以下に、本発明の各実施形態を、図面を参照して説明する。図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態について説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る生理用品提供装置を実現するネットワーク環境の一例を示す構成図である。
生理用品提供装置1は、図1に例示するように、例えばインターネットのような通信ネットワーク200に接続された生理用品提供管理サーバ10と、トイレ、例えば、女性用トイレの各個室にそれぞれ配置された複数のディスペンサ60とによって実現される。なお、図1では、複数のディスペンサ60として、ディスペンサ60-1、60-2、・・・60-n(nは、3以上の整数)が例示されているが、ディスペンサ60の数は、1つ、または2つであっても、本発明は成立する。
なお、図1に例示するようなネットワーク環境には、イーサネット(登録商標)等のLAN、あるいは公衆回線や専用回線を介して複数のLANが接続されるWAN等を含み得る。LANの場合には、必要に応じてルータを介した多数のサブネットから構成される。また、WANの場合には、公衆回線に接続するためのファイアウォール等を適宜備えているが、ここではその図示及び詳細説明を省略する。
図2は、トイレの個室の壁に設置されたディスペンサの構成例を示す外形図である。
ディスペンサ60は、このように女性用トイレの各個室の壁に設置される。各ディスペンサ60には、ディスペンサ固有の情報として、ディスペンサ識別情報(以下、「ディスペンサID」と称する)が予め付与され、内蔵する記憶装置(後述する記憶装置90)に記憶されている。
図3は、ディスペンサの内部構造を説明するための概念図である。
ディスペンサ60は、例えばナプキンやタンポン等の生理用品Sを収納部61に収納しており、ユーザUからユーザ情報uを提供されると、ユーザ情報uに基づいて、生理用品Sの排出要求Hを生成して、生理用品提供管理サーバ10へ送信し、生理用品提供管理サーバ10から排出許可(OK)があった場合に、収納部61から生理用品Sを1つ排出する。
ディスペンサ60は、通常時は、図3(a)に示すように、前扉64の鍵65が施錠されており、生理用品Sは、収納部61から排出されると、排出口62に落下する。これによって、ユーザは、排出口62に落下した生理用品Sを入手することができる。なお、収納部61に収納している生理用品Sの盗難を防止するために、ディスペンサ60は、排出口62からディスペンサ60の内部へアクセスできないような盗難防止機構(図示せず)を備えている。
ディスペンサ60のメンテナンスや、生理用品Sの在庫補充の際には、図3(b)に示すように、鍵65を開錠し、図3(c)に示すように、前扉64を開くことによって、在庫補充作業者は、収納部61に生理用品Sを補充することができる。
ディスペンサ60は、前扉64に、例えばデジタルサイネージディスプレイのような表示部63を備えている。また、トイレの個室またはディスペンサ60には、人感センサ(図示せず)が設けられており、人感センサは、ユーザUがトイレの個室に居ることを感知する。このような人感センサによる感知と連動して、表示部63から広告映像(静止画、動画等)などの表示を開始する。
広告映像は、ストリーミング配信されても、ディスペンサ60毎にローカルにインストールされたものであってもよい。表示時間は、ユーザUのトイレ個室への1回の入室毎に2分程度とし、それ以上長く表示しない。これによって、ユーザUが広告映像に見入ってしまい、ついトイレに長居するようなことがないにようにしている。2分の間に効果的に広告を表示するために、例えば、15秒尺程度の1つまたは2つ程度の広告映像を、2分の間に繰り返し表示する。
生理用品提供装置1によってサービスを提供する提供者は、広告スポンサーを募り、表示部63からこのように広告を表示することによって広告収入を得、その収入の一部で生理用品Sを購入し、ディスペンサ60に補充するサイクルを繰り返すことによって、ユーザUに対して生理用品Sを無償で提供するというビジネスモデルを実施することも可能となる。
図4は、ディスペンサの電子回路構成例を示すブロック図である。
ディスペンサ60は、バス71によって互いに接続されたCPU72、複数の在庫センサ67、読取部68、記録媒体読取部74、通信部75、メモリ80、および記憶装置90を備えている。また、前述した表示部63も、バス71に接続されている。
ユーザUは、自分が入ったトイレの個室に設けられたディスペンサ60に対して生理用品Sの提供を要求する場合、以下に示すような様々な方式によって、ディスペンサ60にユーザ情報uを提供する必要がある。
ユーザ情報uは、生理用品提供装置1において、単にユーザを区別するために使用される情報である。したがって、ユーザ情報uは、例えば氏名、住所、携帯電話番号などといった、いわゆる個人情報を必ずしも含む必要はない。これにより、ユーザUは、生理用品提供装置1を、実名を明かすことなく、匿名的に使用することができる。
読取部68は、ユーザUのユーザ情報uを読み取る。ユーザ情報uは、ユーザUの指紋、掌形、網膜、虹彩、顔、静脈パターンなど、ユーザUの生体情報とすることができる。ユーザ情報uはまた、ユーザUが保持しているカードやデバイス等の識別番号とすることもできる。読取部68は、図2および図3に示されるように、ディスペンサ60の前扉64に設けられている。
読取部68は、以下に示すように、様々な方式によって、ユーザ情報uを読み取ることができる。しかしながら、以下に示す方式に限定されず、記載されていない他の方式でユーザ情報uを読み取っても良い。
読取部68は、非接触方式でも接触方式でも、ユーザ情報uを読み取ることができる。
非接触方式での読み取り例として、NFC技術の適用が挙げられる。この場合、読取部68を、NFC対応受信機とし、ユーザUは、NFC対応のカード(例えば、交通系カード、社員証や学生証等の身分証、クレジットカード、キャッシュカード等のICカード)やデバイス(例えば、スマートフォン)を、読取部68にかざす。読取部68は、カードやデバイスから情報(例えば、カードの番号、デバイス番号等)を読み取る。読取部68は、この読み取った情報を、ユーザ情報uとして、メモリ80へ出力する。
