JP2023116732A - 圧電振動デバイス - Google Patents
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Abstract
【課題】安価な圧電振動デバイスを提供する。【解決手段】両主面にそれぞれ形成された第1,第2励振電極25,26を有すると共に、第1,第2励振電極25,26にそれぞれ接続された第1,第2実装端子27,28を有する圧電振動板2と、圧電振動板2の第1,第2励振電極25,26をそれぞれ覆うように、圧電振動板2の両主面にそれぞれ接合される第1,第2封止部材3,4とを備え、第1,第2封止部材3,4の少なくとも一方の封止部材が、樹脂製のフィルムである。【選択図】図3
Description
本発明は、圧電振動子等の圧電振動デバイスに関する。
圧電振動デバイス、例えば、圧電振動子として、表面実装型の水晶振動子が広く用いられている。この表面実装型の水晶振動子は、例えば、特許文献1に記載されているように、セラミックからなる上面が開口した箱形のベース内の保持電極に、水晶振動片の両面の励振電極から導出された電極を、導電性接着剤によって固着することによって、水晶振動片をベース内に収納して搭載する。このようにして水晶振動片を搭載したベースの開口に、蓋体を接合して気密に封止するようにしている。また、ベースの外底面には、当該水晶振動子を表面実装するための実装端子が形成されている。
上記のような圧電振動子の多くは、セラミック製のベースに、金属製あるいはガラス製の蓋体が接合されてパッケージが構成されているので、パッケージが高価となり、圧電振動子が高価なものとなっている。
本発明は、上記のような点に鑑みて為されたものであって、安価な圧電振動デバイスを提供することを目的とする。
本発明では、上記目的を達成するために、次のように構成している。
(1)本発明に係る圧電振動デバイスは、両主面の一方の主面に形成された第1励振電極及び前記両主面の他方の主面に形成された第2励振電極を有すると共に、前記第1,第2励振電極にそれぞれ接続された第1,第2実装端子を有する圧電振動板と、前記圧電振動板の前記第1,第2励振電極をそれぞれ覆うように、前記圧電振動板の前記両主面にそれぞれ接合される第1,第2封止部材とを備え、前記第1,第2封止部材の少なくとも一方の封止部材は、樹脂製のフィルムであり、前記フィルムは、前記圧電振動板の端縁から外方へはみ出していない。
本発明に係る圧電振動デバイスによれば、両主面に第1,第2励振電極が形成されると共に、前記第1,第2励振電極に接続された第1,第2実装端子を有する圧電振動板に、第1,第2励振電極を覆うように、第1,第2封止部材を接合するので、従来のように、実装端子を有する上面が開口した箱形のベース内に圧電振動片を収納搭載する必要がなく、高価なベースが不要になる。
また、第1,第2封止部材の少なくとも一方の封止部材を、樹脂製のフィルムで構成しているので、両封止部材を、金属製やガラス製の蓋体で構成するのに比べて、コストを低減することができる。
更に、前記フィルムは、前記圧電振動板の端縁から外方へはみ出していないので、外方へはみ出した部分からフィルムが剥離するといったことがなく、圧電振動板からフィルムが剥離するのを防止することができる。
(2)本発明の好ましい実施態様では、前記第1,第2封止部材の両封止部材は、前記樹脂製のフィルムである。
この実施態様によれば、両封止部材を、前記樹脂製のフィルムで構成するので、高価なベース及び蓋体が不要となり、一層コストを低減することができる。
本発明に係る圧電振動デバイスによれば、両主面に第1,第2励振電極が形成されると共に、前記第1,第2励振電極に接続された第1,第2実装端子を有する圧電振動板に、第1,第2励振電極を覆うように、第1,第2封止部材を接合するので、従来のように、実装端子を有する上面が開口した箱形のベース内に圧電振動片を収納搭載する必要がなく、高価なベースが不要になる。
また、第1,第2封止部材の少なくとも一方の封止部材を、樹脂製のフィルムで構成しているので、両封止部材を、金属製やガラス製の蓋体で構成するのに比べて、コストを低減することができる。
