JP2023132259A - 全固体電池およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】電池容量の低下を抑制できる全固体電池等を提供する。【解決手段】全固体電池100は、正極集電体7と、正極活物質2および固体電解質1を含む正極層20と、固体電解質5を含む固体電解質層10と、負極活物質3および固体電解質4を含む負極層30と、負極集電体8とが、この順で積層された構造を有する。負極活物質3は、グラファイトの小片が複数積層された構造を有する複数の扁平状活物質粒子を含む。負極層30の厚み方向に沿って負極層30を切断した断面において、固体電解質4を構成する複数の粒子のうちの一部の粒子は、複数の扁平状活物質粒子のうちの少なくとも1つの扁平状活物質粒子に埋まっている。【選択図】図1

Description

本開示は、全固体電池およびその製造方法に関し、特に、正極層、負極層、および固体電解質層を用いた全固体電池ならびにその製造方法に関するものである。
近年、パソコン、携帯電話などの電子機器の軽量化、コードレス化などにより、繰り返し使用可能な二次電池の開発が求められている。二次電池として、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池、鉛畜電池、リチウムイオン電池などがある。これらの中でも、リチウムイオン電池は、軽量、高電圧、高エネルギー密度といった特徴があることから、注目を集めている。
電気自動車またはハイブリッド車といった自動車分野においても、高電池容量の二次電池の開発が重要視されており、リチウムイオン電池の需要は増加傾向にある。
リチウムイオン電池は、正極層、負極層およびこれらの間に配置された電解質によって構成されており、電解質には、例えば六フッ化リン酸リチウムなどの支持塩を有機溶媒に溶解させた電解液または固体電解質が用いられる。現在、広く普及しているリチウムイオン電池は、有機溶媒を含む電解液が用いられているため可燃性である。そのため、リチウムイオン電池の安全性を確保するための材料、構造、およびシステムが必要である。これに対し、電解質として不燃性である固体電解質を用いることで、上記、材料、構造、およびシステムを簡素化できることが期待され、エネルギー密度の増加、製造コストの低減、および、生産性の向上を図ることができると考えられる。以下、リチウム(Li)イオンを伝導する固体電解質を用いたリチウムイオン電池等の固体電解質を用いた電池を、「全固体電池」と呼ぶこととする。
固体電解質は、有機固体電解質と無機固体電解質に大きく分けることが出来る。また無機固体電解質としては、酸化物系固体電解質と硫化物系固体電解質とハロゲン化物系固体電解質が一般的である。ここで、硫化物系固体電解質およびハロゲン化物系固体電解質は、酸化物系固体電解質と比べて粒界抵抗が小さいため、焼結プロセスを用いずに粉体の圧縮成型のみで、良好な特性が得られるといった特徴がある。更なる大判化・高容量化に向けた全固体電池の開発において、硫化物系固体電解質を用いた、大判化可能な塗工型の全固体電池の研究が近年盛んに行われている。
全固体電池の製造方法として、負極活物質粒子と固体電解質粒子とを混合した混合物を加圧成形することで負極層を作製する方法が特許文献1に開示されている。
特開平8-138724号公報
本開示では、電池容量の低下を抑制した全固体電池等を提供することを目的とする。
本開示の一態様に係る全固体電池は、正極集電体と、正極活物質および第1固体電解質を含む正極層と、第3固体電解質を含む固体電解質層と、負極活物質および第2固体電解質を含む負極層と、負極集電体とが、この順で積層された構造を有し、前記負極活物質は、グラファイトの小片が複数積層された構造を有する複数の扁平状活物質粒子を含み、前記負極層の厚み方向に沿って前記負極層を切断した断面において、前記第2固体電解質を構成する複数の粒子のうちの一部の粒子は、前記複数の扁平状活物質粒子のうちの少なくとも1つの扁平状活物質粒子に埋まっている。
また、本開示の一態様に係る全固体電池の製造方法は、上記全固体電池の製造方法であって、前記負極層の製造工程は、グラファイトの小片が複数折り重ねられて造粒化された活物質粒子を含む負極活物質を使用し、第2固体電解質を構成する粒子が複数個凝集した凝集体を前記活物質粒子の表面に配置することを含む、前記負極活物質と前記第2固体電解質との混合工程を含む。
本開示に係る全固体電池等によれば、全固体電池における電池容量の低下を抑制することができる。
図1は、実施の形態における全固体電池の断面を示す模式図である。 図2は、実施の形態における全固体電池の製造方法を説明するための断面模式図である。 図3Aは、実施の形態における負極合剤の製造方法を示すフローチャートである。 図3Bは、実施の形態における負極合剤の別の製造方法を示すフローチャートである。 図4は、比較例における負極合剤の製造方法を示すフローチャートである。 図5は、比較例における負極活物質および固体電解質の状態の変化を説明するための模式図である。 図6は、実施の形態における負極活物質および固体電解質の状態の変化を説明するための模式図である。 図7は、実施の形態における負極層の断面を示す電子顕微鏡画像である。
(本開示の一態様を得るに至った経緯)
本発明者らは、「背景技術」の欄において記載した従来の全固体電池に関し、以下の問題が生じることを見出した。
一般的に活物質は、電池製造工程の安定化のため、活物質の流動性などを向上させる目的で複数の小片等を粒子状に成形した造粒化粒子として取り扱うことが主流である。しかし、特許文献1で開示されている方法では、負極活物質粒子としてグラファイトの小片が複数折り重なった造粒化粒子を用いる場合、以下2点の問題点が生じる。
1つ目の問題点は、造粒化粒子の内部までリチウムイオンが伝導する経路を確保しにくい点である。具体的には、負極活物質粒子と固体電解質粒子とを混合後、金型へ投入する等によって加圧する際、負極活物質の活物質粒子が潰され扁平状の活物質粒子になる。ここで扁平状の活物質粒子とは、グラファイトの小片がランダムに折り重なって造粒化された活物質粒子をプレスすることにより押しつぶすことで、グラファイトの小片が配向して積層する形に押し固められた状態の活物質であり、以降、「扁平状活物質粒子」と述べる。この時、扁平状活物質粒子内ではグラファイトの小片が積層した状態になっている。電池において、グラファイトの小片のエッジ部から例えばリチウムイオンが挿入および脱離されることで充放電性能を発揮している。しかし上述した扁平状活物質粒子内においてグラファイトの小片が積層した状態になっていると、リチウムイオンが伝導する経路が扁平状活物質粒子内まで確保されにくく、電池容量が低下する。特に、高レートで充放電する場合に、電池容量が低下しやすい。
