JP2023135263A - 香料担持糸状菌の製造方法 - Google Patents

香料担持糸状菌の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】糸状菌を食品として加工するにあたり、香料を菌体に担持させた糸状菌を提供することを目的とする。香料担持糸状菌を製造するにあたり、培地に香料を添加すると、香料の影響で糸状菌が死滅し、糸状菌を増殖させることができないという課題があった。【解決手段】香料担持糸状菌の製造にあたり、香料及び油脂を含む培地で糸状菌を培養することにより、香料を担持した菌体を調製可能であることを見出した。この知見により、香料及び油脂を含む培地で糸状菌を培養する工程を含む、香料担持糸状菌の製造方法を提供する。【選択図】なし

Description

本発明は、香料を糸状菌の菌体に担持させる技術に関する。
世界的な食糧問題に対する解決法の一つとして、微生物を菌体ごと代替肉などへと加工する技術が着目されている。特に糸状菌は、菌糸から形成されており、菌糸を集めることで、繊維質の塊として、肉と似た食感が得られるため、代替肉の原料として有望視されている。糸状菌の中でも、日本の国菌である麹菌は、古くから味噌、醤油、酒などの発酵食品の製造に用いられてきており、食品としての安全性が担保されていることから、代替タンパク質としても注目され、タンパク源として麹を大量生産する技術について検討が行われている(特許文献1)。また、麹菌以外にも、フザリウム属の糸状菌が、その食感が肉に似ていることから代替肉の原料として着目されており、マイコプロテインと表示されて幾つかの国では既に販売されている。
特開2021-23172号公報
糸状菌を食品として加工する場合、菌糸を回収して固めて繊維質の塊とすることで優れた食感を達成することができた一方、風味をつけるためには、別途香料などを添加することが必要であった。しかし、添加された香料は菌体表面のみに付着しているため揮発しやすく、香りを維持することが難しいという問題があった。また、培地に香料を添加すると、香料の影響で糸状菌が死滅し、増殖が困難となる場合があった。
本発明者らは、糸状菌由来の食品の製造にあたり、糸状菌の菌体自体に香料を取り込ませるという着眼点を得、香料及び油脂を含む培地で糸状菌を培養することで、増殖効率を低下させずに糸状菌の菌体に香料を担持可能であることを見出し、本発明に至った。そこで、本発明は以下に関する:
[1] 香料担持糸状菌の製造方法であって、
香料及び油脂を含む培地で糸状菌を培養する工程を含み、
糸状菌が、アスペルギルス属又はフザリウム属の糸状菌である、前記製造方法。
[2] 前記香料がn-オクタノール/水分配係数が2~6である、項目1に記載の製造方法。
[3] 前記培地中の香料の濃度が、0.01質量%~0.1質量%である、項目1又は2に記載の製造方法。
[4] 前記培地中の油脂の濃度が、0.1質量%~20質量%である、項目1~3のいずれか一項に記載の製造方法。
[5] 前記香料が、脂肪族高級アルコール類、脂肪族高級アルデヒド類、芳香族アルデヒド類、インドール又はその誘導体、ケトン類、脂肪酸類、ラクトン類、テルペン系炭化水素類、フェノールエーテル類、エステル類からなる群から選択される、項目1~4のいずれか一項に記載の製造方法。
[6] 前記油脂が、オリーブ油、菜種油、アーモンド油、ごま油、椿油、えごま油、亜麻仁油、グレープシード油、ココナッツ油、こめ油、パーム油、ベニバナ油、コーン油、シソ油及びひまわり油からなる群から選ばれる、項目1~5のいずれか一項に記載の製造方法。
本発明により、香料が担持された糸状菌を製造することができる。
本発明は、香料担持糸状菌の製造方法に関する。より具体的に、香料担持糸状菌の製造方法は香料及び油脂を含む培地で糸状菌を培養する工程を含む。さらに別の態様では、本発明は、本発明に係る製造方法により製造された香料担持糸状菌、並びに香料担持糸状菌の生菌体及び/又は死菌体を用いて製造された食品に関してもよい。
本発明において、糸状菌とは菌糸を形成する菌類を指す。糸状菌としては、香料を担持させる観点から、特にアスペルギルス属又はフザリウム属に属する糸状菌が好ましい。菌糸を食用に用いる観点から、マイコトキシン非産生性の糸状菌が好ましい。
