JP2023126114A - トナー - Google Patents

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隆之 豊田
Takayuki Toyoda
智久 佐野
Tomohisa Sano
昇平 芝原
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Abstract

【課題】使用環境によらず、耐久使用を通して、高い帯電性と現像性、流動性を高いレベルで両立するトナー。【解決手段】トナー粒子及び外添剤を有するトナーであって、該外添剤が、シリカ粒子及びフッ素を含有するハイドロタルサイト粒子を含み、該フッ素を含有するハイドロタルサイト粒子の断面にフッ素が存在し、該トナー粒子100質量部に対する該フッ素を含有するハイドロタルサイト粒子の含有量をWh、該シリカ粒子の含有量をWsとしたとき、Wh及びWsが特定の範囲であり、該シリカ粒子の固体29Si-NMR DD/MAS法で得られるケミカルシフトの-140ppm以上100ppm以下の範囲に存在するピークの面積の総和をSとし、D単位のピークの面積をDとし、Q単位のピークの面積をQとしたとき、該Wh、Ws、S、D及びQが、特定の関係を満たす。【選択図】なし

Description

本開示は、電子写真法などを利用した記録方法に用いられるトナーに関する。
近年、複写機やプリンターには、小型化、高速化、長寿命化に加え、あらゆる環境下においても画質低下することなく、安定した画像が得られることが求められている。
例えば、特許文献1では、高温高湿環境下でも高い帯電性を付与するために、式(A)のようなハイドロタルサイト粒子を外添剤として用いたトナーが提案されている。
式(A) M2+ 3+ (OH)n- (x/n)
(M2+は少なくともMg、Zn、Ca、Ba、Ni、Sr、Cu、Feから選ばれる2価の金属イオンを表し、M3+は少なくともAl、B、Ga、Fe、Co、Inから選ばれる3価の金属イオンを表し、An-は少なくともCO 2-、OH、Cl、I、F、Br、SO 2-、HCO 、CHCOO、NO から選ばれるn価のアニオンを表し、0<x≦0.5、x+y=1であり、m≧0である。)
特開2000-035692号公報
ハイドロタルサイト粒子がトナー粒子表面に存在すると、トナー粒子に対して逆極性となり、帯電が減衰した場合マイクロキャリア的に帯電を上昇させることができる。さらにこれまでの検討で、フッ素を含有するハイドロタルサイト粒子を使用することで、トナーの過剰帯電が抑制され、長期間の連続使用においても、チャージアップを抑制し帯電を均一化できることがわかってきた。
しかしながら、フッ素を含有するハイドロタルサイト粒子とシリカ粒子とを併用すると、フッ素を含有するハイドロタルサイト粒子表面にシリカ粒子が付着し凝集体を形成する場合がある。そして、フッ素を含有するハイドロタルサイト粒子のマイクロキャリア効果を阻害してしまう。
本開示は、使用環境によらず、耐久使用を通して、高い帯電性と現像性、流動性を高いレベルで両立するトナーを提供する。
本開示は、トナー粒子及び外添剤を有するトナーであって、
該外添剤が、シリカ粒子及びハイドロタルサイト粒子を含み、
該トナーのSTEM-EDSマッピング分析におけるライン分析において、該ハイドロタルサイト粒子の内部にフッ素が存在し、
該トナー粒子100質量部に対する該ハイドロタルサイト粒子の含有量をWhとしたとき、Whが、0.040~1.000質量部であり、
該トナー粒子100質量部に対する該シリカ粒子の含有量をWsとしたとき、Wsが、0.08~6.00質量部であり、
該シリカ粒子の固体29Si-NMR DD/MAS法で得られるケミカルシフトの-140~100ppmの範囲に存在するM単位、D単位、T単位、及びQ単位のピークの面積の総和をSとし、-25~-15ppmの範囲にピークトップが存在するD単位のピークの面積をDとし、-130~-85ppmの範囲にピークトップが存在するQ単位のピークの面積をQとしたとき、
該Wh、該Ws、該S、該D及び該Qが、下記式(1)~(3)を満たすトナーに関する。
0.05≦D/Q≦0.50 ・・・(1)
0.95≦D/(S-Q)≦1.00 ・・・(2)
0.4≦Ws/Wh≦20.0 ・・・(3)
本開示により、使用環境によらず、耐久使用を通して、高い帯電性、現像性、流動性を高いレベルで両立するトナーを提供することができる。
STEM-EDSマッピング分析におけるEDSライン分析の模式図
本開示において、数値範囲を表す「XX以上YY以下」や「XX~YY」の記載は、特に断りのない限り、端点である下限及び上限を含む数値範囲を意味する。数値範囲が段階的に記載されている場合、各数値範囲の上限及び下限は任意に組み合わせることができる。
まず、フッ素を含有するハイドロタルサイト粒子はハイドロタルサイトの層間にフッ素がインターカレートしていることで、正電荷を持つハイドロタルサイト粒子の電荷を均一にし、過剰電荷を抑制している。
しかしながら電気陰性度の高いフッ素が層間にインターカレートされることにより、ハイドロタルサイト粒子表面の電荷密度が高くなる。そのためハイドロタルサイト表面に分極の強い物質が近づくと、強い誘起双極子相互作用が働き、付着力が強くなる。外添剤として添加されるシリカの処理状態により、フッ素を含有するハイドロタルサイト粒子の表面にシリカ粒子が付着して凝集体を形成し、ハイドロタルサイト粒子のマイクロキャリア効果を阻害してしまう。
本発明者らは鋭意検討した結果、フッ素を含有するハイドロタルサイト粒子及びシリカ粒子の含有量の関係、並びにシリカの処理状態を適正に制御することが効果的であることが分かった。
すなわち、本開示は、
トナー粒子及び外添剤を有するトナーであって、
該外添剤が、シリカ粒子及びハイドロタルサイト粒子を含み、
該トナーのSTEM-EDSマッピング分析におけるライン分析において、該ハイドロタルサイト粒子の内部にフッ素が存在し、
該トナー粒子100質量部に対する該ハイドロタルサイト粒子の含有量をWhとしたとき、Whが、0.040~1.000質量部であり、
該トナー粒子100質量部に対する該シリカ粒子の含有量をWsとしたとき、Wsが、0.08~6.00質量部であり、
該シリカ粒子の固体29Si-NMR DD/MAS法で得られるケミカルシフトの-140~100ppmの範囲に存在するM単位、D単位、T単位、及びQ単位のピークの面積の総和をSとし、-25~-15ppmの範囲にピークトップが存在するD単位のピークの面積をDとし、-130~-85ppmの範囲にピークトップが存在するQ単位のピークの面積をQとしたとき、
該Wh、該Ws、該S、該D及び該Qが、下記式(1)~(3)を満たすトナーに関する。
0.05≦D/Q≦0.50 ・・・(1)
0.95≦D/(S-Q)≦1.00 ・・・(2)
0.4≦Ws/Wh≦20.0 ・・・(3)
ハイドロタルサイト粒子におけるフッ素含有の有無はトナーのSTEM-EDS分析により確認できる。トナーのSTEM-EDSマッピング分析におけるライン分析において、ハイドロタルサイト粒子の内部にフッ素が存在することが必要である。好ましくはフッ素及びアルミニウムが存在する。当該分析によりハイドロタルサイト粒子の内部にフッ素が検出されることは、フッ素がハイドロタルサイト粒子の層間にインターカレートされていることを表している。ハイドロタルサイト粒子の内部にフッ素が存在することで、トナーの流動性が向上し規制不良を抑制でき、ベタ追従性が向上する。
トナー粒子100質量部に対するハイドロタルサイト粒子の含有量をWhとしたとき、Whは、0.040~1.000質量部である。Whは、好ましくは0.050~0.800質量部であり、より好ましくは0.100~0.500質量部であり、さらに好ましくは0.100~0.400質量部である。
Whが0.040質量部より少ないと、マイクロキャリア効果が十分に発揮されず、帯電立ち上がり性が低下しやすい。一方、Whが1.000質量部より多いと、トナーの流動性が著しく低下することにより、ベタ追従性不良が発生する。
シリカ粒子の表面処理状態は、固体29Si-NMR DD/MAS法によって算出される。DD/MAS測定法では、測定試料中の全てのSi原子が観測されるため、シリカ粒子中のSi原子の化学結合状態について定量的な情報が得られる。
一般的に、固体29Si-NMRでは、固体試料中のSi原子に対し、M単位(式(4))、D単位(式(5))、T単位(式(6))、Q単位(式(7))という4種のピークを観測することができる。
M単位:(R)(R)(R)SiO1/2 式(4)
D単位:(R)(R)Si(O1/2 式(5)
T単位:RSi(O1/2 式(6)
Q単位:Si(O1/2 式(7)
該式(4)、(5)、(6)中のR、R、R、R、R、Rはケイ素に結合している、炭素数1~6の炭化水素基などのアルキル基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アセトキシ基又はアルコキシ基などを示す。
シリカ粒子をDD/MAS測定した場合、Q単位は表面処理される前のシリカ粒子中のSi原子に対応するピークを示す。本開示において、シリカ粒子がシリコーンオイル等の表面処理剤で表面処理されている場合、表面処理剤由来の部分を含めてシリカ粒子という。また、表面処理される前のシリカ粒子をシリカ基体ともいう。M単位、D単位、T単位は上記式(4)~(6)で表されるシリカ表面処理剤の構造に対応するピークを示す。
いずれも、固体29Si-NMRスペクトルのケミカルシフト値によって同定が可能であり、Q単位はケミカルシフトが-130~-85ppmに、T単位は-51~-65ppmに、D単位は-25~-15ppmに、M単位は10~25ppmに表れ、それぞれ積分値によって定量できる。
シリカ粒子の固体29Si-NMR DD/MAS法で得られるケミカルシフトの-140~100ppmの範囲に存在するM単位、D単位、T単位、及びQ単位のピークの面積の総和をSとする。また、-25~-15ppmの範囲にピークトップが存在するD単位のピークの面積をDとし、-130~-85ppmの範囲にピークトップが存在するQ単位のピークの面積をQとする。このとき、S、D及びQは、下記式(1)及び(2)を満たす。
0.05≦D/Q≦0.50 ・・・(1)
0.95≦D/(S-Q)≦1.00 ・・・(2)
パラメータD/Qは、シリカ基体由来のSi原子量に対するD単位を構成するSi原子量を意味する。(S-Q)はシリカ全体のSi原子量からシリカ基体由来のSi原子量を引いたものに相当するため、D/(S-Q)は表面処理剤由来のSi原子量に対するD単位を構成するSi原子量を意味する。
D/Qが0.05より小さいと、シリカ基体に対する表面処理剤の量が少なく十分な疎水性が得られない。D/Qが0.50より大きいと、表面処理剤量が多すぎてシリカ同士の流動性が低下する。
D/Qが0.05以上0.50以下である場合、シリカ粒子の疎水性と流動性の両立ができる。D/Qは、好ましくは0.10以上0.40以下であり、より好ましくは0.20以上0.35以下である。D/Qは、表面処理されたシリカの製造時の原料量を調整することにより制御できる。
D/(S-Q)が0.95より小さいと、表面処理剤の分極が強くなり、シリカ粒子とフッ素を含有するハイドロタルサイト粒子との付着が強く凝集体を形成し、マイクロキャリア効果を阻害してしまう。そのため、耐久後の帯電立ち上がり性が低下し、ブレード融着及び規制不良が発生しやすい。D/(S-Q)は、好ましくは0.98以上1.00以下であり、より好ましくは0.99以上1.00以下である。
D/(S-Q)が大きいほど表面処理剤中のD単位を構成するSi原子が増える。D単位構造のSiはM単位やT単位構造のSi原子よりも分子の対称性が高いためSi-Oの結合部の分極が緩和され、シリカ粒子のフッ素を含有するハイドロタルサイト粒子への付着が抑制される。D/(S-Q)は、表面処理されたシリカの製造時の原料量を調整することにより制御できる。
