JP2023121161A - 多管式反応器の空気処理をサポートする方法および装置 - Google Patents

多管式反応器の空気処理をサポートする方法および装置 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、触媒を用いた酸化反応により不飽和アルデヒド、不飽和カルボン酸または共役ジエンを製造する複数の反応管を含む多管式反応器の空気処理時において、反応浴温度および入口ガス流量の管理や処理および/または各処理ステップ終了時の見極めを容易にするとともに、触媒の劣化を最小限に抑えることを課題とする。【解決手段】触媒を用いた酸化反応により不飽和アルデヒドおよび不飽和カルボン酸の少なくとも一方を、または酸化的脱水素反応により共役ジエンを製造する複数の反応管を含む多管式反応器の空気処理をサポートする方法であって、コンピュータ装置に、前記反応器に流出入するガスに関する情報を反応情報として取得する取得ステップと、前記反応情報を数値処理することにより前記空気処理を支援する支援情報を出力する出力ステップと、を実行させることを含む、空気処理のサポート方法。【選択図】なし

Description

本発明は、多管式反応器の空気処理をサポートする方法および装置に関する。
特許文献1には、多管式反応器を用いた不飽和アルデヒドや不飽和カルボン酸、および共役ジエンを製造する酸化反応において、ガス混合物による処理を行う方法が開示されている。ガス混合物による処理の目的は様々であるが、例えば長期間の反応により触媒の内外に蓄積されたコーク状の炭素化合物を除去すること、還元状態になった触媒を再生すること、触媒の再酸化処理による性能改善等が挙げられる。用いられるガスは目的に応じて適宜選択されるが、通常炭化水素を含まない空気および分子状酸素含有ガスを入口ガスとして用いられる。その他の入口ガスとして、空気処理の効果を向上させるため水蒸気を導入する場合もある。さらに各入口ガス流量、反応浴温度や反応器圧力の一部または全部を適切に設定する処理(以下空気処理と表現する)が一般的である。
国際公開2005/047224
一方で、酸化反応に用いられる触媒に高温で空気処理を行うと、コーク状の炭素化合物の燃焼や触媒の再酸化により、急激な発熱が生じ触媒へダメージを与えることも考えられる為、適切な温度プロファイルの設定が必要である。さらにMo(モリブデン)、W(タングステン)、P(リン)を主体とした触媒の場合は、これらの成分が空気処理により消失する可能性がある。また実プラントにおいては、空気処理中はプラントの稼働が停止した状態となるため、プラントの生産性の観点からは空気処理が長時間にわたることは
好ましくない。したがって空気処理を短時間で済ませるため、空気処理終了の見極めを適切に行うことが重要になる。しかし、この見極めは経験的になされることも多く、熟練した技術者がいなければ決して容易とは言えない。すなわち、多管式反応器を用いた不飽和アルデヒドや不飽和カルボン酸、および共役ジエンを製造する酸化反応において、実プラントにおける空気処理作業は上記の通り、長期の触媒使用や安定運転の改善、触媒の性能改善の観点で必要な作業であるが、より短時間で効率的に実施する方法が望まれていた。
本発明は、触媒を用いた酸化反応により不飽和アルデヒド、不飽和カルボン酸または共役ジエンを製造する複数の反応管を含む多管式反応器の空気処理時において、各処理ステップの条件設定や終了の見極めを容易にすることを課題とする。
以下、上記課題を解決するための手段を列記する。
1)
触媒を用いた酸化反応により不飽和アルデヒドおよび不飽和カルボン酸の少なくとも一方を、または酸化的脱水素反応により共役ジエンを製造する複数の反応管を含む多管式反応器の空気処理をサポートする方法であって、
コンピュータ装置に、
前記反応器に流出入するガスに関する情報を反応情報として取得する取得ステップと、
前記反応情報を数値処理することにより前記空気処理を支援する支援情報を出力する出力ステップと、を実行させることを含む、空気処理のサポート方法。
2)
前記反応情報が、前記多管式反応器の出口におけるガス成分に関する情報を含み、
前記支援情報が、前記多管式反応器の積算の炭素処理量に関する情報または前記多管式反応器の単位時間当たりの炭素処理量に関する情報の少なくともいずれかを含む、
上記1)に記載の空気処理のサポート方法。
3)
前記反応情報が、前記多管式反応器の出口におけるガス成分に関する情報を含み、
前記支援情報が、前記多管式反応器の積算の酸素吸収量に関する情報または前記多管式反応器の単位時間当たりの酸素吸収量に関する情報の少なくともいずれかを含む、
上記1)に記載の空気処理のサポート方法。
4)
前記反応情報が、前記多管式反応器の反応管の管内温度分布に関する情報を含み、
前記支援情報が、前記空気処理中の前記管内温度分布の経時的変化に関する情報を含む、
上記1)から3)のいずれか一項に記載の空気処理のサポート方法。
5)
前記コンピュータ装置に、
