JP2023124462A - 作業車両 - Google Patents

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修平 川上
Shuhei Kawakami
秀平 飛田
Shuhei Hida
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Iseki Agricultural Machinery Mfg Co Ltd
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Iseki Agricultural Machinery Mfg Co Ltd
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Abstract

【課題】より精密な旋回制御を行い、作業性の低下を抑制すること。【解決手段】走行車輪を有し、圃場内を走行可能な走行車体と、走行車体に設けられ、圃場内で作業を行う作業機と、走行車輪の操舵量を調整するために回転可能なステアリングハンドルと、走行車体の位置情報を取得する位置情報取得部と、走行車体のヨー角を検出可能な角速度検出部と、ステアリングハンドルを制御しつつ、位置情報取得部によって取得された走行車体の位置情報および角速度検出部によって検出された走行車体のヨー角に基づいて、走行車体の直進制御および旋回制御を行う制御部とを備え、旋回制御を実行していることを示す表示部を備えたことを特徴とする。【選択図】図2

Description

本発明は、作業車両に関する。
従来、圃場内を走行しながら作業を行う作業車両において、ステアリングハンドルを駆動するステアリングモータと、ステアリングモータにステアリングハンドルを駆動させて走行車体の直進制御および旋回制御を行う制御部とを備えるものが知られている(たとえば、特許文献1参照)。
特開2021-176273号公報
ところで、上記したような作業車両においては、旋回中に走行車輪がスリップした場合、左右の走行車輪(後輪)の回転数に基づいてスリップ量を検出し、スリップ量に応じて旋回方向へ回したステアリングハンドルを戻し始めるタイミングを変更して次の直進(次工程)の作業開始位置へ走行車体を到達させる制御を行う。
しかしながら、走行車輪の回転数からのスリップ量を用いる場合、スリップ量と実際の走行車体のヨー角(圃場面上における基準線に対する走行車体の前後軸の角度)との間にずれが生じることがある。スリップ量と走行車体のヨー角との間にずれが生じていると、次の直進の作業開始位置からずれることがある。次の直進の作業開始位置からずれると、たとえば、次の直進制御時に走行車体を走行経路へ復帰させることになるため、作業軌跡が乱れてしまうなどの作業性低下の原因となることがあった。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、より精密な旋回制御を行うことができ、作業性の低下を抑制することができる作業車両を提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る作業車両(1)は、走行車輪(11,12)を有し、圃場(F)内を走行可能な走行車体(2)と、前記走行車体(2)に設けられ、圃場(F)内で作業を行う作業機(3)と、前記走行車輪(11)の操舵量を調整するために回転可能なステアリングハンドル(22)と、前記走行車体(2)の位置情報を取得する位置情報取得部(50)と、前記走行車体(2)のヨー角(θ1)を検出可能な角速度検出部(80)と、前記ステアリングハンドル(22)を制御しつつ、前記位置情報取得部(50)によって取得された前記走行車体(2)の位置情報および前記角速度検出部(80)によって検出された前記走行車体(2)のヨー角(θ1)に基づいて、前記走行車体(2)の直進制御および旋回制御を行う制御部(100)とを備え、前記旋回制御を実行していることを示す表示部を備えたことを特徴とする。
本発明に係る作業車両によれば、より精密な旋回制御を行うことができ、作業性の低下を抑制することができる。
図1は、実施形態に係る作業車両の一例を示す概略側面図である。 図2は、制御部を中心とする制御系の一例を示すブロック図である。 図3は、圃場内における自律走行の説明図である。 図4は、ステアリングハンドルの説明図である。 図5は、旋回制御の説明図である。 図6は、第3ブロックにおけるステアリング補正の説明図である。 図7Aは、旋回制御の一例の説明図である。 図7Bは、旋回中のスリップによる影響を示す図である。 図7Cは、x条植えの場合のハンドル規定値および不感帯を示す図である。 図7Dは、y条植えおよびz条植えの場合の旋回アシスト値、ハンドル規定値および不感帯を示す図である。 図7Eは、x条植えの場合においてハンドル規定値がゼロのときの不感帯を示す図である。 図7Fは、x条植え、y条植えおよびz条植えの場合の機体角速度を示す図である。 図7Gは、x条植えの場合における右旋回および左旋回のステアリング角度を示す図である。 図7Hは、図7Gにおける右旋回および左旋回のステアリング角度の関数を示す図である。 図7Iは、y条植えおよびz条植えの場合における右旋回および左旋回のステアリング角度を示す図である。 図7Jは、x条植え、y条植えおよびz条植えの場合の目標方位を示す図である。 図7Kは、x条植え、y条植えおよびz条植えの場合の戻し始め方位を示す図である。 図8は、ティーチング制御の説明図である。 図9は、マップベース制御システムの概略構成図である。
以下、添付図面を参照して本願の開示する作業車両の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
<作業車両(苗移植機)の全体構成>
図1を参照して実施形態に係る作業車両1の全体構成について説明する。図1は、実施形態に係る作業車両1の一例を示す概略側面図である。
なお、図1には、鉛直上向き(上方)を正方向とするZ軸を含む3次元の直交座標系を示している。以下では、説明の便宜上、X軸の正方向を左方、X軸の負方向を右方、Y軸の正方向を前方、Y軸の負方向を後方と規定し、X軸方向を左右方向、Y軸方向を前後方向、Z軸方向を上下方向という場合がある。
また、以下では、作業車両1や後述する走行車体2を指して「機体」という場合がある。また、以下では、作業車両1として、圃場F(図3参照)に苗を植え付ける苗移植機を例示している。
図1に示すように、作業車両である苗移植機1は、走行車体2と、作業機3とを備える。走行車体2は、圃場F(図3参照)内を走行可能なものである。作業機3は、走行車体2に設けられる。作業機3は、圃場Fの土壌面に苗を植え付ける苗植付部である。なお、苗移植機1は、操縦者(「作業者」ともいう)が搭乗して操縦する乗用型の苗移植機である一方、予め設定された予定走行経路R(図3参照)に沿って自律走行しながら自動で苗の植え付け作業を行うことが可能な苗移植機である。
走行車体2は、走行車輪として、左右一対の前輪11と、左右一対の後輪12とを備える。走行車体2では、たとえば、左右一対の前輪11を操舵輪とする。また、走行車体2では、たとえば、左右一対の後輪12を駆動輪とする。なお、たとえば、後述する強制四駆モードの場合は、左右一対の前輪11および左右一対の後輪12を駆動輪とする。
また、走行車体2の車体骨格を形成するメインフレーム13の前部には、後述する作業機である苗植付部3などへ駆動力を伝達するミッションケース14と、エンジンEから供給される駆動力、すなわち、エンジンEの回転をミッションケース14へ出力する油圧式の無段変速装置(図示せず)とが設けられる。なお、無段変速装置は、HST(Hydro Static Transmission)と呼ばれる静油圧式の無段変速機である。以下では、無段変速装置を「HST」という。
ミッションケース14内には、路上走行時や苗の植え付け時などにおける走行モードを切り替える副変速機構(図示せず)が設けられる。走行車体2では、ミッションケース14の左右側方に前輪ファイナルケース15が設けられ、左右の前輪ファイナルケース15の操向方向を変更可能な支持部からそれぞれ外向きに突出する左右の前車軸に、前輪11がそれぞれ取り付けられる。
