JP2023048424A - 圧電振動デバイス及び圧電振動デバイスの製造方法 - Google Patents

圧電振動デバイス及び圧電振動デバイスの製造方法 Download PDF

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Abstract

Figure 2023048424000001
【課題】圧電振動板の所要の位置に、フィルムを位置ずれすることなく、接合できる安価な圧電振動デバイスを提供する。
【解決手段】両主面にそれぞれ形成された第1,第2励振電極9,10及び各励振電極9,10に接続された第1,第2実装端子11,12を有する圧電振動板2と、圧電振動板2の各励振電極9,10をそれぞれ覆うように、圧電振動板2の両主面に接合される可撓性のフィルムからなる第1,第2封止部材3,4とを備え、圧電振動板2の外枠部7には、振動部5側が窪んだ段差部17,18;19,20が形成され、前記フィルム3,4の周端が段差部17,18;19,20に入り込むように外枠部7に接合されて、振動部5を封止する。
【選択図】図3

Description

本発明は、圧電振動子等の圧電振動デバイス及び圧電振動デバイスの製造方法に関する。
圧電振動デバイスとして、表面実装型の圧電振動子が広く用いられている。この表面実装型の圧電振動子は、例えば、特許文献1に記載されているように、セラミックからなる上面が開口した箱形のベース内の保持電極に、圧電振動片(水晶片)の両面の励振電極から導出された電極を、導電性接着剤によって固着することによって、圧電振動片をベースに搭載する。このようにして圧電振動片を搭載したベースの開口に、蓋体を接合して気密に封止するようにしている。また、ベースの外底面には、当該圧電振動子を実装するための実装端子が形成されている。
上記のような圧電振動子の多くは、セラミック製のベースに、金属製あるいはガラス製の蓋体が接合されてパッケージが構成されているので、パッケージが高価となり、圧電振動子が高価なものとなっている。
このため、本願出願人は、安価に提供できる圧電振動デバイスとして、例えば、特許文献2に記載されている圧電振動デバイスを提案している。
この特許文献2の圧電振動デバイスは、両主面に第1,第2励振電極が形成されると共に、各励振電極にそれぞれ接続された第1,第2実装端子を有する圧電振動板と、この圧電振動板の前記第1,第2励振電極をそれぞれ覆うように、圧電振動板の両主面にそれぞれ接合される第1,第2封止部材とを備え、前記第1,第2封止部材の少なくとも一方の封止部材が、樹脂製のフィルムである。
特開2005-184325号公報 特開2020-141264号公報
上記特許文献2に開示されている圧電振動デバイスでは、封止部材としての樹脂製のフィルムを、励振電極を覆うように圧電振動板の所要の位置に接合する必要がある。
本発明は、圧電振動板の所要の位置に、フィルムを位置ずれすることなく、接合できる圧電振動デバイス及び圧電振動デバイスの製造方法を提供することを目的とする。
本発明では、上記目的を達成するために、次のように構成している。
すなわち、本発明の圧電振動デバイスは、両主面の一方の主面に形成された第1励振電極及び前記両主面の他方の主面に形成された第2励振電極を有すると共に、前記第1,第2励振電極にそれぞれ接続された第1,第2実装端子を有する圧電振動板と、前記圧電振動板の前記第1,第2励振電極をそれぞれ覆うように、前記圧電振動板の前記両主面にそれぞれ接合される第1,第2封止部材とを備え、前記第1,第2封止部材は、可撓性のフィルムであり、前記圧電振動板は、前記両主面に前記第1,第2励振電極がそれぞれ形成された振動部と、前記振動部の外周を取り囲む外枠部とを有し、前記振動部は、前記外枠部より薄肉であり、前記外枠部の両主面の少なくとも一方の主面には、前記振動部側が前記外枠部の厚み方向に窪んだ段差部が形成され、前記フィルムは、その周端が前記窪んだ段差部に入り込むように前記外枠部に接合されて、前記振動部を封止する。
本発明の圧電振動デバイスによれば、両主面に第1,第2励振電極が形成されると共に、前記第1,第2励振電極に接続された第1,第2実装端子を有する圧電振動板に、第1,第2励振電極を覆うように、第1,第2封止部材を接合するので、実装端子を有する上面が開口した箱形のベース内に、圧電振動片を搭載する必要がなく、高価なベースが不要になる。また、第1,第2封止部材を、可撓性のフィルムで構成しているので、両封止部材を、金属製やガラス製の蓋体で構成するのに比べて、コストを低減することができる。
更に、外枠部の両主面の少なくとも一方の主面には、振動部側が外枠部の厚み方向に窪んだ段差部が形成され、フィルムは、その周端が前記窪んだ段差部に入り込むように外枠部に接合されて、振動部を封止するので、フィルムを圧電振動板に接合する際に、フィルムの周端を、段差部に入り込ませることによって、フィルムの位置ずれを防止して圧電振動板の所要の位置にフィルムを接合することができる。
本発明の好ましい実施態様では、前記圧電振動板は、平面視略矩形であり、前記平面視略矩形の二組の対向辺の内の一方の組の対向辺に沿う方向の一方の端部の前記外枠部に、前記第1実装端子が形成され、他方の端部の前記外枠部に、前記第2実装端子が形成されている。
この実施態様によれば、平面視略矩形の圧電振動板の振動部を取り囲む外枠部には、平面視略矩形の対向辺に沿う方向の両端部、すなわち、振動部を挟んだ両側に、第1,第2実装端子がそれぞれ形成されているので、この両側の第1,第2実装端子を、半田等の接合材によって、回路基板等に接合して、当該圧電振動デバイスを実装することができる。
本発明の一実施態様では、前記段差部は、前記対向辺に直交する方向に沿って延びている。
この実施態様によれば、平面視略矩形の圧電振動板の対向辺に直交する方向に沿って延びている段差部に、フィルムの周端を位置させて、前記対向辺に沿う方向の両端部に形成されている第1,第2実装端子に挟まれた振動部を封止することができる。
