JP7313180B2 - 感光性樹脂組成物、硬化レリーフパターンの製造方法 - Google Patents
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Description
また、配線間の絶縁性を高めることで配線遅延を防ぐ方法も採用されている。近年、この絶縁性の高い材料として、低誘電率材料が半導体装置を構成することが多い。しかし、低誘電率材料は脆く、壊れ易い傾向にある。低誘電率材料により構成された半導体装置では、例えばハンダリフロー工程を経て半導体チップとともに基板上に実装されたときに、温度変化による収縮で低誘電率材料部分が破壊されるという問題が存在している。
[1]
(A)下記一般式(I-1):
で表される構造単位を含むポリイミド前駆体:100質量部、及び
(B)光重合開始剤:0.1質量部~20質量部
を含む、ネガ型感光性樹脂組成物。
[2]
前記(A)ポリイミド前駆体中の、R1及びR2の少なくとも一方が、下記一般式(I-R1):
で表される基を含む、項目1に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
[3]
前記(A)ポリイミド前駆体中のR1及びR2のすべてに対する上記一般式(I-R1)で表される1価の有機基の割合が、50モル%以上である、項目2に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
[4]
前記(A)ポリイミド前駆体中の、R1及びR2の少なくとも一方が、下記一般式(I-R2)又は(I-R3):
で表される基を含む、項目1に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
[5]
前記(A)ポリイミド前駆体中の、R1及びR2のすべてに対する上記一般式(I-R2)及び(I-R3)のそれぞれで表される1価の有機基の合計の割合が、50モル%以上である、項目4に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
[6]
前記(A)ポリイミド前駆体における上記一般式(I-1)で表される構造単位が、下記一般式(I-1-1):
で表される構造単位を含む、項目1~5のいずれか1項に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
[7]
前記(A)ポリイミド前駆体中の、R1及びR2の少なくとも一方が、下記一般式(I-R1):
で表される基を含む、項目6に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
[8]
前記(A)ポリイミド前駆体中のR1及びR2のすべてに対する前記一般式(I-R1)で表される1価の有機基の割合が、50モル%以上である、項目7に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
[9]
前記(A)ポリイミド前駆体中の、R1及びR2の少なくとも一方が、下記一般式(I-R2)又は(I-R3):
で表される基を含む、項目6に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
[10]
前記(A)ポリイミド前駆体中の、R1及びR2のすべてに対する上記一般式(I-R2)及び(I-R3)のそれぞれで表される1価の有機基の合計の割合が、50モル%以上である、項目9に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
[11]
(A)ポリイミド前駆体における上記一般式(I-1)で表される構造単位が、下記一般式(I-1-2):
で表される構造単位を含む、項目1~5のいずれか1項に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
[12]
前記(A)ポリイミド前駆体中の、R1及びR2の少なくとも一方が、下記一般式(I-R1):
で表される基を含む、項目11に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
[13]
前記(A)ポリイミド前駆体中の、R1及びR2のすべてに対する前記一般式(I-R1)で表される1価の有機基の割合が、50モル%以上である、項目12に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
[14]
前記(A)ポリイミド前駆体中の、R1及びR2の少なくとも一方が、下記一般式(I-R2)又は(I-R3):
で表される基を含む、項目11に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
[15]
前記(A)ポリイミド前駆体中の、R1及びR2のすべてに対する上記一般式(I-R2)及び(I-R3)のそれぞれで表される1価の有機基の合計の割合が、50モル%以上である、項目14に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
[16]
(A)ポリイミド前駆体における上記一般式(I-1)で表される構造単位が、下記一般式(I-1-3):
で表される構造単位を含む、項目1~5のいずれか1項に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
[17]
前記(A)ポリイミド前駆体中の、R1及びR2の少なくとも一方が、下記一般式(I-R1):
で表される基を含む、項目16に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
[18]
前記(A)ポリイミド前駆体中のR1及びR2のすべてに対する前記一般式(I-R1)で表される1価の有機基の割合が、50モル%以上である、項目17に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
[19]
前記(A)ポリイミド前駆体中の、R1及びR2の少なくとも一方が、下記一般式(I-R2)又は(I-R3):
で表される基を含む、項目16に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
[20]
前記(A)ポリイミド前駆体中の、R1及びR2のすべてに対する上記一般式(I-R2)及び(I-R3)のぞれぞれで表される1価の有機基の合計の割合が、50モル%以上である、項目19に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
[21]
更に(C)防錆剤0.01~5質量部を含む、項目1~20のいずれか1項に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
[22]
更に(D)熱塩基発生剤0.5~20質量部を含む、項目1~21のいずれか1項に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
[23]
項目1~22のいずれか1項に記載のネガ型感光性樹脂組成物を硬化してポリイミドを形成する工程を含む、ポリイミドの製造方法。
[24]
以下の工程:
(1)項目1~22のいずれか1項に記載のネガ型感光性樹脂組成物を基板上に塗布して、感光性樹脂層を前記基板上に形成する工程と、
(2)前記感光性樹脂層を露光する工程と、
(3)前記露光後の感光性樹脂層を現像して、レリーフパターンを形成する工程と、
(4)前記レリーフパターンを加熱処理して、硬化レリーフパターンを形成する工程と
を含む、硬化レリーフパターンの製造方法。
[25]
(A)下記一般式(II-1):
で表される基である。}及び下記一般式(II-3):
で表される基である。}
で表される構造を含むポリイミド前駆体;100質量部、及び
(B)光重合開始剤;0.1~20質量部
を含む感光性樹脂組成物。
[26]
前記一般式(II-4)中のZが、1つ以上の芳香環が窒素原子に直結した芳香族3級アミン構造を有する、項目25に記載の感光性樹脂組成物。
[27]
前記一般式(II-4)中のZが、tert-ブトキシカルボニル(boc)基、又は9-フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)基で保護されたアミンを含む1価の有機基である、項目25に記載の感光性樹脂組成物。
[28]
前記一般式(II-4)中のZが、tert-ブトキシカルボニル(boc)基で保護された塩基を含む1価の有機基である、項目25に記載の感光性樹脂組成物。
[29]
前記一般式(II-4)中のZが、9-フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)基で保護されたアミンを含む1価の有機基である、項目25に記載の感光性樹脂組成物。
[30]
前記(A)ポリイミド前駆体の前記一般式(II-1)及び(II-3)中のR1、R2、R6、及びR7の全てに対する前記一般式(II-4)で表される1価の有機基の割合は、1モル%~50モル%である、項目25~29のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
[31]
前記(A)ポリイミド前駆体の前記一般式(II-1)及び(II-3)中のR1、R2、R6、及びR7の全てに対する上記一般式(II-4)で表される1価の有機基の割合は、2.5モル%~25モル%である、項目25~30のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
[32]
前記(A)ポリイミド前駆体が、下記一般式(II-5):
で表される基である。}
で表される構造単位を有する樹脂を含む、項目25~31のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
[33]
前記(A)ポリイミド前駆体が、下記一般式(II-6):
で表される基である。}
で表される構造単位を有する樹脂を含む、項目25~32のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
[34]
前記感光性樹脂組成物がネガ型である、項目25~33のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
[35]
以下の工程:
(1)項目25~34のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物を基板上に塗布して、感光性樹脂層を該基板上に形成する工程と、
(2)該感光性樹脂層を露光する工程と、
(3)該露光後の感光性樹脂層を現像して、レリーフパターンを形成する工程と、
(4)該レリーフパターンを加熱処理して、硬化レリーフパターンを形成する工程と
を含む硬化レリーフパターンの製造方法。
[36]
項目25~34のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物をポリイミドに変換する工程を含むポリイミドの製造方法。
[37]
ポリイミドを含む硬化膜であって、
ATR(Attenuated Total Reflection)法にてIRスペクトル測定を行った時の2950cm-1付近のピークと1720cm-1付近のピークの比(2950cm-1付近のピーク/1720cm-1付近のピーク)が、0.05~0.35であることを特徴とする硬化膜。
[38]
前記ピークの比が、0.1~0.25である、項目37に記載の硬化膜。
[39]
更に、1380cm-1付近のピークと1500cm-1付近のピークの比(1380cm-1付近のピーク/1500cm-1付近のピーク)が、0.1~2.1である、項目37または38に記載の硬化膜。
[40]
前記硬化膜の5%重量減少温度が、280℃以上350℃以下である、項目37~39のいずれか1項に記載の硬化膜。
[41]
前記ポリイミドは下記一般式(III-A)の構造を含む、項目37~40のいずれか1項に記載の硬化膜。
[42]
前記ポリイミドの前記X1が
下記式(III-C1)~(III-C3):
前記ポリイミドの前記Y1が
下記式(III-D1)~(III-D3):
から選ばれる少なくとも1種の構造骨格を含む、項目41に記載の硬化膜。
[43]
前記ポリイミドの前記X1は、前記式(III-C1)の構造骨格を含む、項目42に記載の硬化膜。
[44]
前記ポリイミドの前記X1は、前記式(III-C2)の構造骨格を含む、項目42または43に記載の硬化膜。
[45]
前記ポリイミドの前記X1は、前記式(III-C3)の構造骨格を含む、項目42~44のいずれか1項に記載の硬化膜。
[46]
前記ポリイミドの前記Y1は、前記式(III-D1)の構造骨格を含む、項目42~45のいずれか1項に記載の硬化膜。
[47]
前記ポリイミドの前記Y1は、前記式(III-D2)の構造骨格を含む、項目42~46のいずれか1項に記載の硬化膜。
[48]
前記ポリイミドの前記Y1は、前記式(III-D3)の構造骨格を含む、項目42~47のいずれか1項に記載の硬化膜。
[49]
前記ポリイミドの前記X1は、前記式(III-C1)の構造骨格を含み、前記ポリイミドの前記Y1は前記式(III-D2)の構造骨格を含む、項目42~48のいずれか1項に記載の硬化膜。
[50]
前記ポリイミドの前記X1は、前記式(III-C2)の構造骨格を含み、前記ポリイミドの前記Y1は前記式(III-D2)の構造骨格を含む、項目42~49のいずれか1項に記載の硬化膜。
[51]
前記ポリイミドの前記X1は、前記(III-C3)の構造骨格を含み、前記ポリイミドの前記Y1は前記(III-D2)の構造骨格を含む、項目42~50のいずれか1項に記載の硬化膜。
[52]
前記ポリイミドの前記X1は、前記式(III-C1)の構造骨格を含み、前記ポリイミドの前記Y1は前記式(III-D3)の構造骨格を含む、項目42~51のいずれか1項に記載の硬化膜。
[53]
前記ポリイミドの前記X1は、前記式(III-C2)の構造骨格を含み、前記ポリイミドの前記Y1は前記式(III-D3)の構造骨格を含む、項目42~52のいずれか1項に記載の硬化膜。
[54]
前記ポリイミドの前記X1は、前記式(III-C3)の構造骨格を含み、前記ポリイミドの前記Y1は前記式(III-D3)の構造骨格を含む、項目42~52のいずれか1項に記載の硬化膜。
[55]
前記ポリイミドは、第1のポリイミドと第2のポリイミドを含み、
前記第1のポリイミドの前記X1は、前記式(III-C1)の構造骨格を含み、前記ポリイミドの前記Y1は前記式(III-D2)の構造骨格を含み、
前記第2のポリイミドの前記X1は、前記式(III-C3)の構造骨格を含み、前記ポリイミドの前記Y1は前記式(III-D2)の構造骨格を含む、
項目42~51のいずれか1項に記載の硬化膜。
[56]
前記ポリイミドは、第1のポリイミドと第2のポリイミドを含み、
前記第1のポリイミドの前記X1は、前記式(III-C2)の構造骨格を含み、前記ポリイミドの前記Y1は前記式(III-D2)の構造骨格を含み、
前記第2のポリイミドの前記X1は、前記式(III-C3)の構造骨格を含み、前記ポリイミドの前記Y1は前記式(III-D2)の構造骨格を含む、
項目42~51のいずれか1項に記載の硬化膜。
[57]
(A)ポリイミド前駆体と、(B)光重合開始剤と、(C)架橋剤と、(D)有機溶媒と、を含む感光性樹脂組成物であって、
(1)前記感光性樹脂組成物を基板上に塗布することによって感光性樹脂層を前記基板上に形成する工程;
(2)前記感光性樹脂層を1000mJ/cm2の露光量で露光する工程;
(3)前記露光後の前記感光性樹脂層を現像してレリーフパターンを形成する工程;
さらに、
(4)前記レリーフパターンを窒素雰囲気下200℃で2時間加熱処理することによって硬化レリーフパターンを形成する工程;
を順に経て得られる硬化膜を、ATR法にてIRスペクトル測定を行った時の2950cm-1付近のピークと1720cm-1付近のピークの比(2950cm-1付近のピーク/1720cm-1付近のピーク)が、0.05~0.35であることを特徴とする感光性樹脂組成物。
[58]
更に(E)熱塩基発生剤を含む、項目57に記載の感光性樹脂組成物。
[59]
前記ピークの比が、0.1~0.25である、項目57に記載の感光性樹脂組成物。
[60]
更に、1380cm-1付近のピークと1500cm-1付近のピークの比(1380cm-1付近のピーク/1500cm-1付近のピーク)が、0.4~2.1である、項目57または58に記載の感光性樹脂組成物。
[61]
前記硬化膜の5%重量減少温度が、280℃以上350℃以下である、項目57~59のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
[62]
前記(C)架橋剤が、テトラエチレングリコールジメタクリレートを含む、項目57~61のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
[63]
前記(C)架橋剤が、分子内にメタクリル基及び/またはアクリル基を2個含有する化合物と、分子内にメタクリル基及び/またはアクリル基を3個以上含有する化合物の混合物である、項目57~61のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
[64]
前記(A)ポリイミド前駆体が、下記一般式(III-1):
または下記一般式(III-3):
で表されるポリアミド酸、ポリアミド酸エステルまたはポリアミド酸塩である、項目57~63のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
[65]
前記一般式(III-1)において前記Xが、下記一般式(III-4)または(III-5)で表される4価の基を含む、項目64に記載の感光性樹脂組成物。
[66]
前記一般式(III-1)において前記Yが、下記一般式(III-6)で表される2価の基を含む、項目64に記載の感光性樹脂組成物。
[67]
前記ポリイミド前駆体の前記Xが下記式(III-C1)~(III-C3)のいずれかの構造骨格を含む、または、前記ポリイミド前駆体の前記Yが下記式(III-D1)~(III-D3)のいずれかの構造骨格を含む、項目64に記載の感光性樹脂組成物。
[68]
前記ポリイミド前駆体は、前記Xが前記式(III-C1)の構造骨格を含む、項目67に記載の感光性樹脂組成物。
[69]
前記ポリイミド前駆体は、前記Xが前記式(III-C2)の構造骨格を含む、項目67または68に記載の感光性樹脂組成物。
[70]
前記ポリイミド前駆体は、前記Xが前記式(III-C3)の構造骨格を含む、項目67~69のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
[71]
前記ポリイミド前駆体は、前記Yが前記式(III-D1)の構造骨格を含む、項目67~70のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
[72]
前記ポリイミド前駆体は、前記Yが前記式(III-D2)の構造骨格を含む、項目67~71のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
[73]
前記ポリイミド前駆体は、前記Yが前記式(III-D3)の構造骨格を含む、項目67~72のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
[74]
前記ポリイミド前駆体は、
前記Xが前記式(III-C1)の構造骨格を含み、及び前記Yが前記式(III-D2)の構造骨格を含む、項目67~73のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
[75]
前記ポリイミド前駆体は、
前記Xが前記式(III-C2)の構造骨格を含み、及び前記Yが前記式(III-D2)の構造骨格を含む、項目67~74のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
[76]
前記ポリイミド前駆体は、
前記Xが前記式(III-C3)の構造骨格を含み、及び前記Yが前記式(III-D2)の構造骨格を含む、項目67~75のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
[77]
前記ポリイミド前駆体は、第1のポリイミド前駆体と第2のポリイミド前駆体を含み、
前記第1のポリイミド前駆体は、前記Xが前記式(III-C1)の構造骨格を含み、及び前記Yが前記式(III-D2)の構造骨格を含み、
前記第2のポリイミド前駆体は、前記Xが前記式(III-C3)の構造骨格を含み、及び前記Yが前記式(III-D2)の構造骨格を含む、項目67~76のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
[78]
前記ポリイミド前駆体は、第1のポリイミド前駆体と第2のポリイミド前駆体を含み、
前記第1のポリイミド前駆体は、前記Xが前記式(III-C2)の構造骨格を含み、及び前記Yが前記式(III-D2)の構造骨格を含み、
前記第2のポリイミド前駆体は、前記Xが前記式(III-C3)の構造骨格を含み、及び前記Yが前記式(III-D2)の構造骨格を含む、項目67~77のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
[79]
半導体チップと、
前記半導体チップを覆う封止材と、
平面視で前記半導体チップよりも面積が大きい再配線層と、を備え、
前記再配線層の層間絶縁膜は、ATR法にてIRスペクトル測定を行った時の2950cm-1付近のピークと1720cm-1付近のピークの比(2950cm-1付近のピーク/1720cm-1付近のピーク)が0.05~0.35である、硬化膜であることを特徴とする半導体装置。
[80]
前記封止材は、前記層間絶縁膜と直接接する、項目79に記載の半導体装置。
[81]
前記封止材は、エポキシ樹脂を含む、項目79または80に記載の半導体装置。
[82]
前記再配線層は、前記再配線層を断面視したときに、第1の層間絶縁膜層と、第2の層間絶縁膜層と、前記第1の層間絶縁膜層及び前記第2の層間絶縁膜層とは異なる層で前記第1の層間絶縁膜層と前記第2の層間絶縁膜層の間に設けられた中間層と、を含む、項目79~81のいずれか1項に記載の半導体装置。
[83]
前記半導体装置が、ファンナウト型のウェハレベルチップサイズパッケージ型の半導体装置である、項目79~82のいずれか1項に記載の半導体装置。
[84]
半導体チップを封止材で覆う工程と、
平面視で前記半導体チップよりも面積が大きく、且つ、層間絶縁膜を含む再配線層を形成する工程とを含み、
前記層間絶縁膜として、ATR法にてIRスペクトル測定を行った時の2950cm-1付近のピークと1720cm-1付近のピークの比(2950cm-1付近のピーク/1720cm-1付近のピーク)が、0.05~0.35である硬化膜を用いることを特徴とする半導体装置の製造方法。
[85]
以下の工程:
(1)感光性樹脂組成物を基板上に塗布することによって感光性樹脂層を該基板上に形成する工程、
(2)該感光性樹脂層を露光する工程、
(3)該露光後の感光性樹脂層を現像してレリーフパターンを形成する工程、
(4)該レリーフパターンを150℃~200℃の温度範囲で0~240分加熱処理することによって半硬化レリーフパターンを形成する第一の熱硬化工程、および
(5)該半硬化レリーフパターンを200~260℃の温度範囲で且つ第一の熱硬化工程より高い温度で10分以下加熱処理することによって硬化レリーフパターンを形成する第二の熱硬化工程を順に含み、
更に再度、前記(1)~(5)の工程を前記順に行うことを含むことを特徴とする、多層硬化レリーフパターンの製造方法。
[86]
前記(1)~(5)の工程を前記順に行うことを3~8回繰り返して行う、項目85に記載の多層硬化レリーフパターンの製造方法。
[87]
前記第一の熱硬化工程の温度範囲が150℃~180℃である、項目85に記載の多層硬化レリーフパターンの製造方法。
[88]
前記第一の熱硬化工程の温度範囲が150℃~170℃である、項目85に記載の多層硬化レリーフパターンの製造方法。
[89]
前記第一の熱硬化工程の温度範囲が150℃~160℃である、項目85に記載の多層硬化レリーフパターンの製造方法。
[90]
前記第一の熱硬化工程の温度範囲が150℃である、項目85に記載の多層硬化レリーフパターンの製造方法。
[91]
前記第二の熱硬化工程の最大温度が260℃以下である、項目85に記載の多層硬化レリーフパターンの製造方法。
[92]
前記第二の熱硬化工程の最大温度が240℃以下である、項目85に記載の多層硬化レリーフパターンの製造方法。
[93]
前記第二の熱硬化工程において、最大温度における加熱時間が5分以下である、項目85~92のいずれか一項に記載の多層硬化レリーフパターンの製造方法。
[94]
前記第二の熱硬化工程において、最大温度における加熱時間が1分以下である、項目85~93のいずれか一項に記載の多層硬化レリーフパターンの製造方法。
[95]
前記基板が、半導体チップと前記半導体チップを覆う封止材から構成される基板である、項目85~94のいずれか一項に記載の多層硬化レリーフパターンの製造方法。
[96]
前記感光性樹脂組成物が、感光性ポリイミド樹脂組成物である、項目85~95のいずれか一項に記載の多層硬化レリーフパターンの製造方法。
[97]
前記感光性ポリイミド樹脂組成物の樹脂が、下記一般式(IV-1):
で表される1価の有機基、又は下記一般式(IV-3):
で表されるアンモニウムイオンである。}
で表される構造を有するポリイミド前駆体である、項目96に記載の多層硬化レリーフパターンの製造方法。