また、メインフレーム13の後部には、左右方向に延設された後部フレームの左右側方に後輪ギヤケース16が設けられ、後輪ギヤケース16からそれぞれ外向きに突出する左右の後車軸に、後輪12がそれぞれ取り付けられる。
また、後部フレームの上部には、後述する昇降リンク17を支持する左右のリンク支持フレーム18が上方へ向けて延設される。左右のリンク支持フレーム18の間には、左右のアッパリンク19および左右のロワリンクアーム20が設けられる。左右のアッパリンク19および左右のロワリンクアーム20の左右方向の間には、油圧によって駆動される昇降シリンダ21が設けられる。
左右のアッパリンク19および左右のロワリンクアーム20は、平行リンク機構である昇降リンク17を形成する。なお、左右のアッパリンク19、左右のロワリンクアーム20および昇降シリンダ21は、それぞれの一端が走行車体2側に連結され、それぞれの他端が苗植付部3側に連結される。
また、メインフレーム13上には、エンジンEが搭載される。エンジンEの回転動力が、ベルト伝動装置(図示せず)およびHSTを介して、ミッションケース14へ伝達される。ミッションケース14へ伝達された回転動力は、ミッションケース14内の副変速機構によって変速された後、走行動力と外部取り出し動力とに分けられる。
また、エンジンEの回転動力は、油圧ポンプ(図示せず)へ伝達される。油圧ポンプで発生した油圧は、HSTや、ステアリングハンドル22のパワステ機構23(図2参照)や昇降シリンダ21などへ供給される。
ミッションケース14へ伝達された回転動力から取り出される外部取り出し動力は、走行車体2の後部に設けられた植付クラッチ24(図2参照)へ伝達され、植付クラッチ24から植付伝動軸(図示せず)を介して苗植付部3へ伝達される。ミッションケース14の後部には、左右のドライブシャフト(図示せず)が設けられる。エンジンEからの回転動力は、ミッションケース14およびドライブシャフトを介して、左右の後輪ギヤケース16へ伝動される。
なお、左右のドライブシャフトよりも動力伝達上流側には、左右のドライブシャフトに対する動力伝達を入切するサイドクラッチ25(図2参照)が配置される。図1に示すように、たとえば、操縦席26の前方下部、かつ、左右側方には、左右のサイドクラッチ25を入切操作するサイドクラッチペダル(図示せず)が設けられる。
左右のサイドクラッチペダルのうち、旋回内側のサイドクラッチペダルを踏み込んでサイドクラッチ25を切状態としてからステアリングハンドル22を操作して旋回走行すると、旋回内側の後輪12の駆動回転を完全に遮断することができる。
走行車体2におけるフロアステップ27の前方には、エンジンEを収容するボンネット28が設けられる。ボンネット28の後部には、操縦パネル29が設けられる。操縦パネル29には、メータパネル、各種情報を表示するとともに操縦者による手動操作を受け付けるモニタ291(図2参照)、スイッチなどの各種操作具などが設けられる。また、ボンネット28の後部には、ステアリングハンドル22が設けられる。
また、ボンネット28には、前輪11の操舵量を調整するために回転可能なステアリングハンドル(以下、単に「ハンドル」という)22、HSTや苗植付部3を操作する主変速レバー30、副変速機構を操作する副変速レバー31(図2参照)などが設けられる。
また、ボンネット28の前部には、開閉可能なフロントカバー28aが設けられる。フロントカバー28a内には、燃料タンクやバッテリ、ハンドル22の操作に応じて左右の前輪11および左右の前輪ファイナルケース15の下部側を回動させる連動機構が設けられる。
操縦席26の後方であって、メインフレーム13の後部には、後述する施肥装置40が設けられる。施肥装置40の駆動力は、左右の後輪ギヤケース16の左右の一側方から施肥装置40へ臨むように設けられる、施肥伝動機構によって伝達される。
ボンネット28の下部における左右側方には、上記したフロアステップ27が形成される。フロアステップ27は、略水平であるとともに一部格子状であり、フロアステップ27上を歩く操縦者(作業者)などの靴などについた泥がフロアステップ27に落ちても、落ちた泥などが圃場Fへ落下するようになる。
また、走行車体2の前部、かつ、左右側方には、苗枠支柱32に複数の予備苗載せ台33を上下方向に間隔をあけて配置する予備苗枠34が設けられる。予備苗枠34は、苗植付部3に補充される苗(苗マット)や肥料袋などの作業資材が載置可能である。
また、昇降リンク17の後端部には、圃場Fに植え付ける苗(苗マット)を積載する苗タンク35が、左右方向に摺動させる摺動機構と共に連結される。苗タンク35には、苗タンク35の上面(苗マットの載置面)を左右方向において複数に仕切るためのフェンスが設けられる。苗タンク35の下方には、積載された苗マットから苗を掻き取り、掻き取った苗を圃場Fへ植え付ける植付装置36が設けられる。
植付装置36は、上記したフェンスによって仕切られた植付条数と同数の苗を同時に植え付けるものである。植付装置36は、植付伝動ケース37と、植込杆38と、植付ロータリ39とを備える。植付装置36では、植付伝動ケース37が苗タンク35の下方に間隔をあけて設けられ、植付伝動ケース37の左右側方において植込杆38を回転させる植付ロータリ39が設けられる。植付装置36では、植込杆38が、回転しながら苗マットから苗を掻き取り、掻き取った苗を圃場Fへ植え付ける。
施肥装置40は、施肥ホッパ41と、繰出装置42と、ダクト43と、施肥ホース(図示せず)と、ブロア(図示せず)とを備える。施肥ホッパ41は、肥料を貯留する。施肥ホッパ41は、苗植付部3の作業条数と同数に仕切られている。なお、施肥ホッパ41は、たとえば、左右方向に長いと肥料の投入や着脱の利便性が低下することがあるため、全条の半分ずつ(たとえば、8条の場合は4条ずつ)に仕切られたものを左右にそれぞれ並べる、いわゆるサイド施肥構造であってもよい。
繰出装置42は、施肥ホッパ41の下部に1条ごとに設けられ、肥料を設定量ずつ供給する。ダクト43は、繰出装置42の下方に設けられ、肥料を移動させる搬送風を通過させる。施肥ホースは、繰出装置42の下方に設けられ、苗植付部3の苗植付位置の近傍へ肥料を案内する。ブロアは、ダクト43の一側端部に設けられ、ブロア用電動モータ(図示せず)の駆動力で搬送風を発生させる。
苗植付部3の下方には、フロート44が設けられる。フロート44は、中央のセンターフロート44aと、左右のサイドフロート44bとを備える。センターフロート44aおよび左右のサイドフロート44bは、圃場Fの土壌面に接地して、走行車体2の進行(前進)に伴い、土壌面上を滑走する。
また、苗植付部3は、フロート44よりも前方に設けられ、土壌面の凹凸を整地する整地ロータ45を備える。なお、整地ロータ45は、センターフロート44aの前方および左右のサイドフロート44bの前方のそれぞれに設けられる。苗植付部3は、整地ロータ45で均した土壌面に苗を植え付ける。整地ロータ45には、ロータ伝動シャフト(図示せず)を介して駆動力が伝達される。
また、苗植付部3の左右側方には、左右のいずれか一方が圃場Fの土壌面に接地して、次の作業条(次工程)における走行の目安とする溝(ガイド線)を形成する線引きマーカ(図示せず)がそれぞれ設けられる。左右の線引きマーカは、左右のいずれか一方が下降して接地すると他方が上昇する。また、左右の線引きマーカは、機体旋回時に苗植付部3を上昇させたときには左右共に上昇し、機体旋回後に苗植付部3が下降すると、左右のいずれか一方が上昇して他方が下降(接地)する。
また、走行車体2の左右方向の中央であり、かつ、ボンネット28の前方には、センターマスコット46が上方へ延伸するように立設される。センターマスコット46を、左右の線引きマーカによって圃場Fの土壌面に形成されたガイド線に合わせることで、直前の作業条の作業位置にあわせた走行が可能となり、作業精度の向上や、非作業の発生防止を図ることができる。
なお、圃場Fの土質によっては、左右の線引きマーカによって形成したガイド線がすぐに埋もれてしまい、直進の目安が消えてしまうことがある。このような場合には、左右の線引きマーカよりも前方に設けられた左右のサイドマーカ(図示せず)を用いるとよい。すなわち、左右のサイドマーカを外側へ移動させ、前工程で植え付けた苗の上方にサイドマーカを位置させることで、前の作業条の苗の植え付けに合わせた植付作業が可能となる。
