JP2023119281A - 光計測システム、情報処理装置、光計測方法および情報処理方法 - Google Patents

光計測システム、情報処理装置、光計測方法および情報処理方法 Download PDF

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Masahide Ito
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Abstract

【課題】光波散乱計測において、容易かつ再現性良く特定の場所を計測できる、光計測システム、情報処理装置、光計測方法および情報処理方法を提供すること。【解決手段】光計測システムは、計測する試料の計測点に集光した光による輝点を含む所定範囲の像を結像する結像素子と、結像素子が結像した所定範囲の像を表示することで試料の所定範囲の計測点を表示するイメージセンサと、光の光軸と光軸と直交する軸との各々に沿って、試料を移動させることで試料の計測点を移動させる第1駆動部と、結像素子とイメージセンサとのいずれか一方又は両方を、光軸に沿って移動させる第2駆動部とを備え、第1駆動部と第2駆動部とを調整することによって、イメージセンサに結像している所定範囲の特定の計測点に光を集光できる。【選択図】図1A

Description

本発明の実施形態は、光計測システム、情報処理装置、光計測方法および情報処理方法に関する。
光波散乱計測(スキャタロメトリ)は、コヒーレントな光(可干渉性のある光)を微細な試料に当て、散乱パターンからその形状やサイズを推定する技術である。光波散乱計測の産業用途の一例として、最先端の半導体の製造工程において、オンラインで微細パターンを計測する装置が挙げられる。
散乱パターンから元の形状を推定する際には、回折や偏光を厳密に考慮できるベクトル場理論を使用して、散乱パターンを計算し、形状と散乱パターンとの対応関係をデータベース化する。このデータベースに基づいて、元の形状を推定する。ベクトル場理論はマクスウェルの方程式を数値計算で直接解くもので、厳密結合波解析や時間領域差分法、境界要素法が知られている。
光波散乱計測は、周期構造の解析に広く適用されており、3次元形状を結像計測に比べて二桁高い分解能で計測することが可能である(例えば、非特許文献1、2参照)。ここで、結像計測は、フラウンホーファー近似で元の像を直接得る手法を想定している。フラウンホーファー近似では、散乱や結像の光学シミュレーションがフーリエ変換でできる。屈折率レンズやゾーンプレートを用いたハードウェアでフーリエ変換することによる結像の他、散乱パターンからソフトウェアでフーリエ変換することで元の像を得る計測がこれに該当する(例えば、非特許文献3参照)。
光波散乱計測では、散乱パターンの計測に必要なCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサは3桁以上の高いダイナミックレンジを持つことが必要である。このCCDイメージセンサのフレームレートで、応答速度が決まるが、近年の技術進歩のため、50μ秒までの繰り返し応答速度で計測することが可能であり、高速な計測ができる。フレームレートはCCDイメージセンサの全画素を取得するのが1秒当たり何回可能かを示す。
発明者らを含む研究グループでは、光波散乱計測を周期構造だけでなく孤立構造についても適用する手法を開発し、分解能も周期構造と同等レベルにできることを示してきた(例えば、非特許文献2、4、5、特許文献1、2参照)。
特許第6183826号公報 特許第6783461号公報 特開昭61-213653号公報 特表2009-505101号公報 国際公開第2020/026704号
Dexin Kong, Daniel Schmidt, Jennifer Church, Chi-Chun Liu, Mary Breton, Cody Murray, Eric Miller, Luciana Meli, John Sporre, Nelson Felix, Ishtiaq Ahsan, Aron J. Cepler, Marjorie Cheng, Roy Koret, Igor Turovets, "Measuring Local CD Uniformity in EUV vias with scatterometry and machine learning", Metrology, Inspection, and Process Control for Microlithography XXXIV, Proc. of SPIE Vol.11325, p.113251I. Tetsuya Hoshino, Masahiko Shiono, Banerjee Saswatee, Sadao Aoki, Kenji Sakurai, AND Masahide Itoh, High accuracy cross-sectional shape analysis by coherent soft x-ray diffraction, Vol. 59, No.28/1 October 2020/ Applied Optics. Goodman, J. W. (2005). Introduction to Fourier optics. Englewood, Colo: Roberts & Co. Tetsuya Hoshino, Toyohiko Yatagai, and Masahide Itoh, "Precise and rapid distance measurements by scatterometry", 13 February 2012, Vol.20, No.4/Optics express 3954. TETSUYA HOSHINO, NORIO WATANABE, SADAO AOKI, KENJI SAKURAI, AND MASAHIDE ITOH, "Cross-sectional particle measurement in the resonance domain on the substrate through scatterometry", Vol. 25, No. 21, 16 Oct 2017, Optics express 26329. Tetsuya Hoshino, Toyohiko Yatagai, and Masahide Itoh, "Scatterometry of Slant Incidence to Isolated Scatterers for High-Density Memory", Japanese Journal of Applied Physics, 52(2013), 09LA05. Jorg Bischoff, Joachim Bauer, Ulrich Haak, Lutz Hutschenreuther, and Horst Truckenbrodt, "Optical scatterometry of quarter-micron patterns using neural regression", 526/SPIE Vol. 3332. D. Kolenov, D. Davidse, J. Le Cam, AND S. F. Pereira, "Convolutional neural network applied for nanoparticle classification using coherent scatterometry data", Vol. 59, No.27/ 20 September 2020/Applied Optics. Tetsuya Hoshino, Saswatee Banerjee, Sadao Aoki, and Masahide Itoh, "Reflectivity Analysis of Isolated Particle on a Substrate on Incoherent Light by RCWA", Computational Optical Sensing and Imaging 2021. Tetsuya Hoshino, Masahide Itoh, "Cross-sectional shape evaluation of a particle by scatterometry", Optics Communications, 359, 240-244. 成岡 伸太郎、星野 鉄哉、伊藤 雅英、小林 正美、 "蛍光体を含む油滴の高精度3次元計測"、 第82回応用物理学会秋季学術講演会、22p-P09-11(2021) Tetsuya Hoshino, Saswatee Banerjee, Sadao Aoki, AND Masahide Itoh, "Reflection analysis of absorbing film with diffractive structures for incoherent light by rigorous coupled-wave analysis", Vol.60, No.25/1 September 2021/ Applied Optics. Tetsuya Hoshino, Saswatee Banerjee, Norio Watanabe, Sadao Aoki, Kenji Sakurai and Masahide Itoh, "Rigorous analysis of reflection spectrum of absorbing film", International Conference on Optical Technology and Measurement for Industrial Applications (OPTM2019), Yokohama, 2019.5
光波散乱計測は、計測点が分かりにくく、ルーチン的な試料解析には使いにくく、解析に熟練が必要であり、かつ、客観性を担保するのが難しいため、汎用的に使われるには至っていない。
本発明の目的は、光波散乱計測において、容易かつ再現性良く特定の場所を計測できる、光計測システム、情報処理装置、光計測方法および情報処理方法を提供することである。
本発明の一実施形態は、光波散乱計測を行う光計測システムであって、計測する試料の計測点に集光した光による輝点を含む所定範囲の像を結像する結像素子と、前記結像素子が結像した前記所定範囲の前記像を表示することで前記試料の前記所定範囲の前記計測点を表示するイメージセンサと、前記光の光軸と前記光軸と直交する軸との各々に沿って、前記試料を移動させることで前記試料の前記計測点を移動させる第1駆動部と、前記結像素子と前記イメージセンサとのいずれか一方又は両方を、光軸に沿って移動させる第2駆動部とを備え、前記第1駆動部と前記第2駆動部とを調整することによって、前記イメージセンサに結像している前記所定範囲の特定の計測点に前記光を集光できる、光計測システムである。
集光用の素子としては、屈折率レンズ、楕円ミラー、ウォルターミラー、Schwarzschildミラー等を用いる波長に応じて使うことができる。結像素子としては、屈折率レンズ、ゾーンプレート等を用いる波長に応じて使うことができる。結像素子の屈折率レンズの開口数NAは0.1以上が好ましく、より好ましくは0.2以上である。NAが大きい方が高い分解能が期待できる。集光用の素子や結像素子と試料との距離の指標となるワーキングディスタンスは1mm以上が好ましく、より好ましくは2mm以上である。この距離が長い方が試料を傾けた計測が容易になる。イメージセンサとしては、CCDやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)を使うことができる。
