JP2023128058A - マイクロ波プラズマ発生装置、マイクロ波プラズマ処理装置、及びマイクロ波プラズマ処理方法 - Google Patents

マイクロ波プラズマ発生装置、マイクロ波プラズマ処理装置、及びマイクロ波プラズマ処理方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 誘電体からなる筒状の容器の外周に設けた伝搬領域にマイクロ波を導入し、筒状の容器内部にプラズマを発生させるマイクロ波プラズマ発生装置において、筒状の容器内部の放電空間内へ伝達されるマイクロ波の量を増加させ、マイクロ波のエネルギー利用効率を向上させたマイクロ波プラズマ発生装置、及びそのマイクロ波プラズマ発生装置を用いたマイクロ波プラズマ処理装置を提供する。【解決手段】 誘電体からなる筒状の容器と、前記筒状の容器の外側に、前記筒状の容器を覆うように配置された筒状のチャンバーと、前記筒状の容器内にガスを供給するガス供給口と、前記筒状のチャンバーの側方に設けられたマイクロ波導入口とを備え、前記筒状の容器の内面に沿ってプラズマを発生させるためのマイクロ波プラズマ発生装置あって、前記筒状の容器と前記筒状のチャンバーとの間に誘電体材料が満たされていることを特徴とする。【選択図】図1(a)

Description

本発明は、マイクロ波を用いてプラズマを発生させるマイクロ波プラズマ発生装置、それを用いたマイクロ波プラズマ処理装置、及び前記マイクロ波プラズマ処理装置を用いてマイクロ波プラズマ処理を行う方法に関する。
半導体製造プロセスにおいて、半導体基板のエッチング処理、成膜処理等にプラズマ処理が多用されている。このようなプラズマ処理を行うプラズマ処理装置としては、高密度で低電子温度のプラズマを均一に形成することができるマイクロ波プラズマ処理装置が注目されている。
マイクロ波プラズマ処理装置は、波長が数100MHz~数10GHzのマイクロ波によりプラズマを励起するマイクロ波励起型のプラズマ源を有し、高周波プラズマ源などに比べてプラズマ電位が低いので、ダメージ無しのレジスト・アッシング(resist ashing)や、バイアス電圧を印加した異方性エッチングなどに広く用いられている。
特許文献1(特開2003-38951号)は、真空チャンバーと、マイクロ波を導波する導波管と、前記導波管によって導波されたマイクロ波を前記真空チャンバー内に導入する誘電体からなる円筒状のマイクロ波導入部と、前記マイクロ波導入部に取り囲まれた放電空間とを備え、前記導波管は、前記円筒状のマイクロ波導入部の周囲を取り囲むように設けられ、前記マイクロ波導入部を介して前記放電空間に導入されたマイクロ波によって、放電空間内に供給された反応性ガスのプラズマを生成可能なプラズマ発生装置を開示している。
しかしながら、特許文献1に記載の構成のプラズマ発生装置の場合、マイクロ波の導波管と、放電空間内のプラズマ発生領域との間に配置されている誘電体からなる円筒状のマイクロ波導入部により、放電空間内へのマイクロ波の伝達が小さくなるといった問題があり、マイクロ波のエネルギーをさらに効率よく利用できるような構成が望まれている。
特許文献2(特開2008-177131号)は、マイクロ波を導入する導入導波管と、減圧された空間と大気圧空間とを仕切る誘電体(放電管)と、前記誘電体の誘電率よりも低い誘電率を有するプラズマ拡張部材とを備え、前記誘電体に前記大気圧空間の側からマイクロ波を導入して、前記減圧された空間の側にプラズマを発生させるプラズマ発生装置を開示している。特許文献2は、このように、放電管より誘電率の低い部材(プラズマ拡張部材)を設けることにより、マイクロ波の伝播範囲を拡げることができ、プラズマの発生範囲も拡張できるので、プラズマの集中的な発生を抑制することができると記載している。
