JP2023134612A - 感光性樹脂組成物、硬化レリーフパターンの製造方法 - Google Patents

感光性樹脂組成物、硬化レリーフパターンの製造方法 Download PDF

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Tatsuya Hirata
涼香 松本
Suzuka Matsumoto
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Kenju Shimizu
知士 小倉
Tomoshi Ogura
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Abstract

【課題】銅上でのレリーフパターン形成時の高解像性、高温保管時に銅上ボイドが形成され難く、高温高湿保存した場合でも優れた伸度を示すネガ型感光性樹脂組成物の提供。【解決手段】(A)下記一般式(I-1)で表される構造単位を含むポリイミド前駆体:100質量部、及び(B)光重合開始剤:0.1質量部~20質量部を含む、ネガ型感光性樹脂組成物。TIFF2023134612000199.tif55167{R1及びR2の少なくとも一方は、酸重合性基、塩基重合性基、及びラジカル重合性基より成る群から選択される重合性基を二つ以上含む基である。}【選択図】なし

Description

本発明は、感光性樹脂組成物、該感光性樹脂組成物から硬化レリーフパターンを製造するための方法等に関する。
従来、電子部品の絶縁材料、半導体装置のパッシベーション膜、表面保護膜、層間絶縁膜等には、優れた耐熱性、電気特性、及び機械特性を併せ持つポリイミド樹脂が用いられている。このポリイミド樹脂の中でも、感光性ポリイミド前駆体の形態で供されるものは、該前駆体の塗布、露光、現像、及びキュアによる熱イミド化処理によって、耐熱性のレリーフパターン皮膜を容易に形成することができるため、従来の非感光型ポリイミド樹脂と比較して、大幅な工程短縮を可能にするという特徴を有している。
一方、近年は、集積度及び演算機能の向上、並びにチップサイズの矮小化の観点から、半導体装置のプリント配線基板への実装方法も変化している。従来の金属ピン及び鉛-スズ共晶ハンダによる実装方法から、より高密度実装が可能なBGA(ボールグリッドアレイ)、CSP(チップサイズパッケージング)等の、ポリイミド被膜が、直接ハンダバンプに接触する構造が用いられるようになってきている。このようなバンプ構造を形成するときには、当該ポリイミド被膜には高い耐熱性と耐薬品性とが要求される。
更に、半導体装置の微細化が進むことで、配線遅延の問題が顕在化している。半導体装置の配線抵抗を改善する手段として、これまで使用されてきた金又はアルミニウム配線から、より抵抗の低い銅又は銅合金の配線への変更が行われている。
また、配線間の絶縁性を高めることで配線遅延を防ぐ方法も採用されている。近年、この絶縁性の高い材料として、低誘電率材料が半導体装置を構成することが多い。しかし、低誘電率材料は脆く、壊れ易い傾向にある。低誘電率材料により構成された半導体装置では、例えばハンダリフロー工程を経て半導体チップとともに基板上に実装されたときに、温度変化による収縮で低誘電率材料部分が破壊されるという問題が存在している。
この問題を解決する手段として、例えば、特許文献1には、末端エチレン結合を有する炭素数4以上の感光性基の一部を炭素数1乃至3の炭化水素基に置換した感光性ポリイミド前駆体を用いることが開示されている。
なお、特許文献2は、感光性樹脂組成物に配合可能な熱塩基発生剤を開示する。
なお、特許文献3には、半導体チップの表面に再配線層を形成し、その上にバンプ(電極)を形成した後、該チップを裏返して、プリント基板に直接実装する、フリップチップ実装が提案されている。フリップチップ実装の金属再配線層形成工程時には樹脂層の耐薬品性が求められるが、従来の樹脂組成物では薬液浸漬後に膜厚が変化し、設計通りのパターンを形成することが困難であった。
なお、特許文献4には、前処理済みのウェハをダイシングして個片チップを製造し、支持体上に個片チップを再構築してモールド樹脂で封止し、支持体を剥離した後に再配線層を形成するファンナウトウェハレベルパッケージ(FOWLP)と呼ばれる半導体チップ実装技術が提案されている。パッケージ実装技術の多様化に伴い、支持体の種類が多種化し、加えて再配線層が多層化するため、再配線層の積層時に所望の解像性が得られない場合には、当該層を薬液により剥離して再度積層することになるが、その薬液により、下層部の膜がダメージを受け、膜厚が減少したり、再配線層の銅ピラーへの密着性が低下したりすることがあった。
なお、特許文献5にもファンナウト型半導体装置が記述されている。ファンナウト型半導体装置の製造プロセスにおいて、できる限り低温で熱硬化させた感光性ポリイミド樹脂は、イミド化が不十分であり、層間絶縁膜としての膜物性が十分ではなかった。一方、感光性ポリイミド樹脂を完全にイミド化させる熱硬化工程を経てファンナウト型半導体装置を製造すると、熱硬化工程の熱ダメージにより、半導体装置の収率が悪化していた。また、上記製造プロセスにおいて、感光性樹脂組成物を用いて得られた硬化レリーフパターンには、Cuボイドの抑制、再配線層中の層間絶縁膜と封止材の密着性、イミド化率、耐薬品性、モールド樹脂上での解像度などについて改良の余地があった。
特開平6-80776号公報 国際公開第2017/038598号 特開2001-338947号公報 特開2005-167191号公報 特開2011-129767号公報
しかしながら、特許文献1に記載のポリイミド前駆体は、銅上でレリーフパターンを形成する際に解像度が不十分であるという問題があった。また、特許文献1に記載のポリイミド前駆体から得られたポリイミド層を備える半導体デバイスでは、高温下で保存した際の銅マイグレーションが原因と考えられる、銅上のボイド形成が問題であった。更に、特許文献1に記載の前駆体から得られたポリイミド膜は、高温高湿下で保存した場合に、膜の伸度が低下するという問題があった。
したがって、本発明は、銅上でのレリーフパターン形成時に高い解像性を示し、高温保管時の銅上ボイドが形成され難く、更には高温高湿下で保存した場合でも、優れた伸度を示すネガ型感光性樹脂組成物、及び該ネガ型感光性樹脂組成物を用いて硬化レリーフパターンを製造する方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、特定の構造の側鎖を有するポリイミド前駆体と、光重合開始剤とを組み合わせることにより、上記課題を解決することができることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明の第一の態様は以下のとおりである。
[1]
(A)下記一般式(I-1):
Figure 2023134612000001
{式(I-1)中、X1は炭素数6~40の4価の有機基であり、Y1は炭素数6~40の2価の有機基であり、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~40の1価の有機基である。ただし、R及びRの少なくとも一方は、酸重合性基、塩基重合性基、及びラジカル重合性基より成る群から選択される重合性基を二つ以上含む基である。}
で表される構造単位を含むポリイミド前駆体:100質量部、及び
(B)光重合開始剤:0.1質量部~20質量部
を含む、ネガ型感光性樹脂組成物。
[2]
前記(A)ポリイミド前駆体中の、R及びRの少なくとも一方が、下記一般式(I-R1):
Figure 2023134612000002
{式(I-R1)中、R、R、及びRは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~3の1価の有機基であり、Zは炭素数1~10の3価又は4価の有機基であり、Zが3価のときm1は2であり、Zが4価のときm1は3である。}
で表される基を含む、項目1に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
[3]
前記(A)ポリイミド前駆体中のR及びRのすべてに対する上記一般式(I-R1)で表される1価の有機基の割合が、50モル%以上である、項目2に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
[4]
前記(A)ポリイミド前駆体中の、R及びRの少なくとも一方が、下記一般式(I-R2)又は(I-R3):
Figure 2023134612000003
{式(I-R2)中、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基である。}
Figure 2023134612000004
{式(I-R3)中、R、R、及びR10は、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基である。}
で表される基を含む、項目1に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
[5]
前記(A)ポリイミド前駆体中の、R及びRのすべてに対する上記一般式(I-R2)及び(I-R3)のそれぞれで表される1価の有機基の合計の割合が、50モル%以上である、項目4に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
[6]
前記(A)ポリイミド前駆体における上記一般式(I-1)で表される構造単位が、下記一般式(I-1-1):
Figure 2023134612000005
{式(I-1-1)中、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~40の1価の有機基である。ただし、R及びRの少なくとも一方は、酸重合性基、塩基重合性基、及びラジカル重合性基より成る群から選択される重合性基を二つ以上含む基である。}
で表される構造単位を含む、項目1~5のいずれか1項に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
[7]
前記(A)ポリイミド前駆体中の、R及びRの少なくとも一方が、下記一般式(I-R1):
Figure 2023134612000006
{式(I-R1)中、R、R、及びRは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~3の1価の有機基であり、Zは炭素数1~10の3価又は4価の有機基であり、Zが3価のときm1は2であり、Zが4価のときm1は3である。}
で表される基を含む、項目6に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
[8]
前記(A)ポリイミド前駆体中のR及びRのすべてに対する前記一般式(I-R1)で表される1価の有機基の割合が、50モル%以上である、項目7に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
[9]
前記(A)ポリイミド前駆体中の、R及びRの少なくとも一方が、下記一般式(I-R2)又は(I-R3):
Figure 2023134612000007
{式(I-R2)中、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基である。}
Figure 2023134612000008
{式(I-R3)中、R、R、及びR10は、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基である。}
で表される基を含む、項目6に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
[10]
前記(A)ポリイミド前駆体中の、R及びRのすべてに対する上記一般式(I-R2)及び(I-R3)のそれぞれで表される1価の有機基の合計の割合が、50モル%以上である、項目9に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
[11]
(A)ポリイミド前駆体における上記一般式(I-1)で表される構造単位が、下記一般式(I-1-2):
Figure 2023134612000009
{式(I-1-2)中、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~40の1価の有機基である。ただし、R及びRの少なくとも一方は、酸重合性基、塩基重合性基、及びラジカル重合性基から成る群より選択される重合性基を二つ以上含む基である。}
で表される構造単位を含む、項目1~5のいずれか1項に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
[12]
前記(A)ポリイミド前駆体中の、R及びRの少なくとも一方が、下記一般式(I-R1):
Figure 2023134612000010
{式(I-R1)中、R、R、及びRは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~3の1価の有機基であり、Zは炭素数1~10の3価又は4価の有機基であり、Zが3価のときm1は2であり、Zが4価のときm1は3である。}
で表される基を含む、項目11に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
[13]
前記(A)ポリイミド前駆体中の、R及びRのすべてに対する前記一般式(I-R1)で表される1価の有機基の割合が、50モル%以上である、項目12に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
[14]
前記(A)ポリイミド前駆体中の、R及びRの少なくとも一方が、下記一般式(I-R2)又は(I-R3):
Figure 2023134612000011
{式(I-R2)中、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基である。}
Figure 2023134612000012
{式(I-R3)中、R、R、及びR10は、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基である。}
で表される基を含む、項目11に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
[15]
前記(A)ポリイミド前駆体中の、R及びRのすべてに対する上記一般式(I-R2)及び(I-R3)のそれぞれで表される1価の有機基の合計の割合が、50モル%以上である、項目14に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
[16]
(A)ポリイミド前駆体における上記一般式(I-1)で表される構造単位が、下記一般式(I-1-3):
Figure 2023134612000013
{式(I-1-3)中、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~40の1価の有機基である。ただし、R及びRの少なくとも一方は、酸重合性基、塩基重合性基、及びラジカル重合性基より成る群から選択される重合性基を二つ以上含む基である。}
で表される構造単位を含む、項目1~5のいずれか1項に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
[17]
前記(A)ポリイミド前駆体中の、R及びRの少なくとも一方が、下記一般式(I-R1):
Figure 2023134612000014
{式(I-R1)中、R、R、及びRは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~3の1価の有機基であり、Zは炭素数1~10の3価又は4価の有機基であり、Zが3価のときm1は2であり、Zが4価のときm1は3である。}
で表される基を含む、項目16に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
[18]
前記(A)ポリイミド前駆体中のR及びRのすべてに対する前記一般式(I-R1)で表される1価の有機基の割合が、50モル%以上である、項目17に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
[19]
前記(A)ポリイミド前駆体中の、R及びRの少なくとも一方が、下記一般式(I-R2)又は(I-R3):
Figure 2023134612000015
{式(I-R2)中、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基である。}
Figure 2023134612000016
{式(I-R3)中、R、R、及びR10は、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基である。}
で表される基を含む、項目16に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
[20]
前記(A)ポリイミド前駆体中の、R及びRのすべてに対する上記一般式(I-R2)及び(I-R3)のぞれぞれで表される1価の有機基の合計の割合が、50モル%以上である、項目19に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
[21]
更に(C)防錆剤0.01~5質量部を含む、項目1~20のいずれか1項に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
[22]
更に(D)熱塩基発生剤0.5~20質量部を含む、項目1~21のいずれか1項に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
[23]
項目1~22のいずれか1項に記載のネガ型感光性樹脂組成物を硬化してポリイミドを形成する工程を含む、ポリイミドの製造方法。
[24]
以下の工程:
(1)項目1~22のいずれか1項に記載のネガ型感光性樹脂組成物を基板上に塗布して、感光性樹脂層を前記基板上に形成する工程と、
(2)前記感光性樹脂層を露光する工程と、
(3)前記露光後の感光性樹脂層を現像して、レリーフパターンを形成する工程と、
(4)前記レリーフパターンを加熱処理して、硬化レリーフパターンを形成する工程と
を含む、硬化レリーフパターンの製造方法。
また、本発明の第二の態様は以下のとおりである。
[25]
(A)下記一般式(II-1):
Figure 2023134612000017
{式(II-1)中、X1は、炭素数6~40の4価の有機基であり、Y1は、炭素数6~40の2価の有機基であり、nは、2~150の整数であり、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、又は炭素数1~40の1価の有機基である。ただし、R及びRの少なくとも一方は、下記一般式(II-2):
Figure 2023134612000018
(式(II-2)中、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~3の1価の有機基であり、そしてmは、2~10の整数である。)
で表される基である。}及び下記一般式(II-3):
Figure 2023134612000019
{式(II-3)中、X1は、炭素数6~40の4価の有機基であり、Y1は、炭素数6~40の2価の有機基であり、nは、2~150の整数であり、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、又は炭素数1~40の1価の有機基である。ただし、R及びRの少なくとも一方は、下記一般式(II-4):
Figure 2023134612000020
(式(II-4)中、Zは、少なくとも1つの窒素原子を有する塩基、又は酸、塩基若しくは熱により脱離可能な保護基で保護された塩基を含む1価の有機基である。)
で表される基である。}
で表される構造を含むポリイミド前駆体;100質量部、及び
(B)光重合開始剤;0.1~20質量部
を含む感光性樹脂組成物。
[26]
前記一般式(II-4)中のZが、1つ以上の芳香環が窒素原子に直結した芳香族3級アミン構造を有する、項目25に記載の感光性樹脂組成物。
[27]
前記一般式(II-4)中のZが、tert-ブトキシカルボニル(boc)基、又は9-フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)基で保護されたアミンを含む1価の有機基である、項目25に記載の感光性樹脂組成物。
[28]
前記一般式(II-4)中のZが、tert-ブトキシカルボニル(boc)基で保護された塩基を含む1価の有機基である、項目25に記載の感光性樹脂組成物。
[29]
前記一般式(II-4)中のZが、9-フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)基で保護されたアミンを含む1価の有機基である、項目25に記載の感光性樹脂組成物。
[30]
前記(A)ポリイミド前駆体の前記一般式(II-1)及び(II-3)中のR、R、R、及びRの全てに対する前記一般式(II-4)で表される1価の有機基の割合は、1モル%~50モル%である、項目25~29のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
[31]
前記(A)ポリイミド前駆体の前記一般式(II-1)及び(II-3)中のR、R、R、及びRの全てに対する上記一般式(II-4)で表される1価の有機基の割合は、2.5モル%~25モル%である、項目25~30のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
[32]
前記(A)ポリイミド前駆体が、下記一般式(II-5):
Figure 2023134612000021
{式(II-5)中、nは、2~150の整数であり、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、又は1価の有機基であり、R及びRの少なくとも一方は、下記一般式(II-4):
Figure 2023134612000022
(式(II-4)中、Zは、少なくとも1つの窒素原子を有する塩基、又は酸、塩基若しくは熱により脱離可能な保護基で保護された塩基を含む1価の有機基である。)
で表される基である。}
で表される構造単位を有する樹脂を含む、項目25~31のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
[33]
前記(A)ポリイミド前駆体が、下記一般式(II-6):
Figure 2023134612000023
{式(II-6)中、nは、2~150の整数であり、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、又は1価の有機基であり、R及びRの少なくとも一方は、下記一般式(II-4):
Figure 2023134612000024
(式(II-4)中、Zは、少なくとも1つの窒素原子を有する塩基、又は酸、塩基若しくは熱により脱離可能な保護基で保護された塩基を含む1価の有機基である。)
で表される基である。}
で表される構造単位を有する樹脂を含む、項目25~32のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
[34]
前記感光性樹脂組成物がネガ型である、項目25~33のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
[35]
以下の工程:
(1)項目25~34のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物を基板上に塗布して、感光性樹脂層を該基板上に形成する工程と、
(2)該感光性樹脂層を露光する工程と、
(3)該露光後の感光性樹脂層を現像して、レリーフパターンを形成する工程と、
(4)該レリーフパターンを加熱処理して、硬化レリーフパターンを形成する工程と
を含む硬化レリーフパターンの製造方法。
[36]
項目25~34のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物をポリイミドに変換する工程を含むポリイミドの製造方法。
また、本発明の第三の態様は、以下のとおりである。
[37]
ポリイミドを含む硬化膜であって、
ATR(Attenuated Total Reflection)法にてIRスペクトル測定を行った時の2950cm-1付近のピークと1720cm-1付近のピークの比(2950cm-1付近のピーク/1720cm-1付近のピーク)が、0.05~0.35であることを特徴とする硬化膜。
[38]
前記ピークの比が、0.1~0.25である、項目37に記載の硬化膜。
[39]
更に、1380cm-1付近のピークと1500cm-1付近のピークの比(1380cm-1付近のピーク/1500cm-1付近のピーク)が、0.1~2.1である、項目37または38に記載の硬化膜。
[40]
前記硬化膜の5%重量減少温度が、280℃以上350℃以下である、項目37~39のいずれか1項に記載の硬化膜。
[41]
前記ポリイミドは下記一般式(III-A)の構造を含む、項目37~40のいずれか1項に記載の硬化膜。
Figure 2023134612000025
{一般式(III-A)中、Xは4価の有機基であり、Yは2価の有機基であり、mは1以上の整数である。}
[42]
前記ポリイミドの前記X
下記式(III-C1)~(III-C3):
Figure 2023134612000026
Figure 2023134612000027
Figure 2023134612000028
から選ばれる少なくとも1種の構造骨格を含むか、または、
前記ポリイミドの前記Y
下記式(III-D1)~(III-D3):
Figure 2023134612000029
(一般式(III-D1)中、R10~R13は、水素原子またはC~Cの1価の脂肪族基であり、互いに異なっていても、同一であってもよい。)
Figure 2023134612000030
Figure 2023134612000031
(一般式(III-D3)中、R14~R21は、水素原子、ハロゲン原子、またはC~Cの1価の有機基であり、互いに異なっていても、同一であってもよい。)
から選ばれる少なくとも1種の構造骨格を含む、項目41に記載の硬化膜。
[43]
前記ポリイミドの前記Xは、前記式(III-C1)の構造骨格を含む、項目42に記載の硬化膜。
[44]
前記ポリイミドの前記Xは、前記式(III-C2)の構造骨格を含む、項目42または43に記載の硬化膜。
[45]
前記ポリイミドの前記Xは、前記式(III-C3)の構造骨格を含む、項目42~44のいずれか1項に記載の硬化膜。
[46]
前記ポリイミドの前記Yは、前記式(III-D1)の構造骨格を含む、項目42~45のいずれか1項に記載の硬化膜。
[47]
前記ポリイミドの前記Yは、前記式(III-D2)の構造骨格を含む、項目42~46のいずれか1項に記載の硬化膜。
[48]
前記ポリイミドの前記Yは、前記式(III-D3)の構造骨格を含む、項目42~47のいずれか1項に記載の硬化膜。
[49]
前記ポリイミドの前記Xは、前記式(III-C1)の構造骨格を含み、前記ポリイミドの前記Yは前記式(III-D2)の構造骨格を含む、項目42~48のいずれか1項に記載の硬化膜。
[50]
前記ポリイミドの前記Xは、前記式(III-C2)の構造骨格を含み、前記ポリイミドの前記Yは前記式(III-D2)の構造骨格を含む、項目42~49のいずれか1項に記載の硬化膜。
[51]
前記ポリイミドの前記Xは、前記(III-C3)の構造骨格を含み、前記ポリイミドの前記Yは前記(III-D2)の構造骨格を含む、項目42~50のいずれか1項に記載の硬化膜。
[52]
前記ポリイミドの前記Xは、前記式(III-C1)の構造骨格を含み、前記ポリイミドの前記Yは前記式(III-D3)の構造骨格を含む、項目42~51のいずれか1項に記載の硬化膜。
[53]
前記ポリイミドの前記Xは、前記式(III-C2)の構造骨格を含み、前記ポリイミドの前記Yは前記式(III-D3)の構造骨格を含む、項目42~52のいずれか1項に記載の硬化膜。
[54]
前記ポリイミドの前記Xは、前記式(III-C3)の構造骨格を含み、前記ポリイミドの前記Yは前記式(III-D3)の構造骨格を含む、項目42~52のいずれか1項に記載の硬化膜。
[55]
前記ポリイミドは、第1のポリイミドと第2のポリイミドを含み、
前記第1のポリイミドの前記Xは、前記式(III-C1)の構造骨格を含み、前記ポリイミドの前記Yは前記式(III-D2)の構造骨格を含み、
前記第2のポリイミドの前記Xは、前記式(III-C3)の構造骨格を含み、前記ポリイミドの前記Yは前記式(III-D2)の構造骨格を含む、
項目42~51のいずれか1項に記載の硬化膜。
[56]
前記ポリイミドは、第1のポリイミドと第2のポリイミドを含み、
前記第1のポリイミドの前記Xは、前記式(III-C2)の構造骨格を含み、前記ポリイミドの前記Yは前記式(III-D2)の構造骨格を含み、
前記第2のポリイミドの前記Xは、前記式(III-C3)の構造骨格を含み、前記ポリイミドの前記Yは前記式(III-D2)の構造骨格を含む、
項目42~51のいずれか1項に記載の硬化膜。
[57]
(A)ポリイミド前駆体と、(B)光重合開始剤と、(C)架橋剤と、(D)有機溶媒と、を含む感光性樹脂組成物であって、
(1)前記感光性樹脂組成物を基板上に塗布することによって感光性樹脂層を前記基板上に形成する工程;
(2)前記感光性樹脂層を1000mJ/cmの露光量で露光する工程;
(3)前記露光後の前記感光性樹脂層を現像してレリーフパターンを形成する工程;
さらに、
(4)前記レリーフパターンを窒素雰囲気下200℃で2時間加熱処理することによって硬化レリーフパターンを形成する工程;
を順に経て得られる硬化膜を、ATR法にてIRスペクトル測定を行った時の2950cm-1付近のピークと1720cm-1付近のピークの比(2950cm-1付近のピーク/1720cm-1付近のピーク)が、0.05~0.35であることを特徴とする感光性樹脂組成物。
[58]
更に(E)熱塩基発生剤を含む、項目57に記載の感光性樹脂組成物。
[59]
前記ピークの比が、0.1~0.25である、項目57に記載の感光性樹脂組成物。
[60]
更に、1380cm-1付近のピークと1500cm-1付近のピークの比(1380cm-1付近のピーク/1500cm-1付近のピーク)が、0.4~2.1である、項目57または58に記載の感光性樹脂組成物。
[61]
前記硬化膜の5%重量減少温度が、280℃以上350℃以下である、項目57~59のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
[62]
前記(C)架橋剤が、テトラエチレングリコールジメタクリレートを含む、項目57~61のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
[63]
前記(C)架橋剤が、分子内にメタクリル基及び/またはアクリル基を2個含有する化合物と、分子内にメタクリル基及び/またはアクリル基を3個以上含有する化合物の混合物である、項目57~61のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
[64]
前記(A)ポリイミド前駆体が、下記一般式(III-1):
Figure 2023134612000032
{式中、Xは4価の有機基であり、Yは2価の有機基であり、n1は、2~150の整数であり、R1及びR2は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~30の飽和脂肪族基、芳香族基、下記一般式(III-2):
Figure 2023134612000033
(式中、R3、R4及びR5は、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1~3の有機基であり、そしてm1は、2~10の整数である。)で表される1価の有機基、
または下記一般式(III-3):
Figure 2023134612000034
(式中、R6、R7及びR8は、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1~3の有機基であり、そしてm2は、2~10の整数である。)で表される一価のアンモニウムイオンである}
で表されるポリアミド酸、ポリアミド酸エステルまたはポリアミド酸塩である、項目57~63のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
[65]
前記一般式(III-1)において前記Xが、下記一般式(III-4)または(III-5)で表される4価の基を含む、項目64に記載の感光性樹脂組成物。
Figure 2023134612000035
{式中、a1は0~2の整数であり、Rは水素原子、フッ素原子または炭素数1~10の1価の有機基を表す。Rが複数存在する場合は、Rは互いに同一であるか、または異なっていてよい。}
Figure 2023134612000036
{式中、n2は0~5の整数であって、Xn1は単結合もしくは2価の有機基であり、Xn1が複数存在する場合は、Xn1は互いに同一であるか、または異なっていてもよい。Xは単結合もしくは2価の有機基であり、XまたはXn1のうち少なくとも一つは単結合、オキシカルボニル基、オキシカルボニルメチレン基、カルボニルアミノ基、カルボニル基、スルホニル基から選択される有機基である。a6とa8はそれぞれ独立に0~3の整数であり、a7は0~4の整数である。R14、R15、及びR16は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子または炭素数1~10の1価の有機基を表し、a7またはR15が複数存在する場合は、それらは同一であるか、または異なっていてよい。}
[66]
前記一般式(III-1)において前記Yが、下記一般式(III-6)で表される2価の基を含む、項目64に記載の感光性樹脂組成物。
Figure 2023134612000037
{式中、n3は0~5の整数であり、Yn2は、炭素数1~10のフッ素原子を含んでもよく、フッ素以外のヘテロ原子を含まない有機基、酸素原子、又は硫黄原子のいずれかである。Yn2が複数存在する場合は、それらは同一であるか、または異なっていてよい。a9及びa10は、それぞれ独立に、0~4の整数である。R17及びR18は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子または炭素数1~10の1価の有機基を表す。a10、R17、又はR18が複数存在する場合は、互いに同一であるか、または異なっていてよい。}
[67]
前記ポリイミド前駆体の前記Xが下記式(III-C1)~(III-C3)のいずれかの構造骨格を含む、または、前記ポリイミド前駆体の前記Yが下記式(III-D1)~(III-D3)のいずれかの構造骨格を含む、項目64に記載の感光性樹脂組成物。
Figure 2023134612000038
Figure 2023134612000039
Figure 2023134612000040
Figure 2023134612000041
(一般式(III-D1)中、R10~R13は、水素原子またはC~Cの1価の脂肪族基であり、互いに異なっていても、同一であってもよい。)
Figure 2023134612000042
Figure 2023134612000043
(一般式(III-D3)中、R14~R21は、水素原子、ハロゲン原子、またはC~Cの1価の有機基であり、互いに異なっていても、同一であってもよい。)
[68]
前記ポリイミド前駆体は、前記Xが前記式(III-C1)の構造骨格を含む、項目67に記載の感光性樹脂組成物。
[69]
前記ポリイミド前駆体は、前記Xが前記式(III-C2)の構造骨格を含む、項目67または68に記載の感光性樹脂組成物。
[70]
前記ポリイミド前駆体は、前記Xが前記式(III-C3)の構造骨格を含む、項目67~69のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
[71]
前記ポリイミド前駆体は、前記Yが前記式(III-D1)の構造骨格を含む、項目67~70のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
[72]
前記ポリイミド前駆体は、前記Yが前記式(III-D2)の構造骨格を含む、項目67~71のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
[73]
前記ポリイミド前駆体は、前記Yが前記式(III-D3)の構造骨格を含む、項目67~72のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
[74]
前記ポリイミド前駆体は、
前記Xが前記式(III-C1)の構造骨格を含み、及び前記Yが前記式(III-D2)の構造骨格を含む、項目67~73のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
[75]
前記ポリイミド前駆体は、
前記Xが前記式(III-C2)の構造骨格を含み、及び前記Yが前記式(III-D2)の構造骨格を含む、項目67~74のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
[76]
前記ポリイミド前駆体は、
前記Xが前記式(III-C3)の構造骨格を含み、及び前記Yが前記式(III-D2)の構造骨格を含む、項目67~75のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
[77]
前記ポリイミド前駆体は、第1のポリイミド前駆体と第2のポリイミド前駆体を含み、
前記第1のポリイミド前駆体は、前記Xが前記式(III-C1)の構造骨格を含み、及び前記Yが前記式(III-D2)の構造骨格を含み、
前記第2のポリイミド前駆体は、前記Xが前記式(III-C3)の構造骨格を含み、及び前記Yが前記式(III-D2)の構造骨格を含む、項目67~76のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
[78]
前記ポリイミド前駆体は、第1のポリイミド前駆体と第2のポリイミド前駆体を含み、
前記第1のポリイミド前駆体は、前記Xが前記式(III-C2)の構造骨格を含み、及び前記Yが前記式(III-D2)の構造骨格を含み、
前記第2のポリイミド前駆体は、前記Xが前記式(III-C3)の構造骨格を含み、及び前記Yが前記式(III-D2)の構造骨格を含む、項目67~77のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
[79]
半導体チップと、
前記半導体チップを覆う封止材と、
平面視で前記半導体チップよりも面積が大きい再配線層と、を備え、
前記再配線層の層間絶縁膜は、ATR法にてIRスペクトル測定を行った時の2950cm-1付近のピークと1720cm-1付近のピークの比(2950cm-1付近のピーク/1720cm-1付近のピーク)が0.05~0.35である、硬化膜であることを特徴とする半導体装置。
[80]
前記封止材は、前記層間絶縁膜と直接接する、項目79に記載の半導体装置。
[81]
前記封止材は、エポキシ樹脂を含む、項目79または80に記載の半導体装置。
[82]
前記再配線層は、前記再配線層を断面視したときに、第1の層間絶縁膜層と、第2の層間絶縁膜層と、前記第1の層間絶縁膜層及び前記第2の層間絶縁膜層とは異なる層で前記第1の層間絶縁膜層と前記第2の層間絶縁膜層の間に設けられた中間層と、を含む、項目79~81のいずれか1項に記載の半導体装置。
[83]
前記半導体装置が、ファンナウト型のウェハレベルチップサイズパッケージ型の半導体装置である、項目79~82のいずれか1項に記載の半導体装置。
[84]
半導体チップを封止材で覆う工程と、
平面視で前記半導体チップよりも面積が大きく、且つ、層間絶縁膜を含む再配線層を形成する工程とを含み、
前記層間絶縁膜として、ATR法にてIRスペクトル測定を行った時の2950cm-1付近のピークと1720cm-1付近のピークの比(2950cm-1付近のピーク/1720cm-1付近のピーク)が、0.05~0.35である硬化膜を用いることを特徴とする半導体装置の製造方法。
また、本発明の第四の態様は、以下のとおりである。
[85]
以下の工程:
(1)感光性樹脂組成物を基板上に塗布することによって感光性樹脂層を該基板上に形成する工程、
(2)該感光性樹脂層を露光する工程、
(3)該露光後の感光性樹脂層を現像してレリーフパターンを形成する工程、
(4)該レリーフパターンを150℃~200℃の温度範囲で0~240分加熱処理することによって半硬化レリーフパターンを形成する第一の熱硬化工程、および
(5)該半硬化レリーフパターンを200~260℃の温度範囲で且つ第一の熱硬化工程より高い温度で10分以下加熱処理することによって硬化レリーフパターンを形成する第二の熱硬化工程を順に含み、
更に再度、前記(1)~(5)の工程を前記順に行うことを含むことを特徴とする、多層硬化レリーフパターンの製造方法。
[86]
前記(1)~(5)の工程を前記順に行うことを3~8回繰り返して行う、項目85に記載の多層硬化レリーフパターンの製造方法。
[87]
前記第一の熱硬化工程の温度範囲が150℃~180℃である、項目85に記載の多層硬化レリーフパターンの製造方法。
[88]
前記第一の熱硬化工程の温度範囲が150℃~170℃である、項目85に記載の多層硬化レリーフパターンの製造方法。
[89]
前記第一の熱硬化工程の温度範囲が150℃~160℃である、項目85に記載の多層硬化レリーフパターンの製造方法。
[90]
前記第一の熱硬化工程の温度範囲が150℃である、項目85に記載の多層硬化レリーフパターンの製造方法。
[91]
前記第二の熱硬化工程の最大温度が260℃以下である、項目85に記載の多層硬化レリーフパターンの製造方法。
[92]
前記第二の熱硬化工程の最大温度が240℃以下である、項目85に記載の多層硬化レリーフパターンの製造方法。
[93]
前記第二の熱硬化工程において、最大温度における加熱時間が5分以下である、項目85~92のいずれか一項に記載の多層硬化レリーフパターンの製造方法。
[94]
前記第二の熱硬化工程において、最大温度における加熱時間が1分以下である、項目85~93のいずれか一項に記載の多層硬化レリーフパターンの製造方法。
[95]
前記基板が、半導体チップと前記半導体チップを覆う封止材から構成される基板である、項目85~94のいずれか一項に記載の多層硬化レリーフパターンの製造方法。
[96]
前記感光性樹脂組成物が、感光性ポリイミド樹脂組成物である、項目85~95のいずれか一項に記載の多層硬化レリーフパターンの製造方法。
[97]
前記感光性ポリイミド樹脂組成物の樹脂が、下記一般式(IV-1):
Figure 2023134612000044
{式中、Xは、4価の有機基であり、Yは、2価の有機基であり、n1は、2~150の整数であり、そしてR及びRは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~4の飽和脂肪族基、下記一般式(IV-2):
Figure 2023134612000045
(式中、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~3の有機基であり、そしてm1は、2~10の整数である。)
で表される1価の有機基、又は下記一般式(IV-3):
Figure 2023134612000046
(式中、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~3の有機基であり、そしてm2は、2~10の整数である。)
で表されるアンモニウムイオンである。}
で表される構造を有するポリイミド前駆体である、項目96に記載の多層硬化レリーフパターンの製造方法。
[98]
前記一般式(IV-1)において前記Xは、芳香族基を有する4価の有機基であり、かつ前記Yは、芳香族基を有する2価の有機基である、項目97に記載の多層硬化レリーフパターンの製造方法。
[99]
前記一般式(IV-1)において前記Xは、下記式(IV-7)で表される4価の基である、項目97に記載の多層硬化レリーフパターンの製造方法。
Figure 2023134612000047
[100]
前記一般式(IV-1)において前記Yは、下記式(IV-11)で表される2価の基である、項目97に記載の多層硬化レリーフパターンの製造方法。
Figure 2023134612000048
[101]
前記一般式(IV-1)において、前記Xは、下記式(IV-7)で表される4価の基であり、かつ前記Yは、下記式(IV-11)で表される2価の基である、項目97に記載の多層硬化レリーフパターンの製造方法。
Figure 2023134612000049
Figure 2023134612000050
[102]
前記一般式(IV-1)において前記Xは、下記式(IV-5)で表される4価の基である、項目97に記載の多層硬化レリーフパターンの製造方法。
Figure 2023134612000051
[103]
前記一般式(IV-1)において、前記Xは、下記式(IV-5)で表される4価の基であり、かつ前記Yは、下記式(IV-11)で表される2価の基である、項目97に記載の多層硬化レリーフパターンの製造方法。
Figure 2023134612000052
Figure 2023134612000053
また、本発明の第五の態様は、以下のとおりである。
[104]
(A)ポリイミド前駆体;100質量部、
(B)下記一般式(V-1)及び(V-3)~(V-6)の少なくとも1つで表される化合物;0.1~50質量部、
(C)感光剤;0.1~50質量部
を含む、感光性樹脂組成物。
Figure 2023134612000054
{式(V-1)中、Aは窒素原子または炭素原子であり、Rは電子吸引性基であり、Rは炭素数1~6の一価の有機基であり、複数のR及び/またはRで環構造を形成していてもよく、Rは下記一般式(V-2):
Figure 2023134612000055
(式(V-2)中、RおよびRは、それぞれ独立に、水素原子、または炭素数1~4の一価の有機基である。)
で表される構造であり、mは1~2の整数であり、mは0~3の整数であり、mは0~2の整数であり、Aが炭素原子である場合、mは1または2であり、1≦m+m+m≦6である。}
Figure 2023134612000056
Figure 2023134612000057
Figure 2023134612000058
Figure 2023134612000059
{式(V-3)~(V-6)中、Xは、窒素原子、硫黄原子、または酸素原子であり、Rはそれぞれ独立に電子吸引性基であり、Rはそれぞれ独立に炭素数1~6の1価の有機基であり、複数のRで環構造を形成してもよく、mは1~2の整数であり、mは0~3の整数であり、1≦m+m≦6であり、そしてTは、水素原子または炭素数1~10のアルキル基を表す。}
[105]
前記(B)化合物が、下記一般式(V-7)及び(V-8)からなる群から選択される少なくとも1種である、項目104に記載の感光性樹脂組成物。
Figure 2023134612000060
Figure 2023134612000061
{式(V-7)及び(V-8)中、R、R、m、及びmは、前記一般式(V-1)及び(V-3)~(V-6)の少なくとも1つにおいて定義されたとおりである。}
[106]
前記一般式(V-1)及び(V-3)~(V-6)の少なくとも1つにおいて、前記Rが、ニトロ基、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、シアノ基、スルホニル基、炭素数1~8のハロゲン化アルキル基、およびカルボニル基を含む炭素数1~4の一価の有機基からなる群から選択される少なくとも1種である、項目104または105に記載の感光性樹脂組成物。
[107]
前記一般式(V-1)及び(V-3)~(V-6)の少なくとも1つにおいて、前記Rが、アミド基、カルボキシル基、フタルイミド基、ホルミル基、および炭素数1~3のエステル基からなる群から選択される少なくとも1種である、項目104または105に記載の感光性樹脂組成物。
[108]
前記(A)ポリイミド前駆体が、下記一般式(V-9)で表される、項目104~107のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
Figure 2023134612000062
{式(V-9)中、Xは、炭素数6~40の4価の有機基であり、Yは、炭素数6~40の2価の有機基であり、nは、2~150の整数であり、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、又は炭素数1~40の1価の有機基である。ただし、R及びRの少なくとも一方は、下記一般式(V-10)で表される基である。}
Figure 2023134612000063
{式(V-10)中、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~3の1価の有機基であり、そしてmは2~10の整数である。}
[109]
前記一般式(V-9)において前記Xが、下記一般式(V-11)、(V-12)および(V-13)から選択される少なくとも1種を含む、項目108に記載の感光性樹脂組成物。
Figure 2023134612000064
Figure 2023134612000065
Figure 2023134612000066
[110]
前記一般式(V-9)において前記Yが、下記一般式(V-14)、および(V-15)からなる群から選択される少なくとも1種である、項目108に記載の感光性樹脂組成物。
Figure 2023134612000067
Figure 2023134612000068
[111]
前記(A)ポリイミド前駆体が、下記一般式(V-16)で表される構造を含む、項目108~110のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
Figure 2023134612000069
{式(V-16)中、nは、2~150の整数であり、R及びRは、前記一般式(V-9)において定義されたとおりである。}
[112]
(A)ポリイミド前駆体が、下記一般式(V-17)で表される構造を含む、項目108~110のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
Figure 2023134612000070
{式(V-17)中、nは、2~150の整数であり、R及びRは、前記一般式(V-9)において定義されたとおりである。}
[113]
前記(A)ポリイミド前駆体が、下記一般式(V-16)で表される構造を含むポリイミド前駆体と、下記一般式(V-17)で表される構造を含むポリイミド前駆体と、を同時に含む、項目108~110のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
Figure 2023134612000071
{式(V-16)中、nは、2~150の整数であり、R及びRは、前記一般式(V-9)において定義されたとおりである。}
Figure 2023134612000072
{式(V-17)中、nは、2~150の整数であり、R及びRは、前記一般式(V-9)において定義されたとおりである。}
[114]
前記(C)感光剤が、光ラジカル発生剤であり、かつ前記感光性樹脂組成物がネガ型である、項目104~113のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
[115]
さらに(D)熱塩基発生剤:0.1~50質量部
を含む、項目104~114のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
[116]
項目104~115のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物を硬化するポリイミドの製造方法。
[117]
以下の工程:
(1)項目104~115のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物を基板上に塗布して、感光性樹脂層を該基板上に形成する工程と、