本発明の他の実施態様では、前記外枠部の前記一方の端部の前記第1実装端子は、前記外枠部の前記両主面にそれぞれ形成されると共に、前記両主面の前記第1実装端子同士が電気的に接続され、前記外枠部の前記他方の端部の前記第2実装端子は、前記外枠部の前記両主面にそれぞれ形成されると共に、前記両主面の前記第2実装端子同士が電気的に接続されており、前記外枠部の前記両主面の前記少なくとも一方の主面には、前記第1励振電極と前記第1実装端子とを電気的に接続し、かつ前記振動部を取り囲むと共に、前記フィルムが接合される金属膜からなる封止パターンが形成され、前記少なくとも一方の主面には、前記封止パターンと前記第2実装端子との間に絶縁領域が形成され、前記少なくとも一方の主面の前記段差部が、前記封止パターンよりも前記第2実装端子側に形成されている。
この実施態様によれば、両主面の各実装端子同士が電気的にそれぞれ接続されているので、当該圧電振動デバイスを、回路基板等に実装する場合に、表裏の両主面のいずれの面でも実装することができる。
また、外枠部の両主面の少なくとも一方の主面に形成される金属膜からなる封止パターンによって、第1励振電極と第1実装端子とを電気的に接続できると共に、フィルムを、振動部を取り囲む金属膜からなる封止パターンに強固に接合して、振動部を封止することができる。
更に、少なくとも一方の主面には、第1実装端子と電気的に接続されている封止パターンと第2実装端子との間に絶縁領域が形成され、一方の主面の段差部が、封止パターンよりも第2実装端子側に形成されているので、この段差部に入り込むフィルムの周端は、絶縁領域の第2実装端子側に位置することになり、絶縁領域を挟んで第2実装端子とは反対側の封止パターンはフィルムで覆われることになる。これによって、例えば半田実装する際の半田が、第2実装端子に這い上がっても、フィルムで覆われている封止パターンに半田が接触することはなく、短絡することがない。
本発明の更に他の実施態様では、前記段差部は、前記外枠部の前記第1,第2実装端子の一方の実装端子と前記振動部との間に形成された第1段差部と、他方の実装端子と前記振動部との間に形成された第2段差部とを備える。
この実施態様によれば、各実装端子と振動部との間にそれぞれ形成された第1,第2段差部の間に、フィルムの、各実装端子側の各周端をそれぞれ入り込ませて接合することによって、両実装端子間の振動部を封止することができる。
本発明の好ましい実施態様では、前記第1,第2段差部の一方の段差部は、前記一方の主面から前記他方の主面側へ向けて前記振動部側へ突出するように傾斜した第1傾斜面を有し、前記一方の主面と前記第1傾斜面とのなす角度が鈍角である。
この実施態様によれば、第1,第2段差部の一方の段差部は、一方の主面から他方の主面に向けて振動部側へ突出するように傾斜した第1傾斜面を有するので、フィルムの周端が、窪んだ段差部へ入り込む際に、鈍角となるように緩やかに傾斜した第1傾斜面に沿って案内されて円滑に位置決めされる。
本発明の他の実施態様では、前記第1,第2段差部の他方の段差部は、前記一方の主面から前記他方の主面側へ向けて前記外枠部側へ入り込むように傾斜した第2傾斜面を有し、前記一方の主面と前記第2傾斜面とのなす角度が鋭角である。
この実施態様によれば、第1,第2段差部の他方の段差部は、一方の主面から他方の主面にかけて外枠部側へ入り込むように傾斜した第2傾斜面を有しているので、第1,第2段差部の間に入り込んで位置決めされたフィルムの周端が、鋭角となる第2傾斜面の角部に当接することによって、フィルムの位置ずれを抑制することができる。
本発明の更に他の実施態様では、前記窪んだ前記段差部の深さDと、前記段差部に入り込むように前記外枠部に接合される前記フィルムの厚みTとの比D/Tが、0.05以上1未満である。
この実施態様によれば、窪んだ段差部の深さDと、段差部に入り込むように外枠部に接合されるフィルムの厚みTとの比D/Tが、0.05以上であるので、フィルムが窪んだ段差部から抜け出すのを防止することができる一方、前記比D/Tが、1未満であるので、フィルムが、完全に段差部に入り込むことなく、フィルムの一部が圧電振動板の一方の主面から突出する。これによって、フィルムを圧電振動板に対して押圧して接合することができる。
本発明の一実施態様では、前記フィルムの厚みが、前記段差部の深さを超えており、前記フィルムが、その周端が前記一方の主面の前記窪んだ段差部に入り込んで前記外枠部に接合された状態では、前記フィルムが、前記一方の主面から突出している。
この実施態様によれば、フィルムの一部が、一方の主面から突出しているので、加熱圧着してフィルムを接合する際に、十分にフィルムを加圧することができる。
本発明の圧電振動デバイスの製造方法は、複数の圧電振動板をマトリックス状に配列支持する圧電ウェハに、可撓性のフィルムを接合する圧電振動デバイスの製造方法であって、各圧電振動板には、厚み方向に窪んだ段差部が直線状に形成され、前記圧電ウェハの前記圧電振動板を支持するフレーム部には、厚み方向に窪んだフレーム段差部が、前記圧電振動板の前記段差部に連なる位置に直線状に形成され、前記圧電ウェハの前記フレーム段差部及び前記圧電振動板の前記段差部に、前記フィルムの周端を入り込ませて、前記圧電振動板に接合する。
本発明の圧電振動デバイスの製造方法によれば、複数の圧電振動板をマトリックス状に配列支持する圧電ウェハに、可撓性のフィルムを接合するために、圧電ウェハに対してフィルムの位置決めを行うが、各圧電振動板に形成された段差部に加えて、各圧電振動板を支持するフレーム部にも、各圧電振動板の段差部に連なる位置に直線状のフレーム段差部が形成されているので、フィルムの周端を、各圧電振動板の窪んだ段差部及びフレーム部の窪んだフレーム段差部に入り込ませて位置決めすることができ、各圧電振動板の所要の位置に、位置ずれすることなく、フィルムを接合することができる。
本発明の圧電振動デバイスによれば、両主面に第1,第2励振電極が形成されると共に、前記第1,第2励振電極に接続された第1,第2実装端子を有する圧電振動板に、第1,第2励振電極を覆うように、第1,第2封止部材を接合するので、実装端子を有する上面が開口した箱形のベース内に、圧電振動片を搭載する必要がなく、高価なベースが不要になる。また、第1,第2封止部材を、可撓性のフィルムで構成しているので、両封止部材を、金属製やガラス製の蓋体で構成するのに比べて、コストを低減することができる。
