JP2023134414A - 偏光子の製造方法及び偏光子の製造装置 - Google Patents

偏光子の製造方法及び偏光子の製造装置 Download PDF

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Abstract

Figure 2023134414000001
【課題】 光学的に欠陥の少ない偏光子を製造する。
【解決手段】 親水性ポリマーを含む長尺帯状のフィルム原反を長手方向に搬送し、前記フィルム原反を染色液にて染色すると共に延伸する湿式処理工程、前記湿式処理したフィルム原反を洗浄液にて洗浄する洗浄工程、前記洗浄液にて洗浄した前記フィルム原反を乾燥する乾燥工程、を有し、前記洗浄工程が、前記洗浄液を塗工ロール6を用いて前記フィルム原反の一方面に塗布する洗浄液塗布工程を有し、前記乾燥工程が、複数のガイドロールが配置された筺体81を有する加熱部の前記筺体81内のガイドロールによって前記フィルム原反を搬送している間に、前記フィルム原反を乾燥する。
【選択図】 図7

Description

本発明は、湿式処理による偏光子の製造方法及びその製造装置に関する。
従来、液晶表示装置や偏光サングラスなどの構成材料として、偏光子が使用されている。前記偏光子としては、ヨウ素などの二色性物質で染色したポリビニルアルコール系フィルムなどが挙げられる。以下、本明細書において、ポリビニルアルコールをPVAと略記する場合がある。
このような偏光子は、PVA系フィルムを二色性物質を含む染色液に浸漬し且つ延伸することによって得られる。
例えば、特許文献1には、PVA系フィルムを二色性物質を含む染色液に接触させて染色し且つ延伸した後、その染色後のPVA系フィルムの表面に液切り部材(いわゆるブレード)を接触させることによって、PVA系フィルムに付着した染色液などの処理液を除去することが開示されている。
特開2017-003955号公報
前記液切り部材をPVA系フィルムの表面に強く接触させると、PVA系フィルムの表面に付着している異物や処理液を、液切り部材によってかき取るように除去できる。表面に付着している異物を除去することにより、欠陥の少ない偏光子が得られる。
しかしながら、PVA系フィルムの異物が、経時的に液切り部材に沈着するようになるため、次第に異物を除去できなくなるという問題がある。また、PVA系フィルムの表面が、前記液切り部材によって傷付き易くなるおそれもある。
この点、PVA系フィルムの表面に対する液切り部材の接触圧を小さくすると、PVA系フィルムの表面の傷付きを抑制できると考えられる。しかしながら、液切り部材の接触圧を小さく設定すると、PVA系フィルムの表面に付着している異物などを十分に除去できない。
本発明の目的は、光学的に欠陥の少ない偏光子を製造できる方法及びその装置を提供することである。
本発明の偏光子の製造方法は、親水性ポリマーを含む長尺帯状のフィルム原反を長手方向に搬送し、前記フィルム原反を染色液にて染色すると共に延伸する湿式処理工程、前記湿式処理したフィルム原反を洗浄液にて洗浄する洗浄工程、前記洗浄液にて洗浄した前記フィルム原反を乾燥する乾燥工程、を有し、前記洗浄工程が、前記洗浄液を塗工ロールを用いて前記フィルム原反の一方面に塗布する洗浄液塗布工程を有し、前記乾燥工程が、複数のガイドロールが配置された筺体を有する加熱部の前記筺体内のガイドロールによって前記フィルム原反を搬送している間に、前記フィルム原反を乾燥する。
本発明の好ましい製造方法は、前記洗浄工程が、前記湿式処理工程と前記洗浄液塗布工程の間に、洗浄液を含む洗浄処理槽に前記フィルム原反を浸漬する洗浄液浸漬工程をさらに有し、前記塗工ロールの洗浄液及び前記洗浄処理槽の洗浄液が、同一の貯留タンクから供給される。
本発明の好ましい製造方法は、前記洗浄液が、水又はヨウ素化合物を含む水である。
本発明の好ましい製造方法は、前記洗浄液塗布工程において、前記塗工ロールによって前記フィルム原反の一方面に洗浄液を塗布した後、前記フィルム原反にエアーを吹き付けることによって前記フィルム原反の一方面に塗布された洗浄液を除去する。
本発明の好ましい製造方法は、前記塗工ロールが、外周面に前記洗浄液が充填されている複数の凹部を有し、前記洗浄液塗布工程において、回転する塗工ロールの外周面を前記フィルム原反の一方面に接触させることによって、前記塗工ロールの凹部に充填された洗浄液を前記フィルム原反に付着させる。
本発明の好ましい製造方法は、前記洗浄液塗布工程において、前記塗工ロールを前記フィルム原反の搬送方向とは逆方向に回転させながら、前記フィルム原反に洗浄液を塗布する。
本発明の好ましい製造方法は、前記洗浄液塗布工程において、前記塗工ロールにて洗浄液を塗布することによって、前記フィルム原反の一方面に、厚み0.1μm~20μmの洗浄液膜を形成する。
本発明の好ましい製造方法は、前記長尺帯状のフィルム原反が、支持フィルムと、前記支持フィルムに積層された親水性ポリマー層と、を有し、前記洗浄液塗布工程において、前記親水性ポリマー層の一方面に前記塗工ロールを用いて洗浄液を塗布する。
本発明の好ましい製造方法は、前記洗浄液塗布工程において、前記支持フィルムの、前記親水性ポリマー層に接する面とは反対面に前記塗工ロールを用いて洗浄液を塗布する。
本発明の好ましい製造方法は、前記長尺帯状のフィルム原反が、親水性ポリマーフィルムから構成されている。
本発明の別の局面によれば、偏光子の製造装置を提供する。
本発明の偏光子の製造装置は、親水性ポリマーを含む長尺帯状のフィルム原反を長手方向に搬送する搬送装置と、前記フィルム原反を染色液にて染色すると共に延伸する湿式処理装置と、前記湿式処理装置の下流側に配置され且つ前記フィルム原反を洗浄液にて洗浄する洗浄装置と、前記洗浄装置の下流側に配置され且つ前記フィルム原反を乾燥する乾燥装置と、を有し、前記洗浄装置が、洗浄液を充填可能な複数の凹部を外周面に有する塗工ロールを有し、前記塗工ロールの外周面が前記搬送されるフィルム原反の一方面に接触するように、前記塗工ロールが配置されており、前記乾燥装置が、複数のガイドロールが配置された筺体を有する。
本発明の製造方法及び製造装置を用いれば、光学的に欠陥の少ない偏光子を製造できる。
本発明の偏光子の一部省略平面図。 1つの実施形態に係る偏光子の断面図(図1のII-II線で切断した断面図)。 他の実施形態に係る偏光子の断面図。 1つの実施形態に係る積層偏光フィルムの断面図。 他の実施形態に係る積層偏光フィルムの断面図。 本発明の偏光子(積層偏光フィルム)の製造装置を示す概略側面図。 製造装置の洗浄装置を示す参考側面図。 第1塗工ロールを示す拡大側面図。 第2塗工ロールを示す拡大側面図。 塗工ロールの正面図。 図10のXI部の拡大図であって、塗工ロールの外周面に形成された複数の凹部を表した拡大平面図。 図11のXII-XII線で切断した断面図。 エアーを吹き付ける液除去部を示す斜視図。 変形例に係る第1塗工ロールを示す拡大側面図。 変形例に係る第2塗工ロールを示す拡大側面図。
本明細書において、「下限値X~上限値Y」で表される数値範囲は、下限値X以上上限値Y以下を意味する。前記数値範囲が別個に複数記載されている場合、任意の下限値と任意の上限値を選択し、「任意の下限値~任意の上限値」を設定できるものとする。
各図は、参考的に表したものであり、各図に表された部材などの寸法、縮尺及び形状は、実際のものとは異なっている場合があることに留意されたい。
[偏光子及び積層偏光フィルム]
図1は、本発明の製造方法によって得られる偏光子の一部省略平面図である。
本発明の製造方法によって得られる偏光子は、長尺帯状である。この長尺帯状の偏光子は、適宜な形状に切り取られ、様々な用途に使用される。
また、前記長尺帯状の偏光子に、保護フィルムなどの任意のフィルムを積層することによって、長尺帯状の積層偏光フィルムが得られる。長尺帯状の積層偏光フィルムについても、適宜な形状に切り取られ、様々な用途に使用される。
図2は、図1のII-II線で切断した偏光子1の断面図である。
図2を参照して、1つの実施形態に係る偏光子1は、支持フィルム11と、前記支持フィルム11の一方面に積層された親水性ポリマー層12と、を有する。前記親水性ポリマー層12は、二色性物質によって染色されている。かかる親水性ポリマー層12は、偏光特性を有する。
図3は、他の実施形態に係る偏光子1の断面図である。この断面図も、他の実施形態の偏光子1を、図1のII-II線と同様の箇所で切断した断面図である。
図3を参照して、他の実施形態の偏光子1は、二色性物質によって染色された親水性ポリマーフィルム13から構成される。かかる親水性ポリマーフィルム13は、偏光特性を有する。
ここで、偏光子は、特定の1つの方向のみに振動する光(偏光)を透過し、それ以外の方向に振動する光を遮断する性質(この性質が偏光特性である)を有する光学フィルムをいう。
なお、図2に示す支持フィルム11と親水性ポリマー層12とを有する積層体の場合、上述のように親水性ポリマー層12は偏光特性を有するが、支持フィルム11は偏光特性を有さないことが多い。前記積層体を厳密に解釈すると、親水性ポリマー層12が偏光子と言えるが、本明細書では、このような支持フィルム11と親水性ポリマー層12からなる積層体も、偏光子の範疇に含めている。
