JP2023137414A - 回転電機用ステータ製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】液状樹脂材料を硬化させる際に生じうる硬化途中の液状樹脂材料に起因した不都合を低減する。【解決手段】ワークを形成する装着工程と、装着工程の後に、ワークにおける軸方向一端側において、一のコイル片と他の一のコイル片のそれぞれの先端部同士を接合する接合工程と、接合工程の後に、ワークにおける先端部同士の接合箇所を含む含浸対象部位に、液状樹脂材料を含浸させる含浸工程と、含浸工程の後に、含浸対象部位の軸方向端面に対して液状樹脂材料の樹脂硬化処理を行う端面硬化工程と、端面硬化工程の後に、ワークの全体における液状樹脂材料を硬化させる全体硬化工程とを含み、全体硬化工程の間の少なくとも一部の期間において、ワークを含浸対象部位が下側を向く下向き姿勢に維持する、回転電機用ステータ製造方法が開示される。【選択図】図1

Description

本開示は、回転電機用ステータ製造方法に関する。
ステータコアにステータコイルを形成する複数のコイル片を装着した回転電機用のワークを準備し、ワークにおける軸方向一端側において複数のコイル片の先端部同士を接合し、当該接合部(導体露出部)を含む含浸対象部位に液状樹脂材料を含浸させた後、液状樹脂材料を硬化させることで、接合部を樹脂材料の絶縁被覆により覆う回転電機用ステータ製造方法が知られている。この種の製造方法において、含浸対象部位に含浸させた液状樹脂材料に紫外線を照射して照射部を硬化させてから、加熱により液状樹脂材料を完全に硬化させる技術が提案されている。
特開2016-124878号公報
しかしながら、上記のような従来技術では、加熱により液状樹脂材料を完全に硬化させる際に、完全に硬化する前の硬化途中の液状樹脂材料が、自重により、下方へと垂れることで、各種不都合が生じるおそれがある。例えば、加熱により液状樹脂材料を完全に硬化させる際のワークの姿勢が、接合部が上側になる姿勢である場合、完全に硬化する前の硬化途中の液状樹脂材料が、自重により、ステータコアまで下方へと垂れうる。この場合、ステータコアに付着した液状樹脂材料はスクレーパ等で別途除去する必要がある。
そこで、1つの側面では、本開示は、液状樹脂材料を硬化させる際に生じうる硬化途中の液状樹脂材料に起因した不都合を低減することを目的とする。
1つの側面では、ステータコアにステータコイルを形成する複数のコイル片を装着してワークを形成する装着工程と、
前記装着工程の後に、前記ワークにおける軸方向一端側において、一の前記コイル片と他の一の前記コイル片のそれぞれの先端部同士を接合する接合工程と、
前記接合工程の後に、前記ワークにおける前記先端部同士の接合箇所を含む含浸対象部位に、液状樹脂材料を含浸させる含浸工程と、
前記含浸工程の後に、前記含浸対象部位の軸方向端面に対して液状樹脂材料の樹脂硬化処理を行う端面硬化工程と、
前記端面硬化工程の後に、前記ワークの全体における液状樹脂材料を硬化させる全体硬化工程とを含み、
前記全体硬化工程の間の少なくとも一部の期間において、前記ワークを前記含浸対象部位が下側を向く下向き姿勢に維持する、回転電機用ステータ製造方法が提供される。
1つの側面では、本開示によれば、液状樹脂材料を硬化させる際に生じうる硬化途中の液状樹脂材料に起因した不都合を低減することが可能となる。
回転電機用ステータ製造方法の一例を示す概略的なフローチャートである。 回転電機用ステータを形成するためのワークの全体を模式的に示す図である。 ステータコアにコイル片が組み付けられた状態のワークの軸方向に沿った断面図である。 一のコイル片の正面図である。 コイル片の概略的な断面図である。 接合部の説明図であり、図2のQ1部の拡大図に対応する。 液状樹脂材料の槽に浸漬される前のワークを側面視で模式的に示す図である。 液状樹脂材料の槽に浸漬された状態のワークを側面視で模式的に示す図である。 引き上げ工程でのワークの状態を側面視で模式的に示す図である。 外径側樹脂硬化工程の外径側樹脂硬化処理を受けるワークの状態を側面視で模式的に示す図である。 外径側樹脂硬化処理の後の上下反転工程で上向き姿勢とされたワークを側面視で模式的に示す図である。 ワークを上下反転させる際の好ましい回転軸の説明図である。 比較例による回転軸の説明図である。 上面樹脂硬化工程の上面樹脂硬化処理を受けるワークの状態を側面視で模式的に示す図である。 内径側樹脂硬化工程の内径側樹脂硬化処理を受けるワークの状態を側面視で模式的に示す図である。 2回目の浸漬工程を受ける直前の下向き姿勢のワークの状態を側面視で模式的に示す図である。 2回目の絶縁被覆工程が終了した後の上向き姿勢のワークを模式的に示す図である。 加熱工程でのワークの状態を側面視で模式的に示す図である。 加熱工程での効果の説明図である。 冷却構造の一例を模式的に示す図である。
以下、添付図面を参照しながら各実施例について詳細に説明する。なお、図面の寸法比率はあくまでも一例であり、これに限定されるものではなく、また、図面内の形状等は、説明の都合上、部分的に誇張している場合がある。
以下で説明する回転電機用ステータ製造方法は、コイルエンド部においてコイル片の接合部を有する限り任意の回転電機用ステータに適用可能である。以下では、好適な適用例として、車両の推進力を発生する動力源として機能できる回転電機用ステータ製造方法について説明する。
