JP2023136442A - 改質領域形成方法、貫通孔形成方法、集光レンズ装置及び改質領域を有する物品の製造方法 - Google Patents

改質領域形成方法、貫通孔形成方法、集光レンズ装置及び改質領域を有する物品の製造方法 Download PDF

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伸晃 橋元
Nobuaki Hashimoto
政敏 米窪
Masatoshi Yonekubo
尊史 中澤
Takashi Nakazawa
篤 宮澤
Atsushi Miyazawa
隆雄 林
Takao Hayashi
崇 楠本
Takashi Kusumoto
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【課題】物品に貫通孔を形成したとき、表面おける貫通孔の内径と、貫通孔の深さ方向の中央部における内径との差を小さくすることができる改質領域形成方法を提供する。【解決手段】極短パルスレーザー光を物品10の改質領域20を形成する位置に集光レンズ系140を介して照射することによって物品10の表面10aから裏面10cに達する改質領域20を形成する改質領域形成工程を有する改質領域形成方法であって、集光レンズ系140は、極短パルスレーザー光161の光軸165に沿って配置された2個のアキシコンレンズ141、143と、2個のアキシコンレンズの間に配置された凸レンズ142と、を備え、集光レンズ系140を通過した極短パルスレーザー光161は、円環状の収束性ベッセルビーム164となり、円環状の収束性ベッセルビーム164は、物品10の表面10aと裏面10cとの間で収束するように構成されている。【選択図】図1

Description

本発明は、改質領域形成方法、貫通孔形成方法、集光レンズ装置及び改質領域を有する物品の製造方法に関する。
板状基材の表面及び裏面に形成される配線パターンの導通をとるための貫通電極が形成されているインターポーザーは、電子部品を高密度で実装可能であることから、電子機器において広く使用されている。インターポーザーの材料としては、ガラス、エポキシ樹脂、シリコンなどが例示できるが、これらの中でも、特に、ガラスは高周波特性に優れ、また、平面度が高い、反りが少ない、大面積での加工が可能、安価に大量生産が可能といった利点があることに加え、配線パターンを形成するためのフォトリソグラフィー技術も確立されていることから、インターポーザーとして優れた材料であるとされている。
ガラスを用いてインターポーザーを作成するには、平板状のガラス基板に例えば150μm以下といった微細な貫通孔(TGV:Through Glass Vias)を多数形成する必要がある。このような貫通孔を形成するには、レーザー光を使用することが一般的であり、従来、様々な技術が提案されている(例えば、特許文献1)。
特許文献1に記載されている貫通孔形成方法では、ピコ秒からナノ秒といったパルス幅を有するパルスレーザー光をガラス基板に照射することにより、ガラス基板に局所的な破壊を生じさせてフィラメント状のチャネル(改質部に対応する)を形成し、その後、フィラメント状のチャネルの箇所を、対をなす電極で挟んで、当該対をなす電極に高電圧を印加することによって、当該フィラメント状のチャネルを所望の孔径まで拡大する。
改質部が形成されている箇所に所望とする孔を形成する手段としては、特許文献1に記載されている孔形成方法のように、対をなす電極に高電圧を印加するという方法も一例ではあるが、より簡便な方法でかつ大量生産が可能な方法として、フッ酸、フッ酸を含む酸等のフッ酸系エッチング液によりエッチングを行う方法が一般的に採用されている。
特表2013-534868号公報
しかしながら、貫通孔を形成するために改質領域を形成したガラス基板に対して、フッ酸系エッチング液を用いてエッチングを行うと、改質領域に対しては、エッチング速度が速く、基板の厚さ方向に進むエッチングが起きるのに対し、改質を行っていない非改質領域に対しては、エッチング速度が遅く、基板の横方向に進むエッチングが起きる。このとき、改質領域に対するエッチングと非改質領域に対するエッチングとのエッチング速度の違いによって、ガラス基板の中央付近における貫通孔の内径が、表面付近の貫通孔の内径より小さくなることがある、という課題がある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、改質領域を形成した物品を、フッ酸系エッチング液によりエッチングして貫通孔を形成したときに、表面付近における貫通孔の内径と、貫通孔の深さ方向の中央部における内径との差を小さくすることができる、改質領域形成方法を提供すること、貫通孔形成方法を提供すること、改質領域を形成することができる集光レンズ装置を提供すること、及び、改質領域を有する物品の製造方法を提供すること、を目的とする。
[1]本発明の改質領域形成方法は、極短パルスレーザー光を被加工部材としての物品の改質領域を形成する位置に集光レンズ系を介して照射することによって前記物品の表面から裏面に達する改質領域を形成する改質領域形成工程を有する改質領域形成方法であって、前記集光レンズ系は、前記極短パルスレーザー光の光軸に沿って配置された2個のアキシコンレンズと、前記2個のアキシコンレンズの間に配置された凸レンズと、を備え、前記集光レンズ系を通過した前記極短パルスレーザー光は、円環状の収束性ベッセルビームとなり、当該円環状の収束性ベッセルビームは、前記物品の前記表面と前記裏面との間で収束するように構成されている改質領域形成方法である。
[2]本発明の改質領域形成方法は、上記した改質領域形成方法であって、前記物品の光軸方向における前記表面と前記裏面との中央の位置の前記極短パルスレーザー光の光密度分布におけるメインピークの位置での光密度は、前記物品の前記表面の前記極短パルスレーザー光の光密度分布におけるメインピークの位置での光密度より大きいことが好ましい。
[3]本発明の改質領域形成方法は、上記した改質領域形成方法であって、前記物品の前記表面の前記極短パルスレーザー光の光密度分布におけるメインピークの位置での光密度は、前記物品が改質される閾値より大きく、前記物品の前記表面の前記極短パルスレーザー光の光密度分布における第1回折リングの位置での光密度は、前記物品が改質される閾値より小さいことが好ましい。
[4]本発明の改質領域形成方法は、上記した改質領域形成方法であって、前記物品の前記光軸方向における前記表面と前記裏面との中央の位置の前記極短パルスレーザー光の光密度分布における第1回折リングの位置での光密度は、前記物品が改質される閾値より大きいことが好ましい。
[5]本発明の改質領域形成方法は、上記した改質領域形成方法であって、前記物品の前記光軸方向における前記表面と前記裏面との中央の位置の前記極短パルスレーザー光の光密度分布におけるメインピークの位置での光密度は、前記物品の前記表面の前記極短パルスレーザー光の光密度分布のメインピークの位置での光密度の6倍より大きいことが好ましい。
[6]本発明の改質領域形成方法は、上記した改質領域形成方法であって、前記凸レンズは非球面レンズであることが好ましい。
[7]本発明の改質領域形成方法は、上記した改質領域形成方法であって、前記2個のアキシコンレンズの間に凹レンズを有することが好ましい。
[8]本発明の改質領域形成方法は、上記した改質領域形成方法であって、前記集光レンズ系に入射される極短パルスレーザー光の光密度の面内分布は、ガウス分布であることが好ましい。
[9]本発明の改質領域形成方法は、上記した改質領域形成方法であって、集光レンズ系に入射するレーザー光の光密度分布を補正する補正光学系を有し、前記補正光学系は、中央部の光密度を大きくする補正を行うことが好ましい。
