JP2023127318A - セメント分散剤 - Google Patents

セメント分散剤 Download PDF

Info

Publication number
JP2023127318A
JP2023127318A JP2022031032A JP2022031032A JP2023127318A JP 2023127318 A JP2023127318 A JP 2023127318A JP 2022031032 A JP2022031032 A JP 2022031032A JP 2022031032 A JP2022031032 A JP 2022031032A JP 2023127318 A JP2023127318 A JP 2023127318A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
structural unit
carbon atoms
mass
compound
alkylene oxide
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2022031032A
Other languages
English (en)
Inventor
拳 高橋
Ken Takahashi
朋久 岡田
Tomohisa Okada
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toho Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Toho Chemical Industry Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toho Chemical Industry Co Ltd filed Critical Toho Chemical Industry Co Ltd
Priority to JP2022031032A priority Critical patent/JP2023127318A/ja
Publication of JP2023127318A publication Critical patent/JP2023127318A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Emulsifying, Dispersing, Foam-Producing Or Wetting Agents (AREA)
  • Curing Cements, Concrete, And Artificial Stone (AREA)
  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)
  • Macromonomer-Based Addition Polymer (AREA)

Abstract

【課題】セメント種・コンクリート配合・温度環境等が変化した場合においてもセメント分散剤としての性能が十分に発揮され、様々な使用環境下で幅広く使用可能であり、施工性にも配慮されたセメント分散剤を提供すること。【解決手段】ポリアルキレングリコールアルケニルエーテル系化合物由来の構造単位、不飽和カルボン酸化合物由来の構造単位、並びに不飽和ジカルボン酸エステル化合物由来の構造単位を含みて構成されるポリカルボン酸系重合体からなるセメント分散剤において、前記不飽和カルボン酸化合物由来の構造単位の全質量に対して不飽和ジカルボン酸に由来する構造単位の含有割合が50乃至100質量%であり、且つ、前記不飽和ジカルボン酸エステル化合物由来の構造単位は、不飽和ジカルボン酸モノエステル化合物に由来する構造単位:不飽和ジカルボン酸ジエステル化合物に由来する構造単位の割合が質量比で10:90~25:75であることを特徴とする、セメント分散剤の提供。【選択図】なし