しかしながら、特許文献2に記載のプラズマ発生装置は、プラズマ拡張部材と導入導波管との間に通路幅W[マイクロ波の半波長(λ/2)よりも大きく1波長(λ)よりも小さな値]のマイクロ波通路が設けられており、プラズマ拡張部材の内周面と放電管の外周面との間に隙間が設けられているため、このマイクロ波通路(空気)からプラズマ拡張部材へのマイクロ波の伝達、及び前記隙間から放電管へのマイクロ波の伝達が小さくなるといった問題が生じるため、エネルギー効率という点では改良の余地がある。
特開2003-38951号公報 特開2008-177131号公報
従って、本発明の目的は、誘電体からなる筒状の容器の外周に設けた伝搬領域にマイクロ波を導入し、筒状の容器内部にプラズマを発生させるマイクロ波プラズマ発生装置において、筒状の容器内部の放電空間内へ伝達されるマイクロ波の量を増加させ、マイクロ波のエネルギー利用効率を向上させたマイクロ波プラズマ発生装置、そのマイクロ波プラズマ発生装置を用いたマイクロ波プラズマ処理装置、及び前記マイクロ波プラズマ処理装置を用いてマイクロ波プラズマ処理を行う方法を提供することである。
上記目的に鑑み、本発明者らは、誘電体からなる筒状の容器の外周のマイクロ波の伝搬領域を前記筒状の容器とは誘電率の異なる誘電物質で満たすことにより、筒状の容器内部の放電空間内へのマイクロ波の伝達量が増加することを見出し、本発明に想到した。
すなわち、本発明のマイクロ波プラズマ発生装置は、
誘電体からなる筒状の容器と、
前記筒状の容器の外側に、前記筒状の容器を覆うように配置された筒状のチャンバーと、
前記筒状の容器内にガスを供給するガス供給口と、
前記筒状のチャンバーの側方に設けられたマイクロ波導入口とを備え、
前記筒状の容器の内面に沿ってプラズマを発生させるためのマイクロ波プラズマ発生装置あって、
前記筒状の容器と前記筒状のチャンバーとの間に誘電体材料が満たされていることを特徴とする。
前記誘電体材料は、前記筒状の容器の誘電率とは異なる誘電率を有する誘電体材料を含むのが好ましい。
前記誘電体材料は、前記筒状の容器の誘電率よりも高い誘電率を有する誘電体材料を含むのが好ましい。
前記誘電体材料は、前記筒状の容器を覆うように設けられた二層以上の誘電体材料からなり、前記筒状の容器に最も近い側の誘電体材料が前記筒状の容器の誘電率よりも高い誘電率を有するのが好ましい。
前記マイクロ波導入口にマイクロ波の反射防止構造が設けられているのが好ましい。
前記筒状の容器は10~300 mmの内径及び5~100 mmの厚みを有するのが好ましく、20~100 mmの内径及び10~50 mmの厚みを有するのがより好ましく、30~80 mmの内径及び15~30 mmの厚みを有するのが最も好ましい。
本発明のマイクロ波プラズマ処理装置は、前記マイクロ波プラズマ発生装置と、前記マイクロ波プラズマ発生装置に連接して、前記マイクロ波プラズマ発生装置で生成したプラズマが供給されるように配置された試料処理室とを備えたことを特徴とする。
前記マイクロ波プラズマ処理装置において、
前記試料処理室は、前記プラズマが被処理物に照射されるように前記被処理物を保持するための保持台と、供給した前記ガス及び処理後のプラズマを含むガスを排気するガス排気口とを備えるのが好ましい。
本発明のマイクロ波プラズマ処理方法は、前記マイクロ波プラズマ処理装置を用いて前記被処理物を処理する方法であって、
前記マイクロ波プラズマ発生装置の前記筒状の容器に設けられた前記ガス供給口からガスを供給するとともに、前記筒状のチャンバーの側方に設けられた前記マイクロ波導入口からマイクロ波を導入し、前記筒状の容器の内部にプラズマを発生させ、
前記筒状の容器に接続された前記試料処理室にプラズマを供給するとともに、供給した前記ガス及び処理後のプラズマを含むガスを前記試料処理室に設けられた前記ガス排気口から排気しながら、前記試料処理室内の前記保持台に保持された前記被処理物にプラズマを照射することによって前記被処理物の処理を行うことを特徴とする。
前記マイクロ波プラズマ処理方法において、
前記筒状の容器内、又は前記筒状の容器内及び前記筒状のチャンバー内は10 Torr以下の圧力に保たれているのが好ましく、1 mTorr~10 Torrの圧力に保たれているのがより好ましく、10 mTorr~1 Torrの圧力に保たれているのが最も好ましい。
