JP2023125026A - 定着装置 - Google Patents

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泰靖 虎谷
Hiroyasu Toraya
昭吉 品川
Akiyoshi Shinagawa
博司 宮本
Hiroshi Miyamoto
彩乃 緒方
Ayano Ogata
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Hiroki Kawai
正信 田中
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明日菜 深町
Asuna Fukamachi
美沙 川島
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Abstract

【課題】光沢ムラの発生の抑制と記録材にしわが発生することの抑制との両立を図れる構成を提供する。【解決手段】摺動部材304は、ベルト301と加圧ローラ305とで形成されるニップ部Nにおいて、ベルト301の内周面と摺動する。パッド303は、ベルト301の内側において、摺動部材304及びベルト301を加圧ローラ305との間で挟持するように配置され、摺動部材304をバックアップする。ニップ部Nに係る荷重値をW[N]、摺動部材304のヤング率をE[MPa]、摺動部材304の厚みをt[mm]、摺動部材304とベルト301との間の摩擦係数をμ、記録材の幅方向に関して摺動部材304の長さをL[mm]とした場合に、摺動部材304は、以下の式を満たす。TIFF2023125026000010.tif21166TIFF2023125026000011.tif14166【選択図】図2

Description

本発明は、記録材に担持されたトナー像を記録材に定着させる定着装置に関する。
定着装置として、ベルトとローラなどのニップ部形成部材により挟持搬送するニップ部を形成し、ニップ部を通過する記録材を加熱、加圧する構成が従来から知られている。また、この構成では、ニップ部においてベルトの内周面に摺動部材を摺動させることで、ベルトとニップ部形成部材との間にニップ部を形成している。
定着装置では、記録材に定着させる画像の品位を保証するために、ニップ部に搬送される記録材とベルトとの間のスリップ、及び、記録材とニップ部形成部材との間のスリップを抑制することが求められる。このために、これら記録材とベルトとの間、及び、記録材とニップ部形成部材との間の摩擦力よりも、ベルトと摺動部材との間の摩擦力を小さくすることが求められている。特に、ニップ部の幅を広くして加熱効率を高めるようにしたワイドニップを有する構成においては、ベルトと摺動部材との間の摩擦力を小さくすることが求められている。
例えば特許文献1には、ニップ部においてベルトの内周面と摺動する摺動シートに凹凸を形成して、摺動シートとベルトとの間の摩擦力を低くするようにした構成が開示されている。
特開2020-52354号公報
上述のようにベルトと摺動部材とを摺動する構成の場合、ニップ部に作用する摩擦力が大きくなると、摺動部材が変形し、ニップ部内で圧力ムラが発生する虞がある。圧力ムラが発生すると、定着された画像に光沢ムラが発生してしまう。特に、ニップ部の幅を広くしたワイドニップの構成では、ニップ部に作用する摩擦力が大きくなり易い。
摺動部材の変形を抑制するためには摺動部材の剛性を高くすることが考えられるが、摺動部材の剛性が高すぎると、摺動部材をバックアップするバックアップ部材の形状に追従できずに、ニップ部内で局所的に圧が高くなる虞がある。ニップ部内で局所的に圧が高くなると、ニップ部を通過する記録材にしわが発生する虞がある。
本発明は、光沢ムラの発生の抑制と記録材にしわが発生することの抑制との両立を図れる構成を提供することを目的とする。
本発明は、記録材に担持されたトナー像を記録材に定着させる定着装置であって、無端状で回転可能なベルトと、前記ベルトの外周面と当接して、前記ベルトとの間で記録材を挟持搬送するニップ部を形成するニップ部形成部材と、前記ニップ部において前記ベルトの内周面と摺動する摺動部材と、前記ベルトの内側において、前記摺動部材及び前記ベルトを前記ニップ部形成部材との間で挟持するように配置され、前記摺動部材をバックアップするバックアップ部材と、を備え、前記ニップ部に係る荷重値をW[N]、前記摺動部材のヤング率をE[MPa]、前記摺動部材の厚みをt[mm]、前記摺動部材と前記ベルトとの間の摩擦係数をμ、記録材の搬送方向に交差する記録材の幅方向に関して前記摺動部材の長さをL[mm]とした場合に、前記摺動部材は、以下の式を満たすことを特徴とする。
Figure 2023125026000002

Figure 2023125026000003
本発明によれば、光沢ムラの発生の抑制と記録材にしわが発生することの抑制との両立を図れる。