また、シリカ粒子の固体29Si-NMR DD/MAS法で得られるケミカルシフトの0ppm以上30ppm以下の範囲にピークトップが存在するM単位のピークの面積をMとしたとき、M/Sは、0.010以下であることが好ましく、0.006以下であることがより好ましく、0.002以下であることがさらに好ましい。下限は特に制限されないが、好ましくは0.000以上である。M/Sは、特に好ましくは0.000である。M/Sは、シリカ粒子全体のSi量に対するM単位構造の割合を表している。M/Sが上記範囲であると、シリカ粒子表面のケイ素と酸素の分極が緩和され、シリカ粒子のフッ素を含有するハイドロタルサイト粒子への付着が抑制される。
トナー粒子100質量部に対するシリカ粒子の含有量をWsとしたとき、Wsは、0.08~6.00質量部である。0.10~5.50質量部が好ましく、0.20~5.00質量部がより好ましく、0.50~1.70質量部がさらに好ましく、1.00~1.50質量部がさらにより好ましい。Wsが上記範囲であることで、流動性と耐久性に優れたトナーを得ることができる。
また、フッ素を含有するハイドロタルサイト粒子の含有量Whに対するシリカ粒子の含有量Wsの比(Ws/Wh)は下記式(3)を満たすことが必要である。
0.4≦Ws/Wh≦20.0 ・・・(3)
Ws/Whは、好ましくは1.0以上10.0以下であり、より好ましくは4.0以上8.0以下である。Ws/Whが0.4より小さいとフッ素を含有するハイドロタルサイト粒子に対するシリカ粒子の量が少なく、トナーの流動性が低下する。Ws/Whが20.0より大きいとシリカ粒子がフッ素を含有するハイドロタルサイト粒子よりも多すぎる。そのため、フッ素を含有するハイドロタルサイト粒子とトナー粒子との接触をシリカ粒子が阻害するため、トナーからフッ素を含有するハイドロタルサイト粒子が脱離しやすく
なり、部材汚染などを発生させる。
以上のように、フッ素を含有するハイドロタルサイト粒子と特定のシリカ粒子を組み合わせることで、シリカ粒子とフッ素を含有するハイドロタルサイト粒子の付着を抑制することができる。そのため、耐久初期~後期でもフッ素を含有するハイドロタルサイト粒子はマイクロキャリアとしての本来の性能を発揮することができる。その結果、使用環境によらず、高い帯電性と現像性、流動性を高いレベルで両立できると考えている。
トナーを構成する各成分及びトナーの製造方法についてさらに詳しく説明する。
<結着樹脂>
好ましくは、トナー粒子は結着樹脂を含有する。結着樹脂としては、下記の重合体又は樹脂を用いることが可能である。結着樹脂は、ポリエステル樹脂を含有することが好ましく、非晶性ポリエステルを含有することがより好ましい。
例えば、ポリスチレン、ポリ-p-クロルスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の単重合体;スチレン-p-クロルスチレン共重合体、スチレン-ビニルトルエン共重合体、スチレン-ビニルナフタリン共重合体、スチレン-アクリル酸エステル共重合体、スチレン-メタクリル酸エステル共重合体、スチレン-α-クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン-アクリロニトリル共重合体、スチレン-ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン-ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン-ビニルメチルケトン共重合体、スチレン-アクリロニトリル-インデン共重合体などのスチレン系共重合体;ポリ塩化ビニル、フェノール樹脂、天然樹脂変性フェノール樹脂、天然樹脂変性マレイン酸樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリ酢酸ビニル、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、フラン樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール、テルペン樹脂、クマロン-インデン樹脂、石油系樹脂などが使用できる。
非晶性ポリエステルは、「ポリエステル構造」を結着樹脂鎖中に有している樹脂であり、該ポリエステル構造を構成する成分としては、具体的には、2価以上のアルコールモノマー成分と、2価以上のカルボン酸、2価以上のカルボン酸無水物及び2価以上のカルボン酸エステル等の酸モノマー成分とが挙げられる。
例えば、該2価以上のアルコールモノマー成分として、ポリオキシプロピレン(2.2)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(3.3)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2.0)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(2.0)-ポリオキシエチレン(2.0)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(6)-2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン等のビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ソルビット、1,2,3,6-ヘキサンテトロール、1,4-ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4-ブタントリオール、1,2,5-ペンタントリオール、グリセリン、2-メチルプロパントリオール、2-メチル-1,2,4-ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5-トリヒドロキシメチルベンゼン、イソソルビド等が挙げられる。
これらの中で好ましく用いられるアルコールモノマー成分としては、芳香族ジオールであり、ポリエステル樹脂を構成するアルコールモノマー成分において、芳香族ジオールは、80モル%以上の割合で含有することが好ましい。
一方、2価以上のカルボン酸、2価以上のカルボン酸無水物及び2価以上のカルボン酸エステル等の酸モノマー成分としては、フタル酸、イソフタル酸及びテレフタル酸のような芳香族ジカルボン酸類又はその無水物;コハク酸、アジピン酸、セバシン酸及びアゼライン酸のようなアルキルジカルボン酸類又はその無水物;炭素数6~18のアルキル基又はアルケニル基で置換されたコハク酸もしくはその無水物;フマル酸、マレイン酸及びシトラコン酸のような不飽和ジカルボン酸類又はその無水物;が挙げられる。
これらの中で好ましく用いられる酸モノマー成分としては、テレフタル酸、コハク酸、アジピン酸、フマル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸やその無水物等の多価カルボン酸である。
また、ポリエステル樹脂の酸価は、1mgKOH/g以上50mgKOH/g以下であることが摩擦帯電量の安定性の観点で好ましい。
なお、酸価は、樹脂に用いるモノマーの種類や配合量を調整することにより、上記範囲とすることができる。具体的には、樹脂製造時のアルコールモノマー成分比/酸モノマー成分比、分子量を調整することにより制御できる。また、エステル縮重合後、末端アルコールを多価酸モノマー(例えば、トリメリット酸)で反応させることにより制御できる。
また、結着樹脂として、結晶性ポリエステルを用いることもできる。
<着色剤>
トナー粒子は、着色剤を含有してもよい。着色剤は特に限定されず、例えば以下に示す公知のものを単独又は併用して使用することができる。
黒色着色剤としては、カーボンブラック;イエロー着色剤とマゼンタ着色剤及びシアン着色剤とを用いて黒色に調色したものが挙げられる。
マゼンタ着色顔料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、39、40、41、48:2、48:3,48:4、49、50、51、52、53、54、55、57:1、58、60、63、64、68、81:1、83、87、88、89、90、112、114、122、123、146、147、150、163、184、202、206、207、209、238、269、282;C.I.ピグメントバイオレット19;C.I.バットレッド1、2、10、13、15、23、29、35。
マゼンタ着色染料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ソルベントレッド1、3、8、23、24、25、27、30、49、81、82、83、84、100、109、121;C.I.ディスパースレッド9;C.I.ソルベントバイオレット8、13、14、21、27;C.I.ディスパースバイオレット1などの油溶染料、C.I.ベーシックレッド1、2、9、12、13、14、15、17、18、22、23、24、27、29、32、34、35、36、37、38、39、40;C.I.ベーシックバイオレット1、3、7、10、14、15、21、25、26、27、28などの塩基性染料。
シアン着色顔料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントブルー2、3、15:2、15:3、15:4、16、17;C.I.バットブルー6;C.I.アシッドブルー45、フタロシアニン骨格にフタルイミドメチル基を1~5個置換した銅フタロシアニン顔料。
シアン着色染料としては、C.I.ソルベントブルー70が挙げられる。
イエロー着色顔料としては、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントイエロー1、2、3、4、5、6、7、10、11、12、13、14、15、16、17、23、62、65、73、74、83、93、94、95、97、109、110、111、120、127、128、129、147、151、154、155、168、174、1
75、176、180、181、185;C.I.バットイエロー1、3、20。
イエロー着色染料としては、C.I.ソルベントイエロー162が挙げられる。
上記着色剤の含有量は、トナー粒子中に3.0質量%~15.0質量%であることが好ましい。
<離型剤>
トナー粒子は分離性の観点から離型剤としてワックスを含有することが好ましい。ワックスは、特に限定されないが、例えば以下のものが挙げられる。
低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、アルキレン共重合体、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックスなどの炭化水素系ワックス;酸化ポリエチレンワックスなどの炭化水素系ワックスの酸化物又はそれらのブロック共重合物;カルナバワックスなどの脂肪酸エステルを主成分とするワックス類;脱酸カルナバワックスなどの脂肪酸エステル類を一部又は全部を脱酸化したもの。
さらに、以下のものが挙げられる。パルミチン酸、ステアリン酸、モンタン酸などの飽和直鎖脂肪酸類;ブラシジン酸、エレオステアリン酸、パリナリン酸などの不飽和脂肪酸類;ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコールなどの飽和アルコール類;ソルビトールなどの多価アルコール類;パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、モンタン酸などの脂肪酸類と、ステアリルアルコール、アラルキルアルコール、ベヘニルアルコール、カルナウビルアルコール、セリルアルコール、メリシルアルコールなどのアルコール類とのエステル類;リノール酸アミド、オレイン酸アミド、ラウリン酸アミドなどの脂肪酸アミド類;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスカプリン酸アミド、エチレンビスラウリン酸アミド、ヘキサメチレンビスステアリン酸アミドなどの飽和脂肪酸ビスアミド類;エチレンビスオレイン酸アミド、ヘキサメチレンビスオレイン酸アミド、N,N’ジオレイルアジピン酸アミド、N,N’ジオレイルセバシン酸アミドなどの不飽和脂肪酸アミド類;m-キシレンビスステアリン酸アミド、N,N’ジステアリルイソフタル酸アミドなどの芳香族系ビスアミド類;ステアリン酸カルシウム、ラウリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムなどの脂肪族金属塩(一般的に金属石けんといわれているもの);脂肪族炭化水素系ワックスにスチレンやアクリル酸などのビニル系モノマーを用いてグラフト化させたワックス類;ベヘニン酸モノグリセリドなどの脂肪酸と多価アルコールの部分エステル化物;植物性油脂の水素添加によって得られるヒドロキシル基を有するメチルエステル化合物。