前記マイクロ波プラズマ処理方法において、
前記筒状の容器内に供給するガスの流量は、0.01~100 sccmであるのが好ましく、0.1~10 sccmであるのがより好ましく、0.5~5 sccmであるのが最も好ましい。
前記マイクロ波プラズマ処理方法において、
供給するマイクロ波の出力が10~10000 W/cm2であるのが好ましく、100~1000 W/cm2であるのがより好ましく、200~700 W/cm2であるのが最も好ましい。
本発明のマイクロ波プラズマ発生装置は、筒状の容器内部の放電空間内へのマイクロ波の伝達量を増加させることができるので、マイクロ波のエネルギー利用効率を向上させることができる。また筒状の容器の外側に高い誘電率を有する誘電体材料を配置することにより、マイクロ波の波長を実質的に短くする効果が発揮され、マイクロ波プラズマ発生装置を小さくすることができる。そのため特に小型のマイクロ波プラズマ処理装置及びそれを用いた処理方法に好適である。
本発明のマイクロ波プラズマ処理装置の一例を示す模式断面図である。 図1(a)のA-A断面図である。 二種類の誘電体材料を用いた構成の一例を示す模式断面図である。 二種類の誘電体材料を用いた構成の他の一例を示す模式断面図である。 二種類の誘電体材料を用いた構成のさらに他の一例を示す模式断面図である。
[1]マイクロ波プラズマ処理装置
図1(a)及び図1(b)は本発明のマイクロ波プラズマ発生装置100の一例を示す。本発明のマイクロ波プラズマ処理装置100は、マイクロ波によりプラズマを生成させるマイクロ波プラズマ発生装置101と、前記マイクロ波プラズマ発生装置101に連接して、前記マイクロ波プラズマ発生装置101で生成したプラズマが供給されるように配置された試料処理室102とを備えたマイクロ波プラズマ処理装置100であって、
前記マイクロ波プラズマ発生装置101は、誘電体からなる筒状の容器103と、前記筒状の容器103の外側に、前記筒状の容器を覆うように配置された筒状のチャンバー109と、前記筒状の容器103内にガスを供給するガス供給口104と、前記筒状のチャンバー109の側方に設けられたマイクロ波導入口105とを備え、前記筒状の容器103の内面に沿ってプラズマを発生させるためのマイクロ波プラズマ発生装置101あって、前記筒状の容器103と前記筒状のチャンバー109との間に、誘電体材料110が満たされていることを特徴とする。誘電体材料110は、前記筒状の容器103の誘電率とは異なる誘電率を有するのが好ましく、前記筒状チャンバーより高い誘電率部分があるのがより好ましい。全部を高い誘電率で満たす以外に、その外側や内側に低い誘電率部分があってもかまわない。
(1)マイクロ波プラズマ発生装置
本発明のマイクロ波プラズマ発生装置101は、マイクロ波を用いてプラズマを発生させる装置であって、減圧状態に保たれた筒状の容器103にガス供給口104からガスG(例えば、水素ガス)を供給しながら筒状のチャンバー109の側方に設けられたマイクロ波導入口105からマイクロ波Mを導入すると、マイクロ波が筒状の容器103の表面を伝送路として定在波を生じ、筒状の容器103を透過したマイクロ波により筒状の容器103内にガスGのプラズマが発生する。このとき、筒状の容器103と筒状のチャンバー109との間隙に誘電体材料110を満たすことにより、筒状の容器103と空気との界面でのマイクロ波の反射が抑制され、筒状の容器103の内側にマイクロ波が十分に伝達されるようになり、プラズマ発生効率が向上し、その結果、処理効率を高めることができる。
筒状の容器103と筒状のチャンバー109との間隙を満たす誘電体材料110は、筒状の容器103を構成する材料と同じ材料、すなわち同じ誘電率を有する材料であっても良いし、異なる誘電率を有する材料であっても良い。特に、誘電体材料110として、筒状の容器103の誘電率よりも高い誘電率を有する材料を用いた場合は、装置寸法の低減といった効果のため、より処理効率の向上効果が大きくなる。誘電体材料110の誘電率は、筒状の容器103の誘電率の1倍以上であるのが好ましく、1.1~10倍であるのがより好ましい。高い誘電率材料が一部だけ用いられた形態でも良い。それにより装置寸法低減の効果は得られる。
