JP2023121879A - 固形薬剤、固形薬剤の製造方法、及びそれを用いた水処理装置 - Google Patents

固形薬剤、固形薬剤の製造方法、及びそれを用いた水処理装置 Download PDF

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Abstract

【課題】薬剤が水に触れた際に、薬剤の膨張を抑制可能な固形薬剤、固形薬剤の製造方法、及びそれを用いた水処理装置を提供する。【解決手段】固形薬剤1は、凝集剤2と、賦形剤3と、効能部と、結合剤4と、を備える。凝集剤2は、水溶性であり、被処理水中の微粒子と作用する。賦形剤3は、水溶性であり、凝集剤2の成形性を向上させる。効能部は、凝集剤と賦形剤とを含んで構成される。結合剤4は、水溶性であり、効能部の接着性を向上させる。【選択図】図1

Description

本発明は、固形薬剤、固形薬剤の製造方法、及びそれを用いた水処理装置に関するものである。
水中の微粒子を除去する水処理の方法として、従来、凝集剤を用いて微粒子を粗大化させる水処理方法が知られている。具体的には、凝集剤の凝集作用を用いて微粒子を含むフロックを形成し、フロックを濾過装置等によって除去することで、浄水を得る方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
一般的に、凝集剤を凝集処理に用いる場合には、液体である凝集剤溶液を、ポンプを用いて被処理水に注入する。しかし、この方法は、使用するポンプが高価であることから、被処理水の浄化にコストが掛かるという問題がある。また、凝集剤溶液を貯蔵するために大型のタンクが必要となり、水処理装置全体が大型化するという問題がある。
そこで、凝集剤を固形化することで、上記2つの問題を解決することを検討した。しかし、凝集剤は、水に完全に溶解させた後にポンプで注入することが前提であるため、凝集剤が素早く溶解するように構成されている。このため、固形の凝集剤を、被処理水に連続的に少しずつ溶解させることができないという問題や、凝集剤濃度が安定せず適切に微粒子除去を行うことができないという問題がある。
ここで、従来の固形薬剤として、水溶性の薬剤の有効濃度を長期間に亘って持続させる固形薬剤が知られている。(例えば、特許文献2,3参照)。
特開2006-218388号公報 公告昭48―2775号公報 特開平7―136664号公報
上記特許文献2に開示された殺生物製剤では、有効成分である水溶性殺傷物質に、非水溶性物質であるロウ状物質と、水溶性物質であるポリエチレングリコールとを配合し、薬剤を固形化成形する。したがって、殺生物製剤を水に溶解させた際、ロウ状物質が溶解せず、溶液中に蓄積する。そのため、濾過装置などに適用した場合には、濾過材の閉塞が生じる等の課題がある。また、分子量の大きいポリエチレングリコールを用いており、殺生物製剤を水に溶解させた際に、膨張する可能性があり、表面積が変動することから水溶性殺傷物質を一定濃度で徐々に放出することが困難である。
また、上記特許文献3に開示された排水処理方法では、溶解性の脂肪酸エステルを配合し、薬剤を固形化成形する。脂肪酸エステルとして疎水基の分子量が大きな物質を用いると、固形化薬剤を水に溶解させた際、薬剤全体が膨張する。そのため、濾過装置などに適用した場合には、膨張した薬剤の濾過材への固着や、膨張した薬剤による濾過材の閉塞が生じる等の課題がある。
上記のような課題から、凝集剤を用いて水中の微粒子を粗大化し、濾過により微粒子を除去する水処理用途に適用可能な、固形薬剤を作製することは困難であった。
そこで本発明は、上記従来の課題を解決するものであり、水に触れた際に膨張率を抑えることができ、且つ、薬剤成分が溶解する固形薬剤、固形薬剤の簡便な製造方法、及びそれを用いた水処理装置を提供することを目的とする。
そして、この目的を達成するために、本発明に係る固形薬剤は、被処理水中の微粒子と作用する水溶性の凝集剤と、凝集剤の成形性を向上させる水溶性の賦形剤と、凝集剤と賦形剤とを含んで構成される効能部と、効能部の膨張を抑制する水溶性の結合剤と、を備えている。
また、この目的を達成するために、本発明に係る固形薬剤の製造方法は、被処理水中の微粒子に作用する凝集剤と、凝集剤の成形性を向上させる賦形剤と、凝集剤と賦形剤とを含んで構成される効能部の膨張を抑制する結合剤と、を撹拌し混合体とする混合工程と、混合体に溶媒を添加する湿潤工程と、溶媒中で混合体を撹拌する造粒工程と、溶媒を蒸発させ、固体を得る蒸発工程と、固体に圧力を加える成形工程と、を含む。
また、この目的を達成するために、本発明に係る水処理装置は、本発明に係る固形薬剤を備える。
本開示によれば、固形薬剤が水に触れた際に、固形薬剤の膨張を抑えることができ、薬剤成分が溶解する固形薬剤、固形薬剤の簡便な製造方法、及びそれを用いた水処理装置を提供することができる。
図1は、本発明の実施の形態1に係る固形薬剤の模式図である。 図2は、本発明に係る固形薬剤を製造する際に用いられる金型の模式図である。 図3は、固形薬剤の製造方法を示すフロー図である。 図4は、本発明に係る水処理装置の模式図である。 図5は、実施例及び比較例に用いた固形薬剤1の試験タブレットの模式図である。 図6は、実施例1a~4a、比較例1、及び比較例2aにおける固形薬剤の詳細条件及び膨張率測定結果を示す図である。 図7は、実施例1b~4b、比較例1、及び比較例2bにおける固形薬剤の詳細条件及び膨張率測定結果を示す図である。 図8は、実施例1a~4a、比較例1、及び比較例2aにおける凝集剤濃度測定結果を示す図である。 図9は、実施例1b~4b、比較例1、及び比較例2bにおける凝集剤濃度測定結果を示す図である。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施の形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。また、実施形態において説明する各図は、模式的な図であり、各図中の各構成要素の大きさ及び厚さそれぞれの比が、必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。
(実施の形態1)
図1を参照して、本実施の形態1に係る固形薬剤1について説明する。図1は本発明に係る固形薬剤1の模式図である。
固形薬剤1は、主に水処理用途として用いられ、水中の微粒子に作用する。水処理の方法として、例えば、被処理水に固形薬剤1を添加する。被処理水に懸濁している微粒子は負に帯電しているため、正電荷を有する固形薬剤1を用いた場合、固形薬剤1の電気中和作用により、懸濁微粒子と固形薬剤1が凝集しフロックが形成される。そして、生成したフロックを沈殿あるいは濾過等により被処理水から除去することで、被処理水から懸濁微粒子を除去し、浄水を得ることが可能である。
なお、微粒子とは、例えば砂、シルト、粘土や酸化鉄粒子等が挙げられるが、これらに特に限定されることはなく、被処理水中に含まれる粒子であれば除去対象となる。