[98]
前記一般式(IV-1)において前記X1は、芳香族基を有する4価の有機基であり、かつ前記Y1は、芳香族基を有する2価の有機基である、項目97に記載の多層硬化レリーフパターンの製造方法。
[99]
前記一般式(IV-1)において前記X1は、下記式(IV-7)で表される4価の基である、項目97に記載の多層硬化レリーフパターンの製造方法。
前記一般式(IV-1)において前記Y1は、下記式(IV-11)で表される2価の基である、項目97に記載の多層硬化レリーフパターンの製造方法。
前記一般式(IV-1)において、前記X1は、下記式(IV-7)で表される4価の基であり、かつ前記Y1は、下記式(IV-11)で表される2価の基である、項目97に記載の多層硬化レリーフパターンの製造方法。
前記一般式(IV-1)において前記X1は、下記式(IV-5)で表される4価の基である、項目97に記載の多層硬化レリーフパターンの製造方法。
前記一般式(IV-1)において、前記X1は、下記式(IV-5)で表される4価の基であり、かつ前記Y1は、下記式(IV-11)で表される2価の基である、項目97に記載の多層硬化レリーフパターンの製造方法。
[104]
(A)ポリイミド前駆体;100質量部、
(B)下記一般式(V-1)及び(V-3)~(V-6)の少なくとも1つで表される化合物;0.1~50質量部、
(C)感光剤;0.1~50質量部
を含む、感光性樹脂組成物。
で表される構造であり、m1は1~2の整数であり、m2は0~3の整数であり、m3は0~2の整数であり、Aが炭素原子である場合、m3は1または2であり、1≦m1+m2+m3≦6である。}
[105]
前記(B)化合物が、下記一般式(V-7)及び(V-8)からなる群から選択される少なくとも1種である、項目104に記載の感光性樹脂組成物。
[106]
前記一般式(V-1)及び(V-3)~(V-6)の少なくとも1つにおいて、前記R1が、ニトロ基、フルオロ基、クロロ基、ブロモ基、シアノ基、スルホニル基、炭素数1~8のハロゲン化アルキル基、およびカルボニル基を含む炭素数1~4の一価の有機基からなる群から選択される少なくとも1種である、項目104または105に記載の感光性樹脂組成物。
[107]
前記一般式(V-1)及び(V-3)~(V-6)の少なくとも1つにおいて、前記R1が、アミド基、カルボキシル基、フタルイミド基、ホルミル基、および炭素数1~3のエステル基からなる群から選択される少なくとも1種である、項目104または105に記載の感光性樹脂組成物。
[108]
前記(A)ポリイミド前駆体が、下記一般式(V-9)で表される、項目104~107のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
[109]
前記一般式(V-9)において前記X1が、下記一般式(V-11)、(V-12)および(V-13)から選択される少なくとも1種を含む、項目108に記載の感光性樹脂組成物。
前記一般式(V-9)において前記Y1が、下記一般式(V-14)、および(V-15)からなる群から選択される少なくとも1種である、項目108に記載の感光性樹脂組成物。
前記(A)ポリイミド前駆体が、下記一般式(V-16)で表される構造を含む、項目108~110のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
[112]
(A)ポリイミド前駆体が、下記一般式(V-17)で表される構造を含む、項目108~110のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
[113]
前記(A)ポリイミド前駆体が、下記一般式(V-16)で表される構造を含むポリイミド前駆体と、下記一般式(V-17)で表される構造を含むポリイミド前駆体と、を同時に含む、項目108~110のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
[114]
前記(C)感光剤が、光ラジカル発生剤であり、かつ前記感光性樹脂組成物がネガ型である、項目104~113のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
[115]
さらに(D)熱塩基発生剤:0.1~50質量部
を含む、項目104~114のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物。
[116]
項目104~115のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物を硬化するポリイミドの製造方法。
[117]
以下の工程:
(1)項目104~115のいずれか1項に記載の感光性樹脂組成物を基板上に塗布して、感光性樹脂層を該基板上に形成する工程と、
(2)該感光性樹脂層を露光する工程と、
(3)該露光後の感光性樹脂層を現像して、レリーフパターンを形成する工程と、
(4)該レリーフパタ-ンを加熱処理して、硬化レリーフパターンを形成する工程と
を含む硬化レリーフパターンの製造方法。
本明細書を通じ、一般式において同一符号で表されている構造は、分子中に複数存在する場合には、互いに同一であるか、又は異なっていてもよい。また、図面において同一符号で表される構成要素が複数存在する場合には、それらは、互いに同一であるか、又は異なっていてよい。
<ネガ型感光性樹脂組成物>
本実施形態に係るネガ型感光性樹脂組成物は、
(A)下記一般式(I-1)で表される構造単位を含むポリイミド前駆体:100質量部、及び
(B)光重合開始剤:0.1質量部~20質量部
を含む。
本実施形態における(A)ポリイミド前駆体は、ネガ型感光性樹脂組成物に含まれる樹脂成分であり、加熱環化処理を施すことによってポリイミドに変換される。
のそれぞれで表される構造を有する基が挙げられるが、これらに限定されるものではない。X1の構造は、1種でも2種以上の組み合わせでもよい。上記式(X1-1)及び(X1-2)のそれぞれで表される構造を有するX1基は、耐熱性と感光特性とを両立するという点で特に好ましく、更に好ましくは上記式(X1-1)のそれぞれで表される構造である。
のそれぞれで表される構造は、低温加熱時のイミド化率、脱ガス性、銅密着性、及び耐薬品性の観点から好ましい。
のそれぞれで表される構造が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、Y1の構造は1種でも2種以上の組み合わせでもよい。上記式(Y1-1)及び(Y1-2)のそれぞれで表される構造を有するY1基は、耐熱性及び感光特性を両立するという点で特に好ましく、更に好ましくは上記式(Y1-1)のそれぞれで表される構造である。
のそれぞれで表される構造は、低温加熱時のイミド化率、脱ガス性、銅密着性、及び耐薬品性の観点から好ましい。
ここで、酸重合性基、塩基重合性基、及びラジカル重合性基とは、それぞれ、酸、塩基、又はラジカルの作用によって重合可能な基をいう。
R1及びR2の少なくとも一方が有する重合性基としては、感度の観点から、R1及びR2の少なくともいずれか一方が、下記一般式(I-R1)で表される基を含むことが望ましい。
理論に拘束されないが、銅上で解像性が向上する理由としては、樹脂一分子中に含まれる重合性基の数が増えることにより、露光の際に強固な樹脂間の架橋構造を形成するため、現像時の現像液による膨潤が抑えられることによると考えられる。
また、ボイド形成抑制性が優れる理由としては、熱硬化後も光反応で架橋した比較的極性の低いアクリレート/メタクリレートの重合生成物の一部が膜中に残留することにより、銅のマイグレーションを抑制していることによると考えられる。
温高湿下保管後の伸度の維持についても同様であり、アクリレート/メタクリレートの重合生成物の一部が膜中に残留することにより、膜中への水の侵入を抑えることが可能となり、保管後も保管前と変わらず高い伸度を示すと考えられる。
で表される構造単位を含むことが好ましい。
(A)ポリイミド前駆体における上記一般式(I-1)で表される構造単位が、一般式(I-1-1)で表される構造単位を含むことで、特に、得られるポリイミド膜の耐薬品性が高くなる。また、低温加熱時のイミド化率、脱ガス性、及び銅密着性の観点からも好ましい。
で表される構造単位を含むことが好ましい。
(A)ポリイミド前駆体における上記一般式(I-1)で表される構造単位が、一般式(I-1-2)で表される構造単位を含むことにより、特に、得られるポリイミド膜の耐薬品性が高くなる。また、低温加熱時のイミド化率、脱ガス性、及び銅密着性の観点からも好ましい。
で表される構造単位を含むことが好ましい。
(A)ポリイミド前駆体における上記一般式(I-1)で表される構造単位が、一般式(I-1-3)で表される構造単位を含むことにより、特に解像性の向上効果が更に高くなる。また、低温加熱時のイミド化率、脱ガス性、銅密着性、及び耐薬品性の観点からも好ましい。
(A)ポリイミド前駆体を調製するには、先ず、
前述の4価の有機基X1を含むテトラカルボン酸二無水物と、
酸重合性基、塩基重合性基、及びラジカル重合性基から成る群より選択される重合性基を二つ以上有するアルコール、及び任意にその他のアルコールと
を反応させて、部分的にエステル化したテトラカルボン酸(以下、アシッド/エステル体ともいう)を調製する。
次いで、部分的にエステル化したテトラカルボン酸(アシッド/エステル体)と、
前述の2価の有機基Y1を含むジアミンと
をアミド重縮合させることにより、本実施形態に所定の(A)ポリイミド前駆体が得られる。
本実施形態で、(A)ポリイミド前駆体を調製するために好適に用いられる、4価の有機基X1を含むテトラカルボン酸二無水物としては、下記式:
で表される化合物が好ましい。このX1は、上記一般式(X1-1)及び(X1-2)のそれぞれで表される構造から選択されることがより好ましく、上記一般式(X1-1)で表される構造であることが更に好ましい。
上記アシッド/エステル体(典型的には、後述する溶剤中に溶解した溶液状)に、氷冷下、適当な脱水縮合剤、例えば、ジシクロヘキシルカルボジイミド、1-エトキシカルボニル-2-エトキシ-1,2-ジヒドロキノリン、1,1-カルボニルジオキシ-ジ-1,2,3-ベンゾトリアゾール、N,N’-ジスクシンイミジルカーボネート等を投入混合して、アシッド/エステル体をポリ酸無水物とした後、これに、本実施形態で好適に用いられる2価の有機基Y1を含むジアミンを、別途溶媒に溶解又は分散させたものを滴下投入し、アミド重縮合させることにより、目的のポリイミド前駆体を得ることができる。
代替的には、塩化チオニル等を用いて上記アシッド/エステル体のアシッド部分を酸クロライド化した後、これに、ピリジン等の塩基存在下に、ジアミンと反応させることにより、目的のポリイミド前駆体を得ることができる。
H2N-Y1-NH2
{式中、Y1は、上記一般式(I-1)に定義したものである。}
で表される化合物が好ましい。このY1は、上記一般式(Y1-1)及び(Y1-2)のそれぞれで表される構造であることがより好ましい。
本実施形態に用いられる(B)光重合開始剤について説明する。
光重合開始剤としては、光ラジカル重合開始剤又は光酸発生剤であることが好ましい。
上記の光重合開始剤の中では、光ラジカル重合開始剤がより好ましく、特に光感度の点で、オキシム化合物が更に好ましい。
本実施形態の感光性樹脂組成物を用いて銅又は銅合金から成る基板上に硬化膜を形成する場合には、銅上の変色を抑制するために、ネガ型感光性樹脂組成物は防錆剤を任意に含んでもよい。防錆剤としては、アゾール化合物、プリン化合物等が挙げられる。
本実施形態のネガ型感光性樹脂組成物は、(D)熱塩基発生剤を含有していてもよい。塩基発生剤とは、加熱することで塩基を発生する化合物をいう。熱塩基発生剤を含有することで、感光性樹脂組成物のイミド化をさらに促進することができる。
溶剤としては、アミド、スルホキシド、ウレア及びその誘導体、ケトン、エステル、ラクトン、エーテル、ハロゲン化炭化水素、炭化水素、アルコール等が挙げられ、具体的には、例えば、N-メチル-2-ピロリドン、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、テトラメチル尿素、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、シュウ酸ジエチル、乳酸エチル、乳酸メチル、乳酸ブチル、γ-ブチロラクトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ベンジルアルコール、フェニルグリコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、モルフォリン、ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン、1,4-ジクロロブタン、クロロベンゼン、o-ジクロロベンゼン、アニソール、ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン等を使用することができる。中でも、樹脂の溶解性、樹脂組成物の安定性、及び基板への接着性の観点から、N-メチル-2-ピロリドン、ジメチルスルホキシド、テトラメチル尿素、酢酸ブチル、乳酸エチル、γ-ブチロラクトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ベンジルアルコール、フェニルグリコール、及びテトラヒドロフルフリルアルコールから成る群から選択される1種以上が好ましい。
銅表面上の変色を抑制するために、ネガ型感光性樹脂組成物は、ヒンダードフェノール化合物を任意に含んでもよい。ヒンダードフェノール化合物としては、例えば、2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール、2,5-ジ-t-ブチル-ハイドロキノン、オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネ-ト、イソオクチル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、4、4’-メチレンビス(2、6-ジ-t-ブチルフェノール)、4,4’-チオ-ビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)、4,4’-ブチリデン-ビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)、トリエチレングリコール-ビス[3-(3-t-ブチル-5-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6-ヘキサンジオール-ビス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,2-チオ-ジエチレンビス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N’-ヘキサメチレンビス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシ-ヒドロシンナマミド)、2,2’-メチレン-ビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、2,2’-メチレン-ビス(4-エチル-6-t-ブチルフェノール)、ペンタエリスリチル-テトラキス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、トリス-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-イソシアヌレイト、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、1,3,5-トリス(3-ヒドロキシ-2,6-ジメチル-4-イソプロピルベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン、1,3,5-トリス(4-t-ブチル-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン、1,3,5-トリス(4-s-ブチル-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン、1,3,5-トリス[4-(1-エチルプロピル)-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルベンジル]-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン、
1,3,5-トリス[4-トリエチルメチル-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルベンジル]-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン、1,3,5-トリス(3-ヒドロキシ-2,6-ジメチル-4-フェニルベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン、1,3,5-トリス(4-t-ブチル-3-ヒドロキシ-2,5,6-トリメチルベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン、1,3,5-トリス(4-t-ブチル-5-エチル-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン、1,3,5-トリス(4-t-ブチル-6-エチル-3-ヒドロキシ-2-メチルベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン、1,3,5-トリス(4-t-ブチル-6-エチル-3-ヒドロキシ-2,5-ジメチルベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン、1,3,5-トリス(4-t-ブチル-5,6-ジエチル-3-ヒドロキシ-2-メチルベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン、
1,3,5-トリス(4-t-ブチル-3-ヒドロキシ-2-メチルベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン、1,3,5-トリス(4-t-ブチル-3-ヒドロキシ-2,5-ジメチルベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン、1,3,5-トリス(4-t-ブチル-5‐エチル-3-ヒドロキシ-2-メチルベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン等が挙げられるが、これに限定されるものではない。
これらの中でも、1,3,5-トリス(4-t-ブチル-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン等が特に好ましい。
本実施形態のネガ型感光性樹脂組成物は、有機チタン化合物を含有してもよい。ネガ型感光性樹脂組成物が有機チタン化合物を含有することにより、低温で硬化した場合であっても耐薬品性に優れる感光性樹脂層を形成できる。
有機チタン化合物の具体例を、以下のI)~VII)に示す:
I)チタンキレート化合物:中でも、ネガ型感光性樹脂組成物の保存安定性がよく、良好な硬化パターンが得られることから、アルコキシ基を2個以上有するチタンキレート化合物がより好ましい。具体的な例は、チタニウムビス(トリエタノールアミン)ジイソプロポキサイド、チタニウムジ(n-ブトキサイド)ビス(2,4-ペンタンジオネート、チタニウムジイソプロポキサイドビス(2,4-ペンタンジオネート)、チタニウムジイソプロポキサイドビス(テトラメチルヘプタンジオネート)、チタニウムジイソプロポキサイドビス(エチルアセトアセテート)等である。
II)テトラアルコキシチタン化合物:例えば、チタニウムテトラ(n-ブトキサイド)、チタニウムテトラエトキサイド、チタニウムテトラ(2-エチルヘキソキサイド)、チタニウムテトライソブトキサイド、チタニウムテトライソプロポキサイド、チタニウムテトラメトキサイド、チタニウムテトラメトキシプロポキサイド、チタニウムテトラメチルフェノキサイド、チタニウムテトラ(n-ノニロキサイド)、チタニウムテトラ(n-プロポキサイド)、チタニウムテトラステアリロキサイド、チタニウムテトラキス[ビス{2,2-(アリロキシメチル)ブトキサイド}]等である。
III)チタノセン化合物:例えば、ペンタメチルシクロペンタジエニルチタニウムトリメトキサイド、ビス(η5-2,4-シクロペンタジエン-1-イル)ビス(2,6-ジフルオロフェニル)チタニウム、ビス(η5-2,4-シクロペンタジエン-1-イル)ビス(2,6-ジフルオロ-3-(1H-ピロール-1-イル)フェニル)チタニウム等である。
IV)モノアルコキシチタン化合物:例えば、チタニウムトリス(ジオクチルホスフェート)イソプロポキサイド、チタニウムトリス(ドデシルベンゼンスルホネート)イソプロポキサイド等である。
V)チタニウムオキサイド化合物:例えば、チタニウムオキサイドビス(ペンタンジオネート)、チタニウムオキサイドビス(テトラメチルヘプタンジオネート)、フタロシアニンチタニウムオキサイド等である。
VI)チタニウムテトラアセチルアセトネート化合物:例えば、チタニウムテトラアセチルアセトネート等である。
VII)チタネートカップリング剤:例えば、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート等である。
本実施形態のネガ型感光性樹脂組成物を用いて形成される膜と基材との接着性向上のために、ネガ型感光性樹脂組成物は、接着助剤を任意に含んでもよい。
接着助剤としては、アルミニウム系接着助剤、シランカップリング剤等を使用することができる。
シランカップリング剤としては、前記したシランカップリング剤の中でも、保存安定性の観点から、フェニルシラントリオール、トリメトキシフェニルシラン、トリメトキシ(p-トリル)シラン、ジフェニルシランジオール、ジメトキシジフェニルシラン、ジエトキシジフェニルシラン、ジメトキシジ-p-トリルシラン、トリフェニルシラノール、及び上記式(S1)のそれぞれで表される構造を有するシランカップリング剤から成る群より選択される1種以上を使用することが好ましい。
シランカップリング剤を使用する場合の配合量としては、(A)ポリイミド前駆体100質量部に対して、0.01~20質量部が好ましい。
本実施形態のネガ型感光性樹脂組成物は、光感度を向上させるために、増感剤を任意に含んでもよい。該増感剤としては、例えば、ミヒラーズケトン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2,5-ビス(4’-ジエチルアミノベンザル)シクロペンタン、2,6-ビス(4’-ジエチルアミノベンザル)シクロヘキサノン、2,6-ビス(4’-ジエチルアミノベンザル)-4-メチルシクロヘキサノン、4,4’-ビス(ジメチルアミノ)カルコン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)カルコン、p-ジメチルアミノシンナミリデンインダノン、p-ジメチルアミノベンジリデンインダノン、2-(p-ジメチルアミノフェニルビフェニレン)-ベンゾチアゾール、2-(p-ジメチルアミノフェニルビニレン)ベンゾチアゾール、2-(p-ジメチルアミノフェニルビニレン)イソナフトチアゾール、1,3-ビス(4’-ジメチルアミノベンザル)アセトン、1,3-ビス(4’-ジエチルアミノベンザル)アセトン、3,3’-カルボニル-ビス(7-ジエチルアミノクマリン)、3-アセチル-7-ジメチルアミノクマリン、3-エトキシカルボニル-7-ジメチルアミノクマリン、3-ベンジロキシカルボニル-7-ジメチルアミノクマリン、3-メトキシカルボニル-7-ジエチルアミノクマリン、3-エトキシカルボニル-7-ジエチルアミノクマリン、N-フェニル-N’-エチルエタノールアミン、N-フェニルジエタノールアミン、N-p-トリルジエタノールアミン、N-フェニルエタノールアミン、4-モルホリノベンゾフェノン、ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、ジエチルアミノ安息香酸イソアミル、2-メルカプトベンズイミダゾール、1-フェニル-5-メルカプトテトラゾール、2-メルカプトベンゾチアゾール、2-(p-ジメチルアミノスチリル)ベンズオキサゾール、2-(p-ジメチルアミノスチリル)ベンズチアゾール、2-(p-ジメチルアミノスチリル)ナフト(1,2-d)チアゾール、2-(p-ジメチルアミノベンゾイル)スチレン等が挙げられる。これらは単独で又は例えば2~5種類の組合せで用いることができる。
ネガ型感光性樹脂組成物は、レリーフパターンの解像性を向上させるために、光重合性の不飽和結合を有するモノマーを任意に含んでもよい。このようなモノマーとしては、光重合開始剤によりラジカル重合反応する(メタ)アクリル化合物が好ましく、特に以下に限定するものではないが、例えば、
エチレングリコールの、モノアクリレート、ジアクリレート、モノメタクリレート、及びジメタクリレート;
ポリエチレングリコールの、モノアクリレート、ジアクリレート、モノメタクリレート、及びジメタクリレート;
プロピレングリコールの、モノアクリレート、ジアクリレート、モノメタクリレート、及びジメタクリレート;
ポリプロピレングリコールの、モノアクリレート、ジアクリレート、モノメタクリレート、及びジメタクリレート;
グリセロールの、モノアクリレート、ジアクリレート、トリアクリレート、モノメタクリレート、ジメタクリレート、及びトリメタクリレート;