本発明の一実施形態は、前述の光計測システムにおいて、第1光源と、第2光源と、前記第1光源からの光を前記試料の前記計測点に集光させる対物レンズとを備え、前記対物レンズは、前記第2光源が照射した光の前記試料による透過ないし反射光から前記所定範囲の前記像を作成し、前記結像素子は、前記対物レンズが作成した前記所定範囲の前記像を結像する。
本発明の一実施形態は、前述の光計測システムにおいて、前記第1光源からの光が前記対物レンズで前記試料の前記計測点に集光されることによって前記試料から散乱された散乱光を利用して、前記試料の散乱パターンを表示する表示手段を備え、前記結像素子は、前記第2光源が照射した光の前記試料による反射光から前記対物レンズで作成された前記所定範囲の前記像を前記イメージセンサに結像する。
本発明の一実施形態は、前述の光計測システムにおいて、前記第1駆動部は、前記光の光軸と前記光軸と直交する軸との各々に沿って、前記試料を0.1mm以上移動させ、前記第2駆動部は、前記結像素子と前記イメージセンサとのいずれか一方又は両方を、光軸に沿って、1mm以上移動させる。
本発明の一実施形態は、光計測システムによって取得される前記試料の散乱強度の角度分布を受け付ける受付部と、前記受付部が受け付けた前記試料の散乱強度の前記角度分布に基づいて、前記試料の三次元形状を導出する処理部とを備え、前記処理部は、複数の試料の各々の散乱強度の角度分布と、複数の前記試料の各々について前記試料の三次元形状との関係を深層学習しており、当該深層学習の結果を使用して、前記受付部が受け付けた前記試料の散乱強度の角度分布について、前記試料の三次元形状を導出する、情報処理装置である。
本発明の一実施形態は、前述の情報処理装置において、前記試料は、孤立した光散乱体であり、前記深層学習は、バッチサイズが48以上192以下、繰り返し数が150以上500以下、学習の各層のパラメータ数が60以上200以下、学習の層数が2以上で行われている。
本発明の一実施形態は、前述の情報処理装置において、試料の三次元形状は、光軸を含む平面の試料の断面の形状が、三角、四角、楕円である三次元形状を含む。
本発明の一実施形態は、前述の情報処理装置において、試料の三次元形状は、試料表面が凹凸であり、且つ少なくとも一部の凹凸の高さが異なる三次元形状を含む。
本発明の一実施形態は、光波散乱計測を行う光計測システムが実行する光計測方法であって、結像素子が、計測する試料の計測点に集光した光による輝点を含む所定範囲の像を結像するステップと、イメージセンサが、前記結像素子が結像した前記所定範囲の前記像を表示することで前記試料の前記所定範囲の前記計測点を表示するステップと、前記光の光軸と前記光軸と直交する軸との各々に沿って、前記試料を移動させることで前記試料の前記計測点を移動させる第1駆動部と、前記結像素子と前記イメージセンサとのいずれか一方又は両方を、光軸に沿って移動させる第2駆動部とが調整されることによって、前記イメージセンサに結像している前記所定範囲の特定の計測点に前記光を集光するステップとを有する、光計測方法である。
本発明の一実施形態は、光計測システムによって取得される試料の散乱強度の角度分布を受け付けるステップと、受け付ける前記ステップで受け付けた前記試料の散乱強度の前記角度分布に基づいて、前記試料の三次元形状を導出するステップとを有し、導出する前記ステップでは、複数の試料の各々の散乱強度の角度分布と、複数の前記試料の各々について前記試料の三次元形状との関係を深層学習した結果を使用して、受け付ける前記ステップで受け付けた前記試料の散乱強度の角度分布について、前記試料の三次元形状を導出する、情報処理装置が実行する情報処理方法である。
本発明の実施形態によれば、光波散乱計測において、容易かつ再現性良く特定の場所を計測できる光計測システム、情報処理装置、光計測方法および情報処理方法を提供することができる。
本実施形態に係る光計測システムの一例を示す図である。 本実施形態に係る光計測システムの動作の一例を示す図である。 本実施形態に係る光計測システムによる計測結果の一例を示す図である。 本実施形態に係る光計測システムによる計測結果の一例を示す図である。 本実施形態に係る光計測システムによる計測結果の一例を示す図である。 本実施形態に係る光計測システムによる計測結果の一例を示す図である。 本実施形態に係る光計測システムによる計測結果の一例を示す図である。 本実施形態に係る光計測システムによる計測結果の一例を示す図である。 本実施形態に係る光計測システムによる計測結果の一例を示す図である。 本実施形態に係る光計測システムによる計測結果の一例を示す図である。 本実施形態に係る光計測システムによる計測結果の一例を示す図である。 本実施形態に係る光計測システムによる計測結果の一例を示す図である。 本実施形態に係る光計測システムによる計測結果の一例を示す図である。 本実施形態に係る光計測システムによる計測結果の一例を示す図である。 本実施形態に係る光計測システムによる計測結果の一例を示す図である。 本実施形態に係る光計測システムによる計測結果の一例を示す図である。 本実施形態に係る光計測システムによる計測結果の一例を示す図である。 本実施形態に係る光計測システムによる計測結果の一例を示す図である。 本実施形態に係る光計測システムによる計測結果の一例を示す図である。 本実施形態に係る光計測システムによる計測結果の一例を示す図である。 本実施形態に係る光計測システムによる計測結果の一例を示す図である。 本実施形態に係る光計測システムによる計測結果の一例を示す図である。 本実施形態に係る光計測システムによる計測結果の比較例を示す図である。 本実施形態に係る情報処理装置の一例を示す図である。 本実施形態に係る情報処理装置の動作の一例を示す図である。 本実施形態に係る光計測システムによる解析の一例を示す図である。 本実施形態に係る光計測システムによる解析の一例を示す図である。 本実施形態に係る光計測システムによる解析の一例を示す図である。 本実施形態に係る光計測システムによる解析結果の一例を示す図である。 本実施形態に係る光計測システムによる解析結果の一例を示す図である。 本実施形態に係る光計測システムによる解析結果の一例を示す図である。 本実施形態に係る光計測システムによる解析結果の一例を示す図である。 本実施形態に係る光計測システムによる解析結果の一例を示す図である。 本実施形態に係る光計測システムの他の一例を示す図である。 本実施形態に係る光計測システムが測定する試料の一例を示す図である。 本実施形態に係る光計測システムによる試料の測定結果の一例を示す図である。 本実施形態に係る光計測システムの他の一例を示す図である。 本実施形態に係る光計測システムによる測定結果の一例を示す図である。
次に、本実施形態の光計測システム、情報処理装置、光計測方法および情報処理方法を、図面を参照しつつ説明する。以下で説明する実施形態は一例に過ぎず、本発明が適用される実施形態は、以下の実施形態に限られない。
なお、実施形態を説明するための全図において、同一の機能を有するものは同一符号を用い、繰り返しの説明は省略する。
また、本願でいう「XXに基づく」とは、「少なくともXXに基づく」ことを意味し、XXに加えて別の要素に基づく場合も含む。また、「XXに基づく」とは、XXを直接に用いる場合に限定されず、XXに対して演算や加工が行われたものに基づく場合も含む。「XX」は、任意の要素(例えば、任意の情報)である。
(実施形態)
(散乱パターンの計測)
光波散乱計測は、周期構造、あるいは、多数の粒子の散乱の平均構造を計測する例が主流である。周期構造、あるいは、多数の粒子の散乱の平均構造を計測する方法において、計測位置を特定する必要はない。このため、複雑な形状の測定を行うために、集光の計測位置を明確にする必要はない。また、散乱パターン計測と結像とを同一試料に対して行っている例はあるが、試料中の特定の微細構造を光波散乱計測するためのものではない(例えば、特許文献3~5参照)。
基板に固定された孤立試料を3次元形状計測する光波散乱計測において、結像計測を使用することは行われていない。第1の理由として、結像計測は光波散乱計測より、3次元分解能が二桁低いことが挙げられる。第2の理由として、光波散乱計測は光学系が単純であるが、結像計測は複雑な光学系となり光軸調整も難しいため、結像計測を導入する利点が薄いことが挙げられる。
発明者らは多くの実験を重ね、基板に固定された孤立試料を3次元形状計測する光波散乱計測において、結像計測を導入した方が、用途が広がると考えるようになった。特に、試料の形状が単純な周期構造や、疎に分散配置されている微粒子ではなく、生体細胞や超LSI(Large-Scale Integration)の配線のような複雑な形状の場合には、結像計測がないと難しい。
結像計測に用いる対物レンズは、光波散乱計測の集光の対物レンズと共通にすることもできる。このときの結像計測の技術的な問題として、孤立系(構造)の光散乱は、集光が平行に近い必要があることが挙げられる。そのため、光波散乱計測の集光をするときには、口径の大きいレンズで焦点距離の長いものを使用していた。結像計測に有効な口径が8mm以下の対物レンズでは、一般に、焦点距離が短いため、平行に近い集光にするのが難しく、コントラストの高い散乱パターンが得られるか不明となる。
光波散乱解析において、特定の場所を計測する技術として、散乱光を計測するために集光する光の照射範囲を計測点の近傍にまで広げることで試料を投影して拡大投影像を得る技術が知られている(例えば、非特許文献5、特許文献2参照)。この手法は、光学系が簡便であるが、魚眼レンズで見たときのように像が歪み、視野が狭くなる場合がある。このため、例えば、マジック(マジックインキ)で目印をつけそれを頼りに集光位置を同定しなければならない。また、投影するために一旦集光位置から外してしまうため、元に戻すためには3次元的に1μm以下の位置精度が必要となり、同じ集光条件にするのは難しく、実験の再現性の面で問題があった。
光波散乱解析において、特定の場所を計測するもう一つの技術として、XYステージで試料を動かし、集光位置をずらしたときの反射光の角度分布や強度の変化を観察する技術が知られている。タイコグラフィーが代表的な手法であり、観測側にビームスプリッタやレンズを使用しないで、単純な光学系で実現できる。この方法では、複雑な形状に対応できるメリットがあるが、ステージを動かし、かつステージを動かす途中の各点で計測するため、高速な計測には向かない。
そこで、本実施形態に係る光計測システムでは、集光位置はある程度固定しながら、計測している位置を同定する。本実施形態に係る光計測システムでは、結像で集光位置を把握し、計測個所まで集光位置を動かしてから光波散乱計測を行う。このように構成することで、光波散乱計測の集光位置を容易に把握でき、高速な計測が可能である。
(散乱パターンの解析)
光波散乱計測において、周期構造と孤立系(構造)では散乱パターンが全く異なる。前者においては、周期で定まる回折角度に輝点が出てくるので、その角度分布は離散的である。一方、後者においては、回折角度は周期で決まる場所からはずれ、回折角度以外にも強度の強い角度分布が現れるので、散乱角度分布は連続でブロードである。光波散乱計測は、多数の微粒子の散乱パターンからそのサイズ分布を計測するためにも使われる。多数の微粒子の散乱パターンからそのサイズ分布を計測する場合には、粒子形状は同じであると考え、散乱の角度分布からサイズを算出する。
