JP2023136994A - 爪幹細胞及び毛髪の成長を助長する外用剤 - Google Patents

爪幹細胞及び毛髪の成長を助長する外用剤 Download PDF

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Abstract

【課題】爪や毛髪の伸長を促進することができ、費用等についても従来のものと比して抑えられた新規な皮膚外用剤の提供。【解決手段】Wntシグナル伝達経路作用物質を含む、皮膚外用剤。【選択図】なし

Description

本発明は、Wntシグナル伝達経路作用物質を含む皮膚外用剤に関する。
近年、我が国では、健康日本21(第二次)が実施され、健康に対する意識が高まっている。そのような背景の中、広い年齢層において、美容に関する関心も高まりつつある。その中でも、特に、皮膚の若さの維持や、爪や毛髪の健康の維持は、関心の高い事項であるといえる。
このような爪や毛髪、あるいは皮膚の健康の維持等について意識の高まりはあるものの、これらの健康を維持等するための薬剤は、現状、十分な効果を期待できるものが非常に少ないといえる。特に、爪や毛髪については、高い費用をかけても、それらの伸長等について期待できる効果が限られていたり、あるいは内服等を行う必要があり体への負担も無視できないようなものであったりと、未だ要求を十分に満たすような薬剤はないといえる。そのため、より効果が期待でき、そして安全且つ安価である薬剤が求められている(特許文献1)。
国際公開第2017/069113号
従って、本発明の課題は、爪や毛髪の伸長等に関して、所望する効果を発揮することができ、そして費用等についても従来のものと比して抑えられた新規な皮膚外用剤を提供することである。
本発明者は、爪や毛髪の伸長等についてそれらのメカニズム等を検討し、まず、Wntシグナル伝達経路について着目した。Wntシグナル伝達経路は、分泌性糖タンパク質であるWntが、細胞に作用することにより活性化される細胞内シグナル伝達機構であり、この経路には、(i)β-カテニン(β-Catenin)を介して遺伝子発現を制御するβ-カテニン経路、(ii)細胞の平面内極性を制御するPCP(planar cell polarity)経路、(iii)Ca2+の細胞内動員を促進するCa2+経路の少なくとも3種の経路が存在する。本発明者らは、さらに検討を進め、Wntシグナル伝達経路に作用する物質として、GSK3β阻害薬に着目し、該阻害薬を用いることで、爪や毛髪の伸長等に関して所望する効果を達成し得るのではないかとの着想を得た。そして、研究を進める中で、GSK3β阻害薬としてリチウム塩(例:塩化リチウム)の使用を試みた。塩化リチウムは、従来から統合失調症や気分障がいの治療薬として使用されてはいるものの、副作用の危険性が高く、血中濃度管理の必要性等もあり、さらに経口投与にて使用するため、皮膚外用剤としての効果は見込めない可能性が高いといえるところ、驚くべきことに、皮膚への塗布で、体毛の伸長作用と爪幹細胞の増殖促進作用を確認した。本発明者は、これらの知見に基づいてさらに研究を重ねた結果、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下の通りのものである。
[1]
Wntシグナル伝達経路作用物質を含む、皮膚外用剤。
[2]
Wntシグナル伝達経路作用物質がGSK3β阻害薬である、[1]に記載の皮膚外用剤。
[3]
GSK3β阻害薬がリチウム塩である、[2]に記載の皮膚外用剤。
[4]
リチウム塩が、塩化リチウム、炭酸リチウム、クエン酸リチウム、オロチン酸リチウム、フッ化リチウム、臭化リチウム、酢酸リチウム、コハク酸リチウム、グルコン酸リチウム、ヨウ化リチウム、硫酸リチウム、硝酸リチウム及びスルホン酸リチウムからなる群から選択される、[3]に記載の皮膚外用剤。
[5]
リチウム塩が、塩化リチウム、炭酸リチウム、クエン酸リチウム又はオロチン酸リチウムである、[4]に記載の皮膚外用剤。
[6]
