JP2023116348A - バッター生地用小麦粉組成物、バッター生地用組成物及びバッター生地加熱食品の製造方法 - Google Patents

バッター生地用小麦粉組成物、バッター生地用組成物及びバッター生地加熱食品の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2023116348A
JP2023116348A JP2022019098A JP2022019098A JP2023116348A JP 2023116348 A JP2023116348 A JP 2023116348A JP 2022019098 A JP2022019098 A JP 2022019098A JP 2022019098 A JP2022019098 A JP 2022019098A JP 2023116348 A JP2023116348 A JP 2023116348A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
wheat flour
batter dough
composition
batter
dough
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2022019098A
Other languages
English (en)
Inventor
春樹 森
Haruki Mori
祐貴 西山
Yuki Nishiyama
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Showa Sangyo Co Ltd
Original Assignee
Showa Sangyo Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Showa Sangyo Co Ltd filed Critical Showa Sangyo Co Ltd
Priority to JP2022019098A priority Critical patent/JP2023116348A/ja
Publication of JP2023116348A publication Critical patent/JP2023116348A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Grain Derivatives (AREA)
  • Bakery Products And Manufacturing Methods Therefor (AREA)
  • General Preparation And Processing Of Foods (AREA)
  • Confectionery (AREA)
  • Cereal-Derived Products (AREA)

Abstract

【課題】バッター生地加熱食品の製造に用いるバッター生地用組成物であって、バッター生地加熱食品の製造直後の形状や食感を良好にすることができ、且つ経時後の形状や食感の低下を抑制することができるバッター生地用組成物、及びそれを用いるバッター生地加熱食品を提供する。【解決手段】加熱処理小麦粉、及び非加熱処理小麦粉からなるバッター生地用小麦粉組成物であって、前記加熱処理小麦粉のたん白質含量が10質量%以上であることを特徴とするバッター生地用小麦粉組成物、本発明のバッター生地用小麦粉組成物を含むバッター生地用組成物、並びに本発明のバッター生地用小麦粉組成物、又は本発明のバッター生地用組成物を用いてバッター生地を調製する工程、及び前記バッター生地を加熱する工程を含むバッター生地加熱食品の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、天ぷらの製造に用いる天ぷら粉、ケーキ等の菓子の製造に用いる菓子用ミックス等のバッター生地用組成物に関し、特に天ぷらやフリッター、菓子の食感や形状等の品質を、製造直後だけでなく経時後も良好に維持することができるバッター生地用組成物に関する。