2つ目の問題点は、負極層において、負極活物質の扁平状活物質粒子が充放電により膨張収縮することで、負極活物質と固体電解質との界面で剥離が発生する点である。剥離が発生すると、リチウムイオンの伝導経路が減るため、電池容量が低下する。
そこで、本開示では、上記課題を鑑み、扁平状活物質粒子を含む負極活物質を用いた場合でも、電池容量の低下を抑制できる全固体電池等を提供する。
(本開示の概要)
本開示の一様態の概要は以下の通りである。
本開示の一態様における全固体電池は、正極集電体と、正極活物質および第1固体電解質を含む正極層と、第3固体電解質を含む固体電解質層と、負極活物質および第2固体電解質を含む負極層と、負極集電体とが、この順で積層された構造を有し、前記負極活物質は、グラファイトの小片が複数積層された構造を有する複数の扁平状活物質粒子を含み、前記負極層の厚み方向に沿って前記負極層を切断した断面において、前記第2固体電解質を構成する複数の粒子のうちの一部の粒子は、前記複数の扁平状活物質粒子のうちの少なくとも1つの扁平状活物質粒子に埋まっている。
これにより、扁平状活物質粒子に埋まった第2固体電解質によって、負極活物質の内部までリチウムイオンが伝達しやすくなり、電池容量の低下を抑制することができる。
また、例えば、前記断面において、前記少なくとも1つの扁平状活物質粒子に前記一部の粒子が埋まる深さは、前記第2固体電解質の平均粒子径の1/2以上であってもよい。
これにより、負極活物質の内部までリチウムイオンがさらに伝達しやすくなり、電池容量の低下をさらに抑制することができる。
また、例えば、前記断面において、前記少なくとも1つの扁平状活物質粒子のうち少なくとも一部の、扁平状活物質粒子の短軸方向の長さに対する長軸方向の長さの比であるアスペクト比は、3倍以上であってもよい。
これにより、扁平状活物質粒子表面において、扁平状活物質粒子を構成するグラファイトへリチウムイオンが侵入しやすくなり、負極活物質が有効に活用されるため、電池容量が向上する。
また、例えば、前記負極層における、前記負極活物質と前記第2固体電解質との合計体積に対する前記負極活物質の体積割合は、46%以上96%以下であってもよく、56%以上75%以下であってもよい。
これにより、負極層内における固体電解質が担うリチウムイオン伝導経路と負極活物質が担う電子伝導経路との両方が確保されやすくなる。
また、例えば、前記負極層が含有する溶媒の濃度は、50ppm以下であってもよい。
これにより、負極層に溶剤が実質的に含まれないため、負極層の材料の劣化が抑制される。
また、本開示の一態様における全固体電池の製造方法は、上記全固体電池の製造方法であって、前記負極層の製造工程は、グラファイトの小片が複数折り重ねられて造粒化された活物質粒子を含む負極活物質を使用し、第2固体電解質を構成する粒子が複数個凝集した凝集体を前記活物質粒子の表面に配置することを含む、前記負極活物質と前記第2固体電解質との混合工程を含む。
これにより、第2固体電解質で構成される凝集体が負極活物質の活物質粒子に埋まりやすいため、上記の全固体電池を簡易に製造できる。
また、例えば、前記混合工程において、前記負極層に用いられる前記第2固体電解質のうちの一部のみを攪拌混合した後、前記負極層に用いられる前記第2固体電解質のうちの残りの一部と前記負極活物質とを添加してさらに攪拌混合することで、前記凝集体を前記活物質粒子の表面に配置してもよい。
これにより、第2固体電解質のうちの一部のみを攪拌混合することで効率的に凝集体が形成され、活物質粒子の表面に凝集体が配置されやすくなる。
以下、実施の形態における全固体電池について、詳細に説明する。なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的または具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置および接続形態、ステップ、ならびに、工程などは、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
また、本明細書において、平行などの要素間の関係性を示す用語、および、矩形などの要素の形状を示す用語、ならびに、数値範囲は、厳格な意味のみを表す表現ではなく、実質的に同等な範囲、例えば数%程度の差異をも含むことを意味する表現である。
また、各図は、本開示を示すために適宜強調、省略、または比率の調整を行った模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではなく、実際の形状、位置関係、および比率とは異なる場合がある。各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略または簡素化される場合がある。
また、本明細書において、全固体電池の構成における「上」および「下」という用語は、絶対的な空間認識における上方向(鉛直上方)および下方向(鉛直下方)を指すものではなく、積層構成における積層順を基に相対的な位置関係により規定される用語として用いる。
また、本明細書において、断面図は、全固体電池の中心部を積層方向に沿って切断した場合の断面を示す図である。また、本明細書において、積層方向は、全固体電池の各層の厚み方向、および、全固体電池の各層の主面の法線方向と一致する。
(実施の形態)
<構成>
[A.全固体電池]
まず、本実施の形態における全固体電池の概要について、図1を用いて説明する。図1は、本実施の形態における全固体電池100の断面を示す模式図である。本実施の形態における全固体電池100は、正極集電体7と、負極集電体8と、正極集電体7の負極集電体8に近い面上に形成され、正極活物質2と固体電解質1とを含む正極層20と、負極集電体8の正極集電体7に近い面上に形成され、負極活物質3と固体電解質4とを含む負極層30と、正極層20と負極層30との間に配置され、固体電解質5を含む固体電解質層10と、を備える。つまり、全固体電池100は、正極集電体7と、正極層20と、固体電解質層10と、負極層30と、負極集電体8とが、この順で積層された構造を有する。