Description

本発明は優れた減水性及びスランプ保持性能を有し、また使用環境に左右されることなくこれら性能を十分に発揮できるセメント分散剤に関する。
コンクリート等のセメント配合物の流動性を確保する目的で、近年、ポリカルボン酸系重合体などに代表される高性能AE減水剤が、高い減水性能及びスランプロスの低減効果を兼ね備える混和剤として広く浸透している。高性能AE減水剤は従来のセメント分散剤よりも優れた減水性能を発現することが本来の特徴ではあるが、適性使用量の範囲であればコンクリートの凝結遅延に殆ど影響を与えずにスランプロスを少なくできるという特徴もあり、他の薬剤ではみられないこうした性能も重要な位置付けにある。
上記ポリカルボン酸系重合体を用いた分散剤の一例として、たとえば、ポリアルキレングリコールアルケニルエーテル系単量体と不飽和カルボン酸系単量体を必須の構成成分として含む共重合体を用いた以下のセメント分散剤を挙げることができる:ポリエチレングリコールモノアリルエーテル単量体(I)とマレイン酸系単量体(II)及びこれらの単量体と共重合可能な単量体(III)を特定の比率で用いて導かれた共重合体を主成分とするセメント分散剤(特許文献1)、不飽和ポリアルキレングリコールエーテル系単量体(I)、マレイン酸系単量体(II)及びこれらの単量体と共重合可能なその他の単量体(III)を特定の共重合比で共重合させた共重合体を主成分とするセメント分散剤(特許文献2)、短鎖ポリアルキレングリコールアルケニルエーテル系単量体と不飽和カルボン酸系単量体からなる共重合体(A)並びに長鎖ポリアルキレングリコールアルケニルエーテル系単量体と不飽和カルボン酸系単量体からなる共重合体(B)の2種の共重合体を必須成分とするセメント分散剤(特許文献3)、不飽和カルボン酸系単量体及び/又は不飽和酸無水物系単量体並びに不飽和アルコール系単量体の共重合により得られ、その一部にアミノ基が導入されてなる、セメント分散剤として使用可能なアミノ基含有重合体(特許文献4)、超高強度コンクリートのセメント混和剤に好適に用いることができる窒素原子を含有する不飽和単量体、不飽和アルコールアルキレンオキシド及び不飽和カルボン酸系単量体からなる不飽和アルコールアルキレンオキシド付加物系重合体(特許文献5)、不飽和カルボン酸系単量体としてフマル酸に由来する構造単位を含むポリカルボン酸系重合体を含むセメント分散剤(特許文献6)。
特公昭58-38380号公報 特開平10-236858号公報 特開2001-302306号公報 特開2003-192722号公報 特開2003-327644号公報 特許第4984254号公報
このように、セメント分散剤として多くの共重合体が研究され提案され、減水性や保持性並びにコンクリート粘性に於いて更に優れた性能を有する薬剤の開発が進められている。
一方、セメント種、水/セメント比等のコンクリート配合の変更、またセメントの混練・施工温度の変化などにより、減水性を始めとするセメント分散剤の性能が敏感に変動し
、これら使用環境の変化によっては、種々改良されてきた分散剤の使用が困難となる事例が散見されている。
そのため、セメント種・コンクリート配合・使用温度などの適用環境が変動した場合にあってもその性能を十分に発揮し、様々な環境下においても幅広く使用可能な分散剤ポリマーの開発が望まれていた。
本発明はかかる従来の技術背景の下、セメント分散剤の性能を改良すべくなされたものであって、セメント種・コンクリート配合・温度環境等が変化した場合においてもセメント分散剤としての性能が十分に発揮され、様々な使用環境下で幅広く使用可能であり、施工性にも配慮されたセメント分散剤を提供することを課題とする。
本発明者等は鋭意検討した結果、重合性結合部位を有する反応性アルコール誘導体、不飽和カルボン酸化合物及び不飽和ジカルボン酸エステル化合物からなるポリカルボン酸系重合体に於いて、不飽和カルボン酸化合物として不飽和ジカルボン酸と、不飽和ジカルボン酸エステルとしてモノエステル:ジエステルの質量比が10:90~25:75であるエステルとを併用することにより、セメント種・コンクリート配合・温度環境等が変化した場合においてもセメント分散剤としての性能が十分に発揮でき、様々な環境下で幅広く使用できるセメント分散剤となることを見出した。
すなわち本発明は、ポリアルキレングリコールアルケニルエーテル系化合物由来の構造単位、不飽和カルボン酸化合物由来の構造単位、並びに不飽和ジカルボン酸エステル化合物由来の構造単位を含みて構成されるポリカルボン酸系重合体からなるセメント分散剤において、
前記不飽和カルボン酸化合物由来の構造単位の全質量に対して不飽和ジカルボン酸に由来する構造単位の含有割合が50乃至100質量%であり、且つ、
前記不飽和ジカルボン酸エステル化合物由来の構造単位は、不飽和ジカルボン酸モノエステル化合物に由来する構造単位:不飽和ジカルボン酸ジエステル化合物に由来する構造単位の割合が質量比で10:90~25:75であることを特徴とする、セメント分散剤に関する。
好適な態様において、前記不飽和カルボン酸化合物に由来する構造単位と前記不飽和ジカルボン酸エステル化合物由来の構造単位の割合は、質量比で、不飽和カルボン酸化合物に由来する構造単位:不飽和ジカルボン酸エステル化合物由来の構造単位=1~50質量%:99~50質量%とすることができる。
また本発明は、前記ポリカルボン酸系重合体が、下記の構造単位(I)、構造単位(II)、構造単位(IIIa)及び(IIIb)を含みて構成され、
下記構造単位(II)の全質量に対して下記の不飽和ジカルボン酸に由来する構造単位(IIa)の含有割合が50乃至100質量%であり、且つ、
構造単位(IIIa)と構造単位(IIIb)の割合が質量比で10:90~25:75であることを特徴とする、セメント分散剤に関する。
好適な態様において、下記構造単位(II)と下記構造単位(IIIa)と下記構造単位(IIIb)の割合は、質量比で、構造単位(II):[構造単位(IIIa)+構造単位(IIIb)]=1~50質量%:99~50質量%とすることができる。
Figure 2023127318000001
(式中、R、R、R、Rはそれぞれ独立して水素原子又は炭素原子数1乃至22の炭化水素基を表し、Xは-(CH)bO-を表し、AOは炭素原子数2乃至4のアルキレンオキサイド基を表す。aはアルキレンオキサイドの平均付加モル数で1乃至200の数を表し、bは1乃至20の整数を表す。)
Figure 2023127318000002
(式中、R乃至Rはそれぞれ独立して水素原子、炭素原子数1乃至22の炭化水素基、-COOMを表し、但しR乃至Rのうち少なくとも一つは-COOMを表し、またR乃至Rのうち二つの基の一部は一緒になって酸無水物を形成することができる。Mは水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、アルカノールアミンを表す。)
Figure 2023127318000003
(式中、R及びRは夫々独立して水素原子又は炭素原子数1乃至22の炭化水素基を表し、M及びMは夫々独立して水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、アルカノールアミンを表す。)
Figure 2023127318000004
(式中、R、R10はそれぞれ独立して水素原子又は炭素原子数1乃至22の炭化水素基を表し、Mは水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、アルカノールアミンを表し、Yは炭素原子数1乃至22の炭化水素基又は-(AO)c-R11を表し、AOは炭素原子数2乃至4のアルキレンオキサイド基を表し、cはアルキレンオキサイドの平均付加モル数で1乃至200の数を表し、R11は水素原子又は炭素原子数1乃至22の炭化水素基を表す。)
Figure 2023127318000005
(式中、R、R10はそれぞれ独立して水素原子又は炭素原子数1乃至22の炭化水素基を表し、Yは炭素原子数1乃至22の炭化水素基又は-(AO)c-R11を表し、AOは炭素原子数2乃至4のアルキレンオキサイド基を表し、cはアルキレンオキサイドの平均付加モル数で1乃至200の数を表し、R11は水素原子又は炭素原子数1乃至22の炭化水素基を表す。)
さらに本発明は、前記ポリカルボン酸系重合体が、前記構造単位(I)、構造単位(II)、構造単位(IIIa)及び構造単位(IIIb)に加え、更に下記の構造単位(I
V)を含みて構成されることを特徴とする、セメント分散剤に関する。
Figure 2023127318000006
(式中、Zは二塩基酸とポリアルキレンポリアミンを縮合させたポリアミドポリアミン及び/又は該ポリアミドポリアミンの活性イミノ基、アミノ基、アミド残基1当量に対して炭素原子数2乃至4のアルキレンオキサイドを0.1乃至10モル付加させたポリアミドポリアミン変性物が、アミド結合を介して主鎖の炭素原子と結合する基を表す。)
そして本発明は、前記のポリカルボン酸系重合体に加え、二塩基酸とポリアルキレンポリアミンを縮合させたポリアミドポリアミン及び/又は該ポリアミドポリアミンの活性イミノ基、アミノ基、アミド残基1当量に対して炭素原子数2乃至4のアルキレンオキサイドを0.1乃至10モル付加させたポリアミドポリアミン変性物を含有することを特徴とする、セメント分散剤に関する。
本発明により、優れた減水性及びスランプ保持性能を有するセメント分散剤を提供できるとともに、セメント種・コンクリート配合・温度環境が変化しても上記性能を十分発揮でき、様々な使用環境下で幅広く適用可能なセメント分散剤を提供することができる。
図1は、製造例3で調製した不飽和ジカルボン酸エステル化合物(D6)のHPLCチャートを示す図である。
