JP2023124413A - リチウムイオン電池用電極材の製造方法、リチウムイオン電池用電極材の製造装置、リチウムイン電池用電極およびリチウムイオン電池 - Google Patents

リチウムイオン電池用電極材の製造方法、リチウムイオン電池用電極材の製造装置、リチウムイン電池用電極およびリチウムイオン電池 Download PDF

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Abstract

【課題】粉漏れの発生を抑制することが可能なリチウムイオン電池用電極材の製造方法および製造装置と、この製造方法および製造装置を用いて製造されたリチウムイン電池用電極およびリチウムイオン電池を提供する。【解決手段】リチウムイオン電池用電極材2を製造する電極材製造装置1は、基材31を供給する基材供給部3と、基材31上に粉体状の正極活物質組成物9を間欠的に供給する正極活物質組成物供給部4と、基材31の上に連続するシート状の保護材51を載置する保護材供給部5と、保護材51を正極活物質組成物9の周囲で基材31に密着させる保護材密着部6と、保護材51の上から正極活物質組成物9を加圧して非結着体の正極活物質層103を形成する加圧部7とを備える。【選択図】図1

Description

本発明は、リチウムイオン電池用電極材の製造方法、リチウムイオン電池用電極材の製造装置、リチウムイン電池用電極およびリチウムイオン電池に関する。
リチウムイオン電池は、小型軽量でエネルギー密度が高い、自己放電量が少ない、などという利点を有するため、自動車用蓄電池や電気・電子機器用蓄電池などとして広く利用されている。このようなリチウムイオン電池として、シート状の正極集電体に正極活物質層が形成された正極と、シート状の負極集電体に負極活物質層が形成された負極とが、シート状のセパレータを介して積層され、正極活物質層および負極活物質層の外周が封止材により封止された構成が知られている。
特許文献1には、リチウムイオン電池用電極の製造過程において、リチウムイオン電池用電極材を製造する方法および装置が開示されている。リチウムイオン電池用電極材とは、連続するシート状、すなわち、長尺の帯状をしたシート状の基材(例えば、電極集電体)の表面に、電極活物質粒子を含む電極活物質組成物からなる電極活物質層が間欠的に配置されたものである。リチウムイオン電池用電極は、リチウムイオン電池用電極材の基材が電極活物質層の間で切断されることにより製造される。このリチウムイオン電池用電極材の製造方法は、基材上に電極活物質組成物を連続的に供給する供給工程と、基材上に供給された電極活物質組成物の一部を除去する除去工程と、基材上に残された電極活物質組成物を加圧して電極組成物層を得る加圧工程と、を備えている。
特開2021-027043号公報
特許文献1に記載のリチウムイオン電池用電極材の製造方法では、リチウムイオン電池用電極の製造効率を高めるために、基材を比較的高速(例えば、20m/min~100m/min程度)で搬送しながら電極組成物層を形成することが考えられている。しかしながら、非結着体である電極活物質組成物を用いる場合、基材を高速で搬送すると、電極活物質組成物の飛散や、電極組成物層の崩壊などが発生し、基材上から粉漏れが生じる可能性がある。
そこで本発明は、粉漏れの発生を抑制することが可能なリチウムイオン電池用電極材の製造方法および製造装置と、この製造方法および製造装置を用いて製造されたリチウムイン電池用電極およびリチウムイオン電池を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために本発明は、連続するシート状の基材の表面に、電極活物質粒子を含む電極活物質組成物からなる非結着体の電極活物質層が間欠的に配置されたリチウムイオン電池用電極材の製造方法であって、前記基材を搬送し、前記基材上に粉体状の前記電極活物質組成物を間欠的に供給する供給工程と、前記基材の上に連続するシート状の保護材を載置し、前記保護材により前記電極活物質組成物を保護する保護工程と、前記保護材の上から前記電極活物質組成物を加圧して前記電極活物質層を形成する加圧工程と、を備えることを特徴とする。
本発明によれば、粉漏れの発生を抑制することが可能なリチウムイオン電池用電極材の製造方法および製造装置と、この製造方法および製造装置を用いて製造されたリチウムイン電池用電極およびリチウムイオン電池を提供することができる。
この発明の第1の実施の形態に係るリチウムイオン電池用電極材の製造装置の構成を示す概略図である。 この発明の実施の形態に係るリチウムイオン電池の構成を示す断面図である。 図2に示すリチウムイオン電池を製造するための組合せ工程を示す断面図である。 図1のB-B断面を示す図である。 第1の実施形態に係るリチウムイオン電池用電極材の製造方法の手順を示すフローチャートである。 この発明の第2の実施の形態に係るリチウムイオン電池用電極材の製造装置の構成を示す概略図である。 第2の実施形態に係るリチウムイオン電池用電極材の製造方法の手順を示すフローチャートである。
以下、この発明を図示の実施の形態に基づいて説明する。なお、本明細書におけるリチウムイオン電池は、リチウムイオン二次電池を含む。
[第1の実施の形態]
図1~図6は、この発明の第1の実施の形態を示し、図1は、この発明の実施の形態に係るリチウムイオン電池用電極材の製造装置(以下、「電極材製造装置1」という)の概略構成図である。電極材製造装置1は、リチウムイオン電池101を構成するリチウムイオン電池用電極(正極101Aおよび負極101B)の製造過程において、リチウムイオン電池用電極の中間生産物であるリチウムイオン電池用電極材2を製造するための装置である。
ここで、リチウムイオン電池101は、図2に示すように、樹脂製の正極集電体102の表面に正極活物質層103が形成された正極101Aと、樹脂製の負極集電体104の表面に負極活物質層105が形成された負極101Bとが、正極活物質層103と負極活物質層105とが対向するようにセパレータ106を介して積層されている。また、正極集電体102と負極集電体104とが所定の間隔で配置、保持されるように、正極集電体102と負極集電体104の周囲が封止材107によって封止されている。これにより、リチウムイオン電池101は、全体が略四角い平板形に形成されている。
