JP2023125748A - 振動板用フィルム、音響振動板、及び音響機器 - Google Patents

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Abstract

【課題】弾性率が適切な範囲にあり、温度変化に伴う弾性率変化も小さく、さらに高い耐熱性を有する音響部材用樹脂組成物を提供すること。【解決手段】エラストマーを主成分とし、充填材を含み、周波数1Hzの引張モードで動的粘弾性測定により得られる20℃の貯蔵引張弾性率(E’20)が0.1MPa以上30MPa以下である、振動板用フィルムである。【選択図】なし

Description

本発明は、振動板用フィルム、音響振動板、及び音響機器に関する。
スマートフォン、PDA、ノートブックコンピューター、DVD、液晶テレビ、デジタルカメラ、携帯音楽機器等の小型電子機器の普及により、これら電子機器に使用される小型のスピーカー(通常、マイクロスピーカーと呼ばれる)や小型のレシーバ、さらにはマイクロホン、イヤホン等の小型の電気音響変換器の需要が高まっている。
一般に、電気音響変換器に用いられる振動板、特にスピーカー振動板には、音響輻射音圧レベルを維持するため密度が低いこと、歪を抑制して耐許容入力を大きく保持するため剛性が大きいことに加えて、再生周波数帯を広げるため弾性率が特定の範囲にあること、振動板の分割振動を抑え周波数特性を平坦にするため内部損失が大きいこと等が要求される。また、スピーカーの駆動源であるボイスコイル近傍や車載用スピーカー等に使用する場合には、振動板が高温に長時間曝されるため、このような使用条件下で十分に耐えうる耐熱性が必要となる。
このような電気音響変換器用振動板には、音響特性に優れる環状オレフィン系樹脂やポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂等が過去から検討されてきた。例えば、特許文献1及び特許文献2には、環状オレフィン系樹脂を主成分とする振動板について開示されており、音響特性に優れる旨の記載がある。また、特許文献3には、振動板の音質の均一性を向上させることのできるポリエーテルエーテルケトン樹脂の振動板用フィルムの製造方法が開示されている。特許文献4には、優れた耐湿性、耐水性、耐熱性、軽量性、成形性、音質特性を得ることのできるポリアミド樹脂のスピーカー振動板用フィルムの製造方法が開示されている。
一方で、近年、小型電子機器の高機能化、高性能化に伴う電気音響変換器、特にスピーカーの小型化に伴い、より広い音域、特に低音での再生性の良い材料、すなわち弾性率が比較的低い材料が求められている。さらに、高出力化に伴い、使用環境温度が高温になるため、低温から高温まで音質の変化が少ない、すなわち低温から高温までの弾性率変化がより少ない材料も求められている。
しかしながら、特許文献1に記載の振動板は環状オレフィン系樹脂を単体又は4-メチルペンテン樹脂や各種フィラーを添加して使用しており、弾性率が高いことが懸念される。実際に、実施例に記載されている弾性率の値はいずれも2000MPaを超えており、音の再生性、特に低音での再生性に適さず、近年の振動板に求められる特性には合わない。
また、特許文献2に記載の振動板は、環状オレフィン系樹脂とオレフィン樹脂としてポリプロピレンをブレンドして使用しており、やはり弾性率が高いことが懸念される。さらに、環状オレフィン系樹脂とポリプロピレンの界面が弱いため、耐久性にも問題があると考えられる。
さらに、特許文献3、4に記載の振動板は、弾性率が高く音の再生性、特に低音での再生性に問題があると思われる。
特許文献1~4の問題点に対して、これを解決する音響部材用樹脂組成物、音響部材用フィルム、積層体及び音響部材用振動板が、特許文献5に開示されている。特許文献5に開示される音響部材用樹脂組成物は、弾性率が適切な範囲にあり、温度変化に伴う弾性率変化も小さく、さらに、優れた耐熱性を有する音響部材用樹脂組成物を提供することが可能となる。
特開平6-225383号公報 特開2011-176621号公報 特開2018-062153号公報 特開2016-167757号公報 特開2021-141393号公報
上記特許文献5に開示される音響部材用振動板は優れた性能を有するが、さらに低音の音質を向上させる等のために、さらに貯蔵弾性率の小さい材料が求められている。このような貯蔵弾性率の小さい材料はタック性が高く、特に音響振動板を成形する際には、その複雑な形状を生産性及び歩留まりを両立させながら成形しようとすると、非成形体が金型に貼着してしまい脱型が困難であるという課題が生じることがわかってきた。
本発明は、このような状況下でなされたものであり、弾性率が小さく、かつタック性が抑制された振動板用フィルムを提供することを目的とするものである。
本発明者らは、鋭意検討した結果、上記課題を解決し得る振動板用フィルムを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、以下の[1]~[10]を提供する。
[1]エラストマーを主成分とし、充填材を含み、周波数1Hzの引張モードで動的粘弾性測定により得られる20℃の貯蔵引張弾性率(E’20)が0.1MPa以上30MPa以下である、振動板用フィルム。