本発明は、ポリアルキレングリコールアルケニルエーテル系化合物由来の構造単位、不飽和カルボン酸化合物由来の構造単位及び不飽和ジカルボン酸エステル化合物由来の構造単位を含みて構成されるポリカルボン酸系重合体からなるセメント分散剤において、前記不飽和カルボン酸化合物由来の構造単位の全質量に対して不飽和ジカルボン酸に由来する構造単位の含有割合が50乃至100質量%であり、且つ、前記不飽和ジカルボン酸エステル化合物由来の構造単位は、不飽和ジカルボン酸モノエステル化合物に由来する構造単位:不飽和ジカルボン酸ジエステル化合物に由来する構造単位の割合が質量比で10:90~25:75であることを特徴とする、セメント分散剤に関するものであり、より詳細には、該ポリカルボン酸系重合体は上記に示す構造単位(I)、構造単位(II)、構造単位(IIIa)及び構造単位(IIIb)を含みて構成される。さらに該ポリカルボン酸系重合体は、該構造単位(I)、構造単位(II)、構造単位(IIIa)及び構造単位(IIIb)に加え、ポリアミドポリアミン及び/又はポリアミドポリアミン変性物由来の上記構造単位(IV)を含みて構成されてもよい。このように構成されたポリカルボン酸系重合体は、主鎖骨格にポリアルキレンオキサイド鎖、ポリアミドポリアミン鎖などのグラフト鎖が結合した櫛型重合体の構造を有している。
また本発明のセメント分散剤は上記ポリカルボン酸系重合体に加え、ポリアミドポリアミン及び/又はポリアミドポリアミン変性物を含有することもできる。
以下に本発明を詳細に説明する。
[構造単位(I)、構造単位(II)、構造単位(IIIa)及び構造単位(IIIb)]
本発明のセメント分散剤であるポリカルボン酸系重合体を構成する構造単位(I)は下
記式で表される。
Figure 2023127318000007
(式中、R、R、R、Rはそれぞれ独立して水素原子又は炭素原子数1乃至22の炭化水素基を表し、Xは-(CH)bO-を表し、AOは炭素原子数2乃至4のアルキレンオキサイド基を表す。aはアルキレンオキサイドの平均付加モル数で1乃至200の数を表し、bは1乃至20の整数を表す。)
また上記式において、AOは炭素原子数2であるエチレンオキサイド、又は二種以上のアルキレンオキサイドから構成されることが好ましく、この場合ブロック付加又はランダム付加の何れでもよい。
二種以上のアルキレンオキサイドを用いる場合、aで表されるアルキレンオキサイド平均付加モル数において、炭素原子数3又は4のアルキレンオキサイドが0.1~30mol%未満を占めることが好ましい。特に、炭素原子数3又は4のアルキレンオキサイドのうち、0.1~20mol%未満をアルキレンオキサイド鎖の末端側(Rとの結合位)に配置することが、減水性、保持性、コンクリート粘性等の性能面を改良する点から望ましい。
さらに、上記式において、Rは特に水素原子、炭素原子数1乃至6の炭化水素基(メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、フェニル基等)であることが好ましい。
上記構造単位(I)は、ポリアルキレングリコールアルケニルエーテル系化合物由来の構造単位であり、例えば以下の化合物に由来する構造単位である;ポリアルキレングリコールモノアリルエーテル、ポリアルキレングリコールモノアルケニルエーテル、メトキシポリアルキレングリコールモノアリルエーテル、メトキシポリアルキレングリコールモノアルケニルエーテルなどの(アルコキシ)ポリアルキレングリコールと炭素原子数3~8のアルケニルエーテルより形成されるアルケニルエーテル類、不飽和脂肪族アルコールアルキレンオキサイド付加物である不飽和脂肪族エーテル類等。具体的には3-メチル-3-ブテン-1-オールのアルキレンオキサイド付加物や、2-プロペン-1-オール(アリルアルコール)のアルキレンオキサイド付加物やそのエーテル等を挙げることができる。これらのうち、最も好ましい化合物の具体例は、3-メチル-3-ブテン-1-オールのアルキレンオキサイド付加物である。
上記構造単位(I)はこれら化合物のうち単独あるいは複数の組合せに由来する構造単位であってよい。
本発明のセメント分散剤であるポリカルボン酸系重合体を構成する構造単位(II)は下記式で表される。
Figure 2023127318000008
(式中、R乃至Rはそれぞれ独立して水素原子、炭素原子数1乃至22の炭化水素基、-COOMを表し、但しR乃至Rのうち少なくとも一つは-COOMを表し、
またR乃至Rのうち二つの基の一部は一緒になって酸無水物を形成することができる。Mは水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、アルカノールアミンを表す。)
上記構造単位(II)は、不飽和カルボン酸化合物由来の構造単位であり、例えば(メタ)アクリル酸及びその塩や、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸などに由来する構造単位である。好ましい態様において、上記構造単位(II)は、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸など不飽和ジカルボン酸に由来する構造単位であり、特に構造単位(II)は少なくともその一部に不飽和ジカルボン酸に由来する構造単位(IIa)を含む。なお本書において“(メタ)アクリル酸”などの記載はメタクリル酸とアクリル酸の双方を意味する。
Figure 2023127318000009
(式中、R及びRは夫々独立して水素原子又は炭素原子数1乃至22の炭化水素基を表し、M及びMは夫々独立して水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、アルカノールアミンを表す。)
上記構造単位(II)、並びに構造単位(IIa)において、カルボン酸に由来する部分構造(-COOM、-COOM、-COOM)はカルボキシ基(-COOH:酸の形態)又はカルボキシ基の塩(中和された形態)の何れの形態であってもこれら形態が混在していてもよいが、部分中和又は完全中和された形態が製品形態として好ましい。
本発明において、不飽和ジカルボン酸に由来する構造単位(IIa)の含有割合は、上記構造単位(II)の全質量に対して50乃至100質量%、好ましくは60乃至100質量%、より好ましくは70乃至100質量%であることが、減水性及びスランプ保持性の面で好ましい。
本発明のセメント分散剤であるポリカルボン酸系重合体を構成する構造単位(IIIa)及び(IIIb)は下記式で表される。なお本発明にあっては、構造単位(IIIa)と構造単位(IIIb)の割合が質量比で10:90~25:75であることを特徴とする。
Figure 2023127318000010
(式中、R、R10はそれぞれ独立して水素原子又は炭素原子数1乃至22の炭化水素基を表し、Mは水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、アルカノールアミンを表し、Yは炭素原子数1乃至22の炭化水素基又は-(AO)c-R11を表し、AOは炭素原子数2乃至4のアルキレンオキサイド基を表し、cはアルキレンオキサイドの平均付加モル数で1乃至200の数を表し、R11は水素原子又は炭素原子数1乃至22の炭化水素基を表す。)
Figure 2023127318000011
(式中、R、R10はそれぞれ独立して水素原子又は炭素原子数1乃至22の炭化水素基を表し、Yは炭素原子数1乃至22の炭化水素基又は-(AO)c-R11を表し、AOは炭素原子数2乃至4のアルキレンオキサイド基を表し、cはアルキレンオキサイドの平均付加モル数で1乃至200の数を表し、R11は水素原子又は炭素原子数1乃至22の炭化水素基を表す。)
上記構造単位(IIIa)において、カルボン酸に由来する部分構造(-COOM)はカルボキシ基(-COOH:酸の形態)又はカルボキシ基の塩(中和された形態)の何れの形態であってもこれら形態が混在していてもよいが、部分中和又は完全中和された形態が製品形態として好ましい。
また、上記構造単位(IIIa)及び構造単位(IIIb)におけるYに関して、具体的にはYは炭素原子数1乃至22の部分エステル又は全エステル、ポリアルキレンオキサイド付加物の部分エステル又は全エステル、アルコキシポリアルキレングリコールの部分エステル又は全エステルなどが挙げられる。アルキレンオキサイドは単独付加又は混合付加することができ、二種以上のアルキレンオキサイドを用いる場合にはブロック付加、ランダム付加何れの形態であってもよい。
上記構造単位(IIIa)及び構造単位(IIIb)は、不飽和ジカルボン酸エステル化合物由来の構造単位であり、具体的には、メトキシポリエチレングリコールモノフマレート、メトキシポリプロピレングリコールモノフマレート、メトキシポリエチレンポリプロピレングリコールモノフマレート、メトキシポリエチレングリコールジフマレート、メトキシポリプロピレングリコールジフマレート、メトキシポリエチレンポリプロピレングリコールジフマレート、メトキシポリエチレングリコールモノマレート、メトキシポリプロピレングリコールモノマレート、メトキシポリエチレンポリプロピレングリコールモノマレート、メトキシポリエチレングリコールジマレート、メトキシポリプロピレングリコールジマレート、メトキシポリエチレンポリプロピレングリコールジマレートなどに由来する構造単位である。
上記構造単位(IIIa)及び構造単位(IIIb)の中でも、特にフマル酸エステル化合物に由来する構造単位、具体的には、メトキシポリエチレングリコールモノフマレート、メトキシポリプロピレングリコールモノフマレート、メトキシポリエチレンポリプロピレングリコールモノフマレート、メトキシポリエチレングリコールジフマレート、メトキシポリプロピレングリコールジフマレート、メトキシポリエチレンポリプロピレングリコールジフマレートに由来する構造単位を用いることが、減水性及びスランプ保持性の面で好ましい。
上記構造単位(II)と、上記構造単位(IIIa)及び構造単位(IIIb)の合計との質量比は、例えば構造単位(II):[構造単位(IIIa)+構造単位(IIIb)]=1~50質量%:99~50質量%、好ましくは1~40質量%:99~60質量%、より好ましくは1~30質量%:99~70質量%、例えば10~20質量%:90~80質量%とすることができる。
不飽和ジカルボン酸エステルに由来する構造単位[構造単位(IIIa)+構造単位(IIIb)]が上記数値範囲より小さい場合、スランプや粘性の経時安定性が得られない場合がある。
[構造単位(IV)]
また本発明のセメント分散剤であるポリカルボン酸系重合体は、上記構造単位(I)、構造単位(II)、構造単位(IIIa)及び構造単位(IIIb)に加え、下記式で表される構造単位(IV)を含んで構成することもできる。
Figure 2023127318000012