バッター生地は、一般に、小麦粉等の原料粉、及びその他の副資材を含む原料に水分を加えて均一にした、食品の製造に用いる流動性を有する生地のことである。バッター生地を具材に付着させて加熱することで、天ぷら、フリッター、から揚げ、とんかつ、コロッケ等の油ちょう食品、油ちょうしないフライ様食品を製造することができる。また、バッター生地をそのまま、又は必要に応じてその他の材料を加えて焼成、油ちょう、蒸し調理、又は電子レンジ調理することで、ホットケーキ、スポンジケーキ、マフィン、ドーナツ、蒸しケーキ、蒸しパン、アメリカンドッグ、お好み焼、たこ焼等の菓子を製造することができる。このようなバッター生地を加熱することで得られるバッター生地加熱食品は、飲食店等の店舗で出来立てが提供されるだけでなく、近年需要が高まっているテイクアウトやケータリングされたり、コンビニエンスストアやスーパーマーケットの総菜コーナーやインストアベーカリー等で販売されたりすることで、製造後ある程度の時間が経過した後に喫食される場合がある。したがって、バッター生地加熱食品は、製造直後の品質だけでなく、経時的な品質を維持することが求められており、従来から種々の開発が行われている。
例えば、特許文献1では、揚げ物類を調理する際の作業性および衣の火通りを改善し、衣の歯もろくサクサクした食感の更なる向上と衣のボリューム感、花咲など衣の外観の向上を両立し、かつ常温、チルドまたは冷凍保存後の電子レンジ調理などの再加熱調理においても、製造直後の食感などを保持できる、いいかえれば経時変化耐性に優れた、揚げ物類が得られる、揚げ物類用湿熱処理小麦粉、該小麦粉を用いた揚げ物用ミックスおよび揚げ物類を提供することをその課題とし、湿熱処理した小麦粉であって、α化度が12.5%以上、30%以下であり、かつ対粉300質量%に加水した場合の粘度が、1Pa・s以上、10Pa・s以下であることを特徴とする揚げ物用湿熱処理小麦粉が開示されている。また、特許文献2では、加熱調理して得られた食品の外観および食感の経時劣化を抑制し、保存後再加熱した際にも、外観および衣の食感について好ましいできたて感のある食品を得ることを課題とし、以下の成分(A)および(B):(A)以下の条件(1)~(5)を満たす澱粉粉状物(1)澱粉含量が75質量%以上(2)アミロース含量5質量%以上である澱粉の低分子化澱粉を3質量%以上45質量%以下含み、前記低分子化澱粉のピーク分子量が3×103以上5×104以下(3)25℃における冷水膨潤度が5以上20以下(4)目開き0.5mmの篩の篩下かつ0.075mmの篩の篩上の含有量が20質量%以上95質量%以下(5)目開き0.5mmの篩の篩上の含有量が30質量%以下(B)酸化澱粉および酸処理澱粉からなる群から選択される1種または2種を含み、水に分散させて用いられる、バッター用組成物が開示されている。
特開2008-067675号公報 国際公開2020-116299号
しかしながら、従来の技術を用いても、例えば、容器に入れた天ぷら等の油ちょう食品は、時間が経過すると衣が過度に柔らかくなり、ベちゃついた食感になる場合があった。また、ケーキ等の菓子では、ソフトな食感が得られるようにバッター生地を調整すると、型剥がれが悪くなり、外観が損なわれ歩留まりが低下したり、時間が経つとベちゃついた食感になったりする場合があった。
したがって、本発明の目的は、バッター生地加熱食品の製造に用いるバッター生地用小麦粉組成物であって、バッター生地加熱食品の製造直後の形状や食感を良好にすることができ、且つ経時後の形状や食感の低下を抑制することができるバッター生地用小麦粉組成物、バッター生地用組成物、及びそれらを用いるバッター生地加熱食品を提供することにある。
本発明者らは、バッター生地加熱食品に用いられる小麦粉の種類に着目し、種々の検討を行った結果、所定のたん白質含量の加熱処理小麦粉と非加熱処理小麦粉を組み合わせることで上記課題を解決できることを見出した。
すなわち、上記目的は、加熱処理小麦粉、及び非加熱処理小麦粉からなるバッター生地用小麦粉組成物であって、前記加熱処理小麦粉のたん白質含量が10質量%以上であることを特徴とするバッター生地用小麦粉組成物によって達成される。また、上記目的は、本発明のバッター生地用小麦粉組成物を含むバッター生地用組成物によって達成される。本発明において、「バッター生地」は、小麦粉等の原料粉、及びその他の粉粒状材料に水、卵、牛乳、豆乳、液状油等の液状材料を加えて均一にした、食品の製造に用いる流動性を有する生地のことを意味し、「バッター生地加熱食品」は、バッター生地を加熱することで得られる食品を意味し、具体的にはバッター生地を具材に付着させて油ちょう、又は電子レンジや油を使わないフライヤーで加熱調理することで得られる、天ぷら、フリッター等の油ちょう食品、又は油ちょうしないフライ様食品、バッター生地をそのまま、又は必要に応じてその他の材料を加えて焼成、油ちょう、蒸し調理、又は電子レンジ調理することで得られる、ホットケーキ、スポンジケーキ、マフィン、ドーナツ、蒸しケーキ、蒸しパン等の菓子等が挙げられる。