筒状の容器103と筒状のチャンバー109との間隙を満たす誘電体材料110は、一種類であっても良いし、二種類以上の誘電体材料から構成しても良い。例えば、二種類の誘電体材料から構成する場合、二種の誘電体材料110a,110bは、図2(a)に示すように、それぞれ径方向に層状に(すなわち、筒状の容器と同心状に)分割して並べて構成してもよいし、図2(b)に示すように、周方向に分割して交互に並べて構成してもよいし、図2(c)に示すように、径方向に層状に分割及び周方向に分割を組み合わせて構成してモザイク状に並べても良い。各誘電体材料を分割するときの幅は、適宜選択すれば良い。また三種類以上の誘電体材料から構成する場合も同様である。
筒状の容器103と筒状のチャンバー109との間隙を満たす誘電体材料110は、軸方向に誘電率の異なる材料を配置して構成しても良い。例えば、軸方向長さ(高さ)が90 mmの誘電体材料のうち、一方の端部(上部)の長さ30 mm及び他方の端部(下部)の長さ30 mmの誘電率を3として、中央部分の長さ30 mmの誘電率を6とするといった構成でもよい。このような構成とした場合、中央部分にプラズマが集中して、高い効果が期待できる。
二種以上の誘電体材料110a,110bをそれぞれ径方向に層状に(すなわち、筒状の容器と同心状に)分割して並べて構成する場合、筒状の容器103に最も近い側の誘電体材料110aが筒状の容器103の誘電率よりも高い誘電率を有するのが好ましい。この場合、筒状の容器103から遠い側の誘電体材料110bの誘電率は、筒状の容器103よりも高くても良いし低くても良く、筒状の容器103に最も近い側の誘電体材料110aよりも高くても良いし低くても良い。2つの誘電体材料の体積平均が1より高いことが好ましい。
筒状の容器103は、プラズマに対する耐腐食性に優れた材料を用いるのが好ましく、例えば、石英(比誘電率:3.9)、アルミナ(比誘電率:9.0)、窒化ホウ素(比誘電率:4)、窒化アルミニウム(比誘電率:8.5)を用いるのが好ましい。
誘電体材料110としては、マイカ(6~8)、アクリル樹脂(2.7~4.5)、ウレタン(6.5~7.1)、ガラス(3.7~10.0)、ガラス・エポキシ積層板(4.5~5.2)、3フッ化エチレン樹脂(2.4~2.5)、シリコン樹脂(3.5~5)、シリコンゴム(3.0~3.5)、スチレンブタジェンゴム(3.0~7.0)、石英ガラス(3.5~4.0)、スチレン樹脂(2.3~3.4)、4フッ化エチレン樹脂(2.0)、ナイロン(3.5~5.0)、ネオプレン(6.0~9.0)、パラフィン(1.9~2.5)、フッ素樹脂(4.0~8.0)、不飽和ポリエステル樹脂(2.8~5.2)、ポリアミド(2.5~2.6)、ポリエステル樹脂(2.8~8.1)、ポリエチレン(2.3~2.4)、ポリブチレン(2.2~2.3)、ポリプロピレン(2.0~2.3)、フェノール樹脂(3.0~12.0)、ポリアセタール樹脂(3.6~3.7)、ポリウレタン(5.0~5.3)、ポリエチレンテレフタレート(2.9~3.0)、ポリカーボネート(2.9~3.0)、ポリスチレン(2.4~2.6)、ポリスチロール(2.0~2.6)、ポリビニールアルコール(2.0)、ポリブチレン樹脂(2.25)、ポリプロピレン樹脂(2.2~2.6)、ポリメチルアクリレート(4.0)、メラミン樹脂(4.7~10.2)、メタクリル樹脂(2.2~3.2)、木材(2.0~6.0)、ワセリン(2.2~2.9)等の材料を用いることができる。なお各誘電体材料の後に記載した括弧内の数値は比誘電率を示す。誘電体材料110の状態は特に限定されず、例えば、固体状、液体状、又はビーズ状でもよい。