(式中、Zは二塩基酸とポリアルキレンポリアミンを縮合させたポリアミドポリアミン及び/又は該ポリアミドポリアミンの活性イミノ基、アミノ基、アミド残基1当量に対して炭素原子数2乃至4のアルキレンオキサイドを0.1乃至10モル付加させたポリアミドポリアミン変性物が、アミド結合を介して主鎖の炭素原子と結合する基を表す。)
上記構造単位(IV)中、Zを構成する上記二塩基酸としては総炭素原子数が2乃至10の脂肪族飽和二塩基酸、例えばシュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸等が挙げられ、また、Zを構成する上記ポリアルキレンポリアミンとしてはエチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ヘキサエチレンヘプタミン、あるいはエチレン単位と窒素原子を多く含む混合体である高分子ポリエチレンポリアミンの混合物等を挙げることができる。
上記構造単位(IV)は、これら二塩基酸とポリアルキレンポリアミンの縮合物であるポリアミドポリアミン及び/又は、該ポリアミドポリアミンの活性イミノ基、アミノ基、アミド残基1当量に対して、炭素原子数2乃至4のアルキレンオキサイドを0.1乃至10モル付加させたポリアミドポリアミン変性物が、無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸とアミド結合を介し、結合してなる構造単位である。
これらポリアミドポリアミン又はポリアルキレンオキサイド変性ポリアミドポリアミンは水溶液で塩基性を示す性質を有するものもある為、ポリカルボン酸系重合体の中和剤として作用することもある。
[各構造単位の構成割合]
上述の構造単位(I)、構造単位(II)、構造単位(IIIa)及び構造単位(IIIb)からなるポリカルボン酸系重合体において、それらの構成割合は、例えば構造単位(I):構造単位(II):[構造単位(IIIa)+構造単位(IIIb)]=80乃至10質量%:1乃至30質量%:10乃至90質量%であり、好ましくは構造単位(I):構造単位(II):[構造単位(IIIa)+構造単位(IIIb)]=70乃至10質量%:1乃至20質量%:20乃至80質量%とすることができる。
また、構造単位(I)、構造単位(II)、構造単位(IIIa)、構造単位(IIIb)に加えて構造単位(IV)からなるポリカルボン酸系重合体においては、例えば構造単位(I):構造単位(II):[構造単位(IIIa)+構造単位(IIIb)]:構造単位(IV)=80乃至10質量%:1乃至30質量%:10乃至90質量%:1乃至10質量%であり、好ましくは構造単位(I):構造単位(II):[構造単位(IIIa)+構造単位(IIIb)]=70乃至10質量%:1乃至20質量%:20乃至80質量%:2乃至7質量%である。(但し、構造単位(I)、構造単位(II)、構造単位(IIIa)及び構造単位(IIIb)、又は、構造単位(I)、構造単位(II)、構造単位(IIIa)、構造単位(IIIb)及び構造単位(IV)の合計は何れも100質量%である。)
なお、上記のいずれの構成割合においても、構造単位(II):[構造単位(IIIa)+構造単位(IIIb)]=1~60mol%:99~40mol%を満たしていることが、本発明の好適な実施のためには望ましい。
[その他含有し得る構造単位(V)]
上述のポリカルボン酸系重合体において、これら構造単位(I)、構造単位(II)、構造単位(IIIa)、構造単位(IIIb)及び構造単位(IV)以外に、構造単位(V)を含有することができる。
上記その他含有しうる構造単位(V)の由来となる化合物としては、メトキシポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレンポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレートや、ビニルスルホン酸(塩)、(メタ)アリルスルホン酸(塩)、(メタ)アクリルアミドメチルスルホン酸、(メタ)アクリルアミドエチルスルホン酸、2-メチルプロパンスルホン酸(メタ)アクリルアミド、スチレンスルホン酸(塩)、(メタ)アクリル酸アルキル、スチレン、(メタ)アクリルアミド、そして、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、3-(メタ)アクリロイルオキシプロピルアシッドホスフェート、(メタ)アクリロイルオキシポリオキシエチレングリコールアシッドホスフェート、(メタ)アクリロイルオキシポリオキシプロピレングリコールアシッドホスフェート等のリン酸基を有する不飽和単量体等の慣用のポリカルボン酸系セメント分散剤用単量体として例示される化合物であり、上記構造単位(I)乃至(IV)と重合体を形成可能な化合物であればその種類は特に限定されない。特に上記ポリカルボン酸系重合体にスランプ保持性を付与すべくアルカリ加水分解性の化合物に由来する構造単位を組み込むことは、特許第3780465号公報等との組合せで容易に想到できる手段の一つである。
上記構造単位(V)の構成割合は、前記ポリカルボン酸系重合体等[構造単位(I)+構造単位(II)+構造単位(IIIa)+構造単位(IIIb)+構造単位(IV)]:構造単位(V)=100乃至70質量%:0乃至30質量%の範囲(但し合計100質量%)の範囲にあることが好ましい。
[ポリアミドポリアミン及び/またはポリアミドポリアミン変性物]
本発明のセメント分散剤は、上記ポリカルボン酸系重合体に加え、二塩基酸とポリアルキレンポリアミンを縮合させたポリアミドポリアミン及び/又は該ポリアミドポリアミンの活性イミノ基、アミノ基、アミド残基1当量に対して炭素原子数2乃至4のアルキレンオキサイドを0.1乃至10モル付加させたポリアミドポリアミン変性物を含有することが、コンクリート粘性を改良する点で好ましい。
これらポリアミドポリアミン及び/またはポリアミドポリアミン変性物の含有比率は、上記ポリカルボン酸系重合体:ポリアミドポリアミン及び/またはポリアミドポリアミン変性物=98乃至90質量%:2乃至10質量%の範囲にあることが好ましい。
上記ポリアミドポリアミンを構成するポリアルキレンポリアミンとしては、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ヘキサエチレンヘプタミン、あるいはエチレン単位と窒素原子を多く含む混合体である高分子ポリエチレンポリアミンの混合物等や、ポリエチレンイミン、ポリプロピレンイミン、ポリ-3-メチルプロピルイミン、ポリ-2-エチルプロピルイミン等の環状イミンの重合体、ポリビニルアミン、ポリアリルアミンの如き不飽和アミンの重合体等が挙げられる。更にポリアルキレンポリアミンは、エチレンイミン、プロピレンイミン、3-メチルプロピルイミン、2-エチルプロピルイミン等の環状イミン、N-ビニルアセトアミド、N-ビニルホルムアミド、N-ビニルフタルイミド等の不飽和アミド、不飽和イミドと、これらと共重合可能な不飽和化合物との共重合体であってもよい。環状イミン、不飽和アミド、不飽和イミド等と共重合可能な不飽和化合物としては、例えばジメチルアクリルアミド、スチレン、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、
アクリル酸、メタクリル酸、スチレンスルホン酸やこれらの塩、エチレンスルフィドやプロピレンスルフィド等の環状スルフィド化合物、オキセタン、モノ又はビスアルキルオキセタン、モノ又はビスアルキルクロロメチルオキセタン、テトラヒドロフラン、モノ又はビスアルキルテトラフロロフラン等の環状エーテル類、1,2-ジオキソフラン、トリオキソフラン等の環状ホルマール類、N-メチルエチレンイミン等のN置換アルキルイミン等が挙げられる。
上記ポリアミドポリアミンを構成する二塩基酸としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸等の総炭素原子数が2乃至10の脂肪族飽和二塩基酸が挙げられる。
二塩基酸としてその誘導体も使用可能であり、例えば二塩基酸無水物(例えば上記二塩基酸の無水物)、二塩基酸エステル(例えば上記二塩基酸のモノメチルエステル、モノエチルエステル、モノブチルエステル、モノプロピルエステル、ジメチルエステル、ジエチルエステル、ジブチルエステル、ジプロピルエステル等)、又は二塩基酸ジハライド(前記二塩基酸の二塩化物、二臭素化物、二ヨウ化物等)を挙げることができる。
また上記ポリアミドポリアミン変性物とは、上記ポリアミドポリアミンの活性イミノ基、アミノ基、アミド残基1当量に対し炭素原子数2乃至4のアルキレンオキサイドを0.1乃至10モル付加せしめた化合物を示す。すなわち、このアルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド等が挙げられ、これらは単独もしくは混合して用いることができ、2種以上のアルキレンオキサイドを用いる場合にはブロック状に重合していてもランダムに重合していてもよい。
[各構造単位及びポリカルボン酸系重合体の製造方法]
本発明のセメント分散剤であるポリカルボン酸系重合体を得るにあたり、構造単位(I)の由来となるポリアルキレングリコールアルケニルエーテル系化合物の製造方法、及びポリカルボン酸系重合体を得る重合方法は特に限定されない。
ただし、上記ポリアルキレングリコールアルケニルエーテル系化合物製造時のアルキレンオキサイド付加反応においては、重合活性基(不飽和基)がその重合活性を失わない、重合活性基の位置を転移させない、及び、副生するジオール分を低減することなどに留意して製造される必要がある。なお、これら重合活性基を有するアルコールのポリアルキレンオキサイド付加物は、製造後に精製過程の有無に係わらず重合用原料とし使用することができる。
ポリカルボン酸系重合体の製造方法に於いては、溶剤重合、水溶液重合、連続式、バッチ式の何れの方法においても同様の重合物を得ることができるが、共重合に供する化合物の溶解性に留意する必要があることから、一般的に水溶液重合で行われることが多い。
構造単位(IV)の製造方法は、通常のアマイド化法に従い、二塩基酸とポリアミドポリアミンを縮合させ、更にマレイン酸、フマル酸、無水マレイン酸とのアマイド基を形成し、必要に応じアルキレンオキサイドを付加する方法、二塩基酸とポリアミドポリアミンとの縮合物或いはアルキレンオキサイドを付加したアルキレンオキサイド変性ポリアミドポリアミンを形成させポリカルボン酸系重合体にグラフト化させる方法、ポリアミドポリアミンを形成後ポリカルボン酸系重合体にグラフト化させたポリマー水溶液にアルキレンオキサイドを付加する方法等を挙げることができる。