(2)該感光性樹脂層を露光する工程と、
(3)該露光後の感光性樹脂層を現像して、レリーフパターンを形成する工程と、
(4)該レリーフパタ-ンを加熱処理して、硬化レリーフパターンを形成する工程と
を含む硬化レリーフパターンの製造方法。
本発明によれば、銅上でのレリーフパターン形成時に高い解像性を示し、高温保管時に銅上ボイドが形成され難く、高温高湿下で保存した場合でも、優れた伸度を示すネガ型感光性樹脂組成物、及び該感光性樹脂組成物を用いて硬化レリーフパターンを製造する方法が提供される。
本実施形態の半導体装置の断面模式図である。 本実施形態の半導体装置の平面模式図である。 本実施形態の半導体装置の製造工程の一例である。 フリップチップBGAと、ファンナウト(Fan-Out)型WLCSPとの比較図である。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」と略記する。)について詳細に説明する。本発明は、以下の本実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
本明細書を通じ、一般式において同一符号で表されている構造は、分子中に複数存在する場合には、互いに同一であるか、又は異なっていてもよい。また、図面において同一符号で表される構成要素が複数存在する場合には、それらは、互いに同一であるか、又は異なっていてよい。
本実施の形態に係る第一の態様について説明する。
<ネガ型感光性樹脂組成物>
本実施形態に係るネガ型感光性樹脂組成物は、
(A)下記一般式(I-1)で表される構造単位を含むポリイミド前駆体:100質量部、及び
(B)光重合開始剤:0.1質量部~20質量部
を含む。
Figure 2023134612000073
{式(I-1)中、X1は炭素数6~40の4価の有機基であり、Y1は炭素数6~40の2価の有機基であり、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~40の1価の有機基である。ただし、R及びRの少なくとも一方は、酸重合性基、塩基重合性基、及びラジカル重合性基よりなる群から選択される重合性基を二つ以上含む基である。}
ネガ型感光性樹脂組成物は、高感度及び高解像性を得るという観点から、100質量部の(A)ポリイミド前駆体と、(A)ポリイミド前駆体100質量部を基準として0.1質量部~20質量部の(B)光重合開始剤とを含むことが好ましい。
(A)ポリイミド前駆体
本実施形態における(A)ポリイミド前駆体は、ネガ型感光性樹脂組成物に含まれる樹脂成分であり、加熱環化処理を施すことによってポリイミドに変換される。
ポリイミド前駆体は上記一般式(I-1)で表される構造を有するポリイミド前駆体であることが好ましい。
一般式(I-1)中、Xで表される4価の有機基は、耐熱性と感光特性とを両立するという点で、好ましくは炭素数6~40の有機基であり、より好ましくは、-COOR基及び-COOR基と-CONH-基とが互いにオルト位置にある芳香族基、又は脂環式脂肪族基である。Xで表される4価の有機基として、芳香族環を含有する炭素原子数6~40の有機基を挙げることができ、具体的には例えば、下記一般式(X-1)及び(X-2):
Figure 2023134612000074
Figure 2023134612000075
{式(X-1)及び(X-2)中、R6は水素原子、フッ素原子、C~C10の炭化水素基、及びC~C10の含フッ素炭化水素基から成る群から選ばれる1価の基であり、lは0~2から選ばれる整数であり、mは0~3から選ばれる整数であり、そしてnは0~4から選ばれる整数である。}
のそれぞれで表される構造を有する基が挙げられるが、これらに限定されるものではない。Xの構造は、1種でも2種以上の組み合わせでもよい。上記式(X-1)及び(X-2)のそれぞれで表される構造を有するX基は、耐熱性と感光特性とを両立するという点で特に好ましく、更に好ましくは上記式(X-1)のそれぞれで表される構造である。
基としては、上記式(X-1)で表される構造のなかでも特に、下式:
Figure 2023134612000076
{式中、R6及びmは、それぞれ、上記式(X-1)中のR6及びmと同じ意味である。}
のそれぞれで表される構造は、低温加熱時のイミド化率、脱ガス性、銅密着性、及び耐薬品性の観点から好ましい。
上記一般式(I-1)中、Yで表される2価の有機基は、耐熱性と感光特性とを両立するという点で、好ましくは炭素数6~40の芳香族基であり、例えば、下記式(Y-1)及び(Y-2):
Figure 2023134612000077
Figure 2023134612000078
{式中、R6は水素原子、フッ素原子、C~C10の炭化水素基、及びC~C10の含フッ素炭化水素基から成る群から選ばれる1価の基であり、そしてnは0~4から選ばれる整数である。}
のそれぞれで表される構造が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、Yの構造は1種でも2種以上の組み合わせでもよい。上記式(Y-1)及び(Y-2)のそれぞれで表される構造を有するY基は、耐熱性及び感光特性を両立するという点で特に好ましく、更に好ましくは上記式(Y-1)のそれぞれで表される構造である。
基としては、上記式(Y-1)で表される構造のなかでも特に、下式:
Figure 2023134612000079
{式中、R6及びnは、それぞれ、上記式(Y-1)中のR6及びnと同じ意味である。}
のそれぞれで表される構造は、低温加熱時のイミド化率、脱ガス性、銅密着性、及び耐薬品性の観点から好ましい。
上記一般式(I-1)中のR及びRの少なくとも一方は、酸重合性基、塩基重合性基、及びラジカル重合性基より成る群から選択される重合性基を二つ以上含む基であることが好ましい。
ここで、酸重合性基、塩基重合性基、及びラジカル重合性基とは、それぞれ、酸、塩基、又はラジカルの作用によって重合可能な基をいう。
及びRの少なくとも一方が有する重合性基の数は、2~6個であることが好ましく、2~4個であることがより好ましく、2個又は3個であることが更に好ましい。
及びRの少なくとも一方が有する重合性基としては、感度の観点から、R及びRの少なくともいずれか一方が、下記一般式(I-R1)で表される基を含むことが望ましい。
Figure 2023134612000080
{式(I-R1)中、R、R、及びRは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~3の1価の有機基であり、Zは炭素数1~10の3価又は4価の有機基であり、Zが3価のときm1は2であり、Zが4価のときm1は3である。}
前記(A)ポリイミド前駆体中のR及びRのすべてに対する上記一般式(I-R1)で表される1価の有機基の割合は、露光時の解像度向上の観点から、50モル%以上であることが好ましく、70モル%以上であることがより好ましく、80モル%以上であることが更に好ましく、90モル%以上又は95%以上であることが特に好ましく、100%であってもよい。
更に、解像性の観点から、R及びRの少なくとも一方が、下記一般式(I-R2)又は(I-R3)で表される基を含むことが望ましい。
Figure 2023134612000081
{式(I-R2)中、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基である}
Figure 2023134612000082
{式(I-R3)中、R、R、及びR10は、それぞれ独立に、水素原子又はメチル基である}
前記(A)ポリイミド前駆体中の、R及びRのすべてに対する上記一般式(I-R2)及び(I-R3)のそれぞれで表される1価の有機基の合計の割合は、露光時の解像度向上の観点から、50モル%以上であることが好ましく、70モル%以上であることがより好ましく、80モル%以上であることが更に好ましく、90モル%以上又は95%以上であることが特に好ましく、100%であってもよい。
本実施形態のネガ型感光剤樹脂組成物は、ポリイミド前駆体が特定構造の側鎖を含有することで、銅上での解像性、及びボイド形成抑制性に優れ、更に、高温高湿下保管後にも高い伸度を有するポリイミド膜を提供する。
理論に拘束されないが、銅上で解像性が向上する理由としては、樹脂一分子中に含まれる重合性基の数が増えることにより、露光の際に強固な樹脂間の架橋構造を形成するため、現像時の現像液による膨潤が抑えられることによると考えられる。
また、ボイド形成抑制性が優れる理由としては、熱硬化後も光反応で架橋した比較的極性の低いアクリレート/メタクリレートの重合生成物の一部が膜中に残留することにより、銅のマイグレーションを抑制していることによると考えられる。
温高湿下保管後の伸度の維持についても同様であり、アクリレート/メタクリレートの重合生成物の一部が膜中に残留することにより、膜中への水の侵入を抑えることが可能となり、保管後も保管前と変わらず高い伸度を示すと考えられる。
一実施形態において、(A)ポリイミド前駆体における上記一般式(I-1)で表される構造単位は、下記一般式(I-1-1):
Figure 2023134612000083
{式(I-1-1)中、R、R、及びnは、上記一般式(I-1)に定義したものである。}
で表される構造単位を含むことが好ましい。
一般式(I-1-1)において、R及びRの少なくとも一方は、感度の観点から、上記一般式(I-R1)で表される1価の有機基を含むことがより好ましく、解像性の観点から、上記一般式(I-R2)又は(I-R3)で表される基を含むことがより好ましい。
(A)ポリイミド前駆体における上記一般式(I-1)で表される構造単位が、一般式(I-1-1)で表される構造単位を含むことで、特に、得られるポリイミド膜の耐薬品性が高くなる。また、低温加熱時のイミド化率、脱ガス性、及び銅密着性の観点からも好ましい。
一実施形態において、(A)ポリイミド前駆体における上記一般式(I-1)で表される構造単位は、下記一般式(I-1-2):
Figure 2023134612000084
{式中、R、R、及びnは、上記一般式(I-1)に定義したものである。}
で表される構造単位を含むことが好ましい。
一般式(I-1-2)において、R及びRの少なくとも一方は、感度の観点から、上記一般式(I-R1)で表される1価の有機基を含むことがより好ましく、解像性の観点から、上記一般式(I-R2)又は(I-R3)で表される基を含むことがより好ましい。
(A)ポリイミド前駆体における上記一般式(I-1)で表される構造単位が、一般式(I-1-2)で表される構造単位を含むことにより、特に、得られるポリイミド膜の耐薬品性が高くなる。また、低温加熱時のイミド化率、脱ガス性、及び銅密着性の観点からも好ましい。
一実施形態において、(A)ポリイミド前駆体における上記一般式(I-1)で表される構造単位は、下記一般式(I-1-3):
Figure 2023134612000085
{式中、R、R、及びnは、上記一般式(I-1)に定義したものである。}
で表される構造単位を含むことが好ましい。
一般式(I-1-3)において、R及びRの少なくとも一方は、感度の観点から、上記一般式(I-R1)で表される1価の有機基を含むことがより好ましく、解像性の観点から、上記一般式(I-R2)又は(I-R3)で表される基を含むことがより好ましい。
(A)ポリイミド前駆体における上記一般式(I-1)で表される構造単位が、一般式(I-1-3)で表される構造単位を含むことにより、特に解像性の向上効果が更に高くなる。また、低温加熱時のイミド化率、脱ガス性、銅密着性、及び耐薬品性の観点からも好ましい。
(A)ポリイミド前駆体の調製方法
(A)ポリイミド前駆体を調製するには、先ず、
前述の4価の有機基Xを含むテトラカルボン酸二無水物と、
酸重合性基、塩基重合性基、及びラジカル重合性基から成る群より選択される重合性基を二つ以上有するアルコール、及び任意にその他のアルコールと
を反応させて、部分的にエステル化したテトラカルボン酸(以下、アシッド/エステル体ともいう)を調製する。
次いで、部分的にエステル化したテトラカルボン酸(アシッド/エステル体)と、
前述の2価の有機基Yを含むジアミンと
をアミド重縮合させることにより、本実施形態に所定の(A)ポリイミド前駆体が得られる。
(アシッド/エステル体の調製)
本実施形態で、(A)ポリイミド前駆体を調製するために好適に用いられる、4価の有機基Xを含むテトラカルボン酸二無水物としては、下記式:
Figure 2023134612000086
{式中、Xは、上記一般式(I-1)に定義したものである。}
で表される化合物が好ましい。このXは、上記一般式(X-1)及び(X-2)のそれぞれで表される構造から選択されることがより好ましく、上記一般式(X-1)で表される構造であることが更に好ましい。
テトラカルボン酸二無水物として、特に好ましくは、例えば、無水ピロメリット酸、ジフェニルエーテル-3,3’,4,4’-テトラカルボン酸二無水物(別名:オキシジフタル酸二無水物、略称「ODPA」)、ベンゾフェノン-3,3’,4,4’-テトラカルボン酸二無水物、ビフェニル-3,3’,4,4’-テトラカルボン酸二無水物(略称「BPDA」)、ジフェニルスルホン-3,3’,4,4’-テトラカルボン酸二無水物、ジフェニルメタン-3,3’,4,4’-テトラカルボン酸二無水物、2,2-ビス(3,4-無水フタル酸)プロパン、2,2-ビス(3,4-無水フタル酸)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン等を挙げることができる。とりわけ好ましくは、無水ピロメリット酸、ジフェニルエーテル-3,3’,4,4’-テトラカルボン酸二無水物、ベンゾフェノン-3,3’,4,4’-テトラカルボン酸二無水物、ビフェニル-3,3’,4,4’-テトラカルボン酸二無水物を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。これらは単独で用いることができるのは勿論のこと、2種以上を混合して用いてもよい。
本実施形態で、(A)ポリイミド前駆体を調製するために好適に用いられる、酸重合性基、塩基重合性基、及びラジカル重合性基から成る群より選択される重合性基を二つ以上有するアルコールとしては、例えば、グリセロールジアクリレート、1-(アクリロイルオキシ)-3-(メタクリロイルオキシ)-2-プロパノール、グリセロールジメタクリレート、ペンタエリトリトールトリアクリレート、ペンタエリトリトールトリメタクリレート等を挙げることができる。
本実施形態で、(A)ポリイミド前駆体を調製するために任意的に用いることのできるその他のアルコールには、光重合性不飽和二重結合を1つ有するアルコール、及び重合性基を有さないアルコールが含まれる。
光重合性不飽和二重結合を1つ有するアルコールとしては、例えば、2-アクリロイルオキシエチルアルコール、1-アクリロイルオキシ-3-プロピルアルコール、2-アクリルアミドエチルアルコール、メチロールビニルケトン、2-ヒドロキシエチルビニルケトン、2-ヒドロキシ-3-メトキシプロピルアクリレート、2-ヒドロキシ-3-ブトキシプロピルアクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルアクリレート、2-ヒドロキシ-3-ブトキシプロピルアクリレート、2-ヒドロキシ-3-t-ブトキシプロピルアクリレート、2-ヒドロキシ-3-シクロヘキシルオキシプロピルアクリレート、2-メタクリロイルオキシエチルアルコール、1-メタクリロイルオキシ-3-プロピルアルコール、2-メタクリルアミドエチルアルコール、メチロールビニルケトン、2-ヒドロキシエチルビニルケトン、2-ヒドロキシ-3-メトキシプロピルメタクリレート、2-ヒドロキシ-3-ブトキシプロピルメタクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルメタクリレート、2-ヒドロキシ-3-ブトキシプロピルメタクリレート、2-ヒドロキシ-3-t-ブトキシプロピルメタクリレート、2-ヒドロキシ-3-シクロヘキシルオキシプロピルメタクリレート等を挙げることができる。
重合性基を有さないアルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、tert-ブタノール、1-ペンタノール、2-ペンタノール、3-ペンタノール、ネオペンチルアルコール、1-ヘプタノール、2-ヘプタノール、3-ヘプタノール、1-オクタノール、2-オクタノール、3-オクタノール、1-ノナノール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコールモノエチルエーテル、ベンジルアルコール等を挙げることができる。
(A)ポリイミド前駆体として、上記重合性基を有さないアルコールのみを用いて調製された非感光性ポリイミド前駆体を、本発明所定の感光性ポリイミド前駆体と混合して用いてもよい。この場合、解像性の観点から、非感光性ポリイミド前駆体の配合量は、感光性ポリイミド前駆体100質量部を基準として、200質量部以下であることが好ましい。
上記の好適なテトラカルボン酸二無水物と上記のアルコールとを、例えばピリジン等の適当な塩基性触媒の存在下、好ましくは後述するような溶剤中で、好ましくは温度20~50℃において、好ましくは4~10時間、撹拌して、溶解及び混合することにより、テトラカルボン酸二無水物が有する酸無水物基のエステル化反応が進行し、所望のアシッド/エステル体を得ることができる。
(ポリイミド前駆体の調製)
上記アシッド/エステル体(典型的には、後述する溶剤中に溶解した溶液状)に、氷冷下、適当な脱水縮合剤、例えば、ジシクロヘキシルカルボジイミド、1-エトキシカルボニル-2-エトキシ-1,2-ジヒドロキノリン、1,1-カルボニルジオキシ-ジ-1,2,3-ベンゾトリアゾール、N,N’-ジスクシンイミジルカーボネート等を投入混合して、アシッド/エステル体をポリ酸無水物とした後、これに、本実施形態で好適に用いられる2価の有機基Yを含むジアミンを、別途溶媒に溶解又は分散させたものを滴下投入し、アミド重縮合させることにより、目的のポリイミド前駆体を得ることができる。
代替的には、塩化チオニル等を用いて上記アシッド/エステル体のアシッド部分を酸クロライド化した後、これに、ピリジン等の塩基存在下に、ジアミンと反応させることにより、目的のポリイミド前駆体を得ることができる。
本実施形態で好適に用いられる2価の有機基Yを含むジアミンとしては、式:
N-Y-NH
{式中、Yは、上記一般式(I-1)に定義したものである。}
で表される化合物が好ましい。このYは、上記一般式(Y-1)及び(Y-2)のそれぞれで表される構造であることがより好ましい。
ジアミンとして、更に好ましくは、例えば、p-フェニレンジアミン、m-フェニレンジアミン、4,4-ジアミノジフェニルエーテル(別名:4,4’-オキシジアニリン、略称「ODA」)、3,4’-ジアミノジフェニルエーテル、3,3’-ジアミノジフェニルエーテル、4,4’-ジアミノジフェニルスルフィド、3,4’-ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’-ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、3,4’-ジアミノジフェニルスルホン、3,3’-ジアミノジフェニルスルホン、4,4’-ジアミノビフェニル、3,4’-ジアミノビフェニル、3,3’-ジアミノビフェニル、4,4’-ジアミノベンゾフェノン、3,4’-ジアミノベンゾフェノン、3,3’-ジアミノベンゾフェノン、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’-ジアミノジフェニルメタン、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔4-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、4,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4-ビス(3-アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕エーテル、ビス〔4-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕エーテル、1,4-ビス(4-アミノフェニル)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェニル)ベンゼン、9,10-ビス(4-アミノフェニル)アントラセン、2,2-ビス(4-アミノフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,2-ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕ヘキサフルオロプロパン、1,4-ビス(3-アミノプロピルジメチルシリル)ベンゼン、オルト-トリジンスルホン、9,9-ビス(4-アミノフェニル)フルオレン等、及びこれらのベンゼン環上の水素原子の一部が、メチル基、エチル基、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ハロゲン等で置換されたもの、例えば3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、2,2’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、2,2’-ジメチル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’-ジメチトキシ-4,4’-ジアミノビフェニル、3,3’-ジクロロ-4,4’-ジアミノビフェニル等が挙げられるが、これに限定されるものではない。これらは、単独で用いることができ、これらのうちの2種以上を混合して用いてもよい。
アミド重縮合反応終了後、反応液中に共存している脱水縮合剤の吸水副生物を必要に応じて濾別した後、水、脂肪族低級アルコール、又はその混合液等の貧溶媒を、得られた重合体成分に投入し、重合体成分を析出させ、更に、再溶解、再沈析出操作等を繰り返すことにより、重合体を精製し、真空乾燥を行い、目的のポリイミド前駆体を単離することができる。精製度を向上させるために、陰イオン交換樹脂若しくは陽イオン交換樹脂又はこれらの双方を適当な有機溶剤で膨潤させて充填したカラムに、この重合体の溶液を通し、イオン性不純物を除去してもよい。
上記(A)ポリイミド前駆体の分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算重量平均分子量で測定した場合に、8,000~150,000であることが好ましく、9,000~50,000であることがより好ましい。重量平均分子量が8,000以上である場合、機械物性が良好であり、150,000以下である場合現像液への分散性が良好で、レリーフパターンの解像性能が良好である。ゲルパーミエーションクロマトグラフィーの展開溶媒としては、テトラヒドロフラン、及びN-メチル-2-ピロリドンが推奨される。また重量平均分子量は標準単分散ポリスチレンを用いて作成した検量線から求める。標準単分散ポリスチレンとしては、昭和電工社製、有機溶媒系標準試料「STANDARD SM-105」から選ぶことが推奨される。
(B)光重合開始剤
本実施形態に用いられる(B)光重合開始剤について説明する。
光重合開始剤としては、光ラジカル重合開始剤又は光酸発生剤であることが好ましい。
光ラジカル重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、o-ベンゾイル安息香酸メチル、4-ベンゾイル-4’-メチルジフェニルケトン、ジベンジルケトン、フルオレノン等のベンゾフェノン化合物、2,2’-ジエトキシアセトフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等のアセトフェノン化合物;チオキサントン、2-メチルチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントン等のチオキサントン化合物;ベンジル、ベンジルジメチルケタール、ベンジル-β-メトキシエチルアセタール等のベンジル化合物;ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル等のベンゾイン化合物;1-フェニル-1,2-ブタンジオン-2-(o-メトキシカルボニル)オキシム、1-フェニル-1,2-プロパンジオン-2-(o-メトキシカルボニル)オキシム、1-フェニル-1,2-プロパンジオン-2-(o-エトキシカルボニル)オキシム、1-フェニル-1,2-プロパンジオン-2-(o-ベンゾイル)オキシム、1,3-ジフェニルプロパントリオン-2-(o-エトキシカルボニル)オキシム、1-フェニル-3-エトキシプロパントリオン-2-(o-ベンゾイル)オキシム等のオキシム化合物;N-フェニルグリシン等のN-アリールグリシン化合物;ベンゾイルパークロライド等の過酸化物、芳香族ビイミダゾール化合物、チタノセン化合物等を挙げることができる。
光酸発生剤としては、例えば、α-(n-オクタンスルフォニルオキシイミノ)-4-メトキシベンジルシアニド等が好ましく挙げられる。
本実施形態で好ましく用いられる(B)光重合開始剤は、上記の例示に限定されるものではない。
上記の光重合開始剤の中では、光ラジカル重合開始剤がより好ましく、特に光感度の点で、オキシム化合物が更に好ましい。
(B)光重合開始剤の配合量は、(A)ポリイミド前駆体100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上20質量部であり、より好ましくは1質量部以上8質量部以下である。上記配合量は、光感度又はパターニング性の観点で0.1質量部以上であり、ネガ型感光性樹脂組成物の硬化後の感光性樹脂層の物性の観点から20質量部以下であることが好ましい。
(C)防錆剤
本実施形態の感光性樹脂組成物を用いて銅又は銅合金から成る基板上に硬化膜を形成する場合には、銅上の変色を抑制するために、ネガ型感光性樹脂組成物は防錆剤を任意に含んでもよい。防錆剤としては、アゾール化合物、プリン化合物等が挙げられる。
アゾール化合物としては、例えば、1H-トリアゾール、5-メチル-1H-トリアゾール、5-エチル-1H-トリアゾール、4,5-ジメチル-1H-トリアゾール、5-フェニル-1H-トリアゾール、4-t-ブチル-5-フェニル-1H-トリアゾール、5-ヒドロキシフェニル-1H-トリアゾール、フェニルトリアゾール、p-エトキシフェニルトリアゾール、5-フェニル-1-(2-ジメチルアミノエチル)トリアゾール、5-ベンジル-1H-トリアゾール、ヒドロキシフェニルトリアゾール、1,5-ジメチルトリアゾール、4,5-ジエチル-1H-トリアゾール、1H-ベンゾトリアゾール、2-(5-メチル-2-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-[2-ヒドロキシ-3,5-ビス(α,α-ジメチルベンジル)フェニル]-ベンゾトリアゾール、2-(3,5-ジ-t-ブチル-2-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(3-t-ブチル-5-メチル-2-ヒドロキシフェニル)-ベンゾトリアゾール、2-(3,5-ジ-t-アミル-2-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-5’-t-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、5-メチル-1H-ベンゾトリアゾール、4-メチル-1H-ベンゾトリアゾール、4-カルボキシ-1H-ベンゾトリアゾール、5-カルボキシ-1H-ベンゾトリアゾール、1H-テトラゾール、5-メチル-1H-テトラゾール、5-フェニル-1H-テトラゾール、5-アミノ-1H-テトラゾール、1-メチル-1H-テトラゾール等が挙げられる。
特に好ましくは、トリルトリアゾール、5-メチル-1H-ベンゾトリアゾール、及び4-メチル-1H-ベンゾトリアゾールが挙げられる。これらのアゾール化合物は、1種で用いても2種以上の混合物で用いても構わない。
プリン化合物の具体例としては、例えば、プリン、アデニン、グアニン、ヒポキサンチン、キサンチン、テオブロミン、カフェイン、尿酸、イソグアニン、2,6-ジアミノプリン、9-メチルアデニン、2-ヒドロキシアデニン、2-メチルアデニン、1-メチルアデニン、N-メチルアデニン、N,N-ジメチルアデニン、2-フルオロアデニン、9-(2-ヒドロキシエチル)アデニン、グアニンオキシム、N-(2-ヒドロキシエチル)アデニン、8-アミノアデニン、6-アミノ‐8-フェニル‐9H-プリン、1-エチルアデニン、6-エチルアミノプリン、1-ベンジルアデニン、N-メチルグアニン、7-(2-ヒドロキシエチル)グアニン、N-(3-クロロフェニル)グアニン、N-(3-エチルフェニル)グアニン、2-アザアデニン、5-アザアデニン、8-アザアデニン、8-アザグアニン、8-アザプリン、8-アザキサンチン、8-アザヒポキサンチン等、及びこれらの誘導体が挙げられる。
感光性樹脂組成物が(C)防錆剤を含有する場合の配合量は、(A)ポリイミド前駆体100質量部に対し、0.01~20質量部であることが好ましく、光感度特性の観点から0.03~10質量部であることがより好ましく、0.05~5質量部が更に好ましく、例えば0.01~5質量部であってよい。(C)防錆剤の(A)ポリイミド前駆体100質量部に対する配合量が0.01質量部以上である場合、本実施形態の感光性樹脂組成物を銅又は銅合金の上に形成した場合に、銅又は銅合金表面の変色が抑制され、一方、20質量部以下である場合には光感度に優れる。
(D)熱塩基発生剤
本実施形態のネガ型感光性樹脂組成物は、(D)熱塩基発生剤を含有していてもよい。塩基発生剤とは、加熱することで塩基を発生する化合物をいう。熱塩基発生剤を含有することで、感光性樹脂組成物のイミド化をさらに促進することができる。
熱塩基発生剤としては、その種類を特に定めるものではないが、tert-ブトキシカルボニル基によって保護されたアミン化合物、国際公開第2017/038598号に開示された熱塩基発生剤等が挙げられる。しかしながら、これらに限定されず、その他にも公知の熱塩基発生剤を用いることができる。
tert-ブトキシカルボニル基によって保護されたアミン化合物としては、例えば、エタノールアミン、3-アミノ-1-プロパノール、1-アミノ-2-プロパノール、2-アミノ-1-プロパノール、4-アミノ-1-ブタノール、2-アミノ-1-ブタノール、1-アミノ-2-ブタノール、3-アミノ-2,2-ジメチル-1-プロパノール、4-アミノ-2-メチル-1-ブタノール、バリノール、3-アミノ-1,2-プロパンジオール、2-アミノ-1,3-プロパンジオール、チラミン、ノルエフェドリン、2-アミノ-1-フェニル-1,3-プロパンジオール、2-アミノシクロヘキサノール、4-アミノシクロヘキサノール、4-アミノシクロヘキサンエタノール、4-(2-アミノエチル)シクロヘキサノール、N-メチルエタノールアミン、3-(メチルアミノ)-1-プロパノール、3-(イソプロピルアミノ)プロパノール、N-シクロヘキシルエタノールアミン、α-[2-(メチルアミノ)エチル]ベンジルアルコール、ジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、3-ピロリジノール、2-ピロリジンメタノール、4-ヒドロキシピペリジン、3-ヒドロキシピペリジン、4-ヒドロキシ-4-フェニルピペリジン、4-(3-ヒドロキシフェニル)ピペリジン、4-ピペリジンメタノール、3-ピペリジンメタノール、2-ピペリジンメタノール、4-ピペリジンエタノール、2-ピペリジンエタノール、2-(4-ピペリジル)-2-プロパノール、1,4-ブタノールビス(3-アミノプロピル)エーテル、1,2-ビス(2-アミノエトキシ)エタン、2,2’-オキシビス(エチルアミン)、1,14-ジアミノ-3,6,9,12-テトラオキサテトラデカン、1-アザ-15-クラウン 5-エーテル、ジエチレングリコールビス(3-アミノプロピル)エーテル、1,11-ジアミノ-3,6,9-トリオキサウンデカン、ジエチレングリコールビス(3-アミノプロピル)エーテル等、並びに、アミノ酸及びその誘導体のアミノ基をtert-ブトキシカルボニル基によって保護した化合物等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
(D)熱塩基発生剤の配合量は、(A)ポリイミド前駆体100質量部に対して、好ましくは0.1質量部以上30質量部以下であり、より好ましくは0.5質量部以上15質量部以下であり、更に好ましくは1質量部以上20質量部以下であり、例えば0.5質量部以上20質量部以下であってよい。上記配合量は、イミド化促進効果の観点で0.1質量部以上であり、ネガ型感光性樹脂組成物の硬化後の感光性樹脂層の物性の観点から20質量部以下であることが好ましい。
本実施形態のネガ型感光性樹脂組成物は、上記(A)~(D)成分以外の成分を更に含有していてもよい。(A)~(D)成分以外の成分としては、限定されないが、例えば、溶剤、含窒素複素環化合物、ヒンダードフェノール化合物、有機チタン化合物、接着助剤、増感剤、光重合性不飽和モノマー、熱重合禁止剤等が挙げられる。
溶剤
溶剤としては、アミド、スルホキシド、ウレア及びその誘導体、ケトン、エステル、ラクトン、エーテル、ハロゲン化炭化水素、炭化水素、アルコール等が挙げられ、具体的には、例えば、N-メチル-2-ピロリドン、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、テトラメチル尿素、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、シュウ酸ジエチル、乳酸エチル、乳酸メチル、乳酸ブチル、γ-ブチロラクトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ベンジルアルコール、フェニルグリコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、モルフォリン、ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン、1,4-ジクロロブタン、クロロベンゼン、o-ジクロロベンゼン、アニソール、ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン等を使用することができる。中でも、樹脂の溶解性、樹脂組成物の安定性、及び基板への接着性の観点から、N-メチル-2-ピロリドン、ジメチルスルホキシド、テトラメチル尿素、酢酸ブチル、乳酸エチル、γ-ブチロラクトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ベンジルアルコール、フェニルグリコール、及びテトラヒドロフルフリルアルコールから成る群から選択される1種以上が好ましい。
このような溶剤の中で、とりわけ、(A)ポリイミド前駆体を完全に溶解するものが好ましく、例えば、N-メチル-2-ピロリドン、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、テトラメチル尿素、ガンマブチロラクトン等が好適である。
本実施形態の感光性樹脂組成物において、溶剤の使用量は、(A)ポリイミド前駆体100質量部に対して、好ましくは100~1,000質量部であり、より好ましくは120~700質量部であり、さらに好ましくは125~500質量部の範囲である。
ヒンダードフェノール化合物
銅表面上の変色を抑制するために、ネガ型感光性樹脂組成物は、ヒンダードフェノール化合物を任意に含んでもよい。ヒンダードフェノール化合物としては、例えば、2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール、2,5-ジ-t-ブチル-ハイドロキノン、オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネ-ト、イソオクチル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、4、4’-メチレンビス(2、6-ジ-t-ブチルフェノール)、4,4’-チオ-ビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)、4,4’-ブチリデン-ビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)、トリエチレングリコール-ビス[3-(3-t-ブチル-5-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6-ヘキサンジオール-ビス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,2-チオ-ジエチレンビス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N’-ヘキサメチレンビス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシ-ヒドロシンナマミド)、2,2’-メチレン-ビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、2,2’-メチレン-ビス(4-エチル-6-t-ブチルフェノール)、ペンタエリスリチル-テトラキス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、トリス-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-イソシアヌレイト、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、1,3,5-トリス(3-ヒドロキシ-2,6-ジメチル-4-イソプロピルベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン、1,3,5-トリス(4-t-ブチル-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン、1,3,5-トリス(4-s-ブチル-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン、1,3,5-トリス[4-(1-エチルプロピル)-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルベンジル]-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン、
1,3,5-トリス[4-トリエチルメチル-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルベンジル]-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン、1,3,5-トリス(3-ヒドロキシ-2,6-ジメチル-4-フェニルベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン、1,3,5-トリス(4-t-ブチル-3-ヒドロキシ-2,5,6-トリメチルベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン、1,3,5-トリス(4-t-ブチル-5-エチル-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン、1,3,5-トリス(4-t-ブチル-6-エチル-3-ヒドロキシ-2-メチルベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン、1,3,5-トリス(4-t-ブチル-6-エチル-3-ヒドロキシ-2,5-ジメチルベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン、1,3,5-トリス(4-t-ブチル-5,6-ジエチル-3-ヒドロキシ-2-メチルベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン、
1,3,5-トリス(4-t-ブチル-3-ヒドロキシ-2-メチルベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン、1,3,5-トリス(4-t-ブチル-3-ヒドロキシ-2,5-ジメチルベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン、1,3,5-トリス(4-t-ブチル-5‐エチル-3-ヒドロキシ-2-メチルベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン等が挙げられるが、これに限定されるものではない。
これらの中でも、1,3,5-トリス(4-t-ブチル-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン等が特に好ましい。
ヒンダードフェノール化合物の配合量は、(A)ポリイミド前駆体100質量部に対し、0.1~20質量部であることが好ましく、光感度特性の観点から0.5~10質量部であることがより好ましい。ヒンダードフェノール化合物の(A)ポリイミド前駆体100質量部に対する配合量が0.1質量部以上である場合、例えば銅又は銅合金の上に本実施形態の感光性樹脂組成物を形成した場合に、銅又は銅合金の変色及び腐食が防止され、一方、20質量部以下である場合には光感度に優れる。
有機チタン化合物
本実施形態のネガ型感光性樹脂組成物は、有機チタン化合物を含有してもよい。ネガ型感光性樹脂組成物が有機チタン化合物を含有することにより、低温で硬化した場合であっても耐薬品性に優れる感光性樹脂層を形成できる。
使用可能な有機チタン化合物としては、チタン原子に有機基が共有結合又はイオン結合を介して結合しているものが挙げられる。
有機チタン化合物の具体例を、以下のI)~VII)に示す:
I)チタンキレート化合物:中でも、ネガ型感光性樹脂組成物の保存安定性がよく、良好な硬化パターンが得られることから、アルコキシ基を2個以上有するチタンキレート化合物がより好ましい。具体的な例は、チタニウムビス(トリエタノールアミン)ジイソプロポキサイド、チタニウムジ(n-ブトキサイド)ビス(2,4-ペンタンジオネート、チタニウムジイソプロポキサイドビス(2,4-ペンタンジオネート)、チタニウムジイソプロポキサイドビス(テトラメチルヘプタンジオネート)、チタニウムジイソプロポキサイドビス(エチルアセトアセテート)等である。
II)テトラアルコキシチタン化合物:例えば、チタニウムテトラ(n-ブトキサイド)、チタニウムテトラエトキサイド、チタニウムテトラ(2-エチルヘキソキサイド)、チタニウムテトライソブトキサイド、チタニウムテトライソプロポキサイド、チタニウムテトラメトキサイド、チタニウムテトラメトキシプロポキサイド、チタニウムテトラメチルフェノキサイド、チタニウムテトラ(n-ノニロキサイド)、チタニウムテトラ(n-プロポキサイド)、チタニウムテトラステアリロキサイド、チタニウムテトラキス[ビス{2,2-(アリロキシメチル)ブトキサイド}]等である。
III)チタノセン化合物:例えば、ペンタメチルシクロペンタジエニルチタニウムトリメトキサイド、ビス(η-2,4-シクロペンタジエン-1-イル)ビス(2,6-ジフルオロフェニル)チタニウム、ビス(η-2,4-シクロペンタジエン-1-イル)ビス(2,6-ジフルオロ-3-(1H-ピロール-1-イル)フェニル)チタニウム等である。
IV)モノアルコキシチタン化合物:例えば、チタニウムトリス(ジオクチルホスフェート)イソプロポキサイド、チタニウムトリス(ドデシルベンゼンスルホネート)イソプロポキサイド等である。
V)チタニウムオキサイド化合物:例えば、チタニウムオキサイドビス(ペンタンジオネート)、チタニウムオキサイドビス(テトラメチルヘプタンジオネート)、フタロシアニンチタニウムオキサイド等である。
VI)チタニウムテトラアセチルアセトネート化合物:例えば、チタニウムテトラアセチルアセトネート等である。
VII)チタネートカップリング剤:例えば、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート等である。
中でも、有機チタン化合物としては、上記I)チタンキレート化合物、II)テトラアルコキシチタン化合物、及びIII)チタノセン化合物から成る群から選ばれる少なくとも1種の化合物であることが、より良好な耐薬品性を奏するという観点から好ましい。特に、チタニウムジイソプロポキサイドビス(エチルアセトアセテート)、チタニウムテトラ(n-ブトキサイド)、及びビス(η-2,4-シクロペンタジエン-1-イル)ビス(2,6-ジフルオロ-3-(1H-ピロール-1-イル)フェニル)チタニウムが好ましい。
有機チタン化合物を配合する場合、その配合量は、(A)ポリイミド前駆体100質量部に対し、0.05~10質量部であることが好ましく、より好ましくは0.1~2質量部である。該配合量が0.05質量部以上である場合、得られる硬化パターンに良好な耐熱性及び耐薬品性が発現し、一方10質量部以下である場合、感光性樹脂組成物の保存安定性に優れる。
接着助剤
本実施形態のネガ型感光性樹脂組成物を用いて形成される膜と基材との接着性向上のために、ネガ型感光性樹脂組成物は、接着助剤を任意に含んでもよい。
接着助剤としては、アルミニウム系接着助剤、シランカップリング剤等を使用することができる。
アルミニウム系接着助剤としては、例えば、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート等を挙げることができる。
シランカップリング剤としては、例えば、γ-アミノプロピルジメトキシシラン、N-(β-アミノエチル)-γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルジメトキシメチルシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、トリメトキシフェニルシラン、トリメトキシ(p-トリル)シラン、ジメトキシメチル-3-ピペリジノプロピルシラン、ジエトキシ-3-グリシドキシプロピルメチルシラン、N-(3-ジエトキシメチルシリルプロピル)スクシンイミド、N-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]フタルアミド酸、ベンゾフェノン-3,3’-ビス(N-[3-トリエトキシシリル]プロピルアミド)-4,4’-ジカルボン酸、ベンゼン-1,4-ビス(N-[3-トリエトキシシリル]プロピルアミド)-2,5-ジカルボン酸、3-(トリエトキシシリル)プロピルスクシニックアンハイドライド、N-フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン、3-ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3-ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3-(トリアルコキシシリル)プロピルスクシン酸無水物、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製:商品名 KBM803、チッソ株式会社製:商品名 サイラエースS810)、3-メルカプトプロピルトリエトキシシラン(アズマックス株式会社製:商品名 SIM6475.0)、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン(信越化学工業株式会社製:商品名 LS1375、アズマックス株式会社製:商品名 SIM6474.0)、メルカプトメチルトリメトキシシラン(アズマックス株式会社製:商品名 SIM6473.5C)、メルカプトメチルメチルジメトキシシラン(アズマックス株式会社製:商品名 SIM6473.0)、3-メルカプトプロピルジエトキシメトキシシラン、3-メルカプトプロピルエトキシジメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリプロポキシシラン、3-メルカプトプロピルジエトキシプロポキシシラン、3-メルカプトプロピルエトキシジプロポキシシラン、3-メルカプトプロピルジメトキシプロポキシシラン、3-メルカプトプロピルメトキシジプロポキシシラン、2-メルカプトエチルトリメトキシシラン、2-メルカプトエチルジエトキシメトキシシラン、2-メルカプトエチルエトキシジメトキシシラン、2-メルカプトエチルトリプロポキシシラン、2-メルカプトエチルトリプロポキシシラン、2-メルカプトエチルエトキシジプロポキシシラン、2-メルカプトエチルジメトキシプロポキシシラン、2-メルカプトエチルメトキシジプロポキシシラン、4-メルカプトブチルトリメトキシシラン、4-メルカプトブチルトリエトキシシラン、4-メルカプトブチルトリプロポキシシラン、N-(3-トリエトキシシリルプロピル)ウレア(信越化学工業株式会社製:商品名 LS3610、アズマックス株式会社製:商品名 SIU9055.0)、N-(3-トリメトキシシリルプロピル)ウレア(アズマックス株式会社製:商品名 SIU9058.0)、N-(3-ジエトキシメトキシシリルプロピル)ウレア、N-(3-エトキシジメトキシシリルプロピル)ウレア、N-(3-トリプロポキシシリルプロピル)ウレア、N-(3-ジエトキシプロポキシシリルプロピル)ウレア、N-(3-エトキシジプロポキシシリルプロピル)ウレア、N-(3-ジメトキシプロポキシシリルプロピル)ウレア、N-(3-メトキシジプロポキシシリルプロピル)ウレア、N-(3-トリメトキシシリルエチル)ウレア、N-(3-エトキシジメトキシシリルエチル)ウレア、N-(3-トリプロポキシシリルエチル)ウレア、N-(3-トリプロポキシシリルエチル)ウレア、N-(3-エトキシジプロポキシシリルエチル)ウレア、N-(3-ジメトキシプロポキシシリルエチル)ウレア、N-(3-メトキシジプロポキシシリルエチル)ウレア、N-(3-トリメトキシシリルブチル)ウレア、N-(3-トリエトキシシリルブチル)ウレア、N-(3-トリプロポキシシリルブチル)ウレア、3-(m-アミノフェノキシ)プロピルトリメトキシシラン(アズマックス株式会社製:商品名 SLA0598.0)、m-アミノフェニルトリメトキシシラン(アズマックス株式会社製:商品名 SLA0599.0)、p-アミノフェニルトリメトキシシラン(アズマックス株式会社製:商品名 SLA0599.1)アミノフェニルトリメトキシシラン(アズマックス株式会社製:商品名 SLA0599.2)、2-(トリメトキシシリルエチル)ピリジン(アズマックス株式会社製:商品名 SIT8396.0)、2-(トリエトキシシリルエチル)ピリジン、2-(ジメトキシシリルメチルエチル)ピリジン、2-(ジエトキシシリルメチルエチル)ピリジン、(3-トリエトキシシリルプロピル)-t-ブチルカルバメート、(3-グリシドキシプロピル)トリエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ-n-プロポキシシラン、テトラ-i-プロポキシシラン、テトラ-n-ブトキシシラン、テトラ-i-ブトキシシラン、テトラ-t-ブトキシシラン、テトラキス(メトキシエトキシシラン)、テトラキス(メトキシ-n-プロポキシシラン)、テトラキス(エトキシエトキシシラン)、テトラキス(メトキシエトキシエトキシシラン)、ビス(トリメトキシシリル)エタン、ビス(トリメトキシシリル)ヘキサン、ビス(トリエトキシシリル)メタン、ビス(トリエトキシシリル)エタン、ビス(トリエトキシシリル)エチレン、ビス(トリエトキシシリル)オクタン、ビス(トリエトキシシリル)オクタジエン、ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]ジスルフィド、ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]テトラスルフィド、ジ-t-ブトキシジアセトキシシラン、ジ-i-ブトキシアルミノキシトリエトキシシラン、フェニルシラントリオール、メチルフェニルシランジオール、エチルフェニルシランジオール、n-プロピルフェニルシランジオール、イソプロピルフェニルシランジオール、n-ブチルシフェニルシランジオール、イソブチルフェニルシランジオール、tert-ブチルフェニルシランジオール、ジフェニルシランジオール、ジメトキシジフェニルシラン、ジエトキシジフェニルシラン、ジメトキシジ-p-トリルシラン、エチルメチルフェニルシラノール、n-プロピルメチルフェニルシラノール、イソプロピルメチルフェニルシラノール、n-ブチルメチルフェニルシラノール、イソブチルメチルフェニルシラノール、tert-ブチルメチルフェニルシラノール、エチルn-プロピルフェニルシラノール、エチルイソプロピルフェニルシラノール、n-ブチルエチルフェニルシラノール、イソブチルエチルフェニルシラノール、tert-ブチルエチルフェニルシラノール、メチルジフェニルシラノール、エチルジフェニルシラノール、n-プロピルジフェニルシラノール、イソプロピルジフェニルシラノール、n-ブチルジフェニルシラノール、イソブチルジフェニルシラノール、tert-ブチルジフェニルシラノール、トリフェニルシラノール等の他、下記式(S-1):
