JP2023118685A - 脂肪細胞-筋線維芽細胞転換抑制剤、及びそれによる皮膚線維化疾患の予防又は治療 - Google Patents

脂肪細胞-筋線維芽細胞転換抑制剤、及びそれによる皮膚線維化疾患の予防又は治療 Download PDF

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富美 高橋
Fumi Takahashi
真 石兼
Shin Ishikane
洋明 松永
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将基 有岡
Masaki Arioka
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Abstract

【課題】脂肪細胞から筋線維芽細胞への転換を抑制して、皮膚線維化疾患を予防又は治療する医薬を提供すること。【解決手段】コキシブ系化合物により、脂肪細胞から筋線維芽細胞への転換を抑制して、強皮症などの皮膚線維化疾患を予防又は治療する。一態様において、コキシブ系化合物はセレコキシブである。コキシブ系化合物を、皮膚外用剤として皮膚へ局所適用することにより、コキシブ系化合物を皮膚組織内の脂肪細胞へ効率よく送達し、脂肪細胞-筋線維芽細胞転換を抑制することにより、皮膚線維化疾患を良好に予防又は治療する。【選択図】図1

Description

本発明は、脂肪細胞から筋線維芽細胞への転換を抑制するためのコキシブ系化合物の使用に関する。また、本発明は、皮膚線維化疾患の予防又は治療のためのコキシブ系化合物の使用に関する。
筋線維芽細胞は、多様な細胞外基質を産生し、肉芽組織を形成することにより、損傷組織の修復、再生、恒常性維持に重要な役割を果たしている。筋線維芽細胞は、炎症反応などにより、線維芽細胞、前脂肪細胞又は脂肪細胞、上皮細胞(角化細胞)又は内皮細胞、周皮細胞、線維細胞、マクロファージなど様々な細胞から転換して出現する。筋線維芽細胞は、α-SMA(α-smooth muscle actin)を高発現するので、α-SMA陽性細胞を検出することにより、筋線維芽細胞の出現を確認することができる。組織再生が進むと筋線維芽細胞は消滅するが、筋線維芽細胞が残存することにより、組織に線維化が生じる。創の瘢痕化(肥厚性瘢痕)やケロイドは、筋線維芽細胞により引き起こされる。
脂肪細胞から転換した筋線維芽細胞の様々な疾患への関与について報告されている。全身性強皮症においては、真皮の線維芽細胞というよりも、脂肪細胞からの筋線維芽細胞への転換が、線維化の重要なメカニズムであると考えられている(非特許文献1)。全身性強皮症の特徴的な臨床症状である皮膚の線維化は、皮膚白色脂肪組織(dWAT: dermal white adipose tissue)の消失と線維質なマトリクスへの置換を伴い、皮内脂肪細胞がその特異的マーカー発現を消失し、筋線維芽細胞マーカー(α-SMA)発現を獲得する(非特許文献2~4)。また、真皮内の脂肪細胞は、脂肪酸を放出してマクロファージを動員し、また細胞外基質を産生する浸潤性の筋線維芽細胞に分化し、皮膚の創傷治癒を制御する(非特許文献5、6)。
筋線維芽細胞を治療ターゲットとした様々な抗線維化薬が開発されている。例えば、TGF-βシグナル抑制剤であるピルフェニドン、フレソリムマブ(GC1008);CTCGシグナル抑制剤であるパムレブルマブ(FG-3019);抗アポトーシスタンパク質阻害剤であるナビトクラックス(ABT-263);Death receptor刺激剤であるTLY012;多種リン酸化酵素阻害剤であるダセチニブとキルセチンの併用薬等を挙げることができる。しかしながら、脂肪細胞から筋線維芽細胞への転換を標的とする医薬は未だ開発されていない。
コキシブ系化合物は、シクロオキシゲナーゼ2(COX-2)阻害作用を有する抗炎症薬として開発され、関節リウマチや変形性関節症等が適用疾患である。シクロオキシゲナーゼのうち炎症に関連するのは主にCOX-2であるが、古典的なNSAIDs(非選択的NSAIDs)はCOX-2だけでなく、臓器恒常性維持に必要なCOX-1も阻害するため胃腸障害の副作用を生じる。コキシブ系化合物は、古典的なNSAIDSと比較して、COX-1阻害に起因した胃腸障害の副作用を低減するべく、選択的なCOX-2阻害を目標に開発されたNSAIDSである。日本においては、セレコキシブが非ステロイド性消炎・鎮痛剤として承認されているが、上述のような開発経緯があることから、すべて経口薬の剤型である。
