JP2023132207A - 包装用印刷積層体 - Google Patents

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Abstract

【課題】印刷層を備え且つ高いポリオレフィン含有率を有しリサイクル適性を向上させながら、レトルト殺菌のような熱処理を行った場合にも、優れた酸素バリア性を示す包装用印刷積層体を提供する。【解決手段】熱可塑性樹脂フィルム、該フィルムの表面に形成されている無機系皮膜、印刷層及び120℃での貯蔵弾性率が1.5MPaを超える接着剤層を備えており、ポリオレフィンの含有率が80質量%以上に調整されていることを特徴とする。【選択図】なし

Description

本発明は、包装用印刷積層体に関するものであり、より詳細には、印刷層を備え且つ優れた酸素バリア性を示す包装用印刷積層体に関する。
ポリプロピレンフィルムやポリエチレンフィルムなどのオレフィン樹脂フィルムに代表される樹脂フィルムは、安価であり、ヒートシールにより容易に貼り合わせてパウチとすることができるなどの利点を有しており、古くから包装材料として広く使用されている。
このような樹脂フィルムは、ガスバリア性が劣っているため、ガスバリア性を向上するための手段として、この樹脂フィルムの表面に無機系皮膜を形成することが知られており、アルミニウム酸化物やケイ素酸化物などの蒸着膜や、ケイ素酸化物を主体とする塗膜、カルボン酸と金属との架橋反応により形成される塗膜、金属酸化物が分散された塗膜などを設けることが知られている。更には、上記蒸着膜上に上記塗膜を設けることも知られている。このような無機系皮膜を表面に備えた樹脂フィルムは、高いガスバリア性を示すため、バリアフィルムとして市販されている。
ところで、上記のバリアフィルムを用いてパウチを作製する場合には、通常、ヒートシール性樹脂層が設けられる。このようなヒートシール性樹脂層は、接着剤を用いてバリアフィルムに貼り付けられる。
例えば、特許文献1には、蒸着膜を備えた基材フィルムと、該蒸着膜の上に接着剤層を介して設けられたヒートシール性樹脂層とを備え、接着剤層が、ポリエステルポリオール、イソシアネート化合物及びリン酸変性化合物を含む2液硬化型接着剤の硬化物により形成されている包装用積層体が開示されている。
なお、接着剤層とは、基材フィルムとヒートシール性樹脂の様な異種材料から形成される層を結合するために設けられているものであり、ヒートシール樹脂層は、同種の樹脂(ヒートシール性樹脂)同士の接合のために設けられるものであり、接着剤層とは異なるものである。
しかしながら、この包装用積層体を用いての製袋により得られるパウチはレトルト殺菌を行わなければ十分な酸素バリア性が確保されているのであるが、レトルト殺菌を行うと、その酸素バリア性が大きく低下してしまう。従って、かかる包装用積層体をレトルト食品用のパウチとしての利用は難しい。レトルト殺菌後の酸素バリア性の低下は、レトルト殺菌時の加熱で、基材フィルムが膨張・収縮し、蒸着層にクラックが生じるためと考えている。このような加熱による酸素バリア性の低下は、蒸着膜を形成した場合に限らず、その他の無機系皮膜を設けた場合にも同様に生じる。従って、レトルト殺菌後でも無機系皮膜による優れた酸素バリア性を確保することが求められている。
また、特許文献2には、ポリオレフィンフィルム層とガスバリア層とを有しており、ガスバリア性ポリオレフィン積層フィルムが開示されている。この積層フィルムにおいて、ガスバリア層は、芳香環を分子内に含むエポキシ樹脂をエポキシ樹脂硬化剤により硬化させたフィルム層であり、優れた酸素バリア性を示すのであるが、蒸着膜などの無機系皮膜を有していないため、レトルト殺菌の有無にかかわらず、無機系皮膜を備えたバリアフィルムほどの酸素バリア性は得られていない。
さらに、本出願人は、特願2020-153224号において、レトルト殺菌のような熱処理を行った場合にも、優れた酸素バリア性を示す包装用積層体を提案した。この包装用積層体は、熱可塑性樹脂フィルム表面に無機系皮膜が形成されているバリアフィルムと、該無機系皮膜上に設けられた接着剤層とを有する包装用積層体において、前記接着剤層が、エポキシ系接着剤により形成されていることを特徴とする。即ち、この包装用積層体は、エポキシ系接着剤層により、バリアフィルムが有する無機系皮膜にヒートシール性樹脂層(シーラントフィルム)などの他の層が積層されるものであり、これにより、無機系皮膜のクラック耐性が高められ、レトルト殺菌のような熱処理が行われるパウチに製袋されていた場合にも、熱処理による酸素バリア性の低下を有効に回避することができ、バリアフィルム(無機系皮膜)の特性を十分に発揮することができるというものである。
特開2020-37187号公報 特許第4117461号公報
本発明者等は、上記の先願(特願2020-153224号)の技術をさらに推し進め、バリアフィルムが有する無機系皮膜に他の層を積層するために使用される接着剤層が高い貯蔵弾性率を有しているときには、該無機系皮膜と接着剤層との間に印刷層が介在していた場合にも、無機系皮膜が有する優れた酸素バリア性が確保され、しかも、この酸素バリア性は、積層体中のポリオレフィン含有率が高い場合にも損なわれないという知見を見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明の課題は、印刷層を備え且つ高いポリオレフィン含有率を有しリサイクル適性を向上させながら、レトルト殺菌のような熱処理を行った場合にも、優れた酸素バリア性を示す包装用印刷積層体を提供することにある。
