(作業車両の概要)
まず、図1および図2を参照して第1実施形態に係る作業車両1の概要について説明する。図1は、作業車両1を示す側面図である。図2は、作業車両1を示す平面図である。
なお、以下の説明では、前後方向とは、作業車両1の直進時における進行方向であり、進行方向の前方側を「前」、後方側を「後」と規定する。作業車両1の進行方向とは、直進時において、操縦席41からハンドル35(ステアリング装置)に向かう方向である(図1および図2参照)。
左右方向とは、前後方向に対して水平に直交する方向であり、「前」側へ向けて左右を規定する。すなわち、操縦者(作業者ともいう)が操縦席41に着席して前方を向いた状態で、左手側が「左」、右手側が「右」である。
上下方向とは、鉛直方向である。前後方向、左右方向および上下方向は互いに直交する。各方向は説明の便宜上定義したものであり、これらの方向によって本発明が限定されるものではない。
実施形態では、作業車両1を、圃場作業装置として苗植付部4を備え、圃場に苗を受け付ける乗用型の苗移植機1として説明する。図1および図2に示すように、苗移植機1は、走行車体2の後側に昇降リンク機構3を介して、圃場に苗を植え付ける昇降可能な苗植付部4を備える。
走行車体2の後部上側には施肥装置5の本体部分が配置される。なお、作業車両1が苗移植機1ではない場合、種子を供給する播種装置などを作業装置として備える場合がある。
走行車体2は、車輪であり駆動輪である、左右の前輪10および後輪11を備える四輪駆動車両である。走行車体2の車体骨格を構成するメインフレーム15の前側には、苗植付部4などに駆動力を伝達するミッションケース13と、エンジン30から供給される駆動力、すなわち、エンジン30で発生した回転をミッションケース13に出力する油圧式の無段変速装置14とが設けられる。
無段変速装置14は、いわゆるHST(Hydro Static Transmission)と呼ばれる静油圧式の無段変速機である。以下では、無段変速装置がHST14である場合を説明する。
ミッションケース13内には、高速モードでの路上走行時や、低速モードでの苗の植え付け時などにおける走行車体2の走行モードを切り替える副変速機構16が設けられる。ミッションケース13の左右側方には、前輪ファイナルケース10aが設けられ、左右の前輪ファイナルケース10aの操向方向を変更可能な前輪支持部からそれぞれ外向きに突出する左右の前車軸10bに前輪10が取り付けられる。
また、メインフレーム15の後部側には、横方向に設けられた後部フレーム22(図2参照)の左右両側に後輪ギヤケース11aが取付けられ、後輪ギヤケース11aからそれぞれ外向きに突出する左右の後車軸11bに後輪11がそれぞれ取り付けられる。
また、後部フレーム22の上部には、昇降リンク機構3を支持する左右のリンク支持フレーム23が上方に向けて突設される。左右のリンク支持フレーム23の下部側で、かつ、左右の間には、左右一対のロワリンクアーム24が設けられる。左右のロワリンクアーム24の左右の間に、油圧により作動する昇降シリンダ25が設けられる。
昇降シリンダ25の上方には、アッパリンクアーム26が設けられ、平行リンク機構である昇降リンク機構3が構成される。なお、それぞれ一端が走行車体2側に連結された、左右のロワリンクアーム24と、昇降シリンダ25と、アッパリンクアーム26の他端側とは、苗植付部4の前部に装着される。
また、メインフレーム15上には、エンジン30が搭載される。エンジン30の回転動力が、ベルト伝動装置21およびHST14を介してミッションケース13に伝達される。ミッションケース13に伝達された回転動力は、ミッションケース13内の副変速機構16により変速された後、走行動力と外部取り出し動力に分けられる。
また、エンジン30の回転動力は、図示しない油圧ポンプに伝達される。油圧ポンプで発生した油圧は、HST14や、ハンドル35のパワーステアリング機構88(図3参照)や、昇降シリンダ25などに供給される。
ミッションケース13に伝達された回転動力から取り出される外部取り出し動力は、走行車体2の後部に設けられた植付クラッチケース27に伝達され、植付クラッチケース27から植付伝動軸67によって苗植付部4に伝達される。
一方、ミッションケース13の後部には、左右のドライブシャフト42が設けられる。エンジン30からの回転動力は、ミッションケース13およびドライブシャフト42を介して左右の後輪ギヤケース11aに伝動される。
なお、左右のドライブシャフト42よりも伝動方向上手側には、左右のドライブシャフト42に対する動力伝達を入切するサイドクラッチ44(図3参照)が配置される。図1に示すように、操縦席41の前側下部であり、かつ、左右一側には、左右のサイドクラッチ44を入切操作するサイドクラッチペダル43aが設けられる。
左右のサイドクラッチペダル43aのうち、旋回内側のサイドクラッチペダル43aを踏み込んでサイドクラッチ44を切状態にしてからハンドル35を操作して旋回走行すると、旋回内側の後輪11の駆動回転を完全に遮断することができる。
走行車体2の前側上部には、各部の操作を行う操縦パネル38を上部に配置されたボンネット39が設けられる。操縦パネル38には、モニタ86(図3参照)などが設けられる。
また、ボンネット39には、走行車体2を操舵するハンドル35、HST14や苗植付部4を操作する変速操作レバー36、副変速機構16を操作する副変速操作レバー37などが設けられる。
また、ボンネット39の前側には、開閉可能なフロントカバー40が設けられる。フロントカバー40の内部には、燃料タンクやバッテリ、ハンドル35の操舵に左右の前輪10および左右の前輪ファイナルケース10aの下部側を回動させる連動機構が設けられる。前輪10は、例えば、ハンドル35の操舵に応じて転舵する操舵輪である。
ボンネット39よりも後側で、かつ、エンジン30の上方位置には、エンジン30の上部および側部を覆うエンジンカバー30aが設けられ、エンジンカバー30aの上部には操縦者が着席する操縦席41が設けられる。
操縦席41の後側であって、メインフレーム15の後端側には、施肥装置5が設けられる。施肥装置5の駆動力は、左右の後輪ギヤケース11aの左右一側から施肥装置5に臨むように設けられる、施肥伝動機構によって伝達される。
エンジンカバー30aおよびボンネット39の下部における左右両側は、略水平なフロアステップ33が形成される。フロアステップ33は、図2に示すように、一部格子状であり、たとえば、フロアステップ33を歩く操縦者の靴などについた泥が落ちても、落ちた泥などが圃場に落下する。
また、フロアステップ33の後方には、図2に示すように、リヤステップ330が連接される。リヤステップ330の表面には、作業時に足が滑りにくくなるように、たとえば、複数の突起パターンが形成された滑り止め加工が施されることが好ましい。
また、走行車体2の前側であり、かつ、左右両側には、苗枠支柱51に複数の予備苗載せ台52を上下方向に間隔を空けて配置する予備苗枠50がそれぞれ設けられ、苗植付部4に補充される苗や肥料袋などの作業資材が載置可能となっている。
また、昇降リンク機構3の後端部には、圃場に植え付ける苗を積載する苗タンク53が、左右方向に摺動させる摺動機構と共に装着されている。苗タンク53には、上下方向に長い苗仕切フェンス54を左右方向に所定間隔を空けてそれぞれ配置される。苗タンク53の下方には、積載された苗を掻き取って圃場に植え付ける苗植付装置55が配置される。
苗植付装置55は、苗仕切フェンス54により区切られた植付作業条数と同数、すなわち、8条同時に植え付けるものであり、植付伝動ケース56が苗タンク53の下方に間隔を空けて4つ配置され、植付伝動ケース56の左右両側に回転しながら植込杆58により苗を取って圃場に植え付ける植付ロータリ57がそれぞれ装着される。
