JP2023116214A - 電極埋設部材、およびその製造方法 - Google Patents

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耕平 三矢
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Abstract

【課題】接続部材や緩衝部材の劣化が起きにくく、端子構造の強度が低下しにくい電極埋設部材、およびその製造方法を提供する。【解決手段】電極埋設部材100であって、セラミックス焼結体からなる平板状の基体110と、前記基体110に埋設された電極120と、前記電極120に電気的に接続され、前記基体110に埋設された接続部材130と、前記電極120に電気を供給する端子140と、前記接続部材130および前記端子140の間に配置される緩衝部材150と、前記緩衝部材150および前記端子140を固定するロウ材160と、を備え、前記ロウ材160は、Auを主成分とし、表層にFeを4atoms%以上含む。【選択図】図1

Description

本発明は、電極埋設部材、およびその製造方法に関する。
従来、半導体製造装置用の部材としてセラミックス焼結体に電極が埋設されたサセプタ-、静電チャックまたはセラミックスヒータ等の電極埋設部材が提案されている。
特許文献1には、導電部材にロウ材によって接合され、導電部材の平均線膨張係数以上の大きさの平均線膨張係数を有する第1の金属部材と、第1の金属部材より平均線膨張係数が大きい一又は複数の第2の金属部材と、第2の金属部材に接合され、第2の金属部材より平均線膨張係数が大きい金属端子とを含み、長期間使用してもセラミックス基材や導電部材にクラックが入ることを防止できるセラミックス構造体が開示されている。
特開2019-182683号公報
特許文献1が示すように、従来は電極埋設部材を構成する部材の線膨張係数に着目し、緩衝部材を間に介在させてロウ付けすることが行われてきた。すなわち力学的な観点から端子構造のクラック抑制がなされてきた。
しかしながら、これらの構造を有する電極埋設部材を実際のプロセスで使用すると、環境からの酸素によって接続部材や緩衝部材の表面から内部へ酸化が進行し、これらの部材自身の強度劣化を引き起こしていた。すなわち化学的な腐食により強度劣化が生じていた。その結果、端子構造の強度が劣化し、端子の脱落や電気的な接触不良が生じていた。そこで、このような不具合を抑制できる端子構造が要望されていた。
本発明者らは、ロウ材に所定量以上のFeを含有させることで、電極埋設部材を酸素の存在する環境で使用しても接続部材や緩衝部材の劣化が起きにくく、端子構造の強度が低下しにくいことを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、接続部材や緩衝部材の劣化が起きにくく、端子構造の強度が低下しにくい電極埋設部材、およびその製造方法を提供することを目的とする。
(1)上記の目的を達成するため、本発明の電極埋設部材は、電極埋設部材であって、セラミックス焼結体からなる平板状の基体と、前記基体に埋設された電極と、前記電極に電気的に接続され、前記基体に埋設された接続部材と、前記電極に電気を供給する端子と、前記接続部材および前記端子の間に配置される緩衝部材と、前記緩衝部材および前記端子を固定するロウ材と、を備え、前記ロウ材は、Auを主成分とし、表層にFeを4atoms%以上含むことを特徴としている。
このように、ロウ付け後のロウ材の表層にFeを4atoms%以上含むことにより、接続部材や緩衝部材の酸化が抑制される。その結果、接続部材や緩衝部材の強度劣化が抑制され、端子構造の強度が維持される。
(2)また、本発明の電極埋設部材において、前記ロウ材は、表面にFeの酸化物が形成されていることを特徴としている。
このように、ロウ材の表面にFeの酸化物が形成されていることにより、接続部材や緩衝部材の酸化がより抑制される。
(3)また、本発明の電極埋設部材において、前記ロウ材は、前記ロウ材の表面に垂直な断面のEPMA分析またはEDX分析によるOとFeの特性X線の強度比において、前記ロウ材の表層での値が前記ロウ材の内部での値の2倍以上であることを特徴としている。
このように、ロウ材の表面に垂直な断面のEPMA分析またはEDX分析によるOとFeの特性X線の強度比において、ロウ材の表層での値がロウ材の内部での値の2倍以上であることにより、接続部材や緩衝部材の酸化がより抑制される。
(4)また、本発明の電極埋設部材において、前記緩衝部材は、Feを含むことを特徴としている。
このように、緩衝部材がFeを含むことにより、ロウ材にFeが含まれない場合であっても、ロウ付け時にFeがロウ材に溶出して、結果的にロウ付け後のロウ材にFeが含まれることとなり、酸化膜等の原料とすることができる。
(5)また、本発明の電極埋設部材において、前記緩衝部材は、前記接続部材側に配置される第1の緩衝部材と、前記端子側に配置される第2の緩衝部材を含み、前記第2の緩衝部材は、Feを主成分とすることを特徴としている。