誘電体材料110は、筒状の容器103との間及び筒状のチャンバー109との間に空隙が形成されないように、筒状の容器103及び筒状のチャンバー109に密着させてを配置するのが好ましい。筒状の容器103との間及び筒状のチャンバー109との間に空隙が形成された場合、空気と誘電体材料110との界面が形成されるため、その界面でマイクロ波の反射が起こり筒状の容器103の内側に伝達されるマイクロ波が減少する。
筒状の容器は10~300 mmの内径及び5~100 mmの厚みを有するのが好ましく、20~100 mmの内径及び10~50 mmの厚みを有するのがより好ましく、30~80 mmの内径及び15~30 mmの厚みを有するのが最も好ましい。本発明は、このように比較的小型のマイクロ波プラズマ発生装置に好適である。
マイクロ波プラズマ発生装置101のマイクロ波導入口105には、誘電体材料110及び筒状の容器103にマイクロ波がほぼ垂直に照射されて反射することでマイクロ波の利用効率が低下することを防ぐため、筒状のチャンバー109に接続する部分にマイクロ波の反射防止構造111が設けられているのが好ましい。反射防止構造111としては、例えば、ナノレベルの微細な突起が一定間隔で多数並んでなる構造、いわゆるモスアイ構造を有するものを用いることができる。また低誘電率材料の層を設けてもよい。
(2)試料処理室
試料処理室102は、前記マイクロ波プラズマ発生装置101に連接して、マイクロ波プラズマ発生装置101で生成したプラズマが供給されるように配置される。試料処理室102は、マイクロ波プラズマ発生装置101で発生したプラズマが被処理物106に照射されるように被処理物106を保持するための保持台107と、供給した前記ガス及び処理後のプラズマを含むガスを排気するガス排気口108とを備える。保持台107は、所定の回転軸Rを中心に回転可能に設けられているとともに、回転軸Rと筒状の容器103の中心軸Cとが同一直線上にないのが好ましい。また回転軸Rと筒状の容器103の中心軸Cとが所定の角度で傾いて配置されていても良い。保持台107は、温度調節機能を備えたものであるのが好ましい。
ガス排気口108を設ける位置は、特に限定されないが、保持台107よりも下流側、すなわち、マイクロ波プラズマ発生装置101から見て保持台107の後方であるのが好ましい。特に、保持台107の被処理物106が配置されている側と反対側に設けるのが好ましい。
[2]マイクロ波プラズマ処理方法
本発明のマイクロ波プラズマ処理方法は、前述したマイクロ波プラズマ発生装置101とそれに連接する試料処理室102を備えたマイクロ波プラズマ処理装置100(例えば、図1(a)及び図1(b)に示す装置)を用いて行う。すなわち、本発明のマイクロ波プラズマ処理方法は、マイクロ波プラズマ発生装置101の筒状の容器103に設けられたガス供給口104からガスGを供給するとともに、筒状のチャンバー109の側方に設けられたマイクロ波導入口105からマイクロ波Mを導入し、筒状の容器103の内部にプラズマを発生させ、筒状の容器103に接続された試料処理室102にプラズマを供給するとともに、供給した前記ガスG及び処理後のプラズマを含むガスを試料処理室102に設けられたガス排気口108から排気しながら、試料処理室102内の保持台107に保持された被処理物106にプラズマを含むガス(「反応性ガス」とも言う。)を照射することによって被処理物106の処理を行うことを特徴とする。
マイクロ波プラズマ処理は、例えば、1 Torr以下の圧力に保った筒状の容器103に、ガス供給口104から、0.1~10 sccmの流量でガスG(例えば、水素ガス)を供給しながら、マイクロ波導入口105から100~2000 Wの出力(例えば、2450 MHz及び800 W/cm2)のマイクロ波Mを導入し、筒状の容器103内で定在波状態とされたマイクロ波によって筒状の容器103内部に筒状の反応性ガスGAを発生させ、0~400℃に保った被処理物106に、保持台107を回転させながら、密度が5×1014個/cm3以上のラジカルを含む反応性ガスGAを1~20分照射することによって行う。