また、図1に示すように、苗移植機1は、位置情報取得部50を備える。位置情報取得部50は、苗移植機1の現在の位置(または方位)を取得する。位置情報取得部50は、たとえば、GPS(Global Positioning System)やGNSS(Global Navigation Satellite System)などの衛生測位システムを利用して苗移植機1の現在の位置(または方位)を取得する。なお、位置情報取得部50は、複数の装置で構成されてもよい。
位置情報取得部50は、たとえば、衛生測位システムから測位情報を受け取り、受け取った測位情報に基づいて走行車体2の現在の位置情報(または方位情報)を作成する。位置情報取得部50は、たとえば、アンテナフレーム51に支持され、走行車体2の上方に配置される。
また、位置情報取得部50による位置情報に基づいて作成される、直進制御用プログラムと旋回制御用プログラムとは、互いに別の場所に格納される。直進制御用プログラムは、たとえば、位置情報取得部50内の直進制御用ECU(Electronic Control Unit)に格納され、旋回制御用プログラムは、たとえば、ボンネット28に収容された旋回制御用ECUに格納される。直進制御用ECUおよび旋回制御用ECUは、後述する制御部100(図2参照)に含まれる。なお、直進制御用ECUおよび旋回制御用ECUは、同一のECUであってもよい。
<作業車両(苗移植機)の制御系>
次に、図2を参照して作業車両(苗移植機)1(図1参照)の制御系について説明する。図2は、制御部100を中心とする制御系の一例を示すブロック図である。作業車両である苗移植機1は、電子制御によって各部を制御することが可能なものであり、各部を制御する制御部100を備える。
制御部100は、たとえば、CPU(Central Processing Unit)などを有する処理部や、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などの記憶部、さらには入出力部を有し、これらが互いに接続されて互いに信号の受け渡しが可能なものである。なお、記憶部には、苗移植機1を制御するコンピュータプログラムなどが格納される。制御部100は、記憶部などに格納されたコンピュータプログラムなどを読み出すことで、各機能を発揮させる。
制御部100には、たとえば、アクチュエータ類として、スロットルモータ60、油圧制御弁61,62、植付クラッチ作動ソレノイド63、サイドクラッチ作動ソレノイド64、HSTモータ65、ステアリングモータ66、線引きマーカ昇降モータ67、デフロック切替モータ68などが接続される。
スロットルモータ60は、エンジンEの吸気量を調節するスロットルを作動させることで、エンジンEの出力軸の回転数を増減させる。油圧制御弁61は、昇降シリンダ21の伸縮動作を制御する。油圧制御弁62は、パワステ機構23を制御する。植付クラッチ作動ソレノイド63は、植付クラッチ24を作動させる。
サイドクラッチ作動ソレノイド64は、後輪12(図1参照)への動力伝達状態を切り替えるサイドクラッチ25を作動させる。HSTモータ65は、HSTのトラニオンの回動角度を変更することで、HSTの斜板の傾斜角を変更する。ステアリングモータ66は、操舵輪である前輪11(図1参照)を操舵駆動する。ステアリングモータ66は、前輪11の操舵量(操舵角または切れ角ともいう)を調整するハンドル22を駆動するモータである。線引きマーカ昇降モータ67は、線引きマーカを昇降させる。
デフロック切替モータ68は、左右の走行車輪(たとえば、左右の前輪11)を同じ回転速度で回転させるデファレンシャルロック機構(以下、デフロック機構という)69の作動および作動停止を切り替えるモータである。デフロック機構69が入状態になることで、強制的に四輪駆動(強制四駆モード)とすることができ、左右の走行車輪が同じ回転速度で回転する。
また、制御部100には、回転数センサ70、操舵量センサ71、傾斜センサ72などが接続される。回転数センサ70は、左右の後輪12(図1参照)に対応して2つ設けられ、左右の後輪12の回転数をそれぞれ検出する。なお、回転数センサ70は、左右の前輪11の回転数を検出してもよい。
操舵量センサ71は、ハンドル22の回転、すなわち、前輪11(図1参照)の操舵量(操舵角、切れ角)を検出する。操舵量センサ71は、たとえば、ピットマンアームに連結する軸上に設けられる。
操舵量センサ71は、第1センサ711と、第2センサ712とを備える。第1センサ711は、ハンドル22が回転して、後述する所定の規定位置PH2(図5参照)へ到達したか否かを検出する。第2センサ712は、第1センサ711とは異なるセンサであり、ハンドル22の回転角度を検出する。なお、第2センサ712は、ハンドル22が走行車体2(図1参照)が直進する位置として予め設定された、後述する基準位置PH0(図4および5参照)から左右方向のそれぞれについてハンドル22の回転角度を検出する。
傾斜センサ72は、苗移植機1(走行車体2)の傾きである傾斜角(たとえば、ロール角、ピッチ角)を検出する。
また、制御部100には、操作信号として、たとえば、主変速レバー30、副変速レバー31、苗植付部昇降スイッチ73、線引きマーカ自動昇降スイッチ74、自動旋回切替スイッチ75、モード切替スイッチ76などから信号が入力される。
苗植付部昇降スイッチ73は、苗植付部3を昇降を切り替えるスイッチである。苗植付部昇降スイッチ73は、「上昇」および「下降」位置に変更可能である。苗植付部昇降スイッチ73が「上昇」位置にあるときは、苗植付部3は、所定の非作業位置まで上昇し、植付装置36(図1参照)が停止する非作業状態(苗植付部3の切状態)となる。苗植付部昇降スイッチ73が「下降」位置にあるときは、苗植付部3は、所定の作業位置まで下降し、植付装置36が作動する作業状態(苗植付部3の入状態)となる。すなわち、苗植付部昇降スイッチ73は、苗植付部3の作業状態が検出可能なスイッチである。
線引きマーカ自動昇降スイッチ74は、ハンドル22の操舵量(すなわち、前輪11の操舵量)に連動して線引きマーカ(図示せず)を自動的に昇降させるか否かを切り替えるスイッチである。線引きマーカ自動昇降スイッチ74が「ON」のときは、操舵量に連動して線引きマーカを自動的に昇降させる制御が実行される。一方、線引きマーカ自動昇降スイッチ74が「OFF」のときは、操舵量に連動して線引きマーカを自動的に昇降させる制御は実行されない。
自動旋回切替スイッチ75は、操縦者が苗移植機1を手動で操縦する場合において自動旋回の実行を可とするか不可とするかを切り替えるスイッチである。なお、自動旋回切替スイッチ75が「ON」のときは、自動旋回の実行を可とする。自動旋回切替スイッチ75が「OFF」のときは、自動旋回の実行を不可とする。モード切替スイッチ76は、苗移植機1(走行車体2)の自律走行を実行するか否かを切り替えるスイッチである。
また、制御部100には、角速度検出部80が接続され、角速度検出部80から、たとえば、旋回中の機体(走行車体2)の実測のヨー角θ1(図5参照)などが入力される。角速度検出部80は、走行車体2の上下方向の軸まわりの角速度を測定するヨー方向角速度センサであり、機体のヨー方向の角速度が検出することで、機体のヨー角θ1が検出可能である。
また、制御部100には、リモコン装置90が相互通信可能に接続され、リモコン装置90から各種信号や情報が入力される。なお、制御部100には、たとえば、走行車体2(図1参照)に設けられた受信機(図示せず)を介して、リモコン装置90から各種信号や情報が入力される。
リモコン装置90は、たとえば、苗移植機1の遠隔操作を受け付ける遠隔操作モードの実行時に、作業者によって操作される。なお、遠隔操作モードでは、作業者がリモコン装置90を操作することで、苗移植機1の遠隔操作が可能となる。リモコン装置90は、たとえば、液晶画面などの表示部を有する携帯端末装置であり、タブレット端末装置であることが好ましい。
この他、制御部100には、方位センサ(図示せず)などが接続されるてもよい。方位センサは、たとえば、機体(走行車体2)の進行方向の絶対方位角(たとえば、「北」を0°(360°)、「東」を90°、「南」を180°、「西」を270°)を検出する。方位センサは、一定時間ごとに絶対方位角を検出し、検出した絶対方位角を制御部100へ送信する。