また、非接触方式の別の読み取り例として、ビーコンやRFID等の無線技術の適用が挙げられる。ビーコンを使用する場合、読取部68を、ビーコン受信機とし、ユーザUは、ビーコンIDを送信するビーコンデバイスを、読取部68に近づける。読取部68は、ビーコンIDを受信し、この受信したビーコンIDを、ユーザ情報uとして、メモリ80へ出力する。
RFIDを使用する場合、読取部68を、RFIDリーダとし、ユーザUは、RFIDタグを読取部68に近づける。読取部68は、RFIDの識別情報を受信し、この受信した識別情報を、ユーザ情報uとして、メモリ80へ出力する。
非接触方式のさらに別の読み取り例として、QRコード(登録商標)の利用が挙げられる。この場合、読取部68を、QRコードリーダとし、ユーザUは、所定の情報が埋め込まれたQRコードを、読取部68に読み取らせる。そして、読取部68は、QRコードから、所定の情報を取得し、この所定の情報を、ユーザ情報uとして、メモリ80へ出力する。
なお、所定の情報として、例えば、生理用品提供装置1の利用許可情報とすることができる。これによって、例えば何らかのキャンペーンの景品として、生理用品提供装置1の利用券を、QRコードとして頒布することも可能となる。
非接触方式の他の読み取り例として、生体情報認証の利用が挙げられる。この場合、この場合、読取部68を、生体認証装置とする。生体認証装置は、ユーザUの生体情報を認証し、認証した生体情報を、ユーザ情報uとして、メモリ80へ出力する。生体情報としては、例えば前述したように、指紋、掌形、網膜、虹彩、顔、静脈パターンなどが挙げられるが、例えば、生体情報として、顔認証情報を利用する場合、読取部68を、顔認証装置とし、ユーザUは、読取部68に自分の顔を向ける。そして、読取部68が、顔特徴情報を取得し、この顔特徴情報を、ユーザ情報uとして、メモリ80へ出力する。
一方、接触方式の読み取り例としては、磁気カードの利用が挙げられる。この場合、読取部68を、磁気リーダとし、ユーザUは、磁気カードを、読取部68に読み取らせる。そして、読取部68は、磁気カードから、例えばカード番号のような磁気情報を取得し、この磁気情報を、ユーザ情報uとして、メモリ80へ出力する。
接触方式の別の読み取り例として、指紋情報の利用が挙げられる。この場合、読取部68を指紋リーダとし、ユーザUは、読取部68に指を載せる。そして、読取部68は、指紋情報を読み取り、この指紋情報を、ユーザ情報uとして、メモリ80へ出力する。
接触方式のさらに別の読み取り例として、NFC非対応型のICカードの利用が挙げられる。NFC非対応型のICカードの場合、非接触で情報を読み取ることができないので、読取部68を、ICカードリーダとし、ユーザUは、ICカードに記憶された例えばカード番号のようなカード情報を、読取部68に読み取らせる。読取部68は、このカード情報を、ユーザ情報uとして、メモリ80へ出力する。
図4に戻って示すように、メモリ80は、排出要求生成プログラム81、排出機構制御プログラム82、および在庫管理プログラム83を記憶している。これらプログラム81~83は、メモリ80に予め記憶されていてもよいし、あるいはメモリカード等の外部記録媒体73から記録媒体読取部74を介してメモリ80に読み込まれ記憶されたものであってもよい。これらプログラム81~83は、書き換えできないようになっている。
メモリ80は、このようなユーザ書き換え不可能なエリアの他に、書き換え可能なデータを記憶するエリアとして、書込可能データエリア89も確保している。
CPU72は、コンピュータであって、メモリ80に記憶されている各プログラム81~83に従い回路各部の動作を制御する。
通信部75は、例えばインターネットのような通信ネットワーク200を介して、生理用品提供管理サーバ10および補充作業者端末150と通信し、生理用品提供管理サーバ10とデータの授受を行ったり、補充作業者端末150に在庫補充要求を直接、または生理用品提供管理サーバ10を経由して送ることができる。
記憶装置90は、例えばSSD(Solid State Drive)やHDD(Hard Disk Drive)等からなり、ディスペンサID記憶部91、広告映像データ記憶部92、共有鍵記憶部93、在庫情報記憶部94、および収納生理用品製品名記憶部95を記憶している。
ディスペンサID記憶部91は、ディスペンサ60毎に固有に付与される識別情報であるディスペンサIDを記憶している。
広告映像データ記憶部92は、広告映像のためのデータ(以下、「広告映像データ」と称する)を記憶している。前述したように、広告映像は、ストリーミング配信される場合も、ディスペンサ60毎にローカルにインストールされる場合もあり得る。広告映像データ記憶部92は、広告映像データがローカルにインストールされる場合に、広告映像データを記憶するためのエリアである。広告映像データをローカルにインストールする場合、外部記録媒体73に記録された広告映像データが、記録媒体読取部74によって読み取られて、広告映像データ記憶部92に書き込まれ、記憶される。
共有鍵記憶部93は、排出要求生成プログラム81におけるユーザ情報uの暗号化のために使用される共有鍵Kを記憶している。共有鍵Kは、ディスペンサ60固有のものであり、ディスペンサIDに紐付けられている。
在庫情報記憶部94には、収納部61に収納されている生理用品Sの在庫量の情報が記憶されている。在庫量は、在庫管理プログラム83によって管理され、在庫情報記憶部94に記憶されている在庫量の情報は、例えば30秒毎のように定期的に更新される。あるいは、生理用品Sが排出される毎に更新されてもよい。
収納生理用品製品名記憶部95は、収納部61に収納されている生理用品Sの製品名を記憶している。生理用品Sの製品名は、在庫補充作業者が、収納部61に生理用品Sを補充した際に、補充作業者端末150によって、収納生理用品製品名記憶部95に登録され、記憶される。
在庫管理プログラム83によってなされる在庫量管理について説明する。
図5は、ディスペンサの内部構造の詳細を示す正面図である。
