JP2023121647A - 高帯電防止塗り床材および塗り床 - Google Patents

高帯電防止塗り床材および塗り床 Download PDF

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Abstract

【課題】仕上がり性に優れ、硬化塗膜が25Vにおいても高い導電性を示す、カーボンナノチューブを用いた塗り床材を実現する。【解決手段】常温硬化型樹脂と、単層カーボンナノチューブと、アクリル系の表面調整剤と、を含有する、塗り床材であって、前記アクリル系の表面調整剤が、硬化塗膜の表面自由エネルギーを上昇させるタイプの表面調整剤、または被塗物との濡れ性を向上させるタイプのシリコーンフリー非イオン性表面調整剤である、塗り床材。【選択図】なし

Description

本開示は、帯電防止性能が高められた塗り床材に関する。本開示はまた、当該塗り床材の硬化塗膜を含む塗り床に関する。
工場を始めとする生産施設等の床には、エポキシ樹脂等の硬化型樹脂を用いた塗り床が多く採用されている。しかし、塗り床に用いる硬化型樹脂は電気的には絶縁性であるため、施工された塗り床上での作業で静電気による障害が発生するという問題が生じる。そこで、塗り床に帯電防止性能を付与するために、硬化型樹脂に導電性フィラーを添加することが行われている。例えば、特許文献1には、導電性フィラーとして導電性酸化チタン粉末と炭素繊維とを用いることが記載されている。特許文献2には、導電性フィラーとして炭素繊維を用いることが記載されている。特許文献3には、導電性フィラーとして導電性酸化亜鉛等の導電性金属酸化物とステンレス繊維とを用いることが記載されている。
人体に帯電した静電気を、塗り床を通してアースする際の漏洩抵抗は10Ω程度であればよいと言われている。そのため、帯電防止性の塗り床は、印加電圧500Vで測定した際に、抵抗が10Ω以下となる導電性を有している。
特開2013-40446号公報 特開2017-48333号公報 特開2016-223252号公報
一方で、生産施設等においては、低電圧での電子部品(例えば、半導体素子)の破壊のような静電気障害も起こり得る。これに対し、従来技術の塗り床は、硬化性樹脂を海相、導電性フィラーを島相とする海島構造を有している。海島構造においては、海相を挟んでの島相間での通電となるため、導電のためには一定以上の電圧が必要となる。このため、従来技術の塗り床は、25Vといった低電圧においては導電性を示さず、このような低電圧での静電気障害を防止することができない。そのため、25Vといった低電圧でも導電性を示す塗り床の開発が望まれている。
ここで、導電性を向上させるために、従来の塗り床材に導電性フィラーを多量に添加することが考えられる。しかしながら、導電性フィラーを多量に添加することは、塗り床材の粘度上昇を招き、その結果、塗り床の仕上がり状態が悪くなり、現実的な解決策ではない。
塗り床分野において、導電性プライマーの導電材にカーボンブラックが用いられているが、カーボンブラックは、塗膜を黒色に着色するために、美装性が求められる塗り床のベースコート層には、適していない。
他方で、高い導電性を有する材料としてカーボンナノチューブが知られている。しかしながら、本発明者らがカーボンナノチューブを塗り床材に適用すべく鋭意検討した結果、カーボンナノチューブが、凝集によって粘度上昇を招くために、低電圧での導電性が得られない、あるいは、低電圧での導電性が得られても、顔料の色分かれが生じて、塗り床の仕上がり状態が悪くなるという問題があることを見出した。顔料の色分かれは、特に淡色のトナーを使用した場合に顕著に見られた。
かかる事情に鑑み、本開示は、仕上がり性に優れ、硬化塗膜が25Vにおいても高い導電性を示す、カーボンナノチューブを用いた塗り床材を実現することを目的とする。
