JP2023127129A - 炭化タングステン粉末の製造方法 - Google Patents

炭化タングステン粉末の製造方法 Download PDF

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浩一郎 平田
Koichiro Hirata
淳二 阿部
Junji Abe
叔子 山口
Yoshiko Yamaguchi
耕 畠山
Ko Hatakeyama
諒祐 菅原
Ryosuke Sugawara
悠人 菅原
Yuto SUGAWARA
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【課題】直接炭化法によって製造される炭化タングステン粉末の粒径を制御することが可能な炭化タングステン粉末の製造方法を提供する。【解決手段】酸化タングステン粉末と炭素粉末の混合粉末を造粒し、得られた造粒物を不活性ガス雰囲気中で1400℃以上の加熱温度で熱処理し、還元反応および炭化反応によって炭化タングステン粉末を得る構成であり、炭素粉末のタッピング密度X(g/cm3)と炭化タングステンの粒径Y(μm)の比例関係式 Y=aX+b(a,bはそれぞれ定数)に基づき、酸化タングステンと、目標とする炭化タングステンの粒径Y1に対応するタッピング密度X1の炭素粉末の混合粉末から、炭化タングステンの粒径がY1±10%の炭化タングステン粉末を製造する。【選択図】なし

Description

本発明は、直接炭化法によって炭化タングステン粉末を製造する際に、炭化タングステン粉末の粒径を制御することが可能な炭化タングステン粉末の製造方法に関するものである。
上述の炭化タングステン粉末は、主にWC-Co系超硬合金(以下、超硬合金という)の原料として使用される。超硬合金は切削工具、耐摩耗工具あるいは耐摩耗部品などに用いられるが、各用途に応じて、硬さ、強度、靱性、耐摩耗性、耐欠損性、耐チッピング性等の各種特性を実現させるには、炭化タングステン粉末の粒径、コバルト添加量、粒成長抑制剤添加量などの適正化が必要とされる。特に、炭化タングステン粉末の粒径は合金特性に及ぼす影響が大きく、各用途に適合する合金特性を発揮させるためには、炭化タングステン粉末の粒径を厳密に制御する必要がある。
一般に、炭化タングステン粉末は、酸化タングステン粉末(WO3粉末)などのタングステン含有化合物を水素還元することによりタングステン粉末を生成させ、次いで炭素を混合したのち、炭化させることで合成される。
炭化タングステン粉末の粒径は、タングステン粉末に強く依存することから、炭化タングステン粉末の粒径を制御するためには、その前駆体であるタングステン粉末の粒径制御が重要となる。そのため、タングステン含有化合物の水素還元工程において、水素流量、発生水蒸気分圧、還元温度といったタングステン粉末粒径に影響を及ぼす操作因子を複雑に組み合わせる必要があり、それにともない製造工程が煩雑となることから、製造コスト高となる問題があった。さらに、タングステン粉末や水素は可燃性、爆発性を有していることから、当該製造工程では安全性に懸念があった。
ここで、例えば特許文献1に示す直接炭化法においては、酸化タングステン粉末と炭素粉末を直接混合し、例えば窒素雰囲気中で1050~1200℃、次いで水素雰囲気中で900~1300℃で所定時間加熱させることにより、酸化タングステン粉末からタングステン粉末への還元反応と、タングステン粉末から炭化タングステン粉末への炭化反応を連続的に進行させることで、炭化タングステン粉末を合成する方法である。直接炭化法は、従来法で必要とされた還元工程と炭化工程を短縮することに成功した方法であり、製造コストと安全性に利点が大きい。
特開2005-335997号公報