図1は、回転電機用ステータ製造方法の一例を示す概略的なフローチャートである。なお、図1は、概略的な流れを示すフローチャートであり、更なる追加の工程を任意の段階で含んでもよい。図2から図6は、ワークWの説明図である。図2は、回転電機用ステータ10を形成するためのステータコア112及びステータコイル114を備えるワークWの全体を模式的に示す図である。図3は、ステータコア112にコイル片52が組み付けられた状態のワークWの軸方向に沿った断面図である。図4は、複数のコイル片52のうちの、一のコイル片52の正面図である。図5は、コイル片52の概略的な断面図である。図6は、接合部400の説明図であり、図2のQ1部の拡大図に対応する。図7から図18は、本製造方法の説明図であり、図7から図11、図13から図18は、各工程でのワークWの状態等を側面視で模式的に示す図である。図12は、ワークWを上下反転させる際の好ましい回転軸I1の説明図である。図12には、製造装置の一部のワーク把持部1000が模式的に示されている。図12Aは、比較例による回転軸I2の説明図である。
図2等には、Z方向が示されている。Z方向は、上下方向に対応し、Z1側及びZ2側は、それぞれ、上側と下側に対応する。また、図3等には、Y方向が示されている。Y方向は、径方向に対応し、Y1側が径方向外側に対応し、Y2側が径方向内側(ステータコア112の中心軸Iに近い側)を表す。
以下の説明において、特に言及しない限り、軸方向とは、ステータコア112の中心軸I(=ワークWの中心軸)が延在する方向を指し、径方向とは、中心軸Iを中心とした径方向を指す。従って、径方向外側とは、中心軸Iから離れる側を指し、径方向内側とは、中心軸Iに近い側を指す。また、軸方向外側とは、ステータコア112の軸方向の中心から離れる側を指し、軸方向内側とは、ステータコア112の軸方向の中心に近い側を指す。また、周方向とは、中心軸Iまわりの回転方向に対応する。
本製造方法は、まず、ステータコア112にステータコイル114を形成する複数のコイル片52を装着して組立体(以下、「ワークW」とも称する)を形成する装着工程(ステップS200)を含む。
ここで、ステータコイル114は、U相コイル、V相コイル、及びW相コイル(以下、U、V、Wを区別しない場合は「相コイル」と称する)を含む。各相コイルの基端は、入力端子(図示せず)に接続されており、各相コイルの末端は、他の相コイルの末端に接続されて中性点を形成する。すなわち、ステータコイル114は、スター結線される。ただし、ステータコイル114の結線態様は、必要とするモータ特性等に応じて、適宜、変更してもよく、例えば、ステータコイル114は、スター結線に代えて、デルタ結線されてもよい。
ステータコイル114の各相コイルは、複数のコイル片52を結合して構成される。コイル片52は、相コイルを、組み付けやすい単位(例えば2つのスロット23に挿入される単位)で分割したセグメントコイル(セグメント導体)の形態である。コイル片52は、図5に示すように、断面略矩形の線状導体(平角線)120を、絶縁膜130で被覆してなる。ここでは、線状導体は、一例として、銅により形成される。ただし、変形例では、線状導体は、鉄のような他の導体材料により形成されてもよい。また、線状導体の断面形状は、矩形以外であってもよい。
図4に示す例では、一のコイル片52は、一対の直線状のスロット収容部50と、当該一対のスロット収容部50を連結する渡り部54と、を有した略U字状に成形されてよい。軸方向の他方側(図4の上側)の渡り部54は、図4に示す状態から、周方向に成形することで形成されてよい。軸方向の他方側(図4の上側)の渡り部54の端部には、他のコイル片52の渡り部54の結合部40と結合される結合部40が設定される。なお、結合部40は、絶縁膜130が除去された部位(すなわち線状導体に係る導体部が露出した部位)である。
コイル片52をステータコア112に組み付ける際、一対のスロット収容部50は、それぞれ、ティース22間のスロット23に挿入される(図3参照)。この場合、コイル片52は、例えば軸方向に組み付けることができる。
一のスロット23には、図4に示すコイル片52のスロット収容部50が複数、径方向に並んで挿入される。従って、ステータコア112の軸方向の両端には、周方向に延びる渡り部54が複数、径方向に並ぶ。なお、渡り部54(及びその一部である結合部40)は、ステータコア112の軸方向端面から軸方向外側に突出する部位であるコイルエンド部114Aを形成する。
なお、コイル片52は、例えば、重ね巻の形態でステータコア112に巻装されてよい。図4に示す例では、下側の渡り部54は、径方向に1層分だけ互いに離間する方向にオフセットするオフセット部521Bを有してよい。上側の渡り部54も、同様のオフセット部521Aを有してよい。
なお、図2~図5では、特定の構造のステータコア112及びステータコイル114が示されるが、ステータコア112及びステータコイル114の構造は、ステータコイル114が結合部40を有する限り、任意である。また、ステータコイル114の巻き方も任意であり、波巻の形態等のような、上述したような重ね巻の形態以外の巻き方であってもよい。
ついで、本製造方法は、ワークWにおける軸方向一端側において、一のコイル片52と他の一のコイル片52のそれぞれの先端部である結合部40同士を接合する接合工程(ステップS202)を含む。結合部40同士は、重ね合わせられ、互いに対向する側が接合されてよい。結合部40同士の接合方法は、任意であるが、例えば溶接が利用されてもよい。この場合、溶接は、レーザ溶接やTIG溶接のような任意の方法で実現されてよい。図6には、径方向に重ねられた2つの結合部40に形成された溶接箇所401(接合箇所)を含む接合部400が模式的に示されている。