[10]本発明の改質領域形成方法は、上記した改質領域形成方法であって、前記補正光学系は、第1の非球面と第2の非球面とを有し、前記集光レンズ系に入射される極短パルスレーザー光の光密度の面内分布がガウス分布であるときに、中央部の光密度がより大きくなるように構成されていることが好ましい。
[11]本発明の貫通孔形成方法は、上記した改質領域形成方法のいずれかと、前記改質領域を形成した前記物品をエッチングして貫通孔を形成するエッチング工程と、を有する。
[12]本発明の集光レンズ装置は、極短パルスレーザー光を被加工部材としての物品の改質領域を形成する位置に集光レンズ系を介して照射することにより前記物品の表面から裏面に達する改質領域を形成する集光レンズ装置であって、前記集光レンズ系は、前記極短パルスレーザー光の光軸に沿って配置された2個のアキシコンレンズと、前記2個のアキシコンレンズの間に配置された凸レンズと、を備え、前記集光レンズ系を通過した前記極短パルスレーザー光は、円環状の収束性ベッセルビームとなり、当該円環状の収束性ベッセルビームは、前記物品の前記表面と前記裏面との間で収束するように構成されている集光レンズ装置である。
[13]本発明の改質領域を有する物品の製造方法は、極短パルスレーザー光を物品の改質領域を形成する位置に集光レンズ系を介して照射することにより、前記物品の表面から裏面に達する改質領域を形成する改質領域形成工程を有する、改質領域を有する物品の製造方法であって、前記集光レンズ系は、前記極短パルスレーザー光の光軸に沿って配置された2個のアキシコンレンズと、前記2個のアキシコンレンズの間に配置された凸レンズと、を備え、前記集光レンズ系を通過した前記極短パルスレーザー光は、円環状の収束性ベッセルビームとなり、当該円環状の収束性ベッセルビームは、前記物品の前記表面と前記裏面との間で収束するように構成されている改質領域を有する物品の製造方法である。
本発明の改質領域形成方法によれば、まず、2個のアキシコンレンズのうち光源に近い側に配置された第1のアキシコンレンズが、極短パルスレーザー光を円環状のベッセルビームに変換する。次に、2個のアキシコンレンズの間に配置された凸レンズが、円環状のベッセルビームを収束性のベッセルビームに変換する。ここでいう「収束」とは、第1のアキシコンレンズにおいて形成された円環状ベッセルビームの円環形状に対して、ビームが収束しているという意味であり、具体的には、円環の厚さが薄くなる方向に変化することをいう。
さらに、2個のアキシコンレンズのうち、物品に近い側に配置された第2のアキシコンレンズが、円環状の収束性ベッセルビームを極短パルスレーザー光の光軸に対して「収束」させる。第2のアキシコンレンズにより収束させられた円環状の収束性ベッセルビームは、物品の表面と裏面との間に収束する。
これにより、物品の改質領域を形成する位置において、改質領域形成方向の物品中央における光密度分布のメインピークの位置における光密度を、物品表面における光密度分布のメインピークの位置における光密度より大きくすることができる。この結果、物品表面よりも改質領域形成方向の物品中央位置において、広い領域に渡って改質領域を形成することができる。
さらに、エッチングを行ったあとの貫通孔の深さ方向の中央部における貫通孔の内径を大きくすることができ、貫通孔の開口部の内径と貫通孔の深さ方向中央部の内径との差を小さくすることができる。
また、貫通孔の深さ方向の中央部の貫通孔の内径を広げることができるので、より厚い基板に貫通孔を形成することもできるという効果もある。
本発明の集光レンズ装置によれば、物品の改質領域を形成する位置において、改質領域形成方向の物品中央における光密度分布のメインピークの位置における光密度を、物品表面における光密度分布のメインピークの位置における光密度より大きくすることができる。これにより、物品表面よりも改質領域形成方向の物品中央位置において、広い領域に渡って改質領域を形成することができる。
この結果、エッチングを行ったあとの貫通孔の深さ方向の中央部における貫通孔の内径を大きくすることができ、貫通孔の開口部の内径と貫通孔の深さ方向中央部の内径との差を小さくすることができる。
本発明の改質領域を有する物品の製造方法によれば、物品の改質領域を形成する位置において、改質領域形成方向の物品中央における光密度分布のメインピークの位置における光密度を、物品表面における光密度分布のメインピークの位置における光密度より大きくすることができる。これにより、物品表面よりも改質領域形成方向の物品中央位置において、広い領域に渡って改質領域を有する物品を製造することができる。
この結果、エッチングを行ったあとの貫通孔の深さ方向の中央部における貫通孔の内径を大きくすることができ、貫通孔の開口部の内径と貫通孔の深さ方向中央部の内径との差を小さくすることができる。
実施形態1に係る改質領域形成方法を用いてガラス基板10に改質領域を形成する際に、好適に用いることができるレーザー加工装置100Aの一例を示す図。 凸レンズ142の焦点距離とガラス基板10の厚さ方向の光密度分布との関係を示す図。 凸レンズ142として焦点距離が異なる凸レンズを使用したときに、集光レンズ系140を出射した円環状の収束性ベッセルビーム164が収束する位置を示す図。 第2のアキシコンレンズ143の頂角とガラス基板10の厚さ方向の光密度分布との関係を示す図。 集光レンズ系140に入射させるレーザー光161の光密度分布とガラス基板の厚さ方向の光密度分布との関係を示す図。 実施形態1に係る改質領域形成方法により改質領域を形成し、及び、貫通孔形成方法により貫通孔を形成したガラス基板10の概略図。 実施形態1に係る改質領域形成方法、及び、貫通孔形成方法の工程を示すフローチャート。 ガラス基板10に円環状の収束性ベッセルビーム164を照射したときの、光束を説明するための図。 ガラス基板10に円環状の収束性ベッセルビーム164を照射したときの、光密度分布を示す図。 実施形態2における、補正光学系150の一例を示す図。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「実施形態」と記す。)を説明する。以下に記載する実施形態は、発明を実施するための好適な形態を示すものであって、本発明は以下に記す実施形態に何ら限定されるものではない。また、各実施形態において説明が重複する場合は、説明を省略することがある。
1.実施形態1
1-1.レーザー加工装置
まず、実施形態1の改質領域形成方法及び貫通孔形成方法に好適に用いることができる、レーザー加工装置について説明する。
図1は、実施形態1に係る改質領域形成方法を用いてガラス基板10に改質領域を形成する際に、好適に用いることができるレーザー加工装置100Aである。図1には、互いに直行するx軸、y軸及びz軸を示している。図1において、x軸方向及びy軸方向は水平方向に対応しており、z軸方向は鉛直方向(重力方向)に対応している。
1-1-1.レーザー加工装置の概要
図1に示すように、レーザー加工装置100Aは、図示しないテーブルに載置された物品としてのガラス基板10に極短パルスレーザー光(以下、「レーザー光」と記す。)161を照射するレーザー発振器120と、レーザー発振器120から照射されるレーザー光161をガラス基板10の照射位置に導く導光光学系130と、円環状の収束性ベッセルビームをガラス基板の表面と裏面との間で収束させる集光レンズ系140と、を有する。
レーザー加工装置100Aは、レーザー発振器120と集光レンズ系140との間に、集光レンズ系140に入射する光密度分布を補正する補正光学系150を備えてもよい。
ガラス基板10は、平板状をなしており、図示しないテーブルに載置されている。テーブルに載置されたガラス基板10は、図示しないテーブル駆動手段によって、x軸とy軸とで構成されるxy平面上の移動と、上下方向のz軸に沿った移動とが可能になっている。そして、テーブルをxy平面上で移動制御することによって、ガラス基板10のxy平面上におけるレーザー光の照射位置を調整することができる。また、テーブルをz軸方向に移動制御することによって、円環状の収束性ベッセルビーム164が、ガラス基板10の基板表面10aと基板裏面10cとの間で収束するように、ガラス基板10のz軸方向の位置を調整することができる。