実施形態に係る画像形成装置の概略構成断面図。 (a)実施形態に係る定着装置の概略構成断面図、(b)(a)のA部を拡大して示す模式図。 実施形態に係る摺動部材を模式的に示す、(a)断面図、(b)平面図。 実施形態に係る摺動部材とベルトとの関係を模式的に示す平面図。 (a)非加圧時のニップ部周辺の構成を模式的に示す断面図、(b)加圧時のニップ部周辺の構成を模式的に示す断面図。 (a)理想的なニップ部の幅方向の圧力分布を示すグラフ、(b)理想的なニップ部での記録材の搬送時の力の関係を模式的に示す平面図。 (a)比較例におけるニップ部の幅方向の圧力分布を示すグラフ、(b)比較例におけるニップ部での記録材の搬送時の力の関係を模式的に示す平面図。 検証1で用いた各種摺動部材の条件を示す表。 検証1の結果を示すグラフ。 検証2の結果を示すグラフ。 検証3の結果を示すグラフ。 検証4の結果を示すグラフ。
実施形態について、図1ないし図12を用いて説明する。まず、本実施形態の画像形成装置の概略構成について、図1を用いて説明する。
[画像形成装置]
画像形成装置1は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色に対応して設けられた4つの画像形成部Pa、Pb、Pc、Pdを有する電子写真方式のフルカラープリンタである。本実施形態では、画像形成部Pa、Pb、Pc、Pdを後述する中間転写ベルト204の回転方向に沿って配置したタンデム型としている。画像形成装置1は、画像形成装置本体3に接続された画像読取部(原稿読取装置)2又は画像形成装置本体3に対し通信可能に接続されたパーソナルコンピュータ等のホスト機器からの画像信号に応じてトナー像(画像)を記録材に形成する。記録材としては、用紙、プラスチックフィルム、布などのシート材が挙げられる。
画像形成装置1は、画像読取部2と画像形成装置本体3とを備える。画像読取部2は、原稿台ガラス21上に置かれた原稿を読み取るもので、光源22から照射された光が原稿で反射し、レンズなどの光学系部材23を介してCCDセンサ24に結像される。このような光学系ユニットは矢印の方向に走査することにより、原稿をライン毎の電気信号データ列に変換する。CCDセンサ24により得られた画像信号は、画像形成装置本体3に送られ、制御部30で後述する各画像形成部に合わせた画像処理がなされる。また、制御部30は画像信号としてプリントサーバなどの外部のホスト機器からの外部入力も受ける。
画像形成装置本体3は、複数の画像形成部Pa、Pb、Pc、Pdを備え、各画像形成部では、上述の画像信号に基づいて画像形成が行われる。即ち、画像信号は制御部30によりPWM(パルス幅変調制御)されたレーザービームに変換される。露光装置としてのポリゴンスキャナ31は、画像信号に応じたレーザービームを走査する。そして、各画像形成部Pa~Pdの像担持体としての感光ドラム200a~200dにレーザービームが照射される。
なお、Paはイエロー色(Y)の画像形成部、Pbはマゼンタ色(M)の画像形成部、Pcはシアン色(C)の画像形成部、Pdはブラック色(Bk)の画像形成部で、それぞれ対応する色の画像を形成する。画像形成部Pa~Pdは略同一なので、以下にYの画像形成部Paの詳細を説明して、他の画像形成部の説明は省略する。画像形成部Paにおいて、感光ドラム200aは、次述するように、画像信号に基づいて表面にトナー画像が形成される。
1次帯電器としての帯電ローラ201aは、感光ドラム200aの表面を所定の電位に帯電させて静電潜像形成の準備を施す。ポリゴンスキャナ31からのレーザービームによって、所定の電位に帯電された感光ドラム200aの表面に静電潜像が形成される。現像器202aは、感光ドラム200a上の静電潜像を現像してトナー像を形成する。1次転写ローラ203aは、中間転写ベルト204の背面から放電を行いトナーと逆極性の一次転写バイアスを印加し、感光ドラム200a上のトナー像を中間転写ベルト204上へ転写する。転写後の感光ドラム200aは、クリーナー207aでその表面を清掃される。
また、中間転写ベルト204上のトナー像は次の画像形成部に搬送され、Y、M、C、Bkの順に、順次それぞれの画像形成部にて形成された各色のトナー像が転写され、4色の画像がその表面に形成される。そして、中間転写ベルト204の回転方向最下流にあるBkの画像形成部Pdを通過したトナー像は、2次転写ローラ対205、206で構成される2次転写部に搬送される。そして、2次転写部おいて、中間転写ベルト204上のトナー画像と逆極性の2次転写電界が印加されることにより、記録材に2次転写される。
記録材は、カセット9に収容されており、カセット9から給送された記録材は、例えば1対のレジストレーションローラで構成されるレジ部208に搬送され、レジ部208で待機する。その後、レジ部208は、中間転写ベルト204上のトナー像と用紙の位置を合わせるためにタイミングが制御され、記録材を2次転写部に搬送する。
2次転写部でトナー像が転写された記録材は、定着装置8に搬送され、定着装置8において、加熱、加圧されることで、記録材に担持されたトナー像が記録材に定着される。定着装置8を通過した記録材は、排出トレイ7に排出される。なお、記録材の両面に画像形成を行う場合には、記録材の第一面(表面)へのトナー像の転写及び定着が終了すると、反転搬送部10を経て記録材の表裏を逆転し、記録材の第二面(裏面)へのトナー像の転写及び定着を行い、排出トレイ7上に積載される。