このように、Feを主成分とする第2の緩衝部材を使用することにより、ロウ材にFeが含まれない場合であっても、ロウ付け後のロウ材に十分な量のFeが含まれることとなる。
(6)また、本発明の電極埋設部材の製造方法は、電極埋設部材の製造方法であって、セラミックス焼結体からなる平板状の基体と、前記基体に埋設された電極と、前記電極に電気的に接続され、前記基体に埋設された接続部材と、を備え、前記接続部材の一方の主面の少なくとも一部が露出する端子穴が穿設された電極埋設部材前駆体を準備する準備工程と、緩衝部材および端子を準備し、前記緩衝部材および前記端子を前記電極埋設部材前駆体の前記端子穴に配置する配置工程と、Auを主成分とするロウ材を準備し、前記端子穴に配置された前記緩衝部材および前記端子を前記ロウ材を用いてロウ付けして固定するロウ付け工程と、を含み、前記ロウ付け工程後の前記ロウ材が表層にFeを4atoms%以上含むように、前記配置工程で準備する前記緩衝部材の成分および大きさもしくは前記ロウ材に接触する面積が調整され、または前記ロウ付け工程で準備する前記ロウ材の成分が調整されることを特徴としている。
このように、ロウ付け工程後のロウ材に表層にFeを4atoms%以上含むように、配置工程で準備する緩衝部材の成分および大きさもしくはロウ材に接触する面積が調整され、またはロウ付け工程で準備するロウ材の成分が調整されることで、電極埋設部材の使用中にロウ材の表面(外部環境との境界)にFeの酸化膜が形成され、接続部材や緩衝部材の酸化が抑制される。その結果、接続部材や緩衝部材の強度劣化が抑制され、端子構造の強度が維持される。
本発明によれば、接続部材や緩衝部材の劣化が起きにくく、端子構造の強度が低下しにくい電極埋設部材を構成することができる。
実施形態に係る電極埋設部材の一例を示す断面図である。 図1の電極埋設部材の端子構造を拡大して示した部分断面図である。 実施形態に係る電極埋設部材の変形例の端子構造を拡大して示した部分断面図である。 実施形態に係る電極埋設部材の製造方法の一例を示すフローチャートである。 実施形態に係る電極埋設部材の製造方法の一例を示すフローチャートである。 (a)~(d)それぞれ実施形態に係る電極埋設部材の製造工程の一段階を模式的に示す断面図である。 (a)~(c)それぞれ実施形態に係る電極埋設部材の製造工程の一段階を模式的に示す断面図である。 実施例および比較例の製造条件および測定結果を示す表である。
次に、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては同一の参照番号を付し、重複する説明は省略する。なお、構成図において、各構成要素の大きさは概念的に表したものであり、必ずしも実際の寸法比率を表すものではない。
[実施形態]
[電極埋設部材の構成]
まず、本実施形態に係る電極埋設部材の構成を説明する。図1は、実施形態に係る電極埋設部材の一例を示す断面図である。また、図2は、図1の電極埋設部材の端子構造を拡大して示した部分断面図である。本実施形態に係る電極埋設部材100は、基体110と、電極120と、接続部材130と、端子140と、緩衝部材150と、ロウ材160とを備える。電極埋設部材100は、ヒーター、静電チャック等に適用される。
基体110は、セラミックス焼結体からなり、平板状に形成され、一方の主面に基板を載置する載置面112を有する。基体110の材質は、用途に応じて様々な材料を使用することができる。例えば、AlN、Al、Si、SiCなどを使用することができる。また、基体110の形状は、円板状、多角形状、楕円状など、様々な形状にすることができる。
電極120は、基体110に埋設される。電極120は、Mo、Wなどで形成することができる。電極120は、ワイヤーを織り込んだメッシュで形成されることが好ましい。また、メッシュを形成するワイヤーは、線径が0.02mm以上0.15mm以下であることが好ましい。このように、十分に細いワイヤーで電極120を構成することで、焼結時にワイヤーに圧裂が生じる虞をより低減することができ、また、電極120の上部のセラミックスを薄い絶縁層として構成しても、絶縁層にクラックを生じさせる虞をより低減させることができる。
基体110は、複数の電極を備えていてもよい。例えば、ヒーター用電極と静電吸着用電極とを備えることで、電極埋設部材100は、ヒーター付静電チャックとして使用できる。
接続部材130は、電極120に電気的に接続され、基体110に埋設される。これにより、接続部材130を介して電極120に電気を供給できる。接続部材130は、Mo、Wなどで形成することができる。
接続部材130の厚みは、0.2mm以上5mm以下であることが好ましい。0.2mmより小さい場合、基体110に端子140を接続するための端子穴142を穿設する際に、破損する虞が増大する。5mmより大きい場合、接続部材130は基体110に埋設されているため、基体110のセラミックスとの焼成時の収縮率の差や使用時の熱膨張率の差によって、基体110にクラックが入る虞が増大する。