光波散乱計測において、孤立系の散乱パターンから光散乱体の形状が初めて解析されたのは、発明者らの研究グループによるものである(例えば、非特許文献5、特許文献1参照)。
本実施形態に係る光計測システムでは、孤立系の散乱パターンについて、深層学習を適用し、四角(矩形)や楕円、半楕円、三角といった形状を解析することで判別する。深層学習においては、そのプログラムをいくつかのパラメータを用いて最適化し、パラメータの最適値を明らかにする。さらに、本実施形態では、区分けの要素として、表面の凹凸が重要であることを明らかにする。
本実施形態に係る光計測システムでは、複雑な形状を持つ試料について、誰もが簡便に速く光波散乱計測ができる。以下では、可視・紫外光の計測と極短紫外・軟X線の計測について述べる。さらに、これらの計測で得られた散乱パターンの解析方法として共通に使うことができる深層学習のプログラムについて述べる。
(可視・紫外光の計測)
可視・紫外光では、集光範囲は、入射光の波長と同程度まで絞られる。そのため、集光範囲を結像しても集光位置に関する情報は得られない。集光用の光源とは別の結像用光源を使って、集光の輝点を含む領域を明るく照らして、広い領域で結像することになる。散乱光や計測するCCDイメージセンサも光波散乱の計測と別の方がよい。
(極短紫外・軟X線の計測)
光波散乱計測では、試料に照射する光は可干渉性を維持する必要がある。軟X線では、この状態を維持できる入射光集光の手法の一つは、楕円ミラーを用いた集光である。その集光範囲は100μm程度であり、入射光の波長が10nmの時には、波長の1万倍にもなる。そのため、集光範囲を結像することで、ある程度計測範囲にかかわる情報が得られる。別の光源は必要なく、計測するCCDイメージセンサも光波散乱の計測と共通のものでよい。光散乱の集光素子としては、楕円ミラーが、結像用の集光素子としてはゾーンプレートが挙げられる。
(散乱パターンの解析)
散乱パターンは、散乱光の計測角度は一定での入射光の波長に対する強度分布と、波長は一定での散乱角度に対する強度分布の2種類が存在し、いずれでも解析可能である(例えば、非特許文献6、特許文献1参照)。本実施形態では、散乱角度に対する強度分布を解析する。深層学習による形状やサイズの推定のためには、プログラムのパラメータを適切に設定する。このパラメータを変えて学習し、実験結果を適切に再現できるかどうか検討した。
生体試料や矩形格子を計測したところ、従来の方法では、試料形状が複雑であるか、粒子のように孤立している時には、どこに集光しているのかを知るのは難しい。
そこで、種々検討した結果、結像と光波散乱計測とを組み合わせることによって、特定箇所の散乱パターンを正確に得られることが分かった。可視光・紫外光での計測において、重要な点の一つは、光波散乱計測の集光の光源と結像用の光源とを別々にすることである。重要な点のもう一つは、集光と結像とを、光学配置を同じにしたまま同一のCCDイメージセンサで計測することである。このように構成することによって、試料の微細構造における集光点の位置を知ることができる。
この検討で新規に得られた知見の一つは、光波散乱計測用の集光をする対物レンズと結像計測用の対物レンズとを共通にしても、両方に焦点を合わせることができるということである。孤立系の光波散乱計測の集光と結像の集光とは同じではないので、共通にできることは自明ではなくむしろずれがあると考えるのが自然である。この検討で新規に得られた知見のもう一つは、計測個所が試料面内で異なると対物レンズを光軸に沿って動かす必要があり、視野の狭い範囲でも焦点深度が確保できないため、結像レンズあるいは結像用CCDを光軸に沿って動かす必要があるということである。従来の顕微鏡では、試料と対物レンズとの間の距離だけを調整すれば、視野の範囲内で計測可能である。このため、本実施形態に係る光計測システムでは、光軸調整に関して新しい考え方が必要になったことになる。
従来技術でも、結像計測と光波散乱計測とを行い、計測対象を明確にしている。しかし、従来技術で結像計測と光波散乱計測とを行う目的は、フローサイトメトリーのように、流れてくる試料が何かを判別するものであって(例えば、特許文献2、3、4参照)、本実施形態のように、試料の特定箇所に光波散乱計測の集光位置を合わせるために結像計測をするものではない。
集光位置と試料の特定箇所の散乱パターン、光散乱計測の集光位置を試料の特定箇所に合わせるには、散乱パターンのコントラストが最大になることを利用して初めて可能となる。従来の光波散乱計測においては、集光範囲を調整し広い範囲を投影したのちに、徐々に狙いの個所に集光点を持ってくることで、試料の特定箇所に集光位置を合わせることができる(例えば、特許文献2参照)。
図1Aは、本実施形態に係る光計測システムの一例を示す図である。本実施形態に係る光計測システム10は、支持台101に載置された試料SAに光を照射して、試料SAに関する情報を取得するものである。
光計測システム10は、光計測装置50と、情報処理装置100と、ディスプレイ150とを備えている。
(光計測装置50)
光計測装置50は、第1ステージ1と、第2ステージ2と、第3ステージ3と、レーザー光集光スポット形状調整手段4と、レーザー光集光スポット位置調整手段5と、結像レンズ7と、イメージセンサ8と、レーザー光源12と、光源14と、ライトガイドLGと、スクリーンSCと、撮像装置16とを備えている。
図1において、紙面に垂直な方向をX軸とし、鉛直上向きをY軸とし、X軸とY軸とに垂直な方向をZ軸とする。図中の矢印の方向が正方向であり、反対方向が負方向である。
レーザー光源12、レーザー光集光スポット形状調整手段4、レーザー光集光スポット位置調整手段5は、Z軸に平行な一直線上に並ぶように配置されている。図1では、レーザー光源12側から、レーザー光集光スポット形状調整手段4として、スリット4a、アイリス絞り4bが、順に並んで配置されている。また、図1では、レーザー光源12側から、レーザー光集光スポット位置調整手段5として、レンズ5a、ピンホール5b、レンズ5c、偏光ビームスプリッタ5d、レンズ5eが、順に並んで配置されている。スリット4a、アイリス絞り4bは、レンズ5cと偏光ビームスプリッタ5dとの間に配置されている。
結像レンズ7は、第1ステージ1上に固定されている。第1ステージ1は、Y軸方向の位置を制御可能である。例えば、第1ステージ1は、マイクロメータMMYを動作させることによって、Y軸方向に沿って、1mm以上移動させることが可能である。
支持台101は、第2ステージ2上に固定されている。支持台101は、試料SAの配置可能な形状であればよく、試料SAの存在形態によって好適な形状が異なる。第2ステージ2は、X軸方向とY軸方向とZ軸方向との位置を制御可能である。例えば、第2ステージ2は、マイクロメータMMX、MMY、MMZを動作させることによって、それぞれX軸方向、Y軸方向、Z軸方向に沿って、1mm以上移動させることが可能である。
従来方式では、支持台101の表面には、粒子の位置を特定できるマーカーがついていた。従来、マーカーを目印とすることにより、支持台101の移動時にずれた集光位置を補正していた。本実施形態では、イメージセンサ8に結像をして、ディスプレイ150で表示することでマーカーがなくても、計測点を容易に把握できる。
レンズ5eの一例は対物レンズであり、第3ステージ3上に固定されている。レンズ5eは、レーザー光源12からのレーザー光を、試料SAの計測点に集光させる。第3ステージ3は、Z軸方向の位置を制御可能である。例えば、第3ステージ3は、マイクロメータMMZを動作させることによって、Z軸方向に沿って、1mm以上移動させることが可能である。
レーザー光源12の一例は、アルゴンレーザーである。レーザー光源12は、アルゴンレーザーに限らず、放射光、X線自由電子レーザー、気体レーザー、固体レーザー等であってもよい。波長はX線、紫外・可視、赤外線、テラヘルツ波等、幅広く用いることができる。
レーザー光集光スポット形状調整手段4は、レーザー光源12を用いて、試料SAに対して照射するレーザー光L1の集光スポットの形状・サイズを、線状でかつ特定の粒子にのみ集光するように調整する機能を有する。具体的には、スリット4a、瞳4b等が用いられる。スリット4aとしては、径のサイズ可変の瞳4bとレンズ5cとの間に設置され、取り外し可能であることが好ましい。スリット4aによって照射範囲が調整され、瞳4bによって光量が調整される。スリット4aは、集光スポットを回転させるため、回転可能な構成を有している。瞳4bとしては、アイリス絞りや、径の異なるピンホール等を用いることができるが、アイリス絞りは径が可変であり、差し替えの必要がないため好ましい。
レーザー光集光スポット位置調整手段5は、レーザー光L1の集光スポットを、試料SAの位置に合うように調整する機能を有する。光軸上において、レーザー光源12とレーザー光集光スポット形状調整手段4との間には、レンズ5aとピンホール5bとレンズ5cとからなるスペーシャルフィルターが置かれている。レーザー光源12からの光は、レンズ5aで試料Sの幅以上に広げられ、ピンホール5bに入射し、ピンホール5bを通った光はレンズ5cで平行化される。レンズ5cで平行化された光は、レーザー光集光スポット形状調整手段4に入射する。スペーシャルフィルターを経由させることにより、照射されるレーザー光L1から余分なモードを除くことができる。また、この目的のためピンホール5bのサイズは、1μmφ程度であることが好ましい。
レーザー光集光スポット形状調整手段4とレンズ5eとの間には、偏光ビームスプリッタ5dが置かれている。偏光ビームスプリッタ5dが置かれていることによって、試料SAに集光する偏光を正確に規定することができ、散乱パターンの計算が容易になる。また、偏光ビームスプリッタ5dが置かれていることによって、試料SAに集光する光の波面の歪みを小さくすることができる。また、偏光の向きを自由に変えるため、偏光ビームスプリッタ5dは、光軸周りに回転できるものであることが好ましい。
第1ステージ1から第3ステージ3は、散乱パターンを解析した結果に基づいて、位置をフィードバック制御できるように、情報処理装置100などの計算機によって制御できることが好ましい。このように構成することによって、試料SAに照射する光の範囲を制御できる。このため、散乱パターンの実験値と計算値の比較が容易になる。
スクリーンSCの一例は透過型であり、試料SAから散乱される散乱光を利用して、試料SAの散乱パターンを表示する。スクリーンSCと試料SAの間には、計測される散乱の強度を上げるために集光素子を置いてもよい。
撮像装置16は、スクリーンSCに表示された試料SAの散乱パターンを撮像する。スクリーンSCおよびカメラ26の代わりに、新たにイメージセンサを配置してもよい。
光源14は、支持台101に載置された試料SAに光を照射する。光源14の一例は、ハロゲンランプである。光源14は、ハロゲンランプに限らず、計測する波長範囲に合わせて、放射光、キセノンランプ、赤外線ランプ等であってもよい。光源14からの光は、ライトガイドLGによって支持台101に導かれる。