本発明によれば、熱可塑性樹脂フィルム、該フィルムの表面に形成されている無機系皮膜、印刷層及び120℃での貯蔵弾性率が1.5MPaを超える接着剤層を備えており、ポリオレフィンの含有率が80質量%以上に調整されていることを特徴とする包装用印刷積層体が提供される。
本発明の包装用印刷積層体においては、以下の態様が好適に適用される。
(1)前記印刷層が、前記無機系皮膜表面に形成されていること。
(2)前記無機系皮膜と接着剤層との間に設けられている前記印刷層が、酸化チタンを含有していること。
(3)ヒートシール性樹脂層を含む内面側フィルムが、前記接着剤層を介して積層されていること。
(4)前記接着剤層が、エポキシ系接着剤またはウレタン系接着剤により形成されていること。
(5)前記無機系皮膜は、前記熱可塑性樹脂フィルムを下地として成膜された蒸着層から形成されていること。
(6)前記蒸着層が、ケイ素酸化物またはアルミニウム酸化物またはシリカアルミナ複合酸化物により形成されていること。
(7)前記蒸着層の上には、保護層として無機系コーティング層が設けられていること。
(8)前記無機系コーティング層が、金属アルコキシド若しくはその縮合物から形成されていること。
(9)前記ヒートシール性樹脂層がオレフィン系樹脂組成物から形成されていること。
(10)前記オレフィン系樹脂組成物は、ポリプロピレンまたは直鎖低密度ポリエチレンまたは両者の混合物から形成されていること。
(11)前記オレフィン系樹脂組成物が、ポリプロピレンにエチレン・プロピレン共重合体が分散されているインパクトポリプロピレン成分(A)と直鎖低密度ポリエチレン(B)の質量比 A:B=99:1~50:50の範囲から形成されていること。
(12)前記熱可塑性樹脂フィルムが、延伸ポリプロピレンフィルムであること。
本発明によれば、また、上記の包装用印刷積層体同士を、ヒートシールにより貼り付けて得られるパウチが提供される。
本発明の包装用印刷積層体は、無機系皮膜を有するバリアフィルムと接着剤層との間に印刷インキ像を備えており、この接着剤層に、さらに他の層(例えばヒートシール性樹脂層を備えている層)が積層されるという基本的な構造を有しているが、大きく言って、次の2つの特徴を有している。
(イ)上記の接着剤層は、120℃における貯蔵弾性率が1.5MPaよりも高いこと。
(ロ)上記の接着剤層によって積層される層を含めて、包装用印刷積層体全体に含まれるポリオレフィン含有率が80質量%以上であること。
即ち、前記特徴(イ)について説明すると、この貯蔵弾性率は、後述する実施例にも示されているように、120℃での動的粘弾性試験(10Hz)により測定されるパラメータであり、120℃での貯蔵弾性率が上記の様に高い値を示すということは、120℃前後で行われるレトルト殺菌のような熱処理において、この接着剤層が基材フィルムや無機系皮膜の膨張・収縮を抑制することを意味し、この結果、この包装用印刷積層体を用いてパウチを製袋し、レトルト殺菌のような熱処理を行ったとき、無機系皮膜でのクラックの発生や膜剥がれが有効に防止され、優れた酸素バリア性が発揮される。このような接着剤層の特性は、無機系皮膜との間に印刷層(即ち、印刷インキを含む層)が介在している場合にも発揮されているのが、本発明の大きな利点である。
また、前記特徴(ロ)について説明すると、120℃での貯蔵弾性率が高い値を示す接着剤層を備えている本発明の包装用印刷積層体は、熱処理された場合にも高い酸素バリア性を示すのであるが(前記(イ)の特徴)、このような酸素バリア性は、ポリオレフィンを80質量%以上の割合で含有していた場合にも発揮されるのである。即ち、ポリオレフィンは、エチレン・ビニルアルコール樹脂や芳香族ポリアミドに代表されるガスバリア性樹脂と比較して、その酸素バリア性は低い。しかし、本発明では、前述した接着剤層を用いてバリアフィルムの無機系皮膜上に積層構造を形成することにより、ガスバリア性樹脂を使用せず、ほとんどポリオレフィンのみの使用でも優れた酸素バリア性を確保することができるのである。このことは、本発明の包装用印刷積層体は、パウチのリサイクル性を向上させているという大きな利点も有していることを意味している。
本発明の包装用印刷積層体は、レトルト前での酸素バリア性のみならず、レトルト後においても優れた酸素バリア性を示し、レトルト食品用のパウチとして好適に使用される。
<包装用印刷積層体の基本層構造>
本発明において、無機系皮膜は、熱可塑性樹脂フィルムを下地として成膜されるものであり、通常、表面に無機系皮膜が形成されている熱可塑性樹脂フィルムを、バリアフィルムとして一体的に取り扱われる。
このようなバリアフィルムを有する本発明の包装用印刷積層体は、下記に示す基本層構造を有する。
バリアフィルム/印刷層/接着剤層/内面側フィルム (1)
また、バリアフィルムの両側に接着剤層を設けることもでき、このような基本層構造は、下記のとおりである。
補強フィルム/印刷層/接着剤層/バリアフィルム/接着剤層/内面側フィルム
(2)
上記の基本層構造(1)においては、印刷層の位置から理解されるように、熱可塑性樹脂フィルムが外面となる。従って、上記の基本層構造(1)は、次のように表すこともできる。
バリアフィルム(無機系皮膜)/印刷層/接着剤層/内面側フィルム
また、印刷層は、当然、外部から視認されなければならず、このため、印刷層の外面側は、該印刷層を視認できる程度の透明性を有していることが必要であり、例えば、曇り度が5%以下程度となるように、熱可塑性樹脂フィルムや無機系皮膜の材質、さらには補強フィルムが設定される。
また、上記の基本層構造(2)では、バリアフィルムの両側に接着剤層が設けられているが、この態様において、補強フィルムは、最外面に位置する。通常、延伸されたオレフィン系の配向フィルムである。
