JP2023125024A - 定着装置 - Google Patents

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Asuna Fukamachi
泰靖 虎谷
Hiroyasu Toraya
博司 宮本
Hiroshi Miyamoto
昭吉 品川
Akiyoshi Shinagawa
彩乃 緒方
Ayano Ogata
大悟 松浦
Daigo Matsuura
宏樹 河合
Hiroki Kawai
美沙 川島
Misa Kawashima
正信 田中
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Abstract

Figure 2023125024000001
【課題】記録材の分離性を向上させる。
【解決手段】摺擦部材は、ベルト301と摺擦する側にベルト301の内周面に向かって突出する複数の突起304b、304b1を有する。複数の突起304bは、ベルト301と加圧ローラ305とで形成されるニップ部Nにおける記録材の搬送方向に亙って、且つ、搬送方向に交差する記録材の幅方向に亙って、それぞれ複数配置されている。複数の突起304b、304b1のうち、ニップ部Nにおいて搬送方向下流端部に位置する幅方向の複数の突起304b1の平均高さh1が、搬送方向中央部に位置する幅方向の複数の突起の平均高さh2の1.04倍よりも高い。
【選択図】図8

Description

本発明は、記録材に担持されたトナー像を記録材に定着させる定着装置に関する。
定着装置として、ベルトとローラなどのニップ部形成部材により挟持搬送するニップ部を形成し、ニップ部を通過する記録材を加熱、加圧する構成が従来から知られている。また、この構成では、ニップ部においてベルトの内周面に摺動部材を摺動させることで、ベルトとニップ部形成部材との間にニップ部を形成している。
定着装置では、記録材に定着させる画像の品位を保証するために、ニップ部に搬送される記録材とベルトとの間のスリップ、及び、記録材とニップ部形成部材との間のスリップを抑制することが求められる。このために、これら記録材とベルトとの間、及び、記録材とニップ部形成部材との間の摩擦力よりも、ベルトと摺動部材との間の摩擦力を小さくすることが求められている。特に、ニップ部の幅を広くして加熱効率を高めるようにしたワイドニップを有する構成においては、ベルトと摺動部材との間の摩擦力を小さくすることが求められている。
例えば特許文献1には、ニップ部においてベルトの内周面と摺動する摺動シートに凹凸を形成して、摺動シートとベルトとの間の摩擦力を低くするようにした構成が開示されている。
特開2020-52354号公報
ここで、摺動部材に凹凸を形成してベルトの内周面との間の摩擦力を低減する構成の場合、ニップ部の記録材搬送方向の下流端部において、突起の先端とベルトの内周面が当接することでベルトが湾曲し屈曲面が形成される。そして、この屈曲部の曲率によりニップ部を通過した記録材をベルトから分離させる。
しかしながら、摺動部材の複数の突起の高さが均一に形成されていると、ニップ部の記録材搬送方向の下流端部における突起の先端のピーク圧を高くできず、屈曲部の曲率を高くできない。このため、記録材の分離性が低下する虞がある。
本発明は、記録材の分離性を向上させることを目的とする。
本発明は、記録材に担持されたトナー像を記録材に定着させる定着装置であって、無端状で回転可能なベルトと、前記ベルトの外周面と当接して、前記ベルトとの間で記録材を挟持搬送するニップ部を形成するニップ部形成部材と、前記ニップ部において前記ベルトの内周面と摺動する摺動部材と、前記ベルトの内側において、前記摺動部材及び前記ベルトを前記ニップ部形成部材との間で挟持するように配置され、前記摺動部材をバックアップするバックアップ部材と、を備え、前記摺動部材は、前記ベルトと摺動する側に前記ベルトの内周面に向かって突出する複数の突起であって、前記ニップ部における記録材の搬送方向に亙って、且つ、前記搬送方向に交差する記録材の幅方向に亙って、それぞれ複数配置されている突起を有し、前記複数の突起のうち、前記ニップ部において前記搬送方向下流端部に位置する前記幅方向の複数の突起の平均高さが、前記搬送方向中央部に位置する前記幅方向の複数の突起の平均高さの1.04倍よりも高いことを特徴とする。
また、本発明は、記録材に担持されたトナー像を記録材に定着させる定着装置であって、無端状で回転可能なベルトと、前記ベルトの外周面と当接して、前記ベルトとの間で記録材を挟持搬送するニップ部を形成するニップ部形成部材と、前記ニップ部において前記ベルトの内周面と摺動する摺動部材と、前記ベルトの内側において、前記摺動部材及び前記ベルトを前記ニップ部形成部材との間で挟持するように配置され、前記摺動部材をバックアップするバックアップ部材と、を備え、前記摺動部材は、前記ベルトと摺動する側に前記ベルトの内周面に向かって突出する複数の突起であって、前記ニップ部における記録材の搬送方向に亙って、且つ、前記搬送方向に交差する記録材の幅方向に亙って、それぞれ複数配置されている突起を有し、前記複数の突起のうち、前記ニップ部において前記搬送方向下流端部に位置する前記複数の突起に関して前記幅方向に隣り合う突起の中心同士の平均距離の方が、前記搬送方向中央部に位置する前記複数の突起に関して前記幅方向に隣り合う突起の中心同士の平均距離の1.04倍よりも長いことを特徴とする。