本実施の形態1の固形薬剤1は、図1に示すように、凝集剤2と、賦形剤3と、結合剤4と、を有して構成される。凝集剤2、賦形剤3、結合剤4には、いずれも水溶性の薬剤を用いる。つまり固形薬剤1は、全体として高い水溶性を有する。したがって、固形薬剤1を、フロック濾過法などを行う水処理装置に用いた場合に、薬剤成分が容易に溶解する。このため、難溶性を理由として溶け残った薬剤成分により濾過材が閉塞するという問題を抑制できる。
凝集剤2は、被処理水中の微粒子と作用してフロックを形成する。凝集剤2は、水溶性の薬剤であり、水処理用途において、固形薬剤1の有効成分として作用する。
凝集剤2は、その形態は問わないが、固形薬剤1の製造工程における取扱いの容易さ等の観点から、液体よりも固体が好ましい。
凝集剤2として、無機凝結剤、有機凝結剤、及び高分子凝集剤のうち、少なくとも1種を用いる。凝集剤2には、水処理用途において、電荷中和作用の観点から、分子構造中に正電荷を有する薬剤を用いることが好ましい。正電荷を有する薬剤を用いることにより、負に帯電している微粒子に対し、電荷中和を行うことができ、微粒子同士を凝結あるいは凝集させ、フロックを形成させることができる。
有機凝結剤として、例えば、ポリDADMAC、ポリアミン、及びジシアンジアミド系高分子等を用いることができる。ポリアミンとして、例えば、ポリエチレンイミンを用いることができる。また、ジシアンジアミド系高分子として、例えば、ポリジシアンジアミドと塩化アンモニウムの反応物を用いることができる。
無機凝結剤として、例えば、ポリ塩化アルミニウム、ポリ硫酸アルミニウム、ポリ硫酸第二鉄等を用いることができる。
高分子凝集剤として、カチオン性の高分子凝集剤を用いることが好ましく、例えば、ポリメタクリル酸ジメチルアミノエチル等を用いることができる。
なお、有機凝結剤及び無機凝結剤は、比較的低分子量(重量平均分子量1万以下)であるため、負に帯電している微粒子に対して電荷中和作用を起こし、微粒子の集合体である微細フロックを形成する。この反応は凝結反応と呼ばれ、水処理を行う際に、基礎フロックを生成する第一段階の方法として用いることができる。一方、高分子凝集剤は、生成した微細フロックを吸着して連結させる架橋作用を起こし、複数の微細フロックを含む粗大フロックを形成する。この反応は架橋反応と呼ばれ、水処理を行う際に、粗大フロックを形成し、凝集沈降反応によって、濁質を含む汚れ成分を取り除く方法として用いることができる。したがって、有機凝結剤または無機凝結剤と、高分子凝集剤を併用することも可能であり、有機凝結剤と無機凝結剤と高分子凝集剤を併用することも可能である。
固形薬剤1に対する凝集剤2の含有量は、1~30重量%、好ましくは1~20重量%である。凝集剤2の含有量が上記範囲内にあると、使用初期から凝集剤2の一部と被処理水が接触することができ、凝集剤成分の過剰な溶出を抑えることができるため好ましい。
賦形剤3は、凝集剤2の成形性、つまり製造上における性状及び特性を向上させる水溶性の薬剤である。性状とは、例えば、粉体流、錠剤圧縮強度、湿潤・乾燥顆粒形成、均一性等である。特性とは、例えば、含量均一性、粉末化、溶解、錠剤の完全性、もろさ、物理的・化学的安定性等である。具体的には、凝集剤2のような有効成分のみで固形薬剤1を成形した場合、固形薬剤1の成形性は有効成分のみのもろさや溶解性に依存してしまう。そのため、固形薬剤1の成形が困難であるといった課題や、固形薬剤1がすぐに溶解してしまう等の課題が生じる。したがって、賦形剤3を配合することにより、固形薬剤1全体の成形性を向上させることができる。
賦形剤3は、水溶性の二糖以上の糖類を含み、その形態は問わないが、固形薬剤1の製造工程における取扱いの容易さ等の観点から、液体よりも固体が好ましい。
賦形剤3の主成分として、例えば、ラクトース、水溶性でんぷん、水溶性セルロース、グアーガム、タマリンドガム等を用いることができる。
固形薬剤1に対する賦形剤3の含有量は、50~98重量%とし、好ましくは60~98重量%である。賦形剤3の含有量が上記範囲内にあると、被処理水に対する凝集剤2の溶解性を低減でき、長期間凝集剤成分を溶出させることができる。したがって、長期間(例えば2週間)にわたり、固形薬剤1の形状を保持しつつ、凝集剤成分を適切な量で継続的に溶出させることができるため好ましい。
凝集剤2及び賦形剤3は、被処理水中の微粒子に対して凝結反応あるいは凝集反応を行う効能部を形成する。
結合剤4は、粘性を有する水溶性の薬剤である。結合剤4は、凝集剤2及び賦形剤3の接着性を向上させる。したがって、結合剤4を配合することにより、効能部の接着性が向上し、固形薬剤1の硬度が向上する。
結合剤4は、セルロース系高分子、ビニル系高分子を含み、その形態は問わないが、固形薬剤1の製造工程における取扱いの容易さ等の観点から、液体よりも固体が好ましい。
結合剤4は、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロース等を用いることができる。接着性や粘性等のハンドリング性の観点から、ポリビニルアルコールを用いるのが好ましい。また、ポリビニルアルコールを用いる場合、鹸化度は80~95%であることが好ましい。鹸化度が80~95%であれば、流動性が高く、粘性が低い性質となるため、凝集剤2及び賦形剤3が結合剤4によって均一に接着しやすくなるためである。
結合剤4は、固形薬剤1の製造工程における取扱いの容易さなどの観点から、粘度20~110mPa(4%、20℃)であることが好ましい。
固形薬剤1に対する結合剤4の含有量は、1~20重量%、好ましくは1~10重量%である。結合剤4の含有量が上記範囲内にあると、結合剤4によって、凝集剤2、賦形剤3、及び結合剤4の各薬剤成分が接着し、膨張しやすい賦形剤3の表面積が低下する。したがって、固形薬剤1を被処理水に添加した場合に、賦形剤3の被処理水への露出面積が小さくなり、固形薬剤1全体の膨張率を抑えることが可能となる。したがって、長期間(例えば2週間)にわたり、固形薬剤1の形状を保持しつつ、凝集剤成分を一定濃度で溶出させることができるため好ましい。また、膨張を抑制できるため、濾過装置などに適用した場合には、膨張した薬剤の濾材への固着や、膨張した薬剤による濾過装置の閉塞が生じる、等の問題の発生を抑制できる。
また、固形薬剤1は、凝集剤2、賦形剤3、結合剤4のそれぞれの含有割合の合計が100重量%を超過しないように配合比を設定し、その配合比を任意に変更可能である。また、必要に応じて添加物等を配合してもよいが、例えば、セルロース、カルボキシメチルセルロース、コーンスターチ、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム等の固形薬剤1の形状の崩壊を促進する成分を配合すると、固形薬剤1が速やかに崩壊し、長期にわたり凝集剤を徐放する固形薬剤1とすることが困難であるため、好ましくない。