[2]周波数1Hzの引張モードで動的粘弾性測定により得られる100℃の貯蔵引張弾性率(E’100)が0.1MPa以上30MPa以下である、上記[1]に記載の振動板用フィルム。
[3]前記20℃における貯蔵引張弾性率(E’20)と100℃における貯蔵引張弾性率(E’100)の比(E’100/E’20)が0.3以上1.2以下である、上記[1]又は[2]に記載の振動板用フィルム。
[4]前記エラストマー100質量部に対し、前記充填材の含有量が1~100質量部である、上記基[1]~[3]のいずれかに記載の振動板用フィルム。
[5]前記充填材の50%平均粒径(d50)が10μm以下である上記[1]~[4]のいずれかに記載の振動板用フィルム。
[6]前記充填材が、シリカ、マイカ(雲母)、セリサイト、イライト、タルク、カオリナイト、モンモリロナイト、スメクタイト、バーミキュライト、二酸化チタン、チタン酸カリウム、チタン酸リチウム、ベーマイト、アルミナ、シリコーン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、及びパーフルオロアルコキシアルカン(PFA)からなる群から選択される1種又は2種以上である、上記[1]~[5]のいずれかに記載の振動板用フィルム。
[7]前記エラストマーがスチレン系エラストマーである、上記[1]~[6]のいずれかに記載の振動板用フィルム。
[8]前記スチレン系エラストマーが、スチレン-ブタジエン-スチレン共重合体(SBS)、スチレン-イソプレン-スチレン共重合体(SIS)、スチレン-イソブチレン-スチレン共重合体(SIBS)、スチレン-ブタジエン/ブチレン-スチレン共重合体(SBBS)、スチレン-エチレン/ブチレン-スチレン共重合体(SEBS)、スチレン-エチレン/プロピレン-スチレン共重合体(SEPS)、及びスチレン-エチレン/エチレン/プロピレン-スチレン(SEEPS)共重合体からなる群から選択される1種又は2種以上である、上記[1]~[7]のいずれかに記載の振動板用フィルム。
[9]上記[1]~[8]のいずれかに記載の振動板用フィルムを備えた音響振動板。
[10]上記[9]に記載の音響振動板を備えた音響機器。
本発明によれば、弾性率が十分低く、タック性が抑制された振動板用フィルムを提供することができる。
本発明の一実施形態に係るマイクロスピーカー振動板1の構造を示す断面図である。 本発明の他の一実施形態に係るマイクロスピーカー振動板11の構造を示す断面図である。 本発明の他の一実施形態に係るマイクロスピーカー振動板21の構造を示す平面図である。
[振動板用フィルム]
本発明の振動板用フィルムは、エラストマーを主成分とし、充填材を含むことが特徴である。また、本発明の振動板用フィルムは、周波数1Hzの引張モードで動的粘弾性測定により得られる20℃の貯蔵引張弾性率(E’20)が0.1MPa以上30MPa以下である。なお、ここで主成分とは、振動板フィルムを構成する樹脂成分(固形分)中のエラストマーの含有量が50質量%以上、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上、特に好ましくは90質量%以上であることを示す。
<エラストマー>
本発明の振動板用フィルムに用いられるエラストマーとしては、エラストマーとしての機能を有するものであれば特に制限はなく、例えば、スチレン系エラストマー、オレフィン系エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ポリエステル系エラストマー、ポリ塩化ビニル系エラストマー、ポリウレタン系エラストマー、ポリブタジエン系エラストマー等が挙げられる。これらのうち、低い領域の弾性率を適切な範囲に調整しやすく、温度による影響が少なく、振動板として使用した場合に幅広い音域に対応することが可能になる観点から、特にスチレン系エラストマーが好ましい。
スチレン系エラストマーは、エラストマー全量中に50質量%以上含まれることが好ましく、より好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上、特に好ましくは90質量%以上であり、100質量%であってもよい。
本発明の振動板用フィルムに用いられるエラストマーの20℃における貯蔵引張弾性率は、0.1MPa以上30MPa以下であることが好ましい。この範囲とすると、振動板成形時のハンドリング性を維持しつつ、音響部材、特に小型化する電気音響変換器用振動板に使用した場合にも優れた音響特性が得られやすくなる。
以上の観点から、エラストマーの20℃における貯蔵引張弾性率は0.5MPa以上であることが好ましく、1MPa以上であることがより好ましく、2MPa以上であることがさらに好ましい。また、20MPa以下であることがより好ましく、10MPa以下であることがさらに好ましい。
(スチレン系エラストマー)
本発明で用いるスチレン系エラストマーは、スチレンと他の成分との共重合体であることが好ましく、当該他の成分がソフトセグメントとして機能し、スチレンがハードセグメントとして機能するエラストマーであることが好ましい。