リチウム塩が塩化リチウムである、[5]に記載の皮膚外用剤。
[7]
爪幹細胞の増殖促進用、又は毛髪の伸長促進用である、[1]~[6]のいずれか一項に記載の皮膚外用剤。
[8]
爪幹細胞の増殖促進用である、[7]に記載の皮膚外用剤。
[9]
爪幹細胞の増殖促進が爪及び甘皮の伸長促進である、[8]に記載の皮膚外用剤。
[10]
対象に有効量のWntシグナル伝達経路作用物質を塗布することを含む、対象の毛髪の伸長促進方法。
[11]
対象に有効量のWntシグナル伝達経路作用物質を塗布することを含む、対象の爪幹細胞の増殖促進方法。
[12]
爪幹細胞の増殖促進が爪及び甘皮の伸長促進である、[11]に記載の方法。
本発明によれば、爪幹細胞の増殖、爪や毛髪の伸長を促進することが可能となる。また、本発明は、皮膚への塗布を介して効果を発揮し得るため、経口投与等と比して、より体への負担が少ない、安全な使用が可能となる。
図1は、爪において、ロイシン-リッチ-リピート含有Gタンパク質共役型受容体5(Lgr5)を発現している幹細胞(爪幹細胞)が存在する部分を示す図である。 図2は、塩化カルシウム(CaCl2)を塗布したマウスにおける爪の伸長等に寄与する幹細胞(爪幹細胞)の増殖に関する結果を示す図である。図2の左端は、爪の模式図であり、四角で囲った部分について顕微鏡観察を行った。図2の6枚のパネル(左上下、中央上下、及び右上下)は、位相差(Phase Contrast)、DAPIとブロモデオキシウリジン(BrdU)、DAPI、及びBrdUに関するイメージである。図2の右上下のイメージは、中央下パネルの四角で囲った部分の拡大イメージである。 図3は、塩化リチウム(LiCl)を塗布したマウスにおける爪の伸長等に寄与する幹細胞(爪幹細胞)の増殖に関する結果を示す図である。図3の左端は、爪の模式図であり、四角で囲った部分について顕微鏡観察を行った。図3の6枚のパネル(左上下、中央上下、及び右上下)は、位相差(Phase Contrast)、DAPIとブロモデオキシウリジン(BrdU)、DAPI、及びBrdUに関するイメージである。図3の右上下のイメージは、中央下パネルの四角で囲った部分の拡大イメージである。 図4は、塩化カルシウムを塗布したマウスにおける爪の伸長等に寄与する幹細胞(爪幹細胞)の増殖に関する結果を示す図である。図4の左端は、爪の模式図であり、四角で囲った部分について顕微鏡観察を行った。図4の6枚のパネル(左上下、中央上下、及び右上下)は、位相差(Phase Contrast)、DAPIとブロモデオキシウリジン(BrdU)、DAPI、及びBrdUに関するイメージである。図4の右上下のイメージは、中央下パネルの四角で囲った部分の拡大イメージである。 図5は、塩化カルシウム(CaCl2)を塗布したマウス(図5上段)と塩化リチウム(LiCl)を塗布したマウス(図5下段)に関する毛根の賦活化の違いを示す図である。 図6は、塩化カルシウム(CaCl2)を塗布したマウスと、塩化リチウム(LiCl)を塗布したマウスにおける毛の長さの結果を示す図である。図6中、*は、P<0.05であることを示す。 図7は、塩化リチウム(LiCl)を添加しない場合のβ-Cateninの核移行誘導作用を確認した結果を示す図である。 図8は、塩化リチウム(LiCl)を添加した場合のβ-Cateninの核移行誘導作用を確認した結果を示す図である。
本発明の皮膚外用剤
本発明は、Wntシグナル伝達経路作用物質を含む、皮膚外用剤に関する。本明細書において、「Wntシグナル伝達経路作用物質」とは、Wntにより媒介されるシグナル伝達を増強し得る物質を意味する。Wntシグナル伝達経路作用物質としては、医薬として許容されるものであれば特に限定されず、例えば、Wntファミリーに属するタンパク質(例:Wnt1、Wnt3、Wnt3a、Wnt3b、Wnt4、Wnt7、Wnt7a、Wnt7b、Wnt10b)、Wnt受容体、Wnt受容体アゴニスト、抗Wnt受容体抗体、Wnt部分ペプチド、β-カテニンシグナル伝達物質、GSK3β阻害薬(例:リチウム塩、6-Bromoindirubin-3'-oxime(BIO)、CHIR99021、Kenpaullone、)等を挙げることができる。