ところで、特許文献1に記載されているように、直接炭化法により得られる炭化タングステン粉末は、100nm以下の超微粒粉末しか得られず、くわえて、粒径制御を行うには、出発原料、加熱炉、雰囲気、加熱温度、解砕方法を適切に組み合わせなければならないため、複雑かつシビアな条件操作が要求される。その他の粒径制御の方法としては、加熱時間を延ばす、加熱温度を上げるといった操作が挙げられる一方、製造リードタイムや使用エネルギーが増加するため、経済性の悪化が懸念される。
したがって、低コストかつ簡便に、目的粒径の炭化タングステン粉末を作り分ける直接炭化技術を獲得することができれば、直接炭化法は従来法に対し、経済性、安全性および粒径制御の容易性に優位な、新規の炭化タングステン粉末の生産プロセスとして代替可能となる。
この発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、直接炭化法によって製造される炭化タングステン粉末の粒径を制御することが可能な炭化タングステン粉末の製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明の炭化タングステン粉末の製造方法は、酸化タングステン粉末と炭素粉末の混合粉末を造粒し、得られた造粒物を不活性ガス雰囲気中で1400℃以上の加熱温度で熱処理し、還元反応および炭化反応によって炭化タングステン粉末を得る構成であり、炭素粉末のタッピング密度X(g/cm)と炭化タングステンの粒径Y(μm)の比例関係式 Y=aX+b (a,bはそれぞれ定数)に基づき、酸化タングステンと、目標とする炭化タングステンの粒径Y1に対応するタッピング密度X1の炭素粉末の混合粉末から、炭化タングステンの粒径がY1±10%の炭化タングステン粉末を製造することを特徴とする。ここで、酸化タングステンとは、WO(Yellow Tungsten Oxide)や、WO2.9(Blue Tungsten Oxide)などのタングステンと酸素から成る物質であり、タングステンと酸素の化学両論比は限定されない。
ここで、炭素粉末のタッピング密度が高いと、造粒物内の空隙が減少し、酸化タングステンと炭素との距離が近接することになる。これにより、還元反応および炭化反応が進行して生成する炭化タングステンの粒成長が促進され、炭化タングステン粉末の粒径が粗大化することになる。
よって、加熱炉の所定加熱温度、所定保持時間に対する、炭素粉末のタッピング密度と炭化タングステンの粒径の関係式を求め、その関係式に基づき、使用する前記炭素粉末のタッピング密度を調整することで、製造される炭化タングステン粉末の粒径を制御することが可能となる。
目標とする炭化タングステンの粒径Y1に対応するタッピング密度X1の炭素粉末の混合粉末から、製造時の粒径のバラツキを考慮して炭化タングステン粉末の粒径はY1の±10%の範囲内で製造することができる。
ここで、本発明の炭化タングステン粉末の製造方法においては、加熱炉の加熱温度1600℃、保持時間30分の場合に、炭素粉末のタッピング密度X(g/cm)と炭化タングステンの粒径Y(μm)の関係式Y=0.40X+0.10に基づき、酸化タングステンと、目標とする炭化タングステンの粒径Y1に対応するタッピング密度X1の炭素粉末の混合粉末から、炭化タングステンの粒径がY1±10%の炭化タングステン粉末を製造することを特徴とする。
この場合、加熱炉の加熱温度1600℃、保持時間30分の場合に、炭素粉末のタッピング密度X(g/cm)と炭化タングステンの粒径Y(μm)の関係式Y=0.40X+0.10に基づいて、使用する前記炭素粉末のタッピング密度を調整しているので、製造される炭化タングステン粉末の粒径を安定して制御することが可能となる。
また、本発明の炭化タングステン粉末の製造方法においては、前記炭素粉末のタッピング密度を0.15g/cm以上0.50g/cm以下の範囲内とすることが好ましい。
この場合、前記炭素粉末のタッピング密度を0.15g/cm以上としているので、還元反応および炭化反応を十分に促進でき、炭化タングステン粉末を効率的に製造することが可能となる。一方、前記炭素粉末のタッピング密度を0.50g/cm以下としているので、造粒物の棚吊り等が生じることを抑制でき、安定して炭化タングステン粉末を製造することが可能となる。
