JP2023125478A - トナー - Google Patents

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祥平 津田
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亨 石井
Toru Ishii
友太 小宮
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Abstract

【課題】クリーニングの安定性に厳しい、低温低湿環境下において、紙粉の多い紙を用いて長期耐久した場合においても、安定したクリーニング性と画像品質を達成できるトナーを提供する。【解決手段】結着樹脂を含有するトナー粒子、並びに該トナー粒子の表面の脂肪酸金属塩粒子及びハイドロタルサイト粒子を含有するトナーであって、該ハイドロタルサイト粒子がフッ素を含有し、該トナーのSTEM-EDSマッピング分析におけるライン分析において、該ハイドロタルサイト粒子の内部にフッ素が存在し、該トナーのSTEM-EDSマッピング分析により測定される、EDS測定視野に占める該脂肪酸金属塩粒子の該トナー粒子に対する面積比率をS1(%)とし、該ハイドロタルサイト粒子の該トナー粒子に対する面積比率をH1(%)としたとき、S1/H1が、0.25~9.00であるトナー。【選択図】なし

Description

本開示は、電子写真法のような画像形成方法に使用されるトナーに関する。
近年、複合機やプリンターなどの電子写真画像形成装置においては、更なる長寿命化、小型化、低コスト化、メディア冗長性が求められている。
最近ではオフィスにおけるコスト低減や紙資源の有効活用の観点から、従来に比べてユーザーが安価なラフ紙やタルク紙を使用する頻度が増している。
このような紙はプリンター内部において紙粉が発生しやすい。そのため、一のプリンターを長期間使用する際に、このような紙を継続して使用すると、紙粉が感光体表面のクリーニング性を低下させてしまい、帯電手段に用いる部材を汚染してしまい、感光体に対する帯電付与能を低下させる場合があった。これにより、プリンターの寿命末期においては画像品質が低下することがあった。
このような要求に対しては、例えば帯電手段を清掃する手段を設けることや、コロナ帯電法などの非接触帯電手段を用いることなどの対応が可能である。しかしながら、部品のコストアップに繋がるといった事情や、プリンターの小型化の際に障害になりうるといった事情もあった。
一方で、プリンターの長寿命化に対しては、プリンターの長期耐久使用においてもトナーの帯電性を安定化させることが求められる。
トナーのネガ帯電性を高める手段として、特許文献1では、ハイドロタルサイト粒子を含有するトナーを用いることで、トナーの帯電性を高められることが開示されている。
また、特許文献2では、クリーニング助剤として脂肪酸金属塩を含有させたトナーを用いることで、クリーニング性が向上し、再転写が抑制されることが開示されている。
特開2017-198929号公報 特開2021-009251号公報
しかしながら、特許文献1に係るトナーは、ハイドロタルサイト粒子はポジ性が高い粒子であるため、トナーの帯電性を高める反面、低温低湿環境下においてはハイドロタルサイト粒子自身が強ポジ化し、静電的に凝集しやすいことがわかった。そのため、プリンターの長期耐久使用におけるトナーの帯電安定化に対しては改善の余地がある。
また、特許文献2に係るトナーは、紙粉発生の多い紙を使用し、かつ低温低湿環境下においてプリンターを長期耐久使用する場合においては、感光体表面のクリーニング特性の持続性について改善の余地がある。
すなわち、本開示の課題は、感光体表面のクリーニング性の低下に繋がる、紙粉発生の多い紙を用いて、かつ低温低湿環境下においてプリンターを長期耐久使用する場合においても、安定したクリーニング性と画像品質を達成できるトナーを提供することである。
すなわち、本開示は、
結着樹脂を含有するトナー粒子、並びに該トナー粒子の表面の脂肪酸金属塩粒子及びハイドロタルサイト粒子を含有するトナーであって、
該ハイドロタルサイト粒子がフッ素を含有し、
該トナーのSTEM-EDSマッピング分析におけるライン分析において、該ハイドロタルサイト粒子の内部にフッ素が存在し、
該トナーのSTEM-EDSマッピング分析により測定される、EDS測定視野に占める該脂肪酸金属塩粒子の該トナー粒子に対する面積比率をS1(%)とし、該ハイドロタルサイト粒子の該トナー粒子に対する面積比率をH1(%)としたとき、
S1/H1が、0.25~9.00であるトナーに関する。
本開示によれば、感光体表面のクリーニング性の低下に繋がる、紙粉発生の多い紙を用いて、かつ低温低湿環境下においてプリンターを長期耐久使用する場合においても、安定したクリーニング性と画像品質を達成できるトナーを提供することができる。
STEM-EDSマッピング分析におけるEDSライン分析の模式図
本開示において、数値範囲を表す「XX以上YY以下」や「XX~YY」の記載は、特に断りのない限り、端点である下限及び上限を含む数値範囲を意味する。数値範囲が段階的に記載されている場合、各数値範囲の上限及び下限は任意に組み合わせることができる。
本開示において、「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」及び/又は「メタクリル」を意味する。
本発明者らは、紙粉発生の多い紙を用いて、低温低湿環境下においてプリンターを長期耐久使用した場合、クリーニング性が低下しやすい原因について鋭意検討した。
その結果、低温低湿環境下において紙粉発生の多い紙を用いた場合、紙粉が強ネガ化して感光体へ移行しやすく、静電気力により感光体との付着力も高い状態となってしまうため、クリーニング工程で除去し難くなることを掴んだ。
これに対して、脂肪酸金属塩のようなクリーニング助剤をトナーに含有させることで、クリーニング性に対して一定の効果が得られた。しかしながら、紙粉発生の多い紙を用いて低温低湿環境下においてプリンターを長期耐久使用した場合、紙粉のクリーニング性が不十分となることがわかった。
また、トナーの帯電特性を高めるために、マイクロキャリアとして用いられるハイドロタルサイト粒子をトナーに含有させた場合、脂肪酸金属塩などのクリーニング助剤の効果が損なわれ、低温低湿環境下における紙粉のクリーニング性がさらに低下してしまうことが分かった。
この理由について、発明者らは以下のように推定している。
ハイドロタルサイト粒子はポジ性が高い粒子であるため、低温低湿環境下においては強ポジ化してしまう。
強ポジ化したハイドロタルサイト粒子が感光体へ移行し、クリーニング工程に供給されるため、クリーニング工程において、強ポジであるハイドロタルサイト粒子が、ネガ性である脂肪酸金属塩を巻き込んで凝集してしまう。そのため、クリーニング工程における脂肪酸金属塩の分散性を低下させてしまう。その結果、クリーニング性を低下させてしまうと考えている。
本発明者らは、安定したクリーニング性と画像品質を達成できるトナーについて鋭意検討した。その結果、トナーが、フッ素を内包したハイドロタルサイト粒子と、脂肪酸金属塩粒子を含有し、かつトナーのSTEM-EDS分析において、ハイドロタルサイト粒子と脂肪酸金属塩粒子の存在割合が一定の範囲となるように制御することにより、低温低湿環境下においてプリンターの長期耐久使用を行った場合の紙粉のクリーニング性を飛躍的に向上できることを見出し、本開示を完成するに至った。
本開示は、
結着樹脂を含有するトナー粒子、並びに該トナー粒子の表面の脂肪酸金属塩粒子及びハイドロタルサイト粒子を含有するトナーであって、
該ハイドロタルサイト粒子がフッ素を含有し、
該トナーのSTEM-EDSマッピング分析におけるライン分析において、該ハイドロタルサイト粒子の内部にフッ素が存在し、
該トナーのSTEM-EDSマッピング分析により測定される、EDS測定視野に占める該脂肪酸金属塩粒子の該トナー粒子に対する面積比率をS1(%)とし、該ハイドロタルサイト粒子の該トナー粒子に対する面積比率をH1(%)としたとき、
S1/H1が、0.25~9.00であるトナーに関する。
上記の構成のトナーとすることで、紙粉発生の多い紙を用いて、かつ低温低湿環境下においてプリンターを長期耐久使用する場合においても、安定したクリーニング性を維持できる理由は定かではないが、本発明者らは以下のように推定している。
本開示のトナーは、結着樹脂を含有するトナー粒子、及び該トナー粒子の表面の脂肪酸金属塩粒子及びハイドロタルサイト粒子を含有する。具体的に好ましい脂肪酸金塩粒子、ハイドロタルサイト粒子については後述する。そして、該ハイドロタルサイト粒子はフッ素を含有する。また、トナーのSTEM-EDSマッピング分析におけるライン分析において、該ハイドロタルサイト粒子の内部にフッ素が存在する。
フッ素を内部に含有するハイドロタルサイト粒子は、ポジ性を有するマイクロキャリアとして作用する粒子であるが、従来のハイドロタルサイト粒子のように低温低湿環境下で使用しても過度にチャージアップせず、適正帯電量を保てるポジ粒子である。
そのため、ハイドロタルサイト粒子がトナーから感光体へ移行し、クリーニング工程に供給されても、脂肪酸金属塩粒子を凝集させることがなく、良好な分散性を維持することができる。
紙粉と脂肪酸金属塩粒子はいずれもネガ性であるため、紙粉と脂肪酸金属塩粒子は静電反発しやすい。そのため、紙粉に対して脂肪酸金属塩は作用し難く、紙粉のクリーニング性を保つことが難しい傾向にあった。
これに対して、本開示では、ハイドロタルサイト粒子がクリーニング工程に供給されることで、適度なポジ性を有するハイドロタルサイト粒子と、ネガ性である紙粉及び脂肪酸金属塩粒子とが相互作用し、紙粉のクリーニング性を飛躍的に向上できる。
すなわち、本開示では、ハイドロタルサイト粒子がネガ性である紙粉を吸着して、紙粉と感光体との間の鏡像力を下げる効果と、ハイドロタルサイト粒子が介在することによる、紙粉と脂肪酸金属塩粒子との間の静電反発力を下げる効果と、脂肪酸金属塩粒子による潤滑剤効果及び離形効果とが発現する。これらの効果それぞれが相乗効果的に作用し、クリーニング特性を飛躍的に向上させることができたと考えている。
本開示においては、トナーのSTEM-EDSマッピング分析により測定される、EDS測定視野に占める脂肪酸金属塩粒子のトナー粒子に対する面積比率をS1(%)とし、
ハイドロタルサイト粒子のトナー粒子に対する面積比率をH1(%)としたとき、S1/H1が0.25~9.00である。また、S1/H1は0.35~6.00であることが好ましい。
S1/H1が0.25未満である場合、ハイドロタルサイト粒子に比べて脂肪酸金属塩粒子が非常に少ないことを意味しており、脂肪酸金属塩粒子のクリーニング効果が十分に発揮できなくなる。結果として、紙粉のクリーニング性が低下する。
一方、S1/H1が9.00を超える場合、ハイドロタルサイト粒子に比べて脂肪酸金属塩粒子が非常に多くなり、ハイドロタルサイト粒子による紙粉の吸着や紙粉と脂肪酸金属塩粒子との間の静電反発力を下げる効果が不十分になる。結果として、紙粉のクリーニング性が低下する。
S1/H1は、脂肪酸金属塩粒子及びハイドロタルサイト粒子のトナー粒子に対する添加量によって制御可能である。また、S1/H1は、後述の測定方法の通り、トナーのSTEM-EDSマッピング分析によって算出することができる。
トナーのSTEM-EDSマッピング分析によるハイドロタルサイト粒子の主成分マッピングから得られた、ハイドロタルサイト粒子におけるフッ素の原子数濃度と、H1と、100との積をH2とし、トナーのSTEM-EDSマッピング分析による脂肪酸金属塩粒子の主成分マッピングから得られた、脂肪酸金属塩粒子における金属原子の原子数濃度と、S1と、100との積をS2とする。H2とS2はそれぞれ、トナー粒子表面を被覆するフッ素原子の量の指標と、トナー粒子表面を被覆する金属原子の量の指標である。また、H2とS2はそれぞれ、ハイドロタルサイト粒子のポジ量の指標と、脂肪酸金属塩粒子のネガ量の指標を示してもいる。
このとき、S2/H2が0.10~18.00であることが好ましく、0.19~16.00がより好ましく、0.23~9.00であることがさらに好ましく、0.56~6.30であることが特に好ましい。S2/H2が上記範囲内であると、画像の印字率によらず、クリーニング工程へハイドロタルサイト粒子と脂肪酸金属塩粒子を安定的に供給するとともに、クリーニング部において両粒子が紙粉へ効果的に作用することができ、クリーニング性を高めることができる。
S2/H2が上記範囲にあることで、左右の印字率が異なる画像を印刷するためにプリンターを長期耐久使用する場合においても、画像の印字率によらず安定したクリーニング特性を発現させることができるため好ましい。具体的には、画像の左右に白地部と黒地部を有する画像を多数出力する試験を行った後であっても、均一性の良好なハーフトーン画像を出力できるため好ましい。
また、S2/H2が上記の範囲にあることで、脂肪酸金属塩粒子のネガ性と、ハイドロタルサイト粒子のポジ性が適正範囲となり、トナー中の脂肪酸金属塩粒子とハイドロタルサイト粒子が一体化して感光体へ移行する頻度が高まる。
そのため、白地部(感光体のマイナス電位が高く、相対的にポジ粒子を引き寄せやすい部分)と黒地部(感光体のマイナス電位が低く、相対的にネガ粒子を引き寄せやすい部分)のように感光体電位の高低差がある部分を画像内に有し、印字率が異なる画像を出力する場合であっても、感光体に脂肪酸金属塩粒子及びハイドロタルサイト粒子が安定供給できる。
その結果、クリーニング工程の印字率影響を低減でき、ハーフトーン画像濃度の均一性の高い画像が得られる。
S2/H2は、フッ素や金属原子の導入量、ハイドロタルサイト粒子や脂肪酸金属塩粒子の添加量によって制御することができる。
脂肪酸金属塩粒子の一次粒子の個数平均粒径をS3(nm)とし、ハイドロタルサイト粒子の一次粒子の個数平均粒径をH3(nm)としたとき、S3>H3を満たすことが好
ましい。
S3>H3の関係にあることで、ハイドロタルサイト粒子と脂肪酸金属塩粒子が一体となってトナーから感光体に移行しやすくなる。
そのため、クリーニング工程において、クリーニング部材の壁面に脂肪酸金属塩粒子を分散させ、脂肪酸金属塩粒子にハイドロタルサイト粒子を担持させた状態を形成しやすくなるため、クリーニング部材の硬度が増す。その結果、トナーのすり抜けが発生しやすくなる極低温低湿環境においても、良好なクリーニング特性を発現できる。