これらの離型剤の中でも、低温定着性及び耐ホットオフセット性を向上させるという観点から、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックスなどの炭化水素系ワックス、又はカルナバワックスなどの脂肪酸エステル系ワックスが好ましい。
離型剤の含有量は、トナー粒子中に3.0質量%~15.0質量%であることが好ましい。離型剤の含有量がこの範囲にあるとき、耐ホットオフセット性を効率的に発揮することが可能となりやすい。
<荷電制御剤>
トナー粒子は荷電制御剤を含有してもよい。荷電制御剤としては特に制限されず、公知のものが使用できる。特に帯電スピードが速く、かつ、一定の帯電量を安定して維持できる荷電制御剤が好ましい。荷電制御剤はトナー粒子に対して内添してもよいし外添してもよい。
荷電制御剤として、トナー粒子を負荷電性に制御するものとしては、例えば以下のものが挙げられる。有機金属化合物及びキレート化合物として、モノアゾ金属化合物、アセチルアセトン金属化合物、芳香族オキシカルボン酸、芳香族ダイカルボン酸、オキシカルボン酸及びダイカルボン酸系の金属化合物。他には、芳香族オキシカルボン酸、芳香族モノ
及びポリカルボン酸及びその金属塩、無水物、又はエステル類、ビスフェノールのようなフェノール誘導体類なども含まれる。さらに、尿素誘導体、含金属サリチル酸系化合物、含金属ナフトエ酸系化合物、ホウ素化合物、4級アンモニウム塩、カリックスアレーンが挙げられる。
一方、トナー粒子を正荷電性に制御する荷電制御剤としては、例えば以下のものが挙げられる。ニグロシン及び脂肪酸金属塩によるニグロシン変性物;グアニジン化合物;イミダゾール化合物;トリブチルベンジルアンモニウム-1-ヒドロキシ-4-ナフトスルフォン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレートのような4級アンモニウム塩、及びこれらの類似体であるホスホニウム塩のようなオニウム塩及びこれらのレーキ顔料;トリフェニルメタン染料及びこれらのレーキ顔料(レーキ化剤としては、リンタングステン酸、リンモリブデン酸、リンタングステンモリブデン酸、タンニン酸、ラウリン酸、没食子酸、フェリシアン化物、フェロシアン化物など);高級脂肪酸の金属塩;樹脂系荷電制御剤。
これら荷電制御剤は単独で又は2種類以上を組み合わせて使用することができる。トナー粒子中のこれらの荷電制御剤の含有量は、0.01質量%~10質量%であることが好ましい。
<外添剤>
トナーは外添剤として、ハイドロタルサイト粒子を含有する。ハイドロタルサイト粒子は、一般に下記構造式(A)で表される。
2+ 3+ (OH)n- (x/n)・mHO ・・・(A)
ここで、0<x≦0.5、y=1-x、m≧0である。
2+、及びM3+はそれぞれ2価及び3価の金属を表す。
2+はMg、Zn、Ca、Ba、Ni、Sr、Cu、及びFeからなる群より選ばれる少なくとも一の2価の金属イオンであることが好ましい。M3+はAl、B、Ga、Fe、Co、及びInからなる群より選ばれる少なくとも一の3価の金属イオンであることが好ましい。
n-はn価のアニオンで、CO 2-、OH、Cl、I、F、Br、SO 2-、HCO 、CHCOO、及びNO が挙げられ、単独又は複数種が存在しても構わない。
ハイドロタルサイト粒子は、An-として少なくともFを含有する。すなわち、ハイドロタルサイト粒子はフッ素を含有する。また、ハイドロタルサイト粒子はM3+として少なくともAlを含有することが好ましい。また、M2+として少なくともMgを含有することが好ましい。
具体的には、Mg8.6Al(OH)25.2CO・mHO、Mg12Al(OH)32CO・mHOなどが挙げられる。
ハイドロタルサイト粒子は異なる元素を複数含有する固溶体であってもよい。また、1価の金属を微量含んでもよい。
ハイドロタルサイト粒子は、さらにアルミニウムを含有することが好ましく、マグネシウム及びアルミニウムを含有することがより好ましい。
トナーのSTEM-EDSマッピング分析によるハイドロタルサイト粒子の主成分マッピングから得られた、ハイドロタルサイト粒子におけるフッ素のアルミニウムに対する原子数濃度の比の値F/Al(元素比)は0.02~0.60であることが好ましく、0.04~0.60であることがより好ましく、0.04~0.30であることがさらに好ましい。
F/Alが0.02以上であると、フッ素によるチャージアップ抑制効果が得られやす
い。F/Alが0.60以下であると、ハイドロタルサイト粒子がトナーから脱離しにくく、耐久使用を通して現像性がより良好になる。
F/Alはハイドロタルサイト粒子の製造時のフッ素の濃度を調整することで制御できる。
トナーのSTEM-EDSマッピング分析によるハイドロタルサイト粒子の主成分マッピングから得られた、ハイドロタルサイト粒子におけるマグネシウムのアルミニウムに対する原子数濃度の比の値Mg/Al(元素比)は、1.5~4.0であることが好ましく、1.6~3.8であることがより好ましい。
Mg/Alはハイドロタルサイト製造時の原料量を調整することで制御できる。
Mg/Alが1.5以上であると、Alの影響でハイドロタルサイト粒子の正電荷がより適切になり、トナー粒子とハイドロタルサイト粒子との付着力が良好になり、所望のマイクロキャリア効果が得られやすい。Mg/Alが4.0以下であると、ハイドロタルサイト粒子全体の正帯電性が高まり、トナーへの電荷の付与能がより良好になる。
また、ハイドロタルサイト粒子は、その分子内に水を有していることが好ましく、式(A)において、0.1<m<0.6であることがより好ましい。
mが0.1以上であると、トナーがチャージアップした場合、トナーの帯電を中和し安定化させやすい。mが0.6以下であると、抵抗が上がり、帯電性がより良好になる。
ハイドロタルサイト粒子の一次粒子の個数平均粒径Dhは、60~1000nmであることが好ましく、60~800nmであることがより好ましく、200~600nmであることがさらに好ましい。
個数平均粒径Dhが1000nm以下の場合、トナーの流動性が向上しやすくなる、耐久時の帯電性がより良好になる。
ハイドロタルサイト粒子は、表面処理剤によって疎水化処理されていてもよい。表面処理剤としては、高級脂肪酸類、カップリング剤類、エステル類、シリコーンオイルのようなオイル類が使用可能である。中でも高級脂肪酸類が好ましく用いられ、具体的には、ステアリン酸、オレイン酸、ラウリル酸が例示される。
さらに、トナーは外添剤として、シリカ粒子を含有する。
シリカ粒子は、前述の通り、D/Q及びD/(S-Q)が特定の範囲を満たす。シリカ粒子は表面処理剤により疎水化処理されていることが好ましい。例えば、シリカ粒子は、好ましくはシリカ基体粒子及びシリカ基体粒子の表面の表面処理剤を含む。シリカ粒子の基体となるシリカは、公知の方法によって得られたシリカ粒子を特に制限なく使用することができる。例えば、フュームドシリカ、湿式法シリカ、ゾル-ゲル法シリカなどが代表的である。また、これらのシリカは一部又は全部が溶融されたシリカであってもよい。
フュームドシリカ、湿式シリカなどの中から、個別トナーの要求特性に応じて好適なものを適宜選択して使用することが可能である。特に、フュームドシリカは、流動性付与効果に優れており、電子写真トナー用外添剤に使用するシリカ基体として好適である。
シリカ粒子は疎水性、流動性を付与する目的でシリカ基体を表面処理したものを用いることが好ましい。表面処理方法としては、シリカ基体と反応あるいは物理吸着するケイ素化合物で化学的に処理する方法が挙げられる。
シリカの表面処理剤としては、シラン化合物、シランカップリング剤、未変性のシリコーンオイル、各種変性シリコーンオイル、その他有機ケイ素化合物などが挙げられる。こ
れらの処理剤は単独で用いてもよいし複数を併用してもよい。この中で特に好ましいものは未変性シリコーンオイルであり、特に好ましくは、シリコーンオイルは、フッ素を含有するハイドロタルサイト粒子への付着性の観点より、分極の少ないD単位で構成されているポリジメチルシロキサンである。
すなわち、シリカ粒子は、表面がシリコーンオイルで処理されたシリコーンオイル処理シリカ粒子であることが好ましい。
一般的に、トナー流動性の観点から、シリコーンオイル処理シリカ粒子はHMDSなどで処理されたシリカ粒子より劣る。しかしながら、トナーが外添剤としてフッ素含有ハイドロタルサイト粒子を含有すると、フッ素含有ハイドロタルサイト粒子とトナーに外添されたシリコーンオイル処理シリカ粒子との付着力が低下するため、HMDSなどで処理されたシリカ粒子を外添した場合に比べトナーの流動性が良化するため好ましい。
シリカ粒子の個数平均粒径Dsは、5~100nmであることが好ましく、6~50nmであることがより好ましく、7~40nmであることがさらに好ましい。トナー粒子に、この粒径範囲のシリカ粒子を外添することで、トナーの帯電性、流動性等のトナー特性を調整し良好な現像特性を得ることができ、トナーに付与する流動性及び帯電性が耐久を通じて確保しやすくなる。
シリカ粒子の個数平均粒径Ds(nm)に対するフッ素を含有するハイドロタルサイト粒子の個数平均粒径Dh(nm)の比の値Dh/Dsは、5.0~200.0が好ましい。より好ましくは10.0~100.0であり、さらに好ましくは13.0~60.0である。Dh/Dsが5.0以上であると、フッ素を含有するハイドロタルサイト粒子のマイクロキャリア効果がより発揮されやすく、トナーの帯電立ち上がりがより向上する。一方、Dh/Dsが200.0以下であるとトナーの流動性がより向上する。
シリカ粒子の真円度は0.80未満であることが好ましく、0.70以上0.75以下であることがより好ましい。シリカ粒子の真円度が0.80未満であるとトナーからシリカ粒子が脱離しにくく、部材汚染を抑制しやすい。
<トナーの製造方法>
トナー粒子の製造方法は、特に制限されず、公知の方法を採用しうる。例えば、乳化凝集法・溶解懸濁法・懸濁重合法のような、親水性媒体中で直接トナーを製造する方法が挙げられる。また、粉砕法を用いてもよく、粉砕法により得られたトナーを熱球形化してもよい。
その中でも、乳化凝集法で製造されたトナーが本開示の効果を得やすい。すなわち、トナー粒子が乳化凝集トナー粒子であることが好ましい。
その理由は、製造工程で利用する凝集剤が多価金属イオンを有しているためである。この多価金属イオンが結着樹脂中に存在することで、発生した電荷をトナー内部で分散し、トナーの帯電性をより安定化させることができる。多価金属イオンは、アルミニウムイオン、鉄イオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオンからなる群から選択される少なくとも一であることが好ましい。
以下、乳化凝集法によるトナー粒子の製造方法を例示して詳細に説明する。
(分散液調製工程)
結着樹脂粒子分散液は、例えば、以下のようにして調製される。結着樹脂が、ビニル系単量体の単独重合体又は共重合体(ビニル系樹脂)である場合には、ビニル系単量体をイオン性界面活性剤中で乳化重合やシード重合等行うことにより、ビニル系樹脂の粒子をイオン性界面活性剤に分散させてなる分散液が調製される。
結着樹脂が、ポリエステル樹脂などのビニル系樹脂以外の樹脂の場合には、イオン性界
面活性剤や高分子電解質を溶解した水系媒体に該樹脂を混合する。
その後、この溶液を樹脂の融点又は軟化点以上に加熱して溶解させ、ホモジナイザー等の剪断力の強力な分散機を用い、結着樹脂粒子をイオン性界面活性剤に分散させてなる分散液が調製される。
分散の手段としては、特に制限はないが、例えば、回転剪断型ホモジナイザーやメディアを有するボールミル、サンドミル、ダイノミルなどのそれ自体公知の分散装置が挙げられる。