具体的には、他の成分として、ブタジエン、イソプレン、エチレン、ブチレン、プロピレン、及びイソブチレンからなる群から選ばれる少なくとも1種のソフトセグメントであることが好ましい。
スチレン系エラストマーとしてはブロック共重合体が好ましく、具体的には、スチレンにより構成されるハードブロックと、上記ソフトセグメントを構成する共重合成分の1種又は2種以上により構成されるソフトブロックとを備えることが好ましい。
また、スチレン系エラストマーは、上記共重合体の水素添加物であってもよい。
スチレン系エラストマーの具体例としては、スチレン-ブタジエン共重合体(SB)、スチレン-ブタジエン-スチレン共重合体(SBS)、スチレン-イソプレン共重合体(SI)、スチレン-イソプレン-スチレン共重合体(SIS)、スチレン-イソブチレン共重合体(SIB)、スチレン-イソブチレン-スチレン共重合体(SIBS)、スチレン-ブタジエン-ブチレン-スチレン共重合体(SBBS)、スチレン-エチレン-ブチレン-スチレン共重合体(SEBS)、スチレン-エチレン-プロピレン-スチレン共重合体(SEPS)、スチレン-エチレン-エチレン-プロピレン-スチレン(SEEPS)共重合体等が挙げられ、こらのうち、SBS、SIS、SIBS、SBBS、SEBS、SEPS、SEEPSが好ましい。中でも、低温から高温にかけての弾性率変化が小さいという観点から、ソフトセグメントの共重合成分としてイソブチレンを含むことが好ましく、具体的にはイソブチレンとの共重合体であるSIBやSIBSが好ましく、SIBSがより好ましい。なお、上記具体例として記載した各共重合体についても、前述のように、ブロック共重合体であるとよく、例えばSIBはジブロック共重合体であり、SIBSはトリブロック共重合体であるとよい。
スチレン系エラストマーに含まれるスチレン成分の割合は1質量%以上、60質量%以下であることが好ましく、3質量%以上55質量%以下であることがより好ましく、5質量%以上、50質量%以下であることが更に好ましく、7質量%以上、45質量%以下であることがとりわけ好ましく、10質量%以上、40質量%以下であることが特に好ましい。スチレン成分の割合がかかる範囲であれば、常温でのハンドリング性を維持しつつ、スチレン由来のガラス転移温度付近で弾性率が低下しにくいため低温から高温の弾性率変化を小さくすることができ、フィルムの弾性率比(E’100/E’20)を大きい値に維持しやすくなる。
スチレン系エラストマーの質量平均分子量は、例えば50000以上、300000以下であるが、70000以上、260000以下であることが好ましい。質量平均分子量を50000以上とすると、低温から高温の弾性率変化が小さくなり、フィルムの弾性率比(E’100/E’20)を大きい値に維持しやすくなる。また、300000以下とすることで、溶融粘度が高すぎず、溶融成形性に優れる傾向となる。これら観点から、スチレン系エラストマーの質量平均分子量は、100000以上、200000以下がより好ましく、110000以上、180000以下がさらに好ましく、120000以上、150000以下が特に好ましい。
なお、質量平均分子量とは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法の標準ポリスチレン分子量換算による質量平均分子量であり、例えば、以下の条件で測定できる。
装置 :東ソー社製 HLC-8320GPC
カラム:4本連結
Shim-pack GPC-806C
Shim-pack GPC-804C
Shim-pack GPC-8025C
Shim-pack GPC-801C
長さ300mm、内径8.0mm
溶離液:クロロホルム
流速 :1ml/min
検出器:RI
カラム恒温槽温度:40℃
サンプル濃度:約0.3質量%(20mg/4ml)
注入量:20μl
(他の樹脂)
本発明の振動板用フィルムは、前述のエラストマーに加えて他の樹脂を含有していてもよい。他の樹脂としては、本発明の効果を阻害しない範囲であれば、特に限定されない。例えば、環状オレフィン系樹脂、非晶性ポリアミド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリフェニルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルイミドスルホン、ポリアリレート、ポリメチルメタクリルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルケトンケトンなどが使用できる。他の樹脂の含有量としては、エラストマーを含む樹脂成分中、50質量%以下であることが好ましく、より好ましくは30質量%以下、さらに好ましくは20質量%以下、特に好ましくは10質量%以下である。
<貯蔵引張弾性率>
本発明の振動板用フィルムの20℃における貯蔵引張弾性率(E’20)は、0.1MPa以上30MPa以下である。E’20が30MPaより大きくなると、音響部材、特に近年小型化する電気音響変換器用振動板に使用すると音の再生性、特に低音での再生性に問題が生じるおそれがある。一方、E’20が30MPa以下であると耐折強度が高くなり、耐衝撃性を向上させやすくなる。
また、E’20を上記範囲内とすると、成形時のハンドリング性を維持しつつ、音響部材、特に小型化する電気音響変換器用振動板に使用した場合にも優れた音響特性が得られやすくなる。