一方、COX-2阻害作用を欠くコキシブ系化合物(ジメチルセレコキシブ)が心肥大モデルにおける心臓の線維化及び高血圧モデルにおける腎臓の線維化を抑制したことから(非特許文献7)、コキシブ系化合物の線維化抑制作用はCOX-2阻害作用に基づくものではない。コキシブ系化合物が、心肥大調節のマスタースイッチであるGSK-3(glycogen synthase kinase-3)を促進することにより、様々な疾患モデル動物において、心肥大、心臓の線維化、心機能低下を抑制することが報告されている(非特許文献8~10)。また、コキシブ系化合物が、線維芽細胞-筋線維芽細胞の転換を抑制して、心筋梗塞後の心筋線維化を改善することが報告されている(非特許文献11)。
Current Rheumatology Reports 2020; 22: 79 Nat Rev Rheumatol. 2017; 13(2): 71-72 Curr Opin Rheumatol. 2017; 29(6): 585-90 Arthritis Rheum. 2015; 67(4): 1062-1073 Cell Stem Cell 2020 June 4; 26: 801-803 Cell Stem Cell 2020 June 4; 26: 880-895 J Hypertens. 2021 May 1; 39(5): 892-903 THE JOURNAL OF PHARMACOLOGY AND EXPERIMENTAL THERAPEUTICS, 2011; 338: 2-11 Hypertens Res. 2017 Feb; 40(2): 130-139 Biochem Pharmacol. 2019 Oct; 168: 82-90 第93回日本薬理学会年会 1-YIA-08, March 2020
本発明は、脂肪細胞から筋線維芽細胞への転換を抑制して、皮膚の線維化に起因する疾患を予防又は治療する医薬を提供することを目的とする。
本発明者らは、ブレオマイシン注入強皮症モデルマウスの皮膚に、セレコキシブを直接塗布することにより、皮膚の線維化及び肥厚が抑制されることを見出した。対照群では、ブレオマイシン注入により、皮下の脂肪組織が消失して、多くのα-SMA陽性細胞が出現したのに対して、セレコキシブ投与群では、対照群と比較して、皮下の脂肪組織の消失が抑制され、出現したα-SMA陽性細胞の数も少なかったことから、セレコキシブが脂肪細胞-筋線維芽細胞の転換を抑制することにより、皮膚の線維化を抑えることが示唆された。本発明者らは、これらの知見に基づき、更に検討を進め、本発明を完成した。
即ち、本発明は以下に関する。
[1]コキシブ系化合物を含む、皮膚線維化疾患を予防又は治療するための医薬組成物。
[2]コキシブ系化合物が、式(I-1):
(但し、A1は、メチル基によりモノ又はジ置換されたフェニル基であり、R1は、アミノ基、又は炭素数2~6のアシルアミド基である。)
で表される化合物又はその医薬上許容される塩である、[1]の医薬組成物。
[3]コキシブ系化合物がセレコキシブ又はその医薬上許容される塩である、[1]又は[2]の医薬組成物。
[4]皮膚線維化疾患が強皮症、肥厚性瘢痕及びケロイドからなる群から選択されるいずれかの疾患である、[1]~[3]のいずれかの医薬組成物。
[5]皮膚線維化疾患が強皮症である、[1]~[4]のいずれか記載の医薬組成物。
[6]皮膚外用剤である、[1]~[5]のいずれか記載の医薬組成物。
[7]コキシブ系化合物を含む、脂肪細胞-筋線維芽細胞転換抑制剤。
[8]皮膚線維化疾患の予防又は治療において使用するための、コキシブ系化合物。
[9]皮膚線維化疾患を発症した哺乳動物に、有効量のコキシブ系化合物を投与することを含む、該哺乳動物における皮膚線維化疾患の治療方法。
[10]皮膚線維化疾患を発症するリスクを有する哺乳動物に、有効量のコキシブ系化合物を投与することを含む、該哺乳動物における皮膚線維化疾患の発症リスクを低減する方法。
[11]皮膚線維化疾患の予防又は治療用医薬の製造におけるコキシブ系化合物の使用。
コキシブ系化合物は、脂肪細胞から筋線維芽細胞への転換を抑制するので、強皮症、肥厚性瘢痕、ケロイド等に伴う皮膚の線維化を予防又は治療し得る。コキシブ系化合物は、経皮吸収性に優れ、外用剤として皮膚へ局所投与できるので、経口投与で指摘されている心血管系の副作用のリスクを回避することができる。