また、集光レンズ系140のz軸方向の位置を、導光光学系130のミラー131とガラス基板10との間で調整することにより、円環状の収束性ベッセルビーム164をガラス基板10の基板表面10aと基板裏面10cとの間に収束させることも可能である。
導光光学系130は、ミラー131を有し、レーザー発振器120から発せられるレーザー光161をミラー131で90度の角度で反射させる。90度の角度で反射したレーザー光161は、集光レンズ系140を介して、ガラス基板10の表面10aに対して垂直に入射されるように設定されている。
実施形態1においては、レーザー発振器120、導光光学系130及び集光レンズ系140を含めてレーザー照射ユニット160とする。
1-1-2.集光レンズ系
集光レンズ系140は、レーザー光161の光軸165に沿って配置された2個のアキシコンレンズである、第1のアキシコンレンズ141及び第2のアキシコンレンズ143と、2個のアキシコンレンズの間に配置された凸レンズ142と、を備える。
ここで、集光レンズ系140は、第1のアキシコンレンズ141を、頂角が異なるアキシコンレンズに交換して使用できるように構成されている。また、凸レンズ142を、焦点距離が異なる凸レンズに交換して使用できるように構成されている。さらに、第2のアキシコンレンズ143を、頂角が異なるアキシコンレンズに交換して使用できるように構成されている。
これにより、詳細は後で説明するが、ガラス基板10の改質領域20を形成する位置において、ガラス基板10の基板表面10aと基板裏面10cとの中央の位置(基板中央)10b(図6参照)でのレーザー光の光軸165に垂直な面の光密度分布におけるメインピークの位置での光密度を、基板表面10aのレーザー光の光軸165に垂直な面の光密度分布におけるメインピークの位置での光密度、及び、基板裏面10cのレーザー光の光軸165に垂直な面の光密度分布におけるメインピークの位置での光密度より、大きくすることができる。
これにより、ガラス基板10の基板表面10aと基板裏面10cとの中央の位置(基板中央)10bにおいて、基板表面10a及び基板裏面10cよりも、広い範囲に改質領域20を形成することができる。
なお、以後の明細書において、「基板表面10aと基板裏面10cとの中央の位置10b」を「基板中央10b」と、「レーザー光161の光軸165」を「光軸165」と記す。また、「基板表面10aの光軸165に垂直な面における光密度分布」を「基板表面10aの光密度分布」と、「基板中央10bの光軸165に垂直な面における光密度分布」を「基板中央10bの光密度分布」と、「基板裏面10cの光軸165に垂直な面における光密度分布」を「基板裏面10cの光密度分布」と、記す。
以下に、集光レンズ系140の構成要素である、第1のアキシコンレンズ141、凸レンズ142及び第2のアキシコンレンズ143について、詳細に説明する。
第1のアキシコンレンズ141は、レーザー発振器120から出射されたレーザー光161を、円環状のベッセルビーム162に変換して、凸レンズ142に入射させる。
集光レンズ系140においては、第1のアキシコンレンズ141を、頂角が異なるアキシコンレンズに交換して使用できるように構成されている。
第1のアキシコンレンズ141の円錐の頂点141aは、レーザー発振器120の向きに配置されることが好ましい。第1のアキシコンレンズ141の円錐の頂点141aを、レーザー発振器120の向きに配置することにより、第1のアキシコンレンズ141で反射したレーザー光161がレーザー発振器120に戻り、レーザー発振器120を破損することを未然に防止することができる。
第1のアキシコンレンズ141の頂角は、後で説明する第2アキシコンレンズ143の頂角より大きい限り、特に制限されないが、145°~175°の範囲であることが好ましく、150°~170°の範囲であることがさらに好ましい。
第1のアキシコンレンズ141の頂角を、第2のアキシコンレンズ143の頂角より大きい角度に設定することにより、円環状の収束性ベッセルビーム164を、収束させることができる。
また、第1のアキシコンレンズ141の頂角が、上記数値範囲の上限以下であることにより、集光レンズ系140の全体の長さを、適切な長さに抑えることができる。一方、第1のアキシコンレンズ141の頂角が、上記数値範囲の下限以上であることにより、集光レンズ系140からガラス基板10までの距離、いわゆるワーキングディスタンスが短くなりすぎず、適切な長さのワーキングディスタンスを確保することができる。
さらに、第1のアキシコンレンズ141の頂角が上記範囲内であることにより、ガラス基板10の基板中央10bの光密度分布におけるメインピークの位置での光密度を、基板表面10aの光密度分布におけるメインピークの位置での光密度、及び、基板裏面10cの光密度分布におけるメインピークの位置での光密度より、よりいっそう、大きくすることができる
これにより、ガラス基板10の基板中央10bにおいて、基板表面10a及び基板裏面10cよりも、より広い範囲に改質領域20を形成することができる(図6参照)。
凸レンズ142は、第1のアキシコンレンズ141と第2のアキシコンレンズ143との間に配置される。凸レンズ142は、第1のアキシコンレンズ141から出射された円環状のベッセルビーム162を、円環状の収束性ベッセルビーム163に変換して、第2のアキシコンレンズ143に入射させる。ここでいう「収束性」とは、第1のアキシコンレンズにより形成された円環状のベッセルビーム162の円環形状に対して、ビームが収束しているという意味である。
集光レンズ系140においては、凸レンズ142を、焦点距離が異なる凸レンズに交換して使用できるように構成されている。
凸レンズ142は、正の屈折力を有するレンズであれば制限なく使用することができ、両凸レンズ、凸平レンズ、凸凹レンズ等の凸レンズを使用することができる。
また、凸レンズ142として、凸面が球面の一部を構成する球面レンズに加え、非球面レンズを使用することができる。凸レンズ142として非球面レンズを使用することにより、球面収差を小さく抑えることができる。
さらに、凸レンズ142は、複数の光学要素を組み合わせて、正の屈折力を生じるようにしたものであってもよい。例えば、一又は複数の凸レンズと一又は複数の凹レンズとを組み合わせて、正の屈折力を生じるようにしてもよい。一又は複数の凸レンズと一又は複数の凹レンズとを組み合わせることにより、球面収差を小さく抑えることが可能である。
凸レンズの球面収差を小さく抑えることにより、基板中央10bの光密度分布におけるメインピークの位置での光密度を、基板表面10aの光密度分布におけるメインピークの位置での光密度、及び、基板裏面10cの光密度分布におけるメインピークの位置での光密度より、よりいっそう、大きくすることができる。さらに、凸レンズの球面収差を抑えることにより、基板表面10aにおける光密度分布と基板裏面10cにおける光密度分布との均一性を向上させることができる。
凸レンズの焦点距離は、特に制限されないが、100mm~200mmであることが好ましく、100mm~150mmであることがより好ましい。凸レンズの焦点距離が上記範囲内であることにより、ガラス基板10の改質領域20を形成する位置において、基板中央10bの光密度分布におけるメインピークの位置での光密度を、基板表面10aの光密度分布におけるメインピークの位置での光密度、及び、基板裏面10cの光密度分布におけるメインピークの位置での光密度より、よりいっそう、大きくすることができる。
これにより、ガラス基板10の基板中央10bにおいて、基板表面10a及び基板裏面10cよりも、より広い範囲に改質領域20を形成することができる(図6参照)。