これによりラジカルの照射時間と密度との積が被処理物106上において25×1014分・個/cm3以上とできる。反応性ガスGAと被処理物106の表面との間の電位差は、10 V以下であるのが好ましい。処理後の反応性ガスGAと及び余剰のガスGはガス排気口108から排気される。なおラジカルの照射密度は、公知の手法によって決定することができる(T. Arai el al. (2016) "Selective Heating of Transition Metal Usings Hydrogen Plasma and Its Application to Formation of Nickel Silicide Electrodes for Silicon Ultralarge-Scale Integration Devices" Journal of Materials Science and Chemical Engineering, 2016, 4, 29-33)。
ガスGとしては、水素ラジカルを発生させるという観点からは水素ガスを用いるが、処理の目的に応じて、水素ガス以外のガス、例えば、窒素、酸素、二酸化炭素、アンモニア、希ガス類(ヘリウム・ネオン・アルゴン等)などが用いられる。
筒状の容器103内、又は前記筒状の容器内及び前記筒状のチャンバー内は10 Torr以下の圧力に保つのが好ましく、1 mTorr~10 Torrの圧力に保つのがより好ましく、10 mTorr~1 Torrの圧力に保つのが最も好ましい。
ガスの供給速度は、0.01~100 sccmであるのが好ましく、0.1~10 sccmであるのがより好ましく、0.5~5 sccmであるのが最も好ましい。ガスの供給速度が0.01 sccmより小さいと反応性ガス濃度が高まらず、100 sccmより大きいと排気がおいつかず圧力が不安定になる。
ガスの排気速度は、1~10000 L/分であるのが好ましい。より好ましくは10~2000 L/分であり、更に好ましくは50~1000 L/分である。ガスの排気速度が1 L/分より小さいと排気に時間がかかり、10000 L/分より大きいとコストがかかりすぎる。
マイクロ波の出力は、10~10000 W/cm2とするのが好まく、100~1000 W/cm2とするのがより好ましく、200~700 W/cm2とするのが最も好ましい。10 W/cm2より小さいと、反応性ガス生成が少なくなり、10000 W/cm2より大きいとコストがかかりすぎる。
処理時間は、0.001~100分であるのが好ましい。より好ましくは0.01~50、更に好ましくは0.05~20分である。処理時間が0.001分より短いと効果が少なくなり、100分より長いと生産性が悪化する。
保持台107を回転速度は、0.1~10000 rpmであるのが好ましい。より好ましくは1~1000 rpmであり、更に好ましくは10~200 rpmである。回転速度が0.1 rpmより遅いとムラが生じ、10000 rpmより速いと機械耐久性が低下する。
本発明を以下の実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はそれらに限定されるものではない。
比較例1
内径80 mm、外径100 mm及び軸方向長さ100 mmの石英(比誘電率:3.9)からなる筒状の容器と、内径を180 mm、外径200 mm及び軸方向長さ100 mmの筒状のチャンバー(ステンレス製)とを同心状に配置し、上部と下部とをステンレスの金属板で覆って構成したマイクロ波プラズマ発生装置のモデルを作製した。このモデルにおいて、電磁波の定常状態を、OpenFDTD(株式会社EEM製)を用いて計算し、筒状の容器内の最大プラズマ強度を求めた。
実施例1~3
表1に示すように、筒状の容器と筒状のチャンバーとの間に誘電体材料としてマイカ(比誘電率:6~8)、石英、及びポリエチレン(比誘電率:2.3~2.4)をそれぞれ充填してなる実施例1~3のモデルを作製し、比較例1と同様にして筒状の容器内の最大プラズマ強度を求めた。