図2及び図3に示す偏光子1は、上述のように適宜な形状に形成され、様々な用途に使用される。
また、前記偏光子1にさらに任意の適切なフィルムを1つ又は2つ以上積層してもよい。以下、偏光子1に積層される任意の適切なフィルムを「任意フィルム」という場合がある。
図4及び図5は、偏光子1に任意フィルムが積層された積層偏光フィルム2の断面図である。図4及び図5では、任意フィルムとして、保護フィルムを表している。
図4を参照して、1つの実施形態に係る積層偏光フィルム2は、支持フィルム11及び偏光特性を有する親水性ポリマー層12からなる偏光子1と、前記偏光子1の親水性ポリマー層12に、接着剤層21を介して積層された保護フィルム22と、を有する。
図5を参照して、他の実施形態に係る積層偏光フィルム2は、偏光特性を有する親水性ポリマーフィルム13からなる偏光子1と、前記偏光子1の一方面に第1の接着剤層23を介して積層された第1の保護フィルム24と、前記偏光子1の反対側の面に第2の接着剤層25を介して積層された第2の保護フィルム26と、を有する。
なお、特に図示しないが、前記積層偏光フィルム2に、それぞれ独立して、更なる別の保護フィルムが積層されていてもよい。また、前記偏光子1又は積層偏光フィルム2に、それぞれ独立して、位相差フィルム、輝度向上フィルム及び透明導電性フィルムなどの任意フィルムが積層されていてもよい。
<任意フィルム>
前記保護フィルムは、偏光子を保護するためのフィルムである。後述するように、保護フィルムは、偏光子を作製した後に、その偏光子に積層される。
前記保護フィルムは、被保護体である偏光子などを傷や汚れから保護する目的で用いられるフィルムである。保護フィルムとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのオレフィン系樹脂;ポリエチレンテレフタレートなどのエステル系樹脂;ナイロン6などのアミド系樹脂;ポリ塩化ビニル、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体などのビニル重合体;三酢酸セルロース、二酢酸セルロースなどのセルロース系樹脂;ポリメタクリル酸メチルなどのアクリル系樹脂;スチレン系樹脂;カーボネート系樹脂;ポリアリレート系樹脂;イミド系樹脂;などからなるフィルムが挙げられる。
前記位相差フィルムは、光学異方性を示す光学フィルムである。位相差フィルムとしては、例えば、1/2λ板、1/4λ板などの異方性フィルムなどが挙げられる。
前記輝度向上フィルムは、特定の偏光のみ透過させて、他の偏光を反射する光学フィルムである。
<接着剤層>
接着剤層は、接着剤の固化層であって、2つのフィルムの間に介在し、その2つのフィルムを接着する層である。
接着剤層は、例えば、紫外線硬化型接着剤などの活性エネルギー線硬化型接着剤、溶剤揮発型接着剤などから構成される。
[偏光子及び積層偏光フィルムの製造装置]
本発明の偏光子の製造装置は、親水性ポリマーを含む長尺帯状のフィルム原反を長手方向に搬送する搬送装置と、フィルム原反を染色液にて染色すると共に延伸する湿式処理装置と、湿式処理装置の下流側に配置され且つフィルム原反を洗浄液にて洗浄する洗浄装置と、を有する。好ましくは、偏光子の製造装置は、さらに、前記洗浄装置の下流側に配置され且つフィルム原反を乾燥する乾燥装置を有する。
本発明においては、前記洗浄装置が、洗浄液を充填可能な複数の凹部を外周面に有する塗工ロールを有し、塗工ロールの外周面が前記搬送されるフィルム原反の一方面に接触するように、塗工ロールが配置されていることを特徴とする。
フィルム原反は、2つの表面を有するが、フィルム原反の一方面は、そのうちの1つの表面を指し、フィルム原反の反対面は、もう1つの表面を指す。
また、下流側は、フィルムの搬送方向側を指し、上流側は、その反対側(フィルムの搬送方向とは反対側)を指す。
本発明の偏光子の製造装置は、フィルム原反を湿式処理し、洗浄し、乾燥することによって偏光子を得るまでの一連の工程を1つの製造ライン上で行う方式であることが好ましい。
さらに、本発明においては、前記偏光子を製造した後、その偏光子に保護フィルムなどの任意フィルムを接着して積層偏光フィルムを製造してもよい。
積層偏光フィルムの製造は、(a)偏光子を製造後にその偏光子を一旦ロールに巻き取り、そのロールに巻き取った偏光子を繰り出して前記任意フィルムを積層接着する方式でもよく、或いは、(b)偏光子を製造後、引き続いて1つの製造ライン上で偏光子に前記任意フィルムを積層接着する方式でもよい。
図6は、積層偏光フィルムの製造装置A(偏光子から積層偏光フィルムまでを一連に製造する装置)の好ましい構成例を示す。
図6を参照して、偏光子を含む積層偏光フィルムの製造装置Aは、フィルム原反、偏光子及び任意フィルムをそれぞれ搬送する搬送装置3と、偏光子を作製する偏光子作製ゾーンと、その偏光子に少なくとも1つのフィルムを接着するフィルム積層ゾーンと、を少なくとも有する。
前記偏光子作製ゾーンは、フィルム原反を湿式処理する湿式処理装置4と、前記湿式処理後のフィルム原反を洗浄する洗浄装置5と、洗浄後のフィルム原反を乾燥する乾燥装置8と、を有する。
前記フィルム積層ゾーンは、偏光子作製ゾーンによって得られた偏光子に、任意フィルムを貼り合わせる積層装置9を有する。
・偏光子作製ゾーン
<湿式処理装置>
湿式処理装置4は、上流側から順に、フィルム原反Bが巻き付けられた繰り出し部41と、湿式処理部と、を有する。前記湿式処理部は、上流側から順に、膨潤処理槽42と、染色処理槽43と、架橋処理槽44と、延伸処理槽45と、を有する。
なお、湿式処理部は、前記膨潤処理槽42、染色処理槽43、架橋処理槽44及び延伸処理槽45から構成される場合に限定されず、例えば、膨潤処理槽42を有さなくてもよく、或いは、延伸処理槽45を有さなくてもよい。延伸処理槽45を有さない場合、染色処理槽43などの槽においてフィルム原反Bに対して延伸処理が行われる。また、湿式処理部は、調整処理槽などの別の処理槽を有していてもよい。
前記繰り出し部41に巻き付けられたフィルム原反Bは、ガイドロール31などを備える搬送装置3によって、膨潤処理槽42などの湿式処理部(下流側)へと搬送される。図6の白抜き矢印は、フィルムの進行方向(搬送方向)を示す。なお、図7乃至図9及び図13の白抜き矢印も、搬送されるフィルムの進行方向(搬送方向)を示す。
フィルム原反Bは、長尺帯状である。本明細書において、長尺帯状は、長手方向の長さが短手方向(長手方向と直交する方向)の長さよりも十分に大きい長方形状をいう。長尺帯状の長手方向の長さは、例えば、10m以上であり、好ましくは50m以上である。
フィルム原反Bは、親水性ポリマーを含む長尺帯状のフィルムが用いられる。
フィルム原反Bとしては、例えば、長尺帯状の支持フィルムと前記支持フィルムの一方面に積層された親水性ポリマー層とからなる積層体、或いは、親水性ポリマーフィルムを用いることができる。フィルム原反Bとして前記積層体を用いた場合には、図2に示す偏光子1が得られる。フィルム原反Bとして前記親水性ポリマーフィルムを用いた場合には、図3に示す偏光子1が得られる。
<積層体からなるフィルム原反>
前記積層体を構成する親水性ポリマー層は、支持フィルムの一方面に親水性ポリマーを含む塗工液を塗布し且つその塗工液を乾燥することによって形成できる。
支持フィルムと親水性ポリマー層とからなる積層体(フィルム原反)は、延伸されていてもよい。例えば、前記支持フィルムに前記塗工液を塗布した後又は塗布しながら、支持フィルムを補助的に延伸してもよい。前記延伸は、一段階でもよく或いは多段階でもよい。例えば、前記積層体を空中(乾式)で補助的に延伸したものをフィルム原反とし、そのフィルム原反を、後述する湿式処理工程において染色し延伸してもよい。
前記支持フィルムは、無色透明な樹脂フィルムを用いることができ、好ましくは、光学的等方性の樹脂フィルムを用いることができる。支持フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート系樹脂などのエステル系樹脂;ノルボルネン系樹脂などのシクロオレフィン系樹脂;ポリプロピレンなどのオレフィン系樹脂;アミド系樹脂;カーボネート系樹脂;これらの共重体樹脂;などからなるフィルムが挙げられる。これらの中でも、支持フィルムは、ノルボルネン系樹脂、又は、非晶質のポリエチレンテレフタレート系樹脂から形成されるフィルムを用いることが好ましく、特に、非晶質の(結晶化していない又は結晶化しにくい)ポリエチレンテレフタレート系樹脂がより好ましい。前記非晶性のポリエチレンテレフタレート系樹脂の具体例としては、ジカルボン酸としてイソフタル酸をさらに含む共重合体、グリコールとしてシクロヘキサンジメタノールをさらに含む共重合体などが挙げられる。
支持フィルムの厚みは、特に限定されず、例えば、20μm~300μmであり、好ましくは50μm~200μmである。ただし、前記厚みは、フィルム原反Bを湿式処理する前(フィルム原反B)における支持フィルムの厚みである。前記厚みが20μm未満であると、親水性ポリマー層の形成が困難になるおそれがある。前記厚みが300μmを超えると、例えば、湿式処理において、支持フィルムに水を吸収させるために長時間を要し、支持フィルムの延伸に過大な負荷を要するおそれがある。