本開示は、常温硬化型樹脂と、単層カーボンナノチューブと、アクリル系の表面調整剤と、を含有する、塗り床材であって、前記アクリル系の表面調整剤が、硬化塗膜の表面自由エネルギーを上昇させるタイプの表面調整剤、または被塗物との濡れ性を向上させるタイプのシリコーンフリー非イオン性表面調整剤である、塗り床材である。
本開示によれば、仕上がり性に優れ、硬化塗膜が25Vにおいても高い導電性を示す、カーボンナノチューブを用いた塗り床材を提供することができる。
本開示の塗り床材は、常温硬化型樹脂と、単層カーボンナノチューブと、アクリル系の表面調整剤と、を必須成分として含有する。当該アクリル系の表面調整剤は、硬化塗膜の表面自由エネルギーを上昇させるタイプの表面調整剤、または被塗物との濡れ性を向上させるタイプのシリコーンフリー非イオン性表面調整剤である。本開示の塗り床材は、通常、顔料を含有する。本開示の塗り床材は、湿潤分散剤、レベリング剤、消泡剤等の各種添加剤を任意成分として含有し得る。なお、本明細書において、各種添加剤の分類は、塗料分野(特に塗り床用塗料分野)の通常の分類に従っている。
〔常温硬化型樹脂〕
常温硬化型樹脂は、施工環境温度である常温(例えば0℃~40℃、特に5℃~35℃)において硬化させることができる樹脂であり、塗り床材用途において公知のものを用いることができる。常温硬化型樹脂としては、2液硬化型タイプ、湿気硬化型タイプ、ラジカル重合性タイプ等のものを用いることができ、なかでも2液硬化型タイプが好ましい。常温硬化型樹脂の具体例としては、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂等が挙げられ、なかでもエポキシ樹脂が好ましい。
エポキシ樹脂としては、塗り床材用途において公知のものを使用することができ、常温で液状を示し、硬化剤との反応によって硬化する2液硬化型タイプのものが好ましい。
エポキシ樹脂の例としては、3,4-エポキシシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート等の脂環式エポキシ樹脂;ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル等のグリシジルエステル型エポキシ樹脂;ビスフェノールA、ビスフェノールF等のビスフェノールとエピハロヒドリン類とから誘導されるビスフェノール型エポキシ樹脂;フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ビスフェノールAノボラック樹脂、ナフトールノボラック樹脂、ビフェニルノボラック樹脂等のノボラック樹脂のエポキシ化物;水素化ビスフェノールF、水素化ビスフェノールA、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加体等の二価アルコールとエピハロヒドリン類とから誘導されるグリシジルエーテル型エポキシ樹脂;ハイドロキノン、カテコール等の多価フェノールとエピハロヒドリン類とから誘導されるエポキシ樹脂等が挙げられる。なかでも、ビスフェノール型エポキシ樹脂(特に、ビスフェノールA型エポキシ樹脂)が好ましい。これらは1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
硬化剤としては、塗り床材用途において公知のものを使用することができる。その具体例としては、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ペンタエチレンヘキサミン等の脂肪族アミン類またはその変成品;m-フェニレンジアミン、m-キシレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン等の芳香族アミン類またはその変成品;1,3-ビス(アミノメチル)シクロヘキサン、イソフォロンジアミン等の脂環式アミン類またはその変性品;無水フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸無水物、ピロメリット酸無水物等の酸無水物類;ポリサルファイド;酸アミド;チオコール等が挙げられる。なかでも、脂環式アミン類、芳香族アミン類、およびこれらの変性品が好ましい。変性品としては、マンニッヒ変性品、アダクト変性品等が挙げられる。これらは1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