S3とH3は、後述の方法によって制御することができる。
以下、本開示に用いられるハイドロタルサイト粒子について説明する。
ハイドロタルサイト粒子は、フッ素を含有する。ここで、ハイドロタルサイト粒子におけるフッ素含有の有無は、トナーのSTEM-EDSマッピング分析により確認できる。
また、該ハイドロタルサイト粒子は、トナーのSTEM-EDSマッピング分析におけるライン分析において、ハイドロタルサイト粒子の内部にフッ素が存在する。
具体的には、フッ素を含有するハイドロタルサイト粒子の外周に対して法線方向にEDSライン分析を行い、粒子内部に存在するフッ素が検出されることを意味する。
上述の分析によってハイドロタルサイト粒子の内部にフッ素が検出されることは、フッ素がハイドロタルサイト粒子の層間にインターカレートされていることを表している。
ハイドロタルサイト粒子の内部にフッ素が存在することで、低温低湿環境下においてもハイドロタルサイト粒子がチャージアップせずに、適度な帯電量のポジ性を維持できる。そのため、上述の通り、良好なクリーニング特性を発現させることができる。
ハイドロタルサイト粒子が適度なポジ帯電量を維持できるのは、ネガ性の強いフッ素がハイドロタルサイト粒子の内部に存在することで、ハイドロタルサイト粒子の表面のポジ電荷を粒子の内部へとりこんで中和することができ、粒子表面のチャージアップを抑制できるためであると推定している。
なお、ハイドロタルサイト粒子の内部へのフッ素の導入は、陰イオン交換により、フッ化物イオンを層間へ導入(インターカレーション)することが好ましい。
ハイドロタルサイト粒子におけるフッ素の原子数濃度は特に限定されないが、0.01原子%~5.00原子%であることが好ましく、0.04原子%~3.00原子%であることがより好ましく、0.09原子%~2.00原子%であることがさらに好ましい。この範囲にあることで、ハイドロタルサイト粒子のポジ性が適度なものとなりマイクロキャリア特性が適正範囲となる。その結果、トナーの帯電性が高くなりやすい極低温低湿環境においても、クリーニング工程においてトナーのすり抜けが起こりにくくなり、良好なクリーニング特性を発揮できるため好ましい。
ハイドロタルサイト粒子におけるフッ素の原子数濃度は、ハイドロタルサイト製造時のフッ素の濃度を調整することで制御できる。例えば、フッ化ナトリウムの添加量を調整することで制御することが可能である。また、ハイドロタルサイト粒子におけるフッ素の原子数濃度は、トナーのSTEM-EDSマッピング分析によるハイドロタルサイト粒子の主成分マッピングから得ることができる。
トナーのSTEM-EDSマッピング分析による前記ハイドロタルサイト粒子の主成分マッピングから得られた、該ハイドロタルサイト粒子におけるフッ素のアルミニウムに対する原子数濃度の比の値F/Al(元素比)は、0.01~0.70であることが好ましく、0.02~0.65であることがより好ましく、0.03~0.60であることがさらに好ましく、0.04~0.32であることが特に好ましい。
この範囲にあることで、紙粉のクリーニング特性が良好となることに加え、低温低湿環境下におけるトナーの帯電安定性が高まり、耐久使用における非画像部へのかぶりの発生を抑制できる。
具体的には、F/Alが、0.01以上であることにより、ハイドロタルサイト粒子の表面帯電分布が均一化でき、トナーの帯電安定性が良好となる。その結果、長期耐久使用における非画像部へのかぶりの発生を抑制できる。
また、F/Alが、0.70以下であることにより、ハイドロタルサイト粒子の表面電荷が過度に中和されることを抑え、ポジ電荷の時間安定性を高められ、トナーの帯電安定性が良好となる。その結果、耐久使用における非画像部へのかぶりを抑制できる。
トナーのSTEM-EDSマッピング分析による該ハイドロタルサイト粒子Aの主成分マッピングから得られた、ハイドロタルサイト粒子におけるマグネシウムのアルミニウムに対する原子数濃度の比の値Mg/Al(元素比)は1.5~4.0であることが好ましく、1.6~3.8であることがより好ましい。
Mg/Alはハイドロタルサイト製造時の原料量を調整することで制御できる。上記マグネシウムの原子数濃度は、好ましくは0.20原子%~1.00原子%であり、より好ましくは0.50原子%~0.80原子%である。
ハイドロタルサイト粒子は、下記組成式(1)で表されるものを用いることができる。M2+ 3+ (OH)n- (x/n)・mHO 式(1)
前記M2+、及びM3+はそれぞれ2価及び3価の金属を表す。
ハイドロタルサイト粒子は異なる元素を複数含有する固溶体であっても構わない。また、1価の金属を微量含んでも構わない。
ただし、0<x≦0.5、y=1-x、m≧0であることが好ましい。
2+はMg、Zn、Ca、Ba、Ni、Sr、Cu、及びFeからなる群より選ばれる少なくとも一の2価の金属イオンであることが好ましい。
3+はAl、B、Ga、Fe、Co、及びInからなる群より選ばれる少なくとも一の3価の金属イオンであることが好ましい。
n-はn価のアニオンで、少なくともFを含み、CO 2-、OH、Cl、I、Br、SO 2-、HCO 、CHCOO、及びNO 等が存在してもよく、異なるアニオンが複数存在してもよい。
上記2価の金属イオンM2+としてはマグネシウムであることが好ましく、3価の金属イオンM3+としてはアルミニウムであることが好ましい。また、本開示のハイドロタルサイト粒子は、アルミニウム及びマグネシウムを含むことが好ましい。
具体的な組成式としては、Mg8.6Al(OH)25.2CO・mHO、Mg12Al(OH)32CO・mHOなどが挙げられる。
また、ハイドロタルサイト粒子は、その分子内に水を有していることが好ましく、式(1)において、0.1<m<0.6であることがより好ましい。
ハイドロタルサイト粒子の一次粒子の個数平均粒径H3は、40nm~1100nmであることが好ましく、50nm~1000nmであることがより好ましく、60nm~800nmであることがさらに好ましい。
ハイドロタルサイト粒子の個数平均粒径が上記範囲にあることで、トナーの帯電立ち上がり性が良好となり、トナーの帯電分布をシャープ化しやすくなり、低温低湿環境下におけるハーフトーン再現性が良好となる。
上記粒径は走査型電子顕微鏡などの公知の手段を用いて測定することができる。また、上記粒径は、ハイドロタルサイト粒子の製造工程における反応工程、粉砕工程、遠心分離工程、分級工程、篩工程の条件を制御することにより、制御することができる。
ハイドロタルサイト粒子は、表面処理剤によって疎水化処理されていてもよい。表面処
理剤としては、高級脂肪酸類、カップリング剤類、エステル類、シリコーンオイルのようなオイル類が使用可能である。中でも高級脂肪酸類が好ましく用いられ、具体的には、ステアリン酸、オレイン酸、ラウリル酸が例示される。
トナー中のハイドロタルサイト粒子の含有量は、特に制限されないが、トナー粒子100質量部に対して、0.01質量部~3.00質量部であることが好ましく、より好ましくは0.05質量部~0.50質量部であり、さらに好ましくは0.05質量部~0.30質量部である。ハイドロタルサイト粒子の含有量は、蛍光X線分析を用い、標準試料から作成した検量線を用いて定量できる。
トナーのSTEM-EDSマッピング分析により測定される、EDS測定視野に占めるハイドロタルサイト粒子のトナー粒子に対する面積比率H1(%)は、0.05~0.50が好ましく、0.07~0.41であることがより好ましく、0.14~0.33であることがさらに好ましい。上記面積比率は、トナー粒子に対するハイドロタルサイト粒子の存在割合を表している。
上記範囲であると、上記ハイドロタルサイト粒子の効果が得られやすい。
上記面積比率は、上記ハイドロタルサイト粒子のトナー粒子に対する添加量を変更することにより制御することができる。
次に、本開示に用いられる脂肪酸金属塩粒子について説明する。
脂肪酸金属塩粒子としては、亜鉛、カルシウム、マグネシウム、アルミニウム、及びリチウムからなる群から選ばれる少なくとも一の金属の塩が好ましい。極低温低湿環境下におけるクリーニング特性がさらに良好となる点で、脂肪酸亜鉛であることがより好ましい。
また、脂肪酸金属塩粒子の脂肪酸としては、炭素数8~28(より好ましくは12~22)の高級脂肪酸が好ましい。金属は、2価以上の多価金属が好ましい。すなわち、脂肪酸金属塩粒子は、2価以上(より好ましくは2価又は3価、さらに好ましくは2価)の多価金属と炭素数8~28(より好ましくは12~22)の脂肪酸との脂肪酸金属塩であることが好ましい。
炭素数8以上の脂肪酸を用いると、脂肪酸金属塩の融点が適度に高くなり、現像ブレードなどの帯電部材への汚染を抑えられ、耐久後のかぶりや、帯電立ち上がり性が良好となるため好ましい。
一方で、脂肪酸の炭素数が28以下であれば、脂肪酸金属塩粒子の融点が高くなりすぎず、定着性を阻害しにくい。
脂肪酸としては、ステアリン酸が特に好ましい。2価以上の多価金属は、亜鉛を含むことが好ましい。
脂肪酸金属塩粒子の一例としては、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸リチウムなどのステアリン酸金属塩、及びラウリン酸亜鉛が例示される。
脂肪酸金属塩粒子の一次粒子の個数平均粒径S3は、350nm~1100nmであることが好ましく、400nm~1000nmであることがより好ましい。
脂肪酸金属塩粒子の一次粒子の個数平均粒径が上記範囲にあることで、低温低湿環境下におけるクリーニング特性がさらに良好となる。
上記粒径は走査型電子顕微鏡などの公知の手段を用いて測定することができる。また、上記粒径は、脂肪酸金属塩粒子の製造工程における反応工程、粉砕工程、遠心分離工程、分級工程、篩工程の条件を制御することにより制御することができる。
脂肪酸金属塩粒子の含有量は、特に制限されないが、トナー粒子100質量部に対して
、0.01質量部~0.40質量部であることが好ましく、より好ましくは0.05質量部~0.30質量部であり、さらに好ましくは0.10質量部~0.20質量部である。脂肪酸金属塩粒子の含有量は、蛍光X線分析を用い、標準試料から作成した検量線を用いて定量できる。
上記範囲とすることで、低温低湿環境下におけるクリーニング特性やハーフトーン再現性がさらに良好となる。
脂肪酸金属塩粒子における金属原子の原子数濃度は特に限定されないが、0.10原子%~3.00原子%であることが好ましく、0.20原子%~2.00原子%であることがより好ましく、0.30原子%~1.00原子%であることがさらに好ましい。この範囲にあることで、脂肪酸金属塩粒子のネガ性が適度なものとなり、紙粉との反発力が適度な範囲に抑えられるため、低温低湿環境下におけるクリーニング特性を向上できる。
脂肪酸金属塩粒子における金属原子の原子数濃度は、脂肪酸金属塩粒子製造時の金属原子の濃度を調整することで制御できる。また、脂肪酸金属塩粒子における金属原子の原子数濃度は、トナーのSTEM-EDSマッピング分析による脂肪酸金属塩粒子の主成分マッピングから得ることができる。
トナーのSTEM-EDSマッピング分析により測定される、EDS測定視野に占める脂肪酸金属塩粒子のトナー粒子に対する面積比率S1(%)は、0.05~0.70が好ましく、0.10~0.60であることがより好ましく、0.20~0.40であることがさらに好ましい。上記面積比率は、トナー粒子に対する脂肪酸金属塩粒子の存在割合を表している。
上記範囲であると、上記脂肪酸金属塩粒子の効果が得られやすい。
上記面積比率は、脂肪酸金属塩粒子のトナー粒子に対する添加量により制御することができる。
トナーを構成する各成分及びトナーの製造方法についてさらに詳しく説明する。
<トナー粒子>
トナー粒子は、結着樹脂を有する。
また、トナー粒子は、樹脂Aを含有するコアと、樹脂Bとを含有するシェルを有するコアシェル構造を有することが好ましい。
本開示において、トナー粒子がコアシェル構造を有するとは、トナー粒子表面がワックス成分とは異なる樹脂成分により被覆されていることを意味している。コアシェル構造の有無はトナーの断面の透過型電子顕微鏡(TEM)観察により確認できる。
トナー粒子がコアシェル構造を有することで、長期耐久使用時においてハイドロタルサイト粒子と脂肪酸金属塩粒子のトナー粒子への埋没を抑制することが可能となり、ハイドロタルサイト粒子と脂肪酸金属塩粒子を定常的に感光体へ移行させ、クリーニング部へ供給しやすい。
シェル層の厚みは0.1μmより薄くてもよく、厚くてもよい。シェル層の厚さは0.1μm以下であることが好ましい。より好ましくは50nm以下である。シェルの厚さは、1nm以上であることが好ましい。
シェル層の厚さの分析方法の一例を以下に示す。
飛行時間型2次イオン質量分析法による測定:デプスプロファイル測定を行った場合にシェル由来のシグナルとコア由来のシグナルの比が1:1となる深さをシェルの厚みとする。シェルの厚みは、トナー粒子の製造時に添加するシェルに用いる原材料の添加量によって制御することが可能である。
<結着樹脂>
コアは、結着樹脂として樹脂Aを含有する。樹脂Aとしては、ポリエステル樹脂、ビニル系樹脂、及びその他の結着樹脂として、以下の樹脂又は重合体が例示できる。スチレンアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ポリエーテル樹脂、これらの混合樹脂や複合化樹脂などが挙げられる。
安価かつ容易に入手可能で低温定着性に優れることから、樹脂Aはポリエステル樹脂、スチレンアクリル樹脂又はこれらのハイブリッド樹脂であることが好ましく、ポリエステル樹脂又はスチレンアクリル樹脂であることがより好ましい。
トナー粒子がコアシェル構造を有しない場合は、樹脂Aとして用いられる上記の樹脂を好適に使用することができる。
ポリエステル樹脂は、多価カルボン酸、ポリオール、ヒドロキシカルボン酸などの中から好適なものを選択して組み合わせ、例えば、エステル交換法又は重縮合法など、従来公知の方法を用いて合成することで得られる。
多価カルボン酸は、1分子中にカルボキシ基を2個以上含有する化合物である。このうち、ジカルボン酸は1分子中にカルボキシ基を2個含有する化合物であって、好ましく使用される。