また、本発明は、記録材に担持されたトナー像を記録材に定着させる定着装置であって、無端状で回転可能なベルトと、前記ベルトの外周面と当接して、前記ベルトとの間で記録材を挟持搬送するニップ部を形成するニップ部形成部材と、前記ニップ部において前記ベルトの内周面と摺動する摺動部材と、前記ベルトの内側において、前記摺動部材及び前記ベルトを前記ニップ部形成部材との間で挟持するように配置され、前記摺動部材をバックアップするバックアップ部材と、を備え、前記摺動部材は、前記ベルトと摺動する側に前記ベルトの内周面に向かって突出する複数の突起であって、前記ニップ部における記録材の搬送方向に亙って、且つ、前記搬送方向に交差する記録材の幅方向に亙って、それぞれ複数配置されている突起を有し、前記複数の突起のうち、前記ニップ部において前記搬送方向下流端部に位置する最下流突起と前記最下流突起の前記搬送方向上流に隣接する突起との中心同士の距離は、前記最下流突起を除く複数の突起のうちの前記搬送方向に隣り合う突起の中心同士の距離よりも長いことを特徴とする。
本発明によれば、記録材の分離性を向上させることができる。
第1の実施形態に係る画像形成装置の概略構成断面図。 (a)第1の実施形態に係る定着装置の概略構成断面図、(b)(a)のA部を拡大して示す模式図。 第1の実施形態に係る摺動部材の基本的な構成を模式的に示す、(a)断面図、(b)平面図。 (a)定着装置のニップ部を拡大して模式的に示す断面図、(b)(a)のB部拡大図。 (a)突起の先端ピーク圧が小さい場合の図4(b)と同様の図、(b)突起の先端ピーク圧が大きい場合の図4(b)と同様の図。 ニップ部の下流端部における突起の先端のピーク圧と屈曲面の曲率の関係を示すグラフ。 比較例1の、(a)摺動部材の断面図、(b)定着装置のニップ部を拡大して模式的に示す断面図、(c)搬送方向における突起の先端のピーク圧の分布を示すグラフ、(d)摺動部材の平面図。 第1の実施形態の、(a)摺動部材の断面図、(b)定着装置のニップ部を拡大して模式的に示す断面図、(c)搬送方向における突起の先端のピーク圧の分布を示すグラフ、(d)摺動部材の平面図。 第1の実施形態の効果を確認するために行った実験の結果を示す表。 第2の実施形態の、(a)摺動部材の断面図、(b)定着装置のニップ部を拡大して模式的に示す断面図、(c)搬送方向における突起の先端のピーク圧の分布を示すグラフ、(d)摺動部材の平面図。 第2の実施形態の効果を確認するために行った実験の結果を示す表。 第3の実施形態の、(a)加圧ローラを省略して定着装置のニップ部を拡大して模式的に示す断面図、(b)摺動部材の平面図。
<第1の実施形態>
実施形態について、図1ないし図9を用いて説明する。まず、本実施形態の画像形成装置の概略構成について、図1を用いて説明する。
[画像形成装置]
画像形成装置1は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色に対応して設けられた4つの画像形成部Pa、Pb、Pc、Pdを有する電子写真方式のフルカラープリンタである。本実施形態では、画像形成部Pa、Pb、Pc、Pdを後述する中間転写ベルト204の回転方向に沿って配置したタンデム型としている。画像形成装置1は、画像形成装置本体3に接続された画像読取部(原稿読取装置)2又は画像形成装置本体3に対し通信可能に接続されたパーソナルコンピュータ等のホスト機器からの画像信号に応じてトナー像(画像)を記録材に形成する。記録材としては、用紙、プラスチックフィルム、布などのシート材が挙げられる。
画像形成装置1は、画像読取部2と画像形成装置本体3とを備える。画像読取部2は、原稿台ガラス21上に置かれた原稿を読み取るもので、光源22から照射された光が原稿で反射し、レンズなどの光学系部材23を介してCCDセンサ24に結像される。このような光学系ユニットは矢印の方向に走査することにより、原稿をライン毎の電気信号データ列に変換する。CCDセンサ24により得られた画像信号は、画像形成装置本体3に送られ、制御部30で後述する各画像形成部に合わせた画像処理がなされる。また、制御部30は画像信号としてプリントサーバなどの外部のホスト機器からの外部入力も受ける。
画像形成装置本体3は、複数の画像形成部Pa、Pb、Pc、Pdを備え、各画像形成部では、上述の画像信号に基づいて画像形成が行われる。即ち、画像信号は制御部30によりPWM(パルス幅変調制御)されたレーザービームに変換される。露光装置としてのポリゴンスキャナ31は、画像信号に応じたレーザービームを走査する。そして、各画像形成部Pa~Pdの像担持体としての感光ドラム200a~200dにレーザービームが照射される。
なお、Paはイエロー色(Y)の画像形成部、Pbはマゼンタ色(M)の画像形成部、Pcはシアン色(C)の画像形成部、Pdはブラック色(Bk)の画像形成部で、それぞれ対応する色の画像を形成する。画像形成部Pa~Pdは略同一なので、以下にYの画像形成部Paの詳細を説明して、他の画像形成部の説明は省略する。画像形成部Paにおいて、感光ドラム200aは、次述するように、画像信号に基づいて表面にトナー画像が形成される。
1次帯電器としての帯電ローラ201aは、感光ドラム200aの表面を所定の電位に帯電させて静電潜像形成の準備を施す。ポリゴンスキャナ31からのレーザービームによって、所定の電位に帯電された感光ドラム200aの表面に静電潜像が形成される。現像器202aは、感光ドラム200a上の静電潜像を現像してトナー像を形成する。1次転写ローラ203aは、中間転写ベルト204の背面から放電を行いトナーと逆極性の一次転写バイアスを印加し、感光ドラム200a上のトナー像を中間転写ベルト204上へ転写する。転写後の感光ドラム200aは、クリーナー207aでその表面を清掃される。
また、中間転写ベルト204上のトナー像は次の画像形成部に搬送され、Y、M、C、Bkの順に、順次それぞれの画像形成部にて形成された各色のトナー像が転写され、4色の画像がその表面に形成される。そして、中間転写ベルト204の回転方向最下流にあるBkの画像形成部Pdを通過したトナー像は、2次転写ローラ対205、206で構成される2次転写部に搬送される。そして、2次転写部おいて、中間転写ベルト204上のトナー画像と逆極性の2次転写電界が印加されることにより、記録材に2次転写される。