なお、制御部30は、上述のように画像形成装置1全体の制御を行う。また、制御部30は、画像形成装置1が有する操作部4からの入力に基づいて、各種設定などが可能である。このような制御部30は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)を有している。CPUは、ROMに格納された制御手順に対応するプログラムを読み出しながら各部の制御を行う。また、RAMには、作業用データや入力データが格納されており、CPUは、前述のプログラム等に基づいてRAMに収納されたデータを参照して制御を行う。
[定着装置]
次に、図2(a)、(b)を用いて本実施形態のおける定着装置8の構成について説明する。本実施形態では、無端状のベルトを用いたベルト加熱方式の定着装置を採用している。図2(a)において、X方向は記録材P(図中不図示)の搬送方向、Y方向は記録材の搬送方向に交差する(本実施形態では直交する)記録材の幅方向、Z方向はニップ部Nで記録材が加圧される方向である加圧方向を示す。本実施形態では、X方向、Y方向、Z方向は、それぞれが互いに直交する方向である。
定着装置8は、定着ベルト(以下、ベルト)301、ステイ302、加圧パッド(以下、パッド)303、摺動部材304、加圧ローラ305、加熱ローラ307、サーミスタ308などを有する。ベルト301は、無端状で回転可能な加熱回転体である。ニップ部形成部材としての加圧ローラ305は、ベルト301の外周面と当接して、ベルト301との間で記録材を挟持搬送するニップ部Nを形成する加圧回転体である。
摺動部材304は、ニップ部Nにおいてベルト301の内周面と摺動する。バックアップ部材としてのパッド303は、ベルト301の内側において、摺動部材304及びベルト301を加圧ローラ305との間で挟持するように配置され、摺動部材304をバックアップする。摺動部材304は、パッド303のベルト301側の外周面を覆うように配置されている。ステイ302は、ベルト301の内側で、パッド303を挟んでニップ部Nと反対側に配置され、パッド303を支持する。加熱ローラ307は、ベルト301を張架するようにベルト301の内側に配置され、ベルト301を加熱する。温度検知部材としてのサーミスタ308は、ベルト301の温度を検知する。以下、各構成について詳しく説明する。
ベルト301は、熱伝導性と耐熱性等を有しており、薄肉の円筒形状である。本実施形態においては、ベルト301は、図2(b)に示すように、基層301a、基層301aの外周に弾性層301b、その外周に離型性層301cを形成した3層構造としている。基層301aは、例えば厚さ80μmで材質はポリイミド樹脂(PI)を用いている。弾性層301bは、例えば厚さ300μmでシリコーンゴムを用いている。離型性層301cは、例えば厚さ30μmでフッ素樹脂としてのPFA(四フッ化エチレン・パーフルオロアルコキシエチレン共重合樹脂)を用いている。ベルト301は、パッド303、加熱ローラ307よって張架される。ベルト301の外径は、本実施形態では150mmである。
パッド303は、ベルト301の内側に、ベルト301を挟んで加圧ローラ305と対向するように配置されると共に、ベルト301と加圧ローラ305との間で記録材を挟持搬送するニップ部Nを形成する。本実施形態では、パッド303は、ベルト301の幅方向(ベルト301の回転方向と交差する長手方向、加熱ローラ307の回転軸線方向)に沿って長い、略板状の部材である。パッド303がベルト301を挟んで加圧ローラ305に押圧されることで、ニップ部Nが形成される。パッド303の材質は、LCP(液晶ポリマー)樹脂を用いている。また、パッド303は、加圧時にステイ302のたわみによる変形を補正するように、搬送方向と直交する方向にクラウン形状を有している。パッド303とベルト301の間には、摺動部材304を介在させている。摺動部材304の詳細については後述する。
パッド303は、ベルト301の内側に配置された支持部材としてのステイ302により支持されている。即ち、ステイ302は、パッド303の加圧ローラ305と反対側に配置され、パッド303を支持する。このようなステイ302は、ベルト301の長手方向に沿って長い剛性を有する補強部材であり、パッド303に当接して、パッド303をバックアップする。即ち、ステイ302は、パッド303が加圧ローラ305から押圧された際に、パッド303に強度を持たせてニップ部Nにおける加圧力を確保するものである。
ステイ302は、ステンレス鋼などの金属製であり、ベルト301の回転方向と交差するステイ302の長手方向に直交する断面(横断面)が略矩形状である。例えば、ステイ302は、肉厚3mmのSUS304(ステンレス鋼)の引き抜き材を用い、横断面を略ロの字の中空に成形することで強度を確保している。なお、ステイ302は、複数の板金を組み合わせ、溶接などにより互いに固定することで、断面略矩形状に形成しても良い。また、ステイ302の材質は強度が担保できればステンレスに限らない。
加熱ローラ307は、ベルト301の内側に配置され、パッド303と共にベルト301を張架する。加熱ローラ307は、アルミニウムやステンレスなどの金属により円筒状に形成され、その内部にベルト301を加熱するための加熱源としてのハロゲンヒータ306が配設されている。そして、加熱ローラ307は、ハロゲンヒータ306により所定の温度まで加熱される。