エポキシ樹脂と硬化剤との混合量は、従来と同様に、エポキシ樹脂に含まれるエポキシ基のモル量と硬化剤に含まれる活性水素のモル量とが、略等しくなるように設定すればよい。なお、後述の反応性希釈剤を使用する場合には、エポキシ樹脂に含まれるエポキシ基および反応性希釈剤に含まれるエポキシ基の合計モル量と硬化剤に含まれる活性水素のモル量とが、略等しくなるように設定すればよい。
〔単層カーボンナノチューブ〕
本開示においては、導電性フィラーとして単層カーボンナノチューブ(SWNT)が用いられる。SWNTは、1枚のグラフェンシートが円筒状に巻かれた構造を有する。単層カーボンナノチューブは、アームチェア型、ジグザグ型、およびカイラル型のいずれであってもよい。塗り床材中に容易に分散させることができることから、単層カーボンナノチューブとして、予備分散されたものを用いることが好ましく、特に、常温硬化型樹脂と反応性を有する希釈剤中に予備分散されたものを用いることが好ましい。単層カーボンナノチューブは、公知方法に従い合成することができ、市販品としても入手可能である。予備分散された単層カーボンナノチューブとして好適には、OCSIAL社製「TUBALL MATRIX201」が挙げられる。この「TUBALL MATRIX201」は、反応性希釈剤として、脂肪酸グリシジルエステルを含む。したがって、常温硬化型樹脂としてエポキシ樹脂を用いた場合には、脂肪酸グリシジルエステルが、エポキシ樹脂と共に硬化剤と反応することができる。
塗り床材中の単層カーボンナノチューブの含有量は、特に限定されないが、少な過ぎると導電性が不十分となるおそれがある。そのため、塗り床材中(すなわち、塗り床材の全質量に対して;常温硬化型樹脂が2液型の場合には硬化剤の質量も含む塗り床材の全質量に対して)の単層カーボンナノチューブの含有量は、好ましくは0.010質量%以上、より好ましくは0.015質量%以上、さらに好ましくは0.020質量%以上である。一方、塗り床材中の単層カーボンナノチューブの含有量が多過ぎると、塗り床材の増粘を招き仕上がり性を損なうおそれがある。そのため、塗り床材中の単層カーボンナノチューブの含有量は、好ましくは0.040質量%以下、より好ましくは0.035質量%以下、さらに好ましくは0.030質量%以下である。
〔アクリル系の表面調整剤〕
本開示においては、特定種類のアクリル系の表面調整剤が用いられる。塗料分野においては、シリコーン系、ビニル系などの各種表面調整剤が知られている。ビニル系の表面調整剤を、カーボンナノチューブを含む塗り床材に用いた場合、塗膜の表面張力の均一化効果が高く、硬化塗膜に色分かれが生じ難いが、ビニル系の表面調整剤はカーボンナノチューブとの相互作用が強く、カーボンナノチューブの凝集を招いて硬化塗膜の25Vでの導電性が不十分となる。逆に、シリコーン系の表面調整剤を、カーボンナノチューブを含む塗り床材に用いた場合には、塗膜の表面張力の均一化効果がほとんど得られず、硬化塗膜に色分かれが生じる。
これに対し、本開示においては、特定種類のアクリル系の表面調整剤を用いる。具体的には、(A)硬化塗膜の表面自由エネルギーを上昇させるタイプの表面調整剤(以下、「アクリル系の表面調整剤(A)」ともいう)、および(B)被塗物との濡れ性を向上させるタイプのシリコーンフリー非イオン性表面調整剤(以下、「アクリル系表面調整剤(B)」ともいう)の少なくともいずれかを用いる。このようなアクリル系の表面調整剤を用いることで、顔料の凝集を抑制して、色分かれの発生を低減させることができ、淡色のトナーを用いた場合でさえ、優れた仕上がり性を発揮することができる。加えて、これらのアクリル系の表面調整剤は、カーボンナノチューブとの相互作用が少なく、カーボンナノチューブの分散状態が良好になるため、硬化塗膜が25Vにおいても高い導電性(特に10Ωのオーダー)を示すことができる。
