JP2023131094A - 収容器及び収容体 - Google Patents

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Abstract

【課題】循環型リサイクルを円滑に進めることができ、識別コードの読み取りエラーの低減が図れ、小売販売用に好適な収容器の提供。
【解決手段】容器本体1と、収容物9を前記容器本体内に密閉するキャップと、を有する収容器であって、前記キャップの上面に識別コードを有し、前記容器本体が複数の凹部12を含み、前記識別コードよりも面積の大きな像を有し、前記識別コードの表示部と非表示部との拡散反射率の差が、前記像の部分と非像部分との拡散反射率の差よりも大きい収容器である。
【選択図】図1B

Description

本発明は、収容器及び収容体に関する。
従来から、PET(Poly Ethylene Terephthalate)ボトル等の収容器として、名称、成分、賞味期限、バーコード、QRコード(登録商標)、リサイクルマーク又はロゴマーク等を表示するラベルが貼付されたものが知られている。また、消費者に訴求するデザイン又は絵をラベルにより表示することで、商品の個性の発揮又は競争力アップを図る試みもなされている。
一方、昨今、プラスチックごみによる海洋汚染が取り沙汰され、世界的にプラスチックごみによる汚染をなくしていく動きが活発化しており、収容器の循環型リサイクルへの要求が高まっている。ここで、収容器の循環型リサイクルとは、分別回収された使用済みの収容器をリサイクル業者が収容器の原料となるフレークに変え、再度収容器を製造することをいう。
このような循環型リサイクルを円滑に進めるには、収容器又はラベル等の材質毎に分別回収を徹底することが好ましいが、分別回収のために収容器からラベルを剥がす作業は手間がかかり、分別回収を徹底させるための制約の1つになっている。
これに関連して、名称や成分等の情報を表示するパターンを、レーザー光で容器本体の表面に直接形成することで、ラベルを無くした容器本体を提供する技術が既に知られている。
例えば、直接記録した情報の視認性を改善し、画像等の情報量が多い直接記録を可能にし、商品化可能なレベルに高速で直接記録する目的で、微細構造の集合体により視認可能領域を形成し、この視認可能領域により数字、記号、イメージ等の情報を視認可能とした収容器が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
上記特許文献1には、飲料ボトルのキャップ上面に加工レーザービームを照射して一次元バーコードを設けた例が記載されている。しかしながら、特許文献1の一次元バーコードはレーザービームで直接描画しているだけなので、バーコードの表示部と非表示部との拡散反射率の差(コントラスト)が十分ではなく、読み取りエラーが生じてしまうという問題がある。
本発明は、循環型リサイクルを円滑に進めることができ、識別コードの読み取りエラーの低減が図れ、小売販売用に好適な収容器を提供することを目的とする。
上記課題を解決するための手段としての本発明の収容器は、容器本体と、収容物を前記容器本体内に密閉するキャップと、を有する収容器であって、前記キャップの上面に識別コードを有し、前記容器本体が複数の凹部を含み、前記識別コードよりも面積の大きな像を有し、前記識別コードの表示部と非表示部との拡散反射率の差が、前記像の部分と非像部分との拡散反射率の差よりも大きい。
本発明によると、循環型リサイクルを円滑に進めることができ、識別コードの読み取りエラーの低減が図れ、小売販売用に好適な収容器を提供することができる。
図1Aは、レーザー加工前の容器本体の表面の光の拡散反射状態を示す模式図である。 図1Bは、レーザー加工により複数の凹部が形成された容器本体の表面の光の拡散反射状態を示す模式図である。 図1Cは、レーザー加工により複数の凹部が形成された容器本体の表面及び収容物の光の拡散反射状態を示す模式図である。 図1Dは、キャップの上面に形成した識別コードとしての一次元バーコードの一例を示す図である。 図2は、キャップ上面の識別コードよりも面積の大きな容器本体に描画された像の一例を示す図である。 図3は、キャップ上面の識別コードよりも面積の大きな容器本体に描画された像の他の一例を示す図である。 図4Aは、容器本体の撮影方法の一例を示す図である。 図4Bは、容器本体の撮影方法における容器本体の側面に白色拡散面を設置した状態を示す図である。 図5は、容器本体の撮影における容器本体の像Xと像以外の部分Yを示す概略図である。 図6は、G信号と明度との関係を示すグラフである。 図7は、像の明度(L )と主観評価点との関係を示すグラフである。 図8は、像の明度と像以外の部分の明度との差(ΔL)と主観評価点との関係を示すグラフである。 図9は、数式:Y=1-exp(-x)におけるxとYとの関係を示すグラフである。 図10は、主観評価点と視認性値との関係を示すグラフである。 図11は、容器本体にレーザー書き込みをしたバーコードの視認性値と、読み取り成功率との関係を示すグラフである。 図12は、キャップのバーコードのシンボルコントラストと、読み取り成功率との関係を示すグラフである。 図13は、視認性値と評価ランクとの関係を示すグラフである。 図14は、加工比率と視認性値との関係を示すグラフである。 図15Aは、複数の凹部と非凹部を含む像の一例を示す図である。 図15Bは、複数の凹部と非凹部を含む像の他の一例を示す図である。 図15Cは、複数の凹部と非凹部を含む像の他の一例を示す図である。 図15Dは、複数の凹部と非凹部を含む像の他の一例を示す図である。 図15Eは、複数の凹部と非凹部を含む像の他の一例を示す図である。 図15Fは、複数の凹部と非凹部を含む像の他の一例を示す図である。 図16Aは、凹部を構成する加工部の大きさが解像度からなる1ドット幅以下である場合の例を示す図である。 図16Bは、凹部を構成する加工部の大きさが解像度からなる1ドット幅以下である場合の他の例を示す図である。 図16Cは、凹部を構成する加工部の大きさが解像度からなる1ドット幅以下である場合の他の例を示す図である。 図17は、一次元バーコードの一例を示す模式図である。 図18は、一次元バーコードにおけるバーとスペースについて説明する図である。 図19は、キャップの上面に設けられる一次元バーコードと容器本体に設けられる像との位置関係を示す図である。 図20Aは、通常のペットボトルのキャップ上面にバーコードを設けた場合を示す図である。 図20Bは、キャップの上面に設けられる一次元バーコードのバーの長手方向の長さを、一次元バーコードのバーの短手方向において中央部と端部で異なる長さとした図である。
(収容器)