この例では、ディスペンサ60の収納部61に4対の在庫センサ67(#1)~(#4)が配置されている。そして、右側の収納部61(#1)内の最頂部付近に一対の在庫センサ67(#1L)、67(#1R)が、収納部61(#1)内の中間高さ付近に一対の在庫センサ67(#2L)、67(#2R)が、左側の収納部61(#2)内の最頂部付近に一対の在庫センサ67(#3L)、67(#3R)が、収納部61(#2)内の中間高さ付近に一対の在庫センサ67(#4L)、67(#4R)が配置されている。
一対の在庫センサ67同士は、各収納部61内において、同じ高さに、対面するように配置されており、一方が発光部、他方が受光部である。例えば、1対の在庫センサ67(#1L)、67(#1R)の場合、一方の在庫センサ67(#1L)が発光部であり、他方の在庫センサ67(#1R)が受光部となる。発光部は、受光部に向けて光を発することができるように、受光部は、発光部からの光を受光できるように調整されている。受光部は、発光部からの光を受光すると、検出信号Fを、例えば30秒毎のように定期的に在庫管理プログラム83へ出力する。
例えば、図5(a)に示す例では、発光部である在庫センサ67(1#L)が発光する光は、受光部である在庫センサ67(1#R)によって受光され、在庫センサ67(1#R)から検出信号F(#1)が出力される。一方、在庫センサ67(#2)の場合、発光部である在庫センサ67(#2L)が発光する光は、生理用品Sによって遮られるために、受光部である在庫センサ67(#2R)によって受光されない。したがって、在庫センサ67(#2R)から検出信号F(#2)は出力されない。同様に、在庫センサ67(#3)、在庫センサ67(#4)の場合も、発光部である在庫センサ67(#3L)、(#4L)が発光する光は、生理用品Sによって遮られるために、受光部である在庫センサ67(#3R)、(#4R)によって受光されない。したがって、在庫センサ67(#3R)、(#4R)から検出信号F(#3)、(#4)は出力されない。
在庫管理プログラム83は、例えば30秒毎のように定期的に検出信号Fを受信し、受信した検出信号Fの組合せ(以下、「受信検出信号組合せ」と称する)に基づいて在庫量を判定し、判定結果を含む在庫量判定結果レコードを、在庫情報記憶部94に蓄積して行く。
図6は、在庫情報記憶部に蓄積された在庫量判定結果レコードの一例を示すデータ構造図である。
図6において1行に相当する各在庫量判定結果レコードRは、レコード番号L1と、時刻情報L2と、受信検出信号組合せL3と、在庫量L4との4つの項目を備えている。
レコード番号L1は、各在庫量判定結果レコードR毎に付与される追番号である。
時刻情報L2は、在庫管理プログラム83が、検出信号Fを受信した時刻(例えば、年月日時秒)とすることができる。あるいは、例えば30秒毎のように予め決めた時刻としても良い。予め決めた時刻とした場合、検出信号Fが送信されなかったときに、送信エラーではなく、センサ67から検出信号Fが出力されなかったと把握することができる。
在庫量L4は、受信検出信号組合せL3に応じて、在庫管理プログラム83によって判定され、書き込まれる。例えば、受信検出信号組合せL3がなければ、在庫管理プログラム83は、在庫量が100%であると判定し、判定結果である「100%」を、在庫量L4に書き込む。また、受信検出信号組合せL3が、検出信号F(#1)のみであれば、在庫管理プログラム83は、在庫量が75%以上であると判定し、判定結果である「75%以上」を、在庫量L4に書き込むという具合である。
在庫管理プログラム83は、このようにして、時刻情報L2と、受信検出信号組合せL3と、在庫量L4との組合せに、レコード番号L1を追番(R1、R2、R3、・・・・)で付与して1つの在庫量判定結果レコードRを生成し、在庫情報記憶部94に書き込む。
このようにして、例えば30秒毎のように定期的に、最新の在庫量判定結果レコードRが、在庫情報記憶部94に書き込まれ、蓄積される。したがって、在庫管理プログラム83は、在庫情報記憶部94に蓄積された最新の在庫量判定結果レコードRを参照することによって、最新の在庫量L4を把握することが可能となる。
また、在庫管理プログラム83は、在庫情報記憶部94に蓄積された最新の在庫量判定結果レコードRに書き込まれた在庫量L4の情報を、表示部63へ出力し、表示部63から在庫量L4を表示させることもできる。
この表示を見て、ユーザUは、ディスペンサ60における生理用品Sの在庫の状況を確認できるので、万が一、在庫がない、あるいは少ない場合には、別の個室に移るなどの対応を取ることができるようになる。
さらに、最新の在庫量判定結果レコードRに書き込まれた在庫量L4が、所定量以下(例えば、25%以下)となった場合、在庫管理プログラム83は、在庫補充要求信号Zを生成し、在庫補充要求信号ZにディスペンサIDを付加して、通信部75へ出力し、通信部75は、在庫補充要求信号ZおよびディスペンサIDを、通信ネットワーク200を介して、補充作業者が携帯する補充作業者端末150へ直接、または、生理用品提供管理サーバ10を経由して送信する。
この在庫補充要求信号ZおよびディスペンサIDが、補充作業者端末150によって受信されることによって、補充作業者は、ディスペンサIDから、在庫補充が必要なディスペンサ60を特定し、そのディスペンサ60へ、在庫補充のために迅速に赴くことができる。
在庫管理プログラム83は、収納生理用品製品名記憶部95に記憶されている生理用品Sの製品名や在庫量L4を、表示部63から出力させ、ユーザに通知することができる。
さらに、通信部75にNFC機能を持たせ、またユーザが、NFC機能が搭載されたスマートフォンを携帯している場合、以下のようにして、生理用品Sの製品名や在庫量L4を、ユーザのスマートフォンから表示させることによって、ユーザに通知することもできる。
この場合、在庫管理プログラム83は、在庫情報記憶部94に蓄積された最新の在庫量判定結果レコードRに書き込まれた在庫量L4の情報と、収納生理用品製品名記憶部95に記憶されている生理用品Sの製品名を示す情報とを、通信部75へ出力し、通信部75がNFC機能を使って、NFC機能が搭載されたスマートフォンへ、在庫量L4と、生理用品Sの製品名を示す情報とを送信することによって、在庫量L4と製品名とを、ユーザのスマートフォンから表示させる。