施肥装置5は、肥料が貯留される施肥ホッパ70が、苗植付部4の作業条数と同数(図2に示す例では、8条分)に仕切られている。なお、8条分の施肥ホッパ70は、左右方向に長いため肥料の投入や着脱の利便性が低下するので、4条ずつに仕切られたものを左右にそれぞれ並べる、いわゆるサイド施肥構造であってもよい。
施肥ホッパ70の下部には、肥料を設定量ずつ供給する繰出装置71が1条ごとに設けられる。繰出装置71の下方には、肥料を移動させる搬送風が通過する通風ダクト72が左右方向に設けられる。繰出装置71の下方には、苗植付部4の苗植付位置の近傍に肥料を案内する施肥ホース73が設けられる。また、通風ダクト72の一側端部には、ブロア用電動モータ76により作動して搬送風を発生するブロア74が設けられる。
図1および図2に示すように、苗植付部4の下方には、圃場面に接地して滑走するセンターフロート62Cと、左右2つずつのサイドフロート62L、62Rとが、軸まわりに回動自在に設けられる。なお、センターフロート62Cおよび左右のサイドフロート62L、62Rを総称してフロート62という場合がある。
また、苗植付部4の下方において、フロート62よりも前側には、圃場面の凹凸を整地する整地ロータ63が設けられる。など、整地ロータ63には、左右他側の後輪ギヤケース11aからロータ伝動シャフト63aを介して駆動力が伝達される。
また、図1に示すように、苗植付部4の左右両側には、左右いずれか一方が圃場面に接地して、次の作業条(次工程)における走行の目安とする溝を形成する線引きマーカ65がそれぞれ設けられる。左右の線引きマーカ65は、左右一側が接地すると他側が上方に離間し、旋回時に苗植付部4を上昇させたときには左右両側共に上方に離間し、旋回後に苗植付部4が下降すると、左右一側が上方に離間して他側が接地する。
また、図1および図2に示すように、走行車体2の左右中央部であり、かつ、ボンネット39の前方には、上下方向に長いセンターマスコット66が設けられる。センターマスコット66を左右の線引きマーカ65により圃場に形成された溝に合わせることにより、直前の作業条の作業位置に合わせた走行が可能になり、作業精度の向上や、非作業の発生防止を図ることができる。
なお、圃場の土質によっては、左右の線引きマーカ65により形成されたガイド線がすぐに埋もれてしまい、直進の目安が消えてしまうことがある。このような場合には、左右の線引きマーカ65よりも前側に設けられた左右のサイドマーカ19を用いるとよい。すなわち、左右のサイドマーカ19を外側方向に移動させ、植え付けられた苗の上方にサイドマーカ19を位置させることで、前の作業条の苗の植え付けに合わせた植付作業が可能になる。
また、図1に示すように、苗移植機1は、位置取得装置150を備える。位置取得装置150は、苗移植機1の現在の位置、および方位を取得する。位置取得装置150は、例えば、方位センサや、GPS(Global Positioning System)やGNSS(Global Navigation Satellite System)などの測位手段を含む。位置取得装置150は、複数の装置によって構成されてもよい。位置取得装置150は、カメラや、超音波センサを含んでもよく、圃場における旋回位置を取得し、旋回位置までの距離を検出してもよい。
例えば、位置取得装置150は、測位手段から測位情報を受け取り、受け取った測位情報に基づいて走行車体2の現在の位置情報、および方位情報を作成し、現在の位置、および方位を取得する。位置取得装置150は、たとえば、取付ステー59に取り付けられ、走行車体2の上方に配置される。
位置取得装置150による位置情報に基づいて作成される、直進制御用プログラムと、旋回制御用プログラムとは、互いに別の場所に格納される。直進制御用プログラムは、たとえば、位置取得装置150内の直進制御用ECU(Electronic Control Unit)100aに格納され、旋回制御用プログラムは、たとえば、ボンネット39に収容された旋回制御用ECU100bに格納される。なお、直進制御用ECU100aおよび旋回制御用ECU100bは、後述する制御装置100(図3参照)に含まれる。直進制御用ECU100aおよび旋回制御用ECU100bは、同一のECUに格納されてもよい。
(苗移植機の制御系)
次に、図3を参照して苗移植機1の制御系について説明する。図3は、苗移植機1の制御装置100を中心とした制御系を示すブロック図である。苗移植機1は、電子制御によって各部を制御することが可能なものであり、各部を制御する制御装置(以下、コントローラという。)100を備える。
コントローラ100は、CPU(Central Processing Unit)などを有する処理部や、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などの記憶部、さらには入出力部が設けられ、これらは、互いに接続されて互いに信号の受け渡しが可能である。記憶部には、苗移植機1を制御するコンピュータプログラムなどが格納される。コントローラ100は、記憶部に格納されたコンピュータプログラムなどを読み出すことで、各機能を発揮させる。
コントローラ100には、たとえば、アクチュエータ類として、スロットルモータ80、油圧制御弁81,82、植付クラッチ作動ソレノイド83、サイドクラッチ作動ソレノイド84、HST14モータ85、線引きマーカ昇降モータ87、ステアリングモータ95(モータ)、デフロック切替モータ96などが接続される。
スロットルモータ80は、エンジン30の吸気量を調節するスロットルを作動させることにより、エンジン30の出力軸の回転数を増減させる。油圧制御弁81は、昇降シリンダ25の伸縮動作を制御する。油圧制御弁82は、パワーステアリング機構88を制御する。植付クラッチ作動ソレノイド83は、植付クラッチ27aを作動させる。
サイドクラッチ作動ソレノイド84は、後輪11(図1参照)への動力伝達状態を切り替えるサイドクラッチ44を作動させる。なお、サイドクラッチ44は、左右の後輪11にそれぞれ設けられ、サイドクラッチ作動ソレノイド84は、各サイドクラッチ44に対応して2つ設けられる。
HST14モータ85は、HST14のトラニオンの回動角度を変更することで、HST14の斜板の傾斜角を変更する。ステアリングモータ95は、自動旋回制御が行われる場合に、前輪10(図1参照)の操舵量(舵角)を調整するステアリング装置であるハンドル35を駆動するモータである。ステアリングモータ95は、ハンドル35を回動させる。線引きマーカ昇降モータ87は、線引きマーカ65を昇降させる。
デフロック切替モータ96は、左右の走行車輪、具体的には、左右の前輪10を同じ回転速度で回転させるデファレンシャルロック機構97(以下、デフロック機構(同速回転機構)と称する。)の作動、および作動停止を切り替えるモータである。デフロック機構97が入り状態になることで、左右の走行車輪が同じ回転速度で回転する。
コントローラ100には、検出装置である、回転数センサ90、操舵量センサ91(舵角センサ)、傾斜センサ92などが接続される。回転数センサ90は、左右の後輪11に対応して2つ設けられ、左右の後輪11の回転数をそれぞれ検出する。なお、回転数センサ90は、左右の前輪10の回転数を検出してもよい。
操舵量センサ91は、ステアリング装置であるハンドル35の操作量、すなわち、前輪10の操舵量(舵角)を検出する。操舵量センサ91は、例えば、ピットマンアームに連結する軸上に設けられる。なお、操舵量は、ハンドル35が予め設定された直進位置になった場合の値を基準値として、左右方向それぞれに検出される。傾斜センサ92は、走行車体2の傾きである傾斜角を検出する。