更に、外枠部の両主面の少なくとも一方の主面には、振動部側が外枠部の厚み方向に窪んだ段差部が形成され、フィルムは、その周端が前記窪んだ段差部に入り込むように外枠部に接合されて、振動部を封止するので、フィルムを圧電振動板に接合する際に、フィルムの周端を、段差部に入り込ませることによって、フィルムの位置ずれを防止して圧電振動板の所要の位置にフィルムを接合することができる。
本発明の圧電振動デバイスの製造方法によれば、複数の圧電振動板をマトリックス状に配列支持する圧電ウェハに、可撓性のフィルムを接合するために、圧電ウェハに対してフィルムの位置決めを行うが、各圧電振動板に形成された段差部に加えて、各圧電振動板を支持するフレーム部にも、各圧電振動板の段差部に連なる位置に直線状のフレーム段差部が形成されているので、フィルムの周端を、各圧電振動板の窪んだ段差部及びフレーム部の窪んだフレーム段差部に入り込ませて位置決めすることができ、各圧電振動板の所要の位置に、位置ずれすることなく、フィルムを接合することができる。
図1は本発明の一実施形態に係る水晶振動子の概略平面図である。 図2は図1の水晶振動子の概略底面図である。 図3は図1のA-A線に沿う概略断面図である。 図4は図3のセクションP1の拡大図である。 図5は図3のセクションP2の拡大図である。 図6は図1の水晶振動子の製造工程を模式的に示す概略断面図である。 図7は水晶振動板用ウェハの概略平面図である。 図8は図7の一部拡大図である。 図9は切断前のフィルムの平面図である。 図10は切断後のフィルムの平面図である。 図11は水晶振動板用ウェハにフィルムが接合された状態の概略平面図である。 図12は図11の一部拡大図である。
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。この実施形態では、圧電振動デバイスとして水晶振動子に適用して説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る水晶振動子の概略平面図であり、図2は、その概略底面図であり、図3は、図1のA-A線に沿う概略断面図であり、図4及び図5は、図3のセクションP1及びセクションP2の拡大図である。なお、図3では、電極膜の厚みを誇張して示している。
この実施形態の水晶振動子1は、水晶振動板2と、この水晶振動板2の表裏の両主面の一方の主面側を覆って封止する第1封止部材としての樹脂製の第1フィルム3と、水晶振動板2の他方の主面側を覆って封止する第2封止部材としての樹脂製の第2フィルム4とを備えている。
この水晶振動子1は、直方体であって、平面視矩形である。この実施形態の水晶振動子1は、平面視で、例えば、1.2mm×1.0mmで、厚みは0.2mmであり、小型化及び低背化を図っている。
なお、水晶振動子1のサイズは、上記に限定されるものではなく、これとは異なるサイズであっても適用可能である。
次に、水晶振動子1を構成する水晶振動板2及び第1,第2フィルム3,4の各構成について説明する。
この実施形態の水晶振動板2は、矩形の水晶板を水晶の結晶軸であるX軸の周りに35°15´回転させて加工したATカット水晶板であり、その表裏の両主面が、XZ´平面である。この実施形態では、図1,図2等に示すように、矩形の水晶振動板2の長辺方向にZ´軸が、短辺方向にX軸がそれぞれ設定されている。
この水晶振動板2は、平面視が略矩形の振動部5と、この振動部5の周囲を、貫通部6を挟んで取り囲む外枠部7と、振動部5と外枠部7とを連結する連結部8とを備えている。振動部5及び連結部8は、外枠部7に比べて薄く形成されている、すなわち、外枠部7は、振動部5及び連結部8に比べて厚肉である。このように振動部5を取り囲む外枠部7は、振動部5に比べて厚肉であるので、第1,第2フィルム3,4の周端部を、外枠部7に接合することによって、両フィルム3,4が、薄肉の振動部5に接触することなく、振動部5を封止することができる。
この実施形態では、平面視が略矩形の振動部5を、その一つの角部に設けた一箇所の連結部8によって外枠部7に連結しているので、2箇所以上で連結する構成に比べて、振動部5に作用する応力を低減することができる。
また、この実施形態では、連結部8は、外枠部7の内周のうちX軸方向に沿う一辺から突出し、かつ、Z´軸方向に沿って形成されている。水晶振動板2のZ´軸方向の両端部に形成された第1,第2実装端子11,12は、半田等によって回路基板等に直接接合される。このため、水晶振動子の長辺方向(Z´軸方向)に収縮応力が働き、当該応力が振動部に伝搬することにより水晶振動子の発振周波数が変化し易くなることが考えられる。これに対して、この実施形態では、前記収縮応力に沿う方向に連結部8が形成されているため、当該収縮応力が振動部5に伝搬するのを抑制することができる。その結果、水晶振動子1を回路基板に実装した際の発振周波数の変化を抑制することができる。
振動部5の表裏の両主面には、一対の第1,第2励振電極9,10がそれぞれ形成されている。平面視矩形の水晶振動板2の長辺方向(図1~図3の左右方向)の両端部の外枠部7には、第1,第2励振電極9,10にそれぞれ接続された第1,第2実装端子11,12が、水晶振動板2の短辺方向(図1,図2の上下方向)に沿ってそれぞれ形成されている。各実装端子11,12は、当該水晶振動子1を、回路基板等に実装するための端子であり、振動部5を挟んで、その両側にそれぞれ形成されている。
両主面の一方の主面である表面では、図1に示されるように、第1実装端子11は、金属膜からなる後述の矩形環状の第1封止パターン21に連設され、他方の主面である裏面では、図2に示されるように、第2実装端子12は、金属膜からなる後述の矩形環状の第2封止パターン22に連設されている。
水晶振動板2の両主面の第1実装端子11同士、及び、第2実装端子12同士はそれぞれ電気的に接続されている。この実施形態では、第1実装端子11同士及び第2実装端子12同士は、水晶振動板2の対向する長辺側の側面電極でそれぞれ電気的に接続されると共に、水晶振動板2の対向する短辺側の端面電極でそれぞれ電気的に接続されている。