更に、前記フィルムは、前記圧電振動板の端縁から外方へはみ出していないので、外方へはみ出した部分からフィルムが剥離するといったことがなく、圧電振動板からフィルムが剥離するのを防止することができる。
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。この実施形態では、圧電振動デバイスとして水晶振動子に適用して説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る水晶振動子の概略斜視図であり、図2は、その概略平面図であり、図3は、図2のA-A線に沿う概略断面図であり、図4は、その概略底面図である。なお、図3及び後述の図5では、説明の便宜上、樹脂フィルム等の厚みを誇張して示している。
この実施形態の水晶振動子1は、ATカットの水晶振動板2と、この水晶振動板2の表裏の両主面の一方の主面側を覆って封止する第1封止部材としての第1樹脂フィルム3と、水晶振動板2の他方の主面側を覆って封止する第2封止部材としての第2樹脂フィルム4とを備えている。
この水晶振動子1は、直方体であって、平面視矩形である。この実施形態の水晶振動子1は、平面視で、例えば、1.2mm×1.0mmで、厚みは0.2mmであり、小型化及び低背化を図っている。
なお、水晶振動子1のサイズは、上記に限定されるものではなく、これとは異なるサイズであっても適用可能である。
次に、水晶振動子1を構成する水晶振動板2及び第1,第2樹脂フィルム3,4の各構成について説明する。
この実施形態の水晶振動板2は、矩形の水晶板を水晶の結晶軸であるX軸の周りに35°15´回転させて加工したATカットの水晶板であり、回転した新たな軸をY´軸及びZ´軸という。ATカット水晶板では、その表裏の両主面が、XZ´平面である。
このXZ´平面において、平面視矩形の水晶振動板2の短辺方向(図2,図4の上下方向)がX軸方向となり、水晶振動板2の長辺方向(図2,図4の左右方向)がZ´軸方向となる。水晶振動板2の長辺方向(Z´軸方向)は、平面視矩形の水晶振動板2の二組の対向辺の内の一方の組の対向辺に沿う第1の方向であり、水晶振動板2の短辺方向(X軸方向)は、前記第1の方向に直交する第2の方向である。
この水晶振動板2は、平面視が略矩形の振動部21と、この振動部21の周囲を、貫通部22を挟んで取り囲む外枠部23と、振動部21と外枠部23とを連結する連結部24とを備えている。振動部21、外枠部23及び連結部24は、一体的に形成されている。振動部21及び連結部24は、外枠部23に比べて薄く形成されている。すなわち、振動部21は、外枠部23に比べて薄肉である。この薄肉の振動部21を覆うように、第1,第2樹脂フィルム3,4の周縁部を、外枠部23に接合することによって、内部空間が形成されて封止される。
この実施形態では、平面視が略矩形の振動部21を、その一つの角部に設けた一箇所の連結部24によって外枠部23に連結しているので、2箇所以上で連結する構成に比べて、振動部21に作用する応力を低減することができる。
また、この実施形態では、連結部24は、外枠部23の内周のうちX軸方向に沿う一辺から突出し、かつ、Z´軸方向に沿って形成されている。水晶振動板2のZ´軸方向である第1の方向の両端部に形成された第1,第2実装端子27,28は、半田等によって回路基板等に直接接合される。このため、水晶振動子の長辺方向(Z´軸方向)に収縮応力が働き、当該応力が振動部に伝搬することにより水晶振動子の発振周波数が変化し易くなることが考えられる。
これに対して、この実施形態では、前記収縮応力に沿う方向に連結部24が形成されているため、当該収縮応力が振動部21に伝搬するのを抑制することができる。その結果、水晶振動子1を回路基板に実装した際の発振周波数の変化を抑制することができる。
振動部21の表裏の両主面には、一対の第1,第2励振電極25,26がそれぞれ形成されている。平面視矩形の水晶振動板2の長辺方向(第1の方向)の両端部の外枠部23には、第1,第2励振電極25,26にそれぞれ電気的に接続された第1,第2実装端子27,28が、水晶振動板2の短辺方向に沿ってそれぞれ形成されている。
このように第1,第2実装端子27,28は、水晶振動板2の長辺方向である第1の方向の両端部に、振動部21を挟んで形成されている。各実装端子27,28は、当該水晶振動子1を、回路基板等に実装するための端子である。