また、コントローラ100には、操作信号として、変速操作レバー36、副変速操作レバー37、自律走行切替スイッチ46、植付部昇降スイッチ47、自動旋回切替スイッチ48、線引きマーカ自動昇降スイッチ49などから信号が入力される。
自律走行切替スイッチ46は、自律走行を実行するか否かを切り替えるスイッチである。具体的には、自律走行切替スイッチ46は、走行モードを自律走行モード、または手動走行モードに切り替えるスイッチである。
植付部昇降スイッチ47は、苗植付部4を昇降させるか否かを切り替えるスイッチである。植付部昇降スイッチ47は、「上昇」、および「降下」位置に変更される。
植付部昇降スイッチ47が「上昇」位置にある場合には、苗植付部4は、所定の非作業位置まで上昇し、苗植付装置55が停止する非作業状態となる。植付部昇降スイッチ47が「降下」位置にある場合には、苗植付部4は、所定の作業位置まで降下し、苗植付装置55が作動する作業状態となる。すなわち、植付部昇降スイッチ47は、苗植付部4の作業状態を検知するスイッチである。なお、苗植付部4の作業状態を検知するスイッチが別途設けられてもよい。
線引きマーカ自動昇降スイッチ49は、ハンドル35の操作量、すなわち、前輪10の操舵量に連動して線引きマーカ65を自動的に昇降させるか否かを切り替えるスイッチである。線引きマーカ自動昇降スイッチ49が「ON」の場合には、操舵量に連動して線引きマーカ65を自動的に昇降させる制御が実行される。一方、線引きマーカ自動昇降スイッチ49が「OFF」の場合には、操舵量に連動して線引きマーカ65を自動的に昇降させる制御は、実行されない。
自動旋回切替スイッチ48は、自動旋回の実行を可能とするか否かを切り替えるスイッチである。自動旋回切替スイッチ48が「ON」にされている場合には、自動旋回を実行可能となる。自動旋回切替スイッチ48が「OFF」にされている場合には、自動旋回を実行不能となる。自動旋回切替スイッチ48が「OFF」にされている場合には、自動旋回を実行する条件が成立している場合であっても、自動旋回は実行されない。
また、コントローラ100には、位置取得装置150から走行車体2の現在の位置情報などが入力される。コントローラ100は、走行車体2が自動で走行しながら作業を行う自律走行モードを実行する。
(自律走行モード)
ここで、図4を参照して、苗移植機1による、圃場における自動旋回を含む自律走行(自動走行)について説明する。図4は、苗移植機1の圃場における自律走行の説明図である。コントローラ100(図3参照)は、前輪10(図1参照)の操舵量をフィードバックしながらステアリングモータ95(図3参照)を制御してハンドル35(図3参照)を操作する自律走行モードを有する。自律走行モードは、自動直進モードと、自動旋回モードとを含む。
図4に示すように、自律走行モードにおいては、苗移植機1は、圃場において、予定走行経路に沿って直進および旋回を繰り返しながら苗の植え付け作業を自動で行う。なお、コントローラ100は、上記したように、走行車体2の上方に配置された位置取得装置150によって苗移植機1の現在の位置情報や、旋回位置に関する情報を取得する。
苗移植機1は、圃場における所定の作業エリア内を往復しながら、苗の植付を行う。この場合、直進走行については、コントローラ100が自動直進モードを実行することにより、設定された直進走行経路L1に沿って自動走行を行う。また、旋回走行については、コントローラ100が自動旋回モードを実行することにより、旋回走行経路L2に沿った自動旋回が実行される。
直進走行経路L1は、走行基準となる基準線L0に対して平行である。基準線L0は、苗の植え付け方向にあわせて、圃場において設定される。コントローラ100は、直進走行の開始位置および終了位置をそれぞれ基準始点(A点)および基準終点(B点)として取得し、A点およびB点を結ぶ線分を基準線L0として記憶する。
コントローラ100は、苗移植機1の旋回中において、ハンドル35の操舵量が所定の操舵量になるようにステアリングモータ95を制御する。この場合、コントローラ100は、位置取得装置150が取得した位置情報に関わらず処理を実行する。所定の操舵量は、予め設定された値である。所定の操舵量は、苗移植機1の種類などによって設定される。所定の操舵量は、自動旋回から自動直進への受け渡しがスムーズに行われるように設定される。
自動旋回後の苗移植機1の位置が、次工程の自動直進の直進走行経路L1からずれている場合には、自動旋回後に、次工程の自動直進の直進走行経路L1に合うように調整が行われ、走行車体2のぶれが大きくなる。また、例えば、次工程の自動直進の直進走行経路L1に合うように、作業者がハンドル35を操作し、条合わせを行わなければならず、作業者の負荷が大きくなる。また、苗移植機1の走行姿勢が崩れずおそれがある。このような点に鑑み、所定の操舵量は、自動旋回から自動直進への受け渡しがスムーズに行われるように設定される。
なお、コントローラ100は、苗移植機1の旋回中において、位置取得装置150が取得した位置情報に基づいて、設定された旋回走行経路L2上のいずれか所望の位置に苗移植機1が到達するようステアリングモータ95を制御してもよい。また、コントローラ100は、上記した2つの自動旋回モードを組み合わせて自動旋回を行ってもよい。
コントローラ100は、自動旋回によって旋回した後に、次工程の自動直進による植え付け開始位置に苗移植機1が到達するようにステアリングモータ95を制御する。
コントローラ100は、自律走行を実行する場合に、操舵量センサ91によって検出されたハンドル35の操舵量に基づいてステアリングモータ95を制御する。具体的には、コントローラ100は、操舵量センサ91によって検出されたハンドル35の操舵量と、基準値とを比較し、比較結果に基づいてステアリングモータ95を制御する。
コントローラ100は、ハンドル35の直進位置に対応する基準値を補正可能である。コントローラ100は、基準調整時に、基準値と、操舵量センサ91によって検出されたハンドル35の操舵量とを比較し、基準値とハンドル35の操舵量とのずれ量に基づいて、基準値を補正する。
例えば、コントローラ100は、走行車体2のスタートスイッチ(イグニッション)がONにされた場合に、基準値とハンドル35の操舵量とのずれ量を算出する。スタートスイッチがONにされることは、アクセサリー電源がONにされることを含む。スタートスイッチは、スタートキー、またはスタートボタンを含む。例えば、ずれ量が、基準値に対して右旋回を示す方向に5度ずれている場合、基準値に対して右旋回を示す方向に5度ずれた値を、補正後の基準値として設定する。これにより、例えば、自律走行を実行する場合には、補正後の基準値に基づいて、自律走行が実行される。
(基準値補正処理)
次に、実施形態に係る基準値補正処理について、図5のフローチャートを用いて説明する。図5は、実施形態に係る基準値補正処理を説明するフローチャートである。
コントローラ100は、基準値を補正するか否かを判定する(S100)。コントローラ100は、基準調整時であるか否かを判定する。例えば、コントローラ100は、例えば、走行車体2のスタートスイッチがONにされたか否かを判定する。コントローラ100は、走行車体2のスタートスイッチがONにされると、基準調整時であると判定する。
コントローラ100は、基準値を補正しない場合(S100:No)、今回の処理を終了する。コントローラ100は、基準値を補正する場合(S100:Yes)、ハンドル35の操舵量を検出する(S101)。コントローラ100は、操舵量センサ91によって、現在のハンドル35の操舵量を検出する。