前記支援情報と、前記多管式反応器における過去の空気処理において出力された支援情報との比較情報を出力する出力ステップを実行させることをさらに含む、上記1)から4)のいずれか一項に記載の空気処理のサポート方法。
6)
触媒を用いた酸化反応により不飽和アルデヒドおよび不飽和カルボン酸の少なくとも一方を、または酸化的脱水素反応により共役ジエンを製造する複数の反応管を含む多管式反応器の空気処理をサポートする装置であって、
前記装置は、取得部と出力部を有し、
前記取得部は、前記反応器に流出入するガスに関する情報を反応情報として取得するように構成され、
前記出力部は、前記反応情報を数値処理することにより前記空気処理を支援する支援情報を出力するように構成されている、
空気処理をサポートする装置。
本発明によれば、多管式反応器の空気処理工程における各処理ステップの条件設定や終了の見極めをサポートすることができる。
実施形態に係る多管式反応器を示す平面模式図であり、かつ当該多管式反応器を空間的に3区画に分割した例を示す図である。 1つの反応管に充填された触媒の層を示す模式図である。 実施形態に係る方法のフローチャートを示す図である。 表1で例示されたデータに基づいて、空気処理時間に対する反応器出口ガスに含まれる二酸化炭素濃度をプロットしたグラフである。 表1で例示されたデータに基づいて、空気処理時間に対する単位時間あたり炭素処理量をプロットしたグラフである。 表1で例示されたデータに基づいて、空気処理時間に対する積算炭素処理量をプロットしたグラフである。 表1で例示されたデータに基づいて、空気処理時間に対する触媒ピーク温度をプロットしたグラフである。
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態について説明する。本実施形態に係る方法は、触媒を用いた酸化反応により不飽和アルデヒド、不飽和カルボン酸、または共役ジエンを製造する複数の反応管を含む多管式反応器の空気処理をサポートする方法である。当該方法は、コンピュータ装置に、多管式反応器の流出入ガスの分析情報を取得する取得ステップと、当該分析情報を統計処理することにより多管式反応器の空気処理を支援する支援情報を出力する出力ステップと、を実行させることを含む。
本実施形態において用いられるコンピュータ装置は、CPU(Central Processing Unit)などのマイクロプロセッサ、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリなどのメモリ、およびバスを備えるコンピュータ装置である。コンピュータ装置は、コンピュータ装置が備えるメモリやコンピュータ装置が読み取り可能な記録媒体に記録されたプログラムによって、本実施形態に係る方法の少なくとも一部を実行してもよい。本実施形態では、後述する方法の少なくとも一部をコンピュータ装置に実行させるためのプログラム、および当該プログラムを記録した記録媒体も提示される。なお、本実施形態において用いることのできるコンピュータ装置はこの態様に限定されない。例えば、コンピュータ資源をネットワークを介して接続したクラウドコンピューティングシステムなどを、本開示の方法に用いるコンピュータ装置としてもよい。
図1は、本実施形態に係る方法の対象となる多管式反応器10を示す平面模式図である。図1に示される多管式反応器10は筒状である。図1では、多管式反応器10を平面視した時の中心を基準として120°毎に分けられた3つの区画A,B,Cが示されている。区画Aに含まれる複数の反応管20の一部が一点鎖線で囲まれて示されている。区画Aにおける一点鎖線の外側、並びに区画B及びCにも複数の反応管20が備えられているが、それらの反応管20については図示を省略する。多管式反応器10は、充填する触媒、供給する原料などに応じて、目的とする不飽和アルデヒド、不飽和カルボン酸、および共役ジエンの少なくとも一種を製造する。製造される不飽和アルデヒドおよび不飽和カルボン酸としては、アクロレインおよびアクリル酸、メタクロレインおよびメタクリル酸、などが例示され、共役ジエンとしては、1,3-ブタジエン、イソプレン、などが例示される。多管式反応器10が含む複数の反応管20のそれぞれに触媒が充填される。また、図1で
は例として多管式反応器10を平面視した面内で回転軸方向に区画を区切っているが、他の任意の区切り方、例えば半径方向や半径方向および回転軸方向、更に任意の多角形で区切る方法も本発明に含まれるものとする。なお、本発明の空気処理のサポート方法は多管式反応器の流出入ガスの分析情報を用いる方法である為、反応器中の反応管の配置は、必ずしも複数の区画に分かれている必要はない。
触媒は、一般に多管式反応器に互いに異なる触媒種が2以上の層をなすようにして反応管20に充填される。図2は1つの反応管20に充填された触媒の層を示す模式図である。図2に示す例では、サポートリング30の上に充填された4層の触媒層22,24,26,28が示されている。複数の層はそれぞれ互いに活性が異なり、例えば原料が供給される入口側、充填される順番で第4の触媒層28は活性が低く、出口側(サポートリング30側)に向かうにつれて活性が大きくなるように(入口側から数えて第4の触媒層28の活性<第3の触媒層26の活性<第2の触媒層24の活性<第1の触媒層22の活性、となるように)充填されてもよい。複数の層をなすように触媒が充填された反応管20に原料を供給し、温度等の運転条件を制御することで目的とする不飽和アルデヒド、不飽和カルボン酸、および共役ジエンの少なくとも一種が製造される。