端子140は、図示しない外部電源と接続され、電極120に電気を供給する。端子140は、Niなどで形成することができる。端子140は、ロウ材160によって電極120、接続部材130、または緩衝部材150と電気的に接続されると共に、固定される。
緩衝部材150は、接続部材130および端子140の間に配置される。接続部材130および端子140の間に配置されるとは、電極埋設部材100の接続部材130の下面より下側かつ端子140の上端より上側の領域に緩衝部材150が配置されることをいう。接続部材130の下面と緩衝部材150の上面の間、および緩衝部材150の下面と端子140の上端の間は、それぞれロウ材160が存在することが好ましい。
緩衝部材150は、例えば、W、Mo、コバール、インバー、スーパーインバー、ニレジストなどで形成することができる。緩衝部材150の厚みは、0.2mm以上2mm以下であることが好ましい。
接続部材130と緩衝部材150は、同一の材料で構成されてもよい。このようにすることで、接続部材130は基体110に埋設されて焼成されるため脆化しているが、接続部材130と緩衝部材150との膨張率差はほとんどないので、接続部材130に応力が働きにくくなるため、接続部材130が破損しにくくなる。一方、緩衝部材150と端子140間では膨張係数差があるものの、ロウ付け時には緩衝部材150は位置が固定されず流動的であるため、緩衝部材150と端子140間の応力は、発生しにくくなる。これにより、力学的な観点から端子構造のクラック抑制を図ることができる。
接続部材130と緩衝部材150は、異なる材料で構成されてもよい。この場合、接続部材130、緩衝部材150、および端子140の線膨張係数を順に大きくすることが好ましい。このようにすることで、力学的な観点から端子構造のクラック抑制を図ることができる。線膨張係数を順に大きくするとは、2つの部材の線膨張係数が等しい場合を含む。
図3は、実施形態に係る電極埋設部材100の変形例の端子構造を拡大して示した部分断面図である。図3に示されるように、緩衝部材150は、接続部材130側に配置される第1の緩衝部材151と、端子140側に配置される第2の緩衝部材152を含んで構成されることが好ましい。この場合、接続部材130、第1の緩衝部材151、第2の緩衝部材152、および端子140の線膨張係数を順に大きくすることが好ましい。これにより、力学的な観点から端子構造のクラック抑制を図ることができる。
また、緩衝部材150が第1の緩衝部材151と第2の緩衝部材152を含んで構成される場合、接続部材130と第1の緩衝部材151を同一の材料で構成して、第1の緩衝部材151、第2の緩衝部材152、および端子140の線膨張係数を順に大きくしてもよい。
ロウ材160は、緩衝部材150および端子140を固定する。ロウ材160は、接続部材130、端子140、または緩衝部材150間を相互に電気的に接続する。
ロウ材160は、Auを主成分とし、表層にFeを4atoms%以上含む。これにより、電極埋設部材100の使用中にロウ材160の表面(外部環境との境界)にFeの酸化膜が形成されやすく、または、Feが選択的に酸素と結合されるため、接続部材130や緩衝部材150の酸化が抑制される。その結果、接続部材130や緩衝部材150の強度劣化が抑制され、端子構造の強度が維持される。
ロウ材160がAuを主成分とするとは、ロウ材160に含まれるAuの濃度が80wt%以上であることをいう。また、ロウ材160が表層にFeを4atoms%以上含むとは、ロウ付け後のロウ材160の表層(ロウ材160の表面から20μm以下の領域)のロウ材160に含まれる金属Fe換算の濃度が4atoms%以上であることをいう。これにより、電極埋設部材100の使用中にロウ材160の表面にFeの酸化膜がより形成されやすくなる。
ロウ材160に含まれるFeは、ロウ付け前にロウ材160に添加されていてもよい。これにより、所定量のFeをロウ材160に含ませることが容易になる。ロウ付け前にロウ材160にFeを添加する場合、他の部材からのFeの溶出を考慮しない状況であるときは、例えば、内割で0.16wt%以上10wt%以下の所定の濃度となるように添加することが好ましい。
また、ロウ材160に含まれるFeは、ロウ付け時にロウ材160に他の部材から溶出され、ロウ付け後にロウ材160に含まれるようにしてもよい。ロウ付け時にロウ材160に溶出されたFeであっても、電極埋設部材100の使用中のFeの酸化膜の形成や、酸素との選択的な結合は同様に起こるためである。
ロウ付け時にロウ材160にFeが溶出されるように構成する場合、ロウ材160に元々含まれ、または添加されるFeの量は0であり、ロウ付け後のロウ材160に含まれるFeの全量が他の部材から溶出されたFeとなるように構成してもよい。また、狙いとする量より少ない量のFeが含まれ、または添加され、他の部材から溶出されたFeによって不足量が補われるように構成してもよい。