さらに、上記の基本層構造(1)及び(2)において、内面側フィルムは、包装される物質に面するものであり、単層フィルムでも多層フィルムであってもよく、パウチに製袋して使用する場合、この内面側フィルムの最内面は、ヒートシール性樹脂層(シーラントと呼ばれることもある)となる。
<バリアフィルム>
熱可塑性樹脂フィルム;
バリアフィルムにおいて、無機系皮膜の下地となる熱可塑性樹脂フィルムは、押出乃至共押出成形等の公知の手段によって作製される。
このような熱可塑性樹脂としては、原理的には制限されず、種々の熱可塑性樹脂を使用することができ、例えば、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ1-ブテン、ポリ4-メチル-1-ペンテンあるいはエチレン、プロピレン、1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン等のα-オレフィン同志のランダムあるいはブロック共重合体等のポリオレフィン、環状オレフィン共重合体などのオレフィン系樹脂が代表的である。
本発明の包装用印刷積層体は、パウチのリサイクル性を高めるため、少なくともポリオレフィンを80質量%以上、好ましくは90質量%以上含むものであるから、このようなポリオレフィンの高含有率が損なわれない限り、上記のオレフィン系樹脂以外にも、以下の樹脂を熱可塑性樹脂フィルムの形成に使用することができる。
エチレン・ビニル化合物共重合体、例えば、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・ビニルアルコール共重合体、エチレン・塩化ビニル共重合体;
スチレン系樹脂、例えば、ポリスチレン、アクリロニトリル・スチレン共重合体、ABS、α-メチルスチレン・スチレン共重合体;
ポリビニル系樹脂、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、塩化ビニル・塩化ビニリデン共重合体、ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチル;
ポリアミド、例えば、ナイロン6、ナイロン6-6、ナイロン6-10、ナイロン11、ナイロン12;
熱可塑性ポリエステル、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート(PEN);
その他の樹脂、例えば、ポリカーボネート、ポリフエニレンオキサイド、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、フッ素樹脂、アリル樹脂、ポリウレタン樹脂、セルロース樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ケトン樹脂、アミノ樹脂、ポリ乳酸など;
さらに、上記で例示した樹脂のブレンド物や、これら樹脂が適宜共重合により変性されたもの(例えば、酸変性オレフィン樹脂など)であってもよい。
また、オレフィン系樹脂の層と、オレフィン系樹脂以外の樹脂の層とが、適宜、酸変性オレフィン樹脂などの公知の接着性樹脂により積層された多層フィルムであってもよい。
本発明の包装用印刷積層体においては、リサイクル性の高いレトルトパウチの形成に使用するという観点から、熱可塑性樹脂フィルムは、オレフィン系樹脂のフィルムであることが好ましく、特にパウチとしての強度等の観点から、ポリプロピレンであることがより好適である。
また、レトルト殺菌に耐え得る耐熱性を有している点で、熱可塑性樹脂フィルムは1軸或いは2軸方向に延伸されていることが好ましい。延伸倍率は、過延伸によるフィルム破断が生じない程度であればよく、通常、2倍以上である。
上述した熱可塑性樹脂フィルムは、最終的に製造されるパウチの容量等に応じて適宜の厚みを有していればよいが、過度に薄いと、以下に述べる無機系皮膜を成膜する際に配向消失などによって強度低下を生じる恐れがあるため、少なくとも10μm以上の厚みを有していることが好ましい。
無機系皮膜;
上記の熱可塑性樹脂フィルムの表面に設けられる無機系皮膜は、酸素バリア性を確保するために設けられるものであり、各種金属もしくは金属酸化物などの蒸着膜や、ケイ素酸化物を主体とするコーティング膜、金属アルコキシドの縮合物のコーティング膜、カルボン酸と金属との架橋反応により形成されるコーティング膜、金属酸化物が分散されたコーティング膜などがある。また、上記蒸着膜上には、保護膜(所謂トップコート層)として、上記のコーティング膜を設けることが好適である。
上記の蒸着膜は、スパッタリング、真空蒸着、イオンプレーティングなどに代表される物理蒸着や、プラズマCVDに代表される化学蒸着などによって形成される無機質の蒸着膜であり、例えば各種金属乃至金属酸化物により形成される膜である。このような蒸着膜は、無機物で形成されていることから、エチレン・ビニルアルコール共重合体などのガスバリア性樹脂に比してより高い酸素バリア性を示す。
また、上記の蒸着膜形成は、前述した熱可塑性樹脂フィルム表面上に直接行ってもよいが、蒸着膜の平滑性やフィルム表面への密着性を高めるために、フィルム表面にポリエステル、ポリエチレンイミン、アクリル樹脂、ポリアミド、ポリウレタンなどの親水性を有した樹脂をコーティングし、コーティング膜(所謂アンカーコート層)上に蒸着膜を形成することが好ましい。
本発明では、形成される膜が緻密であり、特に高い酸素バリア性を確保するという観点から、ケイ素酸化物、アルミニウム酸化物、シリカアルミナ複合酸化物などにより形成された蒸着膜により無機系皮膜が形成されていることが好ましく、特に透明性が確保され(5%以下の曇り度)、後述する印刷層に対して良好な視認性を示すことから、ケイ素酸化物の蒸着膜により無機系皮膜が形成されていることが最も好適である。