上記リチウム塩は、医薬として許容されるものであれば特に限定されず、例えば、炭酸リチウム、塩化リチウム、クエン酸リチウム、オロチン酸リチウム、フッ化リチウム、臭化リチウム、ヨウ化リチウム、硫酸リチウム、硝酸リチウム、スルホン酸リチウム等が挙げられる。医薬としての使用実績の観点からは、塩化リチウム、炭酸リチウム、クエン酸リチウム又はオロチン酸リチウムが好ましい。
本発明の皮膚外用剤は、哺乳動物(例:ヒト、ラット、マウス、モルモット、ウサギ、ヒツジ、ウマ、ブタ、ウシ、イヌ、ネコ、サル)に対して投与あるいは塗布することが可能である。よって、哺乳動物(対象)に対し、本発明の皮膚外用剤中の有効成分であるWntシグナル伝達経路作用物質の有効量を投与あるいは塗布することを特徴とする、該哺乳動物における爪幹細胞の増殖促進方法、あるいは爪や毛髪の伸長促進方法も提供される。本明細書において、「毛髪の伸長促進方法」には、育毛方法や発毛促進方法、あるいは毛根の賦活化方法も含まれる。
爪や毛髪の伸長促進は、例えば、爪や毛髪の長さを指標に判断してもよい。また、爪幹細胞の増殖促進は、例えば、爪母あるいは爪根部分における爪幹細胞の増殖を、自体公知の方法により、ブロモデオキシウリジン(Bromo-deoxy-uridine; BrdU)に対する抗BrdU抗体や、ロイシン-リッチ-リピート含有Gタンパク質共役型受容体(luecine-rich orphan G-protein-coupled receptor)5に対する抗LGR5抗体等を用いて染色することで判断してもよい。
本発明の皮膚外用剤は、医薬品、医薬部外品、又は化粧品に分類される皮膚外用剤を含む。本発明の皮膚外用剤は、Wntシグナル伝達経路作用物質に加え、製剤化に際して一般的に用いられる添加剤等のその他の成分をさらに含有してもよい。このような任意成分としては、ビタミン類、色素類、無機塩類、油性基剤、界面活性剤、防腐剤、香料等が挙げられる。ビタミン類としては、レチノール、チアミン、リボフラビン、ピリドキシン、シアノコバラミン、コレカルシフェロール、カルニチン、オロット酸などが挙げられる。色素類としては、赤色106号、青色1号、だいだい色205号、黄色202号の(1)、黄色203号、緑色3号などが挙げられる。無機塩類としては、硫酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、塩化ナトリウム、硫酸マグネシウム、硫酸アルミニウム、炭酸マグネシウム、塩化カリウム、ミョウバンなどが挙げられる。油性基剤としては、液状ラノリン、ホホバ油、米胚芽油、オリーブ油、マカデミアンナッツ油、スクワラン、トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル、ミリスチン酸イソプロピル、ワセリン、流動パラフィンなどが挙げられる。界面活性剤としては、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ラウリン酸ジエタノールアミド、ポリオキシエチレングリコールモノステアレートなどが挙げられる。さらに、水(精製水、温泉水、深層水等)、金属セッケン、ゲル化剤、粉体、アルコール類、水溶性高分子、皮膜形成剤、樹脂、紫外線防御剤、包接化合物、消臭剤、pH調整剤、清涼剤、動物・微生物由来抽出物、植物抽出物、血行促進剤、収斂剤、抗脂漏剤、美白剤、抗炎症剤、活性酸素消去剤、細胞賦活剤、保湿剤、キレート剤、角質溶解剤、酵素、ホルモン類等を加えてもよい。
本発明の皮膚外用剤は、自体公知の製剤方法を利用することで製造し得る。本発明の皮膚外用剤の剤形は特に限定されず、その用途等に応じて自体公知の剤形を適宜適用すればよい。当該剤形の具体例としては、軟膏剤(水性軟膏剤、油脂性軟膏剤等)、クリーム剤、液剤、乳剤、ゲル剤、ローション剤、リニメント剤、パスタ剤等の塗布剤;パップ剤、プラスター剤、テープ剤、パッチ剤等の貼付剤;エアゾール剤、スプレー剤等の噴霧剤;坐剤等が挙げられるが、これらに限定されない。