コントローラ100は、基準値と、ハンドル35の操舵量とのずれ量を算出する(S102)。コントローラ100は、予め設定された基準値と、ハンドル35の操舵量とのずれ量を算出する。例えば、基準値が既に補正されている場合であっても、コントローラ100は補正される前の値である、予め設定された基準値と、ハンドル35の操舵量とのずれ量を算出する。
コントローラ100は、ずれ量に基づいて、基準値を補正する(S103)。これにより、コントローラ100は、自律走行を実行する場合には、補正後の基準値に基づいて自律走行を実行される。
なお、コントローラ100は、例えば、作業者によって基準値の補正操作が行われた場合に、基準値を補正してもよい。すなわち、基準調整時は、作業者による補正操作を含む。コントローラ100は、例えば、基準値を補正する補正モードとされた後に、ハンドル35が直進走行に対応する位置に操作されて補正スイッチが操作された場合に、操舵量センサ91によって検出された操舵量を算出し、基準値を補正してもよい。補正スイッチは、例えば、操縦パネル38に設けられるジョグダイヤルである。補正モードは、例えば、操縦パネル38に設けられるスイッチなどによって選択される。
コントローラ100は、補正モードとされた場合に、操縦パネル38のモニタ86に、例えば、ハンドル35を直進走行に対応する位置とすることを表示し、作業者に報知してもよい。
また、コントローラ100は、操舵量確認モードとされた後に、確認操作が行われるとハンドル35の操舵量が、予め設定された基準値となるように、ステアリングモータ95を制御する。コントローラ100は、確認操作として、例えば、操縦パネル38に設けられるジョグダイヤルが押されると、ハンドル35の操舵量が、予め設定された基準値となるように、ステアリングモータ95を制御する。これにより、例えば、作業者は、予め設定された基準値が、直進走行に対応する値となっているか否かを容易に確認することができる。なお、コントローラ100は、基準値が補正された場合には、補正後の基準値となるように、ステアリングモータ95が制御されてもよい。これにより、例えば、作業者は、現在の基準値が、直進走行に対応する値となっているか否かを容易に確認することができる。
コントローラ100は、ハンドル35の操舵量が、予め設定された基準値となるように、ステアリングモータ95を制御する場合、操縦パネル38のモニタ86に、例えば、「ハンドル35を直進方向に戻します。ハンドル35から手を離してください。」と表示してもよい。
コントローラ100は、ハンドル35の操舵量が、予め設定された基準値となるように、ステアリングモータ95を制御する場合、操縦パネル38のモニタ86に、例えば、「ハンドルが直進方向になっていることを確認してください。」と表示し、「Yes」、および「No」の選択ボタンを表示する。そして、コントローラ100は、「Yes」が選択されると、操舵量センサ91によって検出された操舵量を算出し、基準値を補正してもよい。コントローラ100は、「No」が選択されると、例えば、「ハンドルを直進状態に戻してください。」と表示し、「OK」のボタンが選択されると、操舵量センサ91によって検出された操舵量を算出し、基準値を補正してもよい。
次に、実施形態に係る苗移植機1(作業車両)の効果について説明する。
苗移植機1は、走行車体2に設けられた前輪10と、前輪10の舵角を検出する操舵量センサ91と、前輪10の舵角を調整するハンドル35と、ハンドル35を回動させるステアリングモータ95と、ステアリングモータ95を制御することによって、走行車体2を自律走行させるコントローラ100とを備える。コントローラ100は、ハンドル35が予め設定された直進位置とされた場合の操舵量センサ91の値を基準値として、基準値と、基準調整時における操舵量センサ91の値とのずれ量に基づいて、直進位置に対応する操舵量センサ91の基準値を補正する。
これにより、苗移植機1は、ハンドル35の操作に応じた走行を実現できる。例えば、経年劣化によって、ハンドル35の操作と、前輪10の舵角とがずれた場合に、苗移植機1は、直進位置に対応する基準値を補正することによって、ハンドル35の操作と、走行車体2の進行方向とのずれを抑制することができる。そのため、例えば、苗移植機1は、自律走行を実行する場合に、走行経路に沿った自律走行を実現できる。すなわち、苗移植機1は、進行方向を安定させて走行可能となる。
苗移植機1は、走行車体2のスタートスイッチがONにされた場合に、操舵量センサ91の基準値を補正する。
例えば、走行車体2が停止する場合には、ハンドル35は直進位置に対応する位置となっている。そのため、苗移植機1は、基準値を精度よく補正することができる。
(変形例)
コントローラ100は、方位認識モードとされた場合には、走行車体2の方位を設定してもよい。例えば、コントローラ100は、走行車体2のスタートスイッチがONにされた後の最初の前進時、または最初の後進時に、走行車体2の方位を設定する。また、コントローラ100は、方位認識モードとされた場合には、ハンドル35が直進走行に対応する位置に操作されて方位認識スイッチが操作された後に、走行車体2の方位を設定してもよい。方位認識スイッチは、例えば、操縦パネル38に設けられるジョグダイヤルである。コントローラ100は、走行車体2の方位を設定する際に、基準値を補正してもよい。例えば、コントローラ100は、回転数センサ90のパルス値に基づいて、走行車体2の前進、または後進を検出する。コントローラ100は、位置取得装置150からの信号に基づいて、走行車体2の前進、または後進を検出してもよい。
コントローラ100は、基準線L0を取得するティーチング中に、最初の植付クラッチ27aを「入」状態にした時にピットマンアームのポテンショメータの値が規定範囲内である場合、基準値を補正する処理を実行してもよい。ティーチングの最初は、ハンドル35が直進方向にされるため、コントローラ100は、基準値を精度よく補正することができる。
コントローラ100は、植付作業状態が検出され、かつ作業者による任意のタイミングによって、基準値を補正する処理を実行してもよい。例えば、コントローラ100は、ジョグダイヤルの操作、操縦パネル38のボタン操作、自律走行切替スイッチ46の操作、変速操作レバー36の操作のいずれかによって、基準値を補正する処理を実行してもよい。植付作業状態の検出は、例えば、植付部設置検出センサや、植付クラッチ27a、植付駆動軸回転センサ、施肥機駆動軸回転センサ、苗タンク横送り駆動軸回転センサなどの信号に基づいて検出される。これにより、コントローラ100は、植え付け作業中に基準値を補正することができる。
コントローラ100は、ティーチング中の後進時に、位置取得装置150によって検出される走行車体2の方位が規定角度以上変動しない場合、またはピットマンアームのポテンショメータの値が規定範囲内である場合に、基準値を補正する処理を実行してもよい。旋回工程の後進時には、ハンドル35は直進方向となるように操作されている。そのため、コントローラ100は、基準値を精度よく補正することができる。
苗移植機1において、ハンドル35と、ステアリングモータ95とは、図6、図7に示すように、モータ側ギヤ110、ダンパ111、およびハンドル側ギヤ112とによって、トルク(回動)が伝達されるように構成されてもよい。図6は、変形例に係る苗移植機1のおけるハンドル35とステアリングモータ95との組付けを説明する分解図である。図7は、変形例に係る苗移植機1のモータ側ギヤ110、ダンパ111、およびハンドル側ギヤ112が組付けられた状態における断面を示す図である。ステアリングモータ95によって回動可能なモータ側ギヤ110と、ハンドル35にジョイント機構を介して接続されるモータ側ギヤ110との間に、ダンパ111が設けられる。ダンパ111は、樹脂製である。例えば、ダンパ111は、ハンドル側ギヤ112に設けられる。