アクリル系の表面調整剤(A)では、硬化塗膜の表面自由エネルギーを上昇させることによって、硬化塗膜の濡れ性が向上する。アクリル系の表面調整剤(B)は、被塗物との濡れ性を向上させるタイプである。よって、この濡れ性の向上作用が、顔料およびカーボンナノチューブの分散に影響し、色分かれの発生低減と高い導電性に寄与しているものと考えらえる。
アクリル系の表面調整剤が、硬化塗膜の表面自由エネルギーを上昇させるタイプか否かは、塗料用表面調製剤の分野の技術常識に基づき判断される。特に、硬化塗膜の表面自由エネルギーを上昇させるタイプの表面調整剤は、塗料用表面調製剤の分野の製品カタログにおいて、表面自由エネルギーの上昇作用があることが記載されている。
アクリル系の表面調整剤(A)としては、例えば、高極性の側鎖が、低極性のアクリル主鎖にグラフトされたアクリル系の表面調整剤が挙げられる。その具体例としては、楠本化学社製のディスパロンSEI-W01、ディスパロンSEI-W02が挙げられ、ディスパロンSEI-W01が好ましい。
アクリル系の表面調整剤(B)は、シリコーンフリー非イオン性表面調整剤であるため、シリコーン結合を有する化学構造、およびイオンを含む化学構造を含まない。
アクリル系の表面調整剤が、被塗物との濡れ性を向上させるタイプか否かは、塗料用表面調製剤の分野の技術常識に基づき判断される。特に、被塗物との濡れ性を向上させるタイプの表面調整剤は、塗料用表面調製剤の分野の製品カタログにおいて、濡れ性向上作用があることが記載されている。
アクリル系の表面調整剤(B)としては、例えば、楠本化学社製の「L-1980N」シリーズ(例、L-1980N、L-1982N、L-1983N、L-1984N)が挙げられ、なかでも、L-1982N、およびL-1983Nが好ましい。
これらのアクリル系の表面調整剤は、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
塗り床材中のアクリル系の表面調整剤の含有量は、特に限定されないが、アクリル系の表面調整剤の含有量が少なすぎると、色分かれの発生低減効果が十分に得られないおそれがある。そのため、塗り床材中のアクリル系の表面調整剤の含有量は、好ましくは0.15質量%以上、より好ましくは0.2質量%以上、さらに好ましくは0.3質量%以上である。一方、アクリル系の表面調整剤の含有量が多過ぎると、表面調整剤が、塗膜表面に薄膜を形成して、導電性が不十分となるおそれがある。そのため、塗り床材中のアクリル系の表面調整剤の含有量は、好ましくは3.0質量%以下、より好ましくは2.5質量%、さらに好ましくは2.0質量%以下である。
〔顔料〕
本開示の塗り床材は、通常、色調の調整等を目的として、顔料を含有する。しかしながら、塗り床材は、製品が顔料を含有しておらず、使用時に当該製品に顔料を後添加するような、形態もあり得る。よって、本開示の塗り床材は、顔料を含有していなくてもよい。
顔料としては、塗り床材に用いられている公知のものを用いてよい。顔料は、トナーの形態で用いてもよい。顔料の含有量は、顔料の種類と所望の色調等に応じて適宜設定すればよい。
〔湿潤分散剤〕
本開示の塗り床材は、カーボンナノチューブの分散状態をより良くし、仕上がり性をより向上させる等を目的として、湿潤分散剤を含有していてもよい。湿潤分散剤は、塗料分野において、界面活性剤として働き、塗膜の濡れ性を向上させる湿潤剤としての機能と、電気的反発や立体障害などの作用機構により粒子の凝集を防ぐ分散剤としての機能の両方を併せ持つ添加剤である。
湿潤分散剤としては、酸性基およびアミノ基を含むポリマー塩である湿潤分散剤が好ましい。このような湿潤分散剤を用いることによって、塗り床材中での単層カーボンナノチューブの凝集をより防止することができ、増粘による仕上がり性の低下をより抑制することができる。