比較例2及び3
表1に示すように、筒状の容器の外周(中心から100~120 mmの範囲)に誘電体材料としてそれぞれマイカ及びポリエチレンを配置し、これらの誘電体材料と筒状のチャンバーとの間を空気で構成してなる比較例2及び3のモデルを作製し、比較例1と同様にして筒状の容器内の最大プラズマ強度を求めた。
実施例4
表1に示すように、筒状の容器の外周(中心から100~120 mmの範囲)に誘電体材料としてマイカを配置し、マイカと筒状のチャンバーとの間に誘電体材料として石英を配置してなる実施例4のモデルを作製し、比較例1と同様にして筒状の容器内の最大プラズマ強度を求めた。
実施例5
表1に示すように、筒状の容器の外周(中心から100~120 mmの範囲)に誘電体材料としてマイカを配置し、その外周(中心から120~140 mmの範囲)に誘電体材料として石英を配置し、その外周(中心から140~160 mmの範囲)に誘電体材料としてマイカを配置し、さらにその外周(中心から160~180 mmの範囲)に誘電体材料として石英を配置してなる実施例5のモデルを作製し、比較例1と同様にして筒状の容器内の最大プラズマ強度を求めた。
表1に、比較例1の最大プラズマ強度の値を1.0とした相対値で各試料の最大プラズマ強度を示す。これらの結果から、筒状の容器と筒状のチャンバーとの間に誘電体材料を配置して構成される本発明のマイクロ波プラズマ発生装置は、誘電体材料を有さないものよりも高いプラズマ強度が得られることがわかる。
Figure 2023128058000002
注(1):比較例1の最大プラズマ強度の値を1.0とした相対値
100・・・マイクロ波プラズマ処理装置
101・・・マイクロ波プラズマ発生装置
102・・・試料処理室
103・・・筒状の容器
C・・・中心軸
104・・・ガス供給口
105・・・マイクロ波導入口
106・・・被処理物
107・・・保持台
R・・・回転軸
108・・・ガス排気口
109・・・筒状のチャンバー
110・・・誘電体材料
110a,110b・・・誘電体材料
111・・・反射防止構造
G・・・ガス

Claims (20)

  1. 誘電体からなる筒状の容器と、
    前記筒状の容器の外側に、前記筒状の容器を覆うように配置された筒状のチャンバーと、
    前記筒状の容器内にガスを供給するガス供給口と、
    前記筒状のチャンバーの側方に設けられたマイクロ波導入口とを備え、
    前記筒状の容器の内面に沿ってプラズマを発生させるためのマイクロ波プラズマ発生装置あって、
    前記筒状の容器と前記筒状のチャンバーとの間に誘電体材料が満たされていることを特徴とするマイクロ波プラズマ発生装置。
  2. 請求項1に記載のマイクロ波プラズマ発生装置において、
    前記誘電体材料が、前記筒状の容器の誘電率とは異なる誘電率を有する誘電体材料を含むことを特徴とするマイクロ波プラズマ発生装置。
  3. 請求項2に記載のマイクロ波プラズマ発生装置において、
    前記誘電体材料が、前記筒状の容器の誘電率よりも高い誘電率を有する誘電体材料を含むことを特徴とするマイクロ波プラズマ発生装置。
  4. 請求項3に記載のマイクロ波プラズマ発生装置において、
    前記誘電体材料が、前記筒状の容器を覆うように設けられた二層以上の誘電体材料からなり、前記筒状の容器に最も近い側の誘電体材料が前記筒状の容器の誘電率よりも高い誘電率を有することを特徴とするマイクロ波プラズマ発生装置。
  5. 請求項1~4のいずれかに記載のマイクロ波プラズマ発生装置において、
    前記マイクロ波導入口にマイクロ波の反射防止構造が設けられていることを特徴とするマイクロ波プラズマ発生装置。
  6. 請求項1~5のいずれかに記載のマイクロ波プラズマ発生装置において、
    前記筒状の容器が10~300 mmの内径及び5~100 mmの厚みを有することを特徴とするマイクロ波プラズマ発生装置。
  7. 請求項6に記載のマイクロ波プラズマ発生装置において、