シクロヘキサンの、ジアクリレート及びジメタクリレート;
1,4-ブタンジオールの、ジアクリレート及びジメタクリレート;
1,6-ヘキサンジオールの、ジアクリレート及びジメタクリレート;
ネオペンチルグリコールの、ジアクリレート及びジメタクリレート;
ビスフェノールAの、モノアクリレート、ジアクリレート、モノメタクリレート、及びジメタクリレート;
ベンゼントリメタクリレート;
イソボルニルアクリレート及びイソボロニルメタクリレート;
アクリルアミド及びその誘導体;
メタクリルアミド及びその誘導体;
トリメチロールプロパントリアクリレート及びトリメチロールプロパントリメタクリレート;
ペンタエリスリトールのジアクリレート、トリアクリレート、テトラアクリレート、ジメタクリレート、トリメタクリレート、及びテトラメタクリレート;並びに
これらの化合物のエチレンオキサイド付加物又はプロピレンオキサイド付加物等の化合物を挙げることができる。
本実施形態のネガ型感光性樹脂組成物は、特に溶剤を含む溶液の状態で保存するときの、粘度及び光感度の安定性を向上させるために、熱重合禁止剤を任意に含んでもよい。
熱重合禁止剤としては、例えば、ヒドロキノン、N-ニトロソジフェニルアミン、p-tert-ブチルカテコール、フェノチアジン、N-フェニルナフチルアミン、エチレンジアミン四酢酸、1,2-シクロヘキサンジアミン四酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸、2,6-ジ-tert-ブチル-p-メチルフェノール、5-ニトロソ-8-ヒドロキシキノリン、1-ニトロソ-2-ナフトール、2-ニトロソ-1-ナフトール、2-ニトロソ-5-(N-エチル-N-スルホプロピルアミノ)フェノール、N-ニトロソ-N-フェニルヒドロキシルアミンアンモニウム塩、N-ニトロソ-N(1-ナフチル)ヒドロキシルアミンアンモニウム塩等を用いることができる。
本実施形態の硬化レリーフパターンの製造方法は、
(1)上述した本実施形態のネガ型感光性樹脂組成物を基板上に塗布して、感光性樹脂層を基板上に形成する工程(樹脂層形成工程)と、
(2)上記感光性樹脂層を露光する工程(露光工程)と、
(3)露光後の感光性樹脂層を現像して、レリーフパターンを形成する工程(レリーフパターン形成る工程)と、
(4)上記レリーフパターンを加熱処理して、硬化レリーフパターンを形成する工程(硬化レリーフパターン形成る工程)と
を含む。
本工程では、本実施形態のネガ型感光性樹脂組成物を基板上に塗布し、必要に応じて、その後、乾燥させて感光性樹脂層を形成する。塗布方法としては、従来から感光性樹脂組成物の塗布に用いられていた方法、例えば、スピンコーター、バーコーター、ブレードコーター、カーテンコーター、スクリーン印刷機等で塗布する方法、スプレーコーターで噴霧塗布する方法等を用いることができる。
以上のとおりにして、基板上に感光性樹脂層を形成できる。
本工程では、上記で形成した感光性樹脂層を、コンタクトアライナー、ミラープロジェクション、ステッパー等の露光装置を用いて、パターンを有するフォトマスク又はレチクルを介して又は直接に、紫外線光源等により露光する。
この露光により、ネガ型感光性樹脂組成物に含有される(A)ポリイミド前駆体が有する重合性基が、(B)光重合開始剤の作用によって架橋する。この架橋によって、露光部分が後述の現像液に不溶となるため、レリーフパターンの形成が可能となる。
本工程では、露光後の感光性樹脂層のうち未露光部を現像除去する。露光(照射)後の感光性樹脂層を現像する現像方法としては、従来知られているフォトレジストの現像方法、例えば、回転スプレー法、パドル法、超音波処理を伴う浸漬法等の中から任意の方法を選択して使用することができる。現像の後、レリーフパターンの形状を調整する等の目的で、必要に応じて、任意の温度及び時間の組合せによる現像後ベークを施してもよい。
良溶媒としては、例えば、N-メチル-2-ピロリドン、N-シクロヘキシル-2-ピロリドン、N,N-ジメチルアセトアミド、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、γ-ブチロラクトン、α-アセチル-γ-ブチロラクトン等が好ましい。
貧溶媒としては、例えば、トルエン、キシレン、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、乳酸エチル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート及び水等が好ましい。
良溶媒と貧溶媒とを混合して用いる場合には、ネガ型感光性樹脂組成物中のポリマーの溶解性によって良溶媒に対する貧溶媒の割合を調整することが好ましい。溶媒は、2種以上、例えば数種類組合せて用いることもできる。
本工程では、上記現像により得られたレリーフパターンを加熱処理して、感光成分を希散させるとともに、(A)ポリイミド前駆体をイミド化させることによって、ポリイミドから成る硬化レリーフパターンに変換する。
加熱処理の方法としては、例えば、ホットプレートによるもの、オーブンを用いるもの、温度プログラムを設定できる昇温式オーブンを用いるもの等種々の方法を選ぶことができる。加熱処理は、例えば、160℃~350℃で30分~5時間の条件で行うことができる。加熱処理の温度は、好ましくは200℃以下、より好ましくは180℃以下である。加熱硬化時の雰囲気気体としては空気を用いてもよく、窒素、アルゴン等の不活性ガスを用いることもできる。
したがって、上記感光性樹脂組成物から形成される硬化レリーフパターンは、下記一般式(I-2)で表される構造のポリイミドを含むと考えられる。
一般式(I-1)中の好ましいX1、Y1は、同じ理由により、一般式(I-2)のポリイミドにおいても好ましい。また、上記で説明されたネガ型感光性樹脂組成物を硬化してポリイミドを形成する工程を含むポリイミドの製造方法も本発明の別の態様である。
本実施形態では、上述した感光性樹脂組成物から得られる硬化レリーフパターンを有する、半導体装置も提供される。詳しくは、半導体素子である基材と、硬化レリーフパターンとを有する半導体装置が提供される。硬化レリーフパターンは、上述した感光性樹脂組成物を用いて上述した硬化レリーフパターンの製造方法によって製造されたものであってよい。
本実施形態は、基材として半導体素子を用い、上述した本実施形態の硬化レリーフパターンの製造方法を工程の一部として含む、半導体装置の製造方法にも適用できる。この場合、本実施形態の硬化レリーフパターンの製造方法で形成される硬化レリーフパターンを、半導体装置の表面保護膜、層間絶縁膜、再配線用絶縁膜、フリップチップ装置用保護膜、又はバンプ構造を有する半導体装置の保護膜等として形成し、既知の半導体装置の製造方法と組合せることで製造することができる。
本実施形態では、表示体素子と該表示体素子の上部に設けられた硬化膜とを備える表示体装置であって、該硬化膜は上述の硬化レリーフパターンである、表示体装置が提供される。ここで、当該硬化レリーフパターンは、当該表示体素子に直接接して積層されていてもよく、別の層を間に挟んで積層されていてもよい。該硬化膜は、例えば、TFT液晶表示素子及びカラーフィルター素子の、表面保護膜、絶縁膜、平坦化膜等;MVA型液晶表示装置用の突起;有機EL素子陰極用の隔壁;等に適用することができる。
本実施の第二の形態では、感光性樹脂組成物は、(A)ポリイミド前駆体と、(B)光重合開始剤とをを含む。所望により、感光性樹脂組成物は、その他の成分を含んでよい。各成分を以下に順に説明する。
本実施形態では、(A)ポリイミド前駆体は、感光性樹脂組成物に含まれる樹脂成分であり、下記一般式(II-1):
で表される基である。}
で表される構造、及び下記一般式(II-3):
で表される基である。}
で表される構造を含むポリアミドである。
で表される構造を有する基が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、X1の構造は1種でも2種以上の組み合わせでもよい。上記式(II-20)で表される構造を有するX1基は、耐熱性と感光特性とを両立するという点で特に好ましい。
で表される構造が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、Y1の構造は1種でも2種以上の組み合わせでもよい。上記式(II-21)で表される構造を有するY1基は、耐熱性及び感光特性を両立するという点で特に好ましい。
で表される基である。}
で表される構造単位を有する樹脂を含むことが好ましい。
一般式(II-5)において、R6及びR7の他方は、上記一般式(II-2)で表される1価の有機基であることがより好ましい。(A)ポリイミド前駆体が、一般式(II-5)で表されるポリイミド前駆体を含むことで、特に解像性の効果が高くなる。
で表される基である。}
で表される構造単位を有する樹脂を含むことが好ましい。
上記一般式(II-6)において、R6及びR7の少なくとも一方は、上記一般式(II-2)で表される1価の有機基であることがより好ましい。(A)ポリイミド前駆体が、一般式(II-5)で表されるポリイミド前駆体に加えて、一般式(II-6)で表されるポリイミド前駆体を含むことにより、特に解像性の効果がさらに高くなる。
で表される構造単位を有するポリイミド前駆体であることが好ましい。
一般式(II-9)において、R6及びR7の少なくとも一方は、上記一般式(II-4)で表される1価の有機基であることがより好ましい。(A)ポリイミド前駆体が、一般式(II-5)で表されるポリイミド前駆体に加えて、一般式(II-9)で表されるポリイミド前駆体を含むことにより、特に解像性の効果がさらに高くなる。
本実施形態における上記一般式(II-1)及び上記一般式(II-3)で表される構造を含むポリイミド前駆体は、例えば、前述の炭素数6~40の4価の有機基X1を含むテトラカルボン酸二無水物と、(a)上記一般式(II-2)で表される1価の有機基と水酸基とが結合して成るアルコール類、及び上記一般式(II-4)で表される1価の有機基と水酸基とが結合して成るアルコール類、及び所望により(a)上記一般式(II-2)又は(II-4)で表される基以外のアルコール類を反応させて、部分的にエステル化したテトラカルボン酸(以下、アシッド/エステル体ともいう)を調製し、続いて前述の炭素数6~40の2価の有機基Y1を含むジアミン類と重縮合させることにより得られる。
本実施形態において、炭素数6~40の4価の有機基X1を含むテトラカルボン酸二無水物としては、例えば、無水ピロメリット酸、ジフェニルエーテル-3,3’,4,4’-テトラカルボン酸二無水物、ベンゾフェノン-3,3’,4,4’-テトラカルボン酸二無水物、ビフェニル-3,3’,4,4’-テトラカルボン酸二無水物、ジフェニルスルホン-3,3’,4,4’-テトラカルボン酸二無水物、ジフェニルメタン-3,3’,4,4’-テトラカルボン酸二無水物、2,2-ビス(3,4-無水フタル酸)プロパン、2,2-ビス(3,4-無水フタル酸)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン等を挙げることができる。また、これらは、1種を単独で、又は2種以上を混合して、使用されることができる。
感光性樹脂組成物中の上記(a)成分の含有量は、R1、R2、R6、及びR7の全ての含有量に対し、75モル%以上であることが好ましい。
上記アシッド/エステル体(典型的には上記反応溶媒中の溶液)に、氷冷下、既知の脱水縮合剤、例えば、ジシクロヘキシルカルボジイミド、1-エトキシカルボニル-2-エトキシ-1,2-ジヒドロキノリン、1,1-カルボニルジオキシ-ジ-1,2,3-ベンゾトリアゾール、N,N’-ジスクシンイミジルカーボネート等を投入混合してアシッド/エステル体をポリ酸無水物とした後、これに、炭素数6~40の2価の有機基Y1を含むジアミン類を別途溶媒に溶解又は分散させたものを滴下投入し、重縮合させることにより、実施の形態で用いることができるポリイミド前駆体を得ることができる。
本実施の形態に係る感光性樹脂組成物は、該樹脂組成物を温度23℃、湿度50%Rhで4週間保存した際の樹脂組成物の粘度変化率が初期と比較して5%以内である。
さらに、本実施形態に係る感光性樹脂組成物は、該樹脂組成物を170℃で2時間加熱して硬化塗膜を得た際に、該硬化塗膜のイミド化率が70%以上であることが好ましく、該硬化塗膜のイミド化率が85%以上であることがより好ましい。
このように、本実施形態に係る感光性樹脂組成物は、イミド化率が高く、保存安定性と耐薬品性を両立したものとなる。
上記ポリイミド前駆体組成物から形成される硬化レリーフパターンに含まれるポリイミドの構造は、下記一般式(II-10)で表される。
一般式(II-1)中の好ましいX1とY1は、同じ理由により、一般式(II-10)のポリイミドにおいても好ましい。一般式(II-10)の繰り返し単位数mは、特に限定は無いが、2~150の整数であってもよい。
また、上記で説明された感光性樹脂組成物をポリイミドに変換する工程を含むポリイミドの製造方法も本発明の一態様である。
硬化レリーフパターンの製造方法、半導体装置、表示体装置についても、第一の態様と同様に用いることができる。
本実施の形態に係る硬化膜は、(A)ポリイミド前駆体、を含む感光性樹脂組成物を後述の方法にて塗工、露光、現像、硬化した後のATR(Attenuated Total Reflection)法にてIRスペクトル測定を行った時の2950cm-1付近のピークと1720cm-1付近のピークの比(ピーク比:2950cm-1付近のピーク/1720cm-1付近のピーク)が、0.05~0.35であれば限定されない。
なお、本実施の形態において、ATR法によるIRスペクトル測定は、後述する実施例において記載する方法により実施されたものである。
このような硬化膜は、例えば、半導体チップと、半導体チップを覆う封止材と、平面視で半導体チップよりも面積が大きい再配線層と、を備えた半導体装置において、再配線層の層間絶縁膜として用いられる。
以下、それぞれの含有成分について説明する。
本実施の形態に係る(A)ポリイミド前駆体について説明する。
本実施の形態に係る(A)ポリイミド前駆体は、(B)光重合開始剤の作用により硬化レリーフパターンを形成でき、硬化膜が上述の範囲を与えることができれば限定されない。
本実施の形態に係る(A)ポリイミド前駆体は、例えばポリアミド酸、ポリアミド酸エステル、ポリアミド酸塩、及びポリアミド酸アミドから成る群より選ばれる少なくとも1種の樹脂を主成分とするものであることが好ましい。ここで、主成分とは、これら樹脂を、全樹脂に対して、60質量%以上含有することを意味し、80質量%以上含有することが好ましい。また、必要に応じて他の樹脂を含んでいてもよい。
で表される構造である。
これらの基R1及びR2の中で、得られる硬化膜の電気特性の観点から、一般式(III-2)で示される構造が好ましい。
ポリイミド前駆体がこのような構造を有することにより、得られるポリイミドは、対応する構造骨格を有するものとなる。これにより、耐熱性および感光性が向上し、得られる硬化膜(硬化レリーフパターン)において、良好な耐薬品性を発現し、銅ピラーへの良好な密着性を発現し、モールド樹脂(封止材)であるエポキシ樹脂の劣化や密着性の低下を抑えることができる。
から選ばれる少なくとも1種を含むことがより好ましい。
ポリイミド前駆体がこのような構造を有することにより、耐熱性および感光性がより向上し、得られる硬化膜において、良好な耐薬品性を発現し、銅ピラーへの良好な密着性を発現し、モールド樹脂であるエポキシ樹脂の劣化や密着性の低下を抑えることができる。
また、ポリイミド前駆体は、Xが式(III-C2)の構造骨格を含み、及びYが式(III-D2)の構造骨格を含むことがさらに好ましい。
また、ポリイミド前駆体は、Xが式(III-C3)の構造骨格を含み、及びYが式(III-D2)の構造骨格を含むことがさらに好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物において、ポリイミド前駆体は、Xが式(III-C1)の構造骨格を含み、及びYが式(III-D3)の構造骨格を含むことがさらに好ましい。
また、ポリイミド前駆体は、Xが式(III-C2)の構造骨格を含み、及びYが式(III-D3)の構造骨格を含むことがさらに好ましい。
また、ポリイミド前駆体は、Xが式(III-C3)の構造骨格を含み、及びYが式(III-D3)の構造骨格を含むことがさらに好ましい。
ポリイミド前駆体前駆体がこのような構造を有することにより、耐熱性および感光性がさらに向上し、得られる硬化膜において、良好な耐薬品性を発現し、銅ピラーへの良好な密着性を発現し、モールド樹脂であるエポキシ樹脂の劣化や密着性の低下をさらに確実に抑えることができる。
ポリイミド前駆体は、第1のポリイミド前駆体と第2のポリイミド前駆体を含み、第1のポリイミド前駆体前駆体は、Xが式(III-C2)の構造骨格を含み、及びYが式(III-D2)の構造骨格を含み、第2のポリイミド前駆体前駆体は、Xが式(III-C3)の構造骨格を含み、及びYが式(III-D2)の構造骨格を含むことが特に好ましい。
ポリイミド前駆体がこのような構造を有することにより、耐熱性および感光性が特に向上し、得られる硬化膜において、良好な耐薬品性を発現し、銅ピラーへの良好な密着性を発現し、モールド樹脂であるエポキシ樹脂の劣化や密着性の低下を特に確実に抑えることができる。
上記エステル結合型のポリイミド前駆体は、例えば、先ず、所望の4価の有機基Xを有するテトラカルボン酸二無水物と、光重合性基(例えば不飽和二重結合)を有するアルコール類とを反応させて、部分的にエステル化したテトラカルボン酸(以下、アシッド/エステル体ともいう)を調製する。その後、このアシッド/エステル体と、2価の有機基Yを有するジアミン類とをアミド重縮合させることにより得られる。上記光重合性基を有するアルコール類とともに、任意に飽和脂肪族アルコール類を併用してもよい。
本発明において、エステル結合型のポリイミド前駆体を調製するために好適に用いられる、4価の有機基Xを有するテトラカルボン酸二無水物としては、例えば、無水ピロメリット酸、ジフェニルエーテル-3,3’,4,4’-テトラカルボン酸二無水物、ベンゾフェノン-3,3’,4,4’-テトラカルボン酸二無水物、ビフェニル-3,3’,4,4’-テトラカルボン酸二無水物、ジフェニルスルホン-3,3’,4,4’-テトラカルボン酸二無水物、ジフェニルメタン-3,3’,4,4’-テトラカルボン酸二無水物、2,2-ビス(3,4-無水フタル酸)プロパン、2,2-ビス(3,4-無水フタル酸)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。また、これらは単独で用いることができるのは勿論のこと、2種以上を混合して用いてもよい。
ケトン類として、例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等を;
エステル類として、例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、シュウ酸ジエチル等を;
ラクトン類として、例えば、γ-ブチロラクトン等を;
エーテル類として、例えば、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン等を;
ハロゲン化炭化水素類として、例えば、ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン、1,4-ジクロロブタン、クロロベンゼン、o-ジクロロベンゼン等を;
炭化水素類として、例えば、ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレン等を、
それぞれ挙げることができる。これらは必要に応じて、単独で用いても2種以上混合して用いてもよい。
上記アシッド/エステル体(典型的には上記反応溶媒中に溶解された溶液状態にある)に、好ましくは氷冷下、適当な脱水縮合剤を投入混合してアシッド/エステル体をポリ酸無水物とする。次いでこれに、本発明で好適に用いられる2価の有機基Yを有するジアミン類を別途溶媒に溶解又は分散させたものを滴下投入し、両者をアミド重縮合させることにより、目的のポリイミド前駆体を得ることができる。上記2価の有機基Yを有するジアミン類とともに、ジアミノシロキサン類を併用してもよい。
上記脱水縮合剤としては、例えば、ジシクロヘキシルカルボジイミド、1-エトキシカルボニル-2-エトキシ-1,2-ジヒドロキノリン、1,1-カルボニルジオキシ-ジ-1,2,3-ベンゾトリアゾール、N,N’-ジスクシンイミジルカーボネート等が挙げられる。
以上のようにして、中間体であるポリ酸無水化物が得られる。
及びこれらのベンゼン環上の水素原子の一部が、メチル基、エチル基、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ハロゲン原子等で置換されたもの;
並びにその混合物等が挙げられる。
上記ポリイミド前駆体組成物を硬化して得られるポリイミドの構造は、下記一般式(III-A)となる。
一般式(III-1)中の好ましいX、Y、n1は、同じ理由により、一般式(III-A)中のX1、Y1、mにおいても好ましい。
次に、本実施の形態に係る(B)成分について説明する。
(B)光重合開始剤は、特定の波長を吸収、分解する事でラジカルを発生する光重合開始剤が好適に用いられる。(B)光重合開始剤の感光性樹脂組成物中の配合量は、(A)ポリイミド前駆体100質量部に対して、1~50質量部である。1質量部以上の配合量の時、光感度又はパターニング性が発現し、50質量部以下の時、硬化後の感光性樹脂層の物性が良くなる。
本実施の形態に係る(C)架橋剤は、光重合性の不飽和結合を有するモノマーを挙げることができる。
このようなモノマーとしては、光重合開始剤によりラジカル重合反応する(メタ)アクリル化合物が好ましい。以下に限定されるものではないが、特に、ジエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレートをはじめとする、エチレングリコール又はポリエチレングリコールのモノ又はジ(メタ)アクリレート;
プロピレングリコール又はポリプロピレングリコールのモノ又はジ(メタ)アクリレート;
グリセロールのモノ、ジ又はトリ(メタ)アクリレート;
シクロヘキサンジ(メタ)アクリレート;
1,4-ブタンジオールのジアクリレート及びジメタクリレート、1,6-ヘキサンジオールのジ(メタ)アクリレート;
ビスフェノールAのモノ又はジ(メタ)アクリレート;
ベンゼントリメタクリレート;
イソボルニル(メタ)アクリレート;
アクリルアミド及びその誘導体;
メタクリルアミド及びその誘導体;
トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート;
グリセロールのジ又はトリ(メタ)アクリレート;
ペンタエリスリトールのジ、トリ、又はテトラ(メタ)アクリレート;
並びにこれら化合物のエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイド付加物等の化合物を挙げることができる。
本実施の形態に係る有機溶媒は、本実施の形態に係る(A)ポリイミド前駆体、(B)光重合開始剤、(C)架橋剤などを溶解させうるものであれば限定されない。具体的には、例えばN,N-ジメチルホルムアミド、N-メチル-2-ピロリドン、N-エチル-2-ピロリドン、N,N-ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ジエチレングリコールジメチルエーテル、シクロペンタノン、γ-ブチロラクトン、α-アセチル-γ-ブチロラクトン、テトラメチル尿素、1,3-ジメチル-2-イミダゾリノン、N-シクロヘキシル-2-ピロリドン等が挙げられ、これらは単独又は2種以上の組合せで用いることができる。
本実施の形態に係る感光性樹脂組成物には、必要に応じて(E)熱塩基発生剤を含むことができる。
本実施の形態に係る熱塩基発生剤は、加熱により塩基を発生し得る化合物であれば限定されないが、例えば、40℃以上に加熱すると塩基を発生し得る酸性化合物、又はpKa1が0~4のアニオンとアンモニウムカチオンとを有するアンモニウム塩を挙げることができる。ここで、pKa1とは、多価の酸の第一のプロトン解離定数(Ka)の対数表示を示す。
このような化合物を含むことで、例えばポリイミド前駆体の環化反応を低温で行うことができ、より安定性に優れた組成物を提供することできる。特に、本実施の形態に係る感光性樹脂組成物には、多くの架橋剤を含むため、ポリイミド前駆体を低温で環化させることが困難な傾向にある。そこで、熱塩基発生剤を配合することで、イミド化率を制御することができる。
このような化合物として、1~3級アミンを熱で脱保護しうる保護基を用いて保護したものなどを挙げることができる。このような保護基としては、tert-ブトキシカルボニル基、Fmoc基が挙げられるが、本発明はこれらに限定されない。ここで、Fmoc基とは、9-フルオレニルメチルオキシカルボニル基を指す。一つ又は複数のアミノ基は、tert-ブトキシカルボニル基で保護されたアミノ基であることがより好ましい。
このような化合物として、例えば下記式(AM-1)及び/又は(AM-2)で表される化合物が好適に用いられる。
本実施の形態に係る感光性樹脂組成物には、上記(A)~(E)成分以外の成分を更に含有してもよい。
例えば、加熱によって架橋する熱架橋剤、(A)ポリイミド前駆体以外の樹脂、増感剤、接着助剤、熱重合禁止剤、銅変色抑制剤などを添加することができる。