また、上記の蒸着膜上には、前述した無機系のコーティング膜が、保護膜層(トップコート層)として設けられていることが好ましい。このようなコーティング膜は、前述した蒸着膜に生成する微細な欠陥(クラック)に浸透し、欠陥の成長を防止し、また新たな欠陥の生成を防止する保護膜として機能するものである。かかるコーティング膜として好適なものは、アルコキシシランやアルコキシチタンなどの金属アルコキシドを含み、一部が縮合しているものが蒸着膜との密着性の点で好適である。
上述した無機系皮膜の厚みは、要求される酸素バリア性のレベルによっても異なるが、蒸着膜の場合には、蒸着に際しての下地となる熱可塑性樹脂フィルムの特性が損なわれずに、且つレトルト処理前であれば1cc/m/day/atom以下の酸素透過度が確保できる程度の厚みとするのがよく、一般に、1000~10nm、特に100~10nm程度の厚みを有していればよい。
また無機系被膜の厚みや構成元素は。X線光電子分光法(XPS)やオージェ電子分光法(AES)による深さ方向解析やエネルギー分散型X線分析(EDX)などにより特定することができる。
<印刷層>
本発明において、上記の無機系皮膜上(或いは補強フィルム)には、印刷層が形成される。
このような印刷層は、インクジェット印刷、スクリーン印刷、グラビア印刷など、それ自体公知の印刷方式によって無機系皮膜の表面に形成されるものであり、染料或いは顔料がバインダーとなる樹脂に分散された溶液からなる各色のインクにより、線、文字、絵柄などの形態に形成され、適宜、加熱乾燥することにより形成される。
このような印刷インキに使用されるインキ用樹脂(バインダー)としては、ポリウレタン樹脂、ポリウレタンウレア樹脂、アクリル変性ウレタン樹脂、アクリル変性ウレタンウレア樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合系樹脂、ロジン系樹脂(例えばロジン変性マレイン酸樹脂)、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂、アクリル系樹脂、ニトロセルロース系樹脂、ゴム系樹脂等が代表的である。特に後述する接着剤層との結合性の観点から、ウレタン系樹脂、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合系樹脂、ポリエステル系樹脂が好適である。
また、上記の印刷層は、ベタな層であってもよいし、各色のインクにより形成された像や線状模様を含む局部的な層であってもよい。また、各色のインクによりグラデーション様の模様が形成されているベタな層であってもよいし、各色のインクが重ね合わされた複数の層から形成されていてもよい。さらに、この印刷層において、白色以外の色のインキ像が形成されている場合、このようなインキ像を覆うように、酸化チタンを含む白色インキから形成された白色の印刷層がバックグラウンドとして形成されていることが好ましい。これにより、インキ像の視認性が著しく高められる。
上述した印刷層の厚みは、トータルでも5μm以下と極めて薄い。従って、後述する接着剤層が示す接着性にはほとんど影響を及ぼさない。
<接着剤層>
上記の接着剤層は、基本層構造(1)及び基本層構造(2)の何れのパターンにおいても、直接或いは印刷層を間に挟んで無機系皮膜上に形成される。かかる接着剤層は、120℃での貯蔵弾性率が1.5MPaを超える層である。即ち、120℃で大きな貯蔵弾性率を示すため、レトルト殺菌等の100~120℃前後での熱処理を行った時の基材フィルムや無機系皮膜の膨張・収縮を抑制し、この結果、無機系皮膜でのクラック等の欠陥の発生や剥がれなどが有効に抑制され、酸素バリア性の低下を有効に回避することができる。
本発明において、上記のような大きな貯蔵弾性率を示す接着剤層を形成するためには、ドライラミネート接着剤として知られているエポキシ系接着剤やウレタン系接着剤を使用するのがよい。
エポキシ系接着剤;
上記のエポキシ系接着剤は、液状のエポキシ樹脂をエポキシ硬化剤により硬化させて接着するものである。
かかるエポキシ樹脂は、分子中にエポキシ基を有する液状樹脂であり、エピクロルヒドリンとフェノール化合物やアミン化合物、カルボン酸などとの反応に得られるもの、ブタジエンなどの不飽和化合物を有機過酸化物などにより酸化することによって得られるものなどが代表的であり、何れのタイプのものも使用することができる。
エポキシ系接着剤の具体例としては、これに限定されるものではないが、ビスフェノールA型或いはビスフェノールF型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、環状脂肪族型エポキシ樹脂、長鎖脂肪族型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂等を挙げることができる。
本発明においては、特にグリシジルアミン型エポキシ樹脂が、弾性率の高い接着剤層を形成できるという点で好適である。
さらに、エポキシ硬化剤としては、アミン系、酸無水物、ポリアミドなど、公知のものを使用することができるが、特に弾性率が高く、熱収縮に追随しやすい塗膜(接着剤層)を形成できるという観点から、アミン系硬化剤、中でもメタフェニレンジアミンに代表される芳香族ポリアミンが好適に使用される。
エポキシ樹脂と硬化剤との量比は、エポキシ樹脂が有するエポキシ当量に応じて、十分な硬化膜が形成されるように設定すればよい。
ウレタン系接着剤;
ウレタン系接着剤は、イソシアネートと(メタ)アクリル化合物やポリエステルポリオールとの反応物からなる。この接着剤は、通常、アミン系触媒や金属触媒或いはリン酸変性化合物などの公知の硬化触媒を含んでいる。硬化触媒の量は、下地の樹脂の熱変形を伴わないような温度及び時間で緻密な硬化膜(接着層)が形成し得るように硬化触媒の種類に応じて設定される。