制御部100は、操舵量センサ71(第1センサ711および第2センサ712)の検出結果に基づいて、ステアリングモータ66を介してハンドル22を制御する。制御部100は、ハンドル22を制御しつつ、位置情報取得部50によって取得された走行車体2の位置情報および角速度検出部80によって検出された走行車体2の実測のヨー角θ1に基づいて、走行車体2の直進制御および旋回制御を行う。
<圃場内における自律走行>
次に、図3を参照して圃場F内における苗移植機1(走行車体2)の自律走行について説明する。図3は、圃場F内における自律走行の説明図である。なお、図3には、圃場F内を自律走行する苗移植機1(走行車体2)の様子を模式的に示している。
制御部100(図2参照)は、前輪11(図1参照)の操舵量をフィードバックしながらハンドル22(図1および2参照)を制御して、走行車体2を自律走行させる自律走行モードを有する。
制御部100は、自律走行モードでは、上記したように、ハンドル22を制御して走行車体2の進行方向を制御する。制御部100は、自律走行モードにおいては、エンジンE(図1および2参照)の回転数を制御して走行速度(車速)を制御する。制御部100は、自律走行モードでは、ブレーキ操作を行うことで車速を制御する場合もある。
図3に示すように、自律走行モードでは、苗移植機1は、畦Fで区画された圃場F内に予め設定された予定走行経路Rに沿って、たとえば、直進および旋回を繰り返しながら苗の植え付け作業を自動で行う。なお、制御部100は、上記したように、機体上部に設けられた位置情報取得部50(図1参照)を介して、苗移植機1(走行車体2)の現在の位置情報(自己位置P)や旋回位置に関する情報を取得する。
制御部100は、苗移植機1(走行車体2)を自律走行させる場合、たとえば、苗植付部3の作業幅、圃場Fの形状や面積などが含まれる情報などに基づいて適切な旋回位置などが規定された予定走行経路R(R1,R2)を作成する。
この場合、苗移植機1は、たとえば、圃場F内に設定された作業エリア内で作業を行うよう、予め設定された作業開始点Pから作業終了点Pまで、予定走行経路Rに沿って直進と旋回とを繰り返しながら苗の植え付け作業を行う。
予定走行経路R1は、直進経路Rと、旋回経路Rとを有する。制御部100は、直進経路Rでは、苗移植機1(走行車体2)が直進しながら苗を植え付けるよう苗移植機1に実行させる。また、制御部100は、旋回経路Rでは、直進から次の直進(次工程)へ移行するために苗移植機1(走行車体2)が180度旋回するよう苗移植機1に実行させる。
予定走行経路R2は、たとえば、圃場Fの枕地領域(圃場Fの枕地を含む内周縁領域をいう)における直進経路と90度旋回する旋回経路とを組み合わせた経路(枕地経路ともいう)である。制御部100は、枕地経路では、圃場Fの枕地領域において苗を植え付ける枕地工程を苗移植機1に実行させる。なお、図3においては、予定走行経路R2における作業終了点Pの図示を省略している。
<旋回制御>
次に、図4~7を参照して旋回制御(旋回アシスト制御ともいう)について説明する。図4は、ステアリングハンドル(ハンドル)22の説明図である。図5は、旋回制御の説明図である。図6は、第3ブロックB3におけるステアリング補正の説明図である。
図4に示すように、ハンドル22は、走行車体2(図1および3参照)を直進させる位置(ハンドル22の向き)を基準位置PH0として、基準位置PH0から左右方向へそれぞれ最大位置(ステアリングロック位置ともいう)PH1まで回転する範囲内で前輪11(図1参照)を操舵可能である。なお、前輪11は、ハンドル22が左右のいずれかの最大位置PH1へ到達すると、左右方向のいずれかへの操舵量(操舵角、切れ角)が最大となる。また、ハンドル22の基準位置PH0は、たとえば、モニタ291から変更可能である。
制御部100(図3参照)は、上記したように、ハンドル22を制御して走行車体2の旋回制御を行う。図5に示すように、制御部100は、旋回制御において、走行車体2が旋回を開始する位置から旋回を終了する位置(次の直進経路Rの作業開始位置PS1)へ到達するまでの旋回経路Rで、第1ブロックB1と、第2ブロックB2と、第3ブロックB3とを含む複数(本実施形態では、第1ブロックB1~第3ブロックB3の3つ)のブロックに分けて、ハンドル22を制御する。
第1ブロックB1は、ハンドル22を回し始めてから、ハンドル22が基準位置PH0から所定の規定位置PH2へ到達するまでの間である。第2ブロックB2は、ハンドル22が規定位置PH2へ到達してから角速度検出部80(図3参照)によって検出された走行車体2のヨー角(以下、「実測のヨー角」という)θ1が所定の規定値θへ達するまでの間である。第3ブロックB3は、実測のヨー角θ1が規定値θとなってから、ハンドル22を戻し始めてからハンドル22が基準位置PH0へ再度到達するまでの間である。
このように、制御部100が複数(3つ)のブロック(第1ブロックB1~第3ブロックB3)に分けてハンドル22を制御することで、走行車体2の旋回中、リアルタイムでスリップ量を検出することができ、スリップ量に応じて、ハンドル22の回転を補正することができる。これにより、より精密な旋回制御を行うことができ、作業性の低下を抑制することができる。なお、本実施形態では、第1ブロックB1~第3ブロックB3の3つのブロックに分けてハンドル22を制御するが、旋回中の走行車体2やハンドル22の動きに基づいてさらに分けてもよい。すなわち、第4ブロック、第5ブロック、・・・のように、さらに細分化してもよい。
また、制御部100は、第1ブロックB1において、実測のヨー角θ1と、スリップなどの外乱がない場合の走行車体2の理想のヨー角(以下、「理想のヨー角」という)θ2との差に基づいて、ハンドル22を制御する。このように、旋回中における走行車体2の実測のヨー角θ1と理想のヨー角θ2との差をとることで、この差から旋回中の走行車体2の旋回状況を推定することができる。
また、制御部100は、ハンドル22の回転角度および走行車体2の走行速度(車速)から理想のヨー角θ2を算出する。このように、制御部100は、旋回中における走行車体2の理想のヨー角θ2を求めることができる。なお、制御部100は、ハンドル22の回転角度および走行車体2の走行速度(車速)に基づいて予め作成されたテーブルを有しており、理想のヨー角θ2を算出にはこのテーブルを用いる。
また、制御部100は、第2ブロックB2において、走行車体2のホイールベース(前輪11の軸と後輪12の軸との間の距離)およびトレッド(左右の前輪11の間の距離)によって理想のヨー角θ2の算出方法を変更する。また、制御部100は、第2ブロックB2において、苗植付部3(図1参照)による苗の植え付け条数によって理想のヨー角θ2の算出方法を変更してもよい。このように、ホイールベースおよびトレッド、または、苗の植え付け条数によって理想のヨー角θ2の算出するため、理想のヨー角θ2を求めることができるうえ、苗移植機1(図1参照)ごとの理想のヨー角θ2を簡単に求めることができる。なお、制御部100は、ホイールベースおよびトレッドや、苗の植え付け条数に基づいて予め作成されたテーブルを有し、このテーブルを用いて理想のヨー角θ2を算出してもよい。
また、制御部100は、第2ブロックB2(図5参照)において、実測のヨー角θ1と理想のヨー角θ2とを比較し、理想のヨー角θ2が実測のヨー角θ1よりも大きい場合には、ハンドル22を戻すように制御する、このように、旋回中における走行車体2の理想のヨー角θ2が大きい場合にはハンドル22の回転を補正(「ステアリング補正」ともいう)することができ、より精密な旋回制御を行うことができる。
ここで、上記したモニタ291(図3参照)は、ハンドル22の回転量(ハンドル22の回転による操舵量の度合い)の予め設定される設定値を、プラス側またはマイナス側へ変更する操作を受け付ける。図6に示すように、制御部100は、第3ブロックB3においてスリップを検出した場合、モニタ291が設定値のプラス側へ変更する操作を受け付けた場合にはハンドル22の戻し方向への回転(ステアリング補正)を増大する。また、制御部100は、第3ブロックB3においてスリップを検出した場合、モニタ291が設定値のマイナス側へ変更する操作を受け付けた場合にはハンドル22の戻し方向への回転(ステアリング補正)を減少する。