また、本実施の形態における負極活物質3は、扁平形状の複数の扁平状活物質粒子を含む。複数の扁平状活物質粒子はそれぞれ、グラファイトの小片が複数積層された構造を有する。本明細書において、粒子が扁平形状であるとは、例えば、粒子の短軸方向の長さ(いわゆる短径)に対する長軸方向の長さ(いわゆる長径)の比であるアスペクト比(長径/短径)が2倍以上であることを意味する。
全固体電池100では、負極層30の厚み方向(言い換えると全固体電池100の積層方向)に沿って負極層30を切断した断面において、固体電解質4を構成する複数の粒子のうちの一部の粒子は、複数の扁平状活物質粒子のうちの少なくとも1つの扁平状活物質粒子に埋まっている。以下では、負極層30の厚み方向に沿って負極層30を切断した断面を、「負極層断面」と表記する場合がある。負極層断面において、固体電解質4を構成する粒子の一部が埋まっている扁平状活物質粒子の数は、複数の扁平状活物質粒子のうちの3分の1以上であってもよい。
また、扁平状活物質粒子を構成するグラファイトへリチウムイオンが侵入しやすくなる観点から、固体電解質4を構成する粒子の一部が埋まっている少なくとも1つの扁平状粒子のうち少なくとも一部の扁平状活物質粒子のアスペクト比は、3倍以上であってもよい。また、当該アスペクト比は、例えば、10倍以下であってもよい。
本明細書において、長軸方向の長さは、負極層断面の図等の平面図において、粒子の輪郭に接する2つの平行線間の距離のうちの最長距離である。長軸方向は、当該最長距離となる場合の2つの平行線に直交する方向である。また、短軸方向の長さは、負極層断面の図等の平面図において、粒子の輪郭に接する2つの平行線間の距離のうち、長軸方向に直交する方向の距離である。短軸方向は、長軸方向に直交する方向である。
また、本実施の形態において、固体電解質5は、第3固体電解質の一例である。また固体電解質1は第1固体電解質の一例である。また、固体電解質4は第2固体電解質の一例である。
本実施の形態における全固体電池100は、例えば、以下の方法で形成される。金属箔からなる正極集電体7上に形成した正極層20と、金属箔からなる負極集電体8上に形成した負極層30と、正極層20と負極層30との間に配置された固体電解質層10とを形成する。その後、正極集電体7および負極集電体8の外側から積層方向にプレスすることで全固体電池100は作製される。プレス圧力は、例えば、100MPa以上1000MPa以下である。プレスにより、固体電解質層10、正極層20および負極層30の少なくとも一層の充填率を60%以上100%未満にする。なお、全固体電池100の詳細な製造方法については後述する。
充填率を60%以上にすることで、固体電解質層10内、正極層20内または負極層30内において、空隙が少なくなるため、イオン伝導および電子伝導が多く行われ、良好な充放電特性が得られる。なお、充填率とは、全体積のうち、材料間の空隙を除く材料が占める体積の割合である。
プレスした全固体電池100は、例えば、端子が取り付けられ、ケースに収納される。全固体電池100のケースとしては、例えば、ステンレス(SUS)、鉄もしくはアルミニウムのケース、樹脂製のケース、または、アルミラミレート袋などが用いられる。
以下、本実施の形態における全固体電池100の、固体電解質層10、正極層20、および負極層30に関する詳細についての説明をする。
[B.固体電解質層]
まず、固体電解質層10について説明する。本実施の形態における固体電解質層10は、固体電解質5を含み、さらに、バインダーを含んでいてもよい。
[B-1.固体電解質]
本実施の形態における固体電解質5について説明する。固体電解質5に用いられる固体電解質材料としては、一般的な公知材料である硫化物系固体電解質、ハロゲン化物系固体電解質および酸化物系固体電解質等の無機固体電解質が挙げられる。固体電解質材料は、例えば、リチウムイオン伝導性を有する。固体電解質材料としては、硫化物系固体電解質、ハロゲン化物系固体電解質および酸化物系固体電解質のいずれが用いられてもよい。本実施の形態における硫化物系固体電解質の種類は、特に限定されない。硫化物系固体電解質としては、LiS-SiS、LiI-LiS-SiS、LiI-LiS-P、LiI-LiS-P、LiI-LiPO-P、LiS-P等が挙げられる。特に、リチウムイオン伝導性が優れている観点から、硫化物系固体電解質は、Li、PおよびSを含んでいてもよい。また、バインダーとの反応性が高く、バインダーとの結合性が高いため、硫化物系固体電解質は、Pを含んでいてもよい。なお、上記「LiS-P」の記載は、LiSおよびPを含む原料組成を用いてなる硫化物系固体電解質を意味し、他の記載についても同様である。
本実施の形態においては、上記硫化物系固体電解質材料は、例えば、LiSおよびPを含む硫化物系ガラスセラミックであり、LiSおよびPの割合は、モル換算でLiS:Pが70:30から80:20の範囲内であってもよく、75:25から80:20の範囲内であってもよい。当該範囲内のLiSとPとの割合とすることにより、電池特性に影響するリチウム(Li)濃度を保ちながら、リチウムイオン伝導性の高い結晶構造とすることができる。また、当該範囲内のLiSとPとの割合にすることにより、バインダーと反応し、結合するためのPの量が確保されやすい。
固体電解質5は、例えば、複数の粒子で構成される。固体電解質5の平均粒子径は、例えば、負極活物質3の平均粒子径より小さい。これにより、負極層30における負極活物質3との接触面積を確保しやすくなる。
また、固体電解質5の平均粒子径は、例えば0.2μm以上10μm以下である。これにより、負極層30における負極活物質3との接触面を確保しつつ、固体電解質層10内における粒子界面を低減し、粒子界面の抵抗成分を小さくすることで、固体電解質層10全体のリチウムイオン伝導性の低下を抑制できる。
[B-2.バインダー]
本実施の形態におけるバインダーについて説明する。バインダーは、リチウムイオン伝導および電子伝導を有せず、固体電解質層10内の材料同士および固体電解質層10と他の層とを接着させる役割を担う接着材である。本実施の形態におけるバインダーは、密着強度を向上させる官能基が導入された熱可塑性エラストマーを含んでもよく、官能基がカルボニル基であってもよく、密着強度を向上させる観点から、カルボニル基が無水マレイン酸であることであってもよい。無水マレイン酸の酸素原子が、固体電解質5と反応して、固体電解質5同士を、バインダーを介して結合させ、固体電解質5と固体電解質5との間にバインダーが配置された構造をつくり、その結果、密着強度が向上する。