両主面の一方の主面では、図2に示されるように、第1実装端子27は、後述の矩形環状の第1封止パターン201に連設され、他方の主面では、図4に示されるように、第2実装端子28は、後述の矩形環状の第2封止パターン202に連設されている。
水晶振動板2の両主面の第1実装端子27同士、及び、第2実装端子28同士はそれぞれ電気的に接続されている。この実施形態では、両主面の第1実装端子27同士及び第2実装端子28同士は、水晶振動板2の対向する長辺側の側面を引き回された引き回し電極でそれぞれ電気的に接続されると共に、水晶振動板2の対向する短辺側の側面を引き回された引き回し電極でそれぞれ電気的に接続されている。
水晶振動板2の表面側には、第1樹脂フィルム3が接合される第1封止パターン201が、略矩形の振動部21を取り囲むように矩形環状に形成されている。この第1封止パターン201は、第1実装端子27に連なる接続部201aと、この接続部201aの両端部から水晶振動板2の長辺方向(Z´軸方向)に沿ってそれぞれ延出する第1延出部201b,201bと、水晶振動板2の短辺方向(X軸方向)に沿って延出して前記各第1延出部201b,201bの延出端を接続する第2延出部201cとを備えている。第2延出部201cは、第1励振電極25から引出された第1引出し電極203に接続されている。したがって、第1実装端子27は、第1引出し電極203及び第1封止パターン201を介して第1励振電極25に電気的に接続されている。水晶振動板2の短辺方向に沿って延出する第2延出部201cと第2実装端子28との間には、電極が形成されていない無電極領域が設けられて、第1封止パターン201と第2実装端子28との絶縁が図られている。
水晶振動板2の裏面側には、図4に示されるように、第2樹脂フィルム4が接合される第2封止パターン202が、略矩形の振動部21を取り囲むように矩形環状に形成されている。この第2封止パターン202は、第2実装端子28に連なる接続部202aと、この接続部202aの両端部から水晶振動板2の長辺方向に沿ってそれぞれ延出する第1延出部202b,202bと、水晶振動板2の短辺方向に沿って延出して、前記各第1延出部202b,202bの延出端を接続する第2延出部202cとを備えている。第2延出部202cは、第2励振電極26から引出された第2引出し電極204に接続されている。したがって、第2実装端子28は、第2引出し電極204及び第2封止パターン202を介して第2励振電極26に電気的に接続されている。水晶振動板2の短辺方向に沿って延出する第2延出部202cと第1実装端子27との間には、電極が形成されていない無電極領域が設けられて、第2封止パターン202と第1実装端子27との絶縁が図られている。
図2に示されるように、第1封止パターン201の、水晶振動板2の長辺方向に沿ってそれぞれ延出する第1延出部201b,201bの幅は、前記長辺方向に沿って延びる外枠部23の幅より狭く、第1延出部201b,201bの幅方向(図2の上下方向)の両側には、電極が形成されていない無電極領域が設けられている。
この第1延出部201b,201bの両側の無電極領域の内、外側の無電極領域は、第1実装端子27まで延びていると共に、第2実装端子28と第2延出部201cとの間の無電極領域に連なっている。これによって、第1封止パターン201の接続部201a、第1延出部201b,201b、及び、第2延出部201cの外側は、平面視で「コ」の字状の無電極領域によって囲まれている。
第1封止パターン201の接続部201aの幅方向の内側には、無電極領域が形成されており、この無電極領域は、第1延出部201b,201bの内側の無電極領域に連なっている。第2延出部201cの幅方向の内側には、連結部24の第1引出し電極203を除いて無電極領域が形成されており、この無電極領域は、第1延出部201b,201bの内側の無電極領域に連なっている。これによって、第1封止パターン201の接続部201a、第1延出部201b,201b、及び、第2延出部201cの幅方向の内側は、連結部24の第1引出し電極203を除いて平面視で矩形環状の無電極領域によって囲まれている。