そしてこの反応管には、深さ方向に一定の間隔で熱電対が挿入されているのが通常である。挿入された熱電対により、触媒が充填された触媒層および/または不活性担体が充填されたイナート層の温度情報を得られる。ここで得られる温度情報が、管内温度情報である。熱電対の挿入のされ方は、当業者にとって公知な方法であれば限定されないが、例えば、以下が挙げられる。熱電対を挿入する方向は、反応管の深さ方向および/または反応管の深さ方向に垂直な方向である。熱電対の挿入方法は、反応管と平行に熱電対を直接挿入する方法、および/または熱電対が挿入されるケース(サーモウェル)を挿入し、その内部に熱電対を挿入する方法(すなわち、反応管は二重管構造となる)である。熱電対の位置の経時的変化の態様は、まったく移動しない固定タイプおよび/または経時的に反応管内の任意の位置に移動するタイプである。
なお、通常、熱電対が挿入される反応管は反応器中の全ての反応管ではなく、一部の反応管である。例えば数千本~数万本の反応管の内、通常5以上100本以下、好ましくは6以上50本以下、さらに好ましくは7以上40本以下、特に好ましくは8以上16本以下の反応管に熱電対を挿入する。また、熱電対を挿入する反応管は、例えば図1において3分割された区画について、一部の区画のみから選択しても良いし、全ての区画から偏り無く選択しても良い。ただし反応器全体の温度を把握する為には、少なくとも1本の反応管が選択された区画が全区画中40%以上を占める態様が好ましく、より好ましくは60%以上の区画を占める態様であり、さらに好ましくは75%以上の区画を占める態様である。例えば、図1において区画Aから1本、区画Bから1本、区画Cから0本の反応管が選択された場合、少なくとも1本の反応管が選択された区画が全区画の67%を占める。区画数は多い方がより正確であり、したがって区画数は通常3区画以上、好ましくは4区画以上、更に好ましくは5区画以上、特に好ましくは6区画以上である。そして、区画分けの方法は特に制限されず、反応管選択時に適宜決定できる。また、区画の選択のほか図1のように多管式反応器10を平面視した面内で、半径方向に万遍無く温度情報を把握することも重要である。なお、本発明において特に断りがない限り、熱電対が挿入された反応管も単に反応管と記載する。
なお温度情報は、空気処理時に触媒ピーク温度を測定して得られる情報であり、触媒ピーク温度が触媒の使用制限温度にどの程度近いかを把握する為に用いられる情報である。後述するように、温度情報は、空気処理状況の把握にも利用できる。例えば、空気処理中の触媒ピーク温度が経時的に横ばいであるとき、コーク燃焼は行われておらず空気処理が完了していると判断できる。
本実施形態における多管式反応器10の空気処理とは、不飽和アルデヒド、不飽和カルボン酸、および共役ジエンの少なくとも一種を製造する為の触媒が充填された反応管20について、一定時間の酸化反応(以下運転とも言う)後に、炭化水素を含まない空気および分子状酸素含有ガスを入口ガスとして、各入口ガス流量、反応浴温度や反応器圧力の一部または全部を適切に設定する処理を表す。当該処理は、例えば長期間の反応により触媒の内外に蓄積されたコーク状の炭素化合物を除去すること、還元状態になった触媒を再生すること、触媒の再酸化処理による性能改善等の目的で行われる工程である。表1に示すように、空気処理は一つ又は複数の処理ステップからなっており、各入口ガス流量、反応浴温度や反応器圧力の一部または全部を変更する処理が、一つの処理ステップを構成する。上述の通り、空気処理中において実プラントは稼働停止状態であるため、迅速に処理ステップを進める必要があるが、そのための見極めは経験的になされることも多く、熟練した技術者がいなければ決して容易とは言えなかった。本発明の方法は、この見極めをより簡便に効率的、かつ迅速に行うための支援情報を得るためのものである。そして短時間で空気処理を完了することにより、触媒の不要な活性化を防ぐことが出来る場合がある。これにより再稼働からの選択率・収率回復までの、触媒の不要な活性化による目的生成物の燃焼によるロスを軽減できるという利点もある。このような不要な活性化が生じる触媒種としては、例えばモリブデンとビスマスを必須元素として含む複合金属酸化物触媒が挙げられる。本発明の方法は、このような触媒を用いる多管式反応器に特に好適に適用される。