アスペルギルス属の糸状菌としては、一例として、アスペルギルス オリゼ(Aspergillus oryzae)、アスペルギルス ソーヤ(Aspergillus sojae)、アスペルギルス リューキューエンシス(Aspergillus luchuensis)、アスペルギルス カワチ(Aspergillus kawachii)、アスペルギルス タマリ(Aspergillus tamarii)が挙げられる。麹菌として利用されている菌株としては、例えば、Aspergillus oryzae RIB株など、公的機関から入手可能な菌株の他、食用として販売される麹に含まれる菌株を使用することができる。アスペルギルス属の一部の糸状菌は、アフラトキシンやオクラトキシン、パツリンなどのマイコトキシンを産生することが知られており、これらのマイコトキシンを産生しない菌株が特に好ましい。フザリウム属に属する糸状菌としては、一例として、フザリウム ベネナツム(Fusarium venenatum)が挙げられる。フザリウム属の一部の糸状菌は、トリコテセン骨格という共通の構造をもったデオキシニバレノールおよびそのアセチル化体、ニバレノール、T2-トキシン、HT-2-トキシン、フザレノン‐Xなどのマイコトキシンを産生することが知られており、これらのマイコトキシンを産生しない菌株が特に好ましい。
糸状菌に香料を担持させるとは、糸状菌を香料の存在下で培養することで、糸状菌の菌体中に香料を取り込ませることをいう。香料を担持させる観点から、香料及び油脂を含む培地で糸状菌を培養する工程を含むことが好ましい。香料は、担持可能な限り任意の香料であってよいが、糸状菌への担持を促進する観点から、n-オクタノール/水分配係数が2~6である香料が使用されうる。より優れた担持性の観点から、n-オクタノール/水分配係数は3以上が好ましい。より優れた担持性の観点から、n-オクタノール/水分配係数は5以下が好ましい。培地中の香料の濃度は、担持させる香料の香りの種類や香りの強さに応じて適宜選択することができるが、一例として0.01質量%~0.1質量%の濃度を使用することができる。n-オクタノール/水分配係数とは、n-オクタノールと水とを含む2つの溶媒相中に化学物質を加えて平衡状態となった時の、その2層における化学物質の濃度比(Pow)を指す。Powは化学物質の脂質への溶解性を表す物理化学的指標であり、Powが高くなるほど、脂質への溶解性が高く、Powが低くなるほど水への溶解性が高い。
担持される香料としては、任意の化合物であってもよいが、一例として脂肪族高級アルコール類、脂肪族高級アルデヒド類、芳香族アルデヒド類、インドール又はその誘導体、ケトン類、脂肪酸類、ラクトン類、テルペン系炭化水素類、フェノールエーテル類、エステル類の化合物が香料の成分として使用されうる。前記の化合物の他には、「日本における食品香料化合物の使用実態調査」(平成12年度 厚生科学研究報告書、日本香料工業会 平成13年3月発行)に記載の化合物を香料として使用することができる。香料は、1種の香料を担持させてもよいし、複数、例えば2種、3種、4種、5種又はそれ以上の種類の香料を組み合わせて担持させてもよい。以下に、各分類の代表的な化合物を列挙するが、本発明はかかる化合物に限定されることを意図するものではない:
脂肪族高級アルコール類としては、下記の化合物が挙げられる:
脂肪族高級アルデヒド類としては、下記の化合物が挙げられる:
芳香族アルデヒド類としては、下記の化合物が挙げられる:
インドール又はその誘導体としては、下記の化合物が挙げられる:
ケトン類としては、下記の化合物が挙げられる:
脂肪酸類としては、下記の化合物が挙げられる:
ラクトン類としては、下記の化合物が挙げられる:
テルペン系炭化水素類としては、下記の化合物が挙げられる:
フェノールエーテル類としては、下記の化合物が挙げられる:
エステル類としては、下記の化合物が挙げられる:
油脂としては、トリグリセリド、ジグリセリド、モノグリセリドであってもよいが、食用の油脂が好ましい。食用の油脂としては、植物油、魚油、又は獣脂が使用されうる。植物油としては、オリーブ油、菜種油(キャノーラ油)、アーモンド油、ごま油、椿油、えごま油、亜麻仁油、グレープシード油、ココナッツ油、こめ油、パーム油、ベニバナ油、コーン油、シソ油、ひまわり油などを用いることができ、オリーブ油、菜種油が好ましい。獣脂としては、ウシ、ブタ、ヒツジ、トリ、ヤギ、クジラなどの動物由来の油脂を使用することができる。魚油としては、サメ油、肝油などが挙げられる。培地中の油脂の濃度は、0.1~20質量%で添加される。香料の担持を促進する観点から、0.5質量%以上が好ましく、1質量%以上がさらに好ましい。生産性の観点から、10質量%以下が好ましく、5質量%以下がさらに好ましい。