リチウムイオン電池101の製造工程は、図3に示すように、正極集電体102の表面に正極活物質層103が形成された正極101Aと、負極集電体104の表面に負極活物質層105が形成された負極101Bとを製造する電極製造工程と、電極製造工程にて製造された正極101Aおよび負極101Bと、セパレータ106が組み込まれた封止材107とを積層し、正極集電体102および負極集電体104と封止材107とを接着する組合せ工程とを備えている。
本実施形態の正極101Aは、正極活物質層103の上に載置され、正極活物質層103の周囲で正極集電体102に密着された正極導電性フィルム108を備えている。同様に、本実施形態の負極101Bは、負極活物質層105の上に載置され、負極活物質層105の周囲で負極集電体104に密着された負極導電性フィルム109を備えている。
これにより、非結着体である正極活物質層103および負極活物質層105は、正極導電性フィルム108および負極導電性フィルム109により保護されるので、正極101Aおよび負極101Bと封止材107とを積層する際に、正極101Aおよび負極101Bに対して多少の振動や衝撃が与えられても、正極活物質層103および負極活物質層105が崩れることはない。また、正極活物質層103および負極活物質層105は、正極101Aおよび負極101Bと封止材107とが組み合わされてリチウムイオン電池101が製造された後も、正極導電性フィルム108および負極導電性フィルム109により保護される。したがって、正極活物質層103および負極活物質層105は、リチウムイオン電池101に多少の振動や衝撃が与えられても、正極活物質層103および負極活物質層105が崩れることはない。また、正極導電性フィルム108および負極導電性フィルム109は、導電性を有するため、正極101Aおよび負極101Bの電気的特性に影響を与えない。
図1は、リチウムイオン電池101の製造ラインに設けられた、正極101Aのリチウムイオン電池用電極材2を製造するための電極材製造装置1を示している。詳しくは図示しないが、リチウムイオン電池101の製造ラインには、正極101A用の電極材製造装置1とともに、負極101B用の電極材製造装置も設置されている。なお、負極101Bの電極材製造装置は、正極101Aの電極材製造装置1と同様の構成を備えているため、詳しい説明は省略する。
リチウムイオン電池用電極材2は、連続するシート状、すなわち、長尺の帯状をしたシート状の基材31の表面に、電極活物質粒子を含む電極活物質組成物からなる正極活物質層103が間欠的に配置されたものである。詳しくは後述するが、電極活物質組成物は、粉体または湿潤粉体からなる。また、正極活物質層103は、非結着体である。正極101Aは、リチウムイオン電池用電極材2の基材31が正極活物質層103の間で切断されることにより製造される。
電極材製造装置1は、基材供給部3と、正極活物質組成物供給部(供給工程および供給手段)4と、保護材供給部(保護工程および保護手段)5と、保護材密着部(密着工程および密着手段)6と、加圧部(加圧工程および加圧手段)7と、を備えている。また、詳しくは図示しないが、矢印A方向の最下流側に、リチウムイオン電池用電極材2を切断して、複数の正極101Aを形成する切断部を設けてもよい。
基材供給部3は、基材31として、長尺の帯状をした正極集電体102を供給する。基材供給部3は、基材31が巻かれた基材ロール32と、基材ロール32から引き出された基材31をガイドするガイドローラ33とを備えている。基材ロール32から引き出された基材31は、図示しない搬送ローラにより、矢印A方向に所定速度(例えば、20m/min~100m/min)で間欠搬送される。
基材31を構成する正極集電体102としては、公知のリチウムイオン電池に用いられる集電体を用いることができ、例えば公知の金属集電体、あるいは導電性材料と合成樹脂とから構成されてなる樹脂集電体(特開2012-150905号公報および国際公開第2015-005116号などに記載の樹脂集電体など)を用いることができる。なお、正極集電体102としては、電池特性などの観点から、樹脂集電体であることが好ましい。
金属集電体としては、例えば、銅、アルミニウム、チタン、ニッケル、タンタル、ニオブ、ハフニウム、ジルコニウム、亜鉛、タングステン、ビスマス、アンチモン及びこれらの金属を1種以上含む合金、並びに、ステンレス合金からなる群から選択される一種以上の金属材料が挙げられる。これらの金属材料は薄板や金属箔などの形態で用いてもよい。また、上記金属材料以外で構成される基材表面にスパッタリング、電着、塗布などの方法により上記金属材料を形成したものを金属集電体として用いてもよい。
樹脂集電体としては、導電性フィラーとマトリックス樹脂とを含むことが好ましい。マトリックス樹脂としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリメチルペンテン(PMP)、ポリシクロオレフィン(PCO)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルニトリル(PEN)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、ポリアクリロニトリル(PAN)、ポリメチルアクリレート(PMA)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂又はこれらの混合物などが挙げられる。電気的安定性の観点から、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリメチルペンテン(PMP)及びポリシクロオレフィン(PCO)が好ましく、さらに好ましくはポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)及びポリメチルペンテン(PMP)である。