なお、凝集剤2、賦形剤3、結合剤4のそれぞれについて、製造工程における取扱いの容易さ等を考慮し、固体より液体を用いることが好ましいとしたが、3成分すべてを液体とした場合には、水処理用途においては、賦形剤3及び結合剤4を加える必要はなく、従来技術に示した、ポンプを用いて被処理水に液体の凝集剤を添加する手法となる。したがって、凝集剤2、賦形剤3、結合剤4の3成分のうち、少なくとも1種類は固体の原料を用いて固形薬剤1を構成する。具体的には、配合割合が最も高い成分を固体とすることが好ましい。
(固形薬剤の製造方法)
次に、図2及び図3を参照して、本実施の形態1に係る固形薬剤1の製造方法について説明する。図2は、本発明に係る固形薬剤1を製造する際に用いられる金型5の模式図である。図3は、固形薬剤1の製造方法を示すフロー図である。
本実施の形態1の固形薬剤1は、凝集剤2と、賦形剤3と、結合剤4とを混合した混合物を、金型5を用いて、加圧して錠剤状とすることによって製造することができる。
金型5は、金型5aと金型5bを有して構成される。
金型5aは、製造時に固形薬剤1の原料が投入される部材である。金型5aは、内部空間6を有する筒状の部材であり、筒状部の少なくとも一端が開口している。
内部空間6の直径D1は、固形薬剤1の直径と略一致する。金型5aの内部空間6に固形薬剤1の原料が投入される。内部空間6の形状により、固形薬剤1の形状が決定される。
金型5bは、加圧部7と基部8を有し、金型5aの内部空間6と篏合する。
加圧部7は、金型5aの開口に挿し込まれ、固形薬剤1の原料を加圧する部材である。加圧部7の直径D2は、内部空間6の直径D1と略一致し、内部空間6への挿入及び取り出しが可能な直径とする。
基部8は、加圧部7と一体に成形され、加圧部7に圧力を伝達する部材である。
なお、金型5a及び金型5bの素材は、特に限定されず、金属であってもよいし、樹脂であってもよい。
図3を用いて、固形薬剤1の製造方法について説明する。
より具体的には、まず、凝集剤2と、賦形剤3と、結合剤4と、を秤量し、混合することにより、混合物を調製する(混合工程:ステップS1)。混合方法は特に限定されないが、固形薬剤1中での各成分の偏在を抑制し分散して存在させるために、撹拌機を用いて攪拌することが好ましい。なお、以降では、凝集剤2、賦形剤3、結合剤4の3成分をまとめて「各成分」と記載することがある。
攪拌速度は特に指定は無いが、500rpm~30000rpmが好ましく、より好ましくは15000~25000rpmである。攪拌速度が500rpm未満の場合には、凝集剤2と、賦形剤3と、結合剤4とが十分に混合されておらず、各成分が偏在する可能性がある。攪拌速度が30000rpm以上の場合には、攪拌速度が速いため、粉体の分散性が著しく低下し、各成分が偏在する可能性がある。
混合物の混合方法として、例えば、小型撹拌機、ミル、粉体混合機などを用いた混合を行うことができる。
混合工程での混合時間は、例えば、30秒~3分とするのが好ましく、より好ましくは1分である。混合時間が30秒未満の場合には、凝集剤2と、賦形剤3と、結合剤4とが十分に混合されておらず、各成分が偏在する可能性がある。混合時間が3分以上の場合には、過剰な混合となり、製造工程全体に要する時間が長期化してしまう。また、長時間の攪拌は、凝集剤2と、賦形剤3と、結合剤4との衝突回数が多くなることで微細化し、粉体の流動性が悪化する。したがって、金型5aに投入する際に各成分が偏在する可能性がある。 次に、混合体を湿潤させるために、混合体に溶媒を添加する(湿潤工程:ステップS2)。溶媒として、例えば、水、あるいはエタノール、アセトン、ヘキサンなどの揮発性の有機溶媒を用いることができ、揮発性の有機溶媒が好ましい。揮発性の有機溶媒を用いることで、後述する溶媒の蒸発(蒸発工程:ステップS4)において、工程時間を短縮することができる。
溶媒の添加量は、固形薬剤1に対して1~30重量%、好ましくは、20~30重量%である。溶媒の添加量が上記範囲内にあると、後述する混合体の攪拌(造粒工程:ステップS3)において、各成分が均一に湿潤し、各成分の粒子同士あるいは各成分間での粒子の結合力が上昇する。
なお、湿潤工程は必須の工程ではないが、湿潤工程により、各成分の粒子同士あるいは各成分間での粒子同士の結合性を向上させるために、湿潤工程を行うことが好ましい。固体である結合剤4を湿潤させることで、結合剤4に接着性を付与し、各成分の粒子同士あるいは各成分間での粒子同士の結合性を上昇させることができる。
そして、混合体を溶媒中で撹拌する(造粒工程:ステップS3)。造粒工程により、凝集剤2の周囲に結合剤4が付着し、結合剤4により凝集剤2と賦形剤3とが密着して一体となった粒状の物質として存在することができる。
造粒工程での撹拌時間は、例えば、30秒~1分とするのが好ましい。撹拌時間が30秒未満の場合には、凝集剤2の周囲に結合剤4が十分に付着しておらず、凝集剤2と賦形剤3との接着性が不十分な可能性がある。撹拌時間が3分以上の場合には、生成した粒状物質中の結合剤4の接着力が弱まり、粒状物質が崩壊し、再度各成分が独立した粒子に戻ってしまう可能性がある。
次に、溶媒を揮発させ、凝集剤2と賦形剤3と結合剤4を含む混合固体を得る(蒸発工程:ステップS4)。得られた混合固体は、固形薬剤1の原料となる。
そして混合固体に圧力を加え成形することにより、固形薬剤1を得る(成形工程:ステップS5)。
成形工程の詳細な手順を説明する。まず、造粒工程により得られた凝集剤2と賦形剤3と結合剤4とを含む混合固体を金型5aの内部に充填する。当該混合固体を金型5aに充填した後、金型5aの開口の一端から金型5bを挿し込み、混合固体に圧力を加える。これにより、混合固体が圧縮され、混合固体中の空隙が除去されて緻密化する。なお、混合物の加圧条件は特に限定されず、固形薬剤1が所望の密度になるように調整することができ、例えば、混合固体を、室温条件下、1~100MPaの圧力で加圧することが好ましい。
そして、金型5aの内部から成型体を取り出すことにより、固形薬剤1を得ることができる。
以上の製造方法により、凝集剤2と賦形剤3と結合剤4を原料として、固形薬剤1を得ることができる。
(実施の形態2)
次に、図4を参照して、本実施の形態2に係る水処理装置11について説明する。図4は本発明に係る水処理装置11の模式図である。
実施の形態2に係る水処理装置11では、固形薬剤1として、実施の形態1に係る固形薬剤1を用いている。以下、実施の形態1で説明済みの内容は再度の説明を適宜省略し、実施の形態1と異なる点を主に説明する。
水処理装置11は、水源12から供給される被処理水を浄化する装置である。水処理装置11は、例えば、戸建て住宅や集合住宅、商業施設などの建物に水を導入する水道管と連結して設置されてもよく、その場合、建物に導入される被処理水を浄化する。住宅に水処理装置11を設置する場合、例えば、各戸に1つずつ設けられてもよい。
水源12は、自然に存在する水を保持する場所であり、例えば、井戸、河川もしくは池等を含む。つまり、水源12からは、天然水を被処理水として得ることができる。
なお、被処理水とは、例えば、水道水の原料になる水であり、井戸、河川もしくは池等の水源から汲み出した水や雨水が該当し、微粒子等を含んでいる。