図2は、凸レンズ142の焦点距離とガラス基板10の厚さ方向の光密度分布との関係を示す図である。凸レンズ142の焦点距離を100mm、150mm、200mm、300mmの4水準に変化させ、基板表面10a、基板中央10b及び基板裏面10cの光軸165の位置における光密度をシミュレーションした。第1のアキシコンレンズ141の頂角は160°、第2アキシコンレンズ143の頂角は130°とし、ガラス基板10の厚さは、1mmとした。
横軸は、ガラス基板10の厚さ方向の位置を示す。原点は基板中央10bである。縦軸は、図2(a)においては、光密度を示し、図2(b)においては、原点(基板中央10b)の位置における光密度で正規化した光密度を示す。
図2より、凸レンズ142の焦点距離が100mm、150mm、200mmの場合、基板中央10bの光密度は、基板表面10aの光密度、及び、基板裏面10cの光密度の6倍以上であり、基板中央10bの光密度が、基板表面10aの光密度、及び、基板裏面10cの光密度より十分に高いことが確認できる。
なお、焦点距離が100mmの場合は、基板中央10bの光密度は高いが、同時に、基板表面10aの光密度、及び、基板裏面10cの光密度が低くなっている。
図3は、凸レンズ142として焦点距離が異なる凸レンズを使用したときに、集光レンズ系140を出射した円環状の収束性ベッセルビーム164が収束する位置を示す図である。図3より、凸レンズ142として、焦点距離が短い凸レンズ142を使用したとき、円環状の収束性ベッセルビーム164は、焦点距離が長い凸レンズ142を使用したときに比べ、集光レンズ系140に近い位置であって、光軸165が延在する方向において狭い範囲に収束することがわかる。
凸レンズ142として焦点距離が100mmの凸レンズを使用した場合、円環状の収束性ベッセルビーム164は、基板表面10aと基板裏面10cとの間の基板中央10bに近い位置に収束したと考えられる。この結果、基板表面10a及び基板裏面10cにおいては、円環状の収束性ベッセルビーム164は十分に収束しておらず、基板表面10aの光密度、及び、基板裏面10cの光密度が小さくなったと思われる。
基板表面10aの光密度、及び、基板裏面10cの光密度を、ガラス基板10を改質できるレベルまで大きくするために、レーザー発振器120から出射されるレーザー光161のパワーを大きくすることができる。
第2のアキシコンレンズ143は、光軸165に沿って配置され、円環状の収束性ベッセルビーム163を光軸165に対して収束させる。第2のアキシコンレンズ143により収束させられた円環状の収束性ベッセルビーム164は、ガラス基板10の基板表面10aと基板裏面10cとの間に収束する。
集光レンズ系140においては、第2のアキシコンレンズ143を、頂角が異なるアキシコンレンズ143に交換して使用できるように構成されている。また、第2のアキシコンレンズ143の円錐の頂点143aが配置される向きは、ガラス基板10の向きであっても、凸レンズ142の向きであってもよい。
なお、第2のアキシコンレンズ143の円錐の頂点143aをガラス基板10の向きに配置した場合には、円環状の収束性ベッセルビーム163が第2のアキシコンレンズ143の平面側から入射することになり、第2のアキシコンレンズ143に対する収束性ベッセルビーム163の入射角が垂直に近くなる。これにより、第2のアキシコンレンズ143に施されたコーティグの性能を発揮させ、第2のアキシコンレンズ143に入射する円環状の収束性ベッセルビーム163の透過率を高くすることができることができる。
一方、第2のアキシコンレンズ143の円錐の頂点143aを凸レンズ142の向きに配置した場合には、破損しやすいアキシコンレンズ143の円錐の頂点143aを鏡筒内向きに設置できる。これにより、装置の取り回しが容易になるという効果を有する。
第2のアキシコンレンズ143の頂角は、第1アキシコンレンズ141の頂角より小さい限り、特に制限されないが、120°~150°であることが好ましく、120°~140°であることがさらに好ましい。
第2のアキシコンレンズ143の頂角を、第1のアキシコンレンズ141の頂角より小さい角度に設定することにより、円環状の収束性ベッセルビーム164を、収束させることができる。
また、第2のアキシコンレンズ142の頂角が、上記数値範囲の上限以下であることにより、集光レンズ系140の全体の長さを、適切な長さに抑えることができる。一方、第2のアキシコンレンズ143の頂角が、上記数値範囲の下限以上であることにより、集光レンズ系140からガラス基板10までの距離、いわゆるワーキングディスタンスが短くなりすぎず、適切な長さのワーキングディスタンスを確保することができる。
さらに、第2のアキシコンレンズ143の頂角が上記範囲内であることにより、ガラス基板10の基板中央10bの光密度分布におけるメインピークの位置での光密度を、基板表面10aの光密度分布におけるメインピークの位置での光密度、及び、基板裏面10cの光密度分布におけるメインピークの位置での光密度より、よりいっそう、大きくすることができる。
図4は、第2のアキシコンレンズ143の頂角とガラス基板10の厚さ方向の光密度分布との関係を示す図である。第2のアキシコンレンズ143の頂角を120°、130°、140°、150°の4水準に変化させ、基板表面10a、基板中央10b及び基板裏面10cの光軸165の位置における光密度をシミレーションした。第1のアキシコンレンズ141の頂角は160°、凸レンズ142の焦点距離は200mmとし、ガラス基板10の厚さは、1mmとした。
横軸は、ガラス基板10の厚さ方向の位置を示す。原点は基板中央10bである。縦軸は、図4(a)においては、光密度を示し、図4(b)においては、原点(基板中央10b)の位置における光密度で正規化した光密度を示す。
図4より、第2のアキシコンレンズ143の頂角が120°、130°の場合において、基板中央10bの光密度は、基板表面10aの光密度、及び、基板裏面10cの光密度の6倍以上であり、基板中央10bの光密度が、基板表面10aの光密度、及び、基板裏面10cの光密度より十分に高いことが確認できる。
なお、第2のアキシコンレンズ143の頂角が120°の場合、基板中央10bの光密度は高いが、同時に、基板表面10aの光密度、及び、基板裏面10cの光密度が低くなている。
これは、頂角が小さい第2のアキシコンレンズ143を使用した場合、円環状の収束性ベッセルビーム164が、基板中央10bに近い位置で収束するためと考えられる。この結果、基板表面10a及び基板裏面10cにおいては、円環状の収束性ベッセルビーム164は十分に収束しておらず、この結果、基板表面10aの光密度、及び、基板裏面10cの光密度が小さくなったと思われる。
基板表面10aの光密度、及び、基板裏面10cの光密度を、ガラス基板10を改質できるレベルまで大きくするために、レーザー発振器120から出射されるレーザー光161のパワーを大きくすることができる。
上記したように、集光レンズ系140においては、第1のアキシコンレンズ141を、頂角が異なるアキシコンレンズに交換して使用できるように構成されている。また、凸レンズ142を、焦点距離が異なる凸レンズに交換して使用できるように構成されている。さらに、第2のアキシコンレンズ143を、頂角が異なるアキシコンレンズに交換して使用できるように構成されている。
これにより、集光レンズ系140は、円環状の収束性ベッセルビーム164を収束させる位置を調整することができる。すなわち、集光レンズ系140は、円環状の収束性ベッセルビーム164を、ガラス基板10の基板表面10aと基板裏面10cとの間に収束させることができる。
さらに、基板中央10bの光密度分布におけるメインピークの位置での光密度を、基板表面10aの光密度分布におけるメインピークの位置での光密度、及び、基板裏面10cの光密度分布におけるメインピークの位置での光密度より大きくすることができる。
