および広さは概ね一致する。
光取出し部41の位置および広さは反射層8の光取出し開口部80bの位置および広さに一致する。光取出し開口部80bの位置および広さは白色光LWの発光位置および輝度に合わせて調整することができる。
第3実施形態
本実施形態に係る光源装置2は、以下に示す以外は、第1実施形態または第2実施形態の光源装置2と同様である。
図9のx軸は図8に示す本実施形態に係る蛍光体層4のP1を始点としてP3を終点とする線分MLに沿う長さを示し、y軸は元素β割合を示す。P1からはP2までは高濃度領域44bの区間を示し、P2からP3までは低濃度領域44aの区間を示す。
図8および図9に示すように、本実施形態に係る蛍光体層4は、傾斜濃度領域44cを有していない。このため、本実施形態に係る蛍光体層4では、高濃度領域44bの濃度から低濃度領域44aの濃度が連続的に変化しておらず、高濃度領域44bと低濃度領域44aの境界部分に不連続面44abを有する。
本実施形態に係る波長変換部材3の製造方法は特に限定されないが、たとえば元素β割合が異なる2つの蛍光体を固相焼結法によりそれぞれ製造し、これらを貼り合わせる方法が挙げられる。具体的には下記の通りである。
23、Al23およびCeO2の原料粉を高濃度領域44bの狙いの組成になるように秤量し、ボールミルで混合する。得られた混合粉をプレス成形して粉末成形体を得る。得られた粉末成形体を気密な材料でできたカプセル内に封入し、脱気した後、熱間静水圧焼結(HIP)法で1500℃~1600℃の温度で焼結させて高濃度領域44bとなる透明セラミックス蛍光体(高濃度領域蛍光体)を得る。HIP法により圧力を等方的に加えながら焼結することにより光を散乱させる要因となる異常粒成長や気孔の残留を防ぐことができるため、透明セラミックス蛍光体が得られ易い。
23、Al23およびCeO2の原料粉を低濃度領域44aの狙いの組成になるように秤量する以外は高濃度領域蛍光体と同様にして低濃度領域44aとなる透明セラミックス蛍光体(低濃度領域蛍光体)を得る。
次いで、高濃度領域蛍光体と、低濃度領域蛍光体とを接合材料を用いて貼り合わせることにより本実施形態に係る蛍光体層4が得られる。接合材料は特に限定されず、たとえば、有機接着剤、銀ペースト、無機バインダーなどの材料を用いることができ、これらは、接合後に固化して接合層(図示せず)となる。
接合層の厚みは極めて薄いことが好ましく、好ましくは0.05μm~100μmである。蛍光体層4の厚み(Y0)に対する接着層の平均厚み(Ya)の比(Ya比)(%)(100×Ya/Y0)は10%未満であることが好ましい。接合層の厚みおよびYa比が上記の範囲であることにより、接着層に対して光が透過し易くなり、なおかつ接着強度が良好となる。
なお、上記では高濃度領域蛍光体および低濃度領域蛍光体を固相焼結法により透明セラミックス蛍光体として得たが、たとえばチョクラルスキー法、ブリッジマン法、マイクロ引き下げ法(μ-PD法)またはEFG法などにより単結晶蛍光体である高濃度領域蛍光体と、単結晶蛍光体である低濃度領域蛍光体と、をそれぞれ製造して、上記の方法により高濃度領域蛍光体と、低濃度領域蛍光体と、を貼り合わせてもよい。
第4実施形態
本実施形態に係る光源装置2は、以下に示す以外は、第1実施形態~第3実施形態のうちの少なくとも1つに係る光源装置2と同様である。本実施形態に係る光源装置2は入射面42に平行な方向(X0方向)に元素βの濃度差を有する。
図11のx軸は図10に示す本実施形態に係る蛍光体層4のP1を始点としてP4を終点とする線分MLに沿う長さを示し、y軸は元素β割合を示す。P1は一の側面48aの任意の点でありP4はP1から蛍光体層4の入射面42に平行であり、一の側面48aに垂直な方向に沿う直線上の他の側面48bにおける点である。言い換えると、P4はP1から蛍光体層4の幅方向(X0方向)に沿う直線上の他の側面48bにおける点である。
P1からはP2までは高濃度領域44bの区間を示し、P2からP3までは傾斜濃度領域44cの区間を示し、P3からP4までは低濃度領域44aの区間を示す。