熱可塑性エラストマーとしては、例えば、スチレン-ブタジエン-スチレン(SBS)、スチレン-エチレン-ブタジエン-スチレン(SEBS)などが用いられる。これらは、高い密着強度を有し、電池のサイクル特性においても、耐久性が高いためである。水素添加(以下、水添と称す)した熱可塑性エラストマーを用いられてもよい。水添した熱可塑性エラストマーを用いることで、反応性および結着性の向上と共に、固体電解質層10を形成する際に用いる溶媒への溶解性が向上する。
バインダーの添加量は、例えば、0.01質量%以上5質量%以下であり、0.1質量%以上3質量%以下であってもよく、0.1質量%以上1質量%以下であってもよい。バインダーの添加量を0.01質量%以上にすることで、バインダーを介した結合が起こりやすく、十分な密着強度が得られやすい。また、バインダーの添加量を5質量%以下にすることで、充放電特性などの電池特性の低下が起こりにくく、さらに、例えば低温領域において、バインダーの硬さ、引張強さ、引張伸びなどの物性値が変化しても、充放電特性が低下しにくい。
[C.正極層]
次に、本実施の形態における正極層20について説明する。本実施の形態における正極層20は、固体電解質1と正極活物質2とを含む。正極層20は、さらに、必要に応じて、電子伝導度を確保するためアセチレンブラックおよびケッチェンブラック(登録商標)などの導電助剤ならびにバインダーを添加してもよいが、添加量が多い場合には電池性能へ影響するため、電池性能に影響がない程度に少量であることが望ましい。
正極活物質2と固体電解質1との重量比は、例えば、50:50から95:5の範囲内であり、70:30から90:10の範囲内であってもよい。
また、正極活物質2と固体電解質1との体積比は、例えば、60:40から90:10の範囲内であり、70:30から85:15の範囲内であってもよい。当該体積比であることにより、正極層20の中でのリチウムイオン伝導経路および電子伝導経路の両方が確保されやすい。
正極集電体7は、例えば、金属箔で構成される。金属箔としては、例えば、SUS、アルミニウム、ニッケル、チタン、銅などの金属箔が用いられる。
[C-1.固体電解質]
固体電解質1に用いられる固体電解質材料は、例えば、上述した[B-1.固体電解質]にて挙げた固体電解質材料から少なくとも1つ以上任意に選択される。また材料の選択について特に限定されるものではないが、例えば、正極活物質2と固体電解質1とが接触する界面、および、固体電解質1と固体電解質5とが接触する界面のそれぞれにおいてリチウムイオン伝導性を大きく損なわない範囲で材料の組み合わせが選択される。固体電解質1は、例えば、複数の粒子で構成される。
[C-2.バインダー]
上述したバインダーと同じであるため、省略する。
[C-3.正極活物質]
本実施の形態における正極活物質2について説明する。本実施の形態における正極活物質2の材料としては、例えば、リチウム含有遷移金属酸化物が用いられる。リチウム含有遷移金属酸化物としては、例えば、LiCoO、LiNiO、LiMn、LiCoPO、LiNiPO、LiFePO、LiMnPO、これらの化合物の遷移金属を1または2の異種元素で置換することによって得られる化合物などが挙げられる。上記化合物の遷移金属を1または2の異種元素で置換することによって得られる化合物としては、LiNi1/3Co1/3Mn1/3、LiNi0.8Co0.15Al0.05、LiNi0.5Mn1.5など、公知の材料が用いられる。正極活物質2の材料は、1種で使用されてもよく、または2種以上を組み合わせて使用されてもよい。
また、正極活物質2は複数の粒子で構成される。正極活物質2の各粒子は、上記材料からなる一次粒子が複数個集合した造粒化粒子である。本明細書において、この造粒化粒子を正極活物質2の粒子と称する。
正極活物質2の平均粒子径は、特に限定されるものではないが、例えば、1μm以上10μm以下である。また、正極活物質2の粒子径分布は、例えば、全体の粒子のうち80%以上が、平均粒子径に対して±30%の粒子径内に存在する分布である。
[D.負極層]
次に、本実施の形態における負極層30について説明する。本実施の形態の負極層30は、固体電解質4と負極活物質3とを含む。負極層30は、さらに、必要に応じて、電子伝導度を確保するためアセチレンブラックおよびケッチェンブラックなどの導電助剤ならびにバインダーを添加してもよいが、添加量が多い場合には電池性能へ影響するため、電池性能に影響がない程度に少量であることが望ましい。負極活物質3と固体電解質4との割合は、例えば、重量換算で負極活物質:固体電解質が95:5から40:60の範囲内であり、70:30から50:50の範囲内であってもよい。また、負極活物質3と固体電解質4との割合は、例えば、体積換算で負極活物質:固体電解質が96:4から46:54の範囲内であり、75:25から56:44の範囲内であってもよい。言い換えると、負極活物質3と固体電解質4との合計体積に対する負極活物質3の体積割合は、例えば、46%以上96%以下であり、56%以上75%以下であってもよい。当該体積比率であることにより、負極層30内における固体電解質4が担うリチウムイオン伝導経路と負極活物質3が担う電子伝導経路との両方が確保されやすい。
負極集電体8は、例えば、金属箔で構成される。金属箔としては、例えば、SUS、銅、ニッケルなどの金属箔が用いられる。
[D-1.固体電解質]
固体電解質4に用いられる固体電解質材料は、特に限定されず、例えば、上述した[B-1.固体電解質]にて挙げた固体電解質材料から少なくとも1つ以上任意に選択される。後述する凝集体13を容易に形成する観点から、固体電解質4に用いられる固体電解質材料は、硫化物系固体電解質またはハロゲン化物系固体電解質であってもよい。固体電解質4は、例えば、複数の粒子で構成される。
[D-2.バインダー]
上述したバインダーと同じであるため、省略する。
[D-3.負極活物質]