本発明により、バッター生地加熱食品の製造直後の形状や食感を良好にすることができ、且つ経時後の形状や食感の低下を抑制することができるバッター生地用小麦粉組成物、バッター生地用組成物、及び製造直後の形状や食感を良好で、且つ経時後の形状や食感の低下が抑制されるバッター生地加熱食品を提供することができる。
[バッター生地用小麦粉組成物]
本発明のバッター生地用小麦粉組成物は、加熱処理小麦粉、及び非加熱処理小麦粉からなるバッター生地用小麦粉組成物であって、前記加熱処理小麦粉のたん白質含量が10質量%以上であることを特徴とする。バッター生地用小麦粉組成物は、一般に、生地のつながりが弱く軽い食感のバッター生地加熱食品を製造するために、たん白質含量が低く、すなわちグルテン含量が低い(例えば、たん白質含量10質量未満)小麦粉が選択的に使用される。加熱処理小麦粉は、小麦粉を加熱することでたん白質を変性させ、グルテン含量がより低い状態を疑似的に再現し、生地のつながりを弱くするものであり、通常、たん白質含量が低い小麦粉を用いて製造されていた。本発明においては、バッター生地用小麦粉組成物にたん白質含量が10質量%以上の比較的高いたん白質含量を有する加熱処理小麦粉と、非加熱処理小麦粉、すなわち通常の小麦粉とを含有させることで、これを用いて製造したバッター生地加熱食品は、製造直後の形状や食感が良好で、且つ経時後の形状や食感の低下が抑制されることが見出された。具体的には、後述する実施例に示す通り、天ぷらやフリッター等の油ちょう食品の場合は、揚げ立ては、歯切れ、口溶けが良く、軽くソフトな食感であり、且つ容器に入れて時間が経過した後でも、適度な硬さを有し、ベちゃつきのない食感が維持される。また、ケーキ等の菓子の場合は、製造時には形状が適度に硬くしっかりしているため、型剥がれが良く、時間が経過した後でも歯切れ、口溶けが良く、ソフトであり、ベちゃつきのない食感が維持される。この作用機作は明確ではないが、加熱処理小麦粉中の変性したたん白質が、バッター生地加熱食品の骨格構造の維持に寄与しているものと考えられる。
本発明において、前記加熱処理小麦粉は、10質量%以上のたん白質含量を有していればどのような原料小麦粉から得られたものでもよい。前記加熱処理小麦粉のたん白質含量は、11質量%以上が好ましく、12質量%以上がさらに好ましく、13質量%以上が特に好ましい。原料小麦粉としては、例えば、アメリカ産のダーク・ノーザン・スプリング(DNS)、ハード・レッド・ウインター(HRW)、カナダ産のNo.1カナダ・ウェスタン・レッド・スプリング(1CW)、オーストラリア産のオーストラリアン・プライム・ハード(APH)、オーストラリアン・ハード(AH)、オーストラリアン・プレミアム・ホワイト(APW)、日本産のゆめちから、春よ恋等の硬質小麦、アメリカ産のウエスタン・ホワイト(WW)、ソフト・レッド・ウインター(SRW)、オーストラリア産のオーストラリアン・スタンダード・ホワイト(ASW)、日本産のさとのそら、きたほなみ、あやひかり等の軟質及び中間質小麦から得られた小麦粉から選択された1種の小麦粉、又は2種以上を組み合わせた小麦粉が挙げられる。本発明においては、硬質小麦から得られた小麦粉であることが好ましく、アメリカ産のダーク・ノーザン・スプリング(DNS)、ハード・レッド・ウインター(HRW)、カナダ産のNo.1カナダ・ウェスタン・レッド・スプリング(1CW)が特に好ましい。前記加熱処理小麦粉を製造する方法は、特に制限はなく、常法に従って行うことができる。例えば、飽和蒸気導入機構を備えた直接加熱装置や、ジャケット加熱機構を備えた間接加熱装置等を用いて、原料小麦粉を、 品温60~150℃の条件下で2~120分間乾熱加熱処理または湿熱加熱処理することで実施することができる。 湿熱加熱処理の場合は、 例えば、 品温60~120℃で2~30分間処理を行ってもよいし、 品温90~150℃で2~10分間処理を行ってもよい。乾熱加熱処理の場合は、 品温60~150℃で10~120分間処理を行うことが好ましく、 20~60分間処理を行うことがさらに好ましい。