本実施の形態において任意的に用いられる熱架橋剤としては、分子内に複数の官能基を有する任意の化合物を挙げることができる。ここで官能基としては、例えばアクリル基、メタクリル基、エポキシ基、メチロール基、アリル基、ビニル基、マレイミド基等を挙げることができる。
以下詳細に説明する。
以下、各工程の典型的な態様について説明する。
本工程では、本実施の形態に係る感光性樹脂組成物を基材上に塗布し、必要に応じて、その後、乾燥させて感光性樹脂層を形成する。
基板としては、例えば:
シリコン、アルミニウム、銅、銅合金等から成る金属基板;
エポキシ、ポリイミド、ポリベンゾオキサゾール等の樹脂基板;
前記樹脂基板に金属回路が形成された基板;
複数の金属、又は金属と樹脂とが多層に積層された基板
等を使用することができる。
本工程では、上記で形成した感光性樹脂層を露光する。露光装置としては、例えばコンタクトアライナー、ミラープロジェクション、ステッパー等の露光装置が用いられる。露光は、パターンを有するフォトマスク又はレチクルを介して、又は直接に行うことができる。露光に使用する光線は、例えば、紫外線光源等である。
露光量はパターンを形成できれば限定されないが、10~1200mJ/cm2、又は10~1000mJ/cm2の範囲が好適に用いられ、20~800mJ/cm2好ましく、30~500mJ/cm2、又は50~600mJ/cm2がより好ましい。
本工程では、露光後の感光性樹脂層のうち未露光部を現像除去する。露光(照射)後の感光性樹脂層を現像する現像方法としては、従来知られているフォトレジストの現像方法を選択して使用することができる。例えば回転スプレー法、パドル法、超音波処理を伴う浸漬法等である。また、現像の後、レリーフパターンの形状を調整する等の目的で、必要に応じて任意の温度及び時間の組合せによる現像後ベークを施してもよい。現像後ベークの温度は、例えば80~130℃とすることができ、時間は例えば0.5~10分とすることができる。
本工程では、上記現像により得られたレリーフパターンを加熱して感光成分を希散させるとともに、(A)ポリイミド前駆体をイミド化させて、ポリイミドからなる硬化レリーフパターンに変換する。
加熱硬化の方法としては、ホットプレートによるもの、オーブンを用いるもの、温度プログラムを設定できる昇温式オーブンを用いるもの等種々の方法を選ぶことができる。加熱硬化の際の雰囲気気体としては空気を用いてもよいし、窒素、アルゴン等の不活性ガスを用いてもよい。
以上のようにして、硬化レリーフパターンを製造することができる。
このようにして得られる硬化膜は、ポリイミドを含み、ポリイミドは、例えば上述した一般式(III-A)の構造を有する。
硬化膜を後述する半導体装置の層間絶縁膜6に用いた場合、ピーク比が0.05~0.35の範囲内であると、再配線層4中の層間絶縁膜6と封止材3の密着性に優れたものとなる。
更に、耐薬品性、銅ピラーとの接着性、又は封止材との密着性の観点から、1380cm-1付近のピークと1500cm-1付近のピークの比(1380cm-1付近のピーク/1500cm-1付近のピーク)が、0.1~2.1、又は0.4~2.1であることがより好ましい。同様の観点から、硬化膜の5%重量減少温度は、280℃以上350℃以下であることが好ましい。
1720cm-1付近のピークとは、例えば、1680~1750cm-1の範囲にあるピークである。
1380cm-1付近のピークとは、例えば、1350~1450cm-1の範囲にあるピークである。
1500cm-1付近のピークとは、例えば、1460~1550cm-1の範囲にあるピークである。
範囲内に複数ピークがある場合は、範囲内のピーク強度が最大のものをその範囲付近のピークとする。
本発明はまた、上述した本発明の硬化膜(硬化レリーフパターン)を有して成る、半導体装置を提供する。
図1に示すように、半導体装置(半導体IC)1は、半導体チップ2と、半導体チップ2を覆う封止材(モールド樹脂)3と、半導体チップ2及び封止材3と密着する再配線層4と、を有して構成される。
再配線層4は、主に、配線5と配線5の周りを覆う層間絶縁膜6とから構成される。層間絶縁膜6は、配線5との意図しない導通を防止するとの観点から、絶縁性が高い部材であることが好ましい。
封止材3の材料には特に限定は無いが、エポキシ樹脂が、耐熱性、層間絶縁膜との密着性の観点から好ましい。
層間絶縁膜6は、上述したような感光性樹脂組成物を硬化させた硬化膜から構成される。
本実施形態では、層間絶縁膜6をATR法にてIRスペクトル測定を行った時の2950cm-1付近のピークと1720cm-1付近のピークの比(2950cm-1付近のピーク/1720cm-1付近のピーク)が、0.05~0.35であることを特徴としている。
本実施形態における半導体装置の製造方法について図3を用いて説明する。
半導体装置の製造方法は、半導体チップを封止材で覆う工程と、平面視で前記半導体チップよりも面積が大きく、且つ、層間絶縁膜を含む再配線層を形成する工程とを含む。
図3Aでは、前工程済みウェハ10を用意する。そして、図3Bにて、前工程済みウェハ10をダイシングして複数の半導体チップ2を形成する。半導体チップ2は購入品であってもよい。このようにして準備された半導体チップ2を、図3Cに示すように、支持体11上に所定間隔にて貼り付ける。
図1に示すように、半導体装置(半導体IC)1は、半導体チップ2と、半導体チップ2を覆う封止材(モールド樹脂)3と、半導体チップ2及び封止材3と密着する再配線層4と、を有して構成される。
再配線層4は、主に、配線5と配線5の周りを覆う層間絶縁膜6とから構成される。層間絶縁膜6は、配線5との意図しない導通を防止するとの観点から、絶縁性が高い部材であることが好ましい。
封止材3の材料には特に限定は無いが、エポキシ樹脂が、耐熱性、層間絶縁膜との密着性の観点から好ましい。
ファンナウト型の半導体装置の製造過程で、再配線層4を形成するために、半導体チップ2及び封止材3から構成されるチップ封止体上に、感光性樹脂組成物を塗布する。続いて、感光性樹脂組成物を、i線を含む光で露光する。その後、感光性樹脂組成物を現像、硬化することで、感光性樹脂組成物の硬化物がある部分と無い部分を選択的に形成する。感光性樹脂組成物の硬化物は、層間絶縁膜6となる。また、感光性樹脂組成物の硬化物が無い部分には、配線5が形成される。通常、再配線層4は多層になることが多い。すなわち、層間絶縁膜6と配線5の上に更に感光性樹脂組成物が塗布、露光、現像、硬化され、また、配線が形成される。層間絶縁膜6を形成する工程や、配線5を形成する工程では様々な薬液が使用される。
層間絶縁膜6の組成には特に限定はないが、例えば、ポリイミド、ポリベンゾオキサゾール、又は、フェノール性水酸基を有するポリマーから選択される少なくとも1つの化合物を含む膜であることが好ましい。
層間絶縁膜6の形成に用いる樹脂組成物は、感光性の樹脂組成物であれば特に限定はないが、ポリイミド前駆体、ポリベンゾオキサゾール前駆体、又は、フェノール性水酸基を有するポリマーから選択される少なくとも1つの化合物を含む感光性樹脂組成物であることが好ましい。層間絶縁膜6の形成に用いる樹脂組成物は、液体状でもフィルム状でもよい。また、層間絶縁膜6の形成に用いる樹脂組成物は、ネガ型の感光性樹脂組成物でも、ポジ型の感光性樹脂組成物でもよい。
本実施形態において、多層硬化レリーフパターン(層間絶縁膜6)は、次のような方法によって製造される。
多層硬化レリーフパターンの製造方法は、以下の工程:
(1)感光性樹脂組成物を基板上に塗布することによって感光性樹脂層を該基板上に形成する工程、
(2)感光性樹脂層を露光する工程、
(3)露光後の感光性樹脂層を現像してレリーフパターンを形成する工程、
(4)レリーフパターンを150℃~200℃の温度範囲で0~240分加熱処理することによって半硬化レリーフパターンを形成する第一の熱硬化工程、および
(5)半硬化レリーフパターンを200~260℃の温度範囲で、且つ第一の熱硬化工程より高い温度で10分以下加熱処理することによって硬化レリーフパターンを形成する第二の熱硬化工程を順に含み、
更に再度、(1)~(5)の工程を順に行うことを含む。これにより層間絶縁膜6を多層構造(多層硬化レリーフパターン)とすることができる。(1)~(5)の工程を前記順に行うことを3~8回繰り返して行うことが好ましい。前記基板は、例えば、半導体チップと前記半導体チップを覆う封止材から構成される基板である。
(1)~(5)の工程についての具体的な説明は後述する。
(A)感光性樹脂
ポリイミド前駆体組成物に用いる感光性樹脂としては、ポリアミド、ポリアミド酸エステル等を挙げることができる。例えば、ポリアミド酸エステルとしては、下記一般式(IV-1)で表される繰り返し単位を含むポリアミド酸エステルを用いることができる。
で表される1価の有機基、又は下記一般式(IV-3):
で表されるアンモニウムイオンである。}
で表される構造を有する。
層間絶縁膜6の形成に用いる樹脂組成物がネガ型の感光性樹脂の場合、光開始剤を添加する。光開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、o-ベンゾイル安息香酸メチル、4-ベンゾイル-4’-メチルジフェニルケトン、ジベンジルケトン、及びフルオレノン等のベンゾフェノン誘導体、2,2’-ジエトキシアセトフェノン、及び2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノン等のアセトフェノン誘導体、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、チオキサントン、2-メチルチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン、及びジエチルチオキサントン等のチオキサントン誘導体、ベンジル、ベンジルジメチルケタール及び、ベンジル-β-メトキシエチルアセタール等のベンジル誘導体、ベンゾインメチルエーテル等のベンゾイン誘導体、2,6-ジ(4’-ジアジドベンザル)-4-メチルシクロヘキサノン、及び2,6’-ジ(4’-ジアジドベンザル)シクロヘキサノン等のアジド類、1-フェニル-1,2-ブタンジオン-2-(O-メトキシカルボニル)オキシム、1-フェニルプロパンジオン-2-(O-メトキシカルボニル)オキシム、1-フェニルプロパンジオン-2-(O-エトキシカルボニル)オキシム、1-フェニルプロパンジオン-2-(O-ベンゾイル)オキシム、1,3-ジフェニルプロパントリオン-2-(O-エトキシカルボニル)オキシム、1-フェニル-3-エトキシプロパントリオン-2-(O-ベンゾイル)オキシム等のオキシム類、N-フェニルグリシンなどのN-アリールグリシン類、ベンゾイルパーオキシドなどの過酸化物類、芳香族ビイミダゾール類、並びにチタノセン類などが用いられる。これらのうち、光感度の点で上記オキシム類が好ましい。
層間絶縁膜6の形成に用いる樹脂組成物がポジ型の感光性樹脂の場合、光酸発生剤を添加する。光酸発生剤を含有することにより、紫外線露光部に酸が発生し、露光部のアルカリ水溶液に対する溶解性が増大する。これにより、ポジ型感光性樹脂組成物として用いることができる。
各成分が溶解又は分散可能な溶媒であれば特に限定されない。例えば、N-メチル-2-ピロリドン、γ-ブチロラクトン、アセトン、メチルエチルケトン、ジメチルスルホキシドなどが挙げられる。これらの溶媒は、塗布膜厚、粘度に応じて、(A)感光性樹脂100質量部に対し、30~1500質量部の範囲で用いることができる。
ポリイミド前駆体組成物には架橋剤を含有させてもよい。架橋剤としては、ポリイミド前駆体組成物を露光、現像した後、加熱硬化する際に、(A)感光性樹脂を架橋し得るか、又は架橋剤自身が架橋ネットワークを形成し得る架橋剤を用いることができる。架橋剤を用いることで、硬化膜(層間絶縁膜)の耐熱性及び耐薬品性を更に強化することができる。
<多層硬化レリーフパターンの製造方法>
多層硬化レリーフパターンの製造方法は、以下の工程:
(1)感光性樹脂組成物(ポリイミド前駆体組成物)を基板上に塗布することによって感光性樹脂層を基板上に形成する工程、
(2)感光性樹脂層を露光する工程、
(3)露光後の感光性樹脂層を現像してレリーフパターンを形成する工程、
(4)レリーフパターンを150℃~200℃の温度範囲で0~240分加熱処理することによって半硬化レリーフパターンを形成する第一の熱硬化工程、および
(5)半硬化レリーフパターンを200~260℃の温度範囲で、且つ第一の熱硬化工程より高い温度で10分以下加熱処理することによって硬化レリーフパターンを形成する第二の熱硬化工程を順に含み、
更に再度、(1)~(5)の工程を順に行うことを含む。これにより層間絶縁膜6を多層構造(多層硬化レリーフパターン)とすることができる。(1)~(5)の工程を前記順に行うことを3~8回繰り返して行うことが好ましい。
本工程では、感光性樹脂組成物を基材上に塗布し、必要に応じて、その後に乾燥させて、樹脂層を形成する。基板は、例えば、半導体チップ2と半導体チップを覆う封止材3から構成される基板である。
塗布方法としては、従来から感光性樹脂組成物の塗布に用いられていた方法、例えば、スピンコーター、バーコーター、ブレードコーター、カーテンコーター、スクリーン印刷機等で塗布する方法、スプレーコーターで噴霧塗布する方法等を用いることができる。
本工程では、工程(1)で形成した感光性樹脂層を、コンタクトアライナー、ミラープロジェクション、ステッパー等の露光装置を用いて、パターンを有するフォトマスク又はレチクルを介して又は直接に、紫外線光源等により露光する。
本工程では、ポリイミド前駆体組成物を露光した後、不要部分を現像液で洗い流す。使用する現像液としては、特に制限はないが、溶剤で現像を行うポリイミド前駆体組成物の場合には、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン、シクロペンタノン、γ-ブチロラクトン、酢酸エステル類等の良溶媒、これら良溶媒と低級アルコール、水、芳香族炭化水素等の貧溶媒との混合溶媒等が用いられる。現像後は必要に応じて貧溶媒等でリンス洗浄を行う。
現像後、加熱することによりポリイミド前駆体を閉環し、ポリイミドを形成する。このポリイミドが硬化レリーフパターン、即ち、層間絶縁膜6となる。ポリマー中のポリイミドの割合が多くなるほど、膜物性や膜の耐薬品性が向上する。通常、熱硬化温度は250℃以上1時間以上加熱することが望ましい。
第一の熱硬化工程の加熱温度は150℃~200℃が望ましく、150℃~180℃がより望ましく、150℃~170℃がより望ましく、150℃~160℃がより望ましく、150℃が最も望ましい。第一の熱硬化工程における加熱温度が150℃未満では半硬化レリーフパターンに添加剤成分や溶媒成分が残存し、多層の層間絶縁膜6を形成した際に、層間に気泡が発生し層間剥がれを起こすことがある。加熱温度が200℃より高い場合、半硬化レリーフパターンが硬化し過ぎて、第二の熱硬化工程において環化反応が起き難く、十分に環化した硬化膜が得られないことがある。
第二の熱硬化工程における加熱温度は200℃~260℃が望ましい。200℃未満では、ポリマー中のポリイミドの割合が低く十分な膜物性や耐薬品性を得られないことがある。加熱温度が260℃より高い場合、熱ダメージにより半導体チップや封止樹脂が損傷することがある。第二の熱硬化工程における最大温度は260℃以下であることが望ましく、240℃以下であることがより望ましい。
上記ポリイミド前駆体組成物から形成される硬化レリーフパターンの構造は、下記一般式(IV-12)となる。
(A)感光性樹脂
ポリベンゾオキサゾール前駆体組成物に用いる感光性樹脂としては、下記一般式(IV-13)で表される繰り返し単位を含むポリ(o-ヒドロキシアミド)を用いることができる。
光酸発生剤は、光照射部のアルカリ水溶液可溶性を増大させる機能を有するものである。光酸発生剤としては、ジアゾナフトキノン化合物、アリールジアゾニウム塩、ジアリールヨードニウム塩、トリアリールスルホニウム塩等が挙げられる。このうち、ジアゾナフトキノン化合物は、感度が高く好ましい。
好ましい添加剤の種類や量は、ポリイミド前駆体組成物の項目で記載した内容と同じである。
各成分を溶解又は分散可能な溶媒であれば特に限定されない。
ポリベンゾオキサゾール前駆体組成物は、架橋剤、増感剤、接着助剤、熱酸発生剤等を含むことができる。
<多層硬化レリーフパターンの製造方法>
多層硬化レリーフパターンの製造方法は、以下の工程:
(1)感光性樹脂組成物(ポリベンゾオキサゾール前駆体組成物)を基板上に塗布することによって感光性樹脂層を基板上に形成する工程、
(2)感光性樹脂層を露光する工程、
(3)露光後の感光性樹脂層を現像してレリーフパターンを形成する工程、
(4)レリーフパターンを150℃~200℃の温度範囲で0~240分加熱処理することによって半硬化レリーフパターンを形成する第一の熱硬化工程、および
(5)半硬化レリーフパターンを200~260℃の温度範囲で、且つ第一の熱硬化工程より高い温度で10分以下加熱処理することによって硬化レリーフパターンを形成する第二の熱硬化工程
を順に含み、
更に再度、(1)~(5)の工程を順に行うことを含む。これにより層間絶縁膜6を多層構造(多層硬化レリーフパターン)とすることができる。(1)~(5)の工程を前記順に行うことを3~8回繰り返して行うことが好ましい。
本工程では、感光性樹脂組成物を基材上に塗布し、必要に応じてその後乾燥させて樹脂層を形成する。塗布方法としては、従来から感光性樹脂組成物の塗布に用いられていた方法、例えば、スピンコーター、バーコーター、ブレードコーター、カーテンコーター、スクリーン印刷機等で塗布する方法、スプレーコーターで噴霧塗布する方法等を用いることができる。
本工程では、工程(1)で形成した感光性樹脂層を、コンタクトアライナー、ミラープロジェクション、ステッパー等の露光装置を用いて、パターンを有するフォトマスク又はレチクルを介して又は直接に、紫外線光源等により露光する。
ポリベンゾオキサゾール前駆体組成物を露光した後、不要部分を現像液で洗い流す。使用する現像液としては特に制限はないが、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ケイ酸ナトリウム、アンモニア、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドなどのアルカリ水溶液が好ましいものとして挙げられる。
現像後、加熱することによりポリベンゾオキサゾール前駆体を閉環し、ポリベンゾオキサゾールを形成する。このポリベンゾオキサゾールが硬化レリーフパターン、即ち、層間絶縁膜6となる。ポリマー中のポリベンゾオキサゾールの割合が多くなるほど、膜物性や膜の耐薬品性が向上する。通常、熱硬化温度は250℃以上1時間以上加熱することが望ましい。
そこで本実施形態では、ポリベンゾオキサゾールの熱硬化を、(4)レリーフパターンを150℃~200℃の温度範囲で0~240分加熱処理することによって半硬化レリーフパターンを形成する第一の熱硬化工程と、(5)半硬化レリーフパターンを200℃~260℃の温度範囲で且つ第一の熱硬化工程より高い温度で10分以下加熱処理することによって硬化レリーフパターンを形成する第二の熱硬化工程と、の2段階で行う。これによりポリマー中のポリベンゾオキサゾールの割合を高くすることができる。
また、熱硬化時に半導体装置に掛かる熱により、半導体チップや封止樹脂に熱ダメージを与え損傷する。層間絶縁膜6が2層以上の場合は層間絶縁膜層の熱硬化が複数回行われるので、熱ダメージが顕著に増加する。本発明では、第二の熱硬化工程の時間が短いことで、熱硬化時の熱ダメージを少なくすることができる。
ことによって半硬化レリーフパターンを形成する工程(第一の熱硬化工程)
第一の熱硬化工程の加熱温度は150℃~200℃が望ましく、150℃~180℃がより望ましく、150℃~170℃がより望ましく、150℃~160℃がより望ましく、150℃が最も望ましい。第一の熱硬化工程における加熱温度が150℃未満では半硬化レリーフパターンに添加剤成分や溶媒成分が残存し、多層の層間絶縁膜6を形成した際に、層間に気泡が発生し層間剥がれを起こす。加熱温度が200℃より高い場合、半硬化レリーフパターンが硬化しすぎて第二の熱硬化工程において環化反応が起き難く、十分に環化した硬化膜が得られない。
第二の熱硬化工程における加熱温度は200℃~260℃が望ましい。200℃未満では、ポリマー中のポリベンゾオキサゾールの割合が低く十分な膜物性や耐薬品性を得られないことがある。加熱温度が260℃より高い場合、熱ダメージにより半導体チップや封止樹脂が損傷することがある。第二の熱硬化工程における最大温度は260℃以下であることが望ましく、240℃以下であることがより望ましい。
上記ポリベンゾオキサゾール前駆体組成物から形成される硬化レリーフパターンの構造は、下記一般式(IV-14)となる。
(A)感光性樹脂
分子中にフェノール性水酸基を有する樹脂であり、アルカリに対して可溶である。その具体例としては、ポリ(ヒドロキシスチレン)等のフェノール性水酸基を有するモノマー単位を含むビニル重合体、フェノール樹脂、ポリ(ヒドロキシアミド)、ポリ(ヒドロキシフェニレン)エーテル、ポリナフトールが挙げられる。これらの中で、コストが安いこと、又は硬化時の体積収縮が小さいことから、フェノール樹脂が好ましく、ノボラック型フェノール樹脂が特に好ましい。
光酸発生剤としては、ジアゾナフトキノン化合物、アリールジアゾニウム塩、ジアリールヨードニウム塩、トリアリールスルホニウム塩等が挙げられる。このうち、ジアゾナフトキノン化合物は、感度が高く好ましい。
好ましい添加剤の種類や量は、ポリイミド前駆体組成物の項目で記載した内容と同じである。
各成分を溶解又は分散可能な溶媒であれば特に限定されない。
熱架橋剤、増感剤、接着助剤、染料、界面活性剤、溶解促進剤、架橋促進剤等を含むことができる。このうち、熱架橋剤を含有することにより、パターン形成後の感光性樹脂膜を加熱して硬化する際に、熱架橋剤成分が(A)成分と反応して橋架け構造が形成される。これにより、低温での硬化が可能となり、膜の脆さや膜の溶融を防ぐことができる。熱架橋剤成分として、具体的には、フェノール性水酸基を有する化合物、ヒドロキシメチルアミノ基を有する化合物、エポキシ基を有する化合物を好ましいものとして用いることができる。
<多層硬化レリーフパターンの製造方法>
多層硬化レリーフパターンの製造方法は、以下の工程:
(1)感光性樹脂組成物(フェノール性水酸基を有するポリマー)を基板上に塗布することによって感光性樹脂層を基板上に形成する工程、
(2)感光性樹脂層を露光する工程、
(3)露光後の感光性樹脂層を現像してレリーフパターンを形成する工程、
(4)レリーフパターンを150℃~200℃の温度範囲で0~240分加熱処理することによって半硬化レリーフパターンを形成する第一の熱硬化工程、および
(5)半硬化レリーフパターンを200~260℃の温度範囲で、且つ第一の熱硬化工程より高い温度で10分以下加熱処理することによって硬化レリーフパターンを形成する第二の熱硬化工程
を順に含み、
更に再度、(1)~(5)の工程を順に行うことを含む。これにより層間絶縁膜6を多層構造(多層硬化レリーフパターン)とすることができる。(1)~(5)の工程を前記順に行うことを3~8回繰り返して行うことが好ましい。
本工程では、感光性樹脂組成物を基材上に塗布し、必要に応じてその後乾燥させて樹脂層を形成する。塗布方法としては、従来から感光性樹脂組成物の塗布に用いられていた方法、例えば、スピンコーター、バーコーター、ブレードコーター、カーテンコーター、スクリーン印刷機等で塗布する方法、スプレーコーターで噴霧塗布する方法等を用いることができる。
(2)感光性樹脂層を露光する工程
本工程では、工程(1)で形成した感光性樹脂層を、コンタクトアライナー、ミラープロジェクション、ステッパー等の露光装置を用いて、パターンを有するフォトマスク又はレチクルを介して又は直接に、紫外線光源等により露光する。
フェノール性水酸基を有するポリマーを露光した後、不要部分を現像液で洗い流す。使用する現像液としては特に制限はないが、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ケイ酸ナトリウム、アンモニア、エチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)等のアルカリ水溶液が好適に用いられる。
現像後、加熱することによりフェノール性水酸基を有するポリマー同士を熱架橋する。この熱架橋体が硬化レリーフパターン、即ち、層間絶縁膜6となる。熱架橋の割合が多くなるほど、膜物性や膜の耐薬品性が向上する。通常、熱硬化温度は250℃以上1時間以上加熱することが望ましい。
第一の熱硬化工程の加熱温度は150℃~200℃が望ましく、150℃~180℃がより望ましく、150℃~170℃がより望ましく、150℃~160℃がより望ましく、150℃が最も望ましい。第一の熱硬化工程における加熱温度が150℃未満では半硬化レリーフパターンに添加剤成分や溶媒成分が残存し、多層の層間絶縁膜6を形成した際に、層間に気泡が発生し層間剥がれを起こすことがある。加熱温度が200℃より高い場合、半硬化レリーフパターンが硬化しすぎて第二の熱硬化工程において熱架橋反応が起き難く、十分に熱架橋した硬化膜が得られないことがある。
第二の熱硬化工程における加熱温度は200℃~260℃が望ましい。200℃未満では、膜中の熱架橋反応の割合が低く十分な膜物性や耐薬品性を得られないことがある。加熱温度が260℃より高い場合、熱ダメージにより半導体チップや封止樹脂が損傷することがある。第二の熱硬化工程における最大温度は260℃以下であることが望ましく、240℃以下であることがより望ましい。