Figure 2023134612000087
のそれぞれで表される構造を有するシランカップリング剤が挙げられるが、これらに限定されない。
これらの接着助剤のうちでは、接着力の点からシランカップリング剤を用いることがより好ましい。
シランカップリング剤としては、前記したシランカップリング剤の中でも、保存安定性の観点から、フェニルシラントリオール、トリメトキシフェニルシラン、トリメトキシ(p-トリル)シラン、ジフェニルシランジオール、ジメトキシジフェニルシラン、ジエトキシジフェニルシラン、ジメトキシジ-p-トリルシラン、トリフェニルシラノール、及び上記式(S1)のそれぞれで表される構造を有するシランカップリング剤から成る群より選択される1種以上を使用することが好ましい。
感光性樹脂組成物が接着助剤を含有する場合、接着助剤の配合量は、(A)ポリイミド前駆体100質量部に対し、0.01~25質量部の範囲が好ましく、0.5~20質量部の範囲がより好ましい。
シランカップリング剤を使用する場合の配合量としては、(A)ポリイミド前駆体100質量部に対して、0.01~20質量部が好ましい。
増感剤
本実施形態のネガ型感光性樹脂組成物は、光感度を向上させるために、増感剤を任意に含んでもよい。該増感剤としては、例えば、ミヒラーズケトン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2,5-ビス(4’-ジエチルアミノベンザル)シクロペンタン、2,6-ビス(4’-ジエチルアミノベンザル)シクロヘキサノン、2,6-ビス(4’-ジエチルアミノベンザル)-4-メチルシクロヘキサノン、4,4’-ビス(ジメチルアミノ)カルコン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)カルコン、p-ジメチルアミノシンナミリデンインダノン、p-ジメチルアミノベンジリデンインダノン、2-(p-ジメチルアミノフェニルビフェニレン)-ベンゾチアゾール、2-(p-ジメチルアミノフェニルビニレン)ベンゾチアゾール、2-(p-ジメチルアミノフェニルビニレン)イソナフトチアゾール、1,3-ビス(4’-ジメチルアミノベンザル)アセトン、1,3-ビス(4’-ジエチルアミノベンザル)アセトン、3,3’-カルボニル-ビス(7-ジエチルアミノクマリン)、3-アセチル-7-ジメチルアミノクマリン、3-エトキシカルボニル-7-ジメチルアミノクマリン、3-ベンジロキシカルボニル-7-ジメチルアミノクマリン、3-メトキシカルボニル-7-ジエチルアミノクマリン、3-エトキシカルボニル-7-ジエチルアミノクマリン、N-フェニル-N’-エチルエタノールアミン、N-フェニルジエタノールアミン、N-p-トリルジエタノールアミン、N-フェニルエタノールアミン、4-モルホリノベンゾフェノン、ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、ジエチルアミノ安息香酸イソアミル、2-メルカプトベンズイミダゾール、1-フェニル-5-メルカプトテトラゾール、2-メルカプトベンゾチアゾール、2-(p-ジメチルアミノスチリル)ベンズオキサゾール、2-(p-ジメチルアミノスチリル)ベンズチアゾール、2-(p-ジメチルアミノスチリル)ナフト(1,2-d)チアゾール、2-(p-ジメチルアミノベンゾイル)スチレン等が挙げられる。これらは単独で又は例えば2~5種類の組合せで用いることができる。
光感度を向上させるための増感剤を感光性樹脂組成物が含有する場合、その配合量は、(A)ポリイミド前駆体100質量部に対し、0.1~25質量部であることが好ましい。
光重合性不飽和モノマー
ネガ型感光性樹脂組成物は、レリーフパターンの解像性を向上させるために、光重合性の不飽和結合を有するモノマーを任意に含んでもよい。このようなモノマーとしては、光重合開始剤によりラジカル重合反応する(メタ)アクリル化合物が好ましく、特に以下に限定するものではないが、例えば、
エチレングリコールの、モノアクリレート、ジアクリレート、モノメタクリレート、及びジメタクリレート;
ポリエチレングリコールの、モノアクリレート、ジアクリレート、モノメタクリレート、及びジメタクリレート;
プロピレングリコールの、モノアクリレート、ジアクリレート、モノメタクリレート、及びジメタクリレート;
ポリプロピレングリコールの、モノアクリレート、ジアクリレート、モノメタクリレート、及びジメタクリレート;
グリセロールの、モノアクリレート、ジアクリレート、トリアクリレート、モノメタクリレート、ジメタクリレート、及びトリメタクリレート;
シクロヘキサンの、ジアクリレート及びジメタクリレート;
1,4-ブタンジオールの、ジアクリレート及びジメタクリレート;
1,6-ヘキサンジオールの、ジアクリレート及びジメタクリレート;
ネオペンチルグリコールの、ジアクリレート及びジメタクリレート;
ビスフェノールAの、モノアクリレート、ジアクリレート、モノメタクリレート、及びジメタクリレート;
ベンゼントリメタクリレート;
イソボルニルアクリレート及びイソボロニルメタクリレート;
アクリルアミド及びその誘導体;
メタクリルアミド及びその誘導体;
トリメチロールプロパントリアクリレート及びトリメチロールプロパントリメタクリレート;
ペンタエリスリトールのジアクリレート、トリアクリレート、テトラアクリレート、ジメタクリレート、トリメタクリレート、及びテトラメタクリレート;並びに
これらの化合物のエチレンオキサイド付加物又はプロピレンオキサイド付加物等の化合物を挙げることができる。
レリーフパターンの解像性を向上させるための上記の光重合性不飽和モノマーを感光性樹脂組成物が含有する場合、該光重合性不飽和モノマーの配合量は、(A)ポリイミド前駆体100質量部に対し、1~50質量部であることが好ましい。
熱重合禁止剤
本実施形態のネガ型感光性樹脂組成物は、特に溶剤を含む溶液の状態で保存するときの、粘度及び光感度の安定性を向上させるために、熱重合禁止剤を任意に含んでもよい。
熱重合禁止剤としては、例えば、ヒドロキノン、N-ニトロソジフェニルアミン、p-tert-ブチルカテコール、フェノチアジン、N-フェニルナフチルアミン、エチレンジアミン四酢酸、1,2-シクロヘキサンジアミン四酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸、2,6-ジ-tert-ブチル-p-メチルフェノール、5-ニトロソ-8-ヒドロキシキノリン、1-ニトロソ-2-ナフトール、2-ニトロソ-1-ナフトール、2-ニトロソ-5-(N-エチル-N-スルホプロピルアミノ)フェノール、N-ニトロソ-N-フェニルヒドロキシルアミンアンモニウム塩、N-ニトロソ-N(1-ナフチル)ヒドロキシルアミンアンモニウム塩等を用いることができる。
<硬化レリーフパターンの製造方法>
本実施形態の硬化レリーフパターンの製造方法は、
(1)上述した本実施形態のネガ型感光性樹脂組成物を基板上に塗布して、感光性樹脂層を基板上に形成する工程(樹脂層形成工程)と、
(2)上記感光性樹脂層を露光する工程(露光工程)と、
(3)露光後の感光性樹脂層を現像して、レリーフパターンを形成する工程(レリーフパターン形成る工程)と、
(4)上記レリーフパターンを加熱処理して、硬化レリーフパターンを形成する工程(硬化レリーフパターン形成る工程)と
を含む。
(1)樹脂層形成工程
本工程では、本実施形態のネガ型感光性樹脂組成物を基板上に塗布し、必要に応じて、その後、乾燥させて感光性樹脂層を形成する。塗布方法としては、従来から感光性樹脂組成物の塗布に用いられていた方法、例えば、スピンコーター、バーコーター、ブレードコーター、カーテンコーター、スクリーン印刷機等で塗布する方法、スプレーコーターで噴霧塗布する方法等を用いることができる。
必要に応じて、感光性樹脂組成物を含む塗膜を乾燥させることができる。乾燥方法としては、風乾;オーブン又はホットプレートによる加熱乾燥;真空乾燥等の方法が用いられる。具体的には、風乾又は加熱乾燥の場合、20℃~150℃で1分~1時間の条件で乾燥を行うことができる。
以上のとおりにして、基板上に感光性樹脂層を形成できる。
(2)露光工程
本工程では、上記で形成した感光性樹脂層を、コンタクトアライナー、ミラープロジェクション、ステッパー等の露光装置を用いて、パターンを有するフォトマスク又はレチクルを介して又は直接に、紫外線光源等により露光する。
この露光により、ネガ型感光性樹脂組成物に含有される(A)ポリイミド前駆体が有する重合性基が、(B)光重合開始剤の作用によって架橋する。この架橋によって、露光部分が後述の現像液に不溶となるため、レリーフパターンの形成が可能となる。
この後、光感度の向上等の目的で、必要に応じて、任意の温度及び時間の組合せによる露光後ベーク(PEB)若しくは現像前ベーク又はこれらの双方を施してもよい。ベーク条件は、温度は40℃~120℃であり、そして時間は10秒~240秒であることが好ましいが、本実施形態の感光性樹脂組成物の諸特性を阻害するものでない限り、この範囲に限られない。
(3)レリーフパターン形成工程
本工程では、露光後の感光性樹脂層のうち未露光部を現像除去する。露光(照射)後の感光性樹脂層を現像する現像方法としては、従来知られているフォトレジストの現像方法、例えば、回転スプレー法、パドル法、超音波処理を伴う浸漬法等の中から任意の方法を選択して使用することができる。現像の後、レリーフパターンの形状を調整する等の目的で、必要に応じて、任意の温度及び時間の組合せによる現像後ベークを施してもよい。
現像に使用される現像液としては、例えば、本実施形態のネガ型感光性樹脂組成物に対する良溶媒、又は該良溶媒と貧溶媒との組合せが好ましい。
良溶媒としては、例えば、N-メチル-2-ピロリドン、N-シクロヘキシル-2-ピロリドン、N,N-ジメチルアセトアミド、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、γ-ブチロラクトン、α-アセチル-γ-ブチロラクトン等が好ましい。
貧溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、乳酸エチル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート及び水等が好ましい。
良溶媒と貧溶媒とを混合して用いる場合には、ネガ型感光性樹脂組成物中のポリマーの溶解性によって良溶媒に対する貧溶媒の割合を調整することが好ましい。溶媒は、2種以上、例えば数種類組合せて用いることもできる。
(4)硬化レリーフパターン形成工程
本工程では、上記現像により得られたレリーフパターンを加熱処理して、感光成分を希散させるとともに、(A)ポリイミド前駆体をイミド化させることによって、ポリイミドから成る硬化レリーフパターンに変換する。
加熱処理の方法としては、例えば、ホットプレートによるもの、オーブンを用いるもの、温度プログラムを設定できる昇温式オーブンを用いるもの等種々の方法を選ぶことができる。加熱処理は、例えば、160℃~350℃で30分~5時間の条件で行うことができる。加熱処理の温度は、好ましくは200℃以下、より好ましくは180℃以下である。加熱硬化時の雰囲気気体としては空気を用いてもよく、窒素、アルゴン等の不活性ガスを用いることもできる。
なお、露光後の感光性樹脂層は、(A)ポリイミド前駆体が有する重合性基が架橋して形成された架橋構造を有する。しかしこの架橋構造は、硬化レリーフパターン形成工程における加熱の際にポリマーから脱離し、該脱離で生成するアミド酸構造が閉環してイミド環構造を形成することによって、ポリイミドから成る硬化レリーフパターンが得られると考えられる。
<ポリイミド>
したがって、上記感光性樹脂組成物から形成される硬化レリーフパターンは、下記一般式(I-2)で表される構造のポリイミドを含むと考えられる。
Figure 2023134612000088
{一般式(I-2)中、X及びYは、それぞれ、一般式(I-1)中のX及びYと同じである。}
一般式(I-1)中の好ましいX、Yは、同じ理由により、一般式(I-2)のポリイミドにおいても好ましい。また、上記で説明されたネガ型感光性樹脂組成物を硬化してポリイミドを形成する工程を含むポリイミドの製造方法も本発明の別の態様である。
<半導体装置>
本実施形態では、上述した感光性樹脂組成物から得られる硬化レリーフパターンを有する、半導体装置も提供される。詳しくは、半導体素子である基材と、硬化レリーフパターンとを有する半導体装置が提供される。硬化レリーフパターンは、上述した感光性樹脂組成物を用いて上述した硬化レリーフパターンの製造方法によって製造されたものであってよい。
本実施形態は、基材として半導体素子を用い、上述した本実施形態の硬化レリーフパターンの製造方法を工程の一部として含む、半導体装置の製造方法にも適用できる。この場合、本実施形態の硬化レリーフパターンの製造方法で形成される硬化レリーフパターンを、半導体装置の表面保護膜、層間絶縁膜、再配線用絶縁膜、フリップチップ装置用保護膜、又はバンプ構造を有する半導体装置の保護膜等として形成し、既知の半導体装置の製造方法と組合せることで製造することができる。
<表示体装置>
本実施形態では、表示体素子と該表示体素子の上部に設けられた硬化膜とを備える表示体装置であって、該硬化膜は上述の硬化レリーフパターンである、表示体装置が提供される。ここで、当該硬化レリーフパターンは、当該表示体素子に直接接して積層されていてもよく、別の層を間に挟んで積層されていてもよい。該硬化膜は、例えば、TFT液晶表示素子及びカラーフィルター素子の、表面保護膜、絶縁膜、平坦化膜等;MVA型液晶表示装置用の突起;有機EL素子陰極用の隔壁;等に適用することができる。
本実施形態のネガ型感光性樹脂組成物は、上記のような半導体装置への適用の他、多層回路の層間絶縁、フレキシブル銅張板のカバーコート、ソルダーレジスト膜、液晶配向膜等の用途にも有用である。
本実施の形態に係る第二の態様について説明する。
本実施の第二の形態では、感光性樹脂組成物は、(A)ポリイミド前駆体と、(B)光重合開始剤とをを含む。所望により、感光性樹脂組成物は、その他の成分を含んでよい。各成分を以下に順に説明する。
感光性樹脂組成物のネガ型又はポジ型については、所望の用途に応じて選択されることができ、後述される(A)ポリイミド前駆体の物性の観点から、感光性樹脂組成物はネガ型であることが好ましい。
(A)ポリイミド前駆体
本実施形態では、(A)ポリイミド前駆体は、感光性樹脂組成物に含まれる樹脂成分であり、下記一般式(II-1):
Figure 2023134612000089
{式(II-1)中、X1は、炭素数6~40の4価の有機基であり、Y1は、炭素数6~40の2価の有機基であり、nは、2~150の整数であり、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、又は炭素数1~40の1価の有機基である。ただし、R及びRの少なくともいずれかは、下記一般式(II-2):
Figure 2023134612000090
(式(II-2)中、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~3の1価の有機基であり、そしてmは2~10の整数である。)
で表される基である。}
で表される構造、及び下記一般式(II-3):
Figure 2023134612000091
{式(II-3)中、X1は、炭素数6~40の4価の有機基であり、Y1は、炭素数6~40の2価の有機基であり、nは、2~150の整数であり、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、又は炭素数1~40の1価の有機基である。ただし、R及びRの少なくともいずれかは、下記一般式(II-4):
Figure 2023134612000092
(式(II-4)中、Zは少なくとも1つ以上の窒素原子を有する塩基、または酸、塩基、または熱により脱離可能な保護基で保護された塩基を含む1価の有機基である。)
で表される基である。}
で表される構造を含むポリアミドである。
上記一般式(II-4)中、Zで表される基は、保存安定性の観点から、1つ以上の芳香環が窒素原子に直結した芳香族アミン構造を有する1価の有機基であることが好ましく、また、イミド化率及び耐薬品性の観点から、芳香族3級アミン構造を有する1価の有機基であることがより好ましい。
Zで表される基として、芳香族3級アミン構造を有する1価の有機基としては、例えば、下記一般式(II-7):
Figure 2023134612000093
で表される基が挙げられる。
一実施形態において、上記一般式(II-4)中、Zで表される基は、tert-ブトキシカルボニル(boc)基、または9-フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)基で保護されたアミンを含む1価の有機基であることが好ましく、低温硬化時のイミド化率と耐薬品性の観点から、特にtert-ブトキシカルボニル(boc)基で保護されたアミンを含む1価の有機基であることが好ましい。
tert-ブトキシカルボニル(boc)基、または9-フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)基で保護されたアミンを含む1価の有機基としては、例えば、下記一般式(II-8):
Figure 2023134612000094
で表される基が挙げられる。
(A)ポリイミド前駆体中に含まれる上記一般式(II-1)で表される前駆体のR及びRの全てに対する、上記一般式(II-4)で表される1価の有機基の割合は、高イミド化率と感光性の両立という観点から、1モル%~50モル%が好ましく、さらに、高耐薬品性と感度の観点から、2.5モル%~25モル%がより好ましい。
(A)ポリイミド前駆体において、R及び/またはRとして、少なくとも1つの窒素原子を有する塩基、又は酸、塩基若しくは熱により脱離可能な保護基で保護された塩基を含む1価の有機基を含むことで、イミド化促進剤と類似の化学構造がポリマー鎖の近傍に存在する。これにより、添加剤として用いた場合と比較してイミド化促進が向上すると考えられる。また、沸点の低いイミド化促進剤を添加剤として用いた場合には、熱硬化工程において、イミド化を促進する前に揮発してしまう為、イミド化促進効果が得られないが、本実施形態に示すとおり、樹脂の側鎖部分にイミド化促進効果がある基を導入した場合には、イミド化反応が起こるまでは膜中に留まり、イミド化反応後は、脱離したイミド化促進効果がある基は速やかに揮発することで、熱物性又は耐薬品性の高いイミド効果膜が得られる。
上記一般式(II-1)及び(II-3)におけるn1は、2~150の整数であれば限定されないが、感光性樹脂組成物の感光特性及び機械特性の観点から、3~100の整数が好ましく、5~70の整数がより好ましい。
上記一般式(II-1)及び(II-3)中、Xで表される4価の有機基は、耐熱性と感光特性とを両立するという点で、好ましくは炭素数6~40の有機基であり、より好ましくは、-COOR基及び-COOR基と-CONH-基とが互いにオルト位置にある芳香族基、又は脂環式脂肪族基である。Xで表される4価の有機基として、具体的には、芳香族環を含有する炭素原子数6~40の有機基、例えば、下記一般式(II-20):
Figure 2023134612000095
{式中、R6は水素原子、フッ素原子、C1~C10の炭化水素基、及びC1~C10の含フッ素炭化水素基から成る群から選ばれる1価の基であり、lは0~2から選ばれる整数であり、mは0~3から選ばれる整数であり、そしてnは0~4から選ばれる整数である。}
で表される構造を有する基が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、Xの構造は1種でも2種以上の組み合わせでもよい。上記式(II-20)で表される構造を有するX基は、耐熱性と感光特性とを両立するという点で特に好ましい。
上記一般式(II-1)及び(II-3)中、Yで表される2価の有機基は、耐熱性と感光特性とを両立するという点で、好ましくは炭素数6~40の芳香族基であり、例えば、下記式(II-21):
Figure 2023134612000096
{式中、R6は水素原子、フッ素原子、C1~C10の炭化水素基、及びC1~C10の含フッ素炭化水素基から成る群から選ばれる1価の基であり、そしてnは0~4から選ばれる整数である。}
で表される構造が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、Yの構造は1種でも2種以上の組み合わせでもよい。上記式(II-21)で表される構造を有するY基は、耐熱性及び感光特性を両立するという点で特に好ましい。
基としては、上記式(II-21)で表される構造のなかでも特に、下式:
Figure 2023134612000097
で表される構造は、低温加熱時のイミド化率、脱ガス性、銅密着性、及び耐薬品性の観点から好ましい。
上記一般式(II-2)中のRは、水素原子又はメチル基であることが好ましく、R及びRは、感光特性の観点から水素原子であることが好ましい。また、mは、感光特性の観点から2以上10以下の整数、好ましくは2以上4以下の整数である。
一実施形態において、(A)ポリイミド前駆体は、下記一般式(II-5):
Figure 2023134612000098
{式(II-5)中、nは、2~150の整数であり、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、又は1価の有機基であり、R及びRの少なくとも一方は、下記一般式(II-4):
Figure 2023134612000099
(式(II-4)中、Zは、少なくとも1つの窒素原子を有する塩基、又は酸、塩基若しくは熱により脱離可能な保護基で保護された塩基を含む1価の有機基である。)
で表される基である。}
で表される構造単位を有する樹脂を含むことが好ましい。
一般式(II-5)において、R及びRの他方は、上記一般式(II-2)で表される1価の有機基であることがより好ましい。(A)ポリイミド前駆体が、一般式(II-5)で表されるポリイミド前駆体を含むことで、特に解像性の効果が高くなる。
一実施形態において、(A)ポリイミド前駆体は、下記一般式(II-6):
Figure 2023134612000100
{式(II-6)中、nは、2~150の整数であり、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、又は1価の有機基であり、R及びRの少なくとも一方は、下記一般式(II-4):
Figure 2023134612000101
(式(II-4)中、Zは、少なくとも1つの窒素原子を有する塩基、又は酸、塩基若しくは熱により脱離可能な保護基で保護された塩基を含む1価の有機基である。)
で表される基である。}
で表される構造単位を有する樹脂を含むことが好ましい。
上記一般式(II-6)において、R及びRの少なくとも一方は、上記一般式(II-2)で表される1価の有機基であることがより好ましい。(A)ポリイミド前駆体が、一般式(II-5)で表されるポリイミド前駆体に加えて、一般式(II-6)で表されるポリイミド前駆体を含むことにより、特に解像性の効果がさらに高くなる。
一実施形態において、(A)ポリイミド前駆体は、下記一般式(II-9):
Figure 2023134612000102
{式中、R、R、及びnは上記に定義したものである。}
で表される構造単位を有するポリイミド前駆体であることが好ましい。
一般式(II-9)において、R及びRの少なくとも一方は、上記一般式(II-4)で表される1価の有機基であることがより好ましい。(A)ポリイミド前駆体が、一般式(II-5)で表されるポリイミド前駆体に加えて、一般式(II-9)で表されるポリイミド前駆体を含むことにより、特に解像性の効果がさらに高くなる。
[(A)ポリイミド前駆体の調製方法]
本実施形態における上記一般式(II-1)及び上記一般式(II-3)で表される構造を含むポリイミド前駆体は、例えば、前述の炭素数6~40の4価の有機基Xを含むテトラカルボン酸二無水物と、(a)上記一般式(II-2)で表される1価の有機基と水酸基とが結合して成るアルコール類、及び上記一般式(II-4)で表される1価の有機基と水酸基とが結合して成るアルコール類、及び所望により(a)上記一般式(II-2)又は(II-4)で表される基以外のアルコール類を反応させて、部分的にエステル化したテトラカルボン酸(以下、アシッド/エステル体ともいう)を調製し、続いて前述の炭素数6~40の2価の有機基Yを含むジアミン類と重縮合させることにより得られる。
(アシッド/エステル体の調製)
本実施形態において、炭素数6~40の4価の有機基X1を含むテトラカルボン酸二無水物としては、例えば、無水ピロメリット酸、ジフェニルエーテル-3,3’,4,4’-テトラカルボン酸二無水物、ベンゾフェノン-3,3’,4,4’-テトラカルボン酸二無水物、ビフェニル-3,3’,4,4’-テトラカルボン酸二無水物、ジフェニルスルホン-3,3’,4,4’-テトラカルボン酸二無水物、ジフェニルメタン-3,3’,4,4’-テトラカルボン酸二無水物、2,2-ビス(3,4-無水フタル酸)プロパン、2,2-ビス(3,4-無水フタル酸)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン等を挙げることができる。また、これらは、1種を単独で、又は2種以上を混合して、使用されることができる。
(a)上記一般式(II-2)で表される基以外のアルコール類として、例えば、炭素数5~30の脂肪族又は炭素数6~30の芳香族アルコール類、例えば、1-ペンタノール、2-ペンタノール、3-ペンタノール、ネオペンチルアルコール、1-ヘプタノール、2-ヘプタノール、3-ヘプタノール、1-オクタノール、2-オクタノール、3-オクタノール、1-ノナノール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコールモノエチルエーテル、ベンジルアルコール等を挙げることができる。
ポリイミド前駆体中の上記(a)成分の含有量は、R、R、R、及びRの全ての含有量に対し、50モル%を以上であることが好ましい。(a)成分の含有量が50モル%を超えると、所望の感光特性を得ることができるので好ましい。
感光性樹脂組成物中の上記(a)成分の含有量は、R、R、R、及びRの全ての含有量に対し、75モル%以上であることが好ましい。
上記のテトラカルボン酸二無水物と上記のアルコール類とを、ピリジン等の塩基性触媒の存在下、反応溶媒中、反応温度20~50℃で4~10時間に亘って撹拌、溶解及び混合することにより、酸二無水物のハーフエステル化反応が進行し、所望のアシッド/エステル体を得ることができる。
上記反応溶媒としては、該アシッド/エステル体、及び該アシッド/エステル体とジアミン類との重縮合生成物であるポリイミド前駆体を溶解するものが好ましく、例えば、N-メチル-2-ピロリドン、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、テトラメチル尿素、ガンマブチロラクトン、ケトン類、エステル類、ラクトン類、エーテル類、ハロゲン化炭化水素類、炭化水素類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、シュウ酸ジエチル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン、1,4-ジクロロブタン、クロロベンゼン、o-ジクロロベンゼン、ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられる。これらは必要に応じて、単独で用いても2種以上混合して用いてもよい。
(ポリイミド前駆体の調製)
上記アシッド/エステル体(典型的には上記反応溶媒中の溶液)に、氷冷下、既知の脱水縮合剤、例えば、ジシクロヘキシルカルボジイミド、1-エトキシカルボニル-2-エトキシ-1,2-ジヒドロキノリン、1,1-カルボニルジオキシ-ジ-1,2,3-ベンゾトリアゾール、N,N’-ジスクシンイミジルカーボネート等を投入混合してアシッド/エステル体をポリ酸無水物とした後、これに、炭素数6~40の2価の有機基Y1を含むジアミン類を別途溶媒に溶解又は分散させたものを滴下投入し、重縮合させることにより、実施の形態で用いることができるポリイミド前駆体を得ることができる。
炭素数6~40の2価の有機基Y1を含むジアミン類としては、例えば、p-フェニレンジアミン、m-フェニレンジアミン、4,4-ジアミノジフェニルエーテル、3,4’-ジアミノジフェニルエーテル、3,3’-ジアミノジフェニルエーテル、4,4’-ジアミノジフェニルスルフィド、3,4’-ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’-ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、3,4’-ジアミノジフェニルスルホン、3,3’-ジアミノジフェニルスルホン、4,4’-ジアミノビフェニル、3,4’-ジアミノビフェニル、3,3’-ジアミノビフェニル、4,4’-ジアミノベンゾフェノン、3,4’-ジアミノベンゾフェノン、3,3’-ジアミノベンゾフェノン、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’-ジアミノジフェニルメタン、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔4-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、4,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4-ビス(3-アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕エーテル、ビス〔4-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕エーテル、1,4-ビス(4-アミノフェニル)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェニル)ベンゼン、9,10-ビス(4-アミノフェニル)アントラセン、2,2-ビス(4-アミノフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,2-ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕ヘキサフルオロプロパン、1,4-ビス(3-アミノプロピルジメチルシリル)ベンゼン、オルト-トリジンスルホン、9,9-ビス(4-アミノフェニル)フルオレン、及びこれらのベンゼン環上の水素原子の一部が、メチル基、エチル基、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ハロゲン等で置換されたもの、例えば3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、2,2’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、2,2’-ジメチル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’-ジメチトキシ-4,4’-ジアミノビフェニル、3,3’-ジクロロ-4,4’-ジアミノビフェニル、及びその混合物等が挙げられるが、これに限定されるものではない。
実施の形態では、ネガ型感光性樹脂組成物を基板上に塗布することによって基板上に形成される感光性樹脂層と各種の基板との密着性を向上させるために、(A)ポリイミド前駆体の調製時に、1,3-ビス(3-アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、1,3-ビス(3-アミノプロピル)テトラフェニルジシロキサン等のジアミノシロキサン類を共重合することもできる。
上記重縮合反応終了後、当該反応液中に共存している脱水縮合剤の吸水副生物を、必要に応じて濾別した後、水、脂肪族低級アルコール、又はその混合液等の貧溶媒を、反応液に投入して重合体成分を析出させ、さらに、再溶解、再沈析出操作等を繰り返すことにより、重合体を精製し、真空乾燥を行い、実施の形態で用いることのできるポリイミド前駆体を単離する。精製度を向上させるために、陰イオン及び/又は陽イオン交換樹脂を適当な有機溶媒で膨潤させて充填したカラムに、この重合体の溶液を通し、イオン性不純物を除去してもよい。
(A)ポリイミド前駆体の分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算重量平均分子量で測定した場合に、8,000~150,000であることが好ましく、9,000~50,000であることがより好ましく、20,000~40,000であることが特に好ましい。重量平均分子量が8,000以上である場合には、機械物性が良好であるため好ましく、一方で、150,000以下である場合には、現像液への分散性及びレリーフパターンの解像性能が良好であるため好ましい。ゲルパーミエーションクロマトグラフィーの展開溶媒としては、テトラヒドロフラン、及びN-メチル-2-ピロリドンが推奨される。また分子量は、標準単分散ポリスチレンを用いて作成した検量線から求める。標準単分散ポリスチレンとしては、昭和電工社製 有機溶媒系標準試料 STANDARD SM-105から選ぶことが推奨される。
(B)光重合開始剤やその他成分については、第一の態様と同様のものを用いることができる。なお、その他の成分としては、例えば、溶剤、前記(A)ポリイミド前駆体以外の樹脂成分、増感剤、光重合性の不飽和結合を有するモノマー、接着助剤、熱重合禁止剤、アゾール化合物、ヒンダードフェノール化合物、有機チタン化合物などが挙げられる。
本実施形態では、ポリマー側鎖にイミド化促進剤(塩基性を示す化合物)と類似構造を持つ化合物を導入することで、添加剤として用いる場合より高いイミド化率が得られ、保存安定性と耐薬品性を両立したネガ型感光性樹脂組成物を実現することができる。
本実施形態に係る感光性樹脂組成物は、ポリイミド前駆体、光重合開始剤、及び溶剤を含む。
本実施の形態に係る感光性樹脂組成物は、該樹脂組成物を温度23℃、湿度50%Rhで4週間保存した際の樹脂組成物の粘度変化率が初期と比較して5%以内である。
さらに、本実施形態に係る感光性樹脂組成物は、該樹脂組成物を170℃で2時間加熱して硬化塗膜を得た際に、該硬化塗膜のイミド化率が70%以上であることが好ましく、該硬化塗膜のイミド化率が85%以上であることがより好ましい。
このように、本実施形態に係る感光性樹脂組成物は、イミド化率が高く、保存安定性と耐薬品性を両立したものとなる。
<ポリイミド>
上記ポリイミド前駆体組成物から形成される硬化レリーフパターンに含まれるポリイミドの構造は、下記一般式(II-10)で表される。
Figure 2023134612000103
{一般式(II-10)中、X及びYは、一般式(II-1)中のX及びYと同じであり、mは正の整数である。}
一般式(II-1)中の好ましいXとYは、同じ理由により、一般式(II-10)のポリイミドにおいても好ましい。一般式(II-10)の繰り返し単位数mは、特に限定は無いが、2~150の整数であってもよい。
また、上記で説明された感光性樹脂組成物をポリイミドに変換する工程を含むポリイミドの製造方法も本発明の一態様である。
硬化レリーフパターンの製造方法、半導体装置、表示体装置についても、第一の態様と同様に用いることができる。
本実施の形態に係る第三の実施態様について説明する。以下の説明では、図面を参照することがある。
本実施の形態に係る硬化膜は、(A)ポリイミド前駆体、を含む感光性樹脂組成物を後述の方法にて塗工、露光、現像、硬化した後のATR(Attenuated Total Reflection)法にてIRスペクトル測定を行った時の2950cm-1付近のピークと1720cm-1付近のピークの比(ピーク比:2950cm-1付近のピーク/1720cm-1付近のピーク)が、0.05~0.35であれば限定されない。
なお、本実施の形態において、ATR法によるIRスペクトル測定は、後述する実施例において記載する方法により実施されたものである。
硬化膜は、(A)ポリイミド前駆体、及び/又はポリイミドに加えて、通常、(B)重合開始剤と、(C)架橋剤と、(D)有機溶媒とを含む。また、必要に応じて(E)熱塩基発生剤を含んでいてもよい。
このような硬化膜は、例えば、半導体チップと、半導体チップを覆う封止材と、平面視で半導体チップよりも面積が大きい再配線層と、を備えた半導体装置において、再配線層の層間絶縁膜として用いられる。
以下、それぞれの含有成分について説明する。
[(A)ポリイミド前駆体]
本実施の形態に係る(A)ポリイミド前駆体について説明する。
本実施の形態に係る(A)ポリイミド前駆体は、(B)光重合開始剤の作用により硬化レリーフパターンを形成でき、硬化膜が上述の範囲を与えることができれば限定されない。
本実施の形態に係る(A)ポリイミド前駆体は、例えばポリアミド酸、ポリアミド酸エステル、ポリアミド酸塩、及びポリアミド酸アミドから成る群より選ばれる少なくとも1種の樹脂を主成分とするものであることが好ましい。ここで、主成分とは、これら樹脂を、全樹脂に対して、60質量%以上含有することを意味し、80質量%以上含有することが好ましい。また、必要に応じて他の樹脂を含んでいてもよい。
(A)ポリイミド前駆体の重量平均分子量は、熱処理後に得られる膜の耐熱性及び機械特性の観点から、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算値として、1,000以上であることが好ましい。5,000以上であることがより好ましい。上限は100,000以下であることが好ましい。現像液に対する溶解性の観点から、重量平均分子量は50,000以下であることがより好ましい。
本実施の形態に係る樹脂組成物において、耐熱性及び感光性の観点から好ましい(A)ポリイミド前駆体は、下記一般式(III-1):
Figure 2023134612000104
{式中、Xは4価の有機基であり、Yは2価の有機基であり、n1は、2~150の整数であり、R1及びR2は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~30の飽和脂肪族基、芳香族基、下記一般式(III-2):
Figure 2023134612000105
(式中、R3、R4及びR5は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~3の有機基であり、そしてm1は、2~10の整数である。)で表される1価の有機基、又は下記一般式(III-3):
Figure 2023134612000106
(式中、R6、R7及びR8は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~3の有機基であり、そしてm2は、2~10の整数である。)で表される一価のアンモニウムイオンである}
で表される構造である。
これらの基R1及びR2の中で、得られる硬化膜の電気特性の観点から、一般式(III-2)で示される構造が好ましい。
ポリイミド前駆体は、一般式(III-1)中、Xが、下記一般式(III-4)または(III-5)で表される4価の基を含むことが好ましい。
Figure 2023134612000107
{式中、a1は0~2の整数であり、Rは水素原子、フッ素原子または炭素数1~10の1価の有機基を表す。Rが複数存在する場合は、Rは互いに同一であるか、または異なっていてよい。}
Figure 2023134612000108
{式中、n2は0~5の整数であって、Xn1は単結合もしくは2価の有機基であり、Xn1が複数存在する場合は、Xn1は互いに同一であるか、または異なっていてもよい。Xは単結合もしくは2価の有機基であり、XまたはXn1のうち少なくとも一つは単結合、オキシカルボニル基、オキシカルボニルメチレン基、カルボニルアミノ基、カルボニル基、スルホニル基から選択される有機基である。a6とa8はそれぞれ独立に0~3の整数であり、a7は0~4の整数である。R14、R15、及びR16は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子または炭素数1~10の1価の有機基を表し、a7またはR15が複数存在する場合は、それらは同一であるか、または異なっていてよい。}
上記一般式(III-1)中、Xで表される4価の有機基は、好ましくは炭素数6~40の有機基であり、より好ましくは、-COOR基及び-CONH-基のうちの一方が同一の芳香環に結合し、両者が互いにオルト位置にある、4価の芳香族基であるか、或いは脂環式脂肪族基である。前者の場合、-COOR基が結合している芳香環と、-COOR基が結合している芳香環とは、同一の芳香環であってもよいし、異なる芳香環であってもよい。この文脈における芳香環は、ベンゼン環であることが好ましい。
Xで表される4価の有機基として、更に好ましくは、下記式:
Figure 2023134612000109
のそれぞれで表される構造が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、Xの構造は、1種でも2種以上の組み合わせでも構わない。
特に本発明の感光性樹脂組成物において、上記一般式(III-1)中、Xで表される4価の有機基として、下記(III-C1)~(III-C3):
Figure 2023134612000110
Figure 2023134612000111
Figure 2023134612000112
から選ばれる少なくとも1種を含むことがより好ましい。
ポリイミド前駆体がこのような構造を有することにより、得られるポリイミドは、対応する構造骨格を有するものとなる。これにより、耐熱性および感光性が向上し、得られる硬化膜(硬化レリーフパターン)において、良好な耐薬品性を発現し、銅ピラーへの良好な密着性を発現し、モールド樹脂(封止材)であるエポキシ樹脂の劣化や密着性の低下を抑えることができる。
上記一般式(III-1)中、Yで表される2価の有機基は、好ましくは炭素数6~40の芳香族基であり、例えば、下記式:
Figure 2023134612000113
Figure 2023134612000114
{式中、Aは、メチル基(-CH)、エチル基(-C)、プロピル基(-C)、又はブチル基(-C)である。}のそれぞれで表される構造が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、Yの構造は、1種でも2種以上の組み合わせでも構わない。
上記一般式(III-2)中のRは、水素原子又はメチル基であることが好ましく、R及びRは、感光特性の観点からそれぞれ水素原子であることが好ましい。m1は、感光特性の観点から2以上10以下の整数であることが好ましく、より好ましくは2以上4以下の整数である。
ポリイミド前駆体は、一般式(III-1)中、Yが、下記一般式(III-6)で表される2価の基を含むことが好ましい。
Figure 2023134612000115
{式中、n3は0~5の整数であり、Yn2は、炭素数1~10のフッ素原子を含んでもよく、フッ素以外のヘテロ原子を含まない有機基、酸素原子、又は硫黄原子のいずれかである。Yn2が複数存在する場合は、それらは同一であるか、または異なっていてよい。a9及びa10は、それぞれ独立に、0~4の整数である。R17及びR18は、それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子または炭素数1~10の1価の有機基を表す。a10、R17、又はR18が複数存在する場合は、互いに同一であるか、または異なっていてよい。}
特に本発明の感光性樹脂組成物において、ポリイミド前駆体は、一般式(III-1)中、Yで表される2価の有機基は、下記(III-D1)~(III-D3):
Figure 2023134612000116
(一般式(III-D1)中、R10~R13は、水素原子またはC~Cの1価の脂肪族基であり、互いに異なっていても、同一であってもよい。)
Figure 2023134612000117
Figure 2023134612000118
(一般式(III-D3)中、R14~R21は、水素原子、ハロゲン原子、またはC~Cの1価の有機基であり、互いに異なっていても、同一であってもよい。)
から選ばれる少なくとも1種を含むことがより好ましい。
ポリイミド前駆体がこのような構造を有することにより、耐熱性および感光性がより向上し、得られる硬化膜において、良好な耐薬品性を発現し、銅ピラーへの良好な密着性を発現し、モールド樹脂であるエポキシ樹脂の劣化や密着性の低下を抑えることができる。
本発明の感光性樹脂組成物において、ポリイミド前駆体は、Xが式(III-C1)の構造骨格を含み、及びYが式(III-D2)の構造骨格を含むことがさらに好ましい。
また、ポリイミド前駆体は、Xが式(III-C2)の構造骨格を含み、及びYが式(III-D2)の構造骨格を含むことがさらに好ましい。
また、ポリイミド前駆体は、Xが式(III-C3)の構造骨格を含み、及びYが式(III-D2)の構造骨格を含むことがさらに好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物において、ポリイミド前駆体は、Xが式(III-C1)の構造骨格を含み、及びYが式(III-D3)の構造骨格を含むことがさらに好ましい。
また、ポリイミド前駆体は、Xが式(III-C2)の構造骨格を含み、及びYが式(III-D3)の構造骨格を含むことがさらに好ましい。
また、ポリイミド前駆体は、Xが式(III-C3)の構造骨格を含み、及びYが式(III-D3)の構造骨格を含むことがさらに好ましい。
ポリイミド前駆体前駆体がこのような構造を有することにより、耐熱性および感光性がさらに向上し、得られる硬化膜において、良好な耐薬品性を発現し、銅ピラーへの良好な密着性を発現し、モールド樹脂であるエポキシ樹脂の劣化や密着性の低下をさらに確実に抑えることができる。
本発明の感光性樹脂組成物において、ポリイミド前駆体は、第1のポリイミド前駆体と第2のポリイミド前駆体を含み、第1のポリイミド前駆体前駆体は、Xが式(III-C1)の構造骨格を含み、及びYが式(III-D2)の構造骨格を含み、第2のポリイミド前駆体前駆体は、Xが式(III-C3)の構造骨格を含み、及びYが式(III-D2)の構造骨格を含むことが特に好ましい。
ポリイミド前駆体は、第1のポリイミド前駆体と第2のポリイミド前駆体を含み、第1のポリイミド前駆体前駆体は、Xが式(III-C2)の構造骨格を含み、及びYが式(III-D2)の構造骨格を含み、第2のポリイミド前駆体前駆体は、Xが式(III-C3)の構造骨格を含み、及びYが式(III-D2)の構造骨格を含むことが特に好ましい。
ポリイミド前駆体がこのような構造を有することにより、耐熱性および感光性が特に向上し、得られる硬化膜において、良好な耐薬品性を発現し、銅ピラーへの良好な密着性を発現し、モールド樹脂であるエポキシ樹脂の劣化や密着性の低下を特に確実に抑えることができる。
[(A)ポリイミド前駆体の調製方法]
上記エステル結合型のポリイミド前駆体は、例えば、先ず、所望の4価の有機基Xを有するテトラカルボン酸二無水物と、光重合性基(例えば不飽和二重結合)を有するアルコール類とを反応させて、部分的にエステル化したテトラカルボン酸(以下、アシッド/エステル体ともいう)を調製する。その後、このアシッド/エステル体と、2価の有機基Yを有するジアミン類とをアミド重縮合させることにより得られる。上記光重合性基を有するアルコール類とともに、任意に飽和脂肪族アルコール類を併用してもよい。
(アシッド/エステル体の調製)
本発明において、エステル結合型のポリイミド前駆体を調製するために好適に用いられる、4価の有機基Xを有するテトラカルボン酸二無水物としては、例えば、無水ピロメリット酸、ジフェニルエーテル-3,3’,4,4’-テトラカルボン酸二無水物、ベンゾフェノン-3,3’,4,4’-テトラカルボン酸二無水物、ビフェニル-3,3’,4,4’-テトラカルボン酸二無水物、ジフェニルスルホン-3,3’,4,4’-テトラカルボン酸二無水物、ジフェニルメタン-3,3’,4,4’-テトラカルボン酸二無水物、2,2-ビス(3,4-無水フタル酸)プロパン、2,2-ビス(3,4-無水フタル酸)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。また、これらは単独で用いることができるのは勿論のこと、2種以上を混合して用いてもよい。
本発明で、エステル結合型のポリイミド前駆体を調製するために好適に用いられる、光重合性基を有するアルコール類としては、例えば、2-アクリロイルオキシエチルアルコール、1-アクリロイルオキシ-3-プロピルアルコール、2-アクリルアミドエチルアルコール、メチロールビニルケトン、2-ヒドロキシエチルビニルケトン、2-ヒドロキシ-3-メトキシプロピルアクリレート、2-ヒドロキシ-3-ブトキシプロピルアクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルアクリレート、2-ヒドロキシ-3-ブトキシプロピルアクリレート、2-ヒドロキシ-3-t-ブトキシプロピルアクリレート、2-ヒドロキシ-3-シクロヘキシルオキシプロピルアクリレート、2-メタクリロイルオキシエチルアルコール、1-メタクリロイルオキシ-3-プロピルアルコール、2-メタクリルアミドエチルアルコール、2-ヒドロキシ-3-メトキシプロピルメタクリレート、2-ヒドロキシ-3-ブトキシプロピルメタクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルメタクリレート、2-ヒドロキシ-3-ブトキシプロピルメタクリレート、2-ヒドロキシ-3-t-ブトキシプロピルメタクリレート、2-ヒドロキシ-3-シクロヘキシルオキシプロピルメタクリレート等を挙げることができる。
上記光重合性基を有するアルコール類とともに、任意的に使用できる飽和脂肪族アルコール類としては、炭素数1~4の飽和脂肪族アルコールが好ましい。その具体例としては、例えば、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、tert-ブタノール等を挙げることができる。
上記の本発明に好適なテトラカルボン酸二無水物と上記のアルコール類とを、好ましくはピリジン等の塩基性触媒の存在下、好ましくは適当な反応溶媒中、温度20~50℃で4~10時間撹拌、混合することにより、酸無水物のエステル化反応が進行し、所望のアシッド/エステル体を得ることができる。
上記反応溶媒としては、原料のテトラカルボン酸二無水物及びアルコール類、並びに生成物であるアシッド/エステル体を完全に溶解するものが好ましい。より好ましくは、更に、該アシッド/エステル体とジアミンとのアミド重縮合生成物であるポリイミド前駆体も完全に溶解する溶媒である。例えば、N-メチル-2-ピロリドン、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、テトラメチル尿素、ケトン類、エステル類、ラクトン類、エーテル類、ハロゲン化炭化水素類、炭化水素類等を挙げることができる。これらの具体例としては、
ケトン類として、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等を;
エステル類として、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、シュウ酸ジエチル等を;
ラクトン類として、例えば、γ-ブチロラクトン等を;
エーテル類として、例えば、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン等を;