本発明の収容器は、容器本体と、収容物を前記容器本体内に密閉するキャップと、を有する収容器であって、キャップの上面に識別コードを有し、前記容器本体が複数の凹部を含み、前記識別コードよりも面積の大きな像を有し、識別コードの表示部と非表示部との拡散反射率の差が、像の部分と非像部分との拡散反射率の差よりも大きい。
従来技術では、レーザー光によって飲料ボトルへ描画できても、収容物である液体の色や吸収率の違いによって、その視認性は変わり、バーコードの読み取り不良が多発する不具合があった。更に、飲料ボトルへのバーコードの書き込みをやめて、キャップ上面にバーコードを設置することを考えた場合、バーコードのサイズはとても小さくなる。その際、バーコードのコントラストが高くなければ読み取り不良が同様に多発することがわかってきた。即ち、レーザー書き込みされたバーコードが飲料ボトル内部の収容物(液体)によって安定的に読み取れるか否かの評価及び判断基準を設け、更にキャップ上面にバーコードを設ける場合におけるキャップの色やバーコードの色の組み合わせによる必要なコントラストを有する収容器の提供が望まれている。
まず、容器本体に形成する複数の凹部を含む像について説明する。容器本体の表面にレーザー加工等により複数の凹部からなる像を形成し、それらが集合すると、加工前(図1A)と比べて表面での拡散反射率が大きくなり、白濁化し視認可能領域が形成される(図1B)。
この像の部分と非像部分との拡散反射率の差(コントラスト)を「Cbottle」とする。像の部分と非像部分との拡散反射率の差によってインク等を利用しなくても加工した文字等の像を視認することできる。
なお、容器本体に識別コードとしての一次元バーコードのバー部分を加工部(図1B)とし、スペース部分を非加工部(図1A)とすることにより紙にインクで印字したのと明暗が反転したバーコード(バー部分が明るく容器本体が暗い)を形成することもできる。
この場合、コントラストは高い拡散反射率(バー部分)と低い拡散反射率(容器本体)との差となり、コントラストの値としては常に正となる。また、本明細書内では表面レーザー加工などによる像の部分を複数の凹部と記載しているが、微細的に見れば凹凸形状となっていることは言うまでもない。
本発明においては、収容器のキャップ8の上面に図1Dのように識別コードとしての一次元バーコード2が設けられており、容器本体表面にレーザー加工等による複数の凹部を含む前記識別コードよりも面積の大きな像を有しており、前記識別コードの表示部と非表示部との拡散反射率の差が、前記像の部分と非像部分との拡散反射率の差よりも大きくなっている。即ち、収容器のキャップの識別コードの表示部と非表示部との拡散反射率の差(コントラスト)を「Ccap」とすると、次式、Cbottle<Ccap、を充たすことを特徴とする。Cbottle<Ccap、を充たすことによって読み取りエラーの無い確実な識別コードを収容器に設けることができる。
Ccapとして表された識別コードの表示部と非表示部との拡散反射率の差はシンボルコントラストと呼ばれ、以下の数式(2)で表される。なお、紙にインクで印字したのと明暗が反転したバーコード(バー部分が明るく容器本体が暗い)の場合では数式(2)に絶対値がついていないとマイナスの値となる。そのため、コントラストの場合と同様に値は正となるように、絶対値がつけられている。
シンボルコントラスト=|識別コードの非表示部の拡散反射率-識別コードの表示部の拡散反射率|・・・数式(2)
識別コードの表示部とは、バーコードで例示すればバーの部分を指し、識別コードの非表示部とはバーコードのバーとバーとの間の背景にあたる部分である。例えば、緑の材料の上に白い背景を印刷し、その上に黒いバーコードを印刷した場合、黒の部分が表示部、白の部分が非表示部となる。
ここで、拡散反射率は、例えば、エックスライト社のcix6シリーズ等の積分球分光測色計を用いて測定することができる。積分球分光測色計は正反射光を含まない拡散反射率のみの測定が可能である。特に透明樹脂の場合、サンプルを透過した光が別の場所で反射して計測値に含まれないようにサンプルをライトトラップ上に設置して透過光がライトトラップから戻ってこないようにして表面の拡散反射率を測定する。
キャップの上面の識別コードはインクで印刷されたものであってもよいし、レーザー加工されたものであってもよい。また、図1Dのようにキャップの識別コード領域に白下地を印刷してバー部分を印刷したものであってもよいし、キャップに直接バー部分を印刷したものであってもよい。なお、キャップの色が濃い色の場合にはバー部分を黒で印刷すると識別コードのコントラストが小さくなるため、識別コード領域に下地色を別に印刷することが好ましい。また、キャップへの印刷はあらかじめ印刷されたものであってもよいし、収容器内に収容物(飲料等)を充填時にオンデマンド印刷されたものであってもよい。
ただし、キャップ上面へ識別コードとしてのバーコードを設置する場合、非常に小さなバーコードとなってしまう。小さなバーコードでは十分なコントラストでなければ読み取りエラーが多くなってしまう。このため、キャップ上面の小さなバーコードのシンボルコントラストを評価・判定するための基準が必要となる。
本発明の収容器は、容器本体と、収容物を容器本体内に密閉するキャップとを有する。
<容器本体>
容器本体としては、その材質、形状、大きさ、構造、色などについて特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
容器本体の材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、樹脂、ガラスなどが挙げられる。
容器本体の樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリブチレンアジペート/テレフタレート(PBAT)、ポリエチレンテレフタレートサクシネート、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、塩化ビニル(PVC)、ポリスチレン(PS)、ポリウレタン、エポキシ、バイオポリブチレンサクシネート(PBS)、ポリ乳酸ブレンド(PBAT)、スターチブレンドポリエステル樹脂、ポリブチレンテレフタレートサクシネート、ポリ乳酸(PLA)、ポリヒドロキシプチレート/ヒドロキシヘキサノエート(PHBH)、ポリヒドロキシアルカン酸(PHA)、バイオPET30、バイオポリアミド(PA)610,410,510、バイオPA1012,10T、バイオPA11T,MXD10、バイオポリカーポネート、バイオポリウレタン、バイオPE、バイオPET100、バイオPA11、バイオPA1010などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、環境負荷の点から、ポリビニルアルコール、ポリブチレンアジペート/テレフタレート、ポリエチレンテレフタレートサクシネート等の生分解樹脂が好ましい。