ジカルボン酸としては、例えば、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、マレイン酸、アジピン酸、β-メチルアジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ノナンジカルボン酸、デカンジカルボン酸、ウンデカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、フマル酸、シトラコン酸、ジグリコール酸、シクロヘキサン-3,5-ジエン-1,2-カルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、マロン酸、ピメリン酸、スペリン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラクロロフタル酸、クロロフタル酸、ニトロフタル酸、p-カルボキシフェニル酢酸、p-フェニレン二酢酸、m-フェニレン二酢酸、o-フェニレン二酢酸、ジフェニル酢酸、ジフェニル-p,p’-ジカルボン酸、ナフタレン-1,4-ジカルボン酸、ナフタレン-1,5-ジカルボン酸、ナフタレン-2,6-ジカルボン酸、アントラセンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸などを挙げることができる。
ジカルボン酸以外の多価カルボン酸としては、例えば、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸、ナフタレントリカルボン酸、ナフタレンテトラカルボン酸、ピレントリカルボン酸、ピレンテトラカルボン酸、イタコン酸、グルタコン酸、n-ドデシルコハク酸、n-ドデセニルコハク酸、イソドデシルコハク酸、イソドデセニルコハク酸、n-オクチルコハク酸、n-オクテニルコハク酸などが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
ポリオールは、1分子中に水酸基を2個以上含有する化合物である。このうち、ジオールは1分子中に水酸基を2個含有する化合物であり、好ましく使用される。
具体的には、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、1,11-ウンデカンジオール、1,12-ドデカンジオール、1,13-トリデカンジオール、1,14-テトラデカンジオール、1,18-オクタデカンジオール、1,14-エイコサンデカンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、1,4-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、1,4-ブテンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4-シクロヘキサンジオール、ポリテトラメチレングリコール、水素添加ビスフェノールA、ビスフェノー
ルA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、上記ビスフェノール類のアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど)付加物などが挙げられる。
これらのうち好ましいものは、炭素数2~12のアルキレングリコール及びビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物であり、特に好ましいものはビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物、及び、これと炭素数2~12のアルキレングリコールとの併用である。
三価以上のポリオールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ヘキサメチロールメラミン、ヘキサエチロールメラミン、テトラメチロールベンゾグアナミン、テトラエチロールベンゾグアナミン、ソルビトール、トリスフェノールPA、フェノールノボラック、クレゾールノボラック、上記三価以上のポリフェノール類のアルキレンオキサイド付加物などが挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。また、ポリエステル樹脂は、ウレア基を含有したポリエステル樹脂であってもよい。ポリエステル樹脂は末端などのカルボキシ基はキャップしないことが好ましい。
スチレンアクリル樹脂としては、下記重合性単量体からなる単独重合体、これらを2種以上組み合わせて得られる共重合体、又はそれらの混合物が挙げられる。
スチレン、α-メチルスチレン、β-メチルスチレン、o-メチルスチレン、m-メチルスチレン、p-メチルスチレン、2,4-ジメチルスチレン、p-n-ブチルスチレン、p-tert-ブチルスチレン、p-n-ヘキシルスチレン、p-n-オクチルスチレン、p-n-ノニルスチレン、p-n-デシルスチレン、p-n-ドデシルスチレン、p-メトキシスチレン及びp-フェニルスチレンのようなスチレン系モノマー;
メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、iso-プロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、iso-ブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、n-アミル(メタ)アクリレート、n-ヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、n-ノニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ジメチルフォスフェートエチル(メタ)アクリレート、ジエチルフォスフェートエチル(メタ)アクリレート、ジブチルフォスフェートエチル(メタ)アクリレート及び2-ベンゾイルオキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロニトリル、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、マレイン酸のような(メタ)アクリル系モノマー;
ビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルなどのビニルエーテル系モノマー;
ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルイソプロペニルケトンなどのビニルケトン系モノマー;
エチレン、プロピレン、ブタジエンなどのポリオレフィン類。
スチレンアクリル樹脂は、必要に応じて多官能性の重合性単量体を用いることができる。多官能性の重合性単量体としては、例えば、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、2,2’-ビス(4-((メタ)アクリロキシジエトキシ)フェニル)プロパン、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタリン及びジビニルエー
テルなどが挙げられる。
また、重合度を制御するため、公知の連鎖移動剤及び重合禁止剤をさらに添加することも可能である。
スチレンアクリル樹脂を得るための重合開始剤としては、有機過酸化物系開始剤やアゾ系重合開始剤が挙げられる。
有機過酸化物系開始剤としては、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ジ-α-クミルパーオキサイド、2,5-ジメチル-2,5-ビス(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、ビス(4-t-ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、1,1-ビス(t-ブチルパーオキシ)シクロドデカン、t-ブチルパーオキシマレイン酸、ビス(t-ブチルパーオキシ)イソフタレート、メチルエチルケトンパーオキサイド、tert-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、クメンヒドロパーオキサイド、2,4-ジクロロベンゾイルパーオキサイド及びtert-ブチル-パーオキシピバレートなどが挙げられる。
アゾ系重合開始剤としては、2,2’-アゾビス-(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、1,1’-アゾビス(シクロヘキサン-1-カルボニトリル)、2,2’-アゾビス-4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル及びアゾビスメチルブチロニトリル、2,2’-アゾビス-(イソ酪酸メチル)などが挙げられる。
また、重合開始剤として、酸化性物質と還元性物質とを組み合わせたレドックス系開始剤を用いることもできる。
酸化性物質としては、過酸化水素、過硫酸塩(ナトリウム塩、カリウム塩及びアンモニウム塩)の無機過酸化物並びに4価のセリウム塩の酸化性金属塩が挙げられる。
還元性物質としては還元性金属塩(2価の鉄塩、1価の銅塩及び3価のクロム塩)、アンモニア、低級アミン(メチルアミン及びエチルアミンのような炭素数1~6程度のアミン)、ヒドロキシルアミンのようなアミノ化合物、チオ硫酸ナトリウム、ナトリウムハイドロサルファイト、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム及びナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレートなどの還元性硫黄化合物、低級アルコール(炭素数1~6)、アスコルビン酸又はその塩並びに低級アルデヒド(炭素数1~6)が挙げられる。
重合開始剤は、10時間半減期温度を参考に選択され、単独又は混合して利用される。重合開始剤の添加量は、目的とする重合度により変化するが、一般的には重合性単量体100.0質量部に対し0.5質量部~20.0質量部が添加される。
また、樹脂Aは、結晶性ポリエステルを含有してもよい。前記結晶性ポリエステルは、例えば、脂肪族ジオールと脂肪族ジカルボン酸との縮重合物が挙げられる。
炭素数2~12の脂肪族ジオールと炭素数2~12の脂肪族ジカルボン酸との縮重合物であることが好ましい。炭素数2~12の脂肪族ジオールとしては、以下の化合物が挙げられる。1,2-エタンジオール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、1,11-ウンデカンジオール、1,12-ドデカンジオールなど。
また、二重結合を持つ脂肪族ジオールを用いることもできる。二重結合を持つ脂肪族ジオールとしては、以下の化合物を挙げることができる。2-ブテン-1,4-ジオール、3-ヘキセン-1,6-ジオール及び4-オクテン-1,8-ジオール。
炭素数2~12の脂肪族ジカルボン酸としては、以下の化合物を挙げることができる。
蓚酸、マロン酸、琥珀酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,9-ノナンジカルボン酸、1,10-デカンジカルボン酸、1,11-ウンデカンジカルボン酸、1,12-ドデカンジカルボン酸、これら脂肪族ジカルボン酸の低級アルキルエステル及び酸無水物。
これらのうち、セバシン酸、アジピン酸及び1,10-デカンジカルボン酸、並びにそれらの低級アルキルエステルや酸無水物が好ましい。これらは単独で用いてもよく、2種類以上を混合して用いることも可能である。
また、芳香族ジカルボン酸を用いることもできる。芳香族ジカルボン酸としては、以下の化合物を挙げることができる。テレフタル酸、イソフタル酸、2,6-ナフタレンジカルボン酸及び4,4’-ビフェニルジカルボン酸。これらの中でも、テレフタル酸が入手の容易性や低融点のポリマーを形成しやすいという点で好ましい。
また、二重結合を有するジカルボン酸を用いることもできる。二重結合を有するジカルボン酸は、その二重結合を利用して樹脂全体を架橋させ得る点で、定着時のホットオフセットを抑制するために好適に用いることができる。
このようなジカルボン酸としては、フマル酸、マレイン酸、3-ヘキセンジオイック酸及び3-オクテンジオイック酸が挙げられる。また、これらの低級アルキルエステル及び酸無水物も挙げられる。これらの中でも、フマル酸及びマレイン酸がより好ましい。
結晶性ポリエステルの製造方法としては、特に制限はなく、ジカルボン酸成分とジオール成分とを反応させる一般的なポリエステルの重合法によって製造することができる。例えば、直接重縮合法又はエステル交換法を用い、単量体の種類によって使い分けて製造することができる。
結晶性ポリエステルの含有量は、結着樹脂100質量部に対して、1.0質量部~3
0.0質量部であることが好ましく、3.0質量部~25.0質量部であることがより好ましい。
結晶性ポリエステルの示差走査熱量計(DSC)を用いて測定される最大吸熱ピークのピーク温度は、50.0℃~100.0℃であることが好ましく、低温定着性の観点から、50.0℃~90.0℃であることがより好ましい。
樹脂Aの分子量としては、ピーク分子量Mpが5000~100000であることが好ましく、より好ましくは10000~40000である。樹脂Aのガラス転移温度Tgは、40℃~70℃であることが好ましく、より好ましくは40℃~60℃である。樹脂Aの含有量は、トナー粒子中の樹脂成分全量に対して、50質量%以上であることが好ましい。また、結着樹脂中の樹脂Aの含有量は、50質量%~100質量%であることが好ましい。
シェルは樹脂Bを含有する。樹脂Bとしては、ポリエステル樹脂、ビニル系樹脂、及びその他の結着樹脂として、上述の樹脂Aと同様の材料を例示できる。安価かつ容易に入手可能で低温定着性に優れることから、樹脂Bはポリエステル樹脂、スチレンアクリル樹脂又はこれらのハイブリッド樹脂であることが好ましく、ポリエステル樹脂又はスチレンアクリル樹脂であることがより好ましい。
樹脂Bとしては、材料種としては樹脂Aと同種又は異種の材料を用いることができる。例えば、樹脂A及び樹脂Bとしてスチレンアクリル系樹脂を用いたり、樹脂A及び樹脂Bとしてポリエステル樹脂を用いたり、樹脂Aとしてスチレンアクリル系樹脂を用い、樹脂
Bとしてポリエステル樹脂を用いたりすることができる。