また、分散液を調製する方法として転相乳化法を用いてもよい。転相乳化法は、結着樹脂を有機溶媒に溶解し、必要に応じて中和剤や分散安定剤を添加して、撹拌下にて、水系溶媒を滴下して、乳化粒子を得た後、樹脂分散液中の有機溶媒を除去して、乳化液を得る方法である。このとき、中和剤や分散安定剤の投入順は変更してもよい。
結着樹脂粒子の個数平均粒径としては、通常1μm以下であり、0.01μm~1.00μmであることが好ましい。個数平均粒径が1.00μm以下であると、最終的に得られるトナーの粒径分布が好適であり、遊離粒子の発生が抑制できる。また、個数平均粒径が前記範囲内にあると、トナー間の偏在が減少し、トナー中の分散が良好となり、性能や信頼性のバラツキが小さくなる。
乳化凝集法では、必要に応じて、着色剤粒子分散液を用いることができる。着色剤粒子分散液は、少なくとも着色剤粒子を分散剤中に分散させてなるものである。着色剤粒子の個数平均粒径としては、0.5μm以下が好ましく、0.2μm以下がより好ましい。前記個数平均粒径が0.5μm以下であると、可視光の乱反射を防ぐことができ、凝集工程において結着樹脂粒子と着色剤粒子とを凝集させやすい。個数平均粒径が前記範囲内にあると、トナー間の偏在が減少し、トナー中の分散が良好となり、性能や信頼性のバラツキが小さくなる。
乳化凝集法では、必要に応じて、ワックス粒子分散液を用いることができる。ワックス粒子分散液は、少なくともワックス粒子を分散剤中に分散させてなるものである。ワックス粒子の個数平均粒径としては、2.0μm以下が好ましく、1.0μm以下がより好ましい。個数平均粒径が2.0μm以下であると、トナー粒子間でワックスの含有量にかたよりが少なく、長期にわたった画像の安定性が良好になる。個数平均粒径が前記範囲内にあると、トナー間の偏在が減少し、トナー中の分散が良好となり、性能や信頼性のバラツキが小さくなる。
着色剤粒子、結着樹脂粒子及びワックス粒子の組み合わせとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜自由に選択することができる。
上記分散液のほか、分散剤中に適宜選択した粒子を分散させてなるその他の粒子分散液をさらに混合してもよい。
該その他の粒子分散液に含まれる粒子としては、特に制限はなく目的に応じ適宜選択することができ、例えば、内添剤粒子、荷電制御剤粒子、無機粒子、研磨材粒子などが挙げられる。なお、これらの粒子は、結着樹脂粒子分散液中や着色剤粒子分散液中に分散させてもよい。
結着樹脂粒子分散液、着色剤粒子分散液、ワックス微分散液、その他の粒子分散液等に含まれる分散剤としては、例えば、極性界面活性剤を含有する水系媒体などが挙げられる。水系媒体としては、例えば、蒸留水、イオン交換水等の水、アルコール類などが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。極性界面活性剤の含有量としては、一概に規定することはできず、目的に応じて適宜選択することができる。
極性界面活性剤としては、例えば、硫酸エステル塩系、スルホン酸塩系、リン酸エステ
ル系、せっけん系等のアニオン界面活性剤;アミン塩型、4級アンモニウム塩型等のカチオン界面活性剤などが挙げられる。
アニオン界面活性剤の具体例としては、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、アルキルナフタレンスルホン酸ナトリウム、ジアルキルスルホコハク酸ナトリウムなどが挙げられる。
カチオン界面活性剤の具体例としては、アルキルベンゼンジメチルアンモニウムクロライド、アルキルトリメチルアンモニウムクロライド、ジステアリルアンモニウムクロライドなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの極性界面活性剤と、非極性界面活性剤とを併用することもできる。非極性界面活性剤としては、例えば、ポリエチレングリコール系、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物系、多価アルコール系等の非イオン系界面活性剤などが挙げられる。
着色剤粒子の含有量は、凝集粒子が形成された際の凝集粒子分散液中の結着樹脂100質量部に対して、0.1質量部~30質量部であることが好ましい。
ワックス粒子の含有量は、凝集粒子が形成された際の凝集粒子分散液中の結着樹脂100質量部に対して、0.5質量部~25質量部が好ましく、5質量部~20質量部がより好ましい。
さらに、得られるトナーの帯電性をより詳細に制御するために、帯電制御粒子及び結着樹脂粒子を凝集粒子が形成された後に添加してもよい。
なお、結着樹脂粒子、及び着色剤粒子などの粒子の粒径測定は堀場製作所製レーザー回折/散乱式粒度分布測定装置LA-960V2を用いて行う。
(凝集工程)
凝集粒子を形成する凝集工程は、結着樹脂粒子、並びに必要に応じて着色剤粒子、及びワックス粒子等を含む水系媒体中で、結着樹脂粒子、並びに必要に応じて添加される着色剤粒子及びワックス粒子等を含む凝集粒子を形成する工程である。
凝集粒子は、例えばpH調整剤、凝集剤、安定剤を水系媒体中に添加し混合し、温度、機械的動力等を適宜加えることにより該水系媒体中に形成することができる。
pH調整剤としては、アンモニア、水酸化ナトリウム等のアルカリ、硝酸、クエン酸等の酸があげられる。凝集剤としては、ナトリウム、カリウム等の1価の金属塩;カルシウム、マグネシウム等の2価の金属塩;鉄、アルミニウム等の3価の金属塩等;メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類があげられる。
安定剤としては、主に極性界面活性剤そのもの又はそれを含有する水系媒体などが挙げられる。例えば、各粒子分散液に含まれる極性界面活性剤がアニオン性の場合には、安定剤としてカチオン性のものを選択することができる。
凝集剤等の添加・混合は、水系媒体中に含まれる樹脂のガラス転移温度以下の温度で行うのが好ましい。この温度条件下で混合を行うと、凝集が安定した状態で進行する。混合は、例えばそれ自体公知の混合装置、ホモジナイザー、ミキサー等を用いて行うことができる。
また、凝集工程において、凝集粒子の表面に、第2の結着樹脂粒子を含む結着樹脂粒子分散液を用いて、第2の結着樹脂粒子を付着させ、被覆層(シェル層)を形成することによりコア粒子表面にシェル層が形成されたコア/シェル構造を持つトナー粒子を得ることも可能である。
なお、この際用いる第2の結着樹脂粒子は、コア粒子を構成する結着樹脂粒子と同じであってもよく、異なったものであってもよい。なお、凝集工程は、段階的に複数回に分けて繰り返し実施してもよい。
(融合工程)
融合工程は、得られた凝集粒子を加熱して融着する工程である。融合工程に入る前に、トナー粒子間の融着を防ぐため、pH調整剤、極性界面活性剤、非極性界面活性剤等を適宜投入することができる。
加熱の温度としては、凝集粒子に含まれる樹脂のガラス転移温度(樹脂の種類が2種類以上の場合は最も高いガラス転移温度を有する樹脂のガラス転移温度)~樹脂の分解温度であればよい。したがって、前記加熱の温度は、前記結着樹脂粒子の樹脂の種類に応じて異なり、一概に規定することはできないが、一般的には凝集粒子に含まれる樹脂のガラス転移温度以上140℃以下である。なお、加熱は、それ自体公知の加熱装置・器具を用いて行うことができる。
融着の時間としては、加熱の温度が高ければ短い時間で足り、加熱の温度が低ければ長い時間が必要である。即ち、融合の時間は、加熱の温度に依存するので一概に規定することはできないが、一般的には30分以上10時間以下である。
上記の各工程を経ることにより得られたトナー粒子は、公知の方法に従って固液分離し、トナー粒子を回収し、次いで、適宜の条件で洗浄、乾燥等することができる。
トナー粒子の体積基準のメジアン径は、3.0μm以上10.0μm以下であることが好ましい。
(外添工程)
得られたトナー粒子に対し、ハイドロタルサイト粒子とシリカ粒子を添加することによってトナーを得ることができる。必要に応じて、本開示の効果を損なわない程度に、その他の外添剤を添加してもよい。
以下、各物性の測定方法を説明する。
<シリカ粒子の一次粒子の個数平均粒径Ds及びハイドロタルサイト粒子の一次粒子の個数平均粒径の測定方法>
FE-SEM S-4800(日立製作所製)により、10万倍の倍率で、トナー表面の写真を撮影する。その拡大写真を用いて100個以上のシリカ粒子の一次粒子の粒径を測定し、算術平均からシリカ粒子の個数平均粒径(Ds)を求める。
ハイドロタルサイト粒子の個数平均粒径の測定は、走査型電子顕微鏡「S-4800」(商品名;日立製作所製)及びエネルギー分散型X線分析(EDS)による元素分析を組み合わせて行う。外添剤が外添されたトナーを観察して、最大20万倍に拡大した視野において、ハイドロタルサイト粒子を撮影する。撮影された画像から、ハイドロタルサイト粒子を選び出し、ランダムに100個のハイドロタルサイト粒子の一次粒子の長径を測定して個数平均粒径Dhを求める。観察倍率は、外添剤の大きさによって適宜調整する。ここで、観察上、一粒と見える粒子は一次粒子として判断する。
なお、外添前のシリカ粒子又はフッ素を含有するハイドロタルサイト粒子を入手可能な場合は、それを用いて上記方法により個数平均粒径を算出することもできる。
なお、粒径は、形状が球状の場合はその絶対最大長を、長径と短径を有する場合は長径を、粒径としてカウントする。
また、トナー表面においてハイドロタルサイト粒子は、以下の方法により区別することができる。
<シリカ粒子及びハイドロタルサイト粒子の同定方法>
シリカ粒子及びハイドロタルサイト粒子の同定は、走査型電子顕微鏡(SEM)による形状観察、及びエネルギー分散型X線分析(EDS)による元素分析を組み合わせることで行うことができる。
走査型電子顕微鏡「S-4800」(商品名;日立製作所製)を用いて、最大5万倍に拡大した視野において、トナーを観察する。トナー粒子表面にピントを合わせて、判別対象の外添剤を観察する。判別対象の外添剤のEDS分析を行い、元素ピークの種類からシ
リカ粒子及びハイドロタルサイト粒子の同定を行うことができる。
元素ピークとして、ハイドロタルサイト粒子を構成しうる金属であるMg、Zn、Ca、Ba、Ni、Sr、Cu、Feからなる群より選ばれる少なくとも一の金属の元素ピーク、及び、Al、B、Ga、Fe、Co、Inからなる群より選ばれる少なくとも一の金属の元素ピークが観察された場合に、該2種の金属を含むハイドロタルサイト粒子の存在を類推することができる。
シリカ粒子の場合は、Si、Oの元素ピークが観察された場合に、シリカ粒子の存在を類推することができる。
EDS分析により類推されたハイドロタルサイト粒子及びシリカ粒子の標品を別途準備して、SEMによる形状観察及びEDS分析を行う。標品の分析結果が、判別対象の粒子の分析結果と一致するか否かを比較し、ハイドロタルサイト粒子及びシリカ粒子であるか否かを判断する。
<ハイドロタルサイト粒子の元素比の測定方法とハイドロタルサイト粒子の内部のフッ素及びアルミニウムの分析方法>
ハイドロタルサイト粒子の各元素比の測定は、走査透過型電子顕微鏡(STEM)を用いた、トナーのEDSマッピング測定により行う。EDSマッピング測定では、分析エリアの各画素(ピクセル)ごとにスペクトルデータをもつ。大きな検出素子面積をもつシリコンドリフト検出器を使用することで、高感度にEDSマッピングを測定することができる。
EDSマッピング測定により得られた各画素のスペクトルデータについて統計解析を行うことにより、スペクトルの似通った画素を抽出した主成分マッピングを得ることができ、成分を特定したマッピングが可能となる。
観察用サンプルの作製は以下の手順で行う。
トナー0.5gを秤量し、直径8mmの円柱形の型により、ニュートンプレスを用いて荷重40kNで2分間静置し、直径8mm、厚さ約1mmの円柱形のトナーペレットを作製する。ウルトラミクロトーム(Leica社、FC7)によりトナーペレットから200nm厚の薄片を作製する。
STEM-EDS分析は下記装置及び条件で行う。
走査透過型電子顕微鏡;日本電子社製 JEM-2800
EDS検出器;日本電子社 JED-2300T ドライSD100GV検出器(検出素子面積:100mm
EDSアナライザー;サーモフィッシャーサイエンティフィック社製 NORAN System 7