親水性ポリマーとしては、ポリビニルアルコール(PVA)系樹脂、エチレン-ビニルアルコール共重合体などが挙げられる。ポリビニルアルコール(PVA)は、ポリ酢酸ビニルをケン化することにより得られる。エチレン-ビニルアルコール共重合体は、エチレン-酢酸ビニル共重合体をケン化することにより得られる。PVA系樹脂のケン化度は、通常85モル%~100モル%であり、好ましくは、95.0モル%~99.95モル%、さらに好ましくは99.0モル%~99.93モル%である。ケン化度は、JIS K 6726:1994に準じて求めることができる。このようなケン化度のPVA系樹脂を用いることによって、耐久性に優れた偏光子が得られる。
PVA系樹脂の平均重合度は、通常、1000~10000であり、好ましくは1200~5000、さらに好ましくは1500~4500である。なお、平均重合度は、JIS K 6726:1994に準じて求めることができる。
親水性ポリマーを含む塗工液は、代表的には、前記PVA系樹脂を溶媒に溶解させた溶液を用いることができる。前記溶媒としては、例えば、水、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、各種グリコール類、トリメチロールプロパン等の多価アルコール類、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン等のアミン類が挙げられる。これらは、1種単独で、又は2種以上併用できる。これらの中でも、好ましくは、水である。前記溶液のPVA系樹脂濃度は、溶媒100重量部に対して、好ましくは3重量部~20重量部である。このような樹脂濃度の塗工液は、支持フィルムに略均一に塗布できる。
前記塗工液に、添加剤を配合してもよい。添加剤としては、例えば、可塑剤、界面活性剤などが挙げられる。可塑剤としては、例えば、エチレングリコールやグリセリンなどの多価アルコールが挙げられる。界面活性剤としては、例えば、非イオン界面活性剤が挙げられる。これらの添加剤は、得られるPVA系樹脂層(親水性ポリマー層)の均一性や染色性、延伸性をより一層向上させる目的で使用され得る。また、添加剤として、例えば、易接着成分を用いてもよい。易接着成分を用いることにより、支持フィルムとPVA系樹脂層(親水性ポリマー層)との密着性を向上させることができる。
塗工液の塗布方法としては、任意の適切な方法を採用することができる。例えば、ロールコート法、スピンコート法、ワイヤーバーコート法、ディップコート法、ダイコート法、カーテンコート法、スプレーコート法、ナイフコート法(コンマコート法等)などが挙げられる。
塗工液の塗布及び乾燥温度は、好ましくは50℃以上である。PVA系樹脂層(親水性ポリマー層)の厚みは、好ましくは3μm~40μm、さらに好ましくは5μm~20μmである。ただし、前記厚みは、フィルム原反Bを湿式処理する前(フィルム原反B)におけるPVA系樹脂層(親水性ポリマー層)の厚みである。
<親水性ポリマーフィルムからなるフィルム原反>
前記親水性ポリマーフィルムは、親水性ポリマーをフィルム状に製膜することによって得られる。親水性ポリマーとしては、上述のように、PVA系樹脂、エチレン-ビニルアルコール共重合体などが挙げられる。親水性ポリマーフィルムの厚みは、特に限定されないが、例えば、15μm~110μmであり、好ましくは20μm~100μmである。
<膨潤処理槽>
膨潤処理槽42は、膨潤液421が収容された処理槽である。膨潤液421は、フィルム原反Bを膨潤させる。前記膨潤液421としては、例えば、水を使用することができる。さらに、水に、グリセリンやヨウ化カリウムなどのヨウ素化合物を適量加えた水を膨潤液としてもよい。グリセリンを添加する場合、その濃度は5重量%以下が好ましく、ヨウ化カリウムなどのヨウ素化合物を添加する場合、その濃度は10重量%以下が好ましい。
<染色処理槽>
染色処理槽43は、染色液431が収容された処理槽である。染色液431は、フィルム原反Bの親水性ポリマーを染色する。前記染色液431としては、有効成分として二色性物質を含む溶液が挙げられる。二色性物質としては、ヨウ素、有機染料などが挙げられる。好ましくは、前記染色液431として、ヨウ素を溶媒に溶解させた溶液を使用できる。前記溶媒としては、水が一般的に使用されるが、水と相溶性のある有機溶媒が更に添加されてもよい。染色液中のヨウ素の濃度としては、特に限定されないが、0.01重量%~10重量%であることが好ましく、0.02重量%~7重量%の範囲がより好ましく、0.025重量%~5重量%であることがさらに好ましい。染色効率をより一層向上させるために、必要に応じて、染色液にヨウ素化合物を添加してもよい。ヨウ素化合物は、分子内にヨウ素とヨウ素以外の元素を含む化合物であり、例えば、ヨウ化カリウム、ヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化亜鉛、ヨウ化アルミニウム、ヨウ化鉛、ヨウ化銅、ヨウ化バリウム、ヨウ化カルシウム、ヨウ化錫、ヨウ化チタンなどが挙げられ、好ましくは、ヨウ化カリウムが用いられる。
<架橋処理槽>
架橋処理槽44は、架橋液441が収容された処理槽である。架橋液441は、染色されたフィルム原反Bを架橋する。前記架橋液441としては、有効成分としてホウ素化合物を含む溶液を使用できる。例えば、架橋液441としては、ホウ素化合物を溶媒に溶解させた溶液が使用できる。前記溶媒としては、水が一般的に使用されるが、水と相溶性のある有機溶媒が更に添加されてもよい。ホウ素化合物としては、ホウ酸、ホウ砂などが挙げられる。架橋液中のホウ素化合物の濃度としては、特に限定されないが、1重量%~10重量%であることが好ましく、2重量%~7重量%がより好ましく、2重量%~6重量%であることがさらに好ましい。さらに、均一な光学特性を有する偏光子が得られることから、必要に応じて、前記架橋液に上述のヨウ素化合物を添加してもよい。
<延伸処理槽>
延伸処理槽45は、延伸液451が収容された処理槽である。
延伸液451は、特に限定されないが、例えば、有効成分としてホウ素化合物を含む溶液を使用できる。延伸液451としては、例えば、ホウ素化合物、及び必要に応じて、各種金属塩、亜鉛化合物などを溶媒に溶解させた溶液が使用できる。前記溶媒としては、水が一般的に使用されるが、水と相溶性のある有機溶媒が更に添加されてもよい。延伸液中のホウ素化合物の濃度としては、特に限定されないが、1重量%~10重量%であることが好ましく、2重量%~7重量%がより好ましい。フィルム原反Bに吸着させたヨウ素の溶出を抑制する観点から、必要に応じて、前記延伸液に、ヨウ素化合物を添加してもよい。
なお、図示例では、湿式処理部は、膨潤処理槽42、染色処理槽43、架橋処理槽44、延伸処理槽45を有するが、このうちの1つ又は2つの処理槽を省略してもよい。他方、前記湿式処理部は、さらに、調整処理槽(図示せず)を有していてもよい。調整処理槽は、調整液が収容された処理槽である。この調整処理槽は、図6に不図示であるが、前記架橋処理槽44と延伸処理槽45の間、又は、延伸処理槽45と後述する洗浄処理槽51の間に設けられる。前記調整液は、フィルムの色相調整などのための溶液であり、有効成分として上述のヨウ素化合物を含む溶液を使用できる。
<洗浄装置>
洗浄装置5は、前記湿式処理装置4で染色延伸されたフィルム原反Bを洗浄するための装置である。湿式処理したフィルム原反Bには、染色液や架橋液などの処理液(処理液は、湿式処理の際に使用される染色液などの各液の総称である)及び異物が付着している。異物としては、フィルム滓、処理液成分の結晶化物などが挙げられる。洗浄装置5は、フィルム原反Bに付着した前記異物などを除去するための装置である。
図7は、製造装置Aのうち洗浄装置付近を参考的に表した側面図である。
図6及び図7を参照して、洗浄装置5は、フィルム原反Bに洗浄液を塗布する塗工ロール6を有し、好ましくは、洗浄処理槽51をさらに有し、より好ましくは、液除去部52をさらに有する。
具体的には、好ましい形態の洗浄装置5は、前記湿式処理装置4の下流側に配置された洗浄処理槽51と、前記洗浄処理槽51から引き出されたフィルム原反Bに洗浄液を塗布する塗工ロール6と、フィルム原反Bに付着した洗浄液を除去する液除去部52と、を有する。
洗浄処理槽51は、洗浄液511が収容された処理槽である。洗浄液511は、延伸後のフィルム原反Bを洗浄する。洗浄液511は、フィルム原反Bに付着した染色液などの処理液を洗浄するための液である。前記洗浄液としては、イオン交換水、蒸留水、純水などの水;ヨウ素化合物を含む水;などを用いることができる。偏光子の偏光特性が低下しないことから、洗浄液としては、ヨウ素化合物を含む水を用いることが好ましい。ヨウ素化合物を含む水は、純水などの水にヨウ素化合物を溶解させたものである。ヨウ素化合物としては、上述のように、分子内にヨウ素とヨウ素以外の元素を含む化合物を使用すればよいが、好ましくは、ヨウ化カリウムが用いられる。
前記ヨウ素化合物を含む水(洗浄液)において、ヨウ素化合物の濃度は、特に限定されないが、1重量%~7重量%であることが好ましく、2重量%~5重量%がより好ましい。