図4に示されるように、第2封止パターン202の、水晶振動板2の長辺方向に沿ってそれぞれ延出する第1延出部202b,202bの幅は、前記長辺方向に沿って延びる外枠部23の幅より狭く、第1延出部202b,202bの幅方向(図4の上下方向)の両側には、電極が形成されていない無電極領域が設けられている。
この第1延出部202b,202bの両側の無電極領域の内、外側の無電極領域は、第2実装端子28まで延びていると共に、第1実装端子27と第2延出部202cとの間の無電極領域に連なっている。これによって、第2封止パターン202の接続部202a、第1延出部202b,202b、及び、第2延出部202cの外側は、平面視で逆「コ」の字状の無電極領域によって囲まれている。
第2封止パターン202の接続部202aの幅方向の内側には、連結部24の第1引出し電極204を除いて無電極領域が形成されており、この無電極領域は、第1延出部202b,202bの内側の無電極領域に連なっている。第2延出部202cの幅方向の内側には、無電極領域が形成されており、この無電極領域は、第1延出部202b,202bの内側の無電極領域に連なっている。これによって、第2封止パターン202の接続部202a、第1延出部202b,202b、及び、第2延出部202cの幅方向の内側は、連結部24の第1引出し電極204を除いて平面視で矩形環状の無電極領域によって囲まれている。
上記のように第1,第2封止パターン201,202の第1延出部201b,201b;202b,202bを、外枠部23の幅よりも狭くし、第1延出部201b,201b;202b,202bの幅方向の両側には、無電極領域を設けていると共に、接続部201a,202a及び第2延出部201c,202cの幅方向の内側には、無電極領域を設けている。前記無電極領域は、スパッタリング時に外枠部23の側面に回り込んだ第1,第2封止パターン201,202を、フォトリソグラフィー技術によりパターニングし、これをメタルエッチングで除去することによって形成される。これにより、第1,第2封止パターン201,202が外枠部23の側面に回り込むことによる短絡を防止することができる。
上記のように、両主面の第1実装端子27同士及び第2実装端子28同士は、電気的にそれぞれ接続されているので、当該水晶振動子1を、回路基板等に実装する際に、表裏の両主面のいずれの面でも実装することができる。
水晶振動板2の表裏面にそれぞれ接合されて、水晶振動板2の振動部21を封止する第1,第2樹脂フィルム3,4は、矩形のフィルムである。この矩形の第1,第2樹脂フィルム3,4は、水晶振動板2の長手方向である第1の方向の両端部の第1,第2実装端子27,28を除く矩形の領域を覆うサイズであり、前記矩形の領域を覆うように水晶振動板2に接合される。
この実施形態では、第1,第2樹脂フィルム3,4は、耐熱性の樹脂フィルム、例えば、ポリイミド樹脂製のフィルムであり、300℃程度の耐熱性を有している。このポリイミド樹脂製の第1,第2樹脂フィルム3,4は、透明であるが、後述の加熱圧着の条件によっては、不透明となる場合がある。なお、この第1,第2樹脂フィルム3,4は、透明、不透明、あるいは、半透明であってもよい。
第1,第2樹脂フィルム3,4は、ポリイミド樹脂に限らず、スーパーエンジニアリングプラスチックに分類されるような樹脂、例えば、ポリアミド樹脂やポリエーテルエーテルケトン樹脂等を用いてもよい。
第1,第2樹脂フィルム3,4は、表裏両面の全面に熱可塑性の接着層が形成されている。この第1,第2樹脂フィルム3,4は、その矩形の周端部が、水晶振動板2の表裏両主面の外枠部23に、振動部21を封止するように、例えば、熱プレスによってそれぞれ加熱圧着される。
このように第1,第2樹脂フィルム3,4は、耐熱性の樹脂フィルムであるので、当該水晶振動子1を、回路基板等に半田実装する場合の半田リフロー処理の高温に耐えることができ、第1,第2樹脂フィルム3,4が変形等することがない。
水晶振動板2の第1,第2励振電極25,26、第1,第2実装端子27,28,第1,第2封止パターン201,202、及び、第1,第2引出し電極203,204は、例えば、TiまたはCrからなる下地層上に、例えば、Auが積層され、更に、例えば、Ti、CrまたはNiが積層形成されて構成されている。