油脂に対する香料の質量比(香料/油脂)としては、香料の担持を促進する観点から0.01~0.1が用いられる。
香料及び油脂を含む培地で糸状菌を培養する工程は、糸状菌培養工程の任意のタイミングで行われてもよい。すなわち、糸状菌培養の全ての工程で香料及び油脂を含む培地で糸状菌を培養してもよいし、一部の工程、例えば培養の初期段階、中期段階、及び最終段階から選ばれる任意の段階で行われてもよい。一例として、糸状菌培養を行い、糸状菌の回収の前に、1時間~7日間にわたって香料及び油脂を培地に添加して培養を継続することにより、香料及び油脂を含む培地で糸状菌を培養する工程が行われてもよい。より好ましくは糸状菌の回収の前に、12時間以上、さらに好ましくは24時間以上香料及び油脂を含む培地で糸状菌を培養する工程が行われうる。製造効率の観点から、香料及び油脂を含む培地で糸状菌を培養する工程は、7日以内が好ましく、3日以内がさらに好ましい。
糸状菌の培養は、本技術分野に既知の方法によって行われてもよく、固体培養法又は液体培養法のいずれで行われてもよいが、液体培養法が好ましい。固体培養法及び液体培養法のいずれにおいても、糸状菌が増殖可能な任意の培地を使用することができる。固体培養としては、一例として、米、麦、イモなどの穀類、又は豆類を蒸しあげ、温度調節を行い糸状菌の分生子をふりかけ、均一になるよう撹拌して静置することで培養することができる。また、固体培養として、液体培地を寒天やゼラチンなどでゲル化させた培地を用いることもできる。液体培養としては、炭素源に、窒素源、無機塩、ビタミン、ミネラル、アミノ酸を添加した合成培地や、YDP培地、PDA培地、SCD培地など市販の培地が用いられてもよい。炭素源としては、単糖類、二糖類、多糖類、デンプン、廃糖蜜などが用いられ、より具体的にグルコース、マルトース、スクロースなどが用いられうる。窒素源としては、アンモニア、硫酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、炭酸アンモニウム、酢酸アンモニウム、ペプトン、酵母エキス、カゼイン加水分解物、ふすま、肉エキスなどが用いられうる。無機塩としては、カリウム塩、マグネシウム塩、ナトリウム塩、リン酸塩、マンガン塩、鉄塩、亜鉛塩、銅塩などが用いられうる。また、米、麦、イモなどの穀類、又は豆類を粉砕し水と混合し煮出すことで液体培地を調製することができる。液体培地には、固形分が含まれてもよい。培地のpHは5.0~8.0に調整される。培養温度は20~40℃、好ましくは25~35℃に設定され、培養時間は1日~10日間、好ましくは3~7日間、より好ましくは3~4日間が望ましい。液体培養の場合には、0~150rpmで振とう培養が行われてもよい。ジャーファーメンターやプラントファーメンターなどの公知の培養器が用いられてもよい。
培地に糸状菌の分生子を植菌することで培養を開始してもよいし、予め前培養がされた糸状菌の培養物を植菌してもよい。培地は、植菌前に滅菌されていてもよいし、滅菌されていなくてもよい。滅菌としては、加熱滅菌、オートクレーブ滅菌、フィルター滅菌が適宜選択されうる。コンタミネーションを防ぐ観点からは、オートクレーブ滅菌が好ましい。一方、揮発性の香料を添加した培地をオートクレーブ滅菌にかけると揮発成分が失われることがあるため、オートクレーブ滅菌を行わない場合もある。
培養後の菌体は、任意の回収方法によって回収される。回収方法としては、遠心分離、ろ過分離、圧搾分離などを用いることができる。一例として、培養液をろ紙又はガーゼを用いて吸引ろ過することにより回収される。回収された菌体は、さらに水や40~50℃のお湯で洗浄される。回収された菌体は、滅菌処理を行って死菌体としてもよいし、生菌体として用いられてもよい。回収された香料担持菌体は、菌体をガスクロマトグラフィーに供することで特定することができる。回収された菌体を成型し、味付け及び風味をつけて食品とすることができる。風味づけのために、さらに香料を添加してもよい。
香料及び油脂を含む培地で糸状菌を培養する工程を含むことで、糸状菌の菌体に香料が担持される。香料のみを担持しようとすると、香料の種類によっては、糸状菌の生育を妨げることがある。また、香料のみが添加された培地で培養された糸状菌では、所望される量が担持されないこともある。香料の担持とは、菌体の任意の部位、例えば細胞膜、細胞壁、及び細胞質に香料が取り込まれることをいう。
本明細書において言及される全ての文献はその全体が引用により本明細書に取り込まれる。