記録材は、カセット9に収容されており、カセット9から給送された記録材は、例えば1対のレジストレーションローラで構成されるレジ部208に搬送され、レジ部208で待機する。その後、レジ部208は、中間転写ベルト204上のトナー像と用紙の位置を合わせるためにタイミングが制御され、記録材を2次転写部に搬送する。
2次転写部でトナー像が転写された記録材は、定着装置8に搬送され、定着装置8において、加熱、加圧されることで、記録材に担持されたトナー像が記録材に定着される。定着装置8を通過した記録材は、排出トレイ7に排出される。なお、記録材の両面に画像形成を行う場合には、記録材の第一面(表面)へのトナー像の転写及び定着が終了すると、反転搬送部10を経て記録材の表裏を逆転し、記録材の第二面(裏面)へのトナー像の転写及び定着を行い、排出トレイ7上に積載される。
なお、制御部30は、上述のように画像形成装置1全体の制御を行う。また、制御部30は、画像形成装置1が有する操作部4からの入力に基づいて、各種設定などが可能である。このような制御部30は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)を有している。CPUは、ROMに格納された制御手順に対応するプログラムを読み出しながら各部の制御を行う。また、RAMには、作業用データや入力データが格納されており、CPUは、前述のプログラム等に基づいてRAMに収納されたデータを参照して制御を行う。
[定着装置]
次に、図2(a)、(b)を用いて本実施形態のおける定着装置8の構成について説明する。本実施形態では、無端状のベルトを用いたベルト加熱方式の定着装置を採用している。図2(a)において、X方向は記録材P(図中不図示)の搬送方向、Y方向は記録材の搬送方向に交差する(本実施形態では直交する)記録材の幅方向、Z方向はニップ部Nで記録材が加圧される方向である加圧方向を示す。本実施形態では、X方向、Y方向、Z方向は、それぞれが互いに直交する方向である。
定着装置8は、定着ベルト(以下、ベルト)301、ステイ302、加圧パッド(以下、パッド)303、摺動部材304、加圧ローラ305、加熱ローラ307、サーミスタ308などを有する。ベルト301は、無端状で回転可能な加熱回転体である。ニップ部形成部材としての加圧ローラ305は、ベルト301の外周面と当接して、ベルト301との間で記録材を挟持搬送するニップ部Nを形成する加圧回転体である。
摺動部材304は、ニップ部Nにおいてベルト301の内周面と摺動する。バックアップ部材としてのパッド303は、ベルト301の内側において、摺動部材304及びベルト301を加圧ローラ305との間で挟持するように配置され、摺動部材304をバックアップする。摺動部材304は、パッド303のベルト301側の外周面を覆うように配置されている。ステイ302は、ベルト301の内側で、パッド303を挟んでニップ部Nと反対側に配置され、パッド303を支持する。加熱ローラ307は、ベルト301を張架するようにベルト301の内側に配置され、ベルト301を加熱する。温度検知部材としてのサーミスタ308は、ベルト301の温度を検知する。以下、各構成について詳しく説明する。
ベルト301は、熱伝導性と耐熱性等を有しており、薄肉の円筒形状である。本実施形態においては、ベルト301は、図2(b)に示すように、基層301a、基層301aの外周に弾性層301b、その外周に離型性層301cを形成した3層構造としている。基層301aは、例えば厚さ80μmで材質はポリイミド樹脂(PI)を用いている。弾性層301bは、例えば厚さ300μmでシリコーンゴムを用いている。離型性層301cは、例えば厚さ30μmでフッ素樹脂としてのPFA(四フッ化エチレン・パーフルオロアルコキシエチレン共重合樹脂)を用いている。ベルト301は、パッド303、加熱ローラ307よって張架される。ベルト301の外径は、本実施形態では150mmである。
パッド303は、ベルト301の内側に、ベルト301を挟んで加圧ローラ305と対向するように配置されると共に、ベルト301と加圧ローラ305との間で記録材を挟持搬送するニップ部Nを形成する。本実施形態では、パッド303は、ベルト301の幅方向(ベルト301の回転方向と交差する長手方向、加熱ローラ307の回転軸線方向)に沿って長い、略板状の部材である。パッド303がベルト301を挟んで加圧ローラ305に押圧されることで、ニップ部Nが形成される。パッド303の材質は、LCP(液晶ポリマー)樹脂を用いている。パッド303とベルト301の間には、摺動部材304を介在させている。摺動部材304の詳細については後述する。
パッド303は、ベルト301の内側に配置された支持部材としてのステイ302により支持されている。即ち、ステイ302は、パッド303の加圧ローラ305と反対側に配置され、パッド303を支持する。このようなステイ302は、ベルト301の長手方向に沿って長い剛性を有する補強部材であり、パッド303に当接して、パッド303をバックアップする。即ち、ステイ302は、パッド303が加圧ローラ305から押圧された際に、パッド303に強度を持たせてニップ部Nにおける加圧力を確保するものである。
ステイ302は、ステンレス鋼などの金属製であり、ベルト301の回転方向と交差するステイ302の長手方向に直交する断面(横断面)が略矩形状である。例えば、ステイ302は、肉厚3mmのSUS304(ステンレス鋼)の引き抜き材を用い、横断面を略ロの字の中空に成形することで強度を確保している。なお、ステイ302は、複数の板金を組み合わせ、溶接などにより互いに固定することで、断面略矩形状に形成しても良い。また、ステイ302の材質は強度が担保できればステンレスに限らない。
加熱ローラ307は、ベルト301の内側に配置され、パッド303と共にベルト301を張架する。加熱ローラ307は、アルミニウムやステンレスなどの金属により円筒状に形成され、その内部にベルト301を加熱するための加熱源としてのハロゲンヒータ306が配設されている。そして、加熱ローラ307は、ハロゲンヒータ306により所定の温度まで加熱される。