以上の観点から、E’20は0.5MPa以上であることが好ましく、1MPa以上であることがより好ましく、2MPa以上であることがさらに好ましい。また、20MPa以下であることがより好ましく、10MPa以下であることがさらに好ましい。
また、本発明の振動板用フィルムの100℃における貯蔵引張弾性率(E’100)は、0.1MPa以上30MPa以下であることが好ましい。100℃における貯蔵引張弾性率がかかる範囲にあれば、成形時のハンドリング性を維持しつつ、耐熱性に優れやすい。また、高温域での弾性率変化が小さいため、高温環境下でも、優れた音響特性が得られることが期待される。以上の観点から、E’100は0.5MPa以上であることが好ましく、1MPa以上であることがより好ましく、1.2MPa以上であることがさらに好ましい。また、15MPa以下であることがより好ましく、5MPa以下であることがさらに好ましい。
さらに、本発明の振動板用フィルムの20℃における貯蔵引張弾性率E’20に対する100℃における貯蔵引張弾性率E’100の比E’100/E’20は、0.3以上、1.2以下であることが好ましく、0.35以上、1.0以下であることがより好ましく、0.4以上、0.8以下であることがさらに好ましい。フィルムのE’100/E’20がかかる範囲であれば、フィルムの温度変化に伴う弾性率変化が小さくなり、耐熱性に優れやすい。また、温度変化に伴う弾性率変化が小さいため、低温域から高温域までの音質変化が小さく、音の再生性に優れ、かつ高温環境下における音質の低下が発生しにくくなる。
貯蔵引張弾性率は、JIS K7244-4:1999に準拠した動的弾性率測定から得られる値をいい、詳しくは実施例に記載のとおりである。なお、フィルムに方向性がある場合、MD(押出方向)及びTD(フィルム面内でMDに直交する方向)について測定して平均値を求めるとよい。プレス成形などのように方向性がない場合には、一方向のみ測定して、その測定値を貯蔵引張弾性率とする。
<充填材>
本発明の振動板用フィルムは充填材を含むことが特徴である。充填材を含むことによって、フィルムを低弾性率に維持しつつ、タック性が抑制され、成形した後に金型から脱型することが容易となる。
充填材の形状として例えば、粒子状、繊維状を挙げることができるが、成形性の面から粒子状であることが好ましい。
充填材としては、本発明の効果を奏する範囲であれば特に限定されず、例えば、シリカ、マイカ(雲母)、セリサイト、イライト、タルク、カオリナイト、モンモリロナイト、スメクタイト、バーミキュライト、二酸化チタン、チタン酸カリウム、チタン酸リチウム、ベーマイト、アルミナ等の無機粒子、シリコーン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、及びパーフルオロアルコキシアルカン(PFA)等の有機粒子を好適に挙げることができる。
これらのうち、マイカ(合成マイカ)、PTFE及びPFAが好ましい。一般に、充填材を添加すると、フィルムの弾性率は上がってしまう傾向にあるが、合成マイカは室温でフィルムの弾性率を維持することができ、またPTFE及びPFAは、フッ素を含有することにより、弾性率を維持し得ると考えられる。
充填材の粒径としては、特に制限はないが、50%平均粒径(d50)が10μm以下であることが好ましい。50%平均粒径が10μm以下であると、成形性や機械強度の点で好ましい。一方、下限値については特に限定されないが、取り扱い性の点から0.1μm以上であることが好ましい。以上の点から、本発明において、充填材の平均粒径は0.1~10μmの範囲であることがより好ましく、1~8μmの範囲であることがさらに好ましい。
なお、50%平均粒径(d50)は、レーザー回折・散乱法によって求めることができる。
本発明のフィルム中の充填材の含有量は、エラストマー100質量部に対して、1~100質量部であることが好ましい。充填材の含有量が1質量部以上であると、充填材の添加効果が十分にみられ、100質量部以下であると、フィルムの弾性率が維持される。以上の観点から、充填材の含有量は、エラストマー100質量部に対して、10~80質量部の範囲であることがより好ましく、20~70質量部の範囲であることがさらに好ましい。
(その他添加剤)
本発明のフィルムは、本発明の効果を損なわない範囲で、熱安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、抗菌・防かび剤、帯電防止剤、滑剤、顔料、染料等の各種添加剤を含んでいてもよい。
(振動板用フィルムの厚み)
本発明の振動板用フィルムの厚みは、1μm以上、300μm以下であることが好ましく、2μm以上、250μm以下であることがより好ましく、3μm以上、200μm以下であることが更に好ましく、4μm以上、150μm以下であることが特に好ましい。厚みがかかる範囲であれば、ハンドリング性と音質のバランスに優れ、さらに振動板の小型化、省スペース化にも寄与しやすい傾向となる。
<振動板用フィルムの製造方法>
(樹脂組成物の調製)