ロウ付け時にロウ材160にFeが溶出されるように構成する場合、Feを供給する他の部材は、緩衝部材150であることが好ましい。すなわち、緩衝部材150は、Feを含むことが好ましい。このように、緩衝部材150がFeを含むことにより、ロウ材160にFeが含まれない場合であっても、ロウ付け時にFeがロウ材に溶出して、結果的にロウ付け後のロウ材160にFeが含まれることとなり、酸化膜等の原料とすることができる。この場合、ロウ付け後のロウ材160に狙いとする量のFeが含まれるようにするため、緩衝部材150に含まれるFeの濃度、緩衝部材150の大きさ、ロウ材160に接触する面積等を調整する必要がある。緩衝部材150をFeを含む構成にする場合、緩衝部材150は、例えば、Feを添加したW、Feを添加したMoのほかコバール、インバー、スーパーインバー、ニレジストなどのNiを含有した合金で形成することができる。Niを含有するとFeのロウ材への溶出が容易化するためである。
ロウ付け時にロウ材160にFeが溶出されるように構成する場合であって、緩衝部材150が第1の緩衝部材151と第2の緩衝部材152を含んで構成される場合、第2の緩衝部材は、Feを主成分とすることが好ましい。このように、Feを主成分とする第2の緩衝部材を使用することにより、ロウ材にFeが含まれない場合であっても、ロウ付け後のロウ材160に十分な量のFeが含まれることとなる。また、ロウ付け時にロウ材160にFeが溶出されるように構成する場合は、ロウ付け後のロウ材160に含まれるFeの濃度が部分によって異なることとなるが、端子140側に配置される第2の緩衝部材152がFeを主成分とした材料で構成されることにより、ロウ材160の表面近くの部分により多くのFeが含まれることとなるため、より適切に酸化膜等の原料とすることができる。第2の緩衝部材152をFeを主成分とする構成にする場合、第2の緩衝部材152は、例えば、コバール、インバー、スーパーインバー、ニレジストなどのNiを含有した合金で形成することができる。
ロウ付け時にロウ材160にFeが溶出されるように構成する場合、Feを供給する他の部材は、ロウ付け時にほとんど全てがロウ材160に溶解するFeを含むまたはFeを主成分とする箔等の部材(Fe供給部材)であってもよい。これにより、緩衝部材150とは無関係に、ロウ材160の意図する領域のFe濃度を高くすることができ、より適切に酸化膜等の原料とすることができる。Fe供給部材を使用する場合、その配置される位置は、どこであってもよい。例えば、第1の緩衝部材151の位置に配置されてもよいし、第2の緩衝部材152の位置に配置されてもよい。換言すると、Fe供給部材は、接続部材130と緩衝部材150の間に配置されてもよいし、緩衝部材150と端子140の間に配置されてもよい。これら以外の位置であってもよいが、Fe供給部材はある程度の大きさがあるため、これらの位置に配置することで製造が容易になる。
ロウ材160は、表面にFeの酸化膜を有することが好ましい。これにより、接続部材130や緩衝部材150の酸化がより抑制される。
ロウ材160は、表面に垂直な断面のEPMA分析またはEDX分析によるO(酸素)とFe(鉄)の特性X線の強度比において、ロウ材160の表層での値(特性X線スペクトルの比(Oの強度/Feの強度))がロウ材160の内部での値の2倍以上であることが好ましい。これにより、接続部材130や緩衝部材150の酸化がより抑制される。ロウ材160の表層とは、ロウ材160の表面から20μm以下の領域をいい、ロウ材160の内部とは、ロウ材160の表面から100μm以上離間した領域をいう。
本発明の電極埋設部材100は、接続部材130や緩衝部材150の劣化が起きにくく、端子構造の強度が低下しにくい。その結果、端子140の脱落や電気的な接触不良が生じにくくなる。
[電極埋設部材の製造方法]
次に、本実施形態に係る電極埋設部材の製造方法を説明する。図4および図5は、本発明の実施形態に係る電極埋設部材の製造方法の一例を示すフローチャートである。本発明の実施形態に係る電極埋設部材の製造方法は、図4に示すように、準備工程ステップS1、配置工程ステップS2、およびロウ付け工程ステップS3を備えている。
また、準備工程ステップS1は詳述すると、図5に示すように、成形体形成工程ステップT1、脱脂工程ステップT2、電極等準備工程ステップT3、積層体形成工程ステップT4、焼成工程ステップT5、および端子穴等加工工程ステップT6を備えている。なお、以下では成形体を積層して製造する成形体ホットプレス法による製造方法を説明するが、本発明はロウ付け工程ステップS3後のロウ材に含まれるFe濃度が重要であるため、これを調整できる方法であれば、各工程は別の方法に置き換えてもよい。
図6(a)~(d)および図7(a)~(c)は、それぞれ本発明の実施形態に係る電極埋設部材の製造工程の一段階を模式的に示す断面図である。図6および図7は、図1の電極埋設部材を製造する場合について示している。まずは、準備工程ステップS1を詳述した、成形体形成工程ステップT1から端子穴等加工工程ステップT6について説明する。