図10および図11に示すように、本実施形態に係る蛍光体層4は高濃度領域44bと低濃度領域44aとの間に高濃度領域44bの濃度から低濃度領域44aの濃度に濃度が連続的に変化している傾斜濃度領域44cを有している。
なお、図11では傾斜濃度領域44cの濃度変化は一次関数的な直線的変化であるが、濃度の変化の連続性の態様はこれに限らず、曲線的変化であってもよい。また、高濃度領域44bおよび低濃度領域44aは濃度変化をしていないが、多少濃度変化をしていてもよい。
本実施形態に係る蛍光体層4は、たとえばμ-PD法で、種結晶34の引き下げ方向を、蛍光体層4の幅方向(X0方向)に一致させるようにして製造することができる。言い換えると、種結晶34の引き下げ方向の垂直方向が蛍光体層4を透過する青色光LBの光路方向と一致する。
なお、本実施形態に係る蛍光体層4は反射型の波長変換部材3にも、透過型の波長変換部材3にも用いることができるが、反射型の波長変換部材3に用いることが好ましい。
反射型の波長変換部材3は蛍光体層4の入射面42に平行な方向に青色光LBが入り易いため、入射面42に平行な方向に濃度分布があったとしても高濃度領域44bおよび低濃度領域44aに均等に青色光LBが入射し易いためである。
第5実施形態
本実施形態に係る光源装置2は、以下に示す以外は、第1実施形態~第4実施形態のうちの少なくとも1つに係る光源装置2と同様である。
図13のx軸は図12に示す本実施形態に係る蛍光体層4のP1を始点としてP3を終点とする線分MLに沿う長さを示し、y軸は元素β割合を示す。P1は一の側面48aの任意の点でありP3はP1から蛍光体層4の入射面42に平行であり、一の側面48aに垂直な方向に沿う直線上の他の側面48bにおける点である。言い換えると、P3はP1から蛍光体層4の幅方向(X0方向)に沿う直線上の他の側面48bにおける点である。
P1からはP2までは高濃度領域44bの区間を示し、P2からP3までは低濃度領域44aの区間を示す。
図12および図13に示すように、本実施形態に係る蛍光体層4は、傾斜濃度領域44cを有していない。このため、本実施形態に係る蛍光体層4では、高濃度領域44bの濃度から低濃度領域44aの濃度が連続的に変化しておらず、高濃度領域44bと低濃度領域44aの境界部分に不連続面44abを有する。
本実施形態に係る波長変換部材3の製造方法は特に限定されないが、第3実施形態に記載のように高濃度領域蛍光体と、低濃度領域蛍光体と、をそれぞれ製造して、高濃度領域蛍光体と、低濃度領域蛍光体と、を貼り合わせてもよい。
なお、本実施形態に係る蛍光体層4は反射型の波長変換部材3にも、透過型の波長変換部材3にも用いることができるが、反射型の波長変換部材3に用いることが好ましい。
反射型の波長変換部材3は蛍光体層4の入射面42に平行な方向に青色光LBが入り易いため、入射面42に平行な方向に濃度分布があったとしても高濃度領域44bおよび低濃度領域44aに均等に青色光LBが入射し易いためである。
第6実施形態
本実施形態に係る光源装置2は、以下に示す以外は、第1実施形態または第2実施形態に係る光源装置2と同様である。
本実施形態では、第1蛍光の発光領域44aを構成する元素と、第2蛍光の発光領域44bを構成する元素とが異なる。
第1蛍光の発光領域44aを構成する組成としては、黄色に近い蛍光を発光すれば特に限定されず、たとえばα3Al512:Ce、α3(Al,Ga)512:Ce、CaGa24:Eu、Sr2SiO4:Euなどを用いることができる。
第2蛍光の発光領域44bを構成する組成としては、赤色に近い蛍光を発光すれば特に限定されず、たとえば、Y3Al512:Ce,Gd(Y3Al512へのCeおよびGdの共添加)、(Ca,Sr)S:Eu、(Ca,Sr)2Si58:Eu、(Ca,Sr)AlSiN3:Eu、CaSiN2:Eu、Cax(Si,Al)12(O,N)16:Euなどを用いることができる。
上記の組成を有する第1蛍光の発光領域44aとなる蛍光体と第2蛍光の発光領域44bとなる蛍光体とを固相焼結法、チョクラルスキー法、ブリッジマン法、マイクロ引き下げ法(μ-PD法)またはEFG法などによりそれぞれ製造し、第2実施形態に記載の方法により貼り合わせることにより、本実施形態に係る蛍光体層4が得られる。