図1は、ブレオマイシン誘導強皮症モデルマウスにおいてセレコキシブの局所投与により皮膚の肥厚が抑制されたことを示す。左側の写真は、代表的な皮膚切片のHT及びMT染色像を示す。右側の写真は、皮膚の厚さを、ヒビクル群とセレコキシブ投与群とで比較したグラフである。*:P<0.001。 図2は、ブレオマイシン誘導強皮症モデルマウスの皮膚にセレコキシブを塗布することにより、皮膚組織におけるα-SMA(筋線維芽細胞マーカー)タンパク質発現が低下したことを示す。下の写真は、ウェスタンブロッティングにより各マウスの皮膚組織におけるα-SMA及びGAP-DHの発現を解析した結果である。上のグラフは、ウェスタンブロッティングのバンドを定量解析し、GAP-DH発現量で補正することにより算出した、皮膚組織におけるα-SMAタンパク質発現量を、ヒビクル群とセレコキシブ投与群とで比較したグラフである。*:P=0.0043。 図3は、ブレオマイシン誘導強皮症モデルマウスの皮膚組織を、抗α-SMA抗体により免疫組織染色した写真である。ビヒクル投与群の皮膚においては脂肪組織が少なく、α-SMA陽性部位が多く見出されたが、セレコキシブ投与群では、皮膚において脂肪組織が残存した。 図4は、ブレオマイシン誘導強皮症モデルマウスの皮膚組織を、オスミニウムとHEで二重染色した写真である。ビヒクル投与群(コントロール)の皮膚においては正常皮膚と比較して脂肪組織が少なく、セレコキシブ投与群では、皮下脂肪組織が残存した。 図5は、オスミニウム染色したブレオマイシン誘導強皮症モデルマウスの皮膚組織のCT画像である。上段は冠状断面図、下段は3D再構成図を示す。 図6は、ブレオマイシン誘導強皮症モデルマウスの皮膚白色脂肪組織(dWAT)の体積をCT画像により定量評価したグラフである。ビヒクル投与群(コントロール)において正常マウスと比較して皮膚白色脂肪組織が減少し、セレコキシブ投与群で、皮膚白色脂肪組織が維持されたことが、定量的に確認された。
本発明は、コキシブ系化合物を含む、皮膚線維化疾患の予防又は治療のための医薬組成物を提供する。
本明細書において、コキシブ系化合物とは、以下の式(I):
(但し、Aは、置換基によりモノ又はジ置換されていてもよい6員芳香環基であり、
Bは、置換基によりモノ又はジ置換されていてもよい5又は6員複素不飽和環であり、
Rは、アミノ基、炭素数2~6のアシルアミド基、又は炭素数1~6のアルキル基である。)
で表される化合物又はその医薬上許容される塩をいう。尚、式(I)中のa,b,c,dは、結合手の方向性を表すために便宜的に記載したものである。
Aの6員芳香環基としては、例えば、フェニル基、ピリジル基等が挙げられ、好ましくはフェニル基である。
Aの6員芳香環基が有していてもよい置換基としては、例えば、炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のアルコキシ基、ハロゲン原子(例:フッ素原子、塩素原子、臭素原子)等が挙げられ、好ましくは炭素数1~6のアルキル基である。炭素数1~6のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、t-ペンチル基、1,2-ジメチルプロピル基、2-メチルブチル基、2-メチルペンチル基、3-メチルペンチル基、2,2-ジメチルブチル基、2,3-ジメチルブチル基、シクロヘキシル基等が挙げられ、好ましくはメチル基である。
Aの6員芳香環基が有していてもよい置換基の数は、1又は2である。Aが2つの置換基を有する場合、2つの置換基は、互いに同一であっても異なっていてもよい。Aがモノ置換された6員芳香環基である場合、該6員芳香環基は2位、3位、又は4位(好ましくは、4位)に置換基を有する。Aが、ジ置換された6員芳香環基である場合、該6員芳香環基は、2及び3位、2及び4位、2及び5位、2及び6位、3及び4位、又は3及び5位(好ましくは、2及び5位)に置換基を有する。
Aは、好ましくはメチル基によりモノ又はジ置換されたフェニル基であり、より好ましくは、4-メチルフェニル基又は2,5-ジメチルフェニル基であり、最も好ましくは4-メチルフェニル基である。
Bの5又は6員複素不飽和環としては、例えば、イミダゾール環、ピラゾール環、フラン環、オキサゾール環、イソキサゾール環、ピリジン環等が挙げられ、好ましくはピラゾール環である。
Bの5又は6員複素不飽和環が有していてもよい置換基としては、例えば、炭素数1~6のアルキル基、ハロゲン化された炭素数1~6のアルキル基、ハロゲン原子(例:フッ素原子、塩素原子、臭素原子)、酸素原子等が挙げられ、好ましくは、ハロゲン化された炭素数1~6のアルキル基である。ハロゲン化された炭素数1~6のアルキル基における炭素数1~6のアルキル基としては、Aの6員芳香環が有していてもよい炭素数1~6のアルキル基として記載したものが挙げられ、好ましくはメチル基である。ハロゲン化に用いるハロゲン原子は、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子であり、好ましくはフッ素原子である。ハロゲン化された炭素数1~6のアルキル基としては、具体的には、トリフルオロメチル基、ジフルオロメチル基、モノフルオロメチル基等が挙げられ、好ましくはトリフルオロメチル基である。