これにより、ハンドル35と、ステアリングモータ95とは、ダンパ111を介してトルクが伝達される。そのため、自律走行時にステアリングモータ95によって前輪10の操舵量を制御する場合に、ハンドル35への振動の伝達がダンパ111によって抑制される。
ハンドル側ギヤ112は、図8に示すように、第1ギヤ112aと、第2ギヤ112bとを備えてもよい。第1ギヤ112aは、ハンドル35側に設けられる。第2ギヤ112bは、第1ギヤ112aよりもステアリングモータ95側、すなわち先端側に設けられる。第1ギヤ112aは、第2ギヤ112bよりも厚い。図8は、変形例に係る苗移植機1のハンドル側ギヤ112の構成を示す図である。なお、図8では、説明のため、ハンドル側ギヤ112の外周壁の一部を省略している。ハンドル側ギヤ112は、走行モードに応じて上下動する。ハンドル側ギヤ112は、走行モードが自律走行モードである場合には、第2ギヤ112bが、ダンパ111を介してモータ側ギヤ110と噛み合うように構成される。ハンドル側ギヤ112は、走行モードが手動走行モードである場合には、第1ギヤ112aが、ダンパ111を介さずに、モータ側ギヤ110と噛み合うように構成される。なお、ダンパ111、およびモータ側ギヤ110の長さは、ハンドル側ギヤ112に合わせて設定される。
これにより、走行モードが、手動走行モードの場合には、作業者によるハンドル35操作(回動)がリジットに前輪10に伝達される。また、走行モードが、自律走行モードの場合には、ハンドル35への振動の伝達がダンパ111によって抑制される。
ハンドル35と前輪10とは、ステアバイワイヤによって接続されてもよい。この場合、走行モードが自律走行モードである場合に、ステアリングモータ95による前輪10の回動に応じてハンドル35を回動させる駆動ユニットを設けてもよい。
ステアリングモータ95によって前輪10が操作される場合には、例えば、PI制御によってステアリングモータ95は、制御される。この場合、パラメータが調整される。例えば、I制御の割合(ゲイン)が増加される。また、I制御における積分時間が増加される。ステアリングモータ95は、アンチワインドアップ付きのPI制御によって、制御されてもよい。また、ステアリングモータ95は、PD制御によって制御されてもよい。この場合、目標値幅が広く設定される。また、ステアリングモータ95は、PD-PI制御によって制御されてもよい。この場合、例えば、ステアリングモータ95は、目標値までPI制御によって制御される。また、ステアリングモータ95は、F/F-PID制御によって制御されてもよい。例えば、ハンドル35の操舵量が大きい場合、土質が硬い場合、耕盤深さが深い場合に、ステアリングモータ95は、F/F-PID制御によって制御される。
コントローラ100は、自律走行を実行する場合、走行車体2のスタートスイッチが「ON」とされてから、または自律走行の開始時から、予め設定された制御時間となるまで、ステアリングモータ95における回動速度を低速にし、トルクを増大させてもよい。これにより、苗移植機1は、ステアリングモータ95の回動開始時における制御を安定させ、前輪10の操舵量がハンチングすることを抑制することができる。そのため、苗移植機1は、自律走行における走行精度を向上させることができる。
コントローラ100は、自律走行を実行する場合、走行車体2のスタートスイッチが「ON」とされてから、または自律走行の開始時から、ステアリングモータ95の回動角度が初期目標角度となるで、ステアリングモータ95における回動速度を低速にし、トルクを増大させてもよい。これにより、苗移植機1は、ステアリングモータ95の回動開始時における制御を安定させ、前輪10の操舵量がハンチングすることを抑制することができる。そのため、苗移植機1は、自律走行における走行精度を向上させることができる。
コントローラ100は、自律走行を実行する場合、走行車体2のスタートスイッチが「ON」とされてから、または自律走行の開始時から、ステアリングモータ95の回動角度が初期目標角度となるで、不感帯幅を広げ、初期目標角度に達した後に、不感帯幅を狭くしてもよい。これにより、苗移植機1は、ステアリングモータ95の回動開始時における制御を安定させ、前輪10の操舵量がハンチングすることを抑制することができる。そのため、苗移植機1は、自律走行における走行精度を向上させることができる。
コントローラ100は、自律走行を実行する場合、走行車体2のスタートスイッチが「ON」とされてから、または自律走行の開始時に、設定角度以上にハンドル35が回動された場合、設定角度に入るまで、高速でハンドル35を回転させて、設定角度に入った後は、減速させてもよい。これにより、苗移植機1は、ステアリングモータ95の回動開始時における制御を安定させ、前輪10の操舵量がハンチングすることを抑制することができる。そのため、苗移植機1は、自律走行における走行精度を向上させることができる。
コントローラ100は、前輪10の操舵量がハンチングする場合、例えば、ハンドル35の回動速度が速い場合には、ハンドル35の回動速度を遅くする。コントローラ100は、前輪10の操舵量がハンチングする場合、前輪10の操舵量が目標とする操舵量となる直前に制動電流をステアリングモータ95に流し、ハンドル35の回動速度を遅くする。
コントローラ100は、自律走行における経路取得位置を結ぶ線で構成される多角形の内側の角度の合計が180度を超える場合に、上記したステアリングモータ95の制御を実行してもよい。これにより、苗移植機1は、閉領域の検出をトリガーとして制御を実行できる。そのため、苗移植機1は、自律走行をスムーズに実行できる。
コントローラ100は、外周走行によって閉領域が取得され、閉領域の取得を報知し、手動操作がされた場合に、上記したステアリングモータ95の制御を実行してもよい。これにより、苗移植機1は、手動操作に基づいて制御を実行できる。また、作業者は、制御の開始を決定できる。
コントローラ100は、外周走行によって閉領域が取得され、閉領域の取得を報知し、外部通信装置(例えば、リモートコントローラ(以下、「リモコン」と称する。))からの信号を受信した場合に、上記したステアリングモータ95の制御を実行してもよい。これにより、苗移植機1は、リモコンの操作に基づいて制御を実行できる。
コントローラ100は、自律走行を実行する領域の取得終了操作が行われた後に、上記したステアリングモータ95の制御を実行してもよい。これにより、苗移植機1は、自律走行をスムーズに実行できる。
苗移植機1は、走行車体2が停止した状態から動く場合には、HST14による出力を開始させた後に、ハンドル35の出力を開始する。すなわち、苗移植機1は、走行車体2の前進、または後進を開始した後に、前輪10の操舵を開始する。なお、苗移植機1は、走行車体2が停止した状態から動く場合には、ハンドル35の出力を開始する前に、エンジン30の回転速度を増加させてもよい。これにより、苗移植機1は、路面抵抗を抑制することができる。
苗移植機1は、ハンドル35を予め設定された直進位置に合わせるための突起をハンドル35に設けてもよい。苗移植機1は、ハンドル35を直進位置に保持可能な保持部を設けてもよい。なお、保持部は、ハンドル35を完全にロックしない構成とすることが望ましい。例えば、保持部は、ハンドル35に所定の回動力がかかると、ロックが外れる構成することが望ましい。