加熱ローラ307は、長手方向の片端部又は中央近傍に回動中心を持ち、ベルト301に対して回動することで前後にテンション差を発生させ、ベルト301の主走査方向の位置をコントロールするステアリングローラでもある。また、加熱ローラ307は、不図示のフレームによって支持されたばねによって付勢されており、ベルト301に所定の張力を与えるテンションローラでもある。
本実施形態では、加熱ローラ307は、例えば厚み1mmのステンレス製のパイプにより形成されている。また、ハロゲンヒータ306は、1本でも良いが、加熱ローラ307の長手方向(回転軸線方向)の温度分布制御を鑑みると複数本あることが望ましい。複数本設けられたハロゲンヒータ306は、長手方向において互いに異なる配光分布を有しており、記録材のサイズに応じて点灯比率を制御している。本実施形態では3本のハロゲンヒータ306を配置している。なお、加熱源は、ハロゲンヒータに限らず、例えばカーボンヒータなど加熱ローラ307を加熱可能な他のヒータであっても良い。
ベルト301は、ハロゲンヒータ306により加熱された加熱ローラ307によって加熱され、サーミスタ308による温度検知に基づき、記録材の種類に応じた所定の目標温度に制御される。サーミスタ308は、ベルト301の幅方向に関して、定着装置8で定着可能な全サイズの記録材が通過する中央付近のベルト301の外周面に対向して配置されている。そして、サーミスタ308は、ベルト301の温度を検知し、制御部30は、サーミスタ308の検知温度が目標温度となるようにハロゲンヒータ306へ供給する電力を制御する。なお、サーミスタ308は、ベルト301の外周面に近接配置される非接触式のセンサであっても良いし、ベルト301の外周面に接触配置される接触式のセンサであっても良い。
加圧ローラ305は、ベルト301の外周面に当接して回転し、ベルト301に駆動力を付与する駆動回転体でもある。なお、本実施形態では、加熱ローラ307も駆動源(例えば駆動モータ)により回転駆動されており、ベルト301に駆動力を付与している。但し、加熱ローラ307への駆動力の付与を省略しても良い。加圧ローラ305は、芯金(軸)305c、芯金305cの外周に弾性層305b、その外周に離型性層305aを形成したローラである。芯金305cは、例えば直径72mmのステンレス鋼を用いている。弾性層305bは、例えば厚さ8mmの導電シリコーンゴムを用いている。離型性層305aは、例えば厚さ100μmでフッ素樹脂としてのPFA(四フッ化エチレン・パーフルオロアルコキシエチレン共重合樹脂)を用いている。加圧ローラ305は、定着装置8のフレーム(不図示)によって回転自在に支持されており、片端部にはギアが固定され、ギアを介して駆動源(例えば駆動モータ、不図示)に接続されて回転駆動される。
定着装置8は、ベルト301と加圧ローラ305との間に形成されるニップ部Nにおいて、トナー画像を担持した記録材Pを挟持し、搬送しながらトナー画像を加熱する。このように、定着装置8は、記録材Pを挟持搬送しながら、記録材Pにトナー画像を定着させる。よって、熱や圧力を加える機能と、記録材Pを搬送する機能の両立が必要である。不図示の駆動源により、加圧ローラ305がベルト301を介して摺動部材304に対して加圧される。本実施形態では、画像形成時のニップ部Nにおける加圧力(NF)、即ち、パッド303と加圧ローラ305とにかかる荷重値は1600Nであり、ニップ部NのX方向(記録材の搬送方向)の幅は24.5mm、Y方向(記録材の幅方向)幅は326mmとなるように設定した。
なお、ニップ部Nの搬送方向(X方向)の長さ(ニップ幅)は、ベルト301を介して摺動部材304が加圧ローラ305に押圧されることで形成される。ニップ部Nにおける加圧力(NF)が900Nを下回ると摺動部材304とベルト301との間に非接触領域が生じ始めるため、必要なニップ幅を保持できなくなってしまう。このため、本実施形態では、ニップ部Nにかかる加圧力(NF)、即ち、パッド303と加圧ローラ305とにかかる荷重値は、900N以上となるように設定している。
[摺動部材]
摺動部材304の詳細構成を図3(a)、(b)に示す。図3(a)は、摺動部材304を搬送方向に切った際の断面図で、図3(b)は、ベルト301と摺動部材304の接触面側から摺動部材304を見た平面図である。摺動部材304は、パッド303を介してステイ302にビスなどで固定されている。なお、摺動部材304はパッド303と一体となっていても構わない。また、摺動部材304をステイ302やパッド303に一部を固定するようにしても構わない。例えば、摺動部材304のY方向(幅方向)両端部をパッド303にビスなどで固定しても良い。
摺動部材304は、基材層304a、摺動層304cで構成されている。基材層304aのベルト301と摺動する側には、ベルト301の内周面に向かって突出する複数の突起(エンボス部)304bが形成されている。摺動層304cは、基材層304aのベルト301と摺動する側の表面(複数の突起304bを含む)を覆うように設けられている。