Bの5又は6員複素不飽和環が有していてもよい置換基の数は、1又は2である。Aが2つの置換基を有する場合、2つの置換基は、同一であっても異なっていてもよい。
Bは、好ましくは、以下の構造を有する。
Rの炭素数2~6のアシルアミド基としては、例えば、アセチルアミド基、プロピオニルアミド基、ブチリルアミド基、イソブチリルアミド基等が挙げられ、好ましくは、アセチルアミド基又はプロピオニルアミド基である。
Rの炭素数1~6のアルキル基としては、Aの6員芳香環が有していてもよい炭素数1~6のアルキル基として記載したものが挙げられ、好ましくはメチル基である。
Rは、好ましくは、アミノ基、アセチルアミド基又はプロピオニルアミド基であり、より好ましくは、アミノ基である。
本発明において使用するコキシブ系化合物は、好ましくは、以下の式(I-1):
(但し、A1は、メチル基によりモノ又はジ置換されたフェニル基であり、R1は、アミノ基、又は炭素数2~6のアシルアミド基である。)
で表される化合物又はその医薬上許容される塩をいう。
A1は、好ましくは、4-メチルフェニル基又は2,5-ジメチルフェニル基であり、より好ましくは、4-メチルフェニル基である。R1は、好ましくは、アミノ基、アセチルアミド基又はプロピオニルアミド基であり、より好ましくは、アミノ基である。
A1が4-メチルフェニル基であり、R1がアミノ基である式(I-1)で表される化合物をセレコキシブという。A1が2,5-ジメチルフェニル基であり、R1がアミノ基である式(I-1)で表される化合物を2,5-ジメチルセレコキシブという。
米国特許第5,932,598には、A1が4-メチルフェニル基であり、R1がアセチルアミド基である式(I-1)で表される化合物(化合物II)が、セレコキシブのプロドラッグとして開示されている。
WO2004/043934には、A1が4-メチルフェニル基であり、R1がプロピオニルアミド基である式(I-1)で表される化合物(化合物III)が、セレコキシブのプロドラッグとして開示されている。
コキシブ系化合物の他の具体例としては、エトリコキシブ、パレコキシブ、ロフェコキシブ、バルデコキシブ、シミコキシブ、アプリコキシブ、デラコキシブ等を挙げることが出来るが、これらに限定されない。
コキシブ系化合物の医薬上許容される塩としては、アミノ基等の塩基性基における塩、及びヒドロキシル基、カルボキシル基、アシルアミノ基等の酸性基における塩を挙げることができる。
塩基性基における塩としては、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸等の鉱酸との塩;酒石酸、ギ酸、フマル酸、マレイン酸、リンゴ酸、クエン酸等の有機カルボン酸との塩;並びにメタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、メシチレンスルホン酸及びナフタレンスルホン酸などのスルホン酸との塩を挙げることができる。
酸性基における塩としては、例えば、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属との塩;カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属との塩;アンモニウム塩;並びにリジン、アルギニン、オルニチン等のアミノ酸、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ピリジン、N,N-ジメチルアニリン、N-メチルピペリジン、N-メチルモルホリン、ジエチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、プロカイン、ジベンジルアミン、N-ベンジル-β-フェネチルアミン、1-エフェナミン並びにN,N'-ジベンジルエチレンジアミン等の含窒素有機塩基との塩を挙げることができる。
本発明に使用するコキシブ系化合物は、生体内に取り込まれると、脂肪細胞-筋線維芽細胞転換を抑制する活性を有する。上記化合物IIや化合物IIIのプロドラッグは、生体内に取り込まれると、活性体であるセレコキシブに変換して、脂肪細胞-筋線維芽細胞転換を抑制する活性を発揮する。脂肪細胞-筋線維芽細胞転換を抑制する活性は、COX-2阻害活性とは独立であるため、本発明に使用するコキシブ系化合物は、COX-2阻害活性を有していてもよいし、有していなくてもよい。COX-2阻害活性を有するコキシブ系化合物としては、セレコキシブ、化合物II、化合物IIIを挙げることができる。COX-2阻害作用を有していないコキシブ系化合物としては、2,5-ジメチルセレコキシブを挙げることができる。