酸性基としては、酸性リン酸エステル基が好ましい。ポリマー塩のポリマーは、ホモポリマーであってもコポリマーであってもよい。ポリマーは、主鎖(例えばポリウレタン鎖)に、1つまたは複数の側鎖(例えばポリエステル鎖)が導入されたグラフトコポリマーであることが好ましい。このとき、ポリマー鎖の立体障害によって、単層カーボンナノチューブの分散性がより高くなる。ポリマー塩としては、アルキルアンモニウム塩およびリン酸エステル塩が好ましく、アルキルアンモニウム塩がより好ましい。
湿潤分散剤は、その酸価およびアミン価がそれぞれ、10mgKOH/g以上であることが好ましい。貯蔵安定性の観点から、湿潤分散剤の酸価およびアミン価がそれぞれ、30mgKOH/g以上であることがより好ましく、35mgKOH/g以上であることがさらに好ましい。なお、酸価とは、高分子分散剤固形分1gあたりの酸価を表し、例えば、JIS K0070に準じ、電位差滴定法によって求めることができる。アミン価とは、高分子分散剤固形分1gあたりのアミン価を表し、例えば、0.1Nの塩酸水溶液を用い、電位差滴定法によって求めた値を、水酸化カリウムの当量に換算することにより求めることができる。
酸性基およびアミノ基を含むポリマー塩である湿潤分散剤の例としては、ビックケミージャパン社製「BYK-9076」、「DISPERBYK-142」;楠本化成社製「ディスパロン DA-325」などが挙げられ、BYK-9076」、および「DISPERBYK-142」が好ましい。湿潤分散剤は1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
塗り床材中の湿潤分散剤の含有量は、特に限定されないが、少な過ぎると、十分な導電性が得られないおそれがある。また、湿潤分散剤の含有量が多い方が貯蔵安定性が高い傾向にある。そのため、塗り床材中の湿潤分散剤の含有量は、好ましくは0.04質量%以上、より好ましくは0.10質量%以上である。一方、塗り床材中の湿潤分散剤の含有量が多過ぎると、導電性が低下するおそれがある。そのため、塗り床材中の湿潤分散剤の含有量は、好ましくは0.40質量%以下、より好ましくは0.32質量%以下、さらに好ましくは0.25質量%以下である。
〔レベリング剤〕
本開示の塗り床材は、仕上がり性をより向上させる等を目的として、レベリング剤を含有していてもよい。レベリング剤は、典型的には、塗料中では相溶していても油滴状でも良いが、塗膜形成過程では油滴状になり塗膜表面に配向して、塗膜表面からの溶剤の蒸発を均一化し、ベナールセル(Benard Cell)の生成を防止し、表面張力変化を小さくして表面を平滑にする作用を有する添加剤である。
レベリング剤としては、上記特定種類のアクリル系の表面調整剤に該当しないものが用いられ、塗り床材に用いられている公知のものを用いてよい。レベリング剤の例としては、アクリル系ポリマー等が挙げられる。レベリング剤として、共栄社化学社製の「ポリフロー」シリーズを用いてよい。レベリング剤は1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
塗り床材中のレベリング剤の含有量は、特に限定されないが、少な過ぎると仕上がり性が低下するおそれがある。そのため、塗り床材中のレベリング剤の含有量は、好ましくは0.04質量%以上、より好ましくは0.06質量%以上、さらに好ましくは0.07質量%以上である。一方、塗り床材中のレベリング剤の含有量が多過ぎると、導電性が不十分となるおそれがある。そのため、塗り床材中のレベリング剤の含有量は、好ましくは0.21質量%以下、より好ましくは0.18質量%以下、さらに好ましくは0.15質量%以下である。
〔消泡剤〕