ハロゲン化炭化水素類として、例えば、ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン、1,4-ジクロロブタン、クロロベンゼン、o-ジクロロベンゼン等を;
炭化水素類として、例えば、ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレン等を、
それぞれ挙げることができる。これらは必要に応じて、単独で用いても2種以上混合して用いてもよい。
(ポリイミド前駆体の調製)
上記アシッド/エステル体(典型的には上記反応溶媒中に溶解された溶液状態にある)に、好ましくは氷冷下、適当な脱水縮合剤を投入混合してアシッド/エステル体をポリ酸無水物とする。次いでこれに、本発明で好適に用いられる2価の有機基Yを有するジアミン類を別途溶媒に溶解又は分散させたものを滴下投入し、両者をアミド重縮合させることにより、目的のポリイミド前駆体を得ることができる。上記2価の有機基Yを有するジアミン類とともに、ジアミノシロキサン類を併用してもよい。
上記脱水縮合剤としては、例えば、ジシクロヘキシルカルボジイミド、1-エトキシカルボニル-2-エトキシ-1,2-ジヒドロキノリン、1,1-カルボニルジオキシ-ジ-1,2,3-ベンゾトリアゾール、N,N’-ジスクシンイミジルカーボネート等が挙げられる。
以上のようにして、中間体であるポリ酸無水化物が得られる。
本発明において、上記のようにして得られるポリ酸無水化物との反応に好適に用いられる2価の有機基Yを有するジアミン類としては、例えば、p-フェニレンジアミン、m-フェニレンジアミン、4,4-ジアミノジフェニルエーテル、3,4’-ジアミノジフェニルエーテル、3,3’-ジアミノジフェニルエーテル、4,4’-ジアミノジフェニルスルフィド、3,4’-ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’-ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、3,4’-ジアミノジフェニルスルホン、3,3’-ジアミノジフェニルスルホン、4,4’-ジアミノビフェニル、3,4’-ジアミノビフェニル、3,3’-ジアミノビフェニル、4,4’-ジアミノベンゾフェノン、3,4’-ジアミノベンゾフェノン、3,3’-ジアミノベンゾフェノン、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’-ジアミノジフェニルメタン、
1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔4-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、4,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4-ビス(3-アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕エーテル、ビス〔4-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕エーテル、1,4-ビス(4-アミノフェニル)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェニル)ベンゼン、9,10-ビス(4-アミノフェニル)アントラセン、2,2-ビス(4-アミノフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、2,2-ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,4-ビス(3-アミノプロピルジメチルシリル)ベンゼン、オルト-トリジンスルホン、9,9-ビス(4-アミノフェニル)フルオレン等;
及びこれらのベンゼン環上の水素原子の一部が、メチル基、エチル基、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ハロゲン原子等で置換されたもの;
並びにその混合物等が挙げられる。
前記置換体の具体例としては、例えば3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、2,2’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、2,2’-ジメチル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’-ジメチトキシ-4,4’-ジアミノビフェニル、3,3’-ジクロロ-4,4’-ジアミノビフェニル等;及びこれらの混合物等が挙げられる。ジアミン類は、上記の例示に限定されるものではない。
ジアミノシロキサン類は、本発明の感光性樹脂組成物から形成される塗膜と各種基板との間の密着性の向上を目的として、(A)感光性ポリイミド前駆体の調製に際して、上記2価の有機基Yを含むジアミン類と併用される。このようなジアミノシロキサン類の具体例としては、例えば、1,3-ビス(3-アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、1,3-ビス(3-アミノプロピル)テトラフェニルジシロキサン等を挙げることができる。
アミド重縮合反応終了後、当該反応液中に共存している脱水縮合剤の吸水副生物を、必要に応じて濾別した後、重合体成分を含有する溶液に適当な貧溶媒例えば水、脂肪族低級アルコール、その混合液等)を投入し、重合体成分を析出させ、更に必要に応じて、再溶解及び再沈析出操作等の操作を繰り返して重合体を精製した後、真空乾燥を行うことにより、目的のポリイミド前駆体を単離する。精製度を向上させるために、陰イオン及び/又は陽イオン交換樹脂を適当な有機溶媒で膨潤させて充填したカラムに、この重合体の溶液を通し、イオン性不純物を除去してもよい。
エステル結合型のポリイミド前駆体の重量平均分子量は、熱処理後に得られる膜の耐熱性及び機械特性の観点から、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算値として、1,000以上であることが好ましい。5,000以上であることがより好ましい。上限は100,000以下であることが好ましい。現像液に対する溶解性の観点から、重量平均分子量は50,000以下であることがより好ましい。ゲルパーミエーションクロマトグラフィーの展開溶媒としては、テトラヒドロフラン又はN-メチル-2-ピロリドンが推奨される。分子量は標準単分散ポリスチレンを用いて作成した検量線から求める。標準単分散ポリスチレンとしては、昭和電工社製 有機溶媒系標準試料 STANDARD SM-105から選ぶことが推奨される。
[ポリイミド]
上記ポリイミド前駆体組成物を硬化して得られるポリイミドの構造は、下記一般式(III-A)となる。
Figure 2023134612000119
一般式(III-A)中のX、Y、mは、一般式(III-1)中のX、Y、n1に対応し、Xは4価の有機基であり、Yは2価の有機基であり、mは1以上の整数である。
一般式(III-1)中の好ましいX、Y、n1は、同じ理由により、一般式(III-A)中のX、Y、mにおいても好ましい。
[(B)光重合開始剤]
次に、本実施の形態に係る(B)成分について説明する。
(B)光重合開始剤は、特定の波長を吸収、分解する事でラジカルを発生する光重合開始剤が好適に用いられる。(B)光重合開始剤の感光性樹脂組成物中の配合量は、(A)ポリイミド前駆体100質量部に対して、1~50質量部である。1質量部以上の配合量の時、光感度又はパターニング性が発現し、50質量部以下の時、硬化後の感光性樹脂層の物性が良くなる。
光重合開始剤の場合、発生したラジカルが(A)ポリイミド前駆体(樹脂)の主鎖骨格と連鎖移動反応により、又は、(A)ポリイミド前駆体(樹脂)に導入された(メタ)アクリレート基とラジカル重合反応により、(A)ポリイミド前駆体(樹脂)が硬化する。
(B)光重合開始剤は、光ラジカル重合開始剤であることが好ましく、ベンゾフェノン、o-ベンゾイル安息香酸メチル、4-ベンゾイル-4’-メチルジフェニルケトン、ジベンジルケトン、フルオレノン等のベンゾフェノン誘導体、2,2’-ジエトキシアセトフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等のアセトフェノン誘導体、チオキサントン、2-メチルチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントン等のチオキサントン誘導体、ベンジル、ベンジルジメチルケタール、ベンジル-β-メトキシエチルアセタール等のベンジル誘導体、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル等のベンゾイン誘導体、1-フェニル-1,2-ブタンジオン-2-(o-メトキシカルボニル)オキシム、1-フェニル-1,2-プロパンジオン-2-(o-メトキシカルボニル)オキシム、1-フェニル-1,2-プロパンジオン-2-(o-エトキシカルボニル)オキシム、1-フェニル-1,2-プロパンジオン-2-(o-ベンゾイル)オキシム、1,3-ジフェニルプロパントリオン-2-(o-エトキシカルボニル)オキシム、1-フェニル-3-エトキシプロパントリオン-2-(o-ベンゾイル)オキシム等のオキシム類、N-フェニルグリシン等のN-アリールグリシン類、ベンゾイルパークロライド等の過酸化物類、芳香族ビイミダゾール類、チタノセン類、α-(n-オクタンスルフォニルオキシイミノ)-4-メトキシベンジルシアニド等の光酸発生剤類等が好ましく挙げられるが、これらに限定されるものではない。上記の光重合開始剤の中では、特に光感度の点で、オキシム類がより好ましい。
上記オキシム類光重合開始剤の中では、接着性の観点から、下記一般式(III-7)で表わされる構造をもつものがより好ましく、下記式(III-8)から(III-11)のいずれかで表わされる構造をもつものが最も好ましい。
Figure 2023134612000120
(式中、Zはイオウ又は酸素原子であり、そしてR41はメチル基、フェニル基または2価の有機基を表し、R42~R44は、それぞれ独立に、水素原子または1価の有機基を表す。)。
Figure 2023134612000121
Figure 2023134612000122
Figure 2023134612000123
Figure 2023134612000124
[(C)架橋剤]
本実施の形態に係る(C)架橋剤は、光重合性の不飽和結合を有するモノマーを挙げることができる。
このようなモノマーとしては、光重合開始剤によりラジカル重合反応する(メタ)アクリル化合物が好ましい。以下に限定されるものではないが、特に、ジエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレートをはじめとする、エチレングリコール又はポリエチレングリコールのモノ又はジ(メタ)アクリレート;
プロピレングリコール又はポリプロピレングリコールのモノ又はジ(メタ)アクリレート;
グリセロールのモノ、ジ又はトリ(メタ)アクリレート;
シクロヘキサンジ(メタ)アクリレート;
1,4-ブタンジオールのジアクリレート及びジメタクリレート、1,6-ヘキサンジオールのジ(メタ)アクリレート;
ネオペンチルグリコールのジ(メタ)アクリレート;
ビスフェノールAのモノ又はジ(メタ)アクリレート;
ベンゼントリメタクリレート;
イソボルニル(メタ)アクリレート;
アクリルアミド及びその誘導体;
メタクリルアミド及びその誘導体;
トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート;
グリセロールのジ又はトリ(メタ)アクリレート;
ペンタエリスリトールのジ、トリ、又はテトラ(メタ)アクリレート;
並びにこれら化合物のエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイド付加物等の化合物を挙げることができる。
ここで、本実施形態の硬化膜のIRスペクトル測定のピーク値は、感光性樹脂組成物の(C)架橋剤の種類や量を適宜選択することにより調整することができる。具体的には、1分子中にアルキル基を含有する架橋剤の量を増加させることによって、2950cm-1付近のピーク強度を高くすることができる。また、架橋剤中の1分子中のアルキル基の含有量が多いほど、2950cm-1付近のピーク強度を高くすることができる。1720cm-1付近のピークは、ポリイミド前駆体、ポリイミド中のカルボニル基に由来するピークであり、酸二無水物とジアミンからなる単位ユニットあたりのカルボニル基の含量を増減させることによって、ピーク強度を変えることができる。
(C)架橋剤が、テトラエチレングリコールジメタクリレートを含むことが好ましく、(C)架橋剤が、分子内にメタクリル基及び/またはアクリル基を2個含有する化合物と、分子内にメタクリル基及び/またはアクリル基を3個以上含有する化合物の混合物であることが、より好ましい。
本実施の形態に係る架橋剤の含有量は、(A)ポリイミド前駆体100質量部に対して、1~100質量部であることが好ましく、耐薬品性の観点から5~80質量部がより好ましく、銅ピラー剥がれを抑制する観点から10~60質量部が特に好ましい。
[(D)有機溶媒]
本実施の形態に係る有機溶媒は、本実施の形態に係る(A)ポリイミド前駆体、(B)光重合開始剤、(C)架橋剤などを溶解させうるものであれば限定されない。具体的には、例えばN,N-ジメチルホルムアミド、N-メチル-2-ピロリドン、N-エチル-2-ピロリドン、N,N-ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ジエチレングリコールジメチルエーテル、シクロペンタノン、γ-ブチロラクトン、α-アセチル-γ-ブチロラクトン、テトラメチル尿素、1,3-ジメチル-2-イミダゾリノン、N-シクロヘキシル-2-ピロリドン等が挙げられ、これらは単独又は2種以上の組合せで用いることができる。
(E)熱塩基発生剤
本実施の形態に係る感光性樹脂組成物には、必要に応じて(E)熱塩基発生剤を含むことができる。
本実施の形態に係る熱塩基発生剤は、加熱により塩基を発生し得る化合物であれば限定されないが、例えば、40℃以上に加熱すると塩基を発生し得る酸性化合物、又はpKa1が0~4のアニオンとアンモニウムカチオンとを有するアンモニウム塩を挙げることができる。ここで、pKa1とは、多価の酸の第一のプロトン解離定数(Ka)の対数表示を示す。
このような化合物を含むことで、例えばポリイミド前駆体の環化反応を低温で行うことができ、より安定性に優れた組成物を提供することできる。特に、本実施の形態に係る感光性樹脂組成物には、多くの架橋剤を含むため、ポリイミド前駆体を低温で環化させることが困難な傾向にある。そこで、熱塩基発生剤を配合することで、イミド化率を制御することができる。
このような化合物として、1~3級アミンを熱で脱保護しうる保護基を用いて保護したものなどを挙げることができる。このような保護基としては、tert-ブトキシカルボニル基、Fmoc基が挙げられるが、本発明はこれらに限定されない。ここで、Fmoc基とは、9-フルオレニルメチルオキシカルボニル基を指す。一つ又は複数のアミノ基は、tert-ブトキシカルボニル基で保護されたアミノ基であることがより好ましい。
保護アミンの分子量は、250~600であることが好ましい。分子量が250以上であれば、熱硬化後も塩基保護化合物が膜中に残存し、Cuボイド抑制効果を発揮できる。分子量は300以上が好ましく、340以上であることがより好ましい。一方で、高い解像性を得る観点から、分子量は600以下が好ましく、550以下がより好ましく、450以下がより好ましく、400以下がより好ましい。
このような化合物として、例えば下記式(AM-1)及び/又は(AM-2)で表される化合物が好適に用いられる。
Figure 2023134612000125
Figure 2023134612000126
[(F)その他の成分]
本実施の形態に係る感光性樹脂組成物には、上記(A)~(E)成分以外の成分を更に含有してもよい。
例えば、加熱によって架橋する熱架橋剤、(A)ポリイミド前駆体以外の樹脂、増感剤、接着助剤、熱重合禁止剤、銅変色抑制剤などを添加することができる。
本実施の形態において任意的に用いられる熱架橋剤としては、分子内に複数の官能基を有する任意の化合物を挙げることができる。ここで官能基としては、例えばアクリル基、メタクリル基、エポキシ基、メチロール基、アリル基、ビニル基、マレイミド基等を挙げることができる。
熱架橋剤の配合量は、(A)樹脂100質量部に対して、1~40質量部であることが好ましく、より好ましくは2~30質量部である。
本実施の形態に係る感光性樹脂組成物は、上述した(A)ポリイミド前駆体以外の樹脂成分を更に含有してもよい。含有できる樹脂成分としては、例えば、ポリイミド、ポリオキサゾール、ポリオキサゾール前駆体、フェノール樹脂、ポリアミド、エポキシ樹脂、シロキサン樹脂、アクリル樹脂等が挙げられる。これらの樹脂成分の配合量は、(A)ポリイミド前駆体100質量部に対して、好ましくは0.01~20質量部の範囲である。
本実施の形態に係る感光性樹脂組成物には、光感度を向上させるために増感剤を任意に配合することができる。該増感剤としては、例えば、ミヒラーズケトン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2,5-ビス(4’-ジエチルアミノベンザル)シクロペンタン、2,6-ビス(4’-ジエチルアミノベンザル)シクロヘキサノン、2,6-ビス(4’-ジエチルアミノベンザル)-4-メチルシクロヘキサノン、4,4’-ビス(ジメチルアミノ)カルコン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)カルコン、p-ジメチルアミノシンナミリデンインダノン、p-ジメチルアミノベンジリデンインダノン、2-(p-ジメチルアミノフェニルビフェニレン)-ベンゾチアゾール、2-(p-ジメチルアミノフェニルビニレン)ベンゾチアゾール、2-(p-ジメチルアミノフェニルビニレン)イソナフトチアゾール、1,3-ビス(4’-ジメチルアミノベンザル)アセトン、1,3-ビス(4’-ジエチルアミノベンザル)アセトン、
3,3’-カルボニル-ビス(7-ジエチルアミノクマリン)、3-アセチル-7-ジメチルアミノクマリン、3-エトキシカルボニル-7-ジメチルアミノクマリン、3-ベンジロキシカルボニル-7-ジメチルアミノクマリン、3-メトキシカルボニル-7-ジエチルアミノクマリン、3-エトキシカルボニル-7-ジエチルアミノクマリン、N-フェニル-N’-エチルエタノールアミン、N-フェニルジエタノールアミン、N-p-トリルジエタノールアミン、N-フェニルエタノールアミン、4-モルホリノベンゾフェノン、ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、ジエチルアミノ安息香酸イソアミル、2-メルカプトベンズイミダゾール、1-フェニル-5-メルカプトテトラゾール、2-メルカプトベンゾチアゾール、2-(p-ジメチルアミノスチリル)ベンズオキサゾール、2-(p-ジメチルアミノスチリル)ベンズチアゾール、2-(p-ジメチルアミノスチリル)ナフト(1,2-d)チアゾール、2-(p-ジメチルアミノベンゾイル)スチレン、ジフェニルアセトアミド、ベンズアニリド、N-メチルアセトアニリド、3‘,4’-ジメチルアセトアニリド等が挙げられる。これらは単独で又は例えば2種類以上の組合せで用いることができる。
光感度を向上させるための増感剤を感光性樹脂組成物が含有する場合の配合量は、(A)ポリイミド前駆体100質量部に対して、0.1~25質量部であることが好ましい。
本実施形態に係る感光性樹脂組成物から形成される膜と基材との接着性向上のために、該感光性樹脂組成物には接着助剤を任意に配合することができる。接着助剤としては、例えば、γ-アミノプロピルジメトキシシラン、N-(β-アミノエチル)-γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルジメトキシメチルシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ジメトキシメチル-3-ピペリジノプロピルシラン、ジエトキシ-3-グリシドキシプロピルメチルシラン、N-(3-ジエトキシメチルシリルプロピル)スクシンイミド、N-〔3-(トリエトキシシリル)プロピル〕フタルアミド酸、ベンゾフェノン-3,3’-ビス(N-〔3-トリエトキシシリル〕プロピルアミド)-4,4’-ジカルボン酸、ベンゼン-1,4-ビス(N-〔3-トリエトキシシリル〕プロピルアミド)-2,5-ジカルボン酸、3-(トリエトキシシリル)プロピルスクシニックアンハイドライド、N-フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤、及びアルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート等のアルミニウム系接着助剤等が挙げられる。
これらの接着助剤のうちでは、接着力の点からシランカップリング剤を用いることがより好ましい。感光性樹脂組成物が接着助剤を含有する場合の配合量は、(A)ポリイミド前駆体100質量部に対して、0.5~25質量部の範囲が好ましい。
本実施の形態に係る感光性樹脂組成物が特に溶剤を含む溶液状態にある場合、その保存時の粘度及び光感度の安定性を向上させるために、該感光性樹脂組成物に熱重合禁止剤を任意に配合することができる。熱重合禁止剤としては、例えば、ヒドロキノン、N-ニトロソジフェニルアミン、p-tert-ブチルカテコール、フェノチアジン、N-フェニルナフチルアミン、エチレンジアミン四酢酸、1,2-シクロヘキサンジアミン四酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸、2,6-ジ-tert-ブチル-p-メチルフェノール、5-ニトロソ-8-ヒドロキシキノリン、1-ニトロソ-2-ナフトール、2-ニトロソ-1-ナフトール、2-ニトロソ-5-(N-エチル-N-スルフォプロピルアミノ)フェノール、N-ニトロソ-N-フェニルヒドロキシルアミンアンモニウム塩、N-ニトロソ-N(1-ナフチル)ヒドロキシルアミンアンモニウム塩等が用いられる。
感光性樹脂組成物に配合する場合の熱重合禁止剤の配合量としては、(A)感光性ポリイミド前駆体100質量部に対して、0.005~12質量部の範囲が好ましい。
本実施の形態に係る樹脂組成物を適用する基板が、例えば銅又は銅合金からなる基板を用いる場合には、銅表面の変色を抑制するためにアゾール化合物を任意に配合することができる。アゾール化合物としては、例えば1H-トリアゾール、5-メチル-1H-トリアゾール、5-エチル-1H-トリアゾール、4,5-ジメチル-1H-トリアゾール、5-フェニル-1H-トリアゾール、4-t-ブチル-5-フェニル-1H-トリアゾール、5-ヒドロキシフェニル-1H-トリアゾール、フェニルトリアゾール、p-エトキシフェニルトリアゾール、5-フェニル-1-(2-ジメチルアミノエチル)トリアゾール、5-ベンジル-1H-トリアゾール、ヒドロキシフェニルトリアゾール、1,5-ジメチルトリアゾール、4,5-ジエチル-1H-トリアゾール、1H-ベンゾトリアゾール、2-(5-メチル-2-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-[2-ヒドロキシ-3,5-ビス(α,α―ジメチルベンジル)フェニル]-ベンゾトリアゾール、2-(3,5-ジ-t-ブチル-2-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(3-t-ブチル-5-メチル-2-ヒドロキシフェニル)-ベンゾトリアゾール、2-(3,5-ジ-t-アミル-2-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-5’-t-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、5-メチル-1H-ベンゾトリアゾール、4-メチル-1H-ベンゾトリアゾール、4-カルボキシ-1H-ベンゾトリアゾール、5-カルボキシ-1H-ベンゾトリアゾール、1H-テトラゾール、5-メチル-1H-テトラゾール、5-フェニル-1H-テトラゾール、5-アミノ-1H-テトラゾール、1-メチル-1H-テトラゾール等が挙げられる。特に好ましくは、トリルトリアゾール、5-メチル-1H-ベンゾトリアゾール、及び4-メチル-1H-ベンゾトリアゾールから選ばれる1種以上である。これらアゾール化合物は、1種で用いても2種以上の混合物で用いても構わない。
本実施の形態に係る感光性樹脂組成物が上記アゾール化合物を含有する場合の配合量は、(A)ポリイミド前駆体100質量部に対し、0.1~20質量部である事が好ましく、光感度特性の観点から0.5~5質量部がより好ましい。アゾール化合物の(A)ポリイミド前駆体100質量部に対する配合量が0.1質量部以上である場合、本実施の形態に係る感光性樹脂組成物を銅又は銅合金の上に形成した場合に、銅又は銅合金表面の変色が抑制され、一方、10質量部以下である場合、該感光性樹脂組成物の優れた光感度が維持される。
銅表面の変色を抑制するために、前記のアゾール化合物に代えて、或いは前記のアゾール化合物とともに、ヒンダードフェノール化合物を任意に配合することができる。ヒンダードフェノール化合物としては、例えば、2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール、2,5-ジ-t-ブチル-ハイドロキノン、オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネ-ト、イソオクチル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、4、4’-メチレンビス(2、6-ジ-t-ブチルフェノール)、4,4’-チオ-ビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)、4,4’-ブチリデン-ビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)、トリエチレングリコール-ビス〔3-(3-t-ブチル-5-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、1,6-ヘキサンジオール-ビス〔3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、2,2-チオ-ジエチレンビス〔3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、
N,N’ヘキサメチレンビス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシ-ヒドロシンナマミド)、2,2’-メチレン-ビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、2,2’-メチレン-ビス(4-エチル-6-t-ブチルフェノール)、ペンタエリスリチル-テトラキス〔3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、トリス-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-イソシアヌレイト、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、1,3,5-トリス(3-ヒドロキシ-2,6-ジメチル-4-イソプロピルベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン、1,3,5-トリス(4-t-ブチル-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン、1,3,5-トリス(4-s-ブチル-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン、1,3,5-トリス[4-(1-エチルプロピル)-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルベンジル]-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン、
1,3,5-トリス[4-トリエチルメチル-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルベンジル]-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン、1,3,5-トリス(3-ヒドロキシ-2,6-ジメチル-4-フェニルベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン、1,3,5-トリス(4-t-ブチル-3-ヒドロキシ-2,5,6-トリメチルベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン、1,3,5-トリス(4-t-ブチル-5-エチル-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン、1,3,5-トリス(4-t-ブチル-6-エチル-3-ヒドロキシ-2-メチルベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン、1,3,5-トリス(4-t-ブチル-6-エチル-3-ヒドロキシ-2,5-ジメチルベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン、1,3,5-トリス(4-t-ブチル-5,6-ジエチル-3-ヒドロキシ-2-メチルベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン、
1,3,5-トリス(4-t-ブチル-3-ヒドロキシ-2-メチルベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン、1,3,5-トリス(4-t-ブチル-3-ヒドロキシ-2,5-ジメチルベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン、1,3,5-トリス(4-t-ブチル-5‐エチル-3-ヒドロキシ-2-メチルベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン等が挙げられるが、これに限定されるものではない。これらの中でも、1,3,5-トリス(4-t-ブチル-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン等が特に好ましい。
ヒンダードフェノール化合物の配合量は、(A)ポリイミド前駆体100質量部に対し、0.1~20質量部であることが好ましく、光感度特性の観点から0.5~10質量部であることがより好ましい。ヒンダードフェノール化合物の(A)ポリイミド前駆体100質量部に対する配合量が0.1質量部以上である場合、例えば銅又は銅合金の上に本発明の感光性樹脂組成物を形成した場合に、銅又は銅合金の変色・腐食が防止され、一方、20質量部以下である場合、該感光性樹脂組成物の優れた光感度が維持される。
本実施の形態の硬化膜の製造方法は、(1)感光性樹脂組成物を基板上に塗布することによって感光性樹脂層を前記基板上に形成する工程、(2)前記感光性樹脂層を10~1200mJ/cmの露光量、より好ましくは、10~1000mJ/cmの露光量、より好ましくは、30~500mJ/cmの露光量で露光する工程、(3)前記露光後の前記感光性樹脂層を現像してレリーフパターンを形成する工程、前記レリーフパターンを窒素雰囲気下200℃で加熱処理することによって硬化レリーフパターンを形成する工程、を含む。
以下詳細に説明する。
以下、各工程の典型的な態様について説明する。
(1)塗布工程
本工程では、本実施の形態に係る感光性樹脂組成物を基材上に塗布し、必要に応じて、その後、乾燥させて感光性樹脂層を形成する。
基板としては、例えば:
シリコン、アルミニウム、銅、銅合金等から成る金属基板;
エポキシ、ポリイミド、ポリベンゾオキサゾール等の樹脂基板;
前記樹脂基板に金属回路が形成された基板;
複数の金属、又は金属と樹脂とが多層に積層された基板
等を使用することができる。
塗布方法としては、従来から感光性樹脂組成物の塗布に用いられていた方法、例えば、スピンコーター、バーコーター、ブレードコーター、カーテンコーター、スクリーン印刷機等で塗布する方法、スプレーコーターで噴霧塗布する方法等を用いることができる。
必要に応じて、感光性樹脂組成物膜を乾燥させることができる。乾燥方法としては、風乾、オーブン又はホットプレートによる加熱乾燥、真空乾燥等の方法が用いられる。また、塗膜の乾燥は、感光性樹脂組成物中の(A)ポリイミド前駆体(ポリアミド酸エステル)のイミド化が起こらないような条件で行うことが望ましい。具体的には、風乾又は加熱乾燥を行う場合、20℃~140℃で1分~1時間の条件で乾燥を行うことができる。以上により基板上に感光性樹脂層を形成できる。
(2)露光工程
本工程では、上記で形成した感光性樹脂層を露光する。露光装置としては、例えばコンタクトアライナー、ミラープロジェクション、ステッパー等の露光装置が用いられる。露光は、パターンを有するフォトマスク又はレチクルを介して、又は直接に行うことができる。露光に使用する光線は、例えば、紫外線光源等である。
露光量はパターンを形成できれば限定されないが、10~1200mJ/cm、又は10~1000mJ/cmの範囲が好適に用いられ、20~800mJ/cm好ましく、30~500mJ/cm、又は50~600mJ/cmがより好ましい。
露光後、光感度の向上等の目的で、必要に応じて、任意の温度及び時間の組合せによる露光後ベーク(PEB)及び/又は現像前ベークを施してもよい。ベーク条件の範囲は、温度は40~120℃、時間は10秒~240秒が好ましいが、本実施の形態の感光性樹脂組成物の諸特性を阻害するものでない限り、この範囲に限らない。
(3)現像工程
本工程では、露光後の感光性樹脂層のうち未露光部を現像除去する。露光(照射)後の感光性樹脂層を現像する現像方法としては、従来知られているフォトレジストの現像方法を選択して使用することができる。例えば回転スプレー法、パドル法、超音波処理を伴う浸漬法等である。また、現像の後、レリーフパターンの形状を調整する等の目的で、必要に応じて任意の温度及び時間の組合せによる現像後ベークを施してもよい。現像後ベークの温度は、例えば80~130℃とすることができ、時間は例えば0.5~10分とすることができる。
現像に使用される現像液としては、感光性樹脂組成物に対する良溶媒、又は該良溶媒と貧溶媒との組合せが好ましい。良溶媒としては、N-メチル-2-ピロリドン、N-シクロヘキシル-2-ピロリドン、N,N-ジメチルアセトアミド、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、γ-ブチロラクトン、α-アセチル-γ-ブチロラクトン等が好ましく、貧溶媒としてはトルエン、キシレン、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、乳酸エチル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート及び水等が好ましい。良溶媒と貧溶媒とを混合して用いる場合には、ネガ型感光性樹脂組成物中のポリマーの溶解性に応じて、良溶媒に対する貧溶媒の割合を調整することが好ましい。また、各溶媒を2種以上、例えば数種類組合せて用いることもできる。
(4)加熱工程
本工程では、上記現像により得られたレリーフパターンを加熱して感光成分を希散させるとともに、(A)ポリイミド前駆体をイミド化させて、ポリイミドからなる硬化レリーフパターンに変換する。
加熱硬化の方法としては、ホットプレートによるもの、オーブンを用いるもの、温度プログラムを設定できる昇温式オーブンを用いるもの等種々の方法を選ぶことができる。加熱硬化の際の雰囲気気体としては空気を用いてもよいし、窒素、アルゴン等の不活性ガスを用いてもよい。
加熱温度に特に限定は無いが、他部材への影響の観点から、加熱温度は低い温度であることが好ましい。250度以下が好ましく、230度以下がより好ましく、200度以下がより好ましく、180度以下が特に好ましい。加熱時間は、他部材への影響の観点から、好ましくは1時間~4時間、より好ましくは1時間30分~3時間、さらに好ましくは2時間である。
以上のようにして、硬化レリーフパターンを製造することができる。
本実施形態では、感光性樹脂組成物を露光、及び、現像した後のパターンをレリーフパターンといい、レリーフパターンを加熱硬化したものを硬化レリーフパターンという。この硬化レリーフパターンが硬化膜であり、例えば後述する半導体装置の層間絶縁膜6として用いられる。
このようにして得られる硬化膜は、ポリイミドを含み、ポリイミドは、例えば上述した一般式(III-A)の構造を有する。
このようにして得られる硬化膜は、2950cm-1付近のピークと1720cm-1付近のピークの比(2950cm-1付近のピーク/1720cm-1付近のピーク)が、0.05~0.35であれば限定されない。ピークの比が0.05以上であれば、耐薬品性が良好な傾向にあり、0.35以下であれば、銅ピラーとの接着性が良好な傾向にある。ピークの比は、0.07~0.32が好ましく、0.1~0.25がより好ましい。
硬化膜を後述する半導体装置の層間絶縁膜6に用いた場合、ピーク比が0.05~0.35の範囲内であると、再配線層4中の層間絶縁膜6と封止材3の密着性に優れたものとなる。
更に、耐薬品性、銅ピラーとの接着性、又は封止材との密着性の観点から、1380cm-1付近のピークと1500cm-1付近のピークの比(1380cm-1付近のピーク/1500cm-1付近のピーク)が、0.1~2.1、又は0.4~2.1であることがより好ましい。同様の観点から、硬化膜の5%重量減少温度は、280℃以上350℃以下であることが好ましい。
ここで、該ピーク比は硬化膜中でポリイミド前駆体がポリイミドに閉環した割合(以下イミド化率)を表すものであり、硬化膜のイミド化率を制御することによって、ピーク強度を制御することができる。イミド化率の制御は塩基発生剤等のイミド化促進剤の量によって制御することができる。塩基発生剤としては例えば、tert-ブトキシカルボニル基によって保護されたアミン化合物や、国際公開第2017/038598号公報に開示された熱塩基発生剤等が挙げられる。しかしながら、これらに限定されず、その他にも公知の塩基発生剤を用いることができる。
2950cm-1付近のピークとは、例えば、2900~3000cm-1の範囲にあるピークである。
1720cm-1付近のピークとは、例えば、1680~1750cm-1の範囲にあるピークである。
1380cm-1付近のピークとは、例えば、1350~1450cm-1の範囲にあるピークである。
1500cm-1付近のピークとは、例えば、1460~1550cm-1の範囲にあるピークである。
範囲内に複数ピークがある場合は、範囲内のピーク強度が最大のものをその範囲付近のピークとする。
さらに、半導体装置及びその製造方法について、図面を参照して以下に詳細に説明する。
(半導体装置)
本発明はまた、上述した本発明の硬化膜(硬化レリーフパターン)を有して成る、半導体装置を提供する。
図1に示すように、半導体装置(半導体IC)1は、半導体チップ2と、半導体チップ2を覆う封止材(モールド樹脂)3と、半導体チップ2及び封止材3と密着する再配線層4と、を有して構成される。
図1に示すように、封止材3は、半導体チップ2の表面を覆うと共に、平面視(A矢視)にて、半導体チップ2の領域よりも大きい面積にて形成されている。
再配線層4は、半導体チップ2に設けられた複数の端子2aに電気的に接続される複数の配線5と、配線5の間を埋める層間絶縁膜6とを有して構成される。半導体チップ2に設けられた複数の端子2aと再配線層4内の配線5は電気的に接続されている。配線5の一端が端子2aに接続され、他端が外部接続端子7に接続される。端子2aと外部接続端子7の間の配線5は全面に渡って層間絶縁膜6に覆われている。
図1に示すように、平面視(A矢視)にて、再配線層4は、半導体チップ2よりも大きく形成されている。図1に示す半導体装置1は、ファンナウト(Fan-Out)型のウェハレベルチップサイズパッケージ(WLCSP)型の半導体装置である。ファンナウト型の半導体装置では、再配線層4中の層間絶縁膜6は、半導体チップ2のみならず封止材3とも密着する。半導体チップ2は、シリコン等などの半導体から構成されており、内部に回路が形成されている。
(再配線層)
再配線層4は、主に、配線5と配線5の周りを覆う層間絶縁膜6とから構成される。層間絶縁膜6は、配線5との意図しない導通を防止するとの観点から、絶縁性が高い部材であることが好ましい。
ここで、本実施形態における「再配線層4」とは、上記したように、配線5と層間絶縁層6とを有する薄膜の層であり、インターポーザーやプリント配線板を含まない。半導体装置(半導体IC)1は再配線層4を使用しているため、図4に示す通り、フリップチップBGA等のインターポーザーが使用される半導体装置と比較して薄い。
本実施形態では、再配線層4の膜厚を、3~30μm程度とすることができる。再配線層4の膜厚は1μm以上でもよく、5μm以上でもよく、10μm以上でもよい。また、再配線層4の膜厚は40μm以下でもよく、30μm以下でもよく、20μm以下でもよい。
半導体装置1を平面視(A矢視)した場合、以下の図2のようになる。尚、封止材3は、省略されている。
図2に示す半導体装置1は、再配線層4の面積S1が、半導体チップ2の面積S2よりも大きくなるように構成されている。再配線層4の面積S1に特に限定は無いが、外部接続端子の数を多くするとの観点から、再配線層4の面積S1は、半導体チップ2の面積S2の1.05倍以上であることが好ましく、1.1倍以上であることが好ましく、1.2倍以上であることがより好ましく、1.3倍以上であることが特に好ましい。上限については特に限定は無いが、再配線層4の面積S1は、半導体チップ2の面積S2の50倍以下であってもよく、25倍以下であってもよく、10倍以下であってもよく、5倍以下であってもよい。尚、図2において、半導体チップ2に覆われている再配線層4の部分の面積も再配線層4の面積S1に含まれる。
また、半導体チップ2及び、再配線層4の外形は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。図2では、半導体チップ2及び再配線層4の外形が、共に矩形の相似形状であるが、形状は、矩形以外であってもよい。
再配線層4は1層でもよく、2層以上の多層でもよい。再配線層4は、配線5と、配線5の間を埋める層間絶縁膜6とを含むが、再配線層4中に層間絶縁膜6のみから構成される層や配線5のみから構成される層が含まれていてもよい。
配線5は、導電性が高い部材であれば特に限定は無いが、一般に銅が使用される。
(封止材)
封止材3の材料には特に限定は無いが、エポキシ樹脂が、耐熱性、層間絶縁膜との密着性の観点から好ましい。
図1に示すように、封止材3は、半導体チップ2、及び、再配線層4に直接接していることが好ましく、層間絶縁膜6と直接接することがより好ましい。これにより、半導体チップ2の表面から再配線層4の表面に至る封止性を効果的に向上させることができる。
封止材3は、単層であってもよいし、複数の層が積層された構成でもよい。封止材3が積層構造の場合、同種の材料の積層構造でも、異なる材料の積層構造でもよい。
(層間絶縁膜)
層間絶縁膜6は、上述したような感光性樹脂組成物を硬化させた硬化膜から構成される。
本実施形態では、層間絶縁膜6をATR法にてIRスペクトル測定を行った時の2950cm-1付近のピークと1720cm-1付近のピークの比(2950cm-1付近のピーク/1720cm-1付近のピーク)が、0.05~0.35であることを特徴としている。
本実施形態で、IRスペクトルのピーク比が0.05~0.35であると、封止材との密着性に優れる理由は明らかではないが、本発明者らは以下のように考えている。通常、封止材として用いられるエポキシ樹脂と、硬化膜として用いられるポリイミド樹脂は線膨張係数が異なるため、加熱後の冷却過程において残留応力が生じる。その残留応力が一定以上になると剥がれが生じる。ここで、硬化物中に、架橋剤やポリマー側鎖などに由来するアルキル基が存在すると、硬化物の線膨張係数がエポキシ樹脂と同程度になる、あるいは熱履歴中のヤング率が低下することにより残留応力が低下し、密着性が高くなると考えている。
ここで、本実施形態の層間絶縁膜のIRスペクトル測定のピーク値は、感光性樹脂組成物の(C)架橋剤の種類や量を適宜選択することにより調整することができる。また、ポリイミド前駆体などの樹脂の主鎖や側鎖などに炭化水素基を導入することによっても、調整することができる。例えば主鎖や側鎖にアルキル基を導入することにより2950cm-1付近のピーク強度を高くすることができる。具体的には、ポリイミド前駆体の側鎖に2-ヒドロキシエチルメタクリレートなどを導入する場合や、前述の光重合性の不飽和結合を有するモノマーを挙げることができる。(C)架橋剤の量はIRスペクトルにおいて2950cm-1付近のピークと1720cm-1付近のピークの比(2950cm-1付近のピーク/1720cm-1付近のピーク)が、0.05~0.35であれば限定されないが、例えば(A)ポリイミド前駆体100質量部に対して、1~100質量部であることが好ましく、耐薬品性の観点から5~80質量部がより好ましく、銅ピラー剥がれを抑制する観点から10~60質量部が特に好ましい。
また、再配線層4中の層間絶縁膜6は多層であってもよい。即ち、再配線層4は、再配線層4を断面視した際に、第1の層間絶縁膜層と、第2の層間絶縁膜層と、第1の層間絶縁膜層及び前記第2の層間絶縁膜層とは異なる層で第1の層間絶縁膜層と第2の層間絶縁膜層の間に設けられた中間層を含んでいてもよい。中間層とは例えば配線5である。
第1の層間絶縁膜層と第2の層間絶縁膜層は同じ組成であってもよく異なる組成であってもよい。第1の層間絶縁膜層と第2の層間絶縁膜層は、前記ピーク比が同じであってもよく、異なるピーク比であってもよい。第1の層間絶縁膜層と第2の層間絶縁膜層は同じ膜厚であってもよく、異なる膜厚であってもよい。第1の層間絶縁膜層と第2の層間絶縁膜層が異なる組成や異なるピーク比や異なる膜厚であると、各層間絶縁膜層に異なる性質を持たせることが可能となり、好ましい。
層間絶縁膜6が多層の場合、複数ある層のうち、少なくとも1層のi線透過率が80%以下であればよいが、封止材3と接する層間絶縁膜層(第1の層間絶縁膜層)のi線透過率が80%以下であることが好ましい。封止材3に接する層間絶縁膜層のi線透過率が80%以下であると、封止材3に接しない層間絶縁膜層を形成する際に、i線を効率よく吸収することができ、封止材の劣化を防止することができる。
(半導体装置の製造方法)
本実施形態における半導体装置の製造方法について図3を用いて説明する。
半導体装置の製造方法は、半導体チップを封止材で覆う工程と、平面視で前記半導体チップよりも面積が大きく、且つ、層間絶縁膜を含む再配線層を形成する工程とを含む。
図3Aでは、前工程済みウェハ10を用意する。そして、図3Bにて、前工程済みウェハ10をダイシングして複数の半導体チップ2を形成する。半導体チップ2は購入品であってもよい。このようにして準備された半導体チップ2を、図3Cに示すように、支持体11上に所定間隔にて貼り付ける。
続いて、半導体チップ2上から支持体11上にかけてモールド樹脂12を塗布し、図3Dに示すようにモールド封止する。続いて、支持体11を剥離し、モールド樹脂12を反転させる(図3E参照)。図3Eに示すように、半導体チップ2とモールド樹脂12とは、略同一平面で現れる。続いて、図3Fに示す工程では、感光性樹脂組成物13を、半導体チップ2上及びモールド樹脂12上に塗布する。そして、塗布された感光性樹脂組成物13を露光現像して、レリーフパターンを形成する(レリーフパターン形成工程)。なお、感光性樹脂組成物13は、ポジ型とネガ型のどちらでもよい。更に、レリーフパターンを加熱して硬化レリーフパターンを形成する(層間絶縁膜形成工程)。更に、硬化レリーフパターンを形成しない箇所に配線を形成する(配線形成工程)。
なお、本実施形態では、上記のレリーフパターン形成工程と層間絶縁膜形成工程と配線形成工程を合わせて、半導体チップ2に接続する再配線層を形成する再配線層形成工程とする。
再配線層中の層間絶縁膜は多層であってもよい。従って、再配線層形成工程は複数回のレリーフパターン形成工程と複数回の層間絶縁膜形成工程と複数回の配線形成工程を含んでいてもよい。
そして、図3Gでは、各半導体チップ2に対応する複数の外部接続端子7を形成し(バンプ形成)、各半導体チップ2間をダイシングする。これにより、図3Hに示すように、半導体装置(半導体IC)1を得ることができる。本実施形態では、図3に示す製造方法により、ファンナウト型の半導体装置1を複数得ることができる。
本実施形態では、上記工程を経て形成された層間絶縁膜を、ATR法にてIRスペクトル測定を行った時の2950cm-1付近のピークと1720cm-1付近のピークの比(2950cm-1付近のピーク/1720cm-1付近のピーク)が、0.05~0.35である硬化膜とすることができる。これにより、層間絶縁膜は、良好な耐薬品性を発現し、銅ピラーへの良好な密着性を発現し、モールド樹脂であるエポキシ樹脂の劣化や密着性の低下を抑えることができる。
なお、上述した説明では、硬化膜(硬化レリーフパターン)を、半導体装置の再配線層の層間絶縁膜として用いた場合を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば表面保護膜、再配線用絶縁膜、フリップチップ装置用保護膜、又はバンプ構造を有する半導体装置の保護膜等としても用いることもできる。
本実施の形態に係る第四の態様について図面を参照して説明する。
(半導体装置)
図1に示すように、半導体装置(半導体IC)1は、半導体チップ2と、半導体チップ2を覆う封止材(モールド樹脂)3と、半導体チップ2及び封止材3と密着する再配線層4と、を有して構成される。
図1に示すように、封止材3は、半導体チップ2の表面を覆うと共に、平面視(A矢視)にて、半導体チップ2の領域よりも大きい面積にて形成されている。
再配線層4は、半導体チップ2に設けられた複数の端子2aに電気的に接続される複数の配線5と、配線5の間を埋める層間絶縁膜6とを有して構成される。半導体チップ2に設けられた複数の端子2aと再配線層4内の配線5は電気的に接続されている。配線5の一端が端子2aに接続され、他端が外部接続端子7に接続される。端子2aと外部接続端子7の間の配線5は全面に渡って層間絶縁膜6に覆われている。
図1に示すように、平面視(A矢視)にて、再配線層4は、半導体チップ2よりも大きく形成されている。図1に示す半導体装置1は、ファンナウト(Fan-Out)型のウェハレベルチップサイズパッケージ(WLCSP)型の半導体装置である。ファンナウト型の半導体装置では、再配線層4中の層間絶縁膜6は、半導体チップ2のみならず封止材3とも密着する。半導体チップ2は、シリコン等などの半導体から構成されており、内部に回路が形成されている。
(再配線層)
再配線層4は、主に、配線5と配線5の周りを覆う層間絶縁膜6とから構成される。層間絶縁膜6は、配線5との意図しない導通を防止するとの観点から、絶縁性が高い部材であることが好ましい。
ここで、本実施形態における「再配線層4」とは、上記したように、配線5と層間絶縁層6とを有する薄膜の層であり、インターポーザーやプリント配線板を含まない。半導体装置(半導体IC)1は再配線層4を使用しているため、図4に示す通り、フリップチップBGA等のインターポーザーが使用される半導体装置と比較して薄い。
本実施形態では、再配線層4の膜厚を、3~30μm程度とすることができる。再配線層4の膜厚は1μm以上でもよく、5μm以上でもよく、10μm以上でもよい。また、再配線層4の膜厚は40μm以下でもよく、30μm以下でもよく、20μm以下でもよい。
半導体装置1を平面視(A矢視)した場合、以下の図2のようになる。尚、封止材3は、省略されている。