排出要求生成プログラム81は、読取部68からメモリ80へユーザ情報uが出力されると、在庫情報記憶部94に蓄積された最新の在庫量判定結果レコードRの在庫量L4を参照し、在庫がある場合、ユーザ情報uと、ユーザ情報uが出力された時刻情報Nとを含む、生理用品Sの排出要求Hを生成する。一方、在庫がない場合、在庫がないので生理用品Sを提供できない旨のメッセージを、表示部63から表示させ、排出要求Hを生成しない。
排出要求生成プログラム81は、排出要求Hを生成すると、共有鍵記憶部93に記憶されている共有鍵Kを用いて、排出要求Hを暗号化して、さらに、ディスペンサID記憶部91に記憶されているディスペンサIDを付加して、通信部75へ出力する。
通信部75は、このようにディスペンサIDが付加された、暗号化された排出要求Hを、生理用品提供管理サーバ10へ送信する。このように、ユーザ情報uは、暗号化された安全な状態で生理用品提供管理サーバ10へ送信される。
次に、生理用品提供管理サーバ10の構成について説明する。
図7は、本発明の第1の実施形態に係る生理用品提供装置における生理用品提供管理サーバの電子回路構成例を示すブロック図である。
生理用品提供管理サーバ10は、各ディスペンサ60からユーザUへの生理用品Sの提供を管理する装置であって、その電子回路は、バス11によって互いに接続されたCPU12、記録媒体読取部14、通信部15、メモリ20、および記憶装置30を備えている。
通信部15は、通信ネットワーク200を介して、各ディスペンサ60から送信された排出要求HおよびディスペンサIDを受信する。通信部15は、これら情報を受信すると、メモリ20へ出力する。
メモリ20は、判定プログラム21およびユーザ情報管理プログラム22を記憶している。これらプログラム21~22は、メモリ20に予め記憶されていてもよいし、あるいはメモリカード等の外部記録媒体13から記録媒体読取部14を介してメモリ20に読み込まれ記憶されたものであってもよい。これらプログラム21~22は、書き換えできないようになっている。
メモリ20は、このようなユーザ書き換え不可能なエリアの他に、書き換え可能なデータを記憶するエリアとして、書込可能データエリア29も確保している。
CPU12は、コンピュータであって、メモリ20に記憶されているプログラム21~22に従い回路各部の動作を制御する。
記憶装置30は、例えばSSD(Solid State Drive)やHDD(Hard Disk Drive)等からなり、ユーザ提供履歴データベース32、判定条件データベース33、ディスペンサ設置場所データベース34、ユーザ情報データベース35、共有鍵データベース36、および判定結果記録データベース37を記憶している。
ディスペンサ設置場所データベース34は、各ディスペンサ60の設置場所を記憶している。
図8は、ユーザ情報データベースの一例を示すデータ構造図である。
ユーザ情報データベース35は、図8に例示するように、ユーザ情報uを、ユーザ情報u毎に付与されたユーザIDに関連付けて記憶しているデータベースである。ユーザ情報u毎に固有のユーザIDは、後述するように、ユーザ情報管理プログラム22によって付与される。
図9は、ユーザ提供履歴データベースの一例を示すデータ構造図である。
ユーザ提供履歴データベース32は、図9に例示するように、ユーザID毎に、過去に生理用品Sの提供がなされた時刻情報Nを記憶している。
判定条件データベース33は、ユーザUへの生理用品Sの提供の可否を判定するための判定条件が記憶されたデータベースである。判定条件としては、限定される訳ではないが、例えば、生理用品Sの提供がなされた直近の時刻から、所定時間(例えば、2時間以上)を経過していることとすることができる。この判定条件は、判定プログラム21によって使用される。
共有鍵データベース36は、各ディスペンサ60の共有鍵記憶部93に記憶された共有鍵Kを、対応するディスペンサIDと紐付けて記憶している。
図10は、判定結果記録データベースの一例を示すデータ構造図である。
判定結果記録データベース37は、図10に例示するように、判定プログラム21によってなされた判定結果を、時刻情報N、ユーザID、ディスペンサIDに関連付けて時系列的に蓄積するデータベースである。
判定プログラム21は、通信部15から排出要求HおよびディスペンサIDが出力されると、ディスペンサIDに紐付けられて記憶されている共有鍵Kを、共有鍵データベース36から取得し、この共有鍵Kを用いて排出要求Hを復号し、ユーザ情報uと、ユーザ情報uが生成された日時情報Nとを把握する。
判定プログラム21はさらに、ユーザ情報データベース35を参照して、ユーザ情報uに対応するユーザIDを把握する。
なお、ユーザUが、初めてユーザ情報uを送信した場合には、ユーザ情報データベース35に、ユーザIDは登録されていない。この場合、ユーザ情報管理プログラム22は、ユーザ情報uに対して固有のユーザIDを付与し、ユーザ情報uを、付与されたユーザIDに関連付けて、ユーザ情報データベース35に記憶させる。
このようにして、判定プログラム21は、ユーザ情報データベース35を参照して、ユーザ情報uに対応するユーザIDを把握する。
次に、判定プログラム21は、判定結果記録データベース37を参照して、このユーザIDのユーザUに、直近に生理用品Sが提供された(すなわち、直近に排出許可(OK)が発行された)時刻情報Nを把握する。
さらに、判定プログラム21は、直近に生理用品Sが提供された時刻情報Nから、判定条件データベース33に記憶されている判定条件を満たしている(例えば、生理用品Sが提供された直近の時刻から2時間以上経過している)か否かを判定する。
判定プログラム21は、判定条件を満たしていると判定すると、判定結果Cとして、排出許可(OK)を出力し、判定条件を満たしていないと判定すると、判定結果Cとして、排出不許可(NG)を出力する。そして、判定結果Cを、判定結果記録データベース37に蓄積させるとともに、ディスペンサIDとともに通信部15へ出力する。
通信部15は、判定プログラム21による判定結果Cを、ディスペンサIDに対応するディスペンサ60へ送信する。