本発明によれば、直接炭化法によって製造される炭化タングステン粉末の粒径を制御することが可能な炭化タングステン粉末の製造方法を提供することが可能となる。
本発明の実施形態である炭化タングステン粉末の製造方法のフロー図である。 炭化タングステンの粒成長の過程を説明する説明図である。 炭素粉末のタッピング密度と炭化タングステン粉末の平均粒径との関係を示すグラフである。
以下に、本発明の一実施形態である炭化タングステン粉末の製造方法について、添付した図面を参照して具体的に説明する。
なお、本実施形態である炭化タングステン粉末の製造方法は、たとえば、超硬合金からなる切削工具や耐摩耗工具等の原料として用いられる炭化タングステン粉末を製造するものである。
本実施形態である炭化タングステン粉末の製造方法は、酸化タングステンと炭素とを混合して熱処理することにより、酸化タングステンの還元反応と、還元反応で得られたタングステンの炭化反応とを連続的に進行させて炭化タングステンを得る、いわゆる直接炭化法である。一例として、酸化タングステンとしてWOを用いた場合の反応式を、以下(1)式に示す。
WO+(4-a)C→WC+(3-2a)CO+aCO・・・(1)
本実施形態では、図1に示すように、酸化タングステン粉末と炭素粉末とを混合して混合粉末を得る混合工程S01と、得られた混合粉末に水を加えて混錬して湿潤粉末を得る混錬工程S02と、得られた湿潤粉末を造粒して造粒物を得る造粒工程S03と、得られた造粒物を乾燥する乾燥工程S04と、乾燥された造粒物を熱処理する熱処理工程S05と、を備えている。
(混合工程S01)
まず、酸化タングステン粉末と炭素粉末とを混合する。
ここで、酸化タングステン粉末と炭素粉末の混合比率は、酸化タングステンと炭素のモル比C/Wを3.50以上4.00以下の範囲とすることが好ましい。
酸化タングステンと炭素のモル比C/Wを3.50以上とすることで、カーボン量が確保され、炭化が不十分なWCがWC粉末に混入することを抑制できる。一方、酸化タングステンと炭素のモル比C/Wを4.00以下とすることで、余剰のCがWC粉末に混入することを抑制できる。
また、原料に使用する酸化タングステン粉末としては、例えばパラタングステン酸アンモニウム(APT)を焼成し得られた粉末を用いることができる。炭素粉末としては、カーボンブラック、グラファイトカーボン等を用いることができる。
さらに、混合機には、一般的な羽根つきの混合機の他、メディア混合、例えばボールミルなどを用いることができる。
(混錬工程S02)
次に、混合工程S01で得られた酸化タングステン粉末と炭素粉末の混合粉末に、純水を添加して混錬し、湿潤粉末を得る。ここで、純水とは、電気伝導率が1mS/m以下の水である。水の精製方法は限定されず、蒸留、イオン交換、膜処理などが適用できる。
純水の添加量は、炭素の比表面積によって異なるが、30m/g以上の炭素の場合には、酸化タングステン粉末と炭素粉末の混合粉末重量に対して、0.25倍以上0.35倍以下であることが望ましい。10m/g以上、30m/g未満の炭素の場合には、酸化タングステン粉末と炭素粉末の混合粉末重量に対して、0.15倍以上0.25倍以下であることが望ましい。10m/g未満の炭素の場合には、酸化タングステン粉末と炭素粉末の混合粉末重量に対して、0.05倍以上0.15倍以下であることが望ましい。
純水の添加量を下限値以上とすることで、水分を確保することができ、所望の粒度に確実に造粒することが可能となる。また、純水の添加量を上限値以下とすることで、水分過多になることを抑制でき、湿潤粉末が装置内壁面などに付着することを抑制し、製造効率の低下を防止することができる。
純水の添加方法は、酸化タングステン粉末と炭素粉末を混合しているところに、滴下する方法などがある。
純水添加後、混錬することにより、均一な湿潤粉末とすることができる。
(造粒工程S03)
次に、混錬工程S02で得られた湿潤粉末を造粒して造粒物を生成する。