例えば、複数のコイル片52が、ステータコア112の各スロット23に4つ以上、径方向に重なる態様で装着されている場合、接合工程は、径方向で隣接する2つの結合部40(先端部)同士を一の組として、径方向で複数組を接合してよい。
なお、結合部40同士の接合範囲や、接合する際の結合部40同士の姿勢(重ね合わせる際の姿勢)等は、任意である。例えば、図6では、結合部40同士は、上下方向に直立して径方向に重ね合わせられているが、径方向に視てX字状に交差する態様で重ね合わせられてもよいし、斜め方向の姿勢で結合部40同士だけが径方向に重ね合わせられてもよい。また、結合部40同士は、径方向に延在する姿勢で、軸方向に重ね合わせられてもよい。
接合工程では、コイル片52同士の接合だけでなく、コイル片52とバスバーや端子台(図示しないインバータとの接続用の出力バスバー)との間の接合が実現されてもよい。図2には、かかるバスバーの一例として、中性点バスバー59が概略的に示されている。中性点バスバー59は、上述した中性点を形成するバスバーである。
本実施例では、一例として、ステータコア112の軸方向一方側だけに接合部400を有する。以下では、区別のため、ステータコア112の軸方向両側(又はワークWの軸方向両側)のうちの、接合部400を有する側を、リード側とも称する。なお、変形例では、ステータコア112の軸方向両側に接合部400が設定されてもよい。
ついで、本製造方法は、ワークWを絶縁被覆工程用の開始位置(ワーク搬入位置)にセットする(ステップS204)。この際、ワークWは、リード側が上側になる姿勢(すなわち接合部400が上側になる姿勢)でセットされてよい。以下、このようにリード側が上側になる姿勢を、「ワークWの上向き姿勢」とも称する。
ついで、本製造方法は、絶縁被覆工程の最初の工程として、ワークWの姿勢を上下反転させる上下反転工程(ステップS206)を含む。すなわち、ワークWは、リード側が下側になる姿勢(すなわち接合部400が下側になる姿勢)へと、上下反転される。以下、このようにリード側が下側になる姿勢を、「ワークWの下向き姿勢」とも称する。ワークWの姿勢の上下反転は、図示しない製造装置(例えばワークWを掴むハンドを有する多関節ロボット)により実現されてもよい。
ついで、本製造方法は、ワークWを、液状樹脂材料M0の槽600に浸漬する浸漬工程(ステップS208)を含む。図7は、液状樹脂材料M0の槽600に浸漬される前のワークWを側面視で模式的に示す図であり、図8は、液状樹脂材料M0の槽600に浸漬された状態のワークWを側面視で模式的に示す図である。本実施例では、液状樹脂材料M0は、好ましい例として、加熱により硬化する特性とともに、紫外線を照射すると重合反応により硬化する特性を有する樹脂材料である。なお、槽600は、上面視で、円環状の含浸対象部位に対応した円環状の形態を有してよい。
浸漬工程は、ワークWが下向き姿勢を維持したまま、ワークWの軸方向端部(下向き姿勢で下側の端部)の含浸対象部位が液状樹脂材料M0に浸かるように(すなわち、液状樹脂材料M0の液面よりも下方に位置するように)実行される。ワークWの含浸対象部位は、ワークWのうちの複数のコイル片52の部位に設定される。具体的には、ワークWの含浸対象部位は、複数のコイル片52のうちの、軸方向端部(リード側端部)であり、接合部400を含む。より具体的には、ワークWの含浸対象部位は、ワークWの各コイル片52のうちの、導体(線状導体に係る導体部)が露出している部分(接合部400を含む部分)を含む。含浸対象部位は、軸方向に視て、中心軸Iまわりの環状の形態であり、コイルエンド部114Aの一部(軸方向端部側の一部)を含む。
なお、本実施例では、後述するように、一のワークWに対して浸漬工程が2回実行される。この場合、各浸漬工程におけるワークWの含浸対象部位は、完全に同じであってもよいし、後述するように、部分的に異なってもよい。
浸漬工程では、ワークWは、図示しない製造装置(例えばワークWを掴むハンドを有する多関節ロボット)により下向き姿勢での浸漬状態が一定時間維持されてよい。
ついで、本製造方法は、ワークWを槽600から引き上げる引き上げ工程(ステップS210)を含む。ワークWの引き上げは、図示しない製造装置(例えばワークWを掴むハンドを有する多関節ロボット)により実現されてよい。図9には、引き上げた後の下向き姿勢のワークWが模式的に示されている。引き上げた後の下向き姿勢のワークWは、軸方向端部(下向き姿勢で下側の端部)の含浸対象部位に、液状樹脂材料M0(図9では、ハッチング領域M1で模式的に図示)が含浸されている。
ついで、本製造方法は、槽600から引き上げた下向き姿勢のワークWに対して、含浸対象部位の側面に対して液状樹脂材料M0の樹脂硬化処理を行う外径側樹脂硬化工程(ステップS212)を含む。以下、後述する上面樹脂硬化工程(ステップS216)で実行される樹脂硬化処理との区別のため、外径側樹脂硬化工程(側面硬化工程の一例)(ステップS212)で実行される樹脂硬化処理を、「外径側樹脂硬化処理」とも称する。