本実施形態における半導体装置の製造方法について図3を用いて説明する。図3Aでは、前工程済みウェハ10を用意する。そして、図3Bにて、前工程済みウェハ10をダイシングして複数の半導体チップ2を形成する。半導体チップ2は購入品であってもよい。このようにして準備された半導体チップ2を、図3Cに示すように、支持体11上に所定間隔にて貼り付ける。
<感光性樹脂組成物>
本実施形態に係る感光性樹脂組成物は、
(A)ポリイミド前駆体;100質量部、
(B)下記一般式(V-1)及び(V-3)~(V-6)の少なくとも1つで表される化合物;0.1~50質量部、
(C)感光剤;0.1~50質量部
を含む。感光性樹脂組成物は、好ましくはネガ型又はポジ型として使用され、より好ましくはネガ型として使用される。以下、ネガ型感光性樹脂組成物のそれぞれの含有成分について説明する。
ポリイミド前駆体は下記一般式(V-9)で表される構造を有するポリアミドであることが好ましい。
一般式(V-9)中、4価の有機基X1は、耐熱性と感光特性とを両立するという点で、好ましくは炭素数6~40の有機基であり、より好ましくは、-COOR1基及び-COOR2基と-CONH-基とが互いにオルト位置にある芳香族基、又は脂環式脂肪族基である。4価の有機基X1として、具体的には、芳香族環を含有する炭素原子数6~40の有機基、例えば、下記一般式(V-20):
で表される構造を有する基が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、X1基の構造は1種でも2種以上の組み合わせでもよい。上記式(V-20)で表される構造を有するX1基は、耐熱性と感光特性とを両立するという観点で特に好ましい。
その中で、耐熱性と感光特性の両立という観点で、X1基が下記一般式(V-11)~(V-13)の少なくとも1種を含むことが好ましい。
で表される構造が挙げられるが、これらに限定されるものではない。また、Y1の構造は1種でも2種以上の組み合わせでもよい。上記式(V-21)で表される構造を有するY1基は、耐熱性及び感光特性を両立するという観点で好ましい。
で表される構造単位を有するポリイミド前駆体であることが好ましい。
一般式(V-16)において、R5及びR6の少なくとも一方は、上記一般式(V-18)で表される1価の有機基であることがより好ましい。(A)ポリイミド前駆体が、一般式(V-16)で表されるポリイミド前駆体を含むことで、特に解像性の効果が高くなる。
で表される構造単位を有するポリイミド前駆体であることが好ましい。
一般式(V-17)において、R5及びR6の少なくとも一方は、上記一般式(V-18)で表される1価の有機基であることがより好ましい。(A)ポリイミド前駆体が、一般式(V-16)で表されるポリイミド前駆体に加えて、一般式(V-17)で表されるポリイミド前駆体を含む、又は、(A)ポリイミド前駆体が、一般式(V-16)で表されるポリイミド前駆体と一般式(V-17)で表されるポリイミド前駆体の共重合体を含むことにより、特に解像性の効果がさらに高くなる。一般式(V-16)で表されるポリイミド前駆体と一般式(V-17)で表されるポリイミド前駆体の共重合体は、一般式(V-16)で表されるポリイミド前駆体と一般式(V-17)で表されるポリイミド前駆体の混合物と同様の性質を示す。
で表される構造単位を有するポリイミド前駆体であることが好ましい。
一般式(V-19)において、R1及びR2の少なくとも一方は、上記一般式(V-18)で表される1価の有機基であることがより好ましい。(A)ポリイミド前駆体が、一般式(V-16)または一般式(V-17)で表されるポリイミド前駆体に加えて、一般式(V-19)で表されるポリイミド前駆体を含むことにより、特に解像性の効果がさらに高くなる。
(A)ポリイミド前駆体は、まず前述の4価の有機基X1を含むテトラカルボン酸二無水物と、光重合性の不飽和二重結合を有するアルコ-ル類及び任意に不飽和二重結合を有さないアルコ-ル類とを反応させて、部分的にエステル化したテトラカルボン酸(以下、アシッド/エステル体ともいう)を調製した後、これと、前述の2価の有機基Y1を含むジアミン類とをアミド重縮合させることにより得られる。
本実施形態で、(A)ポリイミド前駆体を調製するために好適に用いられる、4価の有機基X1を含むテトラカルボン酸二無水物としては、上記一般式(V-20)に示されるテトラカルボン酸二無水物をはじめ、例えば、無水ピロメリット酸、ジフェニルエーテル-3,3’,4,4’-テトラカルボン酸二無水物、ベンゾフェノン-3,3’,4,4’-テトラカルボン酸二無水物、ビフェニル-3,3’,4,4’-テトラカルボン酸二無水物、ジフェニルスルホン-3,3’,4,4’-テトラカルボン酸二無水物、ジフェニルメタン-3,3’,4,4’-テトラカルボン酸二無水物、2,2-ビス(3,4-無水フタル酸)プロパン、2,2-ビス(3,4-無水フタル酸)-1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロプロパン等を、好ましくは無水ピロメリット酸、ジフェニルエーテル-3,3’,4,4’-テトラカルボン酸二無水物、ベンゾフェノン-3,3’,4,4’-テトラカルボン酸二無水物、ビフェニル-3,3’,4,4’-テトラカルボン酸二無水物を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。また、これらは単独で用いることができるのは勿論のこと2種以上を混合して用いてもよい。
上記アシッド/エステル体(典型的には後述する溶剤中の溶液)に、氷冷下、適当な脱水縮合剤、例えば、ジシクロヘキシルカルボジイミド、1-エトキシカルボニル-2-エトキシ-1,2-ジヒドロキノリン、1,1-カルボニルジオキシ-ジ-1,2,3-ベンゾトリアゾール、N,N’-ジスクシンイミジルカーボネート等を投入混合してアシッド/エステル体をポリ酸無水物とした後、これに、本実施形態で好適に用いられる2価の有機基Y1を含むジアミン類を別途溶媒に溶解又は分散させたものを滴下投入し、アミド重縮合させることにより、目的のポリイミド前駆体を得ることができる。代替的には、上記アシッド/エステル体を、塩化チオニル等を用いてアシッド部分を酸クロライド化した後に、ピリジン等の塩基存在下に、ジアミン化合物と反応させることにより、目的のポリイミド前駆体を得ることができる。
本実施形態における(B)芳香族化合物は、芳香族炭化水素化合物又は複素芳香族化合物であることができ、具体的には下記一般式(V-1)及び(V-3)~(V-6)から選択される少なくとも1種である。
で表される構造であり、m1は1~2の整数であり、m2は0~3の整数であり、m3は0~2の整数であり、Aが炭素原子である場合、m3は1または2であり、1≦m1+m2+m3≦6である。}
3,6-ジクロロピリダジン、3,5-ジクロロピリダジン、3,6-ジブロモピリダジン、3,5-ジブロモピリダジン、3,4,6-トリクロロピリダジン、1,4-ジクロロフタラジン、3-クロロ-6-メチルピリダジン、3,6-ジクロロ-4-メチルピリダジン、ピリダジン-4-カルボン酸、3-クロロ-6-メトキシピリダジン、6-ヒドロキシピリダジン-3-カルボン酸、3-クロロ-6-フェニルピリダジン、スルファメトキシピリダジン、6-フェニル-3(H)-ピリダジノン、4,5-ジブロモ-3(2H)-ピリダジノン
5-ブロモピリミジン、2-ブロモピリミジン、5-クロロピリミジン、2-クロロピリミジン、5-フルオロピリミジン、2-フルオロピリミジン、2-シアノピリミジン、5-シアノピリミジン、4,6-ジクロロピリミジン、5-ブロモ-2-フルオロピリミジン、4,6-ジブロモピリミジン、5-ブロモ-2-クロロピリミジン、2,5-ジクロロピリミジン、2,5-ジブロモピリミジン、5-ブロモ-2-ヨ-ドピリミジン、5-ブロモ-2-メチルピリミジン、2-クロロ5-ヨ-ドピリミジン、2,4-ジクロロピリミジン、2-クロロ-4-メチルピリミジン、2-クロロ-5-フルオロピリミジン、2-クロロ-5-メチルピリミジン、2,4,6-トリクロロピリミジン、2,4,6-トリブチルピリミジン、4-クロロ-2-メチルピリミジン、ピリミジン-2-スルフォニルフルオライド、4,5,6-トリクロロピリミジン、5-ブロモ-2-tert-ブチルピリミジン、4-クロロ-2-(メチルチオ)ピリミジン、ピリミジン-5-カルボン酸、5-ブロモ-ヒロドキシピリミジン、2-アミノ-5-ブロモピリミジン、5-ブロモー2-メトキシピリミジン、5-クロロー2,4,6-トリフルオロピリミジン、ピリミジン-2-カルボン酸、メチルピリミジンー2-カルボキシレート、5-ニトロピリミジン、メチルー5-ブロモピリジンー2-カルボキシレート、ピリミジン-4-カルボン酸、2-アミノー5-ピリミジン、4-アミノピリミジン-5-カルボキシリト、2-アミノ-4-(トリフルオロメチル)ピリミジン、5-ブロモ-2,4-ジメトキシピリミジン、2-ヒドロキシ-4-(トリフルオロメチル)ピリミジン、6-トリフルオロメチルー4-ピリミジノール、エチルピリミジン-4-カルボキシレート、4,6-ジヒドロキシ-5-ニトロピリミジン、4,6-ジメトキシ-2-(メチルスルホニル)ピリミジン、6-ヒドロキシ-4-ピリミジンカルボン酸、4-ヒドロキシ-2-メチル-6-(トリフルオロメチル)ピリミジン、4-アミノ-5-フルオロ-2-メトキシピリミジン、2-ヒドラジノ-4-(トリフルオロメチル)ピリミジン、4-ヒドロキシ-6-(トリフルオロメチル)-4-ピリジミノール、4-フェニルピリミジン、5-ブロモ-2-(メチルチオ)ピリミジン-4-カルボン酸、4-アミノ-2,6-ジヒドロキシ-5-ニトロソピリミジン、エチル2-アミノ-4-ヒドロキシピリミジン-5-カルボン酸、2-ブロモ-4,6-ジフェニルピリミジン、2-アミノ-4,6-ジフェニルピリミジン
2-ブロモピラジン、2-クロロピラジン、3-クロロピラジン-2-カルボキシアミド、5-クロロピラジン-2-カルボン酸、シアノピラジン、2,5-ジブロモピラジンなどが挙げられる。
4-ブロモ-1H-イミダゾール、2-ブロモ-4-ニトロイミダゾール、2-クロロ-1H-イミダゾール、5-クロロ-1-メチル-4-ニトロイミダゾール、4,5-ジシアノイミダゾールなどが挙げられる。
本実施形態に用いられる(C)感光剤について説明する。感光剤としては、光ラジカル重合開始剤であることが好ましく、ベンゾフェノン、o-ベンゾイル安息香酸メチル、4-ベンゾイル-4’-メチルジフェニルケトン、ジベンジルケトン、フルオレノン等のベンゾフェノン誘導体、2,2’-ジエトキシアセトフェノン、2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等のアセトフェノン誘導体、チオキサントン、2-メチルチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントン等のチオキサントン誘導体、ベンジル、ベンジルジメチルケタ-ル、ベンジル-β-メトキシエチルアセタ-ル等のベンジル誘導体、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル等のベンゾイン誘導体、1-フェニル-1,2-ブタンジオン-2-(o-メトキシカルボニル)オキシム、1-フェニル-1,2-プロパンジオン-2-(o-メトキシカルボニル)オキシム、1-フェニル-1,2-プロパンジオン-2-(o-エトキシカルボニル)オキシム、1-フェニル-1,2-プロパンジオン-2-(o-ベンゾイル)オキシム、1,3-ジフェニルプロパントリオン-2-(o-エトキシカルボニル)オキシム、1-フェニル-3-エトキシプロパントリオン-2-(o-ベンゾイル)オキシム等のオキシム類、N-フェニルグリシン等のN-アリ-ルグリシン類、ベンゾイルパ-クロライド等の過酸化物類、芳香族ビイミダゾ-ル類、チタノセン類、α-(n-オクタンスルフォニルオキシイミノ)-4-メトキシベンジルシアニド等の光酸発生剤類等が好ましく挙げられるが、これらに限定されるものではない。上記の光重合開始剤の中では、特に光感度の点で、オキシム類がより好ましい。
で表されるオキシムエステル化合物が保存安定性や解像性の観点から特に好ましい。
で表されるオキシムエステル化合物である。
このようなオキシムエステル系光開始剤を用いることにより、保存安定性が高く、解像性が良好となる。
本実施形態の感光性樹脂組成物は、所望により、(D)熱塩基発生剤を含有してよい。塩基発生剤とは、加熱することで塩基を発生する化合物をいう。熱塩基発生剤を含有することで、感光性樹脂組成物のイミド化をさらに促進することができる。
溶剤としては、アミド類、スルホキシド類、ウレア類、ケトン類、エステル類、ラクトン類、エーテル類、ハロゲン化炭化水素類、炭化水素類、アルコール類等が挙げられ、例えば、N-メチル-2-ピロリドン、N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、テトラメチル尿素、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、シュウ酸ジエチル、乳酸エチル、乳酸メチル、乳酸ブチル、γ-ブチロラクトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ベンジルアルコール、フェニルグリコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、モルフォリン、ジクロロメタン、1,2-ジクロロエタン、1,4-ジクロロブタン、クロロベンゼン、o-ジクロロベンゼン、アニソール、ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン等を使用することができる。中でも、樹脂の溶解性、樹脂組成物の安定性、及び基板への接着性の観点から、N-メチル-2-ピロリドン、ジメチルスルホキシド、テトラメチル尿素、酢酸ブチル、乳酸エチル、γ-ブチロラクトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ベンジルアルコール、フェニルグリコール、及びテトラヒドロフルフリルアルコールが好ましい。
本実施形態の感光性樹脂組成物を用いて銅又は銅合金から成る基板上に硬化膜を形成する場合には、銅上の変色を抑制するために、ネガ型感光性樹脂組成物は、含窒素複素環化合物を任意に含んでもよい。含窒素複素環化合物としては、アゾール化合物、及びプリン誘導体等が挙げられる。
また、銅表面上の変色を抑制するために、ネガ型感光性樹脂組成物は、ヒンダードフェノール化合物を任意に含んでもよい。ヒンダードフェノール化合物としては、2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール、2,5-ジ-t-ブチル-ハイドロキノン、オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、イソオクチル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、4、4’-メチレンビス(2、6-ジ-t-ブチルフェノール)、4,4’-チオ-ビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)、4,4’-ブチリデン-ビス(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)、トリエチレングリコ-ル-ビス[3-(3-t-ブチル-5-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6-ヘキサンジオール-ビス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,2-チオ-ジエチレンビス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、N,N’-ヘキサメチレンビス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシ-ヒドロシンナマミド)、2,2’-メチレン-ビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、2,2’-メチレン-ビス(4-エチル-6-t-ブチルフェノール)、ペンタエリスリチル-テトラキス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、トリス-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)-イソシアヌレイト、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、1,3,5-トリス(3-ヒドロキシ-2,6-ジメチル-4-イソプロピルベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン、1,3,5-トリス(4-t-ブチル-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン、1,3,5-トリス(4-s-ブチル-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン、1,3,5-トリス[4-(1-エチルプロピル)-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルベンジル]-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン、
1,3,5-トリス[4-トリエチルメチル-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルベンジル]-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン、1,3,5-トリス(3-ヒドロキシ-2,6-ジメチル-4-フェニルベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン、1,3,5-トリス(4-t-ブチル-3-ヒドロキシ-2,5,6-トリメチルベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン、1,3,5-トリス(4-t-ブチル-5-エチル-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン、1,3,5-トリス(4-t-ブチル-6-エチル-3-ヒドロキシ-2-メチルベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン、1,3,5-トリス(4-t-ブチル-6-エチル-3-ヒドロキシ-2,5-ジメチルベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン、1,3,5-トリス(4-t-ブチル-5,6-ジエチル-3-ヒドロキシ-2-メチルベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン、
1,3,5-トリス(4-t-ブチル-3-ヒドロキシ-2-メチルベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン、1,3,5-トリス(4-t-ブチル-3-ヒドロキシ-2,5-ジメチルベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン、1,3,5-トリス(4-t-ブチル-5-エチル-3-ヒドロキシ-2-メチルベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン等が挙げられるが、これに限定されるものではない。これらの中でも、1,3,5-トリス(4-t-ブチル-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルベンジル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6-(1H,3H,5H)-トリオン等が特に好ましい。
本実施形態のネガ型感光性樹脂組成物は、有機チタン化合物を含有してもよい。有機チタン化合物を含有することにより、低温で硬化した場合であっても耐薬品性に優れる感光性樹脂層を形成できる。
有機チタン化合物の具体的例を以下のI)~VII)に示す:
I)チタンキレート化合物:中でも、ネガ型感光性樹脂組成物の保存安定性及び良好なパタ-ンが得られることから、アルコキシ基を2個以上有するチタンキレートがより好ましい。具体的な例は、チタニウムビス(トリエタノールアミン)ジイソプロポキサイド、チタニウムジ(n-ブトキサイド)ビス(2,4-ペンタンジオネート、チタニウムジイソプロポキサイドビス(2,4-ペンタンジオネート)、チタニウムジイソプロポキサイドビス(テトラメチルヘプタンジオネート)、チタニウムジイソプロポキサイドビス(エチルアセトアセテート)等である。
II)テトラアルコキシチタン化合物:例えば、チタニウムテトラ(n-ブトキサイド)、チタニウムテトラエトキサイド、チタニウムテトラ(2-エチルヘキソキサイド)、チタニウムテトライソブトキサイド、チタニウムテトライソプロポキサイド、チタニウムテトラメトキサイド、チタニウムテトラメトキシプロポキサイド、チタニウムテトラメチルフェノキサイド、チタニウムテトラ(n-ノニロキサイド)、チタニウムテトラ(n-プロポキサイド)、チタニウムテトラステアリロキサイド、チタニウムテトラキス[ビス{2,2-(アリロキシメチル)ブトキサイド}]等である。
III)チタノセン化合物:例えば、ペンタメチルシクロペンタジエニルチタニウムトリメトキサイド、ビス(η5-2,4-シクロペンタジエン-1-イル)ビス(2,6-ジフルオロフェニル)チタニウム、ビス(η5-2,4-シクロペンタジエン-1-イル)ビス(2,6-ジフルオロ-3-(1H-ピロ-ル-1-イル)フェニル)チタニウム等である。
IV)モノアルコキシチタン化合物:例えば、チタニウムトリス(ジオクチルホスフェート)イソプロポキサイド、チタニウムトリス(ドデシルベンゼンスルホネート)イソプロポキサイド等である。
V)チタニウムオキサイド化合物:例えば、チタニウムオキサイドビス(ペンタンジオネ-ト)、チタニウムオキサイドビス(テトラメチルヘプタンジオネート)、フタロシアニンチタニウムオキサイド等である。
VI)チタニウムテトラアセチルアセトネート化合物:例えば、チタニウムテトラアセチルアセトネート等である。
VII)チタネ-トカップリング剤:例えば、イソプロピルトリドデシルベンゼンスルホニルチタネート等である。
本実施形態のネガ型感光性樹脂組成物を用いて形成される膜と基材との接着性向上のために、ネガ型感光性樹脂組成物は、接着助剤を任意に含んでもよい。接着助剤としては、γ-アミノプロピルジメトキシシラン、N-(β-アミノエチル)-γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルジメトキシメチルシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ジメトキシメチル-3-ピペリジノプロピルシラン、ジエトキシ-3-グリシドキシプロピルメチルシラン、N-(3-ジエトキシメチルシリルプロピル)スクシンイミド、N-[3-(トリエトキシシリル)プロピル]フタルアミド酸、ベンゾフェノン-3,3’-ビス(N-[3-トリエトキシシリル]プロピルアミド)-4,4’-ジカルボン酸、ベンゼン-1,4-ビス(N-[3-トリエトキシシリル]プロピルアミド)-2,5-ジカルボン酸、3-(トリエトキシシリル)プロピルスクシニックアンハイドライド、N-フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン、3-ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3-ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3-(トリアルコキシシリル)プロピルスクシン酸無水物等のシランカップリング剤、及びアルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート等のアルミニウム系接着助剤等が挙げられる。
本実施形態のネガ型感光性樹脂組成物は、光感度を向上させるために、増感剤を任意に含んでもよい。該増感剤としては、例えば、ミヒラーズケトン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、2,5-ビス(4’-ジエチルアミノベンザル)シクロペンタン、2,6-ビス(4’-ジエチルアミノベンザル)シクロヘキサノン、2,6-ビス(4’-ジエチルアミノベンザル)-4-メチルシクロヘキサノン、4,4’-ビス(ジメチルアミノ)カルコン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)カルコン、p-ジメチルアミノシンナミリデンインダノン、p-ジメチルアミノベンジリデンインダノン、2-(p-ジメチルアミノフェニルビフェニレン)-ベンゾチアゾール、2-(p-ジメチルアミノフェニルビニレン)ベンゾチアゾール、2-(p-ジメチルアミノフェニルビニレン)イソナフトチアゾール、1,3-ビス(4’-ジメチルアミノベンザル)アセトン、1,3-ビス(4’-ジエチルアミノベンザル)アセトン、3,3’-カルボニル-ビス(7-ジエチルアミノクマリン)、3-アセチル-7-ジメチルアミノクマリン、3-エトキシカルボニル-7-ジメチルアミノクマリン、3-ベンジロキシカルボニル-7-ジメチルアミノクマリン、3-メトキシカルボニル-7-ジエチルアミノクマリン、3-エトキシカルボニル-7-ジエチルアミノクマリン、N-フェニル-N’-エチルエタノールアミン、N-フェニルジエタノールアミン、N-p-トリルジエタノールアミン、N-フェニルエタノールアミン、4-モルホリノベンゾフェノン、ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、ジエチルアミノ安息香酸イソアミル、2-メルカプトベンズイミダゾール、1-フェニル-5-メルカプトテトラゾール、2-メルカプトベンゾチアゾール、2-(p-ジメチルアミノスチリル)ベンズオキサゾール、2-(p-ジメチルアミノスチリル)ベンズチアゾール、2-(p-ジメチルアミノスチリル)ナフト(1,2-d)チアゾール、2-(p-ジメチルアミノベンゾイル)スチレン等が挙げられる。これらは単独で又は例えば2~5種類の組合せで用いることができる。