微粒子とは、例えば砂、シルト、粘土や酸化鉄粒子等が挙げられるが、これらに特に限定されることはなく、被処理水中に含まれる粒子であれば除去対象となる。微粒子として、例えば、粒子径が0.2~15μmの粒子を除去可能である。微粒子は、その多くが負に帯電し、被処理水中では微粒子同士が互いに反発しあっている。また、被処理水に含まれる鉄イオンは、例えば、地中に含まれる鉄が溶出したものである。
図4に示すように、水処理装置11は、流入口13と、通水管14と、薬剤添加部17と、濾過部18と、通水ポンプ15と、浄水排出口16とを有して構成される。
流入口13は、通水ポンプ15によって水源12から汲み上げられる被処理水を装置内に導入する開口である。流入口13は、通水管14の上流端に位置する。
通水管14は、被処理水を流通させ、内部で被処理水の浄化を行う管である。通水管14の上流端には流入口13が設けられ、下流端には浄水排出口16が設けられる。通水管14は、流入口13及び通水ポンプ15を連通接続する。また、通水管14は、通水ポンプ15及び薬剤添加部17を連通接続する。また、通水管14は、薬剤添加部17及び濾過部18を連通接続する。また、通水管14は、濾過部18及び浄水排出口16を連通接続する。
通水ポンプ15は、水源12から被処理水を汲み上げ、水処理装置11に供給する。通水ポンプ15は、通水ポンプ下流へと被処理水を送水する。通水ポンプ15は、薬剤添加部17の上流に設けられる。通水ポンプ15の送水量は、流入口13の位置と、水源12の水位との間の高低差によって変動する。
薬剤添加部17は、被処理水に固形薬剤1を添加する。薬剤添加部17には、被処理水に添加される固形薬剤1が格納される。薬剤添加部17は、通水管14と直接接続されていてもよいし、固形薬剤1を供給する配管を介して通水管14と接続されていてもよい。薬剤添加部17は、濾過部18の上流に設けられる。なお、固形薬剤1の原料には、水溶性の成分を用いているため、被処理水に固形薬剤1を添加した際に、薬剤添加部17の下流側に設けられた濾過部18が閉塞する可能性を低減できる。
濾過部18は、通水管14によって薬剤添加部17と連通接続されている。また、濾過部18は、通水管14によって、浄水排出口16と連通接続されている。濾過部18は、薬剤添加部17の下流に設けられる。濾過部18は、凝集剤2により形成されるフロックを含有する水を濾過する。濾過部18は、フロックを含有する水を濾過することができれば、特に限定されない。濾過部18は、例えば、容器と容器内に充填された濾過材とを含んでいてもよい。
濾過部18の濾過材として、砂、アンスラサイト、ガーネット、セラミックス、オキシ水酸化鉄、水中で沈降し、圧力で変形しにくい硬度をもつものを単一層又は多層にした粒状濾過材、マンガン砂、粒状活性炭等の濾過材表面に吸着能を持たせた粒状濾過材、繊維、プラスチック等の織物や不織布濾過材、膜濾過材などの深層濾過と言われている濾過現象を示す濾過材を、特に制限すること無く利用できる。濾過材としてマンガン砂を用いる場合、マンガン砂の密度は、例えば2.57g/cm~2.67g/cmとすることができる。マンガン砂のマンガン付着量は、0.3mg/g以上であることが好ましい。
浄水排出口16は、濾過部18によって濾過された被処理水を、浄水として装置外に供給する開口である。浄水排出口16は、通水管14の一端であり、流入口13とは異なる一端に設けられる。浄水排出口16から得られる浄水は、濁度が低減され、生活水として用いることができる。生活水とは、例えば、家事、入浴、炊事、飲用等の日常生活に用いる水を含む。
((処理の流れ))
水処理装置11による被処理水の浄化方法について説明する。まず、通水ポンプ15により、微粒子を含む被処理水が水源12から流入口13を介して装置内に導入される。水処理装置11内に導入された被処理水は、通水ポンプ15により通水管14を流通する。流入した被処理水が薬剤添加部17に到達すると、被処理水に固形薬剤1が添加される。
添加された固形薬剤1は、被処理水中の微粒子と作用し、濾過部18で濾過される濾過対象物質が形成される。
例えば、添加された固形薬剤1は、被処理水中の微粒子と凝結反応あるいは凝集反応を起こし、フロックが形成される。また、正電荷を有する凝集剤2を含有する固形薬剤1を用いた場合には、濾過部18の濾過材のマイナス帯電についても中和可能であり、フロックと濾過材との電荷反発を解消できる。電荷反発が解消された結果、フロックが濾過されやすくなるため、除濁性能が向上する。
形成されたフロックを含む被処理水は、通水管14を流通し、薬剤添加部17の後段に設けられる濾過部18に導入される。濾過部18に導入された被処理水は、被処理水中のフロックが濾過材によって濾過されるため、浄水となる。そして、濾過部18の下流に設けられる浄水排出口16からは、微粒子が除去された浄水を得ることができる。浄水は、生活用水として使用可能である。このようにして、被処理水から微粒子を除去することができる。
(実施例)
以下、実施例及び比較例を用いて本実施形態の固形薬剤1をさらに詳細に説明するが、本実施形態はこれによって限定されるものではない。
(固形薬剤の調整)
まず、凝集剤2として、ポリDADMAC(株式会社SNF製、品番:DB45SH)、または、ポリビニルピロリドン(富士フィルム和光純薬株式会社製、品番:K25)を準備し、秤量した。次に賦形剤3として、タマリンドシードガム(DSP五協フード&ケミカル株式会社製、品番:グリロイド6C)を準備し、秤量する。次に結合剤4として、ポリビニルアルコール(株式会社アズワン製、品番:造粒バインダー(PVA)PV―217)を準備し、秤量した。次に、各当該薬剤を全てフォースミル(大阪ケミカル株式会社製、品番:FM-1)に投入した。フォースミルにて1分間攪拌した後、溶媒として、各当該薬剤の合計重量比の30%のエタノールを加え、さらに1分間フォースミルにて攪拌した。その後、エタノールを揮発させ、粉末を得た。そして、生成した粉末を、金型5a(φ9mm)の内部に投入した。そして、当該粉末を、金型5bを用いて20MPaで加圧圧縮することにより、固形薬剤1の試験サンプルを得た。
試験サンプルの形状について、図5を用いて説明する。図5は、実施例及び比較例に用いた固形薬剤1の試験タブレットの模式図である。
試験タブレット20は、試験サンプル及び樹脂タブレット19を有し、実施例及び比較例の試験に用いられる。
樹脂タブレット19は、両端が開口した円筒型の樹脂成型物である。実施例及び比較例の試験の際には、直径φが9mmの孔が空いた、直径φが30mm、高さHが12mmの樹脂タブレット19を用いた。
試験サンプルの形状は、図1に示すように、直径φが9mm、高さHが12mmの円柱状であった。そして、各試験サンプルを、図5に円筒型の樹脂タブレット19にはめ込み、固形薬剤1の試験タブレット20を作成した。つまり、試験タブレット20は、樹脂タブレット19の天面及び底面の開口から、試験サンプルが液体と接触する構成とした。試験サンプルの薬剤組成と比率を図6及び図7に示す。
(固形薬剤溶解試験)