また、制御部100は、第3ブロックB3において、モニタ291が設定値のマイナス側へ最大変更する操作を受け付けた場合にはハンドル22を戻す制御を行わない。このように、ハンドル22の回転量の設定値がプラス側へ変更された場合には走行車体2を大回りさせることができる。また、ハンドル22の回転量の設定値がマイナス側へ変更された場合には走行車体2を小回りさせることができる。さらに、ハンドル22の回転量の設定値がマイナス側へ最大変更された場合にはハンドル22を戻す制御を行わない。これにより、ハンドル22の回転量の設定値のプラス側・マイナス側へ変更した値に応じて走行車体2の旋回を調整することができ、より精密な旋回制御を行うことができる。
また、制御部100は、走行車体2のヨー角θ1に応じてハンドル22の回転量を変更する。そして、制御部100は、走行車体2の旋回中、ハンドル22が最大位置PH1付近の場合には、ハンドル22の制御を行わない。すなわち、制御部100は、走行車体2の旋回中、ハンドル22が目いっぱい回った状態(または、それに近い状態)である場合には、ハンドル22の制御を行わない。これにより、より精密な旋回制御を行うことができる。なお、制御部100は、走行車体2の走行速度(車速)が所定速度以下の場合も、ハンドル22の制御を行わない。
また、制御部100は、走行車体2の旋回中、ハンドル22が最大位置PH1付近の場合でも、モニタ291が設定値のプラス側へ変更する操作を受け付けている場合には、ハンドル22の制御を行う。すなわち、制御部100は、走行車体2の旋回中、ハンドル22が目いっぱい回った状態でも、ハンドル22の回転量の設定値がプラス側へ変更されている場合(モニタ291からの設定変更によって大回りする可能性がある場合)には、ハンドル22の制御を行う。これにより、より精密な旋回制御を行うことができる。
また、苗移植機1では、上記したように、ハンドル22が規定位置PH2へ到達したか否かは第1センサ711(図2参照)によって検出し、その後のハンドル22の回転は第2センサ712(図2参照)によって検出する。これにより、ハンドル22の精密な制御が可能となり、より精密な旋回制御を行うことができる。
<旋回制御の具体例>
図7A~7Kを参照して、制御部100(図2参照)による旋回制御の具体例について説明する。図7Aは、旋回制御の一例の説明図である。図7Bは、旋回中のスリップによる影響を示す図(グラフ)である。図7Cは、x条植えの場合のハンドル規定値および不感帯を示す図(表)である。図7Dは、y条植えおよびz条植えの場合の旋回アシスト値、ハンドル規定値および不感帯を示す図(表)である。図7Eは、x条植えの場合においてハンドル規定値がゼロのときの不感帯を示す図(表)である。
図7Fは、x条植え、y条植えおよびz条植えの場合の機体角速度を示す図(表)である。図7Gは、x条植えの場合における右旋回および左旋回のステアリング角度を示す図(表)である。図7Hは、図7Gにおける右旋回および左旋回のステアリング角度の関数を示す図(表)である。図7Iは、y条植えおよびz条植えの場合における右旋回および左旋回のステアリング角度を示す図(表)である。図7Jは、x条植え、y条植えおよびz条植えの場合の目標方位を示す図(表)である。図7Kは、x条植え、y条植えおよびz条植えの場合の戻し始め方位を示す図(表)である。
制御部100は、たとえば、苗植付部3(図1参照)を上昇させる操作が行われ、かつ、主変速レバー30(図2参照)が前進の場合に、図7Aに示すように、旋回経路Rに沿って走行車体2を旋回させる。なお、図7Aにおいて、「θp[deg]」は機体方位であり、「r」は旋回半径である。スリップによるずれ量(スリップ量)Dは、たとえば、下記式(1)から算出される。なお、下記式(1)における「C」は定数である。
D=C×2rsinθp×cos(θp/2)・・・(1)
このように、機体方位θpは、「sinθd×cos(θp/2)」に依存する。なお、「θd」はハンドル規定値(図6に示すように、ハンドル22が規定位置PH2にある状態の値)である。図7Bに示すように、旋回中のスリップ時の影響は、旋回中の機体方位θpから想定することができる。なお、スリップによるずれ量(スリップ量)Dが目標線に対して、たとえば、20[cm]の場合には旋回失敗と判断し、旋回制御を終了して停車するように制御されてもよい。この場合、モニタ291(図2参照)やリモコン装置90の液晶画面などに、たとえば、旋回失敗や手動で条合わせを行うことを促す表示などを表示させてもよい。
制御部100は、目標となる旋回経路R(たとえば、図7Cに示すように、苗移植機1の型式がx条植えのa型の場合は、2.4[m])を取得する。なお、図7Dには、他の例として、苗移植機1の型式がy条植えのe型の場合とz条植えのf型の場合とを示している。
たとえば、x条植えの場合、図7C、7E~7Kに示すように、制御部100は、ハンドル22(図6参照)を規定値θdまで回転する。なお、この場合の車速は、たとえば、0.75[m/s]に規制される。この場合のステアリング角速度θdiの上限を、たとえば、「F1(主変速レバー30の位置F1~F5)、1段(HSTレバーの段数1~10):50[deg/s]」、「F1、2段:70[deg/s]」、「F2、3段:90[deg/s]」、「F2、3.5段:110[deg/s]」、「F2、4段:130[deg/s]」、「F2、4.5段:150[deg/s]」、「F3、5段~:170[deg/s]」とする。なお、図7Dに示すように、y条植えやz条植えの場合は、旋回アシスト(左右)値によってハンドル規定値θdを変更する。
制御部100は、操舵量センサ71(図2参照)における第1センサ711(図2参照)がハンドル22の操舵位置が「±3bit」の範囲を検出すると、ステアリングモータ66(図2参照)を停止し、直進制御用のピットマンセンサである第2センサ712(図2参照)の値(bit値)でステアリングモータ66の制御(モータ制御という)を行う。なお、旋回中のハンドル規定値θdは、第2センサ712の基準値となる。また、ハンドル規定値θdは、旋回方向が「+」、戻し方向が「-」となる。また、ハンドル規定値θdは、第2センサ712の1bitに対して0.3[deg]の換算である。また、bit値は、ハンドル22を左右に1周回した後の数値である。
制御部100は、第2センサ712から取得したハンドル22の回転角度θa[deg]と、位置情報取得部50(図2参照)によって取得した走行車体2の走行速度(車速)vとによって理想の機体角速度(すなわち、理想のヨー角θ2)ωi[deg/sec]を算出する。なお、機体角速度ωiは、図7Fに示すように、たとえば、下記式(2)の0.5[sec]移動平均で求める。
ωi=0.071vθa・・・(2)
なお、制御部100は、移動平均中の車速vに0.1[m/s]以下が含まれる場合は走行車体2の停車中と判断し、角速度ωiはゼロとする。また、ハンドル22の回転角度θaは、直進位置のセンサセット値をゼロとし、右旋回が「+」、左旋回が「-」となる。また、ハンドル22の回転角度θaは、第2センサ712の1bitに対して1.25[deg]の換算である。
制御部100は、走行車体2の旋回中に位置情報取得部50によって取得した機体方位θdから実測の角速度(すなわち、実測のヨー角θ2)ωp[deg/sec]を求める。なお、角速度ωpは、データ周期0.1[s]で、現在の機体方位θdの1データ前の機体方位θd(たとえば、下記式(3))のデータ(たとえば、5つ分)の移動平均で求める。
θd=10×(θp-θ(p-1))・・・(3)
x条植えの場合、制御部100は、ハンドル規定値θaまで回転してからハンドル22の制御を開始し、図7Gおよび7Hに示す式に基づいて、ステアリング角度θdi(ハンドル22の回転角度)が不感帯「±3bit」となるようにステアリングモータ66を制御する。なお、図7Gにおける「A」は、旋回方向および機体方位θdによって決定する、図7Hに示す値となる。ただし、ステアリング角度θdiは、「θd-100≦θdi≦θd+20」の範囲となる。また、「(ωp-ωi)<0」のとき、または、「ωi=0」のときは、「(ωp-ωi)=0」とする。また、モニタ291(図2参照)やリモコン装置90の液晶画面などにおいては、標準を「0」として「-10~+10」の値をとる。この場合、「-10」のとき、ハンドル規定値θdからさらにハンドル22を、たとえば、「20°」回転する。