以下に説明する本発明の実施例は例示のみを目的とし、本発明の技術的範囲を限定するものではない。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲の記載によってのみ限定される。本発明の趣旨を逸脱しないことを条件として、本発明の変更、例えば、本発明の構成要件の追加、削除及び置換を行うことができる。
1.液体培地の調製
トリプトソーヤブイヨン(日水製薬社製)を水に溶解し、液体培地を調製した。
2.糸状菌への香料担持
試験例1:麹菌(アスペルギルス オリゼ)への香料担持
(1)接種用種菌の準備
アスペルギルス オリゼ(Aspergillus oryzae)の菌体ストックをポテトデキストロース寒天培地(ベクトン・ディッキンソン社製)の斜面培地に塗布し、28℃で1週間以上生育させた後、tween20を0.5%含む生理食塩水で懸濁し、セルストレーナーでろ過することで分生子を得た。
(2)香料担持用液体培地の調製
液体培地に下記の表に従い、油脂及び/又は香料を添加し、実施例1~11及び比較例1~4の香料担持用液体培地を調製した(表中の単位:質量%)。
(3)本培養
300mLバッフル付き三角フラスコに、前述の香料担持用液体培地100mLを入れ、121℃15分間オートクレーブ滅菌を行なった。菌の分生子を植菌後、28℃のインキュベーター内で回転数135rpmで旋回振とう培養を3日間行った。
(4)回収
培養終了後、培養液をろ紙を用いて吸引ろ過し、培養物を水と40~50℃のお湯で2回ずつ洗浄して表面の培地成分および油分を除去した。その後吸引と圧搾により水分を取り除き、麹菌体を得た。
(5)揮発成分の抽出、測定
揮発成分の抽出は、多機能オートサンプラ(Gerstel社製 MPS2)で行った。乾燥された菌体0.5gを20mLバイアルに入れ、60℃、10分、500rpmで平衡化を行った。次に、60℃で10分間加熱を行い、揮発成分を抽出し、SPMEファイバー(Sigma-Aldrich社製 DVB/Carboxen/PDMS)に吸着させた。吸着させた揮発成分をガスクロマトグラフ質量分析計(Agilent Technologies社製 7890B GC/5977A MSD)に注入し、下記の設定で測定を行った:
・ガスクロマトグラフ(GC)
注入法: スプリットレス、2分
注入口温度: 270℃
カラム: DB-WAX UI 30m、0.25mm、0.25μm
オーブン温度: 40℃(5分保持)、10℃/分で昇温し、250℃(10分保持)
カラム流量: 2.0mL/分(コンスタントフローモード)
・質量分析(MS)
トランスファーライン温度: 280℃
イオン化モード: EI
電子エネルギー: 70eV
イオン源温度 : 230℃
測定モード : スキャン(m/z 43-300)
(6)結果
(i)実施例1及び2:オクタン酸エチル及びキャノーラ油
香料担持麹菌体からオクタン酸エチル(12.6分)が検出された。香料担持麹菌体から検出されたオクタン酸エチルの量は、オクタン酸エチルを0.01%配合した場合(実施例1)に比べ0.1%配合した場合(実施例2)において約160倍量多く検出された。
(ii)実施例3及び4:オクタン酸エチル及びオリーブ油
香料担持麹菌体からオクタン酸エチル(12.6分)が検出された。香料担持麹菌体から検出されたオクタン酸エチルの量は、オクタン酸エチルを0.01%配合した場合(実施例3)に比べ0.1%配合した場合(実施例4)において約160倍量多く検出された。
(iii)実施例5及び6:2-ノナノン及びキャノーラ油
香料担持麹菌体から2-ノナノン(11.9分))が検出された。香料担持麹菌体から検出された2-ノナノンの量は、2-ノナノンを0.01%配合した場合(実施例5)に比べ0.1%配合した場合(実施例6)において約35倍量多く検出された。
(iv)実施例7及び8:2-ノナノン及びオリーブ油
香料担持麹菌体から2-ノナノン(11.9分)が検出された。香料担持麹菌体から検出された2-ノナノンの量は、2-ノナノンを0.01%配合した場合(実施例7)に比べ0.1%配合した場合(実施例8)において約40倍量多く検出された。
(v)実施例9及び10:バニリン及びキャノーラ油
香料担持麹菌体からバニリン(24.2分)が微量に検出された。香料担持麹菌体から検出されたバニリンの量は、バニリンを0.01%が配合した場合(実施例9)において検出された量と、0.1%配合した場合(実施例10)において検出された量とは同程度であった。