レンズ5eは、光源14が照射した光の試料SAによる反射光から所定範囲の像を作成する。所定範囲の像の一例は、試料SAの計測点に集光された光の輝点を含む範囲である。レンズ5eが作成した所定範囲の像は、偏光ビームスプリッタ5dによって、-Y方向に光の向きが変えられる。結像レンズ7は、レンズ5eが作成した所定範囲の像を、イメージセンサ8に結像する。
イメージセンサ8は、結像レンズ7が作成した所定範囲の像を電気信号に変換して取り出す。イメージセンサ8は、取り出した電気信号を、情報処理装置100に出力する。
[光計測方法]
図1Bは、本実施形態に係る光計測システムの動作の一例を示す図である。図1Bを参照して、光計測システム10を用いた光計測方法として、試料SAに関する情報を取得する方法について説明する。
(ステップS1-1)
試料SAに照射するレーザー光L1の集光スポットの形状が、レーザー光集光スポット形状調整手段4によって、線状となるように調整される。
(ステップS2-1)
レンズ5eなどの集光素子と試料SAとの間の距離、および光軸と試料SAとの間の距離が調整される。例えば、第2ステージのマイクロメータMMZと第3ステージのマイクロメータMMZとのいずれか一方又は両方が調整される。
(ステップS3-1)
レーザー光L1の集光スポットが、試料SAの位置に合うように調整される。例えば、第3ステージのマイクロメータMMZが調整される。
(ステップS4-1)
レーザー光L1の光軸(Z軸)と直交する軸(X軸、Y軸)を中心に、第2ステージ2のマイクロメータMMXとマイクロメータMMYとのいずれか一方又は両方により支持台101または光軸が移動することでレーザー光L1が試料SAに集光するように調整される。
(ステップS5-1)
試料SAからの散乱光を利用して、試料SAの散乱パターンを取得する。例えば、試料SAの散乱パターンをスクリーンSCに投影して、投影された試料SAの散乱パターンを、撮像装置16で撮像する。試料SAの散乱パターンのコントラストが所定の値以上になるように、第2ステージ2のマイクロメータMMXとマイクロメータMMYとマイクロメータMMZとの少なくとも一つが調整される。このように構成することによって、各方向から見た試料SAの形状、サイズの情報を取得することができる。
(ステップS6-1)
光源14からの光L2が、ライトガイドLGを経由して、試料SAに照射される。
(ステップS7-1)
光L2が試料SAに集光するように調整される。
(ステップ8-1)
光源14が試料SAに照射した光の反射光から作成された所定範囲の像がイメージセンサ8に結像するように、レンズ5eのZ方向と、結像レンズ7とイメージセンサ8とのいずれか一方又は両方のY方向とが調整される。
(光波散乱計測の例1)
図2Aから図2Eは、本実施形態に係る光計測システムによる計測結果の一例を示す図である。ここでは、スライドガラス上の矩形ローダミンBの散乱パターンの計測を行った。図2Aは、光学顕微鏡の像を示す。図2Bは、SEM(Scanning Electron Microscope)による斜め52°の像を示す。図2Cは、入射角θiと散乱角θdとを示す。図2Dは、イメージセンサの像を示す。図2Eは、波長488nmのアルゴンレーザーの散乱パターンの一例を示す。
基板sub表面に予め焦点を合わせておいた結像レンズ7で試料SAの広い範囲の像を計測する。試料SAの特定の位置を集光位置とし、結像レンズ7を固定したまま、散乱パターンのコントラストを最大にするために、第2ステージ2のマイクロメータMMZと、第3ステージ3のマイクロメータMMZとのいずれか一方又は両方によって、レンズ5eと試料SAとの間隔を微調整する。さらに、結像レンズ7とイメージセンサ8とのいずれか一方又は両方を光軸方向に、第1ステージ1のマイクロメータMMYによって微調整する。
レンズ5eはOLYMPUS製PLAN N(X10 0.25 CY ∞ FN22)であり、結像レンズ7はミツトヨ製MT-2である。イメージセンサ8はJAI社製2/3型CCDCV-M4+CLである。第1ステージ1、第2ステージ2および第3ステージ3は、それぞれ結像レンズ7とイメージセンサ8とのいずれか一方又は両方、試料SA、レンズ5eの位置を動かす。スリット4aは、レーザー光源12からのレーザーのバックグラウンドを減らす(遮蔽する)ことができる。アイリス絞り4bの径を1mmφ以下とすることで、レンズ5eで集光した際に、入射光の平行度を確保できる。撮像装置16はスクリーンSCに映った散乱パターンを撮影する。光源14はライトガイドLGを通して試料SAを照射する。
試料SAはスライドガラスの上に、ローダミンBのエタノール溶液をスピンコートした後に、集光イオンビームで25μm角の二つの矩形の穴を平行に加工したものである。二つの矩形の穴の間の幅5μm程度の凸部を計測対象の格子とした(図2Aから図2C)。集光位置を把握して、集光条件はそのままで、散乱パターンを計測することができた(図2D、図2E)。
スクリーンはNBSリコーTP PAPER 901221 A4サイズである。撮像装置16はオリンパス製 STYLUS XZ-10であり、AIモードで撮影した。
図1では、レンズ5eと反対側から試料SAに光源14から光の入射光を照射しているが、例えば、ビームスプリッタを使用して、レンズ5eの側から、試料SAに光源14からの光を入射してもよい。レーザーの偏光制御のため、偏光子や位相差フィルムを適宜使用できる。また、この場合にも、レンズ5eの側から、試料SAに光源14からの光を入射できる。
(光波散乱計測の例2)
図3Aから図3Cは、本実施形態に係る光計測システムによる計測結果の一例を示す図である。ここでは、ラットのプレパラート標本を試料とした場合について示す。
図3Aは、ラット脳のプレパラート標本の写真の一例であり、光波散乱計測用のレーザー光源12をオンにした場合と、オフにした場合とについて示す。図3Bは、イメージセンサ8上のラット脳の透過画像の一例であり、光波散乱計測用のレーザー光源12をオンにした場合とオフにした場合とについて示す。図3Cは、波長488nmのアルゴンレーザー光のラット脳による散乱パターンの一例を示す。図3Dは、図3Cに示す散乱パターンの角度分布と断面形状の解析例を示す。図3Dにおいて、θdは散乱角度である。
図3Aから図3Cに示すように、コントラストのよい散乱パターンと、焦点のあった結像が得られた。図3Cの散乱パターンから、図3Dに示す角度分布が得られ、角度分布から断面形状・サイズを算出できる。断面形状の算出方法については後述する。入射光に垂直な方向の幅のサイズは矢印で示したほぼ等間隔に並んだピークの間隔から、後述の厳密結合波解析を使わなくても、おおよその値を見積もることができる(例えば、非特許文献10参照)。具体的には、平均角度間隔をθ、波長をλとすると、λ/sin(θ)によって算出できる。
(光波散乱計測の例3)
光波散乱計測の例2と同様の試料について、予め基板sub表面に焦点を合わせておいた結像レンズ7で試料SAの広い範囲の像を計測する。試料SAの特定の位置を集光位置とし、結像レンズ7を固定したまま、散乱パターンのコントラストを最大にするためにレンズ5eと試料SAとの間隔を微調整する。さらに、結像レンズ7とイメージセンサ8とのいずれか一方又は両方を光軸方向に微調整する。その結果、像が大きくぼやけた。
(光波散乱計測の例4)
図4Aから図4Dは、本実施形態に係る光計測システムによる計測結果の一例を示す図である。ここでは、猫の大脳のプレパラート標本を試料とした場合について示す。
図4Aは、猫の大脳のプレパラート標本の一例であり、計測点を示すレーザー光が含まれている。図4Aでは、試料SAはプルキンエ細胞が分かるようにゴルジ染色されている。図4Bは、イメージセンサ8上の猫の大脳の透過画像と計測点とを示す。レーザー光源12をオンにした場合とオフにした場合とについて示す。図4Cは、猫の大脳の散乱パターンの一例を示す。図4Dは、図4Cに示した散乱パターンの角度分布と断面形状の解析例を示す。図4Dにおいて、θdは散乱角度である。
図4Aでは、試料SAはプルキンエ細胞が分かるようにゴルジ染色されている。図4Bに示すように、複雑なパターンであるが、結像を見ながら、特定の位置に集光点を合わせた。図4Cに示すように特定器官の光波散乱計測の解析に必要な散乱パターンを観測することができた。図4Dに示すように、散乱パターンの角度分布を解析することで、形状・サイズを算出できる。
(光波散乱計測の例5)
図5Aから図5Dは、本実施形態に係る光計測システムによる計測結果の一例を示す図である。ここでは、人の小脳のプレパラート標本を試料とした場合について示す。
図5Aは、ヒト小脳のミエリン鞘をワイガート染色したプレパラート標本の一例であり、計測点を示すレーザー光が含まれている。図5Bは、イメージセンサ8上の人の小脳の透過画像と計測点とを示す。レーザー光源12をオンにした場合とオフにした場合とについて示す。図5Cは、人の小脳の散乱パターンの一例を示す。図5Dは、図5Cに示した散乱パターンの角度分布と断面形状の解析例を示す。図5Dにおいて、θdは散乱角度である。
図5Bに示すように、複雑なパターンであるが、結像を見ながら、特定の位置に集光点を合わせた。図5Cに示すように特定器官の光波散乱計測の解析に必要な散乱パターンを観測することができた。図5Dに示すように、散乱パターンの角度分布を解析することで、形状・サイズを算出できる。
(光波散乱計測の例6)
図6Aから図6Cは、本実施形態に係る光計測システムによる計測結果の一例を示す図である。ここでは、シリコン基板の上にレジストの格子を20μm間隔で作成したものを試料とした場合について示す。
図6Aは、極短紫外・軟X線実験のためのコヒーレント回折の光学系の概略と試料及び結像素子の駆動部の一例を示す。図6Bは、ゾーンプレートによるイメージセンサの暗視野像とその拡大図とを示す。拡大図には強度の投影像も示されている。矢印で示した個所に4つの格子が見えている。格子の幅設計値は0.75μmであり、波長は13.5nmである。図6Cは、回折の角度分布を示す。図6Cにおいて、θiは入射角であり、この例では、43.7°である。
図6Aに示すように、ゾーンプレートZPで集光結像して、目的の計測位置に試料SAを動かした後に、ゾーンプレートZPを除いて、散乱パターンをイメージセンサISで計測する。ゾーンプレートZPと試料SAは共に、XYZステージで動かした。XYZステージは、XYステージに直線導入機を固定したものである。これを6方管に結合し、各ステージについたマイクロメータで動かした。
ゾーンプレートZPはApplied Nanotools INC.製で、50nmの窒化ケイ素膜の上に200nm厚の金が形成されている。この素子の直径は750μmで、外側のゾーン幅200nmである。焦点距離は波長10nmで16.2mmである。
ビームストッパーBSは、径0.5mmの針金であり、ゾーンプレートZPによる試料の1次回折光集光位置に配置する。
放射光を、楕円ミラーEMで集光し、シリコン基板の垂線に対して、43.7°の角度で入射させた。開口制限は1mmφのピンホールPHである。レジストの格子の長い方の向きを入射光・反射光のなす平面に対して、垂直になるように配置した。この格子を該平面で切った時の断面形状を計測する。
放射光施設において、楕円ミラーの上流側にある分光用回折格子で波長を切り替えて計測する。波長13.5nmの光を用いて、ゾーンプレートZPでイメージセンサISに結像して、少なくとも2つの格子に光が当たっていることを確認した(図6B)。さらに、集光素子(ゾーンプレートZP)をステージで光軸から外して、波長10nmの光を用いて、散乱パターンをイメージセンサISで計測した(図6C)。