ディスペンサ60では、生理用品提供管理サーバ10から送信された判定結果Cを、通信部75が受信する。そして、通信部75は、受信した判定結果Cを、メモリ80へ出力する。
このように通信部75からメモリ80へ判定結果が出力されると、排出許可(OK)である場合、排出機構制御プログラム82は、収納部61に収納されている生理用品Sを1つ排出させる排出指示Iを、収納部61の排出機構に出力する。そして、排出指示Iに応じて、排出機構が動作する。
なお、排出機構については特に図示していないが、収納部61において生理用品Sの落下を阻止する複数の爪(第1の爪、第2の爪)によって実現することができる。通常時には、第1の爪によって、収納部61内の最下層にある生理用品Sの下側を支え、第2の爪によって、下から2層目にある生理用品Sの下側を支えており、排出機構制御プログラム82から排出指示Iが出力された場合には、第1の爪による支えのみを解除することによって、収納部61から排出口62へと1つの生理用品Sを排出させる。
このようにして、排出機構は、収納部61に収納されている生理用品Sを1つ排出させる動作を行う。これによって、生理用品Sは、収納部61から排出され、排出口62に落下するので、ユーザUは、生理用品Sを受け取ることができる。
一方、生理用品提供管理サーバ10からの判定結果が、排出許可(OK)ではなく、排出不許可(NG)を示す場合、排出機構制御プログラム82は、排出指示Iを出力しない。したがって、排出機構は動作せず、収納部61から生理用品Sが排出されることはない。
生理用品提供管理サーバ10からの判定結果が、排出不許可(NG)を示す場合はまた、排出機構制御プログラム82は、表示部63から、生理用品Sを排出できないことを示すメッセージを表示させる。このメッセージによって、生理用品Sを排出できないことをユーザUに伝えることができる。
次に、以上のように構成した第1の実施形態に係る生理用品提供装置の動作例について説明する。
まず、第1の実施形態に係る生理用品提供装置の生理用品排出時の動作例について説明する。
図11Aから図11Bは、第1の実施形態に係る生理用品提供装置の生理用品排出時の動作例を説明するフローチャートである。
ユーザUは、ディスペンサ60から生理用品Sの提供を受けたい場合、トイレの個室に入る。トイレの個室の壁には、図2に例示されるように、ディスペンサ60が設置されている。ディスペンサ60の表示部63からは、生理用品Sの在庫量L4が表示されている。ユーザUは、ディスペンサ60に生理用品Sの在庫が有ることを確認すると、以下に示すような様々な方式によって、ディスペンサ60にユーザ情報uを提供する(S1)。
これは読取部68によってユーザ情報uが読み取られることによって実現される。読取部68による読み取りは、非接触方式あるいは接触方式の何れによっても実施することができる。
例えば、非接触方式の場合、NFC技術を適用できる。この場合、読取部68は、NFC対応受信機とされ、ユーザUは、NFC対応のカード(例えば、交通系カード、社員証や学生証等の身分証、クレジットカード、キャッシュカード等のICカード)やデバイス(例えば、スマートフォン)を、読取部68にかざす。これにより、カードやデバイスの情報(例えば、カードの番号、デバイス番号等)が、読取部68によって読み取られ、読み取られた情報が、ユーザ情報uとして、メモリ80へ出力される。
また、非接触方式の別の読み取り例として、ビーコンやRFID等の無線技術を適用できる。ビーコンを使用する場合、読取部68は、ビーコン受信機とされ、ユーザUは、ビーコンIDを送信するビーコンデバイスを、読取部68に近づける。これにより、ビーコンIDが、読取部68によって受信され、この受信されたビーコンIDが、ユーザ情報uとして、メモリ80へ出力される。
一方、RFIDを使用する場合、読取部68は、RFIDリーダとされ、ユーザUは、RFIDタグを読取部68に近づける。これにより、RFIDの識別情報が、読取部68によって受信され、この受信された識別情報が、ユーザ情報uとして、メモリ80へ出力される。
非接触方式のさらに別の読み取り例として、QRコードを利用できる。この場合、読取部68は、QRコードリーダとされ、ユーザUは、所定の情報が埋め込まれたQRコードを、読取部68に読み取らせる。これにより、QRコードから、読取部68によって、所定の情報が取得され、取得された所定の情報が、ユーザ情報uとして、メモリ80へ出力される。
非接触方式の他の読み取り例として、指紋、掌形、網膜、虹彩、顔、静脈パターン等を認証に用いる生体認証技術を利用できる。例えば、顔認証技術を利用する場合、読取部68は、顔認証装置とされ、ユーザUは、読取部68に自分の顔を向ける。これにより、読取部68によって、顔特徴情報が取得され、この顔特徴情報が、ユーザ情報uとして、メモリ80へ出力される。
一方、接触方式の読み取り例として、磁気カードを利用できる。この場合、読取部68は、磁気リーダとされ、ユーザUは、磁気カードを、読取部68に読み取らせる。これにより、読取部68によって、磁気カードから、例えばカード番号のような磁気情報が取得され、この磁気情報が、ユーザ情報uとして、メモリ80へ出力される。
接触方式の別の読み取り例として、指紋情報を利用できる。この場合、読取部68は、指紋リーダとされ、ユーザUは、読取部68に指を載せる。これにより、読取部68によって、指紋情報が読み取られ、この指紋情報が、ユーザ情報uとして、メモリ80へ出力される。
接触方式のさらに別の読み取り例として、NFC技術に対応していないNFC非対応型のICカードを利用できる。この場合、読取部68は、ICカードリーダとされ、ユーザUは、ICカードに記憶された例えばカード番号のようなカード情報を、読取部68に読み取らせる。これにより、読取部68によって、カード情報が読み取られ、読み取られたカード情報が、ユーザ情報uとして、メモリ80へ出力される。
このようにしてメモリ80へユーザ情報uが出力されると、在庫情報記憶部94に蓄積された最新の在庫量判定結果レコードRの在庫量L4が、排出要求生成プログラム81によって参照され、在庫が有ることが確認される(S2:Yes)と、排出要求生成プログラム81によってさらに、ユーザ情報uと、ユーザ情報uが出力された時刻情報Nとを含む、生理用品Sの排出要求Hが生成される(S3)。