導電性フィラーは、導電性を有する材料から選択される。具体的には、金属[ニッケル、アルミニウム、ステンレス(SUS)、銀、銅及びチタンなど]、カーボン[グラファイト及びカーボンブラック(アセチレンブラック、ケッチェンブラック、ファーネスブラック、チャンネルブラック、サーマルランプブラックなど)など]、及びこれらの混合物などが挙げられるが、これらに限定されるわけではない。これらの導電性フィラーは1種単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。また、これらの合金又は金属酸化物を用いてもよい。電気的安定性の観点から、好ましくはアルミニウム、ステンレス、カーボン、銀、銅、チタン及びこれらの混合物であり、より好ましくは銀、アルミニウム、ステンレス及びカーボンであり、さらに好ましくはカーボンである。またこれらの導電性フィラーとしては、粒子系セラミック材料や樹脂材料の周りに導電性材料(上記した導電性フィラーの材料のうち金属のもの)をめっきなどでコーティングしたものでもよい。
導電性フィラーの平均粒子径は、特に限定されるものではないが、電池の電気特性の観点から、0.01~10μmであることが好ましく、0.02~5μmであることがより好ましく、0.03~1μmであることがさらに好ましい。なお、本明細書中において、「粒子径」とは、粒子の輪郭線上の任意の2点間の距離のうち、最大の距離Lを意味する。「平均粒子径」の値としては、走査型電子顕微鏡(SEM)や透過型電子顕微鏡(TEM)などの観察手段を用い、数~数十視野中に観察される粒子の粒子径の平均値として算出される値を採用するものとする。
導電性フィラーの形状(形態)は、粒子形態に限られず、粒子形態以外の形態であってもよく、カーボンナノチューブなど、いわゆるフィラー系導電性樹脂組成物として実用化されている形態であってもよい。
導電性フィラーは、その形状が繊維状である導電性繊維であってもよい。導電性繊維としては、PAN系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維などの炭素繊維、合成繊維の中に導電性のよい金属や黒鉛を均一に分散させてなる導電性繊維、ステンレスのような金属を繊維化した金属繊維、有機物繊維の表面を金属で被覆した導電性繊維、有機物繊維の表面を導電性物質を含む樹脂で被覆した導電性繊維などが挙げられる。これらの導電性繊維の中では炭素繊維が好ましい。また、グラフェンを練りこんだポリプロピレン樹脂も好ましい。導電性フィラーが導電性繊維である場合、その平均繊維径は0.1~20μmであることが好ましい。
樹脂集電体中の導電性フィラーの重量割合は、5~90重量%であることが好ましく、20~80重量%であることがより好ましい。特に、導電性フィラーがカーボンの場合、導電性フィラーの重量割合は、20~30重量%であることが好ましい。
樹脂集電体は、マトリックス樹脂及び導電性フィラーのほかに、その他の成分(分散剤、架橋促進剤、架橋剤、着色剤、紫外線吸収剤、可塑剤など)を含んでいてもよい。また、複数の樹脂集電体を積層して用いてもよく、樹脂集電体と金属箔とを積層して用いてもよい。
正極集電体102の幅としては、製造しようとするリチウムイオン電池101に応じて適宜設定すればよい。また、正極集電体102の厚さは特に限定されないが、5~150μmであることが好ましい。複数の樹脂集電体を積層して正極集電体として用いる場合には、積層後の全体の厚さが5~150μmであることが好ましい。
正極集電体102を構成する基材31は、例えば、マトリックス樹脂、導電性フィラー及び必要により用いるフィラー用分散剤を溶融混練して得られる導電性樹脂組成物を公知の方法でフィルム状に成形することにより得ることができる。導電性樹脂組成物をフィルム状に成形する方法としては、例えば、Tダイ法、インフレーション法及びカレンダー法などの公知のフィルム成形法が挙げられる。なお、基材31は、フィルム成形以外の成形方法によっても得ることができる。
以上では、正極集電体102を構成する基材31について説明したが、負極101B用の電極材製造装置では、同様に長尺で帯状をした負極集電体104からなる基材が用いられる。この負極集電体104を構成する基材としては、正極集電体102で記載した構成と同様のものを適宜選択して用いることができ、同様の方法により得ることができる。負極集電体104は、電池特性などの観点から、樹脂集電体であることが好ましい。また、負極集電体104の幅としては、製造しようとするリチウムイオン電池に応じて適宜設定すればよい。さらに、負極集電体104の厚さは特に限定されないが、5~150μmであることが好ましい。
正極活物質組成物供給部4は、矢印A方向において、基材供給部3の下流側に配置されている。正極活物質組成物供給部4は、正極活物質組成物9を貯留するホッパーと、ホッパー内の既定量の正極活物質組成物9を基材31上に間欠的に供給するフィーダとを備えている。
次に、正極活物質組成物9について説明する。正極活物質組成物9は、正極活物質粒子と、電解液とを含む湿潤粉体としてもよい。
正極活物質粒子としては、リチウムと遷移金属との複合酸化物{遷移金属が1種である複合酸化物(LiCoO、LiNiO、LiAlMnO、LiMnO及びLiMn等)、遷移金属元素が2種である複合酸化物(例えばLiFeMnO、LiNi1-xCo、LiMn1-yCo、LiNi1/3Co1/3Al1/3及びLiNi0.8Co0.15Al0.05)及び金属元素が3種類以上である複合酸化物[例えばLiMM’M’’(M、M’及びM’’はそれぞれ異なる遷移金属元素であり、a+b+c=1を満たす。例えばLiNi1/3Mn1/3Co1/3)等]等}、リチウム含有遷移金属リン酸塩(例えばLiFePO、LiCoPO、LiMnPO及びLiNiPO)、遷移金属酸化物(例えばMnO及びV)、遷移金属硫化物(例えばMoS及びTiS)及び導電性高分子(例えばポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレン及びポリ-p-フェニレン及びポリビニルカルバゾール)等が挙げられ、2種以上を併用してもよい。なお、リチウム含有遷移金属リン酸塩は、遷移金属サイトの一部を他の遷移金属で置換したものであってもよい。
正極活物質粒子の体積平均粒子径は、電池の電気特性の観点から、0.01~100μmであることが好ましく、0.1~35μmであることがより好ましく、2~30μmであることがさらに好ましい。
正極活物質粒子は、その表面の少なくとも一部が高分子化合物を含む被覆材により被覆された被覆正極活物質粒子であってもよい。正極活物質粒子の周囲が被覆材で被覆されていると、正極の体積変化が緩和され、正極の膨張を抑制することができる。
被覆材を構成する高分子化合物としては、特開2017-054703号公報及び国際公開第2015-005117号等に活物質被覆用樹脂として記載されたものを好適に用いることができる。