試験タブレットの溶解性及び膨張性を評価するために、水処理装置11を用いて、固形薬剤1にイオン交換水を連続通水することで、固形薬剤1中に含まれる凝集剤2の濃度の測定及び固形薬剤1の膨張率の測定を行った。具体的には、水源12としてイオン交換水を150L以上タンクに貯水し、固形薬剤1の試験タブレットを薬剤添加部17に充填した。また、流量計(株式会社キーエンス製、品番:FD―H20)を薬剤添加部17の上流側に設けて測定し、一定流量でイオン交換水を薬剤添加部17に通水した。流量は15L/minにて設定し、10分間連続で通水した。試験タブレットが通水された溶液を、浄水排出口16から1分ごとに1L採水し、採水した溶液のコロイド滴定を行うことにより、溶液中の凝集剤2の濃度測定を行った。10分間の連続通水試験終了後、試験タブレットを取出し、十分に乾燥した後、試験サンプルの膨張率Aを測定した。また、膨張率Aは、連続通水後の試験サンプルの体積変化を示す値であり、次の式1より求めた。
[式1]
A(%)=V10/V×100
10:連続通水10分後の試験サンプルの体積
:連続通水前の試験サンプルの体積
(実施例及び比較例)
次に、実施例及び比較例について説明する。
[実施例1a]
凝集剤2として、ポリDADMACを全体重量比の20%となるように秤量した。賦形剤3として、タマリンドシードガムを全体重量比の79%となるように秤量した。結合剤4として、ポリビニルアルコール(鹸化度88%)を全体重量比の1%となるように秤量した。各薬剤を(固形薬剤の調整)にて上述した方法で加圧圧縮して、試験タブレットを得た。膨張率Aの評価結果を図6、凝集剤濃度の評価結果を図8に示す。
[実施例2a]
賦形剤3としてタマリンドシードガムを全体重量比の75%となるように秤量し、結合剤4として、ポリビニルアルコールを全体重量比の5%となるように秤量した以外は、実施例1aと同様にした。膨張率Aの評価結果を図6、凝集剤濃度の評価結果を図8に示す。
[実施例3a]
賦形剤3としてタマリンドシードガムを全体重量比の70%となるように秤量し、結合剤4として、ポリビニルアルコールを全体重量比の10%となるように秤量した以外は、実施例1aと同様にした。膨張率Aの評価結果を図6、凝集剤濃度の評価結果を図8に示す。
[実施例4a]
賦形剤3としてタマリンドシードガムを全体重量比の60%となるように秤量し、結合剤4として、ポリビニルアルコールを全体重量比の20%となるように秤量した以外は、実施例1aと同様にした。膨張率Aの評価結果を図6、凝集剤濃度の評価結果を図8に示す。
[実施例1b]
凝集剤2として、ポリDADMACを全体重量比の20%となるように秤量した。賦形剤3として、タマリンドシードガムを全体重量比の79%となるように秤量した。結合剤4として、ポリビニルピロリドンを全体重量比の1%となるように秤量した。各薬剤を(固形薬剤の調整)にて上述した方法で加圧圧縮して、試験タブレットを得た。膨張率Aの評価結果を図7、凝集剤濃度の評価結果を図9に示す。
[実施例2b]
賦形剤3としてタマリンドシードガムを全体重量比の75%となるように秤量し、結合剤4として、ポリビニルピロリドンを全体重量比の5%となるように秤量した以外は、実施例1bと同様にした。膨張率Aの評価結果を図7、凝集剤濃度の評価結果を図9に示す。
[実施例3b]
賦形剤3としてタマリンドシードガムを全体重量比の70%となるように秤量し、結合剤4として、ポリビニルピロリドンを全体重量比の10%となるように秤量した以外は、実施例1bと同様にした。膨張率Aの評価結果を図7、凝集剤濃度の評価結果を図9に示す。
[実施例4b]
賦形剤3としてタマリンドシードガムを全体重量比の60%となるように秤量し、結合剤4として、ポリビニルピロリドンを全体重量比の20%となるように秤量した以外は、実施例1bと同様にした。膨張率Aの評価結果を図7、凝集剤濃度の評価結果を図9に示す。
[比較例1]
凝集剤2として、ポリDADMACを全体重量比の20%となるように秤量した。賦形剤3としてタマリンドシードガムを全体重量比の80%となるように秤量した。結合剤4は配合せずに、凝集剤2及び賦形剤3を(固形薬剤の調整)にて上述した方法で加圧圧縮して、試験タブレットを得た。膨張率Aの評価結果を図6及び図7、凝集剤濃度の評価結果を図8及び図9に示す。
[比較例2a]
賦形剤3としてタマリンドシードガムを全体重量比の40%となるように秤量し、結合剤4として、ポリビニルアルコールを全体重量比の40%となるように秤量した以外は、実施例1aと同様にした。膨張率Aの評価結果を図6、凝集剤濃度の評価結果を図8に示す。
[比較例2b]
賦形剤3としてタマリンドシードガムを全体重量比の40%となるように秤量し、結合剤4として、ポリビニルピロリドンを全体重量比の40%となるように秤量した以外は、実施例1bと同様にした。膨張率Aの評価結果を図7、凝集剤濃度の評価結果を図9に示す。
次に、実施例及び比較例の評価結果について説明する。
試験により得られた結果を図6、図7、図8、及び図9に示す。図6は、実施例1a~4a、比較例1、及び比較例2aにおける固形薬剤の詳細条件及び膨張率測定結果を示す図である。図7は、実施例1b~4b、比較例1、及び比較例2bにおける固形薬剤の詳細条件及び膨張率測定結果を示す図である。図8は、実施例1a~4a、比較例1、及び比較例2aにおける凝集剤濃度測定結果を示す図である。図9は、実施例1b~4b、比較例1、及び比較例2bにおける凝集剤濃度測定結果を示す図である。
(比較例の膨張率の評価)
まず、図6を参照して、結合剤4を用いていない場合の膨張率の結果を説明する。
比較例1では、固形薬剤1には結合剤4が添加されておらず、固形薬剤1の膨張率は7%であった。この膨張は、賦形剤であるタマリンドシードガムの膨張が主要因であると推察される。タマリンドシードガムは、吸水性を有するため、水中で膨張する。比較例1では、結合剤4を配合していないため、結合剤4の接着効果が得られず、固形薬剤1の膨張を抑制することができないといえる。
以降では、結合剤4を用いていない比較例1を基準として、各試験サンプルの結合剤の配合比による膨張率の変化を評価する。
次に、図6を参照して、結合剤4としてポリビニルアルコールを用いた際の膨張率の結果を説明する。
比較例2aでは、固形薬剤1中の結合剤4の配合比が40%であり、膨張率が10%であった。この結果は、比較例1の基準値(7%)よりも高い値であり、結合剤4を添加しない場合よりも膨張したことを示している。高い膨張率を示した要因として、結合剤4の膨張性の影響が挙げられる。結合剤4は、水中で膨張する性質を有する。結合剤4の膨張性は、賦形剤3よりも低いものの、固形薬剤1の膨張率に影響を与える。そのため、結合剤4としてポリビニルアルコールを用いた場合に、固形薬剤1中の結合剤4の割合が一定値(30%)未満の場合には、賦形剤3に対する結合剤4の膨張抑制効果が、結合剤4の膨張効果に対して上回るため、固形薬剤1の膨張が抑制されると推察される。一方、固形薬剤1中の結合剤4の割合が増加し、結合剤4の割合が一定値(30%)以上の場合には、賦形剤3に対する結合剤4の膨張抑制効果と、結合剤4の膨張効果が拮抗し、結合剤4の割合が大きくなるにつれ、結合剤4の膨張効果が支配的になるため、固形薬剤1の膨張率が上昇すると推察される。