水晶振動板2の表面側には、図1に示すように、第1フィルム3が接合される第1封止パターン21が、略矩形の振動部5を取り囲むように矩形環状に形成されている。この第1封止パターン21は、第1実装端子11に連なる接続部21aと、この接続部21aの両端部から水晶振動板2の長辺方向に沿ってそれぞれ延出する第1延出部21b,21bと、水晶振動板2の短辺方向に沿って延出して前記各第1延出部21b,21bの延出端を接続する第2延出部21cとを備えている。第2延出部21cは、第1励振電極9から引出された第1引出し電極13に接続されている。したがって、第1実装端子11は、第1封止パターン21及び第1引出し電極13を介して第1励振電極9に電気的に接続されている。水晶振動板2の短辺方向に沿って延出する第2延出部21cと第2実装端子12との間には、電極が形成されていない無電極領域、すなわち、絶縁領域14が設けられて、第1封止パターン21と第2実装端子12との絶縁が図られている。
水晶振動板2の裏面側には、図2に示されるように、第2フィルム4が接合される第2封止パターン22が、略矩形の振動部5を取り囲むように矩形環状に形成されている。この第2封止パターン22は、第2実装端子12に連なる接続部22aと、この接続部22aの両端部から水晶振動板2の長辺方向に沿ってそれぞれ延出する第1延出部22b,22bと、水晶振動板2の短辺方向に沿って延出して、前記各第1延出部22b,22bの延出端を接続する第2延出部22cとを備えている。第2延出部22cは、第2励振電極10から引出された第2引出し電極15に接続されている。したがって、第2実装端子12は、第2封止パターン22及び第2引出し電極15を介して第2励振電極10に電気的に接続されている。水晶振動板2の短辺方向に沿って延出する第2延出部22cと第1実装端子11との間には、電極が形成されていない無電極領域、すなわち、絶縁領域16が設けられて、第2封止パターン22と第1実装端子11との絶縁が図られている。
図1に示されるように、第1封止パターン21の、水晶振動板2の長辺方向に沿ってそれぞれ延出する第1延出部21b,21bの幅は、前記長辺方向に沿って延びる外枠部7の幅より狭く、第1延出部21b,21bの幅方向(図1の上下方向)の両側には、電極が形成されていない無電極領域、すなわち、絶縁領域が設けられている。
この第1延出部21b,21bの両側の絶縁領域の内、外側の絶縁領域は、第1実装端子11まで延びていると共に、第2実装端子12と第2延出部21cとの間の絶縁領域14に連なっている。これによって、第1封止パターン21の接続部21a、第1延出部21b,21b、及び、第2延出部21cの外側は、平面視で「コ」の字状の略等しい幅の絶縁領域によって囲まれている。
第1封止パターン21の接続部21aの幅方向の内側には、絶縁領域が形成されており、この絶縁領域は、第1延出部21b,21bの内側の絶縁領域に連なっている。第2延出部21cの幅方向の内側には、連結部8の第1引出し電極13を除いて絶縁領域が形成されており、この絶縁領域は、第1延出部21b,21bの内側の絶縁領域に連なっている。これによって、第1封止パターン21の接続部21a、第1延出部21b,21b、及び、第2延出部21cの幅方向の内側は、連結部8の第1引出し電極13を除いて平面視で矩形環状の略等しい幅の絶縁領域によって囲まれている。
図2に示されるように、第2封止パターン22の、水晶振動板2の長辺方向に沿ってそれぞれ延出する第1延出部22b,22bの幅は、前記長辺方向に沿って延びる外枠部7の幅より狭く、第1延出部22b,22bの幅方向(図2の上下方向)の両側には、電極が形成されていない無電極領域、すなわち、絶縁領域が設けられている。
この第1延出部22b,22bの両側の絶縁領域の内、外側の絶縁領域は、第2実装端子12まで延びていると共に、第1実装端子11と第2延出部22cとの間の絶縁領域16に連なっている。これによって、第2封止パターン22の接続部22a、第1延出部22b,22b、及び、第2延出部22cの外側は、平面視で逆「コ」の字状の略等しい幅の絶縁領域によって囲まれている。
第2封止パターン22の接続部22aの幅方向の内側には、連結部8の第2引出し電極15を除いて絶縁領域が形成されており、この絶縁領域は、第1延出部22b,22bの内側の絶縁領域に連なっている。第2延出部22cの幅方向の内側には、絶縁領域が形成されており、この絶縁領域は、第1延出部22b,22bの内側の絶縁領域に連なっている。これによって、第2封止パターン22の接続部22a、第1延出部22b,22b、及び、第2延出部22cの幅方向の内側は、連結部8の第2引出し電極15を除いて平面視で矩形環状の略等しい幅の絶縁領域によって囲まれている。
上記のように第1,第2封止パターン21,22の第1延出部21b,21b;22b,22bを、外枠部7の幅よりも狭くし、第1延出部21b,21b;22b,22bの幅方向の両側には、絶縁領域を設けていると共に、接続部21a,22a及び第2延出部21c,22cの幅方向の内側には、絶縁領域を設けている。前記絶縁領域は、スパッタリング時に外枠部7の側面に回り込んだ第1,第2封止パターン21,22を、フォトリソグラフィー技術によりパターニングし、これをメタルエッチングで除去することによって形成される。これにより、第1,第2封止パターン21,22が外枠部7の側面に回り込むことによる短絡を防止することができる。
上記のように、両主面の第1実装端子11同士及び第2実装端子12同士は、電気的にそれぞれ接続されているので、当該水晶振動子1を、回路基板等に実装する際に、表裏の両主面のいずれの面でも実装することができる。
水晶振動板2の表裏の両主面にそれぞれ接合されて水晶振動板2の振動部5を、封止する第1,第2フィルム3,4は、可撓性を有する矩形のフィルムである。この矩形の第1,第2フィルム3,4は、水晶振動板2の長手方向の両端部の第1,第2実装端子11,12を除く矩形の領域を覆うサイズであって、第1,第2実装端子11,12を除く矩形の領域に接合される。
この実施形態では、第1,第2フィルム3,4は、耐熱性のフィルム、例えば、ポリイミド樹脂製のフィルムであり、300℃程度の耐熱性を有している。このポリイミド樹脂製の第1,第2フィルム3,4は、透明であるが、後述の加熱圧着の条件によっては、不透明となる場合がある。なお、この第1,第2フィルム3,4は、透明、不透明、あるいは、半透明であってもよい。