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々に改変することができる。
第1実施形態~第6実施形態では、蛍光体層4の外面のうち、励起光入射部40および光取出し部41以外の部分が反射層8で覆われているが、蛍光体層4の外面のうち、少なくとも励起光入射部40の周囲および光取出し部41の周囲が反射層8で覆われていてもよい。「励起光入射部40の周囲」の範囲は特に限定されないが、たとえば入射面42の励起光入射部40以外の面積に対して、好ましくは80%~100%、より好ましくは100%を占める面積であり、なおかつ励起光入射部40の周りを囲んでいる領域である。「光取出し部41の周囲」の範囲も特に限定されない。光源装置2が透過型である場合、たとえば反射面46の光取出し部41以外の面積に対して、好ましくは80%~100%、より好ましくは100%を占める面積であり、なおかつ光取出し部41の周りを囲んでいる領域である。
第1実施形態では反射面46に反射層8を直接形成したが、接合層を介して反射面46に反射層8を形成してもよい。接合層は、反射面46および反射層8のいずれとも接合し易い。このため、接合層を介して反射面46に反射層8を形成することにより、蛍光体層4と反射層8との一体性を高めることができる。
第1実施形態および第3実施形態では、蛍光体層4は入射面42側に第2蛍光の発光領域44b(高濃度領域44b)を有し、反射面46側に第1蛍光の発光領域44a(低濃度領域44a)を有しているが、蛍光体層4は入射面42側に第1蛍光の発光領域44a(低濃度領域44a)を有し、反射面46側に第2蛍光の発光領域44b(高濃度領域44b)を有していてもよい。
第1実施形態、第3実施形態~第5実施形態では、蛍光体層4が第1蛍光の発光領域44a(低濃度領域44a)と、第2蛍光の発光領域44b(高濃度領域44b)と、をそれぞれ1箇所ずつ有しているが、蛍光体層4は第1蛍光の発光領域44a(低濃度領域44a)と、第2蛍光の発光領域44b(高濃度領域44b)と、をそれぞれ2箇所以上有していてもよい。また、蛍光体層4は傾斜濃度領域44cも2箇所以上有していてもよい。
さらに、蛍光体層4は第1蛍光の発光領域44a(低濃度領域44a)と、第2蛍光の発光領域44b(高濃度領域44b)と、をそれぞれ無数に有していてもよい。
以下、本発明を、さらに詳細な実施例に基づき説明するが、本発明は、これら実施例に限定されない。
(実験1)
実施例1~実施例4、比較例2および比較例3では、下記の方法により波長変換部材3を製造して、「540nm透過率」、「発光スポット径の半値幅」および「相対蛍光強度のピーク」の測定を行い、「白色光の均質性評価」および「演色性評価」を行った。
出発原料としてY23、Al23およびCeO2を準備し、焼成後の組成が[Y[1-(Aβ/100)]Ce(Aβ/100)3Al512を満たすように秤量した。秤量した出発原料をボールミルで混合して混合粉を得た。得られた混合粉をプレス成形して粉末成形体を得た。得られた粉末成形体を気密な材料でできたカプセル内に封入し、脱気した後、HIP法で1500℃~1600℃の温度で焼結させて、蛍光体層4となる透明セラミックス蛍光体を得た。透明セラミックス蛍光体のサイズは2.5mm角、厚み(Y0方向)1mmであった。
蛍光体層4の各面のうち励起光入射開口部80aとなる部分および光取出し開口部80bとなる部分に開口部用マスキングをして、蛍光体層4の開口部用マスキングをしている部分以外の外面に対して真空蒸着により反射層8を形成した。反射層8の成分はアルミニウムとした。各実施例および比較例の反射層8の厚みを表1に示す。
励起光入射開口部80aに相当する部分の開口部用マスキングのみを取り除き、反射層8の表面にもマスキングをして、励起光入射開口部8aに対して真空蒸着により制御層10を形成した。制御層10の成分は酸化アルミニウムとした。各実施例および比較例の制御層10の厚みを表1に示す。マスキングを取り除くことにより透過型の波長変換部材3を得た。
540nm透過率
蛍光体層4に対して波長540nmの光の透過率を分光光度計(メーカー:島津製作所、型番:UV‐2550)を用いて測定した。結果を表1に示す。
