JP2023125806A - 過酸化ベンゾイル含有医薬ゲル剤 - Google Patents

過酸化ベンゾイル含有医薬ゲル剤 Download PDF

Info

Publication number
JP2023125806A
JP2023125806A JP2022030115A JP2022030115A JP2023125806A JP 2023125806 A JP2023125806 A JP 2023125806A JP 2022030115 A JP2022030115 A JP 2022030115A JP 2022030115 A JP2022030115 A JP 2022030115A JP 2023125806 A JP2023125806 A JP 2023125806A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
pharmaceutical gel
gel
benzoyl peroxide
mass
pharmaceutical
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2022030115A
Other languages
English (en)
Inventor
裕美 池田
Hiromi Ikeda
紘之 池田
Hiroyuki Ikeda
敏幸 高安
Toshiyuki Takayasu
尚久 川村
Naohisa Kawamura
真紀子 松井
Makiko Matsui
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nipro Corp
Original Assignee
Nipro Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nipro Corp filed Critical Nipro Corp
Priority to JP2022030115A priority Critical patent/JP2023125806A/ja
Publication of JP2023125806A publication Critical patent/JP2023125806A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Cosmetics (AREA)
  • Acyclic And Carbocyclic Compounds In Medicinal Compositions (AREA)
  • Medicinal Preparation (AREA)

Abstract

【課題】高温保管下においても粘度の低下およびたれ性の悪化が抑制された、有効成分として過酸化ベンゾイルを含有する医薬ゲル剤を提供すること。【解決手段】有効成分として過酸化ベンゾイルを含み、かつ粘稠剤としてカルメロースナトリウムおよび軽質無水ケイ酸を含有することを特徴とする医薬ゲル剤。【選択図】なし