加熱ローラ307は、長手方向の片端部又は中央近傍に回動中心を持ち、ベルト301に対して回動することで前後にテンション差を発生させ、ベルト301の主走査方向の位置をコントロールするステアリングローラでもある。また、加熱ローラ307は、不図示のフレームによって支持されたばねによって付勢されており、ベルト301に所定の張力を与えるテンションローラでもある。
本実施形態では、加熱ローラ307は、例えば厚み1mmのステンレス製のパイプにより形成されている。また、ハロゲンヒータ306は、1本でも良いが、加熱ローラ307の長手方向(回転軸線方向)の温度分布制御を鑑みると複数本あることが望ましい。複数本設けられたハロゲンヒータ306は、長手方向において互いに異なる配光分布を有しており、記録材のサイズに応じて点灯比率を制御している。本実施形態では3本のハロゲンヒータ306を配置している。なお、加熱源は、ハロゲンヒータに限らず、例えばカーボンヒータなど加熱ローラ307を加熱可能な他のヒータであっても良い。
ベルト301は、ハロゲンヒータ306により加熱された加熱ローラ307によって加熱され、サーミスタ308による温度検知に基づき、記録材の種類に応じた所定の目標温度に制御される。サーミスタ308は、ベルト301の幅方向に関して、定着装置8で定着可能な全サイズの記録材が通過する中央付近のベルト301の外周面に対向して配置されている。そして、サーミスタ308は、ベルト301の温度を検知し、制御部30は、サーミスタ308の検知温度が目標温度となるようにハロゲンヒータ306へ供給する電力を制御する。なお、サーミスタ308は、ベルト301の外周面に近接配置される非接触式のセンサであっても良いし、ベルト301の外周面に接触配置される接触式のセンサであっても良い。
加圧ローラ305は、ベルト301の外周面に当接して回転し、ベルト301に駆動力を付与する駆動回転体でもある。なお、本実施形態では、加熱ローラ307も駆動源(例えば駆動モータ)により回転駆動されており、ベルト301に駆動力を付与している。但し、加熱ローラ307への駆動力の付与を省略しても良い。加圧ローラ305は、芯金(軸)305c、芯金305cの外周に弾性層305b、その外周に離型性層305aを形成したローラである。芯金305cは、例えば直径72mmのステンレス鋼を用いている。弾性層305bは、例えば厚さ8mm、ゴム硬度20°(Asker-C)の導電シリコーンゴムを用いている。離型性層305aは、例えば厚さ100μmでフッ素樹脂としてのPFA(四フッ化エチレン・パーフルオロアルコキシエチレン共重合樹脂)を用いている。本実施形態で用いたPFAを被覆した加圧ローラ305の硬度は58°(Asker-C)である。加圧ローラ305は、定着装置8のフレーム(不図示)によって回転自在に支持されており、片端部にはギアが固定され、ギアを介して駆動源(例えば駆動モータ、不図示)に接続されて回転駆動される。
定着装置8は、ベルト301と加圧ローラ305との間に形成されるニップ部Nにおいて、トナー画像を担持した記録材Pを挟持し、搬送しながらトナー画像を加熱する。このように、定着装置8は、記録材Pを挟持搬送しながら、記録材Pにトナー画像を定着させる。よって、熱や圧力を加える機能と、記録材Pを搬送する機能の両立が必要である。不図示の駆動源により、加圧ローラ305がベルト301を介して摺動部材304に対して加圧される。本実施形態では、画像形成時のニップ部Nにおける加圧力(NF)は1600Nであり、ニップ部NのX方向(記録材の搬送方向)の幅は24.5mm、Y方向(記録材の幅方向)幅は326mmとなるように設定した。
[摺動部材]
摺動部材304の詳細構成を図3(a)、(b)に示す。図3(a)は、摺動部材304を搬送方向に切った際の断面図で、図3(b)は、ベルト301と摺動部材304の接触面側から摺動部材304を見た平面図である。摺動部材304は、パッド303を介してステイ302にビスなどで固定されている。なお、摺動部材304はパッド303と一体となっていても構わない。また、摺動部材304をステイ302やパッド303に一部を固定するようにしても構わない。例えば、摺動部材304のY方向(幅方向)両端部をパッド303にビスなどで固定しても良い。
摺動部材304は、基材層304a、摺動層304cで構成されている。基材層304aのベルト301と摺動する側には、ベルト301の内周面に向かって突出する複数の突起(エンボス部)304bが形成されている。摺動層304cは、基材層304aのベルト301と摺動する側の表面(複数の突起304bを含む)を覆うように設けられている。
基材層304aは、十分強度な耐熱性と強度を持てばよい。材質はステンレス鋼、銅、アルミニウム、エンジニアリングプラスチック(PI(ポリイミド)、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、LCP(液晶ポリマー)等)などが望ましい。本実施形態では、基材層304aとして、厚み300μmのPIを利用した。
複数の突起304bは、基材層304aと同じ材料で一体に形成されており、ニップ部Nにおける記録材の搬送方向(X方向)に亙って、且つ、搬送方向に交差する記録材の幅方向(Y方向)に亙って、それぞれ複数配置されている。複数の突起304bは、摺動部材304のベルト301の内周面と摺動する側の面の全体面積に対して、複数の突起304b全部の先端面の面積の合計が9割以上となるように設けられている。
搬送方向に関して隣り合う突起304bの中心同士の距離(間隔)d、及び、幅方向に関して隣り合う突起304bの中心同士の距離(間隔)dは、それぞれ1.25mm以上、好ましくは1.4mm以上である。図示の例は、摺動部材304の基本的な構成を説明するものであり、ベルト301との摺動性を均一にするために、複数の突起304bの間隔は搬送方向、幅方向で同じとして示しており、それぞれの間隔dを1.4mmとした。