ポリウレタン接着剤の形成に使用されるポリオールは、一分子中にOH基を2つ以上有している化合物であり、例えば、以下の化合物が代表的である。
ジ-、トリ-、テトラ-、ペンタ-、ヘキサ-ヒドロキシ化合物;
1分子中に2個以上のOH基を含有するポリエステル(ポリエステルポリオール);
1分子中に2個以上のOH基を含有するポリエーテル(ポリエーテルポリオール);
1分子中に2個以上のOH基を含有するポリカーボネート(ポリカーボネートポリオール);
1分子中に2個以上のOH基を含有するポリカプロラクトン(ポリカプロラクトンポリオール);
1分子中に2個以上のOH基を含有するアクリル系重合体(ポリアクリルポリオール);
本発明において最も好適なポリオールは、ポリエステルポリオールである。
上記のポリエステルポリオールは、アジピン酸やフタル酸などの多塩基酸とポリオールとの縮合反応により得られポリマーである。多塩基酸と反応させるポリオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、ペンタエリスリトール等の脂肪族ポリオール;ジヒドロキシナフタレン、トリヒドロキシナフタレン、ビスフェノールA等の芳香族アルコール;ビス-〔4-(ヒドロキシエトキシ)フェニル〕スルフィド等の含硫黄ポリオール;などを例示することができる。
また、ポリオールと反応させるポリイソシアネートは、一分子中にNCO基を2つ以上有している化合物である。その具体例としては、これに限定されるものではないが、以下の化合物を例示することができる。
エチレンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート等の脂肪族イソシアネート;
イソホロンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサン、2-イソシアネートメチル-3-(3-イソシアネートプロピル)-5-イソシアネートメチル-ビシクロ〔2,2,1〕-ヘプタン等の脂環族イソシアネート;
キシリレンジイソシアネート、ビス(イソシアネートエチル)ベンゼン、ビス(イソシアネートメチル)ナフタリン、ビス(イソシアネートメチル)ジフェニルエーテル等の芳香族イソシアネート;
チオジエチルジイソシアネート等の含イオウ脂肪族イソシアネート;
ビス[2-(イソシアナートメチルチオ)エチル]スルフィド等の脂肪族スルフィド系イソシアネート;
ジフェニルスルフィド-2,4’-ジイソシアネート等の芳香族スルフィド系イソシアネート;
ジフェニルジスルフィド-4,4’-ジイソシアネート等の芳香族ジスルフィド系イソシアネート;
ジフェニルスルホン-4,4’-ジイソシアネート等の芳香族スルホン系イソシアネート;
4-メチル-3-イソシアネートベンゼンスルホニル-4’-イソシアネートフェノールエステル等のスルホン酸エステル系イソシアネート;
4-メチル-3-イソシアネートベンゼンスルホニルアニリド-3’-メチル-4’-イソシアネート等の芳香族スルホン酸アミド系イソシアネート;
チオフェン-2,5-ジイソシアネート等の含イオウ複素環イソシアネート;
上記のポリイソシアネートは、通常、前述したポリオールが有している水酸基1モル当り、イソシアネート基(NCO基)が0.8~1.2モル程度となる量で使用される。
本発明において、上述したエポキシ系接着剤及びウレタン系接着剤は、炭化水素系、アルコール系、ケトン系、エステル系、エーテル系等の揮発性有機溶剤を用いて、後述する内面側フィルムに塗布し、乾燥することにより、接着剤層を形成する。
即ち、内面側フィルムの表面に形成されている接着剤層を、前述した印刷インキ像(さらには白色印刷層)が形成されている無機系皮膜に積層することにより、本発明の包装用印刷積層体が得られる。このようにして形成されている接着剤層は、通常、30~50℃程度の温度で24時間以上保持することにより硬化する。
<補強フィルム>
基本層構造(2)のパターンで使用されている補強フィルムは、前述したバリアフィルムにおいて無機系皮膜の下地としても使用されるオレフィン系延伸フィルムであり、かかるフィルムの使用により、耐熱性や機械的強度が向上する。勿論、オレフィン系の延伸フィルム以外にもポリアミドの延伸フィルム等も補強フィルムとして使用することができるが、ポリオレフィンの含有率を80質量%以上に保持するという制限があるため、本発明では通常、ポリオレフィン、特にポリプロピレンの延伸フィルムを補強フィルムとして使用する。
<内面側フィルム>
前述した接着剤層を表面に備えている内面側フィルムは、単層構造であってもよいし、複数の層を備えた多層構造であってもよいが、少なくとも接着剤層と反対側の面は、ヒートシール性樹脂層(以下、シーラントと呼ぶことがある)でなければならない。即ち、このシーラントは、加熱により容易に溶融し、また冷却により直ちに固化するため、これを利用して、この積層体を種々の物体に熱接着することができ、さらには、この積層体同士を熱接着(ヒートシール)することにより、パウチを作製することができる。