本発明の振動板用フィルムの製造に際し、フィルムを形成するための樹脂組成物を調製する。樹脂組成物の製造方法は特に限定されないが、例えば、エラストマーを主成分とし、充填材を含有する樹脂組成物を溶融混練することで得ることができる。溶融混練のための混練機としては、単軸又は二軸押出機などの押出機、プラストミル等の公知の混練機を用いることができる。特に、エラストマーとエラストマー以外の他の樹脂を混合して用いる場合は、混練機の種類や混練条件の選択によってエラストマー及び他の樹脂成分の分散状態を適宜調整することができ、これにより、本フィルムの貯蔵引張弾性率を制御することができる。
溶融温度は、エラストマーの種類、他の樹脂の種類、混合比率、添加剤の有無や種類に応じて適宜調整されるが、生産性等の観点から、230℃以上であることが好ましく、240℃以上であることがより好ましく、250℃以上であることが更に好ましい。溶融温度は、300℃以下であることが好ましく、290℃以下であることがより好ましく、280℃以下であることが更に好ましい。溶融温度がかかる範囲であれば、樹脂の分解や架橋を抑制しつつ、十分に流動させることが容易となる。
(振動板用フィルムの製造方法)
本発明のフィルムは、前述の樹脂組成物を用いて、一般の成形法、例えば、押出成形、射出成形、ブロー成形、真空成形、圧空成形、プレス成形等によって製造することができる。それぞれの成形方法において、装置および加工条件は特に限定されないが、生産性や厚み制御の観点から、押出成形、特にTダイ法が好ましい。また、Tダイにより押出成形された樹脂組成物は、例えばキャストロールにより引き取るとよい。
本発明の振動板用フィルムの製造方法は特に限定されないが、例えば、フィルムの構成材料(すなわち、樹脂組成物)を、無延伸又は延伸フィルムとして成形して得ることができ、二次加工性の観点から、無延伸フィルムとして得ることが好ましい。なお、無延伸フィルムとは、シートの配向を制御する目的で、積極的に延伸しないフィルムであり、Tダイ法でキャストロールにより引き取る際に配向したフィルムも含まれる。
例えば、各構成材料を溶融混練して樹脂組成物を得た後、樹脂組成物を押出成形し、冷却することにより製造することができる。溶融混練には、単軸又は二軸押出機、プラストミル等の公知の混練機を用いることができる。溶融混練の詳細は上記のとおりである。
成形は、例えば、Tダイ等の金型を用いた押出成形により行うことができ、キャストロールを用いて冷却することが好ましい。
キャストロールの温度は、50℃以上であることが好ましく、100℃以上であることがより好ましく、120℃以上であることが更に好ましい。キャストロール温度の下限がかかる範囲であれば、フィルムとの密着性に優れ、急冷によるシワが入りにくく、外観良好なフィルムが得られやすい。
一方、キャストロールの温度は、200℃以下であることが好ましく、190℃以下であることがより好ましく、180℃以下であることが更に好ましい。キャストロールの温度の上限がかかる範囲であれば、フィルムがロールに貼り付き、その後離れる際に生じる貼り付き跡も生じにくく、外観良好なフィルムが得られやすい。なお、キャストロールとフィルムとの密着性を向上させるために、タッチロールや電気密着装置を使用することも好ましい。
また、無延伸フィルムの場合、例えば、樹脂組成物を構成する各成分を、上記溶融温度で溶融混練して樹脂組成物を得て、樹脂組成物をプレス成形やラミネート成形によりフィルムとしてもよい。
[用途]
本発明の振動板用フィルムは、耐熱性に優れ、弾性率が十分低く、低温から高温の弾性率変化が小さいため、音響振動板の振動板用フィルムとして有用である。具体的には、スピーカー、レシーバ、マイクロホン、イヤホン等の各種の電気音響変換器(音響振動板)に使用でき、これらの中では、スピーカー振動板であることがより好ましく、特に携帯電話等のマイクロスピーカー振動板として好適に使用できる。
本発明の振動板用フィルムは、適宜二次加工されて音響振動板などの各種の音響部材に成形され、好ましくは電気音響変換器用振動板、特に好ましくはスピーカー振動板に成形される。
音響部材用フィルム(本発明の振動板フィルム)は、例えば、該フィルムの少なくとも一部をドーム形状やコーン形状などに加工されるとよい。また、フィルムの表面にタンジェンシャルエッジが付与されたものでもよい。ドーム形状またはコーン形状に加工され、あるいは、タンジェンシャルエッジが付与される場合には、好ましくは音響部材用振動板、より好ましくはスピーカー振動板に使用される。
二次加工方法は特に限定されるものではないが、該フィルムのガラス転移温度や軟化温度を考慮して加熱し、プレス成形や真空成形等により成形するとよい。本発明の振動板用フィルムは、上記のとおりエラストマーを含有しながらもタック性が抑制されたものであり、二次加工により複雑な形状の音響振動板に加工するような場合にでも、成形機の金型などに貼り付いたりすることが防止され、二次加工性に優れる。
(音響振動板)
音響振動板についてより詳細に説明すると、振動板の形状は特に制限されず、任意であり、円形状、楕円形状、オーバル形状等が選択できる。また、音響振動板は、一般的に、電気信号などに応じて振動するボディと、ボディの周囲を囲むエッジを有する。振動板のボディは、通常、エッジにより支持される。振動板の形状は、上記のとおりドーム状、コーン状でもよいし、これらを組み合わせた形状でもよいし、振動板に使用されるその他の形状でもよい。