[STEM-EDSの条件]
・STEMの加速電圧:200kV
・倍率:20,000倍
・プローブサイズ 1nm
STEM画像サイズ;1024×1024pixel(同一位置のEDS元素マッピング像を取得する。)
EDSマッピングサイズ;256×256pixel、Dwell Time;30μs、積算回数;100フレーム
多変量解析に基づくハイドロタルサイト粒子中の各元素比率の算出は以下のようにして求める。
上記STEM-EDS分析装置によって、EDSマッピングを得る。次いで、収集したスペクトルマッピングデータを、上述したNORAN System 7の測定コマンド
にあるCOMPASS(PCA)モードを用いて多変量解析を行い、主成分マップイメージを抽出する。
その際に、設定値は以下のとおりとする。
・カーネルサイズ:3×3pixel
・定量マップ設定:高(遅い)
・フィルターフィットタイプ:高精度(スロー)
同時に、この操作により、抽出される各主成分のEDS測定視野に占める面積比率が算出される。得られた各主成分マッピングがもつEDSスペクトルに対し、クリフ・ロリマー法により定量分析を実施する。
トナー粒子部分とハイドロタルサイト粒子との区別は、得られたSTEM-EDS主成分マッピングの、上記定量分析結果をもとに行う。粒子サイズ、形状、アルミニウムやマグネシウムのような多価金属の含有量、及びその量比から該当粒子をハイドロタルサイト粒子と同定できる。
また、下記手段により、ハイドロタルサイト粒子の内部にフッ素が存在している場合、ハイドロタルサイト粒子の内部にフッ素が存在すると判断しうる。
(ハイドロタルサイト粒子のフッ素及びアルミニウムの分析方法)
上述の方法で得られたSTEM-EDSマッピング分析によるマッピングデータをもとに、ハイドロタルサイト粒子のフッ素及びアルミニウムの分析を行う。具体的には、ハイドロタルサイト粒子の外周に対して法線方向にEDSライン分析を行い、粒子内部に存在するフッ素及びアルミニウムの分析を行う。
ライン分析の模式図を図1(a)に示す。トナー粒子1、及びトナー粒子2に隣接しているハイドロタルサイト粒子3において、ハイドロタルサイト粒子3の外周に対して法線方向、すなわち、5の方向にライン分析を行う。なお、4はトナー粒子の境界を示す。
取得したSTEM像中のハイドロタルサイト粒子が存在する範囲を矩形選択ツールで選択し、以下の条件でライン分析を行う。
ライン分析条件
STEM倍率;800,000倍
ライン長さ;200nm
ライン幅;30nm
ライン分割数;100点(2nmごとに強度測定)
ハイドロタルサイト粒子のEDSスペクトルにおいてフッ素又はアルミニウムの元素ピーク強度がバックグラウンド強度の1.5倍以上存在する場合、かつ、ライン分析におけるハイドロタルサイト粒子の両端部(図1(a)の点a、点b)におけるフッ素又はアルミニウムの元素ピーク強度が、それぞれ点cにおけるピーク強度の3.0倍を超えない場合に、その元素がハイドロタルサイト粒子の内部に含有されていると判断する。なお点cは、線分abの中点(すなわち、上記両端部の中点)とする。
ライン分析で得られたフッ素及びアルミニウムのX線強度の例を、図1(b)及び図1(c)に示す。ハイドロタルサイト粒子が内部にフッ素及びアルミニウムを含む場合、ピーク強度で規格化したX線強度のグラフは図1(b)のような形状を示す。ハイドロタルサイト粒子が表面処理剤由来のフッ素を含む場合、ピーク強度で規格化したX線強度のグラフは図1(c)のように、フッ素のグラフにおいて両端部の点、a、b付近にピークを有する。ライン分析における、フッ素及びアルミニウム由来のX線強度を確認することで、ハイドロタルサイト粒子が内部にフッ素及びアルミニウムを含有していることを確認できる。
(ハイドロタルサイト粒子におけるフッ素のアルミニウムに対する原子数濃度の比の値(元素比)F/Alの算出方法)
上述のSTEM-EDSマッピング分析によるハイドロタルサイト粒子由来の主成分マッピングから得られた、ハイドロタルサイト粒子におけるフッ素とアルミニウムの原子数濃度の比(元素比)F/Alを複数の視野で取得し、該当粒子100個以上についての相加平均をとることで、ハイドロタルサイト粒子におけるフッ素のアルミニウムに対する原子数濃度の比(元素比)F/Alとする。
<ハイドロタルサイト粒子におけるマグネシウムのアルミニウムに対する原子数濃度の比の値(元素比)Mg/Alの算出方法>
上述のハイドロタルサイト粒子におけるフッ素のアルミニウムに対する原子数濃度の比(元素比)F/Alの算出方法と同様の方法で、マグネシウムとアルミニウムについて行い、ハイドロタルサイト粒子のマグネシウムのアルミニウムに対する原子数濃度の比(元素比)Mg/Alを算出する
<シリカ粒子の真円度の測定方法>
シリカ粒子の真円度の測定は、日立超高分解能電界放出形走査電子顕微鏡S-4800((株)日立ハイテクノロジーズ)にて撮影したトナー表面観察画像を、画像解析ソフトImageJ(開発元 Wayne Rashand)を用いて解析することで算出する。測定手順を以下に示す。
(1)試料作製
試料台(アルミニウム試料台15mm×6mm)に導電性ペーストを薄く塗り、その上にトナーを付着させる。ブロアーを用いて、余剰のトナーをエアブローした後、十分乾燥させる。試料台を試料ホルダにセットする。
(2)S-4800観察条件
観察条件を以下に示す。
加速電圧:0.8kV
エミッション電流:20μA
検出器:[SE上(U)]、[+BSE(L.A.100)]
プローブ電流:[Normal]
焦点モード:[UHR]
WD:[3.0mm]
(3)画像保存
ABCモードで明るさ合わせを行い、サイズ640×480ピクセルで写真撮影して保存する。この画像ファイルを用いて下記の解析を行う。このときトナー表面の比較的平らな部分(観察面全体にピントが合う視野)を選び、画像を得る。観察倍率は、観察対象の粒子の大きさによって適宜調整する。
(4)画像解析
得られたSEM観察像から、画像処理ソフトImageJ(開発元 Wayne Rashand)を用いて、真円度を算出する。算出の手順を以下に示す。
[1][Analyze]-[Set Scale]にて、スケールの設定を行う。
[2][Image]-[Adjust]-[Threshold]で閾値を設定する。(ノイズが残らず、測定対象である無機微粒子が残る値に設定)
[3][Image]-[Crop]で、測定したシリカ粒子の画像部分を選択する。
[4]粒子が重なっているものは画像編集により消去する。
[5][Edit]-[Invert]で白黒の画像を反転させる。
[6][Analyze]-[Set Measurements]で[Area]、[Shape Descriptors]をチェックする。また、[Redirect to]を[None]、
[Decimal Place(0-9)]を3に設定する。
[7][Analyze]-[Analyze Particle]で、粒子の面積を0
.0003μm以上に指定し、実行する。
[8]各粒子の真円度(circularity)の値を得る。
[9]観察した粒子100個以上について測定を行い、得られた真円度の相加平均値を算出し、真円度とする。
なお、この測定はトナー粒子表面に複数種の微粒子が含まれているトナーに対しても同様に行える。S―4800で反射電子像の観察を行った際に、上述した同定方法を用いて、各粒子の元素を特定することが可能である。また、形状の特徴等から同一種の粒子を選び出すことが可能である。同一種の粒子に対して上記測定を行うことで、粒子の種類毎の真円度を算出することができる。上述の個数平均粒径(Ds、Dh)の測定についても同様に、微粒子の種類毎に算出することができる。
なお、外添前のシリカ粒子を入手可能な場合は、それを用いて上記方法により真円度を算出することもできる。
<シリカ粒子の固体29Si-NMR DD/MAS測定によるD/Q及びD/(S-Q)の算出法>
シリカ粒子の固体29Si-NMR測定はシリカ粒子をトナー表面から分離して行う。以下では、シリカ粒子のトナー表面からの分離方法と固体29Si-NMR測定について記載する。
<シリカ粒子のトナー表面からの分離方法>
トナーの表面から分離したシリカ粒子を測定試料とする場合、シリカ粒子のトナーからの分離は以下の手順で行う。
イオン交換水1Lにスクロース(キシダ化学製)1.6kgを加え、湯せんをしながら溶解させて、ショ糖濃厚液を調製する。遠心分離用チューブに該ショ糖濃厚液31gと、6mLのコンタミノンN(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)を入れ、分散液を作製する。この分散液にトナー10gを添加し、スパチュラ等でトナーのかたまりをほぐす。
遠心分離用チューブを、いわき産業社製「KM Shaker」(model: V.SX)にセットし、1分当たり350往復の条件で20分間振とうする。振とう後、溶液をスイングローター用ガラスチューブ(50mL)に入れ替えて、遠心分離機にて、3500rpm、30分間の条件で遠心分離を行う。
遠心分離後のガラスチューブ内においては、最上層にはトナー粒子が存在し、下層の水溶液側にはシリカ粒子を含む無機微粒子混合物が存在する。上層の水溶液と下層の水溶液を分離し、それぞれ乾燥し、上層側からトナー粒子、下層側から無機微粒子混合物を得る。下層側から得られる無機微粒子混合物量が合計で10g以上になるよう、上記遠心分離工程を繰り返し行う。
続いて、イオン交換水100mLと6mLのコンタミノンNを入れた分散液に、得られた無機微粒子混合物10gを入れ分散する。得られた分散液をスイングローター用ガラスチューブ(50mL)に入れ替えて、遠心分離機にて、3500rpm、30分間の条件で遠心分離を行う。
遠心分離後のガラスチューブ内においては、最上層にはシリカ粒子が存在し、下層の水溶液側にはその他の無機微粒子が存在する。上層の水溶液を採取して、必要に応じて遠心分離操作を繰り返し行い、分離を十分に行った後、分散液を乾燥し、シリカ粒子を採集する。
次に、トナー粒子から回収したシリカ粒子の固体29Si-NMR測定を、下記に示すような測定条件で行う。
<固体29Si-NMR測定のDD/MAS測定条件>
固体29Si-NMR測定のDD/MAS測定条件は、下記の通りである。
装置:JNM-ECX5002(JEOL RESONANCE)
温度:室温
測定法:DD/MAS法 29Si 45°
試料管:ジルコニア3.2mmφ
試料:試験管に粉末状態で充填
試料回転数:10kHz
relaxation delay:180s
Scan:2000
上記測定後に、シリカ粒子の固体29Si-NMRスペクトルから、置換基及び結合基の異なる複数のシラン成分をカーブフィッティングにて、下記M単位、D単位、T単位、及びQ単位にピーク分離する。
カーブフィッティングは、日本電子社製のJNM-EX400用ソフトのEXcalibur for Windows(登録商標) version 4.2(EX series)を用いて行う。メニューアイコンから「1D Pro」をクリックして測定データを読み込む。次に、メニューバーの「Command」から「Curve fitting functinon」を選択し、カーブフィッティングを行う。カーブフィッティングによって得られる各ピークを合成した合成ピークと測定結果のピークとの差分(合成ピーク差分)が最も小さくなるように、各成分に対するカーブフィッティングを行う。
M単位:(R)(R)(R)SiO1/2 式(4)
D単位:(R)(R)Si(O1/2 式(5)
T単位:RSi(O1/2 式(6)
Q単位:Si(O1/2 式(7)
(該式(4)、(5)、(6)中のR、R、R、R、R、Rはケイ素に結合している、炭素数1~6の炭化水素基等のアルキル基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アセトキシ基又はアルコキシ基を示す。)
ピーク分離後、ケミカルシフトが-25~-15ppmの範囲に存在するD単位の積分値と-130ppm~-85ppmの範囲に存在するQ単位の積分値を算出し、比D/Qを算出する。また、10ppm以上25ppm以下の範囲に存在するM単位の積分値Mを算出する。また、-140~100ppmの範囲に存在するM、D、T、Q単位のすべての積分値の総和Sを算出し、D/(S-Q)、及びM/Sを算出する。