このように摺動部材304のベルト301と摺動する側の面に複数の突起304bを設けることで、摺動部材304とベルト301との接触面積を減らし、摺動部材304とベルト301との摺動抵抗を低減させている。
摺動層304cは、低摩擦を実現するためのフッ素樹脂(PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、PFA等)などのコート剤とすることが好ましい。本実施形態では、摺動部材304を、厚み20μmのPTFEを複数の突起304bを含む基材層304aの表面にコーティングすることで形成した。また、本実施形態では、ベルト301の内面に潤滑剤を塗布している。これにより、ベルト301は摺動部材304に対して滑らかに摺動する構成になっている。潤滑材としては、シリコーンオイルを用いた。
また、本実施形態の摺動部材304は、ニップ部Nの内外に問わずパッド303を覆うように構成した。即ち、パッド303のニップ部Nと反対側の面を除き、ベルト301と対向する面の全体を摺動部材304により覆っている。なお、摺動部材304は、パッド303の表面のうち、ニップ部Nにのみ配置されていても良い。また、複数の突起304bは、摺動部材304の全域に配置したが、摺動部材304がニップ部Nよりも大きい場合には、複数の突起304bがニップ部Nにのみに配置された構成でも構わない。
[記録材の分離について]
ここで、ニップ部Nから排出される記録材の分離について説明する。まず、記録材にトナー画像を定着させる動作フローについて説明する。ニップ部Nが加圧されると、図4(a)、(b)に示すように、ニップ部Nの搬送方向下流端部において、摺動部材304の突起304bの先端とベルト301の内周面とが当接することで、ベルト301が湾曲し屈曲面310が形成される。そして、摺動部材304の突起304bの先端にかかる圧力によって突起304bの先端部が加圧ローラ305の弾性層305bに押し込まれる。
記録材にトナー像を定着させる際には、加圧ローラ305及びベルト301が回転駆動され、ベルト301の表面が目標温度に制御された状態で、未定着トナー像を担持した記録材がニップ部Nに搬送される。記録材は、ベルト301を介してハロゲンヒータ306からの熱を受けて加熱され、同時にニップ部Nで挟持加圧されることでトナー像が記録材上に定着される。
そして、ニップ部Nを通過した記録材Pは、ニップ部Nの搬送方向下流出口において、加圧ローラ305の弾性層305bに押し込まれた突起304bの先端部がベルト301を介して加圧ローラ305との間で形成する屈曲面310の曲率により、ベルト301から分離される。屈曲面310は、突起304bの先端部がベルト301を介して加圧ローラ305に接触する領域である。
図5(a)、(b)は、突起304bの先端にかかるピーク圧が変化した場合の屈曲面310の変化を示した模式図である。図5(a)はピーク圧が低い場合を、図5(b)はピーク圧が高い場合をそれぞれ示している。図5(a)、(b)から明らかなように、突起304bの先端部にかかるピーク圧力が高いほど、屈曲面310の曲率が大きくなる。そして、屈曲面310の曲率が大きいほど、記録材がベルト301から分離しやすくなる。
図6は、ニップ部Nの下流端部における突起304bの先端のピーク圧(以下、先端ピーク圧)と屈曲面の曲率の関係を示している。ニップ部Nの下流端部の突起304bの先端ピーク圧は、ニップ部Nを加圧した状態で、圧力分布測定システム(タクタイルセンサシステム、ニッタ(株)、シーラー)を用いて測定した加圧力分布(面圧分布)より、搬送方向下流領域における最大ピーク圧として導出した。
ピーク圧の変更は、搬送方向最下流の幅方向全域(長手全域)の突起304bの高さh(図4(b))を変更することで行った。突起304bの高さhは、摺動部材304の突起304bが無い領域と突起304bの先端面とのZ方向の差として定義し、三次元形状測定機 キーエンス社製 VR-3200で測定した形状分布より導出した。屈曲面310の曲率は、定着装置8のニップ部N付近を搬送方向に垂直な幅方向(Y方向)から高速度カメラで観察し、撮影画像よりベルト301のニップ部Nの下流部の軌道をトレースして導出した。
図6に示すように、突起304bの先端部が形成するニップ部Nの下流端部のピーク圧力(先端ピーク圧)が高いと、屈曲面310の曲率が大きくなる。本実施形態における定着装置8において、曲率が0.22(/mm)未満になると、例えば、記録材としての薄紙(坪量60g/m)がベルト301から分離せずにベルト301表面に巻きついてジャムが発生し易くなる。このため、本実施形態におけるニップ部Nの下流端部の先端ピーク圧は、図6から0.2MPa以上であることが望ましい。
[比較例]
次に、図7(a)~(d)を用いて、比較例1における突起304bの先端のピーク圧(先端ピーク圧)の分布について説明する。なお、図7(a)、図8(a)及び後述する図10(a)は、摺動部材304を搬送方向に沿って切断した断面図である。図7(b)、図8(b)、図10(b)は、定着装置8のニップ部N付近を搬送方向に沿って切断し、拡大して模式的に示す断面図である。図7(c)、図8(c)、図10(c)は、ニップ部Nにおける記録材の搬送方向の圧力分布のグラフである。図7(d)、図8(d)、図10(d)は、摺動部材304をベルト301との接触面側から見た平面図である。
比較例1は、ニップ部N内において、摺動部材304の突起304bの間隔d及び突起304bの高さhを均一にしている。比較例では、入力搬送方向下流端部を含む全ての領域において突起304bの高さhを250μmに設定した。その結果、ニップ部N全域における摺動部材304の摩擦係数を一定以下に維持可能な加圧力(NF)=1600Nで加圧すると、図7(c)に示すように、ニップ部Nの搬送方向下流端部の突起304bの先端ピーク圧は0.15MPaとなった。このため、比較例1の場合、曲率が0.22(/mm)未満の0.17(/mm)となり、記録材としての薄紙がベルト301から分離せずに巻き付きジャムが発生しやすくなる。