本開示の塗り床材は、仕上がり性をより向上させる等を目的として、消泡剤を含有していてもよい。消泡剤としては、上記特定種類のアクリル系の表面調整剤に該当しないものが用いられ、塗り床材に用いられている公知のものを用いてよい。消泡剤の例としては、アクリル系ポリマー、ビニルエーテル系ポリマー、およびこれらの混合物等が挙げられる。消泡剤として、共栄社化学社製の「フローレン」シリーズを用いてよい。消泡剤は1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
塗り床材中の消泡剤の含有量は、特に限定されないが、少な過ぎると仕上がり性が低下するおそれがある。そのため、塗り床材中の消泡剤の含有量は、好ましくは0.12質量%以上、より好ましくは0.18質量%以上、さらに好ましくは0.24質量%以上である。一方、塗り床材中の消泡剤の含有量が多過ぎると、導電性が不十分となるおそれがある。そのため、塗り床材中の消泡剤の含有量は、好ましくは0.40質量%以下、より好ましくは0.38質量%以下、さらに好ましくは0.36質量%以下である。
〔その他の任意成分〕
本開示の塗り床材は、強度向上、着色性向上等を目的として、絶縁性充填材を含有していてもよい。絶縁性充填材としては、塗り床材に用いられている公知のものを用いてよい。その例としては、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、アルミナ、シリカ、カオリン、タルク、マイカ、ガラスビーズ、ガラスマイクロバルーン、ガラス繊維等が挙げられ、なかでも炭酸カルシウム(特に、重質炭酸カルシウム)が好ましい。絶縁性充填材の含有量は、所望の強度等に応じて適宜設定すればよい。
本開示の塗り床材は、粘度調整等を目的として、反応性希釈剤、非反応性希釈剤等を含有していてもよい。反応性希釈剤としては、例えば、常温硬化型樹脂と同種の反応性基を1つ以上有する化合物が挙げられる。具体的に例えば、常温硬化型樹脂がエポキシ樹脂である場合には、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、トリルグリシジルエーテル等のエポキシ基を有する化合物を用いることができる。非反応性希釈剤としては、例えば、常温硬化型樹脂と同種の反応性基を有しない化合物が挙げられる。具体的に例えば、常温硬化型樹脂がエポキシ樹脂である場合には、ベンジルアルコール等を用いることができる。これらの含有量は、所望の粘度等に応じて適宜設定すればよい。
本開示の塗り床材は、本開示の効果を顕著に阻害しない範囲内で、上記以外の成分をさらに含有していてもよい。
本開示の塗り床材の調製方法には特に制限はなく、公知方法に従い調製することができる。例えば、本開示の塗り床材の各成分を、施工現場等において一度に配合して調製するようにしてもよい。例えば、本開示の塗り床材は、硬化剤以外の成分を含有する主剤と、硬化剤とに分けた2液タイプであって、施工現場等で主剤と硬化剤とを混ぜて使用するタイプとして調製してもよい。例えば、2液タイプとして準備し、主剤成分として、絶縁性充填材を配合しないもの、または少な目に配合したものを用意しておき、例えば施工現場等において、下地の状況や塗り床に求められる特性等を考慮して求めた配合量となるように、主剤に絶縁性充填材を追加するようにしてもよい。例えば、2液タイプとして準備し、主剤成分として、着色剤を配合しないものを用意しておき、例えば施工現場等において、塗り床に求められる色調に応じて主剤に着色剤を追加するようにしてもよい。
本開示の塗り床材は、公知方法に従い施工して用いることができる。例えば、施工される床に流し延べ工法によって、本開示の塗り床材を塗工し、その後、所定時間静置して、乾燥およびエポキシ樹脂の硬化を行うことにより塗り床を形成することができる。施工される塗り床は、本開示の塗り床材によって形成される層(すなわち、本開示の塗り床材の硬化塗膜の層)の単層であってもよいし、本開示の塗り床材によって形成される層と、プライマー層とを組み合わせた複層構造であってもよい。