例えば、軟膏剤を調製する場合、所望の効果を損なわない限り、軟膏剤は油脂性軟膏剤であってもよく、水溶性軟膏剤であってもよい。軟膏剤を調製する場合は、Wntシグナル伝達経路作用物質にさらに軟膏基剤を含み得る。該軟膏基剤としては、特に限定されるものではないが、一般に炭化水素類、脂肪酸エステル、ロウ類、高級脂肪酸、高級アルコール、水、多価アルコール、低級アルコール等を用いることができる。具体的には、黄色ワセリン、白色ワセリン、流動パラフィン、ミリスチン酸イソプロピル、パラフィン、プラスチベース、シリコーン、ミツロウ、ラノリン、グリセリン、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール及びこれらの混合物等が挙げられるが、これらに限定されない。
クリーム剤を調製する場合、所望の効果を損なわない限り、クリーム剤は油中水型(W/O型)クリーム剤であってもよく、水中油型(O/W型)クリーム剤であってもよい。クリーム剤を調製する場合は、Wntシグナル伝達経路作用物質に、さらに乳剤性基剤を含み得る。該基剤としては、特に限定されるものではないが、一般に炭化水素類、脂肪酸エステル、ロウ類、高級脂肪酸、高級アルコール、水、多価アルコール、低級アルコール等を用いることができる。具体的には、黄色ワセリン、白色ワセリン、流動パラフィン、ミリスチン酸イソプロピル、パラフィン、プラスチベース、シリコーン、ミツロウ、ラノリン、グリセリン、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール及びこれらの混合物等が挙げられるが、これらに限定されない。クリーム剤は、さらに、保存剤、抗酸化剤、pH調整剤、界面活性剤等を含んでもよい。
ローション剤を調製する場合は、Wntシグナル伝達経路作用物質に、さらに軟膏基剤を含み得る。該基剤としては、特に限定されるものではないが、一般に炭化水素類、脂肪酸エステル、ロウ類、高級脂肪酸、高級アルコール、水、多価アルコール、低級アルコール等を用いることができる。具体的には、黄色ワセリン、白色ワセリン、流動パラフィン、ミリスチン酸イソプロピル、パラフィン、プラスチベース、シリコーン、ミツロウ、ラノリン、グリセリン、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール及びこれらの混合物等が挙げられるが、これらに限定されない。ローション剤は、さらに、保存剤、抗酸化剤、pH調整剤、界面活性剤などを含んでも良い。
本発明の皮膚外用剤のpHは、例えば、6.5以上9.0以下の範囲であり、6.5以上8.0以下が好ましく、7.0以上8.0以下がより好ましい。
本発明の皮膚外用剤は、一態様において、乳化物の形態で提供されてもよい。乳化剤としては、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤及び非イオン性界面活性剤のいずれであってもよい。乳化剤の中でも、低刺激性であること、環境への影響が少ないこと等から、非イオン性界面活性剤が好ましい。非イオン性界面活性剤としては、例えば、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、有機酸モノグリセリド、プロピレングリコール脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルなどが挙げられる。
本発明の皮膚外用剤は、例えば、自体公知の製法(例えば、自然乳化法、界面化学的乳化法、電気乳化法、毛管乳化法、機械的乳化法、超音波乳化法等)を用いて、水中油型乳化物として製剤化することができる。