本発明の振動板用フィルムは、音響振動板の少なくとも一部を形成すればよく、例えば、振動板のボディ又はエッジが本発明の振動板用フィルムにより形成され、振動板のエッジ又はボディが別の部材により形成されてもよい。もちろん、ボディ及びエッジの両方が、本発明の振動板フィルムにより一体的に形成されてもよく、音響振動板全体が、本発明の振動板用フィルムにより形成されてもよい。
図1は、本発明の一実施形態に係る振動板1の構造を示す図であり、平面視で円形の振動板1を、円の中心線を通る面で切断した断面図である。図1に示すように、振動板1は、ドーム部(ボディ)1aを中心に、ボイスコイル2に取り付ける凹嵌部1b、周縁部(エッジ)1c、および、その外周にフレーム等に貼り付ける外部貼付け部1dを有する。振動板1は、本発明の振動板用フィルムにより成形される。
図2は、本発明の他の実施形態である振動板11の構造を示す図であり、平面視で円形の振動板11を、円の中心線を通る面で切断した断面図である。図2に示すように、マイクロスピーカー振動板11は、ドーム形状に加工されたドーム部(ボディ)11aを中心に、ボイスコイル2に取り付ける凹嵌部11b、コーン形状に加工されたコーン部11j、および、周縁部(エッジ)11cを有する。振動板11に例示するように、振動板は、一部がドーム形状に加工され、且つ、該一部を除く他の一部がコーン形状に加工されていてもよい。なお、マイクロスピーカー振動板11は、それぞれ周縁部11cを直接フレーム等に取り付けてもよく、他の部材を介してフレーム等に取り付けてもよい。
振動板の表面には、上記のとおり、タンジェンシャルエッジを付与してもよい。タンジェンシャルエッジは、例えば、横断面形状がV字状の溝などにより構成されるとよい。図3には、本発明の他の実施形態に係る振動板21の平面図を示す。振動板21は、円形のドーム部(ボディ)21aの外周縁部に、複数のタンジェンシャルエッジ21eが付与されたタンジェンシャルエッジ部21gと、タンジェンシャルエッジ部21gの外周に配置された複数のタンジェンシャルエッジ21fが付与されたタンジェンシャルエッジ部21hを有する。なお、図3では、径方向に沿って2つのタンジェンシャルエッジ部が設けられる例を示すが、タンジェンシャルエッジ部は径方向に沿って1つのみであってもよいし、3つ以上設けられてもよい。
なお、振動板は、上記の通りスピーカー振動板、中でもマイクロスピーカー振動板であることが好ましい。マイクロスピーカー振動板として好適に使用する観点から、振動板の大きさは、最大径が25mm以下、好ましくは20mm以下であり、また最大径が5mm以上のものが好適に用いられる。なお、最大径とは振動板の形状が円形状の場合には直径、楕円形状やオーバル形状の場合には長径を採用するものとする。
振動板は、本発明の振動板用フィルム単体により成形されてもよいし、本発明の振動板用フィルムと他の部材との複合材により成形されてもよい。例えば、上記の通り、エッジまたはボディのいずれかを他の部材により形成してもよい。また、振動板用フィルムと、他の層との積層体により構成されてもよい。
積層体は、例えば、上記した振動板用フィルムと、振動板用フィルムの少なくとも一方の面に設けられる粘着層を有するとよい。積層体は、粘着層を有することで良好な減衰特性を備えやすくなる。
また、積層体は、上記した振動板用フィルムを表裏層とし、粘着層を中間層とする積層体であることが好ましい。このような積層構造とすることにより、表裏層の振動板用フィルムが有する耐熱性、耐衝撃性および成形性に加え、中間層が有する優れた減衰特性を積層体に付与することができる。このような積層体により構成される振動板を作製する方法は特に制限されない。例えば、一対の振動板用フィルムを二次加工して表層および裏層を構成する成形体をそれぞれ作製し、これらを中間層に用いられる粘着剤を介して接着することにより作製する方法、または、一対の振動板用フィルムを中間層に用いられる粘着剤を介して接着して積層フィルムを作製し、該積層フィルムを二次加工する方法等が挙げられる。
また、この場合、表層および裏層の厚みはそれぞれ1μm以上、30μm以下であることが好ましく、2μm以上、25μm以下であることがより好ましく、3μm以上、20μm以下であることが更に好ましい。一方、中間層厚みは3μm以上、50μm以下であることが好ましく、5μm以上、40μm以下であることがより好ましく、10μm以上、30μm以下であることが更に好ましい。中間層の材料種や各層の厚みがかかる構成であれば、各種機械特性や成形性を維持したまま減衰特性にも優れる振動板が得られやすい。
積層体は、上記した振動板用フィルム及び粘着層に加えて、上記した振動板用フィルム以外の樹脂フィルムを備えてもよい。樹脂フィルムに使用される樹脂成分としては、ポリエーテルエーテルケトン樹脂(PEEK)、ポリエステル系エラストマー(TPEE)、ポリエーテルイミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリビフェニルエーテルスルホン樹脂(PPSU)、結晶性ポリイミド樹脂、脂肪族ポリアミド樹脂、半芳香族ポリアミド樹脂及びこれらの混合物などが挙げられる。