洗浄処理槽51には、洗浄処理槽51に洗浄液を流入させる流入経路55と、洗浄処理槽51内の洗浄液を流出させる流出経路56と、が具備されている。
洗浄処理槽51の下流側には、搬送装置3に含まれるピンチロール32が配置されている。洗浄処理槽51から引き出されたフィルム原反Bは、ピンチロール32及びガイドロール31を通じて、塗工ロール6へと搬送される。必要に応じて、洗浄処理槽51とピンチロール32の間に、洗浄液を吹き付けるシャワー部53が設けられていてもよい。シャワー部53は、例えば、フィルム原反Bの一方面及び/又は反対面に洗浄液を吹き付ける。
塗工ロール6は、前記洗浄処理槽51と乾燥装置8の間に配置されている。
塗工ロール6は、湿式処理後のフィルム原反Bの一方面に洗浄液を塗布するために設けられている。好ましくは、塗工ロール6は、前記フィルム原反Bの一方面及び反対面(反対面は、一方面とは反対側の表面)に洗浄液を塗布するためにそれぞれ設けられている。
以下、2つの塗工ロールが設けられている場合を例示するが、1つの塗工ロールを「第1塗工ロール」といい、もう1つの塗工ロールを「第2塗工ロール」といい、それらを総称して「塗工ロール」という。
図8は、第1塗工ロール6aの拡大側面図であり、図9は、第2塗工ロール6bの拡大側面図である。
塗工ロール6(第1塗工ロール6a及び第2塗工ロール6b)は、洗浄液を充填可能な複数の凹部61を外周面に有する。前記塗工ロール6には、その凹部61に洗浄液を供給する供給部7が付属されている。
塗工ロール6は、外周面に複数の凹部61を有する円柱状であり、その円柱の中心に回転支持軸を有する。塗工ロール6は、回転支持軸63周りに回転可能である。塗工ロール6は、搬送されるフィルム原反Bの表面に塗工ロール6の外周面が接触するように配置されている。
塗工ロール6は、フィルム原反Bの搬送方向と順方向に回転し、フィルム原反Bに洗浄液を塗布する方式でもよく、或いは、フィルム原反Bの搬送方向と逆方向に回転し、フィルム原反Bに洗浄液を塗布する方式でもよい。フィルム原反Bの表面に付着した異物をかき取るように除去できることから、塗工ロール6は、フィルム原反Bの搬送方向と逆方向に回転し、フィルム原反Bに洗浄液を塗布する方式でもよい。以下、前記逆方向に回転する方式をリバース方式という。
図8及び図9は、リバース方式の塗工ロール6を表している。図8及び図9の塗工ロール6に付加された細矢印は、塗工ロール6の回転方向を示す。
図10乃至図12は、塗工ロール6(第1塗工ロール6a及び第2塗工ロール6b)の詳細図である。図10乃至図12に示す塗工ロール6は、いわゆるグラビアロールであり、その外周面に複数の凹部61(いわゆるセル)が形成されている。凹部61は、洗浄液を充填できる凹んだ部分である。隣接する凹部61の境界部分には、凸部62が形成されている。なお、凸部62は、凹部61との関係で相対的に突出している部分という意味である。
複数の凹部61が密に並んで配置されている塗工ロール6の外周面をフィルム原反Bに接触させることにより、各凹部61に貯留された洗浄液がフィルム原反Bの表面に転写される。
凹部61の平面視形状は、例えば、図11に示すように、略正六角形状(略ハニカム状)である。もっとも、凹部61の平面視形状は、これに限られず、平面視略ひし形(略正方形を含む)、略円形状などであってもよい。
図11は、平面視略正六角形状の各凹部61が、角度60度で略均等に配置された例である。特に図示しないが、各凹部61が、角度30度、或いは、角度45度で略均等に配置されていてもよい。前記角度は、隣接する2つの凹部61の中心点を結んだ線と塗工ロール6の回転支持軸63の軸芯方向との成す角度(最小となる角度)をいう。
凹部61の開口幅及び深さは、特に限定されず、適宜設定できる。
凹部61の線数(グラビアロールのセルの線数)は、特に限定されず、例えば、250線/インチ~2500線/インチであり、好ましくは、400線/インチ~2000線/インチであり、より好ましくは、500線/インチ~1700線/インチであり、さらに、好ましくは、700線/インチ~1400線/インチである。
本発明においては、比較的大きな線数で形成された凹部61を有する塗工ロール6を用いることにより、比較的少量の洗浄剤をフィルム原反Bの表面に略均等に塗布できる。
なお、凹部61の容積は、前記線数に反比例し、線数が大きいほど1つ当たりの凹部61の容積は小さくなる。凹部61の容積と線数は、相関関係があり、凹部61の容積は、線数によって概ね定まる。
図7を参照して、前記塗工ロール6(第1塗工ロール6a及び第2塗工ロール6b)の両側には、一対のテンションロール33が配置されている。搬送されるフィルム原反Bは、前記一対のテンションロール33によって塗工ロール6側に押圧され、塗工ロール6の外周面に接する。塗工ロール6によってフィルム原反Bの表面に洗浄液を塗布できればよいので、比較的小さい接触圧でフィルム原反Bを塗工ロール6の外周面に接触させる。
なお、図示例では、一対のテンションロール33を水平に配置している。この場合、フィルム原反Bは前記一対のテンションロール33間において略水平に搬送され、略水平に搬送されているフィルム原反Bに洗浄液が塗布される。ただし、略水平に搬送されているフィルム原反Bに対して、塗工ロール6を用いて洗浄液を塗布する場合に限られず、上下方向或いは水平に対して鋭角に傾斜した方向に搬送されているフィルム原反Bに対して、塗工ロール6を用いて洗浄液を塗布してもよい。
図7乃至図9を参照して、供給部7は、塗工ロール6(第1塗工ロール6a及び第2塗工ロール6b)の複数の凹部61に洗浄液を充填する。
第1塗工ロール6aに付随された供給部7は、例えば、洗浄液を前記第1塗工ロール6aの外周面に供給する開放型のチャンバー71aと、前記第1塗工ロール6aの外周面の凸部62に接するドクターブレード72aと、前記チャンバー71aに洗浄液を流入させる流入経路73aと、前記チャンバー71aから洗浄液を流出させる流出経路74aと、を有する。
第2塗工ロール6bに付随された供給部7は、例えば、洗浄液を前記第2塗工ロール6bの外周面に供給する開放型のチャンバー71bと、前記第2塗工ロール6bの外周面の凸部62に接するドクターブレード72bと、前記チャンバー71bに洗浄液を流入させる流入経路73bと、前記チャンバー71bから洗浄液を流出させる流出経路74bと、を有する。
前記チャンバー71a,71bは、洗浄液をフィルム原反Bに塗布する部分を基準にして、塗工ロール6の回転方向の後方側に配置されている。
前記チャンバー71a,71bは、塗工ロール6側が開放されている。前記チャンバー71a,71b内の洗浄液に浸りながら第1塗工ロール6a及び第2塗工ロール6b(塗工ロール6)が回転することにより、ロール6a,6bの凹部61に洗浄液が供給されるようになっている。つまり、前記チャンバー71a,71bは、内部に洗浄液を満たしつつ、前記開放部分から塗工ロール6の外周面に洗浄液を供給するように構成されている。かかるチャンバー71a,71bは、一般的にオープンチャンバーと称される。
なお、図8及び図9において、便宜上、洗浄液が存在する箇所に細い斜線を付している(図14及び図15も同様)。
塗工ロール6がフィルム原反Bの表面に接触した後、フィルム原反Bの表面に付着している異物が塗工ロール6の外周面に転移することがある。このような場合でも、塗工ロール6の回転に従い、その異物が転移した外周面が、チャンバー71a,71b内の洗浄液に浸り且つドクターブレード72a,72bに接するので、前記外周面の異物はチャンバー71a,71b内の洗浄液へ移行される。
図8及び図9を参照して、第1塗工ロール6a及び第2塗工ロール6bにそれぞれ付随されたチャンバー71a,71bは、内容器711と外容器712とからなる二重構造になっている。内容器711の上端から洗浄液がオーバーフローし、そのオーバーフローした洗浄液は、外容器712に貯められる。
図7を参照して、チャンバー71aの流出経路74aは、貯留タンク75につながっている。第1塗工ロール6aのチャンバー71aから流出する洗浄液は、前記流出経路74aを通じて、貯留タンク75に貯留される。また、洗浄処理槽51の流出経路56は、貯留タンク75につながっている。洗浄処理槽51から流出する洗浄液は、前記流出経路56を通じて、貯留タンク75に貯留される。
貯留タンク75は、洗浄液を送る供給経路751と、洗浄液を貯留タンク75に補充する補充経路752と、を有する。前記供給経路751には、洗浄液を加圧して送るためのポンプ753と、洗浄液に含まれる異物を除去するためのフィルター754と、が設けられている。供給経路751は、分岐路を介して、チャンバー71aの流入経路73aと洗浄処理槽51の流入経路55に繋がっている。貯留タンク75内の洗浄液は、供給経路751、分岐路及び流入経路73aを通じてチャンバー71aの内容器711に供給され、且つ、供給経路751、分岐路及び流入経路55を通じて洗浄処理槽51に供給される。従って、第1塗工ロール6aの洗浄液及び洗浄処理槽51の洗浄液は、同一の貯留タンク75から供給される。つまり、第1塗工ロール6aと洗浄処理槽51は、同じ洗浄液を用いてフィルム原反Bを洗浄する。