    前記筒状の容器が20~100 mmの内径及び10~50 mmの厚みを有することを特徴とするマイクロ波プラズマ発生装置。
  8. 請求項7に記載のマイクロ波プラズマ発生装置において、
    前記筒状の容器が30~80 mmの内径及び15~30 mmの厚みを有することを特徴とするマイクロ波プラズマ発生装置。
  9. 請求項1~8のいずれかに記載のマイクロ波プラズマ発生装置と、前記マイクロ波プラズマ発生装置に連接して、前記マイクロ波プラズマ発生装置で生成したプラズマが供給されるように配置された試料処理室とを備えたことを特徴とするマイクロ波プラズマ処理装置。
  10. 請求項9に記載のマイクロ波プラズマ処理装置において、
    前記試料処理室は、前記プラズマが被処理物に照射されるように前記被処理物を保持するための保持台と、供給した前記ガス及び処理後のプラズマを含むガスを排気するガス排気口とを備えたことを特徴とするマイクロ波プラズマ処理装置。
  11. 請求項10に記載のマイクロ波プラズマ処理装置を用いて前記被処理物を処理する方法であって、
    前記マイクロ波プラズマ発生装置の前記筒状の容器に設けられた前記ガス供給口からガスを供給するとともに、前記筒状のチャンバーの側方に設けられた前記マイクロ波導入口からマイクロ波を導入し、前記筒状の容器の内部にプラズマを発生させ、
    前記筒状の容器に接続された前記試料処理室にプラズマを供給するとともに、供給した前記ガス及び処理後のプラズマを含むガスを前記試料処理室に設けられた前記ガス排気口から排気しながら、前記試料処理室内の前記保持台に保持された前記被処理物にプラズマを照射することによって前記被処理物の処理を行うことを特徴とするマイクロ波プラズマ処理方法。
  12. 請求項11に記載のマイクロ波プラズマ処理方法において、
    前記筒状の容器内、又は前記筒状の容器内及び前記筒状のチャンバー内が10 Torr以下の圧力に保たれていることを特徴とするマイクロ波プラズマ処理方法。
  13. 請求項12に記載のマイクロ波プラズマ処理方法において、
    前記筒状の容器内、又は前記筒状の容器内及び前記筒状のチャンバー内が1 mTorr~10 Torrの圧力に保たれていることを特徴とするマイクロ波プラズマ処理方法。
  14. 請求項13に記載のマイクロ波プラズマ処理方法において、
    前記筒状の容器内、又は前記筒状の容器内及び前記筒状のチャンバー内が10 mTorr~1 Torrの圧力に保たれていることを特徴とするマイクロ波プラズマ処理方法。
  15. 請求項11~14のいずれかに記載のマイクロ波プラズマ処理方法において、
    前記筒状の容器内に供給するガスの流量が、0.01~100 sccmであることを特徴とするマイクロ波プラズマ処理方法。
  16. 請求項15に記載のマイクロ波プラズマ処理方法において、
    前記筒状の容器内に供給するガスの流量が、0.1~10 sccmであることを特徴とするマイクロ波プラズマ処理方法。
  17. 請求項16に記載のマイクロ波プラズマ処理方法において、
    前記筒状の容器内に供給するガスの流量が、0.5~5 sccmであることを特徴とするマイクロ波プラズマ処理方法。
  18. 請求項11~17のいずれかに記載のマイクロ波プラズマ処理方法において、
    供給するマイクロ波の出力が10~10000 W/cm2であることを特徴とするマイクロ波プラズマ処理方法。
  19. 請求項18に記載のマイクロ波プラズマ処理方法において、
    供給するマイクロ波の出力が100~1000 W/cm2であることを特徴とするマイクロ波プラズマ処理方法。
  20. 請求項19に記載のマイクロ波プラズマ処理方法において、
    供給するマイクロ波の出力が200~700 W/cm2であることを特徴とするマイクロ波プラズマ処理方法。
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