基材層304aは、十分強度な耐熱性と強度を持てばよい。材質はステンレス鋼、銅、アルミニウム、エンジニアリングプラスチック(PI(ポリイミド)、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、LCP(液晶ポリマー)等)などが挙げられ、本実施形態ではステンレス鋼、銅、アルミニウムなどの金属材料が望ましい。本実施形態では、基材層304aとして、厚み300μmのPIを利用した。
複数の突起304bは、基材層304aと同じ材料で一体に形成されており、ニップ部Nにおける記録材の搬送方向(X方向)に亙って、且つ、搬送方向に交差する記録材の幅方向(Y方向)に亙って、それぞれ複数配置されている。複数の突起304bは、摺動部材304のベルト301の内周面と摺動する側の面の全体面積に対して、複数の突起304b全部の先端面の面積の合計が9割以上となるように設けられている。
搬送方向に関して隣り合う突起304bの中心同士の距離(間隔)d、及び、幅方向に関して隣り合う突起304bの中心同士の距離(間隔)dは、それぞれ1.25mm以上、好ましくは1.4mm以上である。本実施形態では、ベルト301との摺動性を均一にするために、複数の突起304bの間隔は搬送方向、幅方向で同じとしており、それぞれの間隔dを1.4mmとした。但し、幅方向と搬送方向で圧力分布が異なる場合は、圧力分布に応じて、それぞれの方向の突起の間隔を変えるようにしても良い。
このように摺動部材304のベルト301と摺動する側の面に複数の突起304bを設けることで、摺動部材304とベルト301との接触面積を減らし、摺動部材304とベルト301との摺動抵抗を低減させている。
摺動層304cは、低摩擦を実現するためのフッ素樹脂(PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、PFA等)などのコート剤とすることが好ましい。本実施形態では、摺動部材304を、厚み20μmのPTFEを複数の突起304bを含む基材層304aの表面にコーティングすることで形成した。また、本実施形態では、ベルト301の内面に潤滑剤を塗布している。これにより、ベルト301は摺動部材304に対して滑らかに摺動する構成になっている。潤滑材としては、シリコーンオイルを用いた。
また、本実施形態の摺動部材304は、ニップ部Nの内外に問わずパッド303を覆うように構成した。即ち、パッド303のニップ部Nと反対側の面を除き、ベルト301と対向する面の全体を摺動部材304により覆っている。なお、摺動部材304は、パッド303の表面のうち、ニップ部Nにのみ配置されていても良い。また、複数の突起304bは、摺動部材304の全域に配置したが、摺動部材304がニップ部Nよりも大きい場合には、複数の突起304bがニップ部Nにのみに配置された構成でも構わない。
[摺動部材の変形による圧力ムラの発生要因]
次に、図4を用いて、摺動部材304の変形による圧力ムラの発生原理を説明する。図4は、ニップ部Nを図2の上方から見た図であり、説明のためにステイ302、パッド303は不図示としている。摺動部材304は、加圧ローラ305により、ベルト301を介してパッド303方向(Z方向)に加圧力Wで加圧されている。ベルト301は加熱ローラ307により駆動されて、ベルト搬送方向(X方向)に移動する。ベルト301と摺動部材304の間の摩擦係数をμとすると、摺動部材304は、ベルト301の移動方向に対して、摩擦力μWの力を受けることになる。
このとき、摩擦力μWが大きくなると、摺動部材304の剛性によっては、搬送方向(X方向)に座屈し変形し、ニップ部に部分的な圧力ムラを発生させてしまう。この部分的な圧力ムラが発生する状態で記録材がニップ部を通過すると、圧力ムラの影響により画像に光沢ムラを発生させてしまうことが分かった。
従来の定着装置では、加圧力が600N程度と比較的小さいため、摺動部材が変形したとしても微小であり、光沢ムラとしては軽微で問題にはならなかった。しかし、高速化に対応するためワイドニップ化した定着装置では、加圧する面積が増加することにより加圧力は900N以上の高い圧力を付与する場合に、このような現象が顕在化することがわかった。即ち、本実施形態の定着装置8のように、加圧力が900N以上の高い圧力が必要なワイドニップ化した構成において、摺動部材304の剛性が低いと、摺動部材304の変形により圧力ムラが発生する虞がある。そして、この圧力ムラが、光沢ムラの発生の原因となる。
[摺動部材の剛性について]
上述のような光沢ムラを発生させないためには、摺動部材304の剛性をあげ、変形量を少なくすることが考えられる。しかし、摺動部材304の剛性を高くしすぎると、幅方向(Y方向)の圧力分布が不安定になり、記録材のしわなどの搬送不良が発生する場合があることがわかった。
この現象について、図5(a)~図7(b)を用いて説明する。図5(a)、(b)は、ニップ部を搬送方向から見た断面図で、それぞれの部材を誇張して示している。図5(a)は、加圧ローラ305によってニップ部Nが加圧されていない場合(非加圧時)を、図5(b)は、ニップ部Nが加圧されている場合(加圧時)を、それぞれ模式的に示している。パッド303は、図5(a)のように、非加圧時において、加圧ローラ305側に下側に凸のクラウン形状を有している。加圧ローラ305を加圧した時は、ワイドニップ構成における高い荷重のため、ステイ302がたわみにより、図5(b)のように変形する。ステイ302がたわんだ時、ニップ部N内で幅方向(Y方向)において所望の圧力分布になるように、パッド303のクラウン形状が最適化されている。