振動板用フィルム以外の樹脂フィルムを備える場合、積層体としては、表裏層の一方を振動板用フィルムとし、表裏層の他方を振動板用フィルム以外の樹脂フィルムとし、粘着層を中間層とする積層体や、振動板用フィルム/振動板用フィルム以外の樹脂フィルム/粘着層の順に積層体された積層体、振動板用フィルム/振動板用フィルム以外の樹脂フィルム/粘着層/振動板用フィルム以外の樹脂フィルム/振動板用フィルムの順に積層された積層体等が挙げられる。
積層体に使用される粘着層は、粘着剤により形成されるとよい。粘着層に用いられる粘着剤の種類としては、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤、ウレタン系粘着剤等が挙げられるが、接着性の観点から、アクリル系またはシリコーン系粘着剤を用いることが好ましい。
さらに、振動板の二次加工適性や防塵性あるいは、音響特性の調整や意匠性向上等のために、本発明の振動板用フィルムまたは成形した振動板の表面にさらに帯電防止剤や各種エラストマー(例えば、ウレタン系、シリコーン系、炭化水素系、フッ素系など)をコーティングや積層したり、金属を蒸着したり、スパッタリングあるいは、着色(黒色や白色など)したりするなどの処理を適宜行ってもよい。さらに、アルミニウムなどの金属や他のフィルムとの積層、あるいは、不織布との複合化などを適宜行ってもよい。
他のフィルムと積層する場合は、他のフィルムとしては、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエステル系エラストマー、熱可塑性ポリウレタン、ポリビフェニルエーテルスルホン樹脂(PPSU)、結晶性ポリイミド樹脂、脂肪族ポリアミド樹脂、半芳香族ポリアミド樹脂及びこれらの混合物等の樹脂からなるフィルムであることが貯蔵引張弾性率、耐熱性、二次加工性の点から好ましい。
(音響機器)
本発明は、上記音響振動板を備えた音響機器をも含む。ここで音響機器とは、音を録音再生したり変換したりするための機器をいい、具体的には、スピーカー、レシーバ、マイクロホン、イヤホン等の機器をいう。
以下、本発明を実施例により詳細に説明するが、本発明はこれにより限定されるものではない。
<評価方法>
(1)貯蔵引張弾性率
各実施例、比較例で得られたフィルムから5mm×8cmの試験片(厚み100μm)を切り出し、測定試料として得た。その測定試料を用いて、JIS K7244-4:1999に準拠して、粘弾性スペクトロメーター「DVA-200(アイティー計測制御株式会社製)」を用い、周波数1Hz、歪み0.1%、温度範囲20~400℃、加熱速度3℃/minで昇温させ、20℃及び100℃における貯蔵引張弾性率(E’20、E’100)を測定した。
貯蔵引張弾性率について、以下の基準に基づき、総合的に評価した。
〇;E’20の値が1~30MPaであり、かつE’100の値が1~30MPaである。
△;E’20の値が1~30MPaの範囲から逸脱するか、又はE’100の値が1~30MPaの範囲から逸脱している。
×;E’20の値が1~30MPaの範囲から逸脱しており、かつE’100の値が1~30MPaの範囲から逸脱している。
(2)20℃における貯蔵引張弾性率(E’20)と100℃における貯蔵引張弾性率(E’100)の比(E’100/E’20
(1)の測定によって得られたそれぞれの値からE100/E20を算出し、以下の基準に基づき、総合的に評価した。
〇;E’100/E’20の値が0.3~1.2の範囲である。
×;E’100/E’20の値が0.3~1.2の範囲から逸脱している。
(3)タック性
(3-1)試験1
実施例及び比較例にて製造した各フィルムについて、フィルム同士を貼り合わせ、室温下での引張により貼り合わせたフィルムを剥がした際の状態を目視観察した。以下の基準に基づき、評価した。
〇;フィルム同士が貼着することなく、剥離することができた。
△;フィルム同士を剥離することはできるが、引き剥がした跡がフィルムに残った。
×;貼着してフィルムが破断するなどし、剥離することができなかった。
(3-2)試験2
実施例2、4、及び比較例1について、以下の評価を行った。
各実施例及び比較例で得られた本フィルムから7cm×10cmほどの試験片を切り出し、評価試料とした。予め160℃に加熱した振動板用の金型に評価試料を挟み込んでプレスし、金型温度を100℃以下まで冷却してから試料を金型から取り出した。
〇;成形体が金型から剥がれ、成形体を取り出すことができた。
△;成形体を金型から取り出すことができるが、成形体の一部が金型に残り、その部分では成形体が一部破損した。
×;成形体が金型に貼着し、脱型することができなかった。
(使用した材料)
(1)エラストマー
(1-1)エラストマーA(スチレン系);スチレン-イソブチレン-スチレン共重合体(SIBS)(カネカ社製「SIBSTAR 102T」、スチレン含量=19質量%、質量平均分子量130000、E20’=2.1MPa、E100’/E20’=0.52)
(1-2)エラストマーB(スチレン系);スチレン-エチレン/ブチレン-スチレン共重合体(SEBS)(旭化成社製「タフテックH1272」、スチレン含量=35質量%、質量平均分子量120000、E20’=4.6MPa、E100’/E20’=0.46)