次に、図7を参照して、結合剤4としてポリビニルピロリドンを用いた際の膨張率の結果を説明する。
比較例2bでは、固形薬剤1中の結合剤4の配合比が40%であり、膨張率が-39%であった。この結果は、膨張率が負であるため、固形薬剤1の膨張よりも、溶解速度の方が大きく、固形薬剤1の大部分が溶解したことを示している。この結果を示した要因として、結合剤4の溶解性の影響が挙げられる。結合剤4は、高い溶解性を有する。結合剤4の溶解性は、固形薬剤1の膨張率に影響を与える。そのため、結合剤4としてポリビニルピロリドンを用いた場合に、固形薬剤1中の結合剤4の割合が一定値(30%)未満の場合には、結合剤4の溶解性により、固形薬剤1の膨張が抑制されると推察される。一方、固形薬剤1中の結合剤4の割合が増加し、結合剤4の割合が一定値(30%)以上の場合には、賦形剤3の膨張性に対して、結合剤4の溶解性が支配的になるため、溶解性の高い固形薬剤1となり、固形薬剤1の膨張率が低下したと推察される。
(実施例の膨張率の評価)
まず、図6を参照して、結合剤4にポリビニルアルコールを用いた際の膨張率の結果を説明する。
実施例1aから実施例4aは、固形薬剤1に対する結合剤4の配合比がそれぞれ1%、5%、10%、20%であり、膨張率はそれぞれ3%、2%、2%、6%であった。これはいずれも、結合剤4を配合しなかった比較例1に比べ、低い値であることから、結合剤4を1~20%配合することによって、固形薬剤1の膨張率が顕著に抑えられることが判明した。
次に、図7を参照して、結合剤4にポリビニルピロリドンを用いた際の膨張率の結果を説明する。
実施例1bから実施例4bまでは結合剤4の配合比がそれぞれ1%、5%、10%、20%であり、膨張率はそれぞれ5%、5%、3%、0%であった。これはいずれも、結合剤4を配合しなかった比較例1に比べ、低い値であることから、結合剤4を1~20%配合することによって、固形薬剤1の膨張率が顕著に抑えられることが判明した。
このように、結合剤4を1%から20%の比率で配合することによって、膨張作用を有する賦形剤3の膨張を抑制でき、固形薬剤1の膨張を抑制することができる。結合剤4によって賦形剤3や凝集剤2などの薬剤同士の接着性が上昇し、高い膨張性を有する賦形剤3自体の露出表面積が低下する。そのため、成形した固形薬剤1が水に触れた際、賦形剤3に接触する水の面積が小さくなることで、膨張性が抑制されたと考えられる。したがって、結合剤4を1~20%配合することによって、水中での固形薬剤1の膨張に伴う表面積の増大を抑制し水処理ができるため、固形薬剤1と水との接触面積を一定範囲に保つことができ、固形薬剤1を被処理水に添加した際に所望の凝集剤濃度を有する溶液を提供することができる。また、水との接触面積を一定範囲に保つことができるため、固形薬剤1が早く溶解しきることを抑制でき、長期間にわたり凝集剤2を徐放可能な固形薬剤1とすることができる。
比較例と実施例の結果から、膨張率は、賦形剤3と結合剤4の物性により変化し、特に結合剤4の配合比が多くなるにつれて、結合剤4の物性が支配的になり、変動するといえる。したがって、各薬剤の選定と配合比を変更することによって、固形薬剤1の膨張性及び溶解速度を所望の値とすることが可能である。
(比較例の凝集剤濃度の評価)
まず、図8を参照して、結合剤4を用いていない場合の凝集剤濃度の結果を説明する。図8は、実施例1a~4a、比較例1、及び比較例2aにおける凝集剤濃度測定結果を示す図である。
比較例1に用いた試験タブレットでは結合剤4は入っておらず、凝集剤濃度は通水後20L付近では一時的に0.4ppmの濃度まで上がり、数分で0.05ppm付近の一定濃度に落ち着く濃度変化となった。これは、賦形剤3であるタマリンドシードガム自身が有する吸水性による膨張やゲル化によって、凝集剤2を固形薬剤1内部に保持したまま溶解するためであると推察される。したがって、連続通水時には、固形薬剤1を長期間に亘って徐放する効果があると考えられる。
以降では、結合剤4を用いていない比較例1を基準として、各試験サンプルの結合剤4の配合比による凝集剤濃度の変化を評価する。
次に、結合剤4にポリビニルアルコールを用いた際の凝集剤濃度の結果を説明する。
比較例2aは、結合剤4の配合比が40%である。比較例2aでの凝集剤濃度の経時変化は、通水後20L付近では一時的に0.2ppmの濃度まで上昇した後、徐々に低下し、総通水量50L以降では0.05ppm付近の一定濃度で安定する結果となった。この0.2ppmというピーク濃度は、比較例1のピーク濃度(0.4ppm)よりも低い値である。この結果から、ポリビニルアルコールの配合比が大きいほど、連続通水時の初期の凝集剤濃度が抑えられることが判明した。つまり、ポリビニルアルコールの配合比が大きいほど、固形薬剤1を長期間に亘って一定濃度で徐放することが可能となる。これは、結合剤4であるポリビニルアルコールによって、各薬剤成分の接着性が向上し、固形化する際に空隙率がより減少するためであると推察される。したがって、固形薬剤1が水に触れた際、固形薬剤1内部に水が浸入しづらく、固形薬剤1の崩壊性を抑制することができるため、凝集剤2の溶解速度(凝集剤濃度)を一定にすることができると考えられる。また、接着性が向上したために、固形薬剤1全体の硬度も増すことで、固形薬剤1の崩壊性を抑制することができる。したがって、凝集剤2の溶解速度(凝集剤濃度)を一定にすることができると考えられる。
次に、図9を参照して、結合剤にポリビニルピロリドンを用いた際の凝集剤濃度の結果を説明する。図9は、実施例1b~4b、比較例1、及び比較例2bにおける凝集剤濃度測定結果を示す図である。
比較例2bは、結合剤4の配合比が40%である。凝集剤濃度は通水後20L付近では2.0ppmの濃度まで上がり、その後2.0ppm付近の一定濃度で安定した。
この結果から、ポリビニルピロリドンの配合比が大きいほど、ポリビニルピロリドンの溶解度の高さが支配的となり、固形薬剤1全体の溶解度が上がることが明らかである。したがって、溶解速度は一定ではあるものの、その溶解速度はポリビニルアルコールを用いて固形薬剤1を形成した場合よりも速く、凝集剤2の長期的な徐放が出来ないと推察される。
(実施例の凝集剤濃度の評価)
まず、図8を参照して、結合剤4にポリビニルアルコールを用いた際の凝集剤濃度の結果を説明する。
実施例1aから実施例4aは、結合剤4の配合比がそれぞれ1%、5%、10%、20%であり、これらの凝集剤濃度の経時変化は、ピーク時の濃度に違いはあるものの、最終的には0.05ppm付近の一定濃度で安定するという、比較例1とほとんど同様な濃度変化となった。
これらの結果から、ポリビニルアルコールの配合比が20%以下の場合には、結合剤4が凝集剤2の徐放性に大きく影響を与えることなく、凝集剤2を安定的に徐放可能な固形薬剤1とすることができる。
次に、図9を参照して、結合剤4にポリビニルピロリドンを用いた際の凝集剤濃度の結果を説明する。