排出要求Hはその後、排出要求生成プログラム81によって、共有鍵記憶部93に記憶されている共有鍵Kを用いて暗号化され、さらに、ディスペンサID記憶部91に記憶されているディスペンサIDを付加されて、通信部75へ出力される。
このようにディスペンサIDが付加された、暗号化された排出要求Hは、通信部75から、通信ネットワーク200を介して、生理用品提供管理サーバ10へ送信される(S4)。ユーザ情報uは、暗号化されているので、生理用品提供管理サーバ10に安全に送信される。
通信部75から送信されたディスペンサIDおよび暗号化された排出要求Hは、生理用品提供管理サーバ10の通信部15によって受信され、通信部15からメモリ20へ出力される(S5)。
ディスペンサIDおよび暗号化された排出要求Hがメモリ20へ出力されたことに応じて、判定プログラム21では、ディスペンサIDに紐付けられて記憶されている共有鍵Kが、共有鍵データベース36から取得され、この共有鍵Kを用いて排出要求Hが復号される(S6)。
これによって、判定プログラム21によって、ユーザ情報uと、ユーザ情報uが生成された時刻情報とが把握され、さらに、ユーザ情報データベース35が参照される。ユーザ情報データベース35には、過去に生理用品提供装置1を利用したユーザUであれば、ユーザ情報uと、ユーザ情報uに付与されたユーザIDとが登録されているので、判定プログラム21は、ユーザ情報データベース35を参照することによって、ユーザ情報uに対応するユーザIDを認識することができる(S7)。
一方、このユーザUが、生理用品提供装置1を始めて利用したユーザである場合、ユーザ情報管理プログラム22によって、ユーザ情報uに対してユーザIDが付与され、ユーザ情報データベース35に登録される。
次に、判定プログラム21によって、判定結果記録データベース37が参照され、このユーザIDのユーザUに、直近に生理用品Sが提供された(すなわち、直近に排出許可(OK)が発行された)時刻情報Nが把握される(S8)。
さらに、判定プログラム21によって、直近に生理用品Sが提供された時刻情報Nから、判定条件データベース33に記憶されている判定条件を満たしている(例えば、生理用品Sが提供された直近の時刻から2時間以上経過している)か否かが判定される(S9)。
そして、判定プログラム21によって、判定条件を満たしていると判定される(S9:Yes)と、判定結果Cとして、排出許可(OK)が出力され(S11)、判定条件を満たしていないと判定される(S9:No)と、判定結果として、排出不許可(NG)が出力される(S10)。これら判定結果Cは、判定結果記録データベース37に蓄積されるとともに、ディスペンサIDとともに通信部15へ出力される。
このように、通信部15へと、判定結果CおよびディスペンサIDが出力されると、通信部15から、ディスペンサIDに対応するディスペンサ60へ、判定結果Cが送信される(S12)。
ディスペンサ60では、送信された判定結果Cが、通信部75によって受信され、さらに、通信部75からメモリ80へ出力される(S13)。
メモリ80へ出力された判定結果Cが排出許可(OK)である場合(S14:Yes)、排出機構制御プログラム82によって、生理用品Sを1つ排出させる排出指示Iが、収納部61の排出機構に送られ、この排出指示Iに応じて、排出機構が動作する(S16)。
排出機構が動作することによって、収納部61に収納されている生理用品Sが1つ排出され、排出口62に落下するので、ユーザUは、生理用品Sを受け取ることができる(S17)。
一方、メモリ80へ出力された判定結果Cが、排出不許可(NG)である場合(S14:No)、排出機構制御プログラム82から、排出指示Iは出力されない。したがって、排出機構は動作せず、収納部61から生理用品Sが排出されることはない(S15)。またこのとき、生理用品Sを排出できないとのメッセージが表示部63から出力され、ユーザUへ伝えられる。
一方、在庫がない場合(S2:No)、在庫がないので生理用品Sを提供できない旨のメッセージが、表示部63から表示されるとともに、排出要求Hは生成されないので、収納部61から生理用品Sは排出されない(S15)。この場合、ユーザUは、トイレの別の個室に移って、そこから、前述したステップS1の動作を行うことができる。
次に、第1の実施形態に係る生理用品提供装置の在庫管理時の動作例について説明する。
図12は、第1の実施形態に係る生理用品提供装置の在庫管理時の動作例を説明するフローチャートである。
ディスペンサ60の収納部61には、図5に例示するように、例えば4対の在庫センサ67(#1)~(#4)が配置されており、これら在庫センサ67(#1)~(#4)からは、例えば30秒毎のように定期的に、検出信号Fが、在庫管理プログラム83へ出力される(S51)。
在庫管理プログラム83では、このように定期的に出力される検出信号Fを受信し、受信した検出信号Fの組合せである受信検出信号組合せL3に基づいて在庫量L4が判定され、判定結果を含む在庫量判定結果レコードRが、在庫情報記憶部94に蓄積される(S52)。
最新の在庫量判定結果レコードRに書き込まれた在庫量L4が、所定量以下(例えば、25%以下)となった場合(S53:Yes)、在庫管理プログラム83によって、在庫補充要求信号Zが生成され、ディスペンサIDを付加して、通信部75へ出力される。そして、通信部75から、在庫補充要求信号ZおよびディスペンサIDが、通信ネットワーク200を介して直接、または、生理用品提供管理サーバを経由して、補充作業者端末150へ送信される(S54)。
この在庫補充要求信号ZおよびディスペンサIDが、補充作業者端末150によって受信されることによって、補充作業者は、在庫補充が必要なディスペンサ60を認識し、迅速にそのディスペンサ60へ赴き、在庫補充をすることができる(S55)。
上述したように、本発明の実施形態に係る生理用品提供装置によれば、上記のような作用により、ユーザUは、ディスペンサ60へ、ユーザ情報uを提供することによって、ディスペンサ60を匿名的に使用して、生理用品Sの提供を受けることが可能になる。