ここで、造粒物の大きさは、その後の工程における取り扱い易さを考慮して適宜設定することが好ましい。本実施形態では、造粒物の大きさは、0.5mm以上3.0mm以下の範囲内に設定している。
造粒物の大きさを0.5mm以上とすることで、後段の熱処理工程にて炉内での造粒物流動性が向上し、安定した熱処理が可能となる。一方、造粒物の大きさを3.0mm以下とすることで、後段の熱処理工程にて確実に炭化させることが可能となる。
なお、造粒方法は、押出造粒や、撹拌造粒などが適用できる。
(乾燥工程S04)
次に、造粒工程S03で得られた造粒物に含まれた水分を除去するために、乾燥を行う。
使用する乾燥機に特に制限はないが、乾燥工程での造粒物の崩れを抑制するためには、造粒物を動かさない方式の乾燥機であるベルトコンベア式の乾燥機が望ましい。また、乾燥温度は120℃以上であればよい。
(熱処理工程S05)
そして、乾燥した造粒物を加熱炉に装入して熱処理を行うことにより、上述の(1)式に示すように、酸化タングステンの還元反応と、還元反応で得られたタングステンの炭化反応とを進行させて炭化タングステンを得る。なお、本実施形態では、加熱炉として、ロータリーキルン炉を用いている。
ここで、本実施形態では、加熱温度を1400℃以上、加熱温度での保持時間を5分以上とする。このような条件とすることで、(1)式に示す反応を促進することができる。
なお、熱処理工程S05における加熱温度の下限は1600℃以上とすることが好ましい。一方、熱処理工程S05における加熱温度の上限に特に制限はないが、エネルギー削減の観点から、2000℃以下とすることが好ましい。1600℃以上とすることで、炭化タングステンの粒径を0.1μm以上に大きくすることができる。
また、熱処理工程S05における加熱温度での保持時間の下限は15分以上とすることが好ましい。一方、熱処理工程S05における加熱温度での保持時間の上限に特に制限はないがエネルギー削減の観点から、60分以下とすることが好ましい。加熱温度での保持時間を15分以上とすることで、炭化タングステンの粒径を0.1μm以上に大きくすることができる。
また、加熱炉内は不活性雰囲気とする必要がある。不活性ガスとしては、窒素ガス、アルゴンガス等を用いることができる。
さらに、不活性ガスは、造粒物の進行方向とは逆方向(向流)とし、その炉内ガス流速を0.4m/分以下とすることが好ましい。炉内ガス流速は、炉内ガス流速(m/分)=Nの流量(L/分)/ロータリーキルンの断面積(m)×10-3で算出される。(1)式に示す反応によってCOガスが生成するが、不活性ガスの炉内ガス流速を抑えてCOガスの排出を抑制することで、COガスを還元剤として利用することができ、(1)式に示す反応をさらに促進することができる。
なお、不活性ガスの炉内ガス流速は、0.1m/分以下とすることがさらに好ましい。
ここで、本実施形態においては、混合工程S01において使用する炭素粉末のタッピング密度を調整することで、製造される炭化タングステン粉末の粒径を制御する。
酸化タングステン粉末と炭素粉末との混合粉末を造粒した造粒物においては、炭素粉末のタッピング密度が高いほど、造粒物の密度が高くなる。
ここで、密度が高い造粒物においては、造粒物の中の空隙が減少し、酸化タングステン粉末と炭素粉末の距離が接近することになる。その結果、熱処理時において、炉からの伝熱や、化学種(酸化タングステン、炭素など)の物質移動が容易に生じ、固体炭素による還元反応および炭化反応が促進されたことで、炭化タングステンの生成が迅速に完了すると考えられる。
粒成長の模式図を図2に示す。粒成長は粉末粒子同士が接触、結合することで進行する。したがって、粒子同士の距離が近く、接触面が大きいほど、粒成長へ有利に働く。
高密度の造粒物を加熱する条件では、低密度の造粒物を同一時間、同一温度で加熱する条件に比べ、加熱時間初期で炭化反応が完了し、その後の加熱時間を炭化タングステンの粒成長に使用することができる。さらに生成した炭化タングステン粒子の配置は、造粒時の酸化タングステン粉末と炭素粉末の配置を引き継ぐため、密度の高い造粒物を使用した場合、炭化タングステン粒子の同士の距離が近く、接触面が大きくなる。その結果、粒成長が促進され、最終的な炭化タングステンの粒径が増加することになる。