(光波散乱計測の比較例)
(比較例1)
図7は、本実施形態に係る光計測システムによる計測結果の比較例を示す図である。
光学系は実施形態において、結像レンズ7を省略したものである。集光位置を知るためには、集光点を光軸に沿ってずらすことで、拡大投影する方法が簡便であるが、この方法では、像が歪み、計測範囲も狭く計測位置を知るには試料の載ったスライドガラスにマジックによる目印が必要となった。図7は、レーザー光による粒子の投影像の一例を示す(例えば、特許文献2参照)。粒子の一例としてローダミンB粒子を示す。図7のレーザー光による粒子の投影像では、図2Dと比較して、像は歪んでおり、集光点の位置も明確でない。図7のレーザー光による粒子の投影像では、計測点が分からない。
(比較例2)
光学系は実施形態において、結像レンズ7を省略したものである。先端が細く散乱パターンの妨害になりにくいファイバースコープ(USBファイバースコープ 3 in 1オートフォーカス内視鏡カメラ 500万画素USB内視鏡 Anykit製 AKNTC140AF)で斜めから観察することを検討したが、焦点を試料に合わせることが難しく、かつ、散乱パターン計測の妨害になった。
(比較例3)
光学系は実施形態において、結像レンズ7を省略したものである。プラスチック製で設置が容易なUSB駆動のハンドヘルドデジタル顕微鏡(Per Pet製)で観察を試みたが、斜めから焦点を合わせるのは難しく、散乱パターン計測の妨害になった。
(比較例4)
光学系は実施形態において、結像レンズ7を省略したものである。対物レンズが横向きについている小型光学顕微鏡で斜めから観察したが、毎回ピントを合わせるのに時間と手間がかかり、かつ、散乱パターン計測の計測を同時に行うことはできなかった。
(比較例5)
光学系は実施形態において、光源14と、ライトガイドLGとを省略したものである。レーザー光の集光範囲を広げたうえで、その反射光を結像する方法を検討したが、集光位置を特定するのが難しく、かつ、散乱パターンの再現性や操作性も悪くなった。
(比較例6)
光学系は実施形態において、結像レンズ7を省略したものである。レーザー光源12の位置に光源14を移動し、光源14とレーザー光源12とを切り替えて使用する。スクリーンSCの部分には、レーザー光源12を使用する場合はスクリーンSCを配置し、光源14を使用する場合にはイメージセンサを配置する。ピンホール径の一例は10μmである。
集光用のレーザー光源12からのレーザー光と、レーザー光によって集光されたことによる輝点を含む範囲をカバーする光源14からの光とを同一のレンズ5eを通して、交互に照射し、試料SAを挟んで対物レンズSAと反対側にある、イメージセンサで白色光像とレーザーの投影像とを観察した。しかし、像の歪みが大きく、視野も狭いため、集光位置の特定は難しかった。
(比較例7)
光学系は、図6Aにおいて、ゾーンプレートを省略したものである。波長10nmの軟X線をレジストの格子に当てその散乱パターンを計測した。格子は周期20μm間隔で並んでいる。格子の結像データない条件では、格子いくつ分に集光しているのか、また、格子の上で集光がどのように分布しているのか分からなかった。
本実施形態では、光波散乱計測に使用するイメージセンサと結像計測に使用するイメージセンサとが異なる場合について説明したが、この例に限られない。光波散乱計測に使用するイメージセンサと結像計測に使用するイメージセンサとは、同じであってもよいし、異なっていてもよい。光波散乱計測に使用するイメージセンサと結像計測に使用するイメージセンサとが同じである場合には、結像素子がある場合(結像レンズ7で結像する場合)が結像計測であり、結像素子がない場合が光波散乱計測となる。このため、結像素子を再現性良く駆動して、結像計測を行う場合には光軸上に配置し、光波散乱測を行う場合には光軸から除く切り替えを行う。光波散乱計測に使用するイメージセンサと結像計測に使用するイメージセンサとが異なる場合には、結像素子は光軸上に残したままでもよい。
本実施形態において、スクリーンSCの代わりにイメージセンサを使用してもよい。この場合、光波散乱計測に使用するイメージセンサと結像計測に使用するイメージセンサ8とが同じ場合でも異なる場合でも、光波散乱計測での集光状態を動かさないで、散乱パターンと結像との両方を計測することが重要である。光波散乱計測の集光位置の調整は難しく一旦動かしてしまうと、1μm程度の精度では元の位置に戻すのは難しいからである。そのためには、結像素子の内の一つは、結像に適した光軸上の位置へ精密に動かして調整する。さらに、結像は集光位置が把握できるものでなくてはならない。
光波散乱計測の光学系は、試料SAの計測点に入射光を集光するためのレンズ5eなどの集光素子と、散乱光を計測するためのスクリーンSCとを備える。スクリーンSCの代わりにイメージセンサ(図示なし)が用意されてもよい。スクリーンSCを使用し、スクリーンSCに投影した場合は別に用意した撮像装置16などのカメラ(レンズとイメージセンサ)で散乱パターンを撮影して解析する。さらに、集光の輝点の位置を含む該輝点と同じかより広い範囲の結像を得るために、結像レンズ7などの集光素子およびイメージセンサ8が必要である。反射の結像を得る場合にはレンズ5eなどの集光素子を結像レンズ7などの集光素子と、同一光軸上で組み合わせてもよい。レンズ5eなどの集光素子は集光時に入射光のコヒーレンスを維持できるものが好ましい。
試料SAの計測点を同定するためには、結像の範囲がある程度広いことが必要である。感度良く光波散乱計測を行うためには、集光の輝点の光強度分布の全半値幅は、計測対象となる光散乱体の短径の10000倍より小さいことが好ましい。
輝点と同じ範囲を結像する場合には、光波散乱計測の入射光と結像用の入射光とを同一としてもよいが、そのサイズは光散乱体の短径の1000倍あるいは光波散乱計測の入射光の中心波長の1000倍より大きいことが好ましい。サイズが大きくないと周辺の様子が分からず、計測位置を知ることは難しくなるためである。
本実施形態に係る光計測システム10は、レンズ5eを、光波散乱計測と結像計測とに使用している。光波散乱計測に使用する場合には集光素子として使用される。レンズ5eは可視・紫外光による光波散乱計測ではコヒーレンスを維持しながら集光できる有力な手段である。レンズ5eを、光波散乱計測と結像計測とにおいて共通に使用することで、焦点合わせの手間が省けると同時に光学系を単純にできる。レンズ5eは、入射光の集光径を小さくできる。一方で、レンズ5eは、集光点の位置の判別が難しくなるので、別の光源を準備して、照射範囲を広げ、広い範囲で結像するのが好ましい。
本実施形態では、レンズ5eと反対側から試料SAに光源14から光の入射光を照射する場合について説明したが、この例に限られない。例えば、ビームスプリッタを使用して、レンズ5eの側から、試料SAに光源14からの光を入射してもよい。レーザーの偏光制御のため、偏光子や位相差フィルムを適宜使用して、レンズ5eの側から、試料SAに光源14からの光を入射できる。
本実施形態に係る光計測システム10は、レンズ5eを透過した、試料SAの画像情報を含む光を結像するための結像レンズ7と結像を行うイメージセンサ8とのいずれか一方又は両方を、レンズ5eや試料SAとは独立に光軸方向に沿って1mm以上動かせる第1駆動部を備える。例えば、第1駆動部は、第1ステージのマイクロメータMMYを動かすようにしてもよい。第1駆動部は、結像結果に基づいて、第1ステージのマイクロメータMMYを動かすことによって、位置がフィードバック制御されてもよい。
実施形態に係る光計測システム10は、レンズ5eと試料SAとの相対位置をX軸とY軸とZ軸との3軸方向にそれぞれ0.1mm以上動かせる第2駆動部を備える。例えば、第2駆動部は第2ステージのマイクロメータMMXとマイクロメータMMYとマイクロメータMMZとを動かすようにしてもよい。第2駆動部は、散乱パターンを解析した結果と結像結果とのいずれか一方又は両方に基づいて、第2ステージのマイクロメータMMXとマイクロメータMMYとマイクロメータMMZとを動かすことによって、位置がフィードバック制御されてもよい。
本実施形態に係る光計測システム10は、レンズ5eをZ軸方向に0.1mm以上動かせる第3駆動部を備える。例えば、第3駆動部は第3ステージのマイクロメータMMZを動かすようにしてもよい。第3駆動部は、散乱パターンを解析した結果と結像結果とのいずれか一方又は両方に基づいて、第3ステージのマイクロメータMMZを動かすことによって、位置がフィードバック制御されてもよい。第2駆動部と第3駆動部のいずれか一方又は両方は、光軸方向に沿って1μmより良い精度で動かせるのが好ましく、より好ましくは30nmより良い精度である。1μmの精度で動かすことで、解析可能な散乱パターンを得ることができる。30nmの精度で動かすことで、集光位置による散乱パターンの違いをなくせるので、再現性の高い実験が可能となる。
結像レンズ7とイメージセンサ8とのいずれか一方又は両方は、レンズ5eや試料SAとは独立に光軸方向に沿って10mm以上動かせることが好ましく、より好ましくは20mm以上である。結像レンズ7とイメージセンサ8とのいずれか一方又は両方を、レンズ5eや試料SAとは独立に光軸方向に沿って10mm以上動かすことによって大抵の生体試料に対応できる。結像レンズ7とイメージセンサ8とのいずれか一方又は両方を、レンズ5eや試料SAとは独立に光軸方向に沿って20mm以上動かすことによって光散乱計測が可能な試料に対応できる。
通常の光学顕微鏡では、レンズ5eと試料SAとの間の距離は変える場合があるが、結像レンズ7とイメージセンサ8とのいずれか一方又は両方の位置を光軸に沿って動かすことはない。実験的に検討した結果、試料SA内の光散乱体の対象を変えて、光波散乱計測を行った場合に、結像がぼやけたため、結像レンズ7とイメージセンサ8とのいずれか一方又は両方の位置を変えることが好ましいことが分かった。
(情報処理装置100)
情報処理装置100は、光波散乱計測において、散乱強度角度分布と光散乱体の形状・サイズに関して逆問題を解くことで孤立した光散乱体の3次元形状を算出する。孤立した光散乱体の3次元形状を算出する方法として、形状の算出に深層学習を使用する。例えば、繰り返し数を150以上500以下、バッチサイズを48以上192以下、学習の各層のパラメータ数を60以上200以下、学習の層数を2以上とする深層学習用プログラムを使用する。ここで、逆問題とは、散乱パターンから元の形状を算出する問題である。算出される元の形状の短辺の長さは集光径と同程度か小さい。
深層学習プログラムで重要なパラメータは、学習の繰り返し数、バッチサイズ、学習のパラメータ数、学習の層数である(例えば、非特許文献7、8参照)。繰り返し数は学習アルゴリズムが訓練データセット全体を学習する回数である。学習の層数が3である場合、3つの層に対しての学習を1回と数える。
バッチサイズは、内部モデルパラメータを更新する前に処理するサンプルの数である。
パラメータ数は深層学習の一つの層で使うパラメータの数である。
孤立した光散乱体について光波散乱計測した散乱パターンについて、深層学習で解析できることが初めて明らかになった。また、その際の形状の区分けの一例として、三角形状、四角形状、半楕円形状、楕円形状とすればよいことが明らかになった。さらに、それに適した4つのパラメータの値を算出した。