好ましくは、樹脂Aが、スチレンアクリル樹脂を含み、樹脂Bが、スチレンアクリル樹脂を含む。また、好ましくは、樹脂Aが、ポリエステル樹脂を含み、樹脂Bが、ポリエステル樹脂を含む。また、好ましくは、樹脂Aが、スチレンアクリル樹脂を含み、樹脂Bが、ポリエステル樹脂を含む。
樹脂Bの分子量としては、Mpが5000~100000であることが好ましく、より好ましくは15000~80000である。
樹脂Bのガラス転移温度Tgは、50℃~100℃であることが好ましく、55℃~80℃であることがより好ましく、60℃~80℃であることがさらに好ましい。定着時にハイドロタルサイト粒子Aのトナー粒子への埋没を抑制する観点から、樹脂Bは樹脂AよりもTgの高い材料を選択することが好ましい。
樹脂Bの含有量は、トナー粒子中の樹脂成分全量に対して、1質量%~30質量%であることが好ましい。
<架橋剤>
トナー粒子を構成する結着樹脂の分子量をコントロールする為に、重合性単量体の重合に際して、架橋剤を添加してもよい。
例えば、エチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ジビニルベンゼン、ビス(4-アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、エチレングリコールジアクリレート、1,3-ブチレングリコールジアクリレート、1,4-ブタンジオールジアクリレート、1,5-ペンタンジオールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール#200、#400、#600の各ジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ポリエステル型ジアクリレート(MANDA 日本化薬)、及び以上のアクリレートをメタク
リレートに変えたもの。
架橋剤の添加量としては、重合性単量体100質量部に対して0.001質量部~15.000質量部であることが好ましい。
<離型剤>
トナーには、離型剤として、公知のワックスを用いることができる。
具体的には、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタムのような石油系ワックス及びその誘導体、モンタンワックス及びその誘導体、フィッシャートロプシュ法による炭化水素ワックス及びその誘導体、ポリエチレン、ポリプロピレンのようなポリオレフィンワックス及びその誘導体、カルナバワックス、キャンデリラワックスのような天然ワックス及びそれらの誘導体が挙げられる。誘導体には酸化物や、ビニルモノマーとのブロック共重合物、グラフト変性物も含まれる。
また、高級脂肪族アルコールなどのアルコール;ステアリン酸、パルミチン酸などの脂肪酸又はその酸アミド、エステル、ケトン;硬化ヒマシ油及びその誘導体、植物ワックス、動物ワックスが挙げられる。これらは単独又は併用して用いることができる。
これらの中でも、炭化水素ワックス又はエステルワックスを使用した場合に、現像性や定着性が向上する傾向があり好ましい。すなわち、ワックスは、炭化水素ワックス又はエステルワックスを含むことが好ましい。なお、これらのワックスには、トナーの特性に影響を与えない範囲で酸化防止剤が添加されていてもよい。
また、結着樹脂に対する相分離性、又は、結晶化温度の観点からは、ベヘン酸ベヘニル、セバシン酸ジベヘニルなどの高級脂肪酸エステルなどが好適に例示できる。また、後述する可塑剤としてのエステルワックスも好適に使用しうる。
離型剤の含有量は、結着樹脂100.0質量部に対して、1.0質量部~30.0質量部であることが好ましい。
離型剤の融点は、30℃~120℃であることが好ましく、より好ましくは60℃~100℃である。融点が30℃~120℃である離型剤を用いることにより、離型効果が効率良く発現され、より広い定着領域が確保される。
<可塑剤>
トナーのシャープメルト性を向上させるために結晶性の可塑剤を使用することが好ましい。可塑剤としては、特に限定されることなく、下記のようなトナーに用いられる公知のものを用いることができる。
ベヘン酸ベヘニル、ステアリン酸ステアリル、パルミチン酸パルミチルのような1価のアルコールと脂肪族カルボン酸のエステル、又は、1価のカルボン酸と脂肪族アルコールのエステル;エチレングリコールジステアレート、セバシン酸ジベヘニル、ヘキサンジオールジベヘネートのような2価のアルコールと脂肪族カルボン酸のエステル、又は、2価のカルボン酸と脂肪族アルコールのエステル;グリセリントリベヘネートのような3価のアルコールと脂肪族カルボン酸のエステル、又は、3価のカルボン酸と脂肪族アルコールのエステル;ペンタエリスリトールテトラステアレート、ペンタエリスリトールテトラパルミテートのような4価のアルコールと脂肪族カルボン酸のエステル、又は、4価のカルボン酸と脂肪族アルコールのエステル;ジペンタエリスリトールヘキサステアレート、ジペンタエリスリトールヘキサパルミテートのような6価のアルコールと脂肪族カルボン酸のエステル、又は、6価のカルボン酸と脂肪族アルコールのエステル;ポリグリセリンベヘネートのような多価アルコールと脂肪族カルボン酸のエステル、又は、多価カルボン酸と脂肪族アルコールのエステル;カルナバワックス、ライスワックスのような天然エステルワックス。これらは単独又は併用して用いることができる。
<着色剤>
トナー粒子は着色剤を含有してもよい。着色剤として、公知の顔料、染料を用いることができる。耐候性に優れる点から、着色剤としては、顔料が好ましい。
シアン系着色剤としては、銅フタロシアニン化合物及びその誘導体、アントラキノン化合物及び塩基染料レーキ化合物などが挙げられる。
具体的には、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントブルー1、7、15、15:1、15:2、15:3、15:4、60、62及び66。
マゼンタ系着色剤としては、縮合アゾ化合物、ジケトピロロピロール化合物、アントラキノン化合物、キナクリドン化合物、塩基染料レーキ化合物、ナフトール化合物、ベンズイミダゾロン化合物、チオインジゴ化合物及びペリレン化合物などが挙げられる。
具体的には、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントレッド2、3、5、6、7、23、48:2、48:3、48:4、57:1、81:1、122、144、146、150、166、169、177、184、185、202、206、220、221及び254、及びC.I.ピグメントバイオレット19。
イエロー系着色剤としては、縮合アゾ化合物、イソインドリノン化合物、アントラキノン化合物、アゾ金属錯体、メチン化合物及びアリルアミド化合物などが挙げられる。
具体的には、以下のものが挙げられる。C.I.ピグメントイエロー12、13、14、15、17、62、74、83、93、94、95、97、109、110、111、120、127、128、129、147、151、154、155、168、174、175、176、180、181、185、191及び194。
黒色着色剤としては、上記イエロー系着色剤、マゼンタ系着色剤及びシアン系着色剤を用いて黒色に調色されたもの並びにカーボンブラックが挙げられる。
これらの着色剤は、単独で、又は混合物で、さらにはこれらを固溶体の状態で用いることができる。
着色剤は、結着樹脂100.0質量部に対して1.0質量部~20.0質量部用いることが好ましい。
<荷電制御剤及び荷電制御樹脂>
トナー粒子は、荷電制御剤又は荷電制御樹脂を含有してもよい。荷電制御剤としては、公知のものが利用でき、特に摩擦帯電スピードが速く、かつ、一定の摩擦帯電量を安定して維持できる荷電制御剤が好ましい。さらに、トナー粒子を懸濁重合法により製造する場合には、重合阻害性が低く、水系媒体への可溶化物が実質的にない荷電制御剤が特に好ましい。
トナーを負荷電性に制御するものとしては、モノアゾ金属化合物、アセチルアセトン金属化合物、芳香族オキシカルボン酸、芳香族ジカルボン酸、オキシカルボン酸及びジカルボン酸系の金属化合物、芳香族オキシカルボン酸、芳香族モノ及びポリカルボン酸及びその金属塩、無水物、エステル類、ビスフェノールのようなフェノール誘導体類、尿素誘導体、含金属サリチル酸系化合物、含金属ナフトエ酸系化合物、ホウ素化合物、4級アンモニウム塩、カリックスアレーン及び荷電制御樹脂などが挙げられる。
荷電制御樹脂としては、スルホン酸基、スルホン酸塩基若しくはスルホン酸エステル基を有する重合体又は共重合体を挙げることができる。スルホン酸基、スルホン酸塩基又はスルホン酸エステル基を有する重合体としては、特にスルホン酸基含有アクリルアミド系モノマー又はスルホン酸基含有メタクリルアミド系モノマーを共重合比で2質量%以上含有する重合体が好ましく、より好ましくは5質量%以上含有する重合体である。
荷電制御樹脂は、ガラス転移温度(Tg)が35℃~90℃であり、ピーク分子量(Mp)が10000~30000であり、重量平均分子量(Mw)が25000~50000であることが好ましい。これを用いた場合、トナー粒子に求められる熱特性に影響を及ぼすことなく、好ましい摩擦帯電特性を付与することができる。さらに、荷電制御樹脂がスルホン酸基を含有していると、例えば重合性単量体組成物中における荷電制御樹脂自身の分散性や、着色剤などの分散性が向上し、着色力、透明性及び摩擦帯電特性をより向上させることができる。
これら荷電制御剤又は荷電制御樹脂は、単独であるいは2種類以上組み合わせて添加してもよい。
荷電制御剤又は荷電制御樹脂の添加量は、結着樹脂100.0質量部に対して、0.01質量部~20.0質量部であることが好ましく、より好ましくは0.5質量部~10.0質量部である。
トナー粒子は、低温低湿環境下における帯電立ち上がり性が良好となる観点から、トナー粒子が、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム及び鉄からなる群から選択される少なくとも一の多価金属元素を有していることが好ましく、中でもアルミニウムを含有することがより好ましい。トナー粒子が多価金属元素を含有することにより、トナー粒子表面の帯電電荷をトナー粒子内部にも蓄積することができるため、耐久使用においてもトナーの帯電特性が変動しづらくなる。
そのため特に絶対水分量が少なく、トナーの帯電量分布に厳しい環境である低温低湿度環境下においても、ハイドロタルサイト粒子と、脂肪酸金属塩粒子とを安定的に感光体へ移行させてクリーニング部へ供給することができ、安定した紙粉のクリーニング性を発現できる。
トナー粒子中の多価金属元素の含有量(原子数濃度)は、トナー粒子中の炭素の原子数濃度を100とした場合に、0.01~0.09であることが好ましく、より好ましくは0.01~0.06である。トナー粒子中の多価金属元素の含有量は、後述のSTEM-EDSマッピング分析によるトナー粒子の主成分マッピングから測定可能である。上記範囲であることによって、低温低湿環境下における帯電立ち上がり性が良好になる。
多価金属元素をトナー粒子内部に存在させる手段は特に問わない。例えば、粉砕法によりトナー粒子を製造する場合には、原料の樹脂に予め多価金属元素を含有させておくことや、原料を溶融混練する際に多価金属元素を添加してトナー粒子に含有させることもできる。懸濁重合法や乳化凝集法などの湿式製造法でトナー粒子を製造する場合には、原料に多価金属元素を含有させたり、製造過程で水系媒体を介して多価金属元素を添加したりすることもできる。
乳化凝集法においては、凝集剤として金属イオンを添加する場合がある。この場合、水系媒体中で金属元素をイオン化させた状態を経てトナー粒子中に含有させることができ、均一化の観点から好ましい。さらに、乳化凝集トナーでは、結着樹脂を構成する分子鎖にカルボキシ基が存在する場合がある。凝集剤として添加された金属イオンがカルボキシ基と配位することで、樹脂微粒子に優れた導電パスを形成することができる。また、このとき3価のアルミニウムは、2価のマグネシウム及びカルシウム、混合価数を取り得る鉄よりも少量でカルボキシ基と配位することができ、より優れた帯電特性を得られやすい。
好ましくは、樹脂Aはカルボキシ基を有する。樹脂Aにカルボキシ基を含有させる手段は特に制限されない。樹脂Aがスチレンアクリル樹脂の場合、(メタ)アクリル酸など、カルボキシ基を有するモノマーを用いればよい。
<トナー粒子の製造方法>
トナー粒子の製造方法は、特に制限されず公知の手段を用いることができ、混練粉砕法や湿式製造法を用いることができる。粒子径の均一化や形状制御性、コアシェル構造のトナー粒子を得やすいといった観点から湿式製造法が好ましい。湿式製造法には懸濁重合法、溶解懸濁法、乳化重合凝集法、乳化凝集法などを挙げることができ、多価金属元素を、トナー粒子表面及びトナー粒子内部に分散して存在させる観点から乳化凝集法がより好ましい。
乳化凝集法は、まず結着樹脂の微粒子や着色剤などの各材料の分散液を調製する。得られた各材料の分散液を、必要に応じて分散安定剤を添加して、分散混合させる。その後、凝集剤を添加することによって所望のトナー粒子の粒径となるまで凝集させ、その後又は凝集と同時に、樹脂微粒子間の融着を行う。さらに必要に応じて、熱による形状制御を行うことにより、トナー粒子を形成する。
ここで、結着樹脂の微粒子は、組成の異なる樹脂よりなる2層以上の構成とする複数層で形成された複合粒子とすることもできる。例えば、乳化重合法、ミニエマルション重合法、転相乳化法などにより製造、又はいくつかの製法を組み合わせて製造することができる。トナー粒子中に内添剤を含有させる場合は、樹脂微粒子に内添剤を含有したものとしてもよく、また、別途内添剤のみよりなる内添剤微粒子の分散液を調製し、当前記内添剤微粒子を樹脂微粒子と凝集させる際に共に凝集させてもよい。また、凝集時に組成の異なる樹脂微粒子を時間差で添加して凝集させることにより組成の異なる層構成のトナー粒子を作ることもできる。樹脂Aを含む樹脂微粒子を凝集させコア部を形成したのち、シェル用の樹脂Bを含む樹脂微粒子を時間差で添加して凝集させることでシェル部を形成することができる。
具体的には、凝集工程により樹脂Aを含む凝集粒子(コア粒子)を形成させたのち、シェル用の樹脂Bを含む樹脂微粒子をさらに添加して凝集させてシェルを形成させるシェル形成工程を有する。シェル用の樹脂Bはコア用の樹脂Aと同じ組成の樹脂を使用してもよいし、他の組成の樹脂を使用してもよい。シェル用の樹脂の添加量は、コア粒子に含まれる結着樹脂100質量部に対して、好ましくは1.0~10.0質量部であり、より好ましくは2.0~7.0質量部である。