発光スポット径の半値幅(Spot FWHM)および相対蛍光強度
得られた反射型波長変換部材に対して、図14に示す装置を用いて青色レーザー光LBを照射した。具体的には、青色レーザー光源6から出射された断面が楕円形の青色レーザー光LBをアナモルフィックプリズムペア122によりほぼ断面が円形の光線に変換した。
次いで青色レーザー光LBをアイソレーター124に透過させた。アイソレーター124では、順方向に進む光のみ透過し、逆方向に進む光を遮断した。
次いで青色レーザー光LBをビームエキスパンダー126に透過させて光の断面積を拡張させた。
次いで青色レーザー光LBをNDフィルター128に透過させて減光させた。
次いで青色レーザー光LBをλ/2板130に透過させて入射直線偏光を回転させた。
次いでダイクロイックミラー132により青色レーザー光LBを反射させてφ300μm、波長460nmの青色レーザー光LBを波長変換部材3に入射させた。蛍光体層4に入射した青色レーザー光LBを蛍光LFに変換させて、波長変換部材3を透過させた後、波長変換部材3の反射面46側の外側に据えられたミラー131により反射させて再度波長変換部材3を透過させてダイクロイックミラー132に向かって反射させた。ダイクロイックミラー132は蛍光LFのみ透過し青色レーザー光LBは透過しないため、CCDカメラ134では蛍光LFのみを撮影することができる。
実施例1に関してCCDカメラ134で受光した蛍光LFの写真を図15に示す。さらに図15に関して、図16に示すグラフを作成した。図16は図15に示す発光スポット径の略中心部を通る線分上の各位置における相対蛍光強度を示している。すなわち、該線分上の始点から各測定点までの長さ[mm]を横軸(x1)で表し、各測定点における相対蛍光強度を縦軸(y1)で表している。なお、「相対蛍光強度」とは、比較例1の蛍光強度のピーク値を100としたときの相対値(%)である。
図16のグラフの半値幅を「発光スポット径の半値幅(Spot FWHM)」とした。また、図16のグラフの相対蛍光強度のピークを「相対蛍光強度ピーク」とした。同様にして、実施例2~実施例4、比較例2および比較例3の「発光スポット径の半値幅」および「相対蛍光強度ピーク」を求めた。
白色光の均質性評価および演色性評価
得られた透過型波長変換部材3に対して、図17に示す装置を用いて青色レーザー光LBを照射した。具体的には、青色レーザー光源6から480nmの青色レーザー光LBを波長変換部材3に入射させた。蛍光体層4に入射した青色レーザー光LBは蛍光LFに変換された。変換された蛍光LFのu’、変換された蛍光LFの中央付近のν’(ν’w)および変換された蛍光LFの周縁付近のν’(ν’y)を二軸型検出器136により検出した。結果を表1に示す。なお、「u'」とは、CIE1976色度図上の「u’」であり、「ν‘」とはCIE1976色度図上の「ν’」である。
ν'wおよび ν'yが「0.45≦ν'w≦ν'y≦0.54」を満たす場合は、白色光の均質性が良好である、すなわち白色光の色むらが抑えられていると判断した。また、ν'wおよび ν'yが「0.47≦ν'w≦ν'y≦0.50」を満たす場合は、白色光の均質性がより良好である、すなわち白色光の色むらがより抑えられていると判断した。
また、ν'wおよび ν'yが「0.45≦ν'w≦ ν'y ≦0.54」を満たし、なおかつu'が「2.00≦u‘≦2.50」を満たす場合は、演色性が良好であると判断した。また、ν'wおよび ν'yが「0.45≦ν'w≦ ν'y ≦0.54」を満たし、なおかつu'が「2.22≦u‘≦2.43」を満たす場合は、演色性がより良好であると判断した。さらに、ν'wおよび ν'yが「0.45≦ν'w≦ ν'y ≦0.54」を満たし、なおかつu'が「2.25≦u‘≦2.40」を満たす場合は、演色性がさらに良好であると判断した。
(実験2)
比較例1では、下記の方法により不透明セラミックス蛍光体を製造して蛍光体層4とした以外は実験1と同様にして、波長変換部材3を製造して、「540nm透過率」、「発光スポット径の半値幅」および「相対蛍光強度のピーク」の測定を行い、「白色光の均質性評価」および「演色性評価」を行った。