第1,第2フィルム3,4は、ポリイミド樹脂に限らず、スーパーエンジニアリングプラスチックに分類されるような樹脂、例えば、ポリアミド樹脂やポリエーテルエーテルケトン樹脂等を用いてもよい。
第1,第2フィルム3,4は、表裏両面の全面に熱可塑性の接着層が形成されている。この第1,第2フィルム3,4は、その矩形の周端部が、水晶振動板2の表裏両主面の外枠部7に、振動部5を封止するように、例えば、熱プレスによってそれぞれ加熱圧着される。
このように第1,第2フィルム3,4は、耐熱性のフィルムであるので、当該水晶振動子1を、回路基板等に半田実装する場合の半田リフロー処理の高温に耐えることができ、第1,第2フィルム3,4が変形等することがない。
水晶振動板2の第1,第2励振電極9,10、第1,第2実装端子11,12,第1,第2封止パターン21,22、及び、第1,第2引出し電極13,15は、例えば、TiまたはCrからなる下地層上に、例えば、Auが積層され、更に、例えば、Ti、CrまたはNiが積層形成されて構成されている。
この実施形態では、下地層はTiであり、その上に、Au、Tiが積層形成されている。このように最上層がTiであることによって、Auが最上層である場合に比べて、ポリイミド樹脂との接合強度が向上する。
矩形の第1,第2フィルム3,4が接合される矩形環状の第1,第2封止パターン21,22の上層は、上記のように、Ti、CrまたはNi(またはこれらの酸化物)から構成されるので、Au等に比べて、第1,第2フィルム3,4との接合強度を高めることができる。
第1,第2フィルム3,4は、上記のように、水晶振動板2の長手方向の両端部の第1,第2実装端子11,12を除く矩形の領域を覆うものであって、水晶振動板2の矩形の領域に、例えば、熱プレス等を使用して加熱圧着されて接合される。
第1,第2フィルム3,4の水晶振動板2に対する接合位置が、当該フィルム3,4と水晶振動板2の熱膨張係数の差等に起因してずれると、当該水晶振動子1を実装したときに短絡が生じたり、封止性能が低下する虞がある。
例えば、図1に示される第1フィルム3が、第1封止パターン21の第2延出部21cと第2実装端子12との間の絶縁領域14を超えて第1実装端子11側にずれ、第2延出部21cの一部が露出すると、水晶振動子1を、外部の回路基板に半田実装した場合に、第2実装端子12上に這い上がった半田が、露出した第2延出部21cに達して、第1実装端子11に電気的に接続されている第2延出部21cと第2実装端子12とが短絡することになる。
また、第1フィルム3が、上記のように第1実装端子11側にずれることによって、第1フィルム3が、第1封止パターン21の第2延出部21cの一部の領域しか接合できなくなると、接合領域の幅が、本来の接合領域の幅に比べて狭くなり、封止性能が低下することになる。
本実施形態では、このような短絡や封止性能の低下を防止するために、次のように構成している。
すなわち、水晶振動板1の表面には、図1,図3~図5に示すように、第1実装端子11の第1封止パターン21の接続部21aとの境界部分には、振動部5側が外枠部7の厚み方向に窪んだ第1段差部17が形成され、第2実装端子12の絶縁領域14との境界部分には、振動部5側が外枠部7の厚み方向に窪んだ第2段差部18が形成されている。各段差部17,18は、平面視矩形の水晶振動板2の短辺方向(図1の上下方向)に沿って、対向する長辺間の全長に亘って形成されている。換言すると、第1段差部17と第2段差部18とに亘る幅の溝が、水晶振動板2の短辺方向に沿って直線状に延びている。
同様に、水晶振動板2の裏面には、図2,図3に示すように、第2実装端子12の第2封止パターン22の接続部22aとの境界部分には、振動部5側が外枠部7の厚み方向に窪んだ第1段差部19が形成され、第1実装端子11の絶縁領域16との境界部分には、振動部5側が外枠部7の厚み方向に窪んだ第2段差部20が形成されている。各段差部19,20は、平面視矩形の水晶振動板2の短辺方向(図2の上下方向)に沿って、対向する長辺間の全長に亘って形成されており、第1段差部19と第2段差部20とに亘る幅の溝が、水晶振動板2の短辺方向に沿って直線状に延びている。
水晶振動板2の表面側の第2段差部18は、図1,図3及び図5に示すように、第2実装端子12と第1封止パターン21との間の絶縁領域14の第2実装端子12側に形成されている。このように第2段差部18を、第2実装端子12側に形成することによって、第1フィルム3の周端を、第2実装端子12側に位置させることができ、第1実装端子11と電気的に接続されている第1封止パターン21の第2延出部21cを、第1フィルム3によって完全に覆うことができる。これによって、水晶振動子1を、回路基板等に半田実装する際に、半田が、第2実装端子12上に這い上がっても第2延出部21cに接触することができず、短絡することがない。
同様に、水晶振動板2の裏面側の第2段差部20は、図2,図3に示すように、第1実装端子11と第2封止パターン22との間の絶縁領域16の第1実装端子11側に形成されている。これによって、第2フィルム4の周端を、第2実装端子11側に位置させることができ、第1実装端子12と電気的に接続されている第2封止パターン22の第2延出部22cを、第2フィルム4によって完全に覆うことができる。
第1フィルム3は、図1,図3~図5に示すように、左右の両周端3a,3bが、窪んだ第1,第2段差部17,18の間に入り込んだ状態で水晶振動板2の表面に接合されている。第2フィルム4は、図2,図3に示すように、左右の両周端4a,4bが、窪んだ第1,第2段差部19,20の間に入り込んだ状態で水晶振動板2の裏面に接合されている。
このように第1,第2フィルム3,4を、窪んだ第1,第2段差部17.18;19,20間に入り込ませるので、第1,第2段差部17.18;19,20の間隔は、第1,第2フィルム3,4の幅、すなわち、左右の両周端3a,3b;4a,4b間の長さより、例えば、左右で5μmずつ、合わせて10μm程度大きいのが好ましい。