また、「ωp-ωi」は、単位[deg/sec]であり、おおよそ「0~5」の値をとり、最大で「10」程度である。上記した「sinθ×cos(θp/2)」は、「0~0.77」の値をとる。このような式を乗算することで、機体方位によって制御量を変えることができる。なお、「θdi」は、旋回アシスト(左右)標準値であり、最大「θd-100[deg]」程度となるよう設定している。また、ステアリング角度(ハンドル22の回転角度)は、旋回中の基準位置から末切り方向へ「20°」、切り戻し方向へ100°を上限として、その範囲で制御する。たとえば、スリップがない「(ωp-ωi)=0」のとき、旋回アシスト(左右)標準値で「0°」、最大値「+10」で「-20°」、最小値「-10」で「+20°」として、ハンドル22を末切りへ切る(回転する)。
たとえば、y条植え、z条植えの場合、制御部100は、ハンドル規定値まで回転してからステアリング制御を開始し、図7Iに示す式に基づいて、第2センサ712によるステアリング角度θaが不感帯「±3bit」となるようにステアリングモータ66を制御する。この場合、旋回アシスト(左右)標準値が「+10~0(狭く~標準)」のとき、「θa=θd」とする。また、旋回アシスト(左右)標準値が「+1~+10(広く)」のとき、かつ、「|ωp-ωi|≧3」のときは、不感帯「±3bit」となるようにステアリングモータ66を制御する。ただし、ステアリング角度θaは、「θd-100≦θa≦θd」の範囲とする。
そして、目標方位から「60°」手前の時点でステアリング制御を終了し、ステアリング角度を「θd」にし、第2センサ712による制御に戻す。なお、旋回アシスト(左右)は、モニタ291やリモコン装置90の液晶画面などに表示される「旋回アシスト(右)、(左)」の値を参照し、標準を「0」として「-10~+10」の値をとる。目標方位は、GNSSなどの機体方位で「-90~+90」の値をとる。また、目標方位に対して「60°」手前で「0.5[m/s]」に減速し、その間も角速度ωpの監視は続ける。
ハンドル22を戻し始める機体方位θstは、たとえば、x条植えの右旋回の場合、たとえば、下記式(4)で求める。
θst=0-1.2×ωp[deg]・・・(4)
「θst」は、GNSSなどから得られる機体方位であり、基準線に平行な方位が「0」、右回りが「+」となり、「-90~+90」の値をとる。なお、旋回アシスト(左右)は、モニタ291やリモコン装置90の液晶画面などに表示される「旋回アシスト(右)、(左)」の値を参照し、標準を「0」として「-10~+10」の値をとる。
制御部100は、現在の機体方位が「θ>θst」となると、ハンドル22を戻し始める。このとき、角速度が「170°」を上限として回転する。そして、制御部100は、ステアリング角度(ハンドル22の回転角度)が「75°」以下で旋回制御を終了する。
なお、上記した旋回制御では、旋回内側となる後輪12(図1参照)の回転数による旋回補正制御は行わない。また、上記した旋回制御では、左右の旋回制御の調整のために、旋回中のステアリング操舵量(y条植え、z条植えでは、旋回終了時の目標方位)が変更可能である。また、苗移植機1の型式によって旋回時の理想の機体角速度ωiの計算に用いる数値を変更してトレッドや苗の植え付け条間の違いに対応している。また、直進制御中の操舵指令角度範囲を「±150°」から「145°」とすることで、「150°」の指令が出たときにセンサ範囲を超えてエラーになることを防ぐことができる。
また、制御部100は、ハンドル22を制御して走行車体2を自律走行させる自律走行モードを実行するために、作業を行う圃場F内で走行車体2を走行させて圃場情報(圃場の形状などの情報)を取得するティーチング制御を行う。
<ティーチング制御>
次に、図8を参照して制御部100によるティーチング制御について説明する。図8は、ティーチング制御の説明図である。
図8に示すように、作業を行う圃場Fが矩形状ではない、たとえば、L字形状のような異形である場合、制御部100(図2参照)は、苗移植機1の直進走行軌跡LS1~LS3から圃場Fの3辺(畦F)の長さが異なるか否かを判定し、判定結果から圃場Fが矩形状でないことを判断する。
制御部100は、ティーチング制御において、3辺の畦Fによる圃場Fの外形を苗移植機1へと教示する。
制御部100は、一方の畦FR1においては苗移植機1を自動で旋回させる制御を行う。また、制御部100は、他方の畦FR2においては、苗移植機1を自動で一時停止し、一時停止した後にリモコン装置90が受け付けた作業者Wの手動操作に基づいて、他方の畦FR2で、たとえば、苗や肥料などの資材補給のために、苗移植機1を畦寄せさせる制御を行う。
この場合、制御部100は、他方の畦FR2において、作業者Wが苗移植機1を畦寄せさせることなく次工程へ進みたい場合には、リモコン装置90が受け付けた作業者Wの手動操作に基づいて他方の畦FR2における畦寄せをスキップして、苗移植機1を次工程へ向けて自動で旋回させる。
圃場Fの大きさによっては資材補給を毎回行わないこともあるため、他方の畦FR2で畦寄せさせることなく作業を継続させたい場合、リモコン装置90が受け付けた操作(作業者の手動操作)に基づいて自動旋回させて作業を継続させることができる。これにより、作業性を向上させることができる。
なお、畦寄せされた苗移植機1は、たとえば、リモコン装置90において「自動再開」操作がなされることで、自動旋回して次工程の作業へと移行する。
また、制御部100による畦寄せをスキップする制御は、通常作業時の畦寄せ機能にも適用することができる。この場合、畦寄せスキップ操作を次回の畦寄せ分のみ受け付け、資材補給のタイミングを逃して空作業することを防止するために、先行して連続で畦寄せスキップ操作を受け付けない。なお、畦寄せスキップ操作をキャンセル可能としてもよい。また、畦寄せスキップ中は、モニタ291(図2参照)やリモコン装置90の液晶画面などに畦寄せしないことを表示させてもよい。また、畦寄せスキップをキャンセルした場合も、モニタ291やリモコン装置90の液晶画面などにキャンセルしたことを表示させてもよい。
また、複数回の畦寄せスキップ操作を受け付け可能とし、キャンセル操作を受け付けることで畦寄せさせてもよい。これにより、畦寄せスキップ操作を都度行うという煩わしさを緩和することができる。また、複数回の畦寄せスキップ操作を受け付け可能な場合、たとえば、3回の畦寄せスキップ操作を受け付けて1回のキャンセル操作を受け付けた場合には2回の畦寄せスキップとなるように、畦寄せスキップの回数を調整可能としてもよい。また、モニタ291やリモコン装置90の液晶画面などに畦寄せスキップの回数を表示させてもよい。なお、自律走行モードから遠隔操作モードや手動操作モードへとモードが変更された場合には、畦寄せスキップはすべて自動でキャンセルされる。
<アグリサポートのマップベース制御システム>
図9は、マップベース制御システム200の概略構成図である。図9に示すように、制御部100によって、自律走行可能な作業車両(たとえば、苗移植機)1(図1参照)による作業関連情報を生成するアグリサポートシステムは、施肥マップや薬剤の散布マップなどのマップデータを用いたマップベース制御システム200を備える。
マップベース制御システム200は、本機(苗移植機1)の制御部100と、予め作成されたデータベース部210と、端末装置(たとえば、タブレット端末)220と、オフラインコントローラ(オフラインECU)230と、GNSS240と、可変制御用ECU250と、GPSセンサ260とを備える。
このようなマップベース制御システム200によれば、別コンソールなどのシステムの追加装備を用意する必要がないため、システムの複雑化を抑えることができる。
また、マップベース制御システム200は、端末装置220においてデータベース部210からマップデータを読み込んだ後、端末装置220に設けられた田植え作業記録のための「開始ボタン」が押下された後も施肥設定の修正が可能な構成である。これにより、作業者は、作業開始後、実際の施肥状況を見ながら思いどおりの施肥を行うことができる。