図2に示す半導体装置1は、再配線層4の面積S1が、半導体チップ2の面積S2よりも大きくなるように構成されている。再配線層4の面積S1に特に限定は無いが、外部接続端子の数を多くするとの観点から、再配線層4の面積S1は、半導体チップ2の面積S2の1.05倍以上であることが好ましく、1.1倍以上であることが好ましく、1.2倍以上であることがより好ましく、1.3倍以上であることが特に好ましい。上限については特に限定は無いが、再配線層4の面積S1は、半導体チップ2の面積S2の50倍以下であってもよく、25倍以下であってもよく、10倍以下であってもよく、5倍以下であってもよい。尚、図2において、半導体チップ2に覆われている再配線層4の部分の面積も再配線層4の面積S1に含まれる。
また、半導体チップ2及び、再配線層4の外形は、同じであってもよいし、異なっていてもよい。図2では、半導体チップ2及び再配線層4の外形が、共に矩形の相似形状であるが、形状は、矩形以外であってもよい。
再配線層4は2層以上の多層であり、4層以上でもよく、8層以上でもよい。再配線層4は、配線5と、配線5の間を埋める層間絶縁膜6とを含むが、再配線層4中に層間絶縁膜6のみから構成される層や配線5のみから構成される層が含まれていてもよい。
配線5は、導電性が高い部材であれば特に限定は無いが、一般に銅が使用される。
(封止材)
封止材3の材料には特に限定は無いが、エポキシ樹脂が、耐熱性、層間絶縁膜との密着性の観点から好ましい。
図1に示すように、封止材3は、半導体チップ2、及び、再配線層4に直接接していることが好ましい。これにより、半導体チップ2の表面から再配線層4の表面に至る封止性を効果的に向上させることができる。
封止材3は、単層であってもよいし、複数の層が積層された構成でもよい。封止材3が積層構造の場合、同種の材料の積層構造でも、異なる材料の積層構造でもよい。
(層間絶縁膜)
ファンナウト型の半導体装置の製造過程で、再配線層4を形成するために、半導体チップ2及び封止材3から構成されるチップ封止体上に、感光性樹脂組成物を塗布する。続いて、感光性樹脂組成物を、i線を含む光で露光する。その後、感光性樹脂組成物を現像、硬化することで、感光性樹脂組成物の硬化物がある部分と無い部分を選択的に形成する。感光性樹脂組成物の硬化物は、層間絶縁膜6となる。また、感光性樹脂組成物の硬化物が無い部分には、配線5が形成される。通常、再配線層4は多層になることが多い。すなわち、層間絶縁膜6と配線5の上に更に感光性樹脂組成物が塗布、露光、現像、硬化され、また、配線が形成される。層間絶縁膜6を形成する工程や、配線5を形成する工程では様々な薬液が使用される。
また、再配線層4中の層間絶縁膜6は多層であってもよい。即ち、再配線層4は、再配線層4を断面視した際に、第1の層間絶縁膜層と、第2の層間絶縁膜層と、第1の層間絶縁膜層及び前記第2の層間絶縁膜層とは異なる層で第1の層間絶縁膜層と第2の層間絶縁膜層の間に設けられた中間層を含んでいてもよい。中間層とは例えば配線5である。
第1の層間絶縁膜層と第2の層間絶縁膜層は同じ組成であってもよく異なる組成であってもよい。第1の層間絶縁膜層と第2の層間絶縁膜層は同じ膜厚であってもよく、異なる膜厚であってもよい。第1の層間絶縁膜層と第2の層間絶縁膜層が異なる組成や異なる屈折率差や異なる膜厚であると、各層間絶縁膜層に異なる性質を持たせることが可能となり、好ましい。
(層間絶縁膜の組成)
層間絶縁膜6の組成には特に限定はないが、例えば、ポリイミド、ポリベンゾオキサゾール、又は、フェノール性水酸基を有するポリマーから選択される少なくとも1つの化合物を含む膜であることが好ましい。
(層間絶縁膜を形成する樹脂組成物)
層間絶縁膜6の形成に用いる樹脂組成物は、感光性の樹脂組成物であれば特に限定はないが、ポリイミド前駆体、ポリベンゾオキサゾール前駆体、又は、フェノール性水酸基を有するポリマーから選択される少なくとも1つの化合物を含む感光性樹脂組成物であることが好ましい。層間絶縁膜6の形成に用いる樹脂組成物は、液体状でもフィルム状でもよい。また、層間絶縁膜6の形成に用いる樹脂組成物は、ネガ型の感光性樹脂組成物でも、ポジ型の感光性樹脂組成物でもよい。
本実施形態では、感光性樹脂組成物を露光、及び、現像した後のパターンをレリーフパターンといい、レリーフパターンを加熱硬化したものを硬化レリーフパターンという。この硬化レリーフパターンが、層間絶縁膜6となる。層間絶縁膜6は、多層硬化レリーフパターンから形成されてもよい。
本実施形態において、多層硬化レリーフパターン(層間絶縁膜6)は、次のような方法によって製造される。
<多層硬化レリーフパターンの製造方法>
多層硬化レリーフパターンの製造方法は、以下の工程:
(1)感光性樹脂組成物を基板上に塗布することによって感光性樹脂層を該基板上に形成する工程、
(2)感光性樹脂層を露光する工程、
(3)露光後の感光性樹脂層を現像してレリーフパターンを形成する工程、
(4)レリーフパターンを150℃~200℃の温度範囲で0~240分加熱処理することによって半硬化レリーフパターンを形成する第一の熱硬化工程、および
(5)半硬化レリーフパターンを200~260℃の温度範囲で、且つ第一の熱硬化工程より高い温度で10分以下加熱処理することによって硬化レリーフパターンを形成する第二の熱硬化工程を順に含み、
更に再度、(1)~(5)の工程を順に行うことを含む。これにより層間絶縁膜6を多層構造(多層硬化レリーフパターン)とすることができる。(1)~(5)の工程を前記順に行うことを3~8回繰り返して行うことが好ましい。前記基板は、例えば、半導体チップと前記半導体チップを覆う封止材から構成される基板である。
本発明の製造方法によれば、層間絶縁膜としての感光性樹脂の膜物性が十分となる硬化反応と、熱ダメージによるファンナウト型の半導体装置の収率低下抑制を両立することができる。すなわち、熱硬化時の熱による、半導体チップや封止樹脂に与える熱ダメージを抑制しつつ、感光性樹脂組成物の硬化反応を良好に進行させることで、ポリマー中の樹脂の割合を高くして十分な膜物性や耐薬品性を得ることができる。
(1)~(5)の工程についての具体的な説明は後述する。
以下、層間絶縁膜6を構成する感光性樹脂組成物として、ポリイミド、ポリベンゾオキサゾール、およびフェノール性水酸基を有するポリマーについて順に説明する。
<ポリイミド前駆体組成物>
(A)感光性樹脂
ポリイミド前駆体組成物に用いる感光性樹脂としては、ポリアミド、ポリアミド酸エステル等を挙げることができる。例えば、ポリアミド酸エステルとしては、下記一般式(IV-1)で表される繰り返し単位を含むポリアミド酸エステルを用いることができる。
Figure 2023134612000127
{式中、Xは、4価の有機基であり、Yは、2価の有機基であり、n1は、2~150の整数であり、そしてR及びRは、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1~4の飽和脂肪族基、下記一般式(IV-2):
Figure 2023134612000128
(式中、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~3の有機基であり、そしてm1は、2~10の整数である。)
で表される1価の有機基、又は下記一般式(IV-3):
Figure 2023134612000129
(式中、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~3の有機基であり、そしてm2は、2~10の整数である。)
で表されるアンモニウムイオンである。}
で表される構造を有する。
一般式(IV-1)で表されるポリアミド酸エステルを複数混合してもよい。また、一般式(IV-1)で表されるポリアミド酸エステル同士を共重合させたポリアミド酸エステルを用いてもよい。
一般式(IV-1)においてXに特に限定は無いが、層間絶縁膜6と封止材3との密着性の観点から、Xは芳香族基を含む4価の有機基であることが好ましい。具体的には、Xは、下記式(IV-4)~一般式(IV-6)で表される少なくとも1つの構造を含む4価の有機基であることが好ましい。
Figure 2023134612000130
Figure 2023134612000131
Figure 2023134612000132
(一般式(IV-6)中、Rは、酸素原子、硫黄原子、及び2価の有機基の何れかである。)
一般式(IV-6)中のRは例えば、炭素数1~40の2価の有機基やハロゲン原子である。Rは水酸基を含んでもよい。
層間絶縁膜6と封止材3との密着性の観点から、一般式(IV-1)においてXは下記式(IV-7)で表される構造を含む4価の有機基が特に好ましい。
Figure 2023134612000133
一般式(IV-1)においてXは、下記式(IV-7)または式(IV-5)で表される構造を含む4価の有機基であることが好ましい。
Figure 2023134612000134
Figure 2023134612000135
は、下記式(IV-5)で表される構造を含む4価の有機基であることがより好ましい。
Figure 2023134612000136
に特に限定は無いが、層間絶縁膜6と封止材3との密着性の観点から、Yは芳香族基を含む2価の有機基であることが好ましい。具体的には、Yは、下記一般式(IV-8)~一般式(IV-10)で表される少なくとも1つの構造を含む2価の有機基であることが好ましい。
Figure 2023134612000137
(式中、R10、R11、R12及びR13は、水素原子、又は炭素数が1~5の1価の脂肪族基であり、同一であっても異なっていてもよい。)
Figure 2023134612000138
(式中、R14~R21は、水素原子、ハロゲン原子、又は炭素数が1~5の1価の有機基であり、互いに異なっていても、同一であってもよい。)
Figure 2023134612000139
(式中、R22は2価の有機基であり、R23~R30は、水素原子、ハロゲン原子、又は炭素数が1~5の1価の脂肪族基であり、同一であっても異なっていてもよい。)
一般式(IV-10)中のR22は、例えば、炭素数1~40の2価の有機基、又はハロゲン原子である。
層間絶縁膜6と封止材3との密着性の観点から、一般式(IV-1)のYは、下記式(IV-11)で表される構造を含む2価の有機基が特に好ましい。
Figure 2023134612000140
具体的に、感光性ポリイミド樹脂組成物は、一般式(IV-1)において、Xが下記式(IV-7)で表される基であり、そしてYが下記式(IV-11)で表される基であることがより好ましい。
Figure 2023134612000141
Figure 2023134612000142
また、感光性ポリイミド樹脂組成物は、一般式(IV-1)において、Xが下記式(IV-5)で表される基であり、Yが下記式(IV-11)で表される基であることがより好ましい。
Figure 2023134612000143
Figure 2023134612000144
上記ポリアミド酸エステルにおいて、その繰り返し単位中のXは、原料として用いるテトラカルボン酸二無水物に由来し、Yは原料として用いるジアミンに由来する。
原料として用いるテトラカルボン酸二無水物としては、例えば、無水ピロメリット酸、ジフェニルエーテル-3,3’,4,4’-テトラカルボン酸二無水物、ベンゾフェノン-3,3’,4,4’-テトラカルボン酸二無水物、ビフェニル-3,3’,4,4’-テトラカルボン酸二無水物、ジフェニルスルホン-3,3’,4,4’-テトラカルボン酸二無水物、ジフェニルメタン-3,3’,4,4’-テトラカルボン酸二無水物、2,2-ビス(3,4-無水フタル酸)プロパン、2,2-ビス(3,4-無水フタル酸)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。また、これらは単独でも、2種以上を混合して用いてもよい。
原料として用いるジアミンとしては、例えば、p-フェニレンジアミン、m-フェニレンジアミン、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、3,4’-ジアミノジフェニルエーテル、3,3’-ジアミノジフェニルエーテル、4,4’-ジアミノジフェニルスルフィド、3,4’-ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’-ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、3,4’-ジアミノジフェニルスルホン、3,3’-ジアミノジフェニルスルホン、4,4’-ジアミノビフェニル、3,4’-ジアミノビフェニル、3,3’-ジアミノビフェニル、4,4’-ジアミノベンゾフェノン、3,4’-ジアミノベンゾフェノン、3,3’-ジアミノベンゾフェノン、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’-ジアミノジフェニルメタン、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔4-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、4,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4-ビス(3-アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕エーテル、ビス〔4-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕エーテル、1,4-ビス(4-アミノフェニル)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェニル)ベンゼン、9,10-ビス(4-アミノフェニル)アントラセン、2,2-ビス(4-アミノフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、2,2-ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパン、1,4-ビス(3-アミノプロピルジメチルシリル)ベンゼン、オルト-トリジンスルホン、9,9-ビス(4-アミノフェニル)フルオレン等が挙げられる。また、これらのベンゼン環上の水素原子の一部が置換されたものであってもよい。また、これらは単独でも、2種以上を混合して用いてもよい。
ポリアミド酸エステル(A)の合成においては、通常、後述するテトラカルボン酸二無水物のエステル化反応を行って得られたテトラカルボン酸ジエステルを、そのままジアミンとの縮合反応に付す方法が好ましく使用できる。
上記のテトラカルボン酸二無水物のエステル化反応に用いるアルコール類は、オレフィン性二重結合を有するアルコールである。具体的には、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、2-メタクリロイルオキシエチルアルコール、グリセリンジアクリレート、グリセリンジメタクリレートなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらのアルコール類は、単独又は2種以上を混合して用いることができる。
本実施形態に用いるポリアミド酸エステル(A)の具体的な合成方法に関しては、従来公知の方法を採用することができる。合成方法については、例えば、国際公開第00/43439号パンフレットに示されている方法を挙げることができる。すなわち、テトラカルボン酸ジエステルを、一度テトラカルボン酸ジエステルジ酸塩化物に変換し、該テトラカルボン酸ジエステルジ酸塩化物とジアミンを塩基性化合物の存在下で縮合反応に付し、ポリアミド酸エステル(A)を製造する方法を挙げることができる。また、テトラカルボン酸ジエステルとジアミンとを有機脱水剤の存在下で縮合反応に付す方法によってポリアミド酸エステル(A)を製造する方法を挙げることができる。
有機脱水剤の例としては、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、ジエチルカルボジイミド、ジイソプロピルカルボジイミド、エチルシクロヘキシルカルボジイミド、ジフェニルカルボジイミド、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド、1-シクロヘキシル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩などが挙げられる。
本実施形態に用いるポリアミド酸エステル(A)の重量平均分子量は、6000~150000であることが好ましく、7000~50000であることがより好ましく、7000~20000であることがより好ましい。
(B1)光開始剤
層間絶縁膜6の形成に用いる樹脂組成物がネガ型の感光性樹脂の場合、光開始剤を添加する。光開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、o-ベンゾイル安息香酸メチル、4-ベンゾイル-4’-メチルジフェニルケトン、ジベンジルケトン、及びフルオレノン等のベンゾフェノン誘導体、2,2’-ジエトキシアセトフェノン、及び2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノン等のアセトフェノン誘導体、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、チオキサントン、2-メチルチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン、及びジエチルチオキサントン等のチオキサントン誘導体、ベンジル、ベンジルジメチルケタール及び、ベンジル-β-メトキシエチルアセタール等のベンジル誘導体、ベンゾインメチルエーテル等のベンゾイン誘導体、2,6-ジ(4’-ジアジドベンザル)-4-メチルシクロヘキサノン、及び2,6’-ジ(4’-ジアジドベンザル)シクロヘキサノン等のアジド類、1-フェニル-1,2-ブタンジオン-2-(O-メトキシカルボニル)オキシム、1-フェニルプロパンジオン-2-(O-メトキシカルボニル)オキシム、1-フェニルプロパンジオン-2-(O-エトキシカルボニル)オキシム、1-フェニルプロパンジオン-2-(O-ベンゾイル)オキシム、1,3-ジフェニルプロパントリオン-2-(O-エトキシカルボニル)オキシム、1-フェニル-3-エトキシプロパントリオン-2-(O-ベンゾイル)オキシム等のオキシム類、N-フェニルグリシンなどのN-アリールグリシン類、ベンゾイルパーオキシドなどの過酸化物類、芳香族ビイミダゾール類、並びにチタノセン類などが用いられる。これらのうち、光感度の点で上記オキシム類が好ましい。
これらの光開始剤の添加量は、ポリアミド酸エステル(A)100質量部に対し、1~40質量部が好ましく、2~20質量部がより好ましい。光開始剤をポリアミド酸エステル(A)100質量部に対し1質量部以上添加することで、光感度に優れる。また、40質量部以下添加することで厚膜硬化性に優れる。
(B2)光酸発生剤
層間絶縁膜6の形成に用いる樹脂組成物がポジ型の感光性樹脂の場合、光酸発生剤を添加する。光酸発生剤を含有することにより、紫外線露光部に酸が発生し、露光部のアルカリ水溶液に対する溶解性が増大する。これにより、ポジ型感光性樹脂組成物として用いることができる。
光酸発生剤としては、キノンジアジド化合物、スルホニウム塩、ホスホニウム塩、ジアゾニウム塩、ヨードニウム塩などが挙げられる。この中でも優れた溶解抑止効果を発現し、高感度のポジ型感光性樹脂組成物を得られるという点から、キノンジアジド化合物が好ましく用いられる。また、光酸発生剤を2種以上含有してもよい。
(D)溶媒
各成分が溶解又は分散可能な溶媒であれば特に限定されない。例えば、N-メチル-2-ピロリドン、γ-ブチロラクトン、アセトン、メチルエチルケトン、ジメチルスルホキシドなどが挙げられる。これらの溶媒は、塗布膜厚、粘度に応じて、(A)感光性樹脂100質量部に対し、30~1500質量部の範囲で用いることができる。
(E)その他
ポリイミド前駆体組成物には架橋剤を含有させてもよい。架橋剤としては、ポリイミド前駆体組成物を露光、現像した後、加熱硬化する際に、(A)感光性樹脂を架橋し得るか、又は架橋剤自身が架橋ネットワークを形成し得る架橋剤を用いることができる。架橋剤を用いることで、硬化膜(層間絶縁膜)の耐熱性及び耐薬品性を更に強化することができる。
その他、光感度を向上させるための増感剤、基材との接着性向上のための接着助剤等を含んでいてもよい。
本実施形態において、ポリイミド前駆体組成物を用いた多層硬化レリーフパターン(層間絶縁膜6)は、次のような方法によって製造される。
<多層硬化レリーフパターンの製造方法>
多層硬化レリーフパターンの製造方法は、以下の工程:
(1)感光性樹脂組成物(ポリイミド前駆体組成物)を基板上に塗布することによって感光性樹脂層を基板上に形成する工程、
(2)感光性樹脂層を露光する工程、
(3)露光後の感光性樹脂層を現像してレリーフパターンを形成する工程、
(4)レリーフパターンを150℃~200℃の温度範囲で0~240分加熱処理することによって半硬化レリーフパターンを形成する第一の熱硬化工程、および
(5)半硬化レリーフパターンを200~260℃の温度範囲で、且つ第一の熱硬化工程より高い温度で10分以下加熱処理することによって硬化レリーフパターンを形成する第二の熱硬化工程を順に含み、
更に再度、(1)~(5)の工程を順に行うことを含む。これにより層間絶縁膜6を多層構造(多層硬化レリーフパターン)とすることができる。(1)~(5)の工程を前記順に行うことを3~8回繰り返して行うことが好ましい。
(1)感光性樹脂組成物を基板上に塗布することによって感光性樹脂層を基板上に形成する工程
本工程では、感光性樹脂組成物を基材上に塗布し、必要に応じて、その後に乾燥させて、樹脂層を形成する。基板は、例えば、半導体チップ2と半導体チップを覆う封止材3から構成される基板である。
塗布方法としては、従来から感光性樹脂組成物の塗布に用いられていた方法、例えば、スピンコーター、バーコーター、ブレードコーター、カーテンコーター、スクリーン印刷機等で塗布する方法、スプレーコーターで噴霧塗布する方法等を用いることができる。
感光性樹脂組成物を用いてレリーフパターンを形成する方法として、感光性樹脂組成物を基板上に塗布して樹脂層を基板上に形成するだけでなく、感光性樹脂組成物をフィルムの形態にして感光性樹脂組成物の層を基板上に積層することによって樹脂層を形成してもよい。また、支持基材上に本発明に係る感光性樹脂組成物のフィルムを形成し、フィルムを使用する際に積層してから支持基材を除去してもよいし、積層する前に除去してもよい。
必要に応じて、感光性樹脂組成物から成る塗膜を乾燥させることができる。乾燥方法としては、風乾、オーブン又はホットプレートによる加熱乾燥、真空乾燥等の方法が用いられる。具体的には、風乾又は加熱乾燥を行う場合、20℃~140℃で1分~1時間の条件で乾燥を行うことができる。以上の通り、基板上に樹脂層を形成できる。
(2)感光性樹脂層を露光する工程
本工程では、工程(1)で形成した感光性樹脂層を、コンタクトアライナー、ミラープロジェクション、ステッパー等の露光装置を用いて、パターンを有するフォトマスク又はレチクルを介して又は直接に、紫外線光源等により露光する。
この後、光感度の向上等の目的で、必要に応じて、任意の温度及び時間の組合せによる露光後ベーク(PEB)及び/又は現像前ベークを施してもよい。ベーク条件の範囲は、温度は40~120℃であり、そして時間は10秒~240秒であることが好ましいが、感光性樹脂組成物の諸特性を阻害するものでない限り、この範囲に限らない。
(3)露光後の感光性樹脂層を現像してレリーフパターンを形成する工程
本工程では、ポリイミド前駆体組成物を露光した後、不要部分を現像液で洗い流す。使用する現像液としては、特に制限はないが、溶剤で現像を行うポリイミド前駆体組成物の場合には、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン、シクロペンタノン、γ-ブチロラクトン、酢酸エステル類等の良溶媒、これら良溶媒と低級アルコール、水、芳香族炭化水素等の貧溶媒との混合溶媒等が用いられる。現像後は必要に応じて貧溶媒等でリンス洗浄を行う。
アルカリ性水溶液で現像を行うポリイミド前駆体組成物の場合には、水酸化テトラメチルアンモニウムの水溶液、ジエタノールアミン、ジエチルアミノエタノール、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、トリエチルアミン、ジエチルアミン、メチルアミン、ジメチルアミン、酢酸ジメチルアミノエチル、ジメチルアミノエタノール、ジメチルアミノエチルメタクリレート、シクロヘキシルアミン、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなどのアルカリ性を示す化合物の水溶液が好ましい。
(熱硬化)
現像後、加熱することによりポリイミド前駆体を閉環し、ポリイミドを形成する。このポリイミドが硬化レリーフパターン、即ち、層間絶縁膜6となる。ポリマー中のポリイミドの割合が多くなるほど、膜物性や膜の耐薬品性が向上する。通常、熱硬化温度は250℃以上1時間以上加熱することが望ましい。
熱硬化温度が200℃以下になると、熱硬化時間を長時間行ってもポリマー中のポリイミドの割合が低くなり、望ましい膜物性や膜の耐薬品性が得られない。そこで本発明では、ポリイミドの熱硬化を、(4)レリーフパターンを150℃~200℃の温度範囲で0~240分加熱処理することによって半硬化レリーフパターンを形成する第一の熱硬化工程と、(5)半硬化レリーフパターンを200℃~260℃の温度範囲で且つ第一の熱硬化工程より高い温度で10分以下加熱処理することによって硬化レリーフパターンを形成する第二の熱硬化工程と、の2段階で行う。これによりポリマー中のポリイミドの割合を高くすることができる。
また、熱硬化時に半導体装置に掛かる熱により、半導体チップや封止樹脂に熱ダメージを与え損傷する。層間絶縁膜6が2層以上の場合は層間絶縁膜層の熱硬化が複数回行われるので、熱ダメージが顕著に増加する。本発明では、第二の熱硬化工程の時間が短いことで、熱硬化時の熱ダメージを少なくすることができる。
(4)レリーフパターンを150℃~200℃の温度範囲で0~240分加熱処理することによって半硬化レリーフパターンを形成する工程(第一の熱硬化工程)
第一の熱硬化工程の加熱温度は150℃~200℃が望ましく、150℃~180℃がより望ましく、150℃~170℃がより望ましく、150℃~160℃がより望ましく、150℃が最も望ましい。第一の熱硬化工程における加熱温度が150℃未満では半硬化レリーフパターンに添加剤成分や溶媒成分が残存し、多層の層間絶縁膜6を形成した際に、層間に気泡が発生し層間剥がれを起こすことがある。加熱温度が200℃より高い場合、半硬化レリーフパターンが硬化し過ぎて、第二の熱硬化工程において環化反応が起き難く、十分に環化した硬化膜が得られないことがある。
第一の熱硬化工程の加熱時間は0~240分が望ましい。加熱時間が240分より長い場合、半硬化レリーフパターンが硬化し過ぎて、第二の熱硬化工程において環化反応が起き難く、十分に環化した硬化膜が得られないことがあり、また熱ダメージにより半導体チップ又は封止樹脂が損傷することがある。
(5)半硬化レリーフパターンを200℃~260℃の温度範囲で且つ第一の熱硬化工程より高い温度で10分以下加熱処理することによって硬化レリーフパターンを形成する工程(第二の熱硬化工程)
第二の熱硬化工程における加熱温度は200℃~260℃が望ましい。200℃未満では、ポリマー中のポリイミドの割合が低く十分な膜物性や耐薬品性を得られないことがある。加熱温度が260℃より高い場合、熱ダメージにより半導体チップや封止樹脂が損傷することがある。第二の熱硬化工程における最大温度は260℃以下であることが望ましく、240℃以下であることがより望ましい。
第二の熱硬化工程において、最大温度における加熱時間は10分以下が望ましく、5分以下がより望ましく、最も望ましくは1分以下である。加熱時間が10分より長い場合、熱ダメージにより半導体チップや封止樹脂が損傷することがある。また、第二の熱硬化工程では、最大温度における加熱時間は30秒以上であることができる。加熱時間が30秒より短い場合、ポリマー中のポリイミドの割合が低く、十分な膜物性や耐薬品性を得られないことがある。
<ポリイミド>
上記ポリイミド前駆体組成物から形成される硬化レリーフパターンの構造は、下記一般式(IV-12)となる。
Figure 2023134612000145
一般式(IV-12)中のX、Y、mは、一般式(IV-1)中のX、Y、mと同じく、Xは芳香族基を含む4価の有機基であり、Yは芳香族基を含む2価の有機基であり、mは1以上の整数である。一般式(IV-1)中の好ましいX、Y、及びmは、同じ理由により、一般式(IV-12)のポリイミドにおいても好ましい。
アルカリ可溶性ポリイミドの場合は、ポリイミドの末端を水酸基にしてもよい。
<ポリベンゾオキサゾール前駆体組成物>
(A)感光性樹脂
ポリベンゾオキサゾール前駆体組成物に用いる感光性樹脂としては、下記一般式(IV-13)で表される繰り返し単位を含むポリ(o-ヒドロキシアミド)を用いることができる。
Figure 2023134612000146
(一般式(IV-13)中、UとVは2価の有機基である。)
層間絶縁膜6と封止材3との密着性の観点から、式(IV-13)中のUは、炭素数1~30の2価の有機基であることが好ましく、炭素数1~15の鎖状アルキレン基(但し、鎖状アルキレンの水素原子はハロゲン原子で置換されていてもよい)がより好ましく、炭素数1~8で且つ水素原子がフッ素原子で置換された鎖状アルキレン基が特に好ましい。
また、層間絶縁膜6と封止材3との密着性の観点から、式(IV-13)中のVは、芳香族基を含む2価の有機基であることが好ましく、より好ましくは下記一般式(IV-8)~(IV-10)で表される少なくとも1つの構造を含む2価の有機基であることが好ましい。
Figure 2023134612000147
(式中、R10、R11、R12及びR13は、水素原子、又は炭素数が1~5の1価の脂肪族基であり、同一であっても異なっていてもよい。)
Figure 2023134612000148
(式中、R14~R21は、水素原子、ハロゲン原子、又は炭素数が1~5の1価の有機基であり、互いに異なっていても、同一であってもよい。)
Figure 2023134612000149
(式中、R22は2価の有機基であり、R23~R30は、水素原子、ハロゲン原子、又は炭素数が1~5の1価の脂肪族基であり、同一であっても異なっていてもよい。)
一般式(IV-10)中のR22は、例えば、炭素数1~40の2価の有機基やハロゲン原子である。
層間絶縁膜6と封止材3との密着性の観点から、式(IV-13)中のVは、上記一般式(IV-11)で表される構造を含む2価の有機基が特に好ましい。
層間絶縁膜6と封止材3との密着性の観点から、式(IV-13)中のVは、炭素数1~40の2価の有機基が好ましく、炭素数1~40の2価の鎖状脂肪族基がより好ましく、炭素数1~20の2価の鎖状脂肪族基が特に好ましい。
ポリベンゾオキサゾール前駆体は、一般的にジカルボン酸誘導体とヒドロキシ基含有ジアミン類とから合成できる。具体的には、ジカルボン酸誘導体をジハライド誘導体に変換後、ジアミン類との反応を行うことにより合成できる。ジハライド誘導体としては、ジクロリド誘導体が好ましい。
ジクロリド誘導体は、ジカルボン酸誘導体にハロゲン化剤を作用させて合成することができる。ハロゲン化剤としては、通常のカルボン酸の酸クロリド化反応に使用される、塩化チオニル、塩化ホスホリル、オキシ塩化リン、五塩化リン等が使用できる。
ジクロリド誘導体を合成する方法としては、ジカルボン酸誘導体と上記ハロゲン化剤を溶媒中で反応させる方法、過剰のハロゲン化剤中で反応を行った後、過剰分を留去する方法等で合成できる。
ジカルボン酸誘導体に使用するジカルボン酸としては、例えば、イソフタル酸、テレフタル酸、2,2-ビス(4-カルボキシフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン、4,4’-ジカルボキシビフェニル、4,4’-ジカルボキシジフェニルエーテル、4,4’-ジカルボキシテトラフェニルシラン、ビス(4-カルボキシフェニル)スルホン、2,2-ビス(p-カルボキシフェニル)プロパン、5-tert-ブチルイソフタル酸、5-ブロモイソフタル酸、5-フルオロイソフタル酸、5-クロロイソフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸、マロン酸、ジメチルマロン酸、エチルマロン酸、イソプロピルマロン酸、ジ-n-ブチルマロン酸、スクシン酸、テトラフルオロスクシン酸、メチルスクシン酸、2,2-ジメチルスクシン酸、2,3-ジメチルスクシン酸、ジメチルメチルスクシン酸、グルタル酸、ヘキサフルオログルタル酸、2-メチルグルタル酸、3-メチルグルタル酸、2,2-ジメチルグルタル酸、3,3-ジメチルグルタル酸、3-エチル-3-メチルグルタル酸、アジピン酸、オクタフルオロアジピン酸、3-メチルアジピン酸、オクタフルオロアジピン酸、ピメリン酸、2,2,6,6-テトラメチルピメリン酸、スベリン酸、ドデカフルオロスベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ヘキサデカフルオロセバシン酸、1,9-ノナン二酸、ドデカン二酸、トリデカン二酸、テトラデカン二酸、ペンタデカン二酸、ヘキサデカン二酸、ヘプタデカン二酸、オクタデカン二酸、ノナデカン二酸、エイコサン二酸、ヘンエイコサン二酸、ドコサン二酸、トリコサン二酸、テトラコサン二酸、ペンタコサン二酸、ヘキサコサン二酸、ヘプタコサン二酸、オクタコサン二酸、ノナコサン二酸、トリアコンタン二酸、ヘントリアコンタン二酸、ドトリアコンタン二酸、ジグリコール酸等が挙げられる。これらを混合して使用してもよい。
ヒドロキシ基含有ジアミンとしては、例えば、3,3’-ジアミノ-4,4’-ジヒドロキシビフェニル、4,4’-ジアミノ-3,3’-ジヒドロキシビフェニル、ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(4-アミノ-3-ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4-アミノ-3-ヒドロキシフェニル)スルホン、2,2-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス(4-アミノ-3-ヒドロキシフェニル)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン等が挙げられる。これらを混合して使用してもよい。
(B2)光酸発生剤
光酸発生剤は、光照射部のアルカリ水溶液可溶性を増大させる機能を有するものである。光酸発生剤としては、ジアゾナフトキノン化合物、アリールジアゾニウム塩、ジアリールヨードニウム塩、トリアリールスルホニウム塩等が挙げられる。このうち、ジアゾナフトキノン化合物は、感度が高く好ましい。
(C)添加剤
好ましい添加剤の種類や量は、ポリイミド前駆体組成物の項目で記載した内容と同じである。
(D)溶媒
各成分を溶解又は分散可能な溶媒であれば特に限定されない。
(E)その他
ポリベンゾオキサゾール前駆体組成物は、架橋剤、増感剤、接着助剤、熱酸発生剤等を含むことができる。
本実施形態において、ポリベンゾオキサゾール前駆体組成物を用いた多層硬化レリーフパターン(層間絶縁膜6)は、次のような方法によって製造される。
<多層硬化レリーフパターンの製造方法>
多層硬化レリーフパターンの製造方法は、以下の工程:
(1)感光性樹脂組成物(ポリベンゾオキサゾール前駆体組成物)を基板上に塗布することによって感光性樹脂層を基板上に形成する工程、
(2)感光性樹脂層を露光する工程、
(3)露光後の感光性樹脂層を現像してレリーフパターンを形成する工程、
(4)レリーフパターンを150℃~200℃の温度範囲で0~240分加熱処理することによって半硬化レリーフパターンを形成する第一の熱硬化工程、および
(5)半硬化レリーフパターンを200~260℃の温度範囲で、且つ第一の熱硬化工程より高い温度で10分以下加熱処理することによって硬化レリーフパターンを形成する第二の熱硬化工程
を順に含み、
更に再度、(1)~(5)の工程を順に行うことを含む。これにより層間絶縁膜6を多層構造(多層硬化レリーフパターン)とすることができる。(1)~(5)の工程を前記順に行うことを3~8回繰り返して行うことが好ましい。
(1)感光性樹脂組成物(ポリベンゾオキサゾール前駆体組成物)を基板上に塗布することによって感光性樹脂層を基板上に形成する工程
本工程では、感光性樹脂組成物を基材上に塗布し、必要に応じてその後乾燥させて樹脂層を形成する。塗布方法としては、従来から感光性樹脂組成物の塗布に用いられていた方法、例えば、スピンコーター、バーコーター、ブレードコーター、カーテンコーター、スクリーン印刷機等で塗布する方法、スプレーコーターで噴霧塗布する方法等を用いることができる。
感光性樹脂組成物を用いてレリーフパターンを形成する方法として、感光性樹脂組成物を基板上に塗布して樹脂層を基板上に形成するだけでなく、感光性樹脂組成物をフィルムの形態にして感光性樹脂組成物の層を基板上に積層することによって樹脂層を形成してもよい。また、支持基材上に本発明に係る感光性樹脂組成物のフィルムを形成し、フィルムを使用する際に積層してから支持基材を除去してもよいし、積層する前に除去してもよい。
必要に応じて、感光性樹脂組成物から成る塗膜を乾燥させることができる。乾燥方法としては、風乾、オーブン又はホットプレートによる加熱乾燥、真空乾燥等の方法が用いられる。
(2)感光性樹脂層を露光する工程
本工程では、工程(1)で形成した感光性樹脂層を、コンタクトアライナー、ミラープロジェクション、ステッパー等の露光装置を用いて、パターンを有するフォトマスク又はレチクルを介して又は直接に、紫外線光源等により露光する。
この後、光感度の向上等の目的で、必要に応じて、任意の温度及び時間の組合せによる露光後ベーク(PEB)及び/又は現像前ベークを施してもよい。
(3)露光後の感光性樹脂層を現像してレリーフパターンを形成する工程
ポリベンゾオキサゾール前駆体組成物を露光した後、不要部分を現像液で洗い流す。使用する現像液としては特に制限はないが、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ケイ酸ナトリウム、アンモニア、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドなどのアルカリ水溶液が好ましいものとして挙げられる。
上記では、ポジ型のポリベンゾオキサゾール前駆体組成物を中心に説明したが、ネガ型のポリベンゾオキサゾール前駆体組成物であってもよい。
(熱硬化)
現像後、加熱することによりポリベンゾオキサゾール前駆体を閉環し、ポリベンゾオキサゾールを形成する。このポリベンゾオキサゾールが硬化レリーフパターン、即ち、層間絶縁膜6となる。ポリマー中のポリベンゾオキサゾールの割合が多くなるほど、膜物性や膜の耐薬品性が向上する。通常、熱硬化温度は250℃以上1時間以上加熱することが望ましい。
熱硬化温度が200℃以下になると、熱硬化時間を長時間行ってもポリマー中のポリベンゾオキサゾールの割合が低くなり、望ましい膜物性や膜の耐薬品性が得られない。
そこで本実施形態では、ポリベンゾオキサゾールの熱硬化を、(4)レリーフパターンを150℃~200℃の温度範囲で0~240分加熱処理することによって半硬化レリーフパターンを形成する第一の熱硬化工程と、(5)半硬化レリーフパターンを200℃~260℃の温度範囲で且つ第一の熱硬化工程より高い温度で10分以下加熱処理することによって硬化レリーフパターンを形成する第二の熱硬化工程と、の2段階で行う。これによりポリマー中のポリベンゾオキサゾールの割合を高くすることができる。
また、熱硬化時に半導体装置に掛かる熱により、半導体チップや封止樹脂に熱ダメージを与え損傷する。層間絶縁膜6が2層以上の場合は層間絶縁膜層の熱硬化が複数回行われるので、熱ダメージが顕著に増加する。本発明では、第二の熱硬化工程の時間が短いことで、熱硬化時の熱ダメージを少なくすることができる。
(4)レリーフパターンを150℃~200℃の温度範囲で0~240分加熱処理する
ことによって半硬化レリーフパターンを形成する工程(第一の熱硬化工程)
第一の熱硬化工程の加熱温度は150℃~200℃が望ましく、150℃~180℃がより望ましく、150℃~170℃がより望ましく、150℃~160℃がより望ましく、150℃が最も望ましい。第一の熱硬化工程における加熱温度が150℃未満では半硬化レリーフパターンに添加剤成分や溶媒成分が残存し、多層の層間絶縁膜6を形成した際に、層間に気泡が発生し層間剥がれを起こす。加熱温度が200℃より高い場合、半硬化レリーフパターンが硬化しすぎて第二の熱硬化工程において環化反応が起き難く、十分に環化した硬化膜が得られない。
第一の熱硬化工程の加熱時間は0~240分が望ましい。加熱時間が240分より長い場合、半硬化レリーフパターンが硬化しすぎて第二の熱硬化工程において環化反応が起き難く、十分に環化した硬化膜が得られないことがあり、また熱ダメージにより半導体チップや封止樹脂が損傷することがある。
(5)半硬化レリーフパターンを200℃~260℃の温度範囲で且つ第一の熱硬化工程より高い温度で10分以下加熱処理することによって硬化レリーフパターンを形成する工程(第二の熱硬化工程)
第二の熱硬化工程における加熱温度は200℃~260℃が望ましい。200℃未満では、ポリマー中のポリベンゾオキサゾールの割合が低く十分な膜物性や耐薬品性を得られないことがある。加熱温度が260℃より高い場合、熱ダメージにより半導体チップや封止樹脂が損傷することがある。第二の熱硬化工程における最大温度は260℃以下であることが望ましく、240℃以下であることがより望ましい。
第二の熱硬化工程において、最大温度における加熱時間は10分以下が望ましく、5分以下がより望ましく、最も望ましくは1分以下である。加熱時間が10分より長い場合、熱ダメージにより半導体チップや封止樹脂が損傷することがある。加熱時間が30秒より短い場合、ポリマー中のポリベンゾオキサゾールの割合が低く、十分な膜物性や耐薬品性を得られないことがある。
<ポリベンゾオキサゾール>
上記ポリベンゾオキサゾール前駆体組成物から形成される硬化レリーフパターンの構造は、下記一般式(IV-14)となる。
Figure 2023134612000150
一般式(IV-14)中のU、Vは、一般式(IV-13)中のU、Vと同じである。一般式(IV-13)中の好ましいU、Vは、同じ理由により、一般式(IV-14)のポリベンゾオキサゾールにおいても好ましい。
<フェノール性水酸基を有するポリマー>
(A)感光性樹脂
分子中にフェノール性水酸基を有する樹脂であり、アルカリに対して可溶である。その具体例としては、ポリ(ヒドロキシスチレン)等のフェノール性水酸基を有するモノマー単位を含むビニル重合体、フェノール樹脂、ポリ(ヒドロキシアミド)、ポリ(ヒドロキシフェニレン)エーテル、ポリナフトールが挙げられる。これらの中で、コストが安いこと、又は硬化時の体積収縮が小さいことから、フェノール樹脂が好ましく、ノボラック型フェノール樹脂が特に好ましい。
フェノール樹脂は、フェノール又はその誘導体とアルデヒド類との重縮合生成物である。重縮合は、酸又は塩基等の触媒存在下で行われる。酸触媒を用いた場合に得られるフェノール樹脂を特にノボラック型フェノール樹脂という。
フェノール誘導体としては、例えば、フェノール、クレゾール、エチルフェノール、プロピルフェノール、ブチルフェノール、アミルフェノール、ベンジルフェノール、アダマンタンフェノール、ベンジルオキシフェノール、キシレノール、カテコール、レゾルシノール、エチルレゾルシノール、ヘキシルレゾルシノール、ハイドロキノン、ピロガロール、フロログルシノール、1,2,4-トリヒドロキシベンゼン、パラロゾール酸、ビフェノール、ビスフェノールA、ビスフェノールAF、ビスフェノールB、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ジヒドロキシジフェニルメタン、1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,4-ビス(3-ヒドロキシフェノキシベンゼン)、2,2-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)プロパン、α,α’-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1,4-ジイソプロピルベンゼン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)フルオレン、2,2-ビス(3-シクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(2-ヒドロキシ-5-ビフェニルイル)プロパン、ジヒドロキシ安息香酸などが挙げられる。
アルデヒド化合物としては、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ピバルアルデヒド、ブチルアルデヒド、ペンタナール、ヘキサナール、トリオキサン、グリオキザール、シクロヘキシルアルデヒド、ジフェニルアセトアルデヒド、エチルブチルアルデヒド、ベンズアルデヒド、グリオキシル酸、5-ノルボルネン-2-カルボキシアルデヒド、マロンジアルデヒド、スクシンジアルデヒド、グルタルアルデヒド、サリチルアルデヒド、ナフトアルデヒド、テレフタルアルデヒドなどが挙げられる。
(A)成分は、(a)不飽和炭化水素基を有しないフェノール樹脂と、(b)不飽和炭化水素基を有する変性フェノール樹脂とを、含むものであることが好ましい。前記(b)成分は、フェノール性水酸基と多塩基酸無水物との反応によって更に変性されているものであることがより好ましい。
また、(b)成分としては、機械特性(破断伸び、弾性率及び残留応力)をより向上できる観点から、炭素数4~100の不飽和炭化水素基を有する化合物で変性されたフェノール樹脂を用いることが好ましい。
(b)不飽和炭化水素基を有する変性フェノール樹脂は、一般に、フェノール又はその誘導体と不飽和炭化水素基を有する化合物(好ましくは炭素数が4~100のもの)(以下、場合により単に「不飽和炭化水素基含有化合物」という。)との反応生成物(以下「不飽和炭化水素基変性フェノール誘導体」という。)と、アルデヒド類との縮重合生成物、又は、フェノール樹脂と不飽和炭化水素基含有化合物との反応生成物である。
ここでいうフェノール誘導体は、(A)成分としてのフェノール樹脂の原料として上述したフェノール誘導体と同様のものを用いることができる。
不飽和炭化水素基含有化合物の不飽和炭化水素基は、レジストパターンの密着性及び耐熱衝撃性の観点から、2以上の不飽和基を含むことが好ましい。また、樹脂組成物としたときの相溶性及び硬化膜の可とう性の観点からは、不飽和炭化水素基含有化合物は炭素数8~80のものが好ましく、炭素数10~60のものがより好ましい。
不飽和炭化水素基含有化合物としては、例えば、炭素数4~100の不飽和炭化水素、カルボキシル基を有するポリブタジエン、エポキシ化ポリブタジエン、リノリルアルコール、オレイルアルコール、不飽和脂肪酸及び不飽和脂肪酸エステルである。好適な不飽和脂肪酸としては、クロトン酸、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸、ガドレイン酸、エルカ酸、ネルボン酸、リノール酸、α-リノレン酸、エレオステアリン酸、ステアリドン酸、アラキドン酸、エイコサペンタエン酸、イワシ酸及びドコサヘキサエン酸が挙げられる。これらの中でも特に、炭素数8~30の不飽和脂肪酸と、炭素数1~10の1価から3価のアルコールとのエステルがより好ましく、炭素数8~30の不飽和脂肪酸と3価のアルコールであるグリセリンとのエステルが特に好ましい。
炭素数8~30の不飽和脂肪酸とグリセリンとのエステルは、植物油として商業的に入手可能である。植物油は、ヨウ素価が100以下の不乾性油、100を超えて130未満の半乾性油又は130以上の乾性油がある。不乾性油として、例えば、オリーブ油、あさがお種子油、カシュウ実油、さざんか油、つばき油、ひまし油及び落花生油が挙げられる。半乾性油として、例えば、コーン油、綿実油及びごま油が挙げられる。乾性油としては、例えば、桐油、亜麻仁油、大豆油、胡桃油、サフラワー油、ひまわり油、荏の油及び芥子油が挙げられる。また、これらの植物油を加工して得られる加工植物油を用いてもよい。
上記植物油の中で、フェノール若しくはその誘導体又はフェノール樹脂と植物油との反応において、過度の反応の進行に伴うゲル化を防ぎ、歩留まりが向上する観点から、不乾性油を用いることが好ましい。一方、レジストパターンの密着性、機械特性及び耐熱衝撃性が向上する観点では乾性油を用いることが好ましい。乾性油の中でも、本発明による効果をより有効かつ確実に発揮できることから、桐油、亜麻仁油、大豆油、胡桃油及びサフラワー油が好ましく、桐油及び亜麻仁油がより好ましい。
これらの不飽和炭化水素基含有化合物は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
(b)成分を調製するにあたり、まず、上記フェノール誘導体と上記不飽和炭化水素基含有化合物とを反応させ、不飽和炭化水素基変性フェノール誘導体を作製する。前記反応は、50~130℃で行うことが好ましい。フェノール誘導体と不飽和炭化水素基含有化合物との反応割合は、硬化膜(レジストパターン)の可とう性を向上させる観点から、フェノール誘導体100質量部に対し、不飽和炭化水素基含有化合物1~100質量部であることが好ましく、5~50質量部であることがより好ましい。不飽和炭化水素基含有化合物が1質量部未満では、硬化膜の可とう性が低下する傾向があり、100質量部を超えると、硬化膜の耐熱性が低下する傾向がある。上記反応においては、必要に応じて、p-トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸等を触媒として用いてもよい。
上記反応により生成する不飽和炭化水素基変性フェノール誘導体と、アルデヒド類とを重縮合させることにより、不飽和炭化水素基含有化合物によって変性されたフェノール樹脂が生成する。アルデヒド類は、フェノール樹脂を得るために用いられるアルデヒド類として上述したものと同様のものを用いることができる。
上記アルデヒド類と上記不飽和炭化水素基変性フェノール誘導体との反応は、重縮合反応であり、従来公知のフェノール樹脂の合成条件を用いることができる。反応は、酸又は塩基等の触媒の存在下で行うことが好ましく、酸触媒を用いることがより好ましい。酸触媒としては、例えば、塩酸、硫酸、ぎ酸、酢酸、p-トルエンスルホン酸及びシュウ酸が挙げられる。これらの酸触媒は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
上記反応は、通常反応温度100℃~120℃で行うことが好ましい。また、反応時間は使用する触媒の種類や量により異なるが、通常1時間~50時間である。反応終了後、反応生成物を200℃以下の温度で減圧脱水することで不飽和炭化水素基含有化合物によって変性されたフェノール樹脂が得られる。なお、反応には、トルエン、キシレン、メタノール等の溶媒を用いることができる。
不飽和炭化水素基含有化合物によって変性されたフェノール樹脂は、上述の不飽和炭化水素基変性フェノール誘導体を、m-キシレンのようなフェノール以外の化合物とともにアルデヒド類と重縮合することにより得ることもできる。この場合、フェノール誘導体と不飽和炭化水素基含有化合物とを反応させて得られる化合物に対するフェノール以外の化合物のモル比は、0.5未満であると好ましい。
(b)成分は、前記(a)成分のフェノール樹脂と不飽和炭化水素基含有化合物とを反応させて得ることもできる。
フェノール樹脂と反応させる不飽和炭化水素基含有化合物は、上述した不飽和炭化水素基含有化合物と同様のものを使用することができる。
フェノール樹脂と不飽和炭化水素基含有化合物との反応は、通常、50℃~130℃で行うことが好ましい。また、フェノール樹脂と不飽和炭化水素基含有化合物との反応割合は、硬化膜(レジストパターン)の可とう性を向上させる観点から、フェノール樹脂100質量部に対し、不飽和炭化水素基含有化合物1~100質量部であることが好ましく、2~70質量部であることがより好ましく、5~50質量部であることがさらに好ましい。不飽和炭化水素基含有化合物が1質量部未満では、硬化膜の可とう性が低下する傾向にあり、100質量部を超えると、反応中にゲル化する可能性が高くなる傾向、及び、硬化膜の耐熱性が低下する傾向がある。このとき、必要に応じて、p-トルエンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸等を触媒として用いてもよい。なお、反応にはトルエン、キシレン、メタノール、テトラヒドロフランなどの溶媒を用いることができる。