実施例1bでは、凝集剤濃度は、総通水量20L付近ではピーク値の0.6ppmの濃度まで上昇し、その後は徐々に低下するものの、総通水量が増大しても0.1ppm前後で一貫性なく上下し、総通水量150Lの時点でも一定濃度に安定しなかった。この要因として、固形薬剤1に対する結合剤4の配合比が1%と微小であることが挙げられる。配合比が低い場合には、結合剤4が偏在し、固形薬剤1中で結合剤4による薬剤成分の接着に偏りが生じることがある。その結果、固形薬剤1中での溶解性に差が生じたために、凝集剤濃度が安定しなかったと考えられる。
実施例2bから実施例4bでは、凝集剤濃度は、総通水量20L付近ではそれぞれピーク値の0.5ppm、0.35ppm、0.3ppmの濃度まで上昇した後、徐々に低下し、総通水量60L以降では0.05ppm付近の一定濃度で安定した。
これらの結果から、固形薬剤1中のポリビニルピロリドンの配合比が1%~20%の場合には、ポリビニルピロリドンの配合比が大きくなるほど、連続通水時の初期の凝集剤濃度の上昇を抑制できることが判明した。これは、ポリビニルピロリドンの配合比が大きいほど、各薬剤成分の接着性が向上し、固形化する際に空隙率がより減少し、固形薬剤1が水に触れた際、固形薬剤1内部に水が浸入しづらく、固形薬剤1の崩壊性を抑制できることに起因すると推察される。また、接着性が向上したために、固形薬剤1全体の硬度も増すことで、固形薬剤1の崩壊性を抑制することができる。これらの理由から、固形薬剤1を長期間に亘って一定濃度で徐放することが可能となる。しかし一方で、ポリビニルピロリドンを1%などの少量用いると、接着性が部分的に偏り、固形薬剤1の溶解性に差が生じてしまうと考えられる。
凝集剤濃度について、比較例と実施例の結果から、賦形剤と結合剤の物性の相性が重要であり、特にポリビニルピロリドンよりもポリビニルアルコールの方が、溶解速度が遅く、長期的な徐放が可能であると考えられる。したがって、凝集剤2にポリDADMAC、賦形剤3にタマリンドシードガムを用いた際、結合剤4はポリビニルアルコールを1%~20%の配合比で用いることで、固形薬剤1の長期的な徐放が可能であり、好ましい。
以上、本実施の形態1に係る固形薬剤1によれば、以下の効果を享受することができる。
(1)被処理水中の微粒子と作用する水溶性の凝集剤2と、凝集剤の成形性を向上させる水溶性の賦形剤3と、凝集剤2と賦形剤3とを含んで構成される効能部と、効能部の接着性を向上させる水溶性の結合剤4と、を備える構成とした。
こうした構成によれば、結合剤4によって凝集剤2及び賦形剤3の各薬剤成分が互いに接着し、膨張しやすい賦形剤3の表面積が低下する。したがって、固形薬剤1が水に浸漬された場合に賦形剤3が水と接触する面積が小さくなり、固形薬剤1全体の膨張率を抑えることが可能となる。
(2)固形薬剤1は、25℃の被処理水に浸漬した際の体積膨張率が0~10%であるようにした。
このようにすることで、膨張率の低い固形薬剤1となり、長期間水に浸漬させた場合にも、さらなる膨張を抑制できる。したがって、固形薬剤1の表面積の著しい増大がみられないため、凝集剤2を安定した濃度で徐放することができる。
(3)固形薬剤1は、効能部の重量%が80~99%であり、結合剤4の重量%が1~20%である構成とした。
このような構成によれば、結合剤4を配合しつつ効能部の機能を維持することができる。したがって、固形薬剤1を水に触れさせた際に、固形薬剤1の溶解速度を著しく増大させずに固形薬剤1の膨張率を抑えることが可能となる。
(4)固形薬剤1では、結合剤4は、水溶性セルロース系高分子、ビニル系高分子の少なくとも一つを含むような構成とした。
このような構成によれば、結合剤4に含まれる水酸基による水素結合が、薬剤成分間に生じることで、固形薬剤1の化学的安定性を高めることができる。したがって、固形薬剤1を水に触れさせた際に、水素結合によって引力が生じ、固形薬剤1の膨張率を抑えることが可能となる。
(5)固形薬剤1は、結合剤4は、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロースの少なくとも一つを含むような構成とした。
このような構成によれば、結合剤4として、医薬品業界でも使用されている添加剤を用いることができ、人体に対して比較的安全な固形薬剤1とすることができる。したがって、固形薬剤1を水処理用に用い、被処理水を浄化した場合、浄化後の処理水を生活用水として用いることが可能である。
(6)固形薬剤1では、ポリビニルアルコールの鹸化度が80~95%であるとした。
このようにすることで、ポリビニルアルコールの流動性が高く、粘性が低い性質となるため、製造過程において結合剤4が薬剤成分全体に均一に接着しやすくなり、凝集剤2あるいは賦形剤3の偏在を抑制できる。したがって、賦形剤3の表面積が減少し、固形薬剤1が水に触れた際に、固形薬剤1の膨張率を抑えることが可能となる。
(7)固形薬剤1の製造方法は、被処理水中の微粒子に作用する凝集剤2と、凝集剤2の成形性を向上させる水溶性の賦形剤3と、凝集剤2と賦形剤3とを含んで構成される効能部の接着性を向上させる水溶性の結合剤4と、を撹拌し混合体とする混合工程と、混合体に溶媒を添加する湿潤工程と、溶媒中で混合体を撹拌する造粒工程と、溶媒を蒸発させ、固体を得る蒸発工程と、固体に圧力を加える成形工程と、を含む構成とした。
このような構成によれば、接着性のある結合剤4が均一に分散し、固形薬剤1を成形する。したがって、膨張しやすい賦形剤3の表面積が低下することで、固形薬剤1が水に触れても、賦形剤3が水に触れる面積が小さくなり、固形薬剤1全体の膨張率を抑えることが可能となる。
(8)固形薬剤1の製造方法は、混合工程における撹拌時間を30秒~3分とし、造粒工程における撹拌時間を30秒~1分とした。
このような構成によれば、接着力を保った粒子を形成することができる。したがって、成形工程において、粒子同士が強固に接着することで固形薬剤1の硬度が上がり、固形薬剤1全体の膨張率を抑えることが可能となる。
(9)水処理装置11は、上述した固形薬剤1または上述した製造方法により製造された固形薬剤1を備える構成とした。
このような構成によれば、被処理水に固形薬剤1が溶解し、固形薬剤1中の凝集剤2の効果によって微粒子を凝集させることができる。したがって、濾過部18などで微粒子を除去することが可能となる。また、薬剤成分が全て水溶性であるために、固形薬剤1が水に触れることにより、各薬剤成分の溶け残りが発生しない。したがって、水処理装置11に適用した場合、濾過部18の閉塞等の問題を解決することが可能となる。
以上、本発明に関して実施の形態をもとに説明した。これらの実施の形態は例示であり、それらの各構成要素あるいは各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
なお、本実施の形態1においては、固形薬剤1に対する凝集剤2の含有量は、1~30重量%、好ましくは1~20重量%であるとしたが、これに限らない。固形薬剤1に対する凝集剤2の含有割合を高めることにより、被処理水に対する凝集剤2濃度を向上させることができ、含有割合を低減することにより、被処理水に対する凝集剤2濃度を抑制することができる。つまり、凝集剤2の含有割合を変更することにより、被処理水に対する凝集剤2濃度が変動するため、所望の凝集剤濃度が得られるように、固形薬剤1中の凝集剤2の含有割合を変更してもよい。