成形体形成工程ステップT1では、セラミックス原料粉から複数のセラミックス成形体11、12を形成する。なお、図6ではセラミックス成形体は2の部材に分かれているが、設計に応じて3以上であってもよい。例えば、セラミックス原料粉にバインダ、可塑剤、分散剤などの添加剤を適宜添加して混合して、スラリーを作製し、スプレードライ法等により顆粒(造粒粉)を造粒後、加圧成形して複数のセラミックス成形体11、12を形成することができる。セラミックス原料粉は、電極埋設部材の用途に応じて様々な材料を使用することができる。例えば、AlN、Al、Si、SiCなどを使用することができる。セラミックス原料粉には、必要に応じて焼結助剤となる粉末が添加されてもよい。
セラミックス原料粉は、高純度であることが好ましく、その純度は、好ましくは96%以上、より好ましくは98%以上である。また、セラミックス原料粉末の平均粒径は、好ましくは0.1μm以上1.0μm以下である。
混合方法は、湿式、乾式の何れであってもよく、例えばボールミル、振動ミルなどの混合器を用いることができる。また、成形方法としては、例えば、一軸加圧成形や冷間静水等方圧加圧(CIP:Cold Isostatic Pressing)法などの公知の方法を用いればよい。なお、セラミックス成形体を形成する方法は、加圧成形に限らず、例えば、グリーンシート積層、または鋳込み成形であっても適用が可能であり、これらを適宜脱脂、またはさらに仮焼する工程により、セラミックス成形体を製造することができる。また、粉末ホットプレス法により積層体を形成してもよい。
複数のセラミックス成形体11、12は、成形後、機械加工により成形体の形状が整えられてもよい。また、図6(b)に示されるように、セラミックス成形体12の片面(他のセラミックス成形体11との接合面)に、電極120および接続部材130の形状に合わせた形状の凹部が形成されてもよい。凹部はセラミックス成形体11に設けられてもよいし、両方に設けられてもよい。機械加工は、脱脂後に行なってもよい。
脱脂工程ステップT2では、複数のセラミックス成形体11、12を所定の温度以上、所定の時間以上脱脂処理して複数のセラミックス脱脂体21、22を作製する。セラミックス成形体11、12は、例えば、400℃以上800℃以下の温度で熱処理され、セラミックス脱脂体21、22となる。脱脂時間は、1時間以上120時間以下であることが好ましい。脱脂には、大気炉または窒素雰囲気炉を用いることができるが、バインダの不要な成分を除去するためには大気炉の方が好ましい。
電極等準備工程ステップT3では、MoやWなどで形成され、所定の形状に裁断された電極120、およびMoやWなどで形成された所定の形状に加工された接続部材130を準備する。
積層体形成工程ステップT4では、準備した電極120、接続部材130、および複数のセラミックス脱脂体21、22を組み合わせて、平板状に形成され、電極120および接続部材130が埋設された図6(c)に示される積層体30を形成する。
焼成工程ステップT5では、形成された積層体30を、主面(載置面)に垂直方向に一軸加圧焼成して図6(d)に示される焼成体40を得る。加圧する力は、1MPa以上であることが好ましい。また、焼成温度や焼成時間は、基体の材料であるセラミックスの種類によって異なるが、例えば、基体をAlNで形成する場合、1500℃以上2000℃以下であることが好ましい。焼成時間は、例えば、1時間以上12時間以下であることが好ましい。焼成雰囲気は、例えば、窒素や不活性ガス雰囲気であるが、真空などの雰囲気であってもよい。これにより、熱処理後の複数のセラミックス脱脂体21が焼結してセラミックス焼結体となり、これらが一体化され、電極120および接続部材130が埋設された焼成体40が得られる。
端子穴等加工工程ステップT6は、焼成体40に研削、研磨等の加工をして外形を所定の形状にし、載置面112の表面粗さを所定の範囲にすることで、図7(b)に示される電極埋設部材前駆体50を作製する。また、焼成体40の裏面側より端子位置に接続部材130に到達するまで所定の形状の端子穴142を穿設する。
なお、脱脂工程ステップT2と、積層体形成工程ステップT4との間に、仮焼工程を設けてもよい。仮焼工程を設ける場合、セラミックス脱脂体を仮焼してセラミックス仮焼体を作製する。これにより、電極埋設部材の外形や電極および接続部材の埋設位置などの寸法精度をより高くすることができる。仮焼時間や仮焼温度は、基体の材料であるセラミックスの種類によって異なるが、例えば、基体をAlNで形成する場合、1200℃以上1700℃以下の温度で、0.5時間以上12時間以下仮焼することが好ましい。仮焼雰囲気は、窒素や不活性ガス雰囲気であることが好ましいが、真空などの雰囲気であってもよい。仮焼工程を設ける場合、機械加工は仮焼工程の後に行なってもよい。
以上の例に示した工程により、準備工程ステップS1の、セラミックス焼結体からなる平板状の基体110と、基体110に埋設された電極120と、電極120に電気的に接続され、基体110に埋設された接続部材130と、を備え、接続部材130の一方の主面の少なくとも一部が露出する端子穴142が穿設された電極埋設部材前駆体50を準備することができる。次に、配置工程ステップS2およびロウ付け工程ステップS3を説明する。