Description

本発明は、過酸化ベンゾイルを含む医薬ゲル剤に関し、とりわけ高温保管下においても粘性の低下およびたれ性の悪化を抑制することのできる過酸化ベンゾイルを含む医薬ゲル剤に関する。
過酸化ベンゾイルは強力な酸化剤であり、過酸化ベンゾイルの分解により生じたフリーラジカルの作用で抗菌作用や角層剥離作用を示すことを利用して、ざ瘡(にきび)の治療薬として利用されている。
特許文献1には、過酸化ベンゾイルを有効成分として含有し、製剤中にキレート剤および0.4~1.6重量%のカルボキシビニルポリマーを含有する水性医薬ゲル剤が開示されており、これにより、高温保管時においても分離やダマ化等の正常変化が抑制され、主薬安定性が保たれることが開示されている。
国際公開第2017/069230号
過酸化ベンゾイルを含有する組成物がゲルの形態である場合、経時的にゲル組成物の粘度が低下したり、分離を生じたりすることがある。これは、ゲル剤として使用される粘稠剤の中には、過酸化ベンゾイルが分解して生じた安息香酸により不安定化されるものがあり、その結果、ゲル剤の粘度が低下するためであると考えられる。
実際、特許文献1記載の水性医薬ゲル剤においては、カルボキシビニルポリマーの含有量を増加させると、過酸化ベンゾイルの安定性が低下する傾向があることに加え、カルボキシビニルポリマーの含有量を低減させると、経時的に粘度が低下するため、初期粘度が低いと、ゲル状からローション状に性状変化を生じることなどが記載されており、カルボキシビニルポリマーの含有量に関し、その増減がゲル剤の化学的および物理的安定性とトレードオフの関係となっていることがわかる。
このことから、カルボキシビニルポリマーは、過酸化ベンゾイルが分解して生じた安息香酸により不安定化され、その結果、水性医薬ゲル剤の粘度が低下すると考えられる。そして、特許文献1においてはそのカルボキシビニルポリマーの含有量を0.4~1.6重量%と規定しているが、そのような範囲内の水性医薬ゲル剤であっても、特に高温保管下においてやはり経時的な粘度の低下やたれ性の悪化が観察され、なお改善の余地がある。
そこで、本発明は、高温保管下においても粘度の低下およびたれ性の悪化が抑制された過酸化ベンゾイルを含有する医薬ゲル剤を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を検討した結果、粘稠剤としてカルメロースナトリウムおよび軽質無水ケイ酸を用いることにより、高温保管下においても粘度低下およびたれ性の悪化が抑制され、有効成分として過酸化ベンゾイルを含有する医薬ゲル剤を提供できることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、
[1]有効成分として過酸化ベンゾイルを含み、かつ粘稠剤としてカルメロースナトリウムおよび軽質無水ケイ酸を含有することを特徴とする医薬ゲル剤、
[2]水性ゲルである上記[1]記載の医薬ゲル剤、
[3]過酸化ベンゾイルの含有量が医薬ゲル剤全量に対して2.0~3.5質量%、好ましくは2.3~2.7質量%、より好ましくは2.5質量%であり、カルメロースナトリウムの含有量が医薬ゲル剤全量に対して0.4~1.5質量%、好ましくは0.5~1.2質量%、より好ましくは0.6~1.0質量%であり、軽質無水ケイ酸の含有量が医薬ゲル剤全量に対して0.3~1.1質量%、好ましくは0.4~1.0質量%、より好ましくは0.5~1.0質量%である上記[1]または[2]のいずれかに記載の医薬ゲル剤、ならびに
[4]カルボキシビニルポリマーを含有しないか、またはカルボキシビニルポリマーの含有量が医薬ゲル剤全量に対して0.4質量%未満、好ましくは0.35質量%以下、より好ましくは0.3質量%以下である上記[1]~[3]のいずれかに記載の医薬ゲル剤
に関する。
本発明によれば、有効成分として過酸化ベンゾイルを含有する医薬ゲル剤において、粘稠剤としてカルメロースナトリウムおよび軽質無水ケイ酸を用いることにより過酸化ベンゾイルの分解による影響を低減し、高温保管下においても粘度低下およびたれ性悪化が抑制された医薬ゲル剤を提供することができる。
本発明の医薬ゲル剤は、有効成分として過酸化ベンゾイルを含有し、あわせて粘稠剤としてカルメロースナトリウムおよび軽質無水ケイ酸を含むものであり、高温保管時、例えば40℃で2ヵ月保管しても、粘度低下やたれ性の悪化も抑制された保形性の高い医薬ゲル剤である。これは、例えば従来使用されている粘稠剤であるカルボキシビニルポリマーでは、過酸化ベンゾイルの分解によるpHの低下によりポリマー分子の状態が変化し、粘度低下が生じるところ、カルメロースナトリウムは、過酸化ベンゾイルの分解によるpHの低下に対して比較的安定であり、ゲル剤の性状や粘度に悪影響を及ぼさず、さらに軽質無水ケイ酸を添加することにより、カルメロース分子の絡み合いの隙間に軽質無水ケイ酸が入り、チキソトロピー性が高まるためであると考えられる。このような効果は、カルメロースナトリウムと軽質無水ケイ酸との組み合わせによる相乗的な効果であると考えられる。