しかも、ユーザ情報uの提供の仕方は、スマートフォンを使用せずに、様々な手法で実現できるので、例えば、トイレにスマートフォンを持ち込むことができない学生が、学生証を使って行ったり、あるいは、カード類を携帯していない場合であっても、指紋認証や顔認証で行ったりすることも可能であるなど、ユーザの利用可能性を可能な限り高めるための様々な工夫が講じられている。
また、ディスペンサ60の収納されている生理用品Sの在庫量L4は、例えば30秒毎のように定期的に把握され、表示部63から表示することもできるので、ユーザUは、利用前に在庫の状況を確認することができる。また、ディスペンサ60は、在庫量L4が所定量以下となった場合には、直ちに補充作業者端末150へ通知し、補充作業者に対して迅速な在庫補充を依頼することができるので、在庫切れによってユーザが不便を感じることを極力減らすことができる。
また、広告スポンサーを募り、表示部63から広告を表示することによって広告収入を得、その収入の一部で生理用品Sを購入し、ディスペンサ60に収納することによって、ユーザUに対して生理用品Sを無償で提供することも可能となるので、女性に対する優れた福利厚生サービスを継続的に実施することができる。
さらには、生理用品Sがディスペンサ60から排出されるということも、女性に対して大きな安心感を与えることができるので、重要なメリットである。例えば、女性用トイレの洗面台のわきに置かれた籠に生理用品を入れて、ユーザに自由に生理用品を提供している飲食店やホテルもある。このような場合、希望者は籠から生理用品を自由に取り出し、使用することが可能である。しかしながら、単に籠の中におかれているだけの生理用品は、それまでに、誰が触ったのかも分からない。特に現在のようなコロナ禍においては、誰が触ったか分からないものに触れること自体非常に不安であるために、使用を躊躇する人もいる。
しかしながら、本発明の実施形態に係る生理用品提供装置では、生理用品Sはディスペンサ60の中に収納されており、使用するときに1つずつ排出されるので、生理用品Sは、不特定多数の人によって触られることはない。したがって、ユーザUは、前述したような不安を感じることなく、生理用品Sを安心して使用することができる。
このように、本発明の実施形態に係る生理用品提供装置は、ユーザUに対して利便性のみならず、安心感も提供することができる。
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態について説明する。なお、第1の実施形態と同一部分については、同一符号を用いて示し、重複説明を避ける。
図13は、本発明の第2の実施形態に係る生理用品提供装置を実現するネットワーク環境の一例を示す構成図である。
図14は、第2の実施形態におけるディスペンサの電子回路構成例を示すブロック図である。
第1の実施形態に係る生理用品提供装置1では、ディスペンサ60が、ユーザ情報uに基づいて排出要求Hを生成し、生理用品提供管理サーバ10へ送信する構成を説明したが、第2の実施形態に係る生理用品提供装置1Aでは、ディスペンサ60Aではなく、専用サイト100が、ユーザUによって操作されるユーザ端末110からユーザ情報uを受け取り、ユーザ情報uに基づいて排出要求Hを生成し、生理用品提供管理サーバ10へ送信する。
これを実現するために、専用サイト100は、ディスペンサ60が備えている排出要求生成プログラム81を備えている。また、ディスペンサ60Aは、排出要求生成プログラム81の代わりに、QRコード生成プログラム84を備えている。
QR生成プログラム84は、ユーザUが、ユーザ端末110から専用サイト100にアクセスできるように、ディスペンサIDや、専用サイト100へのアクセス情報が含まれたQRコードを生成し、表示部63から表示する。
このQRコードは、ワンタイムパスワードのように、時間とともに情報が変動する動的なQRコード(以下、「動的QRコード」と称する)である。なお、動的QRコードの生成方法は、公知であるので、ここでは、詳細説明を省略する。
ユーザUは、自分のユーザ端末110から、動的QRコードにしたがって専用サイト100へアクセスし、ユーザ情報uを入力する。これに応じて専用サイト100は、排出要求生成プログラム81によって、ユーザ情報uに基づいて排出要求Hを生成し、例えばインターネット等の通信ネットワーク200を介して生理用品提供管理サーバ10へ送信する。生理用品提供管理サーバ10は、排出要求Hに対して、前述したように、排出の可否を判定する。なお、専用サイト100は、生理用品提供管理サーバ10に設けることもできる。
このように、本実施形態によれば、ユーザ情報uの収集および排出要求Hの生成は、ディスペンサ60Aでは行わず、専用サイト100において行われるので、ディスペンサ60は、排出要求生成プログラム81を備えておらず、ユーザ情報uの収集および排出要求Hの生成に関する処理を行わないので、処理負荷を低減することができる。
なお、QRコード生成部84が、情報が固定された静的QRコードを生成することによって、専用サイト100へのアクセスを、動的QRコードを使って実現する代わりに、静的QRコードを使って実現することも可能である。しかしながら、以下に説明する理由により、静的QRコードを使うことは避けた方がよい。
例えば、静的QRコードをユーザUへ提供する場合、図2に例示するように、QRコード69が印刷されたシールを、ディスペンサ60の筐体に貼付することによってなされる。あるいは、表示部63から静的QRコードを表示することによっても提供できる。
ユーザUは、静的QRコードを撮影すれば、いつでも、どこでも、この静的QRコードを使って専用サイト100にアクセスできてしまう。したがって、トイレの個室ではない別の場所から、いつでも、専用サイト100にアクセスし、ユーザ情報uを入力することができる。すると、専用サイト100は、ユーザ情報uに基づいて排出要求Hを生成し、生理用品提供管理サーバ10へ送信してしまうので、仮にこの排出要求Hに対して、生理用品提供管理サーバ10が排出可能と判定すると、無人のトイレの個室、あるいは、他人が使用中の個室に設置されたディスペンサ60から、生理用品Sが排出されるということも起こり得る。このようなことを避けるために、静的QRコードよりも動的QRコードの方が好ましい。