詳しくは、図7及び図8を参照して、チャンバー71aの内容器711から流出した洗浄液は、一旦、外容器712に貯められ、流出経路74aを通じて貯留タンク75に送られる。また、洗浄処理槽51から流出した洗浄液は、流出経路56を通じて貯留タンク75に送られる。貯留タンク75においては、前記返送される洗浄液(洗浄処理槽51及びチャンバー71aから戻される洗浄液)に、補充経路752から送られてくる新たな洗浄液を加えることによって、洗浄液の濃度調整などが行われる。その後、貯留タンク75の洗浄液は、ポンプ753の作用により、供給経路751を通じて、流入経路73a及び流入経路55からチャンバー71aの内容器711及び洗浄処理槽51に供給される。この際、フィルター754によって、洗浄液中の異物や結晶物などの不純物が除去される。このように洗浄処理槽51及び第1塗工ロール6aの洗浄液は、いずれも貯留タンク75を循環するようになっている。
前記ポンプ753としては、例えば、ギアポンプ、ダイアフラムポンプ、プランジャーポンプ、スネークポンプなどの従来公知のポンプを用いることができる。前記フィルター754は、異物などの不純物を濾し取ることができる性能を有するものが用いられる。フィルター754を設けることにより、洗浄処理槽51及び第1塗工ロール6aに清潔な洗浄液が送られる。なお、必要に応じて、流出経路74a及び流出経路56にも、フィルター及び/又はポンプを設けてもよい。
なお、第1塗工ロール6aと洗浄処理槽51が、同一の貯留タンク75から洗浄液を供給される場合に限られず、第1塗工ロール6aと洗浄処理槽51がそれぞれ独立して別個の貯留タンクから洗浄液を供給されるようになっていてもよい。
他方、図7及び図9を参照して、第2塗工ロール6bのチャンバー71bの流出経路74bは、(貯留タンク75につながっておらず)図示しない排水施設につがっている。内容器711の上端からオーバーフローした洗浄液は、外容器712から流出経路74bを通じて排水施設に送られる。また、チャンバー71bの流入経路73bは、図示しない洗浄液の供給元につながっている。
図7乃至図9において、流入経路55,73a,73b、流出経路56,74a,74b及び供給経路751の洗浄液の流れを、各経路に重ねて太矢印で表している。
上述のように、第1塗工ロール6aは、フィルム原反Bの一方面に洗浄液を塗布し、第2塗工ロール6bは、フィルム原反Bの反対面に洗浄液を塗布する。フィルム原反Bとして、支持フィルムと親水性ポリマー層とからなる積層体を用いた場合、フィルム原反Bの一方面は、親水性ポリマー層の一方面となり、フィルム原反Bの反対面は、支持フィルムの反対面となる。親水性ポリマー層の一方面は、支持フィルムに接する面とは反対側の面であり、前記支持フィルムの反対面は、前記親水性ポリマー層に接する面とは反対側の面である。
図8及び図9は、フィルム原反Bとして、支持フィルムB11と親水性ポリマー層B12からなる積層体を用いた例である。
例えば、第1塗工ロール6aによって親水性ポリマー層B12の一方面に洗浄液が塗布される(図8参照)。さらに、第2塗工ロール6bによって支持フィルムB11の反対面に洗浄液が塗布される(図9参照)。
第1塗工ロール6aと第2塗工ロール6bは、フィルム原反Bの搬送方向に順に並設されている。ガイドロール31を通じて搬送されるフィルム原反Bの一方面に、第1塗工ロール6aによって洗浄液が塗布された後、フィルム原反Bの反対面に、第2塗工ロール6bによって洗浄液が塗布される。
なお、第1塗工ロール6aによってフィルム原反Bの反対面(支持フィルムB11の反対面)に洗浄液が塗布され、第2塗工ロール6bによってフィルム原反Bの一方面(親水性ポリマー層B12の一方面)に洗浄液が塗布されるように変更してもよい。或いは、第1塗工ロール6a及び第2塗工ロール6bによってフィルム原反Bの一方面及び反対面に同時に洗浄液が塗布されるように変更してもよい。
塗工ロール6によって塗布される洗浄液は、洗浄処理槽51の欄で説明したように、イオン交換水、蒸留水、純水などの水;ヨウ素化合物を含む水;などを用いることができる。純水などの水は、不純成分を含まないことから、洗浄に適している。他方、親水性ポリマー層や親水性ポリマーフィルムに水を付着させると、最終的に得られる偏光子の偏光特性が低下するおそれがある。このため、上述の親水性ポリマー層B12と支持フィルムB11からなるフィルム原反Bについては、親水性ポリマー層B12の一方面に塗布する洗浄液としてヨウ素化合物を含む水を用い、支持フィルムB11の反対面に塗布する洗浄液として純水などの水を用いることが好ましい。この好ましい例では、ヨウ素化合物を含む水が第1塗工ロール6aによってフィルム原反Bの一方面(親水性ポリマー層B12の一方面)に塗布され、純水などの水が第2塗工ロール6bによってフィルム原反Bの反対面(支持フィルムB11の反対面)に塗布される。
例えば、貯留タンク75の洗浄液としてヨウ素化合物を含む水を用いることにより、洗浄処理槽51及び第1塗工ロール6aにおいて、ヨウ素化合物を含む水(洗浄液)を用いてフィルム原反Bの親水性ポリマー層B12を洗浄できる。他方、第2塗工ロール6bの洗浄液として、純水などの水を用いることにより、フィルム原反Bの支持フィルムB11を洗浄できる。
なお、フィルム原反Bが親水性ポリマーフィルムからなる場合には、そのフィルム原反Bの一方面及び反対面に塗布する洗浄液は、偏光特性を低下させないようにするため、いずれもヨウ素化合物を含む水であることが好ましい。この場合、図7及び図9に示す第2塗工ロール6bのチャンバー71bの流入経路73b及び流出経路74bを、第1塗工ロール6aと同様に、貯留タンク75につなげることが好ましい。
前記ヨウ素化合物を含む水(塗工ロール6の洗浄液)において、ヨウ素化合物の濃度は、特に限定されないが、1重量%~7重量%であることが好ましく、2重量%~5重量%がより好ましい。
なお、塗工ロール6の洗浄液がヨウ素化合物を含む水である場合、その洗浄液は、洗浄処理槽51と同じ洗浄液を用いてもよく、或いは、洗浄処理槽51とは異なる洗浄液を用いてもよい。管理が容易になることから、塗工ロール6と洗浄処理槽51は、上述のように、同じヨウ素化合物を含む水を用いることが好ましい。
洗浄装置5の液除去部52は、主としてフィルム原反Bの表面に付着した洗浄液を除去するために設けられている。液除去部52によって洗浄液を除去することにより、フィルム原反Bの表面に洗浄液成分が残存し難く、偏光特性に優れた偏光子が得られる。
液除去部52は、非接触式(フィルム原反Bに直接的に部材が接触しない方式)であることが好ましい。例えば、液除去部52の除去手段として、エアーが用いられる。
図13は、エアーを用いた液除去部52の構成例である。図13は、図7の第2液除去部52bの付近を参考的に表している。
図13を参照して、液除去部52は、エアーを吹き出すスリット型の吐出口521を有する送風部522と、前記送風部522にダクト523を通じてエアーを供給するブロア(図示せず)と、から構成される。図13及び図7の液除去部52に付随する矢印は、エアーの向きを示す。
前記スリット型の吐出口521は、フィルム原反Bの幅方向全体に延在しているものである。前記吐出口521は、ガイドロール31の軸芯と略平行に配置されているが、前記軸芯と傾斜するように配置されていてもよい。前記吐出口521のスリット幅は、特に限定されず、例えば、0.03mm~3mmであり、好ましくは、0.1mm~1mmである。
液除去部52は、適宜な箇所に設けられ、好ましくは、塗工ロール6の下流側に少なくとも設けられ、より好ましくは、洗浄処理槽51と塗工ロール6の間、及び、塗工ロール6と乾燥装置8の間に少なくとも設けられる。
図7を参照して、第1液除去部52aが、ニップロール32に配置されている。第1液除去部52aは、ニップロール32の一方側の外周面及びもう一方側の外周面にエアーを吹き付ける。洗浄処理槽51から引き出されたフィルム原反Bの表面には洗浄液が付着しており、その洗浄液がニップロール32に付着するが、第1液除去部52aは、そのニップロール32に付着した洗浄液をエアーで吹き飛ばして除去する。第1液除去部52aにより、洗浄液が、ニップロール32からフィルム原反Bへ再付着することを防止できる。
第2液除去部52bは、ニップロール32の下流側のガイドロール31に対応して配置され、フィルム原反Bの一方面に付着した洗浄液をエアーで吹き飛ばして除去する。
第3液除去部52c及び第4液除去部52dは、第1塗工ロール6aと第2塗工ロール6bの間の各ガイドロール31に対応して配置されている。フィルム原反Bの一方面には、第1塗工ロール6aによって洗浄液が塗布されるが、第3液除去部52c及び第4液除去部52dは、それぞれ独立して、フィルム原反Bの一方面に付着した洗浄液をエアーで吹き飛ばして除去する。
第5液除去部52e、第6液除去部52f及び第7液除去部52gは、第2塗工ロール6bと乾燥装置8の間の各ガイドロール31に対応して配置されている。フィルム原反Bの反対面には、第2塗工ロール6bによって洗浄液が塗布されるが、第5乃至第7液除去部52e,52f,52gは、それぞれ独立して、フィルム原反Bの反対面に付着した洗浄液をエアーで吹き飛ばして除去する。