本発明において、前記加熱処理小麦粉の全たん白質中の酢酸可溶たん白質含量は、20~50質量%であることが好ましく、20~40質量%であることがより好ましく、25~40質量%であることがさらに好ましく、25~35質量%であることが特に好ましい。本発明において、「酢酸可溶性たん白質含量」は、加熱処理小麦粉又は非加熱処理小麦粉(以下、この説明において「小麦粉」と称する)に含まれる全蛋白質のうち、0.05Nの酢酸水溶液に可溶な蛋白質を意味する。上記酢酸可溶蛋白質の割合(質量%)は、0.05Nの酢酸水溶液を用いて小麦粉から抽出した可溶性画分(抽出液)に含まれる窒素含量と、小麦粉に含まれる全窒素量から換算して求めることができる。具体的には、以下の通り測定することができる。まず、小麦粉試料2gを100ml容量の三角フラスコに入れ、これに0.05N酢酸を40ml加えて振盪する(25℃、130rpm、60分間)。次いで、三角フラスコの内容物を遠沈管に移し、遠心分離(5000rpm、5分間)し、液相(抽出液)と固相(残渣)とに分離する。抽出液をろ紙(Whatman、No.42)で吸引ろ過して回収する。三角フラスコ中に残った残渣に、再び0.05N酢酸40mlを入れ、フラスコ壁面の残渣を洗い流すように攪拌し、内容物を遠沈管に移し、遠心分離(5000rpm、5分間)し、液相(抽出液)と固相(残渣)とに分離する。抽出液をろ紙(Whatman、No.42)で吸引ろ過して回収し、1回目の抽出液と混合する。これを脱イオン水で100mlにメスアップし、酢酸可溶性たん白質を含む抽出液とする。この抽出液の窒素含量と、小麦粉試料中の窒素含量をケルダール法によって測定し、(抽出液の窒素含量(質量%)/小麦粉中の窒素含量(質量%))×100を算出し、酢酸可溶性たん白質含量(質量%)を求める。なお、ケルダール法は常法に従って行うことができる。加熱処理小麦粉の酢酸可溶性たん白質含量は、たん白質の変性の程度の指標であり、上述の原料小麦粉の加熱処理条件によって調整することができる。
本発明のバッター生地用小麦粉組成物において、前記加熱処理小麦粉の含有量は、本発明の効果が得られれば、特に制限はない。前記加熱処理小麦粉の含有量が少な過ぎると、本発明の効果が得られず、多過ぎると、バッター生地加熱食品の軽くソフトな食感が損なわれる場合がある。前記加熱処理小麦粉の含有量は、バッター生地用小麦粉組成物の質量に基づいて、5~30質量%であることが好ましく、10~30質量%であることがさらに好ましく、12~25質量%であることが特に好ましい。
本発明において、前記非加熱処理小麦粉は、バッター生地に使用されるものであれば、薄力粉、中力粉、準強力粉、強力粉、全粒粉、デュラム小麦粉等どのような種類の小麦粉でもよい。バッター生地加熱食品の軽くソフトな食感が得やすい点で、たん白質含量が比較的低い小麦粉が好ましい。前記非加熱処理小麦粉は、たん白質含量が11質量%以下の小麦粉であることが好ましく、10質量%以下がさらに好ましく、9質量%以下が特に好ましい。前記非加熱処理小麦粉は、1種の原料小麦から得られた小麦粉でもよく、2種以上の原料小麦から得られた小麦を混合したものでもよい。本発明において、前記非加熱処理小麦粉の25質量%以上が、ホワイトクラブ小麦から得られた小麦粉であることが好ましい。ホワイトクラブ小麦は、単に「クラブ小麦」とも呼ばれ、普通小麦から突然変異で出来たものであり、アメリカ北西部、オーストラリア南部などで少量栽培されている小麦である。ホワイトクラブ小麦は、軟質の白小麦で、たん白質量が少なめであり、またその質がソフトであることが知られている。本発明においては、前記加熱処理小麦粉と組み合わされる非加熱小麦粉として、ホワイトクラブ小麦から得られた小麦粉を含有させることで、バッター生地加熱食品の歯切れ、口溶けをさらに良好にすることができる。前記非加熱処理小麦粉において、ホワイトクラブ小麦から得られた小麦粉の含有量は、30~70質量%がさらに好ましく、40~55質量%が特に好ましい。本発明において、前記非加熱処理小麦粉に含有されるその他の小麦粉としては、例えば、アメリカ産のソフトホワイト、日本産のきたほなみ等の原料小麦から得られた小麦粉が挙げられる。
本発明において、バッター生地用小麦粉組成物を用いて製造されるバッター生地加熱食品の種類は、本発明の効果が得られるものであれば、特に制限はない。バッター生地加熱食品としては、バッター生地を具材に付着させて加熱することで得られる、天ぷら、フリッター等の油ちょう食品や油ちょうしないフライ様食品、バッター生地をそのまま、又は必要に応じてその他の材料を加えて焼成、油ちょう、蒸し調理、又は電子レンジ調理することで得られる、ホットケーキ、スポンジケーキ、マフィン、ドーナツ、蒸しケーキ、蒸しパン等の菓子等が挙げられる。本発明のバッター生地用小麦粉組成物は、本発明の効果が特に良好である点で、天ぷら、フリッター又は菓子を製造するためのバッター生地用であることが好ましい。前記菓子としては、バッター生地を焼成して得られるマドレーヌ、フィナンシェ、ベビーカステラ、ホットケーキ、スポンジケーキ、マフィン、どら焼、たい焼等の焼き菓子が好ましい。