ニップ部N内の幅方向(Y方向)の圧力分布と記録材Pの搬送力について、図6(a)、(b)を用いて説明する。図6(a)は、パッド303のクラウン形状が最適化されたときの理想的な幅方向の圧力分布のグラフである。図6(b)は、ニップ部Nにおける記録材Pの搬送力の分布と、ニップ部Nの入口で記録材のかかる力、記録材Pにかかる回転モーメントを模式的に示している。ニップ部Nにおける記録材Pの搬送力の分布における矢印の長さは、搬送力の大きさを示している。
ニップ部Nにおいて、幅方向中央に比べて端部の圧力が高く設定することで、図6(b)のように、幅方向端部に行くに従い記録材Pの搬送力を上げるような構成になっている。これにより、ニップ部Nに剛度の低い記録材を搬送した場合でも、ニップ部Nの入口で記録材を広げるモーメントを与えることで、記録材のしわの発生を抑えることが可能になっている。
一方、比較例として、摺動部材304の剛性が高い場合に記録材のしわが発生したときの幅方向圧分布と記録材の搬送力について、図7(a)、(b)を用いて説明する。図7(a)は、比較例における幅方向の圧力分布のグラフである。図7(b)は、図6(b)と同様に、比較例の構成で、ニップ部Nにおける記録材Pの搬送力の分布と、ニップ部Nの入口で記録材のかかる力、記録材Pにかかる回転モーメントを模式的に示している。
図6(a)の幅方向の圧力分布と異なり、図7(a)の幅方向の圧力分布は、αの部分で局所的に圧が高くなっている部分がある。これにより、図7(b)のような搬送力分布が発生してしまい、この搬送力分布の回転モーメントにより、ニップ部Nの入口で内側の力を及ぼしあい、βの部分で記録材Pにしわが発生する。
このとき、図7(a)のαの部分で局所的に圧が高くなってしまっている原因について説明する。図5(b)において、加圧ローラ305がステイ302側に加圧されたときを考える。摺動部材304の剛性が低い場合は、パッド303で最適化されたクラウン形状にならって摺動部材304が変形するため、摺動部材304自体が幅方向の圧力分布に及ぼす影響は小さい。
しかし、摺動部材304の剛性が高い場合は、パッド303で最適化されたクラウン形状にならって摺動部材304が変形しないため、摺動部材304自体が幅方向の圧力分布に影響を与えて、局所的に圧が高くなる場合がある。この現象は、摺動部材304の剛度が高い場合でも摺動部材304に「そり」が無く、平面度が低ければ影響は少ない。しかし、量産時のばらつきや工程による取り扱いにより少なからず「そり」が発生して、平面度が高くなる場合が発生する。このため、摺動部材304が部分的にパッド303の形状に追従できず、図7(a)のように局所的に圧力が高くなり、記録材のしわが発生する要因となる。
[各種パラメータの測定方法]
以下に、本実施形態で重要となる各種パラメータである摺動部材のヤング率E、摺動部材の厚みtの測定方法について説明する。まず、摺動部材304のヤング率Eの測定方法を説明する。ヤング率の測定を行う際は、島津製作所製 引張試験器AG-Xを使用した。引張試験器AG-Xのアタッチメントは、ロードセルを500N用、チャックは500N用機械式平行締めつかみ具にした。引張試験を行う際、恒温槽温度を180℃、引っ張る速度を5mm/minに設定し、あらかじめ厚み測定した結果を入力した。
上記で使用する厚み測定値は、摺動部材304の各層の中の最も強度が大きい基材層304aの厚みの値を入力した。弾性率は、ロードセルの試験力が10Nから15Nの領域において計算した。本測定は引張試験の恒温槽設定温度が180℃になったのを確認してから開始した。引張試験時に使用するダンベル形状はJIS K7139-A24で示されるものを使用した。摺動部材304の長手方向及び短手方向で各10回測定を行ったあと、それぞれの平均値をとって、長手方向及び短手方向の弾性率を求めた。本測定の摺動部材304のヤング率E[MPa]は長手方向及び短手方向の平均値を採用した。摺動部材304に、摺動層が多種類かつ複数ある場合はすべてを一つの層として扱い、上記の手順を行うものとする。
次に、摺動部材304の厚みtの測定方法を説明する。厚みtの測定時は摺動部材304をY方向(幅方向)に4等分に切断しサンプルを作成した。摺動部材304の厚みtはHEIDENHAIN社製 デジタル測長器 CT6001を利用して測定した。測定時の温・湿度条件は23度、30%とする。4等分にしたサンプルに対してX方向(搬送方向)で厚みを各4点ずつ測定した後、さらにその4等分の平均値を摺動部材304の厚みt[mm]とした。本測定において、摺動部材304のように摺動層304cがある場合は摺動層304cを除いた基材層304aの厚みを測定する。