本実施の形態における負極活物質3について説明する。本実施の形態における負極活物質3の材料としては、グラファイトの小片が複数折り重なった状態で造粒化されたカーボン材料(活物質粒子)を用いる。つまり、負極活物質3は、造粒化された複数の活物質粒子を含む。造粒化された活物質粒子としては、公知の材料および造粒化方法が用いられる。造粒化された活物質粒子は、例えば、長軸方向と短軸方向とを有する非真球形状である。詳細は後述するが、造粒化された活物質粒子は、全固体電池100の製造過程でプレスされることで扁平状活物質粒子となる。
また必要に応じて、負極活物質3は、SiO、リチウム、インジウム、スズ、ケイ素などの公知の負極活物質の材料をさらに含んでいてもよい。
また、造粒化された活物質粒子の平均粒子径は、特に限定されるものではないが、例えば、1μm以上15μm以下である。ここで粒子径とは、各活物質粒子の平面画像において、各活物質粒子に外接する矩形を描いた際に、当該矩形の辺の長さの最大値を求めた最大フェレ径である。また平均粒子径とは、上記方法で求めた粒子径の数平均を求めた数平均粒子径である。
<全固体電池の製造方法>
次に、本実施の形態における全固体電池100の製造方法について図2を用いて説明する。具体的には、固体電解質層10、正極層20および負極層30を備える全固体電池100の製造方法について説明する。図2は、全固体電池100の製造方法を説明するための断面模式図である。
全固体電池100の製造方法は、例えば、負極層成膜工程と、正極層成膜工程と、固体電解質層成膜工程と、積層工程およびプレス工程とを含む。負極層成膜工程は、負極層30の製造工程の一例である。負極層成膜工程(図2の(a))では、負極層30を負極集電体8上に形成する。正極層成膜工程(図2の(b))では、正極層20を正極集電体7上に形成する。固体電解質層成膜工程(図2の(c)および(d))では、固体電解質層10を準備する。積層工程およびプレス工程(図2の(e)および(f))では、正極集電体7上に形成された正極層20、負極集電体8上に形成された負極層30、および準備した固体電解質層10を、正極層20と負極層30との間に固体電解質層10が配置されるように合わせて積層し、正極集電体7および負極集電体8の外側からプレスする。以下に、各工程の詳細を説明する。
[E.負極層成膜工程]
本実施の形態における負極層30の成膜工程(負極層成膜工程)としては、例えば、以下の方法(1)および方法(2)の2つの方法が挙げられる。
(1)本実施の形態における負極層30の成膜方法としては、例えば、合剤調整工程と塗布工程と塗膜プレス工程とを含む成膜工程により製造される方法が挙げられる。具体的に、合剤調整工程では、例えば、負極活物質3および固体電解質4に対して以下で詳細を説明する攪拌混合を行う前準備を施し、得られた混合粉体を有機溶剤に分散させ、さらに必要に応じてバインダーおよび導電助剤(図示せず)などを当該有機溶剤に分散させてスラリー化した負極合剤を作製する。そして、塗布工程では、得られた負極合剤を負極集電体8の表面に塗布し、得られた塗膜を加熱乾燥させて有機溶剤を除去するために乾燥および/または焼成する。次に、塗膜プレス工程では、負極集電体8上に形成された乾燥塗膜をプレスする。このような成膜工程により負極層30が作製される。
スラリーの塗布方法としては、特に限定されないが、ブレードコーター、グラビアコーター、ディップコーター、リバースコーター、ロールナイフコーター、ワイヤーバーコーター、スロットダイコーター、エアーナイフコーター、カーテンコーター、若しくは押出しコーター等、またはこれらの組み合わせの公知の塗布方法が挙げられる。
スラリー化に用いる有機溶剤としては、例えば、ヘプタン、キシレン、トルエンなどが挙げられるが、これらに限定するものではなく、負極活物質3および固体電解質4と化学反応を起こさない溶剤を適宜選択すればよい。
乾燥および/または焼成では、塗膜を乾燥させて有機溶剤を除去できれば特に限定されることなく、ヒータなどを用いた公知の乾燥方法または焼成方法を採用してよい。塗膜プレス工程におけるプレスの方法としても、特に制限されることはなく、プレス機などを用いた公知のプレス方法を採用してよい。
(2)また、本実施の形態における負極層30の成膜方法の別の方法として、例えば、合剤調整工程と粉体積層工程と粉体プレス工程とを含む成膜工程により製造される方法が挙げられる。合剤調整工程では、粉体状態の(スラリー化していない)負極活物質3、固体電解質4を準備し、さらに必要に応じてバインダーおよび導電助剤(図示せず)を準備し、準備した材料を適度な圧縮力とせん断力を印加しながら攪拌混合させ、負極活物質3と固体電解質4とが均等に分散された負極合剤を作製する。攪拌混合の詳細については後述する。粉体積層工程では、得られた粉体状態の負極合剤を、例えばスキージなどを用いて負極集電体8上に均一に積層して積層体を得る。粉体プレス工程では、粉体積層工程で得られた積層体をプレスし膜化する。
粉体状態の負極合剤を積層する形式で製造した場合、乾燥工程が不要になり製造コストが安くなる利点があり、また、成膜後の負極層30に全固体電池100の電池性能に寄与する溶剤が残ることもない。例えば、全固体電池100の充放電時に残留した溶媒によって材料の劣化が引き起こされることがないため、電池特性の低下を抑制することができる。また、製造工程においても、溶剤が存在しないことで、溶剤による材料の劣化が生じない。よって、電池性能を向上できる。粉体状態の負極合剤を積層する形式で全固体電池100を製造した場合、例えば、負極層30に含まれる溶剤の濃度は、50ppm以下であり、負極層30は、実質的に溶剤成分を含まない。
ここで、上記の方法(1)および(2)共に、成膜する前準備として、負極活物質3と固体電解質4を乾式工法で攪拌混合する混合工程を経ることが重要である。ここで攪拌混合とは、負極活物質3と固体電解質4とを混合する際、圧縮力とせん断力をかけながら混合する方法を示しており、それ以外には特に限定されない。また、攪拌混合する混合工程の目的は、固体電解質4を構成する粒子が複数個凝集して緻密に押し固められた凝集体を形成し、負極活物質3の表面に配置することである。具体的な混合手順については、後述する。
[F.正極層成膜工程]
本実施の形態の正極層20の成膜工程(正極層成膜工程)は、使用する材料を正極層20用に変更した以外は、基本的な成膜方法が上記[E.負極層成膜工程]に記載の負極層30の成膜工程と同様である。