出発原料としてY23、Al23およびCeO2を準備し、焼成後の組成が[Y[1-(Aβ/100)]Ce(Aβ/100)3Al512を満たすように秤量した。秤量した出発原料をボールミルで混合して混合粉を得た。得られた混合粉を140MPaのCIP圧力でディスク状に成形後、1750℃で無圧下において真空焼成を行って、蛍光体層4となる不透明セラミックス蛍光体を得た。
(実験3)
実施例5~実施例8および実施例10~実施例16では、下記の方法によりCeの濃度が異なる2種類の透明セラミックス蛍光体を製造し、貼り合わせることにより、図8に示す蛍光体層4として、波長変換部材3を製造した以外は、実験1と同様にして、「540nm透過率」、「発光スポット径の半値幅」および「相対蛍光強度のピーク」の測定を行い、「白色光の均質性評価」および「演色性評価」を行った。
出発原料としてY23、Al23およびCeO2を準備し、焼成後の組成が[Y[1-(Hβ/100)]Ce(Hβ/100)3Al512を満たすように秤量した。秤量した出発原料をボールミルで混合して混合粉を得た。得られた混合粉をプレス成形して粉末成形体を得た。得られた粉末成形体を気密な材料でできたカプセル内に封入し、脱気した後、HIP法で1500℃~1600℃の温度で焼結させて、高濃度領域44bとなる透明セラミックス蛍光体(高濃度領域蛍光体)を得た。高濃度領域蛍光体のサイズは2.5mm角、厚み(Y0方向)0.5mmであった。
焼成後の組成が[Y[1-(Lβ/100)]Ce(Lβ/100)3Al512を満たすように秤量した以外は、高濃度領域蛍光体と同様にして、低濃度領域44aとなる透明セラミックス蛍光体(低濃度領域蛍光体)を得た。低濃度領域蛍光体のサイズは2.5mm角、厚み(Y0方向)0.5mmであった。
次いで、高濃度領域蛍光体と、低濃度領域蛍光体とを有機接着材を極めて薄く用いて貼り合わせることにより蛍光体層4を得た。
蛍光体層4の各面のうち、高濃度領域44bのみの面の励起光入射開口部80aとなる部分および低濃度領域44aのみの面の光取出し開口部80bとなる部分に開口部用マスキングをして、蛍光体層4の開口部用マスキングをしている部分以外の外面に対して真空蒸着により反射層8を形成した。反射層8の成分はアルミニウムとした。各実施例の反射層8の厚みを表1に示す。
励起光入射開口部80aに相当する部分の開口部用マスキングのみを取り除き、反射層8の部分にもマスキングをして、励起光入射開口部8aに対して真空蒸着により制御層10を形成した。制御層10の成分は酸化アルミニウムとした。各実施例の制御層10の厚みを表1に示す。マスキングを取り除くことにより透過型の波長変換部材3を得た。
(実験4)
実施例9では、下記の方法により傾斜濃度領域44cを有する蛍光体層4を得た以外は実験1と同様にして、「540nm透過率」、「発光スポット径の半値幅」および「相対蛍光強度のピーク」の測定を行い、「白色光の均質性評価」および「演色性評価」を行った。
出発原料としてY23、Al23およびCeO2を準備し、結晶化後の組成が{Y(1-Aβ/100)CeAβ/1003Al512を満たし、なおかつY23、Al23およびCeO2が合計で2gになるように秤量した。内径16mmのIr製の坩堝にY23、Al23およびCeO2を投入した。
次に、原料を投入した坩堝24を耐火材炉26に投入し、耐火材炉26内の雰囲気をN2に置換し、常圧に維持したままN2ガスを50cm3/minの流量でフローを行った。
その後、坩堝24の加熱を開始しYAG単結晶の融点に達するまで1時間かけて徐々に加熱した。
YAG単結晶を種結晶として用い、種結晶の先端を坩堝24下端の開口部に接触させて、開口部から融液が出るまで温度を徐々に上昇させた。
坩堝24端の開口部から融液が出たことを確認したのち、種結晶34を徐々に降下させながら結晶育成を開始した。
この際、傾斜濃度領域44cを作るために、0.01mm/minから0.5mm/minへ徐々に結晶育成速度を速めながら結晶成長させた。
育成の際、急冷を防ぐ目的で、坩堝24下部にアフターヒーター36を設置した。結晶の冷却速度が300℃/時間になるように調整した。