また、マップベース制御システム200は、端末装置220においてデータベース部210からマップデータを読み込んだ後、端末装置220に設けられた田植え作業記録のための「開始ボタン」をマップでの現在地データ送信処理の開始キーとする構成である。本機(苗移植機1)がどこにいるかが重要であるため、本機(苗移植機1)の現在位置を制御部100へ常時送信することができる。
また、マップベース制御システム200は、端末装置220においてデータベース部210からマップデータを読み込んだ後、マップデータの読み込みが完了したことを現在地データ送信処理の開始キーとする構成である。本機(苗移植機1)がどこにいるかが重要であるため、本機(苗移植機1)の現在位置を制御部100へ常時送信することができる。
また、マップベース制御システム200は、田植え作業中においてマップデータ上のどのあたりに本機(苗移植機1)がいるか予め定められた「エリアナンバー」を表示する構成である。これにより、作業者(ユーザ)ごとでごとで場所が異なる場合やGPSセンサ260の故障などを確認することができる。また、マップベース制御システム200は、田植え作業中においてマップデータ上のどのあたりに本機(苗移植機1)がいるか地図で表示する構成である。これにより、作業者(ユーザ)ごとで場所が異なる場合やGPSセンサ260の故障などを確認することができる。
また、マップベース制御システム200は、田植え作業中においてもリアルタイム方式へ切り替え可能な構成である。このように、リアルタイム方式のシステムを併用可能とすることで、作業者(ユーザ)のニーズに応じた対応が可能となる。
リアルタイム方式へ切り替え可能な構成である場合、端末装置220上におけるボタン操作によって切り替え可能となる。これにより、簡単な操作でリアルタイム方式へ切り替えることができる。なお、リアルタイム方式へ切り替える装備が備わっていない場合には、端末装置220上のボタンが非表示になるように構成されてもよい。これにより、誤操作を防止することができる。
また、マップベース制御システム200は、端末装置220に設けられた田植え作業記録のための「終了ボタン」が押下された後にリアルタイム方式と同様の減肥率マップを表示する構成である。このように、リアルタイム方式のシステムを併用可能とすることで、作業者(ユーザ)のニーズに応じた対応が可能となる。
また、マップベース制御システム200は、マップデータを用いて作成した実績(設定)をリアルタイム方式においても呼び出し可能な構成である。このように、リアルタイム方式のシステムを併用可能とすることで、作業者(ユーザ)のニーズに応じた対応が可能となる。なお、マップデータを用いて作成した実績(設定)は、マップデータ装備には呼び出し不可とする。これにより、誤操作を防止することができる。
モニタ291(図2参照)やリモコン装置90の液晶画面などに直進制御および旋回制御を実行していることを表示する構成としても良い。また、上記とは別のモニタであっても良い。例えば、走行機体に連結する逆U字状の支持フレームに支持され、新たなモニタ(図示省略)の下方に、前後方向に開口する空間が形成され、新たなモニタには、前記自動走行に関する情報として、自動操舵状態であることを示す表示と、走行機体の走行方向のズレを示す表示とが表示される構成であっても良い。
この新たなモニタは、自動走行に関する情報が表示され、上端ほど前方に変位する傾斜姿勢で備えられている。
この新たなモニタは、旋回制御および自動直進が可能となった場合、旋回制御および自動直進が可能となったことを表示する。また、モニタ291(図2参照)やリモコン装置90に表示しても良い。
また、図4のように、レバー操作部材207は、単一の操作部材であって、複数の操作方向に操作可能に構成し、レバー操作部材207を操作すると位置情報により基準位置を取得し、基準位置が取得された状態で前記レバー操作部材207を操作すると自動直進による自動直進走行が「入」になると共に、自動直進走行が「入」であるときに操作部材207を操作すると自動直進が「切」になり、レバー操作部材207を第1の方向W2に操作すると基準位置を取得し、基準位置を取得した状態で、レバー操作部材207を前記第1の方向W2に所定時間操作すると前記取得した基準位置を削除し、レバー操作部材207を第2の方向W1に操作すると自動直進が「入」になる。
レバー操作部材207はステアリングポストSPに備えられ、ステアリングの真下に配置されている。
レバー操作部材207により旋回制御を「入」できる構成でも良い。また、植付部3を上昇操作することで旋回制御を「入」できる構成としても良い。
基準位置を少なくとも2点取ることで、直進制御の目標方位を設定することができる。直進する工程の始点と終点の両方を取得し、始点と終点に基づいて目標方位が設定される。この目標方位に沿うように直進制御が行われる。
また、この目標方位は、機体の走行軌跡に基づいて目標方位を設定しても良い。また、目標方位の設定に関する情報をモニタに表示しても良い。また、始点の設定後に機体が予め設定された距離を走行した後に、のレバー操作部材207の操作による終点の設定が可能となるように構成され、レバー操作部材207の操作による終点の設定が可能となった場合、モニタは、終点の設定が可能となったことを表示する構成としても良い。
また、設定が可能な条件には、位置情報が正常に取得できる電波状況であることが含まれる。
上述してきた実施形態により、以下の作業車両1が実現される。
(1)走行車輪(前輪11および後輪12)を有し、圃場F内を走行可能な走行車体2と、走行車体2に設けられ、圃場F内で作業を行う作業機3と、走行車輪11,12の操舵量を調整するために回転可能なステアリングハンドル22と、走行車体2の位置情報を取得する位置情報取得部50と、走行車体2のヨー角θ1を検出可能な角速度検出部80と、ステアリングハンドル22を制御しつつ、位置情報取得部50によって取得された走行車体2の位置情報および角速度検出部80によって検出された走行車体2のヨー角θ1に基づいて、走行車体2の直進制御および旋回制御を行う制御部100とを備え、制御部100は、旋回制御において、ステアリングハンドル22を回し始めてからステアリングハンドル22が基準位置PH0から所定の規定位置PH2へ到達するまでの第1ブロックB1と、ステアリングハンドル22が規定位置PH2へ到達してから角速度検出部80によって検出された走行車体2のヨー角θ1が所定の規定値θへ達するまでの第2ブロックB2と、ステアリングハンドル22を戻し始めてからステアリングハンドル22が基準位置PH0へ再度到達するまでの第3ブロックB3とを含む複数のブロック(B1,B2,B3)に分けて、ステアリングハンドル22を制御する、作業車両1。
このような作業車両1によれば、走行車体2の旋回中、リアルタイムでスリップ量を検出することができ、スリップ量に応じて、ステアリングハンドル22の回転を補正することができる。これにより、より精密な旋回制御を行うことができ、作業性の低下を抑制することができる。
(2)上記(1)において、制御部100は、第1ブロックB1において、角速度検出部80によって検出された走行車体2のヨー角θ1と、外乱がない場合の走行車体2の理想のヨー角θ2との差に基づいて、旋回制御を行う、作業車両1。
このような作業車両1によれば、上記(1)の効果に加えて、旋回中における走行車体2の実測のヨー角θ1と、スリップなどの外乱がない場合の走行車体2の理想のヨー角θ2との差から、旋回中の走行車体2の旋回状況を推定することができる。
(3)上記(2)において、制御部100は、第2ブロックB2において、ステアリングハンドル22の回転角度および走行車体2の走行速度から、走行車体2の理想のヨー角θ2を算出する、作業車両1。
このような作業車両1によれば、上記(2)の効果に加えて、旋回中における走行車体2の理想のヨー角θ2を求めることができる。なお、この場合は、ステアリングハンドル22の回転角度および走行車体2の走行速度に基づいて予め作成されたテーブルを用いるとよい。
(4)上記(2)または(3)において、作業機3は、圃場Fに苗を植え付ける苗植付部(苗植付部3)であり、制御部100は、第2ブロックB2において、走行車体2の理想のヨー角θ2の算出方法を、走行車体2におけるホイールベースおよびトレッドによって変更するか、または、苗植付部3による苗の植え付け条数によって変更する、作業車両1。
このような作業車両1によれば、上記(2)または(3)の効果に加えて、旋回中における走行車体2の理想のヨー角θ2を求めることができるうえ、機体(苗移植機1)ごとの理想のヨー角θ2を簡単に求めることができる。