この場合、トナーの製造方法は下記工程を有することが好ましい。
(1)樹脂Aなど結着樹脂を含む結着樹脂微粒子分散液を調整する分散工程、
(2)結着樹脂微粒子分散液に含まれる結着樹脂微粒子を凝集して凝集体を形成する凝集工程、
(3)凝集体を含む分散液にシェル用の樹脂Bを含む樹脂微粒子をさらに添加し凝集させてシェルを有する凝集体を形成するシェル形成工程、及び
(4)前記凝集体を加熱して融合させる融合工程
また、前記(4)の工程中又は前記(1)~(4)の工程の後に、下記(5)の工程
(5)前記凝集体を、さらに温度を上げて加熱する球形化工程
を有することが好ましい。
そして、前記(5)の工程の後に、下記(6)及び(7)の工程
(6)前記凝集体を、0.1℃/sec以上の冷却速度で冷却する冷却工程
(7)前記冷却工程後に、前記結着樹脂の結晶化温度以上又はガラス転移温度以上の温度に加熱保持するアニール工程
を有することがより好ましい。
分散安定剤としては以下のものを使用することができる。
界面活性剤として、公知のカチオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤を使用することができる。
無機分散安定剤として、リン酸三カルシウム、リン酸マグネシウム、リン酸亜鉛、リン酸アルミニウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、メタ珪酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ベントナイト、シリカ、アルミナが挙げられる。
また、有機系分散安定剤としては、ポリビニルアルコール、ゼラチン、メチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロースのナトリウム塩、デンプンが挙げられる。
凝集剤としては、上述した分散安定剤に使用する界面活性剤と逆極性の界面活性剤のほか、無機塩、2価以上の無機金属塩を好適に用いることができる。特に無機金属塩は、多価金属元素を水系媒体中でイオン化することで、凝集性制御及びトナー帯電性制御がしやすい為好ましい。
好ましい無機金属塩を具体的に挙げると、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、塩化バリウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、塩化鉄、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウムの金属塩、及び、ポリ塩化鉄、ポリ塩化アルミニウム、ポリ水酸化アルミニウム、多硫化カルシウムの無機金属塩重合体である。その中でも特に、アルミニウム塩及びその重合体が好適である。一般的に、よりシャープな粒度分布を得るためには、無機金属塩の価数が1価より2価、2価より3価以上であることが好ましく、また、同じ価数であっても無機金属塩重合体の方がより適している。
画像の高精細、高解像の観点から、トナー粒子の体積基準のメジアン径は、3.0μm~10.0μmであることが好ましい。
<トナーの製造方法>
トナーは、外添剤としてハイドロタルサイト粒子及び脂肪酸金属塩粒子を含む。必要に応じて、その他の外添剤を添加してもよい。この場合、ハイドロタルサイト粒子及び脂肪酸金属塩粒子を含む無機及び有機の微粒子などの外添剤の含有量は、トナー粒子100質量部に対して、総量で0.50質量部~5.00質量部が好ましい。
トナー粒子に外添剤を外添する混合機としては、特に制限されず、乾式湿式問わず公知の混合機を用いることができる。例えば、FMミキサー(日本コークス工業株式会社製)、スーパーミキサー(カワタ社製)、ノビルタ(ホソカワミクロン社製)、ハイブリダイザー(奈良機械社製)などが挙げられる。外添剤の被覆状態を制御するために、上記の外添装置の回転数、処理時間、ジャケットの水温・水量を調整してトナーを調製することができる。
また、外添後に粗粒子をふるい分けるために用いられる篩い装置としては、ウルトラソニック(晃栄産業社製);レゾナシーブ、ジャイロシフター(徳寿工作所社);バイブラソニックシステム(ダルトン社製);ソニクリーン(新東工業社製);ターボスクリーナー(ターボ工業社製);ミクロシフター(槙野産業社製)などが挙げられる。
以下、トナー及び各材料の物性の測定方法を説明する。
<ハイドロタルサイト粒子及び脂肪酸金属塩粒子の同定方法>
外添剤であるハイドロタルサイト粒子及び脂肪酸金属塩粒子の同定は、走査型電子顕微鏡(SEM)による形状観察、及びエネルギー分散型X線分析(EDS)による元素分析を組み合わせることで行うことができる。
走査型電子顕微鏡「S-4800」(商品名;日立製作所製)を用いて、最大5万倍に拡大した視野において、トナーを観察する。トナー粒子表面にピントを合わせて、判別対象の外添剤を観察する。判別対象の外添剤のEDS分析を行い、元素ピークの種類からハイドロタルサイト粒子及び脂肪酸金属塩粒子の同定を行うことができる。
元素ピークとして、ハイドロタルサイト粒子を構成しうる金属であるMg、Zn、Ca、Ba、Ni、Sr、Cu、Feからなる群より選ばれる少なくとも一の金属の元素ピーク、及び、Al、B、Ga、Fe、Co、Inからなる群より選ばれる少なくとも一の金属の元素ピークが観察された場合に、前記2種の金属を含むハイドロタルサイト粒子の存在を類推することができる。
同様にして、元素ピークとして、脂肪酸金属塩粒子を構成する金属である、Zn、Ca、Mg、Al、Liからなる群より選ばれる少なくとも一の金属の元素ピーク、及び炭素の元素ピークが観察された場合に、脂肪酸金属塩粒子の存在を類推することができる。
EDS分析により類推されたハイドロタルサイト粒子及び脂肪酸金属塩粒子の標品を別途準備して、SEMによる形状観察及びEDS分析を行う。標品の分析結果が、判別対象の粒子の分析結果と一致するか否かを比較し、ハイドロタルサイト粒子及び脂肪酸金属塩粒子であるか否かを判断する。
<ハイドロタルサイト粒子、脂肪酸金属塩粒子及びトナー粒子中の多価金属元素の各元素比の測定方法>
ハイドロタルサイト粒子、脂肪酸金属塩粒子及びトナー粒子中の多価金属元素の各元素比の測定は、走査透過型電子顕微鏡(STEM)を用いた、トナーのEDSマッピング測定により行う。EDSマッピング測定では、分析エリアの各画素(ピクセル)ごとにスペクトルデータをもつ。大きな検出素子面積をもつシリコンドリフト検出器を使用することで、高感度にEDSマッピングを測定することができる。
EDSマッピング測定により得られた各画素のスペクトルデータについて統計解析を行うことにより、スペクトルの似通った画素を抽出した主成分マッピングを得ることができ、成分を特定したマッピングが可能となる。
観察用サンプルの作製は以下の手順で行う。
トナー0.5gを秤量し、直径8mmの円柱形の型により、ニュートンプレスを用いて荷重40kNで2分間静置し、直径8mm、厚さ約1mmの円柱形のトナーペレットを作製する。ウルトラミクロトーム(Leica社、FC7)によりトナーペレットから200nm厚の薄片を作製する。
STEM-EDS分析は下記装置及び条件で行う。
走査透過型電子顕微鏡;日本電子社製 JEM-2800
EDS検出器;日本電子社 JED-2300T ドライSD100GV検出器(検出素子面積:100mm
EDSアナライザー;サーモフィッシャーサイエンティフィック社製 NORAN
System 7
[STEM-EDSの条件]
・STEMの加速電圧:200kV
・倍率:20,000倍
・プローブサイズ 1nm
STEM画像サイズ;1024×1024pixel(同一位置のEDS元素マッピング像を取得する。)
EDSマッピングサイズ;256×256pixel、Dwell Time;30μs、積算回数;100フレーム
多変量解析に基づくトナー粒子中の多価金属元素比率、並びに脂肪酸金属塩粒子中及びハイドロタルサイト粒子中の各元素比率の算出は以下のようにして求める。
上記STEM-EDS分析装置によって、EDSマッピングを得る。次いで、収集したスペクトルマッピングデータを、上述したNORAN System 7の測定コマンドにあるCOMPASS(PCA)モードを用いて多変量解析を行い、主成分マップイメージを抽出する。
その際に、設定値は以下のとおりとした。
・カーネルサイズ:3×3
・定量マップ設定:高(遅い)
・フィルターフィットタイプ:高精度(スロー)
同時に、この操作により、抽出される各主成分のEDS測定視野に占める面積比率が算出される。得られた各主成分マッピングがもつEDSスペクトルに対し、クリフ・ロリマー法により定量分析を実施する。
トナー粒子部分とハイドロタルサイト粒子と脂肪酸金属塩粒子との区別は、得られたSTEM-EDS主成分マッピングの、上記定量分析結果をもとに行う。粒子サイズ、形状、アルミニウムやマグネシウムのような多価金属の含有量、及びその量比から該当粒子をハイドロタルサイト粒子と同定でき、同様に粒子サイズ、形状、脂肪酸金属塩粒子が含有する金属の含有量、及びその量比から該当粒子を脂肪酸金属塩粒子と同定できる。
(ハイドロタルサイト粒子及び脂肪酸金属塩粒子のトナー粒子に対する面積比率H1及びS1、並びにS1/H1の算出方法)
上述の方法で得られたトナーのSTEM-EDSマッピング分析によるマッピングデータをもとに、抽出される各主成分のトナー粒子に対する面積比率を算出できる。「ハイドロタルサイト粒子の面積(nm)」を分子にとり、「ハイドロタルサイト粒子の面積とトナー粒子の面積の合計(nm)」を分母にとったときの値を、ハイドロタルサイト粒子のトナー粒子に対する面積比率H1として算出する。
同様に「脂肪酸金属塩粒子の面積(nm)」を分子にとり、「脂肪酸金属塩粒子の面
積(nm)とトナー粒子の面積(nm)の合計」を分母にとったときの値を、脂肪酸金属塩粒子のトナー粒子に対する面積比率S1として算出する。
前記マッピングデータを複数の視野で取得し、EDS測定視野に占めるハイドロタルサイト粒子のトナー粒子に対する面積比率H1(%)、及び脂肪酸金属塩粒子のトナー粒子に対する面積比率S1(%)を算出する。30視野についてのそれぞれの相加平均を、面積比率H1及びS1とする。
そして、得られたH1とS1から、S1/H1を算出する。
ここで、マッピングデータにおける脂肪酸金属塩粒子の同定は、脂肪酸金属塩粒子の同定の項目において、単離して得た脂肪酸金属塩粒子の構造と、脂肪酸金属塩粒子が含有する金属原子の種類と、炭素原子と脂肪酸金属塩粒子が含有する金属原子の原子比率が一致するか否かから判定を行う。
(ハイドロタルサイト粒子のフッ素及びアルミニウムの分析方法)
上述の方法で得られたSTEM-EDSマッピング分析によるマッピングデータをもとに、ハイドロタルサイト粒子のフッ素及びアルミニウムの分析を行う。具体的には、ハイドロタルサイト粒子の外周に対して法線方向にEDSライン分析を行い、粒子内部に存在するフッ素及びアルミニウムの分析を行う。
ライン分析の模式図を図1(a)に示す。トナー粒子1、及びトナー粒子2に隣接しているハイドロタルサイト粒子3において、ハイドロタルサイト粒子3の外周に対して法線方向、すなわち、5の方向にライン分析を行う。なお、4はトナー粒子の境界を示す。
取得したSTEM像中のハイドロタルサイト粒子が存在する範囲を矩形選択ツールで選択し、以下の条件でライン分析を行う。
ライン解析条件
STEM倍率;800,000倍
ライン長さ;200nm
ライン幅;30nm
ライン分割数;100点(2nmごとに強度測定)
ハイドロタルサイト粒子のEDSスペクトルにおいてフッ素又はアルミニウムの元素ピーク強度がバックグラウンド強度の1.5倍以上存在する場合、かつ、ライン分析におけるハイドロタルサイト粒子の両端部(図1(a)の点a、点b)におけるフッ素又はアルミニウムの元素ピーク強度が、それぞれ点cにおけるピーク強度の3.0倍を超えない場合に、その元素がハイドロタルサイト粒子の内部に含有されていると判断する。なお点cは、線分abの中点(すなわち、上記両端部の中点)とする。
ライン分析で得られたフッ素及びアルミニウムのX線強度の例を、図1(b)及び図1(c)に示す。ハイドロタルサイト粒子が内部にフッ素及びアルミニウムを含む場合、ピーク強度で規格化したX線強度のグラフは図1(b)のような形状を示す。ハイドロタルサイト粒子が表面処理剤由来のフッ素を含む場合、ピーク強度で規格化したX線強度のグラフは図1(c)のように、フッ素のグラフにおいて両端部の点、a、b付近にピークを有する。ライン分析における、フッ素及びアルミニウム由来のX線強度を確認することで、ハイドロタルサイト粒子が内部にフッ素及びアルミニウムを含有していることを確認できる。
(ハイドロタルサイト粒子におけるフッ素のアルミニウムに対する原子数濃度の比の値(元素比)F/Alの算出方法)
上述のSTEM-EDSマッピング分析によるハイドロタルサイト粒子由来の主成分マッピングから得られた、ハイドロタルサイト粒子におけるフッ素とアルミニウムの原子数濃度の比の値(元素比)F/Alを複数の視野で取得し、該当粒子100個以上についての相加平均をとることで、ハイドロタルサイト粒子におけるフッ素のアルミニウムに対する原子数濃度の比の値(元素比)F/Alとする。
(ハイドロタルサイト粒子におけるマグネシウムのアルミニウムに対する原子数濃度の比の値(元素比)Mg/Alの算出方法)
上述のハイドロタルサイト粒子におけるフッ素のアルミニウムに対する原子数濃度の比(元素比)F/Alの算出方法と同様の方法で、マグネシウムとアルミニウムについて行い、ハイドロタルサイト粒子のマグネシウムのアルミニウムに対する原子数濃度の比(元素比)Mg/Alを算出する。
<ハイドロタルサイト粒子におけるフッ素の原子数濃度、脂肪酸金属塩粒子における金属原子の原子数濃度、及びS2/H2の算出方法>
上述の方法で得られたSTEM-EDSマッピング分析によるマッピングデータをもとに、ハイドロタルサイト粒子におけるフッ素の原子数濃度及び脂肪酸金属塩粒子における金属原子の原子数濃度を算出する。前述の手法により抽出した、ハイドロタルサイト粒子、脂肪酸金属塩粒子それぞれの主成分マップイメージにおいて、それぞれハイドロタルサイト粒子におけるフッ素の原子数濃度(元素量)、脂肪酸金属塩粒子における金属原子の原子数濃度(元素量)を定量化する。ハイドロタルサイト粒子におけるフッ素の原子数濃度とH1と100とを、脂肪酸金属塩粒子における金属原子の原子数濃度とS1と100とをそれぞれ掛け合わせることで、H2と、S2とをそれぞれ算出する。