正極層20の製造方法は、例えば、固体電解質1、正極活物質2および必要に応じてバインダーならびに導電助剤(図示せず)を混合しスラリー化した正極合剤を、正極集電体7上に塗布した後、乾燥する方法(つまり、[E.負極層成膜工程]における方法(1)と同様の方法)であってもよい。また、正極層20の製造方法は、例えば、スラリー化していない粉体状態の正極合剤を正極集電体7上に積層する方法(つまり[E.負極層成膜工程]における方法(2)と同様の方法)で製造してもよい。また、正極層20の成膜工程において、攪拌混合する混合工程が行われてもよく、行われなくてもよい。
粉体状態の正極合剤を積層する方法で製造した場合、乾燥工程が不要になり製造コストが安くなる利点があり、また、成膜後の正極層20に全固体電池の容量に寄与する溶剤が残ることもない。つまり、上述の負極層30を方法(2)で製造した場合と同様の効果が得られる。
[G.固体電解質層成膜工程]
本実施の形態における固体電解質層10は、例えば、固体電解質5および必要に応じてバインダーを有機溶剤に分散させてスラリーを作製し、得られたスラリーを上記で作製した正極層20、および/または、負極層30の上に塗布する点以外は、上述の[E.負極層成膜工程]と同様の方法で作製することができる。また、方法(2)と同様に粉体状態の固体電解質層10の材料を用いて成膜してもよい。
図2の(c)および(d)で示される例では、正極層20および負極層30の上に固体電解質層10が形成されているが、これに限らず、正極層20および負極層30のいずれか一方の上に固体電解質層10が形成されてもよい。また、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムなどの基材上に、上述の方法で固体電解質層10を作製し、得られた固体電解質層10を、正極層20、および/または、負極層30の上に積層してもよい。
[H.積層工程およびプレス工程]
積層工程およびプレス工程では、各成膜工程により得られた正極集電体7上に形成された正極層20、負極集電体8上に形成された負極層30、および固体電解質層10を、正極層20と負極層30との間に固体電解質層10が配置されるように積層した(積層工程)後、正極集電体7および負極集電体8の外側からプレスを行い(プレス工程)、全固体電池100を得る。
プレスの目的は、正極層20、負極層30および固体電解質層10の密度を増加させることである。密度を増加させることで、正極層20、負極層30および固体電解質層10において、リチウムイオン伝導性および電子伝導性を向上させることができ、良好な電池特性を有する全固体電池100が得られる。
<負極層の製造方法>
以下に本実施の形態に係る全固体電池100の負極層30に関する詳細な製造方法例について説明するが、これらの製造方法例に限定されない。なお、特別の断りがない限り、各工程は、例えば、露点が-45℃以下に管理されたグローブボックス内、または、ドライルーム内で実施される。また、以下では、上記の方法(2)を用いて負極層30を製造する方法について説明するが、方法(1)を用いた場合でも同様の負極層30を製造可能である。
まず、負極層30に用いる材料について説明する。負極層30の製造には、例えば、負極活物質3および固体電解質4を含む負極合剤が用いられる。
負極活物質3の材料は、例えば、上述した本実施の形態における全固体電池の構成で示した[D-3.負極活物質]に挙げた材料から選択される。固体電解質4の材料は、例えば、[B-1.固体電解質]に挙げた材料から選択される。
さらに使用する材料のサイズについて具体内容を説明する。負極活物質3には、例えば、平均粒子径が8.0μmであり、全体の80%以上の粒子が平均粒子径の±30%の範囲に入る材料が使用される。また、固体電解質4には、平均粒子径が0.5μm以上1.0μm以下の粒子状材料が使用される。
ここで、固体電解質4の投入量は、負極活物質3および固体電解質4全体の混合比率の範囲で適宜選択されるものであり、負極活物質3と固体電解質4との混合比率は、例えば、体積比率で75:25から56:44であり、重量比率で70:30から50:50である。
負極層30の製造において重要なことは、例えば、前述したように攪拌混合する混合工程を経て負極合剤が作製されることである。これにより、最終的に形成される負極層30を製造する過程において、負極層30内に存在する負極活物質3の活物質粒子が扁平状活物質粒子になる際に、扁平状活物質粒子の表面に固体電解質4の粒子が埋まっている構成にすることができる。この構成を実現するために、例えば、適宜材料選定および製造条件を調整する。
負極合剤の作製における混合手順等の負極層30の製造方法について、実施の形態と比較例とを比較しながら、詳細内容を以下に述べる。
(I)実施の形態における負極層の作製方法
まず、実施の形態における負極層30の作製方法について説明する。図3Aは、実施の形態における負極合剤の製造方法を示すフローチャートである。図3Bは、実施の形態における負極合剤の別の製造方法を示すフローチャートである。
図3Aに示されるように、実施の形態における負極合剤の製造では、混合工程として、負極活物質3の粒子と固体電解質4の粒子とを攪拌混合する(ステップS11)。また、混合工程では、非真球形状の複数の活物質粒子を含む負極活物質3を使用する。ここで攪拌混合とは、材料に圧縮力とせん断力とを印加しながら混合することである。例えば、負極活物質3と固体電解質4とを攪拌混合装置に投入し、これらを攪拌混合装置によって攪拌混合する。攪拌混合装置としては、例えば、材料を投入する容器内に攪拌混合用の回転羽根が設置された装置が用いられる。例えば、攪拌混合装置の容器内壁と回転羽根との間に所定の空間が設けられ、回転羽根が回転することで空間内の材料に圧縮力とせん断力とが印加される。攪拌混合は、このような攪拌混合装置を用いた攪拌混合に限らず、混合する材料に圧縮力とせん断力とが印加される混合であればよい。
負極活物質3と固体電解質4とを攪拌混合することにより、固体電解質4の粒子が複数個集まって緻密に押し固められた凝集体13を形成することができる。凝集体13の詳細について後述する。このような混合工程により、凝集体13が表面に配置された負極活物質3の活物質粒子を含む負極合剤が得られる。