上記の方法により得られた単結晶はCeの偏析が生じているため、低濃度領域44a、傾斜濃度領域44cおよび高濃度領域44bと、が図2に示すように分布している箇所を切り取り、蛍光体層4を得た。LβおよびHβを表1に示す。また、LA‐ICP分析により、濃度変化が連続であることを確認した。なお、LS(%)(蛍光体層4の断面における低濃度領域44aの面積割合)は30%であり、HS(%)(蛍光体層4の断面における高濃度領域44bの面積割合)は10%であり、Yc比(蛍光体層4の厚み(Y0)に対する傾斜濃度領域44cの最大厚み(Yc)の比)は60%であった。
Figure 2023137938000002
表1より、反射層および制御層を有する場合(実施例1~実施例16)は、反射層または制御層のうち少なくとも一方を有していない場合(比較例1~比較例3)に比べて、白色光の均質性が良好であることが確認できた。
表1より、反射層を有する場合(実施例1~実施例16)は、反射層を有していない場合(比較例1および比較例2)に比べて発光スポット径の半値幅が狭小化でき、相対蛍光強度ピークが高いことが確認できた。
表1より、低濃度領域と、高濃度領域と、を有する場合(実施例5~実施例16)は、低濃度領域と、高濃度領域と、を有していない場合(比較例1~比較例3、実施例1~実施例4)に比べて演色性が良好であることが確認できた。
表1より、LβおよびHβ以外の条件が共通している実施例5~実施例8を比較すると、Lβが0.2≦Lβ≦1.8の関係を満たし、Hβが3.0≦Hβ≦6.0の関係を満たす場合(実施例6および実施例7)は、Lβが0.2≦Lβ≦1.8の関係を満たしておらず、Hβが3.0≦Hβ≦6.0の関係を満たしていない場合(実施例5および実施例8)に比べて、演色性が良好であることが確認できた。
表1より、傾斜濃度領域44cの有無以外の条件が共通している実施例7と実施例9とを比較すると、傾斜濃度領域44cを有している場合(実施例9)は、傾斜濃度領域44cを有していない場合(実施例7)に比べて、演色性が良好であることが確認できた。
表1より、反射層8の厚み以外の条件が共通している実施例10と実施例11とを比較すると、反射層8の厚みが1.0μmである実施例11は反射層8の厚みが0.5μmである実施例10に比べて、発光スポット径の半値幅をより狭小化でき、白色光の均質性が良好であり、相対蛍光強度ピークが高いことが確認できた。実施例11では蛍光の波長に対して反射層8の厚みが十分に厚いため、十分に光を反射させることができたと考えられる。その結果、実施例11では、十分に内面導波を抑えることができ、蛍光の漏れを抑制できたと考えられる。
表1より、制御層10の厚み以外の条件が共通している実施例14と実施例15とを比較すると、制御層10の厚みが0.1μmである実施例15は制御層10の厚みが0.03μmである実施例14に比べて、白色光の均質性が良好であり、相対蛍光強度ピークが高いことが確認できた。実施施例15では蛍光の波長に対して制御層10の厚みが十分に厚いため、散乱性が高くなることから白色光の均質性がより良好となり、相対蛍光強度ピークがより高くなったと考えられる。
表1より、制御層10の厚み以外の条件が共通している実施例15と実施例16とを比較すると、制御層10の厚みが0.1μmである実施例15は制御層10の厚みが0.48μmである実施例16に比べて、白色光の均質性が良好であり、相対蛍光強度ピークが高いことが確認できた。実施施例15では蛍光の波長に対して制御層10の厚みが適度に薄いため、青色光LBが蛍光体層4の内部に十分に入射することができるため、より蛍光を発生させることができたと考えられる。
(実験5)
蛍光体層4の各面のうち低濃度領域44aのみの面に励起光入射開口部80aを設け、高濃度領域44bのみの面に光取出し開口部80bを設けた以外は実施例7と同様にして製造した波長変換部材3の「発光スポット径の半値幅」、「相対蛍光強度のピーク」、「白色光の均質性評価」および「演色性評価」の結果は実施例7と同じであった。
2… 光源装置
3… 波長変換部材
4… 蛍光体層(波長変換層)
40… 励起光入射部
41… 光取出し部
42… 入射面