本実施例では、外径側樹脂硬化処理は、ワークWの含浸対象部位の側面に対して紫外線を照射することを含む。図9には、外径側樹脂硬化処理が実行されている状態が模式的に示されている。また、図9(後出の図10等も同様)には、ワークWに含浸された液状樹脂材料M0がハッチング領域M1により模式的に示されている。図10に示す例では、紫外線照射装置900は、ワークWの含浸対象部位の径方向外側の側面に対して紫外線を照射している(矢印R10参照)。これにより、ワークWの含浸対象部位に含浸させた液状樹脂材料M0のうちの、径方向外側の部分(主に表面部分)が硬化される。
紫外線照射装置900は、好ましくは、ワークWの含浸対象部位の径方向外側の側面に対して、全周にわたって紫外線を照射する。これにより、含浸対象部位の全周にわたって、径方向外側の部分の液状樹脂材料M0を硬化させることができる。この場合、ワークWが中心軸Iまわりに回転されてもよいし、紫外線照射装置900が回転されてもよい。あるいは、紫外線照射装置900がワークWの径方向外側に円周状に複数個分散して配置されてもよい。
紫外線照射装置900は、好ましくは、ワークWの含浸対象部位の径方向外側の側面に対して光軸901が略垂直になるように、ワークWに対して位置付けられる。すなわち、紫外線照射装置900は、好ましくは、略水平面内に光軸901が位置するように、ワークWに対して位置付けられる。ここで、“略”とは、例えば10%以下の誤差を含む概念である。また、紫外線照射装置900は、好ましくは、光軸901がワークWの含浸対象部位を通るように、ワークWに対して位置付けられ、より好ましくは、光軸901がワークWの含浸対象部位の軸方向中心付近を通るように、ワークWに対して位置付けられる。この場合、ワークWの含浸対象部位における径方向外側の部分の液状樹脂材料M0を効率的に硬化させることができる。
このようにして、本実施例によれば、ワークWは、槽600から引き上げた下向き姿勢を維持したまま、含浸対象部位に含浸させた液状樹脂材料M0の径方向外側の部分が硬化される。従って、槽600から引き上げたワークWに対して、かかる外径側樹脂硬化処理を行うことなく、上下反転させた場合に生じうる不都合を低減できる。すなわち、槽600から引き上げたワークWを、かかる外径側樹脂硬化処理を行うことなく、次の上下反転工程(ステップS214)により上下反転させると、ワークWの含浸対象部位に含浸させた液状樹脂材料M0が、自重により、下方へと垂れやすい(図11の矢印R11参照)。この場合、コイルエンド部114Aにおける側面における露出範囲(樹脂部材で覆われない範囲)が不要に狭くなるおそれがある。コイルエンド部114Aの側面における露出範囲が不足すると、回転電機動作時にコイルエンド部114Aにおける側面に対して冷媒(例えば油)を供給した際の冷却効率が低下するおそれがある(図19を参照して後述)。また、含浸対象部位の径方向外側の側面の液状樹脂材料M0が下方へと垂れると、ステータコア112の軸方向端面(上側の端面)に付着する可能性がある。この場合、ステータコア112に付着した液状樹脂材料M0はスクレーパ等で別途除去する必要がある。これに対して、本実施例によれば、上述したように、かかる不都合を低減できる。
ついで、本製造方法は、ワークWの姿勢を上下反転させる上下反転工程(ステップS214)を含む。すなわち、ワークWは、下向き姿勢から上向き姿勢へと、上下反転される。図11には、上向き姿勢へと上下反転されたワークWが模式的に示されている。
ところで、ワークWに液状樹脂材料M0が含浸した状態で、ワークWを上下反転させると、遠心力により、液状樹脂材料M0が飛散しやすくなるという問題がある。液状樹脂材料M0が飛散すると、材料の無駄が生じうり、また、コイルエンド部114Aの接合部400を覆う絶縁被覆の厚みや覆う範囲等が不十分となるおそれがある。また、遠心力を低減するために、ワークWの回転速度を低下させると、上下反転工程に要する時間が増加し、CT(Cycle Time)が増加する傾向となる。
そこで、本実施例では、ワークWは、好ましくは、図12にて矢印R12で模式的に示すように、含浸対象部位を通る水平面内の回転軸I1まわりに回転されることで、下向き姿勢から上向き姿勢へと、上下反転される。すなわち、ワーク把持部1000は、含浸対象部位を通る水平面内の回転軸I1まわりにワークWが回転するように、ワークWを上下反転させる。これにより、回転軸I1から含浸対象部位までの距離(遠心力に影響する半径)を効率的に低減でき、比較的速い回転速度で反転させた場合でも、遠心力が過大となることがない(例えば、液状樹脂材料M0が飛散するような遠心力が発生しない)。このようにして、ワークWからの液状樹脂材料M0の飛散を防止し、かつ、CTの増加を防ぐことができる。
ここで、ワークWを上下反転させている間、回転軸I1は、固定されてもよいし、並進移動されてもよい。例えば、回転軸I1は、ワークWを回転させつつ、上方に移動されてもよい。これにより、次工程へとワークWを移動させつつ、液状樹脂材料M0が飛散し難い態様でワークWの姿勢を上下反転させることができる。なお、このような動作は、ワーク把持部1000が多関節ロボットのハンドに取り付けられる場合に好適となる。
なお、回転軸I1は、反転対象のワークWに対して、反転動作中、常に一定の位置関係で固定されてもよいし、反転動作の一部の期間だけ、ワークWに対する位置関係が変化してもよい。例えば、ワーク把持部1000が多関節ロボットのハンドに取り付けられる場合、反転動作の最終段階等の一部の期間だけ、回転軸I1とワークWとの間の位置関係が、回転軸I1が含浸対象部位を通る位置関係から、逸脱してもよい。