被覆材には、導電剤が含まれていてもよい。導電剤としては、正極集電体に含まれる導電性フィラーと同様のものを好適に用いることができる。
電解液としては、電解質と非水溶媒とを含むものが挙げられる。電解質としては、公知の電解液に用いられているもの等が使用でき、例えば、LiPF、LiBF、LiSbF、LiAsF、LiN(FSO及びLiClO等の無機酸のリチウム塩、LiN(CFSO、LiN(CSO及びLiC(CFSO等の有機酸のリチウム塩等が挙げられ、LiN(FSO(LiFSIともいう)が好ましい。
電解液の電解質濃度としては、特に限定されないが、0.5~5mol/Lであることが好ましく、0.8~4mol/Lであることがより好ましく、1~2mol/Lであることがさらに好ましい。
非水溶媒としては、公知の電解液に用いられているもの等が使用でき、例えば、ラクトン化合物、環状又は鎖状炭酸エステル、鎖状カルボン酸エステル、環状又は鎖状エーテル、リン酸エステル、ニトリル化合物、アミド化合物、スルホン、スルホラン等及びこれらの混合物を用いることができる。
ラクトン化合物としては、5員環(γ-ブチロラクトン及びγ-バレロラクトン等)及び6員環のラクトン化合物(δ-バレロラクトン等)等を挙げることができる。
環状炭酸エステルとしては、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート及びブチレンカーボネート等が挙げられる。鎖状炭酸エステルとしては、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジエチルカーボネート、メチル-n-プロピルカーボネート、エチル-n-プロピルカーボネート及びジ-n-プロピルカーボネート等が挙げられる。
鎖状カルボン酸エステルとしては、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル及びプロピオン酸メチル等が挙げられる。環状エーテルとしては、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,3-ジオキソラン及び1,4-ジオキサン等が挙げられる。鎖状エーテルとしては、ジメトキシメタン及び1,2-ジメトキシエタン等が挙げられる。
リン酸エステルとしては、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル、リン酸エチルジメチル、リン酸ジエチルメチル、リン酸トリプロピル、リン酸トリブチル、リン酸トリ(トリフルオロメチル)、リン酸トリ(トリクロロメチル)、リン酸トリ(トリフルオロエチル)、リン酸トリ(トリパーフルオロエチル)、2-エトキシ-1,3,2-ジオキサホスホラン-2-オン、2-トリフルオロエトキシ-1,3,2-ジオキサホスホラン-2-オン及び2-メトキシエトキシ-1,3,2-ジオキサホスホラン-2-オン等が挙げられる。
ニトリル化合物としては、アセトニトリル等が挙げられる。アミド化合物としては、DMF等が挙げられる。スルホンとしては、ジメチルスルホン及びジエチルスルホン等が挙げられる。非水溶媒は1種を単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
非水溶媒の内、電池出力及び充放電サイクル特性の観点から好ましいのは、ラクトン化合物、環状炭酸エステル、鎖状炭酸エステル及びリン酸エステルであり、更に好ましいのはラクトン化合物、環状炭酸エステル及び鎖状炭酸エステルであり、特に好ましいのは環状炭酸エステルと鎖状炭酸エステルの混合液である。最も好ましいのはエチレンカーボネート(EC)とジメチルカーボネート(DMC)の混合液、又は、エチレンカーボネート(EC)とプロピレンカーボネート(PC)の混合液である。
正極活物質組成物9は、導電助剤が含まれていてもよい。導電助剤としては、正極集電体に含まれる導電性フィラーと同様の導電性材料を好適に用いることができる。導電助剤は、正極活物質層を形成したときに、正極活物質層における導電助剤の重量割合が、3~10重量%となる範囲で含むことが好ましい。
正極活物質組成物9は、結着剤を含まないことが好ましい。正極活物質組成物9が結着剤を含まない場合には、非結着体の正極活物質層を形成することができる。ここで、非結着体とは、正極活物質粒子が結着剤(バインダともいう)により位置を固定されておらず、正極活物質粒子同士及び正極活物質粒子と集電体が不可逆的に固定されていないことを意味する。正極活物質層が非結着体である場合、正極活物質粒子同士は不可逆的に固定されていないため、正極活物質粒子同士の界面を機械的に破壊することなく分離することができ、正極活物質層に応力がかかった場合でも正極活物質粒子が移動することで正極活物質層の破壊を防止することができるため、好ましい。なお、本明細書において、結着剤とは、正極活物質粒子同士及び正極活物質粒子と集電体とを可逆的に固定することができない薬剤を意味し、デンプン、ポリフッ化ビニリデン、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、テトラフルオロエチレン、スチレン-ブタジエンゴム、ポリエチレン及びポリプロピレン等の公知の溶剤乾燥型のリチウムイオン電池用結着剤等が挙げられる。これらの結着剤は溶剤に溶解又は分散して用いられ、溶剤を揮発、留去することで表面が粘着性を示すことなく固体化するので正極活物質粒子同士及び正極活物質粒子と集電体とを可逆的に固定することができない。
正極活物質組成物9には、粘着性樹脂が含まれていてもよい。粘着性樹脂としては、例えば、特開2017-054703号公報に記載された非水系二次電池活物質被覆用樹脂に少量の有機溶剤を混合してそのガラス転移温度を室温以下に調整したもの、及び、特開平10-255805公報に粘着剤として記載されたもの等を好適に用いることができる。なお、粘着性樹脂は、溶媒成分を揮発させて乾燥させても固体化せずに粘着性(水、溶剤、熱などを使用せずに僅かな圧力を加えることで接着する性質)を有する樹脂を意味する。一方、結着剤として用いられる溶液乾燥型の電極用バインダーは、溶媒成分を揮発させることで乾燥、固体化して活物質粒子同士を強固に接着固定するものを意味する。従って、上述した結着剤(溶液乾燥型の電極バインダー)と粘着性樹脂とは異なる材料である。