本発明の皮膚外用剤中に含有されるWntシグナル伝達経路作用物質の割合に特に制限はなく、1回用量が、投与対象において爪幹細胞の増殖促進効果、あるいは爪や毛髪の伸長促進効果が奏され得るのに十分なWntシグナル伝達経路作用物質の量を含有するような割合である限り、いかなる含有率であってもよい。例えば、上記外用剤中に、0.0001~100重量%配合することができる。例えば、軟膏剤の場合、指先から第1関節までの量(1FTU)が約0.5gであり、これを両方の手のひら及び指(即ち、手形2枚分(約150 cm2×2)に延ばして塗布するのが適量とされているので、製剤全体0.5g中に、例えば、下記用量のWntシグナル伝達経路作用物質が含有される割合で配合することができる。
本発明の皮膚外用剤の投与量は年齢、体重、症状、投与形態及び投与回数等によって異なるが、例えば、軟膏剤の場合、成人に対してWntシグナル伝達経路作用物質(例:塩化リチウム)として、1日あたり通常0.01~12000 mg/(150 cm2×2)、好ましくは、0.1~400 mg/(150cm2×2)、より好ましくは、1~40 mg/(150cm2×2)を、1回又は数回に分けて患部に塗布することができる。
本発明の一態様において、Wntシグナル伝達経路作用物質としてリチウム塩を用いる場合、皮膚外用剤中に、終濃度としてリチウムイオンを0.1~5 M含有することができる。
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。
実施例1 リチウム塗布実験による爪幹細胞の増殖誘導
心電図取得用クリーム(フクダ電子株式会社製 #OJE-01D)を基材として用い、試験薬を作製した。上記クリームに対して、5M CaCl2(富士フィルム、#038-24985)溶液もしくは、5M LiCl(ナカライテスク 20623-85)溶液を容量/重量比で10%となるように加え、良く撹拌し混合した。この試験薬を雄ヌードマウス8週令(N=4)(日本クレア)の後足先端部に毎日1回1カ月間塗布した。
指先サンプルを回収する18時間前に、体重比50 mg/kgになるように生理食塩水に希釈したBromo-deoxy-uridine(BrdU:BLD Pharmatech Ltd.#BD21654)を腹腔内に注入した。犠牲死処理後に切除した指先を、4%パラフォルムアルデヒド(富士フィルム、#163-20145)を用いて固定し、凍結切片を作製した。凍結切片に対して、マウス抗BrdU抗体(Santacruz社製 #SC-32323)を1次抗体、ロバ抗マウスIgG抗体(蛍光物質Alexa546を共有結合: Invitrogen社製 #A1003b)、核染色にDAPI(同人化学社製 #NN280)用いて免疫染色を行った。観察は、顕微鏡(NIKON社製Ti2及び解析ソフトNiS)を用いた。
爪の伸長等に寄与する幹細胞(爪幹細胞)は、図1に示すように、爪の特定の部位に存在することが知られている(Yvonne et al., Proc Natl Acad Sci U S A. 2014 Oct 21;111(42):15114-9. doi: 10.1073/pnas.1318848111)。上記観察の結果、塩化カルシウム(CaCl2)を塗布したマウスでは爪幹細胞の増殖が確認されなかった(図2)が、塩化リチウム(LiCl)を塗布したマウスでは爪幹細胞の増殖が確認された(図3(特に、図3の右下パネルの白色三角)及び図4(特に、図4の右下のパネルの中央部分))。爪幹細胞は、爪母細胞及び爪郭細胞の一部である甘皮(eponychium)を産生する(Yvonne et al., Proc Natl Acad Sci U S A. 2014 Oct 21;111(42):15114-9. doi: 10.1073/pnas.1318848111)。該結果から、Wntシグナル伝達経路作用物質であるGSK3β阻害薬(リチウム塩)の皮膚への塗布により、爪母あるいは爪根における細胞(爪幹細胞)の増殖を促進し得ることが確認された。また、該部位における細胞の増殖が確認されたことで、その結果として、爪の伸長が促進されること、及び甘皮(eponychium)の伸長が促進されることも理解される。
実施例2 リチウム塗布実験による毛根の賦活化