配置工程ステップS2は、緩衝部材150および端子140を準備し、緩衝部材150および端子140を電極埋設部材前駆体50の端子穴142に配置する。配置される緩衝部材150は、箔のように薄いものであってもよい。また、緩衝部材150に加えて箔を配置してもよい。
準備する緩衝部材150は、接続部材130側に配置される第1の緩衝部材151と、端子140側に配置される第2の緩衝部材152を含んで構成されてもよい。配置される第1の緩衝部材151または第2の緩衝部材152は、箔のように薄いものであってもよい。また、第1の緩衝部材151および第2の緩衝部材152に加えて箔を配置してもよい。
ロウ付け工程ステップS3は、Auを主成分とするロウ材160を準備し、端子穴142に配置された緩衝部材150および端子140をロウ材160を用いてロウ付けして固定することで、図7(c)に示される電極埋設部材100が作製される。
本発明の製造方法では、ロウ付け工程ステップS3後のロウ材160が表層にFeを4atoms%以上含むように、配置工程ステップS2で準備する緩衝部材150の成分および大きさもしくはロウ材に接触する面積が調整され、またはロウ付け工程ステップS3で準備するロウ材160の成分が調整される。このとき、ロウ付け時にほとんど全てがロウ材160に溶解するFeを含むまたはFeを主成分とする箔等のFe供給部材を配置してロウ付けを行なってもよい。緩衝部材150に含まれるFeの濃度、緩衝部材150の大きさ、ロウ材に接触する面積等を調整する場合、例えば、ロウ材に接触する面積は大きい方が好ましく、厚みは薄い方が好ましい。しかし、ロウ付け後のロウ材160に含まれるFeの全量を緩衝部材150から溶出されたFeとなるように構成する場合、緩衝部材150の厚みが薄過ぎると、多くがロウ材に溶解してしまいロウ付け後に緩衝部材としての役割を果たせなくなる場合がある。そのため、このように構成する場合、厚みは0.2mm以上2mm以下とすることが好ましい。また、主面の端部の角はC面にすることが好ましく、C0.5mm以上にすることが好ましい。また、緩衝部材150は、ロウ材160のぬれ性が高いことが好ましく、Ra1μm以上に粗面化することがより好ましい。Fe供給部材を使用する場合、厚みが薄過ぎると、溶出するFeの量が不足する場合がある。そのため、Fe供給部材の厚みは0.05mm以上2mm未満とすることが好ましい。
このようにすることで、実際のプロセスで使用中に接続部材130や緩衝部材150の劣化が起きにくく、端子構造の強度が低下しにくい、端子140の脱落や電気的な接触不良が生じにくくなる電極埋設部材100を製造することができる。
[実施例および比較例]
(実施例1)
5wt%Yを添加したAlNを主成分とするセラミックス原料粉を用いて、CIP成形(圧力1ton/cm)し、成形体のインゴットを得た。これを機械加工することで、直径340mm、厚み20mmのセラミックス成形体、および直径340mm、厚み10mmのセラミックス成形体を成形した。そして、厚み20mmのセラミックス成形体の一方の面に、成形体の中心を共有し、電極を収納するための直径300mm、深さ0.1mmの凹部を設けた。さらに、端子を形成する所定の位置に、接続部材を収納するための直径8.5mm、深さ0.25mmの凹部を設けた。
次に、セラミックス成形体を、550℃、12時間脱脂して、セラミックス脱脂体を作製した。次に、直径294mmのモリブデン製のモリブデンメッシュ(線径0.1mm、平織り、メッシュサイズ♯50)を所定の形状に裁断し、電極を準備した。また、W製のペレットからφ8mm×0.2mmtのサイズの接続部材を2つ作製した。次に、凹部を設けたセラミックス脱脂体の凹部に接続部材および電極を載置し、もう一方のセラミックス脱脂体で挟み、電極埋設部材前駆体を作製した。
次に、電極埋設部材前駆体をホットプレス炉に載置して、800℃から1500℃まで14時間の熱処理を行なった。次に、電極埋設部材前駆体の主面(載置面)に垂直な方向に10MPaの力を加えつつ、1800℃、2時間、1軸ホットプレス焼成した。このようにして、電極および接続部材が埋設された基体を焼成した。
その後、全面に研削、研磨加工を行ない、総厚20mm、絶縁層厚み1.0mm、表面粗さをRa0.4μmのウェハ載置面を形成した。セラミックス基体裏面側より端子位置に接続部材に到達するまで穴径φ5.5mmの平底穴加工を行なった。
次に、BAu-4ロウ材にFeを添加し、Feを1wt%含有するAu-Ni系ロウ材を準備した。露出した接続部材底面に準備したAu-Ni系ロウ材を介して直径5mm、厚み2mmのW製の緩衝部材と直径5mm長さ50mmの円柱状Ni製給電端子を設置し、真空炉により1050℃でAu-Ni系ロウ材によるロウ付けを行ない、電極埋設部材を完成させた。このようにして、実施例1の電極埋設部材を作製した。
(実施例2)