[本実施形態の摺動部材の構成]
そこで、本実施形態では、記録材の分離性を向上させるべく、以下のような構成としている。本実施形態の摺動部材304の構成について、図8(a)~(d)を用いて説明する。本実施形態では、図8(a)に示すように、複数の突起304b、304b1のうち、ニップ部Nにおいて搬送方向下流端部に位置する幅方向の複数の突起304b1の平均高さh1を、搬送方向中央部に位置する幅方向の複数の突起304bの平均高さh2よりも高くしている。具体的には、突起304b1の平均高さh1を、突起304bの平均高さh2の1.04倍よりも高く、より好ましくは1.1倍以上高くしている。
本実施形態では、複数の突起304b、304b1のうち、ニップ部Nにおいて搬送方向下流端部に位置する幅方向の複数の突起304b1以外の突起は、全て平均高さh2の突起304bとしている。即ち、搬送方向下流端部において幅方向に沿った1列の突起304b1の平均高さh1を、この1列の突起304b1よりも搬送方向上流にある突起304bの平均高さh2の1.04倍よりも高く、より好ましくは1.1倍以上高くしている。
ここで、平均高さで比較しているのは、複数の突起304b、304b1の高さのバラツキを考慮したためである。したがって、例えば、複数の突起304b1のうちの何れかの突起が、搬送方向中央部の突起304bのうちの何れかの突起よりも低くても、複数の突起304b1の全体の平均高さが中央部の突起304bの全体の平均高さよりも高ければ、本実施形態の要件を満たす。但し、下流端部の全ての突起304b1の高さが中央部の全ての突起304bの高さよりも高いことが好ましい。
具体的には、搬送方向最下流の1列の幅方向全域における突起304b1の高さh1を275μm、搬送方向上流および中央部の突起304bの高さh2を250μmに設定し、搬送方向最下流の突起304b1が上流および中央部の突起304bよりも25μm高くなるようにした。この結果、図8(c)に示すように、ニップ部Nの搬送方向下流端部における突起304b1の先端ピーク圧は0.25MPaとなった。そのため、図6から、曲率が0.22(/mm)以上の0.26(/mm)となり、記録材の分離性を向上させることができる。そして、ニップ部Nに搬送される記録材が薄紙であっても、ベルト301から分離し易くなる。
図9は、本実施形態を満たす実施例1の摺動部材と、比較例1、2の摺動部材を用いて、定着装置8における記録材の分離性を調べた実験結果である。実験では、それぞれの摺動部材における搬送方向下流端部の突起304b1の高さh1を変更し、記録材がニップ部Nを通過する時点のベルト301の表面温度180℃において、分離不良による巻き付きジャムが発生したか否かを判定した。
実験環境は室温30℃、湿度80%で行った。記録材としてキヤノン製EN100(64g/m)、紙サイズ:A4を使用した。また、搬送方向中央部及び上流部の突起304bの高さh2は、実施例1、比較例1、2で同じとした。比較例1は、上述した通りの構成であり、h1=h2である。また、実験では、突起304b1の先端ピーク圧(下流ピーク圧)及び突起304bの先端ピーク圧(中央ピーク圧)を測定した。更に、それぞれにおいて、屈曲面310の曲率も導出した。
また、実験における未定着トナー画像の形成には、トナーとして、ワックスを内包したシアントナー、マゼンタトナー、イエロートナー、ブラックトナーを使用した。画像形成部に入力される画像データは、原稿となる画像のC、M、Y、Kの各色に分解された600dpiの0~255のデータが入力される。この1画素当たりのデータを画像データ量と呼ぶ。各色の最大の画像データ量を100%として表す。この0~100%の画像データ量に応じて、画像形成すべきトナー量が計算される。トナー量とは、記録材上に画像形成される1画素当たりのトナーの量である。トナー量も、画像データ量と同様に、0~100%で表す。1cmに画像形成した場合のトナーの重量を載り量という。単色で100%のトナー量のときに、その色の最大載り量となり、最大濃度となる。実験では、各色0.5mg/cmの載り量で階調画像を出力し、最大トナー画像載り量は1.10mg/cmとした。
比較例2は、最下流の突起304b1の高さh1が搬送方向中央部の突起304bよりも高いが、突起304b1の高さh1が260μmであり、突起304bの高さh2に対して1.04倍である。図9から明らかなように、比較例2では下流ピーク圧が実施例1の0.25MPaよりも低い0.19Mpaとなり、分離不良が発生した。また、比較例1の場合、最下流の突起304b1の高さh1が搬送方向中央部の突起304bの高さh2と等しい250μmである。比較例1では、下流ピーク圧が0.15Mpaとなり、分離不良が発生した。これに対して実施例1では、下流ピーク圧が0.25MPaとなり、分離不良が発生しなかった。
以上のように、摺動部材304に複数の突起を形成した構成において、搬送方向下流の突起304b1の高さh1を中央部の突起304bの高さh2の1.04倍よりも高くすることで、記録材の分離性を向上させることが可能となる。
なお、上述の説明では、搬送方向最下流の1列の突起304b1のみ高さを高くしたが、これに限定されるものではなく、ニップ部Nの最下流の突起で形成される屈曲面310の曲率が分離性向上可能な値以上となれば、範囲は問わない。例えば、最下流近傍の複数列の突起の高さを中央領域に比べて高くしても良い。
また、上述の説明では、摺動部材304に摺動層304cを設けたが、これに限定されず、ベルト301と突起304bが直接接触する構成でもよい。また、上述の説明では、ベルト301の内周面に潤滑剤を用いる構成となっているが、これに限定されず、潤滑剤がない構成でも良い。
<第2の実施形態>