最終的に得られる本発明のセメント分散剤であるポリカルボン酸系重合体は、重量平均分子量(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法(以下「GPC法」と呼ぶ)、ポリエチレングリコール換算)で10,000~500,000の範囲が適当であり、この範囲を外れると減水性が著しく低下するか、あるいは所望のスランプロス低減効果を得ることができない。より好ましくは、重量平均分子量が10,000~100,000の範囲
であることが、更に減水性を発現するため望ましい。また水溶液重合においてラジカル重合開始剤等の種類及び/又は使用量を調整することにより、分子量を制御することが可能であるが、連鎖移動剤等を併用すれば分子量分布の制御を行うことも可能である。
なお本発明において、「重合体」とは、重合体そのもののみでもよく、或いは、各々の重合工程、アルキレンオキサイド付加工程等で発生した未反応成分、副反応物も含めた成分も包含して広義に重合体としてもよい。
[セメント混和剤及び併用可能な添加剤]
本発明のセメント分散剤は、種々のコンクリート製造条件に応じ、好適な公知公用の混和剤等を採用して組合せ、セメント混和剤とすることができる。具体的には、本発明のセメント分散剤以外のセメント分散剤、空気連行剤、凝結遅延剤、促進剤、分離低減剤、増粘剤、消泡剤、収縮低減剤等である。
なお、本発明のポリカルボン酸系重合体からなるセメント分散剤とは、上述のポリカルボン酸系重合体以外に公知公用の混和剤を配合しセメント混和剤とした形態、又はコンクリート製造時に上述のポリカルボン酸系重合体と公知公用の混和剤が別々に添加され最終的にコンクリート中で混合される形態の何れをも含む。以下公知公用の混和剤を例示する。
一般にセメント分散剤は、コンクリートの製造条件及び性能要求等に応じて、適宜組み合わされ使用される。本発明のセメント分散剤の場合も同様であり、セメント分散剤として単独、あるいは主剤として使用されるものであるが、スランプロスの大きいセメント分散剤の改質助剤として、或いは、初期減水性が高いセメント分散剤として併用して使用され得るものである。
本発明以外の公知のセメント分散剤としては先に挙げた特許文献1のほか、特公昭59-18338号公報、特許2628486号公報、特許第2774445号公報、特許第3235002号公報、特許第3336456号公報、特許第3780456号公報などのポリカルボン酸系共重合体の塩があり、またナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物の塩、メラミンスルホン酸ホルマリン縮合物の塩、リグニンスルホン酸塩、グルコン酸ソーダ、糖アルコールも挙げられる。本発明のセメント分散剤と本発明以外のセメント分散剤との配合割合は1:99~99:1質量%である。
空気連行剤を具体的に例示すると<1>アニオン系空気連行剤、<2>ノニオン系空気連行剤、及び<3>両性系空気連行剤が挙げられる。<1>アニオン系空気連行剤としては高級アルコール(又はそのアルキレンオキシド付加物)の硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ロジン石鹸などの樹脂石鹸塩、高級アルコール(又はそのアルキレンオキシド付加物)の燐酸エステル塩など、<2>ノニオン系空気連行剤としてはアルキレングリコール、高級アルコールのアルキレンオキサイド付加物、脂肪酸とアルキレングルコールとのエステル、糖アルコールのアルキレングルコール付加物など、<3>アニオン、カチオンからなる両性系空気連行剤としてはアルキルベタイン型、アルキルアミドベタイン型、アミノ酸系両性活性剤型などが挙げられる。本空気連行剤の好ましい添加量はセメント分散剤に対し0.001~0.03質量%である。
凝結遅延剤を例示すると、<1>無機質系凝結遅延剤:リン酸塩、珪フッ化物、酸化亜鉛、炭酸化亜鉛、塩化亜鉛、一酸化亜鉛、水酸化銅、マグネシア塩、ホウ砂、酸化ホウ素、<2>有機質系凝結遅延剤:ホスホン誘導体、糖類やその誘導体、オキシカルボン酸塩、リグニンスルホン酸塩が挙げられ、さらに詳しく例示するとホスホン誘導体:アミノトリ(メチレンホスホン酸)、アミノトリ(メチレンホスホン酸)5ナトリウム塩、1-ヒドロキシエチリデン-1,1-ジホスホン酸、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)及びアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩のホスホン酸及びその誘導体、糖類:サッカロース、マルトース、ラフィノース、ラクトース、グルコース、フラクトース、
マンノース、アラビノース、キシロース、アビトース、リポーズ、オキシカルボン酸塩:グルコン酸、クエン酸、グルコヘプトン酸、リンゴ酸、酒石酸、これらのアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩が挙げられる。本凝結遅延剤の好ましい添加量はセメント等の結合材料に対して0.01~1.5質量%である。
促進剤を例示すると塩化カルシウム、亜硝酸カルシウムなどで代表される無機系促進剤、アルカノールアミンなどで代表される有機系促進剤が挙げられる。本促進剤の好ましい添加量はセメント等の結合材料に対して0.5~5質量%である。
増粘剤・分離低減剤を例示すると、<1>セルロース系水溶性高分子:セルロースエーテル(MCなど)、<2>ポリアクリルアミド系水溶性高分子:ポリアクリルアミド、<3>バイオポリマー:カードラン、ウエランガム、<4>非イオン系増粘剤:ポリアルキレングリコールの脂肪酸ジエステル、ポリアルキレングリコールのウレタン縮合物などが挙げられる。本増粘・分離低減剤の好ましい配合割合はコンクリート組成物に対し0.01~0.5質量%である。
消泡剤を例示すると脂肪族アルコールアルキレンオキサイド付加物、脂肪酸アルキレンオキサイド付加物、アルキレンオキサイドジ脂肪酸エステル、多価アルコールアルキレンオキサイド付加物、ポリアルキレンポリアミンアルキレンオキサイド付加物等の非イオン系消泡剤類、シリコーンオイルをエマルションとしたシリコーン系消泡剤類、高級アルコールをエマルションとした高級アルコール類、これらを主成分とした混合物などが挙げられる。本消泡剤の好ましい添加量はセメント分散剤に対し0.01~1質量%である。
収縮低減剤を例示するとポリアルキレングリコール、低級アルコールアルキレンオキサイド付加物、これらが油性である場合はエマルションとしたものであり、好ましい添加量はセメント等の結合材料に対し0.1~5質量%である。
本発明のセメント分散剤はコンクリートの材料を含めた配合条件によりその添加量が変わるが、セメント質量に対し固形分換算で通常0.05~5.0質量%程度添加される。減水性、スランプフロー保持性を得るためには添加量が多いほど良いが、多過ぎると凝結遅延を起こし、場合によっては硬化不良を引き起こす。使用方法は一般のセメント分散剤の場合と同様であり、コンクリート混練時に原液添加するか、予め混練水に希釈して添加する。あるいはコンクリート又はモルタルを練り混ぜた後に添加し、再度均一に混練してもよい。ここで、セメント分散剤以外の成分は従来慣用のコンクリート用成分であり、セメント(例えば普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、低熱・中庸熱ポルトランドセメント又は高炉セメント等)、骨材(すなわち細骨材及び粗骨材)、混和材(例えばシリカフューム、炭酸カルシウム粉末、高炉スラグ粉末)、膨張材及び水を挙げることができる。また本発明のセメント分散剤以外の混和剤で調合時に別に添加できる混和剤としては、前記の公知公用の空気連行剤、凝結遅延剤、促進剤、分離低減剤、増粘剤、消泡剤、収縮低減剤等があり、これらも適宜配合し得る。それら各成分の配合割合は選択された成分の種類や使用目的に応じて適宜決定され得る。
次に実施例に基づいて本発明をより詳しく説明する。なお本発明は前記製造方法により得られるものであり、この実施例に限定されるものではない。
なお、特に記載のない限り、以下に示す%は質量%を表す。
[製造例1:メタノールアルキレンオキサイド付加物の調製]
温度計、撹拌機、圧力計、窒素導入管を備えたステンレス製高圧反応器にメタノールを70g、28%ソジウムメチラート メタノール溶液0.45gを仕込み、反応容器内を
窒素置換し、窒素雰囲気下で150℃まで加熱し、安全圧下で150℃を保持したままエチレンオキサイド867gを5時間で反応器内に導入し、その後1時間その温度を保持してアルキレンオキサイド付加反応を完結させ、メタノールアルキレンオキサイド付加物(EOの付加モル数:9モル)を得た。
[製造例2:不飽和ジカルボン酸エステル化合物(D1)の調製]
温度計、撹拌機、窒素導入管、コンデンサーおよび検水管を備えた反応容器に、製造例1で得たメタノールアルキレンオキサイド付加物を854g、フマル酸を146g、パラトルエンスルホン酸を10g仕込み、160℃に昇温した。その後、下部から窒素を5m/hrで導入しながら、10時間反応させ、理論量に対し90%以上の反応水が検水管へ留出したことを確認し、反応を終了し、不飽和ジカルボン酸エステル化合物(D1)を得た。得られた不飽和ジカルボン酸エステル化合物(D1)におけるモノエステル化合物とジエステル化合物の質量比は16:84であった。
[製造例3:不飽和ジカルボン酸エステル化合物(D2)~(D11)の調製]
表1に示す通り、メタノールアルキレンオキサイド付加物(表1中、b.グリコール種参照)におけるアルキレンオキサイドの付加モル数(4モル~23モル)及びアルキレンオキサイドの種類(EO:エチレンオキサイド、PO:プロピレンオキサイド)、並びに酸(表1中、a.酸基参照:フマル酸、無水マレイン酸、マレイン酸)を変化させた以外には、製造例1及び製造例2と同様の手順にて、不飽和ジカルボン酸エステル化合物(D2)~(D11)を製造した。また、後述する<モノエステルとジエステルの比率の定量法>に示すHPLC測定条件に従い、前記不飽和ジカルボン酸エステル化合物(D2)~(D11)におけるモノエステル化合物とジエステル化合物の質量比を定量した結果(エステル比)を併せて表1に示す。