次に、負極101B用の電極材製造装置において、負極活物質層105の形成に用いられる負極活物質組成物について説明する。負極活物質組成物は、負極活物質粒子と、電解液とを含む湿潤粉体としてもよい。
負極活物質粒子としては、炭素系材料[黒鉛、難黒鉛化性炭素、アモルファス炭素、樹脂焼成体(例えばフェノール樹脂及びフラン樹脂等を焼成し炭素化したもの等)、コークス類(例えばピッチコークス、ニードルコークス及び石油コークス等)及び炭素繊維等]、珪素系材料[珪素、酸化珪素(SiOx)、珪素-炭素複合体(炭素粒子の表面を珪素及び/又は炭化珪素で被覆したもの、珪素粒子又は酸化珪素粒子の表面を炭素及び/又は炭化珪素で被覆したもの並びに炭化珪素等)及び珪素合金(珪素-アルミニウム合金、珪素-リチウム合金、珪素-ニッケル合金、珪素-鉄合金、珪素-チタン合金、珪素-マンガン合金、珪素-銅合金及び珪素-スズ合金等)等]、導電性高分子(例えばポリアセチレン及びポリピロール等)、金属(スズ、アルミニウム、ジルコニウム及びチタン等)、金属酸化物(チタン酸化物及びリチウム・チタン酸化物等)及び金属合金(例えばリチウム-スズ合金、リチウム-アルミニウム合金及びリチウム-アルミニウム-マンガン合金等)等及びこれらと炭素系材料との混合物等が挙げられる。上記負極活物質粒子のうち、内部にリチウム又はリチウムイオンを含まないものについては、予め負極活物質粒子の一部又は全部にリチウム又はリチウムイオンを含ませるプレドープ処理を施してもよい。
これらの中でも、電池容量等の観点から、炭素系材料、珪素系材料及びこれらの混合物が好ましく、炭素系材料としては、黒鉛、難黒鉛化性炭素及びアモルファス炭素がさらに好ましく、珪素系材料としては、酸化珪素及び珪素-炭素複合体がさらに好ましい。
負極活物質粒子の体積平均粒子径は、電池の電気特性の観点から、0.01~100μmが好ましく、0.1~20μmであることがより好ましく、2~10μmであることがさらに好ましい。
本明細書において、負極活物質粒子の体積平均粒子径は、マイクロトラック法(レーザー回折・散乱法)によって求めた粒度分布における積算値50%での粒径(Dv50)を意味する。マイクロトラック法とは、レーザー光を粒子に照射することによって得られる散乱光を利用して粒度分布を求める方法である。なお、体積平均粒子径の測定には、日機装(株)製のマイクロトラック等を用いることができる。
負極活物質粒子は、その表面の少なくとも一部が高分子化合物を含む被覆材により被覆された被覆負極活物質粒子であってもよい。負極活物質粒子の周囲が被覆材で被覆されていると、負極の体積変化が緩和され、負極の膨張を抑制することができる。
被覆材としては、被覆正極活物質粒子を構成する被覆材と同様のものを好適に用いることができる。
電解液の組成は、正極活物質組成物9に含まれる電解液と同様の電解液を好適に用いることができる。
負極活物質組成物には、導電助剤が含まれていてもよい。導電助剤としては、正極活物質組成物9に含まれる導電性フィラーと同様の導電性材料を好適に用いることができる。負極活物質層としたときの導電助剤の重量割合が、2~10重量%となる範囲で含むことが好ましい。
負極活物質組成物には、粘着性樹脂が含まれていてもよい。粘着性樹脂としては、正極活物質組成物9の任意成分である粘着性樹脂と同様のものを好適に用いることができる。
負極活物質組成物は、結着剤を含まないことが好ましい。負極活物質組成物が結着剤を含まない場合には、非結着体の負極活物質層を形成することができる。負極活物質層が非結着体であることが好ましい理由は、正極活物質層が非結着体であることが好ましい理由と同様である。
保護材供給部5は、矢印A方向において、正極活物質組成物供給部4の下流側に配置されている。保護材供給部5は、長尺の帯状をした正極導電性フィルム108からなる保護材51が巻かれた保護材ロール52と、保護材ロール52から引き出された保護材51をガイドするガイドローラ53とを備え、基材31の上に連続するシート状の保護材51を載置し、この保護材51により正極活物質組成物9を保護する。保護材51としては、例えば、薄膜状あるいはメッシュ状の密着性導電フィルムが用いられる。密着性導電フィルムは、周知のとおり、導電性フィルムの一方の面に導電性を有する密着材が塗布されている。
保護材51の幅は特に限定されないが、後述する保護材密着部6において、保護材51が正極活物質組成物9の周囲で基材31に密着される際に、保護材51が基材31にしっかりと密着可能な密着代が得られ、かつ、保護材51が基材31からはみ出さない幅であることが好ましい。さらに、保護材51の厚さは特に限定されないが、電気特性の観点からできるだけ薄いことが好ましく、例えば、5μm~50μm、より好ましくは、5μm~15μmである。
保護材密着部6は、矢印A方向において、保護材供給部5の下流側に配置されている。保護材密着部6は、正極活物質組成物9の周囲で保護材51の両側縁を基材31に密着させる密着ローラ対61と、正極活物質組成物9の間で保護材51を基材31に密着させる密着ユニット62とを備えている。
密着ローラ対61は、図1のB-B断面図である図4に示すように、基材31および保護材51の上方に配置された上部ローラ611と、基材31の下方に配置された下部ローラ612とを備えている、上部ローラ611は、正極活物質組成物9の周囲で保護材51の両側縁を基材31に密着させるために、ローラ軸611bの両端にローラ部611aが設けられている。また、下部ローラ612は、基材31の下面を支持して上部ローラ611からの圧力を受け止めるために、全体がローラ部となっている。密着ローラ対61は、上部ローラ611と下部ローラ612とによって保護材51および基材31を押圧することにより、保護材51の両側縁を基材31に密着させる。
密着ユニット62は、密着部材621と、昇降機構622と、パッド623とを備えている。密着部材621は、基材31と同程度の幅を有する矩形・板状の部材であり、基材31および保護材51の上方に配置されている。密着部材621は、昇降機構622によって上下方向に昇降され、下降した際に基材31の下方に配置されたパッド623との間に保護材51および基材31を挟み込み、正極活物質組成物9の間で保護材51を基材31に密着させる。