<シリカ粒子及びハイドロタルサイト粒子の含有量の測定>
シリカ粒子及びハイドロタルサイト粒子の含有量は、蛍光X線分析装置(XRF)を用い、シリカ粒子及びハイドロタルサイト粒子由来の金属元素の強度から、計算で求める。検量線法を用いてシリカ粒子の含有量WsはSi元素強度、フッ素を含有するハイドロタルサイト粒子の含有量WhはSTEM-EDSマッピング分析で特定された元素の強度から解析し、算出することができる。測定手順を以下に示す。
測定装置としては、波長分散型蛍光X線分析装置「Axios」(PANalytical社製)と測定条件設定および測定データ解析をするための付属ソフト「SuperQ
ver.4.0F」(PANalytical社製)を用いる。なお、X線管球のアノードとしてはRhを用い、測定雰囲気は真空、測定径(コリメーターマスク径)は27mmとする。また軽元素を測定する場合にはプロポーショナルカウンタ(PC)、重元素を測定する場合にはシンチレーションカウンタ(SC)で検出する。
シリカ粒子の含有量を求めるための検量線を作成するためのペレットとして、バインダ
ー[商品名:Spectro Blend、成分:C 81.0、O 2.9、H 13.5、N 2.6(質量%)、化学式:C1938ON、形状:粉末(44μm);(株)リガク製]100質量部に対して、トナーから回収したシリカ粒子が0.10質量部となるように添加し、コーヒーミルを用いて充分混合したものを専用のプレス用アルミリングの中に4g入れて平らにならし、錠剤成型圧縮機「BRE-32」(前川試験機製作所社製)を用いて、20MPaで60秒間加圧し、厚さ2mm、直径39mmに成型したペレットを用意する。
同様にして、シリカ粒子が0.50質量部、1.00質量部、5.00質量部、10.00質量部となるように混合・ペレット成型したものをそれぞれ作製し、PETを分光結晶に用いた際に回折角(2θ)=109.08°に観測されるSi-Kα線の計数率(単位:cps)を測定し、下記検量線を用いて算出する。この際、X線発生装置の加速電圧、電流値はそれぞれ、24kV、100mAとし、測定時間は10秒とする。
得られたX線の計数率を縦軸に、各検量線用試料中のシリカ粒子含有量を横軸として、一次関数の検量線を得る。
次に、トナー粒子についても同様に、Si-Kα線の計数率を測定する。そして、得られた検量線からシリカ粒子の含有量Wsを求める。
ハイドロタルサイト粒子の含有量Whも同様に、STEM-EDSマッピング分析で特定された元素の強度から解析し算出できる。
<トナーの体積基準のメジアン径の測定方法>
トナーの体積基準のメジアン径は、以下のようにして算出する。測定装置としては、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)を用いる。測定条件の設定及び測定データの解析は、付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いる。なお、測定は実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで行なう。
測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解して濃度が約1質量%となるようにしたもの、例えば、「ISOTON II」(ベックマン・コールター社製)が使用できる。
なお、測定、解析を行なう前に、以下のように前記専用ソフトの設定を行う。
前記専用ソフトの「標準測定方法(SOMME)を変更」画面において、コントロールモードの総カウント数を50000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター社製)を用いて得られた値を設定する。「閾値/ノイズレベルの測定ボタン」を押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON IIに設定し、「測定後のアパーチャーチューブのフラッシュ」にチェックを入れる。
前記専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定」画面において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μmから60μmまでに設定する。
具体的な測定法は以下の通りである。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250mL丸底ビーカーに前記電解水溶液約200mLを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行う。そして、専用ソフトの「アパーチャーチューブのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
(2)ガラス製の100mL平底ビーカーに前記電解水溶液約30mLを入れる。この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で約3質量倍に希釈した希釈液を約0.3mL加える。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を、位相を180度ずらした状態で内蔵し、電
気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispersion System Tetra150」(日科機バイオス社製)を準備する。超音波分散器の水槽内に約3.3Lのイオン交換水を入れ、この水槽中にコンタミノンNを約2mL添加する。
(4)前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー約10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。なお、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃以上40℃以下となる様に適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナーを分散した前記(5)の電解水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行う。
(7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行い、体積基準のメジアン径を算出する。
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は何らこれに制約されるものではない。実施例中で使用する「部」は特に断りのない限り質量基準である。
<シリカ粒子1の製造例>
反応容器にシリカ基体として未処理の乾式シリカ(BET比表面積380m/g)を投入し、撹拌による流動化状態において、270℃に加熱した。反応器内部を窒素ガスで置換して反応器を密閉し、シリカ基体100部に対し、スプレーノズルを使用してジメチルシリコーンオイル(信越化学工業社製 KF-96-50CS)を30部噴霧した。噴霧後、上記温度を保持した状態で1時間攪拌し被覆処理を実施して、シリカ粒子1を得た。シリカ粒子1の物性値を表1に示す。
<シリカ粒子2の製造例>
未処理の乾式シリカをBET比表面積50m/gにして、ジメチルシリコーンオイルを7部とする以外は、シリカ粒子1の製造例と同じ処理を実施してシリカ粒子2を得た。シリカ粒子2の物性値を表1に示す。
<シリカ粒子3の製造例>
ジメチルシリコーンオイルを45部とする以外は、シリカ粒子1の製造例と同じ処理を実施してシリカ粒子3を得た。シリカ粒子3の物性値を表1に示す。
<シリカ粒子4の製造例>
未処理の乾式シリカをBET比表面積200m/gにして、ジメチルシリコーンオイルを20部とする以外は、シリカ粒子1の製造例と同じ処理を実施してシリカ粒子4を得た。シリカ粒子4の物性値を表1に示す。
<シリカ粒子5の製造例>
ジメチルシリコーンオイルを25部とする以外は、シリカ粒子4の製造例と同じ処理を実施してシリカ粒子5を得た。シリカ粒子5の物性値を表1に示す。
<シリカ粒子6の製造例>
ジメチルシリコーンオイルを7部とする以外は、シリカ粒子4の製造例と同じ処理を実
施してシリカ粒子6を得た。シリカ粒子6の物性値を表1に示す。
<シリカ粒子7の製造例>
ジメチルシリコーンオイルを45部とする以外は、シリカ粒子4の製造例と同じ処理を実施してシリカ粒子7を得た。シリカ粒子7の物性値を表1に示す。
<シリカ粒子8の製造例>
ジメチルシリコーンオイルを25部とする以外は、シリカ粒子1の製造例と同じ処理を実施してシリカ粒子8を得た。シリカ粒子8の物性値を表1に示す。
<シリカ粒子9の製造例>
ジメチルシリコーンオイルを30部とする以外は、シリカ粒子4の製造例と同じ処理を実施してシリカ粒子9を得た。シリカ粒子9の物性値を表1に示す。
<シリカ粒子10の製造例>
ジメチルシリコーンオイルを40部とする以外は、シリカ粒子1の製造例と同じ処理を実施してシリカ粒子10を得た。シリカ粒子10の物性値を表1に示す。
<シリカ粒子11の製造例>
攪拌機、滴下ロートおよび温度計を備えた3Lのガラス製反応器に、メタノール589.6g、水42.0g、28質量%アンモニア水47.1gに加えて混合した。得られた溶液を35℃となるように調整し、攪拌しながら、テトラメトキシシラン1100.0g及び5.4質量%アンモニア水395.2gを同時に添加し始めた。テトラメトキシシランは6時間かけて、アンモニア水は5時間かけてそれぞれを滴下した。
滴下が終了した後、さらに0.5時間攪拌を継続して加水分解を行うことにより、親水性球状ゾルゲルシリカ粒子のメタノール-水分散液を得た。次いで、ガラス製の反応器にエステルアダプターと冷却管とを取り付け、上記分散液を80℃、減圧下で十分乾燥させた。得られたゾルゲルシリカ粒子を、恒温槽にて400℃にて10分間加熱した。
上記工程を複数回実施し、得られたゾルゲルシリカ粒子に対して、パルベライザー(ホソカワミクロン社製)にて解砕処理を行った。
未処理の乾式シリカを上記手順で得られたゾルゲルシリカ粒子にして、ジメチルシリコーンオイルを15部とする以外は、シリカ粒子1の製造例と同じ処理を実施してシリカ粒子11を得た。シリカ粒子11の物性値を表1に示す。
<シリカ粒子12の製造例>
反応容器に未処理の乾式シリカ(BET比表面積380m/g)を投入し、撹拌による流動化状態において、150℃に加熱した。反応器内部を窒素ガスで置換して反応器を密閉し、シリカ基体100部に対し、スプレーノズルを使用して第一表面処理剤として、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)20部を噴霧、混合した。その後、加熱、攪拌を1時間継続した後、第二表面処理剤として、ジメチルシリコーンオイル(信越化学工業社製
KF-96-100CS)10部を噴霧処理し、さらに同様に1時間、加熱、攪拌を行ってシリカ粒子12を得た。シリカ粒子12の物性値を表1に示す。
<シリカ粒子13の製造例>
メタノール500部、10質量%塩酸でpH5.4に調整した水70部を滴下して混合し、触媒溶液を得た。この触媒溶液を30度に調整した後、攪拌しながら、テトラメトキシシラン100部と8.0質量%アンモニア水20部とを同時に60分かけて滴下して親水性のシリカ粒子分散液を得た。
その後、得られたシリカ粒子分散液をロータリーフィルターR―ファイン(寿工業社製
)で固形分濃度40質量%まで濃縮してシリカ分散液を得た。反応容器中でシリカ粒子分散液250部に、疎水化処理剤としてヘキサメチルジシラザン(HMDS)50部を添加し、130℃で2時間反応させ、冷却した後、噴霧乾燥により乾燥し、シリカ粒子13を得た。シリカ粒子13の物性値を表1に示す。
<シリカ粒子14の製造例>
ジメチルシリコーンオイルを55部とする以外は、シリカ粒子1の製造例と同じ処理を実施してシリカ粒子14を得た。シリカ粒子14の物性値を表1に示す。
Figure 2023126114000001