本発明において、上記のシーラントの形成に使用されるフィルムとしては、種々の熱可塑性樹脂からなるフィルムを使用することが可能であるが、本発明では、パウチのリサイクル適性を向上させるためにポリオレフィンの含有率を80質量%以上に設定する必要がある。このために、シーラントフィルムとしては、ホモポリプロピレン(ホモPP)またはランダムポリプロピレン(ランダムPP)またはインパクトポリプロピレン(インパクトPP)や直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)等のオレフィン樹脂製のフィルムが称されるが、レトルト処理がされるパウチの作製に使用するという点では、耐熱性や耐衝撃性を確保する必要があるため、CPPフィルム(無延伸ポリプロピレンフィルム、キャストPPフィルムとも呼ばれる)が好適に使用され、特に、優れた耐衝撃性や耐熱性を確保できるという点でインパクトPPによるCPPフィルムが最も好適に使用される。
上記のインパクトPPを用いたCPPフィルムは、プロピレン系樹脂組成物の溶融押出により成形されるものであるが、このプロピレン系樹脂組成物は、インパクトPP成分(A)の他に直鎖低密度ポリエチレン(B)を含んでもよい。
インパクトPP成分(A);
インパクトPP成分(A)は、インパクトポリプロピレン(インパクトPP)からなるものであり、本発明で使用するインパクトPPは、特にホモ或いはランダムポリプロピレン中に、エチレン・プロピレン共重合体(EPR)が分散された構造を有している。即ち、ポリプロピレン中にEPRが分散されていることにより、ポリプロピレンに耐衝撃性が付与されている。ポリプロピレン中に分散されるゴム成分としては、EPR以外にもスチレン・ブタジエン共重合体(SBR)、エチレン・プロピレン・ブテン共重合体(EPBR)などが知られており、EPR以外のものでも、耐衝撃性を向上させることができるが、特に、低温での耐衝撃性も向上させることができるという点で、EPRが最適である。
上記のようなインパクトPPは、フィルム成形性(押出成形性)等の観点から、MFR(メルトフローレート、230℃)が0.5~10g/10min程度の範囲にある。
また、上記のインパクトPP中のEPR含有率は、ヒートシール性樹脂層の形成に使用するCPPフィルムを沸騰キシレンに溶解したときのキシレン可溶分率で表すことができ、このキシレン可溶分率が8質量%以上、特に8~20質量%の範囲にあることが望ましい。即ち、このキシレン可溶分率が上記範囲よりも小さいと、EPR量が少ないため、パウチの耐衝撃性が低下してしまう。また、この可溶分率が過度に多いと、パウチの外観不良などを生じることがある。
直鎖低密度ポリエチレン(B);
この直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)は、上述したインパクトPPと混合したとき、ポリプロピレン(PP)とエチレン・プロピレン共重合体(EPR)との相溶化剤として機能し、PP中のEPRの分散性を大きく向上させることにより、EPRによる衝撃性改善効果を十分に発揮させるための成分である。
このようなLLDPEは、密度が0.860~0.925g/cmの範囲にある直鎖低密度ポリエチレンであり、例えば、ブテン-1、ヘキセン-1、4-メチルペンテン-1、オクテン-1等のα-オレフィンを、エチレンに共重合させたものであり、長鎖のエチレン鎖に短鎖のα-オレフィン鎖を分岐として導入して低密度化されたものであり、分子の線形性が極めて高い。
また、このLLDPEは、インパクトPPと混合されて使用されることから、フィルム成形性を損なわないようにするために、MFR(190℃)が1.0~15g/10minのものが好適に使用され、また、コモノマー成分としては、ヘキセン-1及び4-メチルペンテン-1(メチルペンテン)が好ましく、メチルペンテンが最も好ましい。
さらに、このLLDPEは、コモノマーであるα-オレフィンの含有率が10モル%以下であり、且つGPCで測定されるポリスチレン換算での数平均分子量が10000以上であることが好適である。即ち、コモノマーであるα-オレフィンの含有率が多い場合、或いは数平均分子量が小さく、低分子量成分が多く含まれている場合には、パウチとして使用したとき、耐油性や内容物へのフレーバー性に劣ってしまう。
上述したLLDPE(B)は、CPPフィルム中のLLDPE量(ヒートシール性樹脂層中のLLDPE量に相当)が20質量%以下となるように、フィルムの組成設計がされていることが好ましい。即ち、LLDPEが過度に含まれていると、フィルムの耐ブロッキング性や耐熱性が損なわれるおそれがあるからである。
尚、CPPフィルムの形成に使用するプロピレン系樹脂組成物中には、それ自体公知の添加剤を、リサイクル性を損なわない範囲の量で配合することもできる。
上述したインパクトPP成分を含むCPPフィルムは、各成分をドライブレンドし、押出機に投入して溶融混練し、Tダイからフィルム状にブレンド物を溶融押出し、押し出されたフィルム状の溶融物を、冷却ロールに接触させて固化させて巻き取ることにより製造される。
このようなCPPフィルムの厚みは特に制限されないが、剛性や開封性等を考慮すれば、通常、20~100μm、特に50~80μmの範囲であることが好適である。
本発明において、上記のシーラントフィルムに他の樹脂層が積層されて多層構造を有していてもよいが、このような他の樹脂層は、積層体全体当りのオレフィン含有率が80質量%以上(特に90質量%以上)が損なわれない範囲で、オレフィン系樹脂以外の他の樹脂や接着剤を使用することができる。
上記のような他の樹脂としては、ポリアミド系樹脂、エチレン・ビニルアルコール共重合体が代表的であり、これらの樹脂は、特に酸素バリア性をさらに高めるために効果的であり、また、フィルムの突き刺し強度を高めるという点でも好適である。
また、内面側フィルムの多層構造を形成するために適宜使用される接着剤としては、特に制限されないが、前述した接着剤層の形成に使用するエポキシ系接着剤やウレタン系接着剤が好適である。