第2の実施形態について、図10(a)~図11を用いて説明する。上述の第1の実施形態では、搬送方向下流端部の突起304b1の高さを高くした。これに対して本実施形態では、搬送方向下流端部の突起304bの幅方向の間隔を広くした。その他の構成及び作用は上述の第1の実施形態と同様であるため、同様の構成には同一の符号を付して説明及び図示を省略又は簡略にし、以下、第1の実施形態と異なる点を中心に説明する。
本実施形態は、搬送方向下流端部の突起304bの間隔を中央部の突起304bの間隔よりも広くすることで、ニップ部Nの下流の先端ピーク圧を上げて、第1の実施形態と同様の効果を実現するものある。
図10(d)に示すように、複数の突起304bのうち、ニップ部Nにおいて搬送方向下流端部に位置する複数の突起304bに関して幅方向に隣り合う突起304bの中心同士の平均距離(間隔)d1の方が、搬送方向中央部に位置する複数の突起304bに関して幅方向に隣り合う突起304bの中心同士の平均距離(間隔)d2の1.04倍よりも長く、より好ましくは1.1倍以上長くしている。
本実施形態では、複数の突起304bのうち、ニップ部Nにおいて搬送方向下流端部に位置する幅方向の複数の突起304b以外の突起は、全て間隔d2としている。即ち、搬送方向下流端部において幅方向に沿った1列の突起304bの間隔d1を、この1列の突起304bよりも搬送方向上流にある突起304bの間隔d2の1.04倍よりも広く、より好ましくは1.1倍以上広くしている。
ここで、突起304bの間隔を平均距離で比較しているのは、複数の突起304bの間隔のバラツキを考慮したためである。したがって、例えば、下流端部の複数の突起304bのうちの何れかの突起の間隔が、搬送方向中央部の突起304bのうちの何れかの突起の間隔よりも狭くても、下流端部の複数の突起304bの全体の間隔が中央部の突起304bの全体の間隔よりも広ければ、本実施形態の要件を満たす。但し、下流端部の全ての突起304bの間隔が中央部の全ての突起304bの間隔よりも広いことが好ましい。
具体的には、搬送方向最下流の1列の幅方向全域における複数の突起304bの間隔d1を1.4mm、搬送方向上流および中央部の突起304bの間隔d2を1.25mmに設定し、搬送方向最下流の突起304bの間隔d1が上流および中央部の突起304bの間隔d2の1.12倍大きくなるようにした。なお、突起304bの間隔d1、d2は、摺動部材304の幅方向(長手方向)において、隣接する突起304bの頂点位置の平均値として定義し、三次元形状測定機 キーエンス社製 VR-3200で測定した形状分布より導出した。なお、図10(a)に示すように、突起304bの高さは、全て同じとなるようにしている。
上述のように突起304bの間隔を規定することで、図10(c)に示すように、ニップ部Nの搬送方向下流端部における突起304bの先端ピーク圧は0.25MPaとなった。そのため、図6から、曲率が0.22(/mm)以上の0.26(/mm)となり、記録材の分離性を向上させることができる。そして、ニップ部Nに搬送される記録材が薄紙であっても、ベルト301から分離し易くなる。
図11は、本実施形態を満たす実施例2の摺動部材と、比較例3、4の摺動部材を用いて、定着装置8における記録材の分離性を調べた実験結果である。実験では、それぞれの摺動部材における搬送方向下流端部の突起304bの間隔d1を変更し、記録材がニップ部Nを通過する時点のベルト301の表面温度180℃において、分離不良による巻き付きジャムが発生したか否かを判定した。実験条件は、図9で説明した場合と同様である。また、搬送方向中央部及び上流部の突起304bの間隔d2は、実施例1、比較例1、2で同じとした。比較例3は、d1=d2とした。
比較例4は、最下流の突起304bの間隔d1が搬送方向中央部の突起304bの間隔d2よりも広いが、間隔d1が1.3mmであり、間隔d2に対して1.04倍である。図11から明らかなように、比較例4では下流ピーク圧が実施例2の0.25MPaよりも低い0.19Mpaとなり、分離不良が発生した。また、比較例3の場合、最下流の突起304bの間隔d1が搬送方向中央部の突起304bの間隔d2と等しい1.25mmである。比較例3では、下流ピーク圧が0.15Mpaとなり、分離不良が発生した。これに対して実施例2では、下流ピーク圧が0.25MPaとなり、分離不良が発生しなかった。
以上のように、摺動部材304に複数の突起を形成した構成において、搬送方向下流の突起304bの間隔d1を中央部の突起304bの間隔d2の1.04倍よりも広くすることで、記録材の分離性を向上させることが可能となる。
なお、上述の説明では、搬送方向最下流の1列の突起304bのみ間隔を広くしたが、これに限定されるものではなく、ニップ部Nの最下流の突起で形成される屈曲面310の曲率が分離性向上可能な値以上となれば、範囲は問わない。例えば、最下流近傍の複数列の突起の間隔を中央領域に比べて広くしても良い。
また、本実施形態に上述の第1の実施形態を組み合わせても良い。即ち、搬送方向下流端部の突起304b1の幅方向の間隔を他の突起304bの間隔よりも広くすると共に、搬送方向下流端部の突起304b1の高さを他の突起304bの高さよりも高くするようにしても良い。
<第3の実施形態>
第3の実施形態について、図12(a)、(b)を用いて説明する。上述の第2の実施形態では、搬送方向下流端部の突起304bの幅方向の間隔を広くした。これに対して本実施形態では、搬送方向下流端部の突起304bの搬送方向の間隔を広くした。その他の構成及び作用は上述の第2の実施形態と同様であるため、同様の構成には同一の符号を付して説明及び図示を省略又は簡略にし、以下、第2の実施形態と異なる点を中心に説明する。