本発明における流出入するガスに関する情報(以下、流出入ガス情報と呼ぶ)とは、空気処理によって反応器入口側に導入されるガス(入口ガス)および/または、出口側から排出されるガス(出口ガス)の情報である。流出入ガス情報は、好ましくは出口ガスの成分に関する情報を含み、より好ましくは出口ガス中に含まれる二酸化炭素量に関する情報を含む。流出入ガス情報は、例えば入口ガスおよび/または出口ガスをガスクロマトグラフィーによって分析することで得ることができる。また更には当該二酸化炭素量に関する情報を処理することで、炭素処理量や積算炭素処理量を導出することも可能である。ここで、空気処理によって生じる二酸化炭素は、水性ガスシフト反応等により一部は一酸化炭素として検出されることが、当業者にとって公知である。すなわち本発明において二酸化炭素は、より広義には二酸化炭素および一酸化炭素の混合ガスを指しており、特に断りがない限りはこの意味で用いられるものとする。
図3は、本実施形態に係る方法のフローチャートを示す図である。本実施形態に係る方法は、コンピュータ装置に、多管式反応器10の流出入ガス情報を取得する取得ステップS1と、(1)当該流出入ガス情報を数値処理することにより多管式反応器10の空気処理を支援する支援情報を出力する出力ステップS2と、を実行させることを含む。出力ステップS2において、具体的にはグラフ化などの視覚化処理や、当該空気処理とは異なる時期もしくは異なる反応器での情報と比較する処理等を行うことができる。本実施形態に係る方法は、支援情報を多管式反応器10のユーザーに提供する提供ステップS3を任意にさらに含む。提供ステップS3は、コンピュータ装置により実行されてもよいし、コンピュータ装置により出力された支援情報を電話やFAXで多管式反応器10のユーザーに提供することにより実行されてもよい。また、ネットワークを介してユーザーの端末に支援情報を提供してもよい。ネットワークを介した支援情報の提供は、支援情報を出力するコンピュータ装置によって行われてもよいし、当該コンピュータ装置とは別の装置によって行われてもよい。
取得ステップS1において、コンピュータ装置は多管式反応器10のユーザーの端末からの入力またはコンピュータ装置の管理者からキーボードなどの入力装置などによる入力により流出入ガス情報を取得してもよく、多管式反応器10の入口側および/または出口側からガスをサンプリングして、ガスクロマトグラフィーによる分析データが自動的かつ一定の時間間隔をもって入力されることにより流出入ガス情報を取得してもよい。流出入ガス情報は、コンピュータ装置とネットワークを介して接続されたユーザーの端末から入力されるように構成してもよい。なお、多管式反応器10のユーザーと、コンピュータ装置の管理者は同一でありうる。以下、図を参照して、本実施形態に係る方法の具体的態様を説明する。ただし本願発明は、この具体的実施態様に限定されるものではなく、請求の範囲によって示された技術的範囲内におけるすべての変更が含まれることが意図される。
具体的態様における方法は、数万本の反応管20を含む多管式反応器10について、空気処理工程における流出入ガス情報を取得するステップS1をコンピュータ装置に実行させることを含む。なお、多管式反応器10は、図1に示すように複数の区画A,B,C等に分けられていても良いが、ステップS1においては、区画の有無に関係なく、多管式反応器10の入口側のガスおよび/または出口側のガスについての情報を取得する。
図4は、ステップ1で得られた流出入ガス情報を、コンピュータ装置を用いて数値処理し、出口二酸化炭素量に関する情報として導出されたグラフを示す図である(なお詳細なデータは表1記載のものである)。出口二酸化炭素量に関する情報も本発明における支援情報の一例であり、これを出力する処理自体ステップS2に該当するが、更なる演算によってより理解容易な支援情報を得ることもできる。図4の例では各ガスのモル濃度を、単一のガスクロマトグラフィーによる分析値(エリア値)に、予め導出されたファクターを乗じて算出している。データは信頼性の担保のため2つ以上のエリア値の平均値や中央値、最頻値など統計処理された数値であってもよく、後述の通り必要に応じ外れ値と判断された測定データを棄却した上で算出された数値であってもよい。ガスクロマトグラフィーによる分析値が、前後または参照とする空気処理運転データと比較して、上記の棄却基準と照合し明らかに異常値を示す場合には、ガスクロマトグラフィー測定器そのものに不備があると判断することもできる。この場合に、測定器に不備があることを知らせるアラートを自動的に表示させ、多管式反応器のユーザーに明示的に示す機能も、本発明に含まれるものとする。出口二酸化炭素量は、濃度のデータ形式を取っていればその単位を問わず、図4の例に示すppmのほか、vol%、mol%、wt%など当業者にとって公知な単位が使われる。また、ガスクロマトグラフィーで検出するガス種も特に限定されず、図4の例に示す二酸化炭素ガスの他、酸素、窒素、水蒸気、一酸化炭素、その他任意の触媒反応の原料となる炭化水素ガスやその凝縮性液体、触媒反応の生成物および副生成物となる炭化水素ガスやその凝縮性液体、であってもよい。例えば、ビスマスモリブデート複合金属酸化物触媒では、空気処理で使用される水蒸気により触媒中のモリブデンが昇華し、触媒が失活するまたは後段の精製系で閉塞を起こすことが当業者にとって公知である。したがって、(1)空気処理の間に触媒へ流入した水蒸気の総量を時間積算した数値、および/または(2)空気処理の間に熱電対より得られた触媒最高温度と、流入する水蒸気量の関係による数値(たとえば最高温度×水蒸気流量)、が所定の値になった際にアラートを発する計算式を予め組んでおくことが考えられ、これらの態様も本発明に含まれる。