本開示の塗り床材によれば、常温硬化型樹脂および単層カーボンナノチューブに、特定種類のアクリル系の表面調整剤を添加するすることで、色分かれの発生が抑制されている。その結果、淡色のトナーを用いた場合であっても、優れた仕上がり状態(特に、美装性に優れた仕上がり状態)を得ることができる。また、本開示の塗り床材によれば、常温硬化型樹脂および単層カーボンナノチューブに、特定種類のアクリル系の表面調整剤を添加するすることで、その硬化塗膜が25Vにおいても高い導電性を示す。特に、25Vにおける抵抗が10Ωオーダーの導電性を達成することもできる。よって、本開示の塗り床材は、従来よりも帯電防止性能がはるかに高くなっており(よって「高帯電防止塗り床材」と呼ぶことができる)、従来の帯電防止のみならず、低電圧での電子部品(例えば、半導体素子)の破壊のような静電気障害も防止することができる。
そこで本開示は、別の観点から、上記の塗り床材の硬化塗膜を備える塗り床である。上記の塗り床材の硬化塗膜の厚さは、特に限定されないが、例えば1.0mm以上3.0mm以下、好ましくは1.0mm以上2.0mm以下である。当該塗り床は、プライマー層等のその他の層を有していてもよい。
例えば、本開示の塗り床が帯電防止床である場合、当該塗り床は、プライマー層、導電プライマー層、およびベースコート層の三層を含んでいてよい。プライマー層は、コンクリート等の下地の表面との接着性を確保するための層であり、公知のプライマー層と同様の構成であってよい。プライマー層は、例えば、公知のプライマー用エポキシ樹脂塗り床塗料(例、住友ゴム社製「C355」(主剤)および「H355」(硬化剤))を用いて形成することができる。
導電プライマー層は、公知の導電プライマー層と同様の構成であってよく、典型的には、例えば、10Ω程度の導電性を有するように構成される。導電プライマー層は、例えば、エポキシ樹脂にカーボンブラックを配合して導電性を付与した公知の導電性プライマー用塗り床塗料(例、住友ゴム社製「SL333A」(主剤)および「SL333B」(硬化剤))を用いて形成することができる。
そしてベースコート層は、上記の塗り床材の硬化塗膜によって構成される。
本開示の塗り床は、仕上がり状態が良好であるとともに、25Vにおいても高い導電性を示す。よって、低電圧での電子部品の破壊のような静電気障害が防止されている。本開示の塗り床は、各種建物において用いることができ、特に電子部品(例えば、半導体素子)の研究施設および生産施設に好適である。
以下、本開示に関する実施例を説明するが、本開示をかかる実施例に示すものに限定することを意図したものではない。
〔実施例および比較例〕
表面調整剤以外の表1に記載の各成分を、撹拌機を用いて1300rpmの回転数で10分間混合した後、表1に記載の表面調整剤を添加して、1300rpmの回転数で5分間混合し、主剤を調製した(なお、表中の数値は質量部を示す)。ただし、比較例1においては、主剤に表面調整剤を添加しなかった。温度23±1℃、相対湿度55±1%の環境下において、調製した主剤に硬化剤を配合し、撹拌機で混合した。このようにして実施例および各比較例の塗り床材を調製した。
〔導電性評価〕
プライマー層および導電性プライマー層(抵抗:約10Ω)を形成した平板上に、上記作製した各実施例および各比較例の塗り床材を塗工した。これを、温度23±1℃、相対湿度55±1%の環境下に7日間静置して硬化を行い、試験サンプルを作製した。この試験サンプルに対し、NFPA法およびJIS A1454:2016に準じて、絶縁抵抗計を用いて印加電圧を25Vとした場合の抵抗を測定した。なお、電極として2.25kgの鉄製円柱を用い、電極間距離は3フィート(約91cm)とした。測定結果を表1に示す。
〔仕上がり状態評価〕
30cm角の平板上に、上記作製した各実施例および各比較例の塗り床材を塗工した。これを、温度23±1℃、相対湿度55±1%の環境下に7日間静置して硬化を行い、試験サンプルを作製した。試験サンプルの表面に蛍光灯の光を当て、色分かれの発生状況を確認した。色分かれの発生状況について、以下の基準で評価して、〇を合格とした。結果を表1に示す。