これにより、ガラス基板10の基板中央10bにおいて、基板表面10a及び基板裏面10cよりも、より広い範囲に改質領域20を形成することができる。
次に、実施形態1のレーザー加工装置において使用することができるレーザー発振器120について説明する。
レーザー発振器120は、極短パルスレーザー光を発信するレーザー発振器(フェムト秒パルスレーザー発振器又はピコ秒パルスレーザー発振器)であり、波長は800nm~2000nmのレーザー光161を出力する。例えば、RAYDIANCE社製のRシリーズ発振器(波長1553nm、出力10W~15W、パルス幅500fsec~800fsec)、COHERENT社製のMonacoシリーズ発振器(波長1035nm、出力20W~40W、パルス幅400fsec~10psec)、TRUMPF社製のTruMicroシリーズ発振器(波長1030nm、出力10W~50W、パルス幅400fsec~20psec)などを使用することができる。
実施形態1では、パルス幅が10psec以下のパルスレーザー光を使用するものとし、当該パルスレーザー光は、波長1030nm、ビーム径3mm~6mm、平均出力50Wであるものを使用する。
レーザー発振器120が発するレーザー光161の光密度分布は、ガウス分布であることが好ましい。レーザー光161の光密度分布がガウス分布であることにより、円環状の収束性ベッセルビーム164が、ガラス基板10の基板表面10aと基板裏面10cとの間で収束したとき、ガラス基板10の改質領域20を形成する位置において、基板中央10bの光密度分布におけるメインピークの位置での光密度を、基板表面10aの光密度分布におけるメインピークの位置での光密度、及び、基板裏面10cの光密度分布におけるメインピークの位置での光密度より大きくすることができる。
これにより、ガラス基板10の基板中央10bにおいて、基板表面10a及び基板裏面10cよりも、広い範囲に改質領域20を形成することができる。
図5は、集光レンズ系140に入射させるレーザー光161の光密度分布とガラス基板の厚さ方向の光密度分布との関係を示す図である。集光レンズ系140に入射させるレーザー光161の光密度分布を、ガウス分布、又は、フラットな分布に変化させ、基板表面10a、基板中央10b及び基板裏面10cの光軸165の位置における光密度をシミレーションした。第1のアキシコンレンズ141の頂角は160°、第2のアキシコンレンズ143の頂角は130°、凸レンズ142の焦点距離は200mmとし、ガラス基板10の厚さは、1mmとした。
横軸は、ガラス基板10の厚さ方向の位置を示す。原点は基板中央10bである。縦軸は、図5(a)においては、光密度を示し、図5(b)においては、原点(基板中央10b)の位置における光密度で正規化した光密度を示す。
図5より、レーザー光151の光密度分布がガウス分布の場合の方が、基板中央10bにおける光密度が大きいことがわかる。すなわち、実施形態1の改質領域形成方法においては、集光レンズ系140に入射させるレーザー光161として、光密度分布が光軸165を中心に分布しているレーザー光、例えばガウス分布を有するレーザー光が好ましいことが、確認できる。
1-2.改質領域形成方法、及び、貫通孔形成方法
次に、実施形態1に係る改質領域形成方法、及び、貫通孔形成方法について説明する。図6は、実施形態1に係る改質領域形成方法により改質領域を形成し、及び、貫通孔形成方法により貫通孔を形成したガラス基板10の概略図である。図7は、実施形態1に係る改質領域形成方法、及び、貫通孔形成方法の工程を示すフローチャートである。
実施形態1に係る改質領域形成方法は、物品としてのガラス基板10に、改質領域20を形成する改質領域形成工程(ステップST1)を含む。また、貫通孔形成方法は、上記した改質領域形成工程(ステップST1)と、改質領域20を形成したガラス基板10をエッチングして貫通孔を形成するエッチング工程(ステップST2)と、を含む。
1-2-1.改質領域形成工程
実施形態1に係る改質領域形成工程は、例えば、図1に示すレーザー加工装置100Aを用いて、レーザー光161を被加工部材としての物品であるガラス基板10の改質領域20を形成する位置に集光レンズ系140を介して照射し、ガラス基板10の表面10aから裏面10cに達する改質領域20を形成する工程である(ステップST1)。集光レンズ系140は、第1のアキシコンレンズ141、凸レンズ142及び第2のアキシコンレンズ143を有する。
第1のアキシコンレンズ141は、レーザー光161を、円環状のベッセルビーム162に変換して、凸レンズ142に入射させる。
凸レンズ142は、第1のアキシコンレンズ141と第2のアキシコンレンズ143との間に配置される。凸レンズ142は、第1のアキシコンレンズ141から出射された円環状のベッセルビーム162を、円環状の収束性ベッセルビーム163に変換して、第2のアキシコンレンズ143に入射させる。
第2のアキシコンレンズ143は、円環状の収束性のベッセルビーム164をガラス基板10に照射する。
ここで、集光レンズ系140は、第1のアキシコンレンズ141を、頂角が異なるアキシコンレンズに交換して使用できるように構成されている。また、凸レンズ142を、焦点距離が異なる凸レンズに交換して使用できるように構成されている。さらに、第2のアキシコンレンズ143を、頂角が異なるアキシコンレンズに交換して使用できるように構成されている。
これにより、ガラス基板10の改質領域20を形成する位置において、基板中央10bの光密度分布におけるメインピークの位置での光密度を、基板表面10aの光密度分布におけるメインピークの位置での光密度、及び、基板裏面10cの光密度分布におけるメインピークの位置での光密度より大きくすることができる。
以下に、円環状の収束性ベッセルビーム164の、ガラス基板10の基板中央10bの光密度分布におけるメインピークの位置での光密度を、基板表面10aの光密度分布におけるメインピークにおける光密度、及び、基板裏面10cの光密度分布におけるメインピークにおける光密度より大きくすることができるメカニズムを説明する。
図8は、ガラス基板10に円環状の収束性ベッセルビーム164を照射したときの、光束を説明するための図である。図9は、ガラス基板10に円環状の収束性ベッセルビーム164を照射したときの、光密度分布を示す図である。図9(a)は、基板表面10aのA-Aの位置における光密度分布であり、図9(b)は、基板中央10bのB-Bの位置における光密度分布であり、図9(c)は、基板裏面10cのC-Cの位置における光密度分布である。
なお、図8を見ると、基板表面10a及び基板裏面10cにおいて、光軸165の位置には円環状の収束性ベッセルビーム164の光束が存在しないにもかかわらず、図9(a)の基板表面10aにおける光密度分布、及び、図9(c)の基板裏面10cにおける光密度分布を見ると、光軸165の位置に光密度のメインピーク61a、61cが存在していることがわかる。これは、基板表面10a及び基板裏面10cにおいては、円環状の収束性ベッセルビーム164の円環が収束することにより近接しているため、相互に作用して、光軸165の位置にメインピークが現れたものである。
図9(a)~(c)において、横軸は、光軸165からの距離を示し、縦軸は、光密度を示す。それぞれのグラフは、比較できるよう、縦軸及び横軸のスケールを揃えている。
まず、図9(b)の基板中央10bの光密度分布について説明する。基板中央10bにおいては、光軸165の位置、すなわちグラフ横軸の原点の位置に、光密度が最大となるメインピーク61bが認められる。
また、メインピーク61bの両側に第1回折リング62b、さらに第2回折リング63bが認められる。メインピーク61bの位置での光密度は、第1回折リング62bの位置での光密度の約6倍、第2回折リングの位置での光密度の約13倍である。