データを棄却する基準は、(1)統計的に公知な方法、例えばQ検定(Qテスト)、4dルール、Dixonの方法、Grubbsの方法のほか、(2)複数本の反応管で同じ深さ位置での出口二酸化炭素量の標準偏差が、各種機器の分析精度に適切な係数をかけたパラメーターの範囲内に入っているか(入っていなければ、疑わしいデータを棄却)、などとなる。上記のうち、特にQテストであれば統計的根拠に基づき、異常値かどうかを判定でき好ましい。その信頼限界として、19%、34%、38%、43%、48%、49%、86%、90%、95%、99.7%が採用されるが、好ましくは86%、90%、95%であり、最も好ましくは90%である。なお、データの棄却作業は本発明において、上述の各ガスのモル濃度に限定されず、本発明のデータ、パラメーターすべてに適用されるものとする。
図4において、例えば測定No.3の点(表1参照)において出口CO2濃度は1000ppm程度まで低下しており、反応浴温度320℃においては炭素が燃焼していることを、多管式反応器のユーザーは視覚的に見極めることができる。このため、迅速に次の処理ステップである空気流量増加に移ることができる。このように、本発明の方法により出口ガス分析結果を入力するだけで早期な処理ステップ変更の見極めが可能となる。また、測定No.14では出口CO2濃度が大気中のCO2濃度の400ppmと同等のレベルまで低下している。このとき、出口CO2濃度が大気中と同程度になった場合にコンピュータ装置によって自動的にセルの背景がドットパターンで表示されるように設定しておけば、表1の測定No.14の出口CO2濃度の欄のようなドットパターンが表示される。これにより、この処理ステップでの空気処理は完了していると多管式反応器のユーザーは判断できる。このように出口CO2濃度の結果と、過去の空気処理データおよび/または技術的知見との比較照合により、必要に応じコンピュータ装置が自動的に判断をし、表示を変えて空気処理および処理ステップの完了を多管式反応器のユーザーに明示的に示す方法も、本発明に含まれるものとする。ここで、上述のコンピュータ装置による自動判断の判断基準に関しては、後述する。
図5は、出口二酸化炭素量に関する情報を数値処理することで得られた単位時間あたりの炭素処理量に関する情報である。この数値処理も、支援情報を得る工程の一例であり、図3におけるステップS2に含まれる処理である。ある測定時点における単位時間あたりの炭素処理量は、具体的には以下式(1)によって得ることができる。上述の通り、出口二酸化炭素量(下記式における、当該ステップにおける出口CO2濃度)の単位が異なる場合、下記式の係数1000000も必要に応じ修正されるものとする。また炭素処理量の単位も特に限定されず、当業者にとって公知な変換が必要に応じ行われるものとする(たとえば[mol/hr]など)。入口ガス流量の代わりに出口ガス流量を用いることもでき、その場合の計算式も同様である。
単位時間あたり炭素処理量[g/hr]=当該測定時点における入口ガス流量[NL/hr]×当該測定時点における出口CO2濃度[ppm]÷1000000÷22.4[NL/mol]×12[g/mol] (1)
出口CO2濃度から単位時間あたり炭素処理量に変換することにより、出口CO2濃度の測定間の時間間隔および反応管内のガス流量を考慮した見方を、多管式反応器のユーザーに明示的に示すことができる。単位時間あたり炭素処理量は同じ空気処理における相対評価により、空気処理の進捗の見極めに活用される。また単位時間あたり炭素処理量と、過去の空気処理データおよび/または技術的知見との比較照合により、必要に応じコンピュータ装置が自動的に判断をし、表示を変えて空気処理および/または処理ステップの完了を多管式反応器のユーザーに明示的に示す方法も、本発明に含まれるものとする。ここで、上述のコンピュータ装置による自動判断の判断基準に関しては、後述する。
図5において、測定No.10の出口CO2濃度は6300ppm程度であり、測定No.6の出口CO2濃度13000ppmより十分低いが、入口空気流量が倍増しているため単位時間あたり炭素処理量は0.34g/hr程度と高くなっている。すなわち、出口CO2濃度のみならず単位時間あたり炭素処理量を支援情報として含むことにより、空気処理および/または処理ステップの完了の見極めがさらに容易になると言える。
図6は、単位時間あたりの炭素処理量に関する情報を数値処理することで得られる積算炭素処理量に関する情報である。この数値処理も、支援情報を得る工程の一例であり、図3におけるステップS2に含まれる処理である。積算炭素処理量は、具体的には以下式(2)によって得ることができる。積算炭素処理量の単位も特に限定されず、当業者にとって公知な変換が必要に応じ行われるものとする(たとえば[mol])。また、下記式では台形補間により区分求積しているが、上記見極めに大きな影響がなければ、その算出方法は長方形補間など当業者にとって公知ないずれの方法であってもよいものとする。