特に、乾燥装置8の直ぐ上流側に配置される液除去部52は、複数であることが好ましい。図示例では、乾燥装置8の直ぐ上流側に、2つの液除去部52(第6及び第7液除去部52f,52g)が配置されている。乾燥装置8に入る直前に、複数の液除去部52を密集して配置することにより、洗浄液が殆ど付着していないフィルム原反Bを乾燥装置8に導入できる。
フィルム原反Bに吹き付けるエアーの向き(送風向き)は、フィルム原反Bの表面(一方面及び反対面)に対して略直交する方向でもよく、或いは、フィルム原反Bの表面に対して鋭角となる方向でもよい。好ましくは、図示例のように、エアーの向きは、フィルム原反Bの搬送方向とは逆方向であってフィルム原反Bの表面に対して鋭角となる方向である。
<乾燥装置>
乾燥装置8は、前記洗浄装置5の下流側に設けられている。乾燥装置8は、洗浄処理後のフィルム原反Bを乾燥するために設けられている。
乾燥装置8は、1つでもよく、或いは、フィルム原反Bの搬送方向に並んで2つ以上設けられていてもよい。乾燥装置8は、例えば、洗浄後のフィルム原反Bに熱を加えてそれを乾燥する加熱部を有する。加熱部は、例えば、筺体81と、熱源(図示せず)と、を有する。熱源としては、例えば、温風を用いることができる。
乾燥装置8によって乾燥したフィルム原反Bが、偏光子1である。
・フィルム積層ゾーン
フィルム積層ゾーンは、偏光子作製ゾーンによって得られた偏光子に、任意フィルムを貼り合わせる積層装置9を有する。
図6を参照して、積層装置9を簡単に説明する。
積層装置9は、偏光子1及び任意フィルム14を搬送する搬送装置と、偏光子1に接着剤を塗布する接着剤塗工部91と、任意フィルム14に接着剤を塗布する接着剤塗工部91と、偏光子1と任意フィルム14を貼り合わせる貼り合わせ部92と、を有する。
接着剤塗工部91としては、例えば、グラビアロールを使用できる。貼り合わせ部92は、例えば、ニップロールが用いられている。
なお、接着剤が活性エネルギー線硬化型である場合には、貼り合わせ部92の後に活性エネルギー線照射装置93が配置される。
[偏光子の製造方法]
<湿式処理工程>
図6を参照して、フィルム原反Bを繰り出し部41から引き出し、搬送装置3にて前記フィルム原反Bを膨潤処理槽42に搬送する。膨潤処理槽42内のガイドロールでフィルム原反Bを搬送しながら、前記フィルム原反Bを膨潤液に浸漬することによって、フィルム原反Bが膨潤する。前記膨潤液の温度は、特に限定されないが、例えば、20℃~45℃である。フィルム原反Bを膨潤液に浸漬する時間は、特に限定されないが、例えば、5秒~300秒である。次に、膨潤後のフィルム原反Bを染色処理槽43内の染色液に浸漬することによって、フィルム原反Bが二色性物質によって染色される。前記染色液の温度は、特に限定されないが、例えば、20℃~50℃である。フィルム原反Bを染色液に浸漬する時間は、特に限定されないが、例えば、5秒~300秒である。染色後のフィルム原反Bを架橋処理槽44内の架橋液に浸漬することによって、フィルム原反Bの二色性物質が架橋される。前記架橋液の温度は、特に限定されないが、例えば、25℃以上であり、好ましくは40℃~70℃である。フィルム原反Bを架橋液に浸漬する時間は、特に限定されないが、例えば、5秒~800秒である。
前記架橋後のフィルム原反Bを、延伸処理槽45の延伸液中において搬送しながら延伸する。延伸液の温度は、特に限定されないが、例えば、40℃~90℃である。延伸倍率は目的に応じて適宜に設定できるが、総延伸倍率は、例えば、2倍~7倍であり、好ましくは4.5倍~6.8倍である。前記総延伸倍率は、フィルム原反Bの最終的な延伸倍率を意味する。
<洗浄工程>
洗浄工程は、塗工ロール6を用いてフィルム原反Bに洗浄液を塗布する洗浄液塗布工程を有し、好ましくは、洗浄液を含む洗浄処理槽51にフィルム原反Bを浸漬する洗浄液浸漬工程と、前記洗浄液塗布工程と、を有する。
前記染色及び延伸などの湿式処理したフィルム原反Bを、洗浄液を用いて洗浄する。
前記延伸後のフィルム原反Bを、洗浄処理槽51内の洗浄液に浸漬することによって、フィルム原反Bが洗浄される。前記洗浄液の温度は、例えば、5℃~50℃である。洗浄時間は、例えば、1秒~300秒である。
図6及び図7を参照して、洗浄処理槽51から引き出したフィルム原反Bを、ニップロール32に通過させた後、ガイドロール31を通じて第1塗工ロール6aへ搬送する。ニップロール32への通過及び第2液除去部52bによって、フィルム原反Bに付着した洗浄液がある程度除去される。
次に、フィルム原反Bを第1塗工ロール6aに搬送し、第1塗工ロール6aを用いて前記フィルム原反Bの一方面に洗浄液を塗布する。第1塗工ロール6aによってフィルム原反Bの一方面に洗浄液の薄膜(洗浄液膜)が形成される。前記洗浄液膜の厚みは、特に限定されないが、余りに小さいと、十分に洗浄できないおそれがあり、余りに大きいと、液除去部52によって洗浄液を十分に除去できないおそれがある。かかる観点から、前記洗浄液膜の厚みは、0.1μm~20μmであることが好ましく、さらに、0.3μm~15μmであることがより好ましい。前記洗浄液膜の厚みは、第1塗工ロール6aの凹部61の容積及びフィルム原反Bの搬送速度などを設定することによって調整できる。
図8のように、第1塗工ロール6aが親水性ポリマー層B12の一方面に洗浄液を塗布する場合、その洗浄液として上述のようにヨウ素化合物を含む水を用いることが好ましい。前記洗浄液の温度は、例えば、5℃~50℃である。
リバース方式の第1塗工ロール6aは、フィルム原反Bの一方面に付着した異物をかき取るように除去しつつ、適切な厚みの洗浄液膜をフィルム原反Bの一方面に形成できる。
第1塗工ロール6aを通過したフィルム原反Bを搬送し、そのフィルム原反Bの一方面に付着した洗浄液を、液除去部52(第3及び第4液除去部52c,52d)によって除去する。
次に、フィルム原反Bを第2塗工ロール6bに搬送し、第2塗工ロール6bを用いて前記フィルム原反Bの反対面に洗浄液を塗布する。第2塗工ロール6bによってフィルム原反Bの反対面に洗浄液の薄膜(洗浄液膜)が形成される。前記洗浄液膜の厚みは、上記と同様な理由から、0.1μm~20μmであることが好ましく、さらに、0.3μm~15μmであることがより好ましい。前記洗浄液膜の厚みは、第2塗工ロール6bの凹部61の容積及びフィルム原反Bの搬送速度などを設定することによって調整できる。
図9のように、第2塗工ロール6bが支持フィルムB11の反対面に洗浄液を塗布する場合、その洗浄液として上述のように水を用いることが好ましい。前記洗浄液の温度は、例えば、5℃~50℃である。
リバース方式の第2塗工ロール6bは、フィルム原反Bの反対面に付着した異物をかき取るように除去しつつ、適切な厚みの洗浄液膜をフィルム原反Bの反対面に形成できる。
第2塗工ロール6bを通過したフィルム原反Bを搬送し、そのフィルム原反Bの反対面に付着した洗浄液を、液除去部52(第5乃至第7液除去部52e,52f,52g)によって除去する。
前記塗工ロール6を用いて洗浄液を塗布する際、フィルム原反Bの搬送速度は、特に限定されないが、余りに速いと洗浄液をフィルム原反Bの表面に略均一に塗布できないおそれがあり、余りに遅いと生産効率が低下する。かかる点を考慮して、塗工ロール6を用いて洗浄液を塗布する際のフィルム原反Bの搬送速度が設定される。
<乾燥工程>
前記洗浄後のフィルム原反Bを、乾燥装置8にて乾燥する。
湿式処理及び洗浄処理したフィルム原反Bには、比較的多量の水分が含まれているので、乾燥装置8によってこれを乾燥する。
乾燥後に得られる偏光子1の水分率ができるだけ小さくなるように、フィルム原反Bを乾燥することが好ましい。例えば、乾燥後の偏光子1(乾燥工程において乾燥した後のフィルム原反B)の水分率は、18重量%以下が好ましく、17重量%以下がより好ましく、16重量%以下がさらに好ましい。前記水分率はできるだけ小さいことが好ましいので、その下限値は特に限定されないが、水分率が零となるまで乾燥することは実際上困難であることから、前記水分率は、例えば、10重量%以上であり、さらに、12重量%以上である。
乾燥工程における乾燥温度(乾燥装置8の筺体81内の雰囲気温度)は、例えば、40℃~100℃、好ましくは50℃~90℃に設定される。
<積層工程>
前記乾燥工程を経て得られた長尺帯状の偏光子1は、そのままロールに巻き取ってもよい。また、引き続いて、その偏光子1に任意フィルムを積層してもよい。
図6に示すように、乾燥後の長尺帯状の偏光子1を、搬送装置3によって貼り合わせ部92に搬送する。前記搬送過程で、偏光子1の一方面(例えば、染色された親水性ポリマー層B12の一方面)に、接着剤塗工部91にて接着剤を塗工する。他方、繰り出し部94から長尺帯状の任意フィルム14(例えば、保護フィルムなど)を引き出し、任意フィルム14の一方面に接着剤塗工部91にて接着剤を塗布した後、その任意フィルム14を貼り合わせ部92に搬送する。接着剤を塗布して接着剤層(未硬化の接着剤)が形成された偏光子1及び任意フィルム14をニップロール92に挿通し、接着剤を硬化させる。活性エネルギー線硬化型接着剤が用いられている場合には、前記接着剤層に対して活性エネルギー線を照射することにより、接着剤が硬化し、偏光子/接着剤層/任意フィルムからなる積層偏光フィルム2が得られる。フィルム原反Bが支持フィルムB11及び親水性ポリマー層B12からなる積層体である場合には、図4に示すような積層偏光フィルムが得られる。