容器本体の形状としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ボトル状、円柱状、四角柱状、箱状、錐体状などが挙げられる。これらの中でも、ボトル状が好ましい。
ボトル状の容器本体は、口部と、口部に連結された肩部と、肩部に連結された胴部と、胴部に連結された底部とを備えている。
容器本体の大きさとしては、特に制限はなく、容器の用途に応じて適宜選択することができる。
容器本体の構造としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、単層構造であっても複数層構造であっても構わない。
容器本体の色としては、例えば、無色透明、有色透明、有色不透明などが挙げられる。これらの容器本体の色の中で、特に無色透明なものにおいてレーザー書き込みした像の視認性が悪くなり、その場合の容器本体へ書き込まれたバーコードが読み取りできないという不具合が生じてしまうため、本発明が必要となる。
<像>
容器本体の表面には複数の凹部を含み、キャップの上面の識別コードよりも面積の大きな像が形成される。なお、像は凹部が形成されていない非凹部を有していることにより、像の全てにレーザー照射する必要がなくなる。そのため、非凹部の面積割合分だけ生産性が格段に向上する。ただし、非凹部の面積割合が多くなるとその視認性値は悪化するため、非凹部の面積割合については条件が設けられるべきである。
像とは、例えば、文字、記号、図形、画像、コード等を含み、具体的には、名称、成分、識別番号、製造業者名、製造日時、賞味期限、識別コード(バーコード、二次元コード)、リサイクルマーク、又はロゴマークなどの情報を意味する。
上記像の中でも、識別コードは重要な情報となる。商品や企業の事業所・部門、資産など、モノを管理する際には、識別するための番号や記号などを割り振った「コード」が必要となり、モノを識別するためのコードは一般的に「識別コード」と呼ばれる。
識別コードには、例えばJANコード等の「商品識別コード」がある。JANコードは、商品を購入した際に、レジでどの商品を購入したかがわかるように管理するために利用されており、「どの事業者の、どの商品か」をピンポイントで表す国際的な商品識別番号を示している。通常、バーコードとして商品又はパッケージなどに表示され、活用されている。その他では、多くの情報を収納できる二次元コードも識別コードの一種であり、二次元コードで最も著名なのはQRコード(登録商標)がある。二次元コードでも同様の効果であったため、本明細書では識別コードの代表であるバーコードを例に取って記載する。
凹部は、複数の加工部から形成され、複数の加工部が第1の走査方向(主走査方向)に沿って配されており、ドット状であってもよく、ライン状であってもよい。加工部は平面視で円形加工部又は楕円形加工部であることが好ましい。
凹部は、複数の加工部が接触又は重なって第1の走査方向に沿って線状に配されていることが、視認性の点及び生産性の点から好ましい。また、この容器本体へ描画された像はラベルの代替えとなることを目的とするため、像の大きさはキャップのバーコードの面積よりも大きな面積で描画されなければならず、その面積で描画された文字や絵を含む像が明瞭に認識されるための発明となる。ここで記載する面積とはそのエリアの面積であり、バーコードであれば図2の点線内のことであり、容器本体へレーザー光で描画された像の面積とは図3の点線内として概算され、ボトル全体のこれら像の面積を合算したものとする。
非凹部は、凹部が形成されていない容器本体の平坦な領域を意味する。
レーザー光の走査方向には、主走査方向と副走査方向の2つがあり、主走査方向と副走査方向とは互いに直交する。
主走査方向はレーザー照射手段の移動する方向であり、副走査方向はレーザー加工対象である容器本体が移動する方向である。
第1の走査方向はレーザー加工における主走査方向であり、第2の走査方向はレーザー加工における副走査方向である。
ここで、図1Bに示すように、容器本体1の表面にレーザー加工等により複数の凹部12を形成し、該凹部12が集合して像11を形成すると、図1Aに示すレーザー加工前と比べて容器本体1の表面での拡散反射率が大きくなる。即ち、図1Bに示すように白濁化し像11が形成される。複数の凹部12の集合が密になるほど白濁度は増し視認しやすくなる一方、レーザー加工に時間がかかり生産性が低下したり、発熱による容器本体1の変形や材質の変質による色変化が発生したりするため、視認性に影響をしない程度の密度で集合させることが好ましい。
また、像11は複数の凹部12による拡散反射率だけでなく、容器本体1内に収容されている収容物9からの透過光の影響も含めて視認性が決定される(図1C)。容器本体1がペットボトルやガラスのような透明な材質から形成されている場合には、特に、図1Cに示すように、容器本体1内に収容されている収容物9からの透過光の影響は大きくなる。
収容物を容器本体内に収容した状態では、収容物の種類や色によっては凹部を含む像の視認性値が変化し、重要な情報となるバーコードの読み取りが不安定になってしまうことがある。
また、像11は、生産性が低下しない程度の密度での複数の凹部12の集合である場合、非凹部13の透過光の影響も考える必要がある。
以上により、本発明者は、鋭意検討を重ねた結果、容器本体表面の加工状態及び容器本体内に収容されている収容物を含めた視認性を評価し、容器本体に形成したバーコードの読み取りが確実にできるのか否かを判断し、キャップ上面へのバーコードを設置した場合の評価方法及びそれらを用いて成り立つ収容器全体で確実にバーコードを読み取れる収容器及び視認性の評価方法を確立した。
まず、視認性の評価方法について説明する。視認性の評価方法は容器本体を撮影し、視認可能な像と、像以外の部分から計測される各明度から測定する。
容器本体の撮影方法としては、図4Aに示すように、容器本体1の形状による容器本体1の表面への映り込みを排除するために、暗室42環境下で行う。図4A中43はカメラである。図4Bに示すように、光源41は容器本体1の表面の正反射成分が撮影されないようにフラット光源を所定の角度で配置し、容器本体1内の収容物9の影響を撮影画像に反映するために、容器本体1の側面に一対の白色拡散面44を設置することが好ましい。具体的には、以下に示す撮影条件で行う。これにより、一般の環境で見るのと近い画像を取得することができる。
<視認性の評価方法における撮影条件>
・図4Aに示すように暗室にカメラ43、サンプル(容器本体1)、光源41を設置する。