積算炭素処理量[g]=(当該測定時点における単位時間あたり炭素処理量
[g/hr]+当該測定時点の一つ前の測定時点における単位時間あたり炭
素処理量[g/hr])÷2×当該測定時点から当該測定時点の一つ前の測
定時点までの処理時間[hr]+当該測定時点の一つ前の測定時点における積算炭素処理量[g] (2)
図6から明らかであるとおり、空気処理時間が9時間を超えたあたりで積算炭素処理量が横ばいとなっている。これは、反応器中のコーク状炭素化合物がほぼ消失したことを意味すると考えられ、空気処理の終点を示すものと判断できる。図6の例では、測定No.14における積算炭素処理量が、測定No.13における積算炭素処理量とほぼ同等であるとコンピュータ装置が自動的に判断し、コンピュータ装置によって自動的にセルの背景の表示パターンを変えて表1に表示されるよう処理されている。当該表示に基づき、この処理ステップでの空気処理は完了していると多管式反応器のユーザーは判断できる。このように積算炭素処理量の結果と、過去の空気処理データおよび/または技術的知見との比較照合により、必要に応じコンピュータ装置が自動的に判断をし、表示を変えて空気処理および処理ステップの完了を多管式反応器のユーザーに明示的に示す方法も、本発明に含まれるものとする。ここで、上述のコンピュータ装置による自動判断の判断基準に関しては、後述する。
このような視覚的情報を用いることで、熟練した技術者が存在しない状況においても一定のフローチャートを用いて空気処理が完了したかどうかの判断を迅速に行うことができる。
なお積算炭素処理量の算出結果に基づいて、空気処理の頻度(プラントでの長期反応中、どれくらいの頻度で空気処理を実施するのか)や反応条件の最適化を行うことも可能である。例えば、原料の供給流量と稼働時間の積(すなわち、触媒による積算の反応原料処理量)は、空気処理における積算炭素処理量と比例関係にあると推定できる。このことから、積算炭素処理量が想定の2倍程度多かった場合には、次回の空気処理の頻度を2倍にするなど、空気処理の頻度を最適化することが可能である。また反応条件の最適化に関しては、長期反応においてガス条件や運転条件を変更した場合に、空気処理における積算炭素処理量がどのように変化するかをデータとして蓄積することで、次回以降、経験的または定量的に最適な条件を見出すことが容易となる。勿論、あるプラントでの積算炭素処理量のデータに基づいて、運転条件の似た他のプラントの空気処理の頻度や反応条件の最適化を行うことも、本発明に含まれるものとする。
図7は、触媒ピーク温度に関する情報を示す図である。この触媒ピーク温度の演算処理も、引き続き支援情報を得る工程であり、図3におけるステップS2に含まれる処理である。図7の例では、測定No.12において触媒ピーク温度が378℃と高温になったためセルの背景の表示パターンを変えたアラートが表1に表示されるように設定されている。これ以上高温になると触媒劣化が進むと考えられるが、この例ではその後、触媒ピーク温度は低下している。このように触媒ピーク温度の結果と、過去の空気処理データおよび/または技術的知見との比較照合により、必要に応じコンピュータ装置が自動的に判断をし、表示を変えて空気処理および処理ステップの完了を多管式反応器の支援情報として明示的に示す方法も、本発明に含まれるものとする。ここで、上述のコンピュータ装置による自動判断の判断基準に関しては、後述する。さらに、図7の例は触媒ピーク温度そのものをプロットしているが、触媒ピーク温度と反応浴温度との差を触媒発熱温度として算出し、発熱の状況を把握し、アラートを自動的に発報する方法も本発明に含まれる
ものとする。
また仮に、上記の例において測定No.12の後に触媒ピーク温度がさらに高温になった場合、空気処理をいったん中断する必要がある。例えば、触媒ピーク温度が触媒の使用制限温度-20℃に到達した際には、空気および/または酸素含有ガスの流通を停止し、さらに必要に応じ窒素ガスやスチームなどの不活性ガスを流通させて、空気処理を中断させる。触媒の使用制限温度は、触媒種により異なり、別途設定されるが、例えば350℃から550℃である。
次に、触媒ピーク温度の取得方法を以下に示す。反応器内の複数本の反応管から管内温度情報(各反応管に設置された温度センサー(熱電対)によって得られる温度情報)を取得し、反応器のユーザーが入力装置によりコンピュータ装置に入力、または管内温度情報を自動的かつ一定の時間間隔でコンピュータ装置に取得させる。取得された管内温度情報は、まず表形式にまとめられる。この際、複数本の反応管で同じ深さ位置での管内温度情報を比較、平均化等の統計処理を行い、棄却すべきデータがあるかどうかを判断し、必要に応じ棄却してもよい。棄却する基準は、(1)統計的に公知な方法、例えばQ検定、4dルール、Dixonの方法、Grubbsの方法のほか、(2)複数本の反応管で同じ深さ位置での管内温度の標準偏差が、熱電対や各種機器の分析精度に適切な係数をかけたパラメーターの範囲内に入っているかを判断する(入っていなければ、疑わしいデータを棄却)などが挙げられる。