本明細書において、高温保管下において粘度の低下が抑制されるといった表現は、高温保管、例えば40℃で保管する際に経時的にみて粘度が低下する割合(粘度低下率)を低く抑えることを意味し、具体的には、40℃で2ヵ月間保管した場合に粘度低下率が50%以下であることが好ましく、45%以下であることがより好ましい。ここで、40℃で2ヵ月間保管時の粘度低下率(%)は、例えば、次のような式で表すことができる。
粘度低下率(%)=((初期粘度-40℃粘度)/初期粘度)×100)
式中、「初期粘度」はゲル形成後おおよそ3日以内の粘度、「40℃粘度」は、ゲル形成後おおよそ40℃で2ヵ月間保管した後の粘度である。なお、本明細書において、粘度は、第十八改正日本薬局方の粘度測定法第2法にしたがい測定された値である。
本明細書において、高温保管下においてたれ性の悪化が抑制されるといった表現は、高温保管、例えば40℃で2ヵ月間保管しても、良好なたれ性を有することを意味し、具体的には、40℃で2ヵ月間保管した後のたれ性が、30秒後に7mm以下であることが好ましく、6mm以下であることがより好ましく、5mm以下であることがさらに好ましい。また、40℃で2ヵ月間保管した後のたれ性が、1分後に9mm以下であることが好ましく、7mm以下であることがより好ましく、5mm以下であることがさらに好ましい。なお、本明細書において、「たれ性」は、スライドガラスに固定されたヘアレスマウスの皮膚表面に、ゲル剤0.5gを、高粘度用ピペットを用いて円形(直径:1.2cm、厚さ:5mm)に適用した後、ヘアレスマウスの皮膚の表面が地面に垂直になるようにスライドガラスを傾け、一定時間(30秒間、および1分間)放置した後、傾ける前の位置からの下端のずれを計測することにより測定される値である。
過酸化ベンゾイルとしては、医薬品に使用するものとして市販されているものであれば、特に制限なく使用することができる。あるいは、塩化ベンゾイルと過酸化ナトリウムとにより常法により製造することも可能である。
本発明の医薬ゲル剤中の過酸化ベンゾイルの含有量は、その用途によって設定することができ、特に限定されるものではないが、例えばざ瘡の治療用の医薬ゲル剤である場合、医薬ゲル剤全量に対して2.0~3.5質量%が好ましく、2.3~2.7質量%がより好ましく、2.5質量%がさらに好ましい。
本発明の医薬ゲル剤においては、粘稠剤としてカルメロースナトリウムおよび軽質無水ケイ酸を含有する。カルメロースナトリウムおよび軽質無水ケイ酸は、一般に市販されている医薬品用のグレードに適合するものを使用することが好ましい。
本発明の医薬ゲル剤中のカルメロースナトリウムの含有量は、ゲル形成能を発揮できる量であれば特に限定されるものではないが、軽質無水ケイ酸のたれ性維持に対する効果を十分に発揮させるという点や、初期粘度の確保の点から医薬ゲル剤全量に対して0.4質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がより好ましく、0.6質量%以上がさらに好ましい。また、本発明の医薬ゲル剤中のカルメロースナトリウムの含有量は、塗布時の使用感や、製造時のハンドリングの点から医薬ゲル剤全量に対して1.5質量%以下が好ましく、1.2質量%以下がより好ましく、1.0質量%以下がさらに好ましい。
本発明の医薬ゲル剤中の軽質無水ケイ酸の含有量は、たれ性維持に対する効果の点から医薬ゲル剤全量に対して0.3質量%以上が好ましく、0.4質量%以上がより好ましく、0.5質量%以上がさらに好ましい。また、本発明の医薬ゲル剤中の軽質無水ケイ酸の含有量は、製造時のハンドリングの点から医薬ゲル剤全量に対して1.1質量%以下が好ましく、1.0質量%以下がより好ましい。
本発明の医薬ゲル剤においては、粘稠剤として含有させるカルメロースナトリウムの含有量と軽質無水ケイ酸の含有量との関係は、質量比で15:3~4:11であることが好ましく、10:4~5:10であることがより好ましい。このような比率で両粘稠剤を含有させることにより、高温保管下においても粘度の低下およびたれ性の悪化がより抑制される傾向がある。
また、本発明の医薬ゲル剤においては、カルメロースナトリウムおよび軽質無水ケイ酸を含有させたうえで、さらなる追加の粘稠剤を含有させることができる。そのような追加の粘稠剤としては、特に限定されるものではないが、カルボキシビニルポリマー、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、疎水化ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロースなどが挙げられる。カルメロースナトリウムに加えて追加の粘稠剤を含有させることにより、ゲル剤の物性、安定性および使用感が変化する傾向がある。追加の粘稠剤は、単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ここで、追加の粘稠剤としてカルボキシビニルポリマーを使用する場合、本発明の医薬ゲル剤中のカルボキシビニルポリマーの含有量は医薬ゲル剤全量に対して0.4質量%未満とすることが好ましく、0.35質量%以下とすることがより好ましく、0.3質量%以下とすることがさらに好ましい。カルボキシビニルポリマーの含有量を0.4質量%未満とすることにより、ゲル剤が良好な安定性を示す傾向がある。もちろん、本発明の医薬ゲル剤は、カルボキシビニルポリマーを含有しないものとすることも好ましい態様の一つである。