実施例2は、実施例1で使用したW製の緩衝部材に代わり、直径5mm、厚み2mmのW製の第1の緩衝部材および直径5mm、厚み2mmのコバール製の第2の緩衝部材を用いた。第2の緩衝部材は、ロウ材に接触する面積を大きくするため端子側の主面の端部の角をC0.5mmに加工し、また、ロウ材と緩衝部材のぬれ性の向上のため表面をRa4μmに粗面化加工を行なった。また、Feを1wt%含有するAu-Ni系ロウ材に代わり、Feを添加していないBAu-4ロウ材を用いた。それ以外は実施例1と同様の条件で実施例2の電極埋設部材を作製した。
(実施例3)
実施例3は、実施例1で使用したW製の緩衝部材に代わり、直径5mm、厚み2mmのFeを1wt%含有するW製の緩衝部材を用いた。緩衝部材は、実施例2の第2の緩衝部材と同様の加工を行なった。また、Feを1wt%含有するAu-Ni系ロウ材に代わり、Feを添加していないBAu-4ロウ材を用いた。それ以外は実施例1と同様の条件で実施例3の電極埋設部材を作製した。
(実施例4)
実施例4は、実施例1で使用したW製の緩衝部材に代わり、直径5mm、厚み2mmのFeを1wt%含有するW製の第1の緩衝部材および直径5mm、厚み2mmのコバール製の第2の緩衝部材を用いた。第2の緩衝部材は、実施例2と同様の加工を行なった。また、Feを1wt%含有するAu-Ni系ロウ材に代わり、Feを添加していないBAu-4ロウ材を用いた。それ以外は実施例1と同様の条件で実施例4の電極埋設部材を作製した。
(実施例5)
実施例5は、実施例1で使用したW製の緩衝部材に代わり、直径5mm、厚み2mmのMo製の第1の緩衝部材および直径5mm、厚み2mmのコバール製の第2の緩衝部材を用いた。第2の緩衝部材は、実施例2と同様の加工を行なった。また、Feを1wt%含有するAu-Ni系ロウ材に代わり、Feを添加していないBAu-4ロウ材を用いた。それ以外は実施例1と同様の条件で実施例5の電極埋設部材を作製した。
(実施例6)
実施例6は、実施例1で使用したW製の接続部材に代わり、Mo製の接続部材を埋設して焼成した。また、実施例1で使用したW製の緩衝部材に代わり、直径5mm、厚み2mmのMo製の第1の緩衝部材および直径5mm、厚み2mmのコバール製の第2の緩衝部材を用いた。第2の緩衝部材は、実施例2と同様の加工を行なった。また、Feを1wt%含有するAu-Ni系ロウ材に代わり、Feを添加していないBAu-4ロウ材を用いた。それ以外は実施例1と同様の条件で実施例6の電極埋設部材を作製した。
(実施例7)
実施例7は、実施例1で使用したW製の緩衝部材に代わり、第1の緩衝部材として直径5mm、厚み0.1mmのコバール製の箔を配置し、第2の緩衝部材として直径5mm、厚み2mmのW製の緩衝部材を配置してロウ付けを行なった。また、Feを1wt%含有するAu-Ni系ロウ材に代わり、Feを添加していないBAu-4ロウ材を用いた。それ以外は実施例1と同様の条件で実施例7の電極埋設部材を作製した。
(実施例8)
実施例8は、実施例1で使用したW製の緩衝部材に代えてニレジスト製の緩衝部材を配置してロウ付けを行なった。緩衝部材は、実施例2の第2の緩衝部材と同様の加工を行なった。また、Feを1wt%含有するAu-Ni系ロウ材に代わり、Feを添加していないBAu-4ロウ材を用いた。それ以外は実施例1と同様の条件で実施例8の電極埋設部材を作製した。
(比較例1)
比較例1は、実施例1で使用したFeを1wt%含有するAu-Ni系ロウ材に代わり、Feを添加していないBAu-4ロウ材を用いた。それ以外は実施例1と同様の条件で比較例1の電極埋設部材を作製した。
(比較例2)
比較例2は、実施例1で使用したW製の緩衝部材と端子の間に直径5mm、厚み0.03mmのコバール製の箔を配置してロウ付けを行なった。また、Feを1wt%含有するAu-Ni系ロウ材に代わり、Feを添加していないBAu-4ロウ材を用いた。それ以外は実施例1と同様の条件で比較例2の電極埋設部材を作製した。
[性能評価]
(温度サイクル試験)
端子と外部電源を接続し、電力を負荷し、電極埋設部材の載置面の表面温度を650℃まで加熱し、2時間保持後、200℃に冷却するサイクルを20回繰り返した。温度サイクル試験は、大気にさらされる環境で行なった。
(引張強度試験)
温度サイクル試験後、強度試験機に電極埋設部材の基体を固定し端子を垂直に引張り、破断する強度を測定した。
(ロウ材の組成分析)
電極埋設部材を載置面の中心および接続部材の中心を通る垂直な断面で切断し、接続部材、電極、緩衝部材、およびロウ材の断面を露出させ研磨後、EPMAにてロウ材の組成分析を行なった。具体的には、EPMA装置で断面を1000倍に拡大し、断面の元素マッピングを行った。検出する元素はFe、Oとした。なお、ロウ材の組成分析は、EDX・SEM装置で行なうこともできる。
また、分析箇所から測定される特性X線スペクトルから、(Oの強度/Feの強度)を測定し、Feの酸化度合いを評価した。評価する領域はロウ材表層(表面から20μm以下の領域)とロウ材の内部(表面から100μm以上離間した領域)の所定の範囲(100μm~120μm)の約20μm正方の領域とした。
(表面のFe酸化物の厚み測定)
温度サイクル試験後、ロウ材断面をSEM観察(1000倍)し、表面の酸化物の厚みを測定した。1視野について5か所測定し平均した値を厚みとした。厚みが1μm以上形成されているものは、Feの酸化物が形成され、1μm未満または測定困難な場合はなしと判定した。