・光源は拡散照明する位置に配置する(サンプルに対し斜め上方など加工面での正反射成分がカメラで検知されない位置とし、光源位置は斜め下方や側面等でも可)。
・サンプル側面に白色面を設置し、周囲からの透過光も考慮できるようにする。
・撮影条件は白色の読み取り値が飽和しないように下記のように設定する。
-撮影条件-
・カメラ:Basler社製エリアスキャンカメラ acA3088-57μm
・レンズ:Ricoh Lens FL-CC2514-2M(F1.4 f25mm 2/3”)
・絞り:F1.4
・露光時間:20,000(μs)
・撮影距離:500mm
・光源:LEDトレーサー
・収容物を容器本体内に収容した状態
撮影した画像から像及び像以外の部分の明度を計測する。図5に示すように、像Pと像以外の部分Qの出力値から明度を換算する。カメラの出力値は像の大きさ等によるが、バラツキを考慮して数mm~数十mm程度のエリアの平均値などを使用することが好ましい。
明度への換算は容器本体の測定環境下で明度(L)が既知であるチャートをカメラで撮影し、そのカメラ読み取り値(G信号)と既知の明度とから、以下のようにして明度に換算することができる。
-G信号と明度換算-
・明度が既知のカラーチャート(グレイチャート)を撮影し、n次多項式で近似する。一例として以下に示す三次多項式にてG信号を明度に換算する。
=Lab_1st×G1+Lab_2nd×G2+Lab_3rd×G3+Lab_const
Lab_1st=0.461535
Lab_2nd=-0.000281
Lab_3rd=0.000000
Lab_const=1.211053
なお、図6は、G信号と上記式から換算した明度との関係を示すグラフである。図6から、寄与率r=0.997である。
-主観評価-
容器本体(ペットボトル)内へのレーザー加工条件を変えたサンプルに対し、以下に示すように、上記サンプルに収容する収容物を変えて主観評価を行い、評価するサンプルをシャッフェの一対比較法にて統計的な主観評価点を求めた。
・サンプル:加工条件を変えた6種
・収容物:水、コーヒー、茶
・主観評価方法:シャッフェの一対比較法
・評価者:3名(評価は各2回実施)
・評価1回目:全サンプルに水
・評価2回目:水(2本)、コーヒー(2本)、茶(2本)
・評価3回目:水(1本)、コーヒー(3本)、茶(2本)
・評価環境:オフィス居室内
得られた主観評価点と像の明度(L )、及び像の明度と像以外の部分の明度との差(ΔL)との関係を図7及び図8に示す。シャッフェの一対比較法にて評価された主観評価点は数値が大きいほど主観評価にて視認性が良好であるといえる。図7及び図8において点線で囲んだ領域のように、相関性の悪いサンプルがある。これらは像の明度(L )が著しく低い、明度差(ΔL)が少ない、又はこれらの両方の状態のサンプルである。
このようなサンプルについても相関性の高い数式とするため、像の明度L に(1-exp(ΔL))を乗じた数式(1)を導出した。図9に示すように、Y=(1-exp(-x))はxが小さくなるとY=0に近づくことから、数式(1)は明度差(ΔL)が小さくなると視認性が悪くなる傾向を表現している。
したがって、視認性値は、以下の数式(1)で表される。
視認性値=b・L ・(1-exp(b・ΔL))・・・数式(1)
ただし、数式(1)中、L は像の明度、ΔLは像の明度と像以外の部分の明度との差を表す。
は正の実数であり、0.2前後であることが好ましい。
は負の実数であり、-0.2前後であることが好ましい。
数式(1)で表される視認性値は、像の明度が高いほど視認性が高く、像以外の部分との明度差がなくなると視認性が無くなるという特徴を表している。
ここで、b=0.195、b=-0.193として算出した数式(1)で表される視認性値は、図10に示すように、加工条件及び容器本体内に収容される収容物を変えた場合の主観評価点(一対比較法)と非常に高い相関関係(R=0.943)を有することがわかる。
-容器本体のバーコード読み取り評価-
次に、レーザー光で容器本体に書き込まれたバーコードの視認性値と、そのバーコードの読み取り成功率との関係性について調査を行った。
容器本体(ペットボトル)内へのレーザー加工条件を変えてバーコードを書き込んだサンプルに対し、以下に示すように、サンプルに収容する収容物を変えてバーコードリーダによる読み取り可否評価を行い、その読み取り成功率を求めた。
・サンプル:加工条件を変えた6種
・収容物:水、コーヒー、ミルクコーヒー、茶、醤油
・バーコードリーダ:BISCOM社製 BC-BR900L(LED式)
・読み取りの可否:1秒以内での読み取り成功
・成功率:10回読み取りの可否テストを行い、読み取りに成功した回数で算出
・評価環境:オフィス居室内
ここで用いたバーコードリーダだが、バーコードリーダには一次元バーコードリーダと二次元バーコードリーダとがあり、二次元バーコードリーダの方が読み取りスピード、難読バーコードや一括読み取りなどのバーコードの読み取り性能が圧倒的に高い。逆に、汎用的に社会全般で読み取りができなければならないことを鑑みると、性能に劣る一次元バーコードリーダにて読み取りが成功したかどうかが問われる。そのため、本実施形態では一次元バーコードリーダである上述の機器を用いた。
図11に、上記サンプルにそれぞれの収容物を入れてその視認性値を測定し、それぞれのサンプルに書き込まれたバーコードをバーコードリーダで読み取り、その視認性値と読み取り成功率との関係をまとめた。結果として、それぞれの収容物を各サンプル内に入れた状態においてバーコードの上記数式(1)で表される視認性値が14以下である場合に読み取りが不安定となり、更に低くなるとほとんど読み取りができなくなることが見いだされた。即ち、本指標を用いることでどのような収容物(液体)を容器本体内に入れても、レーザー光で書き込まれたバーコードの読み取り品質が判定でき、上記視認性値が14以下と判定された場合はキャップ上面へのバーコードの設置が必要であると確実に素早く判断できるようになった。
-キャップ上面のバーコード読み取り評価-
上記判定を受けて前記キャップの上部にバーコードを設置することが必要となった場合、非常に小さなバーコードとなってしまう。小さなバーコードでは十分なコントラストでなければ読み取りエラーが多くなってしまうため、キャップ上面の小さなバーコードのシンボルコントラストを評価・判定するための基準が必要となる。シンボルコントラストは下記の数式(2)で求められる。
シンボルコントラスト=|識別コードの非表示部の拡散反射率-識別コードの表示部の拡散反射率|・・・数式(2)
即ち、収容器全体としてのデザイン上、キャップには様々な色の素材が用いられるが、その際、印刷などによってバーコードを書き込む色とキャップの色とが同色系となるとシンボルコントラストが低くなる。その場合はキャップ上面の小さなバーコードでは、読み取りエラーが多くなってしまう。