得られた積層偏光フィルム2は、巻き取り部95に巻き取られる。
[変形例]
上記実施形態では、塗工ロール6に附随された供給部7のチャンバーとして、塗工ロール6側が開放されているチャンバー71a,71b(オープンチャンバー)を例示したが、これに限定されない。
例えば、図14及び図15に示すように、第1塗工ロール6a及び第2塗工ロール6b(塗工ロール6)に閉鎖的に密着したチャンバー76a,76bを用いてもよい。
具体的には、図14を参照して、第1塗工ロール6aに付随された供給部7は、例えば、洗浄液を前記第1塗工ロール6aの外周面に供給する閉鎖型のチャンバー76aと、前記第1塗工ロール6aの外周面の凸部62に接するドクターブレード77aと、前記チャンバー76aに洗浄液を流入させる流入経路73aと、前記チャンバー76aから洗浄液を流出させる流出経路74aと、を有する。
第2塗工ロール6bに付随された供給部7は、例えば、洗浄液を前記第2塗工ロール6bの外周面に供給する閉鎖型のチャンバー76bと、前記第2塗工ロール6bの外周面の凸部62に接するドクターブレード77bと、前記チャンバー76bに洗浄液を流入させる流入経路73bと、前記チャンバー76bから洗浄液を流出させる流出経路74bと、を有する。
図14及び図15を参照して、前記チャンバー76a,76bは、塗工ロール6の外周面に、洗浄液を供給するように構成されている。前記チャンバー76a,76bは、洗浄液の供給先側が開口した中空形状に形成されている。前記チャンバー76a,76bは、内部の空間に洗浄液を満たしつつ、前記供給先側の開口から塗工ロール6の外周面に洗浄液を供給するように構成されている。かかるチャンバー76a,76bは、一般的にクローズドチャンバーと称される。なお、前記チャンバー76a,76b内には、間隙無く洗浄液が満たされていてもよく、或いは、部分的に空洞を有した状態で洗浄液が満たされていてもよい(例えば、チャンバー76a,76b内であってドクターブレード77a,77bの下方側に、空洞を有する場合もある)。
前記チャンバー76a,76bは、前記供給先側の開口が塗工ロール6の外周面に沿うように配置されている。
塗工ロール6の回転に従い、チャンバー76a,76bの供給先側の開口から塗工ロール6(第1塗工ロール6a及び第2塗工ロール6b)の凹部61を含む外周面に洗浄液が付着する。塗工ロール6の外周面がドクターブレード77a,77bの先端に接しながら、塗工ロール6は回転する。塗工ロール6の回転に従い、ドクターブレード77a,77bが塗工ロール6の外周面の凸部62に接するので、塗工ロール6の外周面に付着した余分な洗浄液は、チャンバー76a,76b内にかき落とされる。ドクターブレード77a,77bを過ぎた後には、塗工ロール6の実質的に凹部61のみに洗浄液が充填される。凹部61に洗浄液が充填された塗工ロール6が回転し且つフィルム原反Bの表面に接することにより、フィルム原反Bの表面に洗浄液の薄膜が形成される。
前記チャンバー76a,76bは、それぞれ流入経路73a,73bから流入した洗浄液を貯めるように構成されている。また、チャンバー76a,76bは、それぞれ洗浄液が漏れ出ないように、塗工ロール6の外周面と近接する部分に、シール部材(図示せず)を有する。チャンバー76a,76bは、シール部材により、洗浄液が漏れ出すことを抑えつつ、内部に貯めた洗浄液の一部を塗工ロール6の外周面に供給するようにそれぞれ構成されている。
前記流入経路73a,73bは、それぞれ、一方側が貯留タンク78,79につながり、他方側がチャンバー76a,76bにつながっている。流入経路73a,73bは、それぞれポンプ753と、フィルター754と、を有する。流入経路73a,73bは、それぞれポンプ753によって貯留タンク78,79の洗浄液をチャンバー76a,76bに送るように構成されている。なお、貯留タンク78,79は、それぞれ補充経路782、792を有する。補充経路782,792から貯留タンク78,79内に新たな洗浄液が補充され、貯留タンク78,79内の洗浄液の濃度調整などが行われる。
流出経路74a,74bは、それぞれ、一方側がチャンバー76a,76bにつながり、他方側が貯留タンク78,79につながっている。流出経路74a,74bは、それぞれチャンバー76a,76bから貯留タンク78,79へ洗浄液を送るように構成されている。
なお、前記貯留タンク78に、上記実施形態と同様に、洗浄処理槽51の流入経路55及び流出経路56をつなげてもよい。
また、上記実施形態では、上記洗浄装置5は、2つの塗工ロール6(第1塗工ロール6a及び第2塗工ロール6b)を有するが、3つ以上の塗工ロール6を有していてもよい。さらに、洗浄装置5は、1つの塗工ロール6を有するものでもよい。
さらに、本発明において、洗浄装置5が、フィルム原反Bの表面に付着した洗浄液を除去するために、フィルム原反Bの表面に接触する液切り部材(いわゆるブレード)を具備していてもよい。ただし、液切り部材を比較的強い接触圧でフィルム原反Bに当てると、フィルム原反Bの表面が傷付くので、液切り部材によってフィルム原反Bに傷が付かない程度の接触圧で、前記液切り部材が具備される。
[本発明の利点]
本発明では、塗工ロールを用いてフィルム原反Bの一方面に洗浄液を塗布する。
湿式処理後のフィルム原反の一方面(表面)に異物が付着していても、塗工ロールによってフィルム原反の一方面(表面)に塗布した洗浄液によって、その異物を除去できる。
特に、リバース方式の塗工ロールは、フィルム原反に付着している異物をかき取るようにしてある程度除去した後に、洗浄液を塗布できる。かかるリバース方式の塗工ロールを用いれば、フィルム原反の表面の異物を効果的に除去できる。
また、塗工ロールにて洗浄液が塗布された後のフィルム原反に、仮に異物が残っていても、塗工ロールの下流側に、エアーからなる液除去部が設けられている。このため、フィルム原反の表面を傷付けることなく、前記仮に残った異物を洗浄液と共にフィルム原反の表面から除去できる。
このようにフィルム原反の表面に付着する異物を可及的に少なくできる本発明の製造方法(製造装置)を用いれば、光学的に欠陥の少ない偏光子を得ることができる。
[積層偏光フィルムの用途など]
本発明の偏光子及び積層偏光フィルムは、代表的には、液晶表示装置や有機表示装置などのディスプレイの光学フィルムとして使用される。
また、本発明の偏光子及び積層偏光フィルムは、前述のディスプレイに使用される場合に限定されず、ディスプレイ以外の用途に使用することもできる。ディスプレイ以外の用途としては、光学機器、建築物、医療・食品分野などが挙げられる。偏光子及び積層偏光フィルムが光学機器に使用される場合には、その偏光子及び積層偏光フィルムは、例えば、偏光レンズ、透明電波遮断フィルムなどに加工される。偏光子及び積層偏光フィルムが電子デバイスに使用される場合には、その偏光子及び積層偏光フィルムは、例えば、調光窓用フィルムなどに加工される。偏光子及び積層偏光フィルムが医療・食品分野に使用される場合には、その偏光子及び積層偏光フィルムは、例えば、光劣化防止フィルムなどに加工される。
以下、実施例及び比較例を説明し、本発明を更に詳述する。但し、本発明は、下記実施例に限定されるものではない。
[実施例]
<製造装置>
図6乃至図9に示すように、湿式処理装置、洗浄装置及び乾燥装置をこの順で有する製造装置(ただし、フィルム積層ゾーンを有さない製造装置)を用いた。
<湿式処理装置>
製造装置の湿式処理装置は、膨潤処理槽と、染色処理槽と、架橋処理槽と、延伸処理槽と、をこの順で有する。膨潤処理槽の膨潤液として、30℃の純水を用いた。染色処理槽の染色液として、1重量%のヨウ素及び7重量%のヨウ化カリウムを含む30℃の水溶液を用いた。架橋処理槽の架橋液として、3重量%のヨウ化カリウム及び4.5重量%のホウ酸を含む40℃の水溶液を用いた。延伸処理槽の延伸液として、5重量%のヨウ化カリウム及び4重量%のホウ酸を含む60℃の水溶液を用いた。
<洗浄装置>
洗浄装置は、洗浄処理槽と、第1塗工ロール及び第2塗工ロールと、第1乃至第7液除去部と、を有する。
洗浄処理槽の洗浄液として、3.9重量%のヨウ化カリウムを含む27℃の水溶液を用いた。
第1塗工ロールによって塗布する洗浄液として、3.9重量%のヨウ化カリウム水溶液を用い、第2塗工ロールによって塗布する洗浄液として、純水を用いた。なお、第1塗工ロールと洗浄処理槽の洗浄液は、貯留タンクから送られてくる同じ洗浄液である。
第1塗工ロール及び第2塗工ロールは、それぞれ次のグラビアロールを用いた。
グラビアロール:酸化クロム溶射によって形成された酸化クロム製の外周面を有するグラビアロールの前記外周面に、レーザー彫刻によって、凹部(セル)を線数1000線/インチで均等に形成した。セルの平面視形状は、略ハニカム状であり、角度は60度とした。グラビアロールの直径(外周面の直径)は、100mm、外周面の軸芯方向の長さは、1800mmであった。