棄却する対象は、特定の熱電対の入った反応管、特定の区画、特定の熱電対の特定の測定箇所、およびそれらの組み合わせ、のいずれでも良い。必要に応じデータを棄却した後、管内温度情報を統計処理する。この統計処理は、複数本の反応管で同じ深さ位置のデータにおいて、平均値、最小値、最大値、中央値、最頻値を使用する方法が挙げられる。発熱反応においては反応の暴走を適切に把握し、迅速に判断できることが求められるので、最大値を取得する方法が最も好ましい。こうして統計処理された管内温度情報を、視覚化処理(グラフ上にプロット)する。横軸を反応管入口からの距離、縦軸を各深さ位置での統計処理された管内温度情報とした分散図が最も好ましいが、当業者にとって公知な任意の視覚化であってよい。この処理によって得られた視覚化情報を、本発明では触媒層の温度分布とも呼ぶ。温度分布の中で最も温度が高いデータを、本発明では触媒ピーク温度と呼ぶ。
次に、上述の反応管内の出口CO2濃度、単位時間あたりの炭素処理量、積算炭素処理量、触媒ピーク温度による空気処理および/または処理ステップの終了の判断基準について記載する。判断基準に使用されるデータの例として、出口CO2濃度であれば反応器入口のガス組成(分析による入口CO2濃度)や空気中のCO2濃度、過去の類似または同一のプラントにおける空気処理データ、当該運転時の空気処理データが挙げられる。例えば単位時間あたりの炭素処理量および積算炭素処理量に関しては、過去の類似または同一のプラントにおける空気処理データ、および当該運転時の空気処理データを使用できる。また触媒ピーク温度に関しては、当該触媒の使用制限温度や過去の類似または同一のプラントにおける空気処理データ、および当該運転時の空気処理データを使用できる。その判断の方法としては、ある測定時点において取得されたデータが、(判断基準に使用されるデータの平均値またはデータそのもの)±(データの標準偏差または測定精度)×係数Xの範囲内であれば、当該空気処理または処理ステップは終了したとみなして次の処理に進む、等が挙げられる。上述の通り、当該判断がコンピュータ装置によって自動的に実行され、当該判断の結果を自動的にグラフや表などの支援情報に含めてユーザーに明示的に示すことも、本発明に含まれる。上述の係数Xは、大きすぎると空気処理が適切に実行されないおそれがあり、小さすぎると空気処理に必要な時間が長くなりプラントの生産性が悪化する。これらの観点から係数Xの適切な範囲は0.1以上1000以下となる。係数Xの上限は好ましい順に、750、500、250、150、100、90、80、70、60、50、40、30、20、10、8、6、5、4、3、2.0であり、下限は好ましい順に0.2、0.5、0.8、1.0である。すなわち最も好ましいXの範囲は1.0以上2.0以下である。また空気処理および処理ステップを終了する時の判断基準は上述のほか、プラントの稼働開始日から逆算してもよいし、その他の事情によりやむを得ず処理を途中で終了してもよく、当業者にとってこれら判断基準は公知である。
上述の通りの判断基準より、人為的またはコンピュータ装置により自動的に判断がされたのち、当該処理ステップから次の処理ステップに移る際は、上述の通り各入口ガス流量、反応浴温度や反応器圧力の一部または全部を適切に設定する。この設定は、あらかじめ決められた空気処理の手順書に従い実施されるが、プラント稼働開始日や空気処理に要する日数を考慮して、手順書記載の処理ステップ通りに空気処理を実施しないことも、当業者にとっては公知であり本発明に含まれるものとする。
本実施形態に係る方法は、さらにコンピュータ装置に、上記支援情報と、多管式反応器10における過去の空気処理において出力された支援情報との比較情報を出力する出力ステップを実行させることをさらに含んでいてもよい。過去の空気処理において出力された支援情報と、現在行っている空気処理において出力される支援情報とを比較することにより、空気処理や反応器における異常を容易に判断しやすくなり、また空気処理の頻度を最適化することが容易となる。過去の空気処理において出力された支援情報とは、前回の空気処理において出力された支援情報であってもよく、過去の複数回の空気処理において出力された支援情報であってもよく、過去の複数回の空気処理において出力された支援情報を統計処理して得られた情報であってもよい。比較情報の具体的な態様としては、例えば現在行っている空気処理において出力される支援情報である出口CO2濃度、単位時間あたりの炭素処理量、積算炭素処理量、触媒ピーク温度などの情報と、過去の空気処理において出力された同一の情報とをまとめて一つの表に表示したものが挙げられる。比較情報の別の例として、図4~7に示されるような空気処理時間に対して出口CO2濃度、単位時間あたりの炭素処理量、積算炭素処理量、触媒ピーク温度などをプロットしたグラフに、過去の空気処理の際に支援情報として出力された同様のグラフを重ね合わせたグラフが挙げられる。