本発明において、内面側フィルムを多層構造とする場合には、ポリオレフィンの高含有率を維持するため、ポリプロピレンの延伸フィルムが好適である。このフィルムは、前述した補強フィルムやバリアフィルムにおける無機系皮膜の下地フィルムとしても使用される。
このようなポリプロピレンの延伸フィルムを、内面側フィルム中に導入するために使用される接着剤も、前述した接着剤層の形成に使用するエポキシ系接着剤やウレタン系接着剤が好適である。
<包装用印刷積層体の使用形態>
上述した本発明の包装用印刷積層体は、ヒートシール性樹脂層でのヒートシールによる貼り付けによって製袋し、パウチ(袋状容器)として好適に使用される。
製袋は、公知の手段により行われる。例えば2枚の積層体を用いての3方シールにより、空パウチを作製し、開口部から内容物を充填し、最後に開口部をヒートシールにより閉じる。
また、1枚の積層体を折り返して両側端をヒートシールすることにより空パウチを作製することもできる。この場合、底部をヒートシールする必要はない。さらに、側部或いは底部専用の積層体を使用して空パウチを製造することもできる。このような方法は、パウチの容積を大きくし、あるいはスタンディング性を付与する上で有利である。
このようにして本発明の包装用印刷積層体により製袋され、内容物が充填されたパウチは、優れた酸素バリア性を有しており、耐熱性や耐衝撃性にも優れているばかりか、100~130℃での加熱水蒸気により殺菌処理(レトルト処理)を行った場合においても、酸素バリア性の低下が有効に回避され、優れた酸素バリア性が維持されている。従って、このようなパウチは、特に食品類の収容に極めて適している。
また、上記のパウチにおいては、リサイクル性の観点から、オレフィン系樹脂の含有率が80質量%以上となるように、各種材料の種類や各種層の厚みなどが調整されている。
本発明の優れた効果を、次の実施例で説明する。
尚、以下の実験では、以下の材料を使用した。
<バリアフィルム>
下記の蒸着膜を含む2種類の透明蒸着延伸ポリプロピレンフィルムを用いた。
バリアフィルムA:
蒸着膜:酸化ケイ素(SiOx)
厚み:20μm
バリアフィルムB:
蒸着膜:酸化アルミニウム(AlOx)
厚み:20μm
<補強フィルム>
延伸ポリプロピレンフィルム
厚み:20μm
<内面側フィルム>
下記に示す3種類のシーラントフィルムを用いた。
無延伸ポリプロピレンフィルムA(PP(A))
ポリプロピレン種:
インパクトPPと直鎖低密度ポリエチレン(LLDPE)との混合物
質量比(インパクトPP:LLDPE)=80:20
厚み:70μm
無延伸ポリプロピレンフィルムB(PP(B))
ポリプロピレン種:ランダムPP
厚み:70μm
無延伸ポリエチレンフィルム(PE(A))
ポリエチレン種:LLDPE
厚み:80μm
<接着剤>
エポキシ系接着剤
塗布液:ポリエポキシ樹脂/ポリアミン樹脂/混合溶剤
=5.4/18.6/60(質量比)
(混合溶剤質量比:メタノール/酢酸エチル=9/1)
ウレタン系接着剤
塗布液:ポリオール樹脂/ポリイソシアネート樹脂/酢酸エチル
=40/5/60(質量比)
<印刷層>
インキ/混合溶剤=1/1(質量比)
インキ:酸化チタン20~30質量%含有
溶剤:酢酸プロピル/イソプロピルアルコール/メチルエチルケトン/プロピレ

グリコールモノメチルエーテル
=60/20/15/5(質量比)
<印刷層の形成>
印刷層は、バーコーターを使って最外層に位置するフィルムの片面に塗布した。
バリアフィルムの場合は蒸着面側、補強フィルムの場合はコロナ処理面側に塗布した。
<積層体の形成>
接着剤塗布液を、バーコーターを使ってフィルムに塗布した。接着剤液の塗布量は固形分量で約3g/mとした。
下記の層構成で、ドライラミネート法でラミネートし、50℃で4日間キュアさせることで、積層体を作成した。
最外層/印刷層/接着剤層/中間層/接着剤層/シーラント層
<積層体中のポリオレフィンの含有率の計算>
積層体中のポリオレフィンの含有率(質量%)
=ポリオレフィンの質量/積層体の質量
ここで、積層体の質量は、ポリオレフィンの質量(最外層と中間層とシーラント層の合計質量)及び印刷インキと接着剤の合計質量とを加えたものである。
但し、バリアフィルムの無機系被膜は非常に薄く殆ど質量が無いため考慮しない事とする。
<製袋>
積層体を140mm×180mmのサイズで2枚切り出した。
更に、富士インパルス(株)社製インパルスシーラーで開口部(充填部)以外となる3方をシールし、次いで充填部に200gの水を充填し、最後に充填部をシールすることでパウチを作製した。
シール条件:195℃、1.4sec
シール幅:5mm
<レトルト>
パウチをシャワー式にて121℃で30分間レトルト処理した。
<接着剤層の弾性率測定>
接着剤塗膜(接着剤層)の作製;
接着剤塗膜はそれぞれの接着剤塗布液を作製し、シリコン製のプレート上に塗布して作製した。
弾性率の測定;
セイコーインスツル(株)社製の動的粘弾性測定装置を用いた。
試験片フィルム:長さ5.0mm、幅10mm
温度範囲:20℃~150℃
昇温速度:3℃/min
周波数:10Hz
120℃の貯蔵弾性率E’で評価した。
<酸素透過率測定>
サンプル作製;
レトルト処理されたパウチからフィルムを切り出して測定サンプルを作製した。
酸素透過率の測定;
MOCON社製OX-TRAN2/22を用いた。
測定条件:23℃、60%RH
<実施例1>
エポキシ系接着剤の塗膜弾性率の測定を行なった。
次に、エポキシ系接着剤の塗布液を用いて、ドライラミネート法により、下記層構成の積層体を作製した。
バリアフィルムA/印刷層/接着剤/補強フィルム/接着剤/PP(A)
(ポリオレフィン含有率:91質量%)
上記の積層体を製袋し、次いでレトルト処理を行ない、フィルムを切り出して酸素透過率を測定した。評価結果を表1に示す。