また、回転軸I1は、好ましくは、遠心力に係る半径が小さくなるように、上述したように含浸対象部位を通るが、これに限られない。回転軸I1まわりのステータコア112の軸方向中心の回転半径を基準半径としたとき、回転軸I1まわりの含浸対象部位の回転半径が、基準半径以下であれば、有意な効果が得られる。例えば、回転軸I1は、ステータコア112の軸方向中心と含浸対象部位との間を通るように設定されてもよい。この場合でも、含浸対象部位とは逆側でワークWよりも外側に位置する回転軸I2を有する比較例(図12A参照)よりも、遠心力に係る半径(回転軸まわりの含浸対象部位の回転半径)が小さくなるので、上述した効果を依然として得ることができる。なお、図12Aに示す比較例では、ローダハンド1200で把持されたワークWは、含浸対象部位とは逆側でワークWよりも外側に位置する回転軸I2まわりに回転される。この場合、遠心力に係る半径r2(回転軸I2まわりの含浸対象部位の回転半径)は、比較的大きくなり(少なくともステータコア112の軸長以上となり)、液状樹脂材料M0が飛散する等の上述した課題が生じやすい。
ついで、本製造方法は、上向き姿勢に反転されたワークWに対して、含浸対象部位の上面に対して液状樹脂材料M0の樹脂硬化処理を行う上面樹脂硬化工程(端面硬化工程の一例)(ステップS216)を含む。以下、上面樹脂硬化工程に係る樹脂硬化処理を、上述した外径側樹脂硬化処理との区別のため、「上面樹脂硬化処理」とも称する。
本実施例では、上面樹脂硬化処理は、ワークWの含浸対象部位の上面に対して紫外線を照射することを含む。図13には、上面樹脂硬化処理が実行されている状態が模式的に示されている。図13に示す例では、紫外線照射装置900は、ワークWの含浸対象部位の上面に対して紫外線を照射している(矢印R13参照)。これにより、ワークWの含浸対象部位に含浸させた液状樹脂材料M0のうちの、上側部分(主に上側の表面部分)が硬化される。なお、紫外線照射装置900は、上述した外径側樹脂硬化処理で用いる紫外線照射装置900と同じであってもよいし、別であってもよい。
紫外線照射装置900は、好ましくは、ワークWの含浸対象部位の上面に対して、全周にわたって紫外線を照射する。これにより、含浸対象部位の全周にわたって、上側部分の液状樹脂材料M0を硬化させることができる。この場合、ワークWが中心軸Iまわりに回転されてもよいし、紫外線照射装置900が回転されてもよい。あるいは、紫外線照射装置900がワークWの上側に円周状に複数個分散して配置されてもよい。
紫外線照射装置900は、好ましくは、ワークWの含浸対象部位の上面に対して光軸901が略垂直になるように、ワークWに対して位置付けられる。すなわち、紫外線照射装置900は、好ましくは、略鉛直面内に光軸901が位置するように、ワークWに対して位置付けられる。ここで、“略”とは、例えば10%以下の誤差を含む概念である。また、紫外線照射装置900は、好ましくは、光軸901がワークWの含浸対象部位を通るように、ワークWに対して位置付けられ、より好ましくは、光軸901がワークWの含浸対象部位の径方向範囲(最内径位置から最外径位置までの範囲)の中心付近を通るように、ワークWに対して位置付けられる。この場合、ワークWの含浸対象部位における上側部分の液状樹脂材料M0を効率的に硬化させることができる。
このようにして、本実施例によれば、ワークWは、上向き姿勢で、含浸対象部位に含浸させた液状樹脂材料M0の上側部分(軸方向端部)が硬化される。従って、槽600から引き上げたワークWに対して下向き姿勢のまま上面樹脂硬化処理が実行された場合(すなわち、上述した外径側樹脂硬化処理と同時に上面樹脂硬化処理が実行された場合)に生じうる不都合を低減できる。具体的には、槽600から引き上げたワークWに対して下向き姿勢のまま含浸対象部位の下面に対して樹脂硬化処理が実行されると、ワークWの含浸対象部位に含浸させた液状樹脂材料M0が、自重により、下方へと垂れつつ、硬化されるおそれがある。すなわち、液状樹脂材料M0が氷柱状に硬化されるおそれがある。これに対して、本実施例によれば、上述したように上向き姿勢で上面樹脂硬化処理が実行されるので、かかる不都合を低減できる。
また、本実施例によれば、含浸対象部位に含浸させた液状樹脂材料M0の上側部分(軸方向端部)を硬化させることで、結合部40における平角断面の角部(図5参照、以下、「接合部エッジ122」と称する)に、液状樹脂材料M0の薄膜を形成できる。すなわち、コイル片52まわりにおける濡れ性等の影響で液状樹脂材料M0が形成され難い接合部エッジ122に対しても、比較的薄い厚みであるものの液状樹脂材料M0の膜を形成できる。かかる液状樹脂材料M0の膜が形成された接合部エッジ122は、当該膜に起因して濡れ性が高くなる。このようにして、接合部エッジ122の濡れ性(液状樹脂材料M0に係る濡れ性)を高めることができる。この結果、続く2回目の浸漬工程(後述)において、コイル片52の接合部エッジ122上の絶縁被覆(液状樹脂材料M0の硬化物)の必要な厚みが確保しやすくなる。すなわち、2回目の浸漬工程は、1回目の浸漬工程を介して形成された液状樹脂材料M0の膜を下地として比較的厚い膜を接合部エッジ122に対しても形成できる。なお、この点は、2回目の浸漬工程の説明の際に再度説明する。
ついで、本製造方法は、上向き姿勢に反転されたワークWに対して、含浸対象部位の径方向内側の側面に対して液状樹脂材料M0の樹脂硬化処理を行う内径側樹脂硬化工程(側面硬化工程の一例)(ステップS218)を含む。以下、内径側樹脂硬化工程に係る樹脂硬化処理を、上述した外径側樹脂硬化処理及び上面樹脂硬化処理との区別のため、「内径側樹脂硬化処理」とも称する。