加圧部7は、矢印A方向において、保護材密着部6の下流側に配置されている。加圧部7は、保護材51の上面に当接するように配置された加圧ローラ71と、加圧ローラ71に対面する位置で、基材31の下面に当接するように配置された加圧受けローラ72とを備えている。加圧ローラ71および加圧受けローラ72は、保護材51を介して、基材31上に供給された正極活物質組成物9を圧縮し、正極活物質層103を形成する。
正極活物質層103の厚みとしては、特に限定されず、電池性能の観点から、150~600μmであることが好ましく、200~450μmであることがより好ましい。
加圧ローラ71および加圧受けローラ72により正極活物質組成物9に加える線圧としては、35~3500N/cmであることが好ましい。なお、正極活物質組成物9に加える線圧は、加圧ローラ71および加圧受けローラ72に付属されているロードセルによる得られる荷重と、圧縮後の正極活物質層103の厚みとにより計算した線圧を意味する。
詳しくは図示しないが、矢印A方向において、加圧部7の下流側には、基材31および保護材51を正極活物質層103の間で切断して複数の正極101Aを形成する切断部を設けてもよい。これにより、基材31、保護材51および正極活物質組成物9により、複数の正極101Aを連続して製造することが可能である。また、詳しくは説明しないが、負極101Bについても、負極用の電極材製造装置によって、正極101Aと同様に製造される。
電極材製造装置1により製造された正極101Aは、セパレータ106を備える封止材107および負極101Bと組み合わされることにより、リチウムイオン電池101が製造される。正極101A、負極101Bおよび封止材107を組み合わせる際に、上述した電解液を別途注入してもよい。
セパレータ106の材質は、特に限定されず、例えば、ポリエチレン又はポリプロピレン製の多孔性フィルム、上記多孔性フィルムの積層フィルム(多孔性ポリエチレンフィルムと多孔性ポリプロピレンとの積層フィルムなど)、合成繊維(ポリエステル繊維及びアラミド繊維など)又はガラス繊維などからなる不織布、及びそれらの表面にシリカ、アルミナ、チタニアなどのセラミック微粒子を付着させたものなどの公知のリチウムイオン電池に用いられるセパレータを用いることができる。
封止材107の材質としては、電解液に対して耐久性がある材料であれば特に限定されないが、高分子材料が好ましく、熱硬化性高分子材料がより好ましい。熱硬化性高分子材料としては、例えば、エポキシ系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリウレタン系樹脂及びポリフッ化ビニリデン樹脂などが挙げられ、耐久性が高く取り扱いが容易であることからエポキシ系樹脂が好ましい。また、封止材107としては、両面テープ状のシール部材(平面状の基材の両面に上述の熱硬化性高分子材料などを塗布して形成したシール部材など)を好適に用いることができ、例えば、三層構造のシールフィルム(ポリエチレンナフタレートフィルムの上下に変性ポリプロピレンフィルムを積層したフィルムなど)などの公知のものを用いることができる。
封止材107の幅および厚みなどについては特に限定されず、製造しようとするリチウムイオン電池101に応じて適宜設定すればよい。封止材107の幅としては、例えば製造されるリチウムイオン電池101が四角形の場合、一片の長さが、30~2000mmであることが好ましく、40~1000mmであることがより好ましい。また、封止材107の厚みとしては、充分な強度を付与する観点から、例えば、5~20mmであることが好ましく、10~20mmであることがより好ましい。
また、正極101Aおよび負極101Bと、封止材107とを組み合わせるために、正極101Aと封止材107、および負極101Bと封止材107とを接着しているが、封止材107に熱硬化性高分子材料が用いられている場合には、インパルスシーラーなどにより封止材107に熱を加えて接着することが可能である。
次に、以上で説明した電極材製造装置1を使用したリチウムイオン電池用電極材2の製造方法などについて、図5のフローチャートに基づいて説明する。
電極材製造装置1は、図示しない搬送ローラなどを利用し、所定間隔で基材31を矢印A方向に間欠搬送する(ステップS1)。次いで、正極活物質組成物供給部4は、基材31などが間欠搬送により搬送されているタイミングで、ホッパー内に貯留された湿潤粉体である正極活物質組成物9をフィーダによって基材31上に間欠的に既定量ずつ供給する(ステップS2)。
保護材供給部5は、基材31などが間欠搬送により搬送されているタイミングで、保護材ロール52から保護材51を引き出し、ガイドローラ53によって基材31の上に保護材51を載置し、この保護材51により正極活物質組成物9を保護する(ステップS3)。
保護材密着部6は、基材31などが間欠搬送により停止されているタイミングで、密着ローラ対61および密着ユニット62により、正極活物質組成物9の周囲で保護材51を基材31に密着させる(ステップS4)。具体的には、密着ローラ対61は、上部ローラ611と、下部ローラ612とによって保護材51および基材31の両側縁を挟み込み、正極活物質組成物9の周囲で保護材51の両側縁を基材31に密着させる。また、密着ユニット62は、昇降機構622によって密着部材621を下降させ、基材31の下方に配置されたパッド623との間に保護材51および基材31を挟み込み、正極活物質組成物9の間で保護材51を基材31に密着させる。
圧縮部7は、基材31などが間欠搬送により搬送されているタイミングで、加圧ローラ71と、加圧受けローラ72とによって保護材51および基材31を挟み込み、正極活物質組成物9を圧縮して正極活物質層103を形成する(ステップS5)。これにより、基材31の上に複数の正極活物質層103が間欠的に形成され、正極活物質層103の上部が保護材51によって保護されたリチウムイオン電池用電極材2が製造される。なお、電極材製造装置1が、圧縮部7の下流側に切断部を備えている場合には、この切断部によって基材31および保護材51が各正極活物質層103の間で切断され、複数の正極101Aが製造される。
以上のように、この実施形態に係る電極材製造装置1および電極材製造方法によれば、基材31の上に連続するシート状の保護材51を載置し、この保護材51により、基材31上に間欠的に供給された正極活物質組成物9を保護し、保護材51の上から正極活物質組成物9を加圧して正極活物質層103を形成するようにしたので、湿潤粉体である正極活物質組成物9が飛散したり、非結着体である正極活物質層103が崩壊したりするのを抑制することができる。したがって、基材31を比較的高速で搬送した場合でも、正極活物質組成物9の粉漏れを効果的に抑制することが可能である。