本発明の医薬ゲル剤中のカルメロースナトリウムおよび軽質無水ケイ酸を含む粘稠剤の合計含有量は、ゲル剤の物性、安定性および使用感の点から医薬ゲル剤全量に対して0.7質量%以上が好ましく、0.8質量%以上がより好ましく、1.0質量%以上がさらに好ましい。また、本発明の医薬ゲル剤中のカルメロースナトリウムおよび軽質無水ケイ酸を含む粘稠剤の合計含有量は、塗布時の使用感や、製造時のハンドリングの点から医薬ゲル剤全量に対して2.8質量%以下が好ましく、2.3質量%以下がより好ましく、1.8質量%以下がさらに好ましい。
本発明の医薬ゲル剤は、上述の有効成分および粘稠剤に加え、例えば、湿潤剤、安定化剤、pH調節剤、保存剤など、この分野で通常使用される添加剤を含有することができる。
湿潤剤は、特に限定されるものではなく、例えばプロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、グリセリン、エトキシジグリコール、ポリエチレングリコール、およびヘキシレングリコールなどのポリオールなどが挙げられる。湿潤剤は、単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なかでも汎用性、保湿性の点から1,3-ブチレングリコール、グリセリンまたはその組み合わせが好ましい。
湿潤剤を使用する場合の医薬ゲル剤中の含有量は、用いる湿潤剤の種類に応じて異なり、特に限定されるものではないが、通常、医薬ゲル剤全量に対して0.5質量%以上が好ましく、0.8質量%以上がより好ましく、1質量%以上がさらに好ましい。湿潤剤の含有量を0.5質量%以上とすることにより、過酸化ベンゾイルの分散性が改善する傾向がある。また、湿潤剤の含有量は、医薬ゲル剤全量に対して10質量%以下が好ましく、7質量%以下がより好ましく、5質量%以下がさらに好ましい。
安定化剤は、特に限定されるものではなく、例えば、エデト酸ナトリウム、エデト酸四ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、グルコン酸、リンゴ酸、クエン酸、クエン酸ナトリウムなどが挙げられる。なかでも汎用性の点からエデト酸ナトリウムが好ましい。安定化剤は、単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
安定化剤を使用する場合の医薬ゲル剤中の含有量は、用いる安定化剤の種類に応じて異なり、特に限定されるものではないが、通常、医薬ゲル剤全量に対して0.01質量%以上が好ましく、0.05質量%以上がより好ましく、0.08質量%以上がさらに好ましい。安定化剤の含有量を0.01質量%以上とすることにより、ゲル剤が良好な安定性を示す傾向がある。また、安定化剤の含有量は、医薬ゲル剤全量に対して0.5質量%以下が好ましく、0.4質量%以下がより好ましく、0.2質量%以下がさらに好ましい。
pH調節剤は、特に限定されるものではなく、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリエタノールアミン、トリイソプロパノールアミンなどが挙げられる。なかでも汎用性の点から水酸化ナトリウムが好ましい。pH調節剤は、単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
pH調節剤を使用する場合の医薬ゲル剤中の含有量は、求めるpHや用いるpH調節剤の種類に応じて適宜調整することができる。
ここで、本発明の医薬ゲル剤のpHは、特に限定されるものではないが、ゲル剤の安定性の点から、4~11が好ましく、4~8がより好ましく、4.5~6.5がさらに好ましい。
基剤は、特に限定されるものではなく、例えば水、エタノール、イソプロパノールなどが挙げられるが、本発明の医薬ゲル剤は水性ゲル剤とすることが好ましく、水とすることが特に好ましい。
本発明の医薬ゲル剤の好ましい態様は、水性ゲル剤である。その場合、基剤としての水の含有量は、80~97質量%が好ましく、90~97質量%がより好ましい。
本発明の医薬ゲル剤は、本技術分野における通常の方法により製造することができる。具体的には、例えば、本発明の医薬ゲル剤は、粘稠剤と過酸化ベンゾイルとを基本的には別々の予備液として準備し、それらをホモミキサー、パドルミキサー、ホモジナイザーなどにより均一になるまで混合し、最後にpH調節剤でpHを整えて得ることができる。また別の態様によれば、有効成分である過酸化ベンゾイルと、使用する2種以上の粘稠剤は基本的には各々すべて別々の予備液として準備し、これらをホモミキサー、パドルミキサー、ホモジナイザーなどにより均一になるまで混合し、必要に応じてpHを調節することにより製造することができる。いずれの態様においても、粘稠剤、好ましくはカルメロースナトリウムの含有量のうちのごく少量を過酸化ベンゾイルの予備液に配合することも可能であり、この場合、加えたごく少量の粘稠剤により、過酸化ベンゾイルの分散性を改善することができる。