本実施例では、内径側樹脂硬化処理は、ワークWの含浸対象部位の径方向内側の側面に対して紫外線を照射することを含む。図14には、内径側樹脂硬化処理が実行されている状態が模式的に示されている。図14に示す例では、紫外線照射装置900は、ワークWの含浸対象部位の径方向内側の側面に対して紫外線を照射している(矢印R14参照)。これにより、ワークWの含浸対象部位に含浸させた液状樹脂材料M0のうちの、径方向内側の部分(主に表面部分)が硬化される。なお、紫外線照射装置900は、上述した上面樹脂硬化処理で用いる紫外線照射装置900と同じであってもよい。
紫外線照射装置900は、好ましくは、ワークWの含浸対象部位の径方向内側の側面に対して、全周にわたって紫外線を照射する。これにより、含浸対象部位の全周にわたって、径方向内側部分の液状樹脂材料M0を硬化させることができる。この場合、内径側樹脂硬化処理は、上面樹脂硬化処理と並列して順次実行されてもよい。具体的には、ワークWの含浸対象部位の全周のうちの、分割した周方向範囲ごとに、上面樹脂硬化処理及び内径側樹脂硬化処理がまとめて実行されてもよい。あるいは、内径側樹脂硬化処理は、上面樹脂硬化処理よりも前に実行されてもよい。この場合、内径側樹脂硬化処理は、外径側樹脂硬化処理と同時又はそれよりも前に実行されてもよい。
紫外線照射装置900は、好ましくは、ワークWの含浸対象部位の径方向内側の側面に対して光軸901が略垂直になるように、ワークWに対して位置付けられる。すなわち、紫外線照射装置900は、好ましくは、略鉛直面内に光軸901が位置するように、ワークWに対して位置付けられる。ここで、“略”とは、例えば10%以下の誤差を含む概念である。また、紫外線照射装置900は、好ましくは、光軸901がワークWの含浸対象部位を通るように、ワークWに対して位置付けられ、より好ましくは、光軸901がワークWの含浸対象部位の軸方向中心付近を通るように、ワークWに対して位置付けられる。この場合、ワークWの含浸対象部位における上側部分の液状樹脂材料M0を効率的に硬化させることができる。
ただし、紫外線照射装置900のサイズやワークWの径方向内側のスペースに依存して、紫外線照射装置900は、図14に示すように、ワークWの含浸対象部位の径方向内側の側面に対して、光軸901が斜め方向に交差する態様で、ワークWに対して位置付けられてもよい。この場合、内径側樹脂硬化処理及び上面樹脂硬化処理は、一方が他方を兼ねてもよい。
内径側樹脂硬化処理による内径側樹脂硬化工程(ステップS218)が終了すると、その回の絶縁被覆工程が終了する。
ついで、本製造方法は、一のワークWに対する絶縁被覆工程の実行回数が、あらかじめ規定された回数(本実施例では、一例として2回)となったか否かを判定する(ステップS220)。このような判定は、人により実現されてもよいし、画像処理等により実現されてもよい。判定結果が“YES”の場合、次の工程へと進み、それ以外の場合は、2回目の絶縁被覆工程を実行すべく、ステップS206からステップS218の工程を同様に実行する。図15には、2回目の絶縁被覆工程において、ステップS206により上下反転されて下向き姿勢とされたワークWが模式的に示されている。その後、ワークWは、2回目の浸漬工程等を受ける。
2回目の絶縁被覆工程は、1回目の絶縁被覆工程と全く同一であってよい。この場合、例えば製造装置の制御を単純化できる。
ただし、2回目の絶縁被覆工程は、好ましくは、少なくとも浸漬工程が、1回目の絶縁被覆工程と異なる。具体的には、2回目の絶縁被覆工程における浸漬工程は、1回目の絶縁被覆工程における浸漬工程よりも、含浸対象部位が低減される。すなわち、2回目の浸漬工程に係る含浸対象部位は、1回目の浸漬工程に係る含浸対象部位の一部(軸方向端部側の一部)であってよい。この場合、2回目の浸漬工程に係る含浸対象部位は、コイル片52の接合部エッジ122を含む最小限の部位であってよい。これにより、必要な機能を有する絶縁被覆(液状樹脂材料M0の硬化物)を、比較的少ない量(例えば最小限)の液状樹脂材料M0を利用して効率的に形成できる。
図15には、1回目の絶縁被覆工程でワークWに含浸された液状樹脂材料M0の範囲(ハッチング領域M1)に対して、2回目の絶縁被覆工程に係る含浸対象部位の属する範囲Q15が模式的に示されている。
このようにして本実施例では、絶縁被覆工程が複数回(本実施例では、一例として2回)実行される。これにより、コイル片52の接合部エッジ122上の絶縁被覆(液状樹脂材料M0の硬化物)の必要な厚みを確保することが可能となる。
具体的には、図16には、2回目の絶縁被覆工程が終了した後の上向き姿勢のワークWが模式的に示されている。図16には、1回目の絶縁被覆工程により形成される液状樹脂材料M0の範囲(ハッチング領域M1)とともに、2回目の絶縁被覆工程により形成される液状樹脂材料M0の範囲が、ハッチング領域M2で模式的に示されている。なお、図16(後出の図18等も同様)では、説明の都合上、ステータコイル114のコイルエンド部114Aのうちの軸方向端部だけ省略せずに概略的に図示されている。