なお図1に、不飽和ジカルボン酸エステル化合物(D6)のHPLCチャートを示す。図1中、約2.3分に位置するピークがモノエステル化合物に由来するピークに対応し、約3.3分に位置するピークがジエステル化合物に由来するピークに対応する。
Figure 2023127318000013
<モノエステルとジエステルの比率の定量法>
〈HPLC測定条件〉
測定装置:株式会社島津製作所製 液体クロマトグラフィー
カラム:CAPCELL PAK C18(株式会社大阪ソーダ製)
流速:1.0ml/min、温度:40℃、試料濃度:1wt%/溶離液
注入量:20μl
溶離液:水とアセトニトリルの混合液(体積比:水/アセトニトリル=57/43)
検出器:示差屈折計、検量線:ポリエチレングリコール
[製造例B1(ポリカルボン酸系重合体の製造)]
窒素導入管、撹拌機、温度計付きステンレス製オートクレーブに3-メチル-3-ブテン-1-オール11EO付加物(MBO11EO)150g、イオン交換水340g、フマル酸57g、及び不飽和ジカルボン酸エステル化合物(D1)349gを撹拌しながら仕込んだ。充分に窒素置換を行い、60℃まで昇温させた後、過酸化水素35%水溶液2.3g、硫酸鉄(II)7水和物0.01gを仕込んだ。次いでL-アスコルビン酸10%水溶液8.6gを120分かけて滴下しながら、60℃で4時間撹拌を行い、重合反応を完結させた。反応終了後95℃まで昇温し、1時間撹拌を継続した。重合液を50℃まで冷却し、48%水酸化ナトリウム水溶液61gを用いて中和し、ポリカルボン酸系重合体B1の水溶液968g(固形分濃度:60.1%、重量平均分子量:14,000)を得た。
[製造例B2~B8:ポリカルボン酸系重合体の製造]
表2に示す通り、反応性アルコール誘導体、不飽和カルボン酸化合物、不飽和ジカルボン酸エステル化合物の種類を変化させた以外には、製造例B1と同様の手順にて、本発明のポリカルボン酸系重合体(B2)~(B8)を製造した。
[製造例A1(EO付加ポリアミドポリアミンの製造)]
窒素導入管、温度計、コンデンサー付き検水管を備えた撹拌機付き反応容器にポリアルキレンポリアミン(東ソー社製 品名:ポリエイト)199g及びアジピン酸68gを仕込み、窒素を導入しながら攪拌し、次いで温度を160℃になるまで昇温した。反応を8時間継続し、酸価が10となった時点で反応を終了した。反応脱水量は17gであった。次いで水339gを加えて水溶液として60℃まで冷却後、エチレンオキサイド89gを同温度で4時間かけて付加させ、その後1時間の熟成を行いEO付加ポリアミドポリアミンA1の水溶液678g(固形分濃度:50%)を得た。
[製造例B9:ポリカルボン酸系重合体の製造]
窒素導入管、撹拌機、温度計付きステンレス製オートクレーブに3-メチル-3-ブテン-1-オール40EO付加物222g(MBO40EO)、イオン交換水242g、フマル酸28.3g、アクリル酸3.7g及び不飽和ジカルボン酸エステル化合物(化合物D3)126.3gを撹拌しながら仕込んだ。充分に窒素置換を行い、60℃まで昇温させた後、過硫酸ナトリウム14%水溶液17.1gを仕込み、同温度を維持しながら6時間反応させた。反応終了後80℃まで昇温し、1時間撹拌を継続した。次いでポリアミドポリアミンA1水溶液40.8g、イオン交換水331gを添加し、更に1時間撹拌した。重合液を50℃まで冷却し、48%水酸化ナトリウム水溶液17.3gを用いて中和し、ポリカルボン酸系重合体B9の水溶液994g(固形分濃度:41.0%、重量平均分子量:15,000)を得た。
Figure 2023127318000014
[製造例C1(比較ポリカルボン酸系重合体の製造)]
窒素導入管、撹拌機、温度計付きステンレス製オートクレーブに3-メチル-3-ブテン-1-オール50EO2PO付加物374g(ブロック付加物、MBO50EO2PO)、イオン交換水260g、フマル酸12.3g、無水マレイン酸5.2g及び不飽和ジカルボン酸エステル化合物(化合物D7)91gを撹拌しながら仕込んだ。充分に窒素置換を行い、60℃まで昇温させた後、過硫酸ナトリウム14%水溶液22.5gを仕込み
、同温度を維持しながら6時間反応させた。反応終了後80℃まで昇温し、1時間撹拌を継続した。次いでポリアミドポリアミンA1水溶液27.1g、イオン交換水201gを添加し、更に1時間撹拌した。重合液を50℃まで冷却し、48%水酸化ナトリウム水溶液6.5gを用いて中和し、ポリカルボン酸系重合体C1の水溶液1000g(固形分濃度:50.1%、重量平均分子量:24,000)を得た。
表3に示す通り、反応性アルコール誘導体、不飽和カルボン酸化合物、不飽和ジカルボン酸エステル化合物の種類を変化させた以外には、製造例C1と同様の手順にて、ポリカルボン酸系重合体(C2)~(C3)を製造した。
また表3に示す通り、反応性アルコール誘導体、不飽和カルボン酸化合物、不飽和ジカルボン酸エステル化合物の種類を変化させた以外には、製造例B1と同様の手順にて、ポリカルボン酸系重合体(C4)~(C5)を製造した。
Figure 2023127318000015
[実施例1乃至9、比較例1乃至5:フレッシュコンクリート試験]
上記製造例で得られたポリカルボン酸系重合体B1乃至B9、並びにポリカルボン酸系重合体C1乃至C5を用い、下記表4(普通ポルトランドセメント、W/C=60%、試験温度:20℃)、表7(普通ポルトランドセメント、W/C=30%、試験温度:20℃)、表10(中庸熱ポルトランドセメント、W/C=30%、試験温度:20℃)、表13(中庸熱ポルトランドセメント、W/C=30%、試験温度:10℃)に示すコンクリート配合にて、フレッシュコンクリート試験を行った。
コンクリートの練混ぜは55リットル強制二軸ミキサを使用し、粗骨材、セメント、細骨材に、各々のポリカルボン酸系重合体(B1乃至B9、C1乃至C5)を予め加え調製した水を加え、90秒間練混ぜた。その後、5分静置した後、コンクリートの排出直後にフレッシュコンクリート試験(スランプ試験JIS A 1101(フレッシュコンクリ
ートの広がりをフロー値として測定)、空気量(JIS A 1128)、凝結性試験(貫入抵抗が3.5N/mmに達するまでの時間で凝結始発時間に相当))を実施した。また材齢28日の各供試体について、JIS A 1108の手順に従って圧縮強度を測定し、各実施例または比較例に対し、材齢28日にて各3本の供試体の平均値を圧縮強度(N/mm)とした。
[フレッシュコンクリート試験結果(1)]
表4にコンクリート配合を、表5及び表6にフレッシュコンクリート試験結果を示す。
Figure 2023127318000016
Figure 2023127318000017
Figure 2023127318000018
[フレッシュコンクリート試験結果(2)]
表7にコンクリート配合を、表8及び表9にフレッシュコンクリート試験結果を示す。
Figure 2023127318000019
Figure 2023127318000020
Figure 2023127318000021
[フレッシュコンクリート試験結果(3)]
表10にコンクリート配合を、表11及び表12にフレッシュコンクリート試験結果を示す。
Figure 2023127318000022
Figure 2023127318000023
Figure 2023127318000024
[フレッシュコンクリート試験結果(4)]
表13にコンクリート配合を、表14及び表15にフレッシュコンクリート試験結果を示す。
Figure 2023127318000025
Figure 2023127318000026
Figure 2023127318000027
上記表5、表8、表11、表14に示す通り、重合体B1~B9を用いた実施例1~9、実施例10~18、実施例19~27、実施例28~36は、セメント種・コンクリート配合・温度環境が変化した場合においても、材料分離を起こすことなく、これら配合に応じた適切な分散性、空気量、凝結時間、圧縮強度を有するという結果が得られた。
一方、表6、表9、表12、表15に示す通り、重合体C1~C5を用いた比較例1~5、比較例6~10、比較例11~15、比較例16~20においては、セメント種・コンクリート配合・温度環境が変化した場合に試験結果が変動し、分散剤としての性能を維持できない結果が得られた。比較例1~5は30分後において、比較例6~10、比較例11~15、及び比較例16~20においては60分後において、分散性が高くなりすぎることとなり、材料分離を起こすこととなった。
また比較例6~10、比較例11~15、及び比較例16~20のフロー値の結果に示すように、これら比較例では0分後から30分後において流動性が極端に増加し、品質管理が難しいことが示されている。通常のレディミクストコンクリート(工場で練り混ぜをしてから打設現場に運送し打設するコンクリート)への適用を考慮すると、練り混ぜ初期の極端な流動性増加は、施工現場での薬剤の使用量の増大を引き起こす可能性が高いこと、また上記に示したように、経時での分離(流動性が高すぎる)は凝結遅延を招き、適正な強度発現が困難となるなどの不利点をもたらし得るものである。
一方、上述のように重合体B1~B9を用いた実施例1~36にあっては、セメント種やコンクリート配合・温度環境によらず、0分後から30分後、60分後にかけて流動性(フロー値)が経時で緩やかに変化(減少)し且つ流動性が保持される結果が得られており、従来よりも練り混ぜ初期における経時での流動変化が改善(抑制)されたセメント分
散剤とし
て有用となることが期待できる。
このように、重合性結合部位を有する反応性アルコール誘導体、不飽和カルボン酸化合物として不飽和ジカルボン酸、そして不飽和ジカルボン酸エステルとしてモノエステル:ジエステルの質量比が10:90~25:75であるエステルからなるポリカルボン酸系重合体を含む本発明のセメント分散剤は、コンクリートに適用した際、セメント種・コンクリート配合・温度環境が変化してもその性能を安定して発揮することができることから、種々の処方に幅広く使用でき、さらに、強度発現性にも優れるなどの、コンクリート施工時に重要となる性能をも向上させるとする結果が得られた。