実施例において使用した試薬の詳細を以下に記載する。
過酸化ベンゾイル
1,3-ブチレングリコール:薬添規
濃グリセリン:日局XVIII
カルメロースナトリウム:サンローズF1400MC、食添
軽質無水ケイ酸:AEROSIL200、日局XVIII
カルボキシビニルポリマー:HV-805EG-300、薬添規
エデト酸ナトリウム水和物:日局XVIII
水酸化ナトリウム:日局XVIII
上記において、日局XVIIIとは第十八改正日本薬局方を、薬添規とは医薬品添加物規格2018および同追補を、食添とは、第9版食品添加物公定書を表す。
実施例1
表1の組成に従い、軽質無水ケイ酸および精製水を、スリーワンモーター(BLh600、新東科学(株)製)を用いて300rpmで1時間混合して予備液1とした。濃グリセリン、1,3-ブチレングリコールおよびカルメロースナトリウムを、撹拌機(IKA ヴェルケ(Werke)社製)を用いて300rpmで20分間混合して予備液2とした。過酸化ベンゾイル、精製水、カルメロースナトリウム、エデト酸ナトリウム水和物を、バッチ型ハイシアーミキサー(EX60、シルバーソン社製)を用いて3000rpmで20分間混合して予備液3とした。カルボキシビニルポリマーと精製水を、ディスパー撹拌装置を用いて1500rpmで2時間混合して予備液4とした。調製した予備液1~4をアヂホモミキサー(AG-2V-400、プライミクス(株)製)に投入し、パドル50rpm、ホモミキサー2500rpmで約1時間混合した。さらに水酸化ナトリウム水溶液を添加し、pHを約5~6に調整し、パドル50rpm、ホモミキサー2500rpmで約1時間混合し、均一な水性ゲルを得た。
実施例2~4および比較例1~3
表1の組成に従い、粘稠剤、安定剤(エデト酸ナトリウム水和物)および精製水を混合して予備液1とした。湿潤剤(濃グリセリン、1,3-ブチレングリコール)および過酸化ベンゾイルを混合し、予備液2とした。
予備液1および2を卓上型アヂホモミキサー(ラボ・リューション(登録商標)、プライミクス(株)製)に投入し、2000rpmで均一になるまで約10分間混合した。さらに、水酸化ナトリウム水溶液を加え、pHを約5~6に調整し、2000rpmで約5分間混合し、均一な水性ゲルを得た。
Figure 2023125806000001
実施例1~4および比較例1~3より製造された医薬ゲル剤は、製造終了時に試験例2にしたがい初期pHを測定し、製造終了から3日以内に、試験例1にしたがい初期粘度測定を、試験例3にしたがい初期たれ性試験を行い、さらに残りを製造終了から3日以内に15gずつ20mL容量の透明ガラス瓶にとり、40℃で2ヵ月間保管して次の試験例1~3に供した。実施例1~4および比較例1~3のいずれの医薬ゲル剤も40℃で2ヵ月間保管しても分離を生じなかった。
試験例1:粘度
各医薬ゲル剤の粘度を、第十八改正日本薬局方の粘度測定法第2法にしたがい測定した。まず、円錐-平板形回転粘度計(コーンプレート型粘度計:HBDV-II+Pro、ブルックフィールド社製、コーンスピンドル:CPE-52、ブルックフィールド社製)を用い、カップの外部ジャケットに恒温循環水を流してカップ内を一定温度(20℃±0.1℃)に保った。各医薬ゲル剤を0.40g正確に量り、カップの中心付近にセットして5分間、温度が一定になるまで放置した。毎分3回転で測定を開始し、5分後の粘度表示を計測した。同様に粘度標準液を用いて粘度表示を計測し、補正値を計算して各医薬ゲル剤の粘度を求めた。結果を表2に示す。
試験例2:pH
各医薬ゲル剤のpHは、pHメーター(F-51、(株)堀場製作所製)を用いて、各医薬ゲル剤を10.0g量り、精製水100mLを加えよくかき混ぜて測定した。結果を表2に示す。
試験例3:たれ性
ホットプレートにて40℃付近に温めたヘアレスマウスの皮膚(3.5cm×2.0cm)をスライドガラスに固定した。このスライドガラスに固定された試験用の皮膚表面に、実施例1~4および比較例1~3の医薬ゲル剤0.5gを、高粘度用ピペットを用いて円形(直径:1.2cm、厚さ5mm)に適用した後、ヘアレスマウスの皮膚の表面が地面に垂直になるようにスライドガラスを傾けた。この状態で一定時間(30秒間および1分間)放置した後、傾ける前の位置からの下端のずれを計測した。結果を表2に示す。
Figure 2023125806000002
表2の結果より、粘稠剤としてカルメロースナトリウムと軽質無水ケイ酸を併用した実施例1~4では、40℃で2ヵ月間保管後の初期粘度からの粘度低下率はそれぞれ40.8%、34.2%、43.2%および36.1%と、粘稠剤としてカルメロースナトリウムを使用していない比較例1の51.7%と比較して、10%以上を減少させることができることがわかる。
また、実施例1~4の医薬ゲル剤では、40℃で2ヵ月間という、高温保管状態においても性状が安定し、たれ性の悪化が抑制されており、粘稠剤として軽質無水ケイ酸を含まない比較例1~3の医薬ゲル剤では、このような保管においてたれ性が悪化していることがわかる。