<実施例2>
PP(A)をPP(B)に換えた以外は実施例1と同様の操作を行った。評価結果を表1に示す。
<実施例3>
PP(A)をPE(A)に換えた以外は実施例1と同様の操作を行った。評価結果を表1に示す。
<実施例4>
バリアフィルムAをバリアフィルムBに換えた以外は実施例1と同様の操作を行った。評価結果を表1に示す。
<実施例5>
エポキシ系接着剤の塗布液を用いて、ドライラミネート法により、下記層構成の積層体を作製した。
補強フィルム/印刷層/接着剤/バリアフィルムA/接着剤/PP(A)
(ポリオレフィン含有率:91質量%)
尚、バリアフィルムAの蒸着面は最外層を向くようにラミネートした。
上記の積層体を製袋し、次いでレトルト処理を行ない、フィルムを切り出して酸素透過率を測定した。評価結果を表1に示す。
<実施例6>
PP(A)をPE(A)に換えた以外は実施例5と同様の操作を行った。評価結果を表1に示す。
<実施例7>
バリアフィルムAをバリアフィルムBに、PP(A)をPE(A)に換えた以外は実施例5と同様の操作を行った。評価結果を表1に示す。
<実施例8>
バリアフィルムAの蒸着面側がシーラント層を向くように貼り合わせた以外は実施例5と同様の操作を行った。また、この場合のバリアフィルムAは「バリアフィルムa」と表記する。評価結果を表1に示す。
<比較例1>
ウレタン系接着剤の塗膜弾性率の測定を行なった。
次に、ウレタン系接着剤の塗布液を用いて、ドライラミネート法により、下記層構成の積層体を作製した。
バリアフィルムA/印刷層/接着剤/補強フィルム/接着剤/PP(A)
(ポリオレフィン含有率:91質量%)
上記の積層体を製袋し、次いでレトルト処理を行ない、フィルムを切り出して酸素透過率を測定した。評価結果を表2に示す。
<比較例2>
PP(A)をPP(B)に換えた以外は比較例1と同様の操作を行った。評価結果を表2に示す。
<比較例3>
PP(A)をPE(A)に換えた以外は比較例1と同様の操作を行った。評価結果を表2に示す。
<比較例4>
バリアフィルムAをバリアフィルムBに換えた以外は比較例1と同様の操作を行った。評価結果を表2に示す。
<比較例5>
ウレタン系接着剤の塗布液を用いて、ドライラミネート法により、下記層構成の積層体を作製した。
補強フィルム/印刷層/接着剤/バリアフィルムA/接着剤/PP(A)
(ポリオレフィン含有率:91質量%)
尚、バリアフィルムAの蒸着面は最外層を向くようにラミネートした。
上記の積層体を製袋し、次いでレトルト処理を行ない、フィルムを切り出して酸素透過率を測定した。評価結果を表2に示す。
<比較例6>
PP(A)をPE(A)に換えた以外は比較例5と同様の操作を行った。評価結果を表2に示す。
<比較例7>
バリアフィルムAをバリアフィルムBに、PP(A)をPE(A)に換えた以外は比較例5と同様の操作を行った。評価結果を表2に示す。
<比較例8>
バリアフィルムAの蒸着面側がシーラント層を向くように貼り合わせた以外は比較例5と同様の操作を行った。また、この場合のバリアフィルムAは「バリアフィルムa」と表記する。評価結果を表2に示す。
Figure 2023132207000001
Figure 2023132207000002

Claims (14)

  1. 熱可塑性樹脂フィルムと該フィルムの表面に形成されている無機系皮膜とからなるバリアフィルム、印刷層及び120℃での貯蔵弾性率が1.5MPaを超える接着剤層を備えており、ポリオレフィンの含有率が80質量%以上に調整されていることを特徴とする包装用印刷積層体。
  2. 前記印刷層が、前記無機系皮膜表面に形成されている請求項1に記載の包装用印刷積層体。
  3. 前記無機系皮膜と接着剤層との間に設けられている前記印刷層が、酸化チタンを含有している請求項2に記載の包装用印刷積層体。
  4. ヒートシール性樹脂層を含む内面側フィルムが、前記接着剤層を介して積層されている請求項1に記載の包装用印刷積層体。
  5. 前記接着剤層が、エポキシ系接着剤またはウレタン系接着剤により形成されている請求項1に記載の包装用印刷積層体。
  6. 前記無機系皮膜は、前記熱可塑性樹脂フィルムを下地として成膜された蒸着層から形成されている請求項1に記載の包装用印刷積層体。
  7. 前記蒸着層が、ケイ素酸化物またはアルミニウム酸化物またはシリカアルミナ複合酸化物により形成されている請求項6に記載の包装用印刷積層体。
  8. 前記蒸着層の上には、保護層として無機系コーティング層が設けられている請求項6に記載の包装用印刷積層体。
  9. 前記無機系コーティング層が、金属アルコキシド若しくはその縮合物から形成されている請求項8に記載の包装用印刷積層体。
  10. 前記ヒートシール性樹脂層がオレフィン系樹脂組成物から形成されている請求項4に記載の包装用印刷積層体。
  11. 前記オレフィン系樹脂組成物は、ポリプロピレン、直鎖低密度ポリエチレン、またはポリプロピレンと直鎖低密度ポリエチレンとの混合物から形成されている請求項10に記載の包装用印刷積層体。
  12. 前記オレフィン系樹脂組成物が、ポリプロピレンにエチレン・プロピレン共重合体が分散されているインパクトポリプロピレン成分(A)と直鎖低密度ポリエチレン(B)の質量比 A:B=99:1~50:50の範囲から形成されている請求項10に記載の包装用印刷積層体。
  13. 前記熱可塑性樹脂フィルムが、延伸ポリプロピレンフィルムである請求項1に記載の包装用印刷積層体。
  14. 請求項4に記載の包装用印刷積層体同士を、ヒートシールにより貼り付けて得られるパウチ。
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