ネガ型感光性樹脂組成物は、レリーフパターンの解像性を向上させるために、光重合性の不飽和結合を有するモノマーを任意に含んでもよい。このようなモノマーとしては、光重合開始剤によりラジカル重合反応する(メタ)アクリル化合物が好ましく、特に以下に限定するものではないが、ジエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレートなどの、エチレングリコール又はポリエチレングリコールのモノ又はジアクリレート及びメタクリレート、プロピレングリコール又はポリプロピレングリコールのモノ又はジアクリレート及びメタクリレート、グリセロールのモノ、ジ又はトリアクリレート及びメタクリレート、シクロヘキサンジアクリレート及びジメタクリレート、1,4-ブタンジオールのジアクリレート及びジメタクリレート、1,6-ヘキサンジオールのジアクリレート及びジメタクリレート、ネオペンチルグリコールのジアクリレート及びジメタクリレート、ビスフェノールAのモノ又はジアクリレート及びメタクリレート、ベンゼントリメタクリレート、イソボルニルアクリレート及びメタクリレート、アクリルアミド及びその誘導体、メタクリルアミド及びその誘導体、トリメチロールプロパントリアクリレート及びメタクリレート、グリセロールのジ又はトリアクリレート及びメタクリレート、ペンタエリスリトールのジ、トリ、又はテトラアクリレート及びメタクリレート、並びにこれら化合物のエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイド付加物等の化合物を挙げることができる。
また、本実施形態のネガ型感光性樹脂組成物は、特に溶剤を含む溶液の状態での保存時のネガ型感光性樹脂組成物の粘度及び光感度の安定性を向上させるために、熱重合禁止剤を任意に含んでもよい。熱重合禁止剤としては、ヒドロキノン、N-ニトロソジフェニルアミン、p-tert-ブチルカテコール、フェノチアジン、N-フェニルナフチルアミン、エチレンジアミン四酢酸、1,2-シクロヘキサンジアミン四酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸、2,6-ジ-tert-ブチル-p-メチルフェノール、5-ニトロソ-8-ヒドロキシキノリン、1-ニトロソ-2-ナフト-ル、2-ニトロソ-1-ナフト-ル、2-ニトロソ-5-(N-エチル-N-スルホプロピルアミノ)フェノール、N-ニトロソ-N-フェニルヒドロキシルアミンアンモニウム塩、N-ニトロソ-N(1-ナフチル)ヒドロキシルアミンアンモニウム塩等が用いられる。
上記ポリイミド前駆体組成物を硬化して得られるポリイミドは、下記一般式(V-A)で表される構造を有する。
一般式(V-9)中の好ましいX1、Y1、n1は、同じ理由により、一般式(V-A)中のX1、Y1、mにおいても好ましい。
また、本発明は、(1)上述した本発明のネガ型感光性樹脂組成物を基板上に塗布して、樹脂層を上記基板上に形成する工程と、(2)上記樹脂層を露光する工程と、(3)露光後の上記樹脂層を現像してレリーフパタ-ンを形成する工程と、(4)上記レリーフパタ-ンを加熱処理して、硬化レリーフパターンを形成する工程とを含む、硬化レリーフパターンの製造方法を提供する。
本工程では、本発明のネガ型感光性樹脂組成物を基材上に塗布し、必要に応じて、その後乾燥させて、樹脂層を形成する。塗布方法としては、従来から感光性樹脂組成物の塗布に用いられていた方法、例えば、スピンコーター、バーコーター、ブレードコーター、カーテンコーター、スクリーン印刷機等で塗布する方法、スプレーコーターで噴霧塗布する方法等を用いることができる。
本工程では、上記で形成した樹脂層を、コンタクトアライナー、ミラープロジェクション、ステッパー等の露光装置を用いて、パターンを有するフォトマスク又はレチクルを介して又は直接に、紫外線光源等により露光する。
本工程では、露光後の感光性樹脂層のうち未露光部を現像除去する。露光(照射)後の感光性樹脂層を現像する現像方法としては、従来知られているフォトレジストの現像方法、例えば、回転スプレー法、パドル法、超音波処理を伴う浸漬法等の中から任意の方法を選択して使用することができる。また、現像の後、レリーフパターンの形状を調整する等の目的で、必要に応じて、任意の温度及び時間の組合せによる現像後ベークを施してもよい。
本工程では、上記現像により得られたレリーフパターンを加熱して感光成分を希散させるとともに、(A)ポリイミド前駆体をイミド化させることによって、ポリイミドから成る硬化レリーフパターンに変換する。加熱硬化の方法としては、例えば、ホットプレートによるもの、オーブンを用いるもの、温度プログラムを設定できる昇温式オーブンを用いるもの等種々の方法を選ぶことができる。加熱は、例えば、170℃~400℃で30分~5時間の条件で行うことができる。加熱硬化時の雰囲気気体としては空気を用いてもよく、窒素、アルゴン等の不活性ガスを用いることもできる。
本実施形態では、上述した硬化レリーフパターンの製造方法により得られる硬化レリーフパターンを有する、半導体装置も提供される。したがって、半導体素子である基材と、上述した硬化レリーフパターン製造方法により該基材上に形成されたポリイミドの硬化レリーフパターンとを有する半導体装置が提供されることができる。また、本発明は、基材として半導体素子を用い、上述した硬化レリーフパターンの製造方法を工程の一部として含む半導体装置の製造方法にも適用できる。本発明の半導体装置は、上記硬化レリーフパターン製造方法で形成される硬化レリーフパターンを、表面保護膜、層間絶縁膜、再配線用絶縁膜、フリップチップ装置用保護膜、又はバンプ構造を有する半導体装置の保護膜等として形成し、既知の半導体装置の製造方法と組合せることで製造することができる。
本実施形態では、表示体素子と該表示体素子の上部に設けられた硬化膜とを備える表示体装置であって、該硬化膜は上述の硬化レリーフパターンである表示体装置が提供される。ここで、当該硬化レリーフパターンは、当該表示体素子に直接接して積層されていてもよく、別の層を間に挟んで積層されていてもよい。例えば、該硬化膜として、TFT液晶表示素子及びカラーフィルター素子の表面保護膜、絶縁膜、及び平坦化膜、MVA型液晶表示装置用の突起、並びに有機EL素子陰極用の隔壁を挙げることができる。
(1)重量平均分子量
各樹脂の重量平均分子量(Mw)を、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(標準ポリスチレン換算)を用いて以下の条件に手測定した。
カラム:昭和電工(株)製、商品名「Shodex 805M/806M直列」
標準単分散ポリスチレン:昭和電工(株)製、商品名「Shodex STANDA
RD SM-105」
展開溶媒:N-メチル-2-ピロリドン
検出器:昭和電工(株)製、商品名「Shodex RI-930」
6インチシリコンウェハ(フジミ電子工業株式会社製、厚み625±25μm)上に、スパッタ装置(L-440S-FHL型、キヤノンアネルバ社製)を用いて200nm厚のTi、及び400nm厚のCuをこの順にスパッタした。続いて、このウェハのCu上に、後述の方法により調製した感光性樹脂組成物をコーターデベロッパー(D-Spin60A型、SOKUDO社製)を用いて回転塗布し、乾燥することにより10μm厚の塗膜を形成した。この塗膜に、テストパターン付マスクを介して、プリズマGHI(ウルトラテック社製)により、500mJ/cm2のエネルギーの紫外線を照射した。次いで、現像液としてシクロペンタノンを用いて、コーターデベロッパー(D-Spin60A型、SOKUDO社製)でこの塗膜をスプレー現像し、プロピレングリコールメチルエーテルアセテートでリンスすることにより、Cu上のレリーフパターンを得た。
Cu上にレリーフパターンを形成したウェハを、昇温プログラム式キュア炉(VF-2000型、光洋リンドバーグ社製)を用いて、窒素雰囲気下、200℃にて2時間加熱処理することにより、Cu上に約6~7μm厚の樹脂から成る硬化レリーフパターンを得た。
上記の方法で得た硬化レリーフパターンを光学顕微鏡下で観察し、最少開口パターンのサイズを求めた。このとき、得られたパターンの開口部の面積が、対応するパターンマスク開口面積の1/2以上であれば、解像されたものとみなし、解像された開口部のうち最小面積を有するものに対応するマスク開口辺の長さを解像度とした。
解像度が10μm未満のものを「優」、10μm以上12μm未満のものを「良」、12μm以上14μm未満のものを「可」、14μm以上のものを「不可」とした。
Cu上に該硬化レリーフパターンを形成したウェハを、昇温プログラム式キュア炉(VF-2000型、光洋リンドバーグ社製)を用いて、空気中、150℃で168時間加熱した。続いて、プラズマ表面処理装置(EXAM型、神港精機社製)を用いて、Cu上の樹脂層を全てプラズマエッチングにより除去した。プラズマエッチング条件は下記の通りである。
出力:133W
ガス種・流量:O2(40mL/分)+CF4(1mL/分)
ガス圧:50Pa
モード:ハードモード
エッチング時間:1800秒
樹脂層をすべて除去したCuの表面を、FE-SEM(S-4800型、日立ハイテクノロジーズ社製)によって観察し、画像解析ソフト(A像くん、旭化成社製)を用いて、Cuの表面に占めるボイドの面積を算出した。比較例4に記載の感光性樹脂組成物を評価した際のボイドの総面積を100%とした際に、ボイドの総面積の比率が50%未満のものを「優」、50%以上75%未満のものを「良」、75%以上100%未満のものを「可」100%以上のものを「不可」と判定した。
6インチシリコンウェハ上に、硬化後の膜厚が約7μmとなるように感光性樹脂組成物をスピン塗布乾燥した。その後、アライナー(PLA-501F、キャノン社製)を用いて露光量600mJ/cm2のghi線でウェハを全面露光した後、昇温プログラム式キュア炉(VF-2000型、光洋リンドバーグ社製)を用いて、窒素雰囲気下、200℃で2時間加熱して硬化ポリイミド塗膜を得た。硬化ポリイミド塗膜を高度加速寿命試験装置(EHA-221M、エスペック社製)中、2気圧、121℃、100%RHにて168時間保存した。その後、ポリイミド塗膜をダイシングソー(DAD3350型、DISCO社製)を用いて3mm幅の短冊状にカットした後、46%フッ化水素酸を用いてシリコンウェハから剥がしてポリイミドテープとした。得られたポリイミドテープの引張り伸度を、引張試験機(UTM-II-20型、オリエンテック社製)を用いて、ASTM D882-09に従って測定した。
4,4’-オキシジフタル酸二無水物(ODPA)155.1g(0.5mol)を2L容量のセパラブルフラスコに入れ、次いでグリセロールジメタクリレート(東京化成社品、1,2-体及び1,3-体の混合物;以下、「GDM」と表記)251.1g(1.1mol)及びγ―ブチロラクトン400mLを入れ、攪拌しながらピリジン79.1gを加えた後、オイルバスを用いて70℃にて5時間攪拌して、反応混合物を得た。反応終了後に室温まで放冷し、16時間放置した。
次に、得られた反応混合物を攪拌しながら、氷冷下において、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)206.3gをγ-ブチロラクトン180mLに溶解した溶液を40分かけて加え、続いて4,4’-オキシジアニリン(ODA)90.1gをγ-ブチロラクトン350mLに懸濁した懸濁液を、60分かけて加えた。室温で2時間攪拌した後、エチルアルコール30mLを加えて更に1時間攪拌し、次に、γ-ブチロラクトン400mLを加えた。反応混合物をろ過して、に生じた沈殿物を取り除き、反応液を得た。
得られた反応液を3Lのエチルアルコールに加えて、粗ポリマーを沈殿させた。沈殿した粗ポリマーを濾取し、テトラヒドロフラン1.5Lに溶解して粗ポリマー溶液を得た。得られた粗ポリマー溶液を、28Lの水に滴下してポリマーを再沈殿させた。得られた再沈殿物を濾取した後、真空乾燥することにより、粉末状のポリマー(ポリマーA-1)を得た。ポリマー(A)-1の分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(標準ポリスチレン換算)で測定したところ、重量平均分子量(Mw)は25,000であった。
製造例1の4,4’-オキシジフタル酸二無水物(ODPA)155.1gに代えて、ビフェニル-3,3’,4,4’-テトラカルボン酸二無水物(BPDA)147.1gを用いた以外は、前述の製造例1に記載の方法と同様にして反応を行い、ポリマーA-2を得た。ポリマーA-2の分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(標準ポリスチレン換算)で測定したところ、重量平均分子量(Mw)は23,000であった。
製造例1の4,4’-オキシジアニリン(ODA)93.0gに代えて、p-フェニレンジアミン48.7gを用いた以外は、前述の製造例1に記載の方法と同様にして反応を行い、ポリマーA-3を得た。ポリマーA-3の分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(標準ポリスチレン換算)で測定したところ、重量平均分子量(Mw)は21,000であった。
製造例1のGDM251.1gに代えて、GDM148.4g(0.65mol)及び2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)58.6g(0.45mol)を用いた以外は、前述の製造例1に記載の方法と同様にして反応を行い、ポリマーA-4を得た。ポリマーA-4の分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(標準ポリスチレン換算)で測定したところ、重量平均分子量(Mw)は24,000であった。
製造例1のGDM251.1gに代えて、GDM91.3g(0.4mol)及び2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)91.1g(0.7mol)を用いた以外は、前述の製造例1に記載の方法と同様にして反応を行い、ポリマーA-5を得た。ポリマーA-5の分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(標準ポリスチレン換算)で測定したところ、重量平均分子量(Mw)は22,000であった。
製造例1のGDM251.1gに代えて、ペンタエリトリトールトリアクリレート328.1g(1.1mol)を用いた以外は、前述の製造例1に記載の方法と同様にして反応を行い、ポリマーA-6を得た。ポリマーA-6の分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(標準ポリスチレン換算)で測定したところ、重量平均分子量(Mw)は28,000であった。
4,4’-オキシジフタル酸二無水物(ODPA)155.1gを2L容量のセパラブルフラスコに入れ、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)131.2g及びγ-ブチロラクトン400mLを入れて室温下で攪拌した。更に、攪拌を継続しながらピリジン81.5gを加えて、反応混合物を得た。反応による発熱の終了後に反応混合物を室温まで放冷し、16時間静置した。
次に、得られた反応混合物を撹拌しながら、氷冷下において、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)206.3gをγ-ブチロラクトン180mLに溶解した溶液を、40分掛けて反応混合物に加え、続いて4,4’-オキシジアニリン(ODA)93.0gをγ-ブチロラクトン350mLに懸濁したものを60分掛けて加えた。更に室温で2時間攪拌した後、エチルアルコール30mLを加えて1時間攪拌し、次に、γ-ブチロラクトン400mLを加えた。反応をろ過して生じた沈殿物を取り除き、反応液を得た。
得られた反応液を3Lのエチルアルコールに加えて、粗ポリマーを沈殿させた。沈殿した粗ポリマーを濾取し、テトラヒドロフラン1.5Lに溶解して粗ポリマー溶液を得た。得られた粗ポリマー溶液を、28Lの水に滴下してポリマーを再沈殿させた。得られた再沈殿物を、濾取した後、真空乾燥することにより、粉末状のポリマー(ポリマーE-1)を得た。ポリマー(E-1)の分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(標準ポリスチレン換算)で測定したところ、重量平均分子量(Mw)は20,000であった。
容量1Lのナス型フラスコ中へ、ジエチレングリコールビス(3-アミノプロピル)エーテル(東京化成工業株式会社製)100g及びエタノール100gを加えてスターラーで混合撹拌して均一溶液とし、氷水で5℃以下に冷却した。これに、二炭酸ジ-tert-ブチル(東京化成工業株式会社製)215gをエタノール120gに溶解したものを滴下ロートにより滴下した。このとき、反応液温が50℃以下を保つように滴下速度を調整しながら滴下を行った。滴下終了から2時間後、反応液を50℃で3時間減圧濃縮することにより、式tBu-OCO-C3H6-O-(C2H5-O)2-C3H6-COO-tBuで表される化合物D-1を得た。
ポリイミド前駆体A-1を用いて以下の方法でネガ型感光性樹脂組成物を調製し、調製した組成物の評価を行った。
(A)ポリイミド前駆体としてA-1:100g、及び(B)光重合開始剤として1-フェニル-1,2-プロパンジオン-2-(O-エトキシカルボニル)-オキシム(B-1):3gを、γ-ブチルラクトン(以下ではGBLと表記):100gに溶解した。得られた溶液の粘度を、少量のGBLを更に加えることによって、約40ポイズに調整し、ネガ型感光性樹脂組成物とした。得られた組成物を、前述の方法に従って評価した。結果を表1に示す。
各成分を表1に示すとおりに配合することにより、ネガ型感光性樹脂組成物を調製し、実施例1と同様に評価を行った。結果を表1に示す。
表1に記載されている(B)光重合開始剤B-1、(C)防錆剤、並びに(D)熱塩基発生剤D-1及びD-2は、それぞれ以下のとおりである。
B-1:1-フェニル-1,2-プロパンジオン-2-(O-エトキシカルボニル)-オキシム
C-1:8-アザアデニン(東京化成工業株式会社製)
D-1:製造例8で合成した化合物D-1
D-2:1-(tert-ブトキシカルボニル)-4-ヒドロキシピペリジン(東京化成工業株式会社製)
特に、ポリイミド前駆体A-1~A-3を用いた実施例1~3、8、及び9では、優れた解像性を示した。
また、(A)ポリイミド前駆体100質量部を基準として、0.1質量部の8-アザアデニン((C)防錆剤)加えた実施例7~9では、特に優れた銅ボイド評価結果が得られた。
更に、(D)熱塩基発生剤D-1又はD-2を加えた実施例8及び9では、特に優れた高温高湿下保管後伸度を示した。
他方、本発明所定の(A)ポリイミド前駆体を用いない比較例1では、解像性、及び銅ボイド評価で「不可」となり、高温高湿下保管後伸度も5%と非常に低い値を示した。
(1)重量平均分子量
各樹脂の重量平均分子量(Mw)をゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(標準ポリスチレン換算)で測定した。測定に用いたカラムは昭和電工(株)製の商標名「Shodex 805M/806M直列」であり、標準単分散ポリスチレンは、昭和電工(株)製の商標名「Shodex STANDARD SM-105」を選択し、展開溶媒はN-メチル-2-ピロリドンであり、検出器は昭和電工(株)製の商標名「Shodex RI-930」を使用した。
感光性樹脂組成物の調製後、室温(23.0℃±0.5℃、相対湿度50%±10%)で3日間攪拌した状態を初期とし、その後室温で4週間静置した際の、樹脂組成物の粘度変化率を測定した。粘度測定は、23.0℃にて、E型粘度計(RE-80R、東機産業株式会社製)を用いて行った。評価結果として、粘度変化率が5%以内のものを「良好」、5%を超えるものまたは樹脂組成物がゲル化して測定不能だったものを「不良」とした。
6インチシリコンウェハ(フジミ電子工業株式会社製、厚み625±25μm)上に、スパッタ装置(L-440S-FHL型、キヤノンアネルバ社製)を用いて200nm厚のTi、400nm厚のCuをこの順にスパッタした。続いて、このウェハ上に、後述の方法により調製した感光性樹脂組成物をコーターデベロッパー(D-Spin60A型、SOKUDO社製)を用いて回転塗布し、乾燥することにより10μm厚の塗膜を形成した。この塗膜に、テストパターン付マスクを用いて、プリズマGHI(ウルトラテック社製)により500mJ/cm2のエネルギーを照射した。次いで、この塗膜を、現像液としてシクロペンタノンを用いてコーターデベロッパー(D-Spin60A型、SOKUDO社製)でスプレー現像し、プロピレングリコールメチルエーテルアセテートでリンスすることにより、Cu上のレリーフパターンを得た。
Cu上に該レリーフパターンを形成したウェハを、昇温プログラム式キュア炉(VF-2000型、光洋リンドバーグ社製)を用いて、窒素雰囲気下、170℃で2時間加熱処理することにより、Cu上に約6~7μm厚の樹脂からなる硬化レリーフパターンを得た。
上記硬化レリーフパターン樹脂部をATR-FTIR測定装置(Nicolet Continuum、Thermo Fisher Scientific社製)にてSiプリズムを用いて測定し、1380cm-1のピーク強度を1500cm-1のピーク強度で割った値をイミド化指数とし、各実施例及び比較例の膜のイミド化指数を、該当する樹脂組成物を350℃で硬化した膜のイミド化指数で割った値をイミド率として算出した。
上記(3)の方法で作製したレリーフパターンを、レジスト剥離膜{ATMI社製、製品名ST-44、主成分は2-(2-アミノエトキシ)エタノール、1-シクロヘキシル-2-ピロリドン}を50℃に加熱したものに5分間浸漬し、流水で30分間洗浄し、風乾した。その後、膜表面を光学顕微鏡で目視観察し、クラック等の薬液によるダメージの有無、及び薬液処理後の膜厚の変化率をもって耐薬品性を評価した。耐薬品性は、以下の基準に基づき、評価した。
「優」:膜厚変化率が薬液浸漬前の膜厚を基準として5%未満
「良」:膜厚変化率が薬液浸漬前の膜厚を基準として5%以上10%未満
「可」:膜厚変化率が薬液浸漬前の膜厚を基準として10%以上15%未満
「不可」:膜厚変化率が薬液浸漬前の膜厚を基準として15%以上
6インチシリコンウェハ上に、硬化後の膜厚が約10μmとなるように感光性樹脂組成物を回転塗布し、100℃で180秒間ホットプレートにてプリベークを行った後、昇温プログラム式キュア炉(VF-2000型、光洋リンドバーグ社製)を用いて、窒素雰囲気下、170℃で2時間加熱して硬化ポリイミド塗膜を得た。膜厚は膜厚測定装置、ラムダエース(大日本スクリーン社製)にて測定した。得られたポリイミド塗膜を削り取り、熱重量測定装置(島津社製、TGA-50)を用いて、室温から10℃/minで昇温した際に、170℃に達した際の膜の重量を100%として重量が5%減少する温度(5%重量減少温度)を測定した。
4,4’-オキシジフタル酸二無水物(ODPA)155.1gを2L容量のセパラブルフラスコに入れ、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)117.1g及び2-(N-エチルアニリノ)エタノール16.5gとγ-ブチロラクトン400mLを入れて室温下で攪拌し、攪拌しながらピリジン79.1gを加えて反応混合物を得た。反応による発熱の終了後に室温まで放冷し、16時間放置した。
次に、氷冷下において、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)206.3gをγ-ブチロラクトン180mLに溶解した溶液を攪拌しながら40分かけて反応混合物に加え、続いて4,4’-オキシジアニリン(ODA)90.1gをγ-ブチロラクトン350mLに懸濁したものを攪拌しながら60分かけて加えた。更に室温で2時間攪拌した後、エチルアルコール30mLを加えて1時間攪拌し、次に、γ-ブチロラクトン400mLを加えた。反応混合物に生じた沈殿物をろ過により取り除き、反応液を得た。
得られた反応液を3Lのエチルアルコールに加えて粗ポリマーから成る沈殿物を生成した。生成した粗ポリマーを濾別し、テトラヒドロフラン1.5Lに溶解して粗ポリマー溶液を得た。得られた粗ポリマー溶液を28Lの水に滴下してポリマーを沈殿させ、得られた沈殿物を濾別した後、真空乾燥して粉末状のポリマー(ポリマーA-1)を得た。ポリマー(A-1)の分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(標準ポリスチレン換算)で測定したところ、重量平均分子量(Mw)は29,000であった。
ポンプ:JASCO PU-980
検出器:JASCO RI-930
カラムオーブン:JASCO CO-965 40℃
カラム:Shodex KD-806M 直列に2本
移動相:0.1mol/L LiBr/NMP
流速:1mL/min.