この実施形態では、下地層はTiであり、その上に、Au、Tiが積層形成されている。このように最上層がTiであることによって、Auが最上層である場合に比べて、ポリイミド樹脂との接合強度が向上する。
矩形の第1,第2樹脂フィルム3,4が接合される矩形環状の第1,第2封止パターン201,202の上層は、上記のように、Ti、CrまたはNi(またはこれらの酸化物)から構成されるので、Au等に比べて、第1,第2樹脂フィルム3,4との接合強度を高めることができる。
次に、この実施形態の水晶振動子1の製造方法について説明する。
図5は、水晶振動子1を製造する工程を示す概略断面図である。
先ず、図5(a)に示される加工前の水晶ウェハ(ATカット水晶板)5を準備する。この水晶ウェハ5に対して、フォトリソグラフィー技術およびエッチング技術を用いて、例えば、ウェットエッチングを行って、図5(b)に示すように、複数の水晶振動板2a及びそれらを支持するフレーム部(図示せず)等の各部分の外形を形成し、更に、水晶振動板2aに、外枠部23a及び外枠部23aよりも薄肉の振動部21a等の各部の外形を形成する。
次に、図5(c)に示すように、スパッタリング技術または蒸着技術、及び、フォトリソグラフィー技術によって、水晶振動板2aの所定の位置に、第1,第2励振電極25a,26a及び第1,第2実装端子27a,28a等を形成する。
図6は、図5(c)の状態を示す一方の主面側の概略平面図であり、図7は、その一部を拡大して示す概略平面図である。
第1,第2励振電極25a,26a及び第1,第2実装端子27a,28a等が形成された複数の水晶振動板2aが、マトリックス状に配列されて連結部8を介してフレーム部9に支持された水晶振動板用ウェハ5aが構成されている。各水晶振動板2aの周囲は、前記連結部8を除いて貫通部15となっている。
この実施形態では、水晶振動板用ウェハ5aに接合した樹脂フィルムを切断する際に、水晶振動板2aの配線パターンを切断して導通不良が生じることがないように、次のようにしている。
すなわち、この実施形態の水晶振動板の製造方法は、水晶振動板用ウェハ5aに接合される前の樹脂フィルムを、該樹脂フィルムの第1,第2実装端子27a,28aを覆う領域を除去できるように切断する第1工程と、第1工程で切断された前記樹脂フィルムを、水晶振動板用ウェハ5aの両主面に接合して第1,第2励振電極25a,26aを封止する第2工程と、水晶振動板用ウェハ5aに接合された樹脂フィルムを切断する第3工程と、切断された樹脂フィルムが接合されている水晶振動板用ウェハ5aの複数の水晶振動板2aを個片化する第4工程とを含んでいる。
以下、各工程について説明する。
第1工程では、水晶振動板用ウェハ5aに接合する前の樹脂フィルムに対して切断加工を施す。
図8は、図6の水晶振動板用ウェハ5aに接合される前の矩形の樹脂フィルム10であって、第1工程での切断加工が施される前の樹脂フィルム10の平面図である。
第1工程では、この樹脂フィルム10が水晶振動板用ウェハ5aに接合されたと想定したときに、平面視矩形の水晶振動板2aの二組の対向辺の内の一方の組の対向辺である長辺に沿う第1の方向(図8の左右方向)に沿う複数箇所で、第1の方向に直交する第2の方向(図8の上下方向)に切断する。
これによって、図9に示すように、第2の方向(図9の上下方向)に複数の切断線11aが形成される。
更に、第1工程では、樹脂フィルム10が水晶振動板用ウェハ5aに接合されたと想定したときに、切断端部間を、第1,第2実装端子27a,28aを覆う領域を含む開口11を形成するように切断する。
すなわち、第2の方向の複数の切断線11aの端部同士を、水晶振動板用ウェハ5aに接合されたと想定したときに、第1,第2実装端子27a,28aを覆う領域を含む開口11を形成するように、この例では、第1の方向(図9の左右方向)に切断する。
このようにして、第1の方向の切断線11bと第2の方向の切断線11aとによって囲まれた細長い矩形領域のフィルムを除去して開口11を形成する。
なお、図9の例では、開口11は、上下方向に長く連続した1つの開口であるが、図9の開口11よりも上下方向に短い複数の開口を形成してもよい。