図4に示すように、第1フィルム3の一方の周端3aが入り込む第1段差部17は、水晶振動板2の表面から裏面側(図4の下側)へ向けて振動部5側(図4の右側)へ緩やかに突出するように傾斜した第1傾斜面17sを有している。この第1傾斜面17sと水晶振動板2の表面との成す角度θ1は、鈍角となっている。このように第1段差部17の第1傾斜面17sは、鈍角となるように振動部5側へ緩やかに傾斜しているので、第1フィルム3の周端3aが、第1傾斜面17sに沿って窪んだ第1段差部17へ案内されて円滑に入り込む。
図5に示すように、第1フィルム3の他方の周端3bが入り込む第2段差部18は、水晶振動板2の表面から裏面側(図5の下側)へ向けて外枠部7側(図5の右側)へ入り込むように傾斜した第2傾斜面18sを有している。この第2傾斜面18sと表面との成す角度θ2は、鋭角となっている。このように第2段差部18の第2傾斜面18sは、外枠部7側へ入り込むように傾斜しているので、第1フィルム3の周端3bが窪んだ第2段差部18へ入り込んだ後には、第1フィルム3の周端3bが第2傾斜面18sの鋭角な角部に当接することによって、第1フィルム3が、水晶振動板2の第2実装端子12側(図5の右側)へ移動するのを阻止して、第1フィルム3の位置ずれを抑制することができる。
窪んだ第1,第2段差部17,18の深さDは、2.5μm~12.5μmであるのが好ましく、2.5μm~5.4μmであるのがより好ましい。
窪んだ第1,第2段差部17,18に、第1フィルム3が入り込むので、第1フィルム3と振動部5との距離は、近づくことになるが、第1フィルム3と振動部5とが接触しないように、第1フィルム3と振動部5との間の距離は、15μm以上であるのが好ましい。
ここで、図4,図5に示される第1,第2段差部17,18の深さDと、この第1,第2段差部17,18に入り込む第1フィルム3の厚みTとの比D/Tは、0.05≦D/T<1であるのが好ましく、0.05≦D/T≦0.25であるのがより好ましい。
前記比D/Tが、0.05未満であると、第1フィルム3が、窪んだ第1,第2段差部17,18から抜け出し易くなる。
前記比D/Tが、1を超えると、第1フィルム3が、窪んだ第1,第2段差部17,18に完全に入り込んでしまって表面から突出せず、第1フィルム3を圧電振動板2に加熱圧着する際に、第1フィルム3を押圧するのが困難となる。
本実施形態では、上記のように水晶振動板2の厚みは、0.1mm(=100μm)であり、第1,第2フィルム3,4の厚みは、50μmである。
32MHzの周波数の水晶振動子において、最も深く形成することができる段差部の深さの上限値は、例えば、12.5μm程度であり、フィルムの厚み50μmを考慮すると、前記比D/Tの上限値は、0.25であるのがより好ましい。
なお、図4及び図5では、第1フィルム3が入り込む水晶振動板2の表面側の第1段差部17及び第2段差部18について説明したが、第2フィルム4が入り込む水晶振動板2の裏面側の第1段差部19及び第2段差部20も第1段差部17及び第2段差部18と同様である。すなわち、第1段差部19は、水晶振動板2の裏面から表面側へ向けて振動部5側へ緩やかに突出するように傾斜した第1傾斜面を有し、第2段差部20は、水晶振動板2の裏面から表面側へ向けて外枠部7側へ入り込むように傾斜した第2傾斜面を有している。この第1傾斜面と水晶振動板2の裏面との成す角度は、鈍角であり、第2傾斜面と水晶振動板2の裏面との成す角度は、鋭角である。また、第1,第2段差部19,20の深さDと、第2フィルム4の厚みTとの比D/Tも、水晶振動板2の表面側の第1段差部17及び第2段差部18と同様であり、0.05≦D/T<1であるのが好ましく、0.05≦D/T≦0.25であるのがより好ましい。
次に、この実施形態の水晶振動子1の製造方法について説明する。
図6は、水晶振動子1を製造する工程を模式的に示す概略断面図である。
先ず、図6(a)に示される加工前の水晶ウェハ(ATカット水晶板)25を準備する。この水晶ウェハ25に対して、フォトリソグラフィー技術およびエッチング技術を用いて、例えば、ウェットエッチングを行って、図6(b)に示すように、複数の水晶振動板2a及びそれらを支持するフレーム部(図示せず)等の各部分の外形を形成し、更に、水晶振動板2aに、外枠部7a、薄肉の振動部5a、及び、第1,第2段差部17a,19a;18a,20a等の各部の外形を形成すると共に、フレーム部に後述のフレーム段差部を形成する。この水晶ウェハ25のエッチングにおける結晶異方性によって、第1,第2段差部17a,19a;18a,20aに、上記の第1,第2傾斜面17s,18s等を形成する。
次に、図6(c)に示すように、スパッタリング技術または蒸着技術、及び、フォトリソグラフィー技術によって、水晶振動板2aの所定の位置に、第1,第2励振電極9a,10a及び第1,第2実装端子11a,12a等を形成する。
図7は、図6(c)の状態を示す一方の主面側である表面側の概略平面図であり、図8は、その一部を拡大して示す概略平面図である。
第1,第2励振電極9a,10a及び第1,第2実装端子11a,12a等が形成された複数の水晶振動板2aが、マトリックス状に配列されてフレーム部26にそれぞれ支持された水晶振動板用ウェハ25aが構成されている。各水晶振動板2aの周囲は、フレーム部26の連結部26aを除いて貫通部27となっている。
フレーム部26には、図8に示すように、各水晶振動板2aの第1,第2段差部17a,18aにそれぞれ連なる位置に、厚み方向に窪んだ第1,第2フレーム段差部31,32が形成されている。
各フレーム段差部31,32は、各水晶振動板2aの第1,第2段差部17a,18aと同様に、平面視矩形の水晶振動板2aの短辺方向(図8の上下方向)に沿って直線状に形成されている。すなわち、フレーム部26には、第1フム段差部31と第2フレーム段差部32とに亘る幅の溝が、水晶振動板2a短辺方向に沿って直線状に延びている。
なお、図8では、水晶振動板用ウェハ25aの表面側の第1,第2フレーム段差部31,32のみを示しているが、水晶振動板用ウェハ25aの裏面側のフレーム部26にも、表面側と同様に、各水晶振動板2aの第1,第2段差部19a,20aにそれぞれ連なる位置に、厚み方向に窪んだ第1,第2フーム段差部がそれぞれ直線状に形成されている。
この実施形態の水晶振動板の製造方法では、水晶振動板用ウェハ25aと略同じサイズの樹脂製のフィルムの、第1,第2実装端子11a,12aを覆うことになる領域を除去するように、前記フィルムを予め切断し、この切断したフィルムを、水晶振動板用ウェハ25aに接合したときに、各実装端子11a,12aを露出させることができるようにしている。