製造例1の2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)117.1g及び2-(N-エチルアニリノ)エタノール16.5gに代えて、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)を78.1g、2-(N-エチルアニリノ)エタノールを66.1g用いた以外は、前述の製造例1に記載の方法と同様にして反応を行い、ポリマー(A-2)を得た。ポリマー(A-2)の分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(標準ポリスチレン換算)で測定したところ、重量平均分子量(Mw)は26,000であった。
製造例1の2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)117.1g及び2-(N-エチルアニリノ)エタノール16.5gに代えて、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)を26.0g、2-(N-エチルアニリノ)エタノールを132.2g用いた以外は、前述の製造例1に記載の方法と同様にして反応を行い、ポリマー(A-3)を得た。ポリマー(A-3)の分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(標準ポリスチレン換算)で測定したところ、重量平均分子量(Mw)は25,000であった。
製造例1の2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)117.1g及び2-(N-エチルアニリノ)エタノール16.5gに代えて、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)を127.5g、2-(N-エチルアニリノ)エタノールを3.3g用いた以外は、前述の製造例1に記載の方法と同様にして反応を行い、ポリマー(A-4)を得た。ポリマー(A-4)の分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(標準ポリスチレン換算)で測定したところ、重量平均分子量(Mw)は28,000であった。
製造例1の4,4’-オキシジフタル酸二無水物(ODPA)155.1gに代えて、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)147.1gを用いた以外は、前述の製造例1に記載の方法と同様にして反応を行い、ポリマー(A-5)を得た。ポリマー(A-5)の分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(標準ポリスチレン換算)で測定したところ、重量平均分子量(Mw)は26,000であった。
製造例1の4,4’-オキシジアニリン(ODA)93.0gに代えて、p-フェニレンジアミン48.7gを用いた以外は、前述の製造例1に記載の方法と同様にして反応を行い、ポリマー(A-6)を得た。ポリマー(A-6)の分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(標準ポリスチレン換算)で測定したところ、重量平均分子量(Mw)は24,000であった。
製造例1の2-(N-エチルアニリノ)エタノールに代えて、4-(ジメチルアミノ)ベンジルアルコール15.1gを用いた以外は、前述の製造例1に記載の方法と同様にして反応を行い、ポリマー(A-7)を得た。ポリマー(A-7)の分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(標準ポリスチレン換算)で測定したところ、重量平均分子量(Mw)は26,000であった。
N-メチルエタノールアミン7.5gおよびγ-ブチロラクトン50mLを2L容量のセパラブルフラスコに入れて攪拌し、二炭酸ジ-tert-ブチル21.9gをγ-ブチロラクトン22mLに溶解させた溶液を滴下ロートより滴下した。室温にて3時間攪拌後、高速液体クロマトグラフィーによりN-メチルエタノールアミンのアミノ基が100%tert-ブトキシカルボニル基で保護されていることを確認した。
次に、同じセパラブルフラスコに、4,4’-オキシジフタル酸二無水物(ODPA)155.1gを入れ、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)117.1gとγ―ブチロラクトン350mLを入れて室温下で攪拌し、攪拌しながらピリジン79.1gを加えて反応混合物を得た。反応による発熱の終了後に室温まで放冷し、16時間放置した。
次に、氷冷下において、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)206.3gをγ-ブチロラクトン180mLに溶解した溶液を攪拌しながら40分かけて反応混合物に加え、続いて4,4’-オキシジアニリン(ODA)90.1gをγ-ブチロラクトン350mLに懸濁したものを攪拌しながら60分かけて加えた。更に室温で2時間攪拌した後、エチルアルコール30mLを加えて1時間攪拌し、次に、γ-ブチロラクトン400mLを加えた。反応混合物に生じた沈殿物をろ過により取り除き、反応液を得た。
得られた反応液を3Lのエチルアルコールに加えて粗ポリマーから成る沈殿物を生成した。生成した粗ポリマーを濾別し、テトラヒドロフラン1.5Lに溶解して粗ポリマー溶液を得た。得られた粗ポリマー溶液を28Lの水に滴下してポリマーを沈殿させ、得られた沈殿物を濾別した後、真空乾燥して粉末状のポリマー(ポリマーA-8)を得た。ポリマー(A-8)の分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(標準ポリスチレン換算)で測定したところ、重量平均分子量(Mw)は28,000であった。
N-メチルエタノールアミン7.5gおよびγ―ブチロラクトン20mLを2L容量のセパラブルフラスコに入れて攪拌し、クロロ蟻酸9-フルオレニルメチル26.3gをγ-ブチロラクトン30mLに溶解させた溶液を滴下ロートより滴下した。室温にて終夜攪拌後、高速液体クロマトグラフィーによりN-メチルエタノールアミンのアミノ基が100%9-フルオレニルメチルオキシカルボニル基で保護されていることを確認した。
次に、同じセパラブルフラスコに、4,4’-オキシジフタル酸二無水物(ODPA)155.1gを入れ、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)117.1gとγ―ブチロラクトン350mLを入れて室温下で攪拌し、攪拌しながらピリジン79.1gを加えて反応混合物を得た。反応による発熱の終了後に室温まで放冷し、16時間放置した。
次に、氷冷下において、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)206.3gをγ-ブチロラクトン180mLに溶解した溶液を攪拌しながら40分かけて反応混合物に加え、続いて4,4’-オキシジアニリン(ODA)90.1gをγ-ブチロラクトン350mLに懸濁したものを攪拌しながら60分かけて加えた。更に室温で2時間攪拌した後、エチルアルコール30mLを加えて1時間攪拌し、次に、γ-ブチロラクトン400mLを加えた。反応混合物に生じた沈殿物をろ過により取り除き、反応液を得た。
得られた反応液を3Lのエチルアルコールに加えて粗ポリマーから成る沈殿物を生成した。生成した粗ポリマーを濾別し、テトラヒドロフラン1.5Lに溶解して粗ポリマー溶液を得た。得られた粗ポリマー溶液を28Lの水に滴下してポリマーを沈殿させ、得られた沈殿物を濾別した後、真空乾燥して粉末状のポリマー(ポリマーA-9)を得た。ポリマー(A-9)の分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(標準ポリスチレン換算)で測定したところ、重量平均分子量(Mw)は24,000であった。
4,4’-オキシジフタル酸二無水物(ODPA)155.1gを2L容量のセパラブルフラスコに入れ、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)131.2gとγ-ブチロラクトン400mLを入れて室温下で攪拌し、攪拌しながらピリジン81.5gを加えて反応混合物を得た。反応による発熱の終了後に反応混合物を室温まで放冷し、16時間放置した。
次に、氷冷下において、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)206.3gをγ-ブチロラクトン180mLに溶解した溶液を攪拌しながら40分掛けて反応混合物に加え、続いて4,4’-オキシジアニリン(ODA)93.0gをγ-ブチロラクトン350mLに懸濁したものを攪拌しながら60分掛けて加えた。更に室温で2時間攪拌した後、エチルアルコール30mLを加えて1時間攪拌し、次に、γ-ブチロラクトン400mLを加えた。反応混合物に生じた沈殿物をろ過により取り除き、反応液を得た。
得られた反応液を3Lのエチルアルコールに加えて粗ポリマーから成る沈殿物を生成した。生成した粗ポリマーを濾別し、テトラヒドロフラン1.5Lに溶解して粗ポリマー溶液を得た。得られた粗ポリマー溶液を28Lの水に滴下してポリマーを沈殿させ、得られた沈殿物を濾別した後、真空乾燥して粉末状のポリマー(ポリマーE-1)を得た。ポリマー(E-1)の分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(標準ポリスチレン換算)で測定したところ、重量平均分子量(Mw)は20,000であった。
製造例10の4,4’-オキシジフタル酸二無水物(ODPA)155.1gに代えて、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)147.1gを用いた以外は、前述の製造例5に記載の方法と同様にして反応を行い、ポリマー(E-2)を得た。ポリマー(E-2)の分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(標準ポリスチレン換算)で測定したところ、重量平均分子量(Mw)は26,000であった。
ポリイミド前駆体A-1を用いて以下の方法でネガ型感光性樹脂組成物を調製し、調製した組成物の評価を行った。(A)ポリイミド前駆体としてA-1:100g、(B)光重合開始剤として1-フェニル-1,2-プロパンジオン-2-(O-エトキシカルボニル)-オキシム(以下ではPDOと表記):5gを、γ-ブチロラクトン(以下ではGBLと表記):100gに溶解した。得られた溶液の粘度を、少量のGBLをさらに加えることによって、約40ポイズに調整し、ネガ型感光性樹脂組成物とした。該組成物を、前述の方法に従って評価した。結果を表1に示す。
表2に示すとおりの配合比で調製したこと以外は、実施例1と同様のネガ型感光性樹脂組成物を調製し、実施例1と同様の評価を行った。その結果を表2及び3に示す。表2及び3に記載されている(C)化合物C-1~C-3は、それぞれ以下のとおりである。
C-2:N-(tert-ブトキシカルボニル-N-メチル-2-アミノエタノール)
C-3:N-メチル-2-アミノエタノール
これに対し、比較例1では、保存安定性は「良好」であったが、イミド化率は40%となり、5%重量減少温度は260℃となった。耐薬品性試験の結果、膜厚変化率が浸漬前の膜厚を基準とすると15%変化しており、評価は「不可」となった。
比較例2では、保存安定性は「良好」であったが、イミド化率は40%となり、5%重量減少温度は260℃となった。耐薬品性試験の結果、膜厚変化率が浸漬前の膜厚を基準とすると15%変化しており、評価は「不可」となった。
比較例3では、保存安定性は「良好」であったが、イミド化率は30%となり、5%重量減少温度は250℃となった。耐薬品性試験の結果、膜厚変化率が浸漬前の膜厚を基準とすると15%変化しており、評価は「不可」となった。
比較例4では、樹脂組成物の調製後、室温で3日間攪拌した状態で既にゲル化しており、粘度測定不能であったため、保存安定性は「不良」となった。樹脂組成物はゲル化したため、他の試験は不能であった。
実施例、比較例、及び製造例における感光性樹脂組成物の物性は、以下の方法に従って測定及び評価した。
(1)重量平均分子量
各感光性樹脂の重量平均分子量(Mw)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(標準ポリスチレン換算)により測定した。測定に用いたカラムは昭和電工社製 商標名 Shodex 805M/806M直列であり、標準単分散ポリスチレンは、昭和電工(株)製Shodex STANDARD SM-105を選び、展開溶媒はN-メチル-2-ピロリドンであり、検出器は昭和電工製 商標名 Shodex RI-930を使用した。
6インチシリコンウェハ(フジミ電子工業株式会社製、厚み625±25μm)上に、スパッタ装置(L-440S-FHL型、キヤノンアネルバ社製)を用いて200nm厚のTi、400nm厚のCuをこの順にスパッタし、スパッタCuウェハ基板を準備した。
後述する方法によりそれぞれ得られた実施例、比較例、及び製造例の感光性樹脂組成物を、スピンコート装置(D-spin60A型、SOKUDO社製)を使用して上記スパッタCuウェハ基板にスピンコートし、110℃で180秒間加熱乾燥して、膜厚10μm±0.2μmのスピンコート膜を作製した。
次いで、スパッタCuウェハ上に形成した塗膜を、シクロペンタノンを用いて現像機(D-SPIN636型、大日本スクリーン社製)でスプレー現像し、プロピレングリコールメチルエーテルアセテートでリンスしてポリアミド酸エステルの丸抜き凹型レリーフパターンを得た。なお、スプレー現像の現像時間は、上記10μmのスピンコート膜において、未露光部の樹脂組成物が現像する最小時間の1.4倍の時間と定義した。
上記で得られたパターンを昇温プログラム式キュア炉(VF-2000型、日本国、光洋リンドバーグ社製)を用いて、窒素雰囲気下、200℃で2時間加熱処理することにより、シリコンウェハ上に約7~8μm厚のポリイミドの硬化レリーフパターンを得た。
上記で得られた硬化レリーフパターンを、サーモフィッシャーサイエンティフィック社製FT-IRを用いて、測定範囲4000~700cm-1、測定回数50回で測定を行った。硬化膜の2950cm-1付近(2900~3000cm-1、複数ピークがある場合はピーク強度が最大のもの)のピーク高さと、1720cm-1付近(1680~1750cm-1、複数ピークがある場合はピーク強度が最大のもの)のピーク高さを求めることより算出した。また、1380cm-1付近(1350~1450cm-1、複数ピークがある場合はピーク強度が最大のもの)のピーク高さと1500cm-1付近(1460~1550cm-1、複数ピークがある場合はピーク強度が最大のもの)のピーク高さを求めることにより算出した。
上記で得られたレリーフパターンについて、薬品(DMSO:70重量%、2-アミノエタノール:25重量%、TMAH:5重量%)に50℃で5分間浸漬した後にTencor P-15型段差計(ケーエルエーテンコール社製)を用いて膜厚測定を行い、薬品処理前と比較することにより溶解レート(nm/分)として算出した。
5インチのシリコンウェハ上にアネルバ製スパッタリング装置により2000オングストローム厚みのクロム層を形成し、さらに2000オングストロームの銅層を形成させた。これに支持体として16μm厚みのポリエチレンテレフタレートフィルム、30μm厚みの感光性樹脂層および保護フィルムとして23μm厚みのポリエチレンフィルムを有する感光性樹脂積層体を旭化成製ラミネーターAL-70により、保護フィルムを剥がしながら、感光性樹脂層の面がシリコンウェハに密着するようにラミネートした。ラミネートはロール温度を100℃、圧力はエアー圧で3kg/cm2、速度は1.5m/分で行った。
感光性樹脂積層体がラミネートされたウェハに100μm角の格子状のマスクを置き、オーク社製平行光露光機HMW-801で200mJ/cm2露光した。
支持体を剥がした後、30℃の1%炭酸ナトリウム水溶液を120秒間スプレーし、未露光部分の感光性樹脂層を現像除去し、全面に100μm角の陥没孔が存在するようなレジストパターンを形成させた。
全く剥がれていないものを○、わずかな剥がれ(銅部分と硬化膜界面の一部)が見られたものを△、全面的に剥がれが見られたものを×とした。
エポキシ系封止材として長瀬ケムテックス社製のR4000シリーズを用意した。
次いで、アルミスパッタしたシリコンウェハ上に封止材を厚みが約150ミクロンになるようにスピンコートし、130℃で熱硬化させてエポキシ系封止材を硬化させた。
上記エポキシ系硬化膜上に実施例で作製した感光性樹脂組成物を最終膜厚が10ミクロンになるように塗布した。塗布した感光性樹脂組成物を、実施例1~12ではi線100mJ/cm2露光条件で全面を露光した後、200℃2時間熱硬化させて、厚み10ミクロンの1層目の硬化膜を作製した。
上記1層目の硬化膜上に1層目の硬化膜形成で使用した感光性樹脂組成物を塗布し、1層目の硬化膜作製時と同じ条件で全面を露光した後、熱硬化させて、厚み10ミクロンの2層目の硬化膜を作製した。
2層目の硬化膜形成後の試験片を、FIB装置(日本電子社製、JIB-4000)で断面を切断した後に、エポキシ部分のボイドの有無を確認することにより、劣化の程度を評価した。ボイドが見られないものを○、ボイドが1つでも見られたものを×とした。
封止材劣化試験で作製したサンプルの感光性樹脂硬化膜上にエポキシ樹脂を塗布し、続いてピンを立て、引取試験機(クワッドグループ社製、セバスチャン5型)を用いて密着性試験を行った。
評価:接着強度70MPa以上 ・・・密着力◎
50MPa以上-70MPa未満・・・密着力○
30MPa以上-50MPa未満・・・密着力△
30MPa未満 ・・・密着力×
上述の方法にて硬化後の膜厚が10μmとなるようにスピンコート、露光、現像、硬化させて得られたポリイミドを、高温加速試験(HASTと略称する。平山製作所製PC-442R8D、130℃、85%RH、168時間)を行った後のTgを下記条件にて行った。また、HAST試験を実施していないものとの比較を下記のように行い、評価を実施した。
装置:島津製作所社製TMA-50
引っ張り荷重:200g/mm2
測定雰囲気:窒素(流量50mL/分)
昇温速度:10℃/分
サンプル幅:3mm
評価 (HAST試験後のTg-HAST試験前のTg)の絶対値が5以下:◎
絶対値が5を超えて10以下:○
絶対値が10を超えて15以下:△
絶対値が15を超えて20以下:×
3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)147.1gを2L容量のセパラブルフラスコに入れ、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)131.2gとγ―ブチロラクトン400mlを入れて室温下で攪拌し、攪拌しながらピリジン81.5gを加えて反応混合物を得た。反応による発熱の終了後に室温まで放冷し、16時間放置した。
製造例1の3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)147.1gに代えて、オキシジフタル酸二無水物(ODPA)155.1gを用いた以外は、前述の製造例1に記載の方法と同様にして反応を行い、ポリマー2を得た。ポリマーA2の分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(標準ポリスチレン換算)で測定したところ、重量平均分子量(Mw)は22,000であった。
製造例1の3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)147.1gに代えて、4,4’-オキシジフタル酸二無水物(ODPA)155.1gを用い、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル(DADPE)93.0gに代えて、p-フェニレンジアミン(p-PD)50.2gを用いた以外は、前述の製造例1に記載の方法と同様にして反応を行い、ポリマーA3を得た。ポリマー3の分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(標準ポリスチレン換算)で測定したところ、重量平均分子量(Mw)は20,000であった。
製造例1の3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)147.1gに代えて、オキシジフタル酸二無水物(ODPA)155.1gを、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル(DADPE)93.0gに代えて4,4’-ジアミノ-2,2’-ジメチルビフェニル(m-TB)98.6gを用いた以外は、前述の製造例1に記載の方法と同様にして反応を行い、ポリマーA4を得た。ポリマー4の分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(標準ポリスチレン換算)で測定したところ、重量平均分子量(Mw)は21,000であった。
製造例1の3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)147.1gに代えて、オキシジフタル酸二無水物(ODPA)77.6gとピロメリット酸二無水物(PMDA)54.5gを、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル(DADPE)93.0gに代えて4,4’-ジアミノ-2,2’-ジメチルビフェニル(m-TB)98.6gを用いた以外は、前述の製造例1に記載の方法と同様にして反応を行い、ポリマーA5を得た。ポリマー5の分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(標準ポリスチレン換算)で測定したところ、重量平均分子量(Mw)は23,000であった。