本実施形態では、図12(a)、(b)に示すように、複数の突起304b(304b2、304b3を含む)のうち、ニップ部Nにおいて搬送方向下流端部に位置する最下流突起304b2と最下流突起304b2の搬送方向上流に隣接する突起304b3との中心同士の距離(間隔)d3は、最下流突起304b2を除く複数の突起304bのうちの搬送方向に隣り合う突起304bの中心同士の距離(間隔)d4よりも長くしている。
即ち、搬送方向下流端部において幅方向に沿った1列の最下流突起304b2と上流に隣接する1列の突起304b3の搬送方向の間隔d3を、これら2列の突起304b2、304b3よりも搬送方向上流にある突起304bの搬送方向の間隔d4よりも広くしている。広くする割合は、1.05倍以上とすることが好ましい。即ち、d3/d4≧1.05とすることがこのあしい。また、d3/d4≧1.1とすることがより好ましく、d3/d4≧1.5とすることが更に好ましい。
このように搬送方向最下流の2列の突起304b3、304b3の搬送方向の間隔d3を広くすることで、最下流突起304b3の先端ピーク圧を上げることができ、上述の各実施形態と同様に、記録材の分離性を向上させることができる。
なお、本実施形態の構成を、第1、第2の実施形態と適宜組み合わせても良い。例えば、最下流突起304b2の高さを他の突起304bよりも高くしても良いし、最下流突起304b2の幅方向の間隔を他の突起304bの幅方向の間隔よりも広くしても良い。
8・・・定着装置
301・・・ベルト
303・・・パッド(バックアップ部材)
304・・・摺動部材
304b、304b1、304b2、304b3・・・突起
304c・・・摺動層
305・・・加圧ローラ(ニップ部形成部材)

Claims (6)

  1. 記録材に担持されたトナー像を記録材に定着させる定着装置であって、
    無端状で回転可能なベルトと、
    前記ベルトの外周面と当接して、前記ベルトとの間で記録材を挟持搬送するニップ部を形成するニップ部形成部材と、
    前記ニップ部において前記ベルトの内周面と摺動する摺動部材と、
    前記ベルトの内側において、前記摺動部材及び前記ベルトを前記ニップ部形成部材との間で挟持するように配置され、前記摺動部材をバックアップするバックアップ部材と、を備え、
    前記摺動部材は、前記ベルトと摺動する側に前記ベルトの内周面に向かって突出する複数の突起であって、前記ニップ部における記録材の搬送方向に亙って、且つ、前記搬送方向に交差する記録材の幅方向に亙って、それぞれ複数配置されている突起を有し、
    前記複数の突起のうち、前記ニップ部において前記搬送方向下流端部に位置する前記幅方向の複数の突起の平均高さが、前記搬送方向中央部に位置する前記幅方向の複数の突起の平均高さの1.04倍よりも高い
    ことを特徴とする定着装置。
  2. 前記複数の突起のうち、前記搬送方向に関して下流端部に位置する前記幅方向の複数の突起の平均高さが、前記搬送方向中央部に位置する前記幅方向の複数の突起の平均高さの1.1倍以上高い
    ことを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
  3. 記録材に担持されたトナー像を記録材に定着させる定着装置であって、
    無端状で回転可能なベルトと、
    前記ベルトの外周面と当接して、前記ベルトとの間で記録材を挟持搬送するニップ部を形成するニップ部形成部材と、
    前記ニップ部において前記ベルトの内周面と摺動する摺動部材と、
    前記ベルトの内側において、前記摺動部材及び前記ベルトを前記ニップ部形成部材との間で挟持するように配置され、前記摺動部材をバックアップするバックアップ部材と、を備え、
    前記摺動部材は、前記ベルトと摺動する側に前記ベルトの内周面に向かって突出する複数の突起であって、前記ニップ部における記録材の搬送方向に亙って、且つ、前記搬送方向に交差する記録材の幅方向に亙って、それぞれ複数配置されている突起を有し、
    前記複数の突起のうち、前記ニップ部において前記搬送方向下流端部に位置する前記複数の突起に関して前記幅方向に隣り合う突起の中心同士の平均距離の方が、前記搬送方向中央部に位置する前記複数の突起に関して前記幅方向に隣り合う突起の中心同士の平均距離の1.04倍よりも長い
    ことを特徴とする定着装置。
  4. 前記複数の突起のうち、前記搬送方向下流端部に位置する前記複数の突起に関して前記幅方向に隣り合う突起の中心同士の平均距離の方が、前記搬送方向中央部に位置する前記複数の突起に関して前記幅方向に隣り合う突起の中心同士の平均距離の1.1倍以上長い
    ことを特徴とする請求項3に記載の定着装置。
  5. 記録材に担持されたトナー像を記録材に定着させる定着装置であって、
    無端状で回転可能なベルトと、
    前記ベルトの外周面と当接して、前記ベルトとの間で記録材を挟持搬送するニップ部を形成するニップ部形成部材と、
    前記ニップ部において前記ベルトの内周面と摺動する摺動部材と、
    前記ベルトの内側において、前記摺動部材及び前記ベルトを前記ニップ部形成部材との間で挟持するように配置され、前記摺動部材をバックアップするバックアップ部材と、を備え、
    前記摺動部材は、前記ベルトと摺動する側に前記ベルトの内周面に向かって突出する複数の突起であって、前記ニップ部における記録材の搬送方向に亙って、且つ、前記搬送方向に交差する記録材の幅方向に亙って、それぞれ複数配置されている突起を有し、
    前記複数の突起のうち、前記ニップ部において前記搬送方向下流端部に位置する最下流突起と前記最下流突起の前記搬送方向上流に隣接する突起との中心同士の距離は、前記最下流突起を除く複数の突起のうちの前記搬送方向に隣り合う突起の中心同士の距離よりも長い
    ことを特徴とする定着装置。
  6. 前記ニップ部形成部材は、弾性層を有するローラである
    ことを特徴とする請求項1ないし5の何れか1項に記載の定着装置。
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