図9は、図6の水晶振動板用ウェハ25aに接合される前の矩形のフィルム28であって、切断される前のフィルム28の平面図である。この矩形のフィルム28のサイズは、水晶振動板用ウェハ25aと略等しいサイズとなっている。
このフィルム28に、フィルム28が水晶振動板用ウェハ25aに接合されたと想定したときに、第1,第2実装端子11a,12aを覆う領域に対応するように、細長い矩形の開口29を、図10に示すように形成する。
なお、図10の例では、開口29は、上下方向に長く連続した1つの開口であるが、図10の開口29よりも上下方向に短い複数の開口を形成してもよい。
このようにして開口29が形成された図10に示されるフィルム28a,28aを、上記図6(d)に示すように、水晶振動板用ウェハ25aの上下に配置し、水晶振動板用ウェハ25aに接合する。
図11は、フィルム28aが接合された水晶振動板用ウェハ25aの一方の主面側である表面側の概略平面図であり、図12は、その一部を拡大して示す概略平面図である。
このフィルム28a,28aの接合では、水晶振動板2aの表裏の両主面の振動部5aを、フィルム28a,28aでそれぞれ覆うように位置を合せ、フィルム28a,28aを加熱圧着し、各水晶振動板2aの第1,第2実装端子11a,12aを、フィルム28a,28aの開口29から露出させた状態で振動部5aを封止する。
この加熱圧着の際には、各フィルム28a,28aの左右の各周端が、各水晶振動板2aの第1,第2段差部17a,19a;18a,20a及びフレーム部26の第1,第2フレーム段差部31,32にそれぞれ入り込んで位置合わせが行われるので、位置ずれすることなく、所要の位置に接合される。
このようにフィルム28a,28aが、位置ずれすることなく、水晶振動板用ウェハ25aの所要の位置に接合されるので、例えば、図1に示される第1フィルム3が、第1封止パターン21の第2延出部21cと第2実装端子12との間の絶縁領域14を超えて第1実装端子11側にずれて、第2延出部21cの一部が露出するといったことを防止することができる。これによって、水晶振動子1を、外部の回路基板に半田実装した場合に、第2実装端子12上に這い上がった半田が、露出した第2延出部21cに達して、第1実装端子11に電気的に接続している第2延出部21cと第2実装端子12とが短絡するのを防止することができる。
また、第1フィルム3が、上記のように第1実装端子11側にずれることによって、第1フィルム3が、第1封止パターン21の第2延出部21cの一部の領域しか接合できず、接合領域の幅が、本来の接合領域の幅に比べて狭くなり、封止性能が低下するといったこともない。
このフィルム28a,28aによる各振動部5aの封止は、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気中で行われる。
フィルム28a,28aによる各振動部5aの封止が行われた状態では、図12に示すように、各水晶振動板2aを覆うフィルム28aの、平面視矩形の水晶振動板2aの短辺方向(図12の上下方向)については開口29によって既に切断されているが、長辺方向(図12の左右方向)には切断されていないので、各水晶振動板2aにそれぞれ対応するフィルム28aを分離することはできない。
そこで、水晶振動板用ウェハ25aに接合されたフィルム28aを、各水晶振動板2aに対応する前記短辺方向(図12の上下方向)に沿う複数箇所で、前記長辺方向(図12の左右方向)に切断する。この長辺方向の切断線CLを図12に破線で示している。
これによって、フィルム28aの各水晶振動板2aの振動部5aをそれぞれ封止する矩形の領域が分離可能となる。
図12に示されるように、各水晶振動板2aの幅方向(X軸方向)の両端縁に沿ってそれぞれ延びる各切断線CLに沿って、例えば、YAGレーザーによるレーザー光を照射して、フィルム28aを長辺方向に切断する。なおレーザーはYAGレーザーに限らず、他の波長のレーザーを用いてもよい。
このように水晶振動板2aの端縁に沿ってフィルム28aを切断するので、水晶振動板2a上の、第1励振電極9と第1実装端子11とを接続する第1封止パターン21、あるいは、第2励振電極10と第2実装端子12とを接続する第2封止パターン22を傷つけることがなく、導通不良が生じることがない。
この実施形態では、水晶振動板用ウェハ25aの一方の主面側からレーザー光を照射して一方の主面側に接合されているフィルム28aを長辺方向に切断し、その後、水晶振動板用ウェハ25aを反転させ、他方の主面側からレーザー光を照射して他方の主面側に接合されているフィルム28aを長辺方向に切断する。
なお、本発明の他の実施形態として、水晶振動板用ウェハ25aの一方の主面側からレーザー光を照射して一方の主面側に接合されているフィルム28aを長辺方向に切断すると同時に、水晶振動板用ウェハ25aを透過したレーザー光によって、他方の主面側に接合されているフィルム28aを長辺方向に切断してもよい。
その後、長辺方向に切断されたフィルム28aが接合されている水晶振動板用ウェハ25aの各水晶振動板2aを個片化する。
すなわち、上記図6(e)に示すように、各フィルム28a,28aの切断された不要部分を除去し、各水晶振動板2を分離して個片化する。
これによって、図1等に示される水晶振動子1が複数得られる。
本実施形態によれば、水晶振動板2の表裏の両主面に、第1,第2フィルム3,4を接合して水晶振動子1を構成するので、セラミック等の絶縁材料からなる凹部を有する箱形のベースに、水晶振動片を搭載し、蓋体を接合して、気密に封止する場合のように、高価なベースや蓋体が不要となり、水晶振動片をベースに搭載する必要もない。
これによって、水晶振動子1のコストを低減することができ、水晶振動子1を、安価に提供することができる。
また、箱型のベースの凹部に、水晶振動片を搭載して蓋体で封止するのに比べて、薄型化(低背化)を図ることができる。
本実施形態の水晶振動子1では、第1,第2フィルム3,4によって振動部5を封止しているので、ベースに金属製やガラス製の蓋体を接合して気密に封止する構成に比べて気密性が劣り、水晶振動子1の共振周波数の経年変化が生じ易い。