これらのことを鑑みて、キャップ上面に印刷した縮小されたバーコードのシンボルコントラストと、そのバーコードの読み取り成功率との関係性について調査を行った。
キャップの色と、キャップ上面に印刷するバーコードの色をそれぞれ変えて、バーコードリーダによる読み取り可否評価を行い、その読み取り成功率を求めた。ただし、ここではキャップの色と記載しているが、実際の実験ではキャップを模した色のついたポリプロピレンの板を用い、その上にキャップ上面に印刷できる大きさ(50%の縮小率)でありそれぞれの色からなるバーコードを印刷したサンプルの読み取り調査を行った。
・キャップの色(ポリプロピレンの板):白、黒、濃い緑、黄色
・バーコードの色:白、黒、薄い緑、薄い黄色、茶色、紫
・バーコードの縮小率:50%
・バーコードリーダ:BISCOM社製 BC-BR900L(LED式)
・読み取りの可否:1秒以内での読み取り成功
・成功率:10回読み取りの可否テストを行い、読み取りに成功した回数で算出
・評価環境:オフィス居室内
図12に、上記サンプルのシンボルコントラストを測定し、それぞれのサンプルに書き込まれたバーコードをバーコードリーダで読み取り、そのシンボルコントラストと読み取り成功率との関係をまとめた。結果として、それぞれの色のバーコードを印刷したそれぞれの色のキャップ(ポリプロピレンの板)においてバーコードのシンボルコントラストが30%以上にて安定的に100%の読み取り成功率となった。即ち、本指標を用いることでデザイン上どのような色のキャップを使い、キャップ上面に小さく設けられたバーコードでも、バーコードの読み取り品質が判定でき、シンボルコントラストが30%以上となる色のバーコードがキャップ上面に設けられなければならないと確実に素早く判断できるようになった。
上述のように、容器本体に書き込まれたバーコードをバーコードリーダで読み取る場合は上記数式(1)で表される視認性値が14以下では読み取り成功率が低くなることが分かったが、イラストや文字などは視認性値が14以下でもきちんと視認できれば所定の目的は達する。レーザー加工においてきちんと視認できるための良好なレーザー書き込み条件について評価した。
<主観評価方法>
以下の条件で像(文字)をレーザー加工したサンプルについて、像の主観評価を行い、見やすさを5段階で評価した。結果を図13に示す。
-評価条件-
・判定者:30名
・サンプル:レーザー加工条件を可変して5.5pt文字を形成したサンプルとして収容物(水、茶など)もサンプル毎に可変した計10種
・評価環境:一般オフィス居室内
・判定方法:判定ランクは下記の5段階とし、判定者による主観評価を実施する。
[評価ランク]
1:読めない
2:あまり読めない
3:読める
4:よく読める
5:最もよく読める
図13の結果から、主観評価であるため、ややばらつきが生じているが、平均値では視認性値が2以上において文字が可読できる評価ランク3以上となった。また、視認性値が6以上ではいずれの判定者において評価ランク5(最もよく読める)であることがわかった。
上記を鑑みて、像の面積に対する複数の凹部の面積の割合[(複数の凹部の面積/像の面積)×100](以下、「加工比率」と称することがある)と視認性値との関係を調べた。
図14に示すように、加工比率が低い領域では加工比率と視認性値には相関があり、加工比率が低くなると視認性が悪くなる。加工比率が50%以上のときには視認性値は約5以上となり、加工比率が40%以上のときでも視認性値は2以上となることがわかった。即ち、加工比率が低くなるほど生産性は高くなり、例えば加工比率が50%であれば単純計算で倍の生産性となる。ただし、加工比率が40%未満では生産性は高いものの、視認性値が低い品質となる。加工比率が高くなると視認性は向上するが、加工比率が85%からはほとんど視認性値が変わらなくなる。即ち、加工比率は85%で最大の視認性値を示し、15%分の生産性の向上を期待できる。
このように加工比率は40%以上85%以下であることで、視認性と、生産性とが両立する好ましい領域であることがわかる。加工比率を40%以上とすることにより、高い生産性を保ちながら視認性に優れた像を提供することができる。更に、加工比率を50%以上とすることにより、像の主観評価の判定ランクが最も高い像を形成することが可能となる。
次に、図15A~図15Fに、複数の凹部と非凹部を含む像11の具体例について示す。
凹部12は複数の加工部47から形成され、複数の加工部47が線状に配されており、図15B、図15C、及び図15Fに示すように、複数の加工部47が接触又は重なって線状に配されていることが視認性の点から好ましい。
更に、図15Fのように複数の加工部47が第1の走査方向(主走査方向)に沿って線状に配されている場合と、図15Cに示すように凹部12を第2の走査方向に沿ってドット状に配した場合との書き込み速度を比較した。図15F及び図15Cも図内Aを120μmとし、Bを200μmとした。また、これらの図において円筒状の容器は図の左右方向に湾曲している。この条件で25cmの書き込みを行ったところ、図15Fのように複数の加工部47が第1の走査方向(主走査方向)に沿って線状に配されている場合の方が図15Cに示すように凹部12を第2の走査方向に沿ってドット状に配した場合と比較して書き込み時間に2倍以上書き込み速度が速いという結果が得られた。これは、複数の加工部47が第1の走査方向(主走査方向)に沿って線状に配されている場合の方が高い生産性であると言える。
図15A、図15D、及び図15Eに示すように、凹部12を第1の走査方向に沿ってドット状に配した場合、加工部47の周囲の非凹部13の透過光の影響を受けやすいが、凹部12の間に、非凹部13を設けることにより、発熱による本体の変形や材質の変質による色変化を更に防止することが可能となる。
加工比率は、凹部を構成する加工部47における第1の走査方向と直交する第2の走査方向の幅Aと加工部47における第2の走査方向の幅A+非凹部13の第2の走査方向の幅Bから算出する。例えば、解像度200dpiの像11を形成する場合、図15Aに示すように、加工部47がドット状である場合には、加工比率=(A/2)*π/Bであり、A=90μm、B=127μmである場合には加工比率は40%となる。また、加工部47が接触している場合、例えば、A=127μm、B=127μmである場合には加工比率は79%となる。
また、図15Bに示すように、加工部47が第1の走査方向に沿って、重なり線状に配されている場合には、加工比率=A/Bであり、A=50μm、B=127μmの場合には加工比率は40%となる。また、加工部47が接触している場合、例えば、A=120μm、B=127μmである場合には加工比率は95%となる。