グラフに、ガラス10が改質される光密度である、閾値65を示す。ここで閾値65とは、ガラス基板10にレーザー光を照射したとき、ガラスの結晶構造が破壊され、改質が起きる光密度である。
基板中央10bの光密度分布を閾値65と比較する。メインピーク61bの位置での光密度と第1回折リング62bの位置での光密度とが、閾値65を超えている。すなわち、ガラス基板10の基板中央10bにおいては、メインピーク61bの位置と、第1回折リング62bの位置とで、改質が起きている。一方、メインピーク61bの位置と第1回折リング62bの位置との間に、光密度が閾値65に達していない領域がある。この領域は改質が起きていない。
次に、図9(a)の基板表面10aの光密度分布について説明する。基板表面10aにおいては、光軸165の位置に、光密度分布が最大となるメインピーク61aが認められる。基板表面10aの光密度分布におけるメインピーク61aの位置での光密度は、基板中央10bの光密度分布におけるメインピーク61bの位置での光密度より小さい。
また、メインピークの外側に、第1回折リング62aが存在する。基板表面10aの光密度分布における第1リング62aの位置での光密度も、基板中央10bの光密度分布における第1リング62bの位置での光密度より小さい。
基板表面10aの光密度分布を改質が起きる閾値65と比較すると、メインピーク61aの位置での光密度は閾値65を超えているが、第1回折リング62aの位置での光密度は閾値65より低い。
図9(c)の基板裏面10cの光密度分布について説明する。基板裏面10cの光密度分布は、基板表面10aの光密度分布と類似している。光軸165の位置に、光密度分布が最大となるメインピーク61cが認められる。基板裏面10cの光密度分布におけるメインピーク61cの位置での光密度は、基板中央10bの光密度分布におけるメインピーク61bの位置での光密度より小さい。
メインピークの外側に、第1回折リング62cが存在する。基板裏面10cの光密度分布における第1リング62cでの光密度も、基板中央10bの光密度分布における第1リング61cの位置での光密度より小さい。
基板裏面10cの光密度分布を、改質が起きる閾値65と比較すると、メインピーク61cの位置での光密度は閾値65を超えているが、第1回折リング62cの位置での光密度は閾値より小さい。
以上、基板表面10a、基板中央10b及び基板裏面10c、それぞれにおける光密度分布を説明した。すでに説明したことと重複するが、基板中央10bの光密度分布におけるメインピーク61bの位置での光密度は、基板表面10aの光密度分布におけるメインピーク61aの位置での光密度、及び、基板裏面10cの光密度分布におけるメインピーク61cの位置での光密度より大きい。
ここで、ガラス基板10が改質される改質領域20は、当該領域における光密度が、閾値65を超えている領域である。基板中央10bの光密度分布におけるメインピーク61bの位置は、光密度の値が大きいことから、閾値65を超え、改質が起きる領域Rbも広い。
すなわち、基板中央10bの光密度分布におけるメインピーク61bに属する領域のうち、閾値65を超え改質が起きる領域Rbは、基板表面10aの光密度分布におけるメインピーク61aに属する領域のうち閾値65を超え改質が起きる領域Ra、及び、基板裏面10cの光密度分布におけるメインピーク61cに属する領域のうち閾値65を超え改質が起きる領域Rcより、広い。
これにより、ガラス基板10の基板中央10bにおいて、基板表面10a及び基板裏面10cよりも、広い範囲に改質領域20を形成することができる。
さらに、改質領域20を形成したガラス基板10をエッチングして貫通孔30を形成したときに、広い範囲にわたって改質領域20が形成されているので、基板中央10bにおける貫通孔の内径d2を広げることができる。これにより、基板中央における貫通孔の内径d2と基板表面10aにおける貫通孔の内径d1の差、及び、基板中央10bにおける貫通孔d2の内径と基板裏面10cにおける貫通孔の内径d3との差、を小さくすることができる。
基板中央10bの光密度分布におけるメインピーク61bの位置での光密度は、基板表面10aの光密度分布におけるメインピーク61aの位置での光密度、及び、基板裏面10cの光密度分布におけるメインピーク61cの位置での光密度より大きいことが好ましい。
これにより、ガラス基板10の基板中央10bにおいて、基板表面10a及び基板裏面10cよりも、より広い範囲に改質領域20を形成することができる。
また、実施形態1の改質領域形成方法においては、基板表面10aの光密度分布におけるメインピーク61aの位置での光密度、及び、基板裏面10cの光密度分布におけるメインピーク61cの位置での光密度は、改質が起きる閾値65より大きいことが好ましい。
これにより、基板表面10aのメインピーク61aの位置、及び、基板裏面10cのメインピーク61cの位置は、ガラス基板10が改質され、改質領域20が形成される。
一方、基板表面10aの光密度分布おける第1回折リング62aの位置での光密度、及び、基板裏面10cの光密度分布おける第1回折リング62cの位置での光密度は、改質される閾値65より小さいことが好ましい。すなわち、基板表面10aの第1回折リング62aの位置、及び、基板裏面10cの第1回折リング62cの位置においては、ガラス基板10は改質されないことが好ましい。
この結果、改質されたガラス基板10をエッチングして貫通孔30を形成したとき、ガラス基板10の基板表面10a及び基板裏面10cにおいては、メインピーク61a、61cの形状に対応した真円の貫通孔30を形成することができる。
さらに、実施形態1の改質領域形成方法は、基板中央10bの光密度分布における第1回折リング62bの位置での光密度が、ガラスが改質される閾値65より大きいことが好ましい。
これにより、基板中央10bにおいて、基板表面10a及び基板裏面10cよりも、より広い範囲に改質領域20a、20bを形成することができる。
さらに、改質されたガラス基板10をエッチングして貫通孔30を形成したとき、基板中央10bにおける貫通孔の内径d2を、よりいっそう、大きくすることがでる。また、基板中央10bにおける貫通孔の内径d2と基板表面10aにおける貫通孔30の内径d1との差、及び、基板中央10bにおける貫通孔の内径d2と基板裏面10cにおける貫通孔30の内径d3との差、を小さくすることができる。
なお、メインピーク61bと第1回折リング62bとの間に、照射されたレーザー光151の光密度が、閾値65に達していない非改質領域が存在する。しかし、非改質領域を「遅い」エッチングにより除去すれば、エッチング液は、改質領域20bに到達することができる。改質領域20bに到達したエッチング液は、改質領域20bを「速い」エッチングにより除去することができるので、貫通孔30の基板中央10bにおける内径d2を大きくすることができる。
また、実施形態1における改質領域形成方法は、基板中央10bの光密度分布のメインピーク61bの位置での光密度は、基板表面10aの光密度分布におけるメインピーク61aの位置での光密度、及び、基板裏面10cの光密度分布におけるメインピーク61cの位置での光密度の6倍以上であることが好ましく、8倍以上であることがより好ましく、10倍以上であることがさらに好ましい。
基板表面10aの光密度分布におけるメインピーク61aの位置での光密度又は基板裏面10cの光密度分布におけるメインピーク61cの位置での光密度に対する、基板中央10bの光密度分布のメインピーク61bの位置での光密度が、上記範囲内であることにより、ガラス基板10の改質領域20を形成する位置において、ガラス基板10の基板中央10bの光密度分布におけるメインピークの位置での光密度を、基板表面10aの光密度分布におけるメインピークの位置での光密度、及び、基板裏面10cの光密度分布におけるメインピークの位置での光密度より、よりいっそう、大きくすることができる。
1-2-2.エッチング工程