しかし、例えば、近距離無線通信用途のうちBLE(Bluetooth Low Energy)等では、周波数偏差等の規格が比較的緩やかであるので、かかる用途では、フィルムによって封止した液体の流通を阻止する水密性を有する安価な水晶振動子1を使用することが可能である。
上記実施形態では、水晶振動板2の両主面に、第1,第2段差部をそれぞれ形成したが、水晶振動板2の一方の主面のみに第1,第2段差部を形成してもよく、また、第1,第2段差部の一方の段差部のみを形成してもよい。
上記実施形態では、両主面の第1実装端子11同士及び第2実装端子12同士は、水晶振動板2の側面電極や端面電極を介して電気的に接続されたが、両主面を貫通する貫通電極を介して電気的に接続されるようにしてもよく、あるいは、側面電極や端面電極を介して電気的に接続されると共に、貫通電極を介して電気的に接続されるようにしてもよい。
水晶振動板は、平面視矩形に限らず、平面視略矩形であってもよく、例えば、水晶振動板の角部を面取りした形状、あるいは、水晶振動板の周縁部を厚み方向に切欠き、切欠き部に電極が被着されてなるキャスタレーション等が形成されたものであってもよい。
本発明は、水晶振動子等の圧電振動子に限らず、圧電発振器等の他の圧電振動デバイスに適用してもよい。
1 水晶振動子
2 水晶振動板
3 第1フィルム
4 第2フィルム
5 振動部
7 外枠部
9 第1励振電極
10 第2励振電極
14,16 絶縁領域
17,19 第1段差部
18,20 第2段差部
21 第1封止パターン
22 第2封止パターン
25 水晶ウェハ
26 フレーム部
31 第1フレーム段差部
32 第2フレーム段差部

Claims (10)

  1. 両主面の一方の主面に形成された第1励振電極及び前記両主面の他方の主面に形成された第2励振電極を有すると共に、前記第1,第2励振電極にそれぞれ接続された第1,第2実装端子を有する圧電振動板と、
    前記圧電振動板の前記第1,第2励振電極をそれぞれ覆うように、前記圧電振動板の前記両主面にそれぞれ接合される第1,第2封止部材とを備え、
    前記第1,第2封止部材は、可撓性のフィルムであり、
    前記圧電振動板は、前記両主面に前記第1,第2励振電極がそれぞれ形成された振動部と、前記振動部の外周を取り囲む外枠部とを有し、前記振動部は、前記外枠部より薄肉であり、
    前記外枠部の両主面の少なくとも一方の主面には、前記振動部側が前記外枠部の厚み方向に窪んだ段差部が形成され、
    前記フィルムは、その周端が前記窪んだ段差部に入り込むように前記外枠部に接合されて、前記振動部を封止する、
    ことを特徴とする圧電振動デバイス。
  2. 前記圧電振動板は、平面視略矩形であり、前記平面視略矩形の二組の対向辺の内の一方の組の対向辺に沿う方向の一方の端部の前記外枠部に、前記第1実装端子が形成され、他方の端部の前記外枠部に、前記第2実装端子が形成されている、
    請求項1に記載の圧電振動デバイス。
  3. 前記段差部は、前記対向辺に直交する方向に沿って延びている、
    請求項2に記載の圧電振動デバイス。
  4. 前記外枠部の前記一方の端部の前記第1実装端子は、前記外枠部の前記両主面にそれぞれ形成されると共に、前記両主面の前記第1実装端子同士が電気的に接続され、前記外枠部の前記他方の端部の前記第2実装端子は、前記外枠部の前記両主面にそれぞれ形成されると共に、前記両主面の前記第2実装端子同士が電気的に接続されており、
    前記外枠部の前記両主面の前記少なくとも一方の主面には、前記第1励振電極と前記第1実装端子とを電気的に接続し、かつ前記振動部を取り囲むと共に、前記フィルムが接合される金属膜からなる封止パターンが形成され、前記少なくとも一方の主面には、前記封止パターンと前記第2実装端子との間に絶縁領域が形成され、
    前記少なくとも一方の主面の前記段差部が、前記封止パターンよりも前記第2実装端子側に形成されている、
    請求項2または3に記載の圧電振動デバイス。
  5. 前記段差部は、前記外枠部の前記第1,第2実装端子の一方の実装端子と前記振動部との間に形成された第1段差部と、他方の実装端子と前記振動部との間に形成された第2段差部とを備える、
    請求項2ないし4のいずれか一項に記載の圧電振動デバイス。
  6. 前記第1,第2段差部の一方の段差部は、前記一方の主面から前記他方の主面側へ向けて前記振動部側へ突出するように傾斜した第1傾斜面を有し、前記一方の主面と前記第1傾斜面とのなす角度が鈍角である、
    請求項5に記載の圧電振動デバイス。
  7. 前記第1,第2段差部の他方の段差部は、前記一方の主面から前記他方の主面側へ向けて前記外枠部側へ入り込むように傾斜した第2傾斜面を有し、前記一方の主面と前記第2傾斜面とのなす角度が鋭角である、
    請求項6に記載の圧電振動デバイス。
  8. 前記窪んだ前記段差部の深さDと、前記段差部に入り込むように前記外枠部に接合される前記フィルムの厚みTとの比D/Tが、0.05以上1未満である、
    請求項1ないし7のいずれか一項に記載の圧電振動デバイス。
  9. 前記フィルムの厚みが、前記段差部の深さを超えており、前記フィルムが、その周端が前記一方の主面の前記窪んだ段差部に入り込んで前記外枠部に接合された状態では、前記フィルムが、前記一方の主面から突出している、
    請求項8に記載の圧電振動デバイス。
  10. 複数の圧電振動板をマトリックス状に配列支持する圧電ウェハに、可撓性のフィルムを接合する圧電振動デバイスの製造方法であって、
    各圧電振動板には、厚み方向に窪んだ段差部が直線状に形成され、
    前記圧電ウェハの前記圧電振動板を支持するフレーム部には、厚み方向に窪んだフレーム段差部が、前記圧電振動板の前記段差部に連なる位置に直線状に形成され、
    前記圧電ウェハの前記フレーム段差部及び前記圧電振動板の前記段差部に、前記フィルムの周端を入り込ませて、前記圧電振動板に接合する、
    ことを特徴とする圧電振動デバイスの製造方法。
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