以上のような方法により生成する不飽和炭化水素基含有化合物によって変性されたフェノール樹脂中に残ったフェノール性水酸基に、更に多塩基酸無水物を反応させる。これにより、酸変性したフェノール樹脂を(b)成分として用いることもできる。多塩基酸無水物で酸変性することにより、カルボキシ基が導入され、(b)成分のアルカリ水溶液(現像液)に対する溶解性がより一層向上する。
多塩基酸無水物は、複数のカルボキシ基を有する多塩基酸のカルボキシ基が脱水縮合して形成された酸無水物基を有していれば、特に限定されない。多塩基酸無水物としては、例えば、無水フタル酸、無水コハク酸、オクテニル無水コハク酸、ペンタドデセニル無水コハク酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水ナジック酸、3,6-エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、メチルエンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、テトラブロモ無水フタル酸及び無水トリメリット酸等の二塩基酸無水物、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、ブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、無水ピロメリット酸及びベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物等の芳香族四塩基酸二無水物が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、多塩基酸無水物は、二塩基酸無水物であることが好ましく、テトラヒドロ無水フタル酸、無水コハク酸及びヘキサヒドロ無水フタル酸からなる群より選ばれる1種以上であることがより好ましい。この場合、さらに良好な形状を有するレジストパターンを形成できるという利点がある。
また、(A)フェノール性水酸基を有するアルカリ可溶性樹脂は、更に多塩基酸無水物を反応させて酸変性したフェノール樹脂を含有することができる。(A)成分が多塩基酸無水物で酸変性したフェノール樹脂を含有することにより、(A)成分のアルカリ水溶液(現像液)に対する溶解性がより一層向上する。
前記多塩基酸無水物としては、例えば、無水フタル酸、無水コハク酸、オクテニル無水コハク酸、ペンタドデセニル無水コハク酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水ナジック酸、3,6-エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、メチルエンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、テトラブロモ無水フタル酸、無水トリメリット酸等の二塩基酸無水物、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、ブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物等の脂肪族、芳香族四塩基酸二無水物等が挙げられる。これらは1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、多塩基酸無水物は、二塩基酸無水物であることが好ましく、例えば、テトラヒドロ無水フタル酸、無水コハク酸及びヘキサヒドロ無水フタル酸からなる群より選ばれる1種以上であることがより好ましい。
(B2)光酸発生剤
光酸発生剤としては、ジアゾナフトキノン化合物、アリールジアゾニウム塩、ジアリールヨードニウム塩、トリアリールスルホニウム塩等が挙げられる。このうち、ジアゾナフトキノン化合物は、感度が高く好ましい。
(C)添加剤
好ましい添加剤の種類や量は、ポリイミド前駆体組成物の項目で記載した内容と同じである。
(D)溶媒
各成分を溶解又は分散可能な溶媒であれば特に限定されない。
(E)その他
熱架橋剤、増感剤、接着助剤、染料、界面活性剤、溶解促進剤、架橋促進剤等を含むことができる。このうち、熱架橋剤を含有することにより、パターン形成後の感光性樹脂膜を加熱して硬化する際に、熱架橋剤成分が(A)成分と反応して橋架け構造が形成される。これにより、低温での硬化が可能となり、膜の脆さや膜の溶融を防ぐことができる。熱架橋剤成分として、具体的には、フェノール性水酸基を有する化合物、ヒドロキシメチルアミノ基を有する化合物、エポキシ基を有する化合物を好ましいものとして用いることができる。
本実施形態において、フェノール性水酸基を有するポリマーを用いた多層硬化レリーフパターン(層間絶縁膜6)は、次のような方法によって製造される。
<多層硬化レリーフパターンの製造方法>
多層硬化レリーフパターンの製造方法は、以下の工程:
(1)感光性樹脂組成物(フェノール性水酸基を有するポリマー)を基板上に塗布することによって感光性樹脂層を基板上に形成する工程、
(2)感光性樹脂層を露光する工程、
(3)露光後の感光性樹脂層を現像してレリーフパターンを形成する工程、
(4)レリーフパターンを150℃~200℃の温度範囲で0~240分加熱処理することによって半硬化レリーフパターンを形成する第一の熱硬化工程、および
(5)半硬化レリーフパターンを200~260℃の温度範囲で、且つ第一の熱硬化工程より高い温度で10分以下加熱処理することによって硬化レリーフパターンを形成する第二の熱硬化工程
を順に含み、
更に再度、(1)~(5)の工程を順に行うことを含む。これにより層間絶縁膜6を多層構造(多層硬化レリーフパターン)とすることができる。(1)~(5)の工程を前記順に行うことを3~8回繰り返して行うことが好ましい。
(1)感光性樹脂組成物(フェノール性水酸基を有するポリマー)を基板上に塗布することによって感光性樹脂層を基板上に形成する工程
本工程では、感光性樹脂組成物を基材上に塗布し、必要に応じてその後乾燥させて樹脂層を形成する。塗布方法としては、従来から感光性樹脂組成物の塗布に用いられていた方法、例えば、スピンコーター、バーコーター、ブレードコーター、カーテンコーター、スクリーン印刷機等で塗布する方法、スプレーコーターで噴霧塗布する方法等を用いることができる。
感光性樹脂組成物を用いてレリーフパターンを形成する方法として、感光性樹脂組成物を基板上に塗布して樹脂層を基板上に形成するだけでなく、感光性樹脂組成物をフィルムの形態にして感光性樹脂組成物の層を基板上に積層することによって樹脂層を形成してもよい。また、支持基材上に本発明に係る感光性樹脂組成物のフィルムを形成し、フィルムを使用する際に積層してから支持基材を除去してもよいし、積層する前に除去してもよい。
必要に応じて、感光性樹脂組成物から成る塗膜を乾燥させることができる。乾燥方法としては、風乾、オーブン又はホットプレートによる加熱乾燥、真空乾燥等の方法が用いられる。
(2)感光性樹脂層を露光する工程
本工程では、工程(1)で形成した感光性樹脂層を、コンタクトアライナー、ミラープロジェクション、ステッパー等の露光装置を用いて、パターンを有するフォトマスク又はレチクルを介して又は直接に、紫外線光源等により露光する。
この後、光感度の向上等の目的で、必要に応じて、任意の温度及び時間の組合せによる露光後ベーク(PEB)及び/又は現像前ベークを施してもよい。
(3)露光後の感光性樹脂層を現像してレリーフパターンを形成する工程
フェノール性水酸基を有するポリマーを露光した後、不要部分を現像液で洗い流す。使用する現像液としては特に制限はないが、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ケイ酸ナトリウム、アンモニア、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)等のアルカリ水溶液が好適に用いられる。
(熱硬化)
現像後、加熱することによりフェノール性水酸基を有するポリマー同士を熱架橋する。この熱架橋体が硬化レリーフパターン、即ち、層間絶縁膜6となる。熱架橋の割合が多くなるほど、膜物性や膜の耐薬品性が向上する。通常、熱硬化温度は250℃以上1時間以上加熱することが望ましい。
熱硬化温度が200℃以下になると、熱硬化時間を長時間行っても膜中の熱架橋反応の割合が低くなり、望ましい膜物性や膜の耐薬品性が得られない。そこで本実施形態では、フェノール性水酸基を有するポリマーの熱架橋を、(4)レリーフパターンを150℃~200℃の温度範囲で0~240分加熱処理することによって半硬化レリーフパターンを形成する第一の熱硬化工程と、(5)半硬化レリーフパターンを200℃~260℃の温度範囲で且つ第一の熱硬化工程より高い温度で10分以下加熱処理することによって硬化レリーフパターンを形成する第二の熱硬化工程と、の2段階で行う。これにより熱架橋の割合を高くすることができる。
また、熱硬化時に半導体装置に掛かる熱により、半導体チップや封止樹脂が、熱ダメージを受けて損傷することがある。層間絶縁膜6が2層以上の場合は、層間絶縁膜層の熱硬化が複数回行われるので、熱ダメージが顕著に増加する。本発明では、第二の熱硬化工程の時間が短いことで、熱硬化時の熱ダメージを少なくすることができる。
(4)レリーフパターンを150℃~200℃の温度範囲で0~240分加熱処理することによって半硬化レリーフパターンを形成する工程(第一の熱硬化工程)
第一の熱硬化工程の加熱温度は150℃~200℃が望ましく、150℃~180℃がより望ましく、150℃~170℃がより望ましく、150℃~160℃がより望ましく、150℃が最も望ましい。第一の熱硬化工程における加熱温度が150℃未満では半硬化レリーフパターンに添加剤成分や溶媒成分が残存し、多層の層間絶縁膜6を形成した際に、層間に気泡が発生し層間剥がれを起こすことがある。加熱温度が200℃より高い場合、半硬化レリーフパターンが硬化しすぎて第二の熱硬化工程において熱架橋反応が起き難く、十分に熱架橋した硬化膜が得られないことがある。
第一の熱硬化工程の加熱時間は0~240分が望ましい。加熱時間が240分より長い場合、半硬化レリーフパターンが硬化しすぎて第二の熱硬化工程において熱架橋反応が起き難く、十分に熱架橋した硬化膜が得られことがあり、また熱ダメージにより半導体チップ又は封止樹脂が損傷することがある。
(5)半硬化レリーフパターンを200℃~260℃の温度範囲で且つ第一の熱硬化工程より高い温度で10分以下加熱処理することによって硬化レリーフパターンを形成する工程(第二の熱硬化工程)
第二の熱硬化工程における加熱温度は200℃~260℃が望ましい。200℃未満では、膜中の熱架橋反応の割合が低く十分な膜物性や耐薬品性を得られないことがある。加熱温度が260℃より高い場合、熱ダメージにより半導体チップや封止樹脂が損傷することがある。第二の熱硬化工程における最大温度は260℃以下であることが望ましく、240℃以下であることがより望ましい。
第二の熱硬化工程において、最大温度における加熱時間は10分以下が望ましく、5分以下がより望ましく、最も望ましくは1分以下である。加熱時間が10分より長い場合、熱ダメージにより半導体チップや封止樹脂が損傷することがある。加熱時間が30秒より短い場合、膜中の熱架橋反応の割合が低く十分な膜物性や耐薬品性を得られないことがある。
(半導体装置の製造方法)
本実施形態における半導体装置の製造方法について図3を用いて説明する。図3Aでは、前工程済みウェハ10を用意する。そして、図3Bにて、前工程済みウェハ10をダイシングして複数の半導体チップ2を形成する。半導体チップ2は購入品であってもよい。このようにして準備された半導体チップ2を、図3Cに示すように、支持体11上に所定間隔にて貼り付ける。
続いて、半導体チップ2上から支持体11上にかけてモールド樹脂12を塗布し、図3Dに示すようにモールド封止する。続いて、支持体11を剥離し、モールド樹脂12を反転させる(図3E参照)。図3Eに示すように、半導体チップ2とモールド樹脂12とは、略同一平面で現れる。続いて、図3Fに示す工程では、感光性樹脂組成物13を、半導体チップ2上及びモールド樹脂12上に塗布する。そして、塗布された感光性樹脂組成物13を露光現像して、レリーフパターンを形成する(レリーフパターン形成工程)。なお、感光性樹脂組成物13は、ポジ型でもネガ型でもどちらでもよい。更に、レリーフパターンを加熱して硬化レリーフパターンを形成する(層間絶縁膜形成工程)。更に、硬化レリーフパターンを形成しない箇所に配線を形成する(配線形成工程)。
なお、本実施形態では、上記のレリーフパターン形成工程と層間絶縁膜形成工程と配線形成工程を合わせて、半導体チップ2に接続する再配線層を形成する再配線層形成工程とする。
再配線層中の層間絶縁膜は多層であってもよい。従って、再配線層形成工程は複数回のレリーフパターン形成工程と複数回の層間絶縁膜形成工程と複数回の配線形成工程を含んでいてもよい。
そして、図3Gでは、各半導体チップ2に対応する複数の外部接続端子7を形成し(バンプ形成)、各半導体チップ2間をダイシングする。これにより、図3Hに示すように、半導体装置(半導体IC)1を得ることができる。本実施形態では、図3に示す製造方法により、ファンナウト型の半導体装置1を複数得ることができる。
本実施形態では、上記した層間絶縁膜形成工程では、層間絶縁膜を、ポリイミド、ポリベンゾオキサゾール、フェノール性水酸基を有するポリマーの少なくとも1つの化合物を形成可能な感光性樹脂組成物で形成することが好ましい。
本実施の形態に係る第五の態様について説明する。
<感光性樹脂組成物>
本実施形態に係る感光性樹脂組成物は、
(A)ポリイミド前駆体;100質量部、
(B)下記一般式(V-1)及び(V-3)~(V-6)の少なくとも1つで表される化合物;0.1~50質量部、
(C)感光剤;0.1~50質量部
を含む。感光性樹脂組成物は、好ましくはネガ型又はポジ型として使用され、より好ましくはネガ型として使用される。以下、ネガ型感光性樹脂組成物のそれぞれの含有成分について説明する。
本実施形態における(A)ポリイミド前駆体は、ネガ型感光性樹脂組成物に含まれる樹脂成分であり、加熱環化処理を施すことによってポリイミドに変換される。
ポリイミド前駆体は下記一般式(V-9)で表される構造を有するポリアミドであることが好ましい。
Figure 2023134612000151
{式(V-9)中、Xは、炭素数6~40の4価の有機基であり、Yは、炭素数6~40の2価の有機基であり、nは、2~150の整数であり、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、又は炭素数1~40の1価の有機基である。ただし、R及びRの少なくとも一方は、下記一般式(V-10)で表される基である。}
Figure 2023134612000152
{式(V-10)中、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~3の1価の有機基であり、そしてmは2~10の整数である。}
一般式(V-9)におけるnは、2~150の整数であれば限定されないが、ネガ型感光性樹脂組成物の感光特性及び機械特性の観点から、3~100の整数が好ましく、5~70の整数がより好ましい。
一般式(V-9)中、4価の有機基Xは、耐熱性と感光特性とを両立するという点で、好ましくは炭素数6~40の有機基であり、より好ましくは、-COOR基及び-COOR基と-CONH-基とが互いにオルト位置にある芳香族基、又は脂環式脂肪族基である。4価の有機基Xとして、具体的には、芳香族環を含有する炭素原子数6~40の有機基、例えば、下記一般式(V-20):
Figure 2023134612000153
{式中、R6は水素原子、フッ素原子、C1~C10の炭化水素基、及びC1~C10の含フッ素炭化水素基から成る群から選ばれる1価の基であり、lは0~2から選ばれる整数であり、mは0~3から選ばれる整数であり、そしてnは0~4から選ばれる整数である。}
で表される構造を有する基が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、X基の構造は1種でも2種以上の組み合わせでもよい。上記式(V-20)で表される構造を有するX基は、耐熱性と感光特性とを両立するという観点で特に好ましい。
その中で、耐熱性と感光特性の両立という観点で、X基が下記一般式(V-11)~(V-13)の少なくとも1種を含むことが好ましい。
Figure 2023134612000154
Figure 2023134612000155
Figure 2023134612000156
上記一般式(V-9)中、2価の有機基Yは、耐熱性と感光特性とを両立するという観点で、好ましくは炭素数6~40の芳香族基であり、例えば、下記式(V-21):
Figure 2023134612000157
{式中、R6は水素原子、フッ素原子、C1~C10の炭化水素基、及びC1~C10の含フッ素炭化水素基から成る群から選ばれる1価の基であり、そしてnは0~4から選ばれる整数である。}
で表される構造が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、Yの構造は1種でも2種以上の組み合わせでもよい。上記式(V-21)で表される構造を有するY基は、耐熱性及び感光特性を両立するという観点で好ましい。
基としては、上記式(V-21)で表される構造のなかでも、下式:
Figure 2023134612000158
で表される構造は、低温加熱時のイミド化率、脱ガス性、銅密着性、耐薬品性の観点からより好ましく、下記一般式(V-14)および(V-15)から成る群から選択される少なくとも1種がさらに好ましい。
Figure 2023134612000159
Figure 2023134612000160
上記一般式(V-10)中のRは、水素原子又はメチル基であることが好ましく、R及びRは、感光特性の観点から水素原子であることが好ましい。また、mは、感光特性の観点から2以上10以下の整数、好ましくは2以上4以下の整数である。
一実施形態において、(A)ポリイミド前駆体は、下記一般式(V-16):
Figure 2023134612000161
{式(V-16)中、nは、2~150の整数であり、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、または炭素数1~40の1価の有機基である。ただし、R及びRの少なくとも一方は、下記一般式(V-18)で表される基である。}
Figure 2023134612000162
{式(V-18)中、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1~3の1価の有機基であり、そしてmは2~10の整数である。}
で表される構造単位を有するポリイミド前駆体であることが好ましい。
一般式(V-16)において、R及びRの少なくとも一方は、上記一般式(V-18)で表される1価の有機基であることがより好ましい。(A)ポリイミド前駆体が、一般式(V-16)で表されるポリイミド前駆体を含むことで、特に解像性の効果が高くなる。
一実施形態において、(A)ポリイミド前駆体は、下記一般式(V-17):
Figure 2023134612000163
{式(V-17)中、nは、2~150の整数であり、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、または炭素数1~40の1価の有機基である。ただし、R及びRの少なくとも一方は、下記一般式(V-18)で表される基である。}
Figure 2023134612000164
{式(V-18)中、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1~3の1価の有機基であり、そしてmは2~10の整数である。}
で表される構造単位を有するポリイミド前駆体であることが好ましい。
一般式(V-17)において、R及びRの少なくとも一方は、上記一般式(V-18)で表される1価の有機基であることがより好ましい。(A)ポリイミド前駆体が、一般式(V-16)で表されるポリイミド前駆体に加えて、一般式(V-17)で表されるポリイミド前駆体を含む、又は、(A)ポリイミド前駆体が、一般式(V-16)で表されるポリイミド前駆体と一般式(V-17)で表されるポリイミド前駆体の共重合体を含むことにより、特に解像性の効果がさらに高くなる。一般式(V-16)で表されるポリイミド前駆体と一般式(V-17)で表されるポリイミド前駆体の共重合体は、一般式(V-16)で表されるポリイミド前駆体と一般式(V-17)で表されるポリイミド前駆体の混合物と同様の性質を示す。
一実施形態において、(A)ポリイミド前駆体は、下記一般式(V-19):
Figure 2023134612000165
{式中、R及びRは、それぞれ上記R及びRと対応し、かつnは上記に定義したものである。}
で表される構造単位を有するポリイミド前駆体であることが好ましい。
一般式(V-19)において、R及びRの少なくとも一方は、上記一般式(V-18)で表される1価の有機基であることがより好ましい。(A)ポリイミド前駆体が、一般式(V-16)または一般式(V-17)で表されるポリイミド前駆体に加えて、一般式(V-19)で表されるポリイミド前駆体を含むことにより、特に解像性の効果がさらに高くなる。
(A)ポリイミド前駆体の調製方法
(A)ポリイミド前駆体は、まず前述の4価の有機基X1を含むテトラカルボン酸二無水物と、光重合性の不飽和二重結合を有するアルコ-ル類及び任意に不飽和二重結合を有さないアルコ-ル類とを反応させて、部分的にエステル化したテトラカルボン酸(以下、アシッド/エステル体ともいう)を調製した後、これと、前述の2価の有機基Y1を含むジアミン類とをアミド重縮合させることにより得られる。
(アシッド/エステル体の調製)
本実施形態で、(A)ポリイミド前駆体を調製するために好適に用いられる、4価の有機基X1を含むテトラカルボン酸二無水物としては、上記一般式(V-20)に示されるテトラカルボン酸二無水物をはじめ、例えば、無水ピロメリット酸、ジフェニルエーテル-3,3’,4,4’-テトラカルボン酸二無水物、ベンゾフェノン-3,3’,4,4’-テトラカルボン酸二無水物、ビフェニル-3,3’,4,4’-テトラカルボン酸二無水物、ジフェニルスルホン-3,3’,4,4’-テトラカルボン酸二無水物、ジフェニルメタン-3,3’,4,4’-テトラカルボン酸二無水物、2,2-ビス(3,4-無水フタル酸)プロパン、2,2-ビス(3,4-無水フタル酸)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン等を、好ましくは無水ピロメリット酸、ジフェニルエーテル-3,3’,4,4’-テトラカルボン酸二無水物、ベンゾフェノン-3,3’,4,4’-テトラカルボン酸二無水物、ビフェニル-3,3’,4,4’-テトラカルボン酸二無水物を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。また、これらは単独で用いることができるのは勿論のこと2種以上を混合して用いてもよい。
本実施形態で、(A)ポリイミド前駆体を調製するために好適に用いられる、光重合性の不飽和二重結合を有するアルコ-ル類としては、例えば、2-アクリロイルオキシエチルアルコ-ル、1-アクリロイルオキシ-3-プロピルアルコ-ル、2-アクリルアミドエチルアルコ-ル、メチロ-ルビニルケトン、2-ヒドロキシエチルビニルケトン、2-ヒドロキシ-3-メトキシプロピルアクリレ-ト、2-ヒドロキシ-3-ブトキシプロピルアクリレ-ト、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルアクリレ-ト、2-ヒドロキシ-3-ブトキシプロピルアクリレ-ト、2-ヒドロキシ-3-t-ブトキシプロピルアクリレ-ト、2-ヒドロキシ-3-シクロヘキシルオキシプロピルアクリレ-ト、2-メタクリロイルオキシエチルアルコ-ル、1-メタクリロイルオキシ-3-プロピルアルコ-ル、2-メタクリルアミドエチルアルコ-ル、メチロ-ルビニルケトン、2-ヒドロキシエチルビニルケトン、2-ヒドロキシ-3-メトキシプロピルメタクリレ-ト、2-ヒドロキシ-3-ブトキシプロピルメタクリレ-ト、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルメタクリレ-ト、2-ヒドロキシ-3-ブトキシプロピルメタクリレ-ト、2-ヒドロキシ-3-t-ブトキシプロピルメタクリレ-ト、2-ヒドロキシ-3-シクロヘキシルオキシプロピルメタクリレ-ト等を挙げることができる。
上記光重合性の不飽和二重結合を有するアルコ-ル類に、例えば、メタノール、エタノール、n-プロパノール、イソプロパノール、n-ブタノール、tert-ブタノール、1-ペンタノール、2-ペンタノール、3-ペンタノール、ネオペンチルアルコール、1-ヘプタノール、2-ヘプタノール、3-ヘプタノール、1-オクタノール、2-オクタノール、3-オクタノール、1-ノナノール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、テトラエチレングリコールモノエチルエーテル、ベンジルアルコールなどの不飽和二重結合を有さないアルコール類を一部混合して用いることもできる。
また、ポリイミド前駆体として、上記不飽和二重結合を有さないアルコール類のみで調製された非感光性ポリイミド前駆体を、感光性ポリイミド前駆体と混合して用いてもよい。解像性の観点から、非感光性ポリイミド前駆体は、感光性ポリイミド前駆体100質量部を基準として、200質量部以下であることが好ましい。
上記の好適なテトラカルボン酸二無水物と上記のアルコール類とを、ピリジン等の塩基性触媒の存在下、後述するような溶剤中、温度20~50℃で4~10時間撹拌溶解、混合することにより、酸無水物のエステル化反応が進行し、所望のアシッド/エステル体を得ることができる。
(ポリイミド前駆体の調製)
上記アシッド/エステル体(典型的には後述する溶剤中の溶液)に、氷冷下、適当な脱水縮合剤、例えば、ジシクロヘキシルカルボジイミド、1-エトキシカルボニル-2-エトキシ-1,2-ジヒドロキノリン、1,1-カルボニルジオキシ-ジ-1,2,3-ベンゾトリアゾール、N,N’-ジスクシンイミジルカーボネート等を投入混合してアシッド/エステル体をポリ酸無水物とした後、これに、本実施形態で好適に用いられる2価の有機基Y1を含むジアミン類を別途溶媒に溶解又は分散させたものを滴下投入し、アミド重縮合させることにより、目的のポリイミド前駆体を得ることができる。代替的には、上記アシッド/エステル体を、塩化チオニル等を用いてアシッド部分を酸クロライド化した後に、ピリジン等の塩基存在下に、ジアミン化合物と反応させることにより、目的のポリイミド前駆体を得ることができる。
本実施形態で好適に用いられる2価の有機基Y1を含むジアミン類としては、上記一般式(V-21)に示される構造を有するジアミンをはじめ、例えば、p-フェニレンジアミン、m-フェニレンジアミン、4,4-ジアミノジフェニルエーテル、3,4’-ジアミノジフェニルエーテル、3,3’-ジアミノジフェニルエーテル、4,4’-ジアミノジフェニルスルフィド、3,4’-ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’-ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、3,4’-ジアミノジフェニルスルホン、3,3’-ジアミノジフェニルスルホン、4,4’-ジアミノビフェニル、3,4’-ジアミノビフェニル、3,3’-ジアミノビフェニル、4,4’-ジアミノベンゾフェノン、3,4’-ジアミノベンゾフェノン、3,3’-ジアミノベンゾフェノン、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’-ジアミノジフェニルメタン、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔4-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、4,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4-ビス(3-アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕エーテル、ビス〔4-(3-アミノフェノキシ)フェニル〕エーテル、1,4-ビス(4-アミノフェニル)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェニル)ベンゼン、9,10-ビス(4-アミノフェニル)アントラセン、2,2-ビス(4-アミノフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,2-ビス〔4-(4-アミノフェノキシ)フェニル〕ヘキサフルオロプロパン、1,4-ビス(3-アミノプロピルジメチルシリル)ベンゼン、オルト-トリジンスルホン、9,9-ビス(4-アミノフェニル)フルオレン、及びこれらのベンゼン環上の水素原子の一部が、メチル基、エチル基、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ハロゲン等で置換されたもの、例えば3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、2,2’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、2,2’-ジメチル-4,4’-ジアミノジフェニルメタン、3,3’-ジメチトキシ-4,4’-ジアミノビフェニル、3,3’-ジクロロ-4,4’-ジアミノビフェニル、及びその混合物等が挙げられるが、これに限定されるものではない。
アミド重縮合反応終了後、当該反応液中に共存している脱水縮合剤の吸水副生物を必要に応じて濾別した後、水、脂肪族低級アルコ-ル、又はその混合液等の貧溶媒を、得られた重合体成分に投入し、重合体成分を析出させ、さらに、再溶解、再沈析出操作等を繰り返すことにより、重合体を精製し、真空乾燥を行い、目的のポリイミド前駆体を単離する。精製度を向上させるために、陰イオン及び/又は陽イオン交換樹脂を適当な有機溶剤で膨潤させて充填したカラムに、この重合体の溶液を通し、イオン性不純物を除去してもよい。
上記(A)ポリイミド前駆体の分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算重量平均分子量で測定した場合に、8,000~150,000であることが好ましく、9,000~50,000であることがより好ましい。重量平均分子量が8,000以上である場合、機械物性が良好であり、150,000以下である場合現像液への分散性が良好で、レリーフパターンの解像性能が良好である。ゲルパーミエーションクロマトグラフィーの展開溶媒としては、テトラヒドロフラン、及びN-メチル-2-ピロリドンが推奨される。また重量平均分子量は標準単分散ポリスチレンを用いて作成した検量線から求める。標準単分散ポリスチレンとしては、昭和電工社製 有機溶媒系標準試料 STANDARD SM-105から選ぶことが推奨される。
(B)芳香族化合物
本実施形態における(B)芳香族化合物は、芳香族炭化水素化合物又は複素芳香族化合物であることができ、具体的には下記一般式(V-1)及び(V-3)~(V-6)から選択される少なくとも1種である。
Figure 2023134612000166
{式(V-1)中、Aは窒素原子または炭素原子であり、Rは電子吸引性基であり、Rは炭素数1~6の一価の有機基であり、複数のR及び/またはRで環構造を形成していてもよく、Rは下記一般式(V-2):
Figure 2023134612000167
(式(V-2)中、RおよびRはそれぞれ独立に、水素原子、または炭素数1~4の一価の有機基である。)
で表される構造であり、mは1~2の整数であり、mは0~3の整数であり、mは0~2の整数であり、Aが炭素原子である場合、mは1または2であり、1≦m+m+m≦6である。}
Figure 2023134612000168
Figure 2023134612000169
Figure 2023134612000170
Figure 2023134612000171
{式(V-3)~(V-6)中、Xはそれぞれ独立に窒素原子、硫黄原子、または酸素原子であり、Rは電子吸引性基であり、Rはそれぞれ独立に炭素数1~6の1価の有機基であり、複数のRで環構造を形成してもよく、mは1~2の整数であり、mは0~3の整数であり、1≦m+m≦6であり、そしてTは、水素原子または炭素数1~10のアルキル基を表す。}
本実施の形態に係る(B)芳香族化合物は、イミド化率やCuボイドの観点から、上記一般式(V-1)で表される構造であることが好ましく、下記一般式(V-7)及び(V-8)から成る群から選択される少なくとも1種であることがより好ましい。
Figure 2023134612000172
Figure 2023134612000173
{式(V-7)及び(V-8)中、R、R、m、及びmは、一般式(V-1)及び(V-3)~(V-6)の少なくとも1つにおいて定義されたとおりである。}
本実施の形態に係る電子吸引性基は、電子を吸引する官能基であれば限定されない。この中で、ニトロ基、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、シアノ基、スルホニル基、炭素数1~8のハロゲン化アルキル基、およびカルボニル基を含む炭素数1~4の一価の有機基が好ましく、アミド基、カルボキシル基、フタルイミド基、ホルミル基、および炭素数1~3のエステル基がより好ましい。
上記一般式(V-1)で表される芳香族化合物としては、下記一般式(V-22):
Figure 2023134612000174
の構造を有する化合物が挙げられる。
芳香族化合物として、より具体的には、4-アミノベンズアミド、2-アミノベンズアミド、ニコチンアミド、4-アミノ-N-メチルベンズアミド、4-アミノアセトアニリド、4-アミノアセトフェノン、p-ジメチルアミノアセトフェノン、4,4‘-ジアミノベンズアニリド、4-アミノフタルイミド、4-アミノベンズニトリル、4-ニトロ-1-ナフチルアミン、4-ニトロアニリンなどが挙げられるが、これに限定されるものではない。
一般式(V-3)で表される化合物として、下記が挙げられる。
3,6-ジクロロピリダジン、3,5-ジクロロピリダジン、3,6-ジブロモピリダジン、3,5-ジブロモピリダジン、3,4,6-トリクロロピリダジン、1,4-ジクロロフタラジン、3-クロロ-6-メチルピリダジン、3,6-ジクロロ-4-メチルピリダジン、ピリダジン-4-カルボン酸、3-クロロ-6-メトキシピリダジン、6-ヒドロキシピリダジン-3-カルボン酸、3-クロロ-6-フェニルピリダジン、スルファメトキシピリダジン、6-フェニル-3(H)-ピリダジノン、4,5-ジブロモ-3(2H)-ピリダジノン
一般式(V-4)で表される化合物として、下記が挙げられる。
5-ブロモピリミジン、2-ブロモピリミジン、5-クロロピリミジン、2-クロロピリミジン、5-フルオロピリミジン、2-フルオロピリミジン、2-シアノピリミジン、5-シアノピリミジン、4,6-ジクロロピリミジン、5-ブロモ-2-フルオロピリミジン、4,6-ジブロモピリミジン、5-ブロモ-2-クロロピリミジン、2,5-ジクロロピリミジン、2,5-ジブロモピリミジン、5-ブロモ-2-ヨ-ドピリミジン、5-ブロモ-2-メチルピリミジン、2-クロロ5-ヨ-ドピリミジン、2,4-ジクロロピリミジン、2-クロロ-4-メチルピリミジン、2-クロロ-5-フルオロピリミジン、2-クロロ-5-メチルピリミジン、2,4,6-トリクロロピリミジン、2,4,6-トリブチルピリミジン、4-クロロ-2-メチルピリミジン、ピリミジン-2-スルフォニルフルオライド、4,5,6-トリクロロピリミジン、5-ブロモ-2-tert-ブチルピリミジン、4-クロロ-2-(メチルチオ)ピリミジン、ピリミジン-5-カルボン酸、5-ブロモ-ヒロドキシピリミジン、2-アミノ-5-ブロモピリミジン、5-ブロモー2-メトキシピリミジン、5-クロロー2,4,6-トリフルオロピリミジン、ピリミジン-2-カルボン酸、メチルピリミジンー2-カルボキシレート、5-ニトロピリミジン、メチルー5-ブロモピリジンー2-カルボキシレート、ピリミジン-4-カルボン酸、2-アミノー5-ピリミジン、4-アミノピリミジン-5-カルボキシリト、2-アミノ-4-(トリフルオロメチル)ピリミジン、5-ブロモ-2,4-ジメトキシピリミジン、2-ヒドロキシ-4-(トリフルオロメチル)ピリミジン、6-トリフルオロメチルー4-ピリミジノール、エチルピリミジン-4-カルボキシレート、4,6-ジヒドロキシ-5-ニトロピリミジン、4,6-ジメトキシ-2-(メチルスルホニル)ピリミジン、6-ヒドロキシ-4-ピリミジンカルボン酸、4-ヒドロキシ-2-メチル-6-(トリフルオロメチル)ピリミジン、4-アミノ-5-フルオロ-2-メトキシピリミジン、2-ヒドラジノ-4-(トリフルオロメチル)ピリミジン、4-ヒドロキシ-6-(トリフルオロメチル)-4-ピリジミノール、4-フェニルピリミジン、5-ブロモ-2-(メチルチオ)ピリミジン-4-カルボン酸、4-アミノ-2,6-ジヒドロキシ-5-ニトロソピリミジン、エチル2-アミノ-4-ヒドロキシピリミジン-5-カルボン酸、2-ブロモ-4,6-ジフェニルピリミジン、2-アミノ-4,6-ジフェニルピリミジン
一般式(V-5)で表される化合物として、下記が挙げられる。
2-ブロモピラジン、2-クロロピラジン、3-クロロピラジン-2-カルボキシアミド、5-クロロピラジン-2-カルボン酸、シアノピラジン、2,5-ジブロモピラジンなどが挙げられる。
一般式(V-6)で表される化合物として、下記が挙げられる。
4-ブロモ-1H-イミダゾール、2-ブロモ-4-ニトロイミダゾール、2-クロロ-1H-イミダゾール、5-クロロ-1-メチル-4-ニトロイミダゾール、4,5-ジシアノイミダゾールなどが挙げられる。
また、前記一般式(V-1)、(V-3)、または(V-4)で表される化合物におけるRがカルボニル基を含む炭素数1~4の一価の有機基である場合、特にイミド化率向上、モ-ルド樹脂上解像度、又は耐薬品性が優れる。中でも、イミド化率と耐薬品性の観点から、4-アミノベンズアミド、2-アミノベンズアミド、またはニコチンアミドが特に好ましい。
本実施形態のネガ型感光剤樹脂組成物は、上記芳香族化合物を含有することで、保存安定性を維持しつつイミド化率及びモ-ルド樹脂上の解像度が向上し、Cuボイド抑制効果が得られ、さらに耐薬品性が向上する。理論に拘束されないが、イミド化率が向上する理由としては、電子吸引性基と塩基が同一分子内にある分子では、静電相互作用でポリイミド前駆体の分子近傍に集まり易く、イミド化反応の触媒能が高いためであると考えられる。また、良好な解像度が得られる理由としては、適切に分極した芳香族化合物がポリイミド間の相互作用を促進することで、パタ-ンの膨潤を抑制しているためであると考えられる。耐薬品性の向上についても同様である。Cuボイドが抑制された理由については、Cuイオンとイオン対を形成しうる酸性官能基が芳香族化合物中の塩基性官能基とイオン対を形成し、Cuイオンの拡散を抑制しているためであると考えられる。(B)芳香族化合物の配合量は、(A)ポリイミド前駆体100質量部に対して、0.1~50質量部であり、好ましくは0.1質量部以上45質量部であり、より好ましくは1質量部以上40質量部以下である。
上記式(V-1)中、Rは電子吸引性基であることが好ましい。Rが電子吸引性基である芳香族化合物を添加したネガ型感光性樹脂組成物は、さらに高いイミド化率と良好な耐薬品性を示す。電子吸引性基とは芳香環の電子密度を低下させる官能基を意味し、アミド基、アセチル基、ニトロ基、フタルイミド基、シアノ基、ニトロ基、フルオロ基、カルボキシル基、アルキン基、フェニル基、ヒドロキシ基、及びエステル基が好ましい。
(C)感光剤
本実施形態に用いられる(C)感光剤について説明する。感光剤としては、光ラジカル重合開始剤であることが好ましく、ベンゾフェノン、o-ベンゾイル安息香酸メチル、4-ベンゾイル-4’-メチルジフェニルケトン、ジベンジルケトン、フルオレノン等のベンゾフェノン誘導体、2,2’-ジエトキシアセトフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等のアセトフェノン誘導体、チオキサントン、2-メチルチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントン等のチオキサントン誘導体、ベンジル、ベンジルジメチルケタ-ル、ベンジル-β-メトキシエチルアセタ-ル等のベンジル誘導体、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル等のベンゾイン誘導体、1-フェニル-1,2-ブタンジオン-2-(o-メトキシカルボニル)オキシム、1-フェニル-1,2-プロパンジオン-2-(o-メトキシカルボニル)オキシム、1-フェニル-1,2-プロパンジオン-2-(o-エトキシカルボニル)オキシム、1-フェニル-1,2-プロパンジオン-2-(o-ベンゾイル)オキシム、1,3-ジフェニルプロパントリオン-2-(o-エトキシカルボニル)オキシム、1-フェニル-3-エトキシプロパントリオン-2-(o-ベンゾイル)オキシム等のオキシム類、N-フェニルグリシン等のN-アリ-ルグリシン類、ベンゾイルパ-クロライド等の過酸化物類、芳香族ビイミダゾ-ル類、チタノセン類、α-(n-オクタンスルフォニルオキシイミノ)-4-メトキシベンジルシアニド等の光酸発生剤類等が好ましく挙げられるが、これらに限定されるものではない。上記の光重合開始剤の中では、特に光感度の点で、オキシム類がより好ましい。
上記の光重合開始剤の中では、下記一般式(V-23):
Figure 2023134612000175
(式中、R~Rは、それぞれ独立に、水素原子または1価の有機基を表す。)
で表されるオキシムエステル化合物が保存安定性や解像性の観点から特に好ましい。
ここでR~Rとして好ましく用いられるのは、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1~20の直鎖、分岐又は環状のアルキル基、アルキルアリ-ル基、アリ-ルアルキル基、ヒドロキシアルキルオキシ基から選ばれる基や、複素原子を含む炭素数1~20の直鎖、分岐又は環状のアルキル基、アルキルアリ-ル基、アリ-ルアルキル基、ヒドロキシアルキルオキシ基から選ばれる基である。
保存安定性と解像性の観点から、光重合開始剤として更に好ましく用いられるものとしては下記一般式(V-24):
Figure 2023134612000176
{式中、Zはイオウ又は酸素原子であり、そしてR15はメチル基、フェニル基または2価の有機基を表し、R16~R18は、それぞれ独立に、水素原子または1価の有機基を表す。}
で表されるオキシムエステル化合物である。
ここでR15~R18として好ましく用いられるのは、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1~20の直鎖、分枝又は環状のアルキル基、アルキルアリ-ル基、アリ-ルアルキル基、ヒドロキシアルキルオキシ基から選ばれる基である。具体的には水素原子、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert-ペンチル基、n-ヘキシル基、イソヘキシル基、n-オクチル基、イソオクチル基、n-デシル基、イソデシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、メチルシクロペンチル基、シクロペンチルメチル基、メチルシクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、フェニル基、トリル基、キシリル基、ベンジル基、ヒドロキシエチルオキシ基、ヒドロキシプロピルオキシ基等を挙げることができる。
これらの光重合開始剤として好適に用いられる具体例としては、下記式:
Figure 2023134612000177
から選ばれる少なくとも1種が好ましく用いられる。これらの商品名としては、BASF社製Irgacure OXE-01、常州強力新電子材料有限公司製TR-PBG-305、同じくTR-PBG-3057、ADEKA社製NCI-930等を挙げることができる。
このようなオキシムエステル系光開始剤を用いることにより、保存安定性が高く、解像性が良好となる。
(C)感光剤の配合量は、(A)ポリイミド前駆体100質量部に対して、0.1~50質量部であり、好ましくは0.1質量部以上20質量部であり、より好ましくは1質量部以上8質量部以下である。上記配合量は、光感度又はパタ-ニング性の観点で0.1質量部以上であり、ネガ型感光性樹脂組成物の硬化後の感光性樹脂層の物性の観点から20質量部以下であることが好ましい。
(D)熱塩基発生剤
本実施形態の感光性樹脂組成物は、所望により、(D)熱塩基発生剤を含有してよい。塩基発生剤とは、加熱することで塩基を発生する化合物をいう。熱塩基発生剤を含有することで、感光性樹脂組成物のイミド化をさらに促進することができる。
熱塩基発生剤としては、その種類を特に定めるものではないが、tert-ブトキシカルボニル基によって保護されたアミン化合物、国際公開第2017/038598号に開示された熱塩基発生剤等が挙げられる。しかしながら、これらに限定されず、その他にも公知の熱塩基発生剤を用いることができる。
tert-ブトキシカルボニル基によって保護されたアミン化合物としては、例えば、エタノールアミン、3-アミノ-1-プロパノール、1-アミノ-2-プロパノール、2-アミノ-1-プロパノール、4-アミノ-1-ブタノール、2-アミノ-1-ブタノール、1-アミノ-2-ブタノール、3-アミノ-2,2-ジメチル-1-プロパノール、4-アミノ-2-メチル-1-ブタノール、バリノール、3-アミノ-1,2-プロパンジオール、2-アミノ-1,3-プロパンジオール、チラミン、ノルエフェドリン、2-アミノ-1-フェニル-1,3-プロパンジオール、2-アミノシクロヘキサノール、4-アミノシクロヘキサノール、4-アミノシクロヘキサンエタノール、4-(2-アミノエチル)シクロヘキサノール、N-メチルエタノールアミン、3-(メチルアミノ)-1-プロパノール、3-(イソプロピルアミノ)プロパノール、N-シクロヘキシルエタノールアミン、α-[2-(メチルアミノ)エチル]ベンジルアルコール、ジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、3-ピロリジノール、2-ピロリジンメタノール、4-ヒドロキシピペリジン、3-ヒドロキシピペリジン、4-ヒドロキシ-4-フェニルピペリジン、4-(3-ヒドロキシフェニル)ピペリジン、4-ピペリジンメタノール、3-ピペリジンメタノール、2-ピペリジンメタノール、4-ピペリジンエタノール、2-ピペリジンエタノール、2-(4-ピペリジル)-2-プロパノール、1,4-ブタノールビス(3-アミノプロピル)エーテル、1,2-ビス(2-アミノエトキシ)エタン、2,2’-オキシビス(エチルアミン)、1,14-ジアミノ-3,6,9,12-テトラオキサテトラデカン、1-アザ-15-クラウン 5-エーテル、ジエチレングリコールビス(3-アミノプロピル)エーテル、1,11-ジアミノ-3,6,9-トリオキサウンデカン、ジエチレングリコールビス(3-アミノプロピル)エーテル等、並びに、アミノ酸及びその誘導体のアミノ基をtert-ブトキシカルボニル基によって保護した化合物等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
(D)熱塩基発生剤の配合量は、(A)ポリイミド前駆体100質量部に対して、好ましくは、0.1質量部以上50質量部以下、又は0.1質量部以上30質量部以下であり、より好ましくは0.5質量部以上15質量部以下であり、更に好ましくは1質量部以上20質量部以下であり、例えば0.5質量部以上20質量部以下であってよい。上記配合量は、イミド化促進効果の観点で0.1質量部以上であり、ネガ型感光性樹脂組成物の硬化後の感光性樹脂層の物性の観点から20質量部以下であることが好ましい。
本実施形態のネガ型感光性樹脂組成物は、上記(A)~(D)成分以外の成分をさらに含有していてもよい。(A)~(D)成分以外の成分としては、限定されないが、溶剤、含窒素複素環化合物、ヒンダードフェノール化合物、有機チタン化合物、接着助剤、増感剤、光重合性不飽和モノマー、熱重合禁止剤等が挙げられる。
溶剤
溶剤としては、アミド類、スルホキシド類、ウレア類、ケトン類、エステル類、ラクトン類、エーテル類、ハロゲン化炭化水素類、炭化水素類、アルコール類等が挙げられ、例えば、N-メチル-2-ピロリドン、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、テトラメチル尿素、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、シュウ酸ジエチル、乳酸エチル、乳酸メチル、乳酸ブチル、γ-ブチロラクトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ベンジルアルコール、フェニルグリコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、モルフォリン、ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン、1,4-ジクロロブタン、クロロベンゼン、o-ジクロロベンゼン、アニソール、ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン等を使用することができる。中でも、樹脂の溶解性、樹脂組成物の安定性、及び基板への接着性の観点から、N-メチル-2-ピロリドン、ジメチルスルホキシド、テトラメチル尿素、酢酸ブチル、乳酸エチル、γ-ブチロラクトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ベンジルアルコール、フェニルグリコール、及びテトラヒドロフルフリルアルコールが好ましい。
このような溶剤の中で、とりわけ、生成ポリマーを完全に溶解するものが好ましく、例えば、N-メチル-2-ピロリドン、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、テトラメチル尿素、ガンマブチロラクトン等が挙げられる。
本実施形態の感光性樹脂組成物において、溶剤の使用量は、(A)ポリイミド前駆体100質量部に対して、好ましくは100~1000質量部であり、より好ましくは120~700質量部であり、さらに好ましくは125~500質量部の範囲である。
含窒素複素環化合物
本実施形態の感光性樹脂組成物を用いて銅又は銅合金から成る基板上に硬化膜を形成する場合には、銅上の変色を抑制するために、ネガ型感光性樹脂組成物は、含窒素複素環化合物を任意に含んでもよい。含窒素複素環化合物としては、アゾール化合物、及びプリン誘導体等が挙げられる。
アゾール化合物としては、1H-トリアゾール、5-メチル-1H-トリアゾール、5-エチル-1H-トリアゾール、4,5-ジメチル-1H-トリアゾール、5-フェニル-1H-トリアゾール、4-t-ブチル-5-フェニル-1H-トリアゾール、5-ヒドロキシフェニル-1H-トリアゾール、フェニルトリアゾール、p-エトキシフェニルトリアゾール、5-フェニル-1-(2-ジメチルアミノエチル)トリアゾール、5-ベンジル-1H-トリアゾール、ヒドロキシフェニルトリアゾール、1,5-ジメチルトリアゾール、4,5-ジエチル-1H-トリアゾール、1H-ベンゾトリアゾール、2-(5-メチル-2-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-[2-ヒドロキシ-3,5-ビス(α,α-ジメチルベンジル)フェニル]-ベンゾトリアゾール、2-(3,5-ジ-t-ブチル-2-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(3-t-ブチル-5-メチル-2-ヒドロキシフェニル)-ベンゾトリアゾール、2-(3,5-ジ-t-アミル-2-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2-(2’-ヒドロキシ-5’-t-オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、5-メチル-1H-ベンゾトリアゾール、4-メチル-1H-ベンゾトリアゾール、4-カルボキシ-1H-ベンゾトリアゾール、5-カルボキシ-1H-ベンゾトリアゾール、1H-テトラゾール、5-メチル-1H-テトラゾール、5-フェニル-1H-テトラゾール、5-アミノ-1H-テトラゾール、1-メチル-1H-テトラゾール等が挙げられる。