改質領域形成工程(ST1)を行った後に、フッ酸系エッチング液によりガラス基板のエッチングを行って貫通孔30を形成する、エッチング工程(ST2)を行う。エッチング工程(ST2)においては、ガラス基板10の基板表面10a及び基板裏面10cがエッチングされ、ガラス基板10は薄板化される。薄板化により、ガラス基板10の新しい基板表面10d及び基板裏面10eが形成される。ガラス基板10を薄板化するエッチングと同時に、改質領域20にエッチング液が染み込むことにより改質領域20がエッチングされ、パイロット孔30aが形成される(図6参照)。
なお、改質領域20がエッチング液で侵食され、パイロット孔30aが形成される際、ガラス基板10の厚み方向(z方向)にエッチングが進む改質領域20のエッチングと、パイロット孔30aに侵入したエッチング液が、パイロット孔30aの内壁を横方向(xy平面に沿った方向)にエッチングする非改質領域のエッチングとが、同時に進行する。
このとき、ガラス基板10の厚さ方向(z方向)に進む改質領域20のエッチングは、ガラス基板10の横方向(xy平面に沿った方向)に進む非改質領域のエッチングに比べてスピードが速い。従来技術においては、この改質領域20のエッチングのエッチング速度と非改質領域のエッチングのエッチング速度との差によって、基板中央10bにおける貫通孔の内径が、基板表面10aにおける貫通孔の内径、及び、基板裏面10cにおける基板裏面10cにおける貫通孔の内径より、小さくなる傾向があった。
しかし、実施形態1の貫通孔形成方法においては、改質領域形成工程(ステップST1)において、基板中央10bの光密度分布におけるメインピークの位置での光密度が、基板表面10aの光密度分布におけるピーク位置での光密度、及び、基板裏面10cの光密度分布におけるピーク位置での光密度より大きくなっている。これにより、基板中央10bにメインピークにより形成される改質領域20aの範囲Rbは、基板表面10aにメインピークにより形成される改質領域20aの範囲Ra、及び、基板裏面30cにメインピークにより形成される改質領域20aの範囲Rcより大きい(図8参照)。
この結果、ガラス基板10をエッチングして貫通孔30を形成したときに、基板表面10aにおける貫通孔30の内径d1、及び、基板裏面10cにおける貫通孔30の内径d3と基板中央10bにおける貫通孔30の内径d2との差を小さくすることができる(図6参照)。
2.実施形態2
図10は、実施形態2における、補正光学系150の一例を示す図である。図10(a)は、集光レンズ系に入射させるレーザー光の光束を補正する様子を示す図であり、図10(b)は、補正前のレーザー光の光密度分布171と補正後の光密度分布172を対比する図である。
補正光学系150は、集光レンズ系140に入射させるレーザー光161の光密度分布において、中央部の光密度を大きくする補正を行う。補正光学系150は、入射したレーザー光161の光密度分布において、中央部の光密度を大きくする補正を行うものであれば好適に使用することができる。光学要素151は、レーザー光161が入射する入射面151aと、レーザー光が出射する出射面151bと、を備える。
入射面151aは、中心に向かって曲率が徐々に小さくなる中心が凸状の非球面が形成されている。光学要素151に入射したレーザー光161のうち、入射面161aの中心から離れた周辺部に入射したレーザー光161は、光軸165に平行に近い角度のまま光学要素151に入射する。一方、中央輪帯付近に入射した光は、入射面161aにおいて、光軸165に近づく向きに、光の進行方向を変えられる。
出射面151bは、中心に向かって曲率が徐々に小さくなる中心が凹状の非球面が形成されている。光学要素151に入射したレーザー光161のうち、入射面161aの光軸165から離れた周辺部に入射したレーザー光161は、出射面151bにおいても、垂直出射に近い角度で光学要素151を出射する。一方、光学要素151の入射面151aの中央輪帯付近に入射し、光軸165に近づく向きに光の進行方向を変えられた光は、出射面151bで再び平行光線に戻される。
図10(a)の光学要素151は、集光レンズ系140に入射させるレーザー光161について、中央部の光密度をより大きくする補正を行うことができる。例えば、光学要素151に、図10(b)の、ガウス分布171の光密度のレーザー光を入射させた場合、中央部の光密度がさらに大きい光密度分布172を有するレーザー光を出射することができる。
このような光密度分布を有するレーザー光172を集光レンズ系140に入射させ、集光レンズ系から出射した円環性の収束性ベッセルビーム164をガラス基板10の基板表面10aとガラス基板10cとの間に収束させることにより、以下のような効果を得ることができる。
すなわち、ガラス基板10の基板中央10bの光密度分布おけるメインピークの位置での光密度を、基板表面10aの光密度分布おけるメインピークの位置での光密度、及び、基板裏面10cの光密度分布おけるメインピークの位置での光密度より、よりいっそう、大きくすることができる。
この結果、ガラス基板10の基板中央10bにおいて、基板表面10a及び基板裏面10cよりも、より広い範囲に改質領域20を形成することができる。
さらに、改質を行ったガラス基板10をエッチングして貫通孔30を形成したときに、基板中央10bにおける貫通孔の内径d1を大きくすることができ、基板表面10aにおける貫通孔の内径d1と基板中央10bにおける貫通孔d2の内径との差、及び、基板裏面10cにおける貫通孔の内径d3と基板中央10bにおける貫通孔d2の内径との差を、小さくすることができる。
3.実施形態3
実施形態3に係る集光レンズ装置は、レーザー光151を、被加工部材としての物品であるガラス基板10の改質領域20を形成する位置に集光レンズ系140を介して照射することにより、ガラス基板10の基板表面10aから基板裏面10cに達する改質領域20を形成する集光レンズ装置である。
以下、実施形態3に係る集光レンズ装置を図1を参照しながら説明する。なお、上記した各実施形態と説明が重複する部分は、説明を適宜省略することがある。
集光レンズ系140は、光軸165に沿って配置された2個のアキシコンレンズである、第1のアキシコンレンズ141及び第2のアキシコンレンズ143と、2個のアキシコンレンズの間に配置された凸レンズ142と、を備える。集光レンズ系140を通過したレーザー光151は、円環状の収束性ベッセルビーム164となり、円環状の収束性ベッセルビーム164は、基板表面10aと基板裏面10cとの間で収束するように構成されている。
これにより、ガラス基板10の基板中央10bの光密度分布おけるメインピークの位置での光密度を、基板表面10aの光密度分布おけるメインピークの位置、及び、基板裏面10cの光密度分布おけるメインピークの位置より大きくすることができる。
この結果、ガラス基板10の基板中央10bにおいて、基板表面10a及び基板裏面10cよりも、広い範囲に改質領域20を形成することができる。
さらに、改質を行ったガラス基板10をエッチングして貫通孔30を形成したときに、基板中央10bにおける貫通孔の内径d1を大きくすることができ、基板表面10aにおける貫通孔の内径d1と基板中央10bにおける貫通孔d2の内径との差、及び、基板裏面10cにおける貫通孔の内径d3と基板中央10bにおける貫通孔d2の内径との差を、小さくすることができる。
4.改質領域を有する物品の製造方法
実施形態4に係る改質領域を有する物品の製造方法は、レーザー光151を被加工部材としての物品であるガラス基板10の改質領域20を形成する位置に集光レンズ系140を介して照射することにより、ガラス基板10の表面10aから裏面10cに達する改質領域20を形成する改質領域形成工程を有する。