なお、本実施の形態における混合工程の手順は、図3Aに示される例に限らない。例えば、図3Bに示されるように、まず、混合工程では、負極層30に用いられる固体電解質4のうちの一部の固体電解質4のみを攪拌混合する(ステップS21)。その後、攪拌混合した一部の固体電解質4に、負極活物質3と負極層30に用いられる固体電解質4のうちの残りの一部の固体電解質4とを投入してさらに攪拌混合する(ステップS22)。これにより、ステップS21の攪拌混合において、負極活物質3が存在しないために、効率的に凝集体13が形成され、ステップS22の攪拌混合において、凝集体13が負極活物質3の活物質粒子の表面に配置されやすくなる。
このように、適宜材料および製造条件を調整することで、凝集体13が負極活物質3の活物質粒子の表面に配置されるように負極合剤を調合することができる。
次に、作製した負極合剤を用いて、例えば、上述の[E.負極層成膜工程]の方法(2)にて説明した方法で負極層30を形成する。また、この負極層30を用いて、上述の方法により全固体電池100が製造される。ここで、製造工程において負極合剤の混合手順以外は特に限定されるものではない。
(II)比較例における負極層の作製方法
次に、比較例における負極層の作製方法について説明する。図4は比較例における負極合剤の製造方法を示すフローチャートである。
比較例における負極合剤の製造方法では、負極活物質3の粒子と固体電解質4の粒子とを混合する(ステップS51)。ステップS51における混合では、負極活物質3と固体電解質4とに、実質的に圧縮力およびせん断力を印加しない点でステップS11と異なる。これにより、負極合剤が得られる。比較例における負極合剤では、負極合剤の材料が攪拌混合されていないため、負極活物質3の活物質粒子の表面に凝集体13が配置されていない。
次に、作製した負極合剤を用いて、例えば、上述の[E.負極層成膜工程]の方法(2)にて説明した方法で負極層30を形成する。また、この負極層30を用いて、上述の方法により全固体電池100が製造される。ここで、製造工程において負極合剤の混合手順以外は特に限定されるものではない。
(III)負極合剤および負極層の構造
次に、実施の形態および比較例における負極合剤、および、負極合剤を用いて形成される負極層30の構造について説明する。具体的には、負極活物質3、固体電解質4および凝集体13の状態について、図5および図6を用いて説明する。図5は、比較例における負極活物質3および固体電解質4の状態の変化を説明するための模式図である。図6は、実施の形態における負極活物質3および固体電解質4の状態の変化を説明するための模式図である。詳細には、図5の(a)および図6の(a)はそれぞれ、粉体プレス工程直前における、混合または攪拌混合後の負極合剤の負極活物質3の粒子数個分の範囲における模式図である。図5の(b)および図6の(b)はそれぞれ、図5の(a)および図6の(a)で示された負極合剤の、粉体プレス工程におけるプレス過程での模式図である。図5の(c)および図6の(c)はそれぞれ、粉体プレス工程後の負極層30内における負極活物質3の様子を示す模式図である。
比較例における負極合剤では、図5の(a)に示されるように、負極活物質3の活物質粒子と固体電解質4の粒子とが均一に分散された状態で存在している。ここで、固体電解質4の粒子径は、負極活物質3の粒子径より小さい。そのため、図5の(b)に示されるように、粉体プレス工程におけるプレスの過程では、負極活物質3の表面に凝集体13を形成していない固体電解質4の粒子が配置されているため、プレスによる圧力が固体電解質4を介して負極活物質3の活物質粒子の表面全体へ均一に印加される。その結果、図5の(c)に示されるように、負極層30内において、負極活物質の非真球形状の活物質粒子は、活物質粒子の短軸方向に圧縮されて、扁平状に変形し、固体電解質4の粒子が実質的に埋まっていない扁平状活物質粒子となる。
それに対し、実施の形態における負極合剤では、図6の(a)に示されるように、負極活物質3の表面および表面近傍に複数個の固体電解質4の粒子が緻密に押し固められた凝集体13が配置される。次に、図6の(b)に示されるように、粉体プレス工程におけるプレスの過程では、凝集体13が負極活物質3の活物質粒子の表面に部分的に当接し、プレスによる圧力が凝集体13を介して負極活物質3の活物質粒子の表面の一部に集中して印加される。そのため、粉体プレス工程後の最終的に形成される負極層30内において、活物質粒子が加圧により短軸方向に圧縮されて形成された扁平状活物質粒子の表面の一部に凝集体13が埋まり、表面の他の部分では固体電解質4が埋まらずに接する構造を有する負極層30を作製することができる。
ここで、上記の図3Bに示される混合手順により作製した負極合剤を用いて作製した負極層30の断面観察結果を、図7を用いて説明する。図7は、実施の形態における負極層30の断面を示す電子顕微鏡画像である。図7に示されるように、図6の(c)を用いて説明した負極活物質3の扁平状活物質粒子の表面に固体電解質4から構成される凝集体13が埋まっている状態を確認できる。
<実施例>
次に、実施例にて本開示における全固体電池100の電池特性を評価した結果について説明するが、本開示は実施例のみに限定されるものではない。具体的には、実施例1および比較例1における全固体電池を作製し、作製した全固体電池の電池特性を評価した。
[全固体電池の作製]
(I)実施例1
上述の「(I)実施の形態における負極層の作製方法」に記載の方法のうち、図3Bに示される混合工程により作製した負極合剤を用いた方法で負極層30を形成した。この際、形成した負極層30における負極活物質3と固体電解質4との混合割合は、体積比で70:30であった。
(II)比較例1
上述の「(II)比較例における負極層の作製方法」に記載の方法を用いて負極層を形成した以外は、上述の実施例1における全固体電池と同様の方法で、比較例1における全固体電池を製造した。この際、負極活物質3と固体電解質4との混合割合は、体積比で70:30であった。
[電池容量の評価]
次に、上記で作製した実施例1および比較例1における全固体電池の電池特性を評価した。具体的には、電池容量の指標となる電池特性として充放電効率を評価した結果を表1に示す。充放電効率の評価では、低レート放電および高レート放電の2通りの条件で実施した。また、充放電効率の評価において、充電は、終止電圧3.7V、電流レート0.05C、および、温度25℃の条件で実施した。また、放電は、終止電圧1.9V、低レートの場合の充電レート0.05C、高レートの場合の充電レート1C、および、温度25℃の条件で実施した。また、充放電効率の評価では、充電から開始し、充電容量に対する放電容量の比率(%)を充放電効率として算出した。