次の第2工程では、第1工程によって、開口11が形成された図9に示される樹脂フィルム10aを、上記図5(d)、及び、図10,図11に示すように、水晶振動板用ウェハ5aに接合する。
すなわち、水晶振動板2aの表裏の両主面を、開口11を形成した樹脂フィルム10a,10aでそれぞれ覆うように、樹脂フィルム10a,10aを加熱圧着し、各水晶振動板2aの各振動部21aを封止する。
この樹脂フィルム10a,10aによる各振動部21aの封止は、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気中で行われる。
図11に示すように、樹脂フィルム10aの開口11は、第1の方向(図11の左右方向)に隣接する水晶振動板2a(1),2a(2)の一方の水晶振動板2a(1)の第1実装端子27a及び他方の水晶振動板2a(2)の第2実装端子28aを覆う領域を含むように形成されている。
したがって、マトリックス状に配列されている各水晶振動板2aの第1実装端子27a及び第2実装端子28aは、樹脂フィルム10aの複数の開口11を介して露出している。
この図11の状態では、各水晶振動板2aを覆う樹脂フィルム10aの、第2方向(図11の上下方向)については切断されているが、第1の方向(図11の左右方向)には切断されていないので、各水晶振動板2aにそれぞれ対応する樹脂フィルム10aを分離することはできない。
そこで、第3工程では、水晶振動板用ウェハ5aに接合された樹脂フィルム10aを、各水晶振動板2aに対応する前記第2の方向(図11の上下方向)に沿う複数箇所で、前記第1の方向(図11の左右方向)に切断する。この第1の方向の切断線CLを図11に破線で示している。
これによって、樹脂フィルム10aの各水晶振動板2aの振動部21aをそれぞれ封止する矩形の領域が分離可能となる。
この第3工程では、図11に示されるように、各水晶振動板2aの幅方向(X軸方向)の両端縁に沿ってそれぞれ延びる各切断線CLに沿って、例えば、YAGレーザーによるレーザー光を照射して、樹脂フィルム10aを第1の方向に切断する。
このように水晶振動板2aの端縁に沿って樹脂フィルム10aを切断するので、水晶振動板2a上の配線パターン201b,202bを傷つけることがない。
また、水晶振動板2aの端縁の外方の樹脂フィルム10aは、水晶振動板2aに接合されていないので、切断後の前記外方の樹脂フィルム10aを容易に分離除去できる。
この実施形態では、水晶振動板用ウェハ5aの一方の主面側からレーザー光を照射して一方の主面側に接合されている樹脂フィルム10aを第1の方向に切断し、その後、水晶振動板用ウェハ5aを反転させ、他方の主面側からレーザー光を照射して他方の主面側に接合されている樹脂フィルム10aを第1の方向に切断する。
なお、本発明の他の実施形態として、水晶振動板用ウェハ5aの一方の主面側からレーザー光を照射して一方の主面側に接合されている樹脂フィルム10aを第1の方向に切断すると同時に、水晶振動板用ウェハ5aを透過したレーザー光によって、他方の主面側に接合されている樹脂フィルム10aを第1の方向に切断してもよい。
図12は、このレーザー光による樹脂フィルム10aの切断を説明するための図であり、同図(a)は水晶振動板2aの両端縁に照射されるレーザー光を示し、同図(b)はレーザー光によって樹脂フィルム10aが切断された状態を示す図である。なお、水晶振動板2aの電極は省略している。
水晶振動板2aの幅方向の端縁は、水晶のX軸方向の端縁である。水晶の結晶方位によるエッチング異方性のために、X軸方向の端面は、厚み方向の途中が外方に突出した形状となっている。具体的には、水晶振動板2aのX軸方向の端面は、厚み方向の中心が外方に突出した形状となっている。
レーザー光では、水晶振動板2aを破損することなく、樹脂フィルム10aを切断することができるので、レーザー光の照射位置の制御が容易である。
したがって、図12(a)に示すように、突出した端面の先端付近の切断位置に、レーザー光LB1を照射して樹脂フィルム10aを切断する、あるいは、突出した端面の傾斜面の切断位置に、レーザー光LB2を照射して樹脂フィルム10aを切断することができる。