コキシブ系化合物は、脂肪細胞から筋線維芽細胞への転換を抑制するので、脂肪細胞-筋線維芽細胞転換抑制剤として有用である。本発明は、コキシブ系化合物を含む、脂肪細胞-筋線維芽細胞転換抑制剤をも提供する。インビボ又はインビトロにおいて、脂肪細胞にコキシブ系化合物を接触させることにより、該脂肪細胞の筋線維芽細胞への転換が抑制される。哺乳動物(例、ヒト)に有効量のコキシブ系化合物を投与することにより、該哺乳動物において脂肪細胞から筋線維芽細胞への転換が抑制される。哺乳動物は、皮膚線維化疾患の患者であり得る。皮膚線維化疾患の患者に有効量のコキシブ系化合物を投与することにより、該患者の皮膚組織内において脂肪細胞から筋線維芽細胞への転換が抑制される。インビトロにおいて、コキシブ系化合物の存在下で脂肪細胞を培養することにより、該脂肪細胞から筋線維芽細胞への転換が抑制される。
脂肪細胞から転換した筋線維芽細胞は、多様な細胞外マトリクスを産生することにより、皮膚の線維化を引き起こすので、コキシブ系化合物は、皮膚線維化疾患の予防又は治療に有用である。皮膚線維化疾患とは、皮膚の線維化を伴う疾患の総称である。皮膚線維化疾患としては、強皮症(例、全身性強皮症、限局性強皮症)、肥厚性瘢痕、ケロイド、老人性皮膚萎縮症、日光性弾力線維症、皮膚粗鬆症等を挙げることができるが、これらに限定されない。皮膚線維化疾患を発症した哺乳動物に、有効量のコキシブ系化合物を投与することにより、該哺乳動物における皮膚線維化疾患を治療し得る。皮膚線維化疾患を発症した哺乳動物に、有効量のコキシブ系化合物を投与することにより、該哺乳動物における皮膚の線維化を抑制することができる。皮膚線維化疾患を発症するリスクを有する哺乳動物に、有効量のコキシブ系化合物を投与することにより、該哺乳動物における皮膚線維化疾患の発症を予防することが出来る。皮膚線維化疾患を発症するリスクを有する哺乳動物に、有効量のコキシブ系化合物を投与することにより、該哺乳動物における皮膚線維化疾患の発症リスクを低減することが出来る。例えば、皮膚の切開を伴う外科的手術を受けた哺乳動物、皮膚移植を受けた哺乳動物、並びに創傷や火傷を負った哺乳動物は、皮膚線維化疾患(特に、肥厚性瘢痕)を発症するリスクを有するので、該哺乳動物に、有効量のコキシブ系化合物を投与することにより、該哺乳動物における皮膚線維化疾患(特に、肥厚性瘢痕)の発症を予防し、或いは、該哺乳動物における皮膚線維化疾患(特に、肥厚性瘢痕)の発症リスクを低減することが出来る。
また、脂肪細胞-筋線維芽細胞転換の亢進に伴い、皮膚脂肪組織が減少した皮膚線維化疾患(強皮症等)を発症した哺乳動物に、有効量のコキシブ系化合物を投与することにより、皮膚脂肪組織の萎縮を抑制し、皮膚脂肪組織量を回復させることができる。皮膚線維化疾患を発症するリスクを有する哺乳動物に、有効量のコキシブ系化合物を投与することにより、該哺乳動物における皮膚線維化疾患の発症に伴う皮膚脂肪組織の萎縮を予防することが出来る。皮膚線維化疾患を発症するリスクを有する哺乳動物に、有効量のコキシブ系化合物を投与することにより、該哺乳動物における皮膚線維化疾患の発症に伴う皮膚脂肪組織の萎縮リスクを低減することが出来る。
皮膚組織における脂肪細胞-筋線維芽細胞転換は、皮膚線維化疾患(例、強皮症(例、全身性強皮症、限局性強皮症)、肥厚性瘢痕、ケロイド)の発症初期から進展していく過程で生じる。コキシブ系化合物は、この脂肪細胞-筋線維芽細胞転換を抑制するので、皮膚線維化疾患(例、強皮症(例、全身性強皮症、限局性強皮症)、肥厚性瘢痕、ケロイド)の発症の予防、発症リスクの低減、皮膚線維化疾患の症状又は状態(例、皮膚の線維化や肥厚)の進展(増悪)の遅延又は抑制に優れた効果を奏することが期待できる。
本明細書において、「有効量」とは、対象に目的とする効果(例、治療効果)をもたらす量を意味し、例えば、この量を投与された対象において、この量を投与されなかった対象と比較して、疾患の症状または状態が緩和され、軽減され、若しくは除去され、またはその進展が遅延若しくは抑制されることを意味する。有効量は、医師が対象の年齢、体重、性別および症状の重さなどに応じて適宜決定することができる。
一態様において、皮膚線維化疾患は、炎症反応を伴うものである。炎症反応を伴う皮膚線維化疾患としては、炎症反応陽性の強皮症(炎症性の強皮症);皮膚の切開を伴う外科的手術、皮膚移植、創傷又は火傷の治癒過程で生じる肥厚性瘢痕等を挙げることが出来る。このような炎症反応を伴う皮膚線維化疾患に対して、好ましくは、COX-2阻害活性を有するコキシブ系化合物を適用する。脂肪細胞-筋線維芽細胞転換抑制による皮膚線維化の抑制に加えて、COX-2阻害による抗炎症効果が期待できるからである。なお、炎症反応を伴う皮膚線維化疾患に対して、COX-2阻害活性を有していないコキシブ系化合物を適用することによっても、脂肪細胞-筋線維芽細胞転換抑制による皮膚線維化の抑制効果が期待できる。