苗移植機1は、自律走行モードにおける自律走行エリアを設定可能であってもよい。苗移植機1は、圃場における3辺を取得することによって自律走行エリアを取得する。苗移植機1は、3辺の取得を開始する開始点を設定する操作具をハンドル35の周辺に設ける。操作具は、操作具に対する手動操作によって開始点を取得する。これにより、苗移植機1は、作業に支障なくティーチング工程を開始できる。
操作具は、ハンドル35の操作時であっても作業者の指が届く位置に配置されたレバースイッチ上に設けられる。これにより、作業者はハンドル35から手を離さずに操作具を操作できる。操作具は、ハンドル35の下に設けられる操縦パネル38に設けられてもよい。これにより、作業者は、手動操作中であっても操作具を容易に操作できる。苗移植機1は、操作具の操作に応じて通過点を取得してもよい。
苗移植機1は、開始点を含む2点以上の点を結ぶ線によって形成される多角形の面積が予め定める面積以下である場合、自律走行を許可しない。これにより、苗移植機1は、自律走行できない面積において自律走行を開始することを抑制できる。
苗移植機1は、開始点を含む2点以上の点を結ぶ線によって形成される多角形の面積が予め定める面積以下である場合、基準面積に満たないことを報知する。これにより、苗移植機1は、自律走行が許可されない理由を作業者に知らせることができる。
苗移植機1は、自律走行エリアにおける直進走行距離が予め定める直進距離以下である場合、自律走行を許可しない。苗移植機1は、自律走行エリアにおけるエリア幅が予め定める幅以下である場合、自律走行を許可しない。これにより、苗移植機1は、自律走行できない面積において自律走行を開始することを抑制できる。
苗移植機1は、自律走行エリアにおける直進走行距離が予め定める直進距離以下である場合、または自律走行エリアにおけるエリア幅が予め定める幅以下である場合、基準距離、または基準幅に満たないことを報知する。これにより、苗移植機1は、自律走行が許可されない理由を作業者に知らせることができる。
苗移植機1は、自律走行が開始されないことを、例えば操縦パネル38に表示する。これにより、苗移植機1は、自律走行が開始されないことを示す表示装置を別途設けることなく、自律走行が許可されない理由を作業者に知らせることができる。
苗移植機1は、例えば、Bluetooth(登録商標)によって端末装置と通信し、自律走行が開始されないことを表示装置などに表示させる。
苗移植機1は、自律走行モードにおいて、自律走行エリア内を往復走行するごとに止まる構成であってもよい。苗移植機1は、往復後の停止する位置を記憶する。苗移植機1は、自律走行エリアの設定後の往復走行に対して一定の角度以上の方位差をもって走行した場合に手動操作をトリガーとして往復後の停止位置を増減させる。これによって、苗移植機1は、例えば、圃場における苗補給エリアに出っ張りがある場合に、出っ張りを回避できる。
苗移植機1は、リモコンによって自律走行を制御可能であってもよい。苗移植機1は、リモコンの操作に応じてフロート62の油圧感度を変更可能であってもよい。これにより、作業者は、苗移植機1に乗車せずにフロート62の油圧感度を調整できる。
苗移植機1は、リモコンの操作に応じて植え付け深さを変更可能であってもよい。これにより、作業者は、苗移植機1に乗車せずに植え付け深さを調整できる。苗移植機1は、リモコン操作に応じてロータ高さを調整可能であってもよい。これにより、作業者は、苗移植機1に乗車せずにロータ高さを調整できる。
苗移植機1は、リモコンにおける変更内容を苗移植機1に設けられたモニタに表示可能であってもよい。これにより、無人運転時に変更された変更内容を手元で確認できる。
苗移植機1は、リモコンによって変更された変更内容と、変更前の内容とを別の表示画面に表示可能であってもよい。これにより、作業者は、リモコンによる変更箇所、および変更内容を比較しつつ、確認できる。
苗移植機1は、リモコンによって変更された各設定を、ハンドル35の旋回操作によって解除可能であってもよい。例えば、往復工程中に代掻き状態が悪く水がないなどの理由でリモコン操作によって設定が変更された場合に、設定の戻し忘れが抑制できる。旋回操作は、苗植付部4の上昇操作を含む。
苗移植機1は、フロート接地からフロート接地解除まで継続される制御フロート接地が解除された場合に、リモコンによって変更された各設定を解除してもよい。これにより、設定の戻し忘れが抑制できる。
苗移植機1は、リモコンによって変更された各設定を維持するか戻すかを選択可能な設定機能を有してもよい。これにより、例えば、往復工程中に、リモコンによって変更した設定に応じた圃場の条件が続く場合、またはリモコンによって変更した設定に応じた圃場の条件が続かない場合に、作業者は、設定を維持するか否かを選択可能となる。
リモコンは、文字情報の表示機能、および音声発信機能を有してもよい。苗移植機1は、リモコンによって変更された設定を維持するか否かを、旋回操作毎にリモコンによって報知させてもよい。これにより、例えば、往復工程中に、リモコンによって変更した設定に応じた圃場の条件が続く場合、またはリモコンによって変更した設定に応じた圃場の条件が続かない場合に、作業者は、設定を維持するか否かを選択可能となる。
苗移植機1は、外周領域の境界線のうち、苗供給側のエリアでは仮想境界線もしくは一部の境界線を持つエリア取得処理を実行可能であってもよい。苗移植機1は、苗供給エリア側では一往復ごとに手動操作による畔寄せを行う。苗移植機1は、次の往復工程に移行する際に、肥料の残量が所定残量よりも少ない場合、次の往復工程への移行を許可しない。これにより、苗移植機1は、自律走行における肥料の残量不足が発生することを抑制し、無肥料区間が発生することを抑制することができる。
苗移植機1は、肥料の残量が所定残量よりも少ない場合、次の往復工程への移行を許可しないことを報知する。これにより、作業者は、次の往復工程へ移行しない理由を知ることができる。
なお、苗移植機1は、畔クラッチが全条において「切」状態である場合、施肥駆動クラッチが「切」状態である場合、または施肥駆動制御が「切」状態である場合、次の往復工程への移行を許可してもよい。
苗移植機1は、次の往復工程に移行する際に、苗の残量が所定残量よりも少ない場合、次の往復工程への移行を許可しない。これにより、苗移植機1は、自律走行における苗の残量不足が発生することを抑制し、無苗区間が発生することを抑制することができる。
なお、苗移植機1は、畔クラッチが全条において「切」状態である場合、または植付クラッチ27aが「切」状態である場合、次の往復工程への移行を許可してもよい。
苗移植機1は、苗の残量が所定残量よりも少ない場合、次の往復工程への移行を許可しないことを報知する。これにより、作業者は、次の往復工程へ移行しない理由を知ることができる。
苗移植機1は、次の往復工程に移行する際に、燃料が所定残量よりも少ない場合、次の往復工程への移行を許可しない。これにより、苗移植機1は、次の往復工程において、燃料不足によって停車することを抑制することができる。
苗移植機1は、燃料の残量が所定残量よりも少ない場合、次の往復工程への移行を許可しないことを報知する。これにより、作業者は、次の往復工程へ移行しない理由を知ることができる。
苗移植機1は、自律走行において、少なくとも自動直進を行うモードと、自律走行エリアを自律走行するモードとを切り替え可能であってもよい。これにより、苗移植機1は、圃場の状況に合わせて自律走行を切り替えることができる。自動直進を行うモードと、自律走行エリアを自律走行するモードとを切り替えるためのスイッチは、回転式スイッチ、トグル式スイッチ、シーソー式スイッチ、可変抵抗式スイッチなどである。スイッチは、ハンドル35よりも下方の操縦パネル38や、ハンドル35周辺のカバー部分に設けられる。これにより、作業者は、容易にスイッチを操作できる。