これによって、図12(b)に示すように、樹脂フィルム10aが、水晶振動板2aの端縁の外方、すなわち、水晶振動板2aの端面の突出端の外方へはみ出すことなく、切断することが可能である。
これに対して、カッター等の刃物を使用して切断する場合には、図13(a)に示すように、刃先の角度を考慮し、水晶振動板2aに刃先が接触しないように、水晶振動板2aの端面から離れた切断位置の刃物ct1によって切断しなければならず、水晶振動板2aに刃先が接触する切断位置の刃物ct2によって切断すると、水晶振動板2aを破損してしまう。
このため、刃物で切断した場合には、図13(b)に示すように、樹脂フィルム10aが、水晶振動板2aの端縁の外方へはみ出す、あるいは、水晶振動板2aを破損することになる。
水晶振動板2aを破損することなく、刃物で樹脂フィルム10aを切断した場合には、水晶振動板2aの端縁の外方へ樹脂フィルム10aがはみ出すために、樹脂フィルム10aが、はみ出した部分で水晶振動板2aから剥離し易いものとなる。
これに対して、本実施形態では、レーザー光を照射して、樹脂フィルム10aを切断するので、樹脂フィルム10aが、水晶振動板2aの端縁の外方へはみ出すことがなく、樹脂フィルム10aが、水晶振動板2aから剥離しにくいものとなる。
次の第4工程では、第1の方向に切断された樹脂フィルム10aが接合されている水晶振動板用ウェハ5aの各水晶振動板2aを個片化する。
すなわち、上記図5(e)に示すように、各樹脂フィルム10a,10aの切断された不要部分を除去し、各水晶振動板2を分離して個片化する。
これによって、図1に示される水晶振動子1が複数得られる。
本実施形態によれば、水晶振動板用ウェハ5aに接合する前の樹脂フィルム10aに対して、第1工程では、第1の方向に直交する第2の方向に切断するので、水晶振動板用ウェハ5aに樹脂フィルム10aを接合した状態で、樹脂フィルム10aを、第1の方向に直交する第2の方向に切断する必要がない。
これによって、第1の方向の両端部の第1,第2実装端子27,28と、両実装端子27,28間の第1,第2励振電極25,26との間の配線パターンが切断されることがなく、導通不良を生じることがない。
ここで、水晶振動板用ウェハ5aに樹脂フィルム10aを接合した状態で、樹脂フィルム10aを、第1の方向に直交する第2の方向に切断した場合に生じる導通不良について説明する。
水晶振動板用ウェハ5aに接合された樹脂フィルム10aを切断する場合、水晶振動板用ウェハ5aの水晶振動板2aに形成された配線パターンを傷つけることなく、樹脂フィルム10aのみを切断するのは困難である。
したがって、水晶振動板用ウェハ5aに樹脂フィルム10aを接合した状態で、樹脂フィルム10aを、第1の方向に直交する第2の方向に切断した場合には、水晶振動板用ウェハ5aの水晶振動板2aの配線パターンも同時に切断される。
図14(a),(b)は、水晶振動板2aに接合されている樹脂フィルム10a(図示せず)を、例えば、第1切断線CL1に沿って第1の方向に直交する第2の方向(図14の上下方向)に、レーザー光を照射して切断した場合の両主面をそれぞれ示す平面図である。
第1切断線CL1に沿って切断すると、図14(a)に示すように、第1切断線CL1によって、一方の主面の第1実装端子27と、第1封止パターン201の接続部201aとの間の配線パターンが切断され、導通不良となる。この第1切断線CL1は、図14(b)に示されるように、他方の主面の第1実装端子27と、第2封止パターン202との間の無電極領域の位置であり、配線パターンへの影響はない。
図15(a),(b)は、水晶振動板2aに接合されている樹脂フィルム10a(図示せず)を、例えば、第2切断線CL2に沿って第1の方向に直交する第2の方向(図15の上下方向)に、レーザー光を照射して切断した場合の両主面をそれぞれ示す平面図である。
第2切断線CL2に沿って切断すると、図15(a)に示すように、第2切断線CL2によって、一方の主面の第1実装端子27が、水晶振動板2aの一方の端部側と、第1封止パターン201側とに分断され、導通不良となる。図15(b)に示すように、他方の主面も同様に、第1実装端子27が分断される。