集光レンズ系140は、光軸165に沿って配置された2個のアキシコンレンズである、第1のアキシコンレンズ141及び第2のアキシコンレンズ143と、凸レンズ142とを備える。集光レンズ系140を通過した極短パルスレーザー光は、円環状の収束性ベッセルビーム164となり、円環状の収束性ベッセルビーム164は、ガラス基板10の基板表面10aと基板裏面10cとの間で収束するように構成されている。
以下、実施形態4に係る改質領域を有する物品の製造方法を、図1及び図6ないし図7を参照しながら説明する。なお、上記した各実施形態と説明と重複する部分は、説明を適宜省略することがある。
ガラス基板10を、図1に示すレーザー加工装置の図示しないテーブルに載置する。レーザー発振器120から照射されるレーザー光151は、集光レンズ系140により、円環状の収束性のベッセルビーム164に変換して、ガラス基板10に照射する。
これにより、基板の厚さ方向において基板中央10bの光密度分布におけるメインピークの位置での光密度を、基板表面10aの光密度分布におけるメインピークの位置での光密度、及び、基板裏面10cの光密度分布におけるメインピークの位置での光密度より大きくすることができる。
この結果、ガラス基板10の基板中央10bにおいて、基板表面10a及び基板裏面10cよりも、広い範囲に改質領域20を形成することができる。
さらに、改質を行ったガラス基板10をエッチングして貫通孔30を形成したときに、基板中央10bにおける貫通孔の内径d1を大きくすることができ、基板表面10aにおける貫通孔の内径d1と基板中央10bにおける貫通孔d2の内径との差、及び、基板裏面10cにおける貫通孔の内径d3と基板中央10bにおける貫通孔d2の内径との差を、小さくすることができる。
10…ガラス基板、10a…基板表面、10b…基板表面と基板裏面との中央の位置(基板中央)、10c…基板裏面、10d…エッチング後の基板表面、10e…エッチング後の基板裏面,20…改質領域、20a…改質領域(メインピークの位置の改質領域)、20b…改質領域(第1リングの位置の改質領域)、30…貫通孔、30a…貫通孔(パイロット孔)、30b…貫通孔、61a、61b、61c…メインピーク、62a、62b、62c…第1リング、63b…第2リング、65…閾値、100A…レーザー加工装置、120…レーザー発振器、130・ア光光学系、131…ミラー、140…集光レンズ系、141…第1のアキシコンレンズ、141a…円錐の頂点、142…凸レンズ、143…第2のアキシコンレンズ、143a…円錐の頂点、150…補正光学系、151…光学要素、151a…入射面、151b…出射面、160…レーザー照射ユニット、161…極短パルスレーザー光(レーザー光)、162…円環状のベッセルビーム、163、164…円環状の収束性ベッセルビーム、165…レーザー光の光軸

Claims (13)

  1. 極短パルスレーザー光を被加工部材としての物品の改質領域を形成する位置に集光レンズ系を介して照射することによって前記物品の表面から裏面に達する改質領域を形成する改質領域形成工程を有する改質領域形成方法であって、
    前記集光レンズ系は、前記極短パルスレーザー光の光軸に沿って配置された2個のアキシコンレンズと、前記2個のアキシコンレンズの間に配置された凸レンズと、を備え、前記集光レンズ系を通過した前記極短パルスレーザー光は、円環状の収束性ベッセルビームとなり、当該円環状の収束性ベッセルビームは、前記物品の前記表面と前記裏面との間で収束するように構成されていることを特徴とする改質領域形成方法。
  2. 請求項1に記載の改質領域形成方法であって、
    前記物品の光軸方向における前記表面と前記裏面との中央の位置の前記極短パルスレーザー光の光密度分布におけるメインピークの位置での光密度は、前記物品の前記表面の前記極短パルスレーザー光の光密度分布におけるメインピークの位置での光密度より大きいことを特徴とする改質領域形成方法。
  3. 請求項1又は2に記載の改質領域形成方法であって、
    前記物品の前記表面の前記極短パルスレーザー光の光密度分布におけるメインピークの位置での光密度は、前記物品が改質される閾値より大きく、
    前記物品の前記表面の前記極短パルスレーザー光の光密度分布における第1回折リングの位置での光密度は、前記物品が改質される閾値より小さいことを特徴とする改質領域形成方法。
  4. 請求項1~3のいずれか一項に記載の改質領域形成方法であって、
    前記物品の前記光軸方向における前記表面と前記裏面との中央の位置の前記極短パルスレーザー光の光密度分布における第1回折リングの位置での光密度は、前記物品が改質される閾値より大きいことを特徴とする改質領域形成方法。
  5. 請求項1~4のいずれか一項に記載の改質領域形成方法であって、
    前記物品の前記光軸方向における前記表面と前記裏面との中央の位置の前記極短パルスレーザー光の光密度分布におけるメインピークの位置での光密度は、前記物品の前記表面の前記極短パルスレーザー光の光密度分布のメインピークの位置での光密度の6倍より大きいことを特徴とする改質領域形成方法。
  6. 請求項1~5のいずれか一項に記載の改質領域形成方法であって、
    前記凸レンズは非球面レンズであることを特徴とする改質領域形成方法。
  7. 請求項6に記載の改質領域形成方法であって、
    前記2個のアキシコンレンズの間に凹レンズを有することを特徴とする改質領域形成方法。
  8. 請求項1~7のいずれか一項に記載の改質領域形成方法であって、
    前記集光レンズ系に入射される極短パルスレーザー光の光密度の面内分布は、ガウス分布であることを特徴とする改質領域形成方法。
  9. 請求項1~8のいずれか一項に記載の改質領域形成方法であって、
    集光レンズ系に入射するレーザー光の光密度分布を補正する補正光学系を有し、
    前記補正光学系は、中央部の光密度を大きくする補正を行うことを特徴とする改質領域形成方法。
  10. 請求項9に記載の改質領域形成方法であって、
    前記補正光学系は、第1の非球面と第2の非球面とを有し、前記集光レンズ系に入射される極短パルスレーザー光の光密度の面内分布がガウス分布であるときに、中央部の光密度がより大きくなるように構成されていることを特徴とする改質領域形成方法。
  11. 請求項1乃至10に記載の改質領域形成方法と、
    前記改質領域を形成した前記物品をエッチングして貫通孔を形成するエッチング工程と、を有することを特徴とする貫通孔形成方法。
  12. 極短パルスレーザー光を被加工部材としての物品の改質領域を形成する位置に集光レンズ系を介して照射することにより前記物品の表面から裏面に達する改質領域を形成する集光レンズ装置であって、
    前記集光レンズ系は、前記極短パルスレーザー光の光軸に沿って配置された2個のアキシコンレンズと、前記2個のアキシコンレンズの間に配置された凸レンズと、を備え、
    前記集光レンズ系を通過した前記極短パルスレーザー光は、円環状の収束性ベッセルビームとなり、当該円環状の収束性ベッセルビームは、前記物品の前記表面と前記裏面との間で収束するように構成されていることを特徴とする集光レンズ装置。
  13. 極短パルスレーザー光を物品の改質領域を形成する位置に集光レンズ系を介して照射することにより、前記物品の表面から裏面に達する改質領域を形成する改質領域形成工程を有する、改質領域を有する物品の製造方法であって、
    前記集光レンズ系は、前記極短パルスレーザー光の光軸に沿って配置された2個のアキシコンレンズと、前記2個のアキシコンレンズの間に配置された凸レンズと、を備え、
    前記集光レンズ系を通過した前記極短パルスレーザー光は、円環状の収束性ベッセルビームとなり、当該円環状の収束性ベッセルビームは、前記物品の前記表面と前記裏面との間で収束するように構成されていることを特徴とする改質領域を有する物品の製造方法。
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