表中、M,D,T及びQは、それぞれ固体29Si-NMR DD/MAS法で得られたM単位のピーク面積、D単位のピーク面積、T単位のピーク面積、及びQ単位のピーク面積の割合の合計Sを1.00としたときのM単位,D単位,T単位及びQ単位の面積の割合を示す。そのため、M/Sは、Mと同じ値となる。粒径は、一次粒子の個数平均粒径Ds(nm)を示す。
<ハイドロタルサイト粒子1の調製>
1.03mol/Lの塩化マグネシウムと0.239mol/Lの硫酸アルミニウムとの混合水溶液(A液)と、0.753mol/Lの炭酸ナトリウム水溶液(B液)及び3.39mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液(C液)を調製した。
次に、A液、B液、およびC液を、定量ポンプを用いて、A液:B液を4.5:1の容量比となる流量で反応槽に注加し、C液で反応液のpH値を9.3~9.6の範囲に保持し、反応温度は40℃で行い沈殿物を生成させた。濾過、洗浄後、イオン交換水に再乳化させて、原料のハイドロタルサイトスラリーを得た。得られたハイドロタルサイトスラリー中のハイドロタルサイトは、5.6質量%濃度であった。
得られたハイドロタルサイトスラリーを40℃で一晩真空乾燥した。NaFを濃度が100mg/Lとなるようにイオン交換水に溶解させ、1mol/L HCl又は1mol/L NaOHを用いてpH7.0に調整した溶液を作製し、そこに乾燥したハイドロタルサイトを0.1%(w/v%)となるように添加した。マグネティックスターラーを用いて沈降しない程度に48時間定速撹拌を行った。その後、孔径0.5μmのメンブレンフィルターで濾過し、イオン交換水で洗浄した。得られたハイドロタルサイトを40℃で
一晩真空乾燥し、その後解砕処理を行った。得られたハイドロタルサイト粒子1の組成及び物性を表2に示す。
<ハイドロタルサイト粒子2~13の調製>
A液:B液及びNaF水溶液の濃度を便宜調整する以外は、ハイドロタルサイト粒子1の製造例と同様にして、ハイドロタルサイト粒子2~13を得た。得られたハイドロタルサイト粒子2~13の組成及び物性を表2に示す。
<ハイドロタルサイト粒子14の調製>
ハイドロタルサイト粒子1の製造例において、NaF水溶液の代わりにイオン交換水を用いた以外はハイドロタルサイト粒子1の製造例と同様にして、ハイドロタルサイト粒子14を得た。得られたハイドロタルサイト粒子14の組成及び物性を表2に示す。
Figure 2023126114000002

平均粒径は、一次粒子の個数平均粒径Dhである。
<ポリエステル樹脂Aの製造例>
撹拌器、温度計、流出用冷却機を備えた反応装置にプロピレンオキサイド変性ビスフェノールA(2モル付加物)20部、プロピレンオキサイド変性ビスフェノールA(3モル付加物)80部、テレフタル酸20部、イソフタル酸20部及びテトラブトキシチタン0.50部を入れ、190℃でエステル化反応を行った。
その後、無水トリメリット酸(TMA)1部を加え、220℃に昇温すると共に系内を徐々に減圧し、150Paで重縮合反応を行い、ポリエステル樹脂Aを得た。ポリエステル樹脂Aの酸価は12mgKOH/g、軟化点は110℃であった。
(ポリエステル樹脂粒子分散液Aの調製)
・ポリエステル樹脂A: 200部
・イオン交換水: 500部
上記材料をステンレス製の容器に入れ、温浴下95℃まで加熱溶融し、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT50)を用いて7800rpmで十分撹拌しながら、0.1mol/L炭酸水素ナトリウムを加えpHを7.0よりも大きくした。その後、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム3部とイオン交換水297部の混合溶液を徐々に滴下し乳化分散することでポリエステル樹脂粒子分散液Aを得た。
このポリエステル樹脂粒子分散液Aの粒度分布を、粒度測定装置(堀場製作所製、LA-960V2)を用いて測定したところ、含まれるポリエステル樹脂Aの粒子の個数平均粒径は、0.25μmであり、また1μmを超える粗大粒子は観察されなかった。
(ワックス粒子分散液の調製)
・イオン交換水: 500部
・ワックス(炭化水素ワックス;吸熱ピークが最大となる温度77℃): 250部
上記材料をステンレス製の容器に入れ、温浴下95℃まで加熱溶融し、ホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT50)を用いて7800rpmで十分撹拌しながら、0.1mol/L炭酸水素ナトリウムを加えpHを7.0よりも大きくした。
その後、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム5部とイオン交換水245部の混合溶液を徐々に滴下し乳化分散を行った。このワックス粒子分散液に含まれるワックス粒子の粒度分布を、粒度測定装置(堀場製作所製、LA-960V2)を用いて測定したところ、含まれるワックス粒子の個数平均粒径は、0.35μmであり、また1μmを超える粗大粒子は観察されなかった。
(着色剤粒子分散液1の調製)
・C.I.ピグメントブルー15:3: 100部
・ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム: 5部
・イオン交換水: 400部
以上を混合し、サンドグラインダーミルを用いて分散した。この着色剤粒子分散液1に含まれる着色剤粒子の粒度分布を、粒度測定装置(堀場製作所製、LA-960V2)を用いて測定したところ、含まれる着色剤粒子の個数平均粒径は、0.2μmであり、また1μmを超える粗大粒子は観察されなかった。
<トナー粒子1の製造例>
・ポリエステル樹脂粒子分散液A: 500部
・着色剤粒子分散液1: 50部
・ワックス粒子分散液: 50部
・ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム: 5部
反応器(容積1リットルフラスコ、バッフル付きアンカー翼)にポリエステル樹脂粒子分散液A、ワックス粒子分散液及びドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを仕込み、均一に混合した。一方、500mLビーカーに着色剤粒子分散液1を均一に混合しておき、これを撹拌しながら反応器に徐々に添加し混合分散液を得た。得られた混合分散液を撹拌しながら硫酸アルミニウム水溶液を固形分として0.5部、滴下し凝集粒子を形成させた。
滴下終了後、窒素を用いて系内を置換し、50℃にて1時間、さらに55℃にて1時間保持した。その後昇温して90℃にて30分保持した。その後、63℃まで降温したのち3時間保持させ、融合粒子を形成させた。このときの反応は窒素雰囲気下で行った。所定時間終了後、毎分0.5℃の降温速度にて室温になるまで冷却を行った。
冷却後、反応生成物を10L容量の加圧濾過器にて、0.4MPaの圧力下で固液分離を行い、トナーケーキを得た。その後、イオン交換水を加圧濾過器に満水になるまで加え、0.4MPaの圧力で洗浄した。さらに同様に洗浄して、計3回洗浄した。その後0.4MPaの圧力下で固液分離をしたのち、45℃で流動層乾燥を行い、体積基準のメジア
ン径が6.8μmのトナー粒子1を得た。
<トナー粒子2の製造例>
(水系媒体の調製)
・イオン交換水: 1000.0部
・リン酸ナトリウム: 14.0部
・10%塩酸: 4.5部
上記材料を、T.K.ホモミクサー(特殊機化工業株式会社製)を用いて、12000rpmにて撹拌し混合物を得た。得られた混合物は窒素パージしながら65℃で60分間保温した。次に、イオン交換水10部に8部の塩化カルシウムを溶解した塩化カルシウム水溶液を該混合物に一括投入し、分散剤を含む水系媒体を調製した。調製された水系媒体のpHは5.5であった。
(顔料分散液1の調製:顔料分散工程)
・スチレン: 60.0部
・ピグメントブルー15:3: 6.0部
・帯電制御剤(オリヱント化学工業社製:ボントロンE-88): 0.5部
上記材料及び直径1.7mmのジルコニア粒子をアトライタ(三井三池化工機株式会社)に投入し、220rpmで5時間混合することで、スチレン中に着色剤及び帯電制御剤を分散した。分散後にジルコニア粒子を分離して顔料分散液1を作製した。
(重合性単量体組成物1の調製)
・スチレン: 15.0部
・n-ブチルアクリレート(n-BA): 25.0部
・ポリエステル樹脂A: 6.0部
上記材料を混合し、2時間撹拌して、ポリエステル樹脂Aを溶解し、重合性単量体組成物1を得た。
(重合性単量体組成物2の調製)
顔料分散液1及び重合性単量体組成物1を混合した後、下記材料を添加した。
・炭化水素ワックス(融点:77℃): 10.0部
・ジビニルベンゼン: 0.02部
添加後、混合しながら、65℃に加温した。65℃で30分間、保温しながらT.K.ホモミクサー(特殊機化工業株式会社製)を用いて、500rpmにて均一に溶解して重合性単量体組成物2を得た。
(造粒/重合工程)
得られた重合性単量体組成物2を上記水系媒体中に投入した。次いで、重合開始剤t-ブチルパーオキシピバレート(25%トルエン溶液)10.0部を添加し、65℃、窒素パージ下において、T.K.ホモミクサー(特殊機化工業株式会社製)にて10000rpmで5分間撹拌し、pH5.5で造粒した。その後、パドル撹拌翼で撹拌しつつ70℃に昇温し、撹拌しながら5時間反応した。
(蒸留工程)
重合反応終了後、容器内の温度を100℃に昇温し、4時間蒸留させた。
(洗浄/乾燥/分級/外添工程)
蒸留工程終了後、5℃/分で30℃まで反応容器を冷却し、10%塩酸を加えpHを2とした状態で2時間撹拌しながら分散剤を溶解した。得られたエマルションを加圧濾過し、さらに2000質量部以上のイオン交換水で洗浄した。得られたケーキを再び、100
0質量部のイオン交換水に戻し、10%塩酸を加えpHを1以下とした状態で2時間撹拌しながら、再洗浄した。
上記と同様に得られたエマルションを加圧濾過し、さらに2000質量部以上のイオン交換水で洗浄し、十分通気をした後、乾燥して風力分級し、体積基準のメジアン径が7.0μmのトナー粒子2を得た。
<トナー粒子3の製造例>
・ポリエステル樹脂A: 100部
・帯電制御剤(オリヱント化学工業社製:ボントロンE-88): 0.5部
・炭化水素ワックス(融点:77℃): 10.0部
・ピグメントブルー15:3: 6.0部
上記原材料をヘンシェルミキサーFM10C(三井三池化工機(株))で予備混合した後、回転数200rpmに設定した二軸混練押し出し機(PCM-30:池貝鉄工所社製)により、混練物の出口付近における直接温度が155℃となるように設定温度を調節し、混練した。得られた溶融混練物を冷却し、冷却された溶融混練物をカッターミルで粗粉砕した。その後、得られた粗粉砕物を、ターボミルT-250(ターボ工業社製)を用いて、フィード量を20kg/hrとし、排気温度が38℃になるようエアー温度を調整して微粉砕した。得られた微粉砕物に対してコアンダ効果を利用した多分割分級機を用いて分級して、体積基準のメジアン径が7.3μmのトナー粒子3を得た。
<トナー1の製造例>
上記で得られたトナー粒子1(100.0部)に対して、ハイドロタルサイト粒子1(0.200部)及びシリカ粒子1(1.50部)をFM10C(日本コークス工業株式会社製)によって外添混合した。外添条件は、下羽根をA0羽根とし、デフレクターの壁との間隔を20mmにセットさせ、トナー粒子の仕込み量:2.0kg、回転数:66.6s-1、外添時間:10分、冷却水を温度20℃・流量10L/minで行った。
その後、目開き200μmのメッシュで篩い、トナー1を得た。得られたトナー1の物性を表3に示す。
<トナー2~42の製造例>
トナー1の製造例において、トナー粒子とハイドロタルサイト粒子とシリカ粒子を表3のように変更した以外は同様にしてトナー2~42を得た。得られたトナー2~42の物性を表3に示す。
Figure 2023126114000003

上記トナー1~42のそれぞれを用いて前述の方法で測定した「Mg/Al」、「F/Al」、「D/Q」、「D/(S-Q)」、「M/S」、「シリカ粒子の真円度」につい
ては、使用したハイドロタルサイト粒子又はシリカ粒子を単独で分析した結果又は数値と同じであった。また、トナー1~33、35、36及び38~42においては、STEM-EDSマッピング分析によるライン分析において、ハイドロタルサイト粒子の内部にフッ素が存在することが確認された。