このように水晶振動板用ウェハ5aに樹脂フィルム10aを接合した状態で、樹脂フィルム10aを、第1の方向に直交する第2の方向に切断した場合には、導通不良が生じるが、本実施形態では、水晶振動板用ウェハ5aに接合する前の樹脂フィルム10aに対して、第1の方向に直交する第2の方向に切断しているので、水晶振動板用ウェハ5aに樹脂フィルム10aを接合した状態で、樹脂フィルム10aを、第1の方向に直交する第2の方向に切断する必要がなく、導通不良が生じることがない。
また、本実施形態によれば、水晶振動板2の表裏の両主面に、第1,第2樹脂フィルム3,4を接合して水晶振動子1を構成するので、セラミック等の絶縁材料からなる上面が開口した箱形のベースに、圧電振動片を収納搭載し、前記開口に蓋体を接合して、気密に封止する従来例のように、高価なベースや蓋体が不要となり、圧電振動片をベースに搭載する必要もない。
これによって、水晶振動子1のコストを低減することができ、水晶振動子1を、安価に提供することができる。
また、上面が開口した箱形のベースに、圧電振動片を収納搭載して蓋体で封止する従来例に比べて、薄型化(低背化)を図ることができる。
本実施形態の水晶振動子1では、第1,第2樹脂フィルム3,4によって振動部21を封止しているので、ベースに金属製やガラス製の蓋体を接合して気密に封止する従来例に比べて気密性が劣り、水晶振動子1の共振周波数の経年変化が生じ易い。
しかし、例えば、近距離無線通信用途のうちBLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)等では、周波数偏差等の規格が比較的緩やかであるので、かかる用途では、樹脂フィルムで封止した安価な水晶振動子1を使用することが可能である。
上記実施形態では、水晶振動板2の両主面に、第1,第2樹脂フィルム3,4を接合して、振動部21を封止したが、水晶振動板2の一方の主面のみに樹脂フィルムを接合し、他方の主面には、従来の蓋体を接合して振動部21を封止してもよい。
上記実施形態では、両主面の第1実装端子27同士及び第2実装端子28同士は、水晶振動板2の側面や端面の引き回し電極を介して電気的に接続されたが、両主面を貫通する貫通電極を介して電気的に接続されるようにしてもよく、あるいは、側面や端面の引き回し電極を介して電気的に接続されると共に、貫通電極を介して電気的に接続されるようにしてもよい。
水晶振動板は、平面視略矩形であればよく、上記のような平面視矩形に限らず、例えば、水晶振動板の角部を面取りした形状、あるいは、水晶振動板の周縁部を厚み方向に切欠き、切欠き部に電極が被着されてなるキャスタレーション等が形成された形状であってもよい。
本発明は、水晶振動子等の圧電振動子に限らず、圧電発振器等の他の圧電振動デバイスに適用してもよい。
1 水晶振動子
2 水晶振動板
3 第1樹脂フィルム
4 第2樹脂フィルム
5 水晶ウェハ
5a 水晶振動板用ウェハ
10,10a 樹脂フィルム
21 振動部
23 外枠部
24 連結部
25 第1励振電極
26 第2励振電極
27 第1実装端子
28 第2実装端子
201 第1封止パターン
202 第2封止パターン
2 水晶振動板
3 第1樹脂フィルム
4 第2樹脂フィルム
5 水晶ウェハ
5a 水晶振動板用ウェハ
10,10a 樹脂フィルム
21 振動部
23 外枠部
24 連結部
25 第1励振電極
26 第2励振電極
27 第1実装端子
28 第2実装端子
201 第1封止パターン
202 第2封止パターン
Claims (2)
- 両主面の一方の主面に形成された第1励振電極及び前記両主面の他方の主面に形成された第2励振電極を有すると共に、前記第1,第2励振電極にそれぞれ接続された第1,第2実装端子を有する圧電振動板と、
前記圧電振動板の前記第1,第2励振電極をそれぞれ覆うように、前記圧電振動板の前記両主面にそれぞれ接合される第1,第2封止部材とを備え、
前記第1,第2封止部材の少なくとも一方の封止部材は、樹脂製のフィルムであり、
前記フィルムは、前記圧電振動板の端縁から外方へはみ出していない、
ことを特徴とする圧電振動デバイス。 - 前記第1,第2封止部材の両封止部材は、前記樹脂製のフィルムである、
請求項1に記載の圧電振動デバイス。
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