なお、加工部47の配列は縦方向及び横方向のいずれの配置方向も可能であり(図15C)、加工部47における第2の走査方向の幅A及び非凹部13における第2の走査方向の幅Bは像11内において同一である必要はなく(図15D、図15E、及び図15F)、ランダムに配置されていてもよい。
更に、凹部における第1の走査方向と直交する第2の走査方向(副走査方向)の幅が所定の解像度における1ドット幅以下であることが視認性の向上の点から好ましい。所定の解像度とは、例えば、200dpiを意味する。
例えば、解像度200dpiの像を形成する場合には、図16A、図16B、及び図16Cに示すように、例えば、最小の1ドットにおける第2の走査方向(副走査方向)の幅Cを127μm、加工部47における第2の走査方向の幅A+非凹部13における第2の走査方向の幅Bを40μmそれぞれとすると、最小の1ドットにおける第2の走査方向の幅C内に複数の加工部47からなる凹部(直線)12が3列に配置されるようにレーザー加工するので、容器本体の表面をより細かく粗面化でき、視認性が向上する。
非凹部13における第2の走査方向の幅Bは40μm以外にも、非凹部13における第2の走査方向の幅Bが63μmのドット又はラインでは2列、非凹部13における第2の走査方向の幅Bが80μmのドット又はラインでは1.5列に配置される。これらの場合でも、非凹部13における第2の走査方向の幅Bが40μmの場合と同様に視認性が向上する。更に合わせて、加工比率が40%以上85%以下を充たすことにより、視認性が良好であり、加工面積が減少することにより生産性が向上すると共に、発熱による容器本体の変形や材質変化を防止することが可能となる。
なお、加工部47のライン又はドットの配列は縦横のいずれの配置であってもよく、また加工部47の第2の走査方向の幅A及び非凹部13における第2の走査方向の幅Bは像11内において同一である必要はなく、ランダムに配置されていても構わない。
<キャップ>
キャップは、その材質、形状、大きさ、構造、色などについて特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
キャップの材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、樹脂、ガラス、金属、セラミックスなどが挙げられる。これらの中でも、成形性の点から樹脂が好ましい。
キャップの樹脂としては、上記容器の本体の樹脂を同様なものを用いることができる。
キャップの色としては、例えば、有色不透明、有色透明などが挙げられる。これらの中でも、像の読み取り性の点から有色不透明が好ましい。
キャップの形状及び大きさとしては、容器本体の開口部を封じる(閉封する)ことができる形状及び大きさであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
キャップの構造としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、開封した時に容器本体から離れる第1の部分と、容器本体に残る第2の部分とを有することが好ましい。
第1の部分の側面には、開封時に手が滑らないように、表面に凹凸形状が形成されていることが好ましい。第2の部分の側面には、凹凸形状は形成されておらず、表面は平坦であることが好ましい。
本発明においては、キャップの上面に識別コードを有している。
識別コードとしては、例えば、一次元バーコード、二次元バーコードなどが挙げられる。これらの中でも、汎用性の点から、一次元バーコードが好ましい。なお、一般にバーコードという場合は一次元バーコードを意味するが、ISO/IEC規格では、二次元バーコードも含めてバーコードと称している。
バーコードとは、バーコードシンボルというバーで表現した符号の総称である。バーコードは、流通や商品管理に必要な国名や業種、商品名、価格などPOS(Point Of Sales:販売時点情報管理)の情報が含まれており、ハンディターミナルやバーコードリーダで読み取ることができる。
ここで、図17は、一次元バーコードの一例を示す模式図である。
「クワイエットゾーン(マージン)」は、バーコードシンボルの左右にある余白の部分である。この余白が十分でないと、読み取れなくなる。左右に、ナローバー幅(最小エレメント)の10倍以上必要である。
「スタート/ストップキャラクタ」は、データの始まりと終わりを表す文字である。
「スタート/ストップキャラクタ」はバーコードの種類により異なり、CODE39では“*”、NW-7では“a”、“b”、“c”、“d”である。
「データ(メッセージ)」は、データとして表されている文字(数字、アルファベットなど)のバーパターンが左側から並んでいます。図17では、0、1、2の文字を表すバーパターンを左から順番に並べることで、「012」というデータを表している。
「チェックデジット」とは、読み誤りがないかチェックするために、算出された数値で、バーコードデータの直後に付加される。
「バーコードの長さ」とは、左右のクワイエットゾーンを含んだ長さをいう。つまり、バーコードリーダの読み取り幅内に、クワイエットゾーンも含めたバーコードが入っていないと読み取れない。
「バーコードの高さ」は、印刷できる最大限を確保することが望まれる。高さが低いと、レーザー光がバーコードから外れてしまい、安定して読み取れない場合がある。バーコードの長さの15%以上を確保することが推奨される。
図18は、一次元バーコードにおけるバーとスペースについて説明する図である。
一次元バーコードは、細・太いバーとスペースの組み合わせでできており、それぞれのバーとスペースは、図18に示すように呼ばれている。
本発明の一態様において、識別コードが一次元バーコードであり、一次元バーコードのバーの長手方向の延長線上に像が形成されている。この態様によると、バーコードの読み取りエラーが低減できると共に、スキャン時の操作性が良好となる。
図19は、キャップの上面に設けられる一次元バーコードと容器本体に設けられる像との位置関係を示す図である。図19に示すように、キャップ8の上面に設けられる一次元バーコード2のバーの長手方向の延長線上に容器本体1に像11が形成されている。即ち、容器本体1の像11に対して一次元バーコード2のバーが柵状になるように設けられている。
図19のように一次元バーコード2をバーの長手方向の延長線上に容器本体1の像11が形成されるように設けた収容器の場合と、一次元バーコードの向きと容器本体の像と関連付けてない収容器とで、方向依存性のあるバーコードにて読み取り実験を行った。