深層学習では、散乱パターンと元の形状の対応付けをするが、散乱パターンの何を対応させるかは、様々である。ここでは、計算した散乱パターンの個々の角度について、実験のデータを補完して散乱強度を算出し、データ長を同じにした。また、0°から5°くらいに分布するゼロ次光を深層学習の対象から除いた。各角度の値と形状を直接、結合させることで全結合型の深層学習を行う。
繰り返し数は150以上500以下が好ましい。一般には、繰り返し数が多いほうが、精度が出るが、本実施形態では150以上300以下程度が最もよい結果であった。バッチサイズは、48以上192以下が好ましく、より好ましくは64以上128以下である。適正なバッチサイズとすることで正答率が向上する。パラメータ数は、60以上200以下が好ましい。適正なパラメータ数とすることで正答率が向上する。
層数は2以上が好ましく、より好ましくは3以上である。総数が多いほうが正しい答えを出す精度が上がりやすいが、計算時間が増え、メモリも多く必要になる。
図8Aは、本実施形態に係る情報処理装置の一例を示す図である。
情報処理装置100は、パーソナルコンピュータ、サーバ、スマートフォン、タブレットコンピュータ又は産業用コンピュータ等の装置によって実現される。情報処理装置100は、例えば、入力部102と、受付部104と、処理部106と、出力部108と、記憶部110とを備える。
入力部102は、情報を入力する。一例として、入力部102は、キーボードおよびマウスなどの操作部を有してもよい。この場合、入力部102は、ユーザによって当該操作部に対して行われる操作に応じた情報を入力する。他の例として、入力部102は、外部の装置から情報を入力してもよい。当該外部の装置は、例えば、可搬な記憶媒体であってもよい。入力部102には、散乱強度角度分布が入力される。
受付部104は、入力部102に入力された散乱強度角度分布を取得し、取得した散乱強度角度分布を受け付ける。
処理部106は、学習モデル107を備える。学習モデル107は、光計測システム10が試料SAを光波散乱計測することによって得られる試料SAの散乱強度の角度分布と、試料SAの三次元形状との複数の組み合わせに基づいて、試料SAの散乱強度の角度分布と、試料SAの三次元形状を特定する情報との関係を機械学習することによって得られる。試料SAの三次元形状の一例は、三角、四角、半楕円、楕円である。
試料SAの三次元形状を人が判定し、試料SAの散乱強度の角度分布と、試料SAの三次元形状との関係を機械学習させることによって、学習モデル107が更新されてもよい。
処理部106は、受付部104が受け付けた試料SAの散乱強度の角度分布を取得する。処理部106は、取得した試料SAの散乱強度の角度分布と、学習モデル107とに基づいて、試料SAの三次元形状を判定する。
出力部108は、処理部106から試料SAの三次元形状の判定結果を取得し、取得した試料SAの三次元形状の判定結果を出力する。例えば、出力部108は、試料SAの三次元形状の判定結果をディスプレイ150に表示させることによって出力してもよいし、音声で出力してもよい。
記憶部110は、HDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリ、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)などにより実現される。
受付部104と、処理部106と、出力部108とは、例えば、CPU(Central Processing Unit)などのハードウェアプロセッサが記憶部110に格納されたコンピュータプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。
また、これらの機能部のうち一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)などのハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアとの協働によって実現されてもよい。コンピュータプログラムは、予めHDDやフラッシュメモリなどの記憶装置に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROMなどの着脱可能な記憶媒体に格納されており、記憶媒体がドライブ装置に装着されることでインストールされてもよい。
(情報処理装置の動作)
図8Bは、本実施形態に係る情報処理装置の動作の一例を示す図である。
本実施形態に係る情報処理装置の動作の一例について説明する。ここでは、一例として、情報処理装置100において、処理部106は、光計測装置50が試料SAを光波散乱計測することによって得られる試料SAの散乱強度の角度分布と、試料SAの三次元形状との複数の組み合わせに基づいて、試料SAの散乱強度の角度分布と、試料SAの三次元形状を特定する情報との関係を機械学習することによって得られる学習モデル107を備えている場合について説明する。
(ステップS1-2)
入力部102には、散乱強度角度分布が入力される。
(ステップS2-2)
受付部104は、入力部102に入力された散乱強度角度分布を取得し、取得した散乱強度角度分布を受け付ける。
(ステップS3-2)
処理部106は、受付部104が受け付けた試料SAの散乱強度の角度分布を取得する。処理部106は、取得した試料SAの散乱強度の角度分布と、学習モデル107とに基づいて、試料SAの三次元形状を判定する。
(ステップS4-2)
出力部108は、処理部106から試料SAの三次元形状の判定結果を取得し、取得した試料SAの三次元形状の判定結果を出力する。
本実施形態では、光計測装置50が試料SAを光波散乱計測することによって得られる試料SAの散乱強度の角度分布と、試料SAの三次元形状との複数の組み合わせに基づいて、試料SAの散乱強度の角度分布と、試料SAの三次元形状を特定する情報との関係を機械学習することによって得られる学習モデル107を備えている場合について説明したがこの例に限られない。
例えば、光計測装置50に限らず、一般の光計測装置50が試料SAを光波散乱計測することによって得られる試料SAの散乱強度の角度分布と、試料SAの三次元形状との複数の組み合わせに基づいて、試料SAの散乱強度の角度分布と、試料SAの三次元形状を特定する情報との関係を機械学習することによって得られる学習モデル107を備えてもよい。
入力部102に入力される散乱強度角度分布についても、光計測装置50が試料SAを光波散乱計測することによって得られる試料SAの散乱強度の角度分布に限らず、一般の光計測装置が試料SAを光波散乱計測することによって得られる試料SAの散乱強度の角度分布が入力されてもよい。
本実施形態では、光波散乱計測を行う光計測システム10において、光軸を含む平面内での計測する試料SAの断面を解析する方法として深層学習を使用した。深層学習するモデル形状の区分として、三角形状、四角形状、半楕円形状と、三角形状、四角形状、半楕円形状の表面に凹凸のあるものとを使用して深層学習による形状判別を行った。ただし、三角形状、四角形状、半楕円形状の表面に凹凸のあるものについては、凹凸の高さの違いを区分に入れて、深層学習による形状判別を行った。
凹凸は例えばモデル形状が矩形の場合、その上に2波長間隔で、幅1波長高さ0.2波長の矩形を並べることで設計できる。高さ0.2波長のところを、0波長、0.4波長あるいは0.6波長に変えてそれぞれ別の区分とする。この場合は、三角形状、四角形状、半楕円形状に3種類を加えて計6種類の区分ができる。こられの区分の散乱パターンを学習して、実験で得られた散乱パターンから形状を判定する。
本実施形態は、結像計測では入射光1が試料SA、結像素子(結像レンズ7)、イメージセンサ8の順に伝搬する一方、光波散乱計測では、入射光2が、集光素子(結像レンズ7)、試料SA、スクリーンSCの位置に配置されたイメージセンサ(イメージセンサAという)の順に伝搬する。つまり、結像の範囲と光波散乱計測用の入射光の照射範囲との両方の範囲を同じイメージセンサで計測できる。
イメージセンサ8には結像が、イメージセンサAには散乱パターンが現れる。結像は、光散乱計測の集光範囲が1000波長以上ある場合、入射光1と入射光2は共通でもよい。イメージセンサ8とイメージセンサAも共通でよいが、このとき、結像と散乱パターンの計測を時間差で分けることが好ましい。入射光が可視・紫外光の場合には、イメージセンサAはイメージセンサではなく、スクリーンSC(透過型スクリーン)と撮像装置16(カメラ)の組み合わせでもよい。
また、結像素子(結像レンズ7)とレンズ5eは屈折率レンズであることが好ましい。入射光が極短紫外・X線の場合には、結像素子(結像レンズ7)はゾーンプレートであることが好ましく、集光素子(レンズ5e)は楕円ミラーであることが好ましい。
(散乱パターンの解析例)
(解析例1)
図9から図11は、本実施形態に係る光計測システムによる解析の一例を示す図である。
図9は、集光と試料について示す。図10は、矩形形状、楕円形状、半楕円形状、三角形状のモデルを示す。図11は、回折パターンを示す。図11において、(1)は幅40波長、アスペクト比0.3の4つの形状のシミュレートされた回折パターンであり、(2)は半楕円形状のシミュレーションによる回折パターンと実験による回折パターンである。
図9に示すように、試料SAは、スライドガラスの基板上に油滴を噴霧したのち、水をたらし、カバーガラスで覆った(例えば、非特許文献11参照)。油滴は蛍光体を含む。この散乱パターンを解析した。標本数は7である。
図9から図11を参照して、サイズ・アスペクト比を計算するために、光軸を含む平面での断面形状について、楕円、半楕円、四角、三角を判別する場合について説明する。教師データとして、油滴の幅、縦横比、消光係数、入射光の偏光を変えて、6072個の散乱角度分布を孤立系の厳密結合波解析で計算した。三角形状は縦横比0.1から0.3、その他の形状は0.1から1とした。この理由は、三角形状で特徴のあるピークが縦横比0.4以上では、今回の計測角度範囲から外れ、他の形状と見分けがつきにくいからである。
偏光TE、TMの定義は、非特許文献5に記載がある。計算を行った各角度について、実験データから標本を抽出した。深層学習用に各標本の角度分布と対応する形状を全結合した。プログラミング言語の一例はPython(パイソン)、フレームワークはPytorch(パイトーチ)である。活性化関数レイヤとしては、ReLU(Rectified Linear Unit:正規化線形ユニット)レイヤを、出力層にはsoftmax(ソフトマックス)レイヤを用いた。
図12から図14は、本実施形態に係る光計測システムによる解析結果の一例を示す図である。図12Aと図12Bとは、テストデータの精度の評価結果を示す。図13は、形状の見積もりの結果を示す。図14は、形状の評価結果として、正しい答えの数を示す。
図12から図14に示すように、繰り返し数、バッチ数、パラメータ数を最適化した。階層数は3でパラメータ数はいずれも85とした。バッチ数が64、繰り返し数が150のとき、教師データと同じテストデータで検証し、6072個中どのくらい正答したかで判定するaccuracy(精度)が96%である。形状推定では7個の油滴について、いずれも半楕円の判定を得た。半楕円と異なる形状である確率の指標であるnovelty score(新規性スコア)はいずれも0.01未満となった。novelty scoreは小さいほうが、信頼性が高い。