また、この実施形態に係る電極材製造装置1および電極材製造方法によれば、保護材51により正極活物質組成物9を保護する保護工程の後に、正極活物質組成物9の周囲で保護材51を基材31へ密着させる密着工程を備えたので、より確実に正極活物質組成物9を保護材51および基材31により保護し、正極活物質組成物9が飛散したり、正極活物質層103が崩壊したりするのを抑制することができる。
さらに、この実施形態に係る電極材製造装置1および電極材製造方法によれば、保護材51として粘着性導電フィルムを用いるようにしたので、保護材51による電池特性への影響を小さくすることが可能である。
また、この実施形態に係る正極(リチウムイオン電池用電極)101Aによれば、正極活物質層103の上に正極導電性フィルム108を載置し、正極活物質層103の周囲で正極導電性フィルム108を正極集電体102に密着させるようにしたので、正極101A、負極101Bおよび封止材107を積層してリチウムイオン電池101を組み立てる際に、正極101Aに対して多少の振動や衝撃が与えられても、正極活物質層103が飛散したり、崩壊したりするのを抑制することが可能である。
さらに、この実施形態に係るリチウムイオン電池101によれば、正極101Aの正極活物質層103の上に正極導電性フィルム108を載置して正極集電体102に密着させ、負極101Bの負極活物質層105の上に負極導電性フィルム109を載置して負極集電体104に密着させるようにしたので、リチウムイオン電池101に振動や衝撃が与えられても、正極活物質層103および負極活物質層105が崩れるのを抑制し、層厚を一定に維持することが可能である。
[第2の実施の形態]
次に、この発明の第2の実施の形態について説明する。本実施の形態は、電極活物質組成物を加圧する加圧工程の後に、保護材を除去する保護材除去工程を備える点で第1の実施の形態と異なっている。なお、本実施の形態において、第1の実施の形態と同じ構成については、同じ符号を用いて詳しい説明は省略する。
図6は、本実施の形態に係る電極材製造装置1Aの構成を示す概略図である。電極材製造装置1Aは、基材31の搬送方向である矢印A方向において、加圧部7の下流側に保護材除去部(保護材除去工程および保護材除去手段)8を備えている。保護材除去部8は、基材31から剥がされた保護材51をガイドするガイドローラ81と、保護材51を巻き取って回収する回収ロール82とを備えている。
図7は、本実施の形態に係る電極材製造方法の手順を示すフローチャートである。このフローチャートに示すように、本実施の形態では、正極活物質組成物9の圧縮(ステップS5)の次に、保護材51の除去(ステップS6)が行われる。
上記のとおり、保護材51は、一方の面に粘着材が塗布された粘着性導電性フィルムからなるため、基材31から容易に剥離することが可能である。また、保護材51を剥離する際に、保護材51の粘着材に正極活物質組成物9が粘着して保護材51とともに回収されることがあるが、正極活物質組成物9は粘着材に均一な厚み分だけ粘着するので、基材31上に残った正極活物質層103の層厚は均一な状態が維持される。したがって、予め粘着材によって除去される正極活物質層103の厚み分だけ正極活物質層103を厚めに形成しておけば、保護材51を除去した後でも必要な層厚の正極活物質層103を得ることが可能である。
以上で説明したように、本実施の形態に係る電極材製造装置1Aおよび電極材製造方法によれば、保護材51を除去する保護材除去部8を備えるので、保護材51による電池特性への影響を完全に排除することが可能である。保護材51として、導電性を有しない密着性フィルムを用いることにより、コストダウンを図ることが可能である。
以上、この発明の実施の形態について説明したが、具体的な構成は、上記の第1および第2の実施の形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても、この発明に含まれる。例えば、上記の実施の形態では、保護材51として粘着性導電フィルムを用いたが、第2の実施の形態のように、保護材51を除去する場合には、導電性を有しない薄膜状あるいはメッシュ状の粘着性フィルムなどを保護材51として用いてもよい。これによれば、粘着性導電性フィルムを用いる場合よりもコストダウンを図ることが可能である。
また、上記の実施の形態では、基材31上に供給される正極活物質組成物9および負極活物質組成物として、電解液を含む湿潤粉体を用いたが、電解液を含まない粉体を用いてもよい。この場合、基材31上に粉体である正極活物質組成物9(または負極活物質組成物)を供給した後に、基材31上の正極活物質組成物9(または負極活物質組成物)に対して電解液を塗布するための塗布工程を設けることが好ましい。
以上で説明した第1の実施の形態および第2の実施の形態は、請求項2~請求項7に記載の発明を含む。請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のリチウムイオン電池用電極材の製造方法において、前記保護工程の後に、前記電極活物質組成物の周囲で前記保護材を前記基材へ密着させる密着工程を備える、ことを特徴とする。請求項2に記載の発明によれば、保護材により電極活物質組成物を保護する保護工程の後に、電極活物質組成物の周囲で保護材を基材へ密着させる密着工程を備えたので、より確実に電極活物質組成物を保護材および基材により保護し、電極活物質組成物が飛散したり、電極活物質層が崩壊したりするのを抑制することができる。
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載のリチウムイオン電池用電極材の製造方法において、前記保護材として、粘着性導電フィルムを用いる、ことを特徴とする。請求項3に記載の発明によれば、保護材として粘着性導電フィルムを用いるようにしたので、保護材による電池特性への影響を小さくすることが可能である。
請求項4に記載の発明は、請求項1または2に記載のリチウムイオン電池用電極材の製造方法において、前記加圧工程の後に、前記保護材を除去する保護材除去工程を備える、ことを特徴とする。請求項4に記載の発明によれば、加圧工程の後に、保護材を除去する保護材除去工程を備えるようにしたので、保護材による電池特性への影響を完全に排除することが可能である。