一態様において、皮膚線維化疾患は、炎症反応を伴わないものである。炎症反応を伴わない皮膚線維化疾患としては、炎症反応陰性の強皮症、ケロイド等を挙げることが出来る。脂肪細胞-筋線維芽細胞転換を抑制する活性は、COX-2阻害活性とは独立なので、炎症反応を伴わない皮膚線維化疾患に対して、COX-2阻害活性を有するコキシブ系化合物を適用することによっても、皮膚線維化疾患の予防又は治療効果を期待することが出来る。
コキシブ系化合物は、常法に従って製剤化し、医薬組成物とすることができる(例えば、Remington’s Pharmaceutical Science, latest edition, Mark Publishing Company, Easton, U.S.A)。医薬製剤の剤形としては、例えば、液剤(例えば注射剤)、分散剤、懸濁剤、錠剤、丸剤、粉末剤、坐剤、散剤、細粒剤、顆粒剤、カプセル剤、シロップ剤、トローチ剤、吸入剤、軟膏剤、点眼剤、点鼻剤、点耳剤、及びパップ剤等が挙げられる。医薬組成物は、有効成分としてのコキシブ系化合物又はその医薬上許容される塩に加えて、医薬上許容される担体及び/または添加物を含んでもよい。例えば、界面活性剤(PEG、Tween等)、賦形剤、酸化防止剤(アスコルビン酸等)、着色料、着香料、保存料、安定剤、緩衝剤(リン酸、クエン酸、他の有機酸等)、キレート剤(EDTA等)、懸濁剤、等張化剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、流動性促進剤、矯味剤等を含むことができる。しかしながら、医薬組成物は、これらに制限されず、その他常用の担体を適宜含んでいてもよい。具体的には、軽質無水ケイ酸、乳糖、結晶セルロース、マンニトール、デンプン、カルメロースカルシウム、カルメロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルアセタールジエチルアミノアセテート、ポリビニルピロリドン、ゼラチン、中鎖脂肪酸トリグリセライド、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60、白糖、カルボキシメチルセルロース、コーンスターチ、無機塩類等を挙げることができる。また、その他の低分子量のポリペプチド、血清アルブミン、ゼラチン及び免疫グロブリン等のタンパク質、並びに、アミノ酸を含んでいてもよい。
医薬組成物中のコキシブ系化合物又はその医薬上許容される塩の含有量は、特に限定されないが、例えば、コキシブ系化合物として医薬組成物全体の約0.00001~100重量%、0.0001~99.9重量%等である。
医薬組成物は、経口投与によっても、非経口投与(例えば、経皮、皮下、経鼻、経肺、筋肉内、又は静脈内投与)によっても、投与することができる。また、医薬組成物は、全身投与されても、局所投与されてもよい。
一態様において、本発明の医薬組成物は、医薬上許容される添加剤と共に、軟膏剤、硬膏剤、貼付剤、クリーム、ローション、ゲル等の皮膚外用剤として調製される。コキシブ系化合物を、皮膚外用剤として皮膚へ局所適用することにより、コキシブ系化合物を皮膚組織内の脂肪細胞へ効率よく送達し、脂肪細胞-筋線維芽細胞転換を抑制することにより、皮膚線維化疾患を良好に予防又は治療し得る。また、コキシブ系化合物を、皮膚外用剤として皮膚へ局所投与することにより、経口投与で指摘されている心血管系の副作用のリスクを回避することができる。皮膚外用製剤中のコキシブ系化合物又はその医薬上許容される塩の含有量は、通常、0.5~15重量%であるが、これに限定されない。
軟膏剤に配合される添加剤としては、基剤、保湿剤、増粘剤、乳化剤等が挙げられる。硬膏剤ないし貼付剤に配合される添加剤としては、増粘剤、保湿剤、充填剤、架橋剤、溶解剤、乳化剤等が挙げられる。クリーム剤に配合される添加剤としては、油溶性物質、水溶性物質、乳化剤等が挙げられる。ローション剤に配合される添加剤としては、油溶性物質、水溶性物質、乳化剤等が挙げられる。ゲル剤に配合される添加剤としては、基剤等が挙げられる。