本発明の利点として、上述の空気処理の進捗率や課題、経過時間などの情報と、空気処理作業におけるインプット(熱媒温度、空気やスチームなど各ガスの流量、圧力制御など)の情報を精査し、次回または類似した他のプラントにおける空気処理作業をより効率化するため、空気処理の実施時期、空気処理方法、触媒交換時期、必要な設備改造を検討することが可能になる。中でも空気処理の実施時期は重要であり、長期反応による触媒の破損や触媒上のコーク状炭素化合物の堆積により反応管内の差圧が上昇しガスが流れなくなると、プラントの生産性は極度に低下し、触媒の抜き出し作業も煩雑になる。また、空気処理を適切な時期に行うことで、長期的に安定で高い目的生成物収率を保持することができる。長期反応による触媒の破損やコーク状炭素化合物の堆積、目的生成物の収率の低下は、広義での触媒の劣化といえる。触媒の劣化を抑制する観点から、本発明の方法により空気処理実施時期を推定することもまた重要であると言える。
Figure 2023121161000001
既に説明したとおり、表1において、触媒ピーク温度が378℃と高温になったセル(No.12)や空気処理は完了していると判断されるセル(No.14)の背景パターンは他のセルと変えて表示させている。
以上、上述した実施形態を一例として本発明を説明してきたが、本発明はこれらに限定されるものではない。例えば上述の実施形態では、空気処理によってコーク状の炭素化合物を除去するという観点から、単位時間あたりの炭素処理量や積算炭素処理量を算出したが、還元状態になった触媒の再生や、触媒の再酸化処理を行う観点からは、単位時間あたりの酸素吸収量や積算酸素吸収量を算出してもよい。単位時間あたりの酸素吸収量および積算酸素吸収量の算出方法は、上記で説明した単位時間あたりの炭素処理量および積算炭素処理量の算出方法に準ずるものであり、詳細な説明は省略する。
本出願は、2022年2月18日出願の日本特許出願2022-23452に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。
本発明は、触媒を用いた酸化反応により不飽和アルデヒド、不飽和カルボン酸または共役ジエンを製造する、複数の反応管を含む多管式反応器について、反応時間に応じて必要となる空気処理を、より効率的にそして触媒劣化を抑えて実施することを可能とするものである。
10:多管式反応器、20:反応管、22、24、26、28:触媒層、30:サポートリング、S1:取得ステップ、S2:出力ステップ、S3:提供ステップ

Claims (6)

  1. 触媒を用いた酸化反応により不飽和アルデヒドおよび不飽和カルボン酸の少なくとも一方を、または酸化的脱水素反応により共役ジエンを製造する複数の反応管を含む多管式反応器の空気処理をサポートする方法であって、
    コンピュータ装置に、
    前記反応器に流出入するガスに関する情報を反応情報として取得する取得ステップと、
    前記反応情報を数値処理することにより前記空気処理を支援する支援情報を出力する出力ステップと、を実行させることを含む、空気処理のサポート方法。
  2. 前記反応情報が、前記多管式反応器の出口におけるガス成分に関する情報を含み、
    前記支援情報が、前記多管式反応器の積算の炭素処理量に関する情報または前記多管式反応器の単位時間当たりの炭素処理量に関する情報の少なくともいずれかを含む、
    請求項1に記載の空気処理のサポート方法。
  3. 前記反応情報が、前記多管式反応器の出口におけるガス成分に関する情報を含み、
    前記支援情報が、前記多管式反応器の積算の酸素吸収量に関する情報または前記多管式反応器の単位時間当たりの酸素吸収量に関する情報の少なくともいずれかを含む、
    請求項1に記載の空気処理のサポート方法。
  4. 前記反応情報が、前記多管式反応器の反応管の管内温度分布に関する情報を含み、
    前記支援情報が、前記空気処理中の前記管内温度分布の経時的変化に関する情報を含む、
    請求項1から3のいずれか一項に記載の空気処理のサポート方法。
  5. 前記コンピュータ装置に、
    前記支援情報と、前記多管式反応器における過去の空気処理において出力された支援情報との比較情報を出力する出力ステップを実行させることをさらに含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の空気処理のサポート方法。
  6. 触媒を用いた酸化反応により不飽和アルデヒドおよび不飽和カルボン酸の少なくとも一方を、または酸化的脱水素反応により共役ジエンを製造する複数の反応管を含む多管式反応器の空気処理をサポートする装置であって、
    前記装置は、取得部と出力部を有し、
    前記取得部は、前記反応器に流出入するガスに関する情報を反応情
    報として取得するように構成され、
    前記出力部は、前記反応情報を数値処理することにより前記空気処
    理を支援する支援情報を出力するように構成されている、
    空気処理をサポートする装置。
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