その結果、一次元バーコードの向きと容器本体の像と関連付けてない収容器では読み取りの都度キャップ上面のバーコードの向きを確認する作業が発生した。しかし、図19のような収容器では本体容器の像を見ればキャップ上面のバーコードの向きも分かるため、それら位置関係に慣れることで都度、キャップ上面のバーコードの向きを確認する必要がなくなり、100本の読み取り作業の時間がおよそ150秒短縮できた。
本発明により、レジ等で読み取るときに直観的に操作しやすく、バーコードの読み取りの間違いも減少するという利点にもつながる。
本発明の一態様において、識別コードが一次元バーコードであり、一次元バーコードのバーの長手方向の長さが、一次元バーコードのバーの短手方向において中央部と端部で異なる長さである。この態様によると、バーコードの読み取りエラーが低減できると共に、スキャン時の操作性が良好となる。
日本で一般的に利用されている商用バーコードである13桁のバーコードJAN-13は規定サイズでは飲料ボトルに使用されるキャップより大きく、キャップに印刷する際に縮小する必要がある。バーコードの国際標準(ISO)では読み取り品質を保証する縮小率は80%までとなっており、キャップにバーコードを設けるには規定よりも小さくする必要がある。しかし、バーコードの読み取り品質を保つためにはできるだけバーコードのサイズは縮小しないほうが好ましい。例えば、図20Aのように通常のペットボトルのキャップ上面にバーコードを設ける場合、縮小率は50%程度となり、この場合、コントラストの低い印刷を行うと読み取りエラーが多くなる。この際に、キャップが円形であることから、図20Bのように、キャップ8の上面に設けられた一次元バーコードの短手方向において中央部と端部で異なる長さとすることにより、横方向に最大限の大きさのバーコードを設置することができるようになり、更に縦方向にはバーコード中央部分のバーを長く設けることができるようになるため、より大きなサイズとして認識させることができるようになる。
実際にそれぞれ25%のシンボルコントラストとなる本実施態様のバーコードと、通常の縮小率50%のバーコードとで読み取り試験したところ、その読み取り成功率は30%から80%へと向上した。即ち、デザイン上選択したい色のキャップに、デザイン上選択したいバーコードの色との組み合わせが低いシンボルコントラストを持っていたとしても、本発明によってその組み合わせを選択できる可能性が高まった。
本発明の一態様において、像は、像の部分の拡散反射率が非像部分の拡散反射率よりも大きく、原画と明暗が反転しており、識別コードは、識別コードの表示部の拡散反射率が非表示部の拡散反射率よりも小さく、原画と明暗が反転していない。この態様によると、バーコードの読み取りエラーの低減が図れる。
バーコードはバー部分が暗くスペース部分が明るいポジ画像でも明暗の反転したネガ画像でも認められている。
レーザーマーキングでペットボトルに描画するときは加工部が明るいネガ画像となる。市販のバーコード読み取り装置はポジでもネガでも対応できるものがほとんどであるが、ごくまれにポジ画像にしか対応できないものも存在する。そのため、キャップ部分のバーコードはポジ画像とすることにより読み取りエラーの低減が図れる。
(収容体)
本発明の収容体は、本発明の収容器と、収容器に収容されている収容物とを含む。
収容物としては、例えば、液体、気体、粒状固形物などが挙げられる。
液体としては、例えば、水、お茶、コーヒー、紅茶、清涼飲料水などが挙げられる。収容物が液体飲料である場合には、透明、白色、黒色、茶色、又は黄色等の色を有していることが多い。
気体としては、例えば、酸素、水素、窒素などが挙げられる。
粒状固形物としては、例えば、果肉、野菜、ナタデココ、タピオカ、ゼリー、コンニャクなどの細片又は粒子などが挙げられる。
<収容器の製造方法及び収容器の製造装置>
本発明で用いられる収容器の製造方法は、本発明の収容器を製造する方法であって、容器本体にレーザー光を照射して像を形成する照射工程を含み、回転工程及び移動工程の少なくともいずれかの工程を含むことが好ましく、更に必要に応じてその他の工程を含む。
本発明で用いられる収容器の製造装置は、本発明の収容器を製造する装置であって、容器本体にレーザー光を照射して像を形成する照射手段を有し、回転手段及び移動手段の少なくともいずれかの手段を有することが好ましく、更に必要に応じてその他の手段を有する。
前記レーザー光のスポット径は1μm以上200μm以下が好ましく、10μm以上100μm以下がより好ましい。スポット径が1μmよりも小さくなると、可視光の波長に近くなり、そうなると、そのビームスポット径で加工した構造で光を散乱することができなくなり、白濁化できなくなってしまう。また、200μmよりも大きくなると、人の目で構造が認識できてしまう。
前記レーザー光の強度を制御することにより像を形成することが好ましい。
前記レーザー光を走査することにより像を形成することが好ましい。
複数のレーザー光源から照射される複数のレーザー光の強度をそれぞれ独立制御することにより像を形成することが好ましい。
本発明で用いられる収容器の製造方法においては、描画したい対象の容器本体を回転させながら、レーザー光を照射し、画像形成を行うものである。
装置の構成については、レーザー位置は固定で容器側を動かす場合と、容器側が固定でレーザー位置を動かす場合がある。
また、容器本体を動かす場合、一定角度回転させ、レーザー描画を行った後、また同じ角度回転させ、再度レーザー描画を行うといった、同期制御により画像形成をするものや、容器本体を等速回転とし、レーザー描画を行う場合がある。容器保持部は口でも本体でも底でもよい。
なお、容器本体は加工時縦置きでも横置きでも斜め置きでもよい。
なお、容器本体がコンベアなどを通過する際に一方からマーキングしてもよく、コンベアなどを通過する際に複数個所から同時にマーキングしてもよい。
レーザー光源の波長は、紫外線領域、可視光領域のものだけでなく、近赤外線領域から中赤外線領域のものも好適である。具体的には、1,200nm以上1,500nm以下の波長領域のものも好適である。
例えば、近赤外線領域から中赤外線領域の波長は、発泡(熱変性)で白濁化させる場合に高速で対応でき、また装置のアレイ化もしやすくなる点で好適である。紫外線領域の波長は、アブレーションによる加工を行うために、レーザー光の光強度を大きくできる点で好適である。
また波長帯域ごとで、容器本体に対する吸収率が周辺波長よりも突出して高い波長が存在するため、この波長を利用すると特に好適である。
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更しても差支えない。
本発明の態様としては、例えば、以下のとおりである。