特に好ましくは、トリルトリアゾール、5-メチル-1H-ベンゾトリアゾール、及び4-メチル-1H-ベンゾトリアゾールが挙げられる。また、これらのアゾール化合物は、1種で用いても2種以上の混合物で用いても構わない。
プリン誘導体の具体例としては、プリン、アデニン、グアニン、ヒポキサンチン、キサンチン、テオブロミン、カフェイン、尿酸、イソグアニン、2,6-ジアミノプリン、9-メチルアデニン、2-ヒドロキシアデニン、2-メチルアデニン、1-メチルアデニン、N-メチルアデニン、N,N-ジメチルアデニン、2-フルオロアデニン、9-(2-ヒドロキシエチル)アデニン、グアニンオキシム、N-(2-ヒドロキシエチル)アデニン、8-アミノアデニン、6-アミノ-8-フェニル-9H-プリン、1-エチルアデニン、6-エチルアミノプリン、1-ベンジルアデニン、N-メチルグアニン、7-(2-ヒドロキシエチル)グアニン、N-(3-クロロフェニル)グアニン、N-(3-エチルフェニル)グアニン、2-アザアデニン、5-アザアデニン、8-アザアデニン、8-アザグアニン、8-アザプリン、8-アザキサンチン、8-アザヒポキサンチン等及びその誘導体が挙げられる。
感光性樹脂組成物が上記アゾール化合物もしくはプリン誘導体を含有する場合の配合量は、(A)ポリイミド前駆体100質量部に対し、0.1~20質量部であることが好ましく、光感度特性の観点から0.5~5質量部がより好ましい。アゾール化合物の(A)ポリイミド前駆体100質量部に対する配合量が0.1質量部以上である場合、本実施形態の感光性樹脂組成物を銅又は銅合金の上に形成した場合に、銅又は銅合金表面の変色が抑制され、一方、20質量部以下である場合には光感度に優れる。
ヒンダードフェノール化合物
また、銅表面上の変色を抑制するために、ネガ型感光性樹脂組成物は、ヒンダードフェノール化合物を任意に含んでもよい。ヒンダードフェノール化合物としては、2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール、2,5-ジ-t-ブチル-ハイドロキノン、オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、イソオクチル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、4、4’-メチレンビス(2、6-ジ-t-ブチルフェノール)、4,4’-チオ-ビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)、4,4’-ブチリデン-ビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)、トリエチレングリコ-ル-ビス[3-(3-t-ブチル-5-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6-ヘキサンジオール-ビス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,2-チオ-ジエチレンビス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N’-ヘキサメチレンビス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシ-ヒドロシンナマミド)、2,2’-メチレン-ビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、2,2’-メチレン-ビス(4-エチル-6-t-ブチルフェノール)、ペンタエリスリチル-テトラキス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、トリス-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-イソシアヌレイト、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、1,3,5-トリス(3-ヒドロキシ-2,6-ジメチル-4-イソプロピルベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン、1,3,5-トリス(4-t-ブチル-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン、1,3,5-トリス(4-s-ブチル-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン、1,3,5-トリス[4-(1-エチルプロピル)-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルベンジル]-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン、
1,3,5-トリス[4-トリエチルメチル-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルベンジル]-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン、1,3,5-トリス(3-ヒドロキシ-2,6-ジメチル-4-フェニルベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン、1,3,5-トリス(4-t-ブチル-3-ヒドロキシ-2,5,6-トリメチルベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン、1,3,5-トリス(4-t-ブチル-5-エチル-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン、1,3,5-トリス(4-t-ブチル-6-エチル-3-ヒドロキシ-2-メチルベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン、1,3,5-トリス(4-t-ブチル-6-エチル-3-ヒドロキシ-2,5-ジメチルベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン、1,3,5-トリス(4-t-ブチル-5,6-ジエチル-3-ヒドロキシ-2-メチルベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン、
1,3,5-トリス(4-t-ブチル-3-ヒドロキシ-2-メチルベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン、1,3,5-トリス(4-t-ブチル-3-ヒドロキシ-2,5-ジメチルベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン、1,3,5-トリス(4-t-ブチル-5-エチル-3-ヒドロキシ-2-メチルベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン等が挙げられるが、これに限定されるものではない。これらの中でも、1,3,5-トリス(4-t-ブチル-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン等が特に好ましい。
ヒンダードフェノール化合物の配合量は、(A)ポリイミド前駆体100質量部に対し、0.1~20質量部であることが好ましく、光感度特性の観点から0.5~10質量部であることがより好ましい。ヒンダードフェノール化合物の(A)ポリイミド前駆体100質量部に対する配合量が0.1質量部以上である場合、例えば銅又は銅合金の上に本発明の感光性樹脂組成物を形成した場合に、銅又は銅合金の変色・腐食が防止され、一方、20質量部以下である場合には光感度に優れる。
有機チタン化合物
本実施形態のネガ型感光性樹脂組成物は、有機チタン化合物を含有してもよい。有機チタン化合物を含有することにより、低温で硬化した場合であっても耐薬品性に優れる感光性樹脂層を形成できる。
使用可能な有機チタン化合物としては、チタン原子に有機化学物質が共有結合又はイオン結合を介して結合しているものが挙げられる。
有機チタン化合物の具体的例を以下のI)~VII)に示す:
I)チタンキレート化合物:中でも、ネガ型感光性樹脂組成物の保存安定性及び良好なパタ-ンが得られることから、アルコキシ基を2個以上有するチタンキレートがより好ましい。具体的な例は、チタニウムビス(トリエタノールアミン)ジイソプロポキサイド、チタニウムジ(n-ブトキサイド)ビス(2,4-ペンタンジオネート、チタニウムジイソプロポキサイドビス(2,4-ペンタンジオネート)、チタニウムジイソプロポキサイドビス(テトラメチルヘプタンジオネート)、チタニウムジイソプロポキサイドビス(エチルアセトアセテート)等である。
II)テトラアルコキシチタン化合物:例えば、チタニウムテトラ(n-ブトキサイド)、チタニウムテトラエトキサイド、チタニウムテトラ(2-エチルヘキソキサイド)、チタニウムテトライソブトキサイド、チタニウムテトライソプロポキサイド、チタニウムテトラメトキサイド、チタニウムテトラメトキシプロポキサイド、チタニウムテトラメチルフェノキサイド、チタニウムテトラ(n-ノニロキサイド)、チタニウムテトラ(n-プロポキサイド)、チタニウムテトラステアリロキサイド、チタニウムテトラキス[ビス{2,2-(アリロキシメチル)ブトキサイド}]等である。
III)チタノセン化合物:例えば、ペンタメチルシクロペンタジエニルチタニウムトリメトキサイド、ビス(η5-2,4-シクロペンタジエン-1-イル)ビス(2,6-ジフルオロフェニル)チタニウム、ビス(η5-2,4-シクロペンタジエン-1-イル)ビス(2,6-ジフルオロ-3-(1H-ピロ-ル-1-イル)フェニル)チタニウム等である。
IV)モノアルコキシチタン化合物:例えば、チタニウムトリス(ジオクチルホスフェート)イソプロポキサイド、チタニウムトリス(ドデシルベンゼンスルホネート)イソプロポキサイド等である。
V)チタニウムオキサイド化合物:例えば、チタニウムオキサイドビス(ペンタンジオネ-ト)、チタニウムオキサイドビス(テトラメチルヘプタンジオネート)、フタロシアニンチタニウムオキサイド等である。
VI)チタニウムテトラアセチルアセトネート化合物:例えば、チタニウムテトラアセチルアセトネート等である。
VII)チタネ-トカップリング剤:例えば、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート等である。
中でも、有機チタン化合物は、上記I)チタンキレート化合物、II)テトラアルコキシチタン化合物、及びIII)チタノセン化合物から成る群から選ばれる少なくとも1種の化合物であることが、より良好な耐薬品性を奏するという観点から好ましい。特に、チタニウムジイソプロポキサイドビス(エチルアセトアセテート)、チタニウムテトラ(n-ブトキサイド)、及びビス(η5-2,4-シクロペンタジエン-1-イル)ビス(2,6-ジフルオロ-3-(1H-ピロ-ル-1-イル)フェニル)チタニウムが好ましい。
有機チタン化合物を配合する場合の配合量は、(A)ポリイミド前駆体100質量部に対し、0.05~10質量部であることが好ましく、より好ましくは0.1~2質量部である。該配合量が0.05質量部以上である場合良好な耐熱性及び耐薬品性が発現し、一方10質量部以下である場合保存安定性に優れる。
接着助剤
本実施形態のネガ型感光性樹脂組成物を用いて形成される膜と基材との接着性向上のために、ネガ型感光性樹脂組成物は、接着助剤を任意に含んでもよい。接着助剤としては、γ-アミノプロピルジメトキシシラン、N-(β-アミノエチル)-γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルジメトキシメチルシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ジメトキシメチル-3-ピペリジノプロピルシラン、ジエトキシ-3-グリシドキシプロピルメチルシラン、N-(3-ジエトキシメチルシリルプロピル)スクシンイミド、N-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]フタルアミド酸、ベンゾフェノン-3,3’-ビス(N-[3-トリエトキシシリル]プロピルアミド)-4,4’-ジカルボン酸、ベンゼン-1,4-ビス(N-[3-トリエトキシシリル]プロピルアミド)-2,5-ジカルボン酸、3-(トリエトキシシリル)プロピルスクシニックアンハイドライド、N-フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン、3-ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3-ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3-(トリアルコキシシリル)プロピルスクシン酸無水物等のシランカップリング剤、及びアルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート等のアルミニウム系接着助剤等が挙げられる。
これらの接着助剤のうちでは、接着力の点からシランカップリング剤を用いることがより好ましい。感光性樹脂組成物が接着助剤を含有する場合、接着助剤の配合量は、(A)ポリイミド前駆体100質量部に対し、0.5~25質量部の範囲が好ましい。
シランカップリング剤としては、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製:商品名 KBM803、チッソ株式会社製:商品名 サイラエ-スS810)、3-メルカプトプロピルトリエトキシシラン(アズマックス株式会社製:商品名 SIM6475.0)、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン(信越化学工業株式会社製:商品名 LS1375、アズマックス株式会社製:商品名 SIM6474.0)、メルカプトメチルトリメトキシシラン(アズマックス株式会社製:商品名 SIM6473.5C)、メルカプトメチルメチルジメトキシシラン(アズマックス株式会社製:商品名 SIM6473.0)、3-メルカプトプロピルジエトキシメトキシシラン、3-メルカプトプロピルエトキシジメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリプロポキシシラン、3-メルカプトプロピルジエトキシプロポキシシラン、3-メルカプトプロピルエトキシジプロポキシシラン、3-メルカプトプロピルジメトキシプロポキシシラン、3-メルカプトプロピルメトキシジプロポキシシラン、2-メルカプトエチルトリメトキシシラン、2-メルカプトエチルジエトキシメトキシシラン、2-メルカプトエチルエトキシジメトキシシラン、2-メルカプトエチルトリプロポキシシラン、2-メルカプトエチルトリプロポキシシラン、2-メルカプトエチルエトキシジプロポキシシラン、2-メルカプトエチルジメトキシプロポキシシラン、2-メルカプトエチルメトキシジプロポキシシラン、4-メルカプトブチルトリメトキシシラン、4-メルカプトブチルトリエトキシシラン、4-メルカプトブチルトリプロポキシシラン、N-(3-トリエトキシシリルプロピル)ウレア(信越化学工業株式会社製:商品名 LS3610、アズマックス株式会社製:商品名 SIU9055.0)、N-(3-トリメトキシシリルプロピル)ウレア(アズマックス株式会社製:商品名 SIU9058.0)、N-(3-ジエトキシメトキシシリルプロピル)ウレア、N-(3-エトキシジメトキシシリルプロピル)ウレア、N-(3-トリプロポキシシリルプロピル)ウレア、N-(3-ジエトキシプロポキシシリルプロピル)ウレア、N-(3-エトキシジプロポキシシリルプロピル)ウレア、N-(3-ジメトキシプロポキシシリルプロピル)ウレア、N-(3-メトキシジプロポキシシリルプロピル)ウレア、N-(3-トリメトキシシリルエチル)ウレア、N-(3-エトキシジメトキシシリルエチル)ウレア、N-(3-トリプロポキシシリルエチル)ウレア、N-(3-トリプロポキシシリルエチル)ウレア、N-(3-エトキシジプロポキシシリルエチル)ウレア、N-(3-ジメトキシプロポキシシリルエチル)ウレア、N-(3-メトキシジプロポキシシリルエチル)ウレア、N-(3-トリメトキシシリルブチル)ウレア、N-(3-トリエトキシシリルブチル)ウレア、N-(3-トリプロポキシシリルブチル)ウレア、3-(m-アミノフェノキシ)プロピルトリメトキシシラン(アズマックス株式会社製:商品名 SLA0598.0)、m-アミノフェニルトリメトキシシラン(アズマックス株式会社製:商品名 SLA0599.0)、p-アミノフェニルトリメトキシシラン(アズマックス株式会社製:商品名 SLA0599.1)アミノフェニルトリメトキシシラン(アズマックス株式会社製:商品名 SLA0599.2)、2-(トリメトキシシリルエチル)ピリジン(アズマックス株式会社製:商品名 SIT8396.0)、2-(トリエトキシシリルエチル)ピリジン、2-(ジメトキシシリルメチルエチル)ピリジン、2-(ジエトキシシリルメチルエチル)ピリジン、(3-トリエトキシシリルプロピル)-t-ブチルカルバメ-ト、(3-グリシドキシプロピル)トリエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ-n-プロポキシシラン、テトラ-i-プロポキシシラン、テトラ-n-ブトキシシラン、テトラ-i-ブトキシシラン、テトラ-t-ブトキシシラン、テトラキス(メトキシエトキシシラン)、テトラキス(メトキシ-n-プロポキシシラン)、テトラキス(エトキシエトキシシラン)、テトラキス(メトキシエトキシエトキシシラン)、ビス(トリメトキシシリル)エタン、ビス(トリメトキシシリル)ヘキサン、ビス(トリエトキシシリル)メタン、ビス(トリエトキシシリル)エタン、ビス(トリエトキシシリル)エチレン、ビス(トリエトキシシリル)オクタン、ビス(トリエトキシシリル)オクタジエン、ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]ジスルフィド、ビス[3-(トリエトキシシリル)プロピル]テトラスルフィド、ジ-t-ブトキシジアセトキシシラン、ジ-i-ブトキシアルミノキシトリエトキシシラン、フェニルシラントリオール、メチルフェニルシランジオール、エチルフェニルシランジオール、n-プロピルフェニルシランジオール、イソプロピルフェニルシランジオ-ル、n-ブチルシフェニルシランジオール、イソブチルフェニルシランジオール、tert-ブチルフェニルシランジオール、ジフェニルシランジオール、ジメトキシジフェニルシラン、ジエトキシジフェニルシラン、ジメトキシジ-p-トリルシラン、エチルメチルフェニルシラノール、n-プロピルメチルフェニルシラノール、イソプロピルメチルフェニルシラノール、n-ブチルメチルフェニルシラノール、イソブチルメチルフェニルシラノール、tert-ブチルメチルフェニルシラノール、エチルn-プロピルフェニルシラノール、エチルイソプロピルフェニルシラノール、n-ブチルエチルフェニルシラノール、イソブチルエチルフェニルシラノール、tert-ブチルエチルフェニルシラノール、メチルジフェニルシラノール、エチルジフェニルシラノール、n-プロピルジフェニルシラノール、イソプロピルジフェニルシラノール、n-ブチルジフェニルシラノール、イソブチルジフェニルシラノール、tert-ブチルジフェニルシラノール、トリフェニルシラノール等が挙げられるが、これらに限定されない。これらは単独でも複数組み合わせて用いてもよい。
シランカップリング剤としては、前記したシランカップリング剤の中でも、保存安定性の観点から、フェニルシラントリオール、トリメトキシフェニルシラン、トリメトキシ(p-トリル)シラン、ジフェニルシランジオ-ル、ジメトキシジフェニルシラン、ジエトキシジフェニルシラン、ジメトキシジ-p-トリルシラン、トリフェニルシラノール、及び下記式:
Figure 2023134612000178
で表される構造を有するシランカップリング剤が好ましい。
シランカップリング剤を使用する場合の配合量としては、(A)ポリイミド前駆体100質量部に対して、0.01~20質量部が好ましい。
増感剤
本実施形態のネガ型感光性樹脂組成物は、光感度を向上させるために、増感剤を任意に含んでもよい。該増感剤としては、例えば、ミヒラーズケトン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2,5-ビス(4’-ジエチルアミノベンザル)シクロペンタン、2,6-ビス(4’-ジエチルアミノベンザル)シクロヘキサノン、2,6-ビス(4’-ジエチルアミノベンザル)-4-メチルシクロヘキサノン、4,4’-ビス(ジメチルアミノ)カルコン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)カルコン、p-ジメチルアミノシンナミリデンインダノン、p-ジメチルアミノベンジリデンインダノン、2-(p-ジメチルアミノフェニルビフェニレン)-ベンゾチアゾール、2-(p-ジメチルアミノフェニルビニレン)ベンゾチアゾール、2-(p-ジメチルアミノフェニルビニレン)イソナフトチアゾール、1,3-ビス(4’-ジメチルアミノベンザル)アセトン、1,3-ビス(4’-ジエチルアミノベンザル)アセトン、3,3’-カルボニル-ビス(7-ジエチルアミノクマリン)、3-アセチル-7-ジメチルアミノクマリン、3-エトキシカルボニル-7-ジメチルアミノクマリン、3-ベンジロキシカルボニル-7-ジメチルアミノクマリン、3-メトキシカルボニル-7-ジエチルアミノクマリン、3-エトキシカルボニル-7-ジエチルアミノクマリン、N-フェニル-N’-エチルエタノールアミン、N-フェニルジエタノールアミン、N-p-トリルジエタノールアミン、N-フェニルエタノールアミン、4-モルホリノベンゾフェノン、ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、ジエチルアミノ安息香酸イソアミル、2-メルカプトベンズイミダゾール、1-フェニル-5-メルカプトテトラゾール、2-メルカプトベンゾチアゾール、2-(p-ジメチルアミノスチリル)ベンズオキサゾール、2-(p-ジメチルアミノスチリル)ベンズチアゾール、2-(p-ジメチルアミノスチリル)ナフト(1,2-d)チアゾール、2-(p-ジメチルアミノベンゾイル)スチレン等が挙げられる。これらは単独で又は例えば2~5種類の組合せで用いることができる。
光感度を向上させるための増感剤を感光性樹脂組成物が含有する場合の配合量は、(A)ポリイミド前駆体100質量部に対し、0.1~25質量部であることが好ましい。
光重合性不飽和モノマー
ネガ型感光性樹脂組成物は、レリーフパターンの解像性を向上させるために、光重合性の不飽和結合を有するモノマーを任意に含んでもよい。このようなモノマーとしては、光重合開始剤によりラジカル重合反応する(メタ)アクリル化合物が好ましく、特に以下に限定するものではないが、ジエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレートなどの、エチレングリコール又はポリエチレングリコールのモノ又はジアクリレート及びメタクリレート、プロピレングリコール又はポリプロピレングリコールのモノ又はジアクリレート及びメタクリレート、グリセロールのモノ、ジ又はトリアクリレート及びメタクリレート、シクロヘキサンジアクリレート及びジメタクリレート、1,4-ブタンジオールのジアクリレート及びジメタクリレート、1,6-ヘキサンジオールのジアクリレート及びジメタクリレート、ネオペンチルグリコールのジアクリレート及びジメタクリレート、ビスフェノールAのモノ又はジアクリレート及びメタクリレート、ベンゼントリメタクリレート、イソボルニルアクリレート及びメタクリレート、アクリルアミド及びその誘導体、メタクリルアミド及びその誘導体、トリメチロールプロパントリアクリレート及びメタクリレート、グリセロールのジ又はトリアクリレート及びメタクリレート、ペンタエリスリトールのジ、トリ、又はテトラアクリレート及びメタクリレート、並びにこれら化合物のエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイド付加物等の化合物を挙げることができる。
レリーフパターンの解像性を向上させるための上記の光重合性の不飽和結合を有するモノマーを感光性樹脂組成物が含有する場合、光重合性の不飽和結合を有するモノマーの配合量は、(A)ポリイミド前駆体100質量部に対し、1~50質量部であることが好ましい。
熱重合禁止剤
また、本実施形態のネガ型感光性樹脂組成物は、特に溶剤を含む溶液の状態での保存時のネガ型感光性樹脂組成物の粘度及び光感度の安定性を向上させるために、熱重合禁止剤を任意に含んでもよい。熱重合禁止剤としては、ヒドロキノン、N-ニトロソジフェニルアミン、p-tert-ブチルカテコール、フェノチアジン、N-フェニルナフチルアミン、エチレンジアミン四酢酸、1,2-シクロヘキサンジアミン四酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸、2,6-ジ-tert-ブチル-p-メチルフェノール、5-ニトロソ-8-ヒドロキシキノリン、1-ニトロソ-2-ナフト-ル、2-ニトロソ-1-ナフト-ル、2-ニトロソ-5-(N-エチル-N-スルホプロピルアミノ)フェノール、N-ニトロソ-N-フェニルヒドロキシルアミンアンモニウム塩、N-ニトロソ-N(1-ナフチル)ヒドロキシルアミンアンモニウム塩等が用いられる。
<ポリイミド>
上記ポリイミド前駆体組成物を硬化して得られるポリイミドは、下記一般式(V-A)で表される構造を有する。
Figure 2023134612000179
一般式(V-A)中のX、Y、mは、一般式(V-9)中のX、Y、nに対応し、Xは4価の有機基であり、Yは2価の有機基であり、mは1以上の整数である。
一般式(V-9)中の好ましいX、Y、nは、同じ理由により、一般式(V-A)中のX、Y、mにおいても好ましい。
ポリイミドは、上記一般式(V-16)または上記一般式(V-17)で示される、ポリイミド前駆体の構造に対応する骨格構造を有していることが好ましい。
<硬化レリーフパタ-ンの製造方法及び半導体装置>
また、本発明は、(1)上述した本発明のネガ型感光性樹脂組成物を基板上に塗布して、樹脂層を上記基板上に形成する工程と、(2)上記樹脂層を露光する工程と、(3)露光後の上記樹脂層を現像してレリーフパタ-ンを形成する工程と、(4)上記レリーフパタ-ンを加熱処理して、硬化レリーフパターンを形成する工程とを含む、硬化レリーフパターンの製造方法を提供する。
(1)樹脂層形成工程
本工程では、本発明のネガ型感光性樹脂組成物を基材上に塗布し、必要に応じて、その後乾燥させて、樹脂層を形成する。塗布方法としては、従来から感光性樹脂組成物の塗布に用いられていた方法、例えば、スピンコーター、バーコーター、ブレードコーター、カーテンコーター、スクリーン印刷機等で塗布する方法、スプレーコーターで噴霧塗布する方法等を用いることができる。
必要に応じて、感光性樹脂組成物を含む塗膜を乾燥させることができる。乾燥方法としては、風乾、オーブン又はホットプレートによる加熱乾燥、真空乾燥等の方法が用いられる。具体的には、風乾又は加熱乾燥を行う場合、20℃~140℃で1分~1時間の条件で乾燥を行うことができる。以上の通り、基板上に感光性樹脂層を形成できる。
(2)露光工程
本工程では、上記で形成した樹脂層を、コンタクトアライナー、ミラープロジェクション、ステッパー等の露光装置を用いて、パターンを有するフォトマスク又はレチクルを介して又は直接に、紫外線光源等により露光する。
この後、光感度の向上等の目的で、必要に応じて、任意の温度及び時間の組合せによる露光後ベーク(PEB)及び/又は現像前ベークを施してもよい。ベーク条件の範囲は、温度は40℃~120℃であり、そして時間は10秒~240秒であることが好ましいが、本発明の感光性樹脂組成物の諸特性を阻害するものでない限り、この範囲に限らない。
(3)レリーフパターン形成工程
本工程では、露光後の感光性樹脂層のうち未露光部を現像除去する。露光(照射)後の感光性樹脂層を現像する現像方法としては、従来知られているフォトレジストの現像方法、例えば、回転スプレー法、パドル法、超音波処理を伴う浸漬法等の中から任意の方法を選択して使用することができる。また、現像の後、レリーフパターンの形状を調整する等の目的で、必要に応じて、任意の温度及び時間の組合せによる現像後ベークを施してもよい。
現像に使用される現像液としては、例えば、ネガ型感光性樹脂組成物に対する良溶媒、又は該良溶媒と貧溶媒との組合せが好ましい。良溶媒としては、例えば、N-メチル-2-ピロリドン、N-シクロヘキシル-2-ピロリドン、N,N-ジメチルアセトアミド、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、γ-ブチロラクトン、α-アセチル-γ-ブチロラクトン等が好ましい。貧溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、乳酸エチル、プロピレングリコ-ルメチルエーテルアセテート及び水等が好ましい。良溶媒と貧溶媒とを混合して用いる場合には、ネガ型感光性樹脂組成物中のポリマーの溶解性によって良溶媒に対する貧溶媒の割合を調整することが好ましい。また、各溶媒を2種以上、例えば数種類組合せて用いることもできる。
(4)硬化レリーフパターン形成工程
本工程では、上記現像により得られたレリーフパターンを加熱して感光成分を希散させるとともに、(A)ポリイミド前駆体をイミド化させることによって、ポリイミドから成る硬化レリーフパターンに変換する。加熱硬化の方法としては、例えば、ホットプレートによるもの、オーブンを用いるもの、温度プログラムを設定できる昇温式オーブンを用いるもの等種々の方法を選ぶことができる。加熱は、例えば、170℃~400℃で30分~5時間の条件で行うことができる。加熱硬化時の雰囲気気体としては空気を用いてもよく、窒素、アルゴン等の不活性ガスを用いることもできる。
<半導体装置>
本実施形態では、上述した硬化レリーフパターンの製造方法により得られる硬化レリーフパターンを有する、半導体装置も提供される。したがって、半導体素子である基材と、上述した硬化レリーフパターン製造方法により該基材上に形成されたポリイミドの硬化レリーフパターンとを有する半導体装置が提供されることができる。また、本発明は、基材として半導体素子を用い、上述した硬化レリーフパターンの製造方法を工程の一部として含む半導体装置の製造方法にも適用できる。本発明の半導体装置は、上記硬化レリーフパターン製造方法で形成される硬化レリーフパターンを、表面保護膜、層間絶縁膜、再配線用絶縁膜、フリップチップ装置用保護膜、又はバンプ構造を有する半導体装置の保護膜等として形成し、既知の半導体装置の製造方法と組合せることで製造することができる。
<表示体装置>
本実施形態では、表示体素子と該表示体素子の上部に設けられた硬化膜とを備える表示体装置であって、該硬化膜は上述の硬化レリーフパターンである表示体装置が提供される。ここで、当該硬化レリーフパターンは、当該表示体素子に直接接して積層されていてもよく、別の層を間に挟んで積層されていてもよい。例えば、該硬化膜として、TFT液晶表示素子及びカラーフィルター素子の表面保護膜、絶縁膜、及び平坦化膜、MVA型液晶表示装置用の突起、並びに有機EL素子陰極用の隔壁を挙げることができる。
以下、実施例により本実施形態を具体的に説明するが、本実施形態はこれに限定されるものではない。実施例、比較例、及び製造例において、感光性樹脂組成物の物性については、以下の方法に従って測定及び評価を行った。
本発明の第一の態様に関する例は、以下のとおりである。
(1)重量平均分子量
各樹脂の重量平均分子量(Mw)を、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(標準ポリスチレン換算)を用いて以下の条件に手測定した。
カラム:昭和電工(株)製、商品名「Shodex 805M/806M直列」
標準単分散ポリスチレン:昭和電工(株)製、商品名「Shodex STANDA
RD SM-105」
展開溶媒:N-メチル-2-ピロリドン
検出器:昭和電工(株)製、商品名「Shodex RI-930」
(2)Cu上の硬化レリーフパターンの作製
6インチシリコンウェハ(フジミ電子工業株式会社製、厚み625±25μm)上に、スパッタ装置(L-440S-FHL型、キヤノンアネルバ社製)を用いて200nm厚のTi、及び400nm厚のCuをこの順にスパッタした。続いて、このウェハのCu上に、後述の方法により調製した感光性樹脂組成物をコーターデベロッパー(D-Spin60A型、SOKUDO社製)を用いて回転塗布し、乾燥することにより10μm厚の塗膜を形成した。この塗膜に、テストパターン付マスクを介して、プリズマGHI(ウルトラテック社製)により、500mJ/cmのエネルギーの紫外線を照射した。次いで、現像液としてシクロペンタノンを用いて、コーターデベロッパー(D-Spin60A型、SOKUDO社製)でこの塗膜をスプレー現像し、プロピレングリコールメチルエーテルアセテートでリンスすることにより、Cu上のレリーフパターンを得た。
Cu上にレリーフパターンを形成したウェハを、昇温プログラム式キュア炉(VF-2000型、光洋リンドバーグ社製)を用いて、窒素雰囲気下、200℃にて2時間加熱処理することにより、Cu上に約6~7μm厚の樹脂から成る硬化レリーフパターンを得た。
(3)Cu上の硬化レリーフパターンの解像性評価
上記の方法で得た硬化レリーフパターンを光学顕微鏡下で観察し、最少開口パターンのサイズを求めた。このとき、得られたパターンの開口部の面積が、対応するパターンマスク開口面積の1/2以上であれば、解像されたものとみなし、解像された開口部のうち最小面積を有するものに対応するマスク開口辺の長さを解像度とした。
解像度が10μm未満のものを「優」、10μm以上12μm未満のものを「良」、12μm以上14μm未満のものを「可」、14μm以上のものを「不可」とした。
(4)Cu上の硬化レリーフパターンの高温保存(high temperature storage)後のボイド評価
Cu上に該硬化レリーフパターンを形成したウェハを、昇温プログラム式キュア炉(VF-2000型、光洋リンドバーグ社製)を用いて、空気中、150℃で168時間加熱した。続いて、プラズマ表面処理装置(EXAM型、神港精機社製)を用いて、Cu上の樹脂層を全てプラズマエッチングにより除去した。プラズマエッチング条件は下記の通りである。
出力:133W
ガス種・流量:O(40mL/分)+CF(1mL/分)
ガス圧:50Pa
モード:ハードモード
エッチング時間:1800秒
樹脂層をすべて除去したCuの表面を、FE-SEM(S-4800型、日立ハイテクノロジーズ社製)によって観察し、画像解析ソフト(A像くん、旭化成社製)を用いて、Cuの表面に占めるボイドの面積を算出した。比較例4に記載の感光性樹脂組成物を評価した際のボイドの総面積を100%とした際に、ボイドの総面積の比率が50%未満のものを「優」、50%以上75%未満のものを「良」、75%以上100%未満のものを「可」100%以上のものを「不可」と判定した。
(5)高温高湿下保管後の伸度評価
6インチシリコンウェハ上に、硬化後の膜厚が約7μmとなるように感光性樹脂組成物をスピン塗布乾燥した。その後、アライナー(PLA-501F、キャノン社製)を用いて露光量600mJ/cmのghi線でウェハを全面露光した後、昇温プログラム式キュア炉(VF-2000型、光洋リンドバーグ社製)を用いて、窒素雰囲気下、200℃で2時間加熱して硬化ポリイミド塗膜を得た。硬化ポリイミド塗膜を高度加速寿命試験装置(EHA-221M、エスペック社製)中、2気圧、121℃、100%RHにて168時間保存した。その後、ポリイミド塗膜をダイシングソー(DAD3350型、DISCO社製)を用いて3mm幅の短冊状にカットした後、46%フッ化水素酸を用いてシリコンウェハから剥がしてポリイミドテープとした。得られたポリイミドテープの引張り伸度を、引張試験機(UTM-II-20型、オリエンテック社製)を用いて、ASTM D882-09に従って測定した。
<製造例1>((A)ポリイミド前駆体としてのポリマーA―1の合成)
4,4’-オキシジフタル酸二無水物(ODPA)155.1g(0.5mol)を2L容量のセパラブルフラスコに入れ、次いでグリセロールジメタクリレート(東京化成社品、1,2-体及び1,3-体の混合物;以下、「GDM」と表記)251.1g(1.1mol)及びγ―ブチロラクトン400mLを入れ、攪拌しながらピリジン79.1gを加えた後、オイルバスを用いて70℃にて5時間攪拌して、反応混合物を得た。反応終了後に室温まで放冷し、16時間放置した。
次に、得られた反応混合物を攪拌しながら、氷冷下において、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)206.3gをγ-ブチロラクトン180mLに溶解した溶液を40分かけて加え、続いて4,4’-オキシジアニリン(ODA)90.1gをγ-ブチロラクトン350mLに懸濁した懸濁液を、60分かけて加えた。室温で2時間攪拌した後、エチルアルコール30mLを加えて更に1時間攪拌し、次に、γ-ブチロラクトン400mLを加えた。反応混合物をろ過して、に生じた沈殿物を取り除き、反応液を得た。
得られた反応液を3Lのエチルアルコールに加えて、粗ポリマーを沈殿させた。沈殿した粗ポリマーを濾取し、テトラヒドロフラン1.5Lに溶解して粗ポリマー溶液を得た。得られた粗ポリマー溶液を、28Lの水に滴下してポリマーを再沈殿させた。得られた再沈殿物を濾取した後、真空乾燥することにより、粉末状のポリマー(ポリマーA-1)を得た。ポリマー(A)-1の分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(標準ポリスチレン換算)で測定したところ、重量平均分子量(Mw)は25,000であった。
<製造例2>((A)ポリイミド前駆体としてのポリマーA―2の合成)
製造例1の4,4’-オキシジフタル酸二無水物(ODPA)155.1gに代えて、ビフェニル-3,3’,4,4’-テトラカルボン酸二無水物(BPDA)147.1gを用いた以外は、前述の製造例1に記載の方法と同様にして反応を行い、ポリマーA-2を得た。ポリマーA-2の分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(標準ポリスチレン換算)で測定したところ、重量平均分子量(Mw)は23,000であった。
<製造例3>((A)ポリイミド前駆体としてのポリマーA―3の合成)
製造例1の4,4’-オキシジアニリン(ODA)93.0gに代えて、p-フェニレンジアミン48.7gを用いた以外は、前述の製造例1に記載の方法と同様にして反応を行い、ポリマーA-3を得た。ポリマーA-3の分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(標準ポリスチレン換算)で測定したところ、重量平均分子量(Mw)は21,000であった。
<製造例4>((A)ポリイミド前駆体としてのポリマーA―4の合成)
製造例1のGDM251.1gに代えて、GDM148.4g(0.65mol)及び2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)58.6g(0.45mol)を用いた以外は、前述の製造例1に記載の方法と同様にして反応を行い、ポリマーA-4を得た。ポリマーA-4の分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(標準ポリスチレン換算)で測定したところ、重量平均分子量(Mw)は24,000であった。
<製造例5>((A)ポリイミド前駆体としてのポリマーA―5の合成)
製造例1のGDM251.1gに代えて、GDM91.3g(0.4mol)及び2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)91.1g(0.7mol)を用いた以外は、前述の製造例1に記載の方法と同様にして反応を行い、ポリマーA-5を得た。ポリマーA-5の分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(標準ポリスチレン換算)で測定したところ、重量平均分子量(Mw)は22,000であった。
<製造例6>((A)ポリイミド前駆体としてのポリマーA―6の合成)
製造例1のGDM251.1gに代えて、ペンタエリトリトールトリアクリレート328.1g(1.1mol)を用いた以外は、前述の製造例1に記載の方法と同様にして反応を行い、ポリマーA-6を得た。ポリマーA-6の分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(標準ポリスチレン換算)で測定したところ、重量平均分子量(Mw)は28,000であった。
<製造例7>(ポリイミド前駆体E-1の合成(比較合成例))
4,4’-オキシジフタル酸二無水物(ODPA)155.1gを2L容量のセパラブルフラスコに入れ、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)131.2g及びγ-ブチロラクトン400mLを入れて室温下で攪拌した。更に、攪拌を継続しながらピリジン81.5gを加えて、反応混合物を得た。反応による発熱の終了後に反応混合物を室温まで放冷し、16時間静置した。
次に、得られた反応混合物を撹拌しながら、氷冷下において、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)206.3gをγ-ブチロラクトン180mLに溶解した溶液を、40分掛けて反応混合物に加え、続いて4,4’-オキシジアニリン(ODA)93.0gをγ-ブチロラクトン350mLに懸濁したものを60分掛けて加えた。更に室温で2時間攪拌した後、エチルアルコール30mLを加えて1時間攪拌し、次に、γ-ブチロラクトン400mLを加えた。反応をろ過して生じた沈殿物を取り除き、反応液を得た。
得られた反応液を3Lのエチルアルコールに加えて、粗ポリマーを沈殿させた。沈殿した粗ポリマーを濾取し、テトラヒドロフラン1.5Lに溶解して粗ポリマー溶液を得た。得られた粗ポリマー溶液を、28Lの水に滴下してポリマーを再沈殿させた。得られた再沈殿物を、濾取した後、真空乾燥することにより、粉末状のポリマー(ポリマーE-1)を得た。ポリマー(E-1)の分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(標準ポリスチレン換算)で測定したところ、重量平均分子量(Mw)は20,000であった。
<製造例8>((D)熱塩基発生剤D-1の合成)
容量1Lのナス型フラスコ中へ、ジエチレングリコールビス(3-アミノプロピル)エーテル(東京化成工業株式会社製)100g及びエタノール100gを加えてスターラーで混合撹拌して均一溶液とし、氷水で5℃以下に冷却した。これに、二炭酸ジ-tert-ブチル(東京化成工業株式会社製)215gをエタノール120gに溶解したものを滴下ロートにより滴下した。このとき、反応液温が50℃以下を保つように滴下速度を調整しながら滴下を行った。滴下終了から2時間後、反応液を50℃で3時間減圧濃縮することにより、式Bu-OCO-C-O-(C-O)-C-COO-Buで表される化合物D-1を得た。
<実施例1>
ポリイミド前駆体A-1を用いて以下の方法でネガ型感光性樹脂組成物を調製し、調製した組成物の評価を行った。
(A)ポリイミド前駆体としてA-1:100g、及び(B)光重合開始剤として1-フェニル-1,2-プロパンジオン-2-(O-エトキシカルボニル)-オキシム(B-1):3gを、γ-ブチルラクトン(以下ではGBLと表記):100gに溶解した。得られた溶液の粘度を、少量のGBLを更に加えることによって、約40ポイズに調整し、ネガ型感光性樹脂組成物とした。得られた組成物を、前述の方法に従って評価した。結果を表1に示す。
<実施例2~9、及び比較例1>
各成分を表1に示すとおりに配合することにより、ネガ型感光性樹脂組成物を調製し、実施例1と同様に評価を行った。結果を表1に示す。
表1に記載されている(B)光重合開始剤B-1、(C)防錆剤、並びに(D)熱塩基発生剤D-1及びD-2は、それぞれ以下のとおりである。
B-1:1-フェニル-1,2-プロパンジオン-2-(O-エトキシカルボニル)-オキシム
C-1:8-アザアデニン(東京化成工業株式会社製)
D-1:製造例8で合成した化合物D-1
D-2:1-(tert-ブトキシカルボニル)-4-ヒドロキシピペリジン(東京化成工業株式会社製)
表1中の各成分欄の数値は、当該成分の配合量(質量部)を示す。
Figure 2023134612000180
表1から明らかなように、実施例1のネガ型感光性樹脂組成物では、解像性では「優」であり、銅ボイド評価では「良」、高温高湿下保管後伸度は41%と高く、いずれも優れた結果を示した。同様に、実施例2~9のネガ型感光性樹脂組成物も、解像性、銅ボイド評価、及び高温高湿下保管後伸度のすべてで優れた結果を示した。
特に、ポリイミド前駆体A-1~A-3を用いた実施例1~3、8、及び9では、優れた解像性を示した。
また、(A)ポリイミド前駆体100質量部を基準として、0.1質量部の8-アザアデニン((C)防錆剤)加えた実施例7~9では、特に優れた銅ボイド評価結果が得られた。
更に、(D)熱塩基発生剤D-1又はD-2を加えた実施例8及び9では、特に優れた高温高湿下保管後伸度を示した。
他方、本発明所定の(A)ポリイミド前駆体を用いない比較例1では、解像性、及び銅ボイド評価で「不可」となり、高温高湿下保管後伸度も5%と非常に低い値を示した。
第二の実施態様における実施例は下記である。
(1)重量平均分子量
各樹脂の重量平均分子量(Mw)をゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(標準ポリスチレン換算)で測定した。測定に用いたカラムは昭和電工(株)製の商標名「Shodex 805M/806M直列」であり、標準単分散ポリスチレンは、昭和電工(株)製の商標名「Shodex STANDARD SM-105」を選択し、展開溶媒はN-メチル-2-ピロリドンであり、検出器は昭和電工(株)製の商標名「Shodex RI-930」を使用した。
(2)樹脂組成物の保存安定性試験
感光性樹脂組成物の調製後、室温(23.0℃±0.5℃、相対湿度50%±10%)で3日間攪拌した状態を初期とし、その後室温で4週間静置した際の、樹脂組成物の粘度変化率を測定した。粘度測定は、23.0℃にて、E型粘度計(RE-80R、東機産業株式会社製)を用いて行った。評価結果として、粘度変化率が5%以内のものを「良好」、5%を超えるものまたは樹脂組成物がゲル化して測定不能だったものを「不良」とした。
(3)Cu上の硬化レリーフパターンの作製
6インチシリコンウェハ(フジミ電子工業株式会社製、厚み625±25μm)上に、スパッタ装置(L-440S-FHL型、キヤノンアネルバ社製)を用いて200nm厚のTi、400nm厚のCuをこの順にスパッタした。続いて、このウェハ上に、後述の方法により調製した感光性樹脂組成物をコーターデベロッパー(D-Spin60A型、SOKUDO社製)を用いて回転塗布し、乾燥することにより10μm厚の塗膜を形成した。この塗膜に、テストパターン付マスクを用いて、プリズマGHI(ウルトラテック社製)により500mJ/cmのエネルギーを照射した。次いで、この塗膜を、現像液としてシクロペンタノンを用いてコーターデベロッパー(D-Spin60A型、SOKUDO社製)でスプレー現像し、プロピレングリコールメチルエーテルアセテートでリンスすることにより、Cu上のレリーフパターンを得た。
Cu上に該レリーフパターンを形成したウェハを、昇温プログラム式キュア炉(VF-2000型、光洋リンドバーグ社製)を用いて、窒素雰囲気下、170℃で2時間加熱処理することにより、Cu上に約6~7μm厚の樹脂からなる硬化レリーフパターンを得た。
(4)Cu上の硬化レリーフパターンのイミド化率測定
上記硬化レリーフパターン樹脂部をATR-FTIR測定装置(Nicolet Continuum、Thermo Fisher Scientific社製)にてSiプリズムを用いて測定し、1380cm-1のピーク強度を1500cm-1のピーク強度で割った値をイミド化指数とし、各実施例及び比較例の膜のイミド化指数を、該当する樹脂組成物を350℃で硬化した膜のイミド化指数で割った値をイミド率として算出した。
(5)Cu上の硬化レリーフパターンの耐薬品性試験
上記(3)の方法で作製したレリーフパターンを、レジスト剥離膜{ATMI社製、製品名ST-44、主成分は2-(2-アミノエトキシ)エタノール、1-シクロヘキシル-2-ピロリドン}を50℃に加熱したものに5分間浸漬し、流水で30分間洗浄し、風乾した。その後、膜表面を光学顕微鏡で目視観察し、クラック等の薬液によるダメージの有無、及び薬液処理後の膜厚の変化率をもって耐薬品性を評価した。耐薬品性は、以下の基準に基づき、評価した。
「優」:膜厚変化率が薬液浸漬前の膜厚を基準として5%未満
「良」:膜厚変化率が薬液浸漬前の膜厚を基準として5%以上10%未満
「可」:膜厚変化率が薬液浸漬前の膜厚を基準として10%以上15%未満
「不可」:膜厚変化率が薬液浸漬前の膜厚を基準として15%以上
(6)硬化ポリイミド塗膜の5%重量減少温度測定
6インチシリコンウェハ上に、硬化後の膜厚が約10μmとなるように感光性樹脂組成物を回転塗布し、100℃で180秒間ホットプレートにてプリベークを行った後、昇温プログラム式キュア炉(VF-2000型、光洋リンドバーグ社製)を用いて、窒素雰囲気下、170℃で2時間加熱して硬化ポリイミド塗膜を得た。膜厚は膜厚測定装置、ラムダエース(大日本スクリーン社製)にて測定した。得られたポリイミド塗膜を削り取り、熱重量測定装置(島津社製、TGA-50)を用いて、室温から10℃/minで昇温した際に、170℃に達した際の膜の重量を100%として重量が5%減少する温度(5%重量減少温度)を測定した。
<製造例1>((A)樹脂としてのポリマーA-1の合成)
4,4’-オキシジフタル酸二無水物(ODPA)155.1gを2L容量のセパラブルフラスコに入れ、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)117.1g及び2-(N-エチルアニリノ)エタノール16.5gとγ-ブチロラクトン400mLを入れて室温下で攪拌し、攪拌しながらピリジン79.1gを加えて反応混合物を得た。反応による発熱の終了後に室温まで放冷し、16時間放置した。
次に、氷冷下において、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)206.3gをγ-ブチロラクトン180mLに溶解した溶液を攪拌しながら40分かけて反応混合物に加え、続いて4,4’-オキシジアニリン(ODA)90.1gをγ-ブチロラクトン350mLに懸濁したものを攪拌しながら60分かけて加えた。更に室温で2時間攪拌した後、エチルアルコール30mLを加えて1時間攪拌し、次に、γ-ブチロラクトン400mLを加えた。反応混合物に生じた沈殿物をろ過により取り除き、反応液を得た。
得られた反応液を3Lのエチルアルコールに加えて粗ポリマーから成る沈殿物を生成した。生成した粗ポリマーを濾別し、テトラヒドロフラン1.5Lに溶解して粗ポリマー溶液を得た。得られた粗ポリマー溶液を28Lの水に滴下してポリマーを沈殿させ、得られた沈殿物を濾別した後、真空乾燥して粉末状のポリマー(ポリマーA-1)を得た。ポリマー(A-1)の分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(標準ポリスチレン換算)で測定したところ、重量平均分子量(Mw)は29,000であった。
なお、各製造例で得られた樹脂の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)を用い、以下の条件で測定し、標準ポリスチレン換算での重量平均分子量を求めた。
ポンプ:JASCO PU-980
検出器:JASCO RI-930
カラムオーブン:JASCO CO-965 40℃
カラム:Shodex KD-806M 直列に2本
移動相:0.1mol/L LiBr/NMP
流速:1mL/min.