[バッター生地用組成物]
本発明のバッター生地用組成物は、本発明のバッター生地用小麦粉組成物を含む。本発明のバッター生地用組成物を用いることで、上述の通り、バッター生地加熱食品の製造直後の形状や食感を良好にすることができ、且つ経時後の形状や食感の低下を抑制することができる。本発明のバッター生地用組成物は、グリアジンをさらに含むことが好ましく、前記グリアジンの含有量は、前記バッター生地用小麦粉組成物100質量部に対して、0.1~3質量部であることが好ましく、0.2~2.0質量部であることがより好ましい。後述する実施例に示す通り、バッター生地用組成物に所定量のグリアジンを配合することで、バッター生地加熱食品の歯切れ、口溶けをさらに良好にすることができる。なお、グリアジンの代わりにグルテンを配合してもこのような効果は得られない。前記グリアジンの含有量は、バッター生地組成物の質量に基づいて、0.2~2質量%がさらに好ましく、0.3~1質量%が特に好ましい。
本発明のバッター生地用組成物において、前記バッター生地用小麦粉組成物、及び必要に応じて配合されるグリアジン以外の材料については、本発明の効果を損なわない限り、特に制限はない。例えば、米粉、大麦粉、大豆粉、そば粉、ライ麦粉、ホワイトソルガム粉、トウモロコシ粉等の穀粉類;コーンスターチ、馬鈴薯澱粉、タピオカ澱粉、小麦澱粉、サゴ澱粉、米澱粉、甘藷澱粉、エンドウ豆澱粉等の澱粉、及びこれらの澱粉に物理的、化学的な加工を単独又は複数組み合わせて施した加工澱粉等の澱粉類;パン粉、クラッカーパン粉、ブレダーパン粉等のパン粉類;砂糖、ぶどう糖、デキストリン、オリゴ糖等の糖質;液状油、固形脂、粉末油脂、加工油脂等の油脂;卵白粉、小麦たん白、乳たん白、大豆たん白、エンドウ豆たん白等のたん白素材;重曹(炭酸水素ナトリウム)、炭酸アンモニウム、炭酸カルシウム等のガス発生剤、及び酒石酸、酒石酸水素カリウム、リン酸二水素ナトリウム等の酸性剤を含むベーキングパウダー等の膨張剤;グアガム、ローカストビーンガム、カラギーナン、キサンタンガム等の増粘剤;食塩、グルタミン酸ナトリウム、粉末醤油等の調味料;酵母エキス、畜肉又は魚介由来エキス等のエキス類;グリセリン脂肪酸エステル、レシチン等の乳化剤;その他、かぼちゃ粉、ナッツ粉、卵黄粉、全卵粉、色素、香料、香辛料、種々の品質改良剤等が挙げられる。なお、本発明のバッター生地用組成物の好ましい態様は、本発明のバッター生地用小麦粉組成物の場合と同様である。
[バッター生地加熱食品の製造方法]
本発明のバッター生地加熱食品の製造方法は、本発明のバッター生地用小麦粉組成物、又は本発明のバッター生地用組成物を用いてバッター生地を調製する工程、及び前記バッター生地を加熱する工程を含む。上述の通り、本発明のバッター生地用小麦粉組成物、又は本発明のバッター生地用組成物を用いることで、製造直後の形状や食感が良好で、且つ経時後の形状や食感の低下が抑制されるバッター生地加熱食品を製造することができる。前記バッター生地を調製する工程、及び前記バッター生地を加熱する工程は、特に制限はなく、常法に従って行うことができる。例えば、天ぷら、フリッター等の油ちょう食品の場合は、まず、本発明のバッター生地用組成物を適切な加水率で、水、卵、牛乳、豆乳、液状油等の液状材料と混合してバッター生地を調製する。次いで、魚介類及び水産加工品類、畜肉類及び畜肉加工品類、野菜類を必要に応じて加工成形した具材を準備し、前記バッター生地に具材を浸漬する、又は前記バッター生地を具材に塗布する等により前記バッター生地を具材に付着させる。前記バッター生地を付着させる前に、必要に応じて具材に打ち粉をまぶしてもよい。使用する打ち粉に特に制限はなく、本発明のバッター生地用小麦粉組成物、本発明のバッター生地用小麦粉組成物以外の小麦粉、本発明のバッター生地用組成物、市販の打ち粉ミックス等を用いることができる。なお、かき揚げ等の種々の具材を纏めて油ちょうするような油ちょう食品の場合、バッター生地用組成物を具材全体にまぶした後に加水し、バッター生地の調製とバッター生地の具材への付着を同時に行ってもよい。その後、バッター生地と、場合によって打ち粉とを付着させた具材を適切な温度のフライ油に投入し、適切な時間油ちょうする。また、菓子の場合は、本発明のバッター生地用小麦粉組成物を含む材料を適切な加水率で、水を含む液体材料と混合してバッター生地を調製する。次いで、得られたバッター生地に、必要に応じて果実やナッツ類等の副資材を混合し(これらは水を含む液体材料と同時、又は水を含む液体材料の前に混合してもよい)、型に入れてオーブンで焼成する、鉄板、銅板等に流して焼成する、フライ油に投入して油ちょうする、型に入れて蒸し器で蒸し調理する、型に入れて電子レンジ調理する等によって適切な時間加熱する。本発明のバッター生地加熱食品の製造方法における好ましい態様は、本発明のバッター生地用小麦粉組成物、及び本発明のバッター生地用組成物の場合と同様である。なお、本発明は、本発明の製造方法によって製造されたバッター生地加熱食品にも関連する。