44a… 第1蛍光の発光領域(低濃度領域)
44b… 第2蛍光の発光領域(高濃度領域)
44c… 傾斜濃度領域
46… 反射面
48… 側面
48a… 一の側面
48b… 他の側面
6… 青色発光素子,青色レーザー光源
8… 反射層
80… 開口部
80a… 励起光入射開口部
80b… 光取出し開口部
10… 制御層
22… 単結晶製造装置
24… 坩堝
26… 耐火材炉
28… 石英管
30… 誘導加熱コイル
32… 種結晶保持治具
34… 種結晶
36… アフターヒーター
122… アナモルフィックプリズムペア
124… アイソレーター
126… ビームエキスパンダー
128… NDフィルター
130… λ/2板
131… ミラー
132… ダイクロイックミラー
134… CCDカメラ
136… 二軸型検出器
LB… 励起光,青色光,青色レーザー光
LF… 蛍光
LW… 白色光

Claims (14)

  1. 励起光の波長を変換する波長変換層を有する波長変換部材であって、
    前記波長変換層の外面のうち、少なくとも励起光入射部の周囲および光取出し部の周囲が、前記励起光および波長変換された光を反射する反射層で覆われており、
    前記励起光入射部に対応する前記波長変換層の外面は制御層で覆われており、
    前記制御層は、入射した励起光を透過させ、前記波長変換層の内部で反射した励起光を再反射する波長変換部材。
  2. 前記波長変換層の外面のうち、前記励起光入射部および前記光取出し部以外の部分が前記反射層で覆われている請求項1に記載の波長変換部材。
  3. 前記波長変換層は、1以上の前記励起光よりも波長が長い第1蛍光の発光領域と、前記第1蛍光よりもさらに波長が長い第2蛍光の発光領域と、を有する請求項1または2に記載の波長変換部材。
  4. 前記第1蛍光の発光領域は、賦活元素の低濃度領域であり、
    前記第2蛍光の発光領域は、前記低濃度領域よりも賦活元素の濃度の高い高濃度領域である請求項3に記載の波長変換部材。
  5. 前記低濃度領域における前記賦活元素の濃度と、前記高濃度領域における前記賦活元素の濃度とは、連続的に変化している請求項4に記載の波長変換部材。
  6. 前記波長変換層は元素αと、前記賦活元素である元素βと、を有し、
    前記元素αはYおよびLuからなる群から選ばれる少なくとも1つを含み、
    前記元素βはCe、Pr、Sm、Eu、Tb、Dy、TmおよびYbからなる群から選ばれる少なくとも1つを含む請求項4または5に記載の波長変換部材。
  7. 前記元素αおよび前記元素βの合計含有量に対する前記元素βの含有量の割合を元素β割合とし、
    前記低濃度領域における元素β割合をLβ(at%)とし、
    前記高濃度領域における元素β割合をHβ(at%)としたとき、
    前記Lβは0.2≦Lβ≦1.8の関係を満たし、
    前記Hβは3.0≦Hβ≦6.0の関係を満たす請求項6に記載の波長変換部材。
  8. 前記反射層の厚みは1μm以上である請求項1~7のいずれかに記載の波長変換部材。
  9. 前記制御層は0.05μm以上0.5μm以下である請求項1~8のいずれかに記載の波長変換部材。
  10. 前記制御層は誘電体膜である請求項1~9のいずれかに記載の波長変換部材。
  11. 前記波長変換層は540nmのピーク波長を有する光に対する透過率が70%以上である請求項1~10のいずれかに記載の波長変換部材。
  12. 前記波長変換部材は前記励起光入射部と前記光取出し部とを前記波長変換層の同一面に有する請求項1~11のいずれかに記載の波長変換部材。
  13. 前記波長変換部材は、前記波長変換層の互いに向かい合う一対の面において、一方の面に前記励起光入射部を有し、他方の面に前記光取出し部を有する請求項1~12のいずれかに記載の波長変換部材。
  14. 請求項1~13のいずれかに記載の波長変換部材と、青色発光素子と、を有し、
    前記青色発光素子は、青色発光ダイオードおよび青色半導体レーザーから選ばれる少なくともいずれか一方である光源装置。
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