深層学習プログラム条件設定後の所要時間について形状と散乱パターンとの対応関係の学習時間は2分40秒、形状解析時間は6秒の計2分46秒となり時間が短縮された。
(解析例2)
図15は、本実施形態に係る光計測システムによる解析結果の一例を示す図である。図15は、表面に凹凸のある矩形形状、楕円形状、半楕円形状、三角の形状のモデルの一例を示す。
前述した光波散乱計測の例6のように、矩形のレジストについて、波長13.5nmで結像、10nmで光散乱計測を行った。散乱パターンをCCDカメラで計測した。回折光強度の角度分布を深層学習で解析して、矩形形状、半楕円形状、楕円形状、三角形状の内のいずれであるかを同定する。サイズについては、散乱強度の角度分布の山または谷の角度を指標として、幅と高さを算出する。深層学習のプログラムとパラメータは前述したものと同じものを用いた。
断面が幅750nm高さ188nmの矩形の格子をシリコン基板上に作成し、これを試料とした。波長10nmの放射光を入射角度43.7°で入射させ、その散乱光の角度分布を計測した。
図15に示すように矩形の表面の凹凸の高さ(d0)を0nm、2nm、4nm、6nmと変えて4種類、さらに、三角形状、楕円形状、半楕円形状の3種類を加え、計7種類で、実験結果を評価した。各種類について1024個の教師データを計算し、教師データおよびテストデータとした。評価結果は、表面凹凸の高さが4nmの矩形でnovelty scoreが7.5×10-5と、高い信頼度を示した。
深層学習プログラム条件設定後の所要時間について形状と散乱パターンとの対応関係の学習時間は2分、形状解析時間は6秒の計2分6秒となり解析時間が短縮された。
(解析例3)
図16は、本実施形態に係る光計測システムの他の一例を示す図である。
光波散乱計測と結像計測の二つの手法を同一試料に適用することで、吸収スペクトルの信頼性の向上を図ることができる。実施形態に係る光計測システムにおいて、光源14、スクリーンSC及び撮像装置16を、切替部20に置き換える。切替部20には、分光器21と、分光器21に付属する光ファイバFBと、第4ステージ22と、アクロマートレンズ23aと、レンズ23bと、光源24とが含まれる。第4ステージ22は、光ファイバFBの先端をX軸方向に移動させるマイクロメータMMXと、Y軸方向に移動させるマイクロメータMMYとを備える。このように構成することによって、3次元形状計測をした部分と同一箇所について、透過吸収スペクトルの計測ができる。このため、吸収スペクトルの歪みを3次元形状から解釈でき、実験データの信頼性に貢献できる。
実験系は、図16に示すように、図1の光計測システム10において、光源25と、ライトガイドLGと、レンズ26aと、対物レンズ26bと、ピンホール26cと、アクロマートレンズ26dと、偏光ビームスプリッタ5fとをさらに備える。ピンホール26cの径の一例は、25μmφである。アクロマートレンズ26dの焦点距離の一例は、45mmである。
スリット4aとアイリス絞り4bとの間に偏光ビームスプリッタ5fが設置される。光源25からの光はライトガイドLGによって、-Y方向に導かれ、レンズ26aと、対物レンズ26bとによって広げられ、ピンホール26cに入射する。ピンホール26cを通った光は、アクロマートレンズ26dで平行化される。アクロマートレンズ26dで平行化された光は、偏光ビームスプリッタ5fに入射される。偏光ビームスプリッタ5dは、入射した光の向きを、+Z方向に変える。
ハロゲンランプなどの光源25からの光を集光し、集光部位の透過吸収スペクトルを計測する。分光器21はオーシャンオプティクス社製Maya2000Proである。結像のための光源にはLED懐中電灯などの光源24を用い、像の計測時のみオンにする。第1ステージ1、第2ステージ2、第3ステージ3および第4ステージ22は、ぞれぞれ、結像レンズ7、試料SA、レンズ5e、光ファイバFBの先端の移動に用いるステージである。
ピンホール26cの径、対物レンズ5eとアクロマートレンズ26dの焦点距離は集光径が5μmから20μmとなるように、2つの組み合わせレンズの倍率の公式を用いて設定する。レンズ5eの光軸合わせは、ハロゲンランプなどの光源25からの白色光をコリメートしたのち、試料SA上での集光スポットが最小になるようにイメージセンサ8の画像を見ながら対物レンズ5eと試料SAとの間隔を調整する。さらに、結像レンズ7とイメージセンサ8とのいずれか一項又は両方の位置を調整して、試料像にピントが合うようにする。
図17は、本実施形態に係る光計測システムが測定する試料の一例を示す図である。図17は、吸収スペクトルの計測点の一例を示す。試料SAはスライドガラスにスピンコートした色素のローダミンB膜に集光イオンビームで25μm角の穴を二つ明け、穴と穴の間隔を5μm幅として、矩形格子を作成したものである(例えば、非特許文献12参照)。図17は、集光点と25μm角の穴の位置関係について、イメージセンサ8で観測した結像結果を示す。
図18は、本実施形態に係る光計測システムによる試料の測定結果の一例を示す図である。図18は、各計測点の吸収スペクトルを示す。図18において、横軸は波長(nm)であり、縦軸は透過率(%)である。図18に示すように、この格子部分と平らな膜部分では吸収スペクトルの吸収極大波長に大きな違いがある。この違いは、矩形格子の3次元的な形状が影響していると考えられる。この解釈には正確な矩形格子の断面形状の情報が必要である(例えば、非特許文献9参照)。
(比較例1)
解析例1に示したように、試料SAは、スライドガラス基板上に油滴を噴霧したのち、水をたらし、カバーガラスで覆った。この散乱パターンを解析した。四角形状、三角形状、楕円形状、半楕円形状の4種類で区分した。散乱パターンの計算をしたのち、人の判断で当てはめた。7種類の試料について、いずれも楕円と判定した。熟練者で判断に、10分かかった。初心者では、熟練者による説明だけで1時間を要した。
(比較例2)
解析例2と同様の計測を行い、同じ深層学習のプログラムで解析した。断面が矩形形状のレジスト格子について、波長13.5nmで結像、10nmで光散乱計測を行った。散乱パターンの解析を、深層学習を用いて行い、パラメータの最適化を行った。散乱パターンを撮像装置16で計測した。回折光強度の角度分布を深層学習で解析して、矩形形状、半楕円形状、楕円形状、三角形状の内のどれかを同定する。サイズについては、散乱強度の角度分布の山または谷の角度を指標として、幅と高さを算出する。断面が幅750nm高さ188nmの矩形形状の格子をシリコン基板上に作成しこれを試料とした。波長10nmの放射光を入射角度43.7°で入射させ、その散乱光の角度分布を計測した。矩形形状に、三角形状、楕円形状、半楕円形状の3種類を加え、計4種類で、実験結果を深層学習で評価した。矩形形状の表面の凹凸は考慮しない。各種類について1024個の教師データを計算した。評価結果は矩形novelty scoreが1を超え、矩形形状ではないとの判定が出た。
(比較例3)
図19は、本実施形態に係る光計測システムの他の一例を示す図である。図19は、白色光の投影により配置を計測する光計測システムを示す。
光学系は、図19に示すように、解析例3で、切替部20にイメージセンサ8を配置し、結像レンズ7と偏光ビームスプリッタ5dと第1ステージ1とは省略される。集光位置を知るためには、集光点を光軸に沿ってずらすことで、拡大投影する方法が簡便であるが、この方法では、像が歪み、計測範囲も狭く正確な計測点を知るのは難しい。
図20は、本実施形態に係る光計測システムによる測定結果の一例を示す図である。図20は、測定結果の一例として、白色光による25μm角の穴二つとその中心にある矩形格子の投影像を示す(例えば、非特許文献13参照)。格子の作成方法は、解析例3で説明したので、ここでの説明は省略する。図17と比較して、図20の像は歪んでおり、集光点の位置も明確でない。このため、計測点が分からない。
(発明を実施するための最良の形態の一例)
本実施形態に係る光計測システム10によれば、光計測システム10は、光波散乱計測を行う。光計測システム10は、計測する試料SAの計測点に集光した光による輝点を含む所定範囲の像を結像する結像素子(結像レンズ7)と、結像素子が結像した所定範囲の像を表示することで試料SAの所定範囲の計測点を表示するイメージセンサ8と、光の光軸と光軸と直交する軸との各々に沿って、試料SAを移動させることで試料SAの計測点を移動させる第1駆動部と、結像素子とイメージセンサ8とのいずれか一方又は両方を、光軸に沿って移動させる第2駆動部とを備える。第1駆動部と第2駆動部とが調整されることによって、イメージセンサ8に結像している所定範囲の特定の計測点に光を集光できる。
このように構成することで、結像計測によって試料SA内での計測点(計測位置)を知ることができる。光計測システム10は、計測点を移動するための第1駆動部と、結像素子とイメージセンサ8とのいずれか一方又は両方を移動するための第2駆動部とを備えるため、得られた結像(所定範囲の像)を元に、同一試料内の特定の計測点に集光できる。このため、光波散乱計測において、容易かつ再現性良く特定の場所を計測できる。各駆動部の駆動手段としてはマイクロメータ、ステッピングモータ、ピエゾモータを使うことができる。マイクロメータで、1μmの精度が可能であり、さらに、ピエゾモータでは、30nmの精度が可能である。ピエゾモータの製品としては、NEWPORT社製Picomotorが挙げられ、情報処理装置100からの自動制御が可能である。また、自動制御モーターについては、移動距離の定量性のないオープンループのモーターよりも、定量性のあるクローズドループのモーターの方が好ましい。
光計測システム10において、レーザー光源12としての第1光源と、光源14としての第2光源と、第1光源からの光を試料SAの計測点に集光させるレンズ5eとしての対物レンズとを備える。対物レンズは、第2光源が照射した光の試料SAによる透過ないし反射光から所定範囲の像を作成する。結像素子は、対物レンズが作成した所定範囲の像を結像する。
このように構成することによって、集光用の対物レンズと結像用の対物レンズとを同一にすることかでき、かつ、集光用の光源と結像用の光源とを異ならせることができる。結像素子(例えば、結像レンズ7)とイメージセンサ8とのいずれか一方又は両方の光軸上の位置を精密に調整して、ピントを合わせることによって、結像素子のうちの一つ(例えば、レンズ5e)が、結像計測と光波散乱計測の集光素子を兼ねることができる。
光計測システム10において、第1光源からの光が対物レンズで試料SAの計測点に集光されることによって試料SAから散乱された散乱光を利用して、試料SAの散乱パターンを表示するスクリーンSCとしての表示手段を備える。結像素子は、第2光源が照射した光の試料SAによる反射光から対物レンズで作成された所定範囲の像を前記イメージセンサ8に結像する。
このように構成することによって、試料SAから散乱された散乱光を利用して、試料SAの散乱パターンを、スクリーンSCに表示できる。
光計測システム10において、第1駆動部は、光の光軸と光軸と直交する軸との各々に沿って、試料SAを0.1mm以上移動させる。第2駆動部は、結像素子とイメージセンサ8とのいずれか一方又は両方を、光軸に沿って、1mm以上移動させる。