心電図取得用クリーム(フクダ電子株式会社製 #OJE-01D)を基材として用い、試験薬を作製した。このクリームに対して、5M CaCl2(富士フィルム、#038-24985)溶液もしくは、5M LiCl(ナカライテスク 20623-85)溶液を容量/重量比で10%となるように加え、良く撹拌し混合した。このクリームを雄ヌードマウス8週令(N=4)の背部に刷毛を用いて毎日1回1カ月間塗布した。犠牲死処理後に切除した背部皮膚は4%パラフォルムアルデヒドを用いて固定し、凍結切片を作製した。凍結切片に対して、核染色:DAPI(同人化学社製 #NN280)用いた。観察は、顕微鏡(NIKON社製Ti2及び解析ソフトNiS)を用いた。それぞれのサンプルに対し、毛の長さを測定し、グラフ化した。
上記観察の結果、塩化カルシウム(CaCl2)を塗布したマウスと塩化リチウム(LiCl)を塗布したマウスでは、塩化リチウムを塗布したマウスのほうが、毛根がより賦活化されていることが確認された(図5)。また、塩化カルシウム(CaCl2)を塗布したマウスと塩化リチウム(LiCl)を塗布したマウスでは、塩化リチウムを塗布したマウスのほうが、3.5倍程度(P<0.05)、体毛の伸長が確認された(図6)。該結果から、Wntシグナル伝達経路作用物質であるGSK3β阻害薬(リチウム塩)の皮膚への塗布により、毛根が賦活化され、その結果として、体毛(毛髪)の伸長を促進し得ることが確認された。
実施例3 リチウムによるBeta-Cateninタンパク質の核移行誘導作用の確認
ヒトiPS細胞(253G1株:RIKEN細胞バンク# HPS0002)に対して恒常的に緑色蛍光タンパク質:EGFPを発現させるように遺伝子導入した細胞亜株に対し未分化を維持しながら培養した。上記のように培養した細胞亜株の2つの培養皿の一方に対し、終濃度10 mMとなるようにフィルター滅菌したLiCl(ナカライテスク 20623-85)を添加し2時間培養した。続いて、4%パラフォルムアルデヒドを用いて固定化を実施し、続いてマウス抗beta-Catenin抗体(Becton Dickinson #610154)を1次抗体、ロバ抗マウスIgG抗体(蛍光物質Alexa546を共有結合: Invitrogen社製 #A1003b)、核染色にDAPI(同人化学社製 #NN280)用いて免疫染色を行った。
上記染色の結果、塩化リチウム(LiCl)がWntシグナル伝達経路作用物質として機能することが確認された(図7及び8)。
本発明の皮膚外用剤は、爪幹細胞の増殖、爪や毛髪の伸長を促進するために有用である。また、本発明の外用剤は、皮膚への塗布を介して効果を発揮し得るため、経口投与等と比して、より体への負担が少ないため、より安全な薬剤となり得ることが期待できる。

Claims (9)

  1. Wntシグナル伝達経路作用物質を含む、皮膚外用剤。
  2. Wntシグナル伝達経路作用物質がGSK3β阻害薬である、請求項1に記載の皮膚外用剤。
  3. GSK3β阻害薬がリチウム塩である、請求項2に記載の皮膚外用剤。
  4. リチウム塩が、塩化リチウム、炭酸リチウム、クエン酸リチウム、オロチン酸リチウム、フッ化リチウム、臭化リチウム、酢酸リチウム、コハク酸リチウム、グルコン酸リチウム、ヨウ化リチウム、硫酸リチウム、硝酸リチウム及びスルホン酸リチウムからなる群から選択される、請求項3に記載の皮膚外用剤。
  5. リチウム塩が、塩化リチウム、炭酸リチウム、クエン酸リチウム又はオロチン酸リチウムである、請求項4に記載の皮膚外用剤。
  6. リチウム塩が塩化リチウムである、請求項5に記載の皮膚外用剤。
  7. 爪幹細胞の増殖促進用、又は毛髪の伸長促進用である、請求項1~6のいずれか一項に記載の皮膚外用剤。
  8. 爪幹細胞の増殖促進用である、請求項7に記載の皮膚外用剤。
  9. 爪幹細胞の増殖促進が爪及び甘皮の伸長促進である、請求項8に記載の皮膚外用剤。

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