(5)上記(2)~(4)のいずれかにおいて、制御部100は、第2ブロックB2において、角速度検出部80によって検出された走行車体2のヨー角θ1と走行車体2の理想のヨー角θ2とを比較し、走行車体2の理想のヨー角θ2が角速度検出部80によって検出された走行車体2のヨー角θ1よりも大きい場合には、ステアリングハンドル22を戻すように制御する、作業車両1。
このような作業車両1によれば、上記(2)~(4)のいずれかの効果に加えて、旋回中における走行車体2の理想のヨー角θ2が大きい場合にはステアリングハンドル22の回転を補正することができるため、より精密な旋回制御を行うことができる。
(6)上記(5)において、ステアリングハンドル22の回転量の予め設定される設定値をプラス側またはマイナス側へ変更する操作を受け付けるモニタ291を備え、制御部100は、第3ブロックB3において、モニタ291が設定値のプラス側へ変更する操作を受け付けた場合にはステアリングハンドル22の戻し方向への回転を増大し、モニタ291が設定値のマイナス側へ変更する操作を受け付けた場合にはステアリングハンドル22の戻し方向への回転を減少し、モニタ291が設定値のマイナス側へ最大変更する操作を受け付けた場合にはステアリングハンドル22を戻す制御を行わない、作業車両1。
このような作業車両1によれば、上記(5)の効果に加えて、ステアリングハンドル22の回転量の設定値がプラス側へ変更された場合には、旋回中に走行車体2を大回りさせる。また、ステアリングハンドル22の回転量の設定値がマイナス側へ変更された場合には、旋回中に走行車体2を小回りさせる。また、ステアリングハンドル22の回転量の設定値がマイナス側へ最大変更された場合には、旋回中のステアリングハンドル22を戻す制御を行わない。これにより、ステアリングハンドル22の回転量の設定値のプラス側・マイナス側へ変更した値に応じて走行車体2の旋回を調整することができ、より精密な旋回制御を行うことができる。
(7)上記(6)において、制御部100は、走行車体2のヨー角θ1に応じてステアリングハンドル22の回転量を変更し、旋回中におけるステアリングハンドル22がステアリングハンドル22の最大位置PH1付近の場合にはステアリングハンドル22の制御を行わず、旋回中におけるステアリングハンドル22がステアリングハンドル22の最大位置PH1付近の場合でもモニタ291が設定値のプラス側へ変更する操作を受け付けている場合にはステアリングハンドル22の制御を行う、作業車両1。
このような作業車両1によれば、上記(6)の効果に加えて、旋回中において、ステアリングハンドル22が目いっぱい回った状態(または、それに近い状態)である場合には、ステアリングハンドル22の制御を行わない。ステアリングハンドル22が目いっぱい回った状態でも、ステアリングハンドル22の回転量の設定値がプラス側へ変更されている場合には、ステアリングハンドル22の制御を行う。すなわち、ステアリングハンドル22が目いっぱい回った状態状態でも、モニタ291からの設定変更によって大回りする可能性がある場合には、ステアリングハンドル22の制御を行う。これにより、より精密な旋回制御を行うことができる。
(8)上記(1)~(7)のいずれかにおいて、ステアリングハンドル22が規定位置PH2へ到達したか否かを検出する第1センサ711と、第1センサ711とは異なるセンサであり、ステアリングハンドル22の回転を検出する第2センサ712とを備え、制御部100は、第1センサ711および第2センサ712の検出結果に基づいてステアリングハンドル22を制御する、作業車両1。
このような作業車両1によれば、上記(1)~(7)のいずれか一つの効果に加えて、ステアリングハンドル22が規定位置PH2へ到達したか否かを第1センサ711によって検出し、ステアリングハンドル22が規定位置PH2へ到達した後は第2センサ712によって検出することができる。これにより、ステアリングハンドル22の精密な制御が可能となり、より精密な旋回制御を行うことができる。
(9)上記(1)~(8)のいずれかにおいて、作業機3は、圃場Fに苗を植え付ける苗植付部(苗植付部3)であり、制御部100は、3辺の畦Fによる圃場Fの外形を作業車両1へ教示するためのティーチング制御において、一方の畦FR1においては、作業車両1を自動で旋回させる制御を行い、他方の畦FR2においては、作業車両1を自動で一時停止し、一時停止した後にリモコン装置90が受け付けた操作に基づいて、他方の畦FR2で作業車両1の畦寄せ制御を行い、制御部100は、他方の畦FR2において、リモコン装置90が受け付けた操作に基づいて他方の畦FR2における畦寄せをスキップして作業車両1を次工程へ向けて自動で旋回させる、作業車両1。
このような作業車両1によれば、上記(1)~(8)のいずれかの効果に加えて、3辺の畦Fによる圃場Fの外形を教示するためのティーチング制御(3辺ティーチング)において、他方の畦FR2で畦寄せまたは旋回する場合、リモコン装置90が受け付けた操作(手動操作)に基づいて自動旋回させて作業を継続させることができる。これにより、作業性を向上させることができる。
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
1 作業車両(苗移植機)
2 走行車体
3 作業機(苗植付部)
11 走行車輪(前輪)
12 走行車輪(後輪)
22 ステアリングハンドル(ハンドル)
50 位置情報取得部
80 角速度検出部
90 リモコン装置
100 制御部
291 モニタ
711 第1センサ
712 第2センサ
B1 第1ブロック
B2 第2ブロック
B3 第3ブロック
F 圃場

R1 一方の畦
R2 他方の畦
H0 基準位置
H1 最大位置
H2 規定位置
θ1 実測のヨー角
θ2 理想のヨー角
θ 規定値

Claims (4)

  1. 走行車輪を有し、圃場内を走行可能な走行車体と、
    前記走行車体に設けられ、圃場内で作業を行う作業機と、
    前記走行車輪の操舵量を調整するために回転可能なステアリングハンドルと、
    前記走行車体の位置情報を取得する位置情報取得部と、
    前記走行車体のヨー角を検出可能な角速度検出部と、
    前記ステアリングハンドルを制御しつつ、前記位置情報取得部によって取得された前記走行車体の位置情報および前記角速度検出部によって検出された前記走行車体のヨー角に基づいて、前記走行車体の直進制御および旋回制御を行う制御部と
    を備え、
    前記旋回制御を実行していることを示す表示部を備えたことを特徴とする作業車両。
  2. 前記旋回制御が可能となった場合、前記表示部は、前記旋回制御が可能となったことを表示することを特徴とする請求項1に記載の作業車両。
  3. 前記旋回制御を実行可能な一つの操作具が備えられ、
    搭乗者が搭乗する搭乗部と、
    前記搭乗部において支持部材に支持されるとともに前記走行車輪の操向操作を可能な操
    向操作具と、が備えられ、
    前記操作具は、前記支持部材の上部、かつ、前記操向操作具の真下に配置されていることを特徴とする請求項1または2に記載の作業車両。
  4. 前記制御部は、
    前記旋回制御において、前記ステアリングハンドルを回し始めてから該ステアリングハンドルが基準位置から所定の規定位置へ到達するまでの第1ブロックと、前記ステアリングハンドルが前記規定位置へ到達してから前記角速度検出部によって検出された前記走行車体のヨー角が所定の規定値へ達するまでの第2ブロックと、前記ステアリングハンドルを戻し始めてから該ステアリングハンドルが前記基準位置へ再度到達するまでの第3ブロックとを含む複数のブロックに分けて、前記ステアリングハンドルを制御し、
    前記位置情報により前記直進制御の目標方位を設定する操作具が備えられ、
    前記操作具の操作によって直進の始点及び終点の両方を設定可能な一つの操作具であり、
    前記始点と前記終点に基づいて前記目標方位を算出することを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の作業車両。
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