苗移植機1は、例えば、自動直進を行うモードと、自律走行エリアを自律走行するモードとにおける制御内容を異なる表示タイトルに表示可能であってもよい。これにより、作業者は、実行されているモード、およびモードにおける制御内容を、容易に確認できる。
なお、エラー表示、イベント表示については、共通の表示であってもよい。これにより、対応時に、作業者が混乱することを抑制できる。
苗移植機1は、自動直進を行うモードと、自律走行エリアを自律走行するモードとを切り替えるためのスイッチが操作された場合、停止し、実行している自律走行の制御を中止する。これにより、苗移植機1は、誤作動を抑制できる。
苗移植機1は、自動直進を行うモードと、自律走行エリアを自律走行するモードとを切り替えるためのスイッチが操作され、自律走行の制御を中止した場合、位置取得装置150による位置取得を継続する。これにより、苗移植機1は、復帰後の再稼働をスムーズに実行できる。
苗移植機1は、自動直進を行うモードと、自律走行エリアを自律走行するモードとを切り替えるためのスイッチが、自律走行エリアを自律走行するモードに操作されたことをトリガーとして、自律走行エリアを自律走行するモードを開始する。
苗移植機1は、自律走行エリアを自律走行するモードを開始する場合、積層灯を一定時間全点灯させる。これにより、苗移植機1は、遠隔操作を行っている人や、周囲の人に、自律走行エリアを自律走行するモードが開始されることを知らせることができる。
苗移植機1は、図9に示すように、自律走行エリア、外周走行エリア、手動走行エリアを設定可能であってもよい。図9は、変形例に係る苗移植機1における圃場に設けられた自律走行エリア、外周走行エリア、および手動走行エリアを区別する図である。外周走行エリアは、手動によって苗が植え付けられるエリアである。手動走行エリアは、手動によって苗が植え付けられるエリアであり、かつ苗を苗移植機1に補充するエリアである。苗移植機1は、少なくとも2種類以上の感知エリアを有する受信機を備える。また、作業者などは、少なくとも2種類以上の信号を発信する発振機を有する。
例えば、或る種類の第1信号は、検知範囲が第1エリアとなる信号である。また、第1信号とは異なる種類の第2信号は、第1エリアよりも検知範囲が狭い第2エリアとなる信号である。第1エリアは、例えば、自律走行エリアを苗移植機1が走行し、外周走行エリア、または手動走行エリアに作業者がいる場合に、苗移植機1と作業者との接近を検知可能な範囲である。また、第1エリアは、自律走行エリアを苗移植機1が走行し、作業者が外周走行エリア、および手動走行エリア外にいる場合に、苗移植機1と作業者との接近を検知しない範囲である。
これにより、例えば、手動走行エリアに作業者などが存在し、苗移植機1が作業者などに近づいた場合に、苗移植機1と作業者との接近が検知できる。また、苗移植機1と作業者との距離に応じて異なる信号を送受信し、苗移植機1と作業者との距離に応じた接近が検知できる。
例えば、第1信号によって苗移植機1と作業者との接近が検出された場合、苗移植機1は、速度を低下させる。また、第2信号によって苗移植機1と作業者との接近が検出された場合、苗移植機1は、停止する。苗移植機1は、第1信号によって苗移植機1と作業者との接近が検出された場合に苗移植機1と作業者との接近を警告し、第2信号によって苗移植機1と作業者との接近が検出された場合に停止してもよい。苗移植機1は、第1信号によって苗移植機1と作業者との接近が検出された場合に苗移植機1と作業者との接近を警告しつつ減速し、第2信号によって苗移植機1と作業者との接近が検出された場合に停止してもよい。これにより、苗移植機1は、苗移植機1と作業者との距離に応じた衝突回避処理を実行できる。
苗移植機1は、苗移植機1が手動走行エリアを走行しており、第1信号を受信した場合には、減速のみを行い、警告をしなくてもよい。これにより、作業者が圃場外で作業を行っている場合に、誤警報されることを抑制できる。
苗移植機1は、苗移植機1が手動走行エリアを走行しており、第2信号を受信した場合には、減速のみ行い、警告をしなくてもよい。これにより、リモコン操作時に作業者が圃場外で作業している場合に、正常操作ができなくなることを抑制できる。
苗移植機1は、第2信号を受信しない場合、リモコンによる操作を含む手動操作をトリガーとして、作業を再開してもよい。苗移植機1は、第2信号を受信せず、第1信号のみを受信する場合、リモコンによる操作を含む手動操作をトリガーとして、作業を再開し、車速を低速に制限してもよい。苗移植機1は、作業を再開し、車速を低速に制限する場合、警報を発してもよい。これにより、苗移植機1は、手動操作に基づいて、安全に作業を再開できる。
苗移植機1は、自律走行エリアの外側をまとめて仮想エリアとしてもよい。仮想エリアに作業者がいる場合、苗移植機1と作業者との接近は、検知されない。
苗移植機1は、検知する信号の種類にかかわらず、苗移植機1と作業者との接近が検知された場合に停止してもよい。例えば、苗移植機1は、HST14を中立位置にする。苗移植機1は、さらに後輪ブレーキを作動させてもよい。苗移植機1は、減速後、停車させてもよい。苗移植機1は、苗移植機1と作業者との接近を警告した後に、停車させてもよい。苗移植機1は、警告後、所定時間の経過後に苗移植機1と作業者との接近を検知する場合に停車させてもよい。苗移植機1は、減速し、所定時間の経過後に苗移植機1と作業者との接近を検知する場合に停車させてもよい。これにより、苗移植機1は、作業者の安全性を向上させることができる。
作業者が有する発信機は、スイッチがONの場合にのみ信号を発信する。これにより、発信機は、電池の消耗を防ぎ、誤検知を抑制できる。
発信機は、双方向における通信機能を有してもよい。発信機は、第1エリアによる受信を検知した場合にのみ、第2信号を発信する。これにより、発信機は、電池の消耗を防ぐことができる。
苗移植機1は、発信機を備えてもよく、受信機は、作業者が有してもよい。これにより、作業者は、苗移植機1と作業者との接近に関する情報を受信できる。
苗移植機1は、発信機を備え、位置取得装置150によって取得された位置情報に基づいて作業者との距離を計測し、信号を発信してもよい。これにより、苗移植機1と作業者との接近の検出精度が向上する。
苗移植機1は、位置取得装置150によって取得された位置情報に基づいた距離に応じて、警告、減速してもよく、または停止してもよい。
作業者が有する発信機、または受信機は、端末装置であってもよい。これにより、例えば、アプリケーションがダウンロードされることによって、端末装置が発信機、または受信機として機能する。そのため、作業者は、発信機、または受信機を別途する必要がなく、コストを削減できる。
作業者が外周走行エリア、および手動走行エリアよりも外側にいる場合、リモコンの操作によって、警報を発してもよい。これにより、苗移植機1と作業者との接近を事前に警告することができる。そのため、苗移植機1は、作業者の安全性を向上させることができる。
苗移植機1は、障害物を検知する障害物検出部を備えてもよい。障害物検出部は、例えば、レーザー検知器や、超音波検知器である。障害物検出部は、カメラによって撮影した画像から障害物を検知してもよい。苗移植機1は、自律走行中に障害物を検知した場合、ブザーや、積層表示灯、およびヘッドライトの少なくとも1つと、リモコンのLEDライト、ブザーの少なくとも1つを用いて、障害物を検知したことを報知する。苗移植機1は、自律走行を開始する操作、またはリモコンに設けられた走行停止ボタンが操作されるまで、報知を継続する。これにより、苗移植機1は、安全性を向上させ、また作業性を向上させることができる。