1回目の絶縁被覆工程では、ハッチング領域M1で模式的に示すように、コイル片52の接合部エッジ122上に液状樹脂材料M0の薄膜を形成できる。この場合、接合部エッジ122上の液状樹脂材料M0の薄膜の厚みは、接合部エッジ122の濡れ性(線状導体の角部の濡れ性)が低いことから、絶縁被覆(液状樹脂材料M0の硬化物)の必要な厚みよりも有意に小さくなる。しかしながら、接合部エッジ122上に液状樹脂材料M0の薄膜は、比較的薄い場合でも、液状樹脂材料M0に対する接合部エッジ122の濡れ性を高めることができる。従って、2回目の絶縁被覆工程における浸漬工程時には、接合部エッジ122上の液状樹脂材料M0が付着されやすくなる。すなわち、2回目の絶縁被覆工程では、ハッチング領域M2で模式的に示すように、コイル片52の接合部エッジ122上に、更なる液状樹脂材料M0の膜を比較的大きい厚みで形成できる。このようにして、濡れ性が低いコイル片52の接合部エッジ122に対しても、絶縁被覆(液状樹脂材料M0の硬化物)の必要な厚みを確保することが可能となる。
2回目の絶縁被覆工程が終了すると、本製造方法は、ワークWの全体における液状樹脂材料M0が硬化するようにワークWを加熱する加熱工程(全体硬化工程の一例)(ステップS222)を含む。本加熱工程は、上述した各種の樹脂硬化工程では硬化していない液状樹脂材料M0の部分(例えば表面よりも内側の部分)を完全に硬化させる機能を有する。加熱工程における加熱方法は、任意であり、例えば、炉内にワークWを配置することで実現されてもよい。ワークWの含浸対象部位を含む含浸部位に含浸された液状樹脂材料M0は、加熱されることで、完全に硬化される。これにより、ステータコイル114に液状樹脂材料M0の絶縁被覆が形成される。
加熱工程におけるワークWの姿勢は、任意であるが、好ましくは、図17に模式的に示すように、下向き姿勢である。なお、図17には、複数のワークWが下向きの姿勢で並んで配置されつつ、加熱工程を受けている様子が模式的に示されている。なお、図17では、製造装置の一部のワーク把持部1001が複数のワークWを挟持する様子が模式的に示されているが、ワークWは、ステータコア112の端面が台の上面(図示せず)に当接する態様で台に支持されてもよい。また、図17では、一例として、ワークWに対して下側から熱が放射されているが(矢印R17参照)、熱の放射方向は任意である。
ところで、加熱工程では、上向き姿勢の場合、完全に硬化する前の硬化途中の液状樹脂材料M0が、自重により、ステータコア112まで下方へと垂れうる(図16の矢印R16参照)。この場合、ステータコア112に付着した液状樹脂材料M0はスクレーパ等で別途除去する必要がある。
これに対して、下向き姿勢の場合、完全に硬化する前の硬化途中の液状樹脂材料M0が、自重で下方に移動したとしても、ステータコア112に至ることはない。また、外径側樹脂硬化処理、上面樹脂硬化処理、及び内径側樹脂硬化処理で硬化された液状樹脂材料M0の部分(図18の方向視でC字状の範囲1800参照)が、“下蓋”として機能することで、垂れた液状樹脂材料M0が氷柱状になってしまう可能性を低減できる。図18には、矢印R19で模式的に示すように、硬化途中の液状樹脂材料M0の下方向の動きが示されている。かかる硬化途中の液状樹脂材料M0の下方向の動きは、外径側樹脂硬化処理、上面樹脂硬化処理、及び内径側樹脂硬化処理で硬化された液状樹脂材料M0の部分により堰き止められる。これにより、下向き姿勢で加熱工程を行った場合に生じうる不都合を防止できる。
このようにして本実施例によれば、下向き姿勢で加熱工程を行うことで、ステータコア112への液状樹脂材料M0の垂れを防止しつつ、外径側樹脂硬化処理、上面樹脂硬化処理、及び内径側樹脂硬化処理で硬化された液状樹脂材料M0の部分の“下蓋”機能によって、下方に垂れる液状樹脂材料M0の氷柱状の硬化を低減できる。
なお、このような“下蓋”機能を効果的に高めるためには、外径側樹脂硬化処理、上面樹脂硬化処理、及び内径側樹脂硬化処理がすべて実行されるのが望ましいが、外径側樹脂硬化処理及び/又は内径側樹脂硬化処理だけが省略されてもよい。また、下向き姿勢は、好ましくは、加熱工程の全体にわたって維持されるが、少なくとも一部(例えば前半)だけ維持されてもよい。
また、本製造方法によれば、上述したように2回の絶縁被覆工程に対して1回の加熱工程を行うので、絶縁被覆工程ごとに加熱工程を行う場合に比べて、エネルギ消費量(及びそれに伴う二酸化炭素の排出量)を低減できる。従って、本製造方法によれば、液状樹脂材料M0の絶縁被覆の厚みを効率的に増加させることができる。
また、絶縁被覆工程ごとに加熱工程を行う場合には、1回目に形成される液状樹脂材料M0の絶縁被覆と、2回目に形成される液状樹脂材料M0の絶縁被覆との間に、不連続な境界(層の分離)が形成されるが、本製造方法によれば、かかる境界をなくし、液状樹脂材料M0の絶縁被覆全体としての強度を高めることができる。すなわち、本製造方法では、2回にわたって含浸された液状樹脂材料M0は加熱工程中に粘度低下し1層化するため、絶縁被覆内に不連続な境界(層の分離)が無く強度が向上する。
次に、図19を参照して、本製造方法により製造される回転電機用ステータを組み込む回転電機1に好適な冷却構造を説明する。
図19は、冷却構造の一例を模式的に示す図であり、回転電機1の断面構造の一部を概略的に示す図である。