<1> 容器本体と、収容物を前記容器本体内に密閉するキャップと、を有する収容器であって、
前記キャップの上面に識別コードを有し、
前記容器本体が複数の凹部を含み、前記識別コードよりも面積の大きな像を有し、
前記識別コードの表示部と非表示部との拡散反射率の差が、前記像の部分と非像部分との拡散反射率の差よりも大きいことを特徴とする収容器である。
<2> 前記容器本体は、下記数式(1)で表される視認性値が所定値以上である、前記<1>に記載の収容器である。
視認性値=b・L ・(1-exp(b・ΔL))・・・数式(1)
ただし、前記数式(1)中、L は前記像の明度、ΔLは前記像の明度と像以外の部分の明度との差を表し、bは正の実数、bは負の実数である。
<3> 前記視認性値が2以上である、前記<2>に記載の収容器である。
<4> 収容物を前記容器本体内に収容した状態における下記数式(1)で表される視認性値が14以下である場合において、
前記キャップの前記識別コードにおける下記数式(2)で表されるシンボルコントラストが30%以上である、前記<1>に記載の収容器である。
視認性値=b・L ・(1-exp(b・ΔL))・・・数式(1)
ただし、前記数式(1)中、L は前記像の明度、ΔLは前記像の明度と像以外の部分の明度との差を表し、bは正の実数、bは負の実数である。
シンボルコントラスト=|前記識別コードの非表示部の拡散反射率-前記識別コードの表示部の拡散反射率|・・・数式(2)
<5> 前記像が非凹部を有する、前記<1>から<2>及び<4>のいずれかに記載の収容器である。
<6> 前記像の面積に対する複数の前記凹部の面積の割合[(複数の前記凹部の面積/前記像の面積)×100]が40%以上85%以下である、前記<1>から<2>及び<4>のいずれかに記載の収容器である。
<7> 前記凹部が複数の加工部から形成され、複数の前記加工部が第1の走査方向に沿って線状に配されている、前記<1>から<2>及び<4>のいずれかに記載の収容器である。
<8> 前記凹部における前記第1の走査方向と直交する第2の走査方向の幅が所定の解像度における1ドット幅以下である、前記<7>に記載の収容器である。
<9> 前記識別コードが一次元バーコードであり、
前記一次元バーコードのバーの長手方向の延長線上に前記像が形成されている、前記<1>から<2>及び<4>のいずれかに記載の収容器である。
<10> 前記識別コードが一次元バーコードであり、
前記一次元バーコードのバーの長手方向の長さが、前記一次元バーコードのバーの短手方向において中央部と端部で異なる長さである、前記<1>から<2>及び<4>のいずれかに記載の収容器である。
<11> 前記像は、前記像の部分の拡散反射率が非像部分の拡散反射率よりも大きく、原画と明暗が反転しており、
前記識別コードは、前記識別コードの表示部の拡散反射率が非表示部の拡散反射率よりも小さく、原画と明暗が反転していない、前記<1>から<3>のいずれかに記載の収容器である。
<12> 前記<1>から<2>及び<4>のいずれかに記載の収容器と、前記収容器に収容されている収容物とを含むことを特徴とする収容体である。
前記<1>から<11>のいずれかに記載の収容器、及び前記<12>に記載の収容体によると、従来における諸問題を解決し、本発明の目的を達成することができる。
1 容器本体
2 一次元バーコード
7 収容体
8 キャップ
9 収容物
11 像(文字)
12 凹部(直線)
13 非凹部
47 加工部
特開2021-176648号公報

Claims (12)

  1. 容器本体と、収容物を前記容器本体内に密閉するキャップと、を有する収容器であって、
    前記キャップの上面に識別コードを有し、
    前記容器本体が複数の凹部を含み、前記識別コードよりも面積の大きな像を有し、
    前記識別コードの表示部と非表示部との拡散反射率の差が、前記像の部分と非像部分との拡散反射率の差よりも大きいことを特徴とする収容器。
  2. 前記容器本体は、下記数式(1)で表される視認性値が所定値以上である、請求項1に記載の収容器。
    視認性値=b・L ・(1-exp(b・ΔL))・・・数式(1)
    ただし、前記数式(1)中、L は前記像の明度、ΔLは前記像の明度と像以外の部分の明度との差を表し、bは正の実数、bは負の実数である。
  3. 前記視認性値が2以上である、請求項2に記載の収容器。
  4. 収容物を前記容器本体内に収容した状態における下記数式(1)で表される視認性値が14以下である場合において、
    前記キャップの前記識別コードにおける下記数式(2)で表されるシンボルコントラストが30%以上である、請求項1に記載の収容器。
    視認性値=b・L ・(1-exp(b・ΔL))・・・数式(1)
    ただし、前記数式(1)中、L は前記像の明度、ΔLは前記像の明度と像以外の部分の明度との差を表し、bは正の実数、bは負の実数である。
    シンボルコントラスト=|前記識別コードの非表示部の拡散反射率-前記識別コードの表示部の拡散反射率|・・・数式(2)
  5. 前記像が非凹部を有する、請求項1から2及び4のいずれかに記載の収容器。
  6. 前記像の面積に対する複数の前記凹部の面積の割合[(複数の前記凹部の面積/前記像の面積)×100]が40%以上85%以下である、請求項1から2及び4のいずれかに記載の収容器。
  7. 前記凹部が複数の加工部から形成され、複数の前記加工部が第1の走査方向に沿って線状に配されている、請求項1から2及び4のいずれかに記載の収容器。
  8. 前記凹部における前記第1の走査方向と直交する第2の走査方向の幅が所定の解像度における1ドット幅以下である、請求項7に記載の収容器。
  9. 前記識別コードが一次元バーコードであり、
    前記一次元バーコードのバーの長手方向の延長線上に前記像が形成されている、請求項1から2及び4のいずれかに記載の収容器。
  10. 前記識別コードが一次元バーコードであり、
    前記一次元バーコードのバーの長手方向の長さが、前記一次元バーコードのバーの短手方向において中央部と端部で異なる長さである、請求項1から2及び4のいずれかに記載の収容器。
  11. 前記像は、前記像の部分の拡散反射率が非像部分の拡散反射率よりも大きく、原画と明暗が反転しており、
    前記識別コードは、前記識別コードの表示部の拡散反射率が非表示部の拡散反射率よりも小さく、原画と明暗が反転していない、請求項1から3のいずれかに記載の収容器。
  12. 請求項1から2及び4のいずれかに記載の収容器と、前記収容器に収容されている収容物とを含むことを特徴とする収容体。

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