基剤としては、高級炭化水素、油脂類、ロウ類、脂肪酸、高級アルコール、低級アルコール、エステル類等が挙げられる。高級炭化水素としては、例えば、スクワラン、合成パラフィン、流動パラフィン、白色ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等が挙げられ、ロウ類としては、ミツロウ、サラシミツロウ、ラノリン、セレシンロウ等が挙げられ、脂肪酸としては、ステアリン酸、オレイン酸等が挙げられ、高級アルコールとしては、ラノリンアルコール、セトステアリルアルコール等が挙げられ、低級アルコールとしては、エタノール、イソプロパノール、プロピレングリコール等が挙げられ、エステル類としては、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ステアリル等が挙げられる。
保湿剤としては、グリセリン、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール等が挙げられる。
増粘剤としては、アルギン酸ナトリウム、ゼラチン、メチルセルロース、カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸ナトリウム等が挙げられる。
乳化剤としては、陽イオン性界面活性剤、陰イオン性界面活性剤、両イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤等が挙げられる。陽イオン性界面活性剤としては、セチルトリメチルアンモニウムクロリド、ラウリルジメチルベンジルアンモニウムクロリド、テトラブチルアンモニウムクロリド、ジオクタデシルジメチルアンモニウムクロリド等が挙げられる。陰イオン性界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシル硫酸ナトリウム、ヤシアルコールエトキシ硫酸ナトリウム、α-オレフィンスルホン酸ナトリウム、乳化セトステアリルアルコール等が挙げられる。両性界面活性剤としては、N-アルキル-N,N-ジメチルアンモニウムベタイン、イミダゾリン型両性界面活性剤等が挙げられる。非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ステアリン酸ポリオキシル、グリセリン脂肪酸エステル、ジグリセリン脂肪酸エステル等が挙げられる。上記界面活性剤は、単独又は組み合わせて使用することができる。
充填剤としては、カオリン、二酸化チタン、亜鉛華等が挙げられる。
架橋剤としては、アセトアルデヒド、ジメチルケトン、硫酸アルミニウム等が挙げられる。
溶解剤としては、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類等が挙げられ、
油溶性物質に高級炭化水素、油脂類、ロウ類、脂肪酸、高級アルコール、エステル類等を用いることができる。高級炭化水素としては、例えば、スクワラン、合成パラフィン、流動パラフィン、白色ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等が挙げられ、ロウ類としては、ミツロウ、サラシミツロウ、ラノリン、セレシンロウ等が挙げられ、脂肪酸としては、ステアリン酸、オレイン酸等が挙げられ、高級アルコールとしては、ラノリンアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、セトステアリルアルコール、コレステロール等が挙げられ、エステル類としては、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ステアリル等が挙げられる。
水溶性物質としては、水、増粘剤、保湿剤等を用いることができる。
皮膚外用剤には、必要に応じて、pH調節剤、保存剤、マクロゴール類等を添加することができる。pH調節剤としては、例えば、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、トリエタノールアミン、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、クエン酸ナトリウム、リン酸、酒石酸、dl-リンゴ酸、氷酢酸等が挙げられ、保存剤としては、チモール、ジブチルヒドロキシトルエン、エデト酸ナトリウム水和物、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル等が挙げられる。
コキシブ系化合物の投与量は、コキシブ系化合物の種類、疾患の種類、疾患の重症度、剤形、投与対象の年齢、性別、体重などにより適宜変更されるが、例えば、経口投与の場合、1用量あたりの投与量として、コキシブ系化合物として50mg~400mgを例示することができる。非経口投与(例、経皮投与)の場合、1用量当たりの投与量として、コキシブ系化合物として1mg~100mgを例示することができる。1日あたりの投与回数は、1回又は複数回(例えば、2回、3回、4回)である。