ここで、本実施形態においては、炭素粉末のタッピング密度X(g/cm)と炭化タングステンの粒径Y(μm)の比例関係式 Y=aX+b( a,bはそれぞれ定数)に基づき、酸化タングステンと、目標とする炭化タングステンの粒径Y1に対応するタッピング密度X1の炭素粉末の混合粉末から、炭化タングステンの粒径がY1±10%の炭化タングステン粉末を製造する。
なお、本実施形態においては、熱処理工程S05における加熱炉の加熱温度1600℃、保持時間30分の場合には、炭素粉末のタッピング密度X(g/cm)と炭化タングステンの粒径Y(μm)の関係式Y=0.40X+0.10に基づき、炭素粉末のタッピング密度より、炭化タングステン粉末の粒径を制御することが好ましい。
また、本実施形態においては、炭素粉末のタッピング密度を0.15g/cm以上0.50g/cm以下の範囲内とすることが好ましい。
炭素粉末のタッピング密度を0.15g/cm以上とすることにより、十分に密度の高い造粒物を成形することができ、(1)式に示す反応を促進することが可能となる。一方、炭素粉末のタッピング密度を0.50g/cm以下とすることにより、造粒物の棚吊り等の発生を抑制することができる。
以上のような構成とされた本実施形態である炭化タングステン粉末の製造方法によれば、酸化タングステン粉末と炭素粉末の混合粉末を造粒し、この造粒物を熱処理して炭化タングステン粉末を得る構成とされており、炭素粉末のタッピング密度X(g/cm)と炭化タングステンの粒径Y(μm)の比例関係式 Y=aX+b( a,bはそれぞれ定数)に基づき、使用する前記炭素粉末のタッピング密度を調整しているので、造粒物の密度によって生成した炭化タングステンの粒成長の度合いが変化することになり、製造される炭化タングステン粉末の粒径を制御することが可能となる。
本実施形態である炭化タングステン粉末の製造方法において、加熱炉の加熱温度1600℃、保持時間30分の場合に、関係式Y=0.40X+0.10に基づき、使用する前記炭素粉末のタッピング密度を調整する場合には、製造される炭化タングステン粉末の粒径を制御することが可能となる。
本実施形態である炭化タングステン粉末の製造方法において、炭素粉末のタッピング密度を0.15g/cm以上とした場合には、還元反応および炭化反応を十分に促進でき、炭化タングステン粉末を効率的に製造することが可能となる。一方、炭素粉末のタッピング密度を0.50g/cm以下とした場合には、造粒物の棚吊り等が生じることを抑制でき、安定して炭化タングステン粉末を製造することが可能となる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれに限定されることはなく、その発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、本実施形態では、加熱炉としてロータリーキルン炉を用いるものとして説明したが、これに限定されることはなく、他の構造の加熱炉を用いてもよい。
以下に、本発明の有効性を確認するために行った確認実験の結果について説明する。
酸化タングステン粉末と炭素粉末を混合して混合粉末を得て、この混合粉末に純水を加え湿潤粉末としたのち、押出造粒にて粒径1.0~1.5mmの造粒物を作製した。
上述の造粒物を、窒素雰囲気中のロータリーキルン炉内に装入し、表1に示す条件で熱処理を行い、炭化タングステン粉末を製造した。
このとき、炭素粉末として、表1に示すものをそれぞれ使用した。炭素粉末のタッピング密度は、以下のように測定した。