第1乃至第7液除去部は、エアーを用いた。エアーは、スリット幅1mmのスリット型吐出口から吹き付ける方式で、第1乃至第7液除去部のそれぞれのエアーの風速は、30m/秒とした。第1液除去部のエアーの向きは、それぞれピンチロールの外周面の接線に対して直交する方向とし、第2乃至第7液除去部のエアーの向きは、それぞれフィルム原反の表面に対して鋭角となる方向とした。
<乾燥装置>
乾燥装置は、筺体内に温風を出し、筺体内の雰囲気温度を約60℃に設定したものを用いた。乾燥装置は、筺体内に配置された複数のガイドロールによってフィルム原反が搬送されている間に、フィルム原反を乾燥するものである。
<フィルム原反>
支持フィルムとして、吸水率0.6%、Tg80℃、弾性率2.5GPaの非晶質ポリエチレンテレフタレートフィルム(三菱ケミカル(株)製、商品名「ノバクリア」)を準備した。このフィルムは、幅1600mm、長さ1000mの長尺帯状であり、フィルムの厚みは、100μmであった。
この支持フィルムの一方面に、コロナ処理(処理条件:55W・min/m)を施し、このコロナ処理面に、PVA水溶液を60℃で塗布し乾燥することにより、厚み10μmのPVA系樹脂層を形成した。なお、前記PVA水溶液は、90重量部のポリビニルアルコール(重合度4200、ケン化度99.2モル%)及び10重量部のアセトアセチル変性PVA(重合度1200、アセトアセチル変性度4.6%、ケン化度99.0モル%以上、日本合成化学工業(株)製、商品名「ゴーセファイマーZ200」)を含む水溶液である。得られた積層体(PVA系樹脂層と支持フィルムの積層体)を、20℃のオーブン内で周速の異なるロール間で縦方向(長手方向)に1.8倍に自由端一軸延伸した(空中補助延伸)。そして、空中補助延伸した積層体を、フィルム原反として用いた。
<偏光子の製造>
上記フィルム原反を製造装置にセットし、フィルム原反を湿式処理した後、洗浄し、乾燥することによって、図1及び図2に示すような長尺帯状の偏光子を作製した。
具体的には、フィルム原反を、膨潤処理槽の膨潤液に約30秒間浸漬し、染色処理槽の染色液に約60秒間浸漬し、架橋処理槽の架橋液に約30秒間浸漬し、延伸処理槽で延伸して湿式処理した。フィルム原反の最大延伸倍率は、6.0倍とした。
引き続いて、湿式処理後のフィルム原反を、洗浄処理槽の洗浄液に浸漬した後、洗浄処理槽から引き出し、フィルム原反の一方面(PVA系樹脂層の一方面)に第1塗工ロールを用いて洗浄液(3.9重量%のヨウ化カリウム水溶液)を塗布した。この第1塗工ロールによって、前記フィルム原反の一方面に厚み約0.4μmの洗浄液膜が形成される。さらに、フィルム原反の反対面(支持フィルムの反対面)に第2塗工ロールを用いて洗浄液(純水)を塗布した。この第2塗工ロールによって、前記フィルム原反の反対面に厚み約約0.4μmの洗浄液膜が形成される。製造中、各液除去部を稼働させてエアーを送風し、洗浄処理槽のピンチロール及びフィルム原反の表面の液切りを行った。
洗浄後のフィルム原反を乾燥装置に導入して乾燥することにより、長尺帯状の偏光子(支持フィルムと染色されたPVA系樹脂層の積層体)を連続的に作製した。
[比較例]
実施例で使用した製造装置の第1塗工ロール及び第2塗工ロールに代えて、液切り部材を用いたこと以外は、実施例と同様にして長尺帯状の偏光子を作製した。
具体的には、液切り部材は、先端部が尖ったステンレス製の板状体(幅1800mm)からなる。洗浄処理槽と乾燥装置の間のフィルム原反の搬送経路において、フィルム原反の一方面に前記液切り部材の先端部を押し当て、さらに、その下流側でフィルム原反の反対面に前記液切り部材の先端部を押し当てた。
塗工ロールに代えて液切り部材を押し当てた状態で、製造装置を稼働することによって、長尺帯状の偏光子を連続的に作製した。
[偏光子の欠陥の有無]
実施例及び比較例で得られた偏光子に、それぞれアクリル樹脂系保護フィルムを紫外線硬化型接着剤を用いて貼り合わすことにより、図4に示すような積層偏光フィルムを作製した。
その積層偏光フィルムの面内に欠陥があるかどうかを確認した。
具体的には、照明とカメラを備える撮像機器を用い、照明とカメラの間に、積層偏光フィルム及び別の検査用偏光フィルムを配置して透過検査を行った。
前記透過検査で得られたカメラの撮像画像から、欠陥の個数を計測した。
その結果、実施例の偏光子は、欠陥箇所が平均0.08個/mで、比較例の偏光子は、欠陥箇所が平均0.18個/mであった。なお、個/mは、偏光子の長手方向長さ1mあたりの欠陥箇所の個数を意味する。
1 偏光子
3 搬送装置
4 湿式処理装置
5 洗浄装置
51 洗浄処理槽
52,52a,52b,52c,52d,52e,52f,52g エアーを吹き付ける液除去部
6,6a,6b 塗工ロール
8 乾燥装置
81 筺体
A 偏光子の製造装置(偏光子を含む積層偏光フィルムの製造装置)
B フィルム原反
B11 フィルム原反の支持フィルム
B12 フィルム原反の親水性ポリマー層

Claims (11)

  1. 親水性ポリマーを含む長尺帯状のフィルム原反を長手方向に搬送し、前記フィルム原反を染色液にて染色すると共に延伸する湿式処理工程、
    前記湿式処理したフィルム原反を洗浄液にて洗浄する洗浄工程、
    前記洗浄液にて洗浄した前記フィルム原反を乾燥する乾燥工程、を有し、
    前記洗浄工程が、前記洗浄液を塗工ロールを用いて前記フィルム原反の一方面に塗布する洗浄液塗布工程を有し、
    前記乾燥工程が、複数のガイドロールが配置された筺体を有する加熱部の前記筺体内のガイドロールによって前記フィルム原反を搬送している間に、前記フィルム原反を乾燥する、偏光子の製造方法。
  2. 前記洗浄工程が、前記湿式処理工程と前記洗浄液塗布工程の間に、洗浄液を含む洗浄処理槽に前記フィルム原反を浸漬する洗浄液浸漬工程をさらに有し、
    前記塗工ロールの洗浄液及び前記洗浄処理槽の洗浄液が、同一の貯留タンクから供給される、請求項1に記載の偏光子の製造方法。
  3. 前記洗浄液が、水又はヨウ素化合物を含む水である、請求項1または2に記載の偏光子の製造方法。
  4. 前記洗浄液塗布工程において、前記塗工ロールによって前記フィルム原反の一方面に洗浄液を塗布した後、前記フィルム原反にエアーを吹き付けることによって前記フィルム原反の一方面に塗布された洗浄液を除去する、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の偏光子の製造方法。
  5. 前記塗工ロールが、外周面に前記洗浄液が充填されている複数の凹部を有し、
    前記洗浄液塗布工程において、回転する塗工ロールの外周面を前記フィルム原反の一方面に接触させることによって、前記塗工ロールの凹部に充填された洗浄液を前記フィルム原反に付着させる、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の偏光子の製造方法。
  6. 前記洗浄液塗布工程において、前記塗工ロールを前記フィルム原反の搬送方向とは逆方向に回転させながら、前記フィルム原反に洗浄液を塗布する、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の偏光子の製造方法。
  7. 前記洗浄液塗布工程において、前記塗工ロールにて洗浄液を塗布することによって、前記フィルム原反の一方面に、厚み0.1μm~20μmの洗浄液膜を形成する、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の偏光子の製造方法。
  8. 前記長尺帯状のフィルム原反が、支持フィルムと、前記支持フィルムに積層された親水性ポリマー層と、を有し、
    前記洗浄液塗布工程において、前記親水性ポリマー層の一方面に前記塗工ロールを用いて洗浄液を塗布する、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の偏光子の製造方法。
  9. 前記洗浄液塗布工程において、前記支持フィルムの、前記親水性ポリマー層に接する面とは反対面に前記塗工ロールを用いて洗浄液を塗布する、請求項8に記載の偏光子の製造方法。
  10. 前記長尺帯状のフィルム原反が、親水性ポリマーフィルムから構成されている、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の偏光子の製造方法。
  11. 親水性ポリマーを含む長尺帯状のフィルム原反を長手方向に搬送する搬送装置と、
    前記フィルム原反を染色液にて染色すると共に延伸する湿式処理装置と、
    前記湿式処理装置の下流側に配置され且つ前記フィルム原反を洗浄液にて洗浄する洗浄装置と、
    前記洗浄装置の下流側に配置され且つ前記フィルム原反を乾燥する乾燥装置と、を有し、
    前記洗浄装置が、洗浄液を充填可能な複数の凹部を外周面に有する塗工ロールを有し、
    前記塗工ロールの外周面が前記搬送されるフィルム原反の一方面に接触するように、前記塗工ロールが配置されており、
    前記乾燥装置が、複数のガイドロールが配置された筺体を有する、
    偏光子の製造装置。
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