(本発明の概要)
本発明に係る固形薬剤は、被処理水中の微粒子と作用する水溶性の凝集剤と、凝集剤の成形性を向上させる水溶性の賦形剤と、凝集剤と賦形剤とを含んで構成される効能部と、効能部の接着性を向上させる水溶性の結合剤と、を備えている。こうした構成によれば、結合剤によって各薬剤成分が接着し、膨張しやすい賦形剤の表面積が低下する。したがって固形薬剤が水に触れても、賦形剤が水に触れる面積が小さくなり、固形薬剤全体の膨張率を抑えることが可能となる。さらに、薬剤成分が全て水溶性であるために、固形薬剤が水に触れることにより、各薬剤成分の溶け残りが発生しない。したがって、濾過装置などに適用した場合に濾過部の閉塞等の問題を解決することが可能となる。
また、本発明に係る固形薬剤は、25℃の被処理水に浸漬した際の体積膨張率が0~10%である。このような構成とすることにより、短期間での固形薬剤の膨張率抑制の確認ができる。したがって、長期間水に触れさせた際にも固形薬剤の膨張率抑制が期待できる。
また、本発明に係る固形薬剤は、効能部の重量%が80~99%であり、結合剤の重量%が1~20%である。このような構成とすることにより、結合剤を配合しつつ効能部の機能を維持することができる。したがって、固形薬剤を水に触れさせた際に、固形薬剤の溶解速度を上げず、固形薬剤の膨張率を抑えることが可能となる。
また、本発明に係る固形薬剤は、結合剤は、水溶性セルロース系高分子、ビニル系高分子の少なくとも一つを含む。このような構成とすることにより、結合剤に含まれる水酸基による水素結合が、薬剤成分間に生じることで、固形薬剤の化学的安定性を高めることができる。したがって、固形薬剤が水に触れさせた際に、水素結合によって引力が生じ、固形薬剤の膨張率を抑えることが可能となる。
また、本発明に係る固形薬剤は、結合剤は、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロースの少なくとも一つを含む。このような構成とすることにより、各結合剤は医薬品業界でも使用されている添加剤のため、人体に対して比較的安全である。したがって、固形薬剤を水処理用途として被処理水を浄化した場合、浄化後の処理水を生活用水として用いることが可能である。
また、本発明に係る固形薬剤は、ポリビニルアルコールの鹸化度が80~95%である。このような構成とすることにより、ポリビニルアルコールの流動性が高く、粘性が低い性質となるため、薬剤全体が均一に接着しやすくなる。したがって、賦形剤の表面積が減少し、固形薬剤が水に触れた際に、固形薬剤の膨張率を抑えることが可能となる。
また、本発明に係る固形薬剤の製造方法は、被処理水中の微粒子に作用する凝集剤と、凝集剤の成形性を向上させる水溶性の賦形剤と、凝集剤と賦形剤とを含んで構成される効能部の接着性を向上させる水溶性の結合剤と、を撹拌し混合体とする混合工程と、混合体に溶媒を添加する湿潤工程と、溶媒中で混合体を撹拌する造粒工程と、溶媒を蒸発させ、固体を得る蒸発工程と、固体に圧力を加える成形工程と、を含む。このような構成とすることにより、接着性のある結合剤が均一に分散し、固形薬剤を成形する。したがって、膨張しやすい賦形剤の表面積が低下することで、固形薬剤が水に触れても、賦形剤が水に触れる面積が小さくなり、固形薬剤全体の膨張率を抑えることが可能となる。
また、本発明に係る固形薬剤の製造方法は、混合工程における撹拌時間を30秒~3分とし、造粒工程における撹拌時間を30秒~1分とする。このような構成とすることにより、接着力を保った粒子を形成することができる。したがって、成形工程において、粒子同士が強固に接着することで固形薬剤の硬度が上がり、固形薬剤全体の膨張率を抑えることが可能となる。
また、本発明に係る水処理装置は、上述した固形薬剤または上述した製造方法により製造された固形薬剤を備える。このような構成とすることにより、被処理水に固形薬剤が溶解し、固形薬剤中の凝集剤の効果によって微粒子を凝集させることができる。したがって、濾過部などで微粒子を除去することが可能となる。
本発明に係る固形薬剤及び固形薬剤の製造方法及びそれを用いた水処理装置は、水に触れた際に、膨張を抑制可能な固形薬剤及びそれを用いた水処理装置として有用であり、建物入口設置型浄水装置(POE)、使用場所設置型浄水装置(POU)等に適用することが可能である。
1 固形薬剤
2 凝集剤
3 賦形剤
4 結合剤
5、5a、5b 金型
6 内部空間
7 加圧部
8 基部
11 水処理装置
12 水源
13 流入口
14 通水管
15 通水ポンプ
16 浄水排出口
17 薬剤添加部
18 濾過部
19 樹脂タブレット
20 試験タブレット

Claims (10)

  1. 被処理水中の微粒子と作用する水溶性の凝集剤と、
    前記凝集剤の成形性を向上させる水溶性の賦形剤と、
    前記凝集剤と前記賦形剤とを含んで構成される効能部と、
    前記効能部の接着性を向上させる水溶性の結合剤と、を備える固形薬剤。
  2. 25℃の前記被処理水に浸漬した際の体積膨張率が0~10%である請求項1に記載の固形薬剤。
  3. 前記効能部の重量%が80~99%であり、
    前記結合剤の重量%が1~20%である請求項1または2に記載の固形薬剤。
  4. 前記凝集剤の重量%が10~30%であり、
    前記賦形剤の重量%が50~89%である請求項3に記載の固形薬剤。
  5. 前記結合剤は、水溶性セルロース系高分子、ビニル系高分子の少なくとも一つを含む請求項1から4のいずれか一項に記載の固形薬剤。
  6. 前記結合剤は、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロースの少なくとも一つを含む請求項1から4のいずれか一項に記載の固形薬剤。
  7. 前記ポリビニルアルコールの鹸化度が80~95%である請求項6に記載の固形薬剤。
  8. 被処理水中の微粒子に作用する凝集剤と、前記凝集剤の成形性を向上させる賦形剤と、前記凝集剤と前記賦形剤とを含んで構成される効能部の膨張を抑制する結合剤と、を撹拌し混合体とする混合工程と、
    前記混合体に溶媒を添加する湿潤工程と、
    前記溶媒中で前記混合体を撹拌する造粒工程と、
    前記溶媒を蒸発させ、固体を得る蒸発工程と、
    前記固体に圧力を加える成形工程と、
    を含む固形薬剤の製造方法。
  9. 前記混合工程における撹拌時間を30秒~3分とし、
    前記造粒工程における撹拌時間を30秒~1分とする請求項8に記載の固形薬剤の製造方法。
  10. 請求項1~7のいずれか一項に記載の固形薬剤または請求項8~9のいずれか一項に記載の製造方法により製造された固形薬剤を備える、水処理装置。
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