以下、本発明を実施例により詳細に説明する。
1.加熱処理小麦粉、及び非加熱処理小麦粉について
試験に用いた加熱処理小麦粉を表1に、非加熱処理小麦粉を表2に示した。
Figure 2023116348000001
Figure 2023116348000002
2.バッター生地加熱食品の製造、及び評価
(1)天ぷら
バッター生地加熱食品として天ぷらを選択して、各試料の評価を行なった。具体的には、まず、表3に示した配合でバッター生地用組成物を調製し、調製した組成物100gと冷水170gをボウルに入れ、泡立て器で撹拌混合し、天ぷら用バッター生地を調製した。次いで、下処理をしたえびに、打ち粉として「打ち粉ミックスT-64」(昭和産業株式会社製)を付着させた後、天ぷら用バッター生地に浸漬して生地を付着させ、170~180℃の油中に投入し、2分30秒間油ちょうし、えび天を製造した。油ちょう後、室温で3分間放冷した後(T1)、及び蓋つきのプラスチック容器に入れたご飯の上にのせ、蓋をして20℃で2時間保存した後(T2)に、えび天の食感(硬さ・べちゃつき、及び歯切れ・口溶け)について官能評価を行った。評価は、10名のパネルにより、以下の評価基準で行った。結果を表3に示す。
(i)硬さ・べちゃつき
5:程よい硬さがあり、べちゃつきが一切ない
4:程よい硬さがあり、べちゃつきがほとんどない
3:わずかに硬さがあり、べちゃつきが少ない
2:硬さが弱くやや柔らかいが、べちゃつきが少ない
1:硬さがなくふにゃふにゃで、非常にべちゃつく
(ii)歯切れ・口溶け
5:歯切れ、口溶けが非常に良い
4:歯切れ、口溶けが良い
3:歯切れ、口溶けがやや良い
2:歯切れ、口溶けがわずかに良い
1:歯切れ、口溶けが悪い
Figure 2023116348000003
表3に示した通り、たん白質含量が10質量%以上である加熱処理小麦粉B及びC、並びに非加熱処理小麦粉A~E及びGからなるバッター生地用小麦粉組成物を含むバッター生地用組成物を用いて製造された実施例1~13の天ぷら(えび天)は、加熱処理小麦粉を含まないバッター生地用小麦粉組成物を用いた比較例1及び比較例2、並びに加熱小麦粉が、たん白質含量が10質量%未満の加熱処理小麦粉Aであるバッター生地用小麦粉組成物を用いた比較例3の天ぷらと比較して、油ちょう後、3分放冷した後(T1)の評価でも、蓋つきのプラスチック容器に入れたご飯の上にのせ、蓋をして20℃で2時間保存した後(T2)の評価でも、硬さ・ベちゃつき、及び歯切れ・口溶けの両方で高い評価であった。比較例2は、たん白質含量が10質量%以上の非加熱処理小麦粉Fを含むが、加熱処理小麦粉でないため、特に歯切れ・口溶けの評価が低かった。また、バッター生地用小麦粉組成物における加熱処理小麦粉の含有量については、実施例2~4を比較すると、5~25質量%の範囲で良好な評価であった。一方、非加熱処理小麦粉については、実施例2、及び実施例5~9を比較すると、ホワイトクラブ小麦から得られた小麦粉を含まない非加熱処理小麦粉Aを用いた実施例2と比較して、ホワイトクラブ小麦から得られた小麦粉を30~100質量%含む非加熱処理小麦粉B~E及びGを用いた実施例5~9の方が、良好な評価であった。さらに、グリアジンをバッター生地用小麦粉組成物100質量部に対して、0.3~1質量部配合したバッター生地用組成物を用いた実施例10~13は、グリアジンを配合していないバッター生地用組成物を用いた実施例と比較して、さらに良好な評価であった。
したがって、たん白質含量が10質量%以上である加熱処理小麦粉、及び非加熱処理小麦粉からなるバッター生地用小麦粉組成物を用いることで、天ぷら、フリッター等の油ちょう食品の場合は、揚げ立ては、歯切れ、口溶けが良く、軽くソフトな食感であり、且つ容器に入れて時間が経過した後でも、適度な硬さを有し、ベちゃつきのない食感が維持されることが示唆された。また、前記加熱処理小麦粉の含有量は、バッター生地用小麦粉組成物の質量に基づいて、3~30質量%が好ましいこと、前記非加熱処理小麦粉の25質量%以上が、ホワイトクラブ小麦から得られた小麦粉であることが好ましいこと、及びバッター生地用組成物が、グリアジンを0.1~3質量%含有することが好ましいことが示唆された。