×:色分かれが多く見られる
△:色分かれがやや多く見られる
〇:色分かれがわずかに見られる、またはほとんど見られない
Figure 2023121647000001
ポリフローNo.85:共栄社化学社製のレベリング剤「ポリフローNo.85」
フローレンAC324:共栄社化学社製の消泡剤「フローレンAC324」
MATRIX201:OCSIAL社製「TUBALL MATRIX201」(単層カーボンナノチューブ:脂肪酸グリシジルエステル(反応性希釈剤)=1:9の質量比で含有)
BYK-9076:ビックケミージャパン社製の湿潤分散剤「BYK-9076」(ポリウレタン主鎖にポリエステル鎖がグラフトされたポリマーのアルキルアンモニウム塩;酸価=38mgKOH/g、アミン価=44mgKOH/g)
L-1982N:楠本化学社製のアクリル系表面調整剤「L-1982N」
L-1983N:楠本化学社製のアクリル系表面調整剤「L-1983N」
SEI-W01:楠本化学社製のアクリル系表面調整剤「SEI-W01」
BYK-326:ビックケミージャパン社製のシリコーン系表面調整剤「BYK-326」
BYK-329:ビックケミージャパン社製のシリコーン系表面調整剤「BYK-329」
P-450N:楠本化学社製のビニル系表面調整剤「P-450N」
常温硬化型樹脂と、単層カーボンナノチューブと、アクリル系の表面調整剤とを含有する実施例1~実施例3では、良好な仕上がり性と、25Vにおいて105Ωオーダーの高い導電性とを得ることができた。一方、表面調整剤を使用しなかった比較例1では、導電性が高いものの、色分かれが多く見られ、仕上がり性が悪かった。シリコーン系表面調整剤を使用した比較例2および3では、単層カーボンナノチューブの分散状態が良好であり、25Vにおいて105Ωオーダーの高い導電性が得られた。しかしながら、顔料が凝集して色分かれが多く見られ、仕上がり性が悪かった。ビニル系表面調整剤を使用した比較例4では、色分かれがほとんど見られず、仕上がり性が良好であった。しかし、25Vにおいて10Ω以上と高抵抗であり、導電性が低かった。
以上の結果より、本開示の塗り床材によれば、仕上がり性に優れ、硬化塗膜が25Vにおいても高い導電性を示す、カーボンナノチューブを用いた塗り床材を提供できることがわかる。
すなわち、本開示(1)は、常温硬化型樹脂と、単層カーボンナノチューブと、アクリル系の表面調整剤と、を含有する、塗り床材であって、前記アクリル系の表面調整剤が、硬化塗膜の表面自由エネルギーを上昇させるタイプの表面調整剤、または被塗物との濡れ性を向上させるタイプのシリコーンフリー非イオン性表面調整剤である、塗り床材である。
本開示(2)は、当該アクリル系の表面調整剤の含有量が、0.15質量%以上3.0質量%以下である、本開示(1)に記載の塗り床材である。
本開示(3)は、当該単層カーボンナノチューブの含有量が、0.010質量%以上0.040質量%以下である、本開示(1)または(2)に記載の塗り床材である。
本開示(4)は、本開示(1)~(3)のいずれかに記載の塗り床材の硬化塗膜を備える、塗り床である。

Claims (4)

  1. 常温硬化型樹脂と、単層カーボンナノチューブと、アクリル系の表面調整剤と、を含有する、塗り床材であって、
    前記アクリル系の表面調整剤が、硬化塗膜の表面自由エネルギーを上昇させるタイプの表面調整剤、または被塗物との濡れ性を向上させるタイプのシリコーンフリー非イオン性表面調整剤である、
    塗り床材。
  2. 前記アクリル系の表面調整剤の含有量が、0.15質量%以上3.0質量%以下である、請求項1に記載の塗り床材。
  3. 前記単層カーボンナノチューブの含有量が、0.010質量%以上0.040質量%以下である、請求項1または2に記載の塗り床材。
  4. 請求項1~3のいずれか1項に記載の塗り床材の硬化塗膜を備える、塗り床。
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