刊行物、特許文献等を含む、本明細書に引用されたすべての参考文献は、引用により、それらが個々に具体的に参考として援用されかつその内容全体が具体的に記載されているのと同程度まで、本明細書に援用される。
以下に、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はそれに限定されるものではない。
[実施例1] ブレオマイシン誘導強皮症に対するセレコキシブの効果
HoS:HR1マウス(8週齢)の皮下にブレオマイシン(1.0mg/mL, 50μL)を局所注射し、ビヒクル群には局所注射後にアセトン(50μl)を塗布した。セレコキシブ群には局所注射後にアセトン(50μl)にセレコキシブ(500μg)を溶解した溶液を塗布した。同様の処置を3日おきに計4回行った。4回目の処置から24時間経過した時点で、直径6mmの皮膚生検トレパンを用いて皮膚全層を採取した。採取した皮膚片の半分は免疫染色やH&E、Masson trichrome染色を行い、皮膚厚の測定や線維組織・α-SMA発現の評価を行った。残り半分はウェスタンブロッティングによりα-SMAなどのタンパク発現の評価を行った。
ブレオマイシン誘導強皮症モデルマウスにおいて、セレコキシブの皮膚への局所投与により、皮膚の肥厚が抑制された(図1)。セレコキシブ投与群では、ビヒクル群と比較して皮膚組織におけるα-SMAタンパク質発現が低下していることから、セレコキシブの皮膚への局所投与により、筋線維芽細胞の出現が抑制されたことが示唆された(図2)。ビヒクル投与群の皮膚においては脂肪組織が少なく、α-SMA陽性部位が多く見出されたのに対して、セレコキシブ投与群では、皮膚において脂肪組織が残存していたことから、セレコキシブが脂肪細胞-筋線維芽細胞転換を抑制することが示唆された(図3)。
[実施例2] ブレオマイシン誘導強皮症モデルマウスの脂肪組織に対するセレコキシブの効果
重金属であるオスミウムは、脂肪を黒色に染色し可視化できるだけでなく、X線不透過性を獲得するので、CTを用いた定量解析を行うことが出来る。そこで、実施例1と同様に作成したブレオマイシン誘導強皮症モデルマウスから採取した皮膚を1%酸化オスミウム(VIII)溶液で24時間染色し、CT撮影及び顕微鏡観察を行い、脂肪組織に対するセレコキシブの効果を評価した。
オスミウム染色とHE染色の併用により、脂肪組織が黒く染色された。ブレオマイシン誘導強皮症モデルマウスでは、正常マウスと比較して皮下脂肪組織の萎縮が認められたが、セレコキシブを皮膚に塗布することにより、皮下脂肪組織が維持された(図4)。CT撮影による脂肪組織体積の定量評価によっても、セレコキシブが有意に脂肪組織を維持したことが示された(図5及び6)。これらの結果から、セレコキシブが脂肪細胞-筋線維芽細胞転換を抑制し、皮膚の線維化に起因する疾患である強皮症、肥厚性瘢痕及びケロイド等に対して予防又は治療効果を有することが示唆された。
コキシブ系化合物は、脂肪細胞から筋線維芽細胞への転換を抑制するので、強皮症、肥厚性瘢痕、ケロイド等に伴う皮膚の線維化を予防又は治療し得る。コキシブ系化合物は、経皮吸収性に優れ、外用剤として皮膚へ局所投与できるので、経口投与で指摘されている心血管系の副作用のリスクを回避することができる。

Claims (7)

  1. コキシブ系化合物を含む、皮膚線維化疾患を予防又は治療するための医薬組成物。
  2. コキシブ系化合物が、式(I-1):
    (但し、A1は、メチル基によりモノ又はジ置換されたフェニル基であり、R1は、アミノ基、又は炭素数2~6のアシルアミド基である。)
    で表される化合物又はその医薬上許容される塩である、請求項1記載の医薬組成物。
  3. コキシブ系化合物がセレコキシブ又はその医薬上許容される塩である、請求項1記載の医薬組成物。
  4. 皮膚線維化疾患が強皮症、肥厚性瘢痕及びケロイドからなる群から選択されるいずれかの疾患である、請求項1記載の医薬組成物。
  5. 皮膚線維化疾患が強皮症である、請求項1記載の医薬組成物。
  6. 皮膚外用剤である、請求項1~5のいずれか記載の医薬組成物。
  7. コキシブ系化合物を含む、脂肪細胞-筋線維芽細胞転換抑制剤。
JP2023020444A 2022-02-15 2023-02-14 脂肪細胞-筋線維芽細胞転換抑制剤、及びそれによる皮膚線維化疾患の予防又は治療 Pending JP2023118685A (ja)

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