苗移植機1は、障害物検出部によって障害物が検知された場合、走行車体2を停止させてもよい。苗移植機1は、障害物検出部によって障害物が検知され、走行車体2を停止させた後に障害物を検知したことを報知してもよい。苗移植機1は、障害物検出部によって障害物が検知され、走行車体2を停止させ、リモコンの操作によって自律走行が再開された場合に、報知を停止してもよい。
苗移植機1は、障害物が検知された場合に操縦パネル38や、液晶モニタにおいて、障害物の検知における報知機能をON、またはOFFに切り替え可能であってもよい。例えば、苗移植機1は、操縦パネル38のダイヤルや、スイッチの操作によって、報知機能をON、またはOFFに切り替える。また、苗移植機1は、液晶モニタの表示とジョグダイヤルによって報知機能をON、またはOFFに切り替える。これにより、作業者は、報知機能をON、またはOFFに切り替えることができる。そのため、苗移植機1は、不要な報知の実行を抑制でき、作業性を向上させることができる。
苗移植機1は、操縦パネル38のダイヤルや、スイッチの操作によって、障害物が検知された場合の走行制御をON、またはOFFに切り替え可能であってもよい。例えば、苗移植機1は、操縦パネル38のダイヤルや、スイッチの操作によって、障害物が検知された場合の走行制御をON、またはOFFに切り替える。
報知機能のON、またはOFFの切り替え、あるいは障害物が検知された場合の走行制御をON、またはOFFに切り替えは、自律走行再開毎に、例えば、液晶モニタにON、またはOFFを選択する画像が表示される。選択されない場合には、自動的にONとなる。これにより、例えば、苗が供給される側の畔に苗移植機1が近づいて旋回する度に、報知機能などのON、またはOFFが確認される。そのため、安全に報知機能などの管理が行われる。
苗移植機1は、苗移植機1と作業者との接近を検知した場合に、他の作業者が有するリモコンや、端末装置に、苗移植機1と作業者との接近を報知してもよい。これにより、苗移植機1は、広い範囲の作業者に苗移植機1と作業者との接近を報知できる。
苗移植機1は、携帯型電波送受信機を有してもよい。携帯型電波送受信機は、複数の周波数の電波を送受信可能である。携帯型電波送受信機は、一定間隔で発信される第1電波を、苗移植機1に設けられた送受信機が受信すると、自律走行中の苗移植機1を停止させる。苗移植機1に設けられた送受信機から第2電波は発信され、携帯型電波送受信機が第2電波を受信した場合、携帯型電波送受信機は、発光、またはブザーによって報知し、第3電波を発信する。携帯型電波送受信機は、第2電波の受信がなくなると、第3電波の発信を停止する。携帯型電波送受信機は、第2電波の受信がなくなると、発光、またはブザーによる報知を停止し、第3電波の発信を停止する。
リモコンは、電池の残量が所定残量よりも小さくなった場合、発光またはブザーによって電池残量が減少したことを報知する。
苗移植機1は、リモコンからの信号に基づいて自律走行を停止し、停止位置が、資材補給がされる畦から所定距離までの間である場合、次の自立走行が開始されるまで、自律走行を禁止する。
苗移植機1は、リモコンからの信号に基づいて、走行車体2を停止、または走行車体2を減速させた後に停止させてもよい。苗移植機1は、走行車体2を停止させた後に、リモコンの操作によって畦まで前進可能であってもよい。
苗移植機1は、カメラなどの圃場形状認識部によって資材補給が行われる畦を認識し、例えば位置取得装置150によって走行車体2の位置を認識し、畦から所定距離となる位置で走行車体2を停止させてもよい。
苗移植機1は、走行車体2の前方側から発信される信号を受信する第1受信機と、走行車体2の後方側から発信される信号を受信する第2受信機とを備えてもよい。苗移植機1は、自律走行再開時には、第2受信機のみを作動させる。苗移植機1は、旋回後、あるいは一定距離走行後に第1受信機を作動させる。これにより、苗移植機1は、畦に向けて走行車体2を寄せた後に、自動旋回する場合に、畦にいる作業者を誤検知することを抑制することができる。
苗移植機1は、後方の障害物を検知する後方障害物検出部を備えてもよい。後方障害物検出部は、例えば、苗植付部4の支持フレームの少なくとも2箇所に接続する接続部材に設けられる。苗移植機1は、苗植付部4が上昇している場合にのみ、後方障害物検出部によって後方の障害物を検知する。苗移植機1は、後方障害物検出部によって障害物が検知された場合、自律走行、およびリモコンの操作による走行を停止する。これにより、苗移植機1は、後進時の事故を抑止することができる。また、苗移植機1は、前進時の誤検知を抑制することができる。
苗移植機1は、センターフロート62Cの動きを検知するセンサ、昇降リンク機構3の動きを検知するセンサ、ロータクラッチの「入」、および「切」を検知するセンサのいずれかによって、苗植付部4の上昇を検出する。
後方障害物検出部は、側面視において、支持フレームの上部を通る水平な仮想線と、苗タンク53の上部を通る水平な仮想線との間に設けられてもよい。これにより、苗移植機1は、後方障害物に泥が付着することを抑制することができる。また、苗移植機1は、例えば、倉庫内で、後方障害物検出部が天井に接触することを抑制することができる。
後方障害物検出部は、側面視において、支持フレームの後端を通り、鉛直方向に沿って延びる仮想線上、あるは鉛直方向に沿って延びる仮想線よりも後方に設けられてもよい。これにより、苗移植機1は、苗タンク53と後方障害物検出部との間にスペースを設けることができ、苗タンク53と後方障害物検出部との間に薬剤散布機を設けることができる。
苗移植機1は、走行モードが、手動走行モードである場合に、自動直進を実行可能であってもよい。
苗移植機1は、自動直進を実行する場合に、操縦パネル38のモニタ86に、ハンドル35から手を離すように、表示してもよい。
苗移植機1を操作可能なリモコンは、スタートスイッチが押されると、その位置からスタートし、ストップスイッチが押されると、その位置で作業を停止するルートを自動検索可能であってもよい。
苗移植機1を操作可能なリモコンは、同一圃場において、同時に複数の作業を実行させる場合、主たる作業者が第一の権限を持ったパスワード、またはIDを有し、主たる作業者以外の作業者は、一部の作業が制限されるように構成されてもよい。
苗移植機1は、遠隔操作によって圃場から出る場合には、所定のコードがリモコン操作されるように構成されてもよい。苗移植機1は、遠隔操作によって傾斜地を走行する場合には、所定のコードがリモコン操作されるように構成されてもよい。
苗移植機1は、リモコンとの距離が所定距離以下である場合には、発進速度を制限するように構成されてもよい。
リモコンは、苗移植機1が自律走行モードを実行する場合、基準線L0を取得するための、基準始点、および基準終点を取得できるように構成されてもよい。
苗移植機1は、トラブルによって停止した後に、作業を開始する場合、再始動可能距離以下となる範囲にリモコンが検出されると、再始動を禁止してもよい。これにより、作業者の安全性を向上させることができる。
苗移植機1は、トラブルによって停止した後に、作業を開始する場合、リモコンを持った作業者による操作のみによって、再始動を許可してもよい。
苗移植機1は、リモコンとの通信が所定時間以上途絶えた場合、停止してもよい。苗移植機1は、リモコンを持たない作業者が、苗移植機1の各種設定を変更する操作を行った場合、エンジン30の始動を禁止してもよい。
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。