このように構成することで、光の光軸と光軸と直交する軸との各々に沿って、試料SAを移動させることができるため、結像計測によって試料SA内での計測点(計測位置)を移動させることができる。結像素子とイメージセンサ8とのいずれか一方又は両方を、光軸に沿って、移動させることができるため、得られた結像(所定範囲の像)を元に、同一試料内の特定の計測点に集光できる。
本実施形態に係る情報処理装置100によれば、光計測システム10によって取得される試料SAの散乱強度の角度分布を受け付ける受付部104と、受付部104が受け付けた試料SAの散乱強度の角度分布に基づいて、試料SAの三次元形状を導出する処理部106とを備える。処理部106は、複数の試料の各々の散乱強度の角度分布と、複数の試料の各々について前記試料の三次元形状との関係を深層学習しており、当該深層学習の結果を使用して、受付部104が受け付けた試料SAの散乱強度の角度分布について、試料SAの三次元形状を導出する。
このように構成することによって、複数の試料の各々の散乱強度の角度分布と、複数の試料の各々について前記試料の三次元形状との関係を深層学習できるため、深層学習の結果を使用して、受け付けた試料SAの散乱強度の角度分布について、試料SAの三次元形状を導出(判別)できる。
情報処理装置100において、試料SAは、孤立した光散乱体であり、深層学習は、バッチサイズが48以上192以下、繰り返し数が150以上500以下、学習の各層のパラメータ数が60以上200以下、学習の層数が2以上で行われている。
このように構成することによって、深層学習プログラムで重要なパラメータを最適化できるため、正答率を向上できる。
情報処理装置100において、試料の三次元形状は、光軸を含む平面の試料の断面の形状が、三角、四角、楕円である三次元形状を含む。
このように構成することによって、情報処理装置100は、深層学習の結果を使用して、受け付けた試料SAの散乱強度の角度分布について、試料SAの三次元形状として、光軸を含む平面の試料の断面の形状が、三角、四角、楕円のいずれであるかを導出(判別)できる。
情報処理装置100において、試料の三次元形状は、試料表面が凹凸であり、且つ少なくとも一部の凹凸の高さが異なる三次元形状を含む。
このように構成することによって、情報処理装置100は、深層学習の結果を使用して、受け付けた試料SAの散乱強度の角度分布について、試料SAの三次元形状として、試料表面が凹凸であり、且つ少なくとも一部の凹凸の高さが異なる三次元形状を導出(判別)できる。
本実施形態に係る光計測システム10によれば、特定の位置を容易に選択することで複雑な形状の光波散乱計測が可能となる。また、msのオーダーで高速に解析することができる。具体的な解決方法は以下の2点である。
(1)光波散乱計測は結像計測に比べて、3次元計測で2桁の分解能向上が期待できる。計測位置が不明確という問題を、結像計測と組み合わせて解決する。
(2)光波散乱計測結果の解析を深層学習で行うことで、解析結果の客観性を付与できるだけでなく、自動計測も可能となる。計測中に、すぐ、形状が分かる。
これらの結果として、3次元微細形状を高分解能、高精度に計測できる。特に、異なる幅や形状の複数の微細形状を、高速に計測できる。
このために、広い視野で結像を行い、光波散乱計測の集光を該視野の特定計測点に移動する機構を搭載する。このほかに、孤立系の光波散乱計測の解析を深層学習で行うことも高速解析の利点がある。これらにより、複雑な形状について、知りたい箇所の3次元形状を高精度且つ高速に計ることができる。
数波長レベルの3次元形状計測ができることによって、吸収スペクトルの定量化も可能となってくる。吸収スペクトルは、微細構造の回折で歪む。なぜなら、波長によって散乱強度や散乱光角度分布が異なるからである。これらの波長依存性をシミュレーションで推定できれば、歪みを補正することができる。
本実施形態に係る光計測システムによれば、光学系に、特性部位だけに白色光を集光する光学系と、光ファイバ対応の分光器を付加することができるため、容易に実現できる。孤立した形状についての吸収スペクトルを補正する(例えば、非特許文献9参照)。発明者らはこれを同じ試料について行うことができれば、歪みの補正をできることに気が付いた。しかし、吸収スペクトル計測、光波散乱計測、結像の3つを一つのシステムで行うには、どのような光学系であれば可能かについては明らかでなかった。
以上をまとめると下記のようになる。
1.周期構造や単一構造に限定されていた光波散乱計測の計測対象が、微細半導体回路や生体の神経回路など広い用途に広がる。
2.自動計測することで、結果に客観性が出るほか、計測中に結果が出るので、計測の途中で判断しながら次の計測をすることができる。
3.計測した3次元構造をもとに、吸収スペクトルの定量化ができるので、従来できなかった、複雑な構造について、定量的な吸収スペクトルの算出が可能となる。
以上、本発明の実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、組合わせを行うことができる。これら実施形態およびその変形例は、発明の範囲や要旨に含まれると同時に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
なお、前述の情報処理装置100は内部にコンピュータを有している。そして、前述した各装置の各処理の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。ここでコンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリなどをいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしてもよい。
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。
さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
10…光計測システム、 1…第1ステージ、 2…第2ステージ、 3…第3ステージ、 4…レーザー光集光スポット形状調整手段、 5…レーザー光集光スポット位置調整手段、 7…結像レンズ、 8…イメージセンサ、 12…レーザー光源、 14…光源、 16…撮像装置、 100…情報処理装置、102…入力部、 104…受付部、 106…処理部、 107…学習モデル、 108…出力部、 110…記憶部、 150…ディスプレイ

Claims (10)

  1. 光波散乱計測を行う光計測システムであって、
    計測する試料の計測点に集光した光による輝点を含む所定範囲の像を結像する結像素子と、
    前記結像素子が結像した前記所定範囲の前記像を表示することで前記試料の前記所定範囲の前記計測点を表示するイメージセンサと、
    前記光の光軸と前記光軸と直交する軸との各々に沿って、前記試料を移動させることで前記試料の前記計測点を移動させる第1駆動部と、
    前記結像素子と前記イメージセンサとのいずれか一方又は両方を、光軸に沿って移動させる第2駆動部と
    を備え、
    前記第1駆動部と前記第2駆動部とを調整することによって、前記イメージセンサに結像している前記所定範囲の特定の計測点に前記光を集光できる、光計測システム。
  2. 第1光源と、
    第2光源と、
    前記第1光源からの光を前記試料の前記計測点に集光させる対物レンズと
    を備え、
    前記対物レンズは、前記第2光源が照射した光の前記試料による透過ないし反射光から前記所定範囲の前記像を作成し、
    前記結像素子は、前記対物レンズが作成した前記所定範囲の前記像を結像する、請求項1に記載の光計測システム。
  3. 前記第1光源からの光が前記対物レンズで前記試料の前記計測点に集光されることによって前記試料から散乱された散乱光を利用して、前記試料の散乱パターンを表示する表示手段
    を備え、
    前記結像素子は、前記第2光源が照射した光の前記試料による反射光から前記対物レンズで作成された前記所定範囲の前記像を前記イメージセンサに結像する、請求項2に記載の光計測システム。
  4. 前記第1駆動部は、前記光の光軸と前記光軸と直交する軸との各々に沿って、前記試料を0.1mm以上移動させ、
    前記第2駆動部は、前記結像素子と前記イメージセンサとのいずれか一方又は両方を、光軸に沿って、1mm以上移動させる、請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の光計測システム。
  5. 請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の光計測システムによって取得される前記試料の散乱強度の角度分布を受け付ける受付部と、
    前記受付部が受け付けた前記試料の散乱強度の前記角度分布に基づいて、前記試料の三次元形状を導出する処理部と
    を備え、
    前記処理部は、複数の試料の各々の散乱強度の角度分布と、複数の前記試料の各々について前記試料の三次元形状との関係を深層学習しており、当該深層学習の結果を使用して、前記受付部が受け付けた前記試料の散乱強度の角度分布について、前記試料の三次元形状を導出する、情報処理装置。
  6. 前記試料は、孤立した光散乱体であり、
    前記深層学習は、バッチサイズが48以上192以下、繰り返し数が150以上500以下、学習の各層のパラメータ数が60以上200以下、学習の層数が2以上で行われている、請求項5に記載の情報処理装置。
  7. 試料の三次元形状は、光軸を含む平面の試料の断面の形状が、三角、四角、楕円である三次元形状を含む、請求項5又は請求項6に記載の情報処理装置。
  8. 試料の三次元形状は、試料表面が凹凸であり、且つ少なくとも一部の凹凸の高さが異なる三次元形状を含む、請求項5から請求項7のいずれか一項に記載の情報処理装置。
  9. 光波散乱計測を行う光計測システムが実行する光計測方法であって、
    結像素子が、計測する試料の計測点に集光した光による輝点を含む所定範囲の像を結像するステップと、
    イメージセンサが、前記結像素子が結像した前記所定範囲の前記像を表示することで前記試料の前記所定範囲の前記計測点を表示するステップと、
    前記光の光軸と前記光軸と直交する軸との各々に沿って、前記試料を移動させることで前記試料の前記計測点を移動させる第1駆動部と、前記結像素子と前記イメージセンサとのいずれか一方又は両方を、光軸に沿って移動させる第2駆動部とが調整されることによって、前記イメージセンサに結像している前記所定範囲の特定の計測点に前記光を集光するステップと
    を有する、光計測方法。
  10. 光計測システムによって取得される試料の散乱強度の角度分布を受け付けるステップと、
    受け付ける前記ステップで受け付けた前記試料の散乱強度の前記角度分布に基づいて、前記試料の三次元形状を導出するステップと
    を有し、
    導出する前記ステップでは、複数の試料の各々の散乱強度の角度分布と、複数の前記試料の各々について前記試料の三次元形状との関係を深層学習した結果を使用して、受け付ける前記ステップで受け付けた前記試料の散乱強度の角度分布について、前記試料の三次元形状を導出する、情報処理装置が実行する情報処理方法。
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