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。
図15は、本発明の第3の実施形態に係る生理用品提供装置における生理用品提供管理サーバの電子回路構成例を示すブロック図である。
第1の実施形態では、在庫管理プログラム83が、最新の在庫量判定結果レコードRを、在庫情報記憶部94に蓄積して行くことによって、ディスペンサ60において生理用品Sの在庫管理をする例について説明したが、第3の実施形態では、生理用品提供管理サーバ10Aにおいて、複数のディスペンサ60の在庫管理を一括して行う。
これを実現するために、第3の実施形態における生理用品提供管理サーバ10Aは、メモリ20においてさらに在庫管理プログラム23を記憶している点と、記憶装置30においてさらに在庫情報記憶部31を有している点とが、第1の実施形態における生理用品提供管理サーバ10とは異なる。また、本実施形態におけるディスペンサ60は、第1の実施形態におけるディスペンサ60から、在庫情報記憶部94を省略できる。したがって、以下の説明では、第1の実施形態で説明したものと同一の構成要素については、同一付番を付して示すことによって、説明を省略し、第1の実施形態と異なる点について説明する。
なお、在庫管理プログラム23も、プログラム21~22と同様に、書き換えできないようになっている。
本実施形態では、ディスペンサ60の在庫管理プログラム83は、最新の在庫量判定結果レコードRを作成すると、ディスペンサID記憶部91に記憶されたディスペンサIDを取得し、取得したディスペンサIDとともに、通信部75へ出力する。通信部75は、ディスペンサIDおよび在庫量判定結果レコードRを、通信ネットワーク200を介して生理用品提供管理サーバ10Aへ送信する。
通信部15は、ディスペンサ60の通信部75から送信された、ディスペンサIDおよび在庫量判定結果レコードRを受信し、メモリ20へ出力する。
在庫管理プログラム23は、通信部15からメモリ20へ出力された在庫量判定結果レコードRを、通信部15からメモリ20へ出力されたディスペンサIDに関連付けて、ディスペンサID毎に、図6と同様に、在庫情報記憶部31に蓄積して行く。これによって、在庫情報記憶部31には、例えば、30秒毎のように定期的に、ディスペンサ60毎の最新の在庫量L4が蓄積されて行くので、生理用品提供管理サーバ10Aは、各ディスペンサ60における生理用品Sの在庫管理を一元的に行うことが可能となる。
在庫管理プログラム23は、在庫情報記憶部31を参照し、在庫量が所定量以下(例えば、25%以下)になったすべてのディスペンサ60のディスペンサIDを、在庫補充要求信号Zとともに通信部15に出力する。すなわち、在庫量が所定量以下になったディスペンサ60が複数あった場合には、複数のディスペンサIDを、在庫補充要求信号Zとともに通信部15に出力する。
通信部15は、在庫管理プログラム23から出力された在庫補充要求信号ZおよびディスペンサIDを、補充作業者端末150へ送信する。
この在庫補充要求信号ZおよびディスペンサIDが、補充作業者端末150によって受信されることによって、補充作業者は、在庫補充が必要なすべてのディスペンサ60を認識することができる。
したがって、補充作業者は、1回の出動で、複数のディスペンサ60を対象とした補充作業をまとめて行うことが可能となるので、在庫補充作業の効率を高めることができる。
このように、第3の実施形態では、生理用品提供管理サーバ10において、複数のディスペンサ60における生理用品Sの在庫管理を一括して行うことによって、第1の実施形態で奏される作用効果に加えて、在庫補充作業効率の向上を図ることができる。
なお、本願発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で種々に変形することが可能である。また、各実施形態は可能な限り適宜組み合わせて実施してもよく、その場合組み合わせた効果が得られる。更に、上記実施形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適当な組み合わせにより種々の発明が抽出され得る。
請求項6の発明は、前記判定結果が、前記排出許可を示さないのであれば、前記表示部から、前記生理用品を排出できないことを示すメッセージを表示する、請求項5に記載のディスペンサである。
すなわち、請求項1の発明は、生理用品をユーザに提供するためのディスペンサであって、前記生理用品を収納する収納部と、専用サイトへのアクセス情報と前記ディスペンサの識別情報とを含む動的QRコード(登録商標)を生成するQRコード生成部と、前記動的QRコードにしたがってアクセスされた前記専用サイトにおいて、前記ユーザによって入力されたユーザ情報に基づいて生成された、前記収納部に収納されている生理用品の排出要求に対する判定結果を受信する通信部と、前記判定結果が、排出許可を示す場合、前記収納部に収納されている生理用品を排出させる排出機構とを備え、前記判定結果は、前記識別情報に基づいて送信される。
請求項7の発明は、請求項1に記載のディスペンサと、前記専用サイトと、管理サーバとを備えた生理用品提供装置であって、前記専用サイトは、前記排出要求を生成する排出要求生成部を備え、前記管理サーバは、前記排出要求に基づいて、前記ユーザへの前記生理用品の排出可否を判定し、前記判定結果を、前記識別情報に基づいて、前記ディスペンサへ送信する、生理用品提供装置である。
請求項8の発明は、生理用品をユーザに提供するためにトイレの個室に設置されたディスペンサに適用されるプログラムであって、専用サイトへのアクセス情報と前記ディスペンサの識別情報とを含む動的QRコードを生成する機能、前記動的QRコードにしたがってアクセスされた前記専用サイトにおいて、前記ユーザによって入力されたユーザ情報に基づいて生成された、前記ディスペンサの収納部に収納されている生理用品の排出要求に対する判定結果であって、前記識別情報に基づいて送信された前記判定結果を受信する機能、前記判定結果が、排出許可を示す場合、前記収納部に収納されている生理用品を排出するように前記収納部に指示する機能をプロセッサに実現させるためのプログラムである。