前記マッピングデータを複数の視野で取得し、ハイドロタルサイト粒子及び脂肪酸金属塩粒子それぞれ100個以上について相加平均をとることで、それぞれH2及びS2とする。
そして、得られたH2とS2から、S2/H2を算出する。
<ハイドロタルサイト粒子の一次粒子の個数平均粒径H3及び脂肪酸金属塩粒子の一次粒子の個数平均粒径S3の測定方法>
ハイドロタルサイト粒子の一次粒子の個数平均粒径H3及び脂肪酸金属塩粒子の一次粒子の個数平均粒径S3の測定は、走査型電子顕微鏡「S-4800」(商品名;日立製作所製)及びエネルギー分散型X線分析(EDS)による元素分析を組み合わせて行う。外添剤としてハイドロタルサイト粒子及び脂肪酸金属塩粒子が外添されたトナーを観察して、最大20万倍に拡大した視野において、ハイドロタルサイト粒子及び脂肪酸金属塩粒子を撮影する。撮影された画像から、ハイドロタルサイト粒子及び脂肪酸金属塩粒子を選び出し、ハイドロタルサイト粒子及び脂肪酸金属塩粒子の一次粒子の長径を、それぞれランダムに100個測定して、ハイドロタルサイト粒子と脂肪酸金属塩粒子の個数平均粒径を求める。観察倍率は、外添剤の大きさによって適宜調整する。
(トナー粒子中の多価金属元素含有量の算出方法)
上述のSTEM-EDSマッピング分析によるトナー粒子由来の主成分マッピングから、トナー粒子中の多価金属元素及び炭素の元素量(原子数濃度)が得られる。炭素の元素量(原子数濃度)を100とした場合の、アルミニウムなどの多価金属元素の元素量(原子数濃度)を、「トナー粒子中の多価金属元素の含有量」とする。前記マッピングデータを複数の視野で取得し、トナー粒子100個以上についての相加平均をとることで、「トナー粒子中の多価金属元素の含有量」を算出する。
<樹脂のガラス転移温度(Tg)の測定方法>
樹脂のガラス転移温度は、ASTM D3418-97に準拠して測定する。
具体的には、乾燥によって得られた樹脂を10mg精秤し、アルミニウムパン中に入れる。リファレンスとして空のアルミニウムパンを用いる。示差走査熱量計(エスアイアイ・ナノテクノロジー社製、商品名:DSC6220)を用い、ASTM D 3418-97に従って、精秤した樹脂のガラス転移温度を、測定温度範囲0℃~150℃の間で、昇温速度10℃/分の条件下で測定する。
<トナー中のワックスの同定>
(1)トナーからワックスを分離する方法
まず、トナー中のワックスの融点を、熱分析装置(DSC Q2000 TAインスツルメント・ジャパン(株)製)を用いて測定する。トナー試料3.0mgをアルミニウム製パン(KITNO.0219-0041)の試料容器に入れ、試料容器をホルダーユニットにのせ、電気炉中にセットする。窒素雰囲気下、30℃から200℃まで昇温速度10℃/分で加熱して示差走査熱量計(DSC)によりDSC曲線を計測し、トナー試料中のワックスの融点を算出する。
次に、トナーに対して貧溶媒であるエタノールにトナーを分散させ、ワックスの融点を超える温度まで昇温させる。この時必要に応じて加圧してもよい。この操作により融点を超えたワックスはエタノールに中に溶融・抽出されている。加温、さらに加圧している場合は加圧したまま固液分離することにより、トナーからワックスを分離できる。次いで、抽出液を乾燥・固化することによりワックスを得る。
(2)熱分解GCMSによるワックスの同定
具体的な熱分解GCMSによるワックスの同定条件を以下に示す。
質量分析装置:ThermoFisherScinetific社 ISQ
GC装置:ThermoFisherScinetific社 FocusGC
イオン源温度:250℃
イオン化方法:EI
質量範囲:50-1000m/z
カラム:HP-5MS[30m]
熱分解装置:日本分析工業(株)製 JPS-700
590℃のパイロホイルに、抽出操作により分離したワックス少量と水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)1μLを加える。作製成したサンプルを上記条件で熱分解GCMS測定を実施し、ワックス由来のピークを得る。ワックスがエステル化合物の場合、アルコール成分、カルボン酸成分のそれぞれについてのピークを得る。メチル化剤であるTMAHの作用によりアルコール成分、カルボン酸成分はメチル化物として検出される。得られたピークを解析し、エステル化合物の構造を同定することにより分子量も得ることができる。
<結着樹脂の組成分析>
・トナーから結着樹脂を分離する方法
トナー100mgをクロロホルム3mlに溶解する。次いで、サンプル処理フィルター(ポアサイズ0.2μm以上0.5μm、例えば、マイショリディスクH-25-2(東ソー社製)などを使用)を取り付けたシリンジで吸引ろ過することで不溶分を除去する。分取HPLC(装置:日本分析工業社製 LC-9130 NEXT 分取カラム[60cm] 排除限界:20000、70000 2本連結)に可溶分を導入しクロロホルム溶離液を送液する。得られるクロマトグラフの表示でピークが確認できたら、単分散ポリスチレン標準試料で分子量2000以上となるリテンションタイムを分取する。得られた分画の溶液を乾燥・固化し結着樹脂を得る。
・核磁気共鳴分光法(NMR)による結着樹脂の成分同定と質量比の測定
トナー20mgに重クロロホルム1mLを加え、溶解した結着樹脂のプロトンのNMRスペクトルを測定する。得られたNMRスペクトルから各モノマーのモル比及び質量比を算出し、スチレンアクリル樹脂など結着樹脂の構成モノマーユニットの含有量を求めることができる。たとえば、スチレンアクリル共重合体の場合はスチレンモノマーに由来する6.5ppm付近のピークと3.5-4.0ppm付近のアクリルモノマーに由来するピークをもとに組成比と質量比を算出することができる。また、ポリエステル樹脂及びスチ
レンアクリル樹脂の共重合体の場合には、ポリエステル樹脂を構成する各モノマーに由来するピークとスチレンアクリル共重合体に由来するピークも併せてモル比及び質量比を算出する。
NMR装置:JEOL RESONANCE ECX500
観測核:プロトン 測定モード:シングルパルス 基準ピーク:TMS
・飛行時間型二次イオン質量分析(TOF-SIMS)によるシェル用の樹脂Bの成分同定
飛行時間型二次イオン質量分析(TOF-SIMS)では、トナー粒子の表面から数nmの情報を得ることができるため、トナー粒子の最表面近傍の構成材料を特定することができる。TOF-SIMSを用いたトナー粒子の表面に存在する樹脂の同定には、アルバック・ファイ社製、TRIFT-IVを使用する。分析条件は以下の通りである。
サンプル調整:トナーをインジウムシートに付着させる
サンプル前処理:なし
一次イオン:Auイオン
加速電圧:30kV
電荷中和モード:On
測定モード:Negative
ラスター:100μm
各ピークからトナー粒子の表面に存在する樹脂の組成の同定及び存在比率を算出する。例えば、S211はそのビスフェノールAに由来するピークである。また、例えば、S85はそのアクリル酸ブチルに由来するピークである。
ビニル樹脂に由来するピーク強度(S85)の算出の場合:アルバック・ファイ社標準ソフト(Win Cadense)に従い、質量数84.5~85.5の合計カウント数をピーク強度(S85)とする。
非晶性ポリエステルに由来するピーク強度(S211)の算出の場合:アルバック・ファイ社標準ソフト(Win Cadense)に従い、質量数210.5~211.5の合計カウント数をピーク強度(S211)とする。
<トナー(粒子)の平均円形度の測定方法>
トナー又はトナー粒子の平均円形度の測定には、フロー式粒子像分析装置である「FPIA-3000型」(シスメックス(株)製)を用い、校正作業時の測定・解析条件で測定する。
イオン交換水20mLに、分散剤として界面活性剤、アルキルベンゼンスルホン酸塩を適量加えた後、測定試料0.02gを加え、発振周波数50kHz、電気的出力150ワットの卓上型の超音波洗浄器分散機(商品名:VS-150、(株)ヴェルヴォクリーア製)を用いて2分間分散処理を行い、測定用の分散液とする。その際、分散液の温度が10℃~40℃となるように適宜冷却する。
測定には、標準対物レンズ(10倍)を搭載した前記フロー式粒子像分析装置を用い、シース液にはパーティクルシース「PSE-900A」(シスメックス(株)製)を使用する。前記手順に従い調整した分散液を前記フロー式粒子像分析装置に導入し、HPF測定モードで、トータルカウントモードにて3000個のトナー(粒子)を計測して、粒子解析時の2値化閾値を85%とし、解析粒子径を円相当径1.98μm~19.92μmに限定し、トナー(粒子)の平均円形度を求める。
測定にあたっては、測定開始前に標準ラテックス粒子(例えば、Duke Scientific社製の5100A(商品名)をイオン交換水で希釈)を用いて自動焦点調整を行う。その後、測定開始から2時間毎に焦点調整を実施することが好ましい。
<重量平均分子量Mw、数平均分子量Mn、ピーク分子量の測定>
樹脂などの分子量分布(重量平均分子量Mw、数平均分子量Mn、ピーク分子量)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、以下のようにして測定する。
まず、室温で24時間かけて、試料をテトラヒドロフラン(THF)に溶解する。そして、得られた溶液を、ポア径が0.2μmの耐溶剤性メンブランフィルター「マイショリディスク」(東ソー社製)で濾過してサンプル溶液を得る。なお、サンプル溶液は、THFに可溶な成分の濃度が0.8質量%となるように調整する。このサンプル溶液を用いて、以下の条件で測定する。
装置:HLC8120GPC (検出器:RI)(東ソー社製)
・カラム:Shodex KF-801、802、803、804、805、806、807の7連(昭和電工社製)
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
・流速:1.0ml/min
・オーブン温度:40.0℃
・試料注入量:0.10ml
試料の分子量の算出にあたっては、標準ポリスチレン樹脂(例えば、商品名「TSKスタンダード ポリスチレン F-850、F-450、F-288、F-128、F-80、F-40、F-20、F-10、F-4、F-2、F-1、A-5000、A-2500、A-1000、A-500」、東ソー社製)を用いて作成した分子量校正曲線を使用する。
<融点の測定方法>
結晶性材料(結晶性樹脂又はワックス)の融点は、示差走査熱量計(DSC) Q2000(TA Instruments社製)を使用して以下の条件にて測定を行う。
昇温速度:10℃/min
測定開始温度:20℃
測定終了温度:180℃
装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。
具体的には、試料約5mgを精秤し、アルミニウム製のパンの中に入れ、一回測定を行う。リファレンスとしてはアルミニウム製の空パンを用いる。そのときの最大吸熱ピークのピーク温度を融点とする。
<トナーの体積基準のメジアン径などの粒形の測定方法>
トナーの体積基準のメジアン径などの粒形は、以下のようにして算出する。測定装置としては、100μmのアパーチャーチューブを備えた細孔電気抵抗法による精密粒度分布測定装置「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、ベックマン・コールター社製)を用いる。測定条件の設定及び測定データの解析は、付属の専用ソフト「ベックマン・コールター Multisizer 3 Version3.51」(ベックマン・コールター社製)を用いる。なお、測定は実効測定チャンネル数2万5千チャンネルで行なう。
測定に使用する電解水溶液は、特級塩化ナトリウムをイオン交換水に溶解して濃度が約1質量%となるようにしたもの、例えば、「ISOTON II」(ベックマン・コールター社製)が使用できる。
なお、測定、解析を行なう前に、以下のように前記専用ソフトの設定を行う。
前記専用ソフトの「標準測定方法(SOMME)を変更」画面において、コントロールモードの総カウント数を50000粒子に設定し、測定回数を1回、Kd値は「標準粒子10.0μm」(ベックマン・コールター社製)を用いて得られた値を設定する。「閾値/ノイズレベルの測定ボタン」を押すことで、閾値とノイズレベルを自動設定する。また、カレントを1600μAに、ゲインを2に、電解液をISOTON IIに設定し、「
測定後のアパーチャーチューブのフラッシュ」にチェックを入れる。
前記専用ソフトの「パルスから粒径への変換設定」画面において、ビン間隔を対数粒径に、粒径ビンを256粒径ビンに、粒径範囲を2μmから60μmまでに設定する。
具体的な測定法は以下の通りである。
(1)Multisizer 3専用のガラス製250mL丸底ビーカーに前記電解水溶液約200mLを入れ、サンプルスタンドにセットし、スターラーロッドの撹拌を反時計回りで24回転/秒にて行う。そして、専用ソフトの「アパーチャーチューブのフラッシュ」機能により、アパーチャーチューブ内の汚れと気泡を除去しておく。
(2)ガラス製の100mL平底ビーカーに前記電解水溶液約30mLを入れる。この中に分散剤として「コンタミノンN」(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)をイオン交換水で約3質量倍に希釈した希釈液を約0.3mL加える。
(3)発振周波数50kHzの発振器2個を、位相を180度ずらした状態で内蔵し、電気的出力120Wの超音波分散器「Ultrasonic Dispersion System Tetra150」(日科機バイオス社製)を準備する。超音波分散器の水槽内に約3.3Lのイオン交換水を入れ、この水槽中にコンタミノンNを約2mL添加する。
(4)前記(2)のビーカーを前記超音波分散器のビーカー固定穴にセットし、超音波分散器を作動させる。そして、ビーカー内の電解水溶液の液面の共振状態が最大となるようにビーカーの高さ位置を調整する。