請求項5に記載の発明は、連続するシート状の基材の表面に、電極活物質粒子を含む電極活物質組成物からなる電極活物質層が間欠的に配置されたリチウムイオン電池用電極材の製造装置であって、前記基材を搬送し、前記基材上に粉体状の前記電極活物質組成物を間欠的に供給する供給手段と、前記基材の上に連続するシート状の保護材を載置し、前記保護材により前記電極活物質組成物を保護する保護手段と、前記保護材の上から前記電極活物質組成物を加圧して前記電極活物質層を形成する加圧手段と、を備えることを特徴とする。
請求書5に記載の発明によれば、基材の上に連続するシート状の保護材を載置し、この保護材により、基材上に間欠的に供給された電極活物質組成物を保護し、保護材の上から電極活物質組成物を加圧して電極活物質層を形成するようにしたので、電極活物質組成物が飛散したり、電極活物質層が崩壊したりするのを抑制することができる。したがって、基材を比較的高速で搬送した場合でも、電極活物質組成物の粉漏れを効果的に抑制することが可能である。
請求項6に記載の発明は、シート状の電極集電体の表面に、電極活物質を含む電極活物質組成物からなる電極活物質層が形成されたリチウムイオン電池用電極であって、前記電極活物質層の上に載置され、前記電極活物質層の周囲で前記電極集電体に密着された導電性フィルムを備えることを特徴とする。求項6に記載の発明によれば、リチウムイオン電池用電極の電極活物質層の上に導電性フィルムを載置し、電極活物質層の周囲で導電性フィルムを電極集電体に密着させるようにしたので、リチウムイオン電池用電極を積層してリチウムイオン電池を組み立てる際に、リチウムイオン電池用電極に対して多少の振動や衝撃が与えられても、電極活物質層が飛散したり、崩壊したりするのを抑制することが可能である。
請求項7に記載の発明は、正極集電体と、前記正極集電体に形成された正極活物質層と、前記正極活物質層の上に載置され、前記正極活物質層の周囲で前記正極集電体に密着された正極導電性フィルムとを備える正極と、負極集電体と、前記負極集電体に形成された負極活物質層と、前記負極活物質層の上に載置され、前記負極活物質層の周囲で前記負極集電体に密着された負極導電性フィルムとを備える負極とが、セパレータを介して積層されていることを特徴とするリチウムイオン電池である。請求項7に記載の発明によれば、リチウムイオン電池の正極の正極活物質層の上に正極導電性フィルムを載置して正極集電体に密着させ、負極の負極活物質層の上に負極導電性フィルムを載置して負極集電体に密着させるようにしたので、リチウムイオン電池に振動や衝撃が与えられても、正極活物質層および負極活物質層が崩れるのを抑制し、層厚を一定に維持することが可能である。
1 リチウムイオン電池用電極材の製造装置(電極材製造装置)
2 リチウムイオン電池用電極材
3 基材供給部
31 基材
4 正極活物質組成物供給部(供給工程および供給手段)
5 保護材供給部(保護工程および保護手段)
51 保護材
6 保護材密着部(密着工程および密着手段)
7 加圧部(加圧工程および加圧手段)
8 保護材除去部(保護材除去工程および保護材除去手段)
9 正極活物質組成物(電極活物質組成物)
101 リチウムイオン電池
101A 正極
101B 負極
102 正極集電体
103 正極活物質層(電極活物質層)
104 負極集電体
105 負極活物質層(電極活物質層)
106 セパレータ
107 封止材

Claims (7)

  1. 連続するシート状の基材の表面に、電極活物質粒子を含む電極活物質組成物からなる非結着体の電極活物質層が間欠的に配置されたリチウムイオン電池用電極材の製造方法であって、
    前記基材を搬送し、前記基材上に粉体状の前記電極活物質組成物を間欠的に供給する供給工程と、
    前記基材の上に連続するシート状の保護材を載置し、前記保護材により前記電極活物質組成物を保護する保護工程と、
    前記保護材の上から前記電極活物質組成物を加圧して前記電極活物質層を形成する加圧工程と、
    を備えることを特徴とするリチウムイオン電池用電極材の製造方法。
  2. 前記保護工程の後に、前記電極活物質組成物の周囲で前記保護材を前記基材へ密着させる密着工程を備える、
    ことを特徴とする請求項1に記載のリチウムイオン電池用電極材の製造方法。
  3. 前記保護材として、粘着性導電フィルムを用いる、
    ことを特徴とする請求項1または2に記載のリチウムイオン電池用電極材の製造方法。
  4. 前記加圧工程の後に、前記保護材を除去する保護材除去工程を備える、
    ことを特徴とする請求項1または2に記載のリチウムイオン電池用電極材の製造方法。
  5. 連続するシート状の基材の表面に、電極活物質粒子を含む電極活物質組成物からなる非結着体の電極活物質層が間欠的に配置されたリチウムイオン電池用電極材の製造装置であって、
    前記基材を搬送し、前記基材上に粉体状の前記電極活物質組成物を間欠的に供給する供給手段と、
    前記基材の上に連続するシート状の保護材を載置し、前記保護材により前記電極活物質組成物を保護する保護手段と、
    前記保護材の上から前記電極活物質組成物を加圧して前記電極活物質層を形成する加圧手段と、
    を備えることを特徴とするリチウムイオン電池用電極材の製造装置。
  6. シート状の電極集電体の表面に、電極活物質を含む電極活物質組成物からなる非結着体の電極活物質層が形成されたリチウムイオン電池用電極であって、
    前記電極活物質層の上に載置され、前記電極活物質層の周囲で前記電極集電体に密着された導電性フィルムを備えることを特徴とするリチウムイオン電池用電極。
  7. 正極集電体と、前記正極集電体に形成された非結着体の正極活物質層と、前記正極活物質層の上に載置され、前記正極活物質層の周囲で前記正極集電体に密着された正極導電性フィルムとを備える正極と、
    負極集電体と、前記負極集電体に形成された非結着体の負極活物質層と、前記負極活物質層の上に載置され、前記負極活物質層の周囲で前記負極集電体に密着された負極導電性フィルムとを備える負極とが、
    セパレータを介して積層されていることを特徴とするリチウムイオン電池。
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