図19に示す例では、ステータコイル114の軸方向両端のコイルエンド部114Aには、径方向外側及び径方向内側から油が供給される。具体的には、ケース2のケース内油路60に供給される油(矢印R20A参照)は、径方向内側に向けて貫通する油孔62を介して、コイルエンド部114Aの径方向外側の側面に供給される(矢印R20参照)。なお、油孔62は、重力による油の滴下が促進されるように、鉛直方向上側に配置されてよい。また、ロータシャフト112Aの軸心油路64に供給される油(矢印R21A参照)は、径方向外側に向けて貫通する油孔66を介して、コイルエンド部114Aの径方向内側の側面に供給される(矢印R21参照)。
本製造方法によれば、上述したように、ステータコイル114のコイルエンド部114Aには、液状樹脂材料M0の絶縁被覆が付与される。ステータコイル114における液状樹脂材料M0の絶縁被覆が付与された箇所は、そうでない箇所(すなわち絶縁膜130が表面となる箇所)よりも熱伝導性が低い。従って、コイルエンド部114Aの径方向外側の側面のうち、液状樹脂材料M0の絶縁被覆により覆われていない露出範囲が不要に狭くなると、上述した油孔62からの油による冷却性能が不要に低下するおそれがある。同様に、コイルエンド部114Aの径方向内側の側面のうち、液状樹脂材料M0の絶縁被覆により覆われていない露出範囲が不要に狭くなると、上述した油孔66からの油による冷却性能が低下するおそれがある。
この点、本製造方法によれば、上述したように、外径側樹脂硬化処理により含浸対象部位に含浸された液状樹脂材料M0の径方向外側の部分が、下向き姿勢のまま硬化されるので、その後にワークWが上向き姿勢になっても、径方向外側の液状樹脂材料M0が下方に垂れることがない。これにより、コイルエンド部114Aの径方向外側の側面のうち、液状樹脂材料M0の絶縁被覆により覆われていない露出範囲が不要に狭くなる可能性を低減できる。その結果、上述した油孔62からの油によるコイルエンド部114Aの冷却性能を効果的に高めることができる。
なお、上述した実施例では、内径側樹脂硬化処理は、上向き姿勢のワークWに対して実行されるが、外径側樹脂硬化処理と同様に、下向き姿勢のワークWに対して実行されてもよい。この場合、内径側樹脂硬化処理は、外径側樹脂硬化処理と同時に並列的に実行されてもよい。この場合、内径側樹脂硬化処理により含浸対象部位に含浸された液状樹脂材料M0の径方向内側の部分が、下向き姿勢のまま硬化されるので、その後にワークWが上向き姿勢になっても、径方向内側の液状樹脂材料M0が下方に垂れることがない。これにより、コイルエンド部114Aの径方向内側の側面のうち、液状樹脂材料M0の絶縁被覆により覆われていない露出範囲が不要に狭くなる可能性を低減できる。その結果、上述した油孔66からの油によるコイルエンド部114Aの冷却性能を効果的に高めることができる。
以上、各実施例について詳述したが、特定の実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された範囲内において、種々の変形及び変更が可能である。また、前述した実施例の構成要素を全部又は複数を組み合わせることも可能である。
例えば、上述した実施例では、好ましい実施例として、外径側樹脂硬化処理が実行されているが、外径側樹脂硬化処理に代えて内径側樹脂硬化処理が実行されてもよい。
また、上述した実施例では、ワークWを、液状樹脂材料M0の槽600に浸漬する浸漬工程が実行されるが、これに代えて又は加えて、ワークWの含浸対象部位に液状樹脂材料M0を滴下することで、ワークWの含浸対象部位に液状樹脂材料M0を含浸させる工程(含浸工程の一例)が実行されてもよい。
40・・・結合部(先端部)、52・・・コイル片、112・・・ステータコア、114・・・ステータコイル、600・・・槽、W・・・ワーク、M0・・・液状樹脂材料

Claims (5)

  1. ステータコアにステータコイルを形成する複数のコイル片を装着してワークを形成する装着工程と、
    前記装着工程の後に、前記ワークにおける軸方向一端側において、一の前記コイル片と他の一の前記コイル片のそれぞれの先端部同士を接合する接合工程と、
    前記接合工程の後に、前記ワークにおける前記先端部同士の接合箇所を含む含浸対象部位に、液状樹脂材料を含浸させる含浸工程と、
    前記含浸工程の後に、前記含浸対象部位の軸方向端面に対して液状樹脂材料の樹脂硬化処理を行う端面硬化工程と、
    前記端面硬化工程の後に、前記ワークの全体における液状樹脂材料を硬化させる全体硬化工程とを含み、
    前記全体硬化工程の間の少なくとも一部の期間において、前記ワークを前記含浸対象部位が下側を向く下向き姿勢に維持する、回転電機用ステータ製造方法。
  2. 液状樹脂材料は、加熱により硬化する特性を有し、
    前記全体硬化工程は、前記下向き姿勢で前記ワークを加熱することを含む、請求項1に記載の回転電機用ステータ製造方法。
  3. 前記含浸工程の後かつ前記全体硬化工程の前に、前記含浸対象部位の側面に対して液状樹脂材料の樹脂硬化処理を行う側面硬化工程を更に含む、請求項1又は2に記載の回転電機用ステータ製造方法。
  4. 液状樹脂材料は、紫外線の照射により硬化する特性を有し、
    前記端面硬化工程及び前記側面硬化工程は、紫外線を照射することを含む、請求項3に記載の回転電機用ステータ製造方法。
  5. 前記端面硬化工程は、前記含浸対象部位が上側を向く上向き姿勢の前記ワークに対して実行され、
    前記側面硬化工程は、前記端面硬化工程よりも前に、前記下向き姿勢の前記ワークに対して実行される、請求項4に記載の回転電機用ステータ製造方法。
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