(2)充填材
(2-1)合成マイカ;片倉コーポアグリ社製「MK-100」、鱗片状、d50=5μm
(2-2)ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)フィラー;ダイキン工業株式会社製「ポリフロン L-5」、球状、d50=6μm
実施例1
エラストマーとして、SIBS(エラストマーA)を用い、SIBS80質量部に対して、充填材として合成マイカを20質量部添加して、東洋精機社製のプラストグラフミキサーに供給し、温度=260℃、回転数=60rpm、で5分溶融混練した。このようにして作製した樹脂組成物を260℃、圧力3MPaで30秒間熱プレスし、厚み100μmの無延伸のフィルムを作製した。評価結果を表1に示す。
実施例2
実施例1において、SIBSと充填材の含有量をSIBS60質量部、合成マイカ40質量部としたこと以外は実施例1と同様にしてフィルムを作製した。評価結果を表1に示す。
実施例3
実施例1において、合成マイカに代えてPTFEを充填材として用いた以外は実施例1と同様にしてフィルムを作製した。評価結果を表1に示す。
実施例4
実施例3において、SIBSと充填材の含有量をSIBS60質量部、PTFE40質量部としたこと以外は実施例3と同様にしてフィルムを作製した。評価結果を表1に示す。
実施例5
実施例1において、エラストマーとして、SIBSに代えてSEBS(エラストマーB)を用いたこと以外は実施例1と同様にしてフィルムを作製した。評価結果を表1に示す。
比較例1
実施例1において、合成マイカを添加しなかったこと以外は実施例1と同様にしてフィルムを作製した。評価結果を表1に示す。
比較例2
実施例5において、合成マイカを添加しなかったこと以外は実施例5と同様にしてフィルムを作製した。評価結果を表1に示す。
実施例1~5のフィルムは、フィルム同士を貼着させる試験1において、良好な剥離性を示し、タック性が抑制された。特に、実施例2及び4のフィルムは、金型を用いた成形工程を経た後でも、金型からの剥離が良好であった。また、実施例1~5のフィルムは、弾性率も良好であり、かつ弾性率の温度依存性も小さく、振動板用フィルムとしての性能も良好な値を示した。
一方、比較例1及び2のフィルムは、スチレン系のエラストマーを使用していることから、弾性率及び弾性率の温度依存性に関しては良好であったが、充填材を含有していないことから、タック性の評価(試験1)において、フィルム同士が貼着して剥離できない結果となった。また、比較例1のフィルムについては、金型を用いたタック性評価(試験2)において、金型からの剥離ができなかった。

Claims (10)

  1. エラストマーを主成分とし、充填材を含み、周波数1Hzの引張モードで動的粘弾性測定により得られる20℃の貯蔵引張弾性率(E’20)が0.1MPa以上30MPa以下である、振動板用フィルム。
  2. 周波数1Hzの引張モードで動的粘弾性測定により得られる100℃の貯蔵引張弾性率(E’100)が0.1MPa以上30MPa以下である、請求項1に記載の振動板用フィルム。
  3. 前記20℃における貯蔵引張弾性率(E’20)と100℃における貯蔵引張弾性率(E’100)の比(E’100/E’20)が0.3以上1.2以下である、請求項1又は2に記載の振動板用フィルム。
  4. 前記エラストマー100質量部に対し、前記充填材の含有量が1~100質量部である、請求項1~3のいずれか1項に記載の振動板用フィルム。
  5. 前記充填材の50%平均粒径(d50)が10μm以下である請求項1~4のいずれか1項に記載の振動板用フィルム。
  6. 前記充填材が、シリカ、マイカ(雲母)、セリサイト、イライト、タルク、カオリナイト、モンモリロナイト、スメクタイト、バーミキュライト、二酸化チタン、チタン酸カリウム、チタン酸リチウム、ベーマイト、アルミナ、シリコーン、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、及びパーフルオロアルコキシアルカン(PFA)からなる群から選択される1種又は2種以上である、請求項1~5のいずれか1項に記載の振動板用フィルム。
  7. 前記エラストマーがスチレン系エラストマーである、請求項1~6のいずれか1項に記載の振動板用フィルム。
  8. 前記スチレン系エラストマーが、スチレン-ブタジエン-スチレン共重合体(SBS)、スチレン-イソプレン-スチレン共重合体(SIS)、スチレン-イソブチレン-スチレン共重合体(SIBS)、スチレン-ブタジエン/ブチレン-スチレン共重合体(SBBS)、スチレン-エチレン/ブチレン-スチレン共重合体(SEBS)、スチレン-エチレン/プロピレン-スチレン共重合体(SEPS)、及びスチレン-エチレン/エチレン/プロピレン-スチレン(SEEPS)共重合体からなる群から選択される1種又は2種以上である、請求項1~7のいずれか1項に記載の振動板用フィルム。
  9. 請求項1~8のいずれか1項に記載の振動板用フィルムを備えた音響振動板。
  10. 請求項9に記載の音響振動板を備えた音響機器。
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