(5)前記(4)のビーカー内の電解水溶液に超音波を照射した状態で、トナー約10mgを少量ずつ前記電解水溶液に添加し、分散させる。そして、さらに60秒間超音波分散処理を継続する。なお、超音波分散にあたっては、水槽の水温が10℃~40℃となる様に適宜調節する。
(6)サンプルスタンド内に設置した前記(1)の丸底ビーカーに、ピペットを用いてトナーを分散した前記(5)の電解水溶液を滴下し、測定濃度が約5%となるように調整する。そして、測定粒子数が50000個になるまで測定を行う。
(7)測定データを装置付属の前記専用ソフトにて解析を行い、体積基準のメジアン径を算出する。
<脂肪酸金属塩の同定方法>
(1)トナーから脂肪酸金属塩粒子を単離する方法
イオン交換水100mLにスクロース(キシダ化学製)160gを加え、湯せんをしながら溶解させ、ショ糖濃厚液を調製する。遠心分離用チューブ(容量50ml)に、上記ショ糖濃厚液を31gと、コンタミノンN(非イオン界面活性剤、陰イオン界面活性剤、有機ビルダーからなるpH7の精密測定器洗浄用中性洗剤の10質量%水溶液、和光純薬工業社製)を6mL入れる。ここにトナー1.0gを添加し、スパチュラなどでトナーのかたまりをほぐす。
遠心分離用チューブをシェイカー(AS-1N アズワン株式会社より販売)にて300spm(strokes per min)、20分間振とうする。振とう後、溶液をスイングローター用ガラスチューブ(50mL)に入れ替えて、遠心分離機(H-9R 株式会社コクサン製)にて3500rpm、30分間の条件で分離する。
この操作により、トナー粒子と水溶液が十分に分離されていることを目視で確認し、最上層に分離したトナー粒子をスパチュラ等で採取することで、分散液からトナー粒子を分離した。
その後、トナー粒子を採取した後の分散液について、再度遠心分離を行い、再上層に分離された脂肪酸金属塩を含む分散液を採取した。
そして上記の操作を繰り返し、脂肪酸金属塩を含む分散液を集めたのち、再度遠心分離を行なって脂肪酸金属塩の濃度を高めた濃縮液を得た。
該濃縮液を1日間自然乾燥させた後、乾燥機にて40℃で8時間以上乾燥し、測定用試料を得る。この操作を複数回実施して、単離した脂肪酸金属塩粒子を必要量確保した。
(2)蛍光X線による中心金属の同定
単離した脂肪酸金属塩粒子を用いて、蛍光X線測定を行い、組成分析を行うことにより、脂肪酸金属塩粒子の金属元素を同定した。
(3)熱分解GCMSによる脂肪酸金属塩の脂肪酸の同定
具体的な熱分解GCMSによる脂肪酸金属塩の同定条件を以下に示す。
質量分析装置:ThermoFisherScinetific社 ISQ
GC装置:ThermoFisherScinetific社 FocusGC
イオン源温度:250℃
イオン化方法:EI
質量範囲:50-1000m/z
カラム:HP-5MS[30m]
熱分解装置:日本分析工業(株)製 JPS-700
590℃のパイロホイルに、単離操作により分離した脂肪酸金属塩と水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)1μLを加える。作製成したサンプルを上記条件で熱分解GCMS測定を実施し、脂肪酸金属塩由来のピークを得る。メチル化剤であるTMAHの作用により脂肪酸成分はメチル化物として検出される。得られたピークを解析し、脂肪酸金属塩の脂肪酸構造を同定した。
以下に実施例及び比較例を挙げて本開示をさらに詳細に説明するが、本開示は何らこれに制約されるものではない。実施例中で使用する「部」は特に断りのない限り質量基準である。
以下、トナーの製造例について説明する。
<トナー1の製造例>
<樹脂粒子分散液1の調製例>
・スチレン72.0部
・アクリル酸ブチル26.7部
・アクリル酸1.3部
・n-ラウリルメルカプタン3.2部
容器に上記材料を投入し、攪拌を行い混合した。この溶液にネオゲンRK(第一工業製薬社製)1.5部のイオン交換水150.0部の水溶液を添加して、分散させた。
さらに10分間ゆっくりと撹拌しながら、過硫酸カリウム0.3部のイオン交換水10.0部の水溶液を添加した。窒素置換をした後、70℃で6時間乳化重合を行った。重合終了後、反応液を室温まで冷却し、イオン交換水を添加することで固形分濃度が12.5質量%、ガラス転移温度が48℃の樹脂粒子分散液1を得た。この樹脂粒子分散液1に含まれる樹脂粒子の粒度分布を、粒度測定装置(堀場製作所製、LA-920)を用いて測定したところ、含まれる樹脂粒子の個数平均粒径は、0.2μmであった。また、1μmを超える粗大粒子は観察されなかった。
<樹脂粒子分散液2の調製例>
・スチレン77.0部
・アクリル酸ブチル21.7部
・アクリル酸1.3部
・n-ラウリルメルカプタン3.2部
容器に上記材料を投入し、攪拌を行い混合した。この溶液にネオゲンRK(第一工業製薬社製)1.5部のイオン交換水150.0部の水溶液を添加して、分散させた。
さらに10分間ゆっくりと撹拌しながら、過硫酸カリウム0.3部のイオン交換水10.0部の水溶液を添加した。窒素置換をした後、70℃で6時間乳化重合を行った。重合終了後、反応液を室温まで冷却し、イオン交換水を添加することで固形分濃度が12.5質量%、ガラス転移温度が60℃の樹脂粒子分散液2を得た。この樹脂粒子分散液2に含まれる樹脂粒子の粒度分布を、粒度測定装置(堀場製作所製、LA-920)を用いて測定したところ、含まれる樹脂粒子の個数平均粒径は、0.2μmであった。また、1μmを超える粗大粒子は観察されなかった。
<離型剤分散液1の調製例>
ペンタエリスリトールテトラステアレート(融点:77℃)100.0部、ネオゲンRK15.0部をイオン交換水385.0部に混合させ、湿式ジェットミル JN100((株)常光製)を用いて約1時間分散して離型剤分散液1を得た。離型剤分散液1のワックス濃度は20.0質量%であった。
この離型剤分散液1に含まれる離型剤粒子の粒度分布を、粒度測定装置(堀場製作所製、LA-920)を用いて測定したところ、含まれる離型剤粒子の個数平均粒径は、0.35μmであった。また、1μmを超える粗大粒子は観察されなかった。
<離型剤分散液2の調製例>
炭化水素系ワックス HNP-9(日本精鑞社製、融点:75.5℃)100.0部、
ネオゲンRK15部をイオン交換水385.0部に混合させ、湿式ジェットミル JN100((株)常光製)を用いて約1時間分散して離型剤分散液2を得た。離型剤分散液2のワックス濃度は20.0質量%であった。
この離型剤分散液2に含まれる離型剤粒子の粒度分布を、粒度測定装置(堀場製作所製、LA-920)を用いて測定したところ、含まれる離型剤粒子の個数平均粒径は、0.35μmであった。また、1μmを超える粗大粒子は観察されなかった。
<着色剤分散液1の調製例>
着色剤としてカーボンブラック「Nipex35(オリオンエンジニアドカーボンズ社製)」100.0部、ネオゲンRK15部をイオン交換水885.0部に混合させ、湿式ジェットミル JN100を用いて約1時間分散して着色剤分散液を得た。
この着色剤粒子分散液1に含まれる着色剤粒子の粒度分布を、粒度測定装置(堀場製作所製、LA-920)を用いて測定したところ、含まれる着色剤粒子の個数平均粒径は、0.2μmであった。また、1μmを超える粗大粒子は観察されなかった。
<トナー粒子1の作製>
・樹脂粒子分散液1:265.0部
・離型剤分散液1:10.0部
・離型剤分散液2:8.0部
・着色剤分散液:16.0部
コア形成工程として、上記各材料を丸型ステンレス製フラスコに投入し、混合した。続いてホモジナイザー(IKA社製:ウルトラタラックスT50)を用いて5000r/m
inで10分間分散した。撹拌しながら容器内の温度を30℃に調整して、1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH=8.0に調整した。
凝集剤として、塩化アルミニウム0.25部をイオン交換水10.0部に溶解した水溶液を、30℃攪拌下、10分間かけて添加した。3分間放置した後に昇温を開始し、60℃まで昇温し、凝集粒子の生成(コアの形成)を行った。形成された凝集粒子の体積基準のメジアン径を、「コールター・カウンター Multisizer 3」(登録商標、
ベックマン・コールター社製)を用いて便宜確認した。体積基準のメジアン径が7.0μmになった時点で、シェル形成工程として、樹脂粒子分散液2:15.0部を投入してさらに1時間攪拌し、シェルを形成した。
その後、1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液を加えてpH=9.0に調整してから95℃まで昇温し、凝集粒子の球形化を行った。平均円形度が0.980に到達したら降温を開始し、室温まで冷却して、トナー粒子分散液1を得た。
得られたトナー粒子分散液1に塩酸を添加してpH=1.5以下に調整して1時間撹拌放置してから加圧ろ過器で固液分離し、トナーケーキを得た。これをイオン交換水でリスラリーして再び分散液とした後に、前述のろ過器で固液分離した。リスラリーと固液分離とを、ろ液の電気伝導度が5.0μS/cm以下となるまで繰り返した後に、最終的に固液分離してトナーケーキを得た。得られたトナーケーキは、乾燥を行い、さらに分級機を用いて、体積基準のメジアン径が7.0μmになるように分級して、トナー粒子1を得た。
得られたトナー粒子の処方及び物性を表1に示す。
Figure 2023125478000001

表中、「シェルの部数」は、コア粒子用の樹脂100質量部に対するシェル用の樹脂の質量部数である。
<トナー粒子2~7の製造例>
トナー粒子1の製造例において、凝集剤の種類と添加量を表1のように変更した以外は同様にしてトナー粒子2~7を得た。得られたトナー粒子2~7の物性を表1に示す。
<ハイドロタルサイト粒子1の調製>
1.03mol/Lの塩化マグネシウムと0.239mol/Lの硫酸アルミニウムとの混合水溶液(A液)と、0.753mol/Lの炭酸ナトリウム水溶液(B液)及び3.39mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液(C液)を調製した。
次に、A液、B液、及びC液を、定量ポンプを用いて、A液:B液を4.5:1の容量比となる流量で反応槽に注加し、C液で反応液のpH値を9.3~9.6の範囲に保持し、反応温度は40℃で行い沈殿物を生成させた。濾過、洗浄後、イオン交換水に再乳化させて、原料のハイドロタルサイトスラリーを得た。得られたハイドロタルサイトスラリー中のハイドロタルサイトは、5.6質量%濃度であった。
得られたハイドロタルサイトスラリーを40℃で一晩真空乾燥した。NaFを濃度が100mg/Lとなるようにイオン交換水に溶解させ、1mol/L HCl又は1mol/L NaOHを用いてpH7.0に調整した溶液を作製し、そこに乾燥したハイドロタルサイトを0.1%(w/v%)となるように添加した。マグネティックスターラーを用いて沈降しない程度に48時間定速撹拌を行った。その後、孔径0.5μmのメンブレンフィルターで濾過し、イオン交換水で洗浄した。得られたハイドロタルサイトを40℃で
一晩真空乾燥し、その後解砕処理を行った。得られたハイドロタルサイト粒子1の組成及び物性を表2に示す。
<ハイドロタルサイト粒子2~11の調製>
A液:B液及びNaF水溶液の濃度を便宜調整する以外は、ハイドロタルサイト粒子1の製造例と同様にして、ハイドロタルサイト粒子2~11を得た。得られたハイドロタルサイト粒子2~11の組成及び物性を表2に示す。
<ハイドロタルサイト粒子12の調製>
ハイドロタルサイト粒子1の製造例において、NaF水溶液の代わりにイオン交換水を用いた以外はハイドロタルサイト粒子1の製造例と同様にして、ハイドロタルサイト粒子12を得た。得られたハイドロタルサイト粒子12の組成及び物性を表2に示す。
<ハイドロタルサイト粒子13の調製>
ハイドロタルサイト粒子12の製造例において、得られたハイドロタルサイト化合物を含むスラリーを40℃で一晩真空乾燥する前に、固形分95質量部に対して、フルオロシリコーンオイルを5質量部加えて表面処理を行った以外は、ハイドロタルサイト粒子12と同様にして、ハイドロタルサイト粒子13を得た。得られたハイドロタルサイト粒子13の組成及び物性を表2に示す。
Figure 2023125478000002
<脂肪酸金属塩粒子1の調製>
攪拌装置付きの受け容器を用意し、攪拌器を300rpmで回転させた。この受け容器に0.5質量%ステアリン酸ナトリウム水溶液500部を投入し、液温を85℃に調整した。次に、この受け容器に0.2質量%硫酸亜鉛水溶液525部を、15分かけて滴下した。全量仕込み終了後、反応時の温度状態で10分間熟成し、反応を終結した。
次に、このようにして得られた脂肪酸金属塩スラリーを濾過洗浄した。得られた洗浄後の脂肪酸金属塩ケーキを粗砕後、連続瞬間気流乾燥機を用いて100℃で乾燥した。その後、ナノグラインディングミル〔NJ-300〕(サンレックス社製)にて風量6.0m/min、処理速度80kg/hの条件で粉砕した後、リスラリーして湿式遠心分級機
を用いて微粒子、粗粒子の除去を行った。その後、連続瞬間気流乾燥機を用いて80℃で乾燥して脂肪酸金属塩粒子1を得た。脂肪酸金属塩粒子1の物性を表3に示す。
<脂肪酸金属塩粒子2~7の調製>
表3に示すように、材料を変更し、個数平均粒径が表3のようになるように調整した以外は、脂肪酸金属塩粒子1と同様にして、脂肪酸金属塩粒子2~7を得た。脂肪酸金属塩粒子2~7の物性を表3に示す。
Figure 2023125478000003
<トナー1の製造例>
上記で得られたトナー粒子1(98.4部)に対して、ハイドロタルサイト粒子1(0.2部)、脂肪酸金属塩粒子1(0.1部)及びシリカ粒子1(RX200:一次平均粒子径12nm、HMDS処理、日本アエロジル社製)(1.5部)を、FM10C(日本コークス工業株式会社製)によって外添混合した。外添条件は、下羽根をA0羽根とし、デフレクターの壁との間隔を20mmにセットさせ、トナー粒子の仕込み量:2.0kg、回転数:66.6s-1、外添時間:10分、冷却水を温度20℃・流量10L/minで行った。
その後、目開き200μmのメッシュで篩い、トナー1を得た。得られたトナー1の物性を表4及び表5に示す。
Figure 2023125478000004

表4中、H粒子はハイドロタルサイト粒子を示し、S粒子は脂肪酸金属塩粒子を示し、H-1~H-13はハイドロタルサイト粒子1~13を示し、S-1~S-7は脂肪酸金属塩粒子1~7を示し、H3はハイドロタルサイト粒子の一次粒子の個数平均粒径を示し、S3は脂肪酸金属塩粒子の一次粒子の個数平均粒径を示す。