<製造例2>((A)樹脂としてのポリマーA-2の合成)
製造例1の2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)117.1g及び2-(N-エチルアニリノ)エタノール16.5gに代えて、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)を78.1g、2-(N-エチルアニリノ)エタノールを66.1g用いた以外は、前述の製造例1に記載の方法と同様にして反応を行い、ポリマー(A-2)を得た。ポリマー(A-2)の分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(標準ポリスチレン換算)で測定したところ、重量平均分子量(Mw)は26,000であった。
<製造例3>((A)樹脂としてのポリマーA-3の合成)
製造例1の2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)117.1g及び2-(N-エチルアニリノ)エタノール16.5gに代えて、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)を26.0g、2-(N-エチルアニリノ)エタノールを132.2g用いた以外は、前述の製造例1に記載の方法と同様にして反応を行い、ポリマー(A-3)を得た。ポリマー(A-3)の分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(標準ポリスチレン換算)で測定したところ、重量平均分子量(Mw)は25,000であった。
<製造例4>((A)樹脂としてのポリマーA-4の合成)
製造例1の2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)117.1g及び2-(N-エチルアニリノ)エタノール16.5gに代えて、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)を127.5g、2-(N-エチルアニリノ)エタノールを3.3g用いた以外は、前述の製造例1に記載の方法と同様にして反応を行い、ポリマー(A-4)を得た。ポリマー(A-4)の分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(標準ポリスチレン換算)で測定したところ、重量平均分子量(Mw)は28,000であった。
<製造例5>((A)樹脂としてのポリマーA-5の合成)
製造例1の4,4’-オキシジフタル酸二無水物(ODPA)155.1gに代えて、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)147.1gを用いた以外は、前述の製造例1に記載の方法と同様にして反応を行い、ポリマー(A-5)を得た。ポリマー(A-5)の分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(標準ポリスチレン換算)で測定したところ、重量平均分子量(Mw)は26,000であった。
<製造例6>((A)樹脂としてのポリマーA-6の合成)
製造例1の4,4’-オキシジアニリン(ODA)93.0gに代えて、p-フェニレンジアミン48.7gを用いた以外は、前述の製造例1に記載の方法と同様にして反応を行い、ポリマー(A-6)を得た。ポリマー(A-6)の分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(標準ポリスチレン換算)で測定したところ、重量平均分子量(Mw)は24,000であった。
<製造例7>((A)樹脂としてのポリマーA-7の合成)
製造例1の2-(N-エチルアニリノ)エタノールに代えて、4-(ジメチルアミノ)ベンジルアルコール15.1gを用いた以外は、前述の製造例1に記載の方法と同様にして反応を行い、ポリマー(A-7)を得た。ポリマー(A-7)の分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(標準ポリスチレン換算)で測定したところ、重量平均分子量(Mw)は26,000であった。
<製造例8>((A)樹脂としてのポリマーA-8の合成)
N-メチルエタノールアミン7.5gおよびγ-ブチロラクトン50mLを2L容量のセパラブルフラスコに入れて攪拌し、二炭酸ジ-tert-ブチル21.9gをγ-ブチロラクトン22mLに溶解させた溶液を滴下ロートより滴下した。室温にて3時間攪拌後、高速液体クロマトグラフィーによりN-メチルエタノールアミンのアミノ基が100%tert-ブトキシカルボニル基で保護されていることを確認した。
次に、同じセパラブルフラスコに、4,4’-オキシジフタル酸二無水物(ODPA)155.1gを入れ、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)117.1gとγ―ブチロラクトン350mLを入れて室温下で攪拌し、攪拌しながらピリジン79.1gを加えて反応混合物を得た。反応による発熱の終了後に室温まで放冷し、16時間放置した。
次に、氷冷下において、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)206.3gをγ-ブチロラクトン180mLに溶解した溶液を攪拌しながら40分かけて反応混合物に加え、続いて4,4’-オキシジアニリン(ODA)90.1gをγ-ブチロラクトン350mLに懸濁したものを攪拌しながら60分かけて加えた。更に室温で2時間攪拌した後、エチルアルコール30mLを加えて1時間攪拌し、次に、γ-ブチロラクトン400mLを加えた。反応混合物に生じた沈殿物をろ過により取り除き、反応液を得た。
得られた反応液を3Lのエチルアルコールに加えて粗ポリマーから成る沈殿物を生成した。生成した粗ポリマーを濾別し、テトラヒドロフラン1.5Lに溶解して粗ポリマー溶液を得た。得られた粗ポリマー溶液を28Lの水に滴下してポリマーを沈殿させ、得られた沈殿物を濾別した後、真空乾燥して粉末状のポリマー(ポリマーA-8)を得た。ポリマー(A-8)の分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(標準ポリスチレン換算)で測定したところ、重量平均分子量(Mw)は28,000であった。
<製造例9>((A)樹脂としてのポリマーA-9の合成)
N-メチルエタノールアミン7.5gおよびγ―ブチロラクトン20mLを2L容量のセパラブルフラスコに入れて攪拌し、クロロ蟻酸9-フルオレニルメチル26.3gをγ-ブチロラクトン30mLに溶解させた溶液を滴下ロートより滴下した。室温にて終夜攪拌後、高速液体クロマトグラフィーによりN-メチルエタノールアミンのアミノ基が100%9-フルオレニルメチルオキシカルボニル基で保護されていることを確認した。
次に、同じセパラブルフラスコに、4,4’-オキシジフタル酸二無水物(ODPA)155.1gを入れ、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)117.1gとγ―ブチロラクトン350mLを入れて室温下で攪拌し、攪拌しながらピリジン79.1gを加えて反応混合物を得た。反応による発熱の終了後に室温まで放冷し、16時間放置した。
次に、氷冷下において、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)206.3gをγ-ブチロラクトン180mLに溶解した溶液を攪拌しながら40分かけて反応混合物に加え、続いて4,4’-オキシジアニリン(ODA)90.1gをγ-ブチロラクトン350mLに懸濁したものを攪拌しながら60分かけて加えた。更に室温で2時間攪拌した後、エチルアルコール30mLを加えて1時間攪拌し、次に、γ-ブチロラクトン400mLを加えた。反応混合物に生じた沈殿物をろ過により取り除き、反応液を得た。
得られた反応液を3Lのエチルアルコールに加えて粗ポリマーから成る沈殿物を生成した。生成した粗ポリマーを濾別し、テトラヒドロフラン1.5Lに溶解して粗ポリマー溶液を得た。得られた粗ポリマー溶液を28Lの水に滴下してポリマーを沈殿させ、得られた沈殿物を濾別した後、真空乾燥して粉末状のポリマー(ポリマーA-9)を得た。ポリマー(A-9)の分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(標準ポリスチレン換算)で測定したところ、重量平均分子量(Mw)は24,000であった。
<製造例10>ポリイミド前駆体E-1の合成
4,4’-オキシジフタル酸二無水物(ODPA)155.1gを2L容量のセパラブルフラスコに入れ、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)131.2gとγ-ブチロラクトン400mLを入れて室温下で攪拌し、攪拌しながらピリジン81.5gを加えて反応混合物を得た。反応による発熱の終了後に反応混合物を室温まで放冷し、16時間放置した。
次に、氷冷下において、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)206.3gをγ-ブチロラクトン180mLに溶解した溶液を攪拌しながら40分掛けて反応混合物に加え、続いて4,4’-オキシジアニリン(ODA)93.0gをγ-ブチロラクトン350mLに懸濁したものを攪拌しながら60分掛けて加えた。更に室温で2時間攪拌した後、エチルアルコール30mLを加えて1時間攪拌し、次に、γ-ブチロラクトン400mLを加えた。反応混合物に生じた沈殿物をろ過により取り除き、反応液を得た。
得られた反応液を3Lのエチルアルコールに加えて粗ポリマーから成る沈殿物を生成した。生成した粗ポリマーを濾別し、テトラヒドロフラン1.5Lに溶解して粗ポリマー溶液を得た。得られた粗ポリマー溶液を28Lの水に滴下してポリマーを沈殿させ、得られた沈殿物を濾別した後、真空乾燥して粉末状のポリマー(ポリマーE-1)を得た。ポリマー(E-1)の分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(標準ポリスチレン換算)で測定したところ、重量平均分子量(Mw)は20,000であった。
<製造例11>ポリイミド前駆体E-2の合成
製造例10の4,4’-オキシジフタル酸二無水物(ODPA)155.1gに代えて、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)147.1gを用いた以外は、前述の製造例5に記載の方法と同様にして反応を行い、ポリマー(E-2)を得た。ポリマー(E-2)の分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(標準ポリスチレン換算)で測定したところ、重量平均分子量(Mw)は26,000であった。
<実施例1>
ポリイミド前駆体A-1を用いて以下の方法でネガ型感光性樹脂組成物を調製し、調製した組成物の評価を行った。(A)ポリイミド前駆体としてA-1:100g、(B)光重合開始剤として1-フェニル-1,2-プロパンジオン-2-(O-エトキシカルボニル)-オキシム(以下ではPDOと表記):5gを、γ-ブチロラクトン(以下ではGBLと表記):100gに溶解した。得られた溶液の粘度を、少量のGBLをさらに加えることによって、約40ポイズに調整し、ネガ型感光性樹脂組成物とした。該組成物を、前述の方法に従って評価した。結果を表1に示す。
<実施例2~10、比較例1~4>
表2に示すとおりの配合比で調製したこと以外は、実施例1と同様のネガ型感光性樹脂組成物を調製し、実施例1と同様の評価を行った。その結果を表2及び3に示す。表2及び3に記載されている(C)化合物C-1~C-3は、それぞれ以下のとおりである。
C-1:2-(N-エチルアニリノ)エタノール
C-2:N-(tert-ブトキシカルボニル-N-メチル-2-アミノエタノール)
C-3:N-メチル-2-アミノエタノール
Figure 2023134612000181
Figure 2023134612000182
表3から明らかなように、実施例1の感光性樹脂組成物では、保存安定性試験結果は「良好」であり、イミド化率は100%となり、5%重量減少温度が300℃、耐薬品性試験結果は「優」であった。同様に実施例2~10の感光性樹脂組成物はいずれも、保存安定性は「良好」であり、イミド化率は85%以上と高く、5%重量減少温度も270℃以上、耐薬品性試験の結果は可以上であった。
これに対し、比較例1では、保存安定性は「良好」であったが、イミド化率は40%となり、5%重量減少温度は260℃となった。耐薬品性試験の結果、膜厚変化率が浸漬前の膜厚を基準とすると15%変化しており、評価は「不可」となった。
比較例2では、保存安定性は「良好」であったが、イミド化率は40%となり、5%重量減少温度は260℃となった。耐薬品性試験の結果、膜厚変化率が浸漬前の膜厚を基準とすると15%変化しており、評価は「不可」となった。
比較例3では、保存安定性は「良好」であったが、イミド化率は30%となり、5%重量減少温度は250℃となった。耐薬品性試験の結果、膜厚変化率が浸漬前の膜厚を基準とすると15%変化しており、評価は「不可」となった。
比較例4では、樹脂組成物の調製後、室温で3日間攪拌した状態で既にゲル化しており、粘度測定不能であったため、保存安定性は「不良」となった。樹脂組成物はゲル化したため、他の試験は不能であった。
第三の実施の形態に係る実施例は下記である。
実施例、比較例、及び製造例における感光性樹脂組成物の物性は、以下の方法に従って測定及び評価した。
(1)重量平均分子量
各感光性樹脂の重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(標準ポリスチレン換算)により測定した。測定に用いたカラムは昭和電工社製 商標名 Shodex 805M/806M直列であり、標準単分散ポリスチレンは、昭和電工(株)製Shodex STANDARD SM-105を選び、展開溶媒はN-メチル-2-ピロリドンであり、検出器は昭和電工製 商標名 Shodex RI-930を使用した。
(2)硬化膜作製
6インチシリコンウェハ(フジミ電子工業株式会社製、厚み625±25μm)上に、スパッタ装置(L-440S-FHL型、キヤノンアネルバ社製)を用いて200nm厚のTi、400nm厚のCuをこの順にスパッタし、スパッタCuウェハ基板を準備した。
後述する方法によりそれぞれ得られた実施例、比較例、及び製造例の感光性樹脂組成物を、スピンコート装置(D-spin60A型、SOKUDO社製)を使用して上記スパッタCuウェハ基板にスピンコートし、110℃で180秒間加熱乾燥して、膜厚10μm±0.2μmのスピンコート膜を作製した。
このスピンコート膜にマスクサイズが直径6μmの円形パターンを有するテストパターン付レチクルを用いて等倍投影露光装置PrismaGHI S/N5503(ウルトラテック社製)により、gh線カットフィルターを取り付け、1000mJ/cmのエネルギーを照射した。
次いで、スパッタCuウェハ上に形成した塗膜を、シクロペンタノンを用いて現像機(D-SPIN636型、大日本スクリーン社製)でスプレー現像し、プロピレングリコールメチルエーテルアセテートでリンスしてポリアミド酸エステルの丸抜き凹型レリーフパターンを得た。なお、スプレー現像の現像時間は、上記10μmのスピンコート膜において、未露光部の樹脂組成物が現像する最小時間の1.4倍の時間と定義した。
上記で得られたパターンを昇温プログラム式キュア炉(VF-2000型、日本国、光洋リンドバーグ社製)を用いて、窒素雰囲気下、200℃で2時間加熱処理することにより、シリコンウェハ上に約7~8μm厚のポリイミドの硬化レリーフパターンを得た。
(3)ATR法によるピーク比の算出
上記で得られた硬化レリーフパターンを、サーモフィッシャーサイエンティフィック社製FT-IRを用いて、測定範囲4000~700cm-1、測定回数50回で測定を行った。硬化膜の2950cm-1付近(2900~3000cm-1、複数ピークがある場合はピーク強度が最大のもの)のピーク高さと、1720cm-1付近(1680~1750cm-1、複数ピークがある場合はピーク強度が最大のもの)のピーク高さを求めることより算出した。また、1380cm-1付近(1350~1450cm-1、複数ピークがある場合はピーク強度が最大のもの)のピーク高さと1500cm-1付近(1460~1550cm-1、複数ピークがある場合はピーク強度が最大のもの)のピーク高さを求めることにより算出した。
(4)耐薬品性評価
上記で得られたレリーフパターンについて、薬品(DMSO:70重量%、2-アミノエタノール:25重量%、TMAH:5重量%)に50℃で5分間浸漬した後にTencor P-15型段差計(ケーエルエーテンコール社製)を用いて膜厚測定を行い、薬品処理前と比較することにより溶解レート(nm/分)として算出した。
(5)銅ピラー剥がれ評価
5インチのシリコンウェハ上にアネルバ製スパッタリング装置により2000オングストローム厚みのクロム層を形成し、さらに2000オングストロームの銅層を形成させた。これに支持体として16μm厚みのポリエチレンテレフタレートフィルム、30μm厚みの感光性樹脂層および保護フィルムとして23μm厚みのポリエチレンフィルムを有する感光性樹脂積層体を旭化成製ラミネーターAL-70により、保護フィルムを剥がしながら、感光性樹脂層の面がシリコンウェハに密着するようにラミネートした。ラミネートはロール温度を100℃、圧力はエアー圧で3kg/cm、速度は1.5m/分で行った。
感光性樹脂積層体がラミネートされたウェハに100μm角の格子状のマスクを置き、オーク社製平行光露光機HMW-801で200mJ/cm露光した。
支持体を剥がした後、30℃の1%炭酸ナトリウム水溶液を120秒間スプレーし、未露光部分の感光性樹脂層を現像除去し、全面に100μm角の陥没孔が存在するようなレジストパターンを形成させた。
レジストが形成されたウェハを、30℃の酸性クリーナー(アトテックジャパン製FRX)に3分間浸漬することで脱脂を行った後、 はんだめっき液(メルテックス社製プルティンLAホウフッ化はんだ浴)中で3時間電解はんだめっきした。電流密度は1.5A/dmになるように調整した。めっき後のウェハを50℃の3%水酸化ナトリウム水溶液に10分間浸漬してレジストを剥離した。めっき高さは20±5μmの範囲であった。
上記で作製した銅ピラーを有するウェハに、実施例、比較例で作成した感光性樹脂組成物を最終膜厚が約30μmとなるようにコート、キュアした後に、リフロー(260℃、3分間)かけた後にFIB装置(日本電子社製、JIB-4000)で加速電圧30kV、Ie値1nAで断面を切断した後の銅ピラー部分と硬化膜部分の剥がれの程度を観察した。
全く剥がれていないものを○、わずかな剥がれ(銅部分と硬化膜界面の一部)が見られたものを△、全面的に剥がれが見られたものを×とした。
(6)封止材劣化試験
エポキシ系封止材として長瀬ケムテックス社製のR4000シリーズを用意した。
次いで、アルミスパッタしたシリコンウェハ上に封止材を厚みが約150ミクロンになるようにスピンコートし、130℃で熱硬化させてエポキシ系封止材を硬化させた。
上記エポキシ系硬化膜上に実施例で作製した感光性樹脂組成物を最終膜厚が10ミクロンになるように塗布した。塗布した感光性樹脂組成物を、実施例1~12ではi線100mJ/cm露光条件で全面を露光した後、200℃2時間熱硬化させて、厚み10ミクロンの1層目の硬化膜を作製した。
上記1層目の硬化膜上に1層目の硬化膜形成で使用した感光性樹脂組成物を塗布し、1層目の硬化膜作製時と同じ条件で全面を露光した後、熱硬化させて、厚み10ミクロンの2層目の硬化膜を作製した。
2層目の硬化膜形成後の試験片を、FIB装置(日本電子社製、JIB-4000)で断面を切断した後に、エポキシ部分のボイドの有無を確認することにより、劣化の程度を評価した。ボイドが見られないものを○、ボイドが1つでも見られたものを×とした。
(7)封止材との密着性試験
封止材劣化試験で作製したサンプルの感光性樹脂硬化膜上にエポキシ樹脂を塗布し、続いてピンを立て、引取試験機(クワッドグループ社製、セバスチャン5型)を用いて密着性試験を行った。
評価:接着強度70MPa以上 ・・・密着力◎
50MPa以上-70MPa未満・・・密着力○
30MPa以上-50MPa未満・・・密着力△
30MPa未満 ・・・密着力×
(8)HAST試験前後のガラス転移温度(Tg)測定
上述の方法にて硬化後の膜厚が10μmとなるようにスピンコート、露光、現像、硬化させて得られたポリイミドを、高温加速試験(HASTと略称する。平山製作所製PC-442R8D、130℃、85%RH、168時間)を行った後のTgを下記条件にて行った。また、HAST試験を実施していないものとの比較を下記のように行い、評価を実施した。
装置:島津製作所社製TMA-50
引っ張り荷重:200g/mm
測定雰囲気:窒素(流量50mL/分)
昇温速度:10℃/分
サンプル幅:3mm
評価 (HAST試験後のTg-HAST試験前のTg)の絶対値が5以下:◎
絶対値が5を超えて10以下:○
絶対値が10を超えて15以下:△
絶対値が15を超えて20以下:×
<製造例1>(ポリマーA-1の合成)
3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)147.1gを2L容量のセパラブルフラスコに入れ、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)131.2gとγ―ブチロラクトン400mlを入れて室温下で攪拌し、攪拌しながらピリジン81.5gを加えて反応混合物を得た。反応による発熱の終了後に室温まで放冷し、16時間放置した。
次に、氷冷下において、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)206.3gをγ-ブチロラクトン180mlに溶解した溶液を攪拌しながら40分かけて反応混合物に加え、続いて4,4’-ジアミノジフェニルエーテル(DADPE)93.0gをγ-ブチロラクトン350mlに懸濁したものを攪拌しながら60分かけて加えた。更に室温で2時間攪拌した後、エチルアルコール30mlを加えて1時間攪拌し、次に、γ-ブチロラクトン400mlを加えた。反応混合物に生じた沈殿物をろ過により取り除き、反応液を得た。
得られた反応液を3Lのエチルアルコールに加えて粗ポリマーから成る沈殿物を生成した。生成した粗ポリマーを濾別し、テトラヒドロフラン1.5lgに溶解して粗ポリマー溶液を得た。得られた粗ポリマー溶液を28Lの水に滴下してポリマーを沈殿させ、得られた沈殿物を濾別した後、真空乾燥して粉末状のポリマー(ポリマーA1)を得た。ポリマー1の分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(標準ポリスチレン換算)で測定したところ、重量平均分子量(Mw)は22,000であった。
<製造例2>(ポリマーA-2の合成)
製造例1の3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)147.1gに代えて、オキシジフタル酸二無水物(ODPA)155.1gを用いた以外は、前述の製造例1に記載の方法と同様にして反応を行い、ポリマー2を得た。ポリマーA2の分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(標準ポリスチレン換算)で測定したところ、重量平均分子量(Mw)は22,000であった。
<製造例3>(ポリマーA-3の合成)
製造例1の3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)147.1gに代えて、4,4’-オキシジフタル酸二無水物(ODPA)155.1gを用い、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル(DADPE)93.0gに代えて、p-フェニレンジアミン(p-PD)50.2gを用いた以外は、前述の製造例1に記載の方法と同様にして反応を行い、ポリマーA3を得た。ポリマー3の分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(標準ポリスチレン換算)で測定したところ、重量平均分子量(Mw)は20,000であった。
<製造例4>(ポリマーA-4の合成)
製造例1の3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)147.1gに代えて、オキシジフタル酸二無水物(ODPA)155.1gを、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル(DADPE)93.0gに代えて4,4’-ジアミノ-2,2’-ジメチルビフェニル(m-TB)98.6gを用いた以外は、前述の製造例1に記載の方法と同様にして反応を行い、ポリマーA4を得た。ポリマー4の分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(標準ポリスチレン換算)で測定したところ、重量平均分子量(Mw)は21,000であった。
<製造例5>(ポリマーA-5の合成)
製造例1の3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)147.1gに代えて、オキシジフタル酸二無水物(ODPA)77.6gとピロメリット酸二無水物(PMDA)54.5gを、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル(DADPE)93.0gに代えて4,4’-ジアミノ-2,2’-ジメチルビフェニル(m-TB)98.6gを用いた以外は、前述の製造例1に記載の方法と同様にして反応を行い、ポリマーA5を得た。ポリマー5の分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(標準ポリスチレン換算)で測定したところ、重量平均分子量(Mw)は23,000であった。
<製造例6>(ポリマーA-6の合成)
撹拌機、温度計を備えた0.5リットルのフラスコ中にピロメリット酸-ヒドロキシエチルメタクリレートジエステル(PMDA(HEMA))溶液195.564gと4,4’-オキシジフタル酸-ヒドロキシエチルメタクリレートジエステル(ODPA(HEMA))溶液58.652gを入れ、その後、氷冷下で塩化チオニル25.9g(217.8mmol)を反応溶液温度が10度以下を保つように滴下漏斗を用いて滴下した。塩化チオニルの滴下が終了した後、氷冷下で2時間反応を行いPMDA(HEMA)とODPA(HEMA)の酸クロリドの溶液を得た。次いで、滴下漏斗を用いて、2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン31.696g(99.0mmol)、ピリジン34.457g(435.6mmol)、ハイドロキノン0.076g(0.693mmol)のN-メチルピロリドン溶液90.211gを氷冷化で反応溶液の温度が10℃を超えないように注意しながら滴下した。この反応液を蒸留水に滴下し、沈殿物をろ別して集め、減圧乾燥することによってポリアミド酸エステルを得た。ポリマー5の分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(標準ポリスチレン換算)で測定したところ、重量平均分子量(Mw)は32,000であった。
<実施例1>
(A)成分として、ポリマーA-1を50g及びポリマーA-2を50g、(B)成分として開始剤B1(4g)、その他成分としてテトラエチレングリコールジメタクリレート30gを、ガンマブチロラクトン及びDMSOからなる混合溶媒(重量比75:25)に溶解し、粘度が約35ポイズになるように溶媒の量を調整することにより、感光性樹脂組成物溶液とした。
この組成物について、上述の方法により評価した。評価結果は表4及び表5に示した。
表4及び5中の略号の説明は次のとおりである。
開始剤B1:TR-PBG-305
架橋剤C1:テトラエチレングリコールジメタクリレート
架橋剤C2:ペンタエリスリトールテトラアクリレート
熱塩基発生剤E1:下記式(AM-1)で表される化合物
Figure 2023134612000183
<実施例2~12、実施例iii-1~iii-12、比較例1>
表4及び5に記載の含有成分及び/又は含有割合で樹脂組成物溶液を形成した以外は、実施例1と同様の方法で評価を行った。評価結果は表4及び5に示した。
Figure 2023134612000184
Figure 2023134612000185
表4及び5から明らかなように、2950cm-1付近のピーク/1720cm-1付近のピークが、0.05~0.35である実施例の硬化膜は、良好な耐薬品性を発現し、銅ピラーとの剥がれが少ないことがわかる。また、表4及び5から、上記範囲内にある硬化膜を層間絶縁膜とした半導体装置は、モールド樹脂であるエポキシ樹脂の劣化や密着性の低下を抑えることができることがわかった。
その中でも特に、前記ピーク比が0.1~0.25である実施例の硬化膜では、より良好な耐薬品性を発現し、銅ピラーとの剥がれがより少ないことがわかる。また、上記範囲内にある硬化膜を層間絶縁膜とした半導体装置は、モールド樹脂であるエポキシ樹脂の劣化や密着性の低下をより効果的に抑えることができることがわかった。
以下、本発明の第四の態様について、効果を明確にするために行った例を以下に説明する。実施例においては、以下の材料および測定方法を用いた。
(ポリマーA-1:ポリイミド前駆体の合成)
テトラカルボン酸二無水物として4,4’-オキシジフタル酸二無水物(ODPA)を2リットル容量のセパラブルフラスコに入れた。更に、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)とγ-ブチロラクトンを入れて室温下で攪拌し、攪拌しながらピリジンを加えて反応混合物を得た。反応による発熱の終了後に室温まで放冷し、16時間放置した。
次に、氷冷下において、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)をγ-ブチロラクトンに溶解した溶液を攪拌しながら40分かけて反応混合物に加えた。続いてジアミンとして4,4’-ジアミノジフェニルエーテル(DADPE)をγ-ブチロラクトンに懸濁したものを攪拌しながら60分かけて加えた。更に、室温で2時間攪拌した後、エチルアルコールを加えて1時間攪拌し、次に、γ-ブチロラクトンを加えた。反応混合物に生じた沈殿物をろ過により取り除き、反応液を得た。
得られた反応液を、エチルアルコールに加えて粗ポリマーからなる沈殿物を生成した。
生成した粗ポリマーを濾別し、テトラヒドロフランに溶解して粗ポリマー溶液を得た。得られた粗ポリマー溶液を水に滴下してポリマーを沈殿させ、得られた沈殿物を濾別した後、真空乾燥して粉末状のポリマー(ポリイミド前駆体(ポリマーA-1))を得た。成分A-1で使用した化合物の質量については、下記に示す表6の通りである。
(ポリマーA-2~A-3の合成)
テトラカルボン酸二無水物とジアミンを下記表6のように変更した以外は前述のポリマーA-1に記載の方法と同様にして反応を行い、ポリイミド前駆体(ポリマーA-2~A-3)を得た。
(ポリマーB-1:ポリベンゾオキサゾール前駆体の合成)
攪拌機、温度計を備えた0.5リットルのフラスコ中に、ジカルボン酸として4,4’-ジフェニルエーテルジカルボン酸15.48g、N-メチルピロリドンを仕込んだ。フラスコを、5℃に冷却した後、塩化チオニルを滴下し、30分間反応させて、ジカルボン酸クロリドの溶液を得た。次いで、攪拌機、温度計を備えた0.5リットルのフラスコ中に、N-メチルピロリドンを仕込んだ。ビスアミノフェノールとしてビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン18.30gと、m-アミノフェノール2.18gを攪拌溶解した後、ピリジンを添加した。そして、温度を0~5℃に保ちながら、ジカルボン酸クロリドの溶液を30分間で滴下した後、30分間攪拌を続けた。溶液を3リットルの水に投入し、析出物を回収、純水で3回洗浄した後、減圧乾燥してポリマー(ポリベンゾオキサゾール前駆体(ポリマーB-1))を得た。ポリマーB-1で使用した化合物の質量については下記の表6の通りである。
(ポリマーB-2の合成)
ジカルボン酸とビスアミノフェノールを下記に示す表6のように変更した以外は前述のポリマーB-1に記載の方法と同様にして反応を行い、ポリベンゾオキサゾール前駆体(ポリマーB-2)を得た。
Figure 2023134612000186
[実施例1~15、比較例1~7]
下記に示す表8の通りに配合し、感光性樹脂組成物の溶液を得た。尚、表8の単位は質量部である。また、用いた光開始剤、光酸発生剤、架橋剤および溶媒について、表7に示す。
実施例1~15、及び、比較例1~7の各感光性樹脂組成物を作製した。
作製した感光性樹脂組成物を用いて半導体デバイスを作製し、(1)絶縁膜層形成後の半導体デバイスの収率、(2)絶縁膜間の気泡の有無、(3)信頼性試験後の半導体デバイスの収率の計測を行った。各試験の結果を、表8に示す。
(1)絶縁膜層形成後の半導体デバイスの収率
12インチウェハサイズの支持体上に、半導体チップを100個貼り付け、モールド樹脂を塗布しモールド封止した。その後、モールド樹脂をダイシングし、モールド樹脂内から半導体チップを露出させた。その後、実施例、比較例で作製した感光性樹脂組成物をスピンコーター(東京エレクトロン社製 ACT-12)を用いて塗布し、露光、現像工程を経て硬化レリーフパターンを形成した。昇温プログラム式キュア炉(VF-2000型、光洋リンドバーグ社製)を用いて、窒素雰囲気化で表8に示す温度および時間で第一の熱硬化工程を行い、半硬化レリーフパターンを得た。続いて、メッシュベルト式連続焼成炉(光洋サーモシステム社製、型式名6841-20AMC-36)を用いて、半導体装置の評価方法に関する米国半導体業界団体の標準規格であるIPC/JEDEC J-STD-020Aの7.6項記載の半田リフロー条件に準拠する形で、窒素雰囲気化、表8に示す温度および時間で第二の熱硬化工程を行い、硬化レリーフパターンを得た。上記の塗布~熱硬化の工程を複数回(2回)繰り返すことにより、多層硬化レリーフパターンとした。さらに再配線層を形成した。続けて、同様に絶縁膜層となる硬化レリーフパターンを形成して、さらに外部接続端子を形成することで、2層の絶縁膜層を有するファンナウト型のウェハレベルチップサイズパッケージ型の半導体装置を作製した。
作製した半導体装置の外部端子と電極を接続して、半導体チップが稼働するかテストを行った。
評価:100個稼働・・・◎+
98~99個稼働 ・・・◎
97~95個稼働 ・・・○+
94~92個稼働 ・・・○
91~90個稼働 ・・・△
89個以下稼働 ・・・×
(2)絶縁膜間の気泡の有無
(1)で作製した2層の絶縁膜層を有するファンナウト型のウェハレベルチップサイズパッケージ型の半導体装置の絶縁膜層を、集束イオンビーム加工観察装置(JIB-4000型、日本電子株式会社製)を用いて10か所を割断した。割断した絶縁膜間に気泡が観察されたものを「有」、気泡が観察されなかったものを「無し」とした。
(3)信頼性試験後の半導体デバイスの収率
(1)の試験で稼働した半導体デバイスをダイシングし、個片化した。個片化した半導体
デバイス10個をプレッシャークッカー(121℃ 、2 .0気圧)で100時間処理を
行い、その後、半導体装置の外部端子と電極を接続して、半導体チップが稼働するかテス
トを行った。
評価:10個稼働・・・◎+
9個稼働 ・・・◎
8個稼働 ・・・○+
7個稼働 ・・・○
6個稼働 ・・・△
5個以下稼働 ・・・×
Figure 2023134612000187
Figure 2023134612000188
表8に記載の感光性樹脂組成物を用いて、モールド樹脂にエポキシ樹脂を含むファンナウト型のウェハレベルチップサイズパッケージ型の半導体装置を作製したところ、熱硬化工程を、150℃~200℃の温度範囲で0~240分加熱処理する第一の熱硬化工程と、200~260℃の温度範囲で、且つ第一の熱硬化工程より高い温度で10分以下加熱処理する第二の熱硬化工程との2段階で行った実施例1~15では、絶縁膜層形成後でも半導体デバイスに熱ダメージが少なく、信頼性試験後でも問題なく動作する半導体デバイスを収率良く得られた。
第五の態様の実施例は下記である。
<測定及び評価方法>
(1)重量平均分子量
各樹脂の重量平均分子量(Mw)を、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(標準ポリスチレン換算)を用いて以下の条件下で測定した。
ポンプ:JASCO PU-980
検出器:JASCO RI-930
カラムオーブン:JASCO CO-965 40℃
カラム:昭和電工(株)製Shodex KD-806M 直列に2本、又は
昭和電工(株)製Shodex 805M/806M直列
標準単分散ポリスチレン:昭和電工(株)製Shodex STANDARD SM-105
移動相:0.1mol/L LiBr/N-メチル-2-ピロリドン(NMP)
流速:1mL/min.
(2)Cu上の硬化レリーフパタ-ンの作製
6インチシリコンウェハ(フジミ電子工業株式会社製、厚み625±25μm)上に、スパッタ装置(L-440S-FHL型、キヤノンアネルバ社製)を用いて200nm厚のTi、400nm厚のCuをこの順にスパッタした。続いて、このウェハ上に、後述の方法により調製した感光性樹脂組成物をコーターデベロッパー(D-Spin60A型、SOKUDO社製)を用いて回転塗布し、110℃で180秒間ホットプレートにてプリベークを行い、約7μm厚の塗膜を形成した。この塗膜に、テストパターン付マスクを用いて、プリズマGHI(ウルトラテック社製)により500mJ/cmのエネルギ-を照射した。次いで、この塗膜を、現像液としてネガ型の場合はシクロペンタノンを、ポジ型の場合は2.38%TMAHを用いてコーターデベロッパー(D-Spin60A型、SOKUDO社製)でスプレー現像し、ネガ型の場合はプロピレングリコ-ルメチルエーテルアセテートで、ポジ型の場合は純水でリンスすることにより、Cu上のレリーフパターンを得た。
Cu上に該レリーフパターンを形成したウェハを、昇温プログラム式キュア炉(VF-2000型、光洋リンドバーグ社製)を用いて、窒素雰囲気下、表9及び表10に記載の温度において2時間加熱処理することにより、Cu上に約4~5μm厚の樹脂から成る硬化レリーフパターンを得た。
(3)イミド化率測定
上記硬化レリーフパターン樹脂部をATR-FTIR測定装置(Nicolet Continuum、Thermo Fisher Scientific社製)にてSiプリズムを用いて測定し、1380cm-1のピ-ク強度を1500cm-1のピ-ク強度で割った値をイミド化指数とし、各実施例及び比較例の膜のイミド化指数を、該当する樹脂組成物を350℃で硬化した膜のイミド化指数で割った値をイミド率として算出した。イミド化率は、以下の基準に基づき評価した。
(4)モ-ルド樹脂上の硬化レリーフパターンの解像性評価
エポキシ系封止材として、長瀬ケムテックス社製のR4000シリ-ズを用意した。次いで、アルミスパッタしたシリコーンウェハ上に封止材を厚みが約150ミクロンになるようにスピンコートし、130℃で熱硬化させてエポキシ系封止材を硬化させた。上記エポキシ系硬化膜上に、各実施例、及び各比較例で作製した感光性樹脂組成物を最終膜厚が7μmになるように塗布した。この塗膜を、上記Cu上硬化レリーフパターンと同様の方法により露光することで、モールド樹脂上に硬化レリーフパターンを得た。
上記の方法で得た硬化レリーフパターンを光学顕微鏡下で観察し、最少開口パターンのサイズを求めた。このとき、得られたパターンの開口部の面積が、対応するパターンマスク開口面積の1/2以上であれば解像されたものとみなし、解像された開口部のうち最小面積を有するものに対応するマスク開口辺の長さを解像度とした。解像度が10μm未満のものを「優」、10μm以上14μm未満のものを「良」、14μm以上18μm未満のものを「可」、18μm以上のものを「不可」とした。
(5)Cu上の硬化レリーフパターンの高温保存(high temperature storage)試験と、その後のボイド面積評価(Cuボイド評価)
Cu上に該硬化レリーフパターンを形成したウェハを、昇温プログラム式キュア炉(VF-2000型、光洋リンドバーグ社製)を用いて、空気中、150℃で168時間加熱した。続いて、プラズマ表面処理装置(EXAM型、神港精機社製)を用いて、Cu上の樹脂層を全てプラズマエッチングにより除去した。プラズマエッチング条件は下記の通りである。
出力:133W
ガス種・流量:O2:40mL/分 + CF4:1mL/分
ガス圧:50Pa
モ-ド:ハードモード
エッチング時間:1800秒
樹脂層を全て除去したCu表面を、FE-SEM(S-4800型、日立ハイテクノロジーズ社製)によって観察し、画像解析ソフト(A像くん、旭化成社製)を用いて、Cu層の表面に占めるボイドの面積を算出した。比較例1に記載の感光性樹脂組成物を評価した際のボイドの総面積を100%とした際に、ボイドの総面積比率が50%未満のものを「優」、50%以上75%未満のものを「良」、75%以上100%未満のものを「可」100%以上のものを「不可」と判定した。
(6)硬化レリーフパターン(ポリイミド塗膜)の耐薬品性評価
Cu上に形成した該硬化レリーフパターンを、レジスト剥離液{ATMI社製、製品名ST-44、主成分は2-(2-アミノエトキシ)エタノール、1-シクロヘキシル-2-ピロリドン}を50℃に加熱したものに5分間浸漬し、流水で1分間洗浄し、風乾した。その後、膜表面を光学顕微鏡で目視観察し、クラック等の薬液によるダメージの有無や、薬液処理後の膜厚の変化率をもって耐薬品性を評価した。評価基準として、クラック等が発生せず、膜厚変化率が薬品浸漬前の膜厚を基準として10%以内のものを「優」、10~15%のものを「良」、15~20%のものを「可」とし、クラックが発生したもの、または膜厚変化率が20%を超えるものを「不可」とした。
<製造例1~3>
製造例1:(A)ポリイミド前駆体としてのポリマーA-1の合成
4,4’-オキシジフタル酸二無水物(ODPA)155.1gを2L容量のセパラブルフラスコに入れ、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)131.2gとγ-ブチロラクトン400mLを入れて室温下で攪拌し、攪拌しながらピリジン81.5gを加えて反応混合物を得た。反応による発熱の終了後に反応混合物を室温まで放冷し、16時間放置した。
次に、氷冷下において、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)206.3gをγ-ブチロラクトン180mLに溶解した溶液を攪拌しながら40分掛けて反応混合物に加え、続いて4,4’-オキシジアニリン(ODA)93.0gをγ-ブチロラクトン350mLに懸濁したものを攪拌しながら60分掛けて加えた。更に室温で2時間攪拌した後、エチルアルコ-ル30mLを加えて1時間攪拌し、次に、γ-ブチロラクトン400mLを加えた。反応混合物に生じた沈殿物をろ過により取り除き、反応液を得た。
得られた反応液を3Lのエチルアルコールに加えて粗ポリマーから成る沈殿物を生成した。生成した粗ポリマーを濾別し、テトラヒドロフラン1.5Lに溶解して粗ポリマー溶液を得た。得られた粗ポリマー溶液を28Lの水に滴下してポリマーを沈殿させ、得られた沈殿物を濾別した後、真空乾燥して粉末状のポリマー(ポリマーA-1)を得た。ポリマー(A-1)の分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(標準ポリスチレン換算)で測定したところ、重量平均分子量(Mw)は20,000であった。
製造例2:(A)ポリイミド前駆体としてのポリマーA-2の合成
製造例1の4,4’-オキシジフタル酸二無水物(ODPA)155.1gに代えて、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)147.1gを用いた以外は、前述の製造例1に記載の方法と同様にして反応を行い、ポリマー(A-2)を得た。ポリマー(A-2)の分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(標準ポリスチレン換算)で測定したところ、重量平均分子量(Mw)は22,000であった。
製造例3:(A)ポリイミド前駆体としてのポリマーA-3の合成
製造例1の4,4’-オキシジアニリン(ODA)93.0gに代えて、p-フェニレンジアミン50.2gを用いた以外は、前述の製造例1に記載の方法と同様にして反応を行い、ポリマー(A-3)を得た。ポリマー(A-3)の分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(標準ポリスチレン換算)で測定したところ、重量平均分子量(Mw)は19,000であった。
<実施例1>
ポリイミド前駆体A-1を用いて以下の方法でネガ型感光性樹脂組成物を調製し、調製した組成物の評価を行った。(A)ポリイミド前駆体としてA-1:100g、(B)芳香族化合物としてB-1:5g、(C)感光剤として1-フェニル-1,2-プロパンジオン-2-(O-エトキシカルボニル)-オキシム(以下ではPDOと表記、感光剤C-1に該当):3gを、γ-ブチルラクトン(以下ではGBLと表記):100gに溶解した。得られた溶液の粘度を、少量のGBLをさらに加えることによって、約40ポイズに調整し、ネガ型感光性樹脂組成物とした。該組成物を、前述の方法に従って評価した。結果を表9に示す。
<実施例2~20、比較例1~3>
表9又は10に示す通りの配合比で配合すること以外は実施例1と同様のネガ型感光性樹脂組成物を調製し、実施例1と同様の評価を行った。その結果を表9及び10に示す。
表9及び10に記載されている(B)芳香族化合物B-1~B-14、(C)感光剤C-1は、それぞれ以下のとおりである。
B-1:4-アミノベンズアミド(東京化成工業株式会社製)
B-2:2-アミノベンズアミド(東京化成工業株式会社製)
B-3:ニコチンアミド(東京化成工業株式会社製)
B-4:4-アミノ-N-メチルベンズアミド(東京化成工業株式会社製)
B-5:4-アミノアセトアニリド(東京化成工業株式会社製)
B-6:4-アミノアセトフェノン(東京化成工業株式会社製)
B-7:p-ジメチルアミノアセトフェノン(東京化成工業株式会社製)
B-8:4,4’-ジアミノベンズアニリド(東京化成工業株式会社製)
B-9:4-アミノフタルイミド(東京化成工業株式会社製)
B-10:4-アミノベンズニトリル(東京化成工業株式会社製)
B-11:4-ニトロ-1-ナフチルアミン(東京化成工業株式会社製)
B-12:4-ニトロアニリン(東京化成工業株式会社製)
B-13:N-フェニルジエタノールアミン(東京化成工業株式会社製)
B-14:N,N-ジエチルアニリン(東京化成工業株式会社製)
C-1:1-フェニル-1,2-プロパンジオン-2-(O-エトキシカルボニル)-オキシム
Figure 2023134612000189
Figure 2023134612000190
表9及び10から明らかなように、実施例1のネガ型感光性樹脂組成物では、イミド化率評価では「100%」であり、モ-ルド樹脂上解像度評価では「優」、Cuボイド評価では「良」、耐薬品性評価では「優」となった。同様に、実施例2~20のネガ型感光性樹脂組成物は、いずれも、イミド化率は60%以上、モ-ルド樹脂上解像度評価、Cuボイド評価、耐薬品性評価は全て「可」以上となった。
特に、(A)ポリイミド前駆体として、A-1を用いた実施例1では、優れた耐薬品性を示した。また、(B)芳香族化合物としては、B-1を、ポリマー100質量部を基準として5質量部加えたときに、特に優れた耐薬品性と脱ガス低減効果が得られた。
他方、(B)芳香族化合物としてB-13を用いた比較例1では、イミド化率は40%、他のすべての評価でも「不可」となり、硬化温度を170℃から230℃にした比較例2でも、モ-ルド樹脂上解像度評価及びCuボイド評価で「不可」となった。また、(B)芳香族化合物としてB-14用いた比較例3では、耐薬品性評価は「可」であったものの、イミド化率は30%、モ-ルド樹脂上解像度評価とCuボイド評価で「不可」となった。
本発明による感光性樹脂組成物を用いることで、保存安定性を有し、かつ/又は高いイミド化率と耐薬品性を有し、銅密着性が高く、熱硬化後の加熱工程において脱ガスの少ない硬化レリーフパターンを得ることができる。また、本発明による感光性樹脂組成物を用いると、Cuボイドが少ない硬化レリ-フパタ-ンも得ることができる。さらに、本発明によれば、再配線層中の層間絶縁膜と封止材の密着性に優れる半導体装置、及びその製造方法を提供することができる。さらに、本発明の硬化物は、良好な耐薬品性を発現し、銅ピラーへの良好な密着性を発現することができる。本発明は、例えば、半導体装置、より詳細には、半導体チップと、半導体チップに接続される再配線層とを有する半導体装置、特にファンナウト(Fan-Out)型のウェハレベルチップサイズパッケージ型の半導体装置、並びに半導体装置の層間絶縁膜、及び多層配線基板等の電気・電子材料の製造に有用な感光性材料の分野で利用されることができる。
1 半導体装置
2 半導体チップ
3 封止材
4 再配線層
5 配線
6 層間絶縁膜
7 外部接続端子
10 ウェハ
11 支持体
12 モールド樹脂
13 感光性樹脂組成物

Claims (12)

  1. (A)下記一般式(II-1):
    Figure 2023134612000191
    {式(II-1)中、X1は、炭素数6~40の4価の有機基であり、Y1は、炭素数6~40の2価の有機基であり、nは、2~150の整数であり、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、又は炭素数1~40の1価の有機基である。ただし、R及びRの少なくとも一方は、下記一般式(II-2):
    Figure 2023134612000192
    (式(II-2)中、R、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~3の1価の有機基であり、そしてmは、2~10の整数である。)
    で表される基である。}及び下記一般式(II-3):
    Figure 2023134612000193
    {式(II-3)中、X1は、炭素数6~40の4価の有機基であり、Y1は、炭素数6~40の2価の有機基であり、nは、2~150の整数であり、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、又は炭素数1~40の1価の有機基である。ただし、R及びRの少なくとも一方は、下記一般式(II-4):
    Figure 2023134612000194
    (式(II-4)中、Zは、少なくとも1つの窒素原子を有する塩基、又は酸、塩基若しくは熱により脱離可能な保護基で保護された塩基を含む1価の有機基である。)
    で表される基である。}
    で表される構造を含むポリイミド前駆体;100質量部、及び
    (B)光重合開始剤;0.1~20質量部
    を含む感光性樹脂組成物。
  2. 前記一般式(II-4)中のZが、1つ以上の芳香環が窒素原子に直結した芳香族3級アミン構造を有する、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
  3. 前記一般式(II-4)中のZが、tert-ブトキシカルボニル(boc)基、又は9-フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)基で保護されたアミンを含む1価の有機基である、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
  4. 前記一般式(II-4)中のZが、tert-ブトキシカルボニル(boc)基で保護された塩基を含む1価の有機基である、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
  5. 前記一般式(II-4)中のZが、9-フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)基で保護されたアミンを含む1価の有機基である、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
  6. 前記(A)ポリイミド前駆体の前記一般式(II-1)及び(II-3)中のR、R、R、及びRの全てに対する前記一般式(II-4)で表される1価の有機基の割合は、1モル%~50モル%である、請求項1~5のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
  7. 前記(A)ポリイミド前駆体の前記一般式(II-1)及び(II-3)中のR、R、R、及びRの全てに対する上記一般式(II-4)で表される1価の有機基の割合は、2.5モル%~25モル%である、請求項1~6のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
  8. 前記(A)ポリイミド前駆体が、下記一般式(II-5):
    Figure 2023134612000195
    {式(II-5)中、nは、2~150の整数であり、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、又は1価の有機基であり、R及びRの少なくとも一方は、下記一般式(II-4):
    Figure 2023134612000196
    (式(II-4)中、Zは、少なくとも1つの窒素原子を有する塩基、又は酸、塩基若しくは熱により脱離可能な保護基で保護された塩基を含む1価の有機基である。)
    で表される基である。}
    で表される構造単位を有する樹脂を含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
  9. 前記(A)ポリイミド前駆体が、下記一般式(II-6):
    Figure 2023134612000197
    {式(II-6)中、nは、2~150の整数であり、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、又は1価の有機基であり、R及びRの少なくとも一方は、下記一般式(II-4):
    Figure 2023134612000198
    (式(II-4)中、Zは、少なくとも1つの窒素原子を有する塩基、又は酸、塩基若しくは熱により脱離可能な保護基で保護された塩基を含む1価の有機基である。)
    で表される基である。}
    で表される構造単位を有する樹脂を含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
  10. 前記感光性樹脂組成物がネガ型である、請求項1~9のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
  11. 以下の工程:
    (1)請求項1~10のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物を基板上に塗布して、感光性樹脂層を該基板上に形成する工程と、
    (2)該感光性樹脂層を露光する工程と、
    (3)該露光後の感光性樹脂層を現像して、レリーフパターンを形成する工程と、
    (4)該レリーフパターンを加熱処理して、硬化レリーフパターンを形成する工程と
    を含む硬化レリーフパターンの製造方法。
  12. 請求項1~10のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物をポリイミドに変換する工程を含むポリイミドの製造方法。
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