撹拌機、温度計を備えた0.5リットルのフラスコ中にピロメリット酸-ヒドロキシエチルメタクリレートジエステル(PMDA(HEMA))溶液195.564gと4,4’-オキシジフタル酸-ヒドロキシエチルメタクリレートジエステル(ODPA(HEMA))溶液58.652gを入れ、その後、氷冷下で塩化チオニル25.9g(217.8mmol)を反応溶液温度が10度以下を保つように滴下漏斗を用いて滴下した。塩化チオニルの滴下が終了した後、氷冷下で2時間反応を行いPMDA(HEMA)とODPA(HEMA)の酸クロリドの溶液を得た。次いで、滴下漏斗を用いて、2,2’-ビス(トリフルオロメチル)ベンジジン31.696g(99.0mmol)、ピリジン34.457g(435.6mmol)、ハイドロキノン0.076g(0.693mmol)のN-メチルピロリドン溶液90.211gを氷冷化で反応溶液の温度が10℃を超えないように注意しながら滴下した。この反応液を蒸留水に滴下し、沈殿物をろ別して集め、減圧乾燥することによってポリアミド酸エステルを得た。ポリマー5の分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(標準ポリスチレン換算)で測定したところ、重量平均分子量(Mw)は32,000であった。
(A)成分として、ポリマーA-1を50g及びポリマーA-2を50g、(B)成分として開始剤B1(4g)、その他成分としてテトラエチレングリコールジメタクリレート30gを、ガンマブチロラクトン及びDMSOからなる混合溶媒(重量比75:25)に溶解し、粘度が約35ポイズになるように溶媒の量を調整することにより、感光性樹脂組成物溶液とした。
この組成物について、上述の方法により評価した。評価結果は表4及び表5に示した。
開始剤B1:TR-PBG-305
架橋剤C1:テトラエチレングリコールジメタクリレート
架橋剤C2:ペンタエリスリトールテトラアクリレート
熱塩基発生剤E1:下記式(AM-1)で表される化合物
表4及び5に記載の含有成分及び/又は含有割合で樹脂組成物溶液を形成した以外は、実施例1と同様の方法で評価を行った。評価結果は表4及び5に示した。
その中でも特に、前記ピーク比が0.1~0.25である実施例の硬化膜では、より良好な耐薬品性を発現し、銅ピラーとの剥がれがより少ないことがわかる。また、上記範囲内にある硬化膜を層間絶縁膜とした半導体装置は、モールド樹脂であるエポキシ樹脂の劣化や密着性の低下をより効果的に抑えることができることがわかった。
テトラカルボン酸二無水物として4,4’-オキシジフタル酸二無水物(ODPA)を2リットル容量のセパラブルフラスコに入れた。更に、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)とγ-ブチロラクトンを入れて室温下で攪拌し、攪拌しながらピリジンを加えて反応混合物を得た。反応による発熱の終了後に室温まで放冷し、16時間放置した。
生成した粗ポリマーを濾別し、テトラヒドロフランに溶解して粗ポリマー溶液を得た。得られた粗ポリマー溶液を水に滴下してポリマーを沈殿させ、得られた沈殿物を濾別した後、真空乾燥して粉末状のポリマー(ポリイミド前駆体(ポリマーA-1))を得た。成分A-1で使用した化合物の質量については、下記に示す表6の通りである。
テトラカルボン酸二無水物とジアミンを下記表6のように変更した以外は前述のポリマーA-1に記載の方法と同様にして反応を行い、ポリイミド前駆体(ポリマーA-2~A-3)を得た。
攪拌機、温度計を備えた0.5リットルのフラスコ中に、ジカルボン酸として4,4’-ジフェニルエーテルジカルボン酸15.48g、N-メチルピロリドンを仕込んだ。フラスコを、5℃に冷却した後、塩化チオニルを滴下し、30分間反応させて、ジカルボン酸クロリドの溶液を得た。次いで、攪拌機、温度計を備えた0.5リットルのフラスコ中に、N-メチルピロリドンを仕込んだ。ビスアミノフェノールとしてビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン18.30gと、m-アミノフェノール2.18gを攪拌溶解した後、ピリジンを添加した。そして、温度を0~5℃に保ちながら、ジカルボン酸クロリドの溶液を30分間で滴下した後、30分間攪拌を続けた。溶液を3リットルの水に投入し、析出物を回収、純水で3回洗浄した後、減圧乾燥してポリマー(ポリベンゾオキサゾール前駆体(ポリマーB-1))を得た。ポリマーB-1で使用した化合物の質量については下記の表6の通りである。
ジカルボン酸とビスアミノフェノールを下記に示す表6のように変更した以外は前述のポリマーB-1に記載の方法と同様にして反応を行い、ポリベンゾオキサゾール前駆体(ポリマーB-2)を得た。
下記に示す表8の通りに配合し、感光性樹脂組成物の溶液を得た。尚、表8の単位は質量部である。また、用いた光開始剤、光酸発生剤、架橋剤および溶媒について、表7に示す。
実施例1~15、及び、比較例1~7の各感光性樹脂組成物を作製した。
12インチウェハサイズの支持体上に、半導体チップを100個貼り付け、モールド樹脂を塗布しモールド封止した。その後、モールド樹脂をダイシングし、モールド樹脂内から半導体チップを露出させた。その後、実施例、比較例で作製した感光性樹脂組成物をスピンコーター(東京エレクトロン社製 ACT-12)を用いて塗布し、露光、現像工程を経て硬化レリーフパターンを形成した。昇温プログラム式キュア炉(VF-2000型、光洋リンドバーグ社製)を用いて、窒素雰囲気化で表8に示す温度および時間で第一の熱硬化工程を行い、半硬化レリーフパターンを得た。続いて、メッシュベルト式連続焼成炉(光洋サーモシステム社製、型式名6841-20AMC-36)を用いて、半導体装置の評価方法に関する米国半導体業界団体の標準規格であるIPC/JEDEC J-STD-020Aの7.6項記載の半田リフロー条件に準拠する形で、窒素雰囲気化、表8に示す温度および時間で第二の熱硬化工程を行い、硬化レリーフパターンを得た。上記の塗布~熱硬化の工程を複数回(2回)繰り返すことにより、多層硬化レリーフパターンとした。さらに再配線層を形成した。続けて、同様に絶縁膜層となる硬化レリーフパターンを形成して、さらに外部接続端子を形成することで、2層の絶縁膜層を有するファンナウト型のウェハレベルチップサイズパッケージ型の半導体装置を作製した。
作製した半導体装置の外部端子と電極を接続して、半導体チップが稼働するかテストを行った。
評価:100個稼働・・・◎+
98~99個稼働 ・・・◎
97~95個稼働 ・・・○+
94~92個稼働 ・・・○
91~90個稼働 ・・・△
89個以下稼働 ・・・×
(1)で作製した2層の絶縁膜層を有するファンナウト型のウェハレベルチップサイズパッケージ型の半導体装置の絶縁膜層を、集束イオンビーム加工観察装置(JIB-4000型、日本電子株式会社製)を用いて10か所を割断した。割断した絶縁膜間に気泡が観察されたものを「有」、気泡が観察されなかったものを「無し」とした。
(1)の試験で稼働した半導体デバイスをダイシングし、個片化した。個片化した半導体
デバイス10個をプレッシャークッカー(121℃ 、2 .0気圧)で100時間処理を
行い、その後、半導体装置の外部端子と電極を接続して、半導体チップが稼働するかテス
トを行った。
評価:10個稼働・・・◎+
9個稼働 ・・・◎
8個稼働 ・・・○+
7個稼働 ・・・○
6個稼働 ・・・△
5個以下稼働 ・・・×
<測定及び評価方法>
(1)重量平均分子量
各樹脂の重量平均分子量(Mw)を、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(標準ポリスチレン換算)を用いて以下の条件下で測定した。
ポンプ:JASCO PU-980
検出器:JASCO RI-930
カラムオーブン:JASCO CO-965 40℃
カラム:昭和電工(株)製Shodex KD-806M 直列に2本、又は
昭和電工(株)製Shodex 805M/806M直列
標準単分散ポリスチレン:昭和電工(株)製Shodex STANDARD SM-105
移動相:0.1mol/L LiBr/N-メチル-2-ピロリドン(NMP)
流速:1mL/min.
6インチシリコンウェハ(フジミ電子工業株式会社製、厚み625±25μm)上に、スパッタ装置(L-440S-FHL型、キヤノンアネルバ社製)を用いて200nm厚のTi、400nm厚のCuをこの順にスパッタした。続いて、このウェハ上に、後述の方法により調製した感光性樹脂組成物をコーターデベロッパー(D-Spin60A型、SOKUDO社製)を用いて回転塗布し、110℃で180秒間ホットプレートにてプリベークを行い、約7μm厚の塗膜を形成した。この塗膜に、テストパターン付マスクを用いて、プリズマGHI(ウルトラテック社製)により500mJ/cm2のエネルギ-を照射した。次いで、この塗膜を、現像液としてネガ型の場合はシクロペンタノンを、ポジ型の場合は2.38%TMAHを用いてコーターデベロッパー(D-Spin60A型、SOKUDO社製)でスプレー現像し、ネガ型の場合はプロピレングリコ-ルメチルエーテルアセテートで、ポジ型の場合は純水でリンスすることにより、Cu上のレリーフパターンを得た。
Cu上に該レリーフパターンを形成したウェハを、昇温プログラム式キュア炉(VF-2000型、光洋リンドバーグ社製)を用いて、窒素雰囲気下、表9及び表10に記載の温度において2時間加熱処理することにより、Cu上に約4~5μm厚の樹脂から成る硬化レリーフパターンを得た。
上記硬化レリーフパターン樹脂部をATR-FTIR測定装置(Nicolet Continuum、Thermo Fisher Scientific社製)にてSiプリズムを用いて測定し、1380cm-1のピ-ク強度を1500cm-1のピ-ク強度で割った値をイミド化指数とし、各実施例及び比較例の膜のイミド化指数を、該当する樹脂組成物を350℃で硬化した膜のイミド化指数で割った値をイミド率として算出した。イミド化率は、以下の基準に基づき評価した。
エポキシ系封止材として、長瀬ケムテックス社製のR4000シリ-ズを用意した。次いで、アルミスパッタしたシリコーンウェハ上に封止材を厚みが約150ミクロンになるようにスピンコートし、130℃で熱硬化させてエポキシ系封止材を硬化させた。上記エポキシ系硬化膜上に、各実施例、及び各比較例で作製した感光性樹脂組成物を最終膜厚が7μmになるように塗布した。この塗膜を、上記Cu上硬化レリーフパターンと同様の方法により露光することで、モールド樹脂上に硬化レリーフパターンを得た。
上記の方法で得た硬化レリーフパターンを光学顕微鏡下で観察し、最少開口パターンのサイズを求めた。このとき、得られたパターンの開口部の面積が、対応するパターンマスク開口面積の1/2以上であれば解像されたものとみなし、解像された開口部のうち最小面積を有するものに対応するマスク開口辺の長さを解像度とした。解像度が10μm未満のものを「優」、10μm以上14μm未満のものを「良」、14μm以上18μm未満のものを「可」、18μm以上のものを「不可」とした。
Cu上に該硬化レリーフパターンを形成したウェハを、昇温プログラム式キュア炉(VF-2000型、光洋リンドバーグ社製)を用いて、空気中、150℃で168時間加熱した。続いて、プラズマ表面処理装置(EXAM型、神港精機社製)を用いて、Cu上の樹脂層を全てプラズマエッチングにより除去した。プラズマエッチング条件は下記の通りである。
出力:133W
ガス種・流量:O2:40mL/分 + CF4:1mL/分
ガス圧:50Pa
モ-ド:ハードモード
エッチング時間:1800秒
樹脂層を全て除去したCu表面を、FE-SEM(S-4800型、日立ハイテクノロジーズ社製)によって観察し、画像解析ソフト(A像くん、旭化成社製)を用いて、Cu層の表面に占めるボイドの面積を算出した。比較例1に記載の感光性樹脂組成物を評価した際のボイドの総面積を100%とした際に、ボイドの総面積比率が50%未満のものを「優」、50%以上75%未満のものを「良」、75%以上100%未満のものを「可」100%以上のものを「不可」と判定した。
Cu上に形成した該硬化レリーフパターンを、レジスト剥離液{ATMI社製、製品名ST-44、主成分は2-(2-アミノエトキシ)エタノール、1-シクロヘキシル-2-ピロリドン}を50℃に加熱したものに5分間浸漬し、流水で1分間洗浄し、風乾した。その後、膜表面を光学顕微鏡で目視観察し、クラック等の薬液によるダメージの有無や、薬液処理後の膜厚の変化率をもって耐薬品性を評価した。評価基準として、クラック等が発生せず、膜厚変化率が薬品浸漬前の膜厚を基準として10%以内のものを「優」、10~15%のものを「良」、15~20%のものを「可」とし、クラックが発生したもの、または膜厚変化率が20%を超えるものを「不可」とした。
製造例1:(A)ポリイミド前駆体としてのポリマーA-1の合成
4,4’-オキシジフタル酸二無水物(ODPA)155.1gを2L容量のセパラブルフラスコに入れ、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)131.2gとγ-ブチロラクトン400mLを入れて室温下で攪拌し、攪拌しながらピリジン81.5gを加えて反応混合物を得た。反応による発熱の終了後に反応混合物を室温まで放冷し、16時間放置した。
次に、氷冷下において、ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)206.3gをγ-ブチロラクトン180mLに溶解した溶液を攪拌しながら40分掛けて反応混合物に加え、続いて4,4’-オキシジアニリン(ODA)93.0gをγ-ブチロラクトン350mLに懸濁したものを攪拌しながら60分掛けて加えた。更に室温で2時間攪拌した後、エチルアルコ-ル30mLを加えて1時間攪拌し、次に、γ-ブチロラクトン400mLを加えた。反応混合物に生じた沈殿物をろ過により取り除き、反応液を得た。
得られた反応液を3Lのエチルアルコールに加えて粗ポリマーから成る沈殿物を生成した。生成した粗ポリマーを濾別し、テトラヒドロフラン1.5Lに溶解して粗ポリマー溶液を得た。得られた粗ポリマー溶液を28Lの水に滴下してポリマーを沈殿させ、得られた沈殿物を濾別した後、真空乾燥して粉末状のポリマー(ポリマーA-1)を得た。ポリマー(A-1)の分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(標準ポリスチレン換算)で測定したところ、重量平均分子量(Mw)は20,000であった。
製造例1の4,4’-オキシジフタル酸二無水物(ODPA)155.1gに代えて、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)147.1gを用いた以外は、前述の製造例1に記載の方法と同様にして反応を行い、ポリマー(A-2)を得た。ポリマー(A-2)の分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(標準ポリスチレン換算)で測定したところ、重量平均分子量(Mw)は22,000であった。
製造例1の4,4’-オキシジアニリン(ODA)93.0gに代えて、p-フェニレンジアミン50.2gを用いた以外は、前述の製造例1に記載の方法と同様にして反応を行い、ポリマー(A-3)を得た。ポリマー(A-3)の分子量をゲルパーミエーションクロマトグラフィー(標準ポリスチレン換算)で測定したところ、重量平均分子量(Mw)は19,000であった。
ポリイミド前駆体A-1を用いて以下の方法でネガ型感光性樹脂組成物を調製し、調製した組成物の評価を行った。(A)ポリイミド前駆体としてA-1:100g、(B)芳香族化合物としてB-1:5g、(C)感光剤として1-フェニル-1,2-プロパンジオン-2-(O-エトキシカルボニル)-オキシム(以下ではPDOと表記、感光剤C-1に該当):3gを、γ-ブチルラクトン(以下ではGBLと表記):100gに溶解した。得られた溶液の粘度を、少量のGBLをさらに加えることによって、約40ポイズに調整し、ネガ型感光性樹脂組成物とした。該組成物を、前述の方法に従って評価した。結果を表9に示す。
表9又は10に示す通りの配合比で配合すること以外は実施例1と同様のネガ型感光性樹脂組成物を調製し、実施例1と同様の評価を行った。その結果を表9及び10に示す。
表9及び10に記載されている(B)芳香族化合物B-1~B-14、(C)感光剤C-1は、それぞれ以下のとおりである。
B-2:2-アミノベンズアミド(東京化成工業株式会社製)
B-3:ニコチンアミド(東京化成工業株式会社製)
B-4:4-アミノ-N-メチルベンズアミド(東京化成工業株式会社製)
B-5:4-アミノアセトアニリド(東京化成工業株式会社製)
B-6:4-アミノアセトフェノン(東京化成工業株式会社製)
B-7:p-ジメチルアミノアセトフェノン(東京化成工業株式会社製)
B-8:4,4’-ジアミノベンズアニリド(東京化成工業株式会社製)
B-9:4-アミノフタルイミド(東京化成工業株式会社製)
B-10:4-アミノベンズニトリル(東京化成工業株式会社製)
B-11:4-ニトロ-1-ナフチルアミン(東京化成工業株式会社製)
B-12:4-ニトロアニリン(東京化成工業株式会社製)
B-13:N-フェニルジエタノールアミン(東京化成工業株式会社製)
B-14:N,N-ジエチルアニリン(東京化成工業株式会社製)
C-1:1-フェニル-1,2-プロパンジオン-2-(O-エトキシカルボニル)-オキシム
特に、(A)ポリイミド前駆体として、A-1を用いた実施例1では、優れた耐薬品性を示した。また、(B)芳香族化合物としては、B-1を、ポリマー100質量部を基準として5質量部加えたときに、特に優れた耐薬品性と脱ガス低減効果が得られた。
他方、(B)芳香族化合物としてB-13を用いた比較例1では、イミド化率は40%、他のすべての評価でも「不可」となり、硬化温度を170℃から230℃にした比較例2でも、モ-ルド樹脂上解像度評価及びCuボイド評価で「不可」となった。また、(B)芳香族化合物としてB-14用いた比較例3では、耐薬品性評価は「可」であったものの、イミド化率は30%、モ-ルド樹脂上解像度評価とCuボイド評価で「不可」となった。
2 半導体チップ
3 封止材
4 再配線層
5 配線
6 層間絶縁膜
7 外部接続端子
10 ウェハ
11 支持体
12 モールド樹脂
13 感光性樹脂組成物
Claims (22)
- (A)下記一般式(I-1):
で表される構造単位を含むポリイミド前駆体:100質量部、
(B)光重合開始剤:0.1質量部~20質量部、及び
(C)防錆剤:0.01質量部~5質量部、
更に(D)熱塩基発生剤:0.5~20質量部
を含み、前記(C)防錆剤が、プリン化合物であり、かつ前記(D)熱塩基発生剤が、tert-ブトキシカルボニル基によって保護されたアミン化合物であるネガ型感光性樹脂組成物。 - 前記(A)ポリイミド前駆体中のR1及びR2のすべてに対する上記一般式(I-R1)で表される1価の有機基の割合が、50モル%以上である、請求項2に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
- 前記(A)ポリイミド前駆体中の、R1及びR2のすべてに対する上記一般式(I-R2)及び(I-R3)のそれぞれで表される1価の有機基の合計の割合が、50モル%以上である、請求項4に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
- 前記(A)ポリイミド前駆体中のR1及びR2のすべてに対する前記一般式(I-R1)で表される1価の有機基の割合が、50モル%以上である、請求項7に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
- 前記(A)ポリイミド前駆体中の、R1及びR2のすべてに対する上記一般式(I-R2)及び(I-R3)のそれぞれで表される1価の有機基の合計の割合が、50モル%以上である、請求項9に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
- 前記(A)ポリイミド前駆体中の、R1及びR2のすべてに対する前記一般式(I-R1)で表される1価の有機基の割合が、50モル%以上である、請求項12に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
- 前記(A)ポリイミド前駆体中の、R1及びR2のすべてに対する上記一般式(I-R2)及び(I-R3)のそれぞれで表される1価の有機基の合計の割合が、50モル%以上である、請求項14に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
- 前記(A)ポリイミド前駆体中のR1及びR2のすべてに対する前記一般式(I-R1)で表される1価の有機基の割合が、50モル%以上である、請求項17に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
- 前記(A)ポリイミド前駆体中の、R1及びR2のすべてに対する上記一般式(I-R2)及び(I-R3)のぞれぞれで表される1価の有機基の合計の割合が、50モル%以上である、請求項19に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
- 請求項1~20のいずれか1項に記載のネガ型感光性樹脂組成物を硬化してポリイミドを形成する工程を含む、ポリイミドの製造方法。
- 以下の工程:
(1)請求項1~20のいずれか1項に記載のネガ型感光性樹脂組成物を基板上に塗布して、感光性樹脂層を前記基板上に形成する工程と、
(2)前記感光性樹脂層を露光する工程と、
(3)前記露光後の感光性樹脂層を現像して、レリーフパターンを形成する工程と、
(4)前記レリーフパターンを加熱処理して、硬化レリーフパターンを形成する工程と
を含む、硬化レリーフパターンの製造方法。
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