Claims (6)

  1. ポリアルキレングリコールアルケニルエーテル系化合物由来の構造単位、不飽和カルボン酸化合物由来の構造単位、並びに不飽和ジカルボン酸エステル化合物由来の構造単位を含みて構成されるポリカルボン酸系重合体からなるセメント分散剤において、
    前記不飽和カルボン酸化合物由来の構造単位の全質量に対して不飽和ジカルボン酸に由来する構造単位の含有割合が50乃至100質量%であり、且つ、
    前記不飽和ジカルボン酸エステル化合物由来の構造単位は、不飽和ジカルボン酸モノエステル化合物に由来する構造単位:不飽和ジカルボン酸ジエステル化合物に由来する構造単位の割合が質量比で10:90~25:75であることを特徴とする、
    セメント分散剤。
  2. 前記不飽和カルボン酸化合物に由来する構造単位と前記不飽和ジカルボン酸エステル化合物由来の構造単位が、質量比で、不飽和カルボン酸化合物に由来する構造単位:不飽和ジカルボン酸エステル化合物由来の構造単位=1~50質量%:99~50質量%であることを特徴とする、
    請求項1に記載のセメント分散剤。
  3. 前記ポリカルボン酸系重合体が、下記の構造単位(I)、構造単位(II)、構造単位(IIIa)及び(IIIb)を含みて構成され、
    下記構造単位(II)の全質量に対して下記の不飽和ジカルボン酸に由来する構造単位(IIa)の含有割合が50乃至100質量%であり、且つ、
    構造単位(IIIa)と構造単位(IIIb)の割合が質量比で10:90~25:75であることを特徴とする、
    請求項1記載のセメント分散剤。
    Figure 2023127318000028
    (式中、R、R、R、Rはそれぞれ独立して水素原子又は炭素原子数1乃至22の炭化水素基を表し、Xは-(CH)bO-を表し、AOは炭素原子数2乃至4のアルキレンオキサイド基を表す。aはアルキレンオキサイドの平均付加モル数で1乃至200の数を表し、bは1乃至20の整数を表す。)
    Figure 2023127318000029
    (式中、R乃至Rはそれぞれ独立して水素原子、炭素原子数1乃至22の炭化水素基、-COOMを表し、但しR乃至Rのうち少なくとも一つは-COOMを表し、またR乃至Rのうち二つの基の一部は一緒になって酸無水物を形成することができる。Mは水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、アルカノールアミンを表す。)
    Figure 2023127318000030
    (式中、R及びRは夫々独立して水素原子又は炭素原子数1乃至22の炭化水素基を表し、M及びMは夫々独立して水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、アルカノールアミンを表す。)
    Figure 2023127318000031
    (式中、R、R10はそれぞれ独立して水素原子又は炭素原子数1乃至22の炭化水素基を表し、Mは水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、アルカノールアミンを表し、Yは炭素原子数1乃至22の炭化水素基又は-(AO)c-R11を表し、AOは炭素原子数2乃至4のアルキレンオキサイド基を表し、cはアルキレンオキサイドの平均付加モル数で1乃至200の数を表し、R11は水素原子又は炭素原子数1乃至22の炭化水素基を表す。)
    Figure 2023127318000032
    (式中、R、R10はそれぞれ独立して水素原子又は炭素原子数1乃至22の炭化水素基を表し、Yは炭素原子数1乃至22の炭化水素基又は-(AO)c-R11を表し、AOは炭素原子数2乃至4のアルキレンオキサイド基を表し、cはアルキレンオキサイドの平均付加モル数で1乃至200の数を表し、R11は水素原子又は炭素原子数1乃至22の炭化水素基を表す。)
  4. 前記構造単位(II)と前記構造単位(IIIa)と前記構造単位(IIIb)が、質量比で、構造単位(II):[構造単位(IIIa)+構造単位(IIIb)]=1~50質量%:99~50質量%であることを特徴とする、
    請求項3に記載のセメント分散剤。
  5. 前記ポリカルボン酸系重合体が、前記構造単位(I)、構造単位(II)、構造単位(IIIa)及び構造単位(IIIb)に加え、更に下記の構造単位(IV)を含みて構成されることを特徴とする、請求項3又は請求項4に記載のセメント分散剤。
    Figure 2023127318000033
    (式中、Zは二塩基酸とポリアルキレンポリアミンを縮合させたポリアミドポリアミン及び/又は該ポリアミドポリアミンの活性イミノ基、アミノ基、アミド残基1当量に対して炭素原子数2乃至4のアルキレンオキサイドを0.1乃至10モル付加させたポリアミド
    ポリアミン変性物が、アミド結合を介して主鎖の炭素原子と結合する基を表す。)
  6. 請求項1乃至請求項5のうち何れか一項に記載のポリカルボン酸系重合体に加え、二塩基酸とポリアルキレンポリアミンを縮合させたポリアミドポリアミン及び/又は該ポリアミドポリアミンの活性イミノ基、アミノ基、アミド残基1当量に対して炭素原子数2乃至4のアルキレンオキサイドを0.1乃至10モル付加させたポリアミドポリアミン変性物を含有することを特徴とする、セメント分散剤。
JP2022031032A 2022-03-01 2022-03-01 セメント分散剤 Pending JP2023127318A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022031032A JP2023127318A (ja) 2022-03-01 2022-03-01 セメント分散剤