(2)菓子(フィナンシェ)
バッター生地加熱食品として菓子(フィナンシェ)を選択して、各試料の評価を行なった。具体的には、まず、事前準備として、表4に示した配合のバッター生地用小麦粉組成物を調製し、篩にかけた。また、卵白は35℃前後に温め、焦がしバターは50℃前後に加熱した。次いで、表4の材料1をミキサーに入れ、1速30秒間ミキシングし、壁面についた生地を掻き落とし、さらに1速30秒間ミキシングした。その後、表4の材料2をミキサー中に1速1分間ミキシングしながら投入し、壁面についた生地を掻き落とし、さらに2速1分間ミキシングし、バッター生地を調製した。捏ね上げ温度は25~30℃とした。各バッター生地をフィナンシェ型に35gずつ入れ、オーブン(上火190℃/下火180℃)で18分間焼成した。焼成後、以下の評価基準で型剥がれと食感(歯切れ・口溶け)を評価した。また、焼成当日(D+0)及び焼成3日後(D+3)の食感(歯切れ・口溶け)について官能評価を行った。評価は、10名のパネルにより、以下の評価基準で行った。結果を表4に示す。
(i)形状
3:良い(表面が剥がれたり欠けたりしている製品が12個中0~2個である)
2:やや悪い(表面が剥がれたり欠けたりしている製品が12個中3~4個である)
1:非常に悪い(表面が剥がれたり欠けたりしている製品が12個中5個以上である)
(ii)食感(歯切れ・口溶け)
5:歯切れ、口溶けが非常に良い
4:歯切れ、口溶けが良い
3:歯切れ、口溶けがやや良い
2:歯切れ、口溶けがやや悪い
1:歯切れ、口溶けが悪い
Figure 2023116348000004
表4に示した通り、たん白質含量が10質量%以上である加熱処理小麦粉B、並びに非加熱処理小麦粉Eを含むバッター生地用小麦粉組成物を含むバッター生地を用いて製造された実施例14の菓子(フィナンシェ)は、加熱処理小麦粉を含まないバッター生地用小麦粉組成物を用いた比較例4の菓子と比較して、型剥がれの評価が高く、食感(歯切れ・口溶け)の評価は同等であった。実施例14において、焼成菓子の形状(型剥がれ)が良好であることは、製造直後に菓子が適度に硬くしっかりしているためと考えられた。したがって、菓子の場合も、天ぷらと同様な効果が得られることが示唆された。
以上により、バッター生地加熱食品に、上記のバッター生地用小麦粉組成物を用いることで、製造直後の形状や食感が良好で、且つ経時後の形状や食感の低下を抑制されるバッター生地加熱食品を製造することができることが示唆された。
なお、本発明は上記の実施の形態の構成及び実施例に限定されるものではなく、発明の要旨の範囲内で種々変形が可能である。
本発明により、バッター生地加熱食品の製造直後の形状や食感を良好にすることができ、且つ経時後の形状や食感の低下を抑制することができるバッター生地用小麦粉組成物、バッター生地用組成物、及び製造直後の形状や食感を良好で、且つ経時後の形状や食感の低下が抑制されるバッター生地加熱食品を提供することができる。

Claims (9)

  1. 加熱処理小麦粉、及び非加熱処理小麦粉からなるバッター生地用小麦粉組成物であって、
    前記加熱処理小麦粉のたん白質含量が10質量%以上であることを特徴とするバッター生地用小麦粉組成物。
  2. 前記加熱処理小麦粉の原料小麦粉が、硬質小麦から得られた小麦粉である請求項1に記載のバッター生地用小麦粉組成物。
  3. 前記加熱処理小麦粉の全たん白質中の酢酸可溶たん白質含量が、20~50質量%である請求項1又は2に記載のバッター生地用小麦粉組成物。
  4. 前記加熱処理小麦粉の含有量が、3~30質量%である請求項1~3のいずれか1項に記載のバッター生地用小麦粉組成物。
  5. 前記非加熱処理小麦粉の25質量%以上が、ホワイトクラブ小麦から得られた小麦粉である請求項1~4のいずれか1項に記載のバッター生地用小麦粉組成物。
  6. 天ぷら、フリッター又は菓子を製造するためのバッター生地用である請求項1~5のいずれか1項に記載のバッター生地用小麦粉組成物。
  7. 請求項1~6のいずれか1項に記載のバッター生地用小麦粉組成物を含むバッター生地用組成物。
  8. グリアジンをさらに含み、前記グリアジンの含有量が、前記バッター生地用小麦粉組成物100質量部に対して、0.1~3質量部である請求項7に記載のバッター生地用組成物。
  9. 請求項1~6のいずれか1項に記載のバッター生地用小麦粉組成物、又は請求項7又は8に記載のバッター生地用組成物を用いてバッター生地を調製する工程、及び