<画像評価>
トナー1~42の各々について行った評価について、その方法を以下に述べる。なお、評価結果については表4及び表5に記載する。
評価方法及び評価基準は以下の通りである。
画像形成装置として、市販のレーザープリンター「LBP-9660Ci(キヤノン製)」をプロセススピードが325mm/secとなるよう改造した改造機を用いた。また、プロセスカートリッジである市販のトナーカートリッジ(シアン)(キヤノン製)を用いた。
カートリッジ内部からは製品トナーを抜き取り、エアブローによって清掃した後、評価する各トナーを270g充填した。なお、イエロー、マゼンタ、ブラックの各ステーションにはそれぞれ製品トナーを抜き取り、トナー残量検知機構を無効としたイエロー、マゼンタ及びブラックカートリッジを挿入して評価を行った。
(1)帯電立ち上がり性の評価
上記プロセスカートリッジ、上記レーザープリンターの改造機、及び評価用紙(CS-068(キヤノン製)A4:68g/m)を高温高湿環境(30℃/80%RH、以下、H/H環境)に48時間静置した。
H/H環境において、評価用紙上に、用紙を縦に見たときに、用紙先頭から10mmの位置から20mmの位置にかけて、長さ10mmの横帯状の全シアン画像部(乗り量0.45mg/cm)があり、そこから下流方向に長さ10mmの全白画像部(乗り量0.00mg/cm)があり、そこからさらに下流方向に長さ100mmのハーフトーン画像部(乗り量0.20mg/cm)がある画像を出力した。
ハーフトーン画像部上における全シアン画像部から現像ローラ1周分下流にあたる部分の画像濃度と、ハーフトーン画像部上における全白画像部から現像ローラ1周分下流にあたる部分の画像濃度との差(画像濃度差)から、帯電立ち上がり性能を以下の基準で評価した。
画像濃度の測定は、「マクベス反射濃度計 RD918」(マクベス社製)を用いて付属の取扱説明書に沿って、使用紙の白地部分に対する相対濃度を測定することによって行い、得られた相対濃度を画像濃度の値とした。
下記評価基準に従って、帯電立ち上がり性を評価した。C以上を良好と判断した。帯電立ち上がり性が良好であると、帯電ローラ上に供給されたトナーが速やかに帯電するため、全シアン画像部の後と全白画像部の後の画像濃度が変化せず、良好な画像が得られる。(帯電立ち上がり性の評価基準)
A:画像濃度差が0.03未満
B:画像濃度差が0.03以上0.06未満
C:画像濃度差が0.06以上0.10未満
D:画像濃度差が0.10以上
(2)耐久性の評価
帯電立ち上がり性の評価後に、H/H環境において、評価用紙上に印字比率1.0%の画像を25000枚連続で出力した。同環境で72時間静置したのち、帯電立ち上がり性の評価と同様の評価を行った。
上記帯電立ち上がり性の評価基準に従って評価し、耐久性の評価とした。
(3)現像ブレード融着の評価
耐久性の評価において、H/H環境で25000枚、印字を行った上記カートリッジをプリンター本体から取出し、現像ブレード上の融着物の目視及び顕微鏡観察を行った。顕微鏡は、超深度形状測定顕微鏡(キーエンス社製)を用いた。
評価画像及び目視・顕微鏡観察の結果から、以下の基準に基づき評価した。本耐久試験において、トナーから脱離したハイドロタルサイト粒子は球状シリカ粒子とともに凝集物等を形成し、耐久使用に伴って成長することで、評価結果が低下することが知られている。C以上を良好と判断した。
(現像ブレード融着の評価基準)
A:画像上問題がなく、顕微鏡観察において融着物は観察されない
B:画像上問題がなく、顕微鏡観察において僅かな融着物が観察される
C:ハーフトーン画像において、濃度が薄い縦スジが3本以上見られる
D:ベタ画像において、白い縦スジが3本以上見られる
(4)規制不良の評価
規制不良の評価は、チャージアップに厳しい低温低湿環境下(15℃/10%RH、以下、L/L環境)で評価を行った。L/L環境下において、上記プロセスカートリッジ、上記レーザープリンターの改造機、及び評価用紙(CS-068(キヤノン製)A4:68g/m)に1%の印字率で4秒ごとに2枚出力する間欠耐久を30000枚実施した。通紙後にトナーの載り量が0.3mg/cmであるハーフトーン画像を印字し、ハーフトーン画像上に現れた斑点状スジ及びトナー塊の量で評価した。
(規制不良の評価基準)
A:未発生
B:斑点状のスジはないが、2、3個所の小さなトナー塊がある
C:端部に斑点状スジが若干ある、又は4、5個所の小さなトナー塊がある
D:全面に斑点状のスジがある、又は6個所以上の小さなトナー塊又は明らかなトナー塊がある。
(5)ベタ追従性の評価
L/L環境下でのベタ追従性を以下の方法で評価した。L/L環境において、上記プロセスカートリッジ、上記レーザープリンターの改造機、及び評価用紙(CS-068(キヤノン製)A4:68g/m)に1%の印字率で一日5000枚連続通紙後に一日機内で放置し、放置後にベタ追従性の評価を行った。
全シアン画像をサンプル画像として3枚連続で出力し、得られた全シアン画像の3枚目に対して、ベタ追従性の評価を目視評価にて行った。評価基準は以下の通りである。上記評価項目はトナーの流動性が高いほど良好な結果が得られることが知られている。15000枚通紙した後、評価を行った。
(ベタ追従性の評価基準)
A:画像濃度にムラがなく均一である
B:画像濃度に軽微なムラがある
C:画像濃度にムラがあるが、問題とならないレベル
D:画像濃度にムラがあり、均一なベタ画像になっていないレベル
[実施例1~33]
実施例1~33では、トナーとして、トナー1~33をそれぞれ用いて上記評価を行った。評価結果を表4に示す。
[比較例1~9]
比較例1~9では、トナーとしてトナー34~42をそれぞれ用いて上記評価を行った。評価結果を表5に示す。
Figure 2023126114000004
Figure 2023126114000005
実施例1~33では、いずれの評価項目においても良好な結果が得られた。一方、比較例1~9では、上記評価項目のいずれかについて実施例に劣る結果となった。
以上の結果より、本開示によれば、使用環境によらず、耐久使用を通じて、高い帯電性、現像性、流動性を高いレベルで両立するトナーを提供することができる。
本開示は、以下の構成に関する。
(構成1)
トナー粒子及び外添剤を有するトナーであって、
該外添剤が、シリカ粒子及びハイドロタルサイト粒子を含み、
該トナーのSTEM-EDSマッピング分析におけるライン分析において、該ハイドロタルサイト粒子の内部にフッ素が存在し、
該トナー粒子100質量部に対する該ハイドロタルサイト粒子の含有量をWhとしたとき、Whが、0.040~1.000質量部であり、
該トナー粒子100質量部に対する該シリカ粒子の含有量をWsとしたとき、Wsが、0.08~6.00質量部であり、
該シリカ粒子の固体29Si-NMR DD/MAS法で得られるケミカルシフトの-140~100ppmの範囲に存在するM単位、D単位、T単位、及びQ単位のピークの面積の総和をSとし、-25~-15ppmの範囲にピークトップが存在するD単位のピークの面積をDとし、-130~-85ppmの範囲にピークトップが存在するQ単位のピークの面積をQとしたとき、
該Wh、該Ws、該S、該D及び該Qが、下記式(1)~(3)を満たす、
ことを特徴とするトナー。
0.05≦D/Q≦0.50 ・・・(1)
0.95≦D/(S-Q)≦1.00 ・・・(2)
0.4≦Ws/Wh≦20.0 ・・・(3)
(構成2)
前記ハイドロタルサイト粒子が、マグネシウム及びアルミニウムを含有する、構成1に記載のトナー。
(構成3)
前記トナーのSTEM-EDSマッピング分析よる前記ハイドロタルサイト粒子の主成分マッピングから得られた、前記ハイドロタルサイト粒子におけるマグネシウムのアルミニウムに対する原子数濃度の比の値Mg/Alが、1.5~4.0である、構成2に記載
のトナー。
(構成4)
前記ハイドロタルサイト粒子が、アルミニウムを含有し、
前記トナーのSTEM-EDSマッピング分析による前記ハイドロタルサイト粒子の主成分マッピングから得られた、前記ハイドロタルサイト粒子におけるフッ素のアルミニウムに対する原子数濃度の比の値F/Alが、0.02~0.60である、構成1~3のいずれかに記載のトナー。
(構成5)
前記シリカ粒子の固体29Si-NMR DD/MAS法で得られるケミカルシフトの10~25ppmの範囲にピークトップが存在するM単位のピークの面積をMとしたとき、M/Sが、0.010以下である、構成1~4のいずれかに記載のトナー。
(構成6)
前記ハイドロタルサイト粒子の一次粒子の個数平均粒径Dhが、60~1000nmであり、
前記シリカ粒子の一次粒子の個数平均粒径Dsが、5~100nmであり、
該Dsに対する該Dhの比の値Dh/Dsが、5.0~200.0である、構成1~5のいずれかに記載のトナー。
(構成7)
前記シリカ粒子の真円度が、0.80未満である、構成1~6のいずれかに記載のトナー。
(構成8)
前記シリカ粒子が、シリコーンオイル処理シリカ粒子である、構成1~7のいずれかに記載のトナー。

Claims (8)

  1. トナー粒子及び外添剤を有するトナーであって、
    該外添剤が、シリカ粒子及びハイドロタルサイト粒子を含み、
    該トナーのSTEM-EDSマッピング分析におけるライン分析において、該ハイドロタルサイト粒子の内部にフッ素が存在し、
    該トナー粒子100質量部に対する該ハイドロタルサイト粒子の含有量をWhとしたとき、Whが、0.040~1.000質量部であり、
    該トナー粒子100質量部に対する該シリカ粒子の含有量をWsとしたとき、Wsが、0.08~6.00質量部であり、
    該シリカ粒子の固体29Si-NMR DD/MAS法で得られるケミカルシフトの-140~100ppmの範囲に存在するM単位、D単位、T単位、及びQ単位のピークの面積の総和をSとし、-25~-15ppmの範囲にピークトップが存在するD単位のピークの面積をDとし、-130~-85ppmの範囲にピークトップが存在するQ単位のピークの面積をQとしたとき、
    該Wh、該Ws、該S、該D及び該Qが、下記式(1)~(3)を満たす、
    ことを特徴とするトナー。
    0.05≦D/Q≦0.50 ・・・(1)
    0.95≦D/(S-Q)≦1.00 ・・・(2)
    0.4≦Ws/Wh≦20.0 ・・・(3)
  2. 前記ハイドロタルサイト粒子が、マグネシウム及びアルミニウムを含有する、請求項1に記載のトナー。
  3. 前記トナーのSTEM-EDSマッピング分析よる前記ハイドロタルサイト粒子の主成分マッピングから得られた、前記ハイドロタルサイト粒子におけるマグネシウムのアルミニウムに対する原子数濃度の比の値Mg/Alが、1.5~4.0である、請求項2に記載のトナー。
  4. 前記ハイドロタルサイト粒子が、アルミニウムを含有し、
    前記トナーのSTEM-EDSマッピング分析による前記ハイドロタルサイト粒子の主成分マッピングから得られた、前記ハイドロタルサイト粒子におけるフッ素のアルミニウムに対する原子数濃度の比の値F/Alが、0.02~0.60である請求項1~3のいずれか1項に記載のトナー。
  5. 前記シリカ粒子の固体29Si-NMR DD/MAS法で得られるケミカルシフトの10~25ppmの範囲にピークトップが存在するM単位のピークの面積をMとしたとき、M/Sが、0.010以下である、請求項1~3のいずれか1項に記載のトナー。
  6. 前記ハイドロタルサイト粒子の一次粒子の個数平均粒径Dhが、60~1000nmであり、
    前記シリカ粒子の一次粒子の個数平均粒径Dsが、5~100nmであり、
    該Dsに対する該Dhの比の値Dh/Dsが、5.0~200.0である、
    請求項1~3のいずれか1項に記載のトナー。
  7. 前記シリカ粒子の真円度が、0.80未満である、請求項1~3のいずれか1項に記載のトナー。
  8. 前記シリカ粒子が、シリコーンオイル処理シリカ粒子である、請求項1~3のいずれか1項に記載のトナー。
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