測定器具として、内径1.5cmで0.2cm毎に目盛りがついた容積20cmのメスシリンダーを使用した。メスシリンダーに炭素粉末を盛り切り充填したあと、容器上部に蓄積した余分な炭素粉末を擦切った。次いで、1.5cmの高さからタッピング速度40回/分で2分間連続してタッピングを行った。その後、0.1g単位で測定可能な天秤で炭素粉末の重量(m)を測定し、炭素粉末の体積(V)を読み取った。炭素タッピング密度(ρt)は以下の式により算出した。
ρt=m/V ・・・(2)
なお、本測定方法にてタッピング時間を2分間としたのは、それ以上タッピングを行っても、体積が減少しなかったためである。
得られた炭化タングステン粉末について、炭化率、および、平均粒径を評価した、評価結果を表1に示す。また、炭素粉末のタッピング密度と平均粒径との関係を図1に示す。
ここで、炭化率は、炭化タングステン粉末のX線回折分析(XRD)から得られる、W、WC、WCの各成分のピーク位置での強度(I、IW2C、IWC)を用いて、炭化率(%)=(IWC/(I+IW2C+IWC))×100で算出した。ここで、Wのピーク位置(2θ)は40.29とし、WCのピーク位置(2θ)は39.46とし、WCのピーク位置(2θ)は35.68とした。分析装置にはRigaku社製UltimaIVを使用した。
平均粒径は、ガス吸着法によりBET比表面積を測定した後、BET比表面積から算出されるBET法換算の平均粒径として示した。BET法による平均粒径とは、粒子を均粒かつ球体とみなし、比表面積より粒径を算出するものである。以下の式により求めることができる。ここで炭化タングステンの理論密度は15.7g/cmである。
BET換算平均粒径[μm] = 6/(理論密度[g/cm3]×BET比表面積[m2/g])
Figure 2023127129000001
表1および図3に示すように、炭素粉末のタッピング密度と製造された炭化タングステン粉末の平均粒径との間に比例関係が確認された。ここで、炭化タングステン粉末の平均粒径をY、炭素粉末のタッピング密度をXとすると、これら関係は以下の式により表現できる。この式を用いることで、炭化タングステン粉末の粒径制御を厳密かつ容易に達成することが可能となる。
Y=0.40X+0.10
また、炭素粉末のタッピング密度を0.15g/m以上とした試験No.A~Dでは、炭化率が99.5%を超えており、炭化タングステン粉末を効率良く製造することができた。
以上のことから、本発明によれば、直接炭化法によって製造される炭化タングステン粉末の粒径を制御することが可能な炭化タングステン粉末の製造方法を提供可能であることが確認された。

Claims (3)

  1. 酸化タングステン粉末と炭素粉末の混合粉末を造粒し、得られた造粒物を不活性ガス雰囲気中で1400℃以上の加熱温度で熱処理し、還元反応および炭化反応によって炭化タングステン粉末を得る構成であり、
    炭素粉末のタッピング密度X(g/cm)と炭化タングステンの粒径Y(μm)の比例関係式
    Y=aX+b( a,bはそれぞれ定数)
    に基づき、酸化タングステンと、目標とする炭化タングステンの粒径Y1に対応するタッピング密度X1の炭素粉末の混合粉末から、炭化タングステンの粒径がY1±10%の炭化タングステン粉末を製造することを特徴とする炭化タングステン粉末の製造方法。
  2. 加熱炉の加熱温度1600℃、保持時間30分の場合において、炭素粉末のタッピング密度X(g/cm)と炭化タングステンの粒径Y(μm)の比例関係式
    Y=0.40X+0.10に基づき、酸化タングステンと、目標とする炭化タングステンの粒径Y1に対応するタッピング密度X1の炭素粉末の混合粉末から、炭化タングステンの粒径がY1±10%の炭化タングステン粉末を製造することを特徴とする請求項1に記載の炭化タングステン粉末の製造方法。
  3. 前記炭素粉末のタッピング密度を0.15g/cm以上0.50g/cm以下の範囲内とすることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の炭化タングステン粉末の製造方法。
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