摺動部材304の摩擦係数μの測定方法について説明する。摩擦係数μの測定時は、摺動部材304の摺動部分を5mm角に切り出しサンプルを作成した。摩擦係数の測定は、株式会社レスカ社製 摩擦摩耗試験機FRP2100を用いた。実際の使用環境とそろえるように、温度180℃になるように測定台の温度を調整し、その上にベルト301をΦ50mmの円形に切り出して、ベルト301の内周面がサンプルと摺動するように張り付けた。潤滑剤としての動粘度1000mm/sのシリコーンオイルをベルト301の摺動面に塗布し、回転等速モードで250mm/s、荷重10Nで摩擦係数の測定をした。
[画像確認検証方法]
図1に示した画像形成装置1において、異常画像の有無を判定した評価方法について説明する。検証時は、必要なパラメータ(E、t、W)を設定した定着装置8を取り付けた。Wはニップ部Nにかかる荷重である。また、パラメータの変更方法は、後述の実施形態の検討の説明文中で説明する。
定着装置8に搭載された加圧ローラ305の周速度を250mm/secに設定し、加熱ローラ307に接触する不図示の接触サーミスタの検知温度が195℃になるように制御部30で制御した。その際、ベルト301の表面をHORIBA製 赤外放射温度計 IT-340でモニターし、ベルト301の表面温度が180℃であることを確認した。そして、記録材のブラックのトナー像を形成し、このトナー像を定着装置8において記録材に定着させた。出力したブラックのサンプル画像上に、画像不良の有無が無いかを目視で確認する検討を行った。
使用した記録材は、画像不良を分かりやすくするため、コクヨ社製 OHTフィルム VF-1420N A4サイズを用いた。圧力ムラ起因の画像不良を見やすくするため、濃度が濃い全面がブラックのトナー像を記録材にサンプル画像として形成した。そして、定着装置8を使させた後、サンプル画像上の中央付近に不均一に光沢ムラないし濃度ムラが発生した場合、摺動部材304の変形による圧力ムラによる画像不良が発生したと判断した。
光沢ムラの発生ランクとしては、まったく発生していないものをランク5とし、軽微に発生しているものをランク4、ランク4よりも光沢ムラが見えるがOHTフィルムの裏から確認して視認できないレベルをランク3、OHTフィルムの裏からはっきりと視認できるものをランク1、ランク3とランク1の間のレベルをランク2とした。
また、記録材のしわの発生を確認するため、記録材として、比較的剛度の低いキヤノン株式会社製 CS-520 A3T(坪量52g/m)の記録材に、ブラックハーフトーン画像を同時に出力した。10枚連続で定着装置8を通過させ、しわの発生率を確認した。
[検証手順と検証結果]
下記に、本実施形態の構成を用いた検証の手順と、摺動部材304の厚み、ヤング率Eを変更して行った検証の結果を記す。検証1から4における検証の流れを手順に沿って説明する。まず、定着装置8の各種パラメータを決め、それに応じたニップ部Nにかかる荷重値Wを設定した。摺動部材304としては、ヤング率E、厚みt、摩擦係数μを測定し、準備した。次に、摺動部材304を定着装置8に取り付け、画像確認検証を行い、それぞれ判定した。
図8に検証で使用した各種の摺動部材の条件を示す。図9から図12に、検証1から4の結果を記したグラフを示す。グラフプロットの〇は、画像評価結果で光沢ムラ又はしわが発生しなかった場合、グラフプロットの×は、画像評価結果で光沢ムラ又はしわが発生した場合を表す。
[検証1]
検証1では、図8に示したように、摺動部材304の基材層304aの材料と厚みを変更し、剛性を変えることで圧力ムラ要因の光沢ムラの発生レベルを確認した。使用した摺動部材304には、摺動層304cとしてすべてPTFEのコートを行っている。摩擦係数μはPTFEのコートを行っていることで0.03であった。荷重値Wは1600Nに設定したため、摺動部材304とベルト301との摺動部にかかる摩擦力は、μW=48Nとなっている。光沢ムラの発生ランクに対しては画像確認検証方法に記載した基準で評価した。
光沢ムラの原因になっている圧力ムラは、摺動部材304の変形の影響により発生する。摺動部材304にかかる摩擦力に対して摺動部材304の剛性が確保できれば、摺動部材304が変形しないため、圧力ムラおよび光沢ムラは発生しない。摩擦力と摺動部材304の剛性の関係を調べるため、許容摩擦力比というパラメータを定義して、図8の表に記載した。許容摩擦力比は以下の式(1)からなる。
Figure 2023125026000004
式(1)の分子は、摺動部材304に係る摩擦力であり、分母は摺動部材304のヤング率E[MPa]、厚みt[mm]、記録材の搬送方向と直交した幅方向の長さL[mm]からなるたわみ剛性を考慮した指標である。
図9に図8の結果をもとに、許容摩擦力比と画像ランクとの関係を表すグラフを示す。この結果から、許容摩擦力比が大きくなると、光沢ムラランクが低下し、光沢ムラが発生しない光沢ムラランク5を満足するために、許容摩擦力比1200以下であることが必要だとわかる。
[検証2]
検証2では、より詳細に許容摩擦力比の関係を調べるために、摺動部材304の基材層304aの材料をステンレス鋼に固定して、厚みを変更し、剛性を変えることで圧力ムラ要因の光沢ムラの発生レベルを確認した。検証1と同様に、使用した摺動部材304には、摺動層304cとしてすべてPTFEのコートを行っている。摩擦係数μはPTFEのコートを行っていることで0.03であった。荷重値Wは1600Nに設定したため、摺動部にかかる摩擦力は、μW=48Nとなっている。