Claims (4)

  1. 有効成分として過酸化ベンゾイルを含み、かつ粘稠剤としてカルメロースナトリウムおよび軽質無水ケイ酸を含有することを特徴とする医薬ゲル剤。
  2. 水性ゲルである請求項1記載の医薬ゲル剤。
  3. 過酸化ベンゾイルの含有量が医薬ゲル剤全量に対して2.0~3.5質量%であり、カルメロースナトリウムの含有量が医薬ゲル剤全量に対して0.4~1.5質量%であり、軽質無水ケイ酸の含有量が医薬ゲル剤全量に対して0.3~1.1質量%である請求項1または2記載の医薬ゲル剤。
  4. カルボキシビニルポリマーを含有しないか、またはカルボキシビニルポリマーの含有量が医薬ゲル剤全量に対して0.4質量%未満である請求項1~3のいずれか1項に記載の医薬ゲル剤。
JP2022030115A 2022-02-28 2022-02-28 過酸化ベンゾイル含有医薬ゲル剤 Pending JP2023125806A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022030115A JP2023125806A (ja) 2022-02-28 2022-02-28 過酸化ベンゾイル含有医薬ゲル剤

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022030115A JP2023125806A (ja) 2022-02-28 2022-02-28 過酸化ベンゾイル含有医薬ゲル剤

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2023125806A true JP2023125806A (ja) 2023-09-07

Family

ID=87887569

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2022030115A Pending JP2023125806A (ja) 2022-02-28 2022-02-28 過酸化ベンゾイル含有医薬ゲル剤

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2023125806A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EA030088B1 (ru) Усовершенствованная композиция антиперспиранта
KR100943105B1 (ko) 다당류 함유 조성물 및 그의 용도
KR101680895B1 (ko) 구강용 연고
JP2016169188A (ja) 皮膚外用剤
JP2023125806A (ja) 過酸化ベンゾイル含有医薬ゲル剤
JP2015227354A (ja) モメタゾンとプロピレングリコールとの水中油型エマルジョン
ES2962154T3 (es) Composición tópica
JP2023125802A (ja) 過酸化ベンゾイル含有医薬ゲル剤
JPS6218526B2 (ja)
JPH0825863B2 (ja) 歯磨組成物
JP2021518409A (ja) 局所用組成物
JP2013199498A (ja) 皮膚外用剤およびその製造方法
JP6765834B2 (ja) 乳化組成物
JPH0536412B2 (ja)
EP2692347B1 (en) Ointment with excellent formulation stability
JP2010120879A (ja) 皮膚外用剤およびその製造方法
JP6925275B2 (ja) 皮膚用の医薬組成物
CN115969776B (zh) 氟比洛芬钠凝胶组合物及其制备方法
JP5105663B2 (ja) 塩化リゾチームを含む粘性化粧料又は薬剤の製造方法並びに塩化リゾチームを含む粘性化粧料又は薬剤
WO2002074100A1 (fr) Composition gel
ES2297111T3 (es) Composicion farmaceutica de clorhidrato de diltiazem estable para aplicacion cutanea y proceso para su preparacion.
JP2004149528A (ja) 口腔内適用抗真菌剤
JPH10298149A (ja) 高濃度第4級アンモニウム塩分散液及びその調製方法
JP7459418B2 (ja) 化粧水
JP2019034915A (ja) 液状洗浄用組成物