図8は、実施例および比較例の製造条件および測定結果を示す表である。実施例1~8は、比較例1および2と比較して、熱サイクル試験後の端子強度が高く維持されていることが確認された。
実施例1~8は、ロウ材の表層の組成分析において、Feを4atoms%以上含んでいた。これに対し、比較例1は、検出限界以下となり、Feを含んでいなかったと評価できる。また、比較例2は、Feの含有量が3.5atoms%であり、基準に満たなかった。断面の観察において、実施例7および比較例2のコバール製の箔は、いずれもほとんど全て溶けていた。一方、比較例2は、ロウ材の表層に含まれるFeの含有量が基準に満たなかった。これは、比較例2のコバール製の箔の厚みが薄過ぎたためと考えられる。比較例1および2は、ロウ材にFeを含まなかった、またはFeの含有量が少なかったことで、熱サイクル試験の過程で接続部材または緩衝部材が劣化して、端子強度が弱くなったと推測される。なお、実施例1~8は、熱サイクル後のロウ材の表面にFeの酸化膜が確認された。
また、特性X線スペクトルの比(Oの強度/Feの強度)は、実施例1~8のロウ材の表層の値はいずれもロウ材の内部の値より大きく、その差は内部の値の2倍以上であった。また、比較例2ではその値が1.4倍であった。このことからも、実施例の電極埋設部材は熱サイクル後のロウ材の表面にFeの酸化膜が形成されていることが確認された。
以上の結果によって、本発明の電極埋設部材は、接続部材や緩衝部材の劣化が起きにくく、端子構造の強度が低下しにくいため、端子の脱落や電気的な接触不良が生じにくくなることが確かめられた。また、本発明の製造方法は、このような電極埋設部材を製造できることが確かめられた。
本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の思想と範囲に含まれる様々な変形および均等物に及ぶことはいうまでもない。また、各図面に示された構成要素の構造、形状、数、位置、大きさ等は説明の便宜上のものであり、適宜変更しうる。
11、12 セラミックス成形体
21、22 セラミックス脱脂体
30 積層体
40 焼成体
50 電極埋設部材前駆体
100 電極埋設部材
110 基体
112 載置面
120 電極
130 接続部材
140 端子
142 端子穴
150 緩衝部材
151 第1の緩衝部材
152 第2の緩衝部材
160 ロウ材

Claims (6)

  1. 電極埋設部材であって、
    セラミックス焼結体からなる平板状の基体と、
    前記基体に埋設された電極と、
    前記電極に電気的に接続され、前記基体に埋設された接続部材と、
    前記電極に電気を供給する端子と、
    前記接続部材および前記端子の間に配置される緩衝部材と、
    前記緩衝部材および前記端子を固定するロウ材と、を備え、
    前記ロウ材は、Auを主成分とし、表層にFeを4atoms%以上含むことを特徴とする電極埋設部材。
  2. 前記ロウ材は、表面にFeの酸化物が形成されていることを特徴とする請求項1記載の電極埋設部材。
  3. 前記ロウ材は、前記ロウ材の表面に垂直な断面のEPMA分析またはEDX分析によるOとFeの特性X線の強度比において、前記ロウ材の表層での値が前記ロウ材の内部での値の2倍以上であることを特徴とする請求項2記載の電極埋設部材。
  4. 前記緩衝部材は、Feを含むことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の電極埋設部材。
  5. 前記緩衝部材は、前記接続部材側に配置される第1の緩衝部材と、前記端子側に配置される第2の緩衝部材を含み、
    前記第2の緩衝部材は、Feを主成分とすることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の電極埋設部材。
  6. 電極埋設部材の製造方法であって、
    セラミックス焼結体からなる平板状の基体と、前記基体に埋設された電極と、前記電極に電気的に接続され、前記基体に埋設された接続部材と、を備え、前記接続部材の一方の主面の少なくとも一部が露出する端子穴が穿設された電極埋設部材前駆体を準備する準備工程と、
    緩衝部材および端子を準備し、前記緩衝部材および前記端子を前記電極埋設部材前駆体の前記端子穴に配置する配置工程と、
    Auを主成分とするロウ材を準備し、前記端子穴に配置された前記緩衝部材および前記端子を前記ロウ材を用いてロウ付けして固定するロウ付け工程と、を含み、
    前記ロウ付け工程後の前記ロウ材が表層にFeを4atoms%以上含むように、前記配置工程で準備する前記緩衝部材の成分および大きさもしくは前記ロウ材に接触する面積が調整され、または前記ロウ付け工程で準備する前記ロウ材の成分が調整されることを特徴とする電極埋設部材の製造方法。
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