Figure 2023132259000002
表1に示されるように、実施例1における全固体電池100の方が比較例における全固体電池より充放電効率が向上していることが分かる。実施例1では、比較例1よりも、高レート放電における充放電効率が向上している。これは、負極層断面において、負極活物質3の扁平状活物質粒子の表面に固体電解質4から成る凝集体13が埋まる構成にすることで電池特性が向上したものと考える。
具体的には、負極活物質3の活物質粒子が加圧され扁平状に変形する際、負極活物質3の活物質粒子を構成する折り重なったグラファイトの小片は押しつぶされながら再配列していく。その時、グラファイトの小片同士の隙間(例えば、互いに隣接するグラファイトの小片のエッジの間)に凝集体13は入り込みやすくなる。そのため、グラファイトの小片のエッジへのリチウムイオンの伝導経路が形成されやすくなったと考える。その結果、高レート放電においてもグラファイトの小片へのリチウムイオンの挿入および脱離が起こり易くなり、高レートでの充放電効率が向上したものと考える。
また、負極活物質3の扁平状活物質粒子の表面に固体電解質4の粒子が埋まることで充放電による負極活物質3の膨張収縮の応力を緩和させる効果が働き、負極活物質3と固体電解質4との界面の剥離を低減する効果が期待できる。
ここで上述した効果を高める観点から、負極活物質3の扁平状活物質粒子の表面からの凝集体13が埋まる深さは、例えば、固体電解質4の平均粒子径の1/2以上である。また、当該深さは、凝集体13を構成する固体電解質4の粒子の平均粒子径の1/2以上であってもよい。
本実施の形態において、上述のように、負極層30における、負極活物質3と固体電解質4との合計体積に対する負極活物質3の体積割合は、例えば、46%以上96%以下である。このような負極活物質3の体積割合であることにより、上述の実施例を用いて説明した効果が得られやすい。具体的には、上記体積割合が96%以下であることにより、負極活物質3に対する固体電解質4の量が多くなり、負極活物質3の表面全体に固体電解質4を配置しやすくなる。これにより、負極層30内におけるリチウムイオン伝導経路を確保し、高レート充放電での電池容量を向上できる。また、上記体積割合が46%以上であることにより、リチウムイオンの挿入および脱離を担う負極活物質3の量を確保できるため、電池の容量をより高めることができる。また、高レート充放電での電池の容量をより高める観点からは、上記体積割合は56%以上75%以下であってもよい。
(その他の実施の形態)
以上、本開示に係る全固体電池について、実施の形態に基づいて説明したが、本開示は、これらの実施の形態に限定されるものではない。本開示の主旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を実施の形態に施したもの、および、実施の形態における一部の構成要素を組み合わせて構築される別の形態も、本開示の範囲に含まれる。
例えば、上記実施の形態では、全固体電池100において伝導するイオンがリチウムイオンである例を説明したが、これに限らない。全固体電池100において伝導するイオンは、ナトリウムイオン、マグネシウムイオン、カリウムイオン、カルシウムイオンまたは銅イオン等のリチウムイオン以外のイオンであってもよい。
本開示に係る全固体電池は、携帯電子機器などの電源および車載用電池など、様々な電池への応用が期待される。
1、4、5 固体電解質
2 正極活物質
3 負極活物質
7 正極集電体
8 負極集電体
10 固体電解質層
13 凝集体
20 正極層
30 負極層
100 全固体電池

Claims (8)

  1. 正極集電体と、
    正極活物質および第1固体電解質を含む正極層と、
    第3固体電解質を含む固体電解質層と、
    負極活物質および第2固体電解質を含む負極層と、
    負極集電体とが、この順で積層された構造を有し、
    前記負極活物質は、グラファイトの小片が複数積層された構造を有する複数の扁平状活物質粒子を含み、
    前記負極層の厚み方向に沿って前記負極層を切断した断面において、前記第2固体電解質を構成する複数の粒子のうちの一部の粒子は、前記複数の扁平状活物質粒子のうちの少なくとも1つの扁平状活物質粒子に埋まっている
    全固体電池。
  2. 前記断面において、前記少なくとも1つの扁平状活物質粒子に前記一部の粒子が埋まる深さは、前記第2固体電解質の平均粒子径の1/2以上である
    請求項1に記載の全固体電池。
  3. 前記断面において、前記少なくとも1つの扁平状活物質粒子のうち少なくとも一部の、扁平状活物質粒子の短軸方向の長さに対する長軸方向の長さの比であるアスペクト比は、3倍以上である
    請求項1または2に記載の全固体電池。
  4. 前記負極層における、前記負極活物質と前記第2固体電解質との合計体積に対する前記負極活物質の体積割合は、46%以上96%以下である
    請求項1から3のいずれか1項に記載の全固体電池。
  5. 前記負極層における、前記負極活物質と前記第2固体電解質との合計体積に対する前記負極活物質の体積割合は、56%以上75以下である
    請求項4に記載の全固体電池。
  6. 前記負極層が含有する溶媒の濃度は、50ppm以下である
    請求項1から5のいずれか1項に記載の全固体電池。
  7. 請求項1から6のいずれか1項に記載の全固体電池の製造方法であって、
    前記負極層の製造工程は、
    グラファイトの小片が複数折り重ねられて造粒化された活物質粒子を含む負極活物質を使用し、第2固体電解質を構成する粒子が複数個凝集した凝集体を前記活物質粒子の表面に配置することを含む、前記負極活物質と前記第2固体電解質との混合工程を含む
    全固体電池の製造方法。
  8. 前記混合工程において、前記負極層に用いられる前記第2固体電解質のうちの一部のみを攪拌混合した後、前記負極層に用いられる前記第2固体電解質のうちの残りの一部と前記負極活物質とを添加してさらに攪拌混合することで、前記凝集体を前記活物質粒子の表面に配置する、
    請求項7に記載の全固体電池の製造方法。
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