図10に、摺動部材304の基材層304aの厚みtと許容摩擦力比の関係を表すグラフを示す。この結果から、厚みtが厚くなると許容摩擦力比が小さくなり、許容摩擦力比1200以下で光沢ムラが発生しないことがわかる。この結果から、摺動部材304の厚みやヤング率を変更し、許容摩擦力比が1200以下になるように設定することで、圧力ムラによる光沢ムラの発生を回避できることがわかる。
[検証3]
検証3では、荷重による許容摩擦力比の関係を調べるために、摺動部材304の基材層304aの材料をステンレス鋼に固定、厚みを0.04mmに固定し、剛性を変えることで圧力ムラ要因の光沢ムラの発生レベルを確認した。検証1と同様に使用した摺動部材304には、摺動層304cとしてすべてPTFEのコートを行っている。摩擦係数μはPTFEのコートを行っていることで0.03であった。ニップ部Nにかかる荷重値Wは200~2000Nに変更して、摺動部材304とベルト301との摺動部にかかる摩擦力μWを変更しながら許容摩擦力比と画像ランクの関係を調査した。
図11に、許容摩擦力比と画像ランクとの関係を表すグラフを示す。この結果から、ニップ部Nにかかる荷重値Wが高くなると、摺動部の摩擦力が高くなり光沢ムラが発生してしまうことがわかる。この結果から、ニップ部Nにかかる荷重値Wに応じて、摺動部材304の厚みtやヤング率Eを変更し、許容摩擦力比1200以下になるように設定することで、圧力ムラによる光沢ムラの発生を回避できることがわかる。
検証1~3の結果から、許容摩擦力比に関する以下の式(2)を満足することで、光沢ムラの発生を防止できることが示された。
Figure 2023125026000005
[検証4]
検証4では、摺動部材304の剛性が高くなりすぎときの記録材のしわの影響を調べるために、摺動部材304の基材層304aの材料をステンレス鋼に固定して、検証2と同様の検証を行った。摺動部材304の厚みtは、0.5~3.5mmの範囲で厚みを変更して、記録材のしわの発生レベルを確認した。基材層304aの剛性の指標として幅方向(Y方向)の局所的な変形を考慮し、断面二次モーメントを考慮した以下の式(3)を用いた。
Figure 2023125026000006
式(3)に示す基材層304aの剛性は、摺動部材304のヤング率E[MPa]、厚みt[mm]からなっている。図12に、摺動部材304の基材層304aの厚みtと、基材層304aの剛性の関係を表すグラフを示す。グラフのプロットで○印が記録材のしわの発生がなかった条件であり、×印が記録材のしわが発生した条件となる。この結果から、摺動部材304の基材層304aの厚みtが2.5mmより薄いと、記録材のしわの発生は起こらないが、厚みtが3.0mmよりも厚くなると、記録材のしわが発生してしまうことがわかる。また、記録材のしわの発生を防ぐ基材層304aの剛性の条件は、図12のグラフから2.6×10[N/mm]以下であることがわかる。検証4の結果から、以下の式(4)を満足することで、記録材のしわの発生を抑制できることが示された。
Figure 2023125026000007
[他の実施形態]
上述の実施形態では、摺動部材304は、ベルト301との摺動抵抗を低減させるため、突起304bを有する構成を一例として説明した。しかしながら本発明は、摺動部材に突起304bを有さない構成にも適用可能である。
8・・・定着装置
301・・・ベルト
303・・・パッド(バックアップ部材)
304・・・摺動部材
304a・・・基材層
304b・・・突起
304c・・・摺動層
305・・・加圧ローラ(ニップ部形成部材)

Claims (3)

  1. 記録材に担持されたトナー像を記録材に定着させる定着装置であって、
    無端状で回転可能なベルトと、
    前記ベルトの外周面と当接して、前記ベルトとの間で記録材を挟持搬送するニップ部を形成するニップ部形成部材と、
    前記ニップ部において前記ベルトの内周面と摺動する摺動部材と、
    前記ベルトの内側において、前記摺動部材及び前記ベルトを前記ニップ部形成部材との間で挟持するように配置され、前記摺動部材をバックアップするバックアップ部材と、を備え、
    前記ニップ部に係る荷重値をW[N]、前記摺動部材のヤング率をE[MPa]、前記摺動部材の厚みをt[mm]、前記摺動部材と前記ベルトとの間の摩擦係数をμ、記録材の搬送方向に交差する記録材の幅方向に関して前記摺動部材の長さをL[mm]とした場合に、前記摺動部材は、以下の式を満たす
    ことを特徴とする定着装置。
    Figure 2023125026000008
    Figure 2023125026000009
  2. 前記ニップ部にかかる加圧力は、900N以上である
    ことを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
  3. 前記摺動部材は、前記ベルトと摺動する側に前記ベルトの内周面に向かって突出する複数の突起を有する
    ことを特徴とする請求項1又は2に記載の定着装置。
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