    前記バッター生地を加熱する工程を含むバッター生地加熱食品の製造方法。

JP2022019098A 2022-02-09 2022-02-09 バッター生地用小麦粉組成物、バッター生地用組成物及びバッター生地加熱食品の製造方法 Pending JP2023116348A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022019098A JP2023116348A (ja) 2022-02-09 2022-02-09 バッター生地用小麦粉組成物、バッター生地用組成物及びバッター生地加熱食品の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2022019098A JP2023116348A (ja) 2022-02-09 2022-02-09 バッター生地用小麦粉組成物、バッター生地用組成物及びバッター生地加熱食品の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2023116348A true JP2023116348A (ja) 2023-08-22

Family

ID=87579360

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2022019098A Pending JP2023116348A (ja) 2022-02-09 2022-02-09 バッター生地用小麦粉組成物、バッター生地用組成物及びバッター生地加熱食品の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2023116348A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JPH05503630A (ja) マイクロ波調理可能なベーカリー製品
JPH01320962A (ja) 新規食品素材の製造法
WO2008032573A1 (fr) FARINE DE BLÉ TRAITÉE THERMIQUEMENT PAR VOIE HUMIDE POUR DES ALIMENTS CONTENANT DE LA FARINE DE BLÉ, MÉLANGE OU MATIÈRE ALIMENTAIRE CONTENANT LA FARINE DE BLÉ TRAITÉE THERMIQUEMENT PAR VOIE HUMIDE ET ALIMENTS PRODUITS À L'AIDE DE LA FARINE DE BLÉ TRAIT&Eacu
JP3961789B2 (ja) 加熱変性小麦粉及びその小麦粉を用いた食品素材、食品
JP6960563B1 (ja) 衣揚げ食品の製造方法
JP4803753B2 (ja) ノンフライから揚げ様食品に使用するブレッダーミックス並びにこれを使用したから揚げ様食品及びその製造方法
JP7202092B2 (ja) 揚げ衣用組成物
JP2717412B2 (ja) 電子レンジ調理用フライ様食品及びその製造方法
JP2013179880A (ja) 焼き調理用から揚げミックス
JP7578617B2 (ja) 油ちょう食品用ミックス及びそれを用いた油ちょう食品の製造方法並びに油ちょう食品の食感改良方法
JP5366218B2 (ja) 焼き物用焙煎穀粉組成物
JP3151024B2 (ja) だまブレッダー及びそれを用いたフライ用食品
JP2023116348A (ja) バッター生地用小麦粉組成物、バッター生地用組成物及びバッター生地加熱食品の製造方法
JP2717413B2 (ja) フライ用食品及びその製造方法
JP5878390B2 (ja) 焼き調理フライ様食品用バッターミックス
JP5610477B2 (ja) フライ食品用焙煎穀粉組成物
JPH08103235A (ja) 電子レンジ対応パン粉及びその製造方法
JP6920175B2 (ja) 型焼き食品及びその製造方法
JP5089663B2 (ja) フライ食品用焙煎小麦粉組成物を使用したフライ食品
JP2011010589A (ja) 焼き物用焙煎小麦粉組成物
WO2021065930A1 (ja) 組成物
JPS5982062A (ja) 油揚げ風焼き上げ食品用バッター
JP7215618B1 (ja) 焼き餃子羽根形成用組成物
JP7411309B2 (ja) アメリカンドッグ用ミックス粉
JPS58190365A (ja) 冷凍フライ様食品の製造法