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022031032A JP2023127318A (ja) 2022-03-01 2022-03-01 セメント分散剤

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2023127318A true JP2023127318A (ja) 2023-09-13

Family

ID=87971583

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2022031032A Pending JP2023127318A (ja) 2022-03-01 2022-03-01 セメント分散剤

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2023127318A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4143870B2 (ja) セメント分散剤
JP5282884B2 (ja) セメント分散剤
JP5610244B2 (ja) 新規なポリカルボン酸系重合体
EP1184353B1 (en) Cement dispersant and concrete composition containing the dispersant
JP5321779B2 (ja) セメント分散剤
US7393886B2 (en) Cement dispersant and concrete composition containing the dispersant
JP3929202B2 (ja) セメント混和剤
JP7069053B2 (ja) 水硬性組成物用混和剤
JP5887094B2 (ja) 水硬性組成物用混和剤
JP3780456B2 (ja) セメント分散剤および該分散剤を含むコンクリ―ト組成物
JP2023127318A (ja) セメント分散剤
JP4984254B2 (ja) セメント分散剤
JP2008115371A (ja) 不飽和単量体、共重合体、それを用いた分散剤およびセメント混和剤
AU2004318289A1 (en) Cement dispersant and concrete composition containing the dispersant
JP2020176045A (ja) セメント用添加剤、セメント用強度向上剤、セメント組成物、およびセメント組成物の強度向上方法
JP4984255B2 (ja) 新規なセメント分散剤
JP2015151276A (ja) コンクリート混和剤
RU2529189C2 (ru) Диспергирующее вещество, содержащее сополимерную смесь
JP2003327644A (ja) 不飽和アルコールアルキレンオキシド付加物系重合体
KR20070019523A (ko) 시멘트 분산제 및 이 분산제를 포함하는 콘크리트 조성물
JP2020050580A (ja) セメント用添加剤、セメント混和剤、およびセメント組成物
JP2019218227A (ja) セメント用添加剤、セメント混和剤、およびセメント組成物