(vi)実施例11:0.01%マルトール及びキャノーラ油
香料担持麹菌体からマルトール(18.9分)が微量に検出された。
(vii)比較例1~4:油脂を添加せず、0.1%香料(オクタン酸エチル、2-ノナノン、バニリン、マルトール)のみを添加
麹の増殖が確認できず死滅した。
試験例2:フザリウム属糸状菌への香料担持
(1)前培養
300mLバッフル付き三角フラスコに前述の液体培地100mLを入れ、121℃15分間オートクレーブ滅菌した。無菌条件下で、フザリウム ベネナツム(Fusarium venenatum)の菌懸濁液を接種し、28℃のインキュベーター内で回転数135rpmで旋回振とう培養を2日間行った。
(2)香料担持用液体培地の調製
液体培地に下記の表に従い、油脂及び/又は香料を添加し、実施例12~13及び比較例5の香料担持用液体培地を調製した(表中の単位:質量%)。
(3)本培養
300mLバッフル付き三角フラスコに、前述の香料担持用液体培地100mLを入れ、121℃15分間オートクレーブ滅菌を行なった。前培養物1mLを植菌し、28℃のインキュベーター内で回転数135rpmで旋回振とう培養を3日間行った。
麹菌と同様の方法で回収、揮発性成分の抽出、測定を行った。
(4)結果
(i)実施例12及び13:オクタン酸エチル及びオリーブ油
香料担持フザリウム属糸状菌体からオクタン酸エチル(12.6分)が検出された。香料担持フザリウム属糸状菌体から検出されたオクタン酸エチルの量は、オクタン酸エチルを0.01%配合した場合(実施例12)に比べ0.1%配合した場合(実施例13)において約4倍量多く検出された。
(ii)比較例5:油脂を添加せず、0.1%オクタン酸エチルのみを添加
フザリウム属糸状菌の増殖が確認できず死滅した。
試験例3:ムコール属糸状菌への香料担持
(1)前培養
300mLバッフル付き三角フラスコに前記液体培地100mLを入れ、121℃15分間オートクレーブ滅菌を行った。無菌条件下で、ムコール シルシネロイデス(Mucor circinelloides)の菌懸濁液を接種し、28℃のインキュベーター内で回転数135rpmで旋回振とう培養を2日間行った。
(2)香料担持用液体培地の調製
液体培地に下記の表に従い、油脂及び/又は香料を添加し、下記比較例6~8の香料担持用液体培地を調製した(表中の単位:質量%)。
比較例6~8の香料担持用液体培地は、試験例2の実施例12、実施例13、及び比較例5の香料担持用液体培地と同一である。
(3)本培養
300mLバッフル付き三角フラスコに、前述の香料担持用液体培地100mLを入れ、121℃15分間オートクレーブ滅菌を行なった。前培養物1mLを植菌し、28℃のインキュベーター内で回転数135rpmで旋回振とう培養を3日間行った。
麹菌と同様の方法で回収、揮発性成分の抽出、測定を行った。
(4)結果
(i)比較例6及び7:オクタン酸エチル及びオリーブ油
ムコール属糸状菌の増殖が確認されたが、香料の担持を確認できなかった。
(ii)比較例8:油脂を添加せず、0.1%オクタン酸エチルのみを添加
ムコール属糸状菌の増殖が確認されたが、香料の担持を確認できなかった。

Claims (6)

  1. 香料担持糸状菌の製造方法であって、
    香料及び油脂を含む培地で糸状菌を培養する工程を含み、
    糸状菌が、アスペルギルス属又はフザリウム属の糸状菌である、前記製造方法。
  2. 前記香料がn-オクタノール/水分配係数が2~6である、請求項1に記載の製造方法。
  3. 前記培地中の香料の濃度が、0.01質量%~0.1質量%である、請求項1又は2に記載の製造方法。
  4. 前記培地中の油脂の濃度が、0.1質量%~20質量%である、請求項1~3のいずれか一項に記載の製造方法。
  5. 前記香料が、脂肪族高級アルコール類、脂肪族高級アルデヒド類、芳香族アルデヒド類、インドール又はその誘導体、ケトン類、脂肪酸類、ラクトン類、テルペン系炭化水素類、フェノールエーテル類、エステル類からなる群から選択される、請求項1~4のいずれか一項に記載の製造方法。
  6. 前記油脂が、オリーブ油、菜種油、アーモンド油、ごま油、椿油、えごま油、亜麻仁油、グレープシード油、ココナッツ油、こめ油、パーム油、ベニバナ油、コーン油、シソ油及びひまわり油からなる群から選ばれる、請求項1~5のいずれか一項に記載の製造方法。
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