Figure 2023125478000005

表5中、※はフッ素原子がハイドロタルサイト粒子の内部に含有されているかどうかの判定を示し、「あり」と「なし」はそれぞれ、フッ素原子がハイドロタルサイト粒子の内部に含有されていること、含有されていないことを示す。また、H1はハイドロタルサイト粒子のトナー粒子に対する面積比率を示し、H2はF原子%とH1と100との積を示し、H3はハイドロタルサイト粒子の一次粒子の個数平均粒径を示し、S1は脂肪酸金属塩粒子のトナー粒子に対する面積比率を示し、S2は金属原子%とS2と100との積を示し、S3は脂肪酸金属塩粒子の一次粒子の個数平均粒径を示し、含有量は、トナー粒子の多価金属元素の含有量(炭素に対する元素比)を示す。
<トナー2~49の製造例>
トナー1の製造例において、用いるトナー粒子、ハイドロタルサイト粒子、脂肪酸金属塩粒子と、これらの添加量を表4のように変更した以外は、トナー1の製造例と同様にし
てトナー2~49を得た。得られたトナー2~49の物性を表4及び表5に示す。
<画像評価>
画像評価は、市販のカラーレーザープリンタカラーレーザープリンター(HP LaserJet Enterprise Color M611dn、HP社製)を一部改造したものを用いて行った。具体的には、一色のプロセスカートリッジだけの装着でも作動するように改造し、転写電流を所望の値に変更できるようにした。シアンカートリッジからトナーを取り出し、代わりに評価するトナー325gを充填した。評価するトナーを充填したシアンカートリッジを本体に装着し、シアンカートリッジ以外のカートリッジは装着せずに評価を行った。評価は下記の評価1~6を実施した。
<評価1 低温低湿環境下におけるクリーニング性評価>
本体及びトナーを充填したカートリッジを低温低湿環境下(温度15℃、湿度5%RH)に1日放置した後、上記環境下で、転写電流を通常設定よりも20%アップさせ、印字率1%の横線画像を間欠モードで40,000枚出力した。出力後、転写電流を通常設定に戻した後、印字率23%であるハーフトーン画像を3枚出力した(ハーフトーン画像1)。
評価紙としては、Copykid copy paper(UPM社製 A4サイズ 210×297mm、坪量70g/m)を使用した。
Copykid copy paperは紙粉発生の多い紙であるため、低温低湿環境下で使用する場合や、転写電流が高い条件で使用する場合に、特に紙粉がネガ化して感光体へ移行しやすいため、そのような紙を用いた本評価は、紙粉のクリーニング性に関して厳しい条件の評価である。
本評価において、クリーニング性が悪いトナーである場合、クリーニング工程をすり抜けた紙粉、外添剤、トナーが帯電ローラを汚染し、汚染部の帯電能力が低下するため、ハーフトーン画像を出力した場合に、黒い縦スジが発生する。
そのため、40,000枚出力後に得られたハーフトーン画像3枚について、縦スジの発生本数を数え、低温低湿環境下におけるクリーニング性を以下の基準で判定した。C以上を良好と判断した。
[評価基準]
A.スジの幅が0.5mm未満であり、スジの本数が3本以下である。
B.スジの幅が0.5mm未満であり、スジの本数が4本以上6本以下である。
C.スジの幅が0.5mm未満であり、スジの本数が7本以上9本以下である。
D.スジの幅が0.5mm未満のスジの本数が10本以上である。又は、0.5mm以上のスジが発生している。
<評価2 低温低湿環境下における耐久後のかぶり評価>
本体及びトナーを充填したカートリッジを低温低湿環境下(温度15℃、湿度5%RH)に1日放置した後、上記環境下で、印字率1%の横線画像を間欠モードで40,000枚出力したのち、紙の一部に付箋を張り付けてマスクした全白画像を3枚出力した。
評価紙としては、紙粉が発生しやすい紙である、Copykid copy paper(UPM社製 A4サイズ 210×297mm、坪量70g/m)を使用した。
付箋をはがしたのち、付箋が張られた部分と、貼られていなかった部分について、それぞれ反射率(%)を5点測定して平均値を求めた後、平均値の差を求め、これを低温低湿環境下における耐久後のかぶりとした。
反射率はデジタル白色光度計(TC-6D型 有限会社東京電色製 グリーンフィルタ使用)を用いて測定した。評価基準は以下の通りであり、値が低いほど良好である。C以上を良好と判断した。
[評価基準]
A.かぶりが0.5%未満
B.かぶりが0.5%以上1.0%未満
C.かぶりが1.0%以上1.5%未満
D.かぶりが1.5%以上
<評価3 低温低湿環境下におけるクリーニングの印字率安定性>
本体及びトナーを充填したカートリッジを低温低湿環境下(温度15℃、湿度5%RH)に1日放置した後、上記環境下で、左端側半分は印字率1%の横線を出力し、右側半分はベタ黒が画像を配置した画像を、間欠モードで5,000枚出力した後、ハーフトーン画像(印字率23%)を3枚出力した。
評価紙としては、紙粉発生の多い紙である、Copykid copy paper(UPM社製 A4サイズ 210×297mm、坪量70g/m)を使用した。
出力する画像の印字率によって、クリーニング性に差がある場合、帯電ローラ汚染にレベル差が生じ、感光体へ付与する帯電量に差が生じることとなり、上記の評価において左側と右側のハーフトーン濃度差に差が現れることとなる。
得られたハーフトーン画像(印字率23%)3枚について、左側(印字率が低い画像で耐久評価した領域)と、右側(印字率が高い画像で耐久評価した領域)のハーフトーン濃度の差から、クリーニングの印字率安定性について評価した。
各画像の左側のハーフトーン画像濃度を10点測定して平均値をとり(左側ハーフトーン濃度)、同様にして各画像の右側のハーフトーン画像濃度を10点測定して平均値をとった(右側ハーフトーン濃度)。
その後、左側ハーフトーン濃度と右側ハーフトーン濃度の濃度差が少ないほど、クリーニング印字率安定性が良好であり、評価基準は以下の通りである。C以上を良好と判断した。
[評価基準]
A.ハーフトーン濃度差が0.04未満である。
B.ハーフトーン濃度差が0.04以上0.07未満である。
C.ハーフトーン濃度差が0.07以上0.10未満である。
D.耐久後のハーフトーン濃度差が0.10以上である。
<評価4 低温低湿環境下におけるハーフトーン再現性>
低温低湿環境下において、本体及びトナーを充填したカートリッジを低温低湿環境下(温度15℃、湿度5%RH)に1日放置した後、上記環境下で、印字率4%の横線画像を間欠モードで5,000枚出力したのち、印字率23%のハーフトーン画像を出力した。該ハーフトーン画像についてマイクロスコープを用いて観察した後、画像解析によってドットの断面積を二値化し、断面積の平均値と標準偏差を求め、標準偏差を平均値で除して100倍した値をCV%とし、CV%の値から以下の基準に基づきハーフトーン再現性を評価した。
トナーの帯電分布がシャープであるほど、ハーフトーン再現性が良好となる。
[評価基準]
A:CV%が10%未満である
B:CV%が10%以上15%未満である
C:CV%が15%以上20%未満である
D:CV%が20%以上である
<評価5 極低温低湿環境のクリーニング性評価>
本体及びトナーを充填したカートリッジを極低温低湿環境下(温度0℃、湿度5%RH)に1日放置した後、上記環境下で、印字率10%の横線画像を間欠モードで5,000
枚出力した。出力後、印字率23%であるハーフトーン画像を3枚出力した(ハーフトーン画像1)。
評価紙としては、Copykid copy paper(UPM社製 A4サイズ 210×297mm、坪量70g/m)を使用した。
Copykid copy paperは紙粉発生の多い紙であるため、そのような紙を用いた本評価は、紙粉のクリーニング性に関して厳しい条件の評価である。
また、極低温低湿環境下では、クリーニング部材が硬くなりニップの形成が厳しくなるためトナーのすり抜けが発生しやすい。そのため印字率が高い画像で耐久評価するほどクリーニング性に厳しい評価となる。本評価において、クリーニング性が悪いトナーである場合、クリーニング工程をすり抜けた紙粉、外添剤、トナーが帯電ローラを汚染し、汚染部の帯電能力が低下するため、ハーフトーン画像を出力した場合に、黒い縦スジが発生することになる。
そのため、耐久後に得られたハーフトーン画像3枚について、縦スジの発生本数を数え、極低温低湿環境のクリーニング性を以下の基準で判定した。C以上を良好と判断した。[評価基準]
A.スジの幅が0.5mm未満であり、スジの本数が3本以下である。
B.スジの幅が0.5mm未満であり、スジの本数が4本以上6本以下である。
C.スジの幅が0.5mm未満であり、スジの本数が7本以上9本以下である。
D.スジの幅が0.5mm未満のスジの本数が10本以上である。又は、0.5mm以上のスジが発生している。
<評価6 低温低湿環境下における帯電立ち上がり性>
本体及びトナーを充填したカートリッジを低温低湿環境下(温度15℃、湿度5%RH)に1日放置した後、上記環境下で、印字率1%の横線画像を間欠モードで40,000枚出力した。
その後、先端余白5mmで20mm×20mmのベタ黒パッチと、20mm×20mmのベタ白パッチを交互に配置した後、全面にハーフトーン画像を配置したハーフトーン画像出力した(ハーフトーン画像2)。
上記の画像の、ベタ黒パッチとベタ白パッチの感光ドラムの2週目の画像が出力される位置(感光ドラムピッチ約75.4mm)のハーフトーン濃度を、それぞれベタ黒後のハーフトーン濃度、ベタ白後のハーフトーン濃度とし、両者の差より、帯電立ち上がり性の評価を行った。
ベタ白後のハーフトーン画像は、現像ブレードや現像ローラで何度も摺擦されて帯電量が高められたトナーで画像形成されるのに対して、ベタ黒後のハーフトーン画像は、現像ブレードや現像ローラで一発帯電されてすぐに画像形成されたものとなる。
そのため、帯電立ち上がり性が悪いトナーの場合、ベタ黒後のハーフトーン濃度、ベタ白後のハーフトーン濃度の濃度差として現れる。
帯電立ち上がり性は、低温低湿環境下や耐久使用後に悪くなりやすいことから、本評価は帯電立ち上がり性に厳しい評価である。
具体的にはハーフトーン画像2について、紙先端から99mmから119mmの位置において、ベタ黒後のハーフトーン画像の濃度を10点測定して平均値を求め、ベタ黒後のハーフトーン濃度とした。同様にしてベタ白後のハーフトーン画像の濃度を10点測定して平均値を求め、ベタ白後のハーフトーン濃度とした。評価基準は以下の通りである。C以上を良好と判断した。
[評価基準]
A.耐久後のハーフトーン濃度差が0.05未満である。
B.耐久後のハーフトーン濃度差が0.05以上0.10未満である。
C.耐久後のハーフトーン濃度差が0.10以上0.15未満である。
D.耐久後のハーフトーン濃度差が0.15以上である。
Figure 2023125478000006

表中、評価1は低温低湿環境下におけるクリーニング性評価を示し、評価2は低温低湿環境下における耐久後のかぶり評価を示し、表3は低温低湿環境下におけるクリーニングの印字率安定性を示し、評価4は低温低湿環境下におけるハーフトーン再現性を示し、評価5は極低温低湿環境のクリーニング性評価を示し、評価6は低温低湿環境下における帯電立ち上がり性を示す。
〔比較例1~11〕
比較例1~11では、トナーとしてトナー39~49をそれぞれ用いて上記評価を行った。その評価結果を表6に示す。
1:トナー粒子1、2:トナー粒子2、3:ハイドロタルサイト粒子A、4:トナー粒
子の境界、5:ライン分析の分析方向

Claims (7)

  1. 結着樹脂を含有するトナー粒子、並びに該トナー粒子の表面の脂肪酸金属塩粒子及びハイドロタルサイト粒子を含有するトナーであって、
    該ハイドロタルサイト粒子がフッ素を含有し、
    該トナーのSTEM-EDSマッピング分析におけるライン分析において、該ハイドロタルサイト粒子の内部にフッ素が存在し、
    該トナーのSTEM-EDSマッピング分析により測定される、EDS測定視野に占める該脂肪酸金属塩粒子の該トナー粒子に対する面積比率をS1(%)とし、該ハイドロタルサイト粒子の該トナー粒子に対する面積比率をH1(%)としたとき、
    S1/H1が、0.25~9.00であるトナー。
  2. 前記ハイドロタルサイト粒子が、さらにアルミニウムを含む請求項1に記載のトナー。
  3. 前記トナーのSTEM-EDSマッピング分析による前記ハイドロタルサイト粒子の主成分マッピングから得られた、前記ハイドロタルサイト粒子におけるフッ素のアルミニウムに対する原子数濃度の比の値F/Alが、0.01~0.70である請求項2に記載のトナー。
  4. 前記トナーのSTEM-EDSマッピング分析による前記ハイドロタルサイト粒子の主成分マッピングから得られた、前記ハイドロタルサイト粒子におけるフッ素の原子数濃度と、前記H1と、100との積をH2とし、
    前記トナーのSTEM-EDSマッピング分析による前記脂肪酸金属塩粒子の主成分マッピングから得られた、前記脂肪酸金属塩粒子における金属原子の原子数濃度と、前記S1と、100との積をS2としたとき、
    S2/H2が0.10~18.00である請求項1~3のいずれか1項に記載のトナー。
  5. 前記ハイドロタルサイト粒子の一次粒子の個数平均粒径H3(nm)が、40nm~1100nmである請求項1~4のいずれか1項に記載のトナー。
  6. 前記脂肪酸金属塩粒子の一次粒子の個数平均粒径をS3(nm)とし、前記ハイドロタルサイト粒子の一次粒子の個数平均粒径をH3(nm)としたとき、
    S3>H3を満たすことを特徴とする、
    請求項1~5のいずれか1項に記載のトナー。
  7. 前記トナー粒子が、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム及び鉄からなる群から選択される少なくとも一の多価金属元素を有し、
    前記トナーのSTEM-EDSマッピング分析による前記トナー粒子の主成分マッピングにおいて、前記トナー粒子中の炭素の原子数濃度を100とした場合の、前記トナー粒子中の該多価金属元素の原子数濃度